説明

転がり軸受装置

【課題】転動体ががたつくことがなくて、構成部品に変形、破損が起こりにくく、かつ、定格荷重が大きい転がり軸受装置を提供すること。
【解決手段】軸方向に貫通する貫通穴40、転動面である外周円筒面41、第1端面42および第2端面43を有するころ30の貫通穴40に、ピン31を圧入により挿通してなる転動体3を使用する。第1環状部材6の軸方向の端面を軸方向に貫通する貫通穴60と、ピン30において貫通穴40の一方の開口から突出している部分である第1棒状部50の外周面との間に第1玉軸受8を配置する。また、第2環状部材6の軸方向の端面を軸方向に貫通する貫通穴61と、ピン30において貫通穴40の他方の開口から突出している部分である第2棒状部51の外周面との間に第2玉軸受9を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外輪、内輪および転動体を備える転がり軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転がり軸受装置としては、特開2003−343574号公報(特許文献1)に記載されている円筒ころ軸受がある。
【0003】
この円筒ころ軸受は、外輪、内輪、および、保持器アッセンブリを備え、上記保持器アッセンブリは、複数の円筒ころと、ピンタイプ保持器とからなっている。
【0004】
上記各円筒ころは、円筒ころの軸中心に沿って延在する貫通穴を有している。
【0005】
上記ピンタイプ保持器は、第1リング、第2リング、および、第1リングと第2リングとを連結する複数のピンを備え、上記複数のピンは、第1リングの周方向に互いに間隔をおいて配置されている。
【0006】
上記保持器アッセンブリは、上記ピンを、円筒ころの貫通穴に挿通した後、上記ピンの一端部を、第1リングに固定する一方、上記ピンの他端部を、第2リングに形成された貫通穴に挿入固定して、形成されている。
【0007】
上記複数の円筒ころは、上記ピンタイプ保持器に保持された状態で、外輪の円筒軌道面と、内輪の円筒軌道面との間に、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。
【0008】
上記従来の円筒ころ軸受では、円筒ころの貫通穴の内径を、ピンの外径より数mm程度大きくして、上記円筒ころの貫通穴と、ピンとの間にラジアル隙間を設けて、円筒ころが、自転を自在に行うことができるようにしている。
【0009】
上記従来の円筒ころ軸受では、上記数mm程度のラジアル隙間の存在によって、各円筒ころが、ピンの中心を中心とする周方向の進み遅れを起こして、円筒ころががたつくことを避けがたい。
【0010】
また、上記従来の円筒ころ軸受では、上記ラジアル隙間に起因する衝撃力がピンに加わることを避けがたく、ピンに変形、破損等が生じることを避けがたい。
【0011】
また、ピンタイプ保持器を有する上記従来の円筒ころ軸受のような大型の転がり軸受において、定格荷重を大きくすることが所望されている。
【特許文献1】特開2003−343574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の課題は、転動体ががたつくことがなくて、構成部品に変形、破損が起こりにくく、かつ、定格荷重が大きい転がり軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の転がり軸受装置は、
内周に軌道面を有する外輪と、
外周に軌道面を有する内輪と、
上記外輪の上記軌道面上および上記内輪の上記軌道面上を転動する環状の転動面と、上記転動面の軸方向の一端側および他端側に位置する第1端面および第2端面とを有する本体部と、上記第1端面から略上記軸方向の外方に突出する第1棒状部と、上記第2端面から略上記軸方向の外方に突出する第2棒状部とを有する転動体と、
上記第1棒状部が挿通される貫通穴を有すると共に、軸中心が略上記外輪の軸中心に一致するように配置された第1環状部材と、
上記第2棒状部が挿通される貫通穴を有すると共に、軸中心が略上記外輪の軸中心に一致するように配置された第2環状部材と、
上記第1環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第1棒状部の外周面との間に配置された第1転がり軸受と、
上記第2環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第2棒状部の外周面との間に配置された第2転がり軸受と
を備えることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、上記第1環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第1棒状部の外周面との間に配置された第1転がり軸受と、上記第2環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第2棒状部の外周面との間に配置された第2転がり軸受とによって、上記転動体を上記第1および第2環状部材に対して自転自在にする構成であるから、従来、数mm程度であった環状部材(従来の構造では、ピンタイプ保持器のリングに相当)に対する転動体の径方向の最大の相対移動可能距離を、第1および第2転がり軸受のラジアル隙間、すなわち、数μm程度まで急激に小さくすることができる。
【0015】
したがって、環状部材に対する転動体の径方向の相対移動に起因する転動体のがたつきが起こることがないと共に、上記相対移動に基づく構成部品にかかる衝撃力を、格段に小さくすることができる。
【0016】
また、上記相対移動を格段に小さくすることができるから、周方向に隣接する二つの転動体が接触することがないという制限下のもとで、従来よりも、転動体の寸法を大きくしたり、転動体の数を増やしたりすることができる。したがって、この発明の転がり軸受装置の定格荷重を、大きくすることができる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記転動体は、
上記転動面と、略上記転動面の軸中心に沿って延在する貫通穴とを有するころと、
上記ころの上記貫通穴に挿通されたピンと
を有し、
上記第1棒状部は、上記ころの上記貫通穴の一方の開口から突出している上記ピンの一端部であり、
上記第2棒状部は、上記ころの上記貫通穴の他方の開口から突出している上記ピンの他端部である。
【0018】
上記実施形態によれば、環状の転動面と、軸方向の両側に位置する第1および第2端面と、第1端面から略軸方向の外方に突出する第1棒状部と、第2端面から略軸方向の外方に位置する第2棒状部とを有する転動体を、簡単安価に製造することができ、転がり軸受装置の製造コストを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の転がり軸受装置によれば、従来、数mm程度であった環状部材(従来の構造では、ピンタイプ保持器のリングに相当)に対する転動体の径方向の最大の相対移動可能距離を、第1および第2転がり軸受のラジアル隙間、すなわち、数μm程度まで急激に小さくすることができる。したがって、環状部材に対する転動体の径方向の相対移動に起因する転動体のがたつきが起こることがない。
【0020】
また、本発明の転がり軸受装置によれば、上記相対移動に起因して構成部品にかかる衝撃力を、格段に小さくすることができる。
【0021】
また、本発明の転がり軸受装置によれば、上記相対移動を格段に小さくすることができるから、周方向に隣接する二つの転動体が接触することがないという制限下のもとで、従来よりも、転動体の寸法を大きくしたり、転動体の数を増やしたりすることができる。したがって、この発明の転がり軸受装置の定格荷重を、大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
【0024】
この転がり軸受装置は、外輪1、内輪2、複数の転動体3、第1環状部材6、第2環状部材7、第1転がり軸受としての第1玉軸受8、および、第2転がり軸受としての第2玉軸受9を備える。
【0025】
上記外輪1は、本体部10と、鍔部11とを有している。上記本体部10は、内周円筒軌道面20を有している。上記本体部10は、軸方向の断面において断面略L字状の形状を有し、軸方向の一方の側のみに鍔部を有する構造になっている。上記鍔部11は、本体部10の内周円筒軌道面20の軸方向の他方の側に位置している。上記鍔部11は、軸方向において鍔部11の本体側10とは反対側に位置する部材(図示せず)によって、本体部10側に押圧されている。一方、上記内輪2は、外周円筒軌道面21を有する。この外周円筒軌道面21は、外輪1の内周円筒軌道面20に外輪1の径方向に対向している。
【0026】
上記各転動体3は、ころ30と、ピン31とを有している。
【0027】
上記ころ30は、貫通穴40、外周円筒面41、および、軸方向の第1端面42および第2端面43を有している。上記貫通穴40は、略円筒形状を有し、略外周円筒面41の軸中心に沿って延在している。また、上記第1端面42は、外周円筒面41の軸方向の一方の側に位置する一方、第2端面43は、外周円筒面41の軸方向の他方の側に位置している。
【0028】
上記ピン31は、貫通穴40に圧入により締まり嵌めされている。上記ピン31の軸方向の長さは、ころ30の貫通穴40の軸方向の長さよりも長くなっている。
【0029】
上記ピン31において、貫通穴40の一方の開口から突出している部分は、第1棒状部50を構成している一方、ピン31において、貫通穴40の他方の開口から突出している部分は、第2棒状部51を構成している。
【0030】
また、上記各転動体3において、上記第1および第2棒状部50,51以外の部分、すなわち、ころ30の全部およびピン31において貫通穴40の両側の開口から突出していない部分は、本体部45を構成している。
【0031】
上記本体部45の径方向を含む垂直二等分面は、転動体3の径方向を含む垂直二等分面に略一致している。上記転動体3の本体部45の円筒外周面(ころ30の外周円筒面に一致する)41は、外輪1の内周円筒軌道面20上および内輪2の外周円筒軌道面21上を転動する転動面になっている。
【0032】
上記第1環状部材6は、上記ころ30の軸方向の一方の側に位置している。上記第1環状部材6は、その径方向において、内周面と外周面との間に複数の貫通穴60を有している。上記複数の貫通穴60は、第1環状部材6の周方向に略等間隔に互いに間隔をおいて配置されている。上記各貫通穴60は、略第1環状部材6の軸方向に延在している。
【0033】
上記第1環状部材6の各貫通穴60の内径は、2種類の内径を有している。図1に示すように、軸方向の半断面図において、第1環状部材6は、断面略L字状の形状を有している。上記各貫通穴60において、ころ30側の一方の開口の内径は、他方の内径よりも大きくなっている。
【0034】
上記第1環状部材6の軸方向の寸法をaとすると、第1環状部材6の貫通穴60において、第1環状部材6のころ30側の軸方向の端面からb(<a)の距離までの範囲の第1部分においては、貫通穴60の内径は、第1の寸法になっている。
【0035】
また、上記第1環状部材6の貫通穴60において、第1環状部材6のころ30側の軸方向の端面から(a−b)の距離からaまでの距離の範囲の第2部分においては、貫通穴60の内径は、第1の寸法よりも小さい第2の寸法になっている。
【0036】
上記第2環状部材7は、上記ころ30の軸方向の他方の側に位置している。上記第2環状部材7は、その径方向において、内周面と外周面との間に複数の貫通穴61を有している。上記複数の貫通穴61は、第2環状部材7の周方向に略等間隔に互いに間隔をおいて配置されている。上記各貫通穴61は、略第2環状部材7の軸方向に延在している。
【0037】
上記第2環状部材7の各貫通穴61の内径は、2種類の内径を有している。詳しくは、図1に示すように、軸方向の半断面図において、第2環状部材7は、断面略L字状の形状を有している。上記各貫通穴61において、ころ30側の一方の開口の内径は、他方の内径よりも大きくなっている。
【0038】
上記第2環状部材7の軸方向の寸法をcとすると、第2環状部材7の貫通穴61において、第2環状部材7のころ30側の軸方向の端面からd(<c)の距離までの範囲の第1部分においては、貫通穴61の内径は、第3の寸法になっている。
【0039】
また、上記第2環状部材7の貫通穴61において、第2環状部材7のころ30側の軸方向の端面から(c−d)の距離からcまでの距離の範囲の第2部分においては、貫通穴61の内径は、第3の寸法よりも小さい第4の寸法になっている。
【0040】
上記第1玉軸受8は、略上記bの軸方向の寸法を有している。上記第1玉軸受8は、第1環状部材6の貫通穴60の第1部分と、第1棒状部50との間に配置されている。上記第1玉軸受8の外輪の外周面は、第1環状部材6の貫通穴60の第1部分に締まり嵌めにより内嵌されて固定されている。また、上記第1玉軸受8の内輪の内周面は、第1棒状部50の外周面に締まり嵌めにより外嵌されて固定されている。上記第1玉軸受8は、第1棒状部50を第1環状部材6に対して回転自在に支持している。
【0041】
上記第1玉軸受8の軸方向の一方の側の端面は、第1環状部材6の貫通穴60の内面において、第1部分と第2部分との間に位置する段部である軸方向の端面と当接している。このようにして、上記第1玉軸受8を、第1環状部材6に対して位置決めしている。
【0042】
上記第2玉軸受9は、略上記cの軸方向の寸法を有している。上記第2玉軸受9は、第2環状部材7の貫通穴61の第1部分と、第2棒状部51との間に配置されている。上記第2玉軸受9の外輪の外周面は、第2環状部材7の貫通穴61の第1部分に締まり嵌めにより内嵌されて固定されている。また、上記第2玉軸受9の内輪の内周面は、第2棒状部51の外周面に締まり嵌めにより外嵌されて固定されている。上記第2玉軸受9は、第2棒状部51を第2環状部材7に対して回転自在に支持している。
【0043】
上記第2玉軸受9の軸方向の一方の側の端面は、第2環状部材7の貫通穴61の内面において、第1部分と第2部分との間に位置する段部である軸方向の端面と当接している。このようにして、上記第1玉軸受9を、第2環状部材7に対して位置決めしている。
【0044】
上記第1環状部材6の第2部分の内径は、第1棒状部50の外径よりも大きくなっている。上記第1環状部材6の第2部分は、第1棒状部50に対して径方向に間隔をおいて位置している。また、上記第2環状部材7の第2部分の内径は、第2棒状部51の外径よりも大きくなっている。上記第2環状部材7の第2部分は、第1棒状部50に対して径方向に間隔をおいて位置している。このようにして、各転動体3が、第1および第2環状部材6,7に対して自在に自転できるようにしている。
【0045】
上記実施形態の転がり軸受装置によれば、第1環状部材6の貫通穴60の第1部分(内周面の一部)と、第1棒状部50の外周面との間に配置された第1玉軸受8と、第2環状部材7の貫通穴61の第1部分(内周面の一部)と、第2棒状部51の外周面との間に配置された第2玉軸受9とによって、転動体3を第1および第2環状部材6,7に対して自転自在にする構成であるから、従来、数mm程度であった環状部材6,7(従来の構造では、ピンタイプ保持器のリングに相当)に対する転動体3の径方向の最大の相対移動可能距離を、第1および第2玉軸受8,9のラジアル隙間、すなわち、数μm程度まで急激に小さくすることができる。
【0046】
したがって、上記第1および第2環状部材6,7に対する転動体2の径方向の相対移動に起因する転動体のがたつきが起こることがないと共に、上記相対移動に基づいて構成部品にかかる衝撃力を、格段に小さくすることができる。
【0047】
また、上記実施形態の転がり軸受装置によれば、上記相対移動を格段に小さくすることができるから、周方向に隣接する二つの転動体3,3が接触することがないという制限下のもとで、従来よりも、転動体3の寸法を大きくしたり、転動体3の数を増やしたりすることができる。したがって、転がり軸受装置の定格荷重を、大きくすることができる。
【0048】
また、上記実施形態の転がり軸受装置によれば、複雑な形状を有する転動体3、すなわち、環状の転動面(外周円筒面41に相当)と、軸方向の両側に位置する第1および第2端面42,43と、第1端面42から略軸方向の外方に突出する第1棒状部50と、第2端面43から略軸方向の外方に位置する第2棒状部51とを有する転動体3を、ころ30の貫通穴40にピン31を圧入することによって、製造しているから、上記複雑な形状を有する転動体3を、簡単安価に製造することができる。したがって、転がり軸受装置の製造コストを小さくすることができる。
【0049】
尚、上記実施形態の転がり軸受装置では、転動体3を、軸方向に貫通する貫通穴40、転動面41、第1端面42および第2端面43を有するころ30の貫通穴40に、ピン31を、圧入により挿通して形成し、ピン31が、ころ30の貫通穴40に締まり嵌めされていたが、この発明では、ピンは、円筒ころの貫通穴に中間嵌めされても良く、また、ピンは、円筒ころの貫通穴に対するラジアル隙間が従来よりも小さい状態で、隙間嵌めされていても良い。ここで、定格荷重を上げるという視点からみると、締まり嵌めが一番好ましく、次に中間嵌めが好ましいことは言うまでもない。
【0050】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、転動体3を、軸方向に貫通する貫通穴40、転動面41、第1端面42および第2端面43を有するころ30の貫通穴40に、ころ30とは別部材であるピン31を圧入により挿通して形成した。
【0051】
しかしながら、この発明では、転動体として、一体の転動体、詳しくは、外輪の軌道面上および内輪の軌道面上を転動する環状の転動面と、転動面の軸方向の一端側および他端側に位置する軸方向の第1端面および第2端面とを有する本体部と、第1端面から略軸方向の外方に突出する第1棒状部と、第2端面から略軸方向の外方に位置する第2棒状部とを有する一体型の転動体を使用しても良い。
【0052】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、転動体3が、軸中心に沿った貫通穴40を有するころ30に、ピン31を挿通してなっていたが、この発明では、転動体は、軸中心に沿った貫通穴を有する円錐ころに、ピンを挿通してなっていても良く、また、転動体は、軸中心に沿った貫通穴を有する球面ころ(凸面ころ)に、ピンを挿通してなっていても良い。
【0053】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、第1棒状部51と、第2棒状部52とが、略同一であったが、この発明では、第1棒状部と、第2棒状部とは、構造(形状またはサイズ)が異なっていても良い。また、この発明では、第1環状部材6と第2環状部材7とは、同一であっても良く、第1環状部材6と第2環状部材7とは、構造(形状またはサイズ)が、異なっていても良い。
【0054】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、第1転がり軸受として第1玉軸受8を採用し、第2転がり軸受として第2玉軸受9を採用した。
【0055】
ここで、第1玉軸受8と第2玉軸受9とは、同一であっても良く、第1玉軸受8と第2玉軸受9の大きさおよび構造のうちの少なくとも一方が、異なっていても良い。
【0056】
また、上記玉軸受8,9の夫々は、二つの環状部材の間を複数の柱部で連結してなる保持器を有する玉軸受であっても、所謂冠型保持器を有する玉軸受であっても、保持器を有さない所謂総玉軸受であっても良い。また、上記玉軸受8,9の夫々は、深溝型の軌道溝を有する玉軸受であっても、アンギュラ型の軌道溝を有する玉軸受であっても良い。
【0057】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、第1および第2転がり軸受の両方が玉軸受8,9であったが、この発明では、第1および第2転がり軸受のうちの少なくとも一方は、ニードル軸受やころ軸受等、玉軸受以外の転がり軸受であっても良い。第1および第2転がり軸受のうちの少なくとも一方として、玉軸受を使用すると、玉軸受は、量産されていて価格が安いから、この発明の転がり軸受装置の製造コストを小さくすることができる。
【0058】
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、棒状部50,51を有する転動体3が、軸方向に単列に配置されていたが、この発明では、棒状部を有する転動体は、軸方向に複列に配置されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 外輪
2 内輪
3 転動体
6 第1環状部材
7 第2環状部材
8 第1玉軸受
9 第2玉軸受
20 内周円筒軌道面
21 外周円筒軌道面
30 ころ
31 ピン
40 ころの貫通穴
41 外周円筒面
42 第1端面
43 第2端面
45 転動体の本体部
50 第1棒状部
51 第2棒状部
60 第1環状部材の貫通穴
61 第2環状部材の貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周に軌道面を有する外輪と、
外周に軌道面を有する内輪と、
上記外輪の上記軌道面上および上記内輪の上記軌道面上を転動する環状の転動面と、上記転動面の軸方向の一端側および他端側に位置する第1端面および第2端面とを有する本体部と、上記第1端面から略上記軸方向の外方に突出する第1棒状部と、上記第2端面から略上記軸方向の外方に突出する第2棒状部とを有する転動体と、
上記第1棒状部が挿通される貫通穴を有すると共に、軸中心が略上記外輪の軸中心に一致するように配置された第1環状部材と、
上記第2棒状部が挿通される貫通穴を有すると共に、軸中心が略上記外輪の軸中心に一致するように配置された第2環状部材と、
上記第1環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第1棒状部の外周面との間に配置された第1転がり軸受と、
上記第2環状部材の上記貫通穴の内周面と、上記第2棒状部の外周面との間に配置された第2転がり軸受と
を備えることを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項2】
請求項1に記載の転がり軸受装置において、
上記転動体は、
上記転動面と、略上記転動面の軸中心に沿って延在する貫通穴とを有するころと、
上記ころの上記貫通穴に挿通されたピンと
を有し、
上記第1棒状部は、上記ころの上記貫通穴の一方の開口から突出している上記ピンの一端部であり、
上記第2棒状部は、上記ころの上記貫通穴の他方の開口から突出している上記ピンの他端部であることを特徴とする転がり軸受装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−185987(P2009−185987A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29324(P2008−29324)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】