説明

近赤外分光法によるグルコースの非侵襲的測定のためのコンパクな装置

【課題】組織サンプルの皮膚層をターゲットにするように最適化され、スペクトルの測定における脂肪バンドからの干渉を最小にした光学プローブを提供すること。
【解決手段】近赤外スペクトロメータベースのアナライザは、人間の被験者に、連続的または半連続的に取り付けられ、かつグルコース濃度などの、サンプルされた組織の生体パラメータを決定するためのスペクトルの測定を集める。アナライザは、脂肪層からの干渉を最小にするように、サンプルされる組織の皮膚層をターゲットにするように最適化された光学システムを含む。光学システムは、少なくとも1つの光学プローブを含む。各プローブの光学経路および検出ファイバの間隔とプローブ間の間隔は、脂肪皮下層のサンプリングを最小にし、かつ皮膚層から後方散乱されてきた光の集光を最大にするように、最適化される。進入深さは、経路および検出ファイバ間の距離の範囲を制限することにより、最適化される。脂肪層のサンプリングを最小にすることにより、脂肪バンドによりもたらされる干渉は、サンプルスペクトルにおいて大幅に減らされ、このことにより、S/N比が大きくなる。複数のプローブの提供は、また、配置誤差に起因するサンプルスペクトルにおける干渉を最小にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、近赤外分光法による生体パラメータの非侵襲的測定に関する。より詳細には、本発明は、検体サンプルの照射のための光ファイバの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年くらいにわたって、近赤外(NIR)分光法は、食品および農業産業において、挽いて粉末にされた小麦および他のサンプルを分析するために使用されてきた。例えば、非特許文献1を参照されたい。さらに最近では、NIRは、処方薬の非破壊モニタリングおよび生物組織内の検体の経皮的測定など、薬学および生物医学的応用における使用が増加していることがわかっている。非特許文献2および非特許文献3、および非特許文献4および非特許文献5、または非特許文献6を参照されたい。NIR測定は、サンプルを通して広帯域のNIR光を導き、かつ入射光のスペクトルを、サンプルを出る光のスペクトルと比較することにより行われる。計算された吸光スペクトルは、サンプルの光学濃度の測定量を、NIR波長の関数として提供する。個々の化学的種は、固有の形状のNIRスペクトルのプロフィールを有し、一般的には、他の種のスペクトルの特徴とオーバーラップし、サンプルに含まれる全てのNIR活性な成分のスペクトルのシグネチャーから成る複雑な集合体スペクトルになる。個々の種のスペクトルの寄与は、多変量数学的処理を使用して、定量的に評価することが可能である。
【0003】
NIR測定の利点は、サンプルの非破壊性、非侵襲的分析、高S/N比、サンプルの深い進入、および光ファイバテクノロジを使用するオプションを含む。欠点の中で、最も明らかなものは、サンプル構成物質の特徴的にオーバーラップされたNIRスペクトルバンドに起因する正確さに欠ける選択性である。高度にオーバーラップされたスペクトルバンドは、関連した検体情報を抽出することができるモデルを開発するための関連したグルコース値と共に、多変量較正数学的処理および相当な数の較正スペクトルの使用を必要とする。
【0004】
当業者には明らかであるが、光を放ち、かつ人間の皮膚等の組織サンプルから光を集めるように設計されたプローブのインタフェースでの検出光ファイバおよび照射光ファイバのサイズ、配置および数は、受信される信号に著しく影響を与える。
【0005】
様々な試みが、照射しかつ組織サンプルから光を集めるデバイスを提供するために、従来行われてきた。例えば、特許文献1および特許文献2を参照されたい。
【0006】
しかしながら、このような公知のデバイスは、十分な結果をもたらしていない。特に、従来技術デバイスは、組織測定部位での皮膚厚さにおける変動を補正することに不成功であった。従って、照射ビームは、しばしば、皮膚に過度に進入し、過剰な光が脂肪層に移動する。結果として生じる脂肪バンドは、結果として生じるサンプルスペクトルにおける、ノイズおよび干渉のレベルを増加させる。組織サンプルの皮膚層をターゲットにするように最適化され、スペクトルの測定における脂肪バンドからの干渉を最小にした光学プローブを提供することは、重要な技術的進歩を与えるであろう。
【0007】
【特許文献1】K. Maruo、K. Shimizu、M. Oka、「血液中グルコース濃度の非侵襲的決定のためのデバイス(Device for Non-invasive determination of glucose concentration in blood)」、欧州特許出願第0843986号
【特許文献2】R. Nordstrom、 M. Modell、 A. Zelenchukおよび R. Nordstrom、 M. Modell、 A. Zelenchuk、「サンプルの光学的検査のためのシステムおよび方法(Systems and methods for optical examination of samples)」、米国特許出願第6,411,838号明細書(2002年6月25日)
【特許文献3】J. Garside、S. Monfre、 B. Elliot、 T.Ruchti、 F. Grochoki、「分光分析で用いるための光ファイバ照射および検出パターン、形状、および位置(Fiber optic illumination and detection patterns, shapes and locations for use in spectroscopic analysis)」、米国特許出願第09/415,389号明細書 (1999年10月8日)
【特許文献4】米国特許第6,411,373号明細書(2002年6月25日)
【非特許文献1】P. Williams、 K. Norris, eds.、「農業および食品産業における近赤外技術(Near-Infrared Technology in the Agricultural and Food Industries)」、American Association of Cereal Chemists, St. Paul MN、1987年
【非特許文献2】C. Horland、B. Davies;Proc. SPIE 1320、46 巻、1990年
【非特許文献3】R. Robinson R. Eaton、 R. Haaland、 G. Koepp、 E. Thomas、 B. Stallard、 P. Robinson;Clin. Chem、38巻、1618〜1622ページ、1992年
【非特許文献4】J. Burmeister、M. Arnold、G. Small;Diabetes Technology and Therapeutics、 1巻、 5〜16ページ、2000年
【非特許文献5】S. Malin、T. Ruchti、T. Blank、S. Thennadil、S. Monfre;Clin Chem、45巻、1651〜1658ページ、1999年
【非特許文献6】O. Khalil;Clin Chemv、45巻、165〜177 ページ、1999年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コンパクトなアナライザを用いた、生体パラメータのモニタリングを含む。好適な装置は、人間の被験者に連続的または半連続的に取り付けられ、かつサンプリングされた組織の生体パラメータを決定するために使用されるスペクトルの測定を集めるスペクトロメータベースのシステムである。好適なターゲット検体は、グルコースである。好適なアナライザは、身体におけるグルコース濃度を決定するための近赤外ベースのグルコースアナライザである。
【0009】
アナライザは、脂肪層からの干渉を最小にするために、サンプルされる組織の皮膚層をターゲットにするように最適化された光学システムを含む。皮膚サンプリング光学システムは、複数の光学プローブを含む。各プローブの照射ファイバおよび検出ファイバの間隔とバンドル間の間隔は、脂肪皮下層のサンプリングを最小にし、かつ皮膚層から後方散乱されてきた光の集光を最大にするように最適化される。本発明は、照射ファイバおよび検出ファイバ間の距離の範囲を制限することにより、進入深さを最適化する。脂肪層のサンプリングを最小にすることにより、脂肪バンドによりもたらされる干渉は、サンプルスペクトルにおいて大幅に減らされ、このことにより、ターゲット検体に対するS/N比が大きくなる。複数のプローブの提供は、また、配置誤差に起因するサンプルスペクトルにおける干渉を最小にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施例は、ベース・モジュールに結合されたサンプリング・モジュールを使用する。サンプリング・モジュールは、白熱灯をベースとする照射システムを含む。ベース・モジュールは、回折格子および検出器アレイを含む。ベース・モジュールは、通信バンドルによりサンプリング・モジュールに接続可能である。本明細書において、組み合わされたサンプリング・モジュール、通信バンドル、ベース・モジュール、および関連した電子機器およびソフトウェアは、スペクトロメータおよび/またはグルコースアナライザと称される。図1において、サンプリング・モジュール10は、被験者12の前腕に半永久的に取り付けられ、通信バンドル14は、テーブル上に位置するベース・モジュール16へ、および/または、から光学信号および/または電気信号を運び、および通信バンドルは、電力をベース・モジュールからサンプリング・モジュールへ運ぶ。
【0011】
非侵襲的グルコースアナライザのブロック図が、図2に提供される。グルコースアナライザの必須の素子は、放射源21、放射源をサンプルに結合させ、およびサンプルを1つまたは複数の検出器23に結合させるための、サンプルの前および/または後のガイド光学部品14、1つまたは複数の検出器およびそれらに関連した電子機器24、およびデータ処理システム25である。図2には、オプションの光学フィルタ30、光ブロッカ31、および標準化物質32が、示される。これらのコンポーネントは、サンプルの後かつ検出器の前に配置してもよい。この単純なブロック図のバリエーションを、当業者であれば、容易に認識し、理解する。
【0012】
サンプリング・モジュール、ベース・モジュール、および通信バンドルは、ここで、さらに説明される。本発明の重要な特徴は、以下を含むことができるが、これらに限定されない:
薄型サンプリングインタフェース34、サンプルされる部位のすぐ近くの低ワット数の安定化放射源21、励起集光キャビティまたは光学部品、ガイド、フルオリナート (3M COMPANY、St. Paul MN) などの、予熱されたインタフェース溶液(interfacing solution)、温度制御された皮膚サンプル、サンプリングされた皮膚組織に一定圧力および/または一定変位を与えるためのメカニズム、光刺激放射源、および集光光学部品または集光ファイバ、のうち少なくとも1つを組み込んだ半永久的患者/計器インタフェースサンプリングモジュール10。
【0013】
好適な実施例において、サンプリング・モジュールは、皮膚測定部位から2センチメートル未満しか突き出ない。サンプリング・モジュールは、人体のサンプリング位置に半永久的に取り付け可能なガイドとインタフェースすることができる。ガイドは、最小の擾乱で反復可能に、サンプリング・モジュールを、組織測定部位に、連続的および/または周期的に、物理的および光学的に結合する助けとなる。更に、サンプリング・モジュールと組み合わせたガイドは、鏡面反射を減少させ、適切な皮膚温度変動に近づけ、維持し、および皮膚水和変化を誘発する目的で、皮膚へのサンプリングデバイスの適切なコンタクトを提供するための、サンプル部位の前処理としての役目を果たす。サンプリング・モジュールは、皮膚のサンプリングされた領域から拡散反射された、または透過屈曲された信号を集めることが好ましい。
【0014】
好適な実施例において、ベース・モジュールまたは半遠隔システムは、少なくとも 回折格子35などの波長選択デバイス、およびポリスチレンなどのオプションの波長参照標準36と、99%以上の反射率を持つLabsphere(登録商標)ディスクなどのオプションの強度参照標準とを有する検出器アレイであることが好ましい検出器を含む。この遠隔システムは、少なくとも光学信号およびオプションで電力を運ぶ通信バンドル14を介して、サンプリング・モジュールに結合されている。さらに、通信バンドルは、サンプリング・モジュールと遠隔システムとの間で、制御信号およびモニタリング信号を伝送することも可能である。遠隔システムは、埋め込み型コンピュータ25、ディスプレイ37、および外部コンピュータシステムに対するインタフェースのうち少なくとも1つを有する。遠隔システムは、ガイド素子のすぐ近くにあってもよい。
【0015】
本発明の一バージョンにおいて、サンプリング・モジュールとベース・モジュールは、コンパクトなハンドヘルドのユニットに一緒に統合される。通信バンドルは、2つのシステム間に統合される。
【0016】
本発明のサンプリング・モジュールの一バージョンが、図3に示される。ハウジング301は、シリコン製である。ランプ302は、反射鏡303に結合された0.8Wタングステン・ハロゲン放射源(Welch-Allyn 01270)である。フォトダイオード309は、ランプをモニタし、ランプ出力制御回路の使用により、特に電源投入直後に、その出力を安定に保つために使用される。反射鏡、従って、入射光は、集光ファイバのための空間を与えるために、皮膚に対する垂線から角度6度ずらして中心が合わせられている。光は、1 mm厚のシリコンウインドウ306を通って皮膚上のアパーチャへ集光される。シリコンは、ロングパス・フィルタとして動作する。皮膚の照射されるアパーチャは、直径が2.4 mmである。サンプリング部位への位置決めは、ガイドによって行われる。患者サンプリング・モジュールは、再現可能な接触圧およびサンプリング位置のために、ガイドに可逆的に結合する。磁石312は、プローブの位置決めを助けるために、ガイドアパーチャへのプローブの適正な進入を保証するために、およびサンプルされる皮膚308の一定圧力および/または一定変位インタフェースを可能にするように、ガイド内で使用される。ガイドへのサンプリング・モジュールの結合の可逆的な性質は、サンプリング・モジュールを、取り外し、かつ同じガイドインタフェースを有しかつベース・モジュールとともに収容されることが好ましい強度参照および/または波長参照に結合することを可能にする。好適な強度参照は、99%以上の反射率を持つLabsphere(登録商標)物質であり、および好適な波長参照は、ポリスチレンである。好適なサンプリング・モジュールは、皮膚を一定温度に維持するためのヒータ309を使用する。600 μm検出ファイバ310は、シリコンウインドウの中央から拡散反射された光を集める。検出ファイバは、放射源からのフォトンがクラッドを通ってコアに進入することをブロックするように、被覆される。例えば、金属シースを、検出ファイバの周りに、配置してもよい。この構成において、検出ファイバの長さは、0.7メートルである。通信バンドルは、ベースユニットからの電力供給を含む。検出器の暗電流またはベースラインの検出を可能にするためのブロッキングメカニズムを、含むことも可能である。回折格子、検出器アレイ、それらに関連した電子機器、およびそれらに関連したソフトウェアを組み込んだベース・モジュールが、このバンドルを介して、サンプリング・モジュールに結合される。この構成において、サンプリング・モジュールは、腕から約3インチ延在する。
【0017】
好適な実施例において、これらのコンポーネントの多くは、オプションおよび/または可変であることが理解されるべきである。いくつかの特定のバリエーションが、このセクションで記載される。このセクションで議論されるコンポーネントまたは特性は、本発明の範囲および意図を変えることなく、変更可能であり、または幾つかのケースにおいて、削除可能であるということが、認識される。
【0018】
好適な実施例において、ベース・モジュールは、テーブル上に据えられており、サンプリング・モジュールは、前腕の背面側に半永久的に取り付けられたガイドによってインタフェースし、および通信バンドルは、2つのモジュール間で電力および光学信号を運ぶ。これに代えて、ベース・モジュールは、人に、例えばベルトに装着可能である。サンプリング・モジュールは、手、指、掌の領域、親指の付け根、前腕、前腕の手掌側、前腕の背面側、上腕、頭、耳たぶ、目、舌、胸、胴、腹部領域、大腿部、ふくらはぎ、足、足の裏領域、およびつま先の何れかに結合可能であろう。ベース・モジュールがテーブル上にある時、そのプラグを、電力供給のため標準の壁のコンセントに差し込んでもよい。人に装着される時、そのモジュールは、バッテリから電力を供給することができる。ベース・モジュールが人に装着されている時、オプションのドッキング・ステーションは、電力供給およびデータ分析のために以下に記載されるように設けることが可能である。ここで、ベース・モジュールは、通信バンドルなしでサンプリング・モジュールに直接結合可能であることに留意されたい。組み合わせられたベース・モジュールとサンプリング・モジュールとは、サンプリング部位をオプションのガイドを介して結合するハンドヘルドの近赤外ベースのグルコースアナライザに統合することが可能である。
【0019】
サンプリング・モジュール
好適な実施例におけるサンプリング・モジュールのハウジングは、1 mm厚さで、紫外線、可視光線、および700〜1000 nmの近赤外線において、最低6 O.D.のブロッキングを提供すること、低コスト、製造容易性、耐久性、耐水性、および可用性を含むが、それらに限定されない幾つかの要因に基づいて、シリコンで作るように選択した。重要なことは、ハウジングの機能であり、かつ上にリストされた特性は、本発明の範囲および意図を変えることなく、金属、複合材料、およびプラスチック等の様々な材料により、得ることができることが認識される。
【0020】
0.8 Wタングステン・ハロゲン放射源は、その低消費電力、および色温度、スペクトルの出力、寿命などの性能仕様、並びに丈夫さ、携帯性、コスト、およびサイズなどのパラメータを含むが、それらに限定されない幾つかの理由によって好適である。 放射源電力は、発生する正味の検体信号の総量および検出システムに達する光量に基づいて選択されることが、認識される。好適な実施例のアパーチャおよび集光ファイバと併用した0.8 W放射源は、1150〜1850 nm範囲の特徴を使用するグルコースの間接的な決定のために、適当な信号およびフォトンの進入深さを提供することが決定されている。しかしながら、0.05 W〜5 Wの放射源を、本発明において、使用することができる。代替実施例セクションにおいて記載したように、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を、放射源として、使用することができる。その放射源は、以下に記載の接続ケーブルを通して、ベース・モジュールから電力が供給されることが好ましい。しかしながら、特に、より小さい放射源では、バッテリ電源は、サンプリング・モジュールに組み込まれる場合がある。
【0021】
好適な実施例において、フォトダイオードは、放射源を、データ収集中に、データ取得中望ましい一定の電力出力に維持するために、フィードバック制御エレクトロニクスと併用して使用される。フォトダイオードは、放射源からの可視光を検出するために、オーダーソーター(シリコン・ロングパスフィルタ)の前に配置される。好適なフォトダイオードは、シリコン検出器である。それよりは劣る、望ましい他のフォトダイオードには、InGaAs、InPGaAs、PbS、およびPbSeが含まれるが、それらに制限されない。コンポーネントのこの配置は、光学トレインにおいて後に使用される、以下に議論されるロングパス・フィルタが、フィードバックループに使用される光学信号をブロックする、可視光線および700〜1000 nmまでの近赤外線において利用可能である検出器の低コスト、耐久性、および可用性のために、好適である。制御エレクトロニクスは、放射源を、データ取得中の、および、それに先立った種々の時点において、種々のレベルで駆動することを可能にする。好適な実施例において、放射源は、アナライザのウォームアップ時間を最小にするために、初期に、より高い電力で駆動される。フォトダイオードおよびフィードバック電子機器は、オプションであるが、好適な実施例においては、使用される。放射源強度をモニタするために別個の検出器を使用しない多くのスペクトロメータが、従来技術では一般的である。
【0022】
好適な実施例における放射源ハウジング/反射鏡の組み合せは、サンプル部位への許容可能なエネルギー供給の提供、反射率、製造容易性、丈夫さ、サイズ、コスト、およびサンプル部位への適切な加熱/温度制御の提供を含むが、それらに限定されない幾つかの要因に基づいて選択された。好適な実施例における特定の反射鏡は、放物状である。この特性は、ランプフィラメントを、サンプリング位置を定めるアパーチャ上へ結像させるように、標準的な光線追跡ソフトウェアを使用して最適化された。この光学的処方は、特定のスペクトルの範囲(1100〜1900 nm)に対して調整され、かつコーティングは、この範囲において最適に反射するように設計される。反射鏡は、楕円状であっても、さらには球状でさえあってもよいこと、および反射鏡の機械的および光学的な特性は、本発明の範囲および意図を変えることなく、変更可能であることが、認識される。例えば、最も単純な実施例において、放射源は、反射鏡を使用せずに、サンプルされる表面に、直接、光を向けてもよい。このような場合、サンプルされる皮膚にアパーチャを通してほぼ同等のエネルギーを出力するために、より大きな放射源が、要求される。別の具体例において、反射鏡の固有の焦点距離は、変更可能であり、このことは、機能性に影響を与えることなく、インタフェースの寸法全体に影響を与える。同様に、異なる基体を、反射鏡として使用してもよく、または、金、銀、およびアルミニウムなどの金属コーティングを、その基体に塗布してもよい。
【0023】
好適な実施例において、放射源/ハウジング反射鏡を、皮膚表面にほぼ平行な放射源光をもたらすように、変更することが可能である。薄型設計の1つの目的は、サンプリング部位に半永久的に取り付け可能なサンプリング・モジュールを維持することである。薄型サンプリング・モジュールは、消費者による受け入れやすさを増加させるという利点を有し、かつ普通着着用中に出っ張ったり、不快感を与える可能性を少なくする。半永久的インタフェースは、以下に記載されるように、自動的に連続に、または半連続に、連続したグルコース決定を可能にする。皮膚に対して低角度で導かれた光は、フォールディング光学部品で、皮膚内に向きを変えることができる。単純なミラーが、使用可能である;しかしながら、集光ミラーは、光をアパーチャ内に最適に結合させるために、好適である。代表的な実施例は、図4に提供される。
【0024】
この実施例および他の実施例において使用可能な1つの特徴は、クイック接続光学部品(quick connect optics)の使用である。この場合、600 μmファイバ40が、集光光学部品として使用される。600 μmファイバは、サンプリング・モジュール41に固定される。このサンプリング・モジュールは、ベース・モジュールにおける回折格子より前のスリットに結合する、300 μmファイバ42を受け入れるためのコネクタを有する。光の結合は、拡大、または、縮小することができるレンズによって、または、アパーチャ数とつりあうように適切な注意を払ったフォールディング・ミラー44を用いて、行うことができる。この設計における重要な概念は、サンプリング・モジュールを腕と接触して残したままで、第2の集光光学部品が、サンプリング・モジュールから容易に取り外されるということである。更に、このクイック接続光学部品により、ユーザは、次の読み込みが要求されるまでベース・モジュールから離れて移動することが可能である。
【0025】
前に記載されたように、本発明は、サンプルの前および/または後に、放射源をサンプルに、およびサンプルを1つまたは複数の検出器に結合するためのガイド光学部品14を含む。本発明の一実施例において、図5〜9に示されるように、ガイド光学部品は、皮膚をターゲットにする光学システムでもよい。上述の同時係属出願の特許文献3と特許文献4は、血中グルコースなどの検体の非侵襲的予測において用いられる光ファイバ照射および検出パターン、形状および位置を最適化するための方法および装置を記載する。特許文献3の教示に従って、組織サンプルの皮膚層をサンプルするために最適化され、皮下の皮層によりもたらされるスペクトルの干渉を最小にする光学プローブが、提供される。
【0026】
図5を参照すると、光学インタフェース50が、示される。光学インタフェース50は、光学システム51を組み込む。
【0027】
図6は、光学システム51の断面を示す。示されるように、光学システムは、本明細書ではプローブと称されるいくつかのより小さい素子から構成される。本発明の本実施例において、光学システムは、5本のプローブを含む。
【0028】
図7は、個々のプローブの詳細な断面を示す。各プローブは、例えば、照射ファイバなどの22本の光学経路および10本の検出ファイバを有する。従って、全体のバンドルは、照射端で110本のファイバ、および検出端で50本のファイバを含む。全体のプローブは、ULTRASIL 200(OFS OPTICS, INC., Norcross GA)などのファイバから製作することが好ましい。
【0029】
図8は、3本のプローブから構成される光学システム用の代替構成を示す。この構成において、プローブの照射端は、93本のファイバを含むことが好ましく、および検出端は、16本のファイバを含むことが好ましい。
【0030】
図9は、失敗した較正の被験者および較正においてある統計的有意差に導かれたテストに関する、脂肪バンドエリアにおける平均2次微分スペクトルを示す。
【0031】
図6〜8の実施例は、例証となる目的のために提供される。光学経路および検出ファイバの他の組み合わせは、特許文献3と特許文献4により記載された精神に従って選択可能である。さらに、本発明の原理により導かれ、当業者は、本発明の精神および範囲と全く一致している他の実施例を容易に思いつくであろう。
【0032】
本実施例において、図13に示されるように、最小距離は、スペーサを使用して、入射光に対する光学経路と検出ファイバとの間に維持される。スペーサは、入射光の最大進入距離がスペーサの半径寸法より大きいように作られることが好ましい。半径寸法は、約50 μm〜約3000 μmの範囲であることが好ましい。より詳細には、半径寸法は、100、200または300 μmの何れかであることが可能である。
【0033】
図5〜8の光学インタフェースは、現在の記載された実施例に加えて、他のアプリケーションに利用できることが理解されるべきである。例えば、光学インタフェースは、他の検体の検出において使用可能である。さらに、光学インタフェースは、光放射源とサンプルとの結合を必要とする他の設定において配備可能である。
【0034】
放射源および反射鏡のハウジングを皮膚近傍へ位置決定させることにより、皮膚の温度制御/ウォームアップが、可能になる。光放射源は、熱放射源である。皮膚温度は、近赤外的非侵襲的グルコース決定において、重要な変数である。サンプリング・モジュール温度または患者皮膚温度を感知し、かつサンプリングより前に、フィードバック電子機器を介して、この情報を放射源へフィードバックするサーミスタ45は、皮膚温度を摂氏30〜40度などの望ましいサンプリング範囲に上げるために、スペクトルのデータ取得より前に使用可能である。ヒータ、サーミスタ、および関連したフィードバック電子機器の包含は、本発明に対してオプションである。別の実施例において、皮膚温度は、取得された近赤外スペクトルにおける、水、脂肪、およびタンパク質の相対的な位置によりスペクトル的に、または多変量解析によって測定可能である。
【0035】
好適な実施例において、光学フィルタは、放射源とサンプリング部位の間に配置される。好適な実施例において、その光学フィルタは、シリコンである。シリコンウインドウは、幾つかの要因に基づいて選択された。1つの要因は、シリコンが、紫外から可視を通って1000 nmまで、1 mm厚さで、少なくとも6光学濃度単位に対してブロッキングを有するロングパス・フィルタとして機能することである。第2に、シリコンのロングパス特性は、ベース・モジュールにおける回折格子・検出器組み合せに利益を与えるオーダーソーターとして作用する。第3に、シリコンのロングパス特性は、吸光プロセスを介した光の熱への変換に起因して、望ましくない深さで、かつ好ましくない温度に皮膚を加熱するであろう紫外線、可視光線、および近赤外線における望ましくないフォトンを除去する。その代わりに、シリコンは、これらのフォトンにより加熱され、伝導を介して表面近くの皮膚温度を維持する結果となる。第4に、シリコンは、1150〜1850 nmのスペクトルの関心領域にわたる近赤外線において優れた透過特徴を示す。特に、シリコンは、放射源ハウジングおよび放射源反射鏡と同じ物質である。故に、単一のモールディングまたは部分は、3つのコンポーネント全体のために使用可能である。好適な実施例において、シリコンウインドウは、鏡面反射を最小にするために、皮膚と接触している。好適な実施例において、このウィンドウは、フォトン入射側の大気の特性に基づいて、および光学部品の皮膚表面側のカップリング流体の光学的特性基づいて、反射防止コーティングが施されている。
【0036】
ロングパス・フィルタが皮膚と直接接触していない多くの構成が、存在する。第1に、ロングパス・フィルタは、皮膚と接触せずに放射源の後に配置可能である。例えば、フィルタは、瞳面内または周りに配置可能である。この構成において、フィルタを加熱する結果になる、フィルタにより除去されたフォトンは、伝導を介してサンプル部位を直接加熱する結果にはならない。むしろ、はるかに遅く、かつ、あまり効率的でない対流プロセスが、この熱を伝える。このことは、皮膚を過熱するリスクを減少させる。これに代えて、2つのフィルタを、放射源と皮膚との間に配置することもできる。これらのフィルタは、同じであっても良いし、そうでなくても良い。第1のフィルタは、上述のように、熱を取り除く。第2のフィルタは、上述のように、スペクトルの反射率を減少させる。第3の構成においては、ロングパス・フィルタのオーダーソーターの性質が、中心的である。シリコンは、1050 nmよりも波長の短い光を取り除く。このことは、ロングパス・フィルタ(シリコン)が、回折格子の前に配置される限り、回折格子を、回折格子の2次またはより高次の光の検出をせずに、1150〜1850 nm領域で使用することを可能にする。故に、第3の構成において、ロングパス・フィルタは、サンプル後であっても良い。
【0037】
多くのフィルタ設計が存在することが、認識される。好適な実施例において、シリコン・ロングパスフィルタが、使用される。これらのフィルタを、1900〜2500 nmのような特定の領域をブロックするようにコーティングしてもよいし、屈折率を合わせるように反射防止コーティングして、光スループットを増加させてもよいし、および/または、ショートパス・フィルタなどの他のフィルタと組み合わせて使用してもよい。1つの構成は、1900〜2500 nmのブロッカで、シリコンをコーティングする。このことは、シリコンによってブロックされない、通常のタングステン・ハロゲン放射源の黒体曲線の最大強度を取り除いて、1150〜1850nmの望ましい領域に帰着するという長所を持つ。このブロッキングバンドは、約1800 nmから3000 nmまでの任意の領域をカバーすることができる。別の構成は、約2500 nmでカットオフするRG-850などのRGガラスと組み合わせて使用されるシリコン・ロングパスフィルタである。この組み合せは、約1100から2500 nmまでの光を通す非常にコスト効率が良く、かつ容易に再現されるバンドパス・フィルタを提供する。特に、このフィルタの組合せを、1100〜1900 nmのバンドパスを提供するために、1900〜2500 nmのブロッカのようなコーティング層とともに使用可能である。当業者は、上記ユーティリティ必要条件を満たす、上記1つ以上の位置に配置可能である、規格品およびカスタマイズされたロングパス、ショートパス、およびバンドパスのフィルタの複数の構成が存在することを認識するであろう。放射源/反射鏡/フィルタの代替の実施例が、図10に示されている。この実施例においては、シリコンが、放射源101の一部を取り囲む、放物形状の光学部品100に形作られている。シリコンの外面は、金などの反射鏡102でコーティングされている。本実施例は、皮膚に結合された薄型放射源を可能にする。皮膚からの全高は、この構成で、1 cm未満である。金などの反射性物質を、シリコンの外側にコーティングしたシリコン光学部品のこの形状は、皮膚へのフォトンの効率的な結合を可能にする。反射鏡物質を覆う追加のオプションの保護コーティングは、シリコン光学部品が、上にリストしたシリコンの利益を有するサンプリング・モジュール用ハウジングとしてもまた作用することを可能にする。特に、(放射源の近くの)シリコンの初めの表面は、皮膚との接触より前に放射源光学部品を加熱することになる、より高いエネルギーのフォトンを除去する。集光ファイバと組み合わせた(皮膚近くの)シリコンの後の部分は、鏡面反射を減少させるためのメカニズムとして作用する。この構成は、熱とスペクトルの反射が、1つの光学部品において処理される時、オプションの2つのフィルタシステムを削除する。本質的に、シリコンは、極めて薄型サンプリング・モジュールを可能にするためのターニング光学部品(turning optic)として、ロングパス・フィルタとして、オーダーソーターとして、熱ブロッカとして、スペクトル反射ブロッカとして、および、非常に製造性に富んだ、安価で、耐久性の高いコンポーネントとして、作用している。
【0038】
放射源/反射鏡/フィルタの代替実施例は、図11に示される。この実施例において、放射源フィラメント110は、集光ファイバ111に巻き付けられている。反射鏡は、このとき、光学部品112を通して光を皮膚アパーチャに導く。光学部品には、入射光表面上の反射のための表面コーティングすることが可能である。これに代えて、上記のように、反射鏡は、透過型であることが可能であり、かつ反射鏡の外面には、反射型にコーティング可能である。上記のように、このことは、反射鏡がハウジングとして作用することを可能にする。この実施例において、皮膚に隣接する集光光学部品、ファイバ、またはチューブと併用して、皮膚に隣接して存在するフィルタが、鏡面反射のブロッキングとなる。
【0039】
代替実施例は、回折格子の使用せずに、広帯域放射源を単一の素子検出器と組み合わせる。1つのケースにおいて、エアギャップによって隔てられた、2枚の平行な、反射性の高いプレートから構成される干渉計が、使用可能である。それらの平行なプレートの1枚を、それらのプレート間の距離が変動するように、機械的に平行移動させることもできる。技術的に、これは、ファブリペロー干渉計である。ミラーの距離が、インバールまたは石英のようなスペーサによって、平行に固定・調節されたとき、そのシステムは、ファブリペロー・エタロンと称される。このシステムは、時間の関数として、狭い励起線を与える。故に、分散素子は、必要ではなく、かつ単一の素子検出器が、使用可能である。干渉計は、光学トレインにおける複数のポジションの1つに配置可能である。
【0040】
好適な実施例において、照射される皮膚のアパーチャは、直径が2.4 mmである。好適な実施例におけるアパーチャは、サンプル内に、身体内のグルコース濃度を間接的にモニタするための光学的経路長を提供すること、サンプル部位に許容可能なエネルギー供給を提供すること、サンプル部位の適切な加熱/温度制御を提供すること、を含むが、それらに限定されない幾つかの要因に基づいて選択された。以下に議論されるように、光ファイバの集光ファイバは、この照射エリアの中央に配置される。これは、入射のフォトンに、照射ポントから集光ファイバまで約1 mmの半径方向の移動を可能にする。このこと、水、脂肪、およびタンパク質バンドを調べることができる進入深さ、並びにグルコースの間接的な決定のために使用可能である散乱効果に転化する。アパーチャの寸法が、好適な実施例のまさにその寸法である必要はないことが、認識される。重要な観点は、フォトンを皮膚組織に出力し、それらをグルコースの間接的な測定を可能にする深さに進入可能にし、およびそれらのフォトンを検出する能力である。
【0041】
これらの特性は、本発明の範囲および意図を変えることなく、変更可能であることが、認識される。例えば、2.4 mmのアパーチャは、変更可能である。アパーチャは、放射源からのフォトンが皮膚に進入することができる外側の限界を提供する。これは、次に、観察される最大の進入深さと光学的経路長とを定める。アパーチャは、径が1.2〜5 mmまで変更可能である一方、2.4 mm径は、グルコースの間接的測定のために優れた特徴を有するスペクトルの収集を可能にする。それより小さいアパーチャでは、集られるフォトンの平均進入深さが、減少する。したがって、アパーチャの変更は、サンプルされる組織の正味の検体信号に影響を与える。アパーチャの形状が、フォトンの浸入深さ、および、光学的経路長の分布に影響を与えるように、アパーチャの形状を変更することが可能である。グルコースの間接的な決定は、深さの関数として分布している、脂肪、タンパク質、および水などのサンプル構成物質から離れて実行することが可能である。したがって、間接的な信号の大きさは、アパーチャに応じて変動する。更に、複数の励起部位および収集部位が、可能である。このことは、例えば、皮膚の代表的なセクションをサンプリングすることを助けるであろう。例えば、1つのプローブが毛包に位置する場合、他のプローブは、グルコースを決定するために必要な分析信号を取得するために、第1の部位と独立に、または併用して使用可能である。
【0042】
ガイド
好適な実施例において、患者インタフェースモジュール(PIM)全体は、交換可能な接着剤で皮膚に半永久的に取り付けられたガイドに結合する。ガイドは、サンプリング再現性の助けとなる。ガイドは、正確な位置でサンプリングする目的のために、インタフェースしている光学部品を囲むように意図される。一般的に、このことは、インターフェイス・プローブを囲むインタフェースでなされる。主実施例において、ガイドは、被験者の目覚めている時間の間、取り付けられる。ガイドは、特に、以下に検討される連続モニタリング・グルコースアナライザにおいて、一週間または一か月間のように、より永久的に取り付け可能である。ガイドは、サンプリング位置の改善された精度を可能にする。サンプリング位置における精度は、中央平均化(mean centering)などのプロセスが アルゴリズムにおいて使用される場合、偏りが除去されることを可能にする。このことは、以下の前処理セクションにおいて対処される。加えて、ガイドは、より一定の圧力/一定の変位を、サンプリング位置に加えることを可能にし、それは、さらに、グルコース決定の精度および正確さを高める。ガイドは、位置決めを非常に向上させ、かつ、関連したデータ処理を、より簡単かつ強健にするが、このガイドは、サンプリング・モジュールの絶対的な要件ではない。
【0043】
本発明の好適な実施例において、磁石は、サンプリング・モジュールをサンプルされる部位に結合するためのユーザ・フレンドリーなメカニズムを助けるために使用される。さらに、磁石は、ガイドがサンプリング・モジュールに可逆的に取り付けられることを可能にする。さらに、ガイドは、光学的プローブを、ガイドアパーチャに適切に挿入することを助ける。加えて、磁石は、サンプリング・プローブとサンプルされる部位との間に、一定で、公知の、精密なアラインメントを可能にする。好適な一実施例において、アラインメントを増強するために、2つの磁石(サンプルされる部位の各側に1つ)が、用いられる。1つ以上の磁石は、同じ効果を提供することができる。錠と鍵のメカニズム、電磁石、機械加工された嵌合、VELCRO(マジックテープ(登録商標))、接着剤、留め金、および上記鍵素子を提供することを可能にする、当業者に一般的に公知の多数の他の技術など、2つのデバイスを一緒に結合するための多数の機械的方法が存在することが、認識される。加えて、磁石を電気的に活性にして、ガイドアパーチャへのプローブの制御された移動を容易にし、かつ、磁極の反転によって、プローブを、ガイド上で引っ張ることなく、ガイドから取り去ることを可能にすることができる。
【0044】
ガイドは、オプションで、ロングパス/バンドパス・フィルタであることが可能なアパーチャ内のウィンドウを含むことができる。これに代えて、アパーチャは、取り外しできるプラグで充填可能である。ウィンドウまたはプラグの皮膚とのコンタクトは、プローブと同じ組織変位を提供することにより、組織を安定化させ、かつ局所的な皮膚表面および浅い深さの水和を増加させる。取り外しできるプラグの使用と対照的に、コンタクトウインドウの使用は、サンプリング部位の適正な水和のための連続のバリアおよび一定の圧力インタフェースを可能にする。プラグまたはコンタクトウインドウの使用は、サンプリング部位での乾燥した、またはポケット化した(pocketed)皮膚と関連する問題を除去することにより、グルコース決定における精度および正確さを増大させる。
【0045】
ガイドは、サンプリング部位および指先などの毛細血管部位でのグルコース濃度間の平衡化を強化するように設計された、幾つかの素子の何れかをオプションで含むことができる。時間とともに急激に動くグルコース値は、代替部位の血中グルコース濃度および指の血中グルコース濃度との間に、相当の差異をもたらす可能性がある。この濃度差は、平衡プロセスの速度を制限することに結びつく、拡散および灌流に、直接関連する。2つの部位間の平衡は、代替部位において測定されたグルコース関連信号の使用を可能にし、指の血中グルコース値の予測において、より正確なものとなる。
【0046】
幾つかのオプションの素子をサンプリング・モジュール、および/または、ガイドに組み込んで、サンプリングの精度を増加させ、かつ、グルコース決定のための正味の検体信号を増加させることができる。これらのオプションの素子には、ベース・モジュール、および、以下に記載の接続ケーブルを通して電力を供給するのが好ましいが、バッテリ駆動されてもよい。均一化アプローチは、光刺激、超音波前処理、機械的刺激、および加熱を含む。特に、サンプルされる部位と、動脈または指先の毛細血管床のような、十分に潅流される領域との間のグルコース濃度の平衡化は、要求されない。2つの領域間のグルコース濃度差の最小化は、その後のグルコース決定を助ける。
【0047】
ガイドは、毛細血管の拡張を引き起こすことが知られている、890 nm付近の光刺激を与えるLEDをオプションで含むことができる。この技術は、代替部位のグルコース濃度と、毛細血管血液中のグルコース濃度との平衡化の助けるために、使用可能である。血管拡張を増加させ、それによって、代替部位への血流速度を増加させることによって、物質移動速度の有限性、および、組織の血中グルコース差に対するそれらの影響が、最小にされる。結果として生じる効果は、指および代替部位との血中グルコース濃度間の差を減少させるということである。好適な実施例において、腕ガイドにセットされた、制御エレクトロニクスを持つアレイ状の(公称)890 nmの複数のLEDが、使用される。複数のLEDは、それらが、組織インタフェースにおいて、プローブの検出先端に置かれている連続モニタリング応用にも使用することができる。刺激に必要な励起期間のため、それによって、通信バンドルが用いられていないときに、LEDに電力が供給されるように、ガイド中の再充電可能なバッテリによって、890 nmのLEDに電力を供給するのが好ましい。
【0048】
ガイドは、オプションで、サンプル部位に超音波エネルギーを供給することができる装置を含むことができる。ここでもやはり、この技術を、潅流および/または血流を刺激することによって、代替部位のグルコース濃度と、毛細血管血液中のグルコース濃度との平衡化を助けるために使用可能である。
【0049】
ガイドは、オプションで、スペクトル・データ取得に先立って、サンプルされる部位に機械的な刺激を与える装置を含むことが可能である。1つの具体例は、連続的に、または、デューティサイクルで、皮膚表面に対して、およそ20〜50 μmの距離で、出力を律動的に送る圧電モジュレータである。
【0050】
ガイドは、オプションで、ストリップ・ヒータまたはエネルギー伝達パッドなどの加熱および/または冷却素子を含むことが可能である。加熱は、グルコース区画平衡化の1つのメカニズムである。これらの素子は、コア体温に合わせるために、血液の局所的灌流を操作するように、発汗を避け、および/または様々な組織区画間の流体の分布に変更を加えるように、使用可能である。
【0051】
サンプリング・モジュールが、ガイドを使用せずに、サンプルしている皮膚に直接インタフェースできることが認識される。
【0052】
本発明の好適な実施例において、カップリング流体は、入射フォトンを組織サンプルに効率的に結合させるために使用される。好適なカップリング流体は、ペルフルオロ化合物のフルオリナートである。種々の処方が、FC-40およびFC-70を含んで利用可能である。FC-40が、好適である。多数のカップリング流体が、屈折率を合わせるために利用可能であるが、フルオリナートは、皮膚に適用するとき無毒な性質のため、および干渉として作用するであろう近赤外線吸光バンドが存在しないため、好適である。好適な実施例において、カップリング流体は、90〜95°Fに、好ましくは92°Fに、予熱される。カップリング流体を予熱することによって、接触される部位の表面温度の変化が、最小になり、それによって、サンプルされる組織から観察されるスペクトルの変化が、最小になる。カップリング流体は、放射源エネルギー、オプションのサンプル部位のヒータ・エネルギーを使用して、または補助的な熱放射源によって、予熱可能である。FC-70を予熱することは、その、より小さい粘性故に、好ましい。予熱されたFC-70は、サンプル部位から流出しにくい。サンプリングに先立っての自動供給は、オプションである。このようなシステムは、サンプルモジュール内のフルオリナートのゲート付の貯液槽であることが可能であろう。スプレーボトル供給システムなどのカップリング流体の手動の供給もまた、オプションである。サンプル部位のカバレッジは、任意の供給システムにおいて重要な基準である。
【0053】
本発明の好適な実施例において、サンプリング部位は、前腕の背面側である。更に、手掌および前腕の前面側は、優れたサンプリング位置である。 ガイドが、手、指先、掌の領域、親指の付け根、前腕、上腕、頭、耳たぶ、胸、胴、腹部領域、大腿部、ふくらはぎ、足、足の裏領域、およびつま先などの他のサンプリング位置に取り付け可能であることは、さらに認識される。指先またはその関節近くのように、使用に起因して変動しない、または上腕の裏のように重力に起因して時間と共に変化する、または足の裏領域または腹部領域などの非常に厚い皮膚を有する、皮膚の領域をサンプリングすることが、好ましいが要求されるわけではない。
【0054】
集光光学部品用の幾つかの可能な構成がある。好適な実施例において、光は、皮膚と接しているロングパス・フィルタを通してサンプルに入射する。好適な実施例において、ロングパス・フィルタの中央に、穴が存在する。集光ファイバが、皮膚と接して、その穴に配置される。この構成は、光ファイバへの集光に先立って、サンプルされた皮膚に、入射フォトンを強制的に入れる。光ファイバが、フィルタに単にあてがわれているものであれば、光は、皮膚にはいることなく、フィルタを介して、集光ファイバに直接跳ね返るかもしれず、その結果、スペクトル反射項が生じる。一旦、集光ファイバが皮膚と接触すると、1450 nm、 1900 nm、 2500 nm近傍の大きな水吸光バンドの信号(または、むしろ、観察される強度の不在)は、装置が、サンプルされる皮膚と良好なスペクトル接触にある場合を決定するために使用することができる。好適な集光光学部品は、単一の600 μm検出ファイバである。穴とファイバは、300 μm検出ファイバなどの、別のサイズのファイバに結合するように寸法を変えることができることが、認識される。当業者が理解するであろうように、ファイバ直径は、それが、検出システムに光学的に最適に結合されたとき、最も効率的である。したがって、検出器システムのスリット、および、検出器素子のサイズを変更するにつれて、集光光学部品も、変更すべきである。2.4 mmのアパーチャと組み合わされた600 μmの中心集光ファイバは、バンドルからの入射光を集める中央ファイバと関連している。集光光学部品は、必ずしも、光ファイバに限定されない。さらなる構成には、光パイプ、または、固体の光学ガラス片が含まれるが、それらに限定されない。
【0055】
好適な実施例において、サンプリング・モジュールの高さを最小にするために、集められた信号が、90°オフアクシスに曲げられて、腕にほぼ平行な信号が、送られる。このことは、上述のように、フォールディング・ミラー、または、光ファイバの折り曲げのような通常の手段によって遂行することができる。
【0056】
一実施例において、集められた光が、ベース・モジュールにその反対端で接続する第2の集光系に結合される。この構成の目的は、本明細書においてベース・モジュールと呼んでいるスペクトロメータの残りの大部分をなしで、サンプリング・モジュールを、人に装着することを可能にすることである。クイック接続コネクタが、再現可能に、かつユーザ・フレンドリーに、ベース・モジュールの、サンプリング・モジュールへのクイック接続を可能にするために用いられる。接続ケーブルは、少なくとも、光学信号を運ぶ。好適な実施例において、接続ケーブルは、さらに、放射源、および、サーミスタ、ヒータ、サンプル区画グルコース濃度平衡化装置のようなオプションの素子に電力を運ぶ。このコネクタは、さらに、集光ファイバの直径を変えることを可能にする。例えば、当業者にとっては明らかなように、カップリング光学部品およびアパーチャ数への適切な注意によって、600 μm集光ファイバを、300 μm接続ファイバにダウンサイズすることができる。より小さな直径の接続ファイバのいくつかの利点を、ここで記載する。第1に、より小さな直径ファイバであればあるほど、より急な曲がり半径を持つ。第2に、スリットが、分光計の前に用いられている場合には、ファイバを、そのスリットに結合させるための適切な寸法に作ることができる。第3に、より小さな直径ファイバであればあるほど、より破損を受けにくくなる。さらなる考慮すべき事がらは、コストである。
【0057】
集光/検出素子を、表面反射の直接検出を避けるために、ウィンドウから離して凹部に置くことが可能であることが認識される。さらに、カップリング流体を、集光素子の検出素子に対する角度を増加させるために用いることができることが、認識される。
【0058】
ベース・モジュール
好適な実施例において、ベース・モジュールは、少なくともスペクトロメータ(回折格子および検出器システム)を含んでいる。回折格子は、1600 nm付近でピーク・エネルギーを出力するように最適化される。検出器は、1100〜1900 nmの範囲をカバーするInGaAsアレイである。スペクトロメータの主な目的は、波長分離および検出である。この回折格子/検出器システムのバリエーションは、容易に理解される。
【0059】
代替実施例において、広帯域放射源が、分散素子を用いることなく、検出器アレイと組み合わされる。1つのケースにおいて、フィルタが、検出器のから離れて配置される。フィルタの1つのタイプは、ファブリペロー干渉フィルタにおけるような、薄い誘電体膜である。これらのフィルタを、光が、どのように検出器と結合するかに依存して、線形、バンドル、または、矩形のパターンに配置することができる。例えば、スリットを、矩形のフィルタと検出器とのアレイとともに用いてもよい。これに代えて、1本のファイバを、フィルタのバンドル、および、それに関連する検出器とともに用いることができる。フィルタの別のタイプは、線形可変フィルタである。例えば、線形可変フィルタが、フィルタの線形アレイから離れて位置することができる。これらの光学レイアウトの多くのバリエーションが、当業者には公知である。
【0060】
電力/制御モジュールを、測定部位以外に、ユーザのベルト、または、その他の位置に結合することが可能である。代替実施例において、患者インタフェースモジュールは、バッテリおよび双方向無線通信システムを含む。この構成において制御/電力モジュールを、患者が運ぶことができる。例えば、ハンドヘルドコンピュータまたはパーム・コンピューティング・プラットフォームには、患者インタフェースモジュールからデータを受信して、指示を送信するための双方向無線通信システムを装備することができる。コンピュータシステムは、次に、システムに解析能力を与える。
【0061】
代替実施例において、ベース・モジュールは、バッテリおよび双方向無線通信システムを含む。この構成において、制御/電力モジュールは、患者が携帯している、または携帯していない遠隔位置に含まれる。例えば、ハンドヘルドコンピュータまたはパーム・コンピューティング・プラットフォームには、患者インタフェースモジュールからデータを受信して、指示を送信するための双方向無線通信システムを装備することができる。コンピュータシステムは、次に、システムに解析能力を与える。
【0062】
制御/電力モジュールは、制御エレクトロニクス、電力システム、バッテリ、埋め込み型コンピュータおよびインタフェース電子機器を含む。制御エレクトロニクスは、内蔵の、または、付属のコンピュータシステムからのイベントを開始するための手段、および検出された光強度に関連する電圧を供給する検出器エレクトロニクス(増幅器)にインタフェースするための手段を提供する。アナログ/デジタル変換器を使用して検出された電圧のデジタル化が、実行される。検出された信号を使用して、拡散反射され、かつ検出された光強度対波長を表わすスペクトルが、形成される。更に、履歴測定が、ディスプレイ、および/または、コンピュータまたはコンピュータシステム、例えばパームトップ、の外部通信ポートによって利用可能になる。代替実施例において、測定および付随的な情報が、無線通信を通して、ハンドヘルドコンピュータまたはスタンドアロン・ディスプレイモジュールなどの遠隔ディスプレイ、および受信ユニットに転送される。この最後のシステムにおいて、ディスプレイおよび受信ユニットを、腕時計、ペン、情報携帯端末、セル電話、または、血中グルコースモニタリングデバイスに組み込むことができる。
【0063】
スペクトロメータ
1つのコンポーネントのバリエーションは、他のコンポーネントの最適のまたは好適な特性に影響を与えることができることに留意されたい。例えば、放射源におけるバリエーションは、反射鏡の質または設計、フィルタの厚さ、使用されるアパーチャサイズ、皮膚および/またはフルオリナートを維持するまたは加熱する時間または低消費電力、および集光ファイバの直径に影響を与えることができる。同様に、集光ファイバ直径などの別のコンポーネントに変化は、他の素子に影響を与える。当業者は、これらの素子の相互作用を理解するであろう。当業者は、スペクトロメータの1つ以上のコンポーネントが、本発明の範囲を変えることなく、変更可能であることを、容易に理解するであろう。
【0064】
検出するべき重要な領域は、1450、 1900、 2600 nm付近に中心を置く水によるバンド、1180、 1280、 1690、 1730、 2170、 2285 nm付近に中心を置くタンパク質バンド、1210、 1675、 1715、 1760、 2130、 2250、 2320 nm付近に中心を置く脂肪バンド、または、1590、 1730、 2150、 2272 nm付近に中心を置くグルコースバンドの系列および組み合わせである。
【0065】
スペクトロメータの好適な物理的向きは、垂直位置である。例えば、掌を支持台上で下向きにして、前腕の背面側上でサンプリングする場合、サンプリング・モジュールが、腕上を、上から下がるのが好適である。このことは、サンプリング・モジュールの重さを再現可能にする。
【0066】
標準
近赤外デバイスは、製造公差のため変動し、光学位置合わせにおいて変動し、および摩耗および歪みなどの機械的要因および温度バリエーションのような環境要因によって時間とともに変化する、光学的コンポーネントおよび機械的コンポーネントから構成される。これは、所定のスペクトロメータのX軸の時間変化、並びに計器から計器へのバリエーションに帰着する。較正モデルが、身体中のグルコース濃度などのサンプルに関する情報を抽出するために使用される時、これらの計器に関連する変化は、関心がある特性と関連する信号のアクセシビリティを減少させる波長の不確かさに帰着する。較正モデルが、1つの機器から別の機器に転送されたとき、これらのバリエーションは、デバイス正確さを低下させる。
【0067】
多くの波長で光を測定する、近赤外光学系の波長軸を標準化するためのシステムが、このセクションで記載される。好適な実施例は、図2に提示された実施例である。このセクションにおいて記載されるシステムを、本明細書の残りの部分に記載される計器構成に使用することができる。スペクトロメータシステムが、指定された波長範囲内にある、サンプルから透過された、または、反射された近赤外線放射を検出し、およびアナライザが、標準化手続きの後、様々の波長での吸光度を決定する。スペクトロメータベースのシステムのX軸を標準化する方法は、標準化物質のマスタ・スペクトルとスレーブ・スペクトルとの比較分析に依拠する。ターゲットにされた波長領域内に吸収バンドを有する物質が、X軸を決定するために使用される。一般的には、参照バンドまたは標準吸光度バンドは、かなり鋭く、安定していて、関心のある波長領域(1100〜1900 nm)にわたって分布している。この目的のための一般的な材料は、多数のプラスチックを用いることができるが、ポリスチレン、エルビウム酸化物、ジスプロシウム酸化物、および、ホルミウム酸化物である。内蔵のポリスチレンが、FOSS社、以前はNIRSystems社のスペクトロメータにおいて、参照として使用されている。しかしながら、これらのシステムにおいて、ポリスチレンは、アクチュエータで駆動されて回転する回折格子、および、単一の検出器とともに使用される。本発明の好適な一実施例において、アクチュエータで駆動される回折格子は、使用されていない。
【0068】
標準化に使用される物質を、外部マウンティング・システムを備えたスペクトロメータシステムの外部で測定することができる。しかしながら、スペクトロメータの外部の、別個の標準マウンティング・システムにマウントされた物質を、指定の時間枠に、ユーザが、そのデバイスに配置しなければならない。このプロセスは、位置決め誤差を受けやすく、ユーザの見地からすれば、測定プロトコルの複雑さを増加させる。このことは、特に、ユーザが技術的に適応しなくてもよい非侵襲的グルコースセンサなどの消費者指向のデバイスにおいて問題である。
【0069】
これに代えて、参照を、計器の内部に、光路を分離して、連続的にマウントすることができる。この構成において、内部波長標準を、サンプルと同時に測定することができる。これに代えて、参照を、適切な時に、オプションで自動プロセスで、アクチュエータによって、主光学トレインに移動することができる。これらのシステムの何れにおいても、参照スペクトルを、反射モードまたは透過モードで集めることができる。しかしながら、拡散反射モードで、外部参照を収集するのが、好適である。例えば、鏡面反射を最小にするような、入射光に対する角度に配置されたポリスチレン・ディスクの背面に、LABSPHERE(登録商標)参照などの反射鏡をつけることも可能である。内部参照に対しては、同様の配置を使用してもよいが、透過スペクトルが、好適である。
【0070】
波長標準化システムには、無吸収物質、および、公知で、不変のスペクトル吸光バンドを持つ物質の、それぞれの、分光測定による、参照スペクトルおよび(波長)標準化スペクトルの、関連している測定方法が、含まれる。標準化物質のスペクトルは、その後に集められるサンプルのスペクトルのx軸を標準化する、関連している方法といっしょに使用される。この方法には、標準化物質のマスタ・スペクトル、および、マスタ・スペクトルと計器標準化スペクトルとの間の差異を決定する方法が、含まれる。マスタ・スペクトルおよび波長領域が、計器コンピュータシステムの不揮発性メモリに記憶される。マスタ・スペクトルとスレーブ・スペクトルとの間の位相差、または、x軸シフトを計算する1つの方法は、相互相関の使用によるものである。例えば、マスタ・スペクトルと、取得されたスペクトルとの間のX軸位相シフトのスペクトル全体を通しての1つ以上のウィンドウが、計器に関連するベースライン変動を取り除いた後に、相互相関関数により決定される。その位相シフトが、取得されたスペクトルのX軸を、マスタ・スペクトルと対比して補正する(標準化する)ために用いられる。他のアプローチには、補間またはウエーブレット変換が、含まれる。
【0071】
前処理
フォトンの、強度単位、および、オプションで吸光度単位への変換の後に、前処理が、行われる。検出されたスペクトルを、外れ値分析、標準化、吸光度計算、フィルタリング、補正、および、ユーザに表示される、ターゲットとされた検体または構成物質の推算(測定)の生成のために線形モデルまたは非線型モデルの適用を含む複数の前処理ステップにより処理することができる。
【0072】
特に重要なのは、X(スペクトル)データとY(グルコース濃度)データの一方、または、両方に集められたスペクトル・データの偏り補正の前処理ステップである。特に、一日の最初のスキャンは、それに関連している参照グルコース濃度を、有することができる。このグルコース濃度を、次の較正までに集められるグルコース決定のための偏り補正として使用することができる。同様に、その日の最初のスペクトルを、Xブロックからの較正コンポーネントを調節するために使用することができる。特に、ガイドは、そのガイドが取り除かれるまで、同じサンプリング位置を得ることを可能にする。このことは、最初のスペクトルと参照グルコース濃度の使用に直接影響して、前処理と、その後のモデルの適用の面でモデルを調節する。
【0073】
さらなる前処理技術が、冒頭のセクションで扱われている。これらの技術は、当業者には、よく理解されるであろう。
【0074】
モデリング
その後のデータ分析には、PCRまたはPLSなどの、ソフトモデル、または、較正を含むことができる。ニューラル・ネットのようなデータ分析の他の多くのモードが、存在する。較正データセットに基づいて、デバイスを、個人、または、個人のグループに対して較正する方法が、発明されている。較正データセットは、処理されたスペクトル測定と参照生体パラメータ値とのペアになったデータ点で構成される。例えば、グルコース測定の場合には、参照値は、以下の、指の毛細血管血中グルコース、代替部位(即ち、指以外の身体部位)の毛細血管血中グルコース、間質液中グルコース、または、静脈血中グルコース、のうちの1つ以上である。較正データは、外れ値、付随的な要因に関連するデータ、および、過度のバリエーションを持つデータを取り除くための、最適なサンプル選択を受ける。スペクトル測定は、フィルタリングおよび散乱補正を通して、較正に先立って前処理され、また、ガイド・システムが皮膚組織に取り付けられるたびに集められるバックグラウンド・テンプレートに対して正規化される。測定は、ガイドが取り付けられたときの生体パラメータの値に比較して、生体パラメータのバリエーションを測定するための較正、または、モデルにより、上に議論したような較正に引き続いて集められたデータを前処理した後、実行される。それらの技術の範囲は、従来技術のセクションにおいて取り組まれており、また、当業者には、周知である。
【0075】
非侵襲的グルコースアナライザを用いた研究の結果が、ここで提示される。この研究は、注文で造った非侵襲的近赤外グルコースアナライザを使用した。アナライザが、その全体としての寸法において、好適な一実施例におけるよりも大きかったが、そのアナライザは、コンセプト的には、タングステン・ハロゲン放射源、背面反射鏡、バンドパス光学フィルタ、光ファイバ照射バンドル、ガイド、フロリナートカップリング流体、ガイド、アパーチャ、前腕サンプリング部位を維持するための手段、集光ファイバ、スリット、分散回折格子、および、InGaAsアレイ検出器を含むコンポーネントを持つ好適な実施例において提示されている通りである。しかしながら、小型化されたサンプリング・モジュールは、サンプル部位に等量のエネルギーを出力することが実証されている。1つの較正モデルが、作られた。その較正モデルにおいて全てのパラメータが固定された2週間後に、次の予測データセットが、開始された。次の予測データ(スペクトル)は、7週間の期間にわたって、7人に対して、2つのスペクトロメータを用いて集められた。前処理には、27ポイントと中央平均化を用いるSavitsky-Golay一次導関数が、含まれた。PLSモデルが、15因子モデルで、1200〜1800 nmの範囲にわたって生じるデータに適用された。合計976個のグルコース決定が、なされた。外れ値分析プログラムが、自動化された。結果が、Clarkeエラー・グリッドをかぶせた濃度相関プロットで、図12に提示されている。全体的に言えば、グルコース予測の99.9%が、Clarkeエラー・グリッドの「A」または「B」領域にはいった。これらのグルコース予測は、臨床的に正確で考えられる。
【0076】
ドッキング・ステーション
好適な実施例において、ベース・モジュールは、ドッキング・ステーションに一体として接続されている。回折格子、検出器アセンブリ、および、電源に加えて、ドッキング・ステーションは、コンピュータ、および、グルコース管理センタを含む。グルコース管理システムは、グルコース摂取、インシュリン供給、グルコース濃度決定などのときに生じるイベントの状況を常に把握している。これらを、時間とともにグラフ化するか、または、医師のコンピュータなどの外部デバイスにエクスポートすることができる。
【0077】
反復測定または連続測定の統計的分析によって、測定の精度を推算するためのプロセスが、提供される。生体パラメータが、将来の検体予測の信頼限界の統計的推算によって、あらかじめセットされたレベルに、何時、接近するかを決定するための方法が、実施される。その予測は、単純な傾き、例えば、時間変化に関する生体パラメータの変化、および、指数関数的な移動平均に基づいた推算によってなされ、そして、信頼限界は、精度の推算に基づく。これに代えて、予測は、標準的な時系列解析によってなされる。関連した現在のアラーム・レベルが、将来の生体パラメータ予測の信頼間隔内にある場合、アラームが、行使される。このプロセスは、例えば、近い将来(例えば、10〜30分以内)における、糖尿病患者の低血糖症の潜在性を検出するために使用される。さらに、このプロセスは、特定の測定の、その期待値との統計的整合性の決定によって、潜在的な外れ値を検出するために用いられる。
【0078】
連続的な/半連続的なグルコース決定
サンプリング・モジュールが、サンプリング部位に接しているときには、連続的な、または、半連続的な測定をすることができる。測定プロセスが連続的であるように、生体パラメータの測定は、生体パラメータの変化に比較して短い間隔でなされる。好適な実施例において、測定を、6秒ごとに行うことが可能である。現実的に、グルコース濃度は、6秒以内では、測定可能なレベルまで変化しない。したがって、1、 5、 10、 20、 30または60分ごとのように、それほど頻繁でない間隔で行われる読み取りを、行なうことができる。この間隔で行われた読み取りは、やはり、連続的、および/または、半連続的であると称される。連続的な読み取りを、自動的に実行することができる。
【0079】
生体パラメータが、ゆっくり変動しているときには、ガイドを、個人に取り付けたままにしておく一方、システムの残りを、連続的または半連続的な読み取りを行うめに、特定の間隔で、間欠的に取り付けることができることに留意されたい。
【0080】
本発明の一要素は、精度の推算、信頼間隔、および、将来のイベントの予測などの他の機能を実行するために、時間ベースの情報および傾向を使用することである。
【0081】
反復測定または連続測定の統計的分析によって、測定の精度を推算するためのプロセスが、提供される。生体パラメータが、将来の検体予測の信頼限界の統計的推算によって、あらかじめセットされたレベルに何時、接近するかを決定するための方法が、実施される。その予測は、単純な傾き、例えば、時間変化に関する生体パラメータの変化、および、指数関数的な移動平均に基づいた推算によってなされ、そして、信頼限界は、精度の推算に基づく。これに代えて、予測は、標準的な時系列解析によってなされる。関連した現在のアラーム・レベルが、将来の生体パラメータ予測の信頼間隔内にあれば、アラームが、行使される。このプロセスは、例えば、近い将来(例えば、10〜30分以内)における、糖尿病患者の低血糖症の潜在性を検出するために使用される。さらに、このプロセスは、特定の測定の、その期待値との統計的整合性の判定によって、潜在的な外れ値を検出するために使用される。
【0082】
制御/電力モジュールを,サンプル部位を乱すことなく、確保することができる状況においては、それら2つのモジュールは、ガイド・インターフェイス・システムによって被験者に取り付けられる一つのものに併合される。最後に、生体パラメータが、ゆっくり変動しているときには、ガイドを、個人に取り付けたままにしておく一方、システムの残りを、特定の間隔で、間欠的に取り付けることができる。
【0083】
インシュリン供給システムに対するリンクが、開示される。モニタされる生体パラメータが、グルコースである場合、インシュリン供給システムに対するリンクが、制御目的のフィードバック・メカニズムを提供するために、設けられる。そのリンクは、直接接続または無線接続のいずれかである。さらに、患者のモニタされたグルコースレベルを、彼の医者に伝送するための通信システムが、設けられる。
【0084】
代替実施例
好適な実施例におけるように、本発明の1つの主要な代替実施例は、2つの主なモジュール:通信バンドルによって接続されたサンプリング・モジュールとベース・モジュール、を含む。それらのモジュールは、放射源、および、それに関連した波長選択/検出コンポーネントを除いて、好適な実施例に記載されるとおりである。本発明の代替の一実施例においては、スペクトロメータは、あらかじめ定められた波長範囲にわたって、サンプルに近赤外線放射を提供するためと、波長選択を実行するためとの両方において、複数のLEDを使用する。本実施例は、波長選択の目的のために、分散素子、または、干渉計ベースのシステムを必要としないという重要な利点を持つ。もっと正確に言えば、各LEDは、波長バンドにわたる近赤外線放射を提供し、かつ、それによって、波長選択のために必要な手段を与える。
【0085】
複数のLEDの波長は、ターゲット検体の正味の検体信号のS/N比を最適化するように、特に選択され、微分測定の平均化および決定の目的で様々な組織体積をサンプリングする手段を提供するように、検出素子に対して様々な距離に配置される。これら複数のLEDは、特定の波長または波長バンドにおいて、様々な組織体積の拡散反射の様々な推算を得るために、一度に1つ、および/または、グループで、逐次的に作動される。さらに、これら複数のLEDをパルス駆動して、高S/N比を持つ短い測定を提供することもできる。このことは、サンプルされる組織体積の光加熱を回避すると同時に、より大きな照射強度を提供する。これに代えて、複数のLEDを、特定のデューティサイクルおよび周波数で変調して、付加的なノイズを取り除くための手段、および、複数の波長の同時測定を提供することができる。
【0086】
複数のLEDの波長は、ターゲット生体パラメータの正味の検体信号のS/N比を最適化するように、特に選択され、微分測定の平均化および決定の目的で様々な組織体積をサンプリングする手段を提供するように、検出素子に対して様々な距離に配置される。それらの複数のLEDは、様々な組織体積の拡散反射の様々な推算を得るために、一度に1つ、および/または、グループで、逐次的に作動される。さらに、複数のLEDをパルス駆動して、サンプルされる組織体積の光加熱を回避すると同時に、高S/N比を持つ短い測定をもたらすこともできる。これに代えて、複数のLEDを、特定のデューティサイクルおよび周波数で変調して、付加的なノイズを取り除くための手段、および、複数の波長の同時測定を提供することができる。
【0087】
LED放射源に加えて、スペクトロメータの残りの部分は、好適な実施例、および、その種におけるとおりのままである。例えば、複数のLEDを、制御エレクトロニクスで安定化することができ、サンプルされたアパーチャに放射源強度をガイドするための光学部品を使用することができ、ガイドを使用することができ、カップリング流体を使用することができ、放射源および/またはサンプルの温度安定化を使用することができ、収集光学系を、サンプルされた皮膚に直接的に結合することができ、通信バンドルを用いることができ、およびベース・モジュールを、ドッキング・ステーションありで、または、なしで使用することができる。好適な実施例におけるように、検出器が、組織を直接的に見ることができる。
【0088】
実施例
代替実施例のいくつかの機器構成が、以下に提示される。当業者は、これらの実施例の置き換えおよび組合せが、可能であることを認識するであろう。
【0089】
最も単純な実施例において、複数のLEDは、図13におけるように、サンプルを直接照射することができる。図13において、カップリング流体134は、上記のように、デバイスと組織サンプルとの間に示される。反射面を有するオプションのミキシング・チャンバは、検出ファイバ133の周辺の組織領域132上にほぼ一様な分布を提供するために、複数のLED130と光学ウィンドウ131との間で使用可能である。スペーサ135を、さらに、ファイバと複数のLEDとの間に設けることも可能である。この実施例において、複数のLEDは、測定を可能にするバンド幅で設計されており、また、複数のLEDは、特定の波長バンドで特定の組織体積のサンプリングおよび検出を可能にするように配置されている。各LEDを、図14に示されるように、反射面140を持つ物質141の凹部に置くとができる。
【0090】
このシナリオでは、2つの配置が、使用される。第1に、ミキシング・チャンバが、光学ウィンドウの場所にフィルタを挿入して、図13に示されるように存在する。このことは、複数のLEDが広帯域放射源とほとんど同じように使用されることを可能にする。
【0091】
第2に、ミキシング・チャンバを取り除き、かつ複数のLEDを、オプションのフィルタを介して、サンプリング部位全面のすぐ近くに、または、さらには、接触して置けば、照射−検出距離を、測定用途に使用することができる。この第2のモードにおいて、LEDの照射スポットから集光光学部品までの距離は、公知である。このことは、フォトンの平均の浸入深さ、および、平均の経路長を知ることを可能にする。このことは、集光スポットからの深さおよび半径方向の変動の波長依存スキャンニングを可能にし、および波長特定情報を、グルコース濃度の間接的読み取りに使用することを可能にする。
【0092】
好適な実施例において、複数のLED(図15;参照番号1500)のグループは、その各グループに、2つ以上の物理的なフィルタを必要とする場合がある、単一のフィルタ・タイプと関連して、使用される。複数のLEDは、検出ファイバを囲む距離に配置され、検出距離に対して異なる波長バンドと異なる照射と関連した光の検出を可能にするストラテジにしたがって作動される(図15を参照)。一実施例(図15a)において、複数のLEDのグループは、検出ファイバを囲む特定の距離に、環形(リング形)に配置される。フィルタが、検出ファイバを囲んで、かつそれらのフィルタに関連した複数のLEDを覆って、リング形に配置される。各フィルタの環状リングは、それ独自のフィルタ特性を有することが可能である。第2の配置(図15b)において、複数のLEDのグループは、検出ファイバを囲んで、くさび形に配置される。第2の実施例において、フィルタは、くさび形状であっても、三角形形状であってもよく、およびそれらに関連した複数のLEDを覆うように配置される。各くさび形フィルタは、それ独自のフィルタ特性を持ってもよい。
【0093】
別の実施例において、各LED、または、複数のLEDの各グループは、出射された光のバンド幅を制限するために使用される、それに関連した光学フィルタを有する。異なるフィルタが、LEDからサンプルに出射され、供給された光が、そのフィルタを通過するようにマウントされる。LEDに関連したフィルタは、特定のバンド幅で設計され、LEDの固有のバンド幅内にある特定の波長に中心がくるように合わせられる。より広い照射パターンを提供するか、または、サンプルに供給される光エネルギーを増加させるために、複数のLEDのグループを、同一のフィルタに連結させることができる。複数のLEDの交互の作動によって、または、相異なる周波数で、各LEDまたはLEDのグループを変調する(および、検出の後に復調する)ことによって、およそ5〜100 nmの狭い波長バンドを、単一の素子検出器によって識別し、かつ測定することができる。
【0094】
別の実施例において、複数のLEDは、正味の検体信号および干渉信号より相対的に広いバンド幅を有する。検出ファイバによって集められた光は、スリットを通過して、かつ検出された光のバンドを、検出器素子のアレイ上に分散させる分散素子上に結像する。この構成においては、複数のLED上に、光学フィルタは、使用されない。
【0095】
別の実施例において、複数のLEDは、分散素子、および、単一の素子検出器のないスペクトロメータにおいて使用される。1つの場合において、薄い誘電体フィルムが、ファブリペロー干渉フィルタにおけるように使用される。1つのフィルタが、各LEDに関連している。第2の場合において、エアギャップによって隔てられた、2枚の平行な、反射率の高いプレートから構成される干渉計を使用することが可能である。それらの平行なプレートの1枚を、それらのプレート間の距離が変化するように、機械的に平行移動させることができる。技術的には、これは、ファブリペロー干渉計である。ミラー距離が、インバールまたは石英などのスペーサによって、平行に固定・調節されたとき、そのシステムは、ファブリペロー・エタロンと称される。両方の場合とも、狭い励起線を可能にし、上述のように、複数のLEDを逐次的に光らせることによって使用可能である。
【0096】
いくつかのスペクトロメータ構成は、上に概説したように、この測定に対して可能である。基本的には、分光測定システムは、近赤外線放射源、波長選択システム、患者に対するインタフェース、フォトンをガイドする光学部品、および、検出器を含む。
【0097】
本発明は、本明細書において、或る好適な実施例を参照に記載されるが、当業者は、他のアプリケーションが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載されたものと置き換えることが可能であることを容易に理解するであろう。従って、本発明は、添付の請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明によるサンプリング・モジュール、通信バンドル、およびベース・モジュールを示す。
【図2】本発明による回折格子および検出器アレイを有する好適な実施例を示す。
【図3】本発明によるサンプリング・モジュールの好適な実施例を示す。
【図4】本発明によるサンプリング・モジュールの薄型の実施例を示す。
【図5】本発明による光学システムの3次元図を提供する。
【図6】本発明による図5の光学システムの線図を提供する。
【図7】本発明による図6の光学システムからの光学プローブの断面を提供する。
【図8】本発明による図5の光学システム用の代替光学プローブを提供する。
【図9】本発明による被験者のプール用の脂肪バンドエリアにおける平均2次微分スペクトルを示す。
【図10】本発明によるサンプリング・モジュールの単一フィルタ実施例を示す。
【図11】本発明によるサンプリング・モジュールの代替実施例を示す。
【図12】本発明による濃度相関プロットにおける非侵襲的グルコース予測を示す。
【図13】本発明によるサンプリング・モジュールのLEDベースの実施例を示す。
【図14】本発明による可能なLED反射鏡を示す。
【図15】本発明によるオプションでLEDに結合されたフィルタ形状を示す。
【符号の説明】
【0099】
10 サンプリング・モジュール
12 被験者
14 通信バンドル
16 ベース・モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外分光法によるグルコースの非侵襲的測定のための装置であって、
回折格子と検出器アレイとを有するベース・モジュールと、
サンプル部位に確実に、かつ取り除き可能に取り付けられ、当該ベース・モジュールに結合されたサンプリング・モジュールであって、照射放射源を有する当該サンプリング・モジュールと、
当該照射放射源を当該サンプルに、および当該サンプルを当該検出器アレイに結合させるための、当該サンプル部位の前および/または後に位置する光学システムと、
当該ベース・モジュールと当該サンプリング・モジュールとの間で、光学信号および/または電気信号を運ぶための、および当該ベース・モジュールから当該サンプリング・モジュールに電力を運ぶための通信バンドルと、を有する近赤外分光法によるグルコースの非侵襲的測定のための装置。
【請求項2】
当該光学システムが、光学フィルタ、光ブロッカ、および標準化物質の何れかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
薄型サンプリングインタフェースと、
当該サンプルされる部位のすぐ近くの低ワット数の安定化放射源と、
励起集光キャビティまたは光学部品と、
ガイドと、
予熱されたインタフェーシング溶液と、
温度制御された皮膚サンプルを維持するための手段と、
サンプリングされた皮膚組織の一定圧力および/または一定変位のためのメカニズムと、
光刺激放射源と、
集光光学部品または集光ファイバと、の少なくとも1つを有する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
当該サンプリング部位に確実に、かつ取り除き可能に取り付けられるガイドであって、当該サンプリング・モジュールを、当該サンプリング部位に対して、反復可能に、かつ当該サンプリング部位への最小の擾乱で、連続的および/または周期的に、物理的および光学的に位置させる当該ガイドを有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
鏡面反射を減少させ、適切なサンプリング部位の温度変動に近づけかつ維持し、およびサンプリング部位の水和変化を最小にするために、当該サンプリング部位への、当該サンプリング・モジュールの適切なコンタクトを提供する、当該サンプル部位の前処理のための手段を、さらに、有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
当該サンプリング・モジュールが、当該サンプリング部位から拡散反射されたまたは透過屈曲された信号を集める請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ベース・モジュールと当該サンプリング・モジュールの何れかが、
波長参照標準と、
強度参照標準とのいずれかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
当該通信バンドルが、当該サンプリング・モジュールと当該ベース・モジュールとの間に統合されている請求項1に記載の装置。
【請求項9】
当該サンプリング・モジュールと当該ベース・モジュールとが、ともに、ハンドヘルドユニットに統合されている請求項1に記載の装置。
【請求項10】
当該サンプリング・モジュールが、
シリコンで作られることが好ましいハウジングと、
反射鏡と、
当該反射鏡に結合された、タングステン・ハロゲン放射源を有することが好ましい、ランプと、
当該ランプをモニタし、かつ当該ランプの出力を、ランプ出力コントローラによって安定に維持するためのフォトダイオードと、のいずれかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
当該反射鏡、したがって、そこから出てくる入射光が、集光ファイバのための空間を与えるために、当該サンプル部位に対する垂線から、ある角度ずらして中心が合わせられている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
光が、シリコンウインドウによって、当該サンプル部位のアパーチャ上に集中させられ、当該シリコンウインドウが、ロングパス・フィルタを有する請求項10に記載の装置。
【請求項13】
当該サンプリング・モジュールが、再現可能な接触圧および/またはサンプリング位置のために、当該ガイドに可逆的に結合する請求項4に記載の装置。
【請求項14】
当該ガイドが、さらに、
ガイドアパーチャへの当該プローブの適切な進入を保証し、かつ当該サンプリング部位の一定圧力インタフェースおよび/または一定変位インタフェースを可能にするために、サンプリングモジュールプローブの位置決めを助けるための少なくとも1つの磁石を有し、
当該磁石が、ガイドアパーチャへの制御された移動を容易にし、かつ当該磁極の反転によって、当該ガイドアパーチャから、引っ張ることなく、取り除くことを可能にするために、オプションで、電気的に活性化される請求項13に記載の装置。
【請求項15】
当該サンプリング・モジュールの当該ガイドへの当該可逆的な結合は、当該サンプリング・モジュールを、取り外し、かつ同じガイドインタフェースを有する強度参照および/または波長参照に結合することを可能にする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
当該強度参照が、99 %以上の反射率を持つ物質を有し、かつ当該波長参照が、ポリスチレンである請求項15に記載の装置。
【請求項17】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
当該サンプリング部位を、一定温度に維持するためのヒータを有する請求項1に記載の装置。
【請求項18】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
拡散反射された光を集めるための検出ファイバを有する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
当該ベース・モジュールが、支持台面上に据えられるか、または当該ベース・モジュールが、人に装着可能であるかの何れかである請求項1に記載の装置。
【請求項20】
当該サンプリング・モジュールが、手、指、掌の領域、親指の付け根、前腕、前記前腕の手掌側、前記前腕の背面側、上腕、頭、耳たぶ、目、舌、胸、胴、腹部領域、もも、ふくらはぎ、脚、足の裏領域、つま先のいずれかに結合する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
当該ベース・モジュールのためのドッキング・ステーションを、さらに、有する請求項1に記載の装置。
【請求項22】
当該ベース・モジュールは、当該通信バンドルが、一体化した部分を形成している当該サンプリング・モジュールに、直接結合している請求項1に記載の装置。
【請求項23】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
紫外、可視、700〜1000 nmの近赤外において最低6 O.D.のブロッキングを与えることが好ましいハウジングを有する請求項1に記載の装置。
【請求項24】
当該ハウジングが、シリコンで作られ、かつ約1 mmの厚さを有することが好ましい請求項23に記載の装置。
【請求項25】
当該照射放射源が、
0.05 Wから5 Wの電力におよぶタングステン・ハロゲン放射源を有する請求項1に記載の装置。
【請求項26】
当該照射源が、
少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を有する請求項1に記載の装置。
【請求項27】
フォトダイオードと、
当該照射放射源を、データ取得中、および、それに先立つ異なる時点において、異なるレベルで駆動することを可能にするためのフィードバック・コントローラと、を、さらに、有し、
当該フォトダイオードが、当該照射放射源からの可視光を検出するために、オプションのオーダーソーターの前に配置され、および
当該フォトダイオードが、シリコン、InGaAs、InPGaAs、 PbS、PbSe検出器のいずれかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項28】
当該照射放射源が、さらに、
放物形状、楕円形状、および球形状のいずれかを有する反射鏡を有する請求項1に記載の装置。
【請求項29】
当該放射源、当該ハウジング、および当該反射鏡が、当該サンプル部位表面にほぼ平行な放射源光をもたらすように配置されている請求項29に記載の装置。
【請求項30】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
当該サンプリング部位表面に対して低角度に光をもたらすためのフォールディング光学部品を有し、当該フォールディング光学部品が、オプションでミラーと集光ミラーとのいずれかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項31】
当該通信バンドルが、さらに、
当該通信バンドルに取り付けられた第1の集光光学部品と、
当該ベース・モジュールに結合する第2の集光光学部品を受け入れるための、当該通信バンドル内のコネクタと、を有するクイック接続光学部品を有する請求項1に記載の装置。
【請求項32】
拡大レンズ、縮小レンズ、およびフォールディング・ミラーのいずれかによって、光を結合するための少なくとも1つの光学デバイスを、さらに、有する請求項31に記載の装置。
【請求項33】
当該サンプリング・モジュールを、当該サンプリング部位に接触して残したままで、当該第2の集光光学部品が、当該サンプリング・モジュールから容易に取り外される請求項32に記載の装置。
【請求項34】
当該照射放射源が、さらに、熱放射源を有する請求項1に記載の装置。
【請求項35】
当該照射放射源と当該サンプリング部位との間に位置する光学フィルタを、さらに、有する請求項1に記載の装置。
【請求項36】
当該光学フィルタが、当該照射放射源の後に位置するが、当該サンプリング部位およびカップリング流体のいずれにも接触しない請求項35に記載の装置。
【請求項37】
当該光学フィルタは、さらに、
第1のフィルタが、熱を取り除き、および第2のフィルタが、スペクトル反射を減少させる、当該照射放射源と当該サンプリング部位との間に位置する、少なくとも2つのフィルタを有する請求項35に記載の装置。
【請求項38】
当該光学フィルタが、
1050 nmよりも波長の短い光を取り除くためのシリコン・フィルタを有し、回折格子を、当該回折格子から、二次光、または、より高次光を検出することなく、1150〜1850 nmの領域で使用することが可能であり、当該シリコン・フィルタが、前記回折格子の前に、かつ当該サンプリング部位の後に置かれる請求項35に記載の装置。
【請求項39】
当該光学フィルタが、
シリコン・ロングパス光学部品であるフィルタと、
特定の領域、特に、1900〜2500 nmをブロックするようにコーティングされたフィルタと、
屈折率を合わせるように反射防止コーティングされ、かつ光スループットを増加させ、および/または、他のフィルタ、特にショートパス・フィルタ、と組み合わせて使用されるフィルタと、
シリコンによってブロックされない、通常のタングステン・ハロゲン放射源の黒体曲線の最大強度を取り除くためのブロッカをコーティングされたフィルタであって、当該ブロッキングバンドが、約1800 nmから3000 nmまでの任意の領域をカバーすることができるフィルタと、
約1100 nmから2500 nmまでの光を通すバンドパス・フィルタを提供するために、約2500 nmでカットオフするRGガラスと組み合わせて使用されるフィルタであって、当該フィルタの組合せが、1100〜1900 nmのバンドパスを提供するために、オプションで、コーティング層、特に1900〜2500 nmのブロッカ、とともに用いられるフィルタと、のいずれかを有するフィルタを有する請求項35に記載の装置。
【請求項40】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
当該照射放射源の一部を取り囲む、放物形状の光学部品に形作られた部材を有し、当該部材の外面が、反射鏡、特に金、でコーティングされている請求項1に記載の装置。
【請求項41】
当該部材が、シリコンおよびプラスチックのいずれかで作られている請求項40に記載の装置。
【請求項42】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
集光ファイバに巻き付けられた照射放射源フィラメントと、
光を、当該サンプリング部位に入れるためのアパーチャに向けるための反射鏡であって、オプションで、入射光表面で、反射コーティングされた表面と、当該反射鏡での外面が反射コーティングされた透過性の表面と、のいずれかを持つ当該反射鏡と、を有する請求項1に記載の装置。
【請求項43】
当該照射放射源と当該サンプリング部位との間に定められたウィンドウであって、
オプションで、フィルタを有する当該ウィンドウを、さらに有する請求項42に記載の装置。
【請求項44】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
単一の素子検出器と機能的に組み合わされた広帯域放射源を有する請求項1に記載の装置。
【請求項45】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
ファブリペロー干渉計、特に、ファブリペロー・エタロン、を有する請求項1に記載の装置。
【請求項46】
当該サンプリング・モジュールが、
身体内のグルコース濃度を間接的にモニタするために、サンプル内に光学的経路長を提供し、当該サンプリング部位に許容されるエネルギー供給を提供し、および当該サンプリング部位の適切な加熱/温度制御を提供するためのアパーチャを定める表面を有し、
当該アパーチャの変更が、サンプルされる組織の正味の検体信号に影響を与える請求項1に記載の装置。
【請求項47】
当該アパーチャによって定められる照射エリアの中央に置かれた、光ファイバの集光ファイバを、さらに、有する請求項46に記載の装置。
【請求項48】
脂肪、タンパク質、水のいずれかを有し、かつサンプルの深さの関数として分布しているサンプル構成物質からグルコースの間接的決定を実行するための手段を、さらに、有し、間接的信号の大きさが、当該アパーチャに応じて変動する請求項46に記載の装置。
【請求項49】
当該サンプリング・モジュールが、交換可能な接着剤で、当該サンプリング部位に半永久的に取り付けられる請求項1に記載の装置。
【請求項50】
プローブと同じ組織変位を与えることによって、当該サンプリング部位の組織を安定させるための、当該アパーチャに設置の取り除くことが可能なプラグを、さらに、有する請求項47に記載の装置。
【請求項51】
当該サンプリング部位の水和のための連続のバリア、および一定圧力インタフェースを可能にするためのコンタクトウインドウを、さらに、有する請求項46に記載の装置。
【請求項52】
サンプリング・モジュールが、さらに、
光刺激、超音波前処理、機械的刺激、冷却、および加熱のいずれかのための手段のいずれかを有する請求項1に記載の装置。
【請求項53】
サンプリング・モジュールが、さらに、
毛細血管の拡張を引き起こす光刺激を与えるためのLEDを有する請求項1に記載の装置。
【請求項54】
入射フォトンを組織サンプルに結合させるために、当該サンプリング・モジュールと当該サンプリング部位との間に配置される、フロリナートであることが好ましいカップリング流体を、さらに、有し、当該カップリング流体が、当該サンプリング部位の表面温度の変化を最小にし、かつ当該組織サンプルから観察されるスペクトル変化を最小にするために、オプションで、予熱され、当該カップリング流体が、予熱される場合には、照射放射源エネルギー、サンプリング部位のヒータ・エネルギー、および補助的な熱放射源のいずれかを使用して、予熱される請求項1に記載の装置。
【請求項55】
サンプリングに先立っての、当該カップリング流体の自動供給のための手段を、さらに、有する請求項55に記載の装置。
【請求項56】
当該サンプリング・モジュールが、さらに、
ベースによって形成されたアパーチャに配置された集光ファイバであって、サンプリング部位表面に接している当該集光ファイバを有する請求項1に記載の装置。
【請求項57】
当該サンプリング・モジュールが、サンプリング部位表面と良好なスペクトル接触にある場合を決定するために、1450 nm、1900 nm、2500 nm近傍の大きな水吸光バンドにおける信号、および観察される強度の不在のいずれかを使用する手段を、さらに、有する請求項1に記載の装置。
【請求項58】
当該ベース・モジュールが、さらに、
当該ベース・モジュールと、当該サンプリング・モジュールおよびデータ収集/処理システムのいずれかとの間で、データを転送するための双方向無線通信システムを有する請求項1に記載の装置。
【請求項59】
標準化物質のマスタ・スペクトルとスレーブ・スペクトルとの比較分析に基づいて、近赤外の波長軸を標準化するための手段を、さらに、有する請求項1に記載の装置。
【請求項60】
当該標準化するための手段が、
当該X軸を決定するために、ターゲット波長領域内に吸収バンドを持つ物質であって、ポリスチレン、エルビウム酸化物、ジスプロシウム酸化物、およびホルミウム酸化物のいずれかを有する当該物質を有する請求項59に記載の装置。
【請求項61】
標準化に用いられる当該物質が、
当該ベース・モジュールの外部で測定される、
当該内部波長標準が、当該サンプルと同時に測定され、当該ベース・モジュールの内部に、光路を分離して、連続的に測定されかつマウントされる、
適切な時に、アクチュエータによって、主光学トレインに移動される、の何れかであり、
参照スペクトルが、透過モード、反射モード、拡散反射モードのいずれかで集める請求項59に記載の装置。
【請求項62】
無吸収の物質、および公知かつ不変のスペクトル吸光バンドを持つ物質の、それぞれの、分光測定によって、参照スペクトル、および(波長)標準化スペクトルを測定するための手段を、さらに、有する請求項59に記載の装置。
【請求項63】
当該測定するための手段が、さらに、
標準化物質のマスタ・スペクトルと、
当該マスタ・スペクトルと計器標準化スペクトルとの間の差異を決定するための手段とを有し、
当該マスタ・スペクトルおよび波長領域が、オプションで、不揮発性メモリに記憶される請求項62に記載の装置。
【請求項64】
当該マスタ・スペクトルと、取得されたスペクトルとの間の当該X軸位相シフトの、スペクトル全体によっての少なくとも1つのウィンドウが、計器関連のベースライン変動を取り除いた後に、相互相関関数によって決定され、当該位相シフトが、当該取得されたスペクトルのX軸を、当該マスタ・スペクトルと対比して補正する(標準化する)ために使用される請求項63に記載の装置。
【請求項65】
当該ベース・モジュールが、さらに、
前記X(スペクトル)データとY(グルコース濃度)データの一方または両方に集められるスペクトル・データの偏り補正のための手段を有する請求項1に記載の装置。
【請求項66】
当該ベース・モジュールが、さらに、
処理されたスペクトル測定と参照生体パラメータ値とのペアになったデータ点で構成される較正データセットに基づいて、個人、または個人のグループに対して較正するための手段を有する請求項1に記載の装置。
【請求項67】
グルコース測定において、当該参照値が、指の毛細血管血中グルコース、前記指以外の前記身体の部位における代替部位毛細血管血中グルコース、間質液中グルコース、または静脈血中グルコース、の少なくとも1つを有する請求項66に記載の装置。
【請求項68】
当該ベース・モジュールが、ドッキング・ステーションに、一体として、接続され、当該ドッキング・ステーションが、コンピュータ、およびグルコース管理センタを有しており、当該グルコース管理センタが、グルコース摂取、インシュリン供給、グルコース濃度決定のいずれかを含む可能性がある時に生じるイベントを追跡する請求項1に記載の装置。
【請求項69】
当該ベース・モジュールが、さらに、
反復測定または連続測定の統計的分析によって、測定の精度を推算するための手段と、
生体パラメータが、単純な傾き(時間変化に関する当該生体パラメータの変化)、および指数関数的な移動平均に基づいた推算によってなされる、将来の検体予測の信頼限界の統計的推算によって、あらかじめセットされたレベルに、何時、接近するかを決定するための手段であって、当該信頼限界が、当該精度の推算に基づく手段と、を有する請求項1に記載の装置。
【請求項70】
当該ベース・モジュールは、さらに、
生体パラメータが、標準的な時系列解析によって、あらかじめセットされたレベルに、何時、接近するかを決定するための手段を有し、関連した現在のアラーム・レベルが、将来の生体パラメータ予測の信頼間隔内にある場合、アラームが、行使される請求項1に記載の装置。
【請求項71】
当該サンプリング・モジュールと当該ベース・モジュールのいずれかは、さらに、
当該サンプリング・モジュールが、当該サンプリング部位に接しているときに、連続的な測定、半連続的な測定のいずれかをとるための手段を有する請求項1に記載の装置。
【請求項72】
当該ベース・モジュールが、さらに、
精度の推算、信頼間隔、および将来のイベントの予測のいずれかを含むことができる様々な機能を実行するために、時間ベースの情報および傾向を使用する手段を有する請求項1に記載の装置。
【請求項73】
制御目的のフィードバック・メカニズムを提供するために、インシュリン供給システムに設けられるリンクを、さらに、有する請求項1に記載の装置。
【請求項74】
当該ベース・モジュールと当該サンプリング・モジュールのいずれかが、
あらかじめ定められた波長範囲にわたって、当該サンプル部位に近赤外放射を提供するための複数のLEDを有するスペクトロメータシステムを有し、当該複数のLEDの各々が、波長バンドにわたる近赤外放射を提供する請求項1に記載の装置。
【請求項75】
当該複数のLEDの波長が、ターゲット検体の正味の検体信号のS/N比を最適化するように、特に、選択され、かつ微分測定の平均化および決定の目的で様々な組織体積をサンプリングするための手段を供給するように、検出素子に対して様々な距離に配置される請求項74に記載の装置。
【請求項76】
当該複数のLEDが、特定の波長または波長バンドにおいて、様々な組織体積の拡散反射の様々な推算を取得するために、一度に1つ、および/または、グループで、逐次的に作動される請求項74に記載の装置。
【請求項77】
サンプルされる組織体積の光加熱を回避すると同時に、より大きな照射強度を提供するために、当該複数のLEDをパルス駆動して、高S/N比を持つ短い測定をもたらす請求項74に記載の装置。
【請求項78】
付加的なノイズを取り除き、複数の波長の同時測定を提供するために、当該複数のLEDが、特定のデューティサイクルおよび周波数で変調される請求項74に記載の装置。
【請求項79】
当該複数のLEDが、当該サンプル部位を、直接的に照射する請求項74に記載の装置。
【請求項80】
検出ファイバの周辺のサンプル組織領域上に、ほぼ一様な分布を与えるために、
当該複数のLEDと光学ウィンドウとの間に位置する反射面を有するミキシング・チャンバを、さらに、有し、各LEDが、オプションで反射面を有する物質の凹部に置かれている請求項74に記載の装置。
【請求項81】
複数のLEDのグループが、各グループに単一のフィルタ・タイプと関連して、使用され、かつ当該複数のLEDが、検出ファイバを囲む距離に配置され、かつ検出距離に対して異なる波長バンドと異なる照射と関連した光の検出を可能にするように作動される請求項74に記載の装置。
【請求項82】
当該複数のLEDのグループが、
当該検出ファイバを囲む特定の距離における環形(リング形)であって、当該フィルタが、当該検出ファイバを囲み、かつ関連した複数のLEDを覆って、リング状に配置されている環形と、
当該検出ファイバを囲むくさび形であって、当該フィルタが、くさび形状または、三角形形状であることが可能であり、かつそれらのフィルタに関連した複数のLEDを覆うように配置されているくさび形と、のいずれかに配置されている請求項81に記載の装置。
【請求項83】
各LED、または、複数のLEDの各グループが、出射された光のバンド幅を制限するために用いられる、関連した光学フィルタを有し、異なるフィルタが、当該LEDから当該サンプリング部位に出射され、供給された光が、当該フィルタを通過するようにマウントされ、LEDに連結されたフィルタが、特定のバンド幅を有し、かつ当該LEDの固有のバンド幅内にある特定の波長に中心がくるように合わせられ、複数のLEDのグループが、オプションで、同一のフィルタと関連する請求項81に記載の装置。
【請求項84】
当該複数のLEDが、正味の検体信号および干渉信号より相対的に広いバンド幅を有する請求項81に記載の装置。
【請求項85】
当該複数のLEDが、分散素子、および単一の素子検出器のないスペクトロメータにおいて使用され、薄い誘電体フィルムが、ファブリペロー干渉フィルタにおけるように使用され、および1つのフィルタが、各LEDと関連する請求項81に記載の装置。
【請求項86】
当該光学システムは、複数の光学プローブであって、
光学プローブが、
入射光に対する1つ以上の光学経路と、
当該光学経路の各々に対する1つ以上の検出ファイバと、
当該入射光と当該1つ以上の検出ファイバとの間に最小距離を規定する、半径寸法を有するスペーサとを含み、
当該入射光の最大進入距離が、当該半径寸法より大きい、当該複数の光学プローブを有する請求項1に記載の装置。
【請求項87】
組織サンプル内のターゲットにされた深さからの光の前記集光が、最大にされ、かつ他の深さからの干渉が、最小にされるように、最近接光学プローブが、互いから、一様に、最小距離である請求項86に記載の装置。
【請求項88】
当該光学システムが、当該光学プローブの少なくとも2つを含む請求項86に記載の装置。
【請求項89】
当該光学部品システムが、当該光学プローブの3つまたは5つの何れかを含む請求項86に記載の装置。
【請求項90】
各光学プローブが、その最近接のものから、少なくとも8 mm離れて配置される請求項86に記載の装置。
【請求項91】
当該半径寸法が、約50 μm〜約3000 μmである請求項86に記載の装置。
【請求項92】
当該半径方向の距離が、約100 μmである請求項91に記載の装置。
【請求項93】
当該半径方向の距離が、約200 μmである請求項91に記載の装置。
【請求項94】
当該半径方向の距離が、約300 μmである請求項91に記載の装置。
【請求項95】
光学プローブであって、
入射光に対する1つ以上の光学経路と、
当該光学経路の各々に対する1つ以上の検出ファイバと、
当該入射光と当該1つ以上の検出ファイバとの間に最小距離を規定する半径寸法を有するスペーサとを有し、
当該入射光の最大進入距離が、当該半径寸法より大きい、光学プローブ。
【請求項96】
当該半径方向の距離が、約50 μm 〜約3000 μmである請求項96に記載の装置。
【請求項97】
当該半径方向の距離が、約100 μmである請求項97に記載の装置。
【請求項98】
当該半径方向の距離が、約200 μmである請求項97に記載の装置。
【請求項99】
当該半径方向の距離が、約300 μmである請求項97に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−532183(P2007−532183A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507381(P2007−507381)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/011024
【国際公開番号】WO2005/099567
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(503016164)センシス メディカル インク (9)
【Fターム(参考)】