説明

輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培する方法

【課題】輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培し、コンテナの輸送前、輸送中、そして輸送後も、水耕栽培を継続する。
【解決手段】(1)コンテナの輸送前は、培養液流路を通しながら培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培し;(2)コンテナの輸送中は、培養液の循環および流動を停止し、流路内に培養液を滞留させ、滞留している培養液を用いて静置法により植物を水耕栽培し;(3)コンテナの輸送後は、再び培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培する。そのような輸送に適した水耕栽培用コンテナも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培する方法、および輸送下における水耕栽培の実施に適したコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の大型コンテナを、内部で植物を栽培できるように改造したものが市販されている(非特許文献1参照)。コンテナは内部の環境の調整が容易であるため、人工的な環境(例、人工光源、水耕栽培)を採用する栽培方法に適している。
貨物輸送用の大型コンテナを利用することから、栽培中のコンテナの輸送は容易であるかのような印象を与える場合がある。しかし、実際には輸送が不可能な状態で栽培を行っていることが普通である。
例えば、コンテナ内の空間を有効に利用するため、動力源や培養液のポンプやタンクをコンテナの外部に置いて、それらとコンテナ内部の栽培装置とを配線やパイプで連結することが普通である。そのような状態では、コンテナを移動することができない。また、コンテナ内で水耕栽培を採用すると、培養液を栽培装置内に保ったまま輸送することは極めて困難である。
【0003】
一方、生鮮食品である野菜や果物については、収穫後に鮮度を保ちながら輸送する手段が確立されている。植物そのものを輸送するよりも、収穫した野菜や果物を輸送する方が効率的である。
以上の理由から、植物を水耕栽培中のコンテナを輸送することは、具体的に検討されていない。
【0004】
特許文献1は、園芸作物の保蔵方法及びその装置を開示している。
特許文献1に記載の発明(請求項1、3)では、園芸植物を移動可能な収納庫に収納している。具体的な園芸作物としては洋ランなどの観賞用植物(根付き又は切り花)が記載され(0006、0007)、収納庫として海上輸送やトラック輸送に用いられるコンテナが開示されている(0001)。しかし、特許文献1には、栽培条件に関する具体的な記載がほとんどなく、水耕栽培については全く記載されていない。
【0005】
特許文献2は、野菜水耕栽培用装置及び野菜搬送ユニットを開示している。
特許文献2に記載の発明は、栽培に関する内容(請求項1〜5の野菜水耕栽培用装置)と搬送に関する内容(請求項6〜12の野菜搬送ユニット)とを区別して定義している。すなわち、栽培状態を維持して搬送することは想定されていない。また、野菜搬送ユニット(請求項6)は出荷(搬送後の販売)時における野菜の茎の太さを想定して設計されている。すなわち、植物の搬送後に栽培を再開することは考慮されていない。
【0006】
特許文献3は、葉野菜水耕栽培方法及び葉野菜水耕栽培ユニットを開示している。
特許文献3に記載の発明は、特許文献2と同様に、栽培に関する内容(請求項1〜5の葉野菜育生方法、請求項6〜9の葉野菜水耕栽培用装置)と搬送に関する内容(請求項10、11の葉野菜搬送用ユニット)とを区別して定義している。また、葉野菜搬送用ユニット(請求項10、11)は包装袋を有し、出荷(搬送後の販売)を想定している(0005、0015、0023)。
【0007】
特許文献4は、キノコ・植物の栽培装置を開示している。
特許文献4に記載の発明(請求項1)では、箱状に形成された栽培コンテナ内にキノコを栽培するための菌床又は植物を栽培するための栽培槽が備えられている。栽培コンテナとしては、長さが数十フィートの海上輸送用コンテナが開示されている(0014)。そして、栽培コンテナについて「環境を制御可能で運搬可能」と述べている(0027、0031)。しかし、特許文献4には運搬について具体的な記載がなく、「運搬可能」の詳細が不明である。
【0008】
特許文献5は、茸等の施設栽培装置を開示している。
特許文献5に記載の発明(請求項1)は、輸送用コンテナ又はこれに近似する箱状外郭の内部に茸等の施設栽培装置を設置している。
しかし、特許文献5には、栽培中のコンテナの輸送について何も記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−34052号公報
【特許文献2】特開平8−256617号公報
【特許文献3】特開平9−56281号公報
【特許文献4】特開2003−180158号公報
【特許文献5】特開2004−242660号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】コンテナ市場、特殊改造コンテナラインナップ、詳細情報(促成栽培用コンテナ)、[平成23年6月15日検索]、インターネット<URL:http://www.container-ichiba.jp/container.php?id=47>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
東日本大震災では、被災地への通常の輸送手段が途絶する状況になった。そのような状況において、野菜や果物のような生鮮食品について鮮度を保ちながら輸送することは容易ではない。
そこで、本発明者は、植物を水耕栽培中のコンテナを輸送して、鮮度が非常に高い野菜や果物を被災地に供給することを検討した。しかし、前述したように、貨物輸送用の大型コンテナを利用していても、水耕栽培の状態で輸送することは非常に困難である。
様々な問題があるが、特に難しい問題は、培養液流路内に培養液を保ったまま輸送することである。植物を水耕栽培している状態では、培養液を流路内に密閉することができない。
【0012】
本発明の目的は、輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培し、コンテナの輸送前、輸送中、そして輸送後も、水耕栽培を継続することである。
本発明の目的は、輸送前、輸送中、そして輸送後も、水耕栽培を継続できるようにコンテナを設計することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培し、コンテナの輸送前、輸送中、そして輸送後も、水耕栽培を継続する方法であって:
(1)コンテナの輸送前は、培養液流路を通しながら培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培し;
(2)コンテナの輸送中は、培養液の循環および流動を停止し、流路内に培養液を滞留させ、滞留している培養液を用いて静置法により植物を水耕栽培し;
(3)コンテナの輸送後は、再び培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培する;
ことを特徴とする植物の水耕栽培方法を提供する。
【0014】
(2)のコンテナの輸送中は、板を用いて流路を複数の区画に仕切り、それにより培養液の循環および流動を停止することができる。
(2)のコンテナの輸送中に複数の区画のうち一方の端に位置する区画から溢れた培養液を、(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後における培養液の循環と同じ方法で、他方の端に位置する区画に戻すこともできる。
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は湛液水耕法に従い流路上で植物を水耕栽培する場合は、(2)のコンテナの輸送中は流路内に滞留している培養液の水位を(1)および(3)で流路内を流動している培養液の水位よりも低下させ、水位の低下に対応するように植物の栽培位置を下降させる。
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は、植物に対して光合成のための光照射を実施し、(2)のコンテナの輸送中は光照射を停止することができる。
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は、植物に対して光合成のための二酸化炭素の供給を実施し、(2)のコンテナの輸送中は二酸化炭素の供給を停止することもできる。
(2)のコンテナの輸送中に、植物に対して培養液を霧状に散布してもよい。
【0015】
本発明は、下から培養液の流路、植物の栽培床、そして光源が下面に付設された光源支持板がこの順序で複数の支柱に取り付けられており、さらに、培養液タンク、培養液循環ポンプ、および培養液循環パイプを有し、培養液循環パイプが、培養液タンクから培養液循環ポンプ、そして培養液の流路を経て培養液タンクに戻るまで配置されている植物栽培装置が収容されているコンテナであって、培養液の流路に対して、培養液の流動を停止する仕切り板が備えられていることを特徴とする輸送に適した水耕栽培用コンテナも提供する。
【0016】
コンテナは、ISOコンテナ規格における長さが40フィートのコンテナの区分に従うことが好ましい。
複数の支柱に対して、植物の栽培床が上下に移動可能に取り付けられていることが好ましい。
培養液循環パイプが培養液循環ポンプと培養液の流路との間で分岐し、分岐したパイプの先が、植物の栽培床と面状光源との間に配置される噴霧口に連結していてもよい。
【発明の効果】
【0017】
前述したように、コンテナは内部環境の調整が容易であるため、水耕栽培のような人工的な栽培環境を採用する栽培方法の実施に適している。コンテナを利用する水耕栽培は、通常の土壌栽培や水耕栽培以外の養液栽培(噴霧耕栽培、固形培地耕栽培)と比較して、実施が容易であるとの利点がある。災害地のような問題が多い場所での実施を考慮すると、実施が容易である栽培方法を採用する必要がある。
【0018】
一方、水耕栽培の状態を維持して輸送することは非常に困難である。
水耕栽培は、一般に流動法と静置法とに分類される。湛液水耕(DFT)または薄膜水耕(NFT)のような流動法では、流路内で培養液を流動させるため、その状態での移動は困難である。一方、静置法(例、パッシブ水耕)は、深い水槽に収穫終了までに必要な多量の培養液を貯めておく必要があり、移動に適していない。また、静置法には、栽培中に培養液の養分バランスが変化するとの問題もある。
本発明者がトラック輸送を想定し、振動と傾きとを流動法による栽培を実施しているコンテナに与える実験を行ったところ、通常の輸送条件でも培養液が流路から溢れる問題が認められた。特に、傾きによって培養液が流路から溢れる問題を最も優先して解決する必要がある。
【0019】
本発明者が研究を進めた結果、水耕栽培を継続する場合、(1)輸送前と(3)輸送後は流動法を採用し、(2)輸送中のみ静置法に切り替えることにより、問題を解決できることが判明した。具体的には、輸送中のみ栽培装置の流路に対して一時的に仕切板を設けることにより、一時的に流動法から静置法に切り替えることに成功した。一時的に採用する静置法ならば、多量の培養液を貯めておく必要がなく、輸送が容易である。
【0020】
以上のような改良を加えることにより、内部で植物を水耕栽培しているコンテナを、水耕栽培を継続しながら輸送することが可能になった。輸送したコンテナは、被災地のような生鮮食品が不足している場所において、さらに水耕栽培を継続することができる。本発明により、極めて新鮮な野菜や果物を必要とする場所に短時間で供給することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】水耕栽培用コンテナを横から見た断面図である。
【図2】水耕栽培用コンテナを上から見た断面図である。
【図3】水耕栽培装置の正面図である。
【図4】従来技術の流路および栽培床を示す模式図である。
【図5】別の従来技術の流路および栽培床を示す模式図である。
【図6】輸送において静置法に切り替えた状態を示す模式図である。
【図7】輸送において静置法に切り替えた別の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[水耕栽培用コンテナ]
図1は、水耕栽培用コンテナを横から見た断面図である。
図1に示すコンテナ(1)は、ISOコンテナ規格の1AAA区分に従い、長さ(L)は12192mm(40フィート)、高さ(H)が2896mm(9フィート6インチ)である。
上記のような40フィートの長さのコンテナよりも小型であるコンテナ(例えば、ISOコンテナ規格の29フィート11インチ1/4、19フィート10インチ1/2、あるいは9フィート9インチ3/4の長さのコンテナ、またはJR貨物の規格の30フィート、20フィート、あるいは12フィートの長さのコンテナ)を用いてもよい。
コンテナ(1)は、隔壁(2)により栽培空間(3)と設備空間(4)とに区分されている。設備空間(4)は、第2の隔壁(5)も設けられて、コンテナ(1)の内部であるが、外部と連絡する空間(51)と区分されている。
栽培空間(3)には、栽培装置(6)が収容されている。
設備空間(4)には、肥料タンク(7)、メインタンク(8)、およびシンク(9)が設けられている。
【0023】
図2は、水耕栽培用コンテナを上から見た断面図である。
図2に示すコンテナ(1)は、ISOコンテナ規格の1AAA区分に従い、長さ(L)は12192mm(40フィート)、幅(W)は2438mm(8フィート)である。
コンテナ(1)は、隔壁(2)により栽培空間(3)と設備空間(4)とに区分されている。設備空間(4)は、第2の隔壁(5)が設けられ、コンテナ(1)の内部であるが、外部と連絡する空間(51)と区分されている。
栽培空間(3)には、栽培装置(6a、6b)が収容され、空調の室内機(31a、31b)が設けられている。
設備空間(4)には、肥料タンク(7a、7b)、培養液(メイン)タンク(8)、シンク(9)、および空調の室内機(43a)が設けられている。また、設備空間(4)には第3の隔壁(21)に区切られた小空間(41)が設けられ、高温多湿の環境になる栽培空間(3)と通常の環境である設備空間(4)との環境の相違を段階的に緩和している。
【0024】
コンテナ(1)の内部であるが外部と連絡する空間(51)には、空調の室外機(43b)が設けられている。栽培状態でコンテナを移動するためには、コンテナ規格の寸法の範囲内に必要な設備を搭載する必要がある。従って、空調の室外機(43b)を搭載するため、コンテナ(1)の内部であるが外部と連絡する空間(51)を設ける必要がある。
ドア(42a、42b、42c)は、栽培空間(3)と小空間(41)との間(42a)、小空間(41)と設備空間(4)との間(42b)、および設備空間(4)と外部と連絡する空間(51)との間(42c)に設けられている。
【0025】
[栽培装置]
図3は、水耕栽培装置の正面図である。
水耕栽培装置(6)は、下から培養液の流路(61a、61b、61c)、植物の栽培床(62a、62b、62c)、そして光源が下面に付設された光源支持板(63a、63b、63c)がこの順序で複数の支柱(64a、64b、64c、64d)に取り付けられている。図3の水耕栽培装置は、第1段(61a、62a、63a)、第2段(61b、62b、63b)、および第3段(61c、62c、63c)の3段からなる構成であり、コンテナの栽培空間を有効に利用している。
水耕栽培装置(6)は、さらに、培養液循環ポンプ(65)、および培養液循環パイプ(66a〜66e)を有し、培養液循環パイプが、培養液タンク(設備空間に存在するため図示せず)から培養液循環ポンプ(65)、培養液の流路(61a、61b、61c)、そして水受け(67a、67b)を経て培養液タンクに戻るまで配置されている。
【0026】
[流路]
水耕栽培において栽培床の下を流れる培養液の流路を、湛液型循環式水耕(DFT:Deep Flow Technique)の場合はベッド(栽培槽)、NFT(Nutrient Film TechniqueまたはNutrient Flow Technique)の場合はチャンネルと称することが普通である。本発明では、いずれの場合も流路と総称する。
流路には、輸送中に一定量の培養液を流路内に保つため、吸水性の材料(例、不織布、スポンジ)を充填してもよい。
【0027】
図4は、従来技術(DFT)の流路および栽培床を示す模式図である。
湛液型循環式水耕(DFT)の場合、深い流路(611)を有し、その上に栽培床(621)が設けられている。植物(681)は地上部(茎、葉、花:681a)が栽培床(621)より上に育ち、地下部(根:681b)が栽培床(621)よりも下に伸びて流路(611)に達している。従って、流路(611)の水面と栽培床(621)との距離は、植物(681)の地下部(681b)の長さに応じて決定する。
【0028】
図5は、別の従来技術(NFT)の流路および栽培床を示す模式図である。
NFTの場合、浅い流路(612)を有し、その上に栽培床(622)が設けられている。なお、NFTの流路(612)は、わずかに(1/50〜1/150程度のため図示せず)傾斜させることが普通である。植物(682)は地上部(茎、葉、花:682a)が栽培床(622)より上に育ち、地下部(根:682b)が栽培床(622)よりも下に伸びて流路(612)に達している。湛液型循環式水耕(DFT)の場合と同様に、流路(612)の水面と栽培床(622)との距離は、植物(682)の地下部(682b)の長さに応じて決定する。
【0029】
図6は、輸送において静置法に切り替えた状態を示す模式図である。
図5に示すNFTの場合と同様の流路を、仕切り板(693)を用いて遮断する。これにより、水耕栽培の原理が流動法(NFT)から静置法(パッシブ水耕法)に切り替えられる。仕切り板(693)により培養液の流動が停止した流路は、流路と言うよりも、培養液の水槽(613)として機能する。静置法は輸送において一時的に採用するため、水槽(613)に滞留する培養液の量(水深)は、一般には、NFTと同程度に浅い量で充分である。
栽培床(623)、植物(683)の地上部(683a)および地下部(683b)は、図5(NFT)と同様である。
【0030】
図7は、輸送において静置法に切り替えた別の状態を示す模式図である。
図4に示す湛液型循環式水耕(DFT)の場合と同様の流路を、複数の仕切り板(694a、694b、694c)を用いて遮断する。これにより、水耕栽培の原理が流動法(DFT)から静置法(パッシブ水耕法)に切り替えられる。仕切り板(694a、694b、694c)により培養液の流動が停止した流路は、流路と言うよりも、培養液の水槽(614)として機能する。静置法は輸送において一時的に採用するため、水槽(614)に滞留する培養液の量(水深)は、一般には、NFTと同程度に浅い量で充分である。
湛液型循環式水耕(DFT)の場合の水深がNFTと同程度に浅い水深に変更になるため、湛液型循環式水耕の場合よりも栽培床(624)を下降させ、植物(684)の地下部(684b)が水槽(614)中の培養液に接触できるように調節する。
【0031】
コンテナおよび栽培装置には、以上述べた以外の装置を取り付けてもよい。
栽培装置には、内部環境を管理するため温度計や湿度計を取り付けることができる。
また、内部環境を調整する目的で送風機(ファン)を取り付けてもよい。なお、電力の消費量を抑制するため、送風機は順次切り替えて、送風するように設定することが好ましい。
【0032】
コンテナの輸送中に複数の区画のうち一方の端に位置する区画から溢れた培養液を、他方の端に位置する区画に戻すための装置を設けてもよい。ただし、流動法による栽培(NFT、DFT)では、培養液を循環させるための装置(ポンプやパイプ)が設けられている。培養液を循環させるための装置を利用して、一方の端に位置する区画から溢れた培養液を、他方の端に位置する区画に戻すことができる。
【0033】
図7について説明したように、コンテナの輸送前および輸送後は湛液水耕法に従い流路上で植物を水耕栽培する場合、コンテナの輸送中は流路内に滞留している培養液の水位を低下させることができる。この場合、複数の支柱に対して、植物の栽培床が上下に移動可能に取り付けられていることが好ましい。また、栽培床を自動的に下降させるための装置を取り付けることがさらに好ましい。
培養液循環パイプを培養液循環ポンプと培養液の流路との間で分岐させ、分岐したパイプの先を、植物の栽培床と面状光源との間に配置される噴霧口に連結させることもできる。すなわち、輸送中の培養液の補充手段として、植物に対して培養液を噴霧することができる。
【0034】
コンテナには、電力の供給源となる蓄電池、太陽電池、燃料電池、風力発電機、あるいはディーゼル発電機を取り付けてもよい。ただし、輸送が短時間(半日程度まで)ならば、輸送中の(多量の)電力の供給を停止することもできる。輸送中に一時的もしくは緊急時に使用する少量の電力ならば、予備の蓄電池により供給できる。輸送の前後に使用する電力は、コンテナの外部から供給することが可能かつ容易である。
コンテナには、二酸化炭素の供給源(例、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素を発生する燃料電池または発電機)を取り付けてもよい。ただし、電力の供給源と同様に、輸送が短時間ならば、輸送中は二酸化炭素の供給を停止してもよい。輸送の前後に植物が消費する二酸化炭素は、コンテナの外部から供給することが可能かつ容易である。
二酸化炭素は、外気から供給することもできる。また、コンテナ内で二酸化炭素を消費する植物と二酸化炭素を発生する菌類(例、食用キノコ)とを共に栽培する方法も採用できる。
【0035】
コンテナには、傾きを検出するセンサーを取り付けてもよい。さらに流路に電動弁を取り付け、センサーが検知した傾きに応じて、電動弁を開閉させ、培養液が流動する方向を制御することもできる。
【0036】
[輸送前後の流動法による栽培]
本発明では、輸送前後は流動法(DFTまたはNFT)により栽培する。
湛液型循環式水耕(DFT)と薄膜水耕(NFT)との基本的な相異点は、流路の深さである。ただし、植物の種類や生育状況によって根の長さが大きく異なるため、流路の深さについて、DFTとNFTとの間に絶対的な境界線は存在しない。
DFTの場合、流路における培養液の水深が深いため、流路の強度を高くする必要がある。
NFTの場合は、流路に若干(1/50〜1/150、好ましくは1/70〜1/100の傾き)の傾斜を設けることが普通である。
コンテナ内においても、従来から知られている流動法(DFTまたはNFT)に従い、培養液を流動および循環させながら植物を栽培することができる。
【0037】
[輸送中の静置法による栽培]
本発明では、輸送中でも同じ水耕栽培を継続するが、輸送前後の流動法(DFTまたはNFT)から一時的に静置法(パッシブ水耕)に切り替える。
本来のパッシブ水耕は、最初に深い水槽に収穫終了までに必要な培養液を貯めておき、生育途中では培養液を補充しない栽培方法である。これを、本発明では、最初に浅い水槽に輸送終了までに必要な培養液を貯めておき、原則(例外は後述)として輸送途中では培養液を補充しない栽培方法に修正して採用する。
【0038】
図6および7で説明したように、流動法における流路を、静置法における水槽(培養液槽)に転用する。そのため、流動法における培養液の流動と循環を(装置としては培養液循環ポンプを)停止する。さらに、仕切り板(後述)を用いて、培養液の流動を止めることが望ましい。
輸送終了までに必要な培養液は、通常の静置法と異なり少量で充分である。目安として、NFTの流路の深さと同定の水深で、培養液が流路(水槽)に存在していれば良い。従って、輸送前後に湛液型循環式水耕(DFT)を採用する場合は、輸送中は、NFTと同程度に培養液の水深を低下させることが望ましく、水深の低下に対応するように、栽培床の位置も下降させることが望ましい。
【0039】
日本国内での輸送(特にトラック輸送)の場合、半日程度の移動で拠点から現地(例えば被災地)に到達できる場合が多い。半日程度ならば、栽培している植物が夜の状態のまま輸送することができる。夜の状態ならば、光合成に必要な光の照射(コンテナ内の光源への電力の供給)や二酸化炭素の供給が不要である。なお、この「夜」は、植物の栽培における夜(光を照射しない時間帯)を意味し、必ずしも一日の周期における夜と一致する必要はない。
海上輸送あるいは国外への輸送のように、半日以上の時間が必要である場合は、栽培中のコンテナの内部あるいは外部(栽培中のコンテナと隣接して輸送するコンテナの内部でもよい)に、電力の供給や二酸化炭素の供給設備を設ける。また、栽培している植物が昼の状態は、中間地点において輸送を休止し、電力や二酸化炭素を供給することもできる。
【0040】
[仕切り板]
仕切り板は、液体(培養液)を遮蔽する水不透過性の材料(例、金属、木材、プラスチック、ゴム)から構成する。培養液の遮蔽効果の観点および栽培植物への影響の観点で、ゴム(またはゴム状の柔軟性を有する材料)を使用することが好ましい。
仕切り板の高さは、流路の底から栽培床の設置位置までよりも高くする(仕切り板が栽培床の上に出る)ことが望ましい。
仕切り板を設置するため、流路および栽培床には、切り込みを設けておくことが好ましい。ただし、それらの切り込みは、仕切り板の設置後には、完全に(培養液が通過しないように)遮蔽される必要がある。そのような観点からも、隙間を埋めるゴム状の材料で仕切り板を作製することが望ましい。
仕切り板の上部に小さな穴を設け、急激な水の溢れを防ぎながら、若干の水の流れを許容してもよい。
【0041】
[栽培床]
栽培床は、粒状(例、礫、砂、多孔質セラミック、もみ殻)、繊維状(例、ロックウール、不織布、ヤシ殻チップ)、フォーム状(例、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、フェノール発泡樹脂)のいずれかの材料により形成できる。素材としても、天然無機物(例、砂)、人工無機物(例、ロックウール)、天然有機物(例、ヤシ殻チップ)、人工有機物(プラスチック)のいずれも用いることができる。
以上の材料を複数組み合わせてもよい。栽培床には、吸水性かつ植物が根を伸張できる材料を用いることが最も好ましい。複数の材料を組み合わせることにより、複数の機能を両立させることもできる。
【0042】
本発明者が研究したところ、輸送の際に生じる振動や揺れに対しては、栽培床が培養液に対して蓋として機能し、培養液の液漏れを防止できることが判明した。本発明における栽培床の選択においては、培養液に対する蓋としての機能も検討することが望ましい。そのような観点では、栽培床は流路の壁に対して、はめ込まれている構造が好ましい。
【0043】
[培養液タンク]
培養液タンクは、金属(例、鉄、アルミニウム、チタン、それらの合金)またはプラスチック(例、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート)から作製できる。金属が好ましく、鉄またはその合金がさらに好ましく、ステンレスが特に好ましい。
培養液タンクの容量は、10〜2000リットルが好ましく、20〜1000リットルがより好ましく、50〜500リットルがさらに好ましく、100〜200リットルが最も好ましい。
【0044】
培養液タンクに、電気伝導度(EC)センサー、pHセンサーあるいは水位測定器を取り付けてもよい。また、これらのセンサーの値に応じて培養液の成分を補充する(ECやpHの値を調整する)ために、原液タンク、原液供給ポンプ、および原液供給のための導管を取り付けることもできる。
培養液の供給方式として閉鎖系の循環式システムを採用することが好ましい。
培養液循環ポンプ(供給ポンプ)と培養液循環パイプとを用いて、培養液タンクから(栽培床が複数段の場合は上部の)栽培床へ培養液を供給する。培養液タンクには、供給ポンプとは別に、攪拌ポンプを設けてもよい。
培養液の供給経路には、フィルター、流量計、減圧弁、あるいは電磁弁を取り付けてもよい。
上部の栽培床に供給された培養液は、栽培床を上部から下部に順次経由して、培養液タンクに戻る。
培養液タンクの上部に開口を設け、栽培床の下辺から滴下した培養液を培養液タンクに回収することができる。培養液タンクに開口を設ける代わりに、栽培床の下辺と培養液タンクとをパイプで接続し、培養液を培養液タンクに回収してもよい。
【0045】
[光源]
光源は、面状光源であることが好ましい。
面状光源は、光源そのものが面状光源を構成できる場合(例、有機EL)と、カバーと光源とを組み合わせて面状光源を構成する場合とがある。
カバーが必要である場合、カバーは、プラスチックまたは金属、好ましくはプラスチックを用いて作製できる。そして、カバーの内側(栽培床側)に、光源を設ける。二種類以上の光源を設けてもよい。
【0046】
光源としては、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子、発光ダイオード、蛍光灯、あるいは小型電球を用いることができる。植物の光合成を活発にするには、植物に主として赤色光を照射することが好ましい。このため、発光体の発光色は赤色であることが好ましい。また、植物には、前記の赤色光に加えて、青色光を補助的に照射することも好ましい。従って、発光体としては、発光色の設定が容易であり、また低消費電力であることから、有機エレクトロルミネッセンス素子あるいは発光ダイオードを用いることが好ましく、発光の形状やサイズ(面積)の設定が容易であることから、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)を用いることが特に好ましい。
【0047】
有機EL素子は、透明な基板(例、ガラス板)の表面に形成される。
有機EL素子は、基板の表面に、例えば、透明陽電極層、有機発光材料層、そして陰電極層をこの順に積層して製造される。有機EL素子は、前記の陽電極層と陰電極層との間に電気エネルギーを付与すると、陽電極層から正孔が、そして陰電極層から電子が、それぞれ有機発光材料層の内部に注入され、この正孔と電子とが有機発光材料層の内部で再結合することにより、有機発光材料層にて有機発光材料により定まる色の発光を生じる。この発光は、透明電極層、そして透明な基板を通って、照光部の外部に取り出される。なお、例えば、基板の外側の面に発光体として複数個の発光ダイオードを並べて設置する場合には、基板は透明である必要はない。
【0048】
有機EL素子の発光色を赤色に設定するには、前記の有機発光材料層を形成する有機発光材料として、例えば、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−ジュロリジル−9−エニル−4H−ピラン(4−(Dicyanomethylene)−2−methyl−6−julolidyl−9−enyl−4H−pyran)を用いることができる。また、発光色を青色に設定するには、有機発光材料として、例えば、ペリレンを用いることができる。
また、有機発光材料層の内部にて再結合させる正孔と電子とのそれぞれを、有機発光材料層の内部に効率良く注入して、有機EL素子の発光効率を高くするため、陽電極層と有機発光材料層との間に正孔輸送層、そして陰電極層と有機発光材料層との間に電子輸送層を付設することもできる。
【0049】
[栽培植物]
本発明は、特に葉物野菜または果実の栽培に適している。
一般的な葉物野菜は、キク科(例、レタス、サラダ菜、シュンギク)、アブラナ科(例、キャベツ、白菜、青梗菜、小松菜、クレソン)、およびアカザ科(例、ほうれん草)の植物が代表的である。葉物野菜には、ハーブ類も含まれる。ハーブ類は、セリ科(例、パセリ、チャービル、ディル)およびシソ科(例、バジル、ミント、セージ、タイム)の植物が代表的である。
果実としては、バラ科(例、イチゴ)、ウリ科(例、メロン、キュウリ)、およびナス科(例、トマト)の植物が水耕栽培に適している。
【0050】
[培養液]
培養液の組成は、通常の養液栽培に使用される培養液と同様である。
以下に、主な葉物野菜と果実について、窒素、リン、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの組成(単位:me/リットル)の範囲を示す。
【0051】
───────────────────────────────────
葉物野菜 N(硝酸換算)P(リン酸換算) K Ca Mg
───────────────────────────────────
レタス 5.4〜 7.1 1.3〜2.7 3.0〜 4.4 1.6〜2.2 0.9〜2.0
サラダ菜 11.9〜20.5 3.6〜5.5 7.2〜11.5 3.6〜7.1 1.8〜3.2
クレソン 4.0〜11.4 2.7〜4.9 3.1〜 7.4 0.9〜3.0 0.9〜3.3
ほうれん草 9.6〜19.3 2.4〜4.9 4.7〜11.3 3.6〜9.1 2.4〜4.4
───────────────────────────────────
イチゴ 3.4〜10.8 1.5〜3.6 2.2〜 6.0 0.9〜3.7 1.0〜2.7
メロン 8.0〜18.8 2.0〜4.4 4.0〜 6.4 4.0〜8.4 2.0〜4.0
キュウリ 13.0〜13.1 3.0〜4.4 5.3〜 5.7 5.7〜7.0 2.6〜3.0
トマト 7.0〜13.9 2.0〜4.0 4.0〜 8.9 3.0〜9.5 2.0〜4.0
───────────────────────────────────
【実施例】
【0052】
[実験1]
図4に示す湛液型循環式水耕(DFT)方式の流路(長さ:6m)に、栽培状態と同じ深さの培養液を入れた。流路を、フォークリフトのリフト部分に流路が並行になるように設置した。フォークリフトのリフト部分を動かし、左右の揺れを発生させ、培養液のはね、および溢れだしを調べた。
その結果、培養液のはねに対しては、栽培床が水面の振動を吸収し、発生する波を押さえつけていることが認められた。また、培養液の溢れだしに対しても、栽培床が蓋として機能し、溢れだしが防止されていることが認められた。
【0053】
[実験2]
図5に示すNFT方式の流路(長さ:6m)に、栽培状態と同じ深さの培養液を入れた。流路を、フォークリフトのリフト部分に流路が並行になるように設置した。フォークリフトのリフト部分を動かし、左右の揺れを発生させ、培養液のはね、および溢れだしを調べた。
その結果、実験1と同様に、栽培床が培養液のはね、および溢れだしを防止していることが認められた。
【0054】
[実験3]
図5に示すNFT方式の流路(長さ:6m)に、栽培状態と同じ深さの培養液を入れた。
流路を傾けたところ、傾きが2°を超えたところで、培養液が溢れ出した。
【0055】
[実験4]
図5に示すNFT方式の流路(長さ:6m)に、栽培状態と同じ深さの培養液を入れた。流路に対して、600mmの間隔で9枚のゴム板からなる仕切り板を取り付けた。
流路を3°以上傾けても、仕切り板が水を完全に遮蔽して、流路から水が溢れることがなかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に従うと、コンテナの内部で植物を水耕栽培し、コンテナの輸送前、輸送中、そして輸送後も、一貫して水耕栽培を継続することができる。
その結果、植物を水耕栽培中のコンテナを輸送して、鮮度が非常に高い野菜や果物を被災地に供給することが可能になる。
また、小売店(青果店やスーパーマーケットに加えて、焼肉店のような大量の野菜を消費する店)に対して、鮮度が非常に高い野菜や果物を供給する手段としても利用することができる。複数の小売店に対して、本発明に従うコンテナを搭載したトラックを巡回させ、必要に応じて野菜や果物を供給することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 コンテナ
2、21 隔壁
3 栽培空間
31a、31b 空調の室内機
4 設備空間
41 小空間
42a、42b、42c ドア
43a 空調の室内機
43b 空調の室外機
5 隔壁
51 外部と連絡する空間
6、6a、6b 栽培装置
61a、61b、61c、611、612 流路
613、614 培養液の水槽
62a、62b、62c、621、622、623、624 栽培床
63a、63b、63c 光源支持板
64a、64b、64c、64d 支柱
65 培養液循環ポンプ
66a、66b、66c、66d、66e 培養液循環パイプ
67a、67b 水受け
681、682、683、684 植物
681a、682a、683a、684a 地上部
681b、682b、683b、684b 地下部
693、694a、694b、694c 仕切板
7、7a、7b 肥料タンク
8 メインタンク
9 シンク
L コンテナの長さ
H コンテナの高さ
W コンテナの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送下にあるコンテナの内部で植物を水耕栽培し、コンテナの輸送前、輸送中、そして輸送後も、水耕栽培を継続する方法であって:
(1)コンテナの輸送前は、培養液流路を通しながら培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培し;
(2)コンテナの輸送中は、培養液の循環および流動を停止し、流路内に培養液を滞留させ、滞留している培養液を用いて静置法により植物を水耕栽培し;
(3)コンテナの輸送後は、再び培養液を循環させ、流路内を流動している培養液を用いて流動法により流路上で植物を水耕栽培する;
ことを特徴とする植物の水耕栽培方法。
【請求項2】
(2)のコンテナの輸送中は、板を用いて流路を複数の区画に仕切り、それにより培養液の循環および流動を停止する請求項1に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項3】
(2)のコンテナの輸送中に複数の区画のうち一方の端に位置する区画から溢れた培養液を、(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後における培養液の循環と同じ方法で、他方の端に位置する区画に戻す請求項2に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項4】
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は湛液水耕法に従い流路上で植物を水耕栽培し、(2)のコンテナの輸送中は流路内に滞留している培養液の水位を(1)および(3)で流路内を流動している培養液の水位よりも低下させ、水位の低下に対応するように植物の栽培位置を下降させる請求項1に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項5】
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は、植物に対して光合成のための光照射を実施し、(2)のコンテナの輸送中は光照射を停止する請求項1に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項6】
(1)のコンテナの輸送前および(3)のコンテナの輸送後は、植物に対して光合成のための二酸化炭素の供給を実施し、(2)のコンテナの輸送中は二酸化炭素の供給を停止する請求項1に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項7】
(2)のコンテナの輸送中に、植物に対して培養液を霧状に散布する請求項1に記載の植物の水耕栽培方法。
【請求項8】
下から培養液の流路、植物の栽培床、そして光源が下面に付設された光源支持板がこの順序で複数の支柱に取り付けられており、さらに、培養液タンク、培養液循環ポンプ、および培養液循環パイプを有し、培養液循環パイプが、培養液タンクから培養液循環ポンプ、そして培養液の流路を経て培養液タンクに戻るまで配置されている植物栽培装置が収容されているコンテナであって、培養液の流路に対して、培養液の流動を停止する仕切り板が備えられていることを特徴とする輸送に適した水耕栽培用コンテナ。
【請求項9】
コンテナがISOコンテナ規格における長さが40フィートのコンテナの区分に従う請求項8に記載の輸送に適した水耕栽培用コンテナ。
【請求項10】
複数の支柱に対して、植物の栽培床が上下に移動可能に取り付けられている請求項8に記載の輸送に適した水耕栽培用コンテナ。
【請求項11】
培養液循環パイプが培養液循環ポンプと培養液の流路との間で分岐し、分岐したパイプの先が、植物の栽培床と面状光源との間に配置される噴霧口に連結している請求項8に記載の輸送に適した水耕栽培用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−13383(P2013−13383A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149958(P2011−149958)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(511164411)アグリウェーブ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】