説明

転送装置情報を組み込んだエレベータ配送システムにおける最良の群選択

エレベータ配送システム(100)は、複数のエレベータ群(101、102)の各群が、群制御装置(103a−b)および複数のエレベータかご(101a−c、102a−c)を備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群(101、102)と、目的階床を含むサービス要求を受け取るように構成された転送装置(104)であって、複数のエレベータ群(101、102)が目的階床にサービスする場合、転送装置(104)内に記憶された情報に基づいて複数のエレベータ群(101、102)から要求にサービスするための最良の群を決定するように構成された転送装置(104)と、を備えており、決定された最良の群の群制御装置(103a−b)は、決定された最良の群内の複数のエレベータかご(101a−c、102a−c)から最良のかごを決定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の主題は一般に、エレベータ配送システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、各群が一組の階床にサービスする複数のエレベータ群を備えることがある。そのようなシステムでは、乗客は、各自の目的階に基づいてサービスを要求するエレベータ群を選択できる。目的階床の中には複数のエレベータ群によってサービス可能な階床がある。複数のエレベータ群が目的階にサービスする場合、乗客は、エレベータ群の物理的位置やホールの混み具合などの要因に基づいてエレベータ群を選択できる。乗客は、エレベータ群を選択後、サービス要求を入力できる。サービス要求を受け取ると、選択された群に関連する群制御装置は、群内のどのかごを乗客にサービスするために割り当てるかを決定するために、選択された群内の各かごを評価できる。要求にサービスするための最良のかごが、一組の定義された基準を用いて群制御装置によって選択可能であり、選択された最良のかごが、要求にサービスするために割り当て可能である。しかしながら、群制御装置は、その特定のエレベータ群内のかごから選択することができるだけである。エレベータ群はすでに乗客によって選択されており、群情報は、群内の各かごについて同じであるため、群情報は、最良のかごを選択する際の要因とはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様によれば、エレベータ配送システムは、複数のエレベータ群の各群が、群制御装置および複数のエレベータかごを備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群と、目的階床を含むサービス要求を受け取るように構成された転送装置であって、複数のエレベータ群が目的階床にサービスする場合、転送装置内に記憶された情報に基づいて複数のエレベータ群から要求にサービスするための最良の群を決定するように構成された転送装置と、を備えており、決定された最良の群の群制御装置は、決定された最良の群内の複数のエレベータかごから最良のかごを決定するように構成されている。
【0004】
本発明の別の態様によれば、複数のエレベータ群の各群が、群制御装置および複数のエレベータかごを備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群を備えるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択方法は、転送装置によって目的階床を含むサービス要求を受け取り、複数のエレベータ群が目的階床にサービスする場合、転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定し、決定された最良の群の群制御装置によって、決定された最良の群のうちの最良のかごを決定し、決定された最良の群内の最良のかごにサービス要求を割り当てる、ことを含む。
【0005】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータプログラム製品は、コンピュータコードを含むコンピュータ可読記憶媒体から成り、コンピュータによって実行されると、複数のエレベータ群の各群が、群制御装置および複数のエレベータかごを備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群を備えるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択方法を実現し、該方法は、転送装置によって目的階床を含むサービス要求を受け取り、複数のエレベータ群が目的階床にサービスする場合、転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定し、決定された最良の群の群制御装置によって、決定された最良の群のうちの最良のかごを決定し、決定された最良の群内の最良のかごにサービス要求を割り当てる、ことを含む。
【0006】
本発明の他の態様、特徴および技術は、図面と共に考慮される以下の説明からより明らかとなるであろう。
【0007】
ここで図面を参照するが、同様の構成要素は、いくつかの図面の中で同様に番号付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】エレベータ配送システムの実施例を示す図。
【図2】転送装置情報を用いるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択方法の実施例を示す図。
【図3】転送装置情報を用いるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択のシステムおよび方法の実施例と共に使用可能なコンピュータの実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
転送装置情報を組み込んだエレベータ配送システムにおける最良の群の選択のシステムおよび方法の実施例が提供されており、例示的な実施例について以下に詳細に説明する。エレベータ配送システムは、複数群エレベータシステム内の特定のエレベータ群を最初に選択せずに乗客がサービス要求を入力できる、1つまたは複数の包括的目的階入力装置を備えることができる。エレベータ配送システムは次いで、要求にサービスする最良の群を選択することができる。エレベータ群間で交通量を釣り合わせるために、そして要求にサービス可能な混み具合のより少ないエレベータ群が存在する場合に込み合ったエレベータ群へ乗客を送ることを避けるために、要求にサービス可能な各エレベータ群の群情報が、最良の群を決定するために評価可能である。最良の群は、転送装置内に記憶された情報に基づいて選択可能である。最良の群が選択された後で、最良の群から最良のかごが選択可能である。
【0010】
複数のエレベータ群がサービス要求を満たすことができる場合に交通を混み具合のより少ないエレベータ群に向けることによって、混み具合を低減し、複数のエレベータ群間の交通量を釣り合わせることができる。乗客は、混み具合のより少ないホールおよびかごの状態を経験することができ、建物の所有者は、ホールの待ち行列の低減を喜ぶことができるが、それというのも、ホールの待ち行列は、エレベータシステムの認識される性能の非公式の尺度となる目に見える問題だからである。
【0011】
エレベータ配送システム100の実施例が図1に示される。かご101a−cは、第1のエレベータ群101を構成し、制御装置103aによって制御される。かご102a−cは、第2のエレベータ群102を構成し、制御装置103bによって制御される。制御装置103a−bは、転送装置104に接続される。制御装置103a−bは、制御装置の各群の個々のかごのうちの1つなど、エレベータ配送システム100内の任意の適切な物理的位置に配置可能である。乗客は、各自の目的階の階床値を入力することで、目的階入力装置(destination entry device)(DED)105a−dの1つにサービス要求を入力することができる。サービス要求は、転送装置内に記憶された情報を用いて要求にサービスするための最良のエレベータ群を最初に決定するように、転送装置104によって処理される。転送装置104によって最良の群が決定された後に、最良の群の群制御装置によって最良の群内の最良のかごが決定される。乗客が要求を入力するのに用いたDED105a−dの1つが、選択された最良の群および最良のかごを乗客に示す。エレベータ群101、102、かご101a−c、102a−c、制御装置103a−b、およびDED105a−dは、例示する目的で示されているだけであり、エレベータ配送システムは、任意の適切な数のエレベータ群、かご、制御装置およびDEDを備えることができる。エレベータ群101、102などのエレベータ群は、建物内の任意の一部の階床にサービスすることができ、システムの1つまたは複数の階床が、複数のエレベータ群によってサービス可能である。群選択は、転送装置104内に配置された群選択モジュールによって実行可能である。
【0012】
図2には、転送装置内の群選択モジュール内で具体化可能な最良の群の選択方法の実施例が示される。図2については、図1を参照して説明する。ブロック201において、転送装置104は、DED105a−dのうちの1つから目的階床を含むサービス要求を受け取る。ブロック202において、転送装置104は、要求にサービスするための最良の群を決定する。最良の群は、群制御装置103a−bからの入力なしで転送装置104によって決定可能である。
【0013】
転送装置104は、最良の群を決定するために転送装置104に記憶されたデータを考慮することができ、このデータには、限定される訳ではないが、1日のうちの特定の時間、特定の群に割り当てられたサービス要求の回数、特定の群に割り当てられた、特定の期間に受け取られた全てのサービス要求の割合、または、特定の群に割り当てられる、特定の期間に受け取られることが期待されるサービス要求の割合についての記憶されたサービス要求データが含まれる。例えば、2つの特定の群によりサービスされる、階床への全ての目的階要求は、8AM〜9AMの期間は、群のうちの一方にのみ割り当てられるが、それというのも、その時間帯ではもう一方の群は各階止まりの運行で通常使用中であることが知られているからである。
【0014】
最良の群を決定するために使用されるデータは、システム管理者によって設定可能である。例えば、最良の群を選択するために1日のうちの時間を使用するかが設定可能である。1日のうちの時間が使用される場合、特定の期間も設定可能である。新たなサービス要求について最良の群を選択するために転送装置104によって使用される情報は、加重パラメータ、ファジー論理、加重平均、または利用可能な情報の任意の他の評価を含め、さまざまな方法で組み合わせ可能である。
【0015】
最良の群を決定する方法の例示的な実施例について、表1〜表4に関して以下に検討する。表1〜表4に例示される実施例は、1つまたは複数の群制御装置からの情報を必要としない。以下の表1〜表4で例示される各実施例については、図1を参照すると、群101は、ホールおよび階床1〜10にサービスする、3つのかご(101a−c)の低層群である。群102は、ホール、階床5、および階床10〜18にサービスする、3つのかご(102a−c)の高層群である。階床5は、カフェテリア階であり、1日のうちの特定の時間帯において、大きな割合の交通量がこの階床へ行くことになる。目標は、群101、102間で交通量を釣り合わせることである。
【0016】
いくつかの実施例では、転送装置104は、複数の群によってサービス可能な目的階要求に対する群割り当てを交互にすることで交通量を釣り合わせることができ、この方法の実施例が、表1に示される。
【0017】
表1 交互の群選択

到着時刻 目的階 群割り当て 備考
12:10:03 5 101 第1の割り当て
12:10:05 12 102 群102のみ階床12にサービスする
12:10:09 10 102 両方の群101、102によりサービスされる目的階
に対する以前の呼びは、群101に割り当てた
12:10:15 5 101 両方の群101、102によりサービスされる目的階
に対する以前の呼びは、群102に割り当てた
12:10:21 10 102 両方の群101、102によりサービスされる目的階
に対する以前の呼びは、群101に割り当てた。
【0018】
いくつかの実施例では、設定可能期間内で受け取られる同じ目的階に対する複数の連続した要求は、転送装置104によって、同じ群に割り当て可能である。この方法の実施例が、表2に示される。
【0019】
表2 経過時間法、経過期間は10秒

到着時刻 目的階 群割り当て 備考
12:10:03 5 101 第1の割り当て
12:10:05 12 102 群102のみ階床12にサービスする
12:10:09 5 101 同じ目的階に対する以前の要求の10秒以内に
受け取られた要求
12:10:15 5 101 同じ目的階に対する以前の要求の10秒以内に
受け取られた要求
12:10:21 5 101 同じ目的階に対する以前の要求の10秒以内に
受け取られた要求
12:10:40 5 102 同じ目的階に対する以前のものの10秒以内に
要求が受け取られなかったので、
交替の群に割り当てる。
【0020】
いくつかの実施例では、転送装置104は、表3に示されるように、設定可能期間に基づいて最良の群選択を交互にする。複数のエレベータ群によってサービスされる各階床ごとに別々のタイマを用いることができ、異なる群について異なる期間を用いることもできる。
【0021】
表3 設定可能期間は20秒

到着時刻 目的階 群割り当て 備考
12:10:00 設定可能期間の開始
12:10:03 5 101 第1の期間内、群101に割り当てる
12:10:05 12 102 群102のみ階床12にサービスする
12:10:09 10 101 第1の期間内、群101に割り当てる
12:10:15 5 101 第1の期間内、群101に割り当てる
12:10:21 10 102 第1の期間は経過、
第2の期間、群102に割り当てる
12:10:38 5 102 第2の期間、群102に割り当てる。
【0022】
いくつかの実施例では、転送装置104は、各群に割り当てられる要求の回数を保持することができ、1つの群に割り当てられた要求の閾値数に到達すると、転送装置104は、次の要求を別の群に割り当てることができる。この方法は、タイマと共に使用可能であり、設定可能期間が終了すると、要求が割り当てられる群を交替させることができる。この方法の実施例が、表4に示される。
【0023】
表4 設定可能期間は15秒、閾値は3人の乗客

到着時刻 目的階 群割り当て 備考
12:10:03 4 101 群101のみ階床4にサービスする
群101は1人の乗客
12:10:04 5 101 群101は2人の乗客
12:10:04 12 102 群102のみ階床12にサービスする
群102は1人の乗客
12:10:05 5 101 群101は3人の乗客
12:10:06 5 102 群101は15秒以内に3人を超える乗客の要求
群102に割り当てる。
【0024】
表1〜表4に示される方法は、例示する目的で示されているだけであり、転送装置104は、最良の群を決定するために任意の適切なアルゴリズムを用いることができる。表1〜表4に示される方法のいずれも、互いに一緒に、または他の方法と一緒に使用可能である。転送装置104によって使用される方法は、限定される訳ではないが、特定の期間内または1日のうちの時間帯における比較的大きな数の要求を含め、さまざまな要因に基づいて変更可能である。
【0025】
転送装置104は、最良の群についてのその評価の一部として、さまざまなエレベータ群の物理的構成、例えば、群内のかごの数、群によってサービスされる階床の数、複数の群によってサービスされる階床にサービスする群内のかごの数、特定の階床にサービスする群の数などを考慮することもできる。この情報は、静的であり、最良の群選択の目的で転送装置104内に記憶可能である。転送装置104が使用する静的データは、状況に応じて変更可能である。例えば、群に属するかごがサービスから外れる場合、その情報は、転送装置104内に記憶されるデータに反映可能である。転送装置104は次いで、そのかごがサービスに戻るという連絡を受けるまで、その群について記憶されているかごの数を変更することができる。
【0026】
転送装置104は、たとえそれぞれの群のスコアが別の選択を示しているとしても、1つの群よりも別の1つの群を選択可能とする、オーバーライド条件を考慮することもできる。オーバーライド条件は、特定のエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から同じ目的階へ行く待ち乗客を既に有し得ること、または、特定の群がサービス要求として同じ出発階から行く待ち乗客を既に有し得ることを含むことができる。サービス要求が入力されたDEDから各群内の最も遠いかごへの距離も考慮可能であり、身体の不自由な乗客は、特定のDEDからの距離によって測定される、サービス要求にサービス可能な最も近くの群に彼らのサービス要求を割り当てるよう転送装置にさせることができる。
【0027】
図2に戻ると、ブロック203において、サービス要求は、ブロック202において転送装置104によって決定された最良の群に割り当てられる。ブロック204において、決定された最良の群から最良のかごが、最良の群の群制御装置によって決定される。ブロック205において、乗客は、決定された最良の群および最良のかごに割り当てられ、割り当ては、DED105a−dのうちの1つを介して乗客に示されることができる。
【0028】
図3には、ソフトウェアとして具体化される、エレベータ配送システムにおける転送装置情報を用いる最良の群の選択のシステムおよび方法の例示的な実施例によって使用可能なコンピュータ300の実施例が示される。上に検討したさまざまな作動は、コンピュータ300の能力を利用できる。コンピュータ300の1つまたは複数の能力は、本願で検討する任意の素子、モジュール、アプリケーションおよび/または構成要素に組み込み可能である。
【0029】
コンピュータ300には、限定される訳ではないが、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パーム装置、サーバ、記憶装置、および同様のものなどが含まれる。一般に、ハードウェアアーキテクチャによって、コンピュータ300は、ローカルインターフェース(図示せず)によって通信可能に接続された、1つまたは複数のプロセッサ310、メモリ320、および1つまたは複数の入出力(I/O)装置370を備えることができる。ローカルインターフェースは、例えば、限定される訳ではないが、当業技術内で既知の、1つまたは複数のバスまたは他の有線または無線による接続とすることができる。ローカルインターフェースは、通信を可能とするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、およびレシーバなどの付加的な素子を有することができる。さらに、ローカルインターフェースは、上述した構成要素間の適切な通信を可能とするために、アドレス、コントロール、および/またはデータの接続を含むことができる。
【0030】
プロセッサ310は、メモリ320に記憶可能なソフトウェアを実行するハードウェアデバイスである。プロセッサ310は、全く任意の特注または商業的に利用可能なプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはコンピュータ300に関連するいくつかのプロセッサの中の補助プロセッサとすることができ、プロセッサ310は、半導体に基づくマイクロプロセッサ(マイクロチップの形態のもの)またはマクロプロセッサとすることができる。
【0031】
メモリ320は、揮発性メモリ素子(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)その他などのランダムアクセスメモリ(RAM))および不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットまたは同様のもの、その他)の任意の1つまたは組み合わせを含むことができる。さらに、メモリ320は、電気的、磁気的、光学的および/または他の種類の記憶媒体を組み込むことができる。メモリ320は、さまざまな構成要素が互いに遠隔に位置するがプロセッサ310によってアクセス可能である、分散アーキテクチャを有することができることに留意されたい。
【0032】
メモリ320内のソフトウェアは、それぞれのプログラムが、論理機能を実現するための実行可能命令の順序付けられたリストから成る、1つまたは複数の別々のプログラムを備えることができる。メモリ320内のソフトウェアは、適切なオペレーティングシステム(O/S)350、コンパイラ340、ソースコード330、および例示的な実施例による1つまたは複数のアプリケーション360を備えることができる。例示されるように、アプリケーション360は、例示的な実施例の特徴および作動を実現するさまざまな機能構成要素を備える。コンピュータ300のアプリケーション360は、例示的な実施例による、さまざまなアプリケーション、コンピュータユニット、ロジック、機能ユニット、プロセス、オペレーション、仮想エンティティ、および/またはモジュールを代表しているが、アプリケーション360は、限定となることを意味するものではない。
【0033】
オペレーティングシステム350は、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル・データ管理、メモリ管理、および、通信制御および関連サービスを行う。本発明者らは、例示的な実施例を実現するアプリケーション360が全ての商業的に利用可能なオペレーティングシステム上で適用可能であることを意図している。
【0034】
アプリケーション360は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、または実行すべき一組の命令を有する任意の他のエンティティとすることができる。ソースプログラムの場合、プログラムは、O/S350と関連して適切に作動するように、メモリ320内に格納されることも、格納されないこともある、コンパイラ(コンパイラ340など)、アセンブラ、インタープリタ、または同様のものなどを介して通常翻訳される。さらに、アプリケーション360は、例えば、限定される訳ではないが、C、C++、C#、Pascal、BASIC、API call、HTML、XHTML、XML、ASP script、FORTRAN、COBOL、Perl、Java、ADA、.NET、および同様のものなど、データおよび方法のクラスを有するオブジェクト指向プログラム言語、またはルーチン、サブルーチンおよび/または機能を有する手続きプログラム言語として記載可能である。
【0035】
I/O装置370は、例えば、限定される訳ではないが、マウス、キーボード、スキャナー、マイクロホン、カメラ、その他などの入力装置を備えることができる。さらにI/O装置370は、例えば、限定される訳ではないが、プリンタ、ディスプレイ、その他などの出力装置を備えることもできる。最後に、I/O装置370はさらに、例えば、限定される訳ではないが、NICまたは変調器/復調器(遠隔装置、他のファイル、装置、システム、またはネットワークにアクセスするためのもの)、無線周波数(RF)または他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータ、その他などの入力および出力両方を通信する装置を備えることができる。I/O装置370はまた、インターネットまたはイントラネットなどのさまざまなネットワークを介して通信する構成要素を含む。
【0036】
コンピュータ300が、PC、ワークステーション、インテリジェントデバイス、または同様のものなどの場合、メモリ320内のソフトウェアはさらに、基本入出力システム(BIOS)(単純化のために省略)を備えることができる。BIOSは、起動時にハードウェアを初期化し、テストし、O/S350を起動し、ハードウェア装置間のデータ移動を支持する、一組の実質的なソフトウェアルーチンである。BIOSは、コンピュータ300の起動時にBIOSが実行可能となるように、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、または同様のものなどの、ある種の読み出し専用メモリに記憶される。
【0037】
コンピュータ300が作動する時、プロセッサ310は、メモリ320に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ320へまたはメモリ320からデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ300の作動を一般に制御するように構成される。アプリケーション360およびO/S350は、その全体または一部がプロセッサ310によって読み出され、プロセッサ310内で恐らくバッファーリングされ、次いで実行される。
【0038】
アプリケーション360がソフトウェアにおいて実現される場合、アプリケーション360が、任意のコンピュータ関連システムまたは方法に関連して使用されまたはこれらのシステムまたは方法によって使用される全く任意のコンピュータ可読媒体上に記憶可能であることに留意されたい。本明細書の文脈では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システムまたは方法に関連して使用されまたはこれらのシステムまたは方法によって使用されるコンピュータプログラムを格納または記憶可能な、電気的、磁気的、光学的、または他の物理的装置または手段とすることができる。
【0039】
アプリケーション360は、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令を取り出し(fetch)、その命令を実行できる、コンピュータに基づくシステム、プロセッサ保有システム、または他のシステムなどの、命令実行システム、装置、またはデバイスに関連して使用されまたはこれらのシステム、装置、またはデバイスによって使用される任意のコンピュータ可読媒体内で具体化できる。本明細書の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスに関連して使用されまたはこれらのシステム、装置、またはデバイスによって使用されるプログラムを、記憶し、通信し、伝搬させ、または伝達することができる任意の手段とすることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、限定される訳ではないが、電気的、磁気的、光学的、電磁的、赤外、または半導体システム、装置、デバイス、または伝搬媒体とすることができる。
【0040】
コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、以下の、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続(電気的)、携帯型コンピュータディスケット(磁気的または光学的)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(電気的)、読み出し専用メモリ(ROM)(電気的)、消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリ)(電気的)、光ファイバ(光学的)、および携帯型コンパクトディスクメモリ(CDROM、CD R/W)(光学的)を含むことができる。プログラムが例えば紙または他の媒体の光学的スキャニングを介して電気的に取り込まれ、次いでコンパイルされ、翻訳され、またはそうでなければ必要に応じて適切な方法で処理され、次いでコンピュータメモリに記憶されるので、コンピュータ可読媒体が、プログラムが印刷または穿孔される紙または他の適切な媒体とすることさえできることに留意されたい。
【0041】
アプリケーション360がハードウェアにおいて実現される例示的な実施例では、アプリケーション360は、当業技術内でよく知られた以下の技術、すなわち、データ信号上に論理機能を実現する論理ゲートを有する1つまたは複数のディスクリート論理回路、適切な組み合わせ論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、1つまたは複数のプログラム可能ゲートアレイ(programmable gate array)(PGA)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(field programmable gate array)(FPGA)、その他などの、任意の1つまたはこれらの組み合わせによって実現可能である。
【0042】
例示的な実施例の技術的な効果および利点には、エレベータかごの混み具合およびホールの待ち行列の低減が含まれる。
【0043】
本願で使用される用語は、特定の実施例を記載する目的のみのためであって、本発明を限定することは意図していない。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示したが、開示された形態での本発明に限定されまたは網羅的となることは意図していない。本明細書に記載されていない多くの変更物、変形物、改変物、置換物または均等構成が、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに当業者には明らかとなるであろう。さらに、本発明のさまざまな実施例を説明してきたとはいえ、本発明の態様が開示の実施例の一部のみを含み得ることを理解されたい。従って、本発明は、上述の説明によって限定されるものとして見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ配送システム(100)であって、
複数のエレベータ群(101、102)の各群が、群制御装置(103a−b)および複数のエレベータかご(101a−c、102a−c)を備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群(101、102)と、
目的階床を含むサービス要求を受け取るように構成された転送装置(104)であって、複数のエレベータ群(101、102)が目的階床にサービスする場合、転送装置(104)内に記憶された情報に基づいて複数のエレベータ群(101、102)から要求にサービスするための最良の群を決定するように構成された転送装置(104)と、
を備えており、決定された最良の群の群制御装置(103a−b)は、決定された最良の群内の複数のエレベータかご(101a−c、102a−c)から最良のかごを決定するように構成されていることを特徴とするエレベータ配送システム(100)。
【請求項2】
ユーザからサービス要求を受け取り、サービス要求を転送装置(104)に送り、転送装置(104)から決定された最良の群および最良のかごを受け取り、決定された最良の群および最良のかごをユーザに表示する、少なくとも1つの目的階入力装置(105a−d)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータ配送システム(100)。
【請求項3】
転送装置内に記憶される情報は、1日のうちの特定の時間、特定のエレベータ群に割り当てられたサービス要求の回数、特定のエレベータ群に割り当てられた、特定の期間に受け取られた全てのサービス要求の割合、または、特定の群に割り当てられる、特定の期間に受け取られる期待されるサービス要求の割合についての記憶されたサービス要求データのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ配送システム(100)。
【請求項4】
転送装置(104)内に記憶される情報には、タイマが終了した場合に転送装置(104)が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようタイマが含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータ配送システム(100)。
【請求項5】
転送装置内に記憶される情報には、サービス要求の回数が所定の閾値を超えた場合に転送装置(104)が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようエレベータ群に割り当てられるサービス要求の回数が含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータ配送システム(100)。
【請求項6】
転送装置(104)は、複数のエレベータ群(101、102)のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から同じ目的階へ行く待ち乗客を有すること、複数のエレベータ群(101、102)のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から行く待ち乗客を有すること、またはサービス要求を行う乗客の身体が不自由なこと、のうちの1つを含むオーバーライド条件に基づいて最良の群を決定するように構成されることを特徴とする請求項1記載のエレベータ配送システム(100)。
【請求項7】
複数のエレベータ群の各群が、群制御装置および複数のエレベータかごを備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群を備えるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択方法(200)であって、
転送装置によって目的階床を含むサービス要求を受け取り(201)、
複数のエレベータ群が目的階床にサービスする場合、転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定し(202)、
決定された最良の群の群制御装置によって、決定された最良の群のうちの最良のかごを決定し(204)、
決定された最良の群内の最良のかごにサービス要求を割り当てる(205)、
ことを含むことを特徴とする選択方法(200)。
【請求項8】
目的階入力装置においてユーザからサービス要求を受け取り、サービス要求を目的階入力装置から転送装置に送り、
目的階入力装置によって転送装置から決定された最良の群および最良のかごを受け取り、目的階入力装置によって決定された最良の群および最良のかごをユーザに表示する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項7記載の選択方法(200)。
【請求項9】
転送装置内に記憶される情報は、1日のうちの特定の時間、特定のエレベータ群に割り当てられたサービス要求の回数、特定のエレベータ群に割り当てられた、特定の期間に受け取られた全てのサービス要求の割合、または、特定の群に割り当てられる、特定の期間に受け取られる期待されるサービス要求の割合についての記憶されたサービス要求データのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7記載の選択方法(200)。
【請求項10】
転送装置内に記憶される情報には、タイマが終了した場合に転送装置が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようタイマが含まれることを特徴とする請求項7記載の選択方法(200)。
【請求項11】
転送装置内に記憶される情報には、サービス要求の回数が所定の閾値を超えた場合に転送装置が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようエレベータ群に割り当てられるサービス要求の回数が含まれることを特徴とする請求項7記載の選択方法(200)。
【請求項12】
転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定することは、複数のエレベータ群のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から同じ目的階へ行く待ち乗客を有すること、複数のエレベータ群のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から行く待ち乗客を有すること、またはサービス要求を行う乗客の身体が不自由なこと、のうちの1つを含むオーバーライド条件に基づくことを特徴とする請求項7記載の選択方法(200)。
【請求項13】
コンピュータによって実行されると、複数のエレベータ群の各群が、群制御装置および複数のエレベータかごを備えるとともにそれぞれ一組の階床にサービスする、複数のエレベータ群を備えるエレベータ配送システムにおける最良の群の選択方法(200)を実現する、コンピュータコードを含むコンピュータ可読記憶媒体から成るコンピュータプログラム製品であって、該方法は、
転送装置によって目的階床を含むサービス要求を受け取り(201)、
複数のエレベータ群が目的階床にサービスする場合、転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定し(202)、
決定された最良の群の群制御装置によって、決定された最良の群のうちの最良のかごを決定し(204)、
決定された最良の群内の最良のかごにサービス要求を割り当てる(205)、
ことを含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
目的階入力装置においてユーザからサービス要求を受け取り、サービス要求を目的階入力装置から転送装置に送り、
目的階入力装置によって転送装置から決定された最良の群および最良のかごを受け取り、目的階入力装置によって決定された最良の群および最良のかごをユーザに表示する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
転送装置内に記憶される情報は、1日のうちの特定の時間、特定のエレベータ群に割り当てられたサービス要求の回数、特定のエレベータ群に割り当てられた、特定の期間に受け取られた全てのサービス要求の割合、または、特定の群に割り当てられる、特定の期間に受け取られる期待されるサービス要求の割合についての記憶されたサービス要求データのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
転送装置内に記憶される情報には、タイマが終了した場合に転送装置が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようタイマが含まれることを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
転送装置内に記憶される情報には、サービス要求の回数が所定の閾値を超えた場合に転送装置が最良の群として選択されるエレベータ群を交替させるように構成されるようエレベータ群に割り当てられるサービス要求の回数が含まれることを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
転送装置内に記憶された情報に基づいて転送装置によって複数のエレベータ群のうちの最良の群を決定することは、複数のエレベータ群のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から同じ目的階へ行く待ち乗客を有すること、複数のエレベータ群のうちの1つのエレベータ群がサービス要求として同じ出発階から行く待ち乗客を有すること、またはサービス要求を行う乗客の身体が不自由なこと、のうちの1つを含むオーバーライド条件に基づくことを特徴とする請求項13記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520377(P2013−520377A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553866(P2012−553866)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/024701
【国際公開番号】WO2011/102837
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】