説明

軽質オレフィン製造用固体酸触媒及びこれを用いた方法

軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒を開示する。この触媒は、原料物質混合物の架橋及び固相反応によって製造され、前記原料物質混合物とは異なる結晶構造を有する多孔性物質からなる。前記触媒は、フルレンジナフサのような炭化水素供給原料から軽質オレフィンを製造するにおいて優れた接触分解活性(すなわち、転換及び選択度)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸触媒及びこれを用いて炭化水素供給原料から軽質オレフィンを製造するための方法に関する。より詳しくは、本発明は、スチームクラッキング工程を含む任意の従来の技術に比べて低温で、軽質オレフィンに対する優れた選択性を示す固体酸触媒、及びこれを用いて炭化水素供給原料(典型的には、フルレンジナフサ)から軽質オレフィンを選択的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン、特にエチレン又はプロピレンなどの軽質オレフィンは、石油化学産業において広く使用されている。そして、一般に、このような軽質オレフィンは、蒸気の存在下でナフサの熱分解を行うこと(すなわち、スチームクラッキング)により製造される。前記スチームクラッキング技術は、高温及び滞留時間の短縮などといった反応条件に対処しかつエネルギー効率を最適化するために様々な改善が試みられている。しかし、単純な工学的技術改善のみではエネルギー効率を改善することは容易ではない。現在、スチームクラッキング工程は石油化学産業全体に費やされるエネルギーの約40%程度を占めている。したがって、経済効率及び環境汚染の低減を考慮すると、エネルギーを最適化し、原料を節減し、かつ二酸化炭素放出を最小化する工程技術の改善が要求される。一般的に、軽質ナフサが供給原料として使用されるが、このような軽質ナフサは、後述するフルレンジナフサ(full range naphtha)に比べて高価なので、経済効率の面では限界がある。従来のスチームクラッキング技術では、生成するオレフィンの組成を調節することが容易でないうえ、要求される反応温度が800〜900℃の水準であるため多くの熱エネルギーを必要とし、改善の必要性がある。
【0003】
また、軽質オレフィン化合物は、FCC(fluid catalytic cracking:流動接触分解)工程によって製造することもできる。FCC工程は、蒸気を供給したときに流体のような挙動を示す微細粒子状の触媒を使用する触媒分解技術であって、当業界では広く知られている。特に、ガソリンの代わりにオレフィン(主に、プロピレン)の収率を増大させるFCC工程の修正工程として、DCC(deep catalytic cracking:深度接触分解)技術が知られている。一般に、FCC工程では、供給原料として、本発明で好ましいとされるフルレンジナフサに比べるとより重質の、減圧残渣油、常圧残渣油、又はガスオイルなどのような油分が使用されている。
【0004】
オレフィンの製造に関し、上述したスチームクラッキング及びFCC工程の他に、接触分解を含むオレフィン転換工程が提案されている。提案された工程はほとんど、固体酸触媒として主にHZSM−5触媒を使用している。これに関連した先行技術は、下記の通りである。
【0005】
日本特開平6−192135号公報は、150〜300のSiO2/Al23モル比を有するHZSM−5又はHZSM−11の存在下、C212のパラフィンを含有する軽質ナフサ(密度は0.683g/ccであり、組成はn−パラフィン42.7質量%、i−パラフィン36.1質量%、オレフィン0.1質量%、ナフテン14.0質量%及び芳香族化合物7.1質量%であり、パラフィン成分の分布はC3 0.1質量%、C4 5.2質量%、C5 18.7質量%、C6 19.0質量%、C7 15.2質量%、C8 13.5質量%、C96.1質量%、C10 0.1質量%、及びC11 0.1質量%である)から、エチレン、プロピレンを製造する接触分解工程(反応条件:620〜750℃の反応温度及び1−200h-1のWHSV)を開示している。特に、上記工程によれば、680℃及び25h-1のWHSVの反応条件下で、転換効率は93.6質量%であり、生成したエチレン+プロピレンの総量は44.9質量%である。しかし、接触分解反応において、HZSM−5又はHZSM−11をペレット化せずに使用し、反応中に蒸気や不活性気体などを導入しないため、初期活性には優れるものの触媒が容易に不活性化する可能性がある。この点において、触媒を成形するための追加的な技術が必要である。
【0006】
一方、日本特開平6−199707号公報は、C212のパラフィンを持つ軽質ナフサから主生成物としてエチレン及びプロピレンを製造する接触分解工程を報告している。この先行技術によれば、鉄(Fe)が100ppm質量%で担持された水素型ゼオライト(SiO2/Al23=20〜500)触媒が軽質オレフィンに対し優れた選択性を示すと記載されている。しかし、ゼオライトはペレット化せずに接触分解反応に使用され、反応中、蒸気又は不活性気体は使用されないため、初期活性には優れるものの、触媒が容易に不活性化される可能性がある。
【0007】
米国特許第6,656,345号は、プロピレンを50%以上の選択性で、かつ2〜4のプロピレン/ブチレンの比で製造する、オレフィンを含有する炭化水素供給原料(10〜220℃の沸点を有し、10〜70質量%のオレフィン及び5〜35質量%のパラフィンを含有する)の接触分解(反応条件:400〜700℃、WHSV=1〜1000h-1、かつP=0.1〜30atm)を開示している。この際、使用される触媒は、気孔が約7Åであり、シリカ/アルミナの比が200以上であるゼオライト(MFI、MEL、MTW、TON、MTT、FER、又はMFSなどの構造を持つゼオライトであって、例えばZSM−21、ZSM−38、又はZSM−48など)である。
【0008】
米国特許第6,566,293号は、軽質オレフィン製造のために有用な触媒を開示している。本特許によれば、P25が少なくとも10質量%含まれるHZSM−5ゼオライト、及びYゼオライトを主成分(10〜40質量%)として、シリカ(0〜25質量%)、無晶形アルミナ(約10質量%)と混合し、噴霧乾燥(spray drying)によってペレット化し、300〜1000℃で焼結することによって、触媒を製造する。また、米国特許第6,521,563号は、4〜20モル%のSi、40〜55モル%のAl、30〜50モル%のPを含有し、かつAEL構造を持つSAPO分子篩の製造方法、及び該分子篩のナフサ接触分解用触媒への適用を開示している。
【0009】
WO02/10313 A2は、n−へキサン又はn−オクタンなどの炭化水素をスチームクラッキングして軽質オレフィンを選択的に製造するために用いられる単一成分及び混成触媒組成物に関するものであって、Al、Si及びCrの酸化物、任意にアルカリ金属(Na、K、又はLiなど)の酸化物、及びバインダー(ベントナイト)を含有する押し出し型触媒、及びその製造方法を開示している。この際、前記触媒組成物は、50〜95質量%のSiO2、3〜30質量%のAl23、2〜10質量%のCr23、0〜18質量%のアルカリ金属酸化物及び10〜30質量%のバインダーを含む。
【0010】
一方、米国特許第4,248,739号及び第4,176,090号では、層状化合物(例えば、化学式(Si8iv(Al4vi20(OH)4で表されるベントナイト)が開示され、この化合物が、化学的な柱(pillaring)の形成のために、化学式[Al26(O)8(OH)52(H2O)2010+で表されるアルミニウムクロロヒドロール(aluminum chlorohydrol)などの多重陽イオン性水酸化金属錯体(polymeric cationic hydroxyl inorganic metal oxide)と反応し、その後脱水して層状化合物の層の間にアルミニウム酸化物架橋(pillars)が形成されることによりゼオライトと類似の多孔性化合物構造が形成されることが開示されている。上記方法で架橋した層状化合物は熱水的性質において典型的な層状化合物に比べて安定であると報告されている。しかし、多重陽イオン性水酸化金属錯体を製造するためには、少なくとも24時間還流を行う必要があり、反応中に水素イオン濃度(pH)を精密に調節しなければならないという困難性がある。
【0011】
米国特許第6,342,153号及び韓国特許公開第2003−0055172号は、重質油の熱分解に有用な、架橋された粘度触媒の製造方法及びその使用を開示している。この技術は層状化合物を使用して架橋反応(pillaring)によって多孔性物質を製造することを含む。この技術による触媒製造方法は、下記の通りである。(i)カオリン及びHZSM−5を希土類金属イオン及びアルカリ土類金属イオンでそれぞれ修飾し、噴霧乾燥器を用いてペレット化触媒を製造する。(ii)別に、多重陽イオン性水酸化アルミニウム錯体を製造する。(iii)前記(ii)工程の錯体を用いて、(i)工程で製造されたペレット化触媒を適切なpHで架橋させて触媒を製造する。この際、触媒の組成は、30〜75質量%の層状化合物、0〜30質量%の、ペンタシル(pentasil)構造を有するHASM−5、又はY型ゼオライト、10〜40質量%の無機バインダー(ポリエチレングリコールで修飾されたAl、Si及び/又はZrの酸化物)、及び1〜10質量%の修飾成分(ポリエチレングリコール、及びMg、Al、K、P又はSn)を含む。この技術において、上述の方法で製造された触媒の存在下、沸点300〜500℃の大慶(Daqing)パラフィンは触媒的に熱分解され(反応温度:700℃、触媒/オイル=10、WHSV=10h-1、及びH2O/供給原料=80質量%)、最大53質量%の収率でC2〜C4オレフィンが製造される。
【0012】
米国特許第6,211,104号は、軽質オレフィンを製造するための熱分解工程に適用可能な触媒製造方法を開示しており、この方法においては、10〜70質量%の層状化合物(カオリン)、5〜85質量%の無機金属酸化物(無晶形シリカ−アルミナ、アルミナ、シリカ又は擬似ベーマイト)、1〜50質量%のゼオライト(0〜25質量%YゼオライトならびにP及びAl、P及びMg又はP及びCaを含有する75〜100質量%のペンタシル構造の高シリカゼオライト)を含むスラリーのpHを2〜4に調節して、20〜80℃で攪拌し、噴霧乾燥を用いてペレット化を行い、450〜650℃で焼結する。この際、前記高シリカゼオライトは、SiO2/Al23モル比15〜60のZSM−5、ZSM−8、ZSM−11からなる群から選択されるゼオライトの質量を基準として2〜8質量%のP及び0.3〜3質量%のAl、Mg又はCaを含む。Yゼオライトは、希土類金属酸化物が14質量%以下で含まれる高シリカYゼオライトを意味する。
【0013】
WO01/04785は、ZSM−5及び/又はZSM−11ゼオライトを含有する触媒をC4+ナフサ(沸点27〜221℃)と接触させて軽質オレフィン及び芳香族化合物を製造することを開示している。前記触媒は、5〜75質量%の、SiO2/Al23比が70未満であるZSM−5及び/又はZSM−11ゼオライト、20質量%以下の無機酸化物(シリカ又は粘土)、ならびに0.5〜10質量%のPを含有する原料から製造される。該触媒の存在下、C4+ナフサを接触分解させる場合(反応温度:510〜704℃、触媒/供給原料の質量比:0.01〜30、蒸気/供給原料:5〜30質量%、及びWHSV:1〜20h-1)、エチレン/プロピレン(質量比)の比が少なくとも0.39であり、生成するエチレンとプロピレンとの総量が生成物全体の約25質量%水準である。
【0014】
WO03/064039 Alは、n−へキサン、n−オクタン、軽質ナフサなどのDCC(深度接触分解)工程用混合触媒に関し、エチレン、プロピレン、及びBTXのような軽質オレフィンの選択的製造に有用な触媒に関するものである。この先行技術において、混合触媒は、結晶性マイクロ細孔シリケート(例えば、ペンタシル型シリケート)及びメソ細孔シリカ−アルミナ又はZrO2を含有しており、ここにAl23、MoOx、LaOx、CeOx、これらの混合物、又はベントナイトなどの無機質バインダーが組み合わされている。マイクロ細孔/メソ細孔触媒成分の質量比は0.25〜4.0である。特に、MoOx/Al23質量比は0.5〜1.5であり、ベントナイトは混合触媒全体の9〜25質量%を占める。しかし、マイクロ/メソ細孔分布の調節は容易ではなく、メソ細孔物質が熱的に不安定であるため、ペレット化触媒の耐久性に問題があると考えられる。
【0015】
WO01/81280 Alは、エチレンとプロピレンを製造する方法を開示している。この方法においては、細孔径インデックス(pore size index)が23〜25であり、互いに交差する1次元的な通路(channel)を持っておらず、かつ直径4.4〜4.5Åであるゼオライト(TON、MTT)触媒を、1つ以上のC4〜9オレフィン(例えば、ブタンとブテンの混合物)と接触させ、加熱する。この方法によれば、固定層反応は450〜750℃の温度、0.5〜10気圧の圧力、及び0.5〜1000h-1のWHSVの条件下で行われる。この先行技術によれば、ブテンを供給原料として使用して525℃及び2.5h-1のWHSVで202時間反応を行ったとき、エチレン及びプロピレンの総量は91.7質量%であり、プロピレン/エチレン比は4.8である。
【0016】
WO01/04237 A2は、C4〜7の脂肪族炭化水素を少なくとも50質量%で含有する炭化水素を供給原料として用いて、300より大きいSiO2/Al23比を有し、かつPを含有するZSM−5及び/又はZSM−11と接触させる、軽質オレフィンの製造を開示している。詳しくは、この先行技術で使用される触媒は、5〜75質量%のゼオライト、シリカ、アルミナ、及び粘土などのマトリックスを25〜95質量%、ならびに0.5〜10質量%のPを含む。反応条件は、510〜704℃の温度、0.1〜8barの圧力、0.1〜10の触媒/供給原料の比(質量比)及び1〜20h-1の空間速度を含む。この時、生成したエチレン及びプロピレンの総質量は総生成物の20質量%であり、プロピレン/エチレンの比が少なくとも3である。
【0017】
米国特許第5,171,921号は、C2〜5のオレフィンを選択的に製造する方法を開示している。この方法によれば、Pを1〜3質量%含有し、かつ20〜60のSi/Al比を有するZSM−5を10〜25質量%と、シリカ、カオリン、及びベントナイトなどのバインダーとを含有するペレット化触媒の存在下、パラフィン及びオレフィンの混合物であるC3〜20の炭化水素を接触分解する(反応温度550〜600℃及びWHSV10〜1000h-1)。特に、500〜700℃での蒸気−活性化(steam-activation)によってZSM−5の性能が向上し、2−ブテンを接触分解する場合(反応温度600℃及びWHSV366h-1)、転換率及びエチレンとプロピレンとの総量はそれぞれ60%及び60質量%であると報告されている。
【0018】
米国特許第5,232,675号及び韓国特許出願第1996−7000207号は、RE23が0.01〜0.30、Na2Oが0.4〜1.0であり、かつSiO2/Al23の比が20〜60であるペンタシル型高シリカゼオライト触媒の製造方法を開示している。この特許によれば、開示された触媒はHZSM−5に比べて熱水安定性に優れている。
【0019】
WO2004/037951 Alは、マンガン(ゼオライト中のアルミニウムに対するマンガンの原子比は0.1〜20である)、ジルコニウム(ゼオライト中のアルミニウムに対するジルコニウムの原子比は4〜20である)、及び/又はリン(0.1〜5質量%)が含まれるペンタシル構造の希土類元素含有ゼオライト(SiO2/Al23=25〜800)触媒(La−Mn/HZSM−5、La−Mn/HZSM−5、及びP−La−Mn/HZSM−5など)の製造方法を開示している。前記触媒は、比較的低い温度、蒸気存在下で、優れた接触分解性能を示すことがこの特許に記載されており、n−ブタンを650℃及び50h-1のWHSVで接触分解した場合、転換率は90.2%であり、及び生成するエチレン+プロピレンの総量は51.3質量%であり、及びエチレン/プロピレン比は2.35である。前記特許によれば、エチレンが相対的に多い量で生成する。
【発明の開示】
【0020】
技術的課題
上記の観点から、従来の接触分解技術で知られている触媒の製造方法は、大きく2つの種類に分類することができる。
【0021】
第1の方法としては、MFI構造を有するHZSM−5又はPで修飾したHZSM−5を主成分とし、無機酸化物バインダーと物理的に混合してペレット化触媒を製造する。しかし、ZSM−5のみが接触分解に関わっており、物理的に混合されたバインダーは触媒活性を示さない。また、接触分解性能を向上させるために、ナフサの組成特性に応じて(例えば、ナフサが重質になる場合)、触媒の主成分の相対的な量を調節し、あるいはマイクロ細孔又はメソ細孔の役割を担う成分を人工的に導入する必要がある。従って、考慮されるペレット化触媒の製造条件を最適化することは容易ではない。
【0022】
第2の方法は、ペレット化触媒の製造のために、架橋した層状化合物にHZSM−5及びYゼオライトを添加し、無機酸化物バインダー及び添加剤をそこに導入する。触媒の主成分は、細孔サイズ5〜6Åの3次元構造を持つゼオライト、代表的にはHZSM−5である。
【0023】
しかし、このような触媒は合成手順が複雑であるため多くの時間がかかるうえ、商業的に製造するには、再現性に乏しい。
【0024】
上述した先行技術においては、重質油分(減圧残渣油、常圧残渣油、ガスオイルなど)、あるいはオレフィンを一定の含量含む軽質油分が一般的に供給原料として使用される。重質油分を供給原料として使用する場合、望ましくないことに、軽質オレフィンの収率が低い。一方で、軽質油分を供給原料として使用する場合には、オレフィンを一定の含量以上含む場合にしか望ましい収率で軽質オレフィンを得ることができないようである。
【0025】
技術的解決方法
従来の技術で直面する問題点を解決するために、本発明者らは、従来から知られているHZSM−5ゼオライト系触媒に比べて様々な利点を示し、炭化水素成分(フルレンジナフサ、特にC212の炭化水素を含有するフルレンジナフサが代表例として示される)の軽質オレフィン(例えば、エチレン及びプロピレン)への転換性能に優れ、かつ簡便な手順で製造できる新規な多孔性固体酸触媒を開発した。さらに、スチームクラッキングを含む従来の技術に比べて低温においても、このような新規触媒を用いて軽質オレフィンを優れた効率と選択性で製造する改善方法を開発した。より具体的には、本発明は、特定の成分及び組成比を持つ原料混合物をi)架橋反応及びii)固相反応させて製造される多孔性物質が原料物質とは明らかに異なる特性(特に、結晶構造など)を有し、これを炭化水素成分から軽質オレフィンを製造するための触媒として使用すると、高収率及び高選択性が得られるという予期できない発見に基づくものである。
【0026】
したがって、本発明の目的は、炭化水素成分の軽質オレフィンへの選択的転換性能を示す固体酸触媒を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、簡便な合成手順であるため商業的製造が容易に達成できる点において有利である軽質オレフィン製造用固体酸触媒の製造方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、前記固体酸触媒の存在下で炭化水素成分から軽質オレフィンを製造する方法を提供することである。
【0029】
本発明の第一の観点によれば、原料物質混合物のi)架橋反応及びii)熱処理による固相反応の生成物を含み、下記表1のXRDパターンによって示される結晶構造を有する、軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒が提供される。この原料混合物は、酸化物の形態を基準として、15〜300のSi/Alモル比のHZSM−5を42.0〜60.0質量%、12.0〜38.0質量%の層状化合物、1.0〜20.0質量%のAl23、1.0〜4.0質量%のP25、10.0〜15.0質量%のSiO2、及び0.5〜2.5質量%のB23を含む。
【0030】
【表1】

【0031】
本発明の第二の観点によれば、
a)酸化物の形態を基準として、15〜300のSi/Alモル比を有するHZSM−5を42.0〜60.0質量%、12.0〜38.0質量%の層状化合物、架橋剤としてのAl23を1.0〜20.0質量%、1.0〜4.0質量%のP25、10.0〜15.0質量%のSiO2、及び0.5〜2.5質量%のB23を含む原料混合物の架橋反応を水中で行い、架橋化された生成物を含有する水性スラリーを製造すること、
b)前記水性スラリーをペレット化してペレット化触媒を形成すること、
c)前記ペレット化触媒に表1のXRDパターンを有する結晶構造を与えるのに十分な熱処理条件下で前記ペレット化触媒の固相反応を行うことを含む、軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒の製造方法が提供される。
【0032】
本発明の第三の観点によれば、
a)供給原料として炭化水素成分を提供すること、
b)前記供給原料を少なくとも一つの反応器を含む反応領域内に移して前記供給原料を前記触媒の存在下で反応させること、
c)前記反応領域の流出物から軽質オレフィンを分離し軽質オレフィンを回収することを含む、軽質オレフィンの製造方法が提供される。
【0033】
有利な効果
本発明に従った多孔性固体酸触媒は、架橋及び固相反応によって変化し、原料物質を構成する成分、特にHZSM−5及び層状化合物、とは異なる結晶構造を有する。その結果、炭化水素成分、特にC212の炭化水素を含有するフルレンジナフサから軽質オレフィンを選択的に製造するのに優れた触媒性能を保証することが可能である。さらに、触媒の製造に含まれる反応は簡単であり、触媒製造原料の費用は比較的低く、かつ、従来のスチームクラッキング工程で要求される反応温度より低い温度でも、軽質オレフィンの製造に要求される十分な触媒活性を保証することが可能である。しかも、本発明は、軽質オレフィン製造用供給原料として比較的安価のフルレンジナフサを使用することを可能とする。
【0034】
発明を実施するための最良の形態
以下に添付図面を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。
前述したように、軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒につき、酸化物の形態を基準として、Si/Alモル比15〜300のHZSM−5 42.0〜60.0質量%、層状化合物12.0〜38.0質量%、Al231.0〜20.0質量%、P251.0〜4.0質量%、SiO210.0〜15.0質量%及びB230.5〜2.5質量%を含む原料混合物の触媒的活性成分(すなわち、HZSM−5)が、架橋された層状化合物と固相反応し、もとの形態と全く異なる特性(結晶構造)を有する多孔性物質に変化する。このような物質を軽質オレフィン製造のための触媒として使用する場合、収率及び選択性においてさまざまな利点が保証される。本発明によれば、酸性度、触媒の組成的及び構造的な特徴が下記の技術を用いて適切に選択され、調節される:
【0035】
(1)触媒の原料中の層状化合物(例えば、カオリン、ベントナイト、サポナイトなど)を、架橋−結合剤を用いて架橋反応させ、これを主成分であるHZSM−5ゼオライトと共にペレット化した後、固相反応を行う技術;及び、
(3)バインダーとして無機金属酸化物を特定の量で用いてペレット化触媒を製造するとともに、優れた活性を保証し、高温蒸気雰囲気下での炭化水素成分の変換(例えば、接触分解)の間であっても触媒が物理的に破壊されることを防ぐ技術。
【0036】
本発明の触媒に関する説明は特定の理論に限定されるものではない。しかし、HZSM−5及び架橋化された層状化合物を含む原料混合物をペレット化し、特定の条件下で熱処理する場合、前記層状化合物の層の間に金属酸化物の架橋が堅固に形成されて多孔性が確保され、粒子間に固相反応が起こることにより、前記触媒は、原料内の構成成分、特に主成分(すなわち、HZSM−5)とははっきりと異なる特性(特に、X線回折構造)を示すと推測される。
【0037】
前述したように、固相反応後の本発明の多孔性固体酸触媒は、下記表1のXRDパターンを示し、原料で用いられたHZSM−5、層状化合物、又はこれらの物理的混合物とは結晶構造において異なる。また、得られる触媒の比表面積は好ましくは200〜400m2/g、より好ましくは200〜300m2/gである。
【0038】
【表2】

【0039】
好ましい態様によれば、前記触媒は以下のように製造される:
特定の組成を有する原料混合物中の層状化合物の架橋;架橋を行った前記原料混合物の成形;及び、前述したXRDパターンを有する結晶構造を達成するために十分な熱処理条件下での前記ペレット化触媒の固相反応。例示の方法は、以下に詳しく説明される。
【0040】
(1)アルミナ(Al23)の原料であるアルミニウム化合物及び五酸化リン(P25)の原料であるリン化合物が所定の比で調節された水性の架橋−結合溶液を製造する。これと関連し、アルミニウム化合物は、後述するように、原料物質の一つである層状化合物の層の間に架橋構造を形成するための架橋剤として作用する。結合剤として、リン化合物は、(主成分としての)HZSM−5と(補助成分としての)層状化合物とが円滑に結合するように作用する。この際、Al23/P25のモル比は、ペレット化される触媒の強度に影響を及ぼす因子として、好ましくは約0.7〜1.4、より好ましくは約1.0で調整される。水(好ましくは蒸留水)中で攪拌しながら、上記の化合物を互いに混合し均一な水溶液を得ることが好ましい。任意で、架橋−結合水溶液を熟成(aging)させるために、室温で約10〜15時間放置することが好ましい。Al23の原料であるアルミニウム化合物は、典型的にはアルミニウム塩の形態であって、例えばAl(NO33・9H2O、Al2(SO43・18H2O、AlCl3・6H2O、及びこれらの混合物である。Al(NO33・9H2Oが最も好ましい。一方、P25の原料であるリン化合物は、典型的にはリン酸又はその塩であって、例えばH3PO4、(NH42HPO4、及びこれらの混合物が例示される。H3PO4が最も好ましい。
【0041】
(2)別に、HZSM−5、層状化合物、及びシリコン化合物を水(好ましくは蒸留水)中で互いに混合してスラリーを得る。均一な混合物の製造のために、混合は約5〜10時間の範囲内で行われることが好ましい。スラリー内の固形分含量は約20.0〜60.0質量%の範囲で調節することが好ましい。
【0042】
HZSM−5の場合、固体酸の分布及び濃度を考慮して、Si/Alのモル比が約15〜300、好ましくは約25〜80のものから選択する。この一般的な特性は当業界でよく知られている。好ましくは、比表面積は約350〜430m2/g、細孔径は約5〜6Åである。
【0043】
層状化合物は、天然層状化合物であっても、化学的に合成された層状化合物であっても使用することができる。この中で、カオリン、ベントナイト、サポナイト、又はこれらの混合物を好ましく使用することができる。本発明において、最も好ましくはカオリンを使用する。
【0044】
また、補助バインダーとして使用されるシリカの原料は特に限定されないが、公知のシリコン化合物(例えば、LudoxシリカゾルAS−40、LudoxシリカゾルHS−40、LudoxシリカゾルHS−30、又はこれらの混合物)を使用することができる。LudoxシリカゾルAS−40が最も好ましい。
【0045】
(3)前記工程(1)及び(2)においてそれぞれ得られた溶液及びスラリーを互いに混合し、ここに酸化ホウ素(B23)の原料であるホウ素化合物、好ましくはホウ酸水溶液(例えば、約5.0〜10.0質量%の濃度)を順に添加して均一なスラリーを製造する。この点において、酸化ホウ素は、続いての固相反応でHZSM−5及び層状化合物の欠陥位置に挿入され、最終触媒の酸性位置を適切に調節する。混合は架橋反応のために十分な時間、行われることが好ましい。より好ましくは、混合は、攪拌(特に、激烈な攪拌)しながら、約10〜15時間行われる。前記ホウ酸溶液の添加時点は特に限定されないが、前記溶液をスラリーに混合する間に添加を行うことが好ましい。前記工程(3)では、架橋−結合水溶液中に含まれるアルミニウム化合物によって層状化合物の層の間に架橋反応が起こるが、上述したように架橋反応が十分に起こるように攪拌することが好ましい。架橋反応の概略的な説明は、米国特許第6,342,153号及び米国特許第5,614,453号に開示されており、これらの開示は参照により本明細書の開示に含める。
【0046】
(4)前記工程(3)で製造された水性スラリーは、所定の形状を有する触媒を形成するためペレット化される。好ましくは、噴霧乾燥によって均一な大きさ(例えば、約50〜80μm)を有する微細球状にペレット化する。後述するように、この際、前記ペレット化体においては、HZSM−5及び層状化合物のようなそれぞれの原料構成成分の特性が物理的に混合された状態であると考えられる。
【0047】
(5)本発明によれば、前記ペレット化触媒につき、前述したXRDパターンを持つように熱処理条件の下で固相反応を行い、原料物質を構成する成分とは異なる構造となる。また、前記熱処理工程の間にアルミナ、シリカ、五酸化リン、及び酸化ホウ素のそれぞれの原料がそれらの酸化物の形態に変換され、不純物が除去され、触媒の性能を最適化させるために多孔性が増加し、かつペレット化触媒の物理的強度が向上すると考えられている。前記熱処理の好適な態様は2工程を含み、2工程は下記の通りである。
【0048】
第1熱処理工程は、不活性雰囲気(例えば、窒素雰囲気)の下で約450〜600℃、好ましくは約500℃程度の温度で行われ、好ましい熱処理時間は約3〜5時間である。第1熱処理工程では、多孔性分子篩の気孔に含まれる不純物が除去され気孔が成長し、粒子の間の距離は近いので後続の第2熱処理工程において架橋された層状化合物の層の間の金属酸化物の架橋の形成及びHZSM−5と層状化合物との間の結合反応が効率よく行われる。
【0049】
第2熱処理工程は、酸素の存在下で(好ましくは空気雰囲気で)、約550〜700℃、好ましくは約650℃の温度で行われ、好ましい熱処理時間は約3〜5時間である。前記熱処理工程によって最終ペレット化触媒が形成される。本発明によれば、第2熱処理の温度は第1熱処理の温度より、好ましくは約50〜200℃、さらに好ましくは約100〜150℃高いことが望ましい。前記第2熱処理工程では、第1熱処理工程を経たペレット化触媒の中で層状化合物の架橋反応が完成し、層の間に酸化物の架橋が堅固に形成されて多孔性化合物に転換される。さらに、添加剤として用いられるホウ素成分が主成分のHZSM−5及び層状化合物の欠陥位置に挿入されることによりペレット化触媒の酸性部位が適切に調節され、無機バインダーとその他の成分が焼結されることにより物理的に強い強度が保証される。高温雰囲気下では、HZSM−5がシードとして作用して、架橋された層状化合物の構造をゼオライトのような結晶構造に変えると考えられる。固相状態反応が完了したあと、得られる生成物は特性(例えば、XRDパターン)が、原料物質であるHZSM−5と同一でない多孔性物質である。
【0050】
上記の説明は、図1に示すXRDパターンで確認できる。図において、(1)及び(2)はそれぞれ原料として使用した層状化合物(カオリン)及びHZSM−5ゼオライトを示す。(3)は特定の組成の原料物質を混合し、得られた混合物を噴霧乾燥によって成形することにより製造した試料を示しており、(1)及び(2)の特性が物理的に混合されている。
【0051】
一方、(4)は、前述したように、2工程の熱処理を経たペレット化試料を示しており、(1)の層状化合物によるピーク(特に、2θ=12.5°)が無くなり、全体的なX線回折パターンがZSM−5(5)の典型的なものとは異なっている。この理由は、ペレット化試料の高温熱処理の間にZSM−5結晶構造を有する物質が変化し、ZSM−5とは異なる結晶構造となったためのようである。X線回折構造を注意深く調べると、熱処理前のペレット化試料の場合、23.0°及び23.8°の2θを中心とするピークが熱処理後の試料のX線回折構造と異なって、2つに分割されていることが確認できる(3)。
【0052】
同様に、熱処理前及び後に得られたX線回折構造からは、熱処理前に得られる試料(2)及び(3)において、10°以下の2θの2つのピーク(2θ=7.9°及び8.8°)の強度が、熱処理の後には(23.0°の2θのピーク強度を100としたとき)いずれも約20%程度増加することが観察される(4)。これは、熱処理前の触媒の骨格構造はZSM−5に対応するが、熱処理の後に他の形態の構造に変換することを示す。
【0053】
本発明によれば、前記触媒製造用原料は、熱処理工程によって転換される酸化物の形態を基準として、Si/Alモル比15〜300のHZSM−5を42.0〜60.0質量%、12.0〜38.0質量%の層状化合物、1.0〜20.0質量%のAl23、1.0〜4.0質量%のP25、10.0〜15.0質量%のSiO2及び0.5〜2.5質量%のB23を含む組成を有するように製造すべきである。もし組成が上記の範囲から外れると、実施例及び比較例によって確認できるように、HZSM−5の構造に対応する結晶相(crystalline phase)又は層状化合物の構造が崩れることにより生じる無晶形相(amorphous phase)が物理的に混合されているか、あるいは固相反応工程で生成する第3成分が混在しているX線回折構造が形成する。米国特許第6,211,104号では、10〜70質量%の層状化合物、5〜85質量%の無機酸化物、1〜50質量%のゼオライト(HZSM−5)を含むペレット化触媒の製造方法を開示しているが、この製造方法は、本発明と異なって、新しい結晶構造の創造に関連するものとは考えられない。
【0054】
本発明によれば、前記多孔性物質は、炭化水素成分、好ましくはフルレンジナフサ、さらに好ましくはC212の炭化水素を有するフルレンジナフサから軽質オレフィンを選択的に製造するための触媒として有用である。この際、これに関連した実現可能な反応の種類は接触分解反応である。供給原料として用いられる炭化水素の中で、フルレンジナフサは、軽質オレフィンを製造するためのスチームクラッキング工程で使用される軽質ナフサ、従来の接触分解工程で使用されるオレフィン含有原料、及び一般的にFCC工程で使用されてきたC2030の重質油分とは、価格的に異なる。他の炭化水素成分の使用が可能であっても、本工程において、フルレンジナフサは、経済的な理由により供給原料として好ましく使用される。フルレンジナフサを使用して得られる多様な利点は、本発明によって提供される触媒の優れた接触性能によるものである。
【0055】
典型的には、フルレンジナフサとは、原油精製工程で直接得られるC212の炭化水素を含有する炭化水素画分を意味し、パラフィン(n−パラフィン及びi−パラフィン)、ナフテン、芳香族化合物などを含んでいる。場合によってはそこにある程度の量のオレフィンが含まれていてもよい。一般に、フルレンジナフサ中のパラフィン含量が高いときフルレンジナフサは軽質特性を持ち、パラフィン含量が低いときフルレンジナフサは重質特性を持つ。供給原料を選択する際、収率、経済効率などに従って、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、最も好ましくは60〜70質量%のパラフィン成分(n−パラフィン及びi−パラフィン)の総含量を有するフルレンジナフサを使用することができる。また、オレフィンは20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の量で含まれていればよい。本発明で使用可能な供給原料の組成を下記表2に例示する(単位は質量%)。
【0056】
また、使用される供給原料は、フルレンジナフサと反応領域の流出物から軽質オレフィン及び重質製品を分離した後で回収されたC45の炭化水素との混合物であってもよい。
【0057】
【表3】

【0058】
本発明において、反応領域は少なくとも一つの反応器を含むことができる。前記反応器の種類は、特に限定されないが、固定層反応器又は流動層反応器を好ましく使用することができる。供給原料は、前記反応器内で本発明の触媒の存在下で行われる転換反応(特に、接触分解)に供せられ、軽質オレフィンに変化する。
【0059】
通常、反応性能は、反応温度、空間速度、炭化水素(例えば、ナフサ)/蒸気の質量比などに大きく依存する。この際、エネルギー消費を最小化するために、できる限り温度を低くし、生成するオレフィンの転換率及び量を最適化し、かつコークス生成による触媒の不活性化が最小化するように反応条件を設定することが求められる。本発明の好ましい観点から、反応温度は約500〜750℃、好ましくは約600〜700℃、より好ましくは約610〜680℃である。また、炭化水素/蒸気の質量比は約0.01〜10、好ましくは約0.1〜2.0、より好ましくは約0.3〜1.0である。
【0060】
固定層反応器が使用される場合、空間速度は、約0.1〜20h-1、好ましくは約0.3〜10h-1、より好ましくは約0.5〜4h-1である。一方、流動層反応器が使用される場合、触媒/炭化水素の質量比は約1〜50、好ましくは約5〜30、より好ましくは約10〜20であり、炭化水素の滞留時間は約0.1〜600秒、好ましくは約0.5〜120秒、より好ましくは約1〜20秒である。
【0061】
本発明によれば、反応領域の流出物中の軽質オレフィン(すなわち、エチレン及びプロピレンの合計)の量は、好ましくは約40質量%以上、より好ましくは約45質量%以上、最も好ましくは約47質量%以上である。この際、エチレン/プロピレンの質量比は約0.5〜1.5の範囲である。
【0062】
発明の態様
本発明を具体的に説明するために提示されるが本発明を限定する意味に解釈されるべきではない以下の実施例及び比較例によって、本発明につき、よりよく理解することができる。
【0063】
実施例1
(1)60.2質量%のAl(NO33・9H2O溶液125.63gに、85.0質量%リン酸23.303gを均一に混合して室温で12時間熟成した。
(2)120gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)75.2g及びカオリン(Aldrich社)69.6gを加え、12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、56.4gのLudoxシリカゾルAS−40(Aldrich社)を投入した。攪拌を止めた後、混合した溶液(1)50.0g及び9.1質量%ホウ酸溶液55.0gを加え、11時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒につき、窒素雰囲気下500℃で3時間第1熱処理を行い、その後、空気雰囲気下650℃で3時間第2熱処理を行って触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約200m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0064】
実施例2
原料物質の組成を下記表3に示すように変化させた以外は、前記実施例1と同様の手順を繰り返して触媒を製造した。粒子サイズは約50〜80μm、BET比表面積は約270m2/gであった。
【0065】
実施例3
実施例2と同様に触媒を製造し、本実施例はフルレンジナフサの種類による影響を評価するために行われた。
【0066】
比較例1
カオリン(Aldrich社)につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間、第1処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間、第2熱処理を行って、触媒を製造した。BET比表面積は約20m2/gであった。
【0067】
比較例2
30.0gの蒸留水にカオリン(Aldrich社)42.0gを加え、12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、33.8gのLudoxシリカゾルAS−40を投入した。攪拌を止めた後、実施例1で製造した溶液(1)30g及び9.1質量%のホウ酸溶液22gを加え、5時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約50m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0068】
比較例3
45.0gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)27.0g及びカオリン(Aldrich社)35.0gを入れて12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、17.0gのLudoxシリカゾルAS−40を加えた。攪拌を止めた後、60.2質量%のAl(NO33・9H2O溶液25.2gを加え、5時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒を500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約150m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0069】
比較例4
40.0gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)17.0g及びカオリン(Aldrich社)27.8gを加え、12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、22.6gのLudoxシリカゾルAS−40を加えた。攪拌を止めた後、実施例1で製造した溶液(1)20g及び9.1質量%ホウ酸溶液16.5gを加え、5時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約150m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0070】
比較例5
80.0gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)58.0g及びカオリン(Aldrich社)52.6gを加え、12,000rpmで10時間攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒を500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約240m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0071】
比較例6
25.0gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)13.2g及びカオリン(Aldrich社)29.0gを加え、12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、12.5gのLudoxシリカゾルAS−40を加えた。攪拌を止めた後、実施例1で製造した溶液(1)102g及び9.1質量%ホウ酸溶液27.5gを加え、5時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約80m2/gであった。使用した原料物質の組成を下記表3に示す。
【0072】
比較例7
90gの蒸留水に、Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)26.4g及びカオリン(Aldrich社)97.5gを加え、12,000rpmで10時間攪拌した。攪拌中にスラリーの粘度を調節しながら、78.94gのLudoxシリカゾルAS−40を加えた。攪拌を止めた後、実施例1で製造した溶液(1)70g及び9.1質量%ホウ酸溶液33.0gを加え、5時間再び攪拌して均一なスラリーを得た。噴霧乾燥器(ミヒョンエンジニアリング社製のMH−8)を用いてスラリーからペレット化触媒を製造した(粒子サイズは約50〜80μm)。続いて、前記ペレット化触媒につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後、650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。得られた触媒のBET比表面積を測定したところ、約80m2/gであった。使用した原料物質の組成を、下記表3に示す。
【0073】
比較例8
Si/Alモル比25、比表面積400m2/gのHZSM−5(Zeolyst社)につき、500℃の窒素雰囲気下で3時間第1熱処理を行い、その後650℃の空気雰囲気で3時間第2熱処理を行って、触媒を製造した。熱処理後のBET比表面積は約400m2/gであった。
【0074】
図3は(1)層状化合物(カオリン)、(2)比較例8で製造されたペレット化触媒、(3)比較例3によって製造された触媒、(4)比較例1によって製造された触媒、(5)比較例6によって製造された触媒、及び(6)比較例4によって製造された触媒のXRDパターンを示す。
【0075】
前記図面によれば、層状化合物(1)は、HZSM−5(2)とは異なり、熱処理工程の間にその構造が熱的に不安定であることから無定形(4)に変化する。比較例3(3)のように、本発明と比較して特定の成分を除いた原料物質から製造されたペレット化触媒は、ZSM−5と類似のXRDパターンを示す。比較例4(6)及び比較例6(5)に示すように、原料物質の組成の範囲において本発明を外れるペレット化触媒は、ZSM−5と構造の崩れた無定形の層状化合物とが互いに混合されたXRDパターン(6)を有し、触媒の結晶性が欠如するパターン、又は第3成分の含有を示す。例えば、原料物質が、Al23などの特定の成分を過剰量含む場合(5)には、主成分以外の成分が高温で固相反応して生成した第3成分が得られた触媒に共存する。
【0076】
触媒性能の測定方法
触媒活性度の測定システムは、図2に示すように、ナフサ供給装置4、水供給装置3、固定層反応器5、5’及び活性度評価装置を含み、これらが互いに有機的に連結されている。この際、表2で特定されたナフサを供給原料として使用した。液体注射ポンプを用いて供給されたナフサ及び水は、300℃の予熱器(図示せず)を通過しながら混合され、ヘリウム供給装置2、2’及び窒素供給装置1、1’を介してそれぞれ6mL/min及び3mL/minで供給されるHe及びN2と混合され、固定層反応器5、5’に供給された。気体の量及び速度は流量調節器(図示せず)を用いて調節した。前記固定層反応器は、それぞれ内部反応器と外部反応器を含んでいた。前記外部反応器は、インコネル(Inconel)反応器であって、長さ38cm、外径4.6cmのサイズであり、一方、内部反応器は、ステンレススチール材質であって、長さ20cm、外径0.5インチのサイズであった。反応器の内部温度は温度出力装置7、7’によって表示され、反応条件はPID制御器8、8’(ハンヨン電子社のNP200)を用いて調節された。
【0077】
前記反応器に流入された気体は、続いて内部反応器、40mL/minのHeが流れる外部反応器を通過し、触媒は前記内部固定層反応器の下端部に充填された。混合気体につき、触媒層6、6’を通過しながら反応が行われ、反応の後、ガス状生成物12は、オンラインでガスクロマトグラフ11(モデル名:HP6890N)によって定量した。凝縮器9、9’を通過する液状生成物13を、貯蔵タンク10、10’に回収し、その後、ガスクロマトグラフ(モデル名:DS6200、図示せず)によって定量した。前記反応に使用した触媒の量は0.5g、ナフサ及び水の供給量はそれぞれ0.5g/hであり、反応は675℃で行われた。
【0078】
実施例1〜3及び比較例1〜8で製造された触媒につき、転換率、反応生成物内の軽質オレフィン(エチレン+プロピレン)の選択性及びエチレン/プロピレンの質量比を評価した。結果を下記表4に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
表4より、実施例の触媒は比較例の触媒と接触分解活性において異なることが確認された。すなわち、実施例1及び2の触媒は、約64〜72質量%の高い転換率と同時に、約41〜47質量%のエチレン及びプロピレン総量を有し、高い選択性(エチレン/プロピレンの質量比は約1.1〜1.5)を示している。
【0082】
これに対し、実施例1及び2と同一の供給原料を用いた比較例1〜3及び比較例5の触媒は、約46〜60質量%の転換率、及び25〜37質量%のエチレン及びプロピレン総量を有する。特に、比較例4、6及び7の触媒は、触媒製造の際に本発明の触媒製造用原料混合物の構成成分を全て含んでいるが、その組成比が本発明の範囲を外れており、約49〜54質量%の転換率及び約31〜35質量%のエチレン及びプロピレン総量を有する。
【0083】
また、より軽質のフルレンジナフサを供給原料として使用する実施例3が、実施例2より優れた転換率及び軽質オレフィンに対する選択性を有する。しかし、実施例2及び3の両者とも要求水準以上の結果を示している。特に、本触媒が従来のスチームクラッキング工程で用いられている軽質ナフサより重いフルレンジナフサの使用を可能としたことを考えると、商業的工程における経済性の面で、この軽質オレフィン製造法は十分有利である。
【0084】
一方、HZSM−5のみからなる触媒を使用する場合(比較例8)には、転換率は約67質量%であり、エチレン及びプロピレン総量は43質量%である。この結果は実施例1〜2と類似の結果と考えることができるが、HZSM−5のみを用いてペレット化触媒を製造することはできないため、実際に適用することは困難である。
【0085】
また、本発明においては、実施例1〜2に示すように約50質量%程度のHZSM−5を使用しても、HZSM−5のみを含む触媒(比較例8)におけるような高い触媒性能を保証することが可能であり、安価な原料物質を使用することに基づく経済面で利点を有する。しかし、比較例5に示すように、単にHZSM−5及び層状化合物をそれぞれ50質量%で組み合わせたペレット化触媒は、転換率及び軽質オレフィンに対する選択性が低い。この理由は、主成分であるHZSM−5が全体組成で50%以上含まれているにも拘らず、本発明の触媒の構造を持っていないためであると考えられる。
【0086】
本発明の好適な実施例を例示の目的で開示したが、当業者であれば、添付した特許請求範囲に開示されたような本発明の精神及び範囲から逸脱しないで多様な変形、付加及び代替ができることが理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
本発明の前記及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面と以降の詳細な説明とから、より明らかに理解される。
【図1】本発明の触媒の製造に使用される原料物質である(1)層状化合物(カオリン)と(2)HZSM−5、(3)熱処理前のペレット化触媒、(4)熱処理後のペレット化触媒(実施例2)、及び(5)JCPDSカード番号45−0133で引用したZSM−5のXRDパターンをそれぞれ示す図である。
【図2】実施例及び比較例に従って製造された触媒の性能を測定するためのシステムを概略的に示す図である。
【図3】(1)層状化合物(カオリン)、(2)比較例8によってHZSM−5を熱処理して製造されたペレット化触媒、(3)比較例3によって製造されたペレット化触媒、(4)比較例1によって製造されたペレット化触媒、(5)比較例6によって製造されたペレット化触媒、及び(6)比較例4によって製造されたペレット化触媒のXRDパターンをそれぞれ示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料物質混合物のi)架橋反応及びii)熱処理による固相反応の生成物を含み、下記表1のXRDパターンによって示される結晶構造を有し、かつ
前記原料物質混合物は、酸化物の形態を基準として、15〜300のSi/Alモル比のHZSM−5を42.0〜60.0質量%、12.0〜38.0質量%の層状化合物、1.0〜20.0質量%のAl23、1.0〜4.0質量%のP25、10.0〜15.0質量%のSiO2、及び0.5〜2.5質量%のB23を含む、軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒。

【請求項2】
前記触媒が200〜400m2/gの比表面積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒がペレット化触媒である、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
a)酸化物の形態を基準として、15〜300のSi/Alモル比のHZSM−5を42.0〜60.0質量%、層状化合物を12.0〜38.0質量%、架橋剤としてのAl23を1.0〜20.0質量%、P25を1.0〜4.0質量%、SiO2を10.0〜15.0質量%、及びB23を0.5〜2.5質量%を含む原料物質混合物の架橋反応を水中で行い、架橋化された生成物を含有する水性スラリーを製造すること、
b)前記水性スラリーをペレット化してペレット化触媒を形成すること、及び
c)前記ペレット化触媒に下記表1のXRDパターンを有する結晶構造を与えるのに十分な熱処理条件下で前記ペレット化触媒の固相反応を行うこと
を含む、軽質オレフィン製造用多孔性固体酸触媒の製造方法。

【請求項5】
前記工程b)が、噴霧乾燥を用いて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程c)が、
c1)不活性雰囲気下、450〜600℃で、3〜5時間第1熱処理を行うこと;及び
c2)酸素存在下、550〜700℃で、3〜5時間第2熱処理を行うことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記工程c1)が窒素雰囲気中で行われ、前記工程c2)が空気雰囲気中で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程a)が、
(a1)酸化物の形態を基準としてAl23/P25のモル比が0.7〜1.4の範囲内にあるアルミニウム化合物及びリン化合物の混合物を水中に含む架橋−結合水溶液を提供すること;
(a2)HZSM−5、層状化合物、及びシリコン化合物を水中に含むスラリーを提供すること;及び
(a3)前記工程(a1)の溶液、前記工程(a2)のスラリー、及びホウ素化合物を、前記層状化合物の層の間に架橋反応を起こすために十分な時間、混合して前記工程a)のスラリーを製造することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記アルミニウム化合物が、Al(NO33・9H2O、Al2(SO43・18H2O、AlCl3・6H2O、及びこれらの混合物よりなる群から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リン化合物が、H3PO4、(NH42HPO4、(NH4)(H2PO4)、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記層状化合物が、カオリン、ベントナイト、サポナイト、又はこれらの混合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ホウ素化合物が、ホウ酸水溶液の形態である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコン化合物が、LudoxシリカゾルAS−40、LudoxシリカゾルHS−40、LudoxシリカゾルHS−30、又はこれらの混合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(a2)のスラリー中の固形分含量が48.0〜60.0質量%の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(a3)が10〜15時間の攪拌とともに行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
a)供給原料として炭化水素画分を提供すること、
b)前記供給原料を少なくとも一つの反応器を含む反応領域内に移して請求項1に記載の触媒の存在下で前記供給原料を反応させること、
c)前記反応領域の流出物から軽質オレフィンを分離し、軽質オレフィンを回収すること
を含む、軽質オレフィンの製造方法。
【請求項17】
前記供給原料がフルレンジナフサを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記供給原料が、C212の炭化水素を有するフルレンジナフサを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フルレンジナフサにおいて、パラフィン成分総含量が60〜90質量%であり、オレフィンの含量が20質量%以下である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記工程c)において軽質オレフィンが分離、回収された後で残るC45の炭化水素をフルレンジナフサと混合することをさらに含み、C45の炭化水素とフルレンジナフサとの混合物を供給原料として供給する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記反応器が固定層反応器又は流動層反応器である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記反応器が固定層反応器の場合、前記反応が500〜750℃の反応温度、0.01〜10の炭化水素/蒸気の質量比、及び0.1〜20h-1の空間速度の条件下で行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応器が流動層反応器の場合、前記反応が500〜750℃の反応温度、0.01〜10の炭化水素/蒸気の質量比、1〜50の触媒/炭化水素の質量比、及び0.1〜600秒の炭化水素滞留時間の条件下で行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記反応領域の流出物における、エチレン及びプロピレンの総含量が40質量%以上であり、エチレン/プロピレンの質量比が0.5〜1.5である、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−512236(P2008−512236A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531069(P2007−531069)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002866
【国際公開番号】WO2006/028333
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(303024622)エスケー ホルディングス カンパニー リミテッド (28)
【出願人】(398043850)コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー (21)
【Fターム(参考)】