説明

載置台

【課題】移送装置の吸着部によって青果物を吸着し易い載置台を提供する。
【解決手段】青果物15を載置する載置台100であって、青果物15を載置して保持する凹状の載置部110と、外周面100cから載置部110までを切り欠いて形成される切欠部130と、載置部110における切欠部130と相反する側の底部に形成される可食部側凹部120と、載置部110と切欠部130との接続部分を円弧状に切り欠いて形成されるがく片側支持部140と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物、特に、イチゴやトマトや柿等のがく片(通称へた)を有する青果物を載置する載置台の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、青果物を載置する載置台の技術は公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の載置台は、その上面に略円錐状の凹部(載置部)が形成される。当該載置部には、同心円状の突起および放射状の溝が形成される。また、載置部の中心部には、当該載置台を上下方向に貫通する貫通孔が形成される。当該載置台はコンベアによって所定方向に搬送される。
【0004】
このような載置台の載置部に青果物が横向きに、つまり、がく片が側方向きとなるように載置され、コンベアによって搬送することが可能である。この際、載置部に形成された突起および溝によって、青果物を安定した姿勢で搬送することができる。
【0005】
また、当該コンベアの搬送経路中途部においては、内部品質判定装置によって青果物の糖度や酸度等の内部品質が判定される。内部品質の判定は、青果物の下方から光を照射することによって行われる。この際、内部品質判定装置によって照射される光は、載置台に形成された前記貫通孔を介して青果物に照射することが可能である。
【0006】
しかし、上述の載置台を用いた場合、当該載置台に載置された青果物を所定のトレイにパック詰めする際、当該パック詰めの作業性が悪いという点で不利であった。以下、この点について詳述する。
【0007】
例えば、エアー吸着式の移送装置を用いて、載置台に載置された青果物を所定のトレイに移送する場合を想定する。当該移送装置は、青果物のがく片部分を吸着部により吸着し、吸着した青果物を所定のトレイの上方まで運んで、吸着を解除することによって当該青果物をトレイへと移送することができる。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の載置台を用いて青果物を搬送している場合、当該青果物のがく片部分に移送装置の吸着部を近接させ難く、がく片部分をうまく吸着できない場合がある点で不利であった。また、特許文献1に記載の載置台に青果物を載置する場合、当該青果物のがく片部分の位置が一定方向に定まり難く、移送装置の吸着部によって当該がく片部分をうまく吸着できない場合がある点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−74340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、移送装置の吸着部によって青果物を吸着し易い載置台を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、青果物を載置する載置台であって、前記青果物を載置して保持する凹状の載置部と、外周面から前記載置部までを切り欠いて形成される切欠部と、前記載置部における前記切欠部と相反する側の底部に形成される凹部と、を具備するものである。
【0013】
請求項2においては、前記載置部と前記切欠部との接続部分を円弧状に切り欠いて形成される支持部を具備するものである。
【0014】
請求項3においては、前記凹部の底面を水平に形成されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、切欠部にがく片側を向けて載置部に青果物を載置することで、青果物のがく片部分が斜め上方を向くように載置される。これによって、載置台の上方から近接する移送装置の吸着部によって青果物のがく片部分が吸着し易くなる。
【0017】
請求項2においては、支持部によって青果物のがく片部分が一定方向を向くように保持されるため、移送装置の吸着部によって青果物のがく片部分が吸着し易くなる。
【0018】
請求項3においては、凹部の底面が水平であるため、青果物の姿勢を安定させることができ、ひいては移送装置の吸着部によって青果物のがく片部分が吸着し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態に係る載置台を具備するパック詰め装置の全体斜視図。
【図2】移送装置による青果物の移送の様子を示す側面図。
【図3】載置台を示す斜視図。
【図4】(a)同じく平面図。(b)同じく底面図。
【図5】(a)同じく正面図。(b)同じく背面図。
【図6】(a)同じく側面図。(b)同じく図5(b)におけるA−A断面図。
【図7】青果物を吸着する様子を示す側面断面図。
【図8】載置台の他の実施形態を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図中の矢印Uの方向を上方向と定義して説明を行う。
【0021】
以下の説明においては、青果物15はイチゴであるものとして説明するが、本発明はこれに限るものではなく、イチゴ、ミニトマトやミズナス等のがく片(通称へた)を有する青果物であっても良い。
【0022】
以下では、図1および図2を用いて、本発明に係る載置台の実施の一形態である載置台100を具備するパック詰め装置1について説明する。
【0023】
図1に示すパック詰め装置1は、載置台100に載置された青果物15をトレイ21に移送するものである。パック詰め装置1は、主として載置台搬送装置10、トレイ搬送装置20および移送装置30を具備する。
【0024】
載置台搬送装置10はベルトコンベアによって構成され、載置台100を所定の方向に搬送するものである。
【0025】
載置台100は青果物15を載置するものである。載置台100の詳細については後述する。
【0026】
トレイ搬送装置20はベルトコンベアによって構成され、トレイ21を所定の方向に搬送するものである。トレイ搬送装置20は、載置台搬送装置10と平行に並べて配置される。
【0027】
トレイ21は青果物15を収容する容器である。トレイ21には複数の凹部(青果物15を載置する部分)が形成される。
【0028】
図1および図2に示す移送装置30は、載置台100に載置された青果物15をトレイ21へと移すものである。移送装置30は、主として移送レール31、シリンダブラケット32、上下シリンダ33、支持部34、吸着シリンダ35および吸着部36を具備する。
【0029】
移送レール31は、載置台搬送装置10およびトレイ搬送装置20の上方にまたがるように配置される。シリンダブラケット32は、移送レール31の下面に、当該移送レール31の長手方向に摺動可能に支持される。当該シリンダブラケット32は、図示せぬモータの駆動力により移送レール31に沿って摺動される。シリンダブラケット32には上下シリンダ33が固定される。上下シリンダ33には下方に向かって伸縮可能なアームが突設され、当該アームの先端(下端)には支持部34が固定される。支持部34には吸着シリンダ35が固定される。吸着シリンダ35には斜め下方に向かって伸縮可能なアームが突設され、当該アームの先端(下端)には吸着部36が固定される。吸着部36は、図示せぬポンプと接続され、当該ポンプにより空気を吸引することにより、吸着部36の先端に青果物15を吸着することができる。
【0030】
以下では、上述の如く構成されたパック詰め装置1における青果物15のパック詰め作業について説明する。
【0031】
まず、載置台搬送装置10およびトレイ搬送装置20によって、青果物15が載置された載置台100およびトレイ21が所定の位置まで搬送される。
次に、シリンダブラケット32を摺動させ、また上下シリンダ33および吸着シリンダ35のアームを伸縮させることで、吸着部36の先端部を、載置台100上の青果物15に近接させる。
ここで前記ポンプにより空気を吸引し、吸着部36の先端部に青果物15のがく片15b部分を吸着させる。
次に、シリンダブラケット32を摺動させ、また上下シリンダ33および吸着シリンダ35のアームを伸縮させることで、吸着部36に吸着した青果物15をトレイ21上まで移動させる。
最後に、前記ポンプによる空気の吸引を終了し、青果物15をトレイ21上に載置する。
【0032】
上記作業を繰り返すことで、トレイ21上に複数の青果物15・15・・・を並べることができる。
【0033】
以下では、図3から図7までを用いて、載置台100について説明する。
【0034】
上述の如く、載置台100は青果物15を載置するものである。載置台100は、上面100a、底面100bおよび外周面100cを有する略円柱状の部材である。載置台100は、主として載置部110、可食部側凹部120、切欠部130、がく片側支持部140、貫通孔150、外周溝160および位置決め用切欠部170・170を具備する。
【0035】
図3および図4に示す本発明に係る載置部としての載置部110は、青果物15を載置して保持する凹状の部分である。載置部110は、主として傾斜面111・112・113・114から構成される。
【0036】
傾斜面111・112・113・114は、載置台100の上面100aに形成される。傾斜面111・112・113・114は平面視において載置台100の中心を囲むように配置され、当該載置台100の中心に向かって低くなるように形成されることで凹部を形成する。傾斜面111・112・113・114により形成される凹部(載置部110)は、略菱形の底面を有する四角錘状となる。載置部110は、載置される青果物15全体が納まるように当該青果物15よりも大きく構成される。
【0037】
本発明に係る凹部としての可食部側凹部120は、載置部110の底部に形成される凹部である。可食部側凹部120は、隣り合う傾斜面113と傾斜面114との間に形成される。
より詳細には、可食部側凹部120は、傾斜面111・112・113・114によって載置台100の上面100aに形成される菱形の頂点のうち、鋭角の頂点のいずれか一方に形成される。
可食部側凹部120は、その周囲(傾斜面111・112・113・114)よりも低く、水平な底面を有するように形成される(図6参照)。可食部側凹部120は、平面視においてイチゴの側面視形状に合わせた略三角形状に形成されている。
【0038】
図3から図5までに示す本発明に係る切欠部としての切欠部130は、載置台100の外周面100cから載置部110までを切り欠いて形成される。切欠部130は、隣り合う傾斜面111と傾斜面112との間から載置台100の外周面100cにわたって形成される。
より詳細には、切欠部130は、傾斜面111・112・113・114によって載置台100の上面100aに形成される菱形の頂点のうち、鋭角の頂点のいずれか他方から、載置台100の外周面100cにわたって形成される。すなわち、切欠部130は、平面視において、載置台100の中心を挟んで可食部側凹部120と反対側に形成されることになる。
切欠部130の側壁130a・130aは、載置台100の外周面100cに向かって広がるように(平面視において切欠部130が略扇形となるように)形成される。
【0039】
本発明に係る支持部としてのがく片側支持部140は、載置部110と切欠部130との接続部分を円弧状に切り欠いて形成されるものである。がく片側支持部140は、隣り合う傾斜面111と傾斜面112との間に形成される。がく片側支持部140の曲面部の高さは、可食部側凹部120の底面および切欠部130の底面よりも高くなるように形成される。
【0040】
図3、図4および図6に示す貫通孔150は、載置台100の上面100aと底面100bとを貫通する円形の孔である。より詳細には、貫通孔150は、平面視における載置台100の中心に形成され、載置部110と載置台100の底面100bとを貫通する。貫通孔150の上端部の直径は、載置台100に載置される青果物15よりも小さくなるように形成される。
当該貫通孔150は、図示せぬ内部品質判定装置によって照射される光が通過するためのものである。青果物15の上方または下方に配置された前記内部品質判定装置の投光部によって照射された光は、青果物15を透過した後、当該青果物15の上方または下方(前記投光部と反対側)に配置された前記内部品質判定装置の受光部によって受光される。当該受光された光を解析することにより、青果物15の糖度や酸度等の内部品質を判定することができる。
【0041】
図3、図5および図6に示す外周溝160は、載置台100の外周面100cであって上下方向中途部に形成される溝である。外周溝160は載置台100の外周面100c全周にわたって形成される。
載置台100に外周溝160を設けることにより、複数の載置台100が載置台搬送装置10等により搬送される際に、隣り合う載置台100・100同士が接触した場合であっても、当該載置台100・100の間に隙間(外周溝160部分の隙間)が形成されることになる。当該外周溝160と同じ高さに光センサを配置することで、隣り合う載置台100・100同士が接触していても、個々の載置台100・100を前記光センサで認識することができる。
【0042】
図3および図4に示す位置決め用切欠部170・170は、載置台100の底面100bの一部を切り欠いて形成されるものである。位置決め用切欠部170・170は、底面視において載置台100の中心を挟んで互いに反対側に形成される。
載置台100に位置決め用切欠部170を設けることにより、当該位置決め用切欠部170に図示しない位置決め部材を嵌合させることで、載置台100の配置方向を一定方向に調節することができる。これによって、移送装置30の吸着部36と青果物15との相対的な位置関係を一定にすることができ、当該吸着部36によって青果物15を確実に吸着することができる。
【0043】
以下では、上述の如く構成された載置台100に青果物15を載置する場合および当該青果物15を移送装置30により吸着する場合について説明する。
【0044】
図6(a)および図7に示すように、載置台100に青果物15を載置する場合、青果物15の可食部(実の部分)15aのがく片(へたの部分)15b側をがく片側支持部140に載置し、青果物15の可食部15aの先端側(がく片15bと反対側)を可食部側凹部120に載置する。この際、内部品質を正確に判定できるように、平面視で貫通孔150とがく片15bができるだけ重複しないように青果物15を載置する。
このように青果物15を載置することで、青果物15の茎15cを通る中心線が、がく片15b側に向かって斜め上向きになるように配置される。
【0045】
このように載置台100に載置された青果物15をトレイ21に移送する場合、前述の如く移送装置30の吸着部36の先端部を、当該青果物15(より詳細には、がく片15b)に近接させる(図7参照)。
この際、載置台100には切欠部130が形成されているため、吸着部36を青果物15に可能な限り近接させることができる。これによって、吸着部36により青果物15のがく片15b側を吸着し易くし、可食部15aを傷めないように吸着することができる。
【0046】
また、載置台100に可食部側凹部120を設けたことにより、青果物15を、当該青果物15の茎15cを通る中心線が、がく片15b側に向かって斜め上向きになるように配置することができる。これによって、吸着部36を青果物15に近接させ易くなり、ひいては吸着部36により青果物15を吸着し易くすることができる。
特に本実施形態の如く、吸着部36の先端部が斜め下向きに配置されている場合、当該吸着部36の軸線方向と青果物15の茎15cを通る中心線とを略一致させることができ、当該吸着部36により青果物15を吸着し易くすることができる。
【0047】
また、可食部側凹部120の底面を水平になるように形成したことにより、青果物15の可食部15aの下面が水平方向となり、載置台100に載置される青果物15の姿勢を安定させることができる。これによって、載置台100に載置して搬送する時に青果物15がずれることがなく、吸着部36により青果物15を吸着し易くすることができる。
【0048】
また、載置台100に円弧状に切り欠かれたがく片側支持部140を設けたことにより、青果物15のがく片15bが一定の方向を向くように安定して保持することができる。これによって、吸着部36と青果物15のがく片15bとの相対的な位置関係を一定にすることができる。また、茎15cの位置が高くなってがく片15bを露出させることができ、直径が小さいイチゴであっても当該吸着部36によって青果物15を吸着し易くすることができる。
【0049】
また、切欠部130の側壁130a・130aを、載置台100の外周面100cに向かって広がるように形成したことにより、載置台100の向きが多少ずれていた場合であっても、吸着部36が青果物15に近接してくる際に当該吸着部36と当該側壁130a・130aが当接しながら載置台100の位置あわせを行うことができる。これによって、吸着部36と青果物15のがく片15bとの相対的な位置関係を一定にすることができ、当該吸着部36によって青果物15を吸着し易くすることができる。
【0050】
また、載置部110を4つの傾斜面111・112・113・114によって構成したことにより、青果物15と載置部110(傾斜面111・112・113・114)との接触箇所を多く確保することができ、青果物15を安定して載置することができる。
【0051】
また、載置部110の傾斜面111・112・113・114によって載置台100の上面100aに菱形の凹部を形成し、当該菱形の長い方の対角線の方向と青果物15の中心線の方向とが一致するように当該青果物15を載置台100に載置することにより、イチゴのような中心線方向に長い形状の青果物15を安定して載置することができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、可食部側凹部120の底面を水平になるように形成するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、図8に示すように、可食部側凹部120の底面を載置台100の外周面100c側に向かって低くなるように傾斜させる構成とすることも可能である。
このように構成することで、青果物15の中心線を、がく片15b側に向かってより上向きになるように配置することができる。これによって、吸着部36により青果物15を吸着し易くすることができる。また、当該可食部側凹部120の底面の傾斜角度は、吸着部36の軸線方向にあわせて、当該吸着部36により吸着し易い角度に設定することが望ましい。
【0053】
また、載置部110の傾斜面111・112・113・114にスポンジやゴム等の弾性体を貼付したり、載置台100全体をゴム等の弾性体で構成したりすることにより、載置台100に青果物15を載置した際に、当該青果物15に傷がつくのを防止することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 パック詰め装置
30 移送装置
100 載置台
110 載置部
120 可食部側凹部(凹部)
130 切欠部
140 がく片側支持部(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を載置する載置台であって、
前記青果物を載置して保持する凹状の載置部と、
外周面から前記載置部までを切り欠いて形成される切欠部と、
前記載置部における前記切欠部と相反する側の底部に形成される凹部と、
を具備する載置台。
【請求項2】
前記載置部と前記切欠部との接続部分を円弧状に切り欠いて形成される支持部を具備する請求項1に記載の載置台。
【請求項3】
前記凹部の底面を水平に形成される請求項1または請求項2に記載の載置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179508(P2012−179508A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42387(P2011−42387)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】