説明

農作物計測用の受止め支持装置

【課題】受止め支持されている状態で農作物の重量を良好に計測できるものでありながら、農作物の放出を良好に行える農作物計測用の受止め支持装置を提供する。
【解決手段】計測対象の農作物Nを受止め支持する水平姿勢と農作物Nを放出する傾斜姿勢とにわたり水平軸芯P3周りで揺動自在に載置部22が支持され、その載置部22が、計測対象の農作物Nを受止め支持可能で且つ水平姿勢にて重量計測装置19の計測作用部23に接当作用する作物受け部材24と、その作物受け部材24を保持しながら揺動自在に設けられた揺動保持部材25と、作物受け部材24を所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持する融通部26とを備えて構成され、揺動保持部材25を揺動操作すべく駆動操作自在な姿勢変更操作手段35が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測対象の農作物を受止め支持する水平姿勢と前記農作物を放出対象箇所に向けて放出する傾斜姿勢とにわたり水平軸芯周りで揺動自在に載置部が支持され、前記載置部に受止め支持されている状態で前記農作物の重量が重量計測装置により計測されるように構成された農作物計測用の受止め支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記農作物計測用の受止め支持装置の従来構成として、次のように構成されたものがあった。つまり、搬送コンベアにおける農作物載置用のものとして構成されており、前記載置部に相当するバケットが傾動部材を介して水平軸芯周りで揺動自在に支持され、傾動部材が、係止具にて係止保持されることにより水平姿勢に維持され、係止具による係止保持を解除すると自重で傾斜姿勢に切り換わり、バケットに載置している農作物を外部に放出させるように構成され、又、傾動部材に対して上下方向に沿って所定範囲内で移動自在にバケットが支持され、このバケットに受止め支持されている状態で農作物の重量を重量計測装置により計測することができるように構成されたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−278431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、係止具による係止保持を解除すると自重で載置部が傾斜姿勢に切り換わり、受止め支持している農作物を外部に放出させるように構成されるものであり、例えば、計測作業を長期にわたり実行すると、経年変化により傾動部材の揺動枢支部の摩擦抵抗が大きくなり揺動操作が円滑に行えないものとなり、傾動部材を傾斜姿勢へ切り換えて農作物を外部に放出させる作業が良好に行えなくなるおそれがあった。
【0005】
又、上記従来構成では、搬送コンベアにおける農作物載置用のものとして構成されており、搬送コンベアが移送するに伴って、重量計測装置による重量計測箇所を通過する際に、傾動部材に対してバケットを相対的に上方に移動するように案内しながら重量を計測することは可能であるが、例えば、このような受止め支持装置を、重量計測箇所に対して位置固定状態で設け、計測が終了したのち、計測が終了した農作物を例えば搬送コンベア上に放出させるような構成のものに適用すると、この構成では、重量計測装置による重量計測箇所と搬送コンベアにおける農作物載置箇所との間には所定の間隔を設ける必要があり、上述したような載置部が自重で傾斜姿勢に切り換わるものでは、農作物を搬送コンベア上に放出させることを良好に行えないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、載置部に受止め支持されている状態で農作物の重量を良好に計測することができるものでありながら、農作物の放出対象箇所への放出を良好に行えるようにすることが可能な農作物計測用の受止め支持装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る農作物計測用の受止め支持装置は、計測対象の農作物を受止め支持する水平姿勢と前記農作物を放出対象箇所に向けて放出する傾斜姿勢とにわたり水平軸芯周りで揺動自在に載置部が支持され、前記載置部に受止め支持されている状態で前記農作物の重量が重量計測装置により計測されるように構成されたものであって、その第1特徴構成は、前記載置部が、計測対象の農作物を受止め支持可能で且つ前記水平姿勢にて前記重量計測装置の計測作用部に接当作用する作物受け部材と、その作物受け部材を保持しながら前記水平姿勢と前記傾斜姿勢とにわたり前記水平軸芯周りで揺動自在に設けられた揺動保持部材と、前記作物受け部材を前記水平姿勢にて前記揺動保持部材に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持する融通部とを備えて構成され、前記揺動保持部材を前記水平姿勢と前記傾斜姿勢とにわたって揺動操作すべく駆動操作自在な姿勢変更操作手段が備えられている点にある。
【0008】
第1特徴構成によれば、計測対象の農作物が作物受け部材によって受止め支持され、この作物受け部材を保持する揺動保持部材が水平姿勢と傾斜姿勢とにわたり水平軸芯周りで揺動自在に設けられ、且つ、作物受け部材を水平姿勢にて揺動保持部材に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持する融通部が設けられるから、揺動保持部材が水平姿勢にあるときに作物受け部材に計測対象の農作物を受止め支持している状態で、作物受け部材が重量計測装置の計測作用部に接当作用して農作物の重量を計測することができ、姿勢変更操作手段によって駆動操作することによって、揺動保持部材を傾斜姿勢に切り換えて計測処理が終了した農作物を放出対象箇所に向けて放出させることができる。
【0009】
そして、作物受け部材が揺動保持部材に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在であるから、揺動保持部材が水平姿勢であり且つ作物受け部材に農作物を受止められている状態で、作物受け部材を重量計測装置の計測作用部に接当作用して農作物の重量を計測するときに、作物受け部材が揺動保持部材に対して相対的に上方に移動させた状態にすることで、作物受け部材と揺動保持部材との上下方向での縁を切ることができ、揺動保持部材による影響を受け難い状態で適正に農作物の重量を計測することが可能となる。
【0010】
上述したように、作物受け部材は重量計測装置に対して接当作用する構成であり、作物受け部材は重量計測装置から分離した状態で備えることが可能であり、又、揺動保持部材は重量計測装置と分離した状態で設けられるので、本装置を、既存の重量計測装置に対して特別な構造改良を加えることなく後付けで装着させることが可能である。
【0011】
そして、揺動保持部材が姿勢変更操作手段によって駆動操作されるので、長期の使用による経年変化により揺動保持部材が揺動し難い状態になることがあっても、姿勢変更操作手段の駆動力によって良好に姿勢変更させることができる。しかも、姿勢変更操作手段の駆動力によって姿勢変更させるものであるから、自重で揺動させるもののように揺動支点位置について特に制約を受けることがなく、例えば、揺動支点位置を横一側箇所に位置させて、揺動保持部材を傾斜姿勢に切り換える際に、大きく外方側に張り出すように姿勢変更させることも可能であり、受止め支持装置と放出対象箇所との間が離間していても、計測処理が終了した農作物を放出対象箇所に向けて良好に放出させることが可能となる。
【0012】
従って、載置部に受止め支持されている状態で農作物の重量を良好に計測することができるものでありながら、農作物の放出対象箇所への放出を良好に行えるようにすることが可能な農作物計測用の受止め支持装置を提供できるに至った。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、前記水平姿勢の前記揺動保持部材の下端が受止め規制されるように前記姿勢変更操作手段による操作範囲が設定されている点にある。
【0014】
第2特徴構成によれば、揺動保持部材は、姿勢変更操作手段によって駆動操作されることにより、水平姿勢と傾斜姿勢とにわたって水平軸芯周りで揺動するが、水平姿勢にあるときは揺動保持部材の下端が受止め規制されることになる。
【0015】
そして、作物受け部材は水平姿勢にて揺動保持部材に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持されるので、揺動保持部材の下端が受止め規制されている状態で、作物受け部材が重量計測装置の計測作用部に接当作用するとき、その接当作用によって下端が受止め規制されている揺動保持部材に対して、作物受け部材が上方に持ち上がった状態となるように位置を設定しておくと、揺動保持部材による影響を受けない状態で農作物の重量を精度よく計測することができる。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、前記作物受け部材における農作物排出箇所に、前記農作物を前記放出対象箇所に向けて載置案内する案内体が延長形成されている点にある。
【0017】
第3特徴構成によれば、揺動保持部材を傾斜姿勢に切り換えて、農作物を放出対象箇所に向けて放出させるときには、作物受け部材における農作物排出箇所に延長形成されていうる案内体により農作物が放出対象箇所に向けて載置案内されるので、農作物を傷つけるおそれの少ない状態で農作物の放出対象箇所への放出を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】農作物選別用設備の全体平面図である。
【図2】回収容器への排出状態を示す縦断正面図である。
【図3】計測部の縦断正面図である。
【図4】載置部の斜視図である。
【図5】載置部の縦断正面図である。
【図6】載置部の分解斜視図である。
【図7】傾斜姿勢の載置部の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明に係る農作物計測用の受止め支持装置を農作物選別用設備に適用した場合について説明する。
図1に、例えば林檎や蜜柑等の農作物Nを選別対象として、農作物Nの重量及び糖酸度を計測して、その計測結果に基づいて搬送しながら複数のランク別に仕分けて収集するように構成された農作物選別用設備が示されている。
【0020】
この設備は、農作物Nの重量や糖酸度を計測する計測部1が備えられ、その計測部1にて計測が終了した農作物Nを搬送コンベア2にて載置搬送しながら、予め複数のランクに対応させて備えられた複数の回収容器3のうちの農作物Nのランクに対応する回収容器3に向けて、計測が終了した被選別物を排出させるように構成されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、計測部1、搬送コンベア2、及び、複数の回収容器3の夫々は、支柱4によって床面5から所定高さに位置する状態で支持される構成となっており、作業者が農作物Nの供給作業等を楽な姿勢で行えるようになっている。
【0022】
搬送コンベア2は、電動モータ6により縦軸芯周りで回動する駆動スプロケット7と、縦軸芯周りで回動する従動スプロケット8とにわたって巻回されて一定方向に回動される無端体としての無端回動チェーン9に所定ピッチで複数の載置部材10が装着された水平循環式のバケットコンベアにて構成されている。
【0023】
載置部材10は、無端回動チェーン9の搬送方向に沿って適宜間隔をあけて並ぶ状態で設けられており、農作物Nを載置する水平姿勢と農作物Nを放出する傾斜姿勢とにわたり姿勢変更自在に無端回動チェーン9に支持されている。
すなわち、図2に示すように、載置部材10は、無端回動チェーン9に対して、その基端側が搬送方向に沿う水平軸芯P1周りで回動自在に枢支連結され、その基端側の枢支連結箇所から無端回動チェーン9の搬送経路の外方側に向けて片持ち状に延設される状態で設けられている。
【0024】
載置部材10は、無端回動チェーン9の搬送経路に沿って設けられた案内レール11(図3参照)によって水平姿勢で位置保持されるように構成されている。又、この案内レール11は、複数の回収容器3に対する回収場所に対応する箇所では一部切り欠かれた構成となっており、この回収場所に対応する箇所では、図2に示すように、載置部材10を水平姿勢で位置すべく受止め支持する状態と受止めを解除して載置部材10を傾斜姿勢に姿勢変化することを許容する状態とにわたり姿勢変更自在な係止部材12が設けられている。
【0025】
説明を加えると、係止部材12は、下方側に位置する基部12Aが支持フレーム13から延設されたブラケット14にて搬送方向に沿う水平軸芯P2周りで回動自在に枢支され、その基部12Aから上方に向けて載置部材10の底面に接当作用する作用部12Bが延設されている。
【0026】
この係止部材12は、載置部材10を水平姿勢で受止め支持する保持状態(図2の実線で示す状態)と、載置部材10が傾斜姿勢になるように退避する退避状態(図2の仮想線で示す状態)とにわたり回動自在に支持される構成となっており、しかも、コイルバネ15により保持状態になるように回動付勢されるとともに、コイルバネ15の付勢力に抗してソレノイド16によって引き操作されることにより、退避状態に切り換えることができるように構成されている。
【0027】
図1に示すように、搬送コンベア2の左右両横側部に搬送経路に沿って並ぶ状態で、計測部1と7個の回収容器3の夫々が備えられている。
計測部1には、搬送コンベア2の搬送経路に沿って並ぶ状態で2台の計測装置17が備えられ、図3に示すように、各計測装置17は、収納ケース18内にロードセル19(重量計測装置の一例)と糖酸度測定器20とを備えるとともに、本発明に係る農作物計測用の受止め支持装置21を備えて構成されている。
【0028】
受止め支持装置21は、計測対象の農作物Nを受止め支持する水平姿勢と農作物Nを放出対象箇所に向けて放出する傾斜姿勢とにわたり水平軸芯P3周りで揺動自在に載置部22が支持され、載置部22に受止め支持されている状態で農作物Nの重量がロードセル19により計測されるように構成されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、載置部22は、農作物Nを受止め支持可能で且つ水平姿勢にて、計測用ヘッド部23(ロードセル19の計測作用部に対応)に接当作用する作物受け部材24と、その作物受け部材24を保持しながら水平姿勢と傾斜姿勢とにわたり水平軸芯P3周りで揺動自在に設けられた揺動保持部材25と、作物受け部材24を水平姿勢にて揺動保持部材25に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持する融通部26とを備えて構成されている。
【0030】
すなわち、図6に示すように、揺動保持部材25は、平面視矩形状の支持枠部27と、その支持枠部27から横方向に一体的に延設される操作アーム28とを備えて構成されている。
支持枠部27は、上部側ほど外方に向かうように傾斜状に形成されて矩形状に連結された4つの傾斜板部分29と円形の挿通孔30が形成された底板部分31とからなり、4つの傾斜板部分29のうちの一つの傾斜板部分29aが他の傾斜板部分29bよりも幅広形状となるように延長形成されており、この幅広の傾斜板部分29aが農作物Nを放出対象箇所に向けて載置案内する案内体を構成している。
【0031】
図6に示すように、作物受け部材24は、底板部分31よりも上方に位置して外形寸法が挿通孔30よりも大径に設けられて農作物Nを直接受止め支持する上部側部材24Aと、底板部分31よりも下方に位置して挿通孔30よりも小径で且つ底板部分31の厚さより厚肉の小径部分24B1及び挿通孔30よりも大径の大径部分24B2を一体的に形成した下部側部材24Bとを、底板部分31を挟む状態で複数のボルト32で連結して構成されている。
【0032】
つまり、上部側部材24Aと大径部分24B2との間の上下間隔分だけ底板部分31に対して上下方向に相対移動自在で、且つ、抜け外れが阻止される状態で、底板部分31に保持される構成となっており、このような作物受け部材24の底板部分31に対する支持構造により、上部側及び下部側部材24A,24Bと底板部分31との間に融通部26が構成されている。
【0033】
又、揺動保持部材25の内面側及び作物受け部材24の上部載置面には、夫々、農作物Nが損傷しないように例えばスポンジ等からなる軟質のクッション材40を備えている。
【0034】
図4及び図5に示すように、幅広の傾斜板部分29aの外周面側における上部側箇所から外方に延設した一対の支持アーム33が、計測装置17の収納ケース18に設けられた一対の固定ブラケット34に対して水平軸P3周りで揺動自在に枢支連結される構成となっている。又、操作アーム28は、帯板をL形に折り曲げたアングル材からなり、幅広の傾斜板部分29aの外周面側における下部側箇所に固着されて、その幅広の傾斜板部分29aの板面方向に沿って外方に延びる状態で設けられている。この操作アーム28の延出側端部28aには、揺動保持部材25を水平姿勢と傾斜姿勢とにわたって揺動操作すべく駆動操作自在な姿勢変更操作手段としてのエアーシリンダ35が枢支連結されている。
【0035】
エアーシリンダ35は2台の計測装置17の夫々に各別に備えられるが、図1に示すように、各計測装置17の操作アーム28が互いに近づくように延設されており、2つのエアーシリンダ35を近接させた状態で配備する構成となっている。このようにして、駆動用のエアー配管を短くしてエアーシリンダ35の駆動構成を簡素化することが可能な配置構成としている。又、エアーシリンダ35が伸縮作動する箇所は、上方側を側面視円弧状のカバー体36にて覆ってある。
【0036】
エアーシリンダ35を伸縮操作することにより、揺動保持部材25が水平姿勢(図5参照)と傾斜姿勢(図7参照)とにわたって水平軸芯P3周りで揺動操作させることができるのであり、揺動保持部材25を水平姿勢にしている状態で、計測対象の農作物Nを受止め支持して、農作物Nの重量及び糖酸度を計測することができる。
【0037】
そして、水平姿勢の揺動保持部材25の下端が受止め規制されるように、エアーシリンダ35による操作範囲が設定されている。
説明を加えると、図5〜図7に示すように、収納ケース18の天板37に、計測用ヘッド部23が上方に向けて露出するように上下に挿通する円形の挿通孔38が形成され、天板37の上面における挿通孔38の外周部に周方向に沿って円環状のゴム板39が設けられ、水平姿勢に切り換えられた揺動保持部材25をこのゴム板39により受止めてそれ以上の移動を規制するように構成されている。尚、このとき、揺動保持部材25における平面視矩形状の支持枠部27における四隅の角部だけがゴム板39に接当作用して水平姿勢の揺動保持部材25の下端が受止め規制されることになる。
【0038】
水平姿勢の揺動保持部材25の下端が受止め規制されても、作物受け部材24は融通部26にて許容されている所定範囲内で上下方向に相対移動することが可能であり、挿通孔38を挿通する状態で計測用ヘッド部23に直接に接当作用することができ、揺動保持部材25による影響を受けない状態で農作物Nの重量を精度よく計測することができる。
【0039】
すなわち、図5に示すように、水平姿勢の揺動保持部材25の下端が受止め規制され、さらに、作物受け部材24の上部側部材24Aが計測用ヘッド部23の上端に接当作用している状態で、上部側部材24Aと底板部分31との間に所定の間隔で隙間が形成され、且つ、下部側部材24Bの大径部分24B2と底板部分31との間にも所定の間隔で隙間が形成されるように、エアーシリンダ35による操作範囲の下限位置、すなわち、揺動保持部材25の下限操作位置が設定されている。
【0040】
図7に示すように、エアーシリンダ35を伸長操作させて揺動保持部材25を傾斜姿勢に切り換えると、作物受け部材24に載置支持されている農作物Nを搬送コンベア2の放出対象位置に位置する載置部材10に向けて放出させることができる。
【0041】
このように農作物Nを搬送コンベア2に向けて放出させるとき、上述したように、支持枠部27における農作物Nの排出箇所に幅広の傾斜板部分29aが延長形成されていることから、揺動保持部材25と載置部材10との間の隙間を狭くすることができ、それらの隙間に農作物Nが挟まれて損傷する等の不利を回避できる。
【0042】
計測部1は、農作物Nの重量や糖酸度を計測するものであるが、農作物Nの重量の計測は、計測用ヘッド部23に上方側から荷重がかかると、その荷重の大きさをロードセル19によって計測することができるように構成され、又、図示はしないが、計測用ヘッド部23には、載置される農作物Nに向けて赤外光を照射するための照射部や内部を透過した光や反射した光を受光する受光部等が設けられ、受光部の受光情報に基づいて糖酸度測定器20が周知の計測手法である分光分析手法によって糖度や酸度を計測する構成となっている。
【0043】
作物受け部材24の上部側部材24Aには、計測対象となる農作物Nに対して赤外光を照射したり、透過光や反射光を受光するために、光通過用の通過孔41が形成されており、又、小径の農作物Nであっても適正に重量計測や糖酸度計測が行えるように支持する保持部42が設けられている。
【0044】
この農作物選別用設備には、計測部1の計測情報や搬送コンベア2の移動距離情報等に基づいて、搬送する農作物Nのランクを搬送位置と関連付けて管理して、計測が終了した農作物Nを搬送コンベア2により搬送しながら該当するランクの回収容器3に回収して収集するように、エアーシリンダ35、各ソレノイド16等の作動を制御する制御部(図示せず)が備えられている。
【0045】
この農作物選別用設備における農作物Nの選別処理について説明する。
先ず、外部からコンテナ等により貯留された多量の農作物Nが載置台43に載置される。そして、作業者が手作業により1個ずつ農作物Nを計測装置17における作物受け部材24上に載置させると、制御部は、ロードセル19の検出結果から農作物Nが載置されたことが判るので、すぐに、その計測対象となる農作物Nについて重量と糖酸度を計測する。そして、その計測結果からいずれのランクに相当するかが判定される。図示はしないが、このとき、計測装置17の操作パネル部17Aに計測結果(ランク)や計測が終了したことが表示される。
【0046】
計測が終了すると、エアーシリンダ35を伸長操作させて計測済みの農作物Nを搬送コンベア2の載置部材10に向けて放出する。このとき、搬送コンベア2における電動モータ6の回転状態をロータリーエンコーダ44にて計測して、農作物Nを載置してからの載置部材10の移動距離を管理するようになっており、計測装置17にて計測されたランクに対応する回収容器3に農作物Nが到達したことを判別すると、その箇所におけるソレノイド16を作動させて係止部材12を傾斜姿勢に切り換えて、農作物Nを載置している載置部材10を傾斜姿勢に姿勢変更させて、農作物Nを回収容器3に放出させるのである。
このような選別回収作業を繰り返して実行することにより、多数の農作物Nを複数のランク毎に仕分けて収集することができる。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、作物受け部材24における農作物排出箇所に傾斜板部分29a(案内体)が延長形成される構成としたが、このような構成に代えて、農作物排出箇所の傾斜板部分29aの幅を他の傾斜板部分29bと同じ幅に形成するものでもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、姿勢変更操作手段としてエアーシリンダ35が設けられる構成としたが、エアーシリンダ35に代えて、ネジ送り式の電動シリンダや油圧操作式のシリンダ、又は、減速機付きの電動モータ等を用いてもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、放出対象箇所として搬送コンベア2の載置部材10に被選別物Nを放出させるようにしたが、このような構成に代えて、位置固定状態の回収容器(図示せず)に放出させる構成として、手作業で振り分けするようにしたり、複数の搬送コンベア(図示せず)に振り分けて搬送させるようにする等、種々の構成を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、計測対象の農作物を受止め支持する姿勢と農作物を放出する姿勢とにわたり揺動自在な載置部を備えた農作物計測用の受止め支持装置に適用できる。
に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
19 重量計測装置
22 載置部
23 計測作用部
24 作物受け部材
25 揺動保持部材
26 融通部
29a 案内体
35 姿勢変更操作手段
N 農作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の農作物を受止め支持する水平姿勢と前記農作物を放出対象箇所に向けて放出する傾斜姿勢とにわたり水平軸芯周りで揺動自在に載置部が支持され、前記載置部に受止め支持されている状態で前記農作物の重量が重量計測装置により計測されるように構成された農作物計測用の受止め支持装置であって、
前記載置部が、計測対象の農作物を受止め支持可能で且つ前記水平姿勢にて前記重量計測装置の計測作用部に接当作用する作物受け部材と、その作物受け部材を保持しながら前記水平姿勢と前記傾斜姿勢とにわたり前記水平軸芯周りで揺動自在に設けられた揺動保持部材と、前記作物受け部材を前記水平姿勢にて前記揺動保持部材に対して所定範囲内で上下方向に相対移動自在に保持する融通部とを備えて構成され、
前記揺動保持部材を前記水平姿勢と前記傾斜姿勢とにわたって揺動操作すべく駆動操作自在な姿勢変更操作手段が備えられている農作物計測用の受止め支持装置。
【請求項2】
前記水平姿勢の前記揺動保持部材の下端が受止め規制されるように前記姿勢変更操作手段による操作範囲が設定されている請求項1記載の農作物計測用の受止め支持装置。
【請求項3】
前記作物受け部材における農作物排出箇所に、前記農作物を前記放出対象箇所に向けて載置案内する案内体が延長形成されている請求項1又は2記載の農作物計測用の受止め支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75733(P2013−75733A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215363(P2011−215363)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】