Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
農業用シート
説明

農業用シート

【課題】 保温性用のシートによって保湿性シートの吸水特性が損なわれず、保温性用のシートと保湿性や遮光性用のシートを同時にも選択的にも使用可能とする。
【解決手段】 農業用の温室内に配設される農業用シート1であって、長尺帯状のシート材により形成されるシート本体10と、シート本体10に重ねて配置される機能性シート20とを備え、シート本体10が、中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップフィルムと、キャップフィルムのキャップ開口側に積層されるバックフィルムと、キャップフィルムのキャップ膨出側に積層されるライナーフィルムとを備える三層の積層気泡シートからなり、当該気泡シートの一辺の縁部に三層のフィルムを圧着して平坦化したみみ部10aを備え、機能性シート20の一辺の縁部が、みみ部10aに重ねてシート本体10と固着される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニールハウスやガラス温室等の農業用の温室内で使用される農業用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野菜や果物等の農作物の育成・栽培には、ビニールハウスやガラス温室等の農業用の温室内での温室栽培が行われる。
温室栽培は、外気環境から遮蔽・遮断された温室内の温度や湿度、二酸化炭素濃度等を、生育・栽培する植物に適した条件・環境に維持・制御することができ、寒冷期の温度不足や雨期の過湿度等を排除し、また、病害虫等の発生を防除して、年間を通じて安定した植物の生育・栽培・収穫を行うことが可能となる。
このため、温室栽培は、生鮮野菜や果物等の農作物の育成・栽培に広く用いられている。
【0003】
ここで、温室栽培では、温室内全体の温度が所定の値に保たれるように制御されるとともに、温室内の特定のエリアや特定の作物ごとに、個別の温度制御や湿度制御,遮光制御等が行われることがある。
このような温室内での個別の温度制御や湿度制御,遮光制御等を行う場合、通常は特定の領域や特定の作物単位で農業用シートが配置され、シートで覆われた空間内を所定の温度や湿度,入射光量に保つようにすることが行われる。
【0004】
この種の農業用シートとしては、例えば保温性の高い樹脂製のシートや発泡シートを農作物の周囲にカーテン状やトンネル状、ハウス状に配置したり、直接シートを農作物に被せることで、シートで囲まれた空間内の温度低下を防止するようになっている。
また、吸湿性を有する不織布シートを農作物の周囲に配置し、農作物から発せられる水分・結露を吸収し、また、水滴が農作物や土壌等に落下・付着して病害や土壌汚染等が発生するのを防止することが行われている。
さらに、遮光性を有する不織布を利用して、農作物を不織布シートで覆うことにより、農作物への入射光量を制御することが行われる。
【0005】
以上のような農業用シートは、保温性の観点から樹脂製シートや発泡シートを備え、吸水性や遮光性の観点からは不織布シートを備えることが好ましい。
このため、従来の農業用シートでは、樹脂製(又は発泡)シートと不織布シートの双方を備え、両者を重ね合わせて全部又は一部を面状に接着・融着して一体化して一枚の農業用シートとして形成したものが用いられている。
このような樹脂製(又は発泡)シートと不織布シートが一体化された農業用シートとしては、例えば特許文献1,2に開示されているような農業用シートがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−019037号公報
【特許文献2】実開昭62−167549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のような農業用シートは、樹脂製シートと不織布シートとの全部又は一部が面状に接着・融着等されていたため、特に不織布シートの吸湿性が損なわれるという問題があった。
樹脂製シートには吸水性はほとんどなく、不織布シートに樹脂製シートが面状に接着等されると、樹脂製シートによって不織布が有する空隙が塞がれてしまい、不織布シートの吸水性が損なわれたり、不織布が吸い取った水分が樹脂製シートを伝って土壌に落下するという不具合が発生した。
【0008】
また、樹脂製シートと不織布シートとが面上に一体的に固着された農業用シートでは、樹脂製シートと不織布シートの一方のみを使用することは不可能であった。例えば、日照時間の長い夏場等などに、不織布シートによる吸水性や遮光性は必要となるが樹脂製シートの保温性は必要なく、むしろ樹脂製シートで覆われることで温度が上がりすぎてしまうような場合に、樹脂製シートと不織布シートとが一体的に固着された農業用シートでは、樹脂製シートを剥がして不織布シートのみを使用するようなことは不可能であった。
このため、従来の農業用シートでは、例えば保温性と保湿性の双方を同時に保持するような場合に使用局面が限られてしまい、シートの汎用性や利便性に欠けるという問題があった。
【0009】
さらに、樹脂製シートと不織布シートとが一体的に固着された農業用シートでは、樹脂製シートと不織布シートとを引き剥がして分離させることが困難乃至不可能であるため、リサイクル性にものみを使用するようなことは不可能であった。
樹脂製シートと不織布シートとは材質がことなり、廃棄,リサイクルする場合には分離・分別することが望ましい。
ところが、従来の農業用シートでは、樹脂製シートと不織布シートとの全部又は一部が接着や融着により面状に固着・接合されていたため、両者を剥がして分離することは非常に困難であった。このため、廃棄の際の分離・分別作業がきわめて煩雑乃至困難なものとなるとともに、リサイクル性に欠けるという問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、保温性用のシートと保湿性や遮光性用のシートの双方を備えつつ、保温性用のシートによって保湿性シートの吸水特性が損なわれず、また、保温性用のシートと保湿性や遮光性用のシートを同時にも選択的にも使用可能とし、材質の異なる複数のシートを容易に分離可能でリサイクル性にも優れた農業用シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明の農業用シートは、農業用の温室内に配設される農業用シートであって、長尺帯状のシート材により形成されるシート本体と、このシート本体に重ねて配置される機能性シートと、を備え、シート本体が、中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップフィルムと、キャップフィルムのキャップ開口側に積層されるバックフィルムと、キャップフィルムのキャップ膨出側に積層されるライナーフィルムと、を備える三層の積層気泡シートからなり、当該気泡シートの一辺の縁部に、三層のフィルムのうちキャップフィルムとバックフィルムの二層のフィルム、又はキャップフィルムとバックフィルム及びライナーフィルムの三層のフィルムを圧着して平坦化したみみ部を備え、機能性シートの一辺の縁部が、みみ部に重ねて又はみみ部近傍において、シート本体と固着される構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の農業用シートによれば、保温性用のシートと保湿性や遮光性用のシートの双方を備えつつ、保温性用のシートによって保湿性シートの吸水特性が損なわれず、また、保温性用のシートと保湿性や遮光性用のシートを同時にも選択的にも使用可能で、材質の異なる複数のシートを容易に分離可能でリサイクル性にも優れた農業用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る農業用シートの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る農業用シートのシート本体と機能性シートの固着構造を模式的に示す要部側面図であり、(a)は機能性シートの固着部をシート本体のフィルム三層を圧着させて形成したみみ部に重ねて固着した場合、(b)及び(c)は同じく固着部をみみ部の近傍に固着した場合、(d)は同じく固着部をシート本体のフィルム二層を圧着させて形成したみみ部に重ねて固着した場合を示している。
【図3】本発明の一実施形態に係る農業用シートの使用状態を示す要部斜視図であり、(a)は一枚の農業用シートをシート本体のみみ部側を支柱に巻装して留め具で固定した場合、(b)は二枚の農業用シートをシート本体のみみ部同士を紐状部材で締結して支柱に引っ掛けた場合を示している。
【図4】本発明の一実施形態に係る農業用シートの使用状態を模式的に示す斜視図であり、(a)は農業用シートのシート本体と機能性シートを重ね合わせた状態で農作物を覆う場合、(b)は(a)に示す状態からシート本体をめくり上げて機能性シートのみで農作物を覆う場合を示している。
【図5】本発明の一実施形態に農業用シートを農業用温室内に配置した状態を模式的に示す説明図であり、(a)は農業用シートを農作物の左右を覆うカーテン状に吊り下げて配置した場合、(b)は(a)で示す配置に対して更に農作物の上面を覆うように配置した場合、(c)は農作物の上面及び左右をハウス状に覆うように配置した場合を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係る農業用シートのシート本体を構成する積層気泡シートの例を模式的に示す説明図であり、三層気泡シートの概略要部斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る農業用シートのシート本体を構成する積層気泡シートの製造装置の一例を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る農業用シートのシート本体の縁部を圧着してみみ部を形成する製造工程の一例を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る農業用シートのシート本体のみみ部に機能性シートの固着部を固着する工程の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る農業用シートの実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る農業用シート1は、農業用の温室内に配設される農業用のシート部材であって、温室内に設置された農作物の畝や苗床の周囲近傍等に配設され、農業用シート1で覆った空間領域を所定の温度や湿度が保たれるようにし、また、当該領域への太陽光の入射光量を調整・制御するのに用いられるものである。
例えば温室内に同一又は異なる種類の農作物を所定の区画単位や畝単位で配設・定植する場合に、各畝単位や区画単位で農作物を取り囲むように農業用シート1を配置することにより、同一(単一)の温室において農業用シート1で覆われた領域・区間内の温度や湿度・入射光量を制御できるようにする。
【0015】
[温室]
本実施形態に係る農業用シート1が使用される温室は、例えばガラス温室やビニールハウス等、外気環境が遮蔽・遮断された室内において、所定の温度を維持・制御することで野菜や果物等の農作物を育成・栽培するための建物(ハウス)の一種であり、単に「ハウス」とも呼ばれる場合もある。
一般に、温室は、農作物を多数栽培可能な一定の広さの土壌・耕地の周囲空間を外気から遮蔽・遮断する簡易な建物・小屋によって構成される。
例えば、ガラス温室の場合、H鋼等の鋼材を柱・骨組みとして、その外面をガラスで被覆した構造となっており、一定の間隔で奥行き方向に柱を設置することで奥行き方向の長さ(広さ)を任意に設定することが可能となっている。
また、ビニールハウスは、木材や鋼材、鋼管等を躯体とし、合成樹脂のフィルムで外壁を被覆したもので、具体的には、所定の大きさ・形状に組まれた骨組みに対して、農業用ポリ塩化ビニル(農ビ)や、農業用ポリオレフィン(POフィルム)、耐候性に優れたフッ素フィルム(硬質フィルム)等を被覆する構造となっている。
【0016】
なお、ビニールハウスを単に「ハウス」と呼び、ガラス温室を「温室」と呼ぶことがあるが、本実施形態において「温室」という場合、ガラス温室、ビニールハウス、ハウスのいずれも含むものである。
また、温室,ハウスには、建物の全てをガラス、フィルムで覆う場合と、降雨による農作物への影響を防ぐためにハウス上面だけを覆う場合があるが、本実施形態に係る農業用シート1を使用する温室は、いずれの場合であっても良い。
また、温室,ハウスには、単体で独立した内部空間を形成する単棟型と、単棟型のハウスを横方向に連接して内部空間を共通化した連棟型とがあるが、本実施形態に係る農業用シート1が使用される温室は、いずれの場合であっても良いことはいうまでもない。
なお、温室内での農業用シート1の配置態様については、図5を参照して後述する。
【0017】
[農業用シート]
次に、以上のような温室内に設置されて使用される本実施形態の農業用シート1の構成について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る農業用シートの構成を示す斜視図である。
同図に示すように、長尺帯状のシート材により形成されるシート本体10と、このシート本体に重ねて配置される機能性シート20とを備えている。
【0018】
[シート本体]
シート本体10は、中空構造の積層気泡シートによって構成された例えば矩形状に形成・裁断されたシート部材である。
具体的には、シート本体10は、後述する図6に示すように、中空状に膨出する多数のキャップ11が形成されたキャップフィルム12と、キャップフィルム12のキャップ開口側に積層されるバックフィルム13と、キャップフィルム12のキャップ膨出側に積層されるライナーフィルム14とを備える三層の積層気泡シートからなっている。
このような積層気泡シートは、多数の気泡により保温性・断熱性に優れ、農作物の保温や温度制御に好適となる。また、積層気泡シートは、軽量かつ柔軟で、一定の剛性や強度を有し、また、ハサミやカッターで裁断・加工も容易で、農作物の畝や区画に合わせた配置が簡単に行える。
なお、積層気泡シートの詳細については、図6〜7を参照して後述する。
【0019】
そして、本実施形態に係るシート本体10は、積層気泡シートの一辺の縁部にみみ部10aを備えている。
みみ部10aは、シート本体10の一辺の縁部において、シート本体10を構成する積層気泡シートの三層のフィルム(図6参照)のうち、キャップフィルム12とバックフィルム13の二層のフィルム、又はキャップフィルム12とバックフィルム13及びライナーフィルム14の三層のフィルムを圧着して平坦化したものであり、シート本体10の縁部に沿って連続して形成されるようになっている。
みみ部10aの具体的な形成方法については、図8を参照して後述する。
【0020】
このようなみみ部10aを形成することにより、三層のフィルムからなるシート本体10が一辺縁部において剛性が高まり、後述するように温室内に配置した支柱に農業用シート1を取り付ける際に、支柱にみみ部10aを簡単に巻き付けることができ、シート固定用の金具等の装着も容易となり、農業用シート1の設置作業が容易に行えるようになる(図3〜5参照)。また、このとき、みみ部10aがシートの支柱巻付側を示す目印ともなり、農業用シート1の取付作業性が更に向上する。
また、みみ部10aによって三層のフィルムの開放された端縁が一辺において封止・閉鎖されるため、この一辺から積層気泡シートのキャップ間に形成される空間からの空気の流出がなくなり、シート本体10による保温性・断熱性を向上させることができる。
【0021】
また、このようなみみ部10aを備えることで、積層気泡シートの特性として厚みや弾力性,柔軟性のあるシート本体10の縁部に、三層(又は二層)のフィルムが圧着されて弾力性,柔軟性のなくなった平坦部が形成され、この平坦部を機能性シート20の取付しろ(固着しろ)として使用することができる。
これによって、機能性シート20を平坦化されたみみ部10aに対して確実に固着することができ、固着作業も容易に行えるようになる。
さらに、農業用シート1を廃棄する際、みみ部10aに沿って農業用シート1を切断することで、みみ部10aに固着された機能性シート20をシート本体10と分離させることができ、リサイクルの際のシート本体10と機能性シート20の分離・分別作業も容易に行えるようになる。
【0022】
また、本実施形態では、このような平坦化されたみみ部10aが備えられることを利用して、みみ部10aに紐止め用の貫通孔10bを形成してある。
三層のフィルムが積層されて多数の気泡が形成される積層気泡シートに対しては、紐を通すための孔を形成することは困難であるが、三層(又は二層)のフィルムを圧着して厚みや弾力性をなくしたみみ部10aに対しては、そのような貫通孔を形成することが可能となる。
【0023】
そこで、本実施形態では、このようなみみ部10aの特性を利用して、紐止めのための紐状部材を挿通可能な貫通孔10bをみみ部10aに形成するようにしてある。
本実施形態では、みみ部10aが連続する方向に沿って、複数の貫通孔10bを所定間隔等で形成するようにしてある。
このような貫通孔10bを設けることで、貫通孔10bに紐部材を挿通して温室内に設置された支柱等に縛って吊り下げたり固定したりすることができ、また、2枚の農業用シート1を貫通孔10bに挿通した紐部材で連結させて、2枚の農業用シート1を同時に配置・使用することができる(図3(b)参照)。
【0024】
なお、貫通孔10bは、後述するように、機能性シート20がみみ部10aに重ねて固着される場合には(図2(a),(d)参照)、機能性シート20も貫通するように形成される。但し、機能性シート20を構成する不織布や和紙,布の目が粗いような場合には、機能性シート20自体には貫通孔10bが貫通していなくても紐状部材の挿通は可能となる。従って、そのような場合には、貫通孔10bを機能性シート20に対して貫通させるよう形成しなくても良い。
また、みみ部10aに形成した貫通孔10bには、例えばはとめ,スリーブなどを装着することができ、このようにすると貫通孔10bに対する紐部材の挿通がより容易に行えるようになる。
【0025】
[機能性シート]
機能性シート20は、シート本体10に重ねて配置されるシート部材であり、シート本体10とほぼ同形,同大の矩形状等に形成・裁断されたシート部材となっている。
機能性シート20は、吸湿性を有するシート、遮光性を有するシート、また、吸湿性及び遮光性の双方を有するシート部材によって形成される。
具体的には、本実施形態に係る機能性シート20は、不織布、布、又は紙によって構成されている。一般に、不織布や布、紙(例えば和紙)は、吸湿性に優れており、また、不透明であり遮光性にも優れることから機能性シート20を構成するシート部材として好ましい。
【0026】
ここで、機能性シート20としては、不織布を用いることが好ましい。
不織布は、布(織編物)や紙と比較して、構成繊維間の空隙が大きく、吸湿性が良好であり、水蒸気を繊維間空隙に保持しやすいためである。
また、不織布は、同じ目付の布(織編物)や紙と比較したとき、繊維間空隙が大きく保温性が良好であるため、軽量化が図れ、取り扱いに優れるためである。
【0027】
不織布の目付は、10〜100g/m程度が好ましい。10g/m以上とすることにより、適度な強度を付与することができ、また、100g/m以下とすることにより軽量化が図れるうえコストを抑えることができる。
また、光透過性がより良好なものを得たい場合は、目付が10〜30g/m程度の不織布を用いるとよい。さらに、吸湿性(結露の防止)がより良好なものを得たい場合は、30〜70g/m程度の目付のものを用いるとよい。
【0028】
また、不織布は、耐候性を有するものが好ましく、不織布を構成する繊維が耐候剤を含んでいるものを好ましく用いることができる。
また、不織布には、親水性油剤が付与されているものを好ましく用いことができる。不織布が吸湿あるいは保持した水蒸気が気温低下に伴って液体化した際に、その水分を繊維間に保持しやすいためである。
また、機能性シートとして用いる不織布としては、連続繊維によって構成されるスパンボンド不織布を好ましく用いることができ、なかでも熱エンボス加工により多数の熱圧着部を有するスパンボンド不織布を好ましく用いることができる。
【0029】
不織布を構成する繊維としては、芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にポリエチレンが配された芯鞘型複合繊維によって構成される不織布を用いることが好ましい。なぜなら、この不織布は、シート本体と固着させる際に、ヒートシーラーにより容易に固着させることができるためである。
また、固着においては、鞘部のポリエチレンが接着剤として寄与し、芯部のポリエチレンテレフタレートはヒートシール加工による熱の影響を受けず繊維形態を維持しているため、固着された個所の強度を保持することができる。
なお、本実施形態においては、機能性シート20として、芯鞘型複合繊維によって構成されるスパンボンド不織布であるユニチカ株式会社製の商品名「エルベス」、商品名「パスライト」を好ましく用いることができる。
【0030】
また、機能性シート20としては、上記のような不織布以外にも、布や紙(例えば和紙)によって形成することができる。
機能性シート20は、シート本体10に重ねられて農作物に対する吸湿性や遮光性を発揮するものであり、布や紙も不織布と同様に吸湿性に優れ、また、不透明で遮光性にも優れることから機能性シート20を構成するシート部材として用いることができる。
なお、機能性シート20として布や紙を用いる場合、目付量については上述した不織布の場合に準じて設定することが好ましい。
【0031】
そして、以上のような機能性シート20は、シートの一辺の縁部が、上述したシート本体10のみみ部10aに重ねて又はみみ部10a近傍において、シート本体10と固着されるようになっている。
具体的には、機能性シート20は、シート本体10のみみ部10aに対応する一辺縁部が、みみ部10aの全部又は一部に重ねられて、又は、みみ部10a又はみみ部10aの近傍に沿ったシート本体10の表面に重ねられて、みみ部10aが連続する方向に沿って線状・帯状に固着されるようになっている(固着部20a)。
この機能性シート20とシート本体10(みみ部10a)との固着・接合は、ヒートシーラ等を使用した融着や、接着剤による接着、又は縫製によって行うことができる。なお、機能性シート20とシート本体10をヒートシーラを用いて融着する場合について、図9を参照して後述する。
【0032】
このような機能性シート20を備えることで、農業用シート1は、機能性シート20の吸湿特性により温室内における農作物周囲の水分が吸収され、農作物に対する湿度制御が行え、また、機能性シート20の遮光性能により農作物に対する入射光量を調整・制御することができる。
また、不織布や紙,布からなる機能性シート20は、軽量かつ柔軟で、ハサミやカッターで裁断・加工も容易で、農作物の畝や区画に合わせた配置が簡単に行える。
そして、このような機能性シート20を、シート本体10に対してシートの一辺縁部においてのみ接合することで、機能性シート20がシート本体10と面状に密着することがなくなり、機能性シート20は、シート本体10に対して自由度を持った状態で取り付けられることになる。従って、従来の農業用シートのようにシート本体10が機能性シート20に密着して機能性シート20の吸水特性が損なわれるようなことがなくなる。
【0033】
また、機能性シート20は、シート本体10と一辺縁部においてのみ固着されるため、機能性シート20は、シート本体10に対して展開させることが可能で、両シートを展開及び重ね合わせのいずれの状態でも使用が可能となる。
これによって、シート本体10と機能性シート20を重ね合わせてシート本体10の保温性能及び機能性シート20の保湿性能や遮光性能を同時に使用し、また、シート本体10と機能性シート20を展開させてシート本体10又は機能性シート20のいずれか一方のみを使用することができる。
さらに、一辺縁部において線状・帯状にのみシート本体10と接合される機能性シート20は、その固着部を容易に剥離することができ、シート本体10から簡単に剥離・分離させることができ、廃棄の際の分別・リサイクル作業がきわめて容易に行えるようになる。
【0034】
以上のような機能性シート20のシート本体10に対する固着・接合態様について、図2を参照して具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る農業用シートのシート本体と機能性シートの固着構造を模式的に示す要部側面図である。
まず、図2(a)に示すように、機能性シート20の固着部20aは、シート本体10のフィルム三層を圧着させて形成したみみ部10aに重ねて固着させることができる。
また、図2(b)及び(c)に示すように、機能性シート20の固着部20aは、シート本体10のみみ部10aに重ねず、みみ部10aの近傍に固着させることができる。同図(b)では、みみ部10aに接するシート本体10の表面に、また、同図(c)では、みみ部から離間してシート本体10の表面に固着した場合である。
さらに、図2(d)に示すように、シート本体10のフィルム二層を圧着させて形成したみみ部10aに対しても、機能性シート20の固着部20aをみみ部10aに重ねて(又はみみ部近傍に)固着することができる。
【0035】
[使用方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の農業用シート1の具体的な使用方法について、図3〜5を参照しつつ説明する。
まず、図3に示すように、本実施形態に係る農業用シート1は、温室に設置される支柱に吊り下げたり引っ掛けて設置・使用することができる。
図3(a)に示す例では、一枚の農業用シート1をシート本体10のみみ部10a側を支柱100に巻装して、巻装部分に留め具101を装着して固定している。シート本体10のみみ部10aは積層気泡シートが圧着・平坦化されており、支柱100への巻装、留め具101の装着は簡単に行えるようになる。
これにより、農業用シート1は支柱100からカーテン状に吊り下げられるようになり、農作物の周囲に所望の配置で設置することができる(図5参照)。
【0036】
図3(b)に示す例では、二枚の農業用シート1をシート本体10のみみ部10a同士を、みみ部10aに形成した貫通孔10bに紐状部材102を挿通し、紐状部材102を縛って二枚の農業用シート1を締結して支柱100に引っ掛けて設置している。
このようにすると、二枚の農業用シート1を締結・連結して使用でき、より広い面積に対して農業用シート1を配置でき、例えば支柱100に引っ掛けられるみみ部10aの締結部を頂点とした屋根状,傘状に農業用シート1を設置することができる。
なお、この場合、農作物と対向する面側に機能性シート20が来るように農業用シート1を配置する。
【0037】
また、農業用シート1は、図4(a)に示すように、複数の支柱100の間に掛け渡して設置することもできる。
同図に示す例では、水平方向に配置した二本の支柱100の一方に農業用シート1を固定し、他方の支柱に農業用シート1の反対側を掛けるようにして配置してある。
また、農業用シート1は、本体シート10と機能性シート20が重ね合わされた状態から、両シートを展開させた状態で使用することができる。
上述した図4(a)では、農業用シート1のシート本体10と機能性シート2を重ね合わせた状態で農作物を覆うことができるが、この状態から、図4(b)に示すように、シート本体10をめくり上げて展開させることで、機能性シート20のみで農作物を覆うようにすることができる。
【0038】
以上のように設置できる農業用シート1の温室内の配置例を図5において模式的に示す。
同図(a)に示す例では、農業用シート1を農作物の左右を覆うカーテン状に吊り下げて配置してある。
同図(b)に示す例では、上記(a)で示した配置に対して、更に農作物の上面を覆うように農業用シート1を配置してある。
また、同図(c)に示す例では、農作物の上面及び左右をハウス状に覆うようにして農業用シート1を配置している。
【0039】
なお、上記(a)〜(c)の各場合において、農業用シート1は、機能性シート20が農作物と対向する面側に位置するように配置する。これによって、シート本体10と機能性シート20を重ね合わせた状態で農作物を覆うことができるとともに、シート本体10をめくり上げて展開させることで、機能性シート20のみで農作物を覆うようにすることができる。
また、上記(a)〜(c)に示すように、温室内では農業用シート取付用の支柱が高さ方向に複数設置されることがあり、同図ではそれぞれ高さ方向に2本の支柱が配置される場合を示している。このような場合に、農業用シート1はシート本体10と機能性シート20とが一辺縁部においてのみ固着されているため、シート本体10と機能性シート20を高さ方向に複数配設された支柱の両側に分けて垂らすように配置できる。これによって機能性シート20の吸湿性・吸水性をより効果的に発揮させることができるようになる。
【0040】
[積層気泡シート]
次に、以上のような本実施形態の農業用シート1を構成する積層気泡シートについて説明する。
本実施形態に係る農業用シート1は、シート本体10の全ての部分が、ポリエチレンフィルムからなる積層気泡シートを用いて形成されるようになっている。
ここで、積層気泡シートを構成するポリエチレンフィルムの材料となるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル重合体などが例示できる。また、これらの材料を任意に混合して用いてもよい。
また、ポリエチレンフィルムの材料となる樹脂組成物には、農業用シート1の用途に応じて、非ハロゲン系の高級脂肪酸、高級脂肪族アミド、金属せっけん、グリセリンエステル等の滑剤、等のアンチブロッキング剤、フェノール系、りん系、BHT等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤、タルク、珪藻土、マイカ等の無機・有機充填剤、帯電防止剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0041】
農業用シート1のシート本体10を、このようなポリエチレンフィルムからなる積層気泡シートを用いて形成することで、農業用シート1のシート本体10によって仕切られた空間が連続する積層気泡シートによって覆われることになり、積層気泡シートの保温性により空間内の気温が保たれ、風等も防がれるとともに、半透明や有色透明,不透明の積層気泡シートによって遮光効果も得られる。
また、積層気泡シートは、軽量で柔軟性,可撓性に優れ、保管,運搬等が容易で、農業用シート1の非使用時にはロール状に巻いた状態で保管,運搬等が可能できわめて便利である。
【0042】
なお、農業用シート1で覆う空間の遮光性を高める場合には、積層気泡シートを不透明に形成することができる。その場合、例えば後述するバックフィルムやライナーフィルム(図6参照)が不透明となるように彩色することにより、不透明な積層気泡シートを形成することができる。
また、積層気泡シートの後述するバックフィルムやライナーフィルム(図6参照)の表面には、文字や絵,模様等を印刷等で表示することができ、例えば農業用シート1を使用する農家や業者名,農園名,土地名,農作物名等の文字を表示したり、農作物等を示す絵や図柄や模様などを表示させることができる。
【0043】
また、全体が積層気泡シートで形成される農業用シート1のシート本体10は、ハサミやカッター等で裁断することができ、設置する温室内のスペースや形状、農業用シート1で覆う高さや面積等に応じて、シート本体10を適宜裁断・加工することができ、汎用性,拡張性に優れた農業用シートを提供することができる。
なお、積層気泡シートはミシン目や切れ込み,ノッチ等の加工を施すことも容易であり、積層気泡シートで構成された農業用シート1の任意の箇所にミシン目や切れ込み,ノッチ等を形成することができる。これにより、形成したミシン目や切れ込み,ノッチに沿って積層気泡シートを容易かつ正確に切断することができ、農業用シート1の裁断性を向上させることができる。例えば、上述した機能性シート20の固着部20aが固着されるみみ部10aとシート本体10の間にミシン目や切れ込み,ノッチ等を形成することができ、これによって、固着されている機能性シート20を容易にシート本体10から切り離すことができるようになる。
さらに、全体が積層気泡シートからなる農業用シート1のシート本体10は、使用後においては、包装用材,緩衝材等に流用できる他、機能性シート20と分離したシート本体10はそのままリサイクルすることができ、分別作業や焼却処分等する必要もない。
【0044】
図6は、本実施形態に係る農業用シート1のシート本体10を構成するポリエチレンフィルムからなる積層気泡シートの例を模式的に示す説明図であり、三層気泡シートの概略要部斜視図である。
本実施形態に係る農業用シート1のシート本体10は、図6に示すように三層気泡シートを用いている。
同図に示すように、三層気泡シート(シート本体)10は、中空状に膨出する多数のキャップ11が形成されたキャップフィルム12と、キャップフィルム12のキャップ開口側に積層されるバックフィルム13とを備え、さらに、キャップフィルム12のキャップ膨出側にライナーフィルム14を積層した三層構造の積層気泡シートである。
【0045】
本実施形態では、このような三層気泡シートを農業用シート1のシート本体10として用いており、シート本体10は、いずれの面においても、キャップフィルム12のキャップ11が露出せず、バックフィルム13又はライナーフィルム14が存在してシート表面が平面状になるため、シート本体10のいずれの面の側に機能性シート20を重ね合わせて配置することができる。
また、シート表面にキャップシート12のキャップ11が露出しない三層気泡シートは、複数のキャップ間の隙間を伝わって水分が落下することがなく、機能性シート20の吸湿性・吸水性を損なうことなく、気泡シートによる保温性を発揮するようになる。
【0046】
[農業用シートの製造方法]
次に、以上のような本実施形態に係る農業用シート1の製造方法について、図7〜9を参照して説明する。
図7は、農業用シート1のシート本体10を構成する積層気泡シートの製造装置の一例を示す説明図である。本実施形態の農業用シート1のシート本体10に用いる積層気泡シートは、この図に示すような製造装置5を用いて製造することができる。
【0047】
同図に示す製造装置5は、図6に示した三層の積層構造の気泡シートを製造するための装置である。
積層気泡シートの各層の材料の一例を挙げると、例えば下記のものを用いることができる。但しこれらに限定されるものではない。
キャップフィルム12:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
バックフィルム13:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
ライナーフィルム14:LDPE及び/又はLLDPE
【0048】
製造装置5は、三つのフラットダイ51〜53と、成形ロール55と、三つの押圧ロール56〜58を備えている。
三つのフラットダイ51〜53は、それぞれ前述した樹脂材料を所定の厚みで押し出すことによって、フラット状のキャップフィルム12、バックフィルム13、及びライナーフィルム14が連続的に供給される。
キャップフィルム用のフラットダイ51から供給されたフラット状のキャップフィルム12は、成形ロール55に供給される。
成形ロール55には、外周面に多数のキャビティ孔551が設けられている。
各キャビティ孔551は、図示しない真空ポンプにつながっており、キャビティ孔551を真空吸引することにより、キャップフィルム12に中空状に膨出する多数のキャップ11が形成される。
【0049】
キャップ11が形成されたキャップフィルム12は、成形ロール55と押圧ロール56との間で、バックフィルム用のフラットダイ52から供給されるバックフィルム13と積層され、熱融着により一体化される。
その後、押圧ロール57と押圧ロール58との間で、ライナーフィルム用のフラットダイ53から供給されるライナーフィルム14が、キャップフィルム12のキャップ膨出側に積層され、熱融着により一体化される。
これにより、農業用シート1のシート本体10の製造に用いる原反状態の積層気泡シートが得られる。
【0050】
図8は、本実施形態の農業用シート1のシート本体10を製造する製造工程の一例を示す説明図である。
同図に示すように、農業用シート1のシート本体10は、原反状態の積層気泡シートの一辺長手方向の縁部にみみ部10aが形成されるようになっており、図8では、エンドレスシーラー6a,6bによって原反の一辺長手方向の縁部に沿って連続的にヒートシールが行われて、積層気泡シートのキャップシート12とバックシート13及びライナーフィルム14が加熱・圧着され、みみ部10aが形成されるようになっている。
【0051】
エンドレスシーラー6a,6bは、図8に示すように、シート本体10の一辺側の縁部に所定幅のみみ部10aを圧着形成できるように、みみ部10aに対応した所定幅の直線状に配設された2本一対の加熱部(ヒーター等)が備えられており、積層気泡シートの一辺側縁部を加圧しつつ加熱できるようになっている。
なお、図8においては、図示の便宜上エンドレスシーラーの構成を部分的・模式的に表している。
また、みみ部10aの融着用のシーラーとしては、エンドレスタイプ以外の間欠的・バッチ的に融着処理が行われるタイプのシーラーも使用可能である。
【0052】
この一対のエンドレスシーラー6a,6bの間にシート本体10を形成する積層気泡シートが押し出されていき、シート本体10を形成する積層気泡シートの一辺側の縁部がエンドレスシーラー6a,6bによって挟持,加圧された状態で加熱されることで、積層気泡シートのキャップシート12とバックシート13及びライナーフィルム14が融着・圧着され、シート本体10にみみ部10aが形成される。
積層気泡シートの一辺側にみみ部10aが形成されたシート本体10は、次工程において機能性シート20と固着・接合され(図9)、その後、みみ部10aが所定の長さとなるようにみみ部10aと直交する方向で裁断されて、農業用シート1が完成する。
【0053】
図9は、みみ部10aが形成されたシート本体10に対して、機能性シート20を重ね合わせて一辺縁部側を固着して農業用シート1を製造する製造工程の一例を示す説明図である。
同図に示すように、シート本体10と機能性シート20とが一辺側の縁部において固着・接合される農業用シート1は、原反状態のシート本体(積層気泡シート)10と機能性シート(不織布シート)20がそれぞれ用意され、これら二つ(2枚)のシート10,20が、それぞれ短手方向の端部及び長手方向の両縁部が位置合わせされた状態で重ね合わされ、この重ね合わされた状態の2枚のシート材(シート本体10,機能性シート20)に対して、エンドレスシーラー7a,7bによってシート材長手方向の一方の縁部が連続的にヒートシールされる。
【0054】
このエンドレスシーラー7a,7bは、図9に示すように、重ね合わされた2枚のシート材(シート本体10,機能性シート20)の長手方向縁部を連続的に融着できるように、シート材の長手方向と平行に配設された1本一対の加熱部(ヒーター等)が備えられている。このエンドレスシーラー7a,7bによってシート本体10,機能性シート20の重ね合わされた一側縁部が挟持,加熱されることで、シート本体10,機能性シート20の長手方向縁部に沿って一本の連続する融着部となる固着部20bが形成される。これにより、シート本体10と機能性シート20が重ね合わされた状態で固着・接合されて農業用シート1となる。
なお、このシート本体10と機能性シートの融着用のシーラーについても、エンドレスタイプ以外の間欠的・バッチ的に融着処理が行われるタイプのシーラーを使用することも勿論可能である。
【0055】
その後、以上のように形成された農業用シート1は、長手方向(みみ部10aが連続する方向)が所定の長さとなるようにみみ部10aと直交する方向で裁断され、あるいは裁断されずにロール状に巻かれて出来上がる。
なお、裁断されていない農業用シート1に対して、所定箇所において裁断し易いように一定の間隔等で易裁断加工(例えばノッチやミシン目加工等)を施しておくことができる。
ロール状に巻かれた農業用シート1は、ロール状のまま搬送,出荷,保管等されたり、ロールから所定の長さに引き出されて裁断された農業用シート1が個別に搬送,出荷,使用等されることになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の農業用シート1によれば、保温性用のシートとなるシート本体10と保湿性や遮光性用のシートとなる機能性シート20の双方を備えつつ、シート本体10と機能性シート20とは一辺縁部においてのみ固着・接合されており、シート本体10と機能性シート20とが面状に密着することはなく、両シートは互いに自由度を持ったまま吊り下げ等されることになる。
これによって、シート本体10が機能性シート20に密着することによって機能性シート20の吸水特性が損なわれるようなことがなくなり、シート本体10と機能性シート20双方の機能を有効に発揮させることができる。
【0057】
また、シート本体10と機能性シート20とは一辺縁部においてのみ固着・接合されていることから、シート本体10と機能性シート20とは重ね合わせた状態から両シートを展開させた状態とすることができ、展開及び重ね合わせが自由に行えるようになる。
このため、シート本体10と機能性シート20を重ね合わせた状態で、シート本体10の保温性能及び機能性シート20の保湿性能や遮光性能を同時に使用することができ、また、シート本体10と機能性シート20を展開させることで、シート本体10又は機能性シート20のいずれか一方のみを使用することもできる。このように、本実施形態の農業用シート1は、シート本体10及び機能性シート20を同時にも選択的にも使用することが可能であり、農業用シートとしての利便性,汎用性,拡張性等を大幅に向上させることができる。
【0058】
さらに、一辺縁部においてのみ固着・接合されているシート本体10と機能性シート20は、一辺縁部の固着部を剥離することにより、また、一辺縁部の固着部のみを切断することにより、両シート10,20をきわめて容易に分離することができる。
このように、本実施形態に係る農業用シート1では、材質の異なる2枚のシート10,20が容易に分離可能となっており、廃棄の際の分別作業がきわめて容易となり、リサイクル性にも優れた農業用シートを提供することができる。
【0059】
以上、本発明の農業用シートについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る農業用シートは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ビニールハウスやガラス温室等の農業用の温室内で使用される農業用シートとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 農業用シート
10 シート本体
10a みみ部
11 キャップ
12 キャップフィルム
13 バックフィルム
14 ライナーフィルム
20 機能性シート
20a 固着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用の温室内に配設される農業用シートであって、
長尺帯状のシート材により形成されるシート本体と、
このシート本体に重ねて配置される機能性シートと、を備え、
前記シート本体が、
中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップフィルムと、前記キャップフィルムのキャップ開口側に積層されるバックフィルムと、前記キャップフィルムのキャップ膨出側に積層されるライナーフィルムと、を備える三層の積層気泡シートからなり、当該気泡シートの一辺の縁部に、前記三層のフィルムのうち前記キャップフィルムとバックフィルムの二層のフィルム、又は前記キャップフィルムとバックフィルム及びライナーフィルムの三層のフィルムを圧着して平坦化したみみ部を備え、
前記機能性シートの一辺の縁部が、前記みみ部に重ねて又は前記みみ部近傍において、前記シート本体と固着されることを特徴とする農業用シート。
【請求項2】
前記機能性シートの一辺の縁部が、融着、接着、又は縫製により前記シート本体と固着される請求項1記載の農業用シート。
【請求項3】
前記機能性シートが、遮光性及び/又は吸湿性シートからなる請求項1又は2記載の農業用シート。
【請求項4】
前記機能性シートが、不織布、布、又は紙からなる請求項1乃至3のいずれか一項記載の農業用シート。
【請求項5】
前記シート本体のみみ部に、紐止め用の貫通孔を備えた請求項1乃至4のいずれか一項記載の農業用シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−99291(P2013−99291A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245346(P2011−245346)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】