説明

輻輳制御装置およびその動作方法

【課題】複数のコーデックを使用するメディアサーバにおいて、消費されるリソース量が上限に達すること、および、消費できるリソース量が余りすぎることを防止する。
【解決手段】総和計算部14は、各コーデックについての重み係数を重み係数記憶部11から読み出し、各コーデックでデコードされているメディアデータファイル数をメディアデータファイル数記憶部12から読み出し、各コーデックにつき、重み係数とメディアデータファイル数の積を求めるとともに、積の総和を計算する。呼接続可否判定部15は、対象のコーデックについての重み係数を重み係数記憶部11から読み出し、閾値記憶部13から閾値を読み出し、重み係数を総和に加算し、加算値が閾値未満なら、呼接続を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻輳制御装置およびその動作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、記憶装置に記憶された音声や映像に関するメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを端末に送信する機能を有するメディアサーバがあり、メディアサーバは、電話の各種ガイダンス通知や様々な付加サービスに用いられる。
【0003】
一般に、特定のサーバに多くの処理要求が集中し、サーバが過負荷状態となり、サービス品質の低下や正常な処理が不可能となる場合がある。そのような輻輳状態を解消もしくは回避する技術が輻輳制御である。
【0004】
例えば、特許文献2では、SIPサーバへ同時に接続可能な呼数に上限を設け、上限を超える呼を接続しないように制御する方法を開示している。
【0005】
また、非特許文献2では、単位時間当りの新規接続許容呼数を規定値以下にする呼数密度制御に基づく方式が提案、評価されている。
【0006】
これらの従来技術は、音声通話サービスのみを対象としており、呼毎に必要なサーバリソース(例えば、サーバ処理能力)の違いを考慮せずに、全体の呼数を基に輻輳制御を行っている。
【0007】
しかしながら、近年は音声のみでなく映像も伝えることのできるテレビ電話サービスが提供されている。
【0008】
テレビ電話用端末には、携帯端末から高精細テレビ会議用端末まで、様々な種類があり、画面解像度やフレームレート、符号化方式等の異なる各種コーデックが用いられる。コーデックは、メディアデータファイルを符号化する方式の名前(エンコーディング名)やプロファイルレベル、帯域等で分類される。
【0009】
一般にメディアサーバにおいて、コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときに消費されるリソース量は、コーデック毎に異なる。特に、狭帯域の音声から広帯域の高精細映像までに対応すべく、多くのコーデックを使用する場合、消費されるリソース量の差は大きい。
【0010】
このようなメディアサーバにおいて、全体の同時接続数、つまり同時に送信するメディアストリームの数に上限値を設ける輻輳制御を行う場合、品質確保のためには、全てのメディアストリームが、リソース量が最も多く消費するコーデックで得られるものと仮定し、上限値を決める必要がある。従って、仮にメディアサーバが、リソースを少ししか消費しないコーデックで得られるメディアストリームしか送信していないような場合、メディアサーバのリソース量は余りすぎているにも係らず輻輳制御が行われ、それ以上の呼の接続が規制されるため、メディアサーバの利用効率が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010ー245727号公報
【特許文献2】特開2009−239550号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】早坂他、「メロディコールサービスの開発」、NTT Docomoテクニカルジャーナル、Vol.12、No.1、pp.64-69
【非特許文献2】可児島健、松川幸永、堀込英明、「IP電話網における輻輳制御方式の評価」、電子情報通信学会技術報告、TM2007-30(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のコーデックを使用するメディアサーバにおいて、消費されるリソース量が上限に達すること、および、消費できるリソース量が余りすぎることを防止する輻輳制御装置およびその動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、第1の本発明は、複数のコーデックを有し、該複数のコーデックの中の1つによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するメディアストリーム送信部を備えるメディアサーバに設けられる輻輳制御装置であって、前記各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときに前記メディアサーバで消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶手段と、前記各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶手段と、前記メディアサーバで消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶手段と、メディアストリームの送信を要求された際に、前記各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数を前記メディアデータファイル数記憶手段から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の前記各コーデックについての総和を求める総和計算手段と、前記要求されたメディアストリームを得るためのコーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、前記閾値記憶手段から閾値を読み出し、該重み係数を前記総和に加算し、加算値が該閾値未満であるか否かを判定するメディアストリーム送信可否判定手段と、該加算値が該閾値未満なら前記メディアストリーム送信部に対し、前記要求されたメディアストリームを得るためのメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行うメディアストリーム送信指示手段とを備えることを特徴とする輻輳制御装置をもって解決手段とする。
【0015】
例えば、第1の本発明において、前記閾値は、前記メディアサーバから同時送信可能な最大のパケットの数であり、前記各重み係数は、該重み係数に対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値である。
【0016】
例えば、第1の本発明において、前記メディアストリーム送信可否判定手段は、複数のコーデックを使用する際の優先順位が指定されている場合において、該各コーデックにつき、前記加算値が前記閾値未満であるか否かを判定し、前記メディアストリーム送信指示手段は、前記加算値が前記閾値未満であると判定されたコーデックから、最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、前記メディアストリーム送信部に対し、該選択したコーデックによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う。
【0017】
第2の本発明は、複数のコーデックを有し、該複数のコーデックの中の1つによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するメディアストリーム送信部を備えるメディアサーバに設けられる輻輳制御装置の動作方法であって、前記輻輳制御装置は、前記各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときに前記メディアサーバで消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶手段と、前記各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶手段と、前記メディアサーバで消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶手段とを備え、前記動作方法は、前記輻輳制御装置の総和計算手段が、メディアストリームの送信を要求された際に、前記各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数を前記メディアデータファイル数記憶手段から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の前記各コーデックについての総和を求め、前記輻輳制御装置のメディアストリーム送信可否判定手段が、前記要求されたメディアストリームを得るためのコーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、前記閾値記憶手段から閾値を読み出し、該重み係数を前記総和に加算し、加算値が該閾値未満であるか否かを判定し、前記輻輳制御装置のメディアストリーム送信指示手段が、該加算値が該閾値未満なら前記メディアストリーム送信部に対し、前記要求されたメディアストリームを得るためのメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行うことを特徴とする輻輳制御装置の動作方法をもって解決手段とする。
【0018】
例えば、第2の本発明において、前記閾値は、前記メディアサーバから同時送信可能な最大のパケットの数であり、前記各重み係数は、該重み係数に対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値である。
【0019】
例えば、第2の本発明において、前記メディアストリーム送信可否判定手段は、複数のコーデックを使用する際の優先順位が指定されている場合において、該各コーデックにつき、前記加算値が前記閾値未満であるか否かを判定し、前記メディアストリーム送信指示手段は、前記加算値が前記閾値未満であると判定されたコーデックから、最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、前記メディアストリーム送信部に対し、該選択したコーデックによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数のコーデックを使用するメディアサーバにおいて、消費されるリソース量が上限に達すること、および、消費できるリソース量が余りすぎることを防止するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る輻輳制御装置を利用した通信システムの構成図である。
【図2】重み係数記憶部11に記憶される重み係数の一例を示す図である。
【図3】通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る輻輳制御装置を利用した通信システムの構成図である。
【0024】
メディアサーバ1は、呼制御サーバ2と端末3に対し、図示しないIPネットワークを介して接続される。端末3は、一般には複数存在する。
【0025】
メディアサーバ1は、呼制御サーバ2からの呼接続制御にしたがい、端末3にメディアストリームを送信する装置である。呼接続制御には、例えばSIP(Session Initiation Protocol)等の標準的な呼制御プロトコルが用いられる。
【0026】
メディアサーバ1は、輻輳制御部10とメディア再生機能部20とを備える。輻輳制御部10は、本実施の形態に係る輻輳制御装置である。
【0027】
メディア再生機能部20は、複数のメディアデータファイルが記憶されたメディアデータファイル記憶部21と、複数のコーデックを有し、メディアデータファイル記憶部21から読み出したメディアデータファイルを該メディアデータファイルに適したコーデックでデコードするとともに、デコードで得られたメディアストリームを端末3に送信するメディアストリーム送信部22とを備える。
【0028】
メディアストリームは、例えば、RTP(Real-time Transport Protocol)パケットにより構成される。
【0029】
輻輳制御部10は、各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときにメディアサーバ1で消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶部11と、各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶部12と、メディアサーバ1で消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶部13と、呼制御サーバ2から呼接続要求信号が送信された際に、各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を重み係数記憶部11から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数をメディアデータファイル数記憶部12から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の各コーデックについての総和を求める総和計算部14と、該計算された総和を用いて、呼接続の可否を判定する呼接続可否判定部15と、呼制御サーバ2と通信を行い、受信した呼接続要求信号に含まれる情報を基に、呼接続が許可された際い使用すべきコーデックを特定し、呼接続可否判定部15に呼接続の可否を判定するように指示し、呼接続を許可されたなら、呼制御サーバ2に呼接続許可信号を送信するとともに、メディアストリーム送信部22に対して、メディアストリームを送信するように指示する呼接続制御部16と、呼制御サーバ2が呼接続を完了し、メディアストリームの送信が可能になったなら、メディアデータファイル数記憶部12の該特定されたコーデックについてのメディアデータファイル数を増加させる一方、呼が切断され、メディアストリームの送信ができなくなったなら、該メディアデータファイル数を減少させるメディアデータファイル数増減処理部17とを備える。
【0030】
閾値記憶部13に記憶される閾値は、例えば、メディアサーバ1から同時送信可能な最大のパケットの数である。
【0031】
呼接続制御部16は、上記処理のほかに、呼接続を拒否されたなら、呼制御サーバ2に対して呼接続拒否信号を送信する。また、呼接続制御部16は、呼接続可否判定部15への指示と、メディアデータファイル数増減処理部17への指示と、メディアストリーム送信部22への指示とが一貫性をもつように排他制御を行う。
【0032】
図2は、重み係数記憶部11に記憶される重み係数の一例を示す図である。ただし、同図の備考欄は、参考のためのものであり、重み係数記憶部11には含まれない。
【0033】
同図は、重み係数記憶部11が、「G.711 μ-law」という名称のコーデックについて、重み係数「50」を記憶し、「MPEG-4 visual SP@L0」という名称のコーデックについて、重み係数「82」を記憶し、「MPEG-4 visual SP@L4a」という名称のコーデックについて、重み係数「536」を記憶し、「MPEG-4 visual SP@L6」という名称のコーデックについて、重み係数「1866」を記憶していることを示す。
【0034】
閾値記憶部13の閾値が、メディアサーバ1から同時送信可能な最大のパケットの数である場合、同図に示す各重み係数は、そのような閾値に適した値となっている。つまり、各重み係数は、対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値となっている。
【0035】
具体的には、重み係数「50」は、対応するコーデック「G.711 μ-law」により得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値で得られる値である。ここでは、パケットのペイロードの平均のサイズを160Byteとして計算した。
【0036】
重み係数「82」は、対応するコーデック「MPEG-4 visual SP@L0」により得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値で得られる値である。ここでは、パケットのペイロードの平均のサイズを100Byteとして計算した。
【0037】
重み係数「536」は、対応するコーデック「MPEG-4 visual SP@L4a」により得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値で得られる値である。ここでは、パケットのペイロードの平均のサイズを1000Byteとして計算した。
【0038】
重み係数「1866」は、対応するコーデック「MPEG-4 visual SP@L6」により得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値で得られる値である。ここでは、パケットのペイロードの平均のサイズを1000Byteとして計算した。
【0039】
なお、各重み係数は、対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値には限定されない。
【0040】
例えば、閾値が、メディアサーバ1における上限の処理能力に対応する値である場合において、各重み係数は、対応するコーデックで1つのメディアデータファイルがデコードされているときに使用される処理能力に対応する値としてもよい。
【0041】
(本実施の形態に係る通信システムの動作)
図3は、本実施の形態に係る通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0042】
ここでは、ある端末3(以下、単に端末3という)に対し、メディアサーバ1からメディアストリームが送信される際に行われるシーケンスを説明する。
【0043】
呼接続制御部16は、呼制御サーバ2から呼接続要求信号を受信したなら(S1)、呼接続要求信号に含まれるSDP(Session Description Protocol)等のメディア情報(エンコーディング名、コーデックのプロファイルとレベル、パケット化周期、帯域等)と、例えば、メディアストリーム送信部22で使用できる各コーデックを記載したコーデック情報とを用い、呼接続が許可された際に使用すべきコーデックを特定する。また、ここでは、呼接続が許可された際にデコードすべきメディアデータファイルが特定されたこととする。呼接続制御部16は、呼接続可否判定部15に対し、該コーデックの種別などを通知し、呼接続の可否を判定するように指示を行う(S3)。
【0044】
これにより、呼接続可否判定部15は、総和計算部14に対し、総和を計算するように指示を行う(S5)。
【0045】
これにより、総和計算部14は、メディアストリーム送信部22で使用できる各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を重み係数記憶部11から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数をメディアデータファイル数記憶部12から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の各コーデックについての総和を計算し(S7)、該総和の値を呼接続可否判定部15に通知する(S9)。
【0046】
これにより、呼接続可否判定部15は、呼接続制御部16から通知されたコーデックにつき、該コーデックについての重み係数を重み係数記憶部11から読み出し、閾値記憶部13から閾値を読み出し、該重み係数を、ステップS9で通知された総和に加算し、加算値と閾値に基づいて、呼接続の可否を判定する(S11)。
【0047】
呼接続可否判定部15は、加算値が閾値未満なら、呼接続を許可する旨を呼接続制御部16に通知する(S13)。
【0048】
これにより、呼接続制御部16は、呼制御サーバ2に対し、呼接続を許可することを示す呼接続許可応答信号を送信する(S15)。
【0049】
これにより、呼制御サーバ2は、メディアサーバ1と端末3の間の呼接続を行い、呼接続が完了した旨を示す呼接続完了信号を呼接続制御部16に送信する(S17)。
【0050】
これにより、呼接続制御部16は、メディアデータファイル数増減処理部17に対し、ステップS3で特定したコーデックの種別などを通知し、メディアデータファイル数記憶部12における該コーデックについてのメディアデータファイル数に1を加算するように指示を行う(S19)。
【0051】
これにより、メディアデータファイル数増減処理部17は、メディアデータファイル数記憶部12における該通知されたコーデックについてのメディアデータファイル数に1を加算し、呼接続制御部16に対し、メディアデータファイル数に1を加算した旨を通知する(S21)。
【0052】
これにより、呼接続制御部16は、メディアストリーム送信部22に対し、ステップS3で特定されたメディアデータファイルをステップS3で特定されたコーデックによりデコードするとともに、デコードにより得られるメディアストリームを端末3に送信するように指示を行う(S23)。
【0053】
これにより、メディアストリーム送信部22は、該メディアデータファイルをメディアデータファイル記憶部21から読み出し、該メディアデータファイルを該コーデックでデコードし、デコードにより得られるメディアストリームを端末3に送信する。
【0054】
すなわち、呼接続が許可された際に使用されるコーデックについての重み係数を総和に加算した加算値が、メディアサーバ1で消費できる上限のリソース量に対応する閾値未満なら、呼接続を許可することで、輻輳を防止できるとともに、リソース量が余りすぎてしまう不都合も防止することができる。
【0055】
なお、呼制御サーバ2は、例えば、端末3へのメディアストリームの送信が終了し、端末3から呼切断要求があったなら、呼切断を行い、呼切断を完了したことを示す呼切断完了信号を呼接続制御部16に送信する。
【0056】
これにより、呼接続制御部16は、メディアデータファイル数増減処理部17に対し、ステップS3で特定したコーデックの種別などを通知し、該当のメディアデータファイル数から1を減算するように指示を行う。
【0057】
これにより、メディアデータファイル数増減処理部17は、メディアデータファイル数記憶部12における該コーデックについてのメディアデータファイル数から1を減算する。
【0058】
なお、呼接続可否判定部15は、加算値が閾値以上なら呼接続を拒否する旨を呼接続制御部16に通知する。
【0059】
これにより、呼接続制御部16は、呼制御サーバ2に対し、呼接続を拒否することを示す呼接続拒否応答信号を送信する。
【0060】
これにより、呼制御サーバ2は、メディアサーバ1と端末3と間の呼接続を中止する。よって、メディアデータファイルのデコード、メディアストリームの送信も中止される。
【0061】
したがって、本実施の形態に係る輻輳制御装置(10)によれば、複数のコーデックを有し、該複数のコーデックの中の1つによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するメディアストリーム送信部22を備えるメディアサーバ1に設けられる輻輳制御装置であって、各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときにメディアサーバ1で消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶手段(11)と、各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶手段(12)と、メディアサーバ1で消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶手段(13)と、メディアストリームの送信を要求された際に(ステップS1)、各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を重み係数記憶手段(11)から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数をメディアデータファイル数記憶手段(12)から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の各コーデックについての総和を求める(ステップS7)総和計算手段(14)と、要求されたメディアストリームを得るためのコーデックについての重み係数を重み係数記憶手段(11)から読み出し、閾値記憶手段(13)から閾値を読み出し、該重み係数を総和に加算し、加算値が該閾値未満であるか否かを判定する(ステップS11)メディアストリーム送信可否判定手段(15)と、該加算値が該閾値未満ならメディアストリーム送信部22に対し、要求されたメディアストリームを得るためのメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行うメディアストリーム送信指示手段(16)とを備えるので、メディアサーバ1で消費されるリソース量が上限に達すること、および、消費できるリソース量が余りすぎてしまうことを防止でき、よって、リソース量が上限に達することによって生じるメディアストリームの送信に関する輻輳を防止し、且つ、リソース量の余りすぎを防止することができる。
【0062】
(変形例)
本実施の形態では、呼接続要求信号に含まれる情報により、1つのコーデックを特定し、該コーデックに対応するメディアデータファイルを該コーデックでデコードし、得られたメディアストリームを送信したが、以下のようにしてもよい。
【0063】
例えば、メディアデータファイル記憶部21には、複数のコーデックのそれぞれにつき、該コーデックでデコードすべきメディアデータファイルが記憶される。
【0064】
また、メディアストリーム送信部22は、該各コーデックを有している。
【0065】
また、呼接続要求信号においては、該各コーデックを使用する際の優先順位が指定される。
【0066】
この場合、呼接続可否判定部15は、該各コーデックにつき、加算値が閾値未満であるか否かを判定し、加算値が閾値未満であると判定されたコーデックの種別などを呼接続制御部16に通知する。
【0067】
呼接続制御部16は、通知されたコーデックについて指定された最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、メディアストリーム送信部22に対し、該選択されたコーデックに対応するメディアデータファイルを該コーデックでデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う。
【0068】
メディアストリーム送信部22は、メディアデータファイル記憶部21から、該コーデックに対応するメディアデータファイルを読み出し、該メディアデータファイルを該コーデックでデコードし、得られたメディアストリームを端末3に送信する。
【0069】
したがって、この変形例によれば、メディアストリーム送信可否判定手段(15)は、複数のコーデックを使用する際の優先順位が指定されている場合において、該各コーデックにつき、加算値が閾値未満であるか否かを判定し、メディアストリーム送信指示手段(16)は、加算値が閾値未満であると判定されたコーデックから、最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、メディアストリーム送信部22に対し、該選択したコーデックによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行うので、複数のコーデックの中から最も高い優先順位に対応するコーデックを使用することができる。
【0070】
なお、本実施の形態に係る輻輳制御装置(10)としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録でき、また、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…メディアサーバ
2…呼制御サーバ
3…端末
10…輻輳制御部
11…重み係数記憶部
12…メディアデータファイル数記憶部
13…閾値記憶部
14…総和計算部
15…呼接続可否判定部
16…呼接続制御部
17…メディアデータファイル数増減処理部
20…メディア再生機能部
21…メディアデータファイル記憶部
22…メディアストリーム送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコーデックを有し、該複数のコーデックの中の1つによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するメディアストリーム送信部を備えるメディアサーバに設けられる輻輳制御装置であって、
前記各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときに前記メディアサーバで消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶手段と、
前記各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶手段と、
前記メディアサーバで消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶手段と、
メディアストリームの送信を要求された際に、前記各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数を前記メディアデータファイル数記憶手段から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の前記各コーデックについての総和を求める総和計算手段と、
前記要求されたメディアストリームを得るためのコーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、前記閾値記憶手段から閾値を読み出し、該重み係数を前記総和に加算し、加算値が該閾値未満であるか否かを判定するメディアストリーム送信可否判定手段と、
該加算値が該閾値未満なら前記メディアストリーム送信部に対し、前記要求されたメディアストリームを得るためのメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行うメディアストリーム送信指示手段と
を備えることを特徴とする輻輳制御装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記メディアサーバから同時送信可能な最大のパケットの数であり、
前記各重み係数は、該重み係数に対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値である
ことを特徴とする請求項1記載の輻輳制御装置。
【請求項3】
前記メディアストリーム送信可否判定手段は、複数のコーデックを使用する際の優先順位が指定されている場合において、該各コーデックにつき、前記加算値が前記閾値未満であるか否かを判定し、
前記メディアストリーム送信指示手段は、前記加算値が前記閾値未満であると判定されたコーデックから、最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、前記メディアストリーム送信部に対し、該選択したコーデックによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う
ことを特徴とする請求項1または2記載の輻輳制御装置。
【請求項4】
複数のコーデックを有し、該複数のコーデックの中の1つによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するメディアストリーム送信部を備えるメディアサーバに設けられる輻輳制御装置の動作方法であって、
前記輻輳制御装置は、
前記各コーデックにつき、該コーデックで1つのメディアデータファイルをデコードしているときに前記メディアサーバで消費されるリソース量に対応する重み係数を記憶した重み係数記憶手段と、
前記各コーデックにつき、該コーデックでデコードされているメディアデータファイルの数を示すメディアデータファイル数が記憶されるメディアデータファイル数記憶手段と、
前記メディアサーバで消費できる上限のリソース量に対応する閾値を記憶した閾値記憶手段とを備え、
前記動作方法は、
前記輻輳制御装置の総和計算手段が、メディアストリームの送信を要求された際に、前記各コーデックにつき、該コーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、該コーデックについてのメディアデータファイル数を前記メディアデータファイル数記憶手段から読み出し、該重み係数と該メディアデータファイル数の積を求めるとともに、該積の前記各コーデックについての総和を求め、
前記輻輳制御装置のメディアストリーム送信可否判定手段が、
前記要求されたメディアストリームを得るためのコーデックについての重み係数を前記重み係数記憶手段から読み出し、前記閾値記憶手段から閾値を読み出し、該重み係数を前記総和に加算し、加算値が該閾値未満であるか否かを判定し、
前記輻輳制御装置のメディアストリーム送信指示手段が、
該加算値が該閾値未満なら前記メディアストリーム送信部に対し、前記要求されたメディアストリームを得るためのメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う
ことを特徴とする輻輳制御装置の動作方法。
【請求項5】
前記閾値は、前記メディアサーバから同時送信可能な最大のパケットの数であり、
前記各重み係数は、該重み係数に対応するコーデックにより得られる1つのメディアストリームで消費可能な最大の帯域を該メディアストリームを構成するパケットのサイズで除した値である
ことを特徴とする請求項4記載の輻輳制御装置の動作方法。
【請求項6】
前記メディアストリーム送信可否判定手段は、複数のコーデックを使用する際の優先順位が指定されている場合において、該各コーデックにつき、前記加算値が前記閾値未満であるか否かを判定し、
前記メディアストリーム送信指示手段は、前記加算値が前記閾値未満であると判定されたコーデックから、最も高い優先順位に対応するコーデックを選択し、前記メディアストリーム送信部に対し、該選択したコーデックによりメディアデータファイルをデコードし、得られたメディアストリームを送信するように指示を行う
ことを特徴とする請求項4または5記載の輻輳制御装置の動作方法。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の輻輳制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−244392(P2012−244392A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112288(P2011−112288)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】