説明

近距離無線通信装置及びこれを搭載した携帯型情報処理端末並びに近距離無線通信方法

【課題】 容易に通信時の位置合わせを行うことができ、通信の確実性の向上を図ることができる近距離無線通信装置を提供すること。
【解決手段】 通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段5と、通信状態を操作する操作手段3と、を備えた近距離無線通信装置であって、近距離無線通信手段5にて通信を行う際に少なくとも通信電波の照射方向を含む画像を取得する画像取得手段4と、この取得された画像を表示する表示手段2と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信装置にかかり、特に、画像取得装置を併設した近距離無線通信装置に関する。また、これを搭載した携帯型情報処理端末及び近距離無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの携帯電話に、他の装置や携帯電話に対して近距離無線通信を行う赤外線通信機能が搭載されている。そして、例えば、他の携帯電話に対して画像データなど記憶しているデータを送信する、携帯電話をテレビのリモコンとして利用してテレビ操作情報を送信する、さらには、携帯電話から自動販売機に対して電子マネーを送信するなど、種々の用途に利用されている。
【0003】
ところが、赤外線通信機能が搭載された携帯電話においては、赤外線通信に使用される光は不可視光であるため、赤外線通信対象(他の携帯電話やテレビなど)の受光部に対して正確に照射していることを使用者が確認する手段がない。特に、赤外線通信で使用する光は、周囲からのノイズを低減するために指向性が高くなっているため、受光部に対して照射角がずれている場合には、光の到達距離の範囲内であっても、通信できないことも頻繁に起こりうる。以上の問題点から、より容易に、かつ、確実に通信が行えるような方式が求められている。
【0004】
さらに、上記問題点から、操作者が照射方向の位置合わせに注意しすぎることにより、自己の端末のディスプレイに表示される通信状況を監視できず、また、通信のための操作もままならない、という問題も生じうる。
【0005】
これに対し、特許文献1では、近年、多くの携帯電話1に搭載されているカメラの回転構造に着目し、当該回転部に赤外線部を搭載している。このように、回転部に設けることで、赤外線通信時に、一方の携帯電話では操作面側(表面側)に、他の携帯電話では背面側に、それぞれ赤外線部を向けることで、各赤外線部にて通信を行いつつ、双方の携帯電話の表示部をそれぞれの操作者に向けることができると共に、操作画面も操作者に向けることができる。従って、通信時の状況を確認しつつ、操作も容易に行うことができる。
【0006】
なお、上述した特許文献1では、カメラ機能と赤外線通信機能との関係には触れていない。このことは、当該文献に、カメラと赤外線部とを異なる回転部に設けることや、カメラと赤外線部とが反対方向を向いていてもよい、ことの記載があることからも明らかである。そして、カメラが装備された回転部に赤外線部を搭載した理由としては、単に小型化やコスト削減を図るためであるとしている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−289336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、単に携帯電話間における通信時の状況を、各操作者がそれぞれの表示部にて確認して、それぞれの操作部にて操作可能としているだけであって、依然として上記問題は解消されていない。つまり、赤外線の照射方向を容易に設定するための技術ではなく、通信操作が容易であっても、その前提となる両赤外線部の位置合わせが難しい、という問題が生じる。これによって、容易かつ迅速、さらには、確実な通信を行うことが困難となる。
【0009】
このため、本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、容易に通信時の位置合わせを行うことができ、通信の確実性の向上を図ることができる近距離無線通信装置を提供すること、をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明の一形態である近距離無線通信装置は、通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、通信状態を操作する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置であって、近距離無線通信手段にて通信を行う際に少なくとも通信電波の照射方向を含む画像を取得する画像取得手段と、この取得された画像を表示する表示手段と、を備えた、ことを特徴としている。
【0011】
上記発明によると、近距離無線通信を行う際に、電波の照射方向の画像が取得され表示される。従って、操作者はかかる画像を見て、近距離無線通信手段の照射方向が通信対象に向いているか否かを確認し、向いているときに操作手段にて通信操作指令を入力することができる。このように、通信時の位置合わせを容易に行うことができ、通信の確実性の向上を図ることができる。
【0012】
また、画像取得手段の画像撮影部と近距離無線通信手段の通信電波照射部とを近接して配置した、ことを特徴としている。さらに、画像取得手段の画像撮影部と近距離無線通信手段の通信電波照射部とを、画像撮影方向と通信電波の照射方向とがほぼ一致するよう配置した、ことを特徴としている。これにより、通信電波の照射方向が表示画面に表示されやすくなり、近距離無線通信時における位置合わせのさらなる容易化を図ることができる。
【0013】
また、表示手段は、画像取得手段によって取得され表示される画像上に通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴としている。そして、特に、表示手段は、照射位置マークを表示画面のほぼ中央に表示する、ことを特徴としている。これにより、まず、操作者は、表示画面を見て照射位置マークが通信対象に重なるよう画像取得方向を設定する。そして、照射位置マークと通信対象が重なったときに通信操作を行うことで、通信を実行することができる。従って、より容易に通信方向の位置合わせを行うことができる。
【0014】
また、近距離無線通信手段は、通信時に徐々に通信電波の照射レベルを上げて通信を行う、ことを特徴としている。このとき、近距離無線通信手段は、通信相手との接続が確立されことを検知したときに現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を行う、ことを特徴としている。また、近距離無線通信手段は、通信開始前に画像取得手段に通信開始準備指令を発し、画像取得手段は、通信開始準備指令に応じて画像の取得を開始する、ことを特徴としている。さらに、近距離無線通信手段は、通信相手との接続が確立されたことを検知したときに接続確立通知を画像取得手段に通知し、画像取得手段は、接続確立通知に応じて画像の取得を停止する、ことを特徴としている。これにより、通信が確立される前は照射レベルを小さく設定したり、画像取得手段の動作を制限することにより、近距離無線通信装置の消費電力の低減を図ることができる。
【0015】
また、本発明の他の形態は、上述した近距離無線通信装置を搭載した携帯型情報処理端末でもある。そして、近距離無線通信手段は、赤外線通信手段である、ことを特徴としている。さらに、携帯型情報処理端末は、表示手段及び前記操作手段が表面に装備された携帯電話であって、画像取得手段の画像撮影部と近距離無線通信手段の通信電波照射部とが、携帯電話の背面に装備された、ことを特徴としている。
【0016】
これにより、装置の固定が容易ではない携帯型端末であっても近距離無線通信時の位置合わせを容易に行うことができ、操作性の向上を図ることができる。また、多くの機種で予めカメラが搭載されている携帯電話に搭載することで、新たな構成を装備することなく、低コストで赤外線通信の操作が容易となり、通信の確実性の向上を図ることができる。さらには、バッテリーが限られている携帯端末において省電力化を測ることができ、駆動時間の短縮化を抑制できる。
【0017】
また、本発明の他の形態である近距離無線通信方法は、通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、画像を取得する画像取得手段と、取得された画像を表示する表示手段と、所定の操作指令を入力する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置にて近距離無線通信を行う方法であって、画像取得手段が近距離無線通信手段による通信電波の照射方向の画像を取得し、当該画像を表示手段が表示し、この表示画像に少なくとも通信対象が含まれているときに操作手段から入力される通信指示を受け付けて、近距離通信手段にて通信を実行する、ことを特徴としている。
【0018】
そして、画像取得手段による画像取得時に、通信電波の照射方向がほぼ中央に位置する画像を取得する、ことを特徴としている。また、表示手段による画像表示時に、当該画像上に予め設定された通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴としている。また、近距離無線通信手段による通信時に、徐々に通信電波の照射レベルを上げて当該通信電波を照射する、ことを特徴としている。このとき、近距離無線通信手段による通信時に、通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を継続する、ことを特徴としている。
【0019】
また、画像取得手段が、近距離無線通信手段による通信開始直前から画像の取得を開始する、ことを特徴としている。さらに、近距離無線通信手段による通信時に、通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に、画像取得手段が画像の取得を停止する、ことを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明の他の形態である近距離無線通信用プログラムは、
通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、画像を取得する画像取得手段と、取得された画像を表示する表示手段と、所定の操作指令を入力する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置に、
画像取得手段にて近距離無線通信手段による通信電波の照射方向の画像を取得する画像処理部と、
この取得した画像を表示部に表示する表示処理部と、
この表示画像に少なくとも通信対象が含まれているときに操作手段から入力される通信指示を受け付けて、近距離通信手段にて通信を実行する通信制御部と、
を実現する、ことを特徴としている。
【0021】
また、表示処理部は、表示する画像上に予め設定された通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴としている。さらに、通信制御部は、近距離無線通信手段による通信時に徐々に通信電波の照射レベルを上げて当該通信電波を照射する、ことを特徴としている。このとき、通信制御部は、近距離無線通信手段による通信時に通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を継続する、ことを特徴としている。
【0022】
上記近距離無線通信方法あるいは近距離無線通信用プログラムであっても、上述した近距離無線通信装置と同様の作用、効果を有するため、上記本発明の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、近距離無線通信手段を用いた通信時の位置合わせを容易に行うことができ、利便性の向上を図ることができるとともに、通信の確実性の向上を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、指向性を有する近距離無線通信の通信方向を画像表示することに特徴を有する。これにより、表示される通信対象の位置に応じて通信を開始し、通信の位置合わせを容易に行うとするものである。以下、詳細な構成及び動作を実施例にて説明する。
【0025】
なお、以下では、上記特徴を有する本発明である近距離無線通信装置を搭載した携帯電話を例に挙げて説明する。但し、近距離無線通信装置を搭載した他の携帯型情報処理端末(例えば、PDAやノートパソコン)であってもよく、後述するように、カメラを備えた近距離無線通信を行う専用の装置であってもよい。
【0026】
また、近距離無線通信として、以下では、IrDA方式による赤外線通信を一例に挙げて説明するが、かかる方式や赤外線通信に限定されない。一定の指向性を有する通信電波を利用する近距離無線通信手段による装置であればよい。
【実施例1】
【0027】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明の近距離無線通信装置が搭載される携帯電話の構成を示す正面図及び背面図である。図2は、携帯電話の構成を示す機能ブロック図である。図3は、画像取得範囲と赤外線照射方向との関係を示す説明図である。図4は、携帯電話の表示画面の一例を示す図である。図5は、携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0028】
[構成]
図1に示す携帯電話1は、折り畳み可能な携帯電話であって、図1(a)に表面側、つまり、折り畳まれたときに内側に位置する面を示し、図1(b)に背面側を示す。そして、この携帯電話1は、一般的に普及している携帯電話が有する構成を備えている。具体的に、表面側には、アドレス帳や発信先電話番号、電子メールの内容などを表示するメイン表示部2と、操作内容を入力するためのテンキーなどを有する操作部3と、を備えている。また、裏面側には、静止画像や動画像を撮影するレンズが装備されたカメラ部4と、IrDA方式にて赤外線通信を行うための赤外線を発する赤外線通信部5と、時刻表示や着信表示などを行うサブ表示部2’と、を備えている。さらに、内部には、携帯電話1の動作を制御するCPUなどの制御部6と、アドレス帳データなどを記憶するメモリ(図示せず)と、を備えている。また、制御部6には、所定のプログラムが組み込まれることにより、画像処理部61と、表示処理部62と、通信制御部63と、が構築されている。なお、その他にも、一般的な携帯電話1が有する構成、機能を装備しているが、その詳細は省略する。以下では、上述した各構成について詳述する。
【0029】
メイン表示部2(以下、単に「表示部」という)は、表示処理部62と協働して表示手段として機能し、表示処理部62からの指令に従って、種々のデータを表示する。特に、カメラ部4及び画像処理部61を介して取得した画像データを表示したり、さらには、操作部3及び通信制御部63からの指令に従って、通信状態を表示する。また、カメラ部4にて画像を撮影する際にはファインダとして機能し、カメラ部4にて今現在取得している範囲の画像をプレビューする。そして、かかるプレビュー画像は赤外線通信を行う際に利用されるが、これについては後述する。
【0030】
操作部3は、通信制御部63と協働して操作手段として機能し、操作者による通信制御情報や表示制御情報、画像制御情報などの入力を受け付けて通信制御部63に送信する。これを受けた通信制御部63は、入力された制御情報に基づいて携帯電話1の動作制御を行う。例えば、通信制御情報に基づいて、通話や電子メール、ウェブサイトの閲覧などの携帯電話網を介した通信を行ったり、あるいは、赤外線通信部5を介した近距離の赤外線通信を行うよう通信制御する。また、表示制御情報に基づいて、表示処理部62に所定の表示を行うよう指令を発する。さらには、画像処理部61に画像取得を行うよう、あるいは、画像取得動作を停止するよう指令を発する。
【0031】
カメラ部4(画像撮影部)は、画像処理部61と協働して画像取得手段として機能する。そして、静止画像や動画像を撮影して表示処理部62を介して表示部2に表示させたり、撮影した画像を携帯電話1内のメモリに保存したり、さらにはこれら撮影した画像を用いてテレビ電話に利用することが可能である。このカメラ部4では、図3に示すような所定の範囲(カメラ撮影範囲40)の画像を撮影することが可能である。
【0032】
赤外線通信部5(通信電波照射部)は、通信制御部63と協働して近距離無線通信手段として機能する。そして、赤外線にて通信対象物にデータを送信し、あるいは、送信されたデータを受信する。例えば、後述する通信対象物であるテレビ100に対してチャンネルを選択するデータを送信し、赤外線リモコンとして利用したり、あるいは、他の携帯電話に対してデータ転送を行うなど相互にデータ通信を行うことに利用可能である。この赤外線通信部5からは、図3に示すように、一定の照射方向に向かって、指向性が高い赤外線(送信光)を送信する。
【0033】
そして、本実施例では、カメラ部4と赤外線通信部5は、携帯電話1の背面側に近接して配置されている。特に、図3に示すように、カメラ部4によるカメラ撮影範囲40内に赤外線照射方向50が位置するよう配置されており、画像撮影方向と赤外線の照射方向が一致するよう配置されている。さらに言うと、カメラ撮影範囲40のほぼ中央に赤外線照射方向が位置するよう設定されている。従って、カメラ部4にて撮影した画像のほぼ中央部分が、赤外線の照射方向を示していることとなる。
【0034】
また、カメラ部4及び画像処理部61によるカメラ機能は、赤外線通信を行う際に自動的に起動して、画像を撮影する。具体的には、操作部3から赤外線通信を開始する旨の指令が入力されると、通信制御部63は、通信が開始される前に、通信開始準備指令を画像処理部61と表示処理部62とに通知する。そして、かかる通信開始準備指令を受けた画像処理部61では、カメラ機能を起動してカメラ部4にて画像を撮影し、表示部2に表示するよう表示処理部62に渡す。
【0035】
また、通信制御部63から通信開始準備指令を受けた表示処理部62は、通信が開始される前に、カメラ部4にて取得した画像を表示部2に表示する(プレビューする)と共に、この表示した画像上に、赤外線の照射方向を表す照射位置マーク21を表示する。この照射位置マーク21は、例えば、図4に示すように十字状のマークである。そして、上述したように、カメラ部4の撮影範囲のほぼ中央に照射方向が位置するよう設定されていることから、画像のほぼ中央に照射位置マーク21が表示されることとなる。また、図4に示すように、画像上には、十字状の照射位置マーク21をさらに点線にて延長した照射位置補助マーク22も表示される。
【0036】
なお、上記照射位置マーク21及び照射位置補助マーク22は、上述したように、赤外線通信機能を使用するときにのみ表示される。従って、カメラ機能を単独で使用するときには、照射位置マーク21等は表示部2には表示されない。
【0037】
ここで、表示部2に照射対象を表示したときの例を、図3乃至図4を参照して説明する。この図では、携帯電話1の赤外線通信機能をテレビ100のリモコンとして使用する例を説明する。従って、照射対象物はテレビ100であり、特に、赤外線の照射方向はテレビ100に装備された赤外線受光部101である。
【0038】
図3に示すように、操作者は、テレビ100にカメラ部4を向けて画像を撮影する。すると、図4に示すように、表示部2にテレビ100が映し出され、その中央には照射位置マーク21が表示される。そして、照射開始前に、照射位置マーク21の位置にテレビ100の赤外線受光部101が位置するよう操作者は携帯電話1の位置、つまり、カメラ部4の撮影範囲を移動させればよい。
【0039】
[動作]
次に、上記携帯電話1を用いて赤外線通信を行うときの動作を、図5を参照して説明する。まず、操作者が赤外線通信を行う選択を操作部3から行うと(ステップS1)、そのことが通信制御部63から画像処理部61、表示処理部62に通知される。画像処理部61では、カメラ機能を起動し(ステップS2)、カメラ部4から画像を撮影して表示処理部62に渡す。すると、表示処理部62では、受け取った画像と共に、当該画像上の中央に照射位置マークを表示して表示部2にて表示する(ステップS3)。
【0040】
続いて、操作者は、赤外線の照射目標位置となるテレビ100の赤外線受光部101上に照射位置マーク21が位置するよう、携帯電話1の位置を移動させて位置合わせを行う(ステップS4にて否定判断後、ステップS3)。このとき、照射位置補助マーク22を参照して位置合わせを行ってもよい。そして、照射位置マークを赤外線受光部101に合わせられたときに、操作者は操作部3から通信ボタンを押下して、送信を実行する指令を入力する(ステップS4にて肯定判断)。すると、かかる入力を受けた通信制御部63は、赤外線の照射を行う(ステップS5)。その後、赤外線受光部101にてテレビの操作指令が入力され、テレビ100のチャンネル切替などの操作が行われる。
【0041】
このようにすることにより、操作者は表示部2を見て、赤外線通信部4の照射方向が通信対象に向いているか否かを確認し、向いているときに通信操作指令を入力することができるため、通信時の位置合わせを容易に行うことができ、通信の確実性の向上を図ることができる。特に、携帯電話1は載置して使用するものではないために固定が容易ではないが、かかる装置であっても位置合わせを容易に行うことができるため、操作性が向上する。さらに、携帯電話1は多くの機種で予めカメラが搭載されているため、かかるカメラ機能を利用することで、低コストで赤外線通信の操作が容易となり、通信の確実性の向上を図ることができる。
【0042】
ここで、上記では、赤外線通信を行う際にカメラ機能が自動的に起動すると説明したが、手動にて起動してもよい。また、照射位置マーク21が表示部2の中央に表示されると説明したが、中央に表示されることに限定されない。また、照射位置マーク21は表示されなくてもよい。その場合には、表示画面のほぼ中心付近(あるいは他の箇所)が照射方向であることを予め知っている必要が有るが、かかる位置に通信対象が位置するように位置あわせを行えばよい。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の第2の実施例を、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、本実施例における携帯電話の構成を示す機能ブロック図である。図7は、本実施例における赤外線通信時の状況を示す説明図である。図8は、本実施例における携帯電話の動作を示すフローチャートである。そして、本実施例では、図7に示すように、携帯電話同士で赤外線通信を行い、データの送受信を行う場合を示す。
【0044】
[構成]
本実施例における携帯電話1は、上記実施例1と同様の構成を備えており、これに加え、以下の構成を備えている。かかる構成について、図6及び上述した図2を参照して説明する。
【0045】
まず、本実施例おける携帯電話1の通信制御部63は、赤外線通信部5にて赤外線通信を行う際に、徐々に赤外線の照射レベルを上げて通信を行う制御機能を有する。これに伴い、赤外線通信部5には、赤外線の照射レベルを可変して照射することを実現する回路が装備されており、その一例を図6に示す。
【0046】
この図に示すように、赤外線通信部5は、制御部6からの指令により赤外線の照射制御を行うLEDドライバ部51と、このLEDドライバ部51からの制御指令により点灯され赤外線を発する赤外線通信用LED52と、制御部6からの指令により赤外線通信用LED52に流す電流を可変させる電流可変用抵抗53と、を備えている。そして、赤外線通信用LED52は、流れる電流により発光強度が変化し、流れる電流が多いほど発光強度が高くなる性質を有する。
【0047】
そして、制御部6の通信制御部63は、上述した照射方向の位置合わせ後に、赤外線照射が開始されると、電流可変用抵抗53の抵抗値を一定の時間間隔ごと(例えば、0.2秒ごと)変化させるよう制御し、赤外線の発光強度を最小レベルからに徐々に高くなるよう変化させる。そして、実際に通信が確立されたときの照射レベルが、現在の通信環境下(距離など)における最小の発光強度となりうる。従って、かかる発光強度に固定することで、赤外線通信にて使用する消費電力の低減を図ることができる。
【0048】
そして、上記構成に伴い、通信制御部63と赤外線通信部5とは、通信相手との接続が確立したか否かを検知する機能を備えている。例えば、通信相手となる他の携帯電話の赤外線通信部5から受信応答(ACK)を受信することによって、接続が確立したことを検知する。あるいは、実施例1にて説明したように、テレビ100のリモコンとして利用し、通信相手からの応答がない場合には、操作が成功した旨の操作ボタンが操作者にて入力されたことを検知することにより、接続が確立したことを検知する。そして、通信制御部63と赤外線通信部5は、赤外線通信の接続の確立を検知すると、そのときの赤外線の照射レベルを固定して、赤外線通信を継続する。
【0049】
さらに、通信制御部63は、上述したように接続の確立を検知すると、接続確立通知を画像処理部61に通知する。そして、画像処理部61は、接続確立通知を受けるとカメラ部4の動作を停止して、画像の取得を停止する機能を有する。
【0050】
[動作]
次に、上記携帯電話1を用いて、図7に示すように他の携帯電話1’と赤外線通信を行うときの動作を、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
まず、操作者が赤外線通信を行う選択を操作部3から行うと(ステップS11)、そのことが通信制御部63から画像処理部61、表示処理部62に通知される。画像処理部61では、カメラ機能を起動し(ステップS12)、カメラ部4から画像を撮影して表示処理部62に渡す。すると、表示処理部62では、受け取った画像と共に、当該画像上の中央に照射位置マークを表示して表示部2にて表示する(ステップS13)。
【0052】
続いて、操作者は、赤外線の照射目標位置となる他の携帯電話1’の赤外線通信部(図示せず)上に照射位置マーク21が位置するよう、携帯電話1の位置を移動させて位置合わせを行う(ステップS14にて否定判断後、ステップS13)。そして、照射位置マーク21を赤外線通信部(図示せず)に合わせたときに、操作者は操作部3から通信ボタンを押下して、送信を実行する指令を入力する(ステップS14にて肯定判断)。すると、通信制御部63から画像処理部61にその旨が通知され、もはや画像表示は不要であるためカメラ機能が停止され、画像の撮影及び表示部2への表示が停止される(ステップS15)。
【0053】
そして、送信実行指令を受けた通信制御部63は、赤外線通信機能を初期化して、発光強度を最低レベルに設定し(ステップS16)、赤外線の送信を行う(ステップS17)。このとき、通信制御部63では、通信相手である他の携帯電話1’から受信応答があるか否かによって、通信が確立されたか否かを調べる(ステップS18)。受信応答がなく通信が確立されなかった場合には(ステップS18にて否定判断)、赤外線通信部5の電流可変用抵抗の抵抗値を変化させて、赤外線の照射レベルを一段階上げ(ステップS19)、そのレベルの赤外線を送信する(ステップS17)。そして、通信が確立されるまで、赤外線の照射レベルを段階的に上げて送信する。
【0054】
その後、他の携帯電話1’から受信応答を受信し、通信が確立されると(ステップS18にて肯定判断)、そのときの照射レベルに固定して赤外線の送信し、通信が完了するまで継続する(ステップS20)。
【0055】
このようにすることにより、低い照射レベルから徐々に大きくし、通信が確立されうる最低限の照射レベルに固定して通信を行うことで、携帯電話1の赤外線通信時における消費電力の低減を図ることができる。また、カメラ機能の動作を必要最低限に制限することによっても消費電力の低減を図ることができる。そして、このことは、バッテリー容量の少ない携帯端末において非常に有効であり、駆動時間の短縮化を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、カメラ機能付き携帯電話での赤外線通信などに利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明における携帯電話の構成を示す構成図であり、図1(a)は正面図を、図1(b)は背面図を示す。
【図2】携帯電話の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】携帯電話のカメラ部による画像撮影範囲と赤外線通信部による赤外線照射方向の関係を示す説明図である。
【図4】表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図5】実施例1における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例2における携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例2における赤外線通信の様子を示す説明図である。
【図8】実施例2における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯電話(携帯型情報処理端末、近距離無線通信装置)
2 メイン表示部(表示手段)
3 操作部(操作手段)
4 カメラ部(画像取得手段、画像撮影部)
5 赤外線通信部(近距離無線通信手段、通信電波照射部、赤外線通信手段)
6 制御部
21 照射位置マーク
22 照射位置補助マーク
40 カメラ撮影範囲
50 赤外線照射方向
51 LEDドライバ
52 赤外線通信用LED
53 電流可変用抵抗
61 画像処理部(画像取得手段)
62 表示処理部(表示手段)
63 通信制御部(操作手段、近距離無線通信手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、通信状態を操作する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置であって、
前記近距離無線通信手段にて通信を行う際に少なくとも通信電波の照射方向を含む画像を取得する画像取得手段と、この取得された画像を表示する表示手段と、を備えた、
ことを特徴とする近距離無線通信装置。
【請求項2】
前記画像取得手段の画像撮影部と前記近距離無線通信手段の通信電波照射部とを近接して配置した、ことを特徴とする請求項1記載の近距離無線通信装置。
【請求項3】
前記画像取得手段の画像撮影部と前記近距離無線通信手段の通信電波照射部とを、画像撮影方向と通信電波の照射方向とがほぼ一致するよう配置した、ことを特徴とする請求項2記載の近距離無線通信装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記画像取得手段によって取得され表示される画像上に前記通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の近距離無線通信装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記照射位置マークを表示画面のほぼ中央に表示する、ことを特徴とする請求項4記載の近距離無線通信装置。
【請求項6】
前記近距離無線通信手段は、通信時に徐々に通信電波の照射レベルを上げて通信を行う、ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の近距離無線通信装置。
【請求項7】
前記近距離無線通信手段は、通信相手との接続が確立されことを検知したときに現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を行う、ことを特徴とする請求項6記載の近距離無線通信装置。
【請求項8】
前記近距離無線通信手段は、通信開始前に前記画像取得手段に通信開始準備指令を発し、
前記画像取得手段は、前記通信開始準備指令に応じて画像の取得を開始する、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の近距離無線通信装置。
【請求項9】
前記近距離無線通信手段は、通信相手との接続が確立されたことを検知したときに接続確立通知を前記画像取得手段に通知し、
前記画像取得手段は、前記接続確立通知に応じて画像の取得を停止する、
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の近距離無線通信装置。
【請求項10】
請求項1乃至9記載の近距離無線通信装置を搭載したことを特徴とする携帯型情報処理端末。
【請求項11】
前記近距離無線通信手段は、赤外線通信手段である、ことを特徴とする請求項10記載の携帯型情報処理端末。
【請求項12】
前記携帯型情報処理端末は、前記表示手段及び前記操作手段が表面に装備された携帯電話であって、
前記画像取得手段の画像撮影部と前記近距離無線通信手段の通信電波照射部とが、携帯電話の背面に装備された、ことを特徴とする請求項10又は11記載の携帯型情報処理端末。
【請求項13】
通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、画像を取得する画像取得手段と、取得された画像を表示する表示手段と、所定の操作指令を入力する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置にて近距離無線通信を行う方法であって、
前記画像取得手段が前記近距離無線通信手段による通信電波の照射方向の画像を取得し、当該画像を前記表示手段が表示し、この表示画像に少なくとも通信対象が含まれているときに前記操作手段から入力される通信指示を受け付けて、前記近距離通信手段にて通信を実行する、
ことを特徴とする近距離無線通信方法。
【請求項14】
前記画像取得手段による画像取得時に、通信電波の照射方向がほぼ中央に位置する画像を取得する、ことを特徴とする請求項13記載の近距離無線通信方法。
【請求項15】
前記表示手段による画像表示時に、当該画像上に予め設定された通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴とする請求項13又は14記載の近距離無線通信方法。
【請求項16】
前記近距離無線通信手段による通信時に、徐々に通信電波の照射レベルを上げて当該通信電波を照射する、ことを特徴とする請求項13,14又は15記載の近距離無線通信方法。
【請求項17】
前記近距離無線通信手段による通信時に、通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を継続する、ことを特徴とする請求項16記載の近距離無線通信方法。
【請求項18】
前記画像取得手段が、前記近距離無線通信手段による通信開始直前から画像の取得を開始する、ことを特徴とする請求項13,14,15,16又は17記載の近距離無線通信方法。
【請求項19】
前記近距離無線通信手段による通信時に、通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に、前記画像取得手段が画像の取得を停止する、
ことを特徴とする請求項13,14,15,16,17又は18記載の近距離無線通信方法。
【請求項20】
通信電波が所定範囲の指向性を有する近距離無線通信手段と、画像を取得する画像取得手段と、取得された画像を表示する表示手段と、所定の操作指令を入力する操作手段と、を備えた近距離無線通信装置に、
前記画像取得手段にて前記近距離無線通信手段による通信電波の照射方向の画像を取得する画像処理部と、
この取得した画像を前記表示部に表示する表示処理部と、
この表示画像に少なくとも通信対象が含まれているときに前記操作手段から入力される通信指示を受け付けて、前記近距離通信手段にて通信を実行する通信制御部と、
を実現するための近距離無線通信用プログラム。
【請求項21】
前記表示処理部は、表示する画像上に予め設定された通信電波の照射方向を表す照射位置マークを表示する、ことを特徴とする請求項20記載の近距離無線通信用プログラム。
【請求項22】
前記通信制御部は、前記近距離無線通信手段による通信時に徐々に通信電波の照射レベルを上げて当該通信電波を照射する、ことを特徴とする請求項20又は21記載の近距離無線通信用プログラム。
【請求項23】
前記通信制御部は、前記近距離無線通信手段による通信時に通信対象との接続が確立されたか否かを調べ、確立された場合に現在の通信電波の照射レベルを維持して通信を継続する、ことを特徴とする請求項22記載の近距離無線通信用プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−53424(P2007−53424A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235226(P2005−235226)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】