説明

輸液容器用遮光カバー

【課題】 本発明は、投与用チューブが取り付けられ且つ吊り下げ状態の輸液容器に着脱することができる輸液容器用遮光カバーを提供することを課題とする。
【解決手段】
輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部21が形成されているカバー本体2を備え、カバー本体2に、輸液容器を挿入できる上下開口部24が形成され、且つ上下開口部24を開閉する開閉手段33が設けられている輸液容器用遮光カバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器に被せて使用され、紫外線などの光線による輸液劣化を防止する輸液容器用遮光カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン類やアミノ酸などを含有する輸液は、光によって変質し易く、紫外線のみならず、可視光線の一部にまで遮光することが求められる。この点、輸液容器自体は、液面が見えるように透明なフィルム袋からなるため、流通保管時にはダンボールなどの遮光性のある包材に梱包されている。しかし、使用時には輸液容器内に光線が入射するため、輸液容器に収納されたビタミン類などの変質が問題となる。
そこで、輸液を投与する際には、輸液容器の周囲を覆うように遮光カバーを装着することが行われている。
かかる輸液容器用遮光カバーとしては、例えば、特開2003−275280公報記載のものが知られている。該公報の遮光カバー200の形態は、図12に示すように、輸液容器100よりも大きい略矩形状の2枚の遮光フィルムを重ね合わせ、その下辺部200a及び上辺中央部200bを除いて、上辺部200c及び両側辺部200d,200dの略3辺部を熱シールすることによって袋状に形成されたものである。かかる遮光カバー200は、下辺開口部201から輸液容器100を挿入し、輸液容器100の吊下げ片102を部分開口部202から外に出してこれを支持用支柱のフックに引掛けることにより、遮光カバー200の上辺シール部203が輸液容器100の肩部103に係止され、輸液容器100を被覆することができる。そして、この輸液容器100の吊下げ片102に設けられた混注口101(混注ポート)から注射器を用いてビタミン剤などを注入し、輸液容器100の下部に設けられた投与口104(投与ポート)に投与用チューブ106を取り付けることにより、輸液の投与が行われる。
【0003】
しかしながら、上記従来の遮光カバーは、輸液容器への装着作業が非常に煩雑である。すなわち、輸液容器は比較的重量のある柔軟な袋体からなり、他方、遮光カバーの下辺開口部は比較的狭口なので、輸液容器を遮光カバーの下辺開口部から内部へ挿入することが困難である。更に、遮光カバーの内部に輸液容器を入れた後も、遮光カバーの下辺開口部から手を入れながら輸液容器の吊下げ片や混注口を遮光カバーの部分開口部から外部へ出さなくてはならない。
また、上記従来の遮光カバーは、投与用チューブを取り付け且つ吊り下げた状態では、遮光カバーを輸液容器から取り外すことができない。
【0004】
【特許文献1】特開2003−275280公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、輸液容器に容易に装着することができる輸液容器用遮光カバーを提供することを第1の課題とする。さらに、本発明は、投与用チューブが取り付けられ且つ吊り下げ状態の輸液容器に着脱することができる輸液容器用遮光カバーを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されているカバー本体を備え、カバー本体に、輸液容器を挿入できる上下開口部が形成され、且つ上下開口部を開閉する開閉手段が設けられている輸液容器用遮光カバーを提供する。
【0007】
上記輸液容器用遮光カバーは、カバー本体の上辺部から下辺部にかけて上下開口部が形成されているので、下辺開口部のみならず、カバー本体の上下方向に於いても開口させることができる。よって、従来品に比して、開口部分が大きくなるので、遮光カバーに輸液容器を容易に挿入することができる。そして、遮光カバーを被せた後は、開閉手段を通じて上下開口部を閉塞することにより、従来品と同様に、遮光カバーにて輸液容器を略完全に被覆することができる。
【0008】
さらに、本発明は、輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されていると共に、その上辺部に輸液容器の一部分を外出させる部分開口部と輸液容器の肩部に係止される係止部が形成されているカバー本体を備え、カバー本体の一方の側辺部に、輸液容器を挿入できる側辺開口部が形成され、且つ側辺開口部を開閉する開閉手段が設けられている輸液容器用遮光カバーを提供する。
【0009】
上記輸液容器用遮光カバーは、一方の側辺部に側辺開口部が形成されているので、下辺開口部のみならず、側辺部に於いても開口させることができる。よって、従来品に比して、開口部分が大きくなるので、遮光カバーに輸液容器を容易に挿入することができる。そして、遮光カバーを被せた後は、開閉手段を通じて側辺開口部を閉塞することにより、従来品と同様に、遮光カバーにて輸液容器を略完全に被覆することができる。
【0010】
また、本発明は、輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されていると共に、その上辺部に輸液容器の一部分を外出させる部分開口部と前記輸液容器の肩部に係止される係止部が形成されているカバー本体を備え、カバー本体の上辺中途部から下辺中途部にかけて、輸液容器を挿入できる中間開口部が形成され、且つ中間開口部を開閉する開閉手段が設けられている輸液容器用遮光カバーを提供する。
【0011】
上記輸液容器用遮光カバーは、中間開口部が形成されているので、下辺開口部のみならず、カバーを上下方向に開口させることができる。よって、従来品に比して、開口部分が大きくなるので、遮光カバーに輸液容器を容易に挿入することができる。遮光カバーを被せた後は、開閉手段を通じて中間開口部を閉塞することにより、従来品と同様に、遮光カバーにて輸液容器を略完全に被覆することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様では、上記側辺開口部又は中間開口部を開口させた際、側辺開口部又は中間開口部が、部分開口部と連続開口するように形成されている上記輸液容器用遮光カバーであり、かかる遮光カバーは、側辺開口部又は中間開口部を開口させると部分開口部に連なって開口するため、該部分開口部から吊下げ片を外出させて吊下げ状態とし且つ投与用チューブが取付けられた輸液容器に、遮光カバーを被せることもできる。
【0013】
さらに、本発明の好ましい態様では、上記開閉手段がスライドファスナーである上記輸液容器用遮光カバーであり、かかる遮光カバーは、スライダーを移動させるだけで側辺開口部又は中間開口部を開閉でき、開閉作業を簡易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の輸液容器用遮光カバーは、従来品に比して、輸液容器を容易に挿入することができる。従って、本発明の遮光カバーは、輸液容器への装着作業を素早く行うことができる。
また、本発明の好ましい態様に係る遮光カバーは、吊下げ片を外出させて吊下げ状態とし且つ投与用チューブが取り付けられた輸液容器に着脱することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態は、側辺開口部が形成された輸液容器用遮光カバーに関する。
図1に於いて、1は、輸液容器に被せてこれを被覆できる略矩形状の遮光性袋からなるカバー本体2を備える輸液容器用遮光カバーを示す。
カバー本体2は、その下辺部2aに輸液容器を挿入できる下辺開口部21が形成され、その上辺部2bに輸液容器の一部分(混注口及び/又は吊下げ片など)を外出させる部分開口部22と輸液容器の肩部に係止される係止部23が形成されていると共に、その側辺部2cには、輸液容器を挿入できる側辺開口部24が形成され、且つこの側辺開口部24を開閉する開閉手段が設けられている。側辺開口部24は、カバー本体2の上辺部2bの一端から下辺部2aの一端にかけて、上下方向に開口した上下開口部に相当する。
【0016】
具体的には、このカバー本体2は、輸液容器よりも大きい略矩形状の表裏2枚の遮光性フィルム51,52からなり、重ね合わせた表裏フィルム51,52の一方の側辺部2d(以下、一側辺部2dという)及び該一側辺部2dに連続する上辺部2bの一部(以下、一上辺部2b’という)が熱シールされている。従って、カバー本体2の一側辺部2d側は、略逆L字状に封止されている。尚、この封止された一上辺部2b’は、遮光カバー1を輸液容器に被せた際に、輸液容器の肩部に係止される係止部23として機能する。
一方、表裏フィルム51,52の下辺部2a、他方の側辺部2c(以下、他側辺部2cという)及び該他側辺部2cに連続する上辺部2bの一部(以下、他上辺部2b”という)は、封止されておらず、各辺のそれぞれに下辺開口部21、側辺開口部24及び上辺開口部25が形成されている。このうち側辺開口部24には、開閉手段としてスライドファスナー3が取り付けられている。さらに、上辺開口部25には、上辺部2b中央部に部分開口部22を確保するため、一上辺部2b’のシール端との間の一部分を除いて、開閉手段として面ファスナー4が取り付けられている。かかる構成により、カバー本体2の下辺開口部21及び部分開口部22は、完全に開口しており、一方、側辺開口部24及び上辺開口部25は、開閉手段を介して開閉可能とされている。
尚、便宜上、各図に於いてシールされた部分を細斜線で、開閉手段が設けられた部分を薄墨塗りで示す。
【0017】
スライドファスナー3は、公知のものであって、例えば、図2(a)に示すように、凸鉤状の長状体からなる嵌合部材31と、凹鉤状の長状体からなる被嵌合部材32と、移動させることにより両部材31,32を嵌合させるスライダー33とを備えている。この嵌合部材31は、表フィルム51の他側辺部2cの内面に上下直線状に固着されており、被嵌合部材32は、裏フィルム52の他側辺部2cの内面に上下直線状に固着されている。スライダー33は、表裏フィルム51,52の双方に抱着するように取り付けられ、他側辺部2cの上端に形成されたストッパー部34(表裏フィルム51,52の部分的な熱シール部)によって抜止めされている。そして、このスライダー33を下方に移動させることにより、嵌合部材31と被嵌合部材32とが嵌合し、側辺開口部24が閉塞される。
面ファスナー4も公知のものであって、例えば、図2(b)に示すように、表フィルム51の内面に設けられ、且つ凸鉤状の鉤部が無数に突設された係合面部材41と、裏フィルム52の内面に設けられ、且つ鉤部が係合する輪状のループ部が無数に突設された被係合面部材42とを備えている。
【0018】
遮光カバー1に使用される表裏フィルム51,52は、ビタミン類などの変質を防止できる適度な遮光性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのベースフィルムに、紫外線吸収遮断処理として設けられた紫外線吸収遮断層と、着色インキ層と、熱シールするためのシーラント層とを備える積層フィルムなどが例示される。該遮光フィルムの遮光程度についても、特に限定されないが、ビタミン類の変質を十分に抑制でき、輸液量の減り具合を遮光カバーを通じて視認できることから、例えば波長200〜500nmの光線透過率(JIS K 7105)が5%以下、500〜800nmの光線透過率が60%以下である遮光フィルムや、波長200〜530nmの光線透過率が5%以下、波長600〜800nmの光線透過率が70%以上である遮光フィルムなどが好ましく例示される。
【0019】
上記輸液容器用遮光カバー1は、図3に示すように、スライドファスナー3を開けると側辺開口部24が開口するため、この側辺開口部24が下辺開口部21に連なり、その結果、側辺開口部24から下辺開口部21に至る部分が完全に大きく開口する。かかる大開口が形成される本発明の遮光カバー1は、この開口部分から輸液容器100を容易に挿入することができる。さらに、面ファスナー4を開けると上辺開口部25も開口するため、この上辺開口部25が部分開口部22に連なり、その結果、部分開口部22を含む部分が大きく開口するため、輸液容器100の吊下げ片102や混柱口101を部分開口部22から外出させることも容易に行える。
以上のようにして遮光カバー1を輸液容器100に被せた後、スライドファスナー3及び面ファスナー4を用いて側辺開口部24及び上辺開口部25を閉じれば、従来品と同様に、輸液容器を遮光カバー1にて略完全に被覆することができる。事後、輸液容器100の混注口101からビタミン剤などを注入し、輸液容器100の吊下げ片102を支柱等(図示せず)に掛けることにより、遮光カバー1の係止部23及び閉塞された上辺開口部25が輸液容器100の肩部103に引か掛かる。よって、遮光カバー1はずれ落ちることなく輸液容器に装着される。最後に、輸液容器100の投与口104に投与用チューブを取り付けることにより、輸液投与を行うことができる。
尚、側辺開口部24の開閉手段は、スライドファスナー3であるため、スライダー33を上下移動させるだけで側辺開口部24を簡単に開閉することができる。
【0020】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
図4(a)に示すものは、スライドファスナー3のストッパー部34が他側辺部2cの下端部に設けられているものである。かかる構成の遮光カバー1は、スライダー33を上方に移動させることにより、側辺開口部24が閉塞される。
この変形例に係る遮光カバー1は、スライドファスナー3を開けると、同図(b)に示すように、側辺開口部24が上辺開口部25から部分開口部22に連続し、その結果、側辺開口部24から部分開口部22に至る部分が完全に開口することとなる。かかる大開口が形成される変形例に係る遮光カバー1も、この部分から輸液容器を容易に挿入することができる。また、この変形例に係る遮光カバー1は、側辺開口部24から部分開口部22に至るまで開口させることができるので、例えば、図5に示すように、輸液容器100の下方から遮光カバー1を被せることが可能となる。
【0021】
次に、図6に示す変形例は、側辺開口部24と上辺開口部25の開閉手段が同一の手段で構成されたものである。すなわち、上記実施形態では、側辺開口部24と上辺開口部25の開閉手段はそれぞれ異なるが(スライドファスナー3と面ファスナー4)、本変形例は、両開口部24,25が一つの開閉手段で開閉できるようになっているものである。具体的には、例えば、1つのスライドファスナー3が、側辺開口部24から上辺開口部25に至るまで設けられている。この変形例によれば、1つのスライダー33を移動させることにより、同図(b)に示すように、側辺開口部24及び上辺開口部25を一時に開閉することができるので好ましい態様である。この場合、スライダー33移動を良好に移動させるため、カバー本体2の上隅部分は、緩やかな曲線状に形成されていることが好ましい。
【0022】
次に、図7に示す変形例は、下辺開口部21の開口幅が比較的小さく(例えば、輸液容器が挿入できない大きさであって投与用チューブを挿入可能な大きさ等)形成されているものである。かかる変形例に於いても、本発明は下辺開口部24に連続する側辺開口部24が形成されているので、この側辺開口部24を開閉手段により開けることにより、輸液容器を容易に挿入することができる。また、輸液容器を挿入した後、側辺開口部24を閉じることにより、下辺開口部21を通じて入り込む反射光などを、十分に遮光することができるので好ましい態様である。
【0023】
次に、図8に示す変形例は、側辺開口部24のスライドファスナー3のスライダー33が、表裏フィルム51,52の少なくとも何れか一方から着脱可能に構成されたものである。上記各実施形態に示す例では、表裏フィルム51,52の双方に抱着されたスライダー33は、側辺開口部24を開口するべく移動させた際、ストッパー部34によって上下端部の何れかで止まっているので、側辺開口部24は完全に開口しない(表裏フィルム51,52が他側辺部2cに於いて完全に分離しない)。この点、本変形例に係る遮光カバー1は、スライダー33が少なくとも一方のフィルム51から外れるので、側辺開口部24は完全に開口する。尚、スライダー33は、表裏フィルム51,52から完全に外れるものでもよいが、表裏フィルム51,53の何れか一方にストッパーを設け、図8に示すように、開口時に、スライダー33が一方のフィルム52に抜止めされるように構成されていることが好ましい。
本変形例に係る遮光カバー1は、下辺開口部21から側辺開口部24、更に、上辺開口部25から部分開口部22に至る部分が、完全に開口する(いわゆる半開き状態となる)。よって、本変形例に係る遮光カバー1は、図示したように、表裏フィルム51,52を半開き状態にして、投与用チューブ106が取付けられ且つ支柱等(図示せず)などに吊り下げた状態の輸液容器100に、被せることが可能となる。一方、遮光カバー1の各開口部24,25を閉塞して輸液投与を行っている最中であっても、開閉手段によって再び側辺開口部24などを開口させて半開き状態にすれば、遮光カバー1を容易に取り外すことができる。従って、輸液の残量を確認したい場合、或いは、時間の経過によって室内が暗くなり、もはや遮光カバー1で輸液容器100を覆う必要がなくなった場合などに、輸液投与を継続したままで遮光カバー1を容易に取り外すことができる。
【0024】
尚、上記各実施形態では、側辺開口部24の開閉手段として、スライドファスナー3を用いることが例示されているが、これに代えて、面ファスナー4、自着性フィルム又は自着性樹脂コーティング、凹凸ファスナーなどを側辺開口部24の開閉手段として用いることも可能である。自着性フィルム又は自着性樹脂コーティングとしては、自己付着性又は表面弱粘着性を有する樹脂であれば特に限定されず、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマー樹脂、軟質ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂などが例示される。自着性フィルム又は自着性樹脂コーティングは、表裏フィルム51,52の内面に添着するように設けられる。尚、フィルム51,52自体を自着性フィルムで構成したり、或いはフィルム51,52の内面全体に自着性樹脂コーティングを設けてもよい。また、凹凸ファスナーは、スライダー33を有しないスライドファスナー3に類似するものであり、凸鉤状の長状体からなる嵌合部材と凹鉤状の長状体からなる被嵌合部材からなり、量部材は、表裏フィルム51,52の内面にそれぞれ対向して設けられる。このような凹凸ファスナーの具体例としては、例えば、ジップロック[旭化成ライフ&リビング(株)の登録商標]が例示される。これらの開閉手段は、スライダー33のような表裏フィルム51,52の双方に抱着する部材を有しないので、側辺開口部24を完全に開口することができる。よって、本変形例に係る遮光カバー1も同様に半開き状態にできるので、投与用チューブ106が取付けられ且つ吊り下げた状態の輸液容器100に、遮光カバー1を装着したり、取り外したりすることが可能となる。
もっとも、スライドファスナー3は、これらの開閉手段に比して、スライダー33が設けられているため、非常に簡単に開閉することができる。
【0025】
また、上記各実施形態では、上辺開口部25の開閉手段として、面ファスナー4を用いることが例示されているが、これに代えて、スライドファスナー3(スライダー33が着脱可能なものも含む)、凹凸ファスナー、自着性フィルム又は自着性樹脂コーティングなどを上辺開口部25の開閉手段として用いることも可能である。
【0026】
さらに、上記各実施形態では、表裏フィルム51,52の一上辺部2b’が熱シールされているが、一上辺部2b’を熱シールせず、この部分に面ファスナー4などの上記各開閉手段を適宜選択して設けることも可能である。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態は、中間開口部が形成された輸液容器用遮光カバーに関する。以下、主として上記第1実施形態で示した各例と異なる部分を説明し、同様の構成については、用語及び図番を援用し、その説明を省略する。
図9に於いて、カバー本体2は、その下辺部2aに輸液容器を挿入できる下辺開口部21が形成され、その上辺部2bに輸液容器の一部(混注口及び/又は吊下げ片など)を外出させる部分開口部22と輸液容器の肩部に係止される係止部23が形成されていると共に、上辺中央部から下辺中央部にかけて、輸液容器を挿入できる中間開口部26が形成され、且つ中間開口部26を開閉する開閉手段が設けられている。該中間開口部26は、カバー本体2の上辺部2bの中途部分から下辺部2aの中途部分にかけて、上下方向に開口した上下開口部に相当する。
【0028】
具体的には、このカバー本体2は、重ね合わせた表裏フィルム51,52の一側辺部2d及び一上辺部2b’が熱シールされ、更に、表裏フィルム51,52の他側辺部2c及び他上辺部2b”が熱シールされている。従って、カバー本体2の一側辺部2d側及び他側辺部2c側は、それぞれ対面するように略逆L字状に封止されている。尚、この封止された一上辺部2b’及び他上辺部2b”は、輸液容器の肩部に係止される係止部23として機能する。
カバー本体2を構成する表フィルム51は、幅方向略中央に於いて部分開口部22から下辺開口部21に達するまで上下方向に分断され、中間開口部26が形成されている。この分断されたフィルム片51’,51”の端部は上下帯状に重ね合わされている。この端部重ね面の一方面に係合面部材が取り付けられ、且つ他方面に被係合面部材が取り付けられており、かかる面ファスナー4によって中間開口部26は、開閉可能とされている。
【0029】
上記輸液容器用遮光カバー1は、面ファスナー4を開けると、開口した中間開口部26が部分開口部22及び下辺開口部21に連なり、その結果、部分開口部22から中間開口部26、及び下辺開口部21に至る部分が完全に大きく開口する。よって、本実施形態に係る遮光カバー1は、図10に示すように、表フィルム51のフィルム片51’,51”を観音開き状態にでき、投与用チューブ106が取付けられ且つ吊り下げた状態の輸液容器100に、遮光カバー1を装着脱することができる。
【0030】
次に、本実施形態の変形例として、中間開口部26の開閉手段を面ファスナー4に代えて、スライドファスナー3、凹凸ファスナー、自着性フィルム又は自着性樹脂コーティングなどの他の開閉手段に変更することも可能である。スライドファスナー3を用いる場合には、スライダー33を少なくとも一方のフィルム片51’から着脱可能に構成すれば、部分開口部22から下辺開口部21に至るまで完全に開口させることができる。尚、スライダー3がフィルム片51’の上下で抜止めされているスライドファスナー3を用いた場合に於ける輸液容器100への装着方法は、上記第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0031】
さらに、本実施形態では、表裏フィルム51,52の一上辺部2b’及び他上辺部2b”が熱シールされているが、一上辺部2b’及び/又は他上辺部2b”を熱シールせず、この部分に面ファスナー4などの開閉手段を適宜選択して設けることも可能である。
また、本実施形態では、中間開口部26は、上辺中央部から下辺中央部にかけて開口されているが、必ずしも中央部に形成されている場合に限られず、何れかの側辺部2c,2d寄りに形成されていてもよい。
【0032】
(他の実施形態)
上記第1実施形態及び第2実施形態に於いて、カバー本体2の部分開口部22は、輸液容器100の吊下げ片102と混注口101が外出するように形成されているが、図11(a)に示すように、混注口101のみが外出しうる大きさに形成されているものでも構わない。この場合、支柱などの固定側に掛けるようにするため、遮光カバー2の上方に、挿入される輸液容器100の吊下げ片102に対応するように、孔部27を穿設しておくことが好ましい。また、特に図示しないが、カバー本体2の部分開口部22は、輸液容器100の吊下げ片102のみが外出するように形成されていてもよい。
さらに、同図(b)に示すように、部分開口部22を有しない遮光カバー1、すなわち、カバー本体2の上辺部2b全体が閉塞されている構成の遮光カバー1も本発明に含まれる。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態に於いて、一側辺部2dなどの封止手段として熱シールが用いられているが、封止手段は熱シールに限られず、接着剤や溶剤などで接着することもでき、又、1枚のフィルムを2つに折り畳み、この折畳み箇所を一側辺部2dとすることも可能である。
また、必要に応じて下辺開口部21に開閉手段を具備させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の輸液容器用遮光カバーの第1実施形態を示す斜視図。
【図2】(a)は、図1のA−A端断面図、(b)は、図1のB−B線端面図。
【図3】第1実施形態の遮光カバーの使用状態を示す斜視図。
【図4】(a)、(b)共に、第1実施形態の変形例に係る遮光カバーを示す斜視図。
【図5】図4の遮光カバーの使用状態を示す斜視図。
【図6】(a)は、第1実施形態の変形例に係る遮光カバーを示す斜視図、(b)は、その使用状態を示す斜視図。
【図7】第1実施形態の変形例に係る遮光カバーを示す斜視図。
【図8】第1実施形態の変形例に係る遮光カバーの使用状態を示す斜視図。
【図9】第2実施形態の遮光カバーを示す斜視図。
【図10】第2実施形態の遮光カバーの使用状態を示す斜視図。
【図11】その他の実施形態の遮光カバーを示す斜視図。
【図12】従来の遮光カバーの使用状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0034】
1…輸液容器用遮光カバー、2…カバー本体、2a…カバー本体の下辺部、2b…カバー本体の上辺部、2b’…カバー本体の一上辺部、2b”…カバー本体の他側辺部、2c…カバー本体の他側辺部、2d…カバー本体の一側辺部、21…下辺開口部、22…部分開口部、23…係止部、24…側辺開口部、25…上辺開口部、26…中間開口部、3…スライドファスナー、31…嵌合部材、32…被嵌合部材、33…スライダー、34…ストッパー、4…面ファスナー、41…係合面部材、42…被係合面部材、51…表フィルム、52…裏フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されている輸液容器用遮光カバーであって、
カバー本体に、前記輸液容器を挿入できる上下開口部が形成され、且つ前記上下開口部を開閉する開閉手段が設けられていることを特徴とする輸液容器用遮光カバー。
【請求項2】
輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されていると共に、その上辺部に前記輸液容器の一部分を外出させる部分開口部と前記輸液容器の肩部に係止される係止部が形成されているカバー本体を備える輸液容器用遮光カバーであって、
前記カバー本体の一方の側辺部には、前記輸液容器を挿入できる側辺開口部が形成され、且つ前記側辺開口部を開閉する開閉手段が設けられていることを特徴とする輸液容器用遮光カバー。
【請求項3】
輸液容器を被覆できる略矩形状の遮光性袋からなり、その下辺部に下辺開口部が形成されていると共に、その上辺部に前記輸液容器の一部分を外出させる部分開口部と前記輸液容器の肩部に係止される係止部が形成されているカバー本体を備える輸液容器用遮光カバーであって、
前記カバー本体の上辺中途部から下辺中途部にかけて、前記輸液容器を挿入できる中間開口部が形成され、且つ前記中間開口部を開閉する開閉手段が設けられていることを特徴とする輸液容器用遮光カバー。
【請求項4】
前記側辺開口部又は前記中間開口部を開口させた際、側辺開口部又は中間開口部が、前記部分開口部と連続開口するように形成されている請求項2又は3記載の輸液容器用遮光カバー。
【請求項5】
前記開閉手段が、スライドファスナーである請求項1〜4の何れかに記載の輸液容器用遮光カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−271760(P2006−271760A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96950(P2005−96950)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(500026119)味の素ファルマ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】