説明

農作業機

【課題】耕耘体の耕耘深さを容易に目視確認できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタTに連結する機体2を備える。機体2には、耕耘作業をする耕耘体11を設ける。機体2には、耕耘体11の上方部を覆うカバー体16を設ける。カバー体16の後端部には、耕耘体11の後方で整地作業をする整地体21を設ける。カバー体16の前端部には、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを目視確認するための目印手段31を設ける。目印手段31は、左右方向に並んで位置しそれぞれの下端が異なる高さに位置する複数の目印部36を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘体の耕耘深さを容易に目視確認できる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、トラクタ等の走行車の後部に連結される機体と、機体に設けられ耕耘作業をする耕耘体と、耕耘体の上方部を覆うカバー体と、耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さ(圃場面下深さ)を目視確認するための目印手段とを備えている。
【0004】
また、目印手段は、カバー体の前端部に下方に向かって突出状に設けられた前後方向に沿った板状の耕深確認ゲージにて構成されている。耕深確認ゲージは、板厚面である前面が上方から下方に行くに従い後方に後退した形状で、階段状の切欠部が複数設けてあるゲージ面を有し、このゲージ面の上方部にはカバー体の前端部への取付部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−330181号公報(第4頁の段落[0019]、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、目印手段である板状の耕深確認ゲージは、板厚面である前面が上方から下方に行くに従い後方に後退した形状で階段状の切欠部が複数設けてあるゲージ面を有するものであるため、走行車に乗った作業者からは、階段状の切欠部が見えにくく、耕耘体の耕耘深さを目視確認しずらいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さを容易に目視確認できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の農作業機は、走行車に連結される機体と、この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記カバー体の前端部に設けられ、前記走行車に乗った作業者が前記耕耘体の耕耘深さを目視確認するための目印手段とを備え、前記目印手段は、左右方向に並んで位置し、それぞれの下端が異なる高さに位置する複数の目印部を有するものである。
【0009】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、複数の目印部は、左右方向に間隔をおいて並んで位置するものである。
【0010】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、目印手段は、複数の目印部のそれぞれの上端を繋ぐ取付部を有し、前記取付部は、カバー体の前端部に取り付けられているものである。
【0011】
請求項4記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、複数の目印部は、左右方向に一体的に連続して並んで位置するものである。
【0012】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、複数の目印部は、カバー体に対して上下位置調整可能となっているものである。
【0013】
請求項6記載の農作業機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機において、複数の目印部は、走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置するものである。
【0014】
請求項7記載の農作業機は、走行車に連結される機体と、この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記カバー体の前端部に設けられ、前記走行車に乗った作業者が前記耕耘体の耕耘深さを目視確認するための目印手段とを備え、前記目印手段は、左右方向に並んで位置し、それぞれの上端が異なる高さに位置する複数の目印用切欠部を有するものである。
【0015】
請求項8記載の農作業機は、請求項7記載の農作業機において、複数の目印用切欠部は、左右方向に間隔をおいて並んで位置するものである。
【0016】
請求項9記載の農作業機は、請求項7記載の農作業機において、複数の目印用切欠部は、左右方向に一体的に連続して並んで位置するものである。
【0017】
請求項10記載の農作業機は、請求項7ないし9のいずれか一記載の農作業機において、複数の目印用切欠部は、カバー体に対して上下位置調整可能となっているものである。
【0018】
請求項11記載の農作業機は、請求項7ないし10のいずれか一記載の農作業機において、複数の目印用切欠部は、走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置するものである。
【0019】
請求項12記載の農作業機は、請求項7ないし11のいずれか一記載の農作業機において、目印手段は、耕耘体の前方部を覆う前カバー体の機能を兼ね備えているものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、走行車に乗った作業者から目印部が見やすいため、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さを容易に目視確認できる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、複数の目印部は左右方向に間隔をおいて並んで位置するため、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さをより一層容易に目視確認できる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、各目印部をカバー体に個別に取り付ける必要がなく、カバー体への取付作業の容易化を図ることができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、複数の目印部は左右方向に一体的に連続して並んで位置するため、各目印部をカバー体に個別に取り付ける必要がなく、カバー体への取付作業の容易化を図ることができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、複数の目印部はカバー体に対して上下位置調整可能となっているため、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、複数の目印部は走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置するため、走行車のタイヤが目視の邪魔にならず、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さをより一層容易に目視確認できる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、走行車に乗った作業者から目印用切欠部が見やすいため、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さを容易に目視確認できる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、複数の目印用切欠部は左右方向に間隔をおいて並んで位置するため、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さをより一層容易に目視確認できる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、複数の目印用切欠部は左右方向に一体的に連続して並んで位置するため、各目印用切欠部を個別に形成する必要がなく、複数の目印用切欠部を容易に形成できる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、複数の目印用切欠部はカバー体に対して上下位置調整可能となっているため、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、複数の目印用切欠部は走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置するため、走行車のタイヤが目視の邪魔にならず、走行車に乗った作業者が耕耘体の耕耘深さをより一層容易に目視確認できる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、目印手段は耕耘体の前方部を覆う前カバー体の機能を兼ね備えているため、目印手段とは別体の前カバー体を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図2】同上農作業機の平面図である。
【図3】同上農作業機の部分正面図である。
【図4】同上農作業機の目印部の正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の部分正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の目印部の正面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の目印部の正面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の目印部の正面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の目印部の正面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機の部分正面図である。
【図11】同上農作業機の目印用切欠部の正面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の目印用切欠部の正面図である。
【図13】本発明の第9の実施の形態に係る農作業機の目印用切欠部の正面図である。
【図14】本発明の第10の実施の形態に係る農作業機の正面図である。
【図15】本発明の第11の実施の形態に係る農作業機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図4を参照して説明する。
【0034】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタTの後部に連結して使用する代掻き作業機(耕耘整地装置)である。そして、農作業機1は、トラクタTの後部に連結された状態で、圃場においてトラクタTの前進走行により進行方向である前方に向かって移動しながら、代掻き作業(耕耘整地作業)を行う。
【0035】
農作業機1は、トラクタTの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体2を備えている。
【0036】
機体2は、トップマスト3およびロワアーム4等にて構成された3点連結部5を有し、この3点連結部5はトラクタTの3点リンク部に連結される。機体2は、左右方向中央部にギアケース部6を有し、このギアケース部6にて入力軸7が回転可能に支持されている。入力軸7は、トラクタTのPTO軸に動力伝達手段を介して接続される。
【0037】
機体2は、ギアケース部6に取り付けられた左右方向長手状の左右1対のフレームパイプ部8を有している。左側のフレームパイプ部8の一端部である左端部には、チェーンケース部9の上端部が取り付けられている。右側のフレームパイプ部8の他端部である右端部には、ブラケット部10の上端部が取り付けられている。
【0038】
そして、チェーンケース部9の下端部およびブラケット部10の下端部には、入力軸7側からの動力で左右方向の回転中心軸線を中心として所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリー式の耕耘体11が回転可能に架設されている。つまり、機体2には、左右方向長手状の耕耘体11が左右方向の回転中心軸線を中心として回転可能に設けられている。
【0039】
耕耘体11は、軸方向一端部である左端部がチェーンケース部9にて回転可能に支持されかつ軸方向他端部である右端部がブラケット部10にて回転可能に支持された左右方向長手状の回転軸である耕耘軸12と、この耕耘軸12のうちこの耕耘軸12の軸方向に所定間隔をおいた複数のフランジ部分に放射状に突設された複数の耕耘爪13とを有している。
【0040】
耕耘軸12は、チェーンケース部9内のチェーン、フレームパイプ部8内の伝動シャフトおよびギアケース部6内のギア等にて構成された動力伝達手段(図示せず)を介して入力軸7に接続されている。
【0041】
また、チェーンケース部9の上下方向中間部およびブラケット部10の上下方向中間部には、土が上方へ飛散しないように耕耘体11の上方部略全体を覆う略板状のカバー体(上カバー手段)16が架設されている。つまり、機体2には、耕耘体11にて耕耘された泥土等の土が上方へ飛散するのを防止する左右方向長手状のカバー体16が固設されている。カバー体16は、上方に向かって凸の略湾曲板状に形成されている。なお、カバー体16の左右方向長さ寸法は、耕耘体11の左右方向長さ寸法と略同じである。
【0042】
さらに、カバー体16の左右方向両端部には、土が側方へ飛散しないように耕耘体11の側方部を覆う前側板17および後側板18が固設されている。
【0043】
また、カバー体16の後端部には、耕耘体11の後方で整地作業をする左右方向長手状の整地体21が弾性板であるゴム板22を介して上下方向に回動可能に設けられている。整地体21は、上端部がカバー体16の後端部にゴム板22を介して取り付けられた略板状の第1整地板(均平板)23と、この第1整地板23の後端部に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地板(レーキ)24と、この第2整地板24の左右方向両端部に折畳および展開可能に取り付けられた略板状の延長整地板(延長レーキ)25とを有している。
【0044】
なお、整地体21と機体2とが整地体設定手段26にて連結されており、この整地体設定手段26の操作レバー27の操作によって整地体21が代掻き作業状態(機体2に対して上下回動可能なフリー状態)と土引き作業状態(機体2に対して固定されるロック状態)とに選択的に設定される。
【0045】
また一方、カバー体16の前端部には、トラクタTの運転席に乗った作業者(運転者)が耕耘体11の耕耘深さ(圃場面下深さ)Aを目視確認するための複数、例えば2つの目印手段31がカバー体16の前端部の下端から下方に向かって突出状に設けられている。つまり、カバー体16の前端部の2箇所(例えば左端近傍および右端近傍)には、目印手段31が取付手段32にて脱着可能に取り付けられている。なお、取付手段32は、例えばボルト33およびナット34である。
【0046】
ここで、各目印手段31は、図4に示されるように、進行方向に対して直交する方向である左右方向に等間隔をおいて並んで位置しそれぞれの左右方向一直線状の下端36aが異なる高さに位置する複数、例えば3つの上下方向長手状で帯状の目印部36を有している。
【0047】
目印部36の上下方向長さ寸法は、それぞれ異なり、外側方側から内側方側に向って徐々に長くなっている。なお、それとは反対に、目印部36の上下方向長さ寸法が外側方側から内側方側に向って徐々に短くなるようにしてもよい。目印部36は、例えば細長矩形状のゴム板或いは樹脂板等の弾性変形可能な弾性体、例えば弾性帯等にて構成されている。
【0048】
目印部36の上部が取付部37となっており、この取付部37が取付手段32にてカバー体16の前端部の前面にこの前面に沿って脱着可能に取り付けられている。つまり、複数の目印部36がそれぞれ個別にカバー体16に脱着可能に取り付けられている。
【0049】
そして、目印部36のうち取付部37以外の部分が、カバー体16の前端部の下端から下方に向かって突出し、耕耘体11の前方に位置している。また、目印部36の下端36aはそれぞれ異なる高さに位置するが、目印部36の上端36bはそれぞれ同じ高さに位置している。さらに、左右方向に互いに隣り合う目印部36間には隙間40があり、この隙間40は少なくとも隣り合う目印部36の対向する側端部同士が接触しない程度あればよい。
【0050】
目印部36は、トラクタTのタイヤ(例えば後輪)T1の後方位置、つまり正面視でタイヤT1と重なる位置から側方にずれて位置し、トラクタTの運転席に乗った作業者から目視可能な位置に位置している。
【0051】
なお、例えば図示しないが、目印部36がカバー体16に対して上下位置調整可能となるような構成としてもよい。
【0052】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0053】
圃場、すなわち例えば水を溜めた水田において、トラクタTの前進走行により農作業機1を前方に移動させると、耕耘体11にて耕耘作業が行われ、この耕耘体11の後方で整地体21にて整地作業が行われる。つまり、耕耘体11と整地体21とにて代掻き作業(耕耘整地作業)が行われる。
【0054】
この際、トラクタTの運転席に乗った作業者は、トラクタTに乗ったまま、目印手段31の目印部36を見て、耕耘体11の耕耘深さAを目視確認する。
【0055】
すなわち例えば、トラクタTの運転席に乗った作業者は、トラクタTの3点リンク部の作動で農作業機1をトラクタTに対して上下位置調整することにより、1回目の代掻き作業時には1番低い目印部36の下端36aを圃場面(圃場の水面)に一致させ、2回目の代掻き作業時には1番高い目印部36の下端36aを圃場面(圃場の水面)に一致させる。こうすることで、それぞれの代掻き作業時において、耕耘体11が圃場全体にわたって所望の耕耘深さAで耕耘作業を行うこととなる。
【0056】
そして、このような農作業機1によれば、従来の構成に比べて、トラクタTに乗った作業者から左右方向に並ぶ複数の目印部36、つまり耕耘体11の耕耘深さAの目安が見やすいため、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易かつ正確に目視確認でき、よって、適切な耕耘整地作業ができる。
【0057】
また、複数の目印部36は左右方向に間隔をおいて並んで位置するため、各目印部36は隣りの目印部36の曲げ弾性変形の悪影響をまったく受けず、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAをより一層容易に目視確認でき、しかも、目印部36が破損した場合には、その破損した目印部36のみを交換することができる。
【0058】
さらに、複数の目印部36はトラクタTのタイヤT1の後方位置から側方にずれて位置するため、トラクタTのタイヤT1が目視の邪魔にならず、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAをより一層容易に目視確認でき、しかも、タイヤT1の通過により形成される凹状のタイヤ跡の悪影響を受けることもない。
【0059】
また、複数の目印部36をカバー体16に対して上下位置調整可能とした場合には、目印部36の上下位置を調整することができ、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態を図5を参照して説明する。
【0061】
第2の実施の形態に係る農作業機1は、第1の実施の形態のものとは異なり、4つの目印手段31を備えている。
【0062】
正面視左側の2つの目印手段31は、トラクタTの進行方向右のタイヤT1の後方位置から内側方および外側方にそれぞれ少しだけずれて位置し、トラクタTの運転席に乗った作業者から目視可能な位置に位置している。同様に、正面視右側の2つの目印手段31は、トラクタTの進行方向左のタイヤT1の後方位置から内側方および外側方にそれぞれ少しだけずれて位置し、トラクタTの運転席に乗った作業者から目視可能な位置に位置している。なお、第2の実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0063】
そして、この第2の実施の形態に係る農作業機1でも、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易に目視確認できる等の作用効果を奏することができ、特に、タイヤT1の後方位置から外側方側にずれた目印手段31に関しては、トラクタTに乗った作業者は、トラクタTの側部に設けられたミラーを利用して簡単に見ることができる。
【0064】
なお、目印手段31の数は、2つや4つには限定されず、任意であり、例えば1つでもよく、3つ或いは5つ以上でもよい。
【0065】
次に、本発明の第3の実施の形態を図6を参照して説明する。
【0066】
第3の実施の形態に係る農作業機1の目印手段31は、第1の実施の形態のものとは異なり、複数の目印部36のそれぞれの上端を繋ぐ略矩形板状の取付部41を有し、この取付部41が取付手段32にてカバー体16の前端部に脱着可能に取り付けられている。つまり、複数の目印部36が取付部41によって一体化されており、目印手段31が所定形状に形成されたゴム板或いは樹脂板等の弾性変形可能な1つの弾性体にて構成されている。なお、第3の実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0067】
そして、この第3の実施の形態に係る農作業機1でも、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易に目視確認できる等の作用効果を奏することができ、しかも、この農作業機1は目印手段31が複数の目印部36のそれぞれの上端を繋ぐ取付部41を有する構成であるため、各目印部36をカバー体16に個別に取り付ける必要がなく、目印手段31のカバー体16への取付作業の容易化を図ることができる。なお、取付部41の形状は、任意であり、各目印部36の上端を繋ぐ左右方向長手状等でもよい。
【0068】
また、この第3の実施の形態においては、取付部41がカバー体16の前端部に上下位置調整できない状態で取り付けられているが、複数の目印部36がカバー体16に対して上下位置調整可能となるような構成としてもよい。
【0069】
例えば図7に示す第4の実施の形態に係る農作業機1の目印手段31のように、取付部41に上下方向長手状の長孔42が形成され、この長孔42に取付手段32のボルト33が挿入された構成等でもよい。
【0070】
また、例えば図8に示す第5の実施の形態に係る農作業機1の目印手段31のように、取付部41に上下方向に間隔をおいて並ぶ複数の略円形状の孔43が形成され、これら複数の孔43の中から選択された孔43に取付手段32のボルト33が挿入された構成等でもよい。
【0071】
これら図7および図8に示された目印手段31は、前記第1の実施の形態等とは異なり、下端36aが異なる高さに位置する4つの目印部36を有している。なお、目印部36の数は2つ以上であれば任意であり、5つや6つ以上でもよい。
【0072】
また、前記第1〜5の実施の形態では、複数の目印部36が左右方向に間隔をおいて並んで位置する構成について説明したが、例えば図9に示す第6の実施の形態に係る農作業機1の目印手段31のように、複数(例えば4つ)の目印部36が左右方向に一体的に連続して並んで位置する構成でもよい。つまり、この構成では、目印手段31を構成する弾性体の下端部が階段状に形成されている。なお、例えば図示しないが、目印部36がカバー体16に対して上下位置調整可能となるような構成としてもよい。
【0073】
そして、この第6の実施の形態に係る農作業機1でも、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易に目視確認できる等の作用効果を奏することができ、しかも、この農作業機1は目印手段31が複数の目印部36が左右方向に一体的に連続して並んで位置する構成であるため、各目印部36をカバー体16に個別に取り付ける必要がなく、目印手段31のカバー体16への取付作業の容易化を図ることができる。
【0074】
次に、本発明の第7の実施の形態を図10および図11を参照して説明する。
【0075】
第7の実施の形態に係る農作業機1は、第1の実施の形態等とは異なり、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを目視確認するためのものであって、土が前方へ飛散しないようにその耕耘体11の前方部を覆う前カバー体の機能を兼ね備えた目印手段51を備えている。
【0076】
目印手段51は、例えば左右方向長さ寸法がカバー体16の左右方向長さ寸法と略同じ左右方向長手状で略矩形状のゴム板或いは樹脂板等の弾性変形可能な1枚板状の弾性体である前カバー板52にて構成されている。
【0077】
そして、前カバー板52は、取付手段32にてカバー体16の前端部にこの前端部の下端から下方に向かって突出状に設けられている。つまり、前カバー板52の上部が取付部53となっており、この取付部53が取付手段32にてカバー体16の前端部の前面にこの前面に沿って脱着可能に取り付けられている。そして、前カバー板52のうち取付部53以外の部分が、カバー体16の前端部の下端から下方に向かって突出し、耕耘体11の前方に位置し、その結果、耕耘体11の前方部の略全体が前カバー板52にて覆われている。
【0078】
また、前カバー板52は、下方に向かって開口するように下端部の複数箇所、例えば4箇所に切欠形成され左右方向に一体的に連続して並んで位置しそれぞれの左右方向一直線状の上端56aが異なる高さに位置する複数、例えば3つの上下方向長手状で帯状の目印用切欠部56を有している。
【0079】
つまり、前カバー板52の下端部の4箇所には、連続した3つの目印用切欠部56が形成されており、各目印用切欠部56は、トラクタTのタイヤ(例えば後輪)T1の後方位置、つまり正面視でタイヤT1と重なる位置から側方にずれて位置し、トラクタTの運転席に乗った作業者から目視可能な位置に位置している。
【0080】
また、目印用切欠部56の上下方向長さ寸法は、それぞれ異なり、外側方側から内側方側に向って徐々に短くなっている。
【0081】
なお、例えば図示しないが、目印用切欠部56がカバー体16に対して上下位置調整可能となるように、前カバー板52に長孔等が形成され、前カバー板52がカバー体16の前端部に取付手段32にて上下位置調整可能に取り付けられた構成等としてもよい。
【0082】
そして、この第7の実施の形態に係る農作業機1でも、従来の構成に比べて、トラクタTに乗った作業者から左右方向に並ぶ複数の目印用切欠部56が見やすいため、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易かつ正確に目視確認できる等の作用効果を奏することができる。
【0083】
しかも、目印手段51である前カバー板52が耕耘体11の前方部略全体を覆う前カバー体の機能を兼ね備えているため、前カバー板52とは別体の前カバー体を設ける必要がなく、前カバー板52にて耕耘体11にて耕耘された土が前方へ飛散するのを防止でき、泥土等がトラクタTにかかるのを防ぐことができる。
【0084】
また、前カバー板52の下端側に下方に向かって開口状に切欠形成された複数の目印用切欠部56が、左右方向に一体的に連続して並んで位置するため、各目印用切欠部56を前カバー板52に個別に形成する必要がなく、複数の目印用切欠部56を容易に形成でき、前カバー板52の製造性が良好である。
【0085】
さらに、複数の目印用切欠部56はトラクタTのタイヤT1の後方位置から側方にずれて位置するため、トラクタTのタイヤT1が目視の邪魔にならず、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAをより一層容易に目視確認でき、しかも、タイヤT1の通過により形成される凹状のタイヤ跡の悪影響を受けることもない。
【0086】
また、複数の目印用切欠部56をカバー体16に対して上下位置調整可能とした場合には、目印用切欠部56の上下位置を調整することができ、圃場の状態等に適切に対応できる。
【0087】
なお、例えば図示しないが、各上端56aが異なる高さに位置する連続した複数の目印用切欠部56が前カバー板52の下端部の1箇所のみに形成された構成や、3箇所以上に形成された構成等でもよい。また、前カバー板52の各箇所に形成される目印用切欠部56の数は2つ以上であれば任意であり、4つ、5つや6つ以上でもよい。
【0088】
一方、前記第7の実施の形態では、複数の目印用切欠部56が左右方向に一体的に連続して並んで位置する構成について説明したが、例えば図12に示す第8の実施の形態に係る農作業機1の目印手段51のように、トラクタTのタイヤT1の後方位置から側方にずれた位置において、複数(例えば3つ)の目印用切欠部56が左右方向に等間隔をおいて並んで位置する構成でもよい。つまり、この構成では、左右方向に互いに隣り合う目印用切欠部56間には帯状部57があり、この帯状部57の幅寸法は目印用切欠部56の左右方向長さ寸法と略同じである。
【0089】
そして、この第8の実施の形態に係る農作業機1でも、トラクタTに乗った作業者が耕耘体11の耕耘深さAを一見して容易に目視確認できる等の作用効果を奏することができる。
【0090】
また、例えば図13に示す第9の実施の形態の目印手段51のように、前カバー体の機能を兼ね備えていない板状の弾性体である弾性板61に目印用切欠部56が形成された構成でもよい。
【0091】
さらに、前記いずれの実施の形態についても、例えば図14および図15に示すように、中央作業部71およびこの中央作業部71の左右方向両端部に折畳・展開可能に設けられた延長作業部72を有する3分割式の折畳式の農作業機1に適用することが可能である。
【0092】
図14に示す第10の実施の形態では、中央作業部71のカバー体16の前端部の2箇所には複数の目印部36を有する目印手段31が取り付けられ、中央作業部71のカバー体16の前端部のうち目印手段31が取り付けられていない部分には目印手段31とは別体の前カバー体73,74が取り付けられている。
【0093】
左右の各延長作業部72のカバー体16の前端部の1箇所には複数の目印部36を有する目印手段31が取り付けられ、延長作業部72のカバー体16の前端部のうち目印手段31が取り付けられていない部分には目印手段31とは別体の前カバー体75,76が取り付けられている。
【0094】
なお、4つの目印手段31は同じ形状であり、左側の目印手段31は右側の目印手段31を裏返して取り付けたものである。また、中央作業部71の前カバー体74と延長作業部72の前カバー体76とは同じ形状である。
【0095】
例えば図15に示す第11の実施の形態では、中央作業部71のカバー体16の前端部の2箇所には複数の目印用切欠部56を有する目印手段51である弾性板61が取り付けられ、中央作業部71のカバー体16の前端部のうち目印手段51が取り付けられていない部分には目印手段51とは別体の前カバー体81,82が取り付けられている。
【0096】
左右の各延長作業部72のカバー体16の前端部の1箇所には複数の目印用切欠部56を有する目印手段51である弾性板61が取り付けられ、延長作業部72のカバー体16の前端部のうち目印手段51が取り付けられていない部分には目印手段51とは別体の前カバー体83が取り付けられている。
【0097】
なお、4つの目印手段51は同じ形状であり、左側の目印手段51は右側の目印手段51を裏返して取り付けたものである。また、中央作業部71の前カバー体82と延長作業部72の前カバー体83とは同じ形状である。
【0098】
また、農作業機1は、代掻き作業機には限定されず、例えば畑や、水を溜める前の水田等の圃場において耕耘整地作業をするロータリー作業機等でもよい。
【0099】
さらに、目印手段31,51は、弾性変形可能な弾性体からなるものには限定されず、圃場側から受ける力では弾性変形しない鉄板等の金属板からなるものでもよい。
【0100】
なお、本発明の関連技術としては、例えば、耕耘体11の前方部を覆うカバー手段である前カバー体の高さの異なる位置に、円形、三角形、4角形等の孔部や、左右方向長手状の目印用凹部或いは目印用凹部等が設けられた構成等が考えられる。
【符号の説明】
【0101】
1 農作業機
2 機体
11 耕耘体
16 カバー体
21 整地体
31 目印手段
36 目印部
41 取付部
51 目印手段
56 目印用切欠部
A 耕耘深さ
T 走行車であるトラクタ
T1 タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される機体と、
この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記カバー体の前端部に設けられ、前記走行車に乗った作業者が前記耕耘体の耕耘深さを目視確認するための目印手段とを備え、
前記目印手段は、左右方向に並んで位置し、それぞれの下端が異なる高さに位置する複数の目印部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
複数の目印部は、左右方向に間隔をおいて並んで位置する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
目印手段は、複数の目印部のそれぞれの上端を繋ぐ取付部を有し、
前記取付部は、カバー体の前端部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
複数の目印部は、左右方向に一体的に連続して並んで位置する
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項5】
複数の目印部は、カバー体に対して上下位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
複数の目印部は、走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機。
【請求項7】
走行車に連結される機体と、
この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の上方部を覆うカバー体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記カバー体の前端部に設けられ、前記走行車に乗った作業者が前記耕耘体の耕耘深さを目視確認するための目印手段とを備え、
前記目印手段は、左右方向に並んで位置し、それぞれの上端が異なる高さに位置する複数の目印用切欠部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項8】
複数の目印用切欠部は、左右方向に間隔をおいて並んで位置する
ことを特徴とする請求項7記載の農作業機。
【請求項9】
複数の目印用切欠部は、左右方向に一体的に連続して並んで位置する
ことを特徴とする請求項7記載の農作業機。
【請求項10】
複数の目印用切欠部は、カバー体に対して上下位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一記載の農作業機。
【請求項11】
複数の目印用切欠部は、走行車のタイヤの後方位置から側方にずれて位置する
ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一記載の農作業機。
【請求項12】
目印手段は、耕耘体の前方部を覆う前カバー体の機能を兼ね備えている
ことを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−155943(P2011−155943A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22106(P2010−22106)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】