説明

追尾モデルの管理

たとえばレーダによって検出された航空機など、遠方の目標の複数の軌跡を同時に維持する方法および装置が開示されている。それぞれの軌跡は、追尾目標についての、考えうる様々な力学的特性を示すモデルプロセスのセットにより、維持される。モデルは、完全にまたは大部分、互いに独立に振る舞うことができる。新たなセンサ情報を用いてモデルを更新するべきか否かは、それぞれの軌跡内のそれぞれのモデルについて、別個に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾道ミサイルや航空機などの移動物体を、レーダ情報や、光学センサからの情報などの、センサによる離散的な計測データにもとづいて、追尾する方法および装置に関する。特に、本発明は、弾道ミサイルの配置、俊敏な航空機による空襲などのように、高速で移動する互いに接近して配置された物体の同時追尾に有用である。このような物体の追尾においては、各物体の軌跡の力学的特性を、自律的な、すなわち相互作用のない複数の力学モデルの集まりを用いてモデル化できる。ただし、本発明の有用性は、これに限られるものではない。本発明の実施形態は、特に、早期警報レーダを用いた弾道ミサイルの追尾、あるいはこれと同様に、困難かつ複雑な戦闘シナリオにおいて有効であるように、構築されている。
【背景技術】
【0002】
追尾される移動物体を、追尾システムの目標と呼ぶ。追尾システムは、センサからの情報を受け、情報を組み合わせ、目標の1以上の予想軌跡を出力する。たとえば、2つの別個のレーダシステムは、それぞれ、複数の航空機から反射された電波について、断続的に、方位角、仰角、距離に関するセンサ情報を生成し得る。この場合、これらのセンサ情報を用いて、追尾システムが、航空機の飛行経路の予想軌跡を、連続的に、更新してもよい。
【0003】
複数のセンサ情報を、目標を示すと思われる一の論理的な軌跡と関連づけることにより、物体の位置、速度といった変数を推測でき、また、どのセンサ情報を、どの軌跡の予測に組み入れるべきか、よりよく決定することができる。これは、一般的に、適切な、専用または汎用目的のコンピュータにおいて、ソフトウェアに実装された、カルマン・フィルタ(非特許文献1参照)を用いたデータ処理技術により、実装できる。
【0004】
【非特許文献1】"New Results in Linear Filtering and Prediction Theory", Kalman R. E. and Bucy, R. S., Trans ASME, Journal of Basic Engineering, March 1961
【0005】
カルマン・フィルタは、プロセスの状態変数を推定するための、効率的かつ再帰的な方法を提供する。その方法は、継続的に、推定された状態変数と、その元となる軌跡との誤差を最小化しようとするものである。追尾方法を向上させるために、プロセスの力学的特性についての仮定が、軌跡予想処理に組み込まれる。民間機の追尾にあたっては、プロセスの考えられる力学的特性についての様々な説明の中で、適切なものの数は限られるだろう。たとえば、水平飛行、上昇/下降、旋回などである。水平飛行の力学的特性については、等速直線運動を仮定してもよく、この場合、状態変数として位置と速度のみが、必要とされる。一方、上昇/下降飛行の力学的特性としては、一定の高度変化率を仮定してもよい。軍事的シナリオにおいては、様々な種類の弾道ミサイル、非弾道ミサイルの軌跡、ヘリコプタの力学的特性、そしてその他の広範な、考えられる航空機の力学的特性については、異なる力学的特性で説明する方が、適切であろう。
【0006】
航空機が直線的な水平飛行を一定時間続けたあと、急に向きを変えるとき、または、弾道ミサイルが、動力飛行を終了するとき等、そのプロセスについての最適な力学的表現は、常に、変わりうる。このため、近年の多くの追尾システムは、目標の動きについて、同時に複数の種類またはモデルを保持する。これらのモデルは、利用可能なセンサ情報に対して、考えられる物理的運動の種類または力学的特性のうち、それぞれ異なるものを適用する。追尾方法に、このような複数の力学モデルを用いることは、よく知られている。たとえば、S. S. Blackman and R.Popoli(非特許文献2)を参照されたい。
【0007】
【非特許文献2】S. S. Blackman and R. Popoli, Artech House, 1999, "Design and Analysis of Modern Tracking Systems"
【0008】
たとえばモデルが分岐しすぎることを避けるなど、一の軌跡に関する複数のモデルの関連を保つために、通常、複数のモデルは、なんらかの方法で相互作用するよう取り決められる。単純には、それぞれのモデルが、その軌跡の他のすべてのモデルからの寄与に重みをつけたものを用いて、調整されてもよい。一般的に、このような取り決めは、相互作用複数モデル(Interacting Multiple Models/IMMs)で説明され、上述の文献 Blackman and Popoli(非特許文献2)にて詳述される。モデルから推測された、位置や速度といった状態変数を組み合わせて、複合軌跡が形成されてもよく、複合軌跡は、新たなセンサ情報のゲーティングに用いられてもよい。ゲーティングについては、後述する。
【0009】
別の方法は、モデル同士が、全く、もしくは顕著には相互作用しないモデルを用いるものである。このような方法は、自律的複数モデル(Autonomous Multiple Models/AMMs)と呼ばれる。自律的複数モデルを用いることで、特定の問題を克服することができる。たとえば、どのようにして状態変数の個数が異なる複数のモデルを組み合わせるか、モデルの相互作用プロセスがもたらした計算によるオーバヘッドをどのように減少させるか、どのようにして軌跡の力学変化により早く反応する追跡プロセスに帰着させることができるか、などの問題である。相互作用複数モデルの方が、より広範に議論されてきているが、最近の自律モデルに関する文献に、非特許文献3がある。
【0010】
【非特許文献3】A.T.Alouani and J. E. Gray, Proc SPIE Acquisition, Tracking and Pointing XVII, Vol. 5082, 2003
【0011】
ほとんどの既知の追尾システムにおいて、センサ情報は、ゲーティング処理と割り当て処理によって、軌跡に配分される。通常、それぞれの軌跡は、次の新たなセンサ情報の時刻まで、時間的に前方に外挿され、これにより、特定の軌跡に属するセンサ情報の尤度が確定される。ゲーティング処理は、そのセンサ情報により、その軌跡が更新されるべきか否か、統計的にyes/noの判断を供給する。しかしながら、ゲーティング処理の後においてもなお、いくつかの軌跡の候補のうちのいずれにセンサ情報を割り振るべきなのか、もしくは、そのセンサ情報は新たな軌跡の開始に用いるべきなのか、明らかでないときには、困難が生ずる。センサ情報を特定の軌跡に割り振る方法は、数多くの議論、研究の的であった。よく知られた最近傍法(nearest neighbour approach)、大域的最近傍法(global nearest neighbour approach)に見られる、きわめて単純な方法は、センサ情報を、単にもっとも近い軌跡に割り当てる。
【0012】
より洗練された方法では、より多くのデータを取得するまで、センサ情報の軌跡への割り当ての確定の延期を図る。その間は、センサデータをどのように割り当て得るかについて、複数の仮説が保持される。より多くのセンサ情報が到着し、割り当てについての以前のさまざまな選択肢が適切であったか、明らかになるにつれて、可能性の低い仮説は、取り除かれる。この方法は、一般的に、複数仮説追尾(Multiple Hypothesis Tracking/MHT)として知られ、非特許文献4において、詳しく説明されている。
【0013】
【非特許文献4】S . S . Blackman "Multiple Hypothesis Tracking for Multiple Target Tracking", IEEE A&E Systems Magazine VoI 19 no. 1, 1994
【0014】
同文献で議論されている軌跡主導複数仮説追尾(track-oriented MHT)においては、仮説は維持されず、仮説にセンサ情報が組み込まれるにつれて、展開される。むしろ、新たなセンサ情報やさまざまな割り当て選択肢を考慮する必要があるときには、新たな軌跡セグメントと分岐が形成される。軌跡木は、継続的に、または断続的に、余分な、もしくは可能性の低い軌跡や軌跡セグメントを取り除くために、枝刈りされる。
【0015】
文献Blackman(非特許文献4)ではまた、センサ情報割り当て仮説の形成および枝刈りについて、複数モデルの相互作用の観点から議論されている。そして、軌跡のすべてのモデルで形成される複合軌跡にもとづいて、センサ情報割り当て仮説を、形成、展開、枝刈りする方法が推奨されている。ブラックマンは、新たなセンサ情報を個々のモデルにもとづいてゲーティングする方法を、好適であるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
複数の目標を含む環境で動作することを要請されるどの追尾方法においても、軌跡とセンサ情報との正確な関連づけに注意を払う必要がある。大抵の場合、センサ自身は、情報源について、何ら示唆することはできない。センサ情報が、誤った軌跡を更新するのに用いられたり、偽センサ情報が、軌跡を更新するのに用いられたりすると、誤った相関関係が生じる。他方、目標の運動が変化した場合、すなわち操縦された場合、あまり関連のなさそうなセンサ情報にもとづいて、軌跡を更新する必要があるかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、関連する従来技術における問題や制限に対処しようと試みる。本発明は、概して、同時に複数の軌跡を維持する追尾システムに適合する。この追尾システムにおいては、各軌跡が、モデルプロセスのセットを含む。モデルプロセスのセットは、追尾目標の、考えられる様々な力学的特性を表す。本発明は特に、各モデルが互いに、完全にまたは大部分、独立してもしくは自律的に、振る舞い、センサ情報を用いて更新することができるシステムに適用される。モデルセットの管理と、各モデルの軌跡への論理的組み分けの制御は、モデルと軌跡の開始、分岐、終了に関する別個の制御処理により確立される。
【0018】
この枠組みにおいて、本発明は、追尾システムが誤相関と、操縦とを区別するための、多数の規則を提供する。これらの規則は、現在のモデルセットと、以前のモデルセットとを比較し、また必要ならば、追尾プロセスの間で比較することで、インテリジェントかつ大幅な軌跡仮説候補の絞り込みを達成する。
【0019】
もし、一の軌跡に論理的に組分けられたモデルセットのうちの最適なモデルが、あるセンサ情報の更新と、次の更新との間で変化するならば、誤相関または、操縦が発生したと推定できるだろう。両方の可能性を許容するため、その軌跡は、ふたつに分けられる。
【0020】
同一のセンサ情報にもとづいて更新されたモデルプロセスを比較することで、二のモデルセットが共通部分を有するか、そして誤相関が生じている可能性があるかが示される。特に、異なる軌跡に属するモデルプロセスが、同一のセンサ情報を用いて更新された場合には、少なくとも更新の一部は誤相関である筈であると推定される。
【0021】
一の軌跡中のすべてのモデルが、物理的に同じ目標を追尾しているならば、それらのモデルは、位置と速度の双方において重複する傾向にあるだろう。位置の重なりは、同じセンサ情報にもとづいて、モデルを更新したことにより生じる。しかし、速度の異なるモデルは、むしろ、少し前の履歴が異なり、異なる目標について、更新されてきた可能性が高い。
【0022】
力学的連続性を保つために、一の軌跡に属する個々のモデルのうち、少なくとも、一部分は、ある更新と次の更新とで、重複を示すことが期待される。そうでない場合は、現在の、または一つ前の更新が、誤相関であったと思われる。ある場合には、モデルセットのうち、最適のモデルが、交代する振る舞いをみせることがある。それは、同様に、誤相関が交代することをも示す。
【0023】
ある側面によれば、本発明は、センサ情報を受けて、複数の目標軌跡を生成し、かつ/または維持する方法を提供する。この方法は、それぞれの軌跡内の、自律的なまたは準自律的なそれぞれのモデルについて別個に、新たなセンサ情報を受け入れるか否か決定し、受け入れることを決定したモデルのみを、センサ情報を用いて更新することにより、実現される。
【0024】
この方法は、さらに、これらの受け入れることを決定したモデルから、更新すべき特定のモデルサブセットを選択するステップを含んでもよい。たとえば、一の軌跡に属するモデルのみ、または軌跡内の一の仮説追尾プロセスに属するモデルのみを選択する。更新されたモデルが、モデルの種類一式を完備するグループの一部を形成することを保証するために、更新されたセットから消滅したモデルの種類が、あらたに開始されてもよい。たとえば、更新されたセットのうち、選択された最適なものから、開始されてもよい。
【0025】
一般的に、センサ情報とは、感知した物体の空間的、時間的位置情報を提供するセンサからの報告であってよく、目標の軌跡に組み込むための情報である。
【0026】
本発明の実施形態は、適切な汎用または専用のコンピュータシステムで実行される方法として、実現されうる。また、適切に配置され構成されたそのようなコンピュータシステムとして、コンピュータにより読み取り可能な1以上の適切な媒体に格納されたソフトウェアとして、あるいは、そのようなソフトウェア製品として実現されうる。本発明の実施形態はまた、センサ情報を提供するための装置自体を含んでもよい。たとえば、レーダを処理するハードウェア、もしくはレーダまたは他の観測システム全体すら含んでもよい。本発明の実施形態はまた、実現される発明の成果を、出力された軌跡または軌跡情報の形式で表現するための表示装置を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態について、添付した図を参照し、説明する。本発明の実施形態は、例として説明するにすぎない。
【0028】
以下の議論では、読者は、下記の基本的な処理について、精通しているものと仮定されている。
【0029】
軌跡開始(Track Initiation): 位置と速度を、これらに関連する不確実性をともなって、センサの測定値から抽出する処理。
【0030】
軌跡ゲーティング(Track Gating): 入ってくるセンサ情報が、既存の軌跡と、統計的に比較され、その軌跡が更新されるべきか否かについて、基本的なyes/noの決定を与える処理。
【0031】
軌跡更新(Track Update): 新たなセンサ測定値が、既存の軌跡に組み込まれる処理。
【0032】
上記の方法は、大抵のカルマンフィルタの実装の特徴であり、ここで詳細な方法を繰り返す必要はない。
【0033】
(構造の概要)
はじめに図1を参照する。本発明の実施形態にかかる追尾システムの概略を示す図である。センサ情報は、1以上の起点遠隔計測機器(originating remote sensing device)10から、受信される。起点遠隔計測機器10は、たとえば、レーダ、可視光、赤外、音響信号などを用いて動作する。それぞれのセンサ情報は、典型的に、時刻印と空間的な位置の測定値を有する。レーダの場合、位置には、通常、距離と方位角が含まれる。一方、受動的な電子光学機器では、方位角のみが含まれる。
【0034】
センサ情報は、センサ情報入力処理12に、受け渡される。そのセンサ情報は、複数の追尾モデル14に、渡される。複数の追尾モデル14は、論理的に軌跡16に組分けされている。追尾モデル14からの出力は、軌跡出力処理18において選択的に使用され、適切な軌跡データが、表示装置20に転送される。
【0035】
以下に述べる第一の実施形態では、それぞれの軌跡は、1セットの追尾モデル14を含む。第2の実施形態では、それぞれの軌跡は、1または数個の従属追尾プロセスを含み、それぞれのプロセスが1セットの追尾モデルを含み、またそれぞれのプロセスが、軌跡の展開についての、さまざまな仮説のひとつを代表する。
【実施例1】
【0036】
軌跡16と、これに含まれる追尾モデル14は、既存の軌跡を終了するための機能26を含むが、軌跡管理処理22において、さらに管理される。軌跡管理処理22は、新たな軌跡の開始24、新たなモデルの開始28、既存のモデルの初期化30などの機能を担当する。
【0037】
センサ情報入力処理12においては、さまざまな、前処理演算が行われてもよい。たとえば、座標変換、既知のバイアスの除去、すべてのセンサ情報が、特定のデータ形式に従っているかの確認、特定の時刻印の順序の確認などが行われてもよい。また、センサ情報が軌跡16のどれに関連するのか見極めるために、暫定的な、または粗いゲーティング機能を実行することも可能である。
【0038】
それぞれの、論理的軌跡16は、センサ情報にもとづいて、ひとつの目標を、追跡することを意図するものである。目標が示すであろう、広範な、物理的運動や力学的特性を、効果的にモデル化するために、それぞれの軌跡16は、数個の追尾モデル14のセットとして構成される。それぞれのモデルが、予想される目標の運動について、異なる仮定を適用する。たとえば、総合的なシステムは、それぞれの軌跡について、弾道ミサイルの各飛行段階についてのモデルに加えて、航空機や、高操作大気圏内ミサイル、船、ヘリコプターを含むエアブリージング(air-breathing)目標について、具体的に設計されたモデルを含んでもよい。ある実装された実施形態においては、それぞれの軌跡について、11個のの異なるモデルを使用する。
【0039】
それぞれのモデルは、現モデル状態で表現される。現モデル状態は、少なくとも、状態ベクトルと、共分散行列、そして、そのモデルの種類に関連する力学法則を含む。状態ベクトルは、目標の基本的な状態変数、例えば、位置や速度を含む。さらに、加速度や、ターンレート(turn rate)、航空力学的変数などの変数を含んでもよい。新たなセンサ情報を織り込み、モデルの状態を更新するために、カルマンフィルター技術が用いられる。更新が適切である確率は、モデルの力学的特性の束縛条件の下で、新たなセンサ情報の時刻まで外挿されたモデルに、新たなセンサ情報が、どれくらいよく合うかによって、決定される。
【0040】
同じもしくは他の軌跡内の他のモデルの状態や、更新するか否かの決断とは無関係に、それぞれのモデルが、新たなセンサ情報にもとづいて更新するか否か決定する。さらに、モデル間、または軌跡間には、直接的なデータの流れは存在しない。したがって、各モデルや軌跡は、受け取ったセンサ情報にもとづいて、独立に、進行する。そのかわり、軌跡や、モデルの管理は、大部分、軌跡管理処理22によって実行される。軌跡管理処理22の制御は、軌跡の開始、分岐、終了、および、特定の軌跡内の個々のモデルの開始、初期化に制限される。
【0041】
(詳細な処理)
図2は、新たなセンサ情報40について実行される処理を示すフロー図である。センサ情報は、新たな軌跡の開始、および既存の軌跡モデルの更新の両方に用いることができる。ここでは、更新処理についてのみ、詳しく考察する。
【0042】
それぞれのセンサ情報は、すべてのモデル14に送られる。それぞれのセンサ情報は、独立に、かつ、次のセンサ情報の処理に進む前に完全に、処理される。それぞれのモデルは、そのセンサ情報を用いて更新すべきか否か決定するために、カルマンフィルタを用いた追尾の分野で周知の技術を用いて、ステップ42においてゲーティング処理を適用する。センサ情報を受け入れたすべてのモデルは、ステップ44において、以前の状態を別個のモデルプロセスとして複製し、センサ情報を用いて更新を行う。
【0043】
新たなセンサ情報をもちいて更新したそれぞれのモデルは、ステップ46で、重みをつけた距離測度と、モデル残差共分散行列にもとづいて、更新の尤度を計算する。
【0044】
更新されたモデルセットは、軌跡管理処理22において、ステップ48から56でさらに処理される。この段階では、モデルは、様々な軌跡からのものであってよく、そのセットの任意の一の軌跡からのモデルを、0個から全部までの任意の個数有してよい。
【0045】
ステップ48では、そのセットは、モデルプロセス間において、同じ種類の力学的特質やほぼ同じ位置や速度を有する対やグループが、存在するか検証される。このような重複は、軌跡開始の結果として生ずる。軌跡開始については、本文書では説明しない。1以上の重複が発見された場合は、最も長く存在するモデルのみが維持される。
【0046】
ステップ50では、それぞれのモデルについての確率が、そのモデルの以前の更新状態の確率と、上述の更新の尤度との、正規化された積にもとづいて、決定される。最も高い確率を有するモデルが、そのセットの最適なモデルとして選択される。
【0047】
ステップ52においては、最適なモデルとして選択されたモデルと同じ軌跡に属するモデルは保持され、他の全てのモデルは、ステップ44で保存した以前の状態の複製を用いて、更新前の状態にもどされる。保持されたモデルの以前の状態の複製は、この段階で廃棄されてもよい。
【0048】
そのセットに残っているモデルはすべて、同じ軌跡に属しており、ステップ54で、分岐について評価される。すべてのモデルは、一のセンサ情報を用いて更新されているため、似たような位置状態を有する傾向にあるが、1以上のモデルが、他のモデルや他のモデルの平均値と、矛盾する速度状態成分または他の状態成分を有するかもしれない。もし、あるモデルが、他のモデルまたはその平均値と、十分に相違することを見出された場合には、新たな論理軌跡が形成される。分岐したモデルは、新たな軌跡に割り当てられ、その軌跡のモデル一式のセットが、分岐したモデルにもとづいて、構築される。
【0049】
ステップ56では、残っているモデルセットが、同じ軌跡の、以前のセンサ情報によって最も直前に更新されたモデルセットと、比較される。その2つのセットの間に、共通のモデルが存在しないならば、この軌跡に対する今回の更新は、前の更新から力学的に許容できないと結論づけてもよい。この場合、もしも、今回の更新セットの大きさが、前の更新セットの大きさよりも大きい場合には、新たな軌跡が生成される。前の更新セットのモデルは、新たな軌跡に割り当てられる。そして、完全なモデル一式のセットを形成するように、新たなモデルが、構築される。好適には、軌跡出力処理18から表示装置20に供給される軌跡の出力が、以前の更新を取り消すように変更される。
【実施例2】
【0050】
(概要)
別の実施形態によると、図1に示されるそれぞれの軌跡16は、図3に示すように、1以上の、従属追尾プロセスを含む。軌跡70中の追尾プロセスは、すべて、以下の意味において、関連している。すなわち、一の追尾プロセスが、「親仮説」72に指定され、同じ軌跡の一部である他のすべての追尾プロセス74,76は、直接的に、この親に由来する。これらの、付加的な追尾プロセスは、「子仮説」と呼ばれる。典型的には、受信したセンサ情報からは、操縦がなされているのか、誤相関が起きているのか、不明確である状況への反応として、親仮説と子仮説が、形成される。
【0051】
図1に関連して前述したように、それぞれの、追尾プロセス72,74,76は、1以上の追尾モデルまたはその追尾モデルの状態78を含む。好適には、完全な一式のモデルの種類が、関心対象である目標について、予測される力学的運動を網羅することが望ましい。それぞれのモデルが、状態モデル、共分散、そして関連する情報を含む。それぞれの追尾プロセスはまた、含まれているモデルに関連する付属データ80をも含む。付属データ80とは例えば、最適なモデルの識別情報、センサ情報を拒絶するか受容するかの状態を示すフラグなどである。
【0052】
追尾プロセス72は、図4において、より詳細に示される。第一のモデル状態セット82は、利用可能なモデル78すべての、現在の状態を含む。第2のモデル状態セット84は、それぞれのモデルが特定のセンサ情報にもとづいて更新することを選択したか否かによって、利用可能なモデルのうち、ゼロ、一部、または全てのモデルの更新された状態を含む。現在のモデル状態82のうちの一は、現在の最適なモデル86として、特定される。そして、更新されたモデル状態のうちの一が、更新された最適なモデル88として、特定される。更新された状態84は、特定のセンサ情報90と関連づけられる。
【0053】
(第2の実施形態 詳細な処理)
入力されたセンサ測定値のそれぞれは、独立して、かつ次に進む前に完全に、処理される。また、それぞれのセンサ情報には、たとえば、必要な座標変換、既知のバイアスの除去などの処理が施される。処理ステップの詳細な手順は、図5および図6に示される。
【0054】
1. 新たなセンサ情報は、それぞれ、すべての追尾プロセス72,74,76に送られる。それぞれの追尾プロセスは、順番に、データを、それらを構成するモデル78に送る。
【0055】
2. モデル78のそれぞれについて、センサ情報にゲーティング処理が適用される(92)。その結果は、受容(そのセンサ情報を用いて、そのモデルを更新する)または、拒絶(そのセンサデータは、適用できない)である。
【0056】
3. センサ情報を受容したすべてのモデルについて、後述の方程式(数1)によって定義される丈度を計算する(94)。そしてまた、追尾の技術分野において、よく知られた技術を用いて、現モデル状態と、受容されたセンサ情報とを組み合わせて、更新されたモデル状態を生成する(96)。現モデル状態は、そのまま、保持される(96)。
【0057】
4. それぞれのモデルプロセス78は、所属する追尾プロセスに対して、ゲーティング処理の結果、すなわち受容または拒絶を返す。ゲーティングの結果が、その情報を受容するものであった場合(すなわち、そのモデルプロセスが、更新されたモデル状態を生成したとき)は、更新されたモデル状態に関する確率もまた、その追尾プロセスに受け渡される。
【0058】
5. それぞれの追尾プロセスは、たとえば、図3に示される付属データ領域に、受容/拒絶の結果と、その追尾プロセスを構成するモデルに関する確率とを集積する。その追尾プロセスを構成するいずれかのモデルが、センサ情報を受容した場合、その追尾プロセスは、更新されたモデル状態のうち、最も高い確率のものを、最適な更新モデルとして選択する(98)。
【0059】
6. 処理のこの段階においては、新たなセンサ情報90は、1以上の追尾プロセスと関連付けされている。このような追尾プロセスは、それぞれ、各モデルについての現在の状態82、そして、1以上のモデルについての、更新状態84を含む(そのモデルがセンサ情報を受容したか否かによる)。ステップ98において、現在のモデル状態のうちの一つが、「現最適モデル」86として特定され、更新されたモデル状態のうちの一つが、「最適更新モデル」88として特定される。
【0060】
7. ここで図6を参照する。ステップ110において、子仮説を表す更新された追尾プロセスのそれぞれについて、論理的基準が適用される。これらの基準により、その追尾プロセスが、その更新を、誤相関が疑われるとして拒絶するか否か、決定される。この論理的基準には、様々な種類の論理が用いられるが、ここでは、その一についてのみ、述べる。
【0061】
(a)現最適モデルが、親仮説の最適モデルと同じ種類のモデルであれば、その更新を受け入れる。
【0062】
(b)その他の場合、現最適モデルに対応する更新モデル状態があれば、その更新を受け入れる。
【0063】
(c)その他の場合、その最適更新モデルが、現モデル状態において、開始されたばかりでないときには、その更新を受け入れる。
【0064】
(d)その他の場合、その更新を拒絶する。
【0065】
8. 追尾プロセスが、更新を拒絶した場合には、そのプロセスに所属するすべての更新モデル状態は、破棄される。そして、その追尾プロセスは、そのセンサ情報を受ける前の状態に戻される。
【0066】
9. 残っている更新モデル状態(すなわち、誤相関論理によって破棄されなかったモデル状態)のうち、最も高い確率を有する一のモデル状態が、最適更新モデルとして、選択される(112)。その最適更新モデルが属する追尾プロセスとは異なるプロセスに属する更新モデルは、ステップ114で破棄され、残っているモデルの中で最適なモデルを含む追尾プロセス以外のすべての追尾プロセスは、そのセンサ情報を受信する前の状態にもどる。
【0067】
10. 図6のステップ114の後、処理のこの段階においては、センサ情報は、一の追尾プロセスに割り当てられている。この追尾プロセスを、以下の文章において、「更新追尾プロセス」とよぶ。更新追尾プロセスは、各モデルについての、現在の状態と、1以上のモデルについての更新された状態を含む(そのモデルが、センサ情報を受け入れたか否かによる)。現在のモデル状態のうちの一つが、「現最適モデル」として特定され、更新されたモデル状態の一つが、「最適更新モデル」として特定される。
【0068】
11. 更新追尾プロセスが、子仮説である場合、他のすべての子仮説、そして親仮説がステップ116において、更新された軌跡から、排出される。排出された子仮説はそれぞれ、新たに、一の仮説を有する軌跡の親仮説となる。排出された親仮説においては、モデル状態のセット一式は、完備されないだろう。モデルセットは、ステップ118において、局所的な最適モデルから発生させることで、完成される。排出された親仮説もまた、少なくとも一つの更新モデル状態を含む場合には、新たな一の仮説を有する軌跡の親仮説となる。その他の場合には、その親仮説は、破棄される。
【0069】
12. 処理のこの段階においては、更新追尾プロセスは、常に、軌跡の親仮説である。
【0070】
13. 更新された軌跡内での仮説の発展について決定するために、多数の論理的基準が適用される。これらの基準により、更新が確立されたものとして扱われるか否か、決定される。更新が確立されたものとして扱われる場合、更新追尾プロセスの以前のモデル状態は破棄され、更新されたモデル状態によって、置き換えられる。その他の場合には、更新追尾プロセスの、以前のモデル状態、および更新されたモデル状態の両方が、保持される。
【0071】
下記の、論理的基準が、順番に適用される。
【0072】
(a)更新追尾プロセスが、開始されたばかりである場合、その更新は、確立したものとして扱われる。
【0073】
(b)更新された軌跡が2以上の追尾プロセスを含む場合(すなわち、更新された軌跡が少なくとも一つの子仮説を含む場合)には、その更新は、確立していないものとして扱われる。
【0074】
(c)現最適モデルがセンサ情報を受容しない場合には、その更新は、確立していないものとして扱われる。
【0075】
(d)その他の場合には、その更新は、確立したものとして扱われる。
【0076】
14. その更新が、確立したものとして扱われる場合には、ステップ118において、更新追尾プロセスの前のモデル状態は破棄され、更新されたモデル状態によって、置き換えられる。センサ情報を受容しなかったために更新したモデル状態には存在しないすべてのモデルが、ステップ120において、最適更新モデルの状態を用いて再開始される。
【0077】
15. 更新が、確立していないものとして扱われた場合には、次の操作が実行される。
【0078】
(a)更新モデル状態に存在するすべてのモデルについて、現モデル状態が、削除される(ステップ122)。
【0079】
(b)更新追尾プロセスの、更新モデル状態は、新たな子仮説に移される(ステップ124)。センサ情報を受容しなかったために更新モデル状態に存在しないすべてのモデルは、最適更新モデル状態を用いて、再開始される。
【0080】
これらの操作により、モデルセット間の整合性が、確保される。
【0081】
16. 入力された情報は、この時点において、すべて完全に処理されている。すべての更新モデル状態は、破棄されたか、他の追尾プロセスの現モデル状態に複製されたため、それぞれの追尾プロセスは、一つの現モデル状態のみを含む。
【0082】
上記のステップの手順は、主に、センサ情報が、操縦を示すのか、誤相関を示すのか、曖昧な状況に関するものであることに注意されたい。このような不確実性がなく、曖昧でない場合については、一の仮説を有する軌跡により、更新が確立されるだろう。
【0083】
軌跡更新に用いられる丈度は、更新kについて、式(数1)により、計算される。
【0084】
【数1】

【0085】
式(数1)において、mは、測定次元であり、式(数2)に示すdは、重みをつけた、距離測度(distance measure)であり、Sは、残差共分散行列である。
【0086】
【数2】

【0087】
式(数2)において、ベクトルZは、測定値を表し、X(−)は、外挿された状態ベクトルを表す。
【0088】
それぞれのモデルプロセスにおいて用いられ、かつ保持される再帰的確率は、式(数3)に示す通常のベイズの式を用いて計算される。
【0089】
【数3】

【0090】
式(数3)においては、関係するモデルプロセス全てについて、和をとる。
【0091】
添付された請求項で規定される発明の範囲および精神から逸脱することなく、多数の改良や変形が、上述の実施形態に、適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態にかかる自律的な複数モデル追尾システムの概略を示す図である。
【図2】図1に示す軌跡管理システムにより実現される、第一の処理の一部分を示すフロー図である。
【図3】一の軌跡内の仮説追尾プロセスを示す図である。
【図4】図3の追尾プロセスの詳細を示す図である。
【図5】第2の処理の第一の部分を示すフロー図である。第2の処理は、図3および図4に示す軌跡と追尾プロセスとを用いて、図一の軌跡管理システムにより、実行される。
【図6】図5の処理の第2の部分を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ情報を受けて複数の目標軌跡を生成するように、コンピュータを動作させる方法であって、
センサ情報を受けて、複数の軌跡を開始するステップと、
新たなセンサ情報を供給するステップと、
各モデルごとに、前記新たなセンサ情報を受容するか決定するステップと、
受容することを決定したモデルのみ、前記新たなセンサ情報を用いて、更新するステップとを備え、
前記軌跡は、各軌跡が複数の自律的軌跡モデルを備え、各モデルがモデル状態を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
受容することを決定したモデルのうち、最適な更新モデルを、確率の尺度を用いて選択するステップと、
選択したモデルが含まれる軌跡を決定するステップと、
決定した軌跡に含まれない各更新モデルを、新たなセンサ情報を用いた更新の前の各状態に戻すステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
軌跡に含まれる各モデルのうち、前記軌跡に属するモデル群との適合性の尺度から外れるモデルをすべて選択するステップと、
選択されたモデルを、1以上の新たに生成された軌跡に割り当てるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記適合性の尺度は、目標の速度についての適合性の尺度であり、それぞれのモデルによって、前記軌跡における目標の平均速度として表現されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記新たなセンサ情報を用いて更新されたモデルを有する各軌跡について、
新たなセンサ情報を用いて更新されたモデルであって、同じ軌跡に属する1以上のモデルの更新に用いられた最も直前のセンサ情報を用いた更新はされなかったモデルが、存在するか判定するステップと、
そのようなモデルが存在する場合に、前のセンサ情報を用いて更新されたモデルを、新たに生成された軌跡に割り当てるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記割り当てるステップは、新たなセンサ情報を用いて更新されたモデルの数が、前のセンサ情報を用いて更新されたモデルの数より多い場合にのみ、実行されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各軌跡は、1以上の追尾プロセスを有し、追尾プロセスには、少なくとも一の親仮説追尾プロセスと、随意で1以上の子仮説プロセスが含まれ、各追尾プロセスは、別個に、自律的軌跡モデルセットを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記新たなセンサ情報を用いて、親仮説追尾プロセスから新たな子仮説追尾プロセスを生成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記新たなセンサ情報を用いて、子仮説追尾プロセスから新たな子仮説追尾プロセスを生成し、その軌跡から、新たなプロセス以外のすべての追尾プロセスを排出するステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
センサ情報を受けて、複数の目標軌跡を生成するように、コンピュータを動作させる方法であって、
センサ情報を受けて、軌跡を開始し、発展させるステップと、
新たなセンサ情報を供給するステップと、
各追尾プロセスの各モデルについて、前記新たなセンサ情報を受容するか決定するステップとを備え、
前記軌跡は、それぞれ、1以上の追尾プロセスを備え、各追尾プロセスは、少なくとも一の親仮説追尾プロセスと、随意で、前記親仮説からセンサ情報を用いて形成された1以上の子仮説プロセスとを含み、
前記各追尾プロセスは、それぞれが現在のモデル状態を有する様々な種類の複数の自律的軌跡モデルを備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
新たなセンサ情報を受容することを決定したモデルを少なくとも一つ含む追尾プロセスのうちから、新たなセンサ情報を用いて更新する追尾プロセスを選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記更新する追尾プロセスを選択するステップは、
センサ情報を受容することを決定したモデルを少なくとも一つ含む各追尾プロセスについて、センサ情報と各モデルとの整合性の尺度にもとづいて、最適な更新モデルを選択するステップと、
子選択論理を適用することで、子仮説追尾プロセスである各追尾プロセスを受容し、または拒絶するステップと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
選択された追尾プロセスが子仮説プロセスである場合、同じ軌跡内の親仮説追尾プロセスおよび他のすべての子仮説追尾プロセスを排出し、前記選択された子プロセスを親仮説プロセスとして残すステップをさらに含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
各排出された仮説から、新たな軌跡を形成するステップを、さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
選択された追尾プロセスの更新を確立したものとして扱うか、確立されていないものとして扱うか判定する確立論理を適用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記更新が確立したものとして扱われる場合、前記選択された追尾プロセスのモデルは更新され、前のモデル状態は破棄されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記更新が確立していないものとして扱われる場合、前記選択された追尾プロセスに属し、センサ情報を受容したモデルは、新たな子仮説追尾プロセスを開始するために用いられることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
入力されたセンサ情報を受けて複数の目標軌跡を生成するコンピュータ装置であって、請求項1から17のいずれかに記載のステップを実行する手段を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれかに記載のステップを実行するコンピュータプログラムコードを格納した1以上のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
センサ情報を受け入れる入力プロセッサと、
前記センサ情報を受けて、複数の目標軌跡を維持する追尾プロセッサとを含み、
前記追尾プロセッサは、追尾モデルセットの各状態を用いて、各軌跡を表現し、セットに属する各モデルはプロセスの様々な力学的特性を有し、
前記追尾プロセッサは、各軌跡の各モデル状態について、そのモデル状態と軌跡が新たなセンサ情報を受容するか否かを個別に決定することを特徴とする追尾システム。
【請求項21】
前記追尾プロセッサは、
親仮説モデル状態を備える親仮説を、各軌跡ごとに維持し、
センサ情報を用いて、前記親仮説モデル状態から、対応する子仮説状態を導出することを特徴とする請求項20に記載の追尾システム。
【請求項22】
前記追尾プロセッサは、特定の新たなセンサ情報に関して、前記新たなセンサ情報を用いて更新する、一の軌跡の一の仮説を選択することを特徴とする請求項21に記載の追尾システム。
【請求項23】
弾道ミサイル、航空機、ヘリコプタ、非弾道ミサイルのうちの、少なくとも一を追尾することを特徴とする請求項18、請求項20から22のいずれかに記載の追尾システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−533461(P2008−533461A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500262(P2008−500262)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000827
【国際公開番号】WO2006/095170
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507303158)エル−スリー コミュニケーションズ エーエスエー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】L−3 COMMUNICATIONS ASA LIMITED
【住所又は居所原語表記】4 Chiswell Street, London EC1Y 4UP United Kingdom
【Fターム(参考)】