説明

軸受組立体

【課題】硬質材料を用いる軸受組立体を提供すること。
【解決手段】軸受組立体が、シャフトと、シャフト上に固定された一対のスペーサと、スペーサを囲み、これと摺動可能に接触する軸受部とを含み、リザーバが、シャフトとスペーサと軸受部との間に形成される。軸受部及びスペーサは、セラミック材料のような硬質材料で作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受組立体に関し、具体的には、セラミック材料等の硬質材料を用いる軸受組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシャフト・軸受構造体は、シャフトと、該シャフトを回転可能に支持するスリーブ軸受(ブッシングとしても知られる)とを含む。シャフトは通常、金属製であり、スリーブ軸受は、青銅等の焼結金属製であり、油で含浸されている。こうしたブッシングは、油漏れ及び短命という不利な点を有する。油漏れを克服し、ブッシングの寿命を延ばそうと、セラミック材料製のブッシングが試みられている。しかしながら、セラミック材料は硬質であり、耐摩耗性がより大きいものの、残念ながら、セラミック材料により、シャフトが著しく摩耗し、シャフト・軸受界面の寿命が十分には延びない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上述の問題を解決することができる改善された軸受構造体に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、シャフトと、軸受支持部と、シャフトを軸受支持部に回転可能に接続するための、シャフトと軸受支持部との間に配置された軸受とを含み、この軸受は、スペーサと、スペーサに摺動可能に係合する軸受部とを含み、スペーサ及び軸受部は硬質材料で作製される、軸受組立体を提供する。
【0005】
硬質材料は、セラミック材料であることが好ましい。
スペーサ及び/又は軸受部は、固体潤滑剤を含有することが好ましい。
固体潤滑剤は、Mo又はMoS2であることが好ましい。
潤滑剤リザーバを形成する間隙により軸方向に離間配置された2つのスペーサがあることが好ましい。
スペーサはシャフトに固定され、軸受部は軸受支持部に固定されることが好ましい。
【0006】
スペーサは、シャフト上の締まり嵌めであることが好ましい。
シャフトは刻み目部分を有し、スペーサは、シャフトの刻み目部分に圧入されることが好ましい。
或いはまた、スペーサは、弾性リング又は接着剤によりシャフトに固定される。
スペーサ又は各々のスペーサは、接続部分と位置決めフランジとを含み、接続部分は、軸受部に係合する軸受面を形成し、位置決めフランジは軸受部を軸受面上に軸方向に配置することが好ましい。
軸受支持部は、電子モータのハウジングの一部であることが好ましい。
【0007】
ここで本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照して単なる例証として説明される。図において、1つより多い図に示される同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが示される全ての図において、同じ参照符号を示すラベルが付される。図に示される構成要素及び構造部の寸法は、一般に、表示の便宜上及び表示を明確にするように選択されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。以下に図を列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態による軸受組立体を示す。
【図2】図1の軸受組立体のシャフトとスペーサとを示す。
【図3】本発明の第2の実施形態による軸受組立体のシャフト及びスペーサを示す。
【図4】本発明の第3の実施形態による軸受組立体のシャフト及びスペーサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の好ましい実施形態による軸受組立体を示す。軸受組立体は、シャフト10と、シャフト10上に固定的に取り付けられた2つのスペーサと、モータ・ハウジング又は軸受ブラケットのような軸受支持部40の内側に固定的に取り付けられた軸受部30とを含む。シャフト10は、軸受支持部40を通って延びる。
【0010】
各々のスペーサ20は、接続部分22と、接続部分22より外径が大きい位置決めフランジ24とを含む。2つのスペーサ20は、接続部分22が小さい間隙の両端に向かい合った状態で、互いに離間配置される。軸受部30は、位置決めフランジ24の間に配置され、スペーサ20の接続部分22を囲み、これと摺動可能に接触する。したがって、2つの接続部分22は、軸受部30の軸受面を形成する。潤滑剤用のリザーバ50が、スペーサの間の間隙に形成され、かつ、シャフト10の外面、スペーサ20の接続部分22の端面、及び軸受部30の内面により境界付けられる。スペーサ20及び軸受部30は、硬質材料、好ましくはセラミック材料で作製される。スペーサ及び軸受部の材料が異なっていてもよい。
【0011】
スペーサ20及び/又は軸受部30は、固体潤滑剤を含有するセラミック材料で作製されることが好ましい。例えば、スペーサ20及び/又は軸受部30は、固体潤滑剤になるMo又はMoS2粉末を含有するセラミック粉末を焼結することにより作製される。
【0012】
上記の実施形態においては、軸受部30がスペーサ20を半径方向に囲み、これと摺動可能に接触する状態で、スペーサ20がシャフト10上に取り付けられるため、スペーサが、シャフトを摩耗から保護する。摩擦面の摩耗を用途に合わせて調整できるように、スペーサの材料を軸受部30の材料と合致させることができる。例えば、スペーサ及び軸受部上に等しい摩耗が生じるように、材料を選択することができる。或いはまた、主要な摩耗が軸受部上に生じるように、材料を選択することができる。これは、モータの寿命を延ばすために軸受部を容易に交換することができる用途に特に望ましい。費用、組み立ての容易さ及び軸受組立体の寿命との間で折り合いをつける必要があることを理解すべきである。
【0013】
或いはまた、軸受部30は、油含浸スリーブ軸受とすることができ、リザーバ50は、軸受部30から出た又は漏れた油を貯蔵するように配置される。
【0014】
本発明において、スペーサ20は、様々な方法でシャフト10に固定することができる。例えば、スペーサ20は、熱膨張法により嵌められる締まり嵌めとしてシャフト10に固定することができる。或いはまた、図2に示すように、軸方向に延びるリブ12の形態の複数の刻み目を、シャフト10の部分の外面上に形成することができ、スペーサ20は、リブ12が形成されるシャフト10の部分上に圧入される。
【0015】
或いはまた、図3に示すように、弾性リング14が、スペーサ20とシャフト10との間に挟まれ、これによりスペーサ20が、シャフト10上にしっかりと固定される。
或いはまた、図4に示すように、スペーサ20とシャフト10との間に、接着剤16をもたらすことができる。
【0016】
「硬質材料」という用語は、軸受が用いられる又は用いられているシャフトの硬度より高い硬度を有する材料を意味するように意図される。スペーサと軸受部は類似した硬度を有することが好ましい。
【0017】
本出願の説明及び特許請求の範囲において、「含む(comprise)」、「含む(include)」、「含有する(contain)」及び「有する(have)」の動詞の各々及びこれらの変形は、述べられた項目の存在を指定するが、付加的な項目の存在を除外しないように、包括的な意味で用いられている。
【0018】
本発明は、1つ又はそれ以上の実施形態に関して説明されるが、当業者であれば、種々の修正が可能であることを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することにより定められるべきである。
【符号の説明】
【0019】
10:シャフト
12:リブ
14:弾性リング
16:接着剤
20:スペーサ
22:接続部分
24:位置決めフランジ
30:軸受部
40:軸受支持部
50:リザーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
軸受支持部と、
前記シャフトを前記軸受支持部に回転可能に接続するための、該シャフトと該軸受支持部との間に配置された軸受と、
を含み、
前記軸受は、スペーサと、前記スペーサに摺動可能に係合する軸受部とを含み、該スペーサ及び該軸受部は硬質材料で作製されることを特徴とする軸受組立体。
【請求項2】
前記硬質材料がセラミック材料である、請求項1に記載の軸受組立体。
【請求項3】
前記スペーサ及び/又は前記軸受部は固体潤滑剤を含有する、請求項1又は請求項2に記載の軸受組立体。
【請求項4】
前記固体潤滑剤がMo又はMoS2である、請求項3に記載の軸受組立体。
【請求項5】
前記スペーサが接続部分と位置決めフランジとを含み、前記接続部分が前記軸受部に係合する軸受面を形成し、前記位置決めフランジが該軸受部を前記軸受面上に軸方向に配置する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の軸受組立体。
【請求項6】
潤滑剤リザーバを形成する間隙により軸方向に離間配置された2つのスペーサがある、請求項1から請求項5のいずれかに記載の軸受組立体。
【請求項7】
前記又は各々のスペーサが前記シャフトに固定され、前記軸受部が前記軸受支持部に固定される、請求項1から請求項6のいずれかに記載の軸受組立体。
【請求項8】
前記又は各々のスペーサが前記シャフト上の締まり嵌めである、請求項7に記載の軸受組立体。
【請求項9】
前記シャフトが刻み目部分を有し、前記又は各々のスペーサが該シャフトの前記刻み目部分に圧入される、請求項7に記載の軸受組立体。
【請求項10】
前記又は各々のスペーサが、弾性リング又は接着剤により前記シャフトに固定される、請求項7に記載の軸受組立体。
【請求項11】
前記軸受支持部が電気モータのハウジングの一部である、請求項1から請求項10のいずれかに記載の軸受組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−220526(P2011−220526A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103253(P2011−103253)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(502458039)ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム (90)
【Fターム(参考)】