説明

追跡システム

アセットの規定された地理的境界への進入および/またはそこからの退出を地理的に追跡し、それらを報告するための装置、方法およびシステム。進入および退出テストは、アセットが地理的境界に進入したかまたは退出したかを判断するために、位置フィックスを様々なしきい値およびパラメータと比較する。テストは、より低い複雑さレベル(より低い次数)を有するテストが、より高い複雑さレベル(より高い次数)を有するテストの前に実行されるように、順序付けられる。このようにして、たいていの位置フィックスは、従来どおり実装されるよりも低い次数の数学的複雑さを有する計算を使用して処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、両方が「Geofence tracking」と題され、その両方が参照により本明細書に明確に組み込まれる、2008年10月10日に出願された米国特許仮出願第61/104,323号、および2008年10月10日に出願された米国特許仮出願第61/104,327号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、アセットのワイヤレス追跡のための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、地理的境界を横切るか、地理的境界に入るか、または地理的境界から出る人々あるいはターゲットを追跡することに関する。
【背景技術】
【0003】
ジオフェンス追跡と称されることがある地理的境界ベースの追跡は、1つまたは複数の規定された地理的境界、領域またはエリアに関しての、パッケージ、機器、車両、移動しているターゲットおよび人員などの、アセットの移動の監視である。境界は、仮想であり得る(すなわち、固定の実世界フェンスまたはボーダーがない)か、または(たとえば、市境内でまたはハイウェイ上で)固有に規定され得る。そのような追跡は、(車両などの)アセットが地理的境界を通過するとき、アセットの横断、進入または退出を監視し、記録するために、さらには、アセットが通常のプロトコルからそれた場合に、アセットの移動アクティビティのシステムオペレーターに警告するために使用され得る。
【0004】
地理的境界は、(たとえば、円によって規定された)エリア、(たとえば、1対の平行線によって規定された)通路、(たとえば、単一の線によって規定された)ボーダー、等々を規定し、囲むことができる。最初に、アセットは、未知の位置を有することができる。位置が判断されると、位置は、その不確実性とともに、境界内にあるか、境界外にあるか、または境界を跨いでいることがある。アセットの不確実位置エリアが地理的境界の両側と部分的に重なるとき、アセットは境界を跨ぐ。アセットのロケーションは、1つまたは複数の位置フィックスによって確立され得る。位置フィックスは、限定はしないが、システム支援のない独立型GPS、初期化のためのシステム支援をもつMSベース(Mobile Station−based:移動局ベース)GPS、外部エンティティがフィックスを実行するMS支援(Mobile Station−assisted:移動局支援)、CDMAセクタ三角測量に基づくAFLT(Advanced Forward Link Trilateration)、GPSおよびCDMAセクタ三角測量に基づくハイブリッド、およびセクタロケーションに基づくセクタセンターを含む、単一のモードまたは測位ソース、あるいは様々なモードまたは測位ソースの組合せを介して取得され得る。当業者は、位置フィックスを処理するための他のモードならびに様々なステップが、本開示の範囲を変更することなしに使用され得ることを理解するであろう。
【0005】
位置フィックスは、固有の誤りによる様々な信頼レベルを有する。これらの固有の誤りは、地理的境界ベースの追跡の信頼性に大きい影響を及ぼし得る。位置フィックスの誤りのレベルが高い場合、そのような追跡の信頼性は低減される。非連続位置フィックスのみが利用可能であるとき、地理的境界ベースの追跡の信頼性は同じく低減され得る。信頼性のレベルは、アセットの位置フィックスが利用可能になる時間間隔に依存し得る。さらに、地理的追跡の信頼性は、規定された地理的境界の形状など、他の条件によって影響を及ぼされ得る。
【発明の概要】
【0006】
地理的追跡のための装置、方法およびシステムが開示される。地理的追跡のための装置、方法およびシステムは、アセットの規定された地理的境界への進入および/またはそこからの退出を追跡し、それらを報告する。進入および退出テストは、アセットが地理的境界に進入したかまたは退出したかを判断するために、位置フィックスを様々なしきい値およびパラメータと比較する。テストは、より低い複雑さレベル(より低い次数)を有するテストが、より高い複雑さレベル(より高い次数)を有するテストの前に実行されるように、順序付けられる。このようにして、たいていの位置フィックスは、従来どおり実装されるよりも低い次数の数学的複雑さを有する計算を使用して処理される。
【0007】
いくつかの態様によれば、アセットを追跡するための方法が開示され、本方法は、地理的境界を取得すること、不確実性エリア(area of uncertainty)を規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的(over inclusive)不確実性エリアを判断すること、および、過剰包含的不確実性エリアに基づいて地理的境界と不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、その関係が、(a)不確実性エリアが完全に地理的境界内にある関係、(b)不確実性エリアが完全に地理的境界外にある関係、および、(c)不定関係(indeterminate relationship)、を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、を備える。
【0008】
いくつかの態様によれば、プロセッサとメモリとを備える地理的追跡デバイスが開示され、ここで、メモリは、地理的境界を取得すること、不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、過剰包含的不確実性エリアに基づいて地理的境界と不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、その関係が、(a)不確実性エリアが完全に地理的境界内にある関係、(b)不確実性エリアが完全に地理的境界外にある関係、および、(c)不定関係、を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、を行うためのソフトウェア命令を含む。
【0009】
いくつかの態様によれば、地理的境界を取得すること、不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、過剰包含的不確実性エリアに基づいて地理的境界と不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、その関係が、(a)不確実性エリアが完全に地理的境界内にある関係、(b)不確実性エリアが完全に地理的境界外にある関係、および、(c)不定関係、を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、を行うためのプログラムコードを備える、プログラムコードを記憶したコンピュータ可読媒体が開示される。
【0010】
例として様々な態様を図示され説明される以下の詳細な説明から、他の態様が当業者には容易に明らかになることを理解されたい。図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図1C】図1Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図2A】図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図2B】図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図3A】図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図3B】図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図3C】図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態による、時間的に変化する地理的境界を示す図である。
【図5】図5は、本発明のいくつかの実施形態による状態図である。
【図6A】図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による、不確実性パラメータを含むフィックスデータを示す。
【図6B】図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、不確実性パラメータを含むフィックスデータを示す。
【図7】図7は、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8A】図8Aは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8B】図8Bは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8C】図8Cは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8D】図8Dは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8E】図8Eは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図8F】図8Fは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。
【図9A】図9Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図9B】図9Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図10A】図10Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図10B】図10Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図11】図11は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図12A】図12Aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図12B】図12Bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図12C】図12Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【図13】図13は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図14】図14は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図15】図15は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図16】図16は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図17】図17は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図18】図18は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図19】図19は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図20】図20は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるかを判断するための様々なテストを示す。
【図21】図21は、本発明のいくつかの実施形態による、ハードウェア実装形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面に関して以下に示される詳細な説明は、本開示の様々な態様の説明として意図されており、本開示が実施され得る唯一の態様を表すことは意図されていない。本開示で説明される各態様は、本開示の例または図としてのみ提供され、必ずしも他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、本開示の完全な理解を与える目的で具体的な詳細を含む。ただし、本開示がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本開示の概念を不明瞭にしないように、よく知られている構造およびデバイスはブロック図の形式で示されている。頭字語および他の記述的専門用語は、単に便宜のためにおよび明快のためにのみ使用され得、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【0013】
図1A、図1B、図1C、図2A、図2B、図3A、図3Bおよび図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なあらかじめ規定された地理的境界を示す図である。各地理的境界は、線またはエッジ10によって規定されて示される。
【0014】
図1Aでは、閉じられたエリアが単一の地理的境界によって規定される。この場合、囲まれたエリア20は、半径Rと円周またはエッジ10とをもつ円を規定する。円は、第1の側すなわち第1のエリア20(円内にあるエリア)と、第2の側すなわち第2のエリア30(円外にあるエリア)と、を規定する。
【0015】
もちろん、重複する形状および/または重複しない形状であり得る、矩形、正方形、卵形、楕円、または規定可能な形状の組合せなど、他の規定可能な閉じられたエリアが可能である。図1Bでは、閉じられたエリア20は、矩形または正方形10によって規定される。図1Cでは、閉じられたエリア20は、多角形によって規定される。
【0016】
図2Aでは、閉じられたエリア20が、1対の線または曲線10によって規定される。そのようなエリアは、道路、鉄道、船舶水路または他の移動経路に従い、その境界を画定することができる。図2Aの閉じられたエリアは、各多角形がサブエリア20A、20Bを規定する図2Bのように、一連の多角形によって近似され得る。代替的に、閉じられたエリアは、1対の水平線によって規定され得る(たとえば、45度緯線と46度緯線間のエリアなどの、北半球中の帯状部を規定する)。代替的に、閉じられたエリア20は、3つ以上の線10によって規定され得る。
【0017】
図3Aでは、開いたエリア20が地理的境界10によって規定される。地理的境界10は、一つのエリアを地理的境界の第1の側20と反対側30とに分割する。この場合、地理的境界10は、(たとえば、経線または緯線に従う)直線として規定され得、またはボーダー(たとえば、州と州との間または国と国との間のボーダー)、地理的特徴(たとえば、大陸分水界または海岸線)、等々に従うことができる。図3Aの任意の曲線は、図3Bに示されるように、1つまたは複数の線によって近似され得る。
【0018】
図3Cでは、閉じられたエリア20Aが線10Aによって任意に整形される。この場合、円10Bは、その任意の形状を近似するために使用され得る。たとえば、円10Bは、任意の形状を完全に囲むために、十分大きくなり得る。この場合、円10Bは、過剰包含的になるであろう。ただし、(エリア20Bを有する)円10Bは、アセットが、任意に整形されたエリア20A外にあるかどうかを確実に判断するために使用され得る。同様に、円10Cは、できるだけ大きくなり得るが、依然として任意の形状10Aによって完全に包囲され得る。この場合、(エリア20Cを有する)円10Cは、アセットが、任意に整形されたエリア内にあるかどうかを確実に判断するために使用され得る。
【0019】
上記で説明されるように、各地理的境界は、固定された線または曲線10として示される。他の実施形態では、地理的境界は、移動方向および/または移動時間に応じて異なることができる。たとえば、境界は、ヒステリシスボーダーを用いて規定され得る。単純な例として、地理的境界は円であり得る。アセットが、その半径Rによって規定されたエリア内にあるとき、そのアセットは地理的境界内にあると判断される。アセットが、その半径R+バッファまたはヒステリシス距離によって規定されたエリアを越えているとき、そのアセットは地理的境界外にあると判断される。このようにして、境界上に静止しているアセットは、地理的エリア内にあることと地理的エリア外にあることとの間を行ったり来たりしていると判断されない。以下で説明されるアルゴリズムは、ヒステリシス境界を明示的に含まないが、そのようなヒステリシス境界を含むように適宜に変更され得る。
【0020】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、時間的に変化する地理的境界を示す。たとえば、半径Rとエリア20Aとをもつ円を規定する第1の地理的境界10Aは、授業時間中にアクティブであり得、学校のグラウンドを包含することができる。半径Rとエリア20Bとをもつ円を規定する第2の地理的境界10Bは、通学時間中にアクティブであり得、あらかじめ規定されたルートを包含することができる。半径Rとエリア20Cとをもつ円を規定する第3の地理的境界10Cは、授業時間および通学時間外にアクティブであり得、居住地を包含することができる。そのような時間依存地理的境界を用いて、アセットは、あらかじめ規定された時間中にそのアセットが位置することが予想される場所に従って追跡され得る。
【0021】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による状態図を示す。図は、未知状態40と内側状態41と外側状態42との3つの主状態を示す。アセットのロケーションに関する情報が知られていない場合、システムは、現在の状態を、現在位置が未知であることを示す状態40に設定することができる。位置が知られると、状態は、アセットが地理的境界の内側41または外側42のいずれかにあることを示すように設定され得る。最後のすなわち現在のフィックスデータが、アセットが内側41にあることを示す場合、システムは、アセットが地理的境界を退出したかどうかを検出することに集中することができる。あるいは、最後のすなわち現在のフィックスデータが、アセットが外側42にあることを示す場合、システムは、アセットが地理的境界に進入したかどうかを検出することに集中することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、単一の地理的境界10よりも多くの地理的境界が存在する。これらの場合、複数の状態が一度にアクティブになり得る。すなわち、第1の状態41は、アセットが1つの境界内にあることを示し得、第2の状態41’は、アセットが同時に重複境界内にあることを示し得る。代替的に、アセットは、現在1つの境界内にあり得(状態41が有効化され)、また、現在別の境界の外側にあり得る(状態42’が有効化される)。いくつかの実施形態では、アセットが状態を変更し、地理的境界に進入するたびに、システムは進入イベントを報告する。いくつかの実施形態では、アセットが状態を変更し、地理的境界を退出するたびに、システムは退出イベントを報告する。
【0023】
フィックスデータは、不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを含むことができる。一般に、フィックスデータは、(GPSデバイスまたは他の測位ソースまたは測位ソースの組合せによる、三辺測量または三角測量によって供給されるような)位置ロケーションフィックス、ならびに、誤りまたは不確実性楕円(uncertainty ellipse)または他の形状によって表され得るか、あるいは1つまたは複数の分散パラメータによって表され得る、関連するロケーション不確実性情報、を含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、この不確実性情報は、地理的境界10に関するアセットの動的位置(すなわち、地理的境界10に進入するか、退出するか、その内側にあるか、またはその外側にあるか)の判断を加速するために簡略化され得る。
【0024】
図6Aおよび図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、不確実性パラメータを含むフィックスデータを示す。図6Aにおいて、点P 200における位置フィックスは、
図の中心に示される。位置は、経度および緯度座標などによって規定され得る。代替的に、位置は、高度とともに経度および緯度座標によって規定され得る。その位置を囲む不確実性エリアは、ある確度内で、アセットが実際に位置する領域を規定する。不確実性エリアは、固定された確率内でアセットが位置するエリアを規定することができる。たとえば、アセットは、90%の確率内で不確実性エリア内にあることが知られ得る。不確実性エリアは、長軸220と該長軸220に直角な短軸230とを有する、不確実性楕円210によって規定され得る。半径と呼ばれることがある長軸220の長さは、その中心点P 200からエッジ210までの楕円の最大スパンに沿って測定される。位置不確実性楕円210の長軸220および短軸230の角度は、真北からの角度オフセットαによってさらに識別され得る。
【0025】
精度を犠牲にして、計算複雑性をさらに低減するために、不確実性楕円210は、簡略化され得、少なくとも長軸220の長さに等しい半径を有する円240によって表され得る。このようにして、円240によって規定された地理的不確実性エリアは、過剰包含的(over inclusive)であり、楕円210によって規定された不確実性エリアを十分に含んでいる。さらに、不確実性楕円210は、簡略化され得、長さが少なくとも長軸220の長さの2倍に等しい辺を有する正方形245によって表され得る。また、図17および図18を参照しながら説明されるように、楕円210内の不確実性エリアが地理的境界と部分的に重複するかどうかを判断するために使用される、(コアエリアまたは過小包含的(under-inclusive)エリアとも呼ばれる)内円248が示されている。
【0026】
図6Bは、共通位置を表すが、異なる確率をもつ2つの不確実性楕円を示す。測位システムは、関連する確率で(長軸a’と短軸b’とによって規定された)元の不確実性エリア210’のフィックスデータを与える。すなわち、アセットは、あるフィックス確率内で不確実性エリア内にあることが知られる。たとえば、不確実性エリアは、50%の確率の不確実性エリアを表すことができる。したがって、アセットがこの元のエリア210’内にある可能性は50%である。この元の不確実性エリア210’は、より高い確率でアセットを含むように変更され得る。たとえば、元の不確実性エリア210’は、第1の不確実性エリア210に対して増大することができる。この第1の不確実性エリア210は、90%の不確実性を表すことができる。したがって、アセットがこのエリア内にある可能性は90%である。第1の不確実性エリア210は、長軸220と短軸230とによって規定される。いくつかの実施形態では、a:a’とb:b’との比は、共通定数(たとえば、a/a’=b/b’=c)である。代替的に、元の不確実性エリア210’は、異なる比(たとえば、a/a’≠b/b’)を使用されるように形成され得る。これらの場合、(a)a’>a且つb’>b、(b)a’>a且つb’<b、または(c)a’<a且つb’>bである。この第1の不確実性エリア210は、上記で説明されたように、円240または正方形245によって過剰包含的不確実性エリアとして一般化され得る。以下の本文中で不確実性エリアについて説明するとき、このエリアは、目下の適用例のために適宜に(たとえば、90%に)設定される既知の確率に関連する。
【0027】
図7、図8A〜図8Fは、本発明のいくつかの実施形態による、地理的境界に関するフィックスデータを示す。図7は、所定の地理的境界10と不確実性エリア210とを示す。所定の地理的境界10は、エリア20を規定する中心位置G 12と半径R 14とを有する。エリア20中にないロケーションはエリア30中にある。アセットの位置P 200は、長軸220と、短軸230と、磁北からのオフセット角度αとによって規定された不確実性楕円210中の中心に置かれる。必要な場合、不確実性楕円は、適切な不確実性レベル(たとえば、90%)を表すように前もって調整されている。地理的境界10の中心点G 12と不確実性エリア210の中心点P 200とは、長さdのベクトルによって表され、且つ、北から角度βだけオフセットされ得る距離d250だけ分離される。
【0028】
図8A〜図8Fは、所定の地理的境界10が、不確実性楕円210、不確実性円(circle of uncertainty)240、および位置フィックスP 200のうちの1つまたは複数と重複するかまたは重複しないかのいずれかのエリア20を規定する一連のシナリオを示す。一連のシナリオは、所定の地理的境界10に対する様々な位置において(楕円210によって規定された)不確実性エリアを示す。不確実性円240を使用し、ロケーションG 12とP 200とを極座標で表すことによって、不確実性円240が完全に所定の地理的境界10内にあるか、または完全に所定の地理的境界10外にあるかの判断が、以下で説明される差または和の計算まで計算量的に低減される。不確実性円240が所定の地理的境界10と重複する場合、不確実性楕円210が、完全に内にあるか、完全に外にあるか、または同じく重複しているか、を判断するために、追加の計算が実行され得る。
【0029】
図8Aは、所定の地理的境界10が、不確実性楕円210と不確実性円240のどちらとも重複せず、位置フィックスP 200を包含しないシナリオを示す。この場合、距離dは、半径Gと、不確実性円240の半径220との和よりも大きいことになるだろう。すなわち、d>R+aの場合、アセットの未知の位置は、確実に地理的境界10の外側にあり、完全にエリア30中にあり、したがって不確実性楕円210および点P 200も地理的境界10の外側にある。
【0030】
図8Bは、所定の地理的境界10が不確実性楕円210と不確実性円240と位置フィックスP 200との各々を包含する好意的なシナリオを示す。この場合、距離dは、半径Rと不確実性円240の半径220との差よりも小さいことになるだろう。すなわち、d<R−aの場合、アセットの未知の位置は、確実に地理的境界10の内側にある。
【0031】
上で説明されたのは、過剰包含的不確実性エリア240が、エリア20の境界を画定する地理的境界10の完全に外側に入るか、または完全に内側に入るかを判断することに関与される計算である。円形エリア20と、円240によって一般化される不確実性の領域とを使用することは、計算が比較的簡単になることを可能にする。同様に、エリア20および不確実性の領域210が矩形に一般化された場合、計算は等しく簡単である。
【0032】
中心ロケーションG 12とP 200との間の距離が、上記で説明されたこれらの範囲の間(すなわち、G−a<d<G+a)にある場合、不確実性円240は、所定の地理的境界10と重複する。不確実性楕円210も所定の地理的境界10と重複するかどうかを判断するために、さらなるテストが実行される。以下の4つの図は、不確実性円240が地理的境界10と部分的に重複するが、不確実性楕円210が、分割されたか、または地理的境界10と重複しないかのいずれかである4つの異なるシナリオを示す。不確実性楕円210が分割されない場合、アセットの位置は、(少なくとも不確実性の所定の確率内で)所定の地理的境界10内にあるか、または地理的境界10外にあるかのいずれかであることが知られる。
【0033】
図8Cは、所定の地理的境界10が、不確実性円240と重複するが、偶然に不確実性楕円210とは重複せず、したがって位置フィックスP 200を包含しないシナリオを示す。この場合、距離dは、半径Rよりも大きいが、半径Rと半径220との和よりも小さいことになるだろう。すなわち、G<d<G+aの場合、不確実性円240は、エリア20と重複する。不確実性楕円210の長軸の向きと、方向ベクトルの方位βに関するそのジオメトリとに応じて、不確実性楕円210は、本明細書に示されるように、完全にエリア20の外側にあり得るか、またはエリア20と部分的に重複していることがあり得る。不確実性楕円210がエリア20から離れているか、または同じくエリア20と重複するかを判断するために、追加のテストが実行される。この例では、不確実性楕円210、はエリア20と重複しないことが示されている。比較のために、図8Eおよび以下の関連する説明を参照されたい。
【0034】
図8Dは、所定の地理的境界10が、不確実性円240と重複するが、同じく偶然に不確実性楕円210を完全に包含する補足的なシナリオを示す。この場合、距離dは、半径220を減じた半径Rよりも大きいが、半径Rよりも小さいことになるだろう。すなわち、R−a<d<Rの場合、不確実性円240は、エリア20と重複する。不確実性楕円210の長軸の向きと、方向ベクトルの方位βに関するそのジオメトリとに応じて、不確実性楕円210は、完全にエリア20の内側にあり得るか、またはエリア20と部分的に重複していることがあり得る。不確実性楕円210がエリア20によって包囲されるか、または同じくエリア20と部分的に重複するかを判断するために、追加のテストが実行される。この例では、不確実性楕円210は、エリア20によって完全に包囲されることが示されている。比較のために、図8Fおよび以下の関連する説明を参照されたい。
【0035】
図8Eは、所定の地理的境界10が、偶然に不確実性楕円210と重複するが、位置フィックスP 200を包含しないシナリオを示す。この場合、距離dは、半径Rよりも大きいが、半径Rと半径220との和よりも小さいことになるだろう。すなわち、G<d<R+aの場合、不確実性円240は、エリア20と重複するが、点Pは、エリア20の外側にある。
【0036】
図8Fは、所定の地理的境界10が、偶然に不確実性楕円210と重複し、また位置フィックスP 200を包含するシナリオを示す。この場合、距離dは、半径220を減じた半径Rよりも大きいが、半径Rよりも小さいことになるだろう。すなわち、R−a<d<Rの場合、不確実性円240はエリア20と重複するが、点Pはエリア20の内側にある。
【0037】
概要として、図8Aおよび図8Bに関して説明された計算を使用することによって、システムは、不確実性円240が所定の地理的境界10と重複しない(すなわち、中心ロケーションG 12とP 200との間の距離が所定の範囲内に入る)かどうかを判断することができる。不確実性円240が所定の地理的境界10と交差する場合、不確実性楕円210もまた所定の地理的境界10と交差するかどうかは未知のままである。この場合、不確実性楕円210が所定の地理的境界10によって分割されるかどうかを判断するために、さらなる処理が使用され得る。代替的に、新しい位置フィックスは、前のフィックスと同じであるか、それよりも小さいか、またはそれよりも大きい不確実性エリアを有する新しい位置を生じるように行われ得る。すなわち、新しい位置フィックスは、同じパラメータを使用して行われ得る;ただし、得られたフィックスは、より大きい不確実性エリアを有することがある。いくつかの実施形態では、新しい位置フィックスは、精度を改善するのを助け、新しい不確実性楕円のエリアを低減することを試みるために、増加した積分時間を使用して行われ得る。不確実性円270が、完全に所定の地理的境界10外にあるか、または完全に所定の地理的境界10内にあるかを判断するために使用される計算は、第2のより正確な位置フィックスを実行することによってスキップされ得る。
【0038】
図9A、図9B、図10A、図10B、図11、図12A、図12Bおよび図12Cは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な地理的追跡アルゴリズムのフローチャートを示す。
【0039】
図9Aおよび図9Bは、システムが退出イベント(すなわち、アセットが指定されたエリア20を出るとき)について検査するためのプロセスを示す。システムは、単一のプロセッサを使用することができるか、あるいは、共同設置されるかまたは別々のロケーションに位置する複数のプロセッサを使用することができる。300において、システムは、地理的境界10の定義を取得する。この地理的境界10は、局所的に(たとえば、メモリから)検索され得るか、またはリモートで取得され得る。この地理的境界10は、円(中心点G 12および半径R)または多角形などの閉じられたエリアとして与えられ得る。代替的に、地理的境界10は、線として、複数の閉じられたエリアとして、および/または、上で説明されたような時間に応じた他の形状として、規定され得る。簡単のために、半径Rをもつ円が以下で使用されるであろう。
【0040】
次に、アセット位置データを受信し、処理するサイクルが開始する。310において、システムは、元の不確実性エリア210’を規定するフィックスデータを受信する。ステップ320において、システムは、不確実性エリア210をより単純な形態に変換する。すなわち、システムは、不確実性エリア210を規定する長軸220など、不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて、増大した不確実性エリア(たとえば、不確実性円240)を判断する。
【0041】
330において、システムは、地理的境界10と増大した不確実性エリア240との間の関係を判断する。以下でさらに詳細に説明されるテストに基づいて、システムは、(a)増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10内にあるか、(b)増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10外にあるか、あるいは(c)増大した不確実性エリア240が地理的境界10を跨いでいるかまたは重複しているかを判断する。
【0042】
関係が、増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10内にあることを示す場合、アセットは、地理的境界10を出ておらず、次のフィックスデータが処理のために利用可能になるまで、さらなる処理は不要である。
【0043】
関係が、増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10外にあることを示す場合、340において、それが以前に地理的境界10外になかったならば、システムは、アセットが地理的境界10を出たと報告される退出イベントを報告することができる。
【0044】
関係が、増大した不確実性エリア240が地理的境界10を跨いでいるか、または重複していることを示す場合、次のフィックスデータが処理のために利用可能になるまで、さらなる処理は停止され得る。この時点で、プロセスは、310において反復され得る。代替的に、不確実性エリア240と地理的境界20との間の関係をより正確に判断するために追加のテストが実行され得、または追加のフィックスが要求され得る。
【0045】
図9Bは、関係が、境界10および240が交差しており、それによりそれらのエリアが互いを跨いでいることを示すときの追加の処理を示す。350において、システムは、新しいフィックスが役立つかどうかを判断することができる。それが役立つ場合、処理は次のサイクルまで停止し得る。たとえば、現在のフィックスが高度に正確である(すなわち、不確実性エリア210が比較的小さい)場合、処理は停止し、310において再び開始する次の位置フィックスを待つことができる。この場合、不確実性がしきい値を下回るかどうかを判断するために、不確実性のパラメータがしきい値と比較される。代替的に、あまりに多くの位置フィックスがとられ、各々が跨いでいる結果を生じているならば、フィックス役立たないことがある。代替的に、ステップ350はスキップされ得、追加のテストが(以下で説明されるように360において)実行され得る。
【0046】
新しいフィックスが役立つ場合、315において、システムが、新しい中心点と新しい不確実性エリアとを規定する新しいフィックスデータを受信する処理が続く。325において、この新しい不確実性エリアは、320において前に説明されたような増大である。
【0047】
360において、システムは、地理的エリアと新しい増大したエリアとの間の新しい関係を再び判断する。340において、判断された関係が、新しい不確実性が地理的境界10外にあることを示す場合、システムは、地理的境界10からのアセットによる退出イベントを報告する。新しい関係が、エリアが跨いでいるか、または一方が依然として完全に他方の内側にあることを示す場合、処理は次のサイクルまで停止し得る。
【0048】
上記で説明された方法は、地理的エリア20を出るアセットを追跡するために使用され得る。同様の方法は、図10Aおよび図10Bに示されるようにエリア20に進入するアセットを追跡するために使用され得る。図10Aでは、300において、システムは、上記で説明されたように地理的境界10の定義を取得する。システムが、不確実性エリア210を規定するフィックスデータを受信したとき、310においてサイクルが開始する。320において、システムは、上記で説明されたように増大した不確実性エリア240を判断する。
【0049】
次に、330において、システムは、地理的境界10と増大した不確実性エリアとの間の関係を判断する。判断された関係は、(a)増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10内にある結果、(b)増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10外にある結果、および(c)増大した不確実性エリア240が地理的境界10を跨いでいるかまたは重複している結果、の3つの結果のうちの1つを示すことになるだろう。
【0050】
関係が、増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10外にあることを示す場合、アセットは、地理的境界10に進入しておらず、次のフィックスデータが処理のために利用可能になるまで、さらなる処理は不要である。
【0051】
関係が、増大した不確実性エリア240が完全に地理的境界10内にあることを示す場合、370において、それが以前に地理的境界10内になかったならば、システムは、アセットが地理的境界10に進入したことを報告する進入イベントを報告することができる。
【0052】
関係が、増大した不確実性エリア240が地理的境界10を跨いでいるか、または重複していることを示す場合、次のフィックスデータが処理のために利用可能になるまで、さらなる処理は停止され得る。この時点で、サイクルは、ステップ310に戻ることによって反復することができる。代替的に、不確実性エリア210と地理的境界10との間の関係をより正確に判断するために追加のテストが実行され得、または追加のフィックスデータが要求され得る。
【0053】
図10Bは、関係が、エリアが互いを跨いでいることを示すときの追加の処理を示す。350において、図9Bを参照しながら上記で説明されたように、システムは、新しいフィックスが役立つかどうかを判断することができる。それが役立たない場合、処理は、ステップ310において再び反復する次のサイクルを待つことができる。新しいフィックスが役立つ場合、315において、システムが、新しい中心点と新しい不確実性エリアとを規定する新しいフィックスデータを受信する処理が続く。325において、この新しい不確実性エリアは、図9Aのステップ320に関して上記で説明された増大である。
【0054】
380において、システムは、地理的エリアと新しい増大したエリアとの間の新しい関係を判断する。判断された関係が、新しい増大した不確実性エリアが完全に地理的境界10内に入ることを示す場合、システムは、アセットが地理的境界10内にあることを報告するための進入イベントを報告する。新しい関係が、エリアが跨いでいるか、または一方が依然として他方の外側にあることを示す場合、処理は次のサイクルまで停止し得る。代替的に、図10Bのステップは反復され得る。
【0055】
図11は、(上記で説明された図9Aおよび図10Aから)不確実性エリアを規定するフィックスデータを受信するステップ310の例示的な実装形態を示す。410において、システムは、位置座標と不確実性パラメータとを含むことができるフィックスデータを受信する。フィックスデータが経度および緯度座標または他の非平面座標を含む場合、420において、システムはこれらの非平面座標を平面座標にマッピングする。地理的エリア20の中心点G 12は、基準点として使用され得る。そのような基準点は、基準点の近くでは、より正確なマッピングをもたらし、基準点からより遠く離れた点では、あまり正確でないマッピングをもたらす。すなわち、点G 12の近くの点は、点G 12からより遠く離れた点よりも低いひずみレベルを有する。
【0056】
430において、システムは、フィックスデータのサニティチェックを実行し、それにより、誤っている可能性がある位置を除去することができる。サニティチェックは、1つまたは複数の前の位置測定値を用いて現在の位置測定値に関連する位置、距離、速度、速さおよび/または加速度を検査することを行うことができる。たとえば、(所定の範囲内の)既知の位置のみが有効であるように、位置が検査され得る。代替的にまたは追加として、現在の位置から前の位置までの距離がしきい値と比較され得る。速度(距離/持続時間)が別のしきい値と比較され得る。少なくとも3つの位置に基づく加速度がさらに別のしきい値と比較され得る。さらに、位置ソースは、システムが位置フィックスを妥当性検査するかまたは廃棄するために使用する、受信される警告および/またはエラーフラグを与えることができる。
【0057】
440において、システムは、与えられた不確実性エリアの面積を増大させることによって、確実性を(たとえば、50%から95%に)増大させることができる。いくつかの位置不確実性エリアは、50%の包含性(inclusiveness)を基準にされる。すなわち、アセットは、50%の確率によって不確実性エリア内にあることが知られる。これらの不確実性は、より正確な進入および/または退出報告を行うために変更され得る。システムは、元の不確実性エリア210’に関連する確実性を高め、それによって不確実性エリア210を生じることによって、元の不確実性エリア210’から不確実性エリア210を形成する。この不確実性エリア210は、以下で説明されるようにシステムによって使用される。このプロセスは、図6Bを参照しながら上記で説明されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、ステップ410は実行されるが、ステップ420、430および440は実行されない。他の実施形態では、ステップ410は、ステップ420、430および/または440とともに実行される。たとえば、システムは、フィックスデータを受信し(410)、そのフィックスデータを平面にマッピングすることができる(420)。代替的に、システムは、フィックスデータを受信し(410)、次いで、そのフィックスデータを妥当性について検査することができる(430)。代替的に、システムは、フィックスデータを受信し(410)、次いで、確実性を高めることができる。
【0059】
図12Aは、上記で説明された図9A、図9B、図10Aおよび図10Bからのステップ330の追加の詳細ならびにステップ360および380の開始を示す。テストは、より低い複雑さレベル(より低い次数)を有するテストが、より高い複雑さレベル(より高い次数)を有するテストの前に実行されるように、順序付けられる。このようにして、たいていの位置フィックスは、従来どおり実装されるよりも低い次数の数学的複雑さを有する計算を使用して処理される。510において、システムは、不確実性エリアが地理的境界10外にあるか、または地理的境界10内にあるかを判断するために、1つまたは複数の1次テストを実行する。決定的な結果が取得されるまで、または1次テストが試し尽くされるまで、1次テストは実行される。1次テストは、図13および図14を参照しながら以下で説明される。
【0060】
520において、システムは、不確実性エリアが地理的境界10外にあるか、または地理的境界10内にあるかを判断するために、1つまたは複数の2次テストを実行する。決定的な結果が取得されるまで、または2次テストが試し尽くされるまで、2次テストは実行される。2次テストは、図15および図16を参照しながら以下で説明される。
【0061】
図12Bは、図9Bのステップ360と、退出イベントについて検査することとをさらに示す。ステップ510および520からのテストが決定的でない場合、ステップ530において、処理が続く。530において、システムは、不確実性エリアのコアが地理的境界10を跨いでいる(一部は内側にあり、一部は外側にある)かどうかを判断するために、2次テストを実行する。不確実性エリアのコアは、過小包含的エリアである。すなわち、コアエリアは、完全に不確実性エリア内にあるが、不確実性エリアのすべてを含まない。この2次テストは、図17を参照しながら以下で説明される。
【0062】
テストが決定的でない場合、ステップ540において、処理が続く。540において、不確実性エリアが地理的境界10外にあるかどうかを判断するために、より高い次数の重複テストが実行される。より高い次数の重複テストは、2次テストよりも計算集約的である。このより高い次数のテストは、図19を参照しながら以下で説明される。
【0063】
図12Cは、図10Bのステップ380と、進入イベントについて検査することとをさらに示す。ステップ510および520からのテストが決定的でない場合、ステップ550において、処理が続く。550において、システムは、不確実性エリアのコアが地理的境界10を跨いでいる(一部は内側にあり、一部は外側にある)かどうかを判断するために、2次テストを実行する。この2次テストは、図18を参照しながら以下で説明される。
【0064】
テストが決定的でない場合、ステップ560において、処理が続く。560において、不確実性エリアが地理的境界10内にあるかどうかを判断するために、より高い次数の重複テストが実行される。このより高い次数のテストは、図20を参照しながら以下で説明される。
【0065】
図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19および図20は、本発明のいくつかの実施形態による、アセットが地理的境界の内側にあるか、外側にあるか、内側にないか、外側にないか、または地理的境界を跨いでいるか、を判断するための様々なテストを示す。
【0066】
図13は、不確実性エリアが地理的エリア20外にあるかどうかを判断するために使用される1次テストを示す。1次テストは、結果を取得するために加算(および/または減算)を用いて演算する。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態が、完全に、地理的境界10によって囲まれたエリア20外にあるかどうかを判断する。一般化されたエリアがエリア20外にある場合、不確実性エリア210もエリア20外にある。
【0067】
地理的境界10および地理的エリア20は、中心位置G 12と半径R 14とによって規定される。位置データは、点P 200を規定する位置座標(P_x,P_y)を含み、また長軸220と短軸230とによって規定された(たとえば、95%の確実性レベルを与える)不確実性エリア210を含む。一般化された不確実性エリアは、中心点P 200と、長軸220の長さ以上の半径とを有する円240によって規定され得る。代替的に、一般化された不確実性エリアは、中心点P 200と、長軸220の長さの2倍以上の辺とを有する正方形245によって規定され得る。
【0068】
テストは、P_xおよびP_yのうちの最大値を、半径R 14と一般化された正方形245の一辺(半径220)の長さの半分との和に対して比較する。テストは、max(P_x,P_y)<R+aの場合、不確実性エリア210が地理的境界10の外側にあると書かれ得る。P_xおよびP_yのうちの最大値と、半径Rと長軸220との和との間の比較は、ハードウェアまたはソフトウェアコンパレータ、プロセッサ、あるいは同様の手段によって実行され得る。max(P_x,P_y)≧R+aの場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0069】
図14は、不確実性エリアが地理的エリア20内にあるかどうかを判断するために使用される1次テストを示す。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態が、完全に、地理的境界10によって囲まれたエリア20内にあるかどうかを判断する。一般化されたエリアがエリア20内にある場合、不確実性エリア210もエリア20内にある。
【0070】
テストは、2の平方根を乗算されたP_xおよびP_yのうちの最大値と一般化された円240の半径220との和に対して比較する。テストは、max(P_x,P_y)*sqrt(2)+a<Rの場合、不確実性エリア210が地理的境界10の内側にあると書かれ得る。パラメータ「sqrt(2)」は、1.4または1.5に近似的に等しい調整パラメータによって近似され得る。(P_xおよびP_yのうちの)最大値と長軸(a)との和と、半径Rとの間の比較は、ハードウェアまたはソフトウェアコンパレータ、プロセッサ、あるいは同様の手段によって実行され得る。
【0071】
その和がRよりも小さい場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0072】
図15は、不確実性エリアが地理的エリア20外にあるかどうかを判断するために使用される2次テストを示す。2次テストは、結果を取得するために、乗算演算を用いて演算する。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態が、完全に、地理的境界10によって囲まれたエリア20外にあるかどうかを判断する。一般化されたエリアがエリア20外にある場合、不確実性エリア210もエリア20外にある。
【0073】
テストは、中心点間の距離の2乗を、半径の和の2乗と比較する。詳細には、テストは、(d)≦(R+a)の場合、不確実性エリア210が地理的境界10の外側にあると書かれ得、ここで、変数dは、点G 12から点P 200までの距離である。距離の2乗と、半径Rと長軸220との和の2乗との間の比較は、ハードウェアまたはソフトウェアコンパレータ、プロセッサ、あるいは同様の手段によって実行され得る。(d)<(R+a)の場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0074】
図16は、不確実性エリアが地理的エリア20内にあるかどうかを判断するために使用される2次テストを示す。2次テストは、結果を取得するために、乗算演算を用いて演算する。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態が、完全に、地理的境界10によって囲まれたエリア20内にあるかどうかを判断する。一般化されたエリアがエリア20内にある場合、不確実性エリア210もエリア20内にある。
【0075】
テストは、中心点間の距離の2乗を、半径の差の2乗と比較する。詳細には、テストは、(d)<(R−a)の場合、不確実性エリア210が地理的境界10の内側にあると書かれ得る。距離の2乗と、半径Rと長軸220との差の2乗との間の比較は、ハードウェアまたはソフトウェアコンパレータ、プロセッサ、あるいは同様の手段によって実行され得る。(d)≧(R−a)の場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0076】
図17は、不確実性エリア210のコア248が地理的エリア20と重複するかどうかを判断するために使用される2次テストを示す。このテストは、退出イベントが発生したかどうかを判断するときに使用される。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態248が、地理的境界10によって囲まれたエリア20と部分的に重複するかどうかを判断する。一般化されたエリア248がエリア20内にある場合、不確実性エリア210はエリア20外に跨いでいる。
【0077】
テストは、中心点間の距離の2乗を、半径の和の2乗と比較する。詳細には、テストは、(d)<(R+b)の場合、不確実性エリア210が地理的境界10と重複すると書かれ得る。(d)≧(R+b)の場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0078】
図18は、不確実性エリア210のコア248が地理的エリア20と重複するかどうかを判断するために使用される2次テストを示す。このテストは、進入イベントが発生したかどうかを判断するときに使用される。このテストは、不確実性エリア210の過剰包含的な一般化された形態248が、地理的境界10によって囲まれたエリア20と部分的に重複するかどうかを判断する。一般化されたエリア248がエリア20内にある場合、不確実性エリア210はエリア20外に跨いでいる。
【0079】
テストは、中心点間の距離の2乗を、半径の差の2乗と比較する。詳細には、テストは、(d)>(R−b)の場合、不確実性エリア210が地理的境界10と重複すると書かれ得る。(d)≦(R−b)の場合、結果は決定的でなく、不確実性エリア210が地理的境界10外にあり得るか、地理的境界10内にあり得るか、または地理的境界10を跨ぎ得るかを判断するために、さらなるテストが実行される。
【0080】
距離dが範囲[R−a,R−b]および[R+b,R+a]外にあるとき、図13〜図18を参照しながら上記で説明されたテストは、不確実性が地理的ボーダー10外にあるか、地理的ボーダー10内にあるか、地理的ボーダー10と重複しているかを決定的に判断するために使用され得る。上記で説明され、この時点までに実行されたテストは、従来の反復的数値テストよりも著しく少ないCPU処理能力および時間を必要とする非反復的テストであった。これらの非反復的テストが決定的である場合、数値テストの計算コストおよび時間コストは回避され得る。(たとえば、不確実性エリアがエリア20に近接しているが、エリア20と重複することが知られていないので)これらの非反復テストが決定的でない場合、数値テストが、不確実性エリア210が地理的エリア20と重複するかどうかを判断するために使用され得る。
【0081】
図19は、退出イベントについて検査するために使用される反復的数値テストを示す。該テストは、中心点Gと中心点Pとの間の距離dが、過小包含的コア248が地理的境界10と交差しないが、過剰包含的な一般化された不確実性エリア240が地理的境界10と交差するグレーエリア中にあるとき、使用され得る。すなわち、R+b<d<R+aのとき、反復的テストは、退出イベントについて検査するために使用され得る。
【0082】
反復的テストは、第1の角度Φ=atan(gy/gx)を判断し、ここで、Φは、その軸に沿って再配向され(0,0)に中心を置かれた楕円の点P 200から、X軸に沿って整合させられた軸a 220での相対位置(gx,gy)の点Gまでの角度を取ったものである。楕円が再配向されるだけでなく、円がそれに応じて回転され得、第1象限に転置され得る。増分角Φは、Φ=Φ+i*ΦΔとして規定され、ここで、iは0〜n(たとえば、5、10または15)になり、ΦΔは、ステップ角(たとえば、1度、2度または3度)でプリセットされる増分ステップである。設計者は、高い解像度(ΦΔを小さくすること)と、少ない計算回数(nを小さくすること)と、テストされる角度の広いスパン(積n*ΦΔを大きくすること)との競合する利益を平衡させる必要があることが明らかであろう。点Pは、(0,0)の点P 200から角度Φで描かれた線と交差する不確実性楕円210上の点として規定される。距離dが、点Pから(gx,gy)の点G 12までの距離として規定される場合、距離dは、点Pから(gx,gy)の点G 12までの距離として規定される。
【0083】
システムは、反復的に、i=0〜nの間、Φ、Pおよびdを計算し、次いで、dをエリア20の半径R 14と比較する。d<Rの場合、地理的境界10は、不確実性楕円210と交差し(不確実性楕円210を跨ぎ)、システムは、エリア20と楕円210との間の重複を宣言することができる。d>di−1の場合、di−1が最小値であったので、したがって交差は存在せず、システムは、不確実性楕円210が明らかにエリア20の外側にあると宣言することができ、したがって、システムは退出イベントを報告することができる。他の場合、インデックスiが増分され(i++)、i>nでない限り、テストは反復される。
【0084】
図20は、進入イベントについて検査するために使用される反復的数値テストを示す。中心点Gと中心点Pとの間の距離dが、過小包含的コア248が地理的境界10と交差しないが、過剰包含的な一般化された不確実性エリア240が地理的境界10と交差するグレーエリア中にあるとき、テストは使用され得る。すなわち、R−a<d<R−bのとき、進入について検査するための反復的テストが実行され得る。
【0085】
反復的テストは、楕円210の中心P 200(P_x,P_y)から、楕円210の短軸230に沿ってあり得る、第1の角度Φを判断することによって初期化する。Φからオフセットされた増分角Φは、Φ=Φ+i*ΦΔとして規定され、ここで、iは0〜m(たとえば、5、10または15)になり、ΦΔは、ステップ角(たとえば、5度)でプリセットされる増分ステップである。同じく、設計者は、高い解像度(ΦΔを小さくすること)と、少ない計算回数(mを小さくすること)と、テストされる角度の広いスパン(積m*ΦΔを大きくすること)と、の競合する利益を平衡させる必要があることが明らかであろう。図19を参照しながら説明されたパラメータΦΔは、図20を参照しながら説明されたこのパラメータΦΔとは異なることがある。点Pは、点P 200から角度Φで描かれた線と交差する不確実性楕円210上の点として規定される。距離dが、点Pから(gx,gy)の点G 12までの距離として規定される場合、距離dは、点Pから(gx,gy)の点G 12までの距離として規定される。
【0086】
システムは、反復的に、i=0〜mの間、Φ、Pおよびdを計算し、次いで、dをエリア20の半径R 14と比較する。d>Rの場合、地理的境界10は、不確実性楕円210と交差し(不確実性楕円210を跨ぎ)、システムは、エリア20と楕円210との間の重複を宣言することができる。d<di−1の場合、di−1が最大値であったので、したがって交差は存在せず、システムは重複がないことを宣言することができる。この場合、不確実性エリア210は、完全にエリア20内にあり、したがって進入イベントが報告され得る。他の場合、インデックスiが増分され(i++)、i>mでない限り、テストは反復される。
【0087】
図21は、本発明のいくつかの実施形態による、ハードウェア実装形態を示す。ハードウェア1000は、プロセッサ1010と、関連するメモリ1020とを含む。ハードウェア1000はまた、衛星受信機から情報を受信するための内部衛星受信機またはインターフェースを含むことができる。本明細書で説明される方法は、適用例に応じて様々な手段によって実装され得る。たとえば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装され得る。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明される機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組合せの中で実装され得る。
【0088】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装の場合、本方法は、本明細書で説明される機能を実行するモジュール(たとえば、手順、機能など)を用いて実装され得る。命令を有形に実施するいずれの機械可読媒体も、本明細書で説明される方法の実装において使用され得る。たとえば、ソフトウェアコードは、メモリ内に記憶され、プロセッサによって実行され得る。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部に実装され得る。本明細書で使用される「メモリ」という用語は、長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリのいずれかのタイプを指し、メモリの特定のタイプまたはメモリの数、あるいはメモリが記憶される媒体のタイプに限定されない。
【0089】
メモリ1020は、地理的座標を、地理的境界を表す平面の射影座標に処理するためのソフトウェア命令、位置フィックス座標を、位置フィックスエリア内で位置フィックスを表すための平面の射影座標に処理するためのソフトウェア命令、および、位置フィックスが地理的境界に進入したかどうかを監視するためのソフトウェア命令、を含む。プロセッサ1010は、メモリ1020によって保持されたソフトウェア命令にアクセスし、実行するように構成される。いくつかの実施形態では、メモリ1020は、プロセッサ1010内の構成要素である。いくつかの実施形態では、地理的追跡デバイス1000は、1つまたは複数の地理的境界外にある。各地理的境界は、地理的座標のセットによって表される。プロセッサ1010は、1つまたは複数の地理的境界の各々についてメモリ1020からのソフトウェア命令にアクセスし、実行するように構成される。
【0090】
いくつかの実施形態では、限定はしないが、メモリ1020は、位置フィックスが確実に地理的境界外にあるかどうかを判断すること、位置フィックスが確実に地理的境界内にあるかどうかを判断すること、位置フィックスが地理的境界外にあるかどうかを判断すること、位置フィックスが地理的境界内にないかどうかを判断すること、第2の位置フィックスを取得し、第2の位置フィックスが確実に地理的境界外にあるかどうかを判断すること、第2の位置フィックスが確実に地理的境界内にあるかどうかを判断すること、第2の位置フィックスが地理的境界外にあるかどうかを判断すること、第2の位置フィックスが地理的境界内にないかどうかを判断すること、または、位置フィックスに対して進入検査を実行すること、などの1つまたは複数の追加のソフトウェア命令を含む。いくつかの実施形態では、進入検査は、地理的中心をx−y軸系の原点に配置すること、位置フィックスをx−y軸系の第1象限に転置すること、長軸と北方向との間の傾き角度αに基づいて位置フィックスエリアの極角の走査範囲を設定すること、位置フィックスエリアから地理的中心までの相対距離を計算するために走査範囲にわたって極角を走査すること、および、進入イベントがあるかどうかを判断するために相対距離の最大値を発見すること、を含む。
【0091】
開示された態様の前述の説明は、当業者が本開示を実施または使用できるようにするために提供されるものである。これらの態様への様々な変更は当業者にはすぐに明らかになり、本明細書で定義された包括的な原理は本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の態様に適用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的境界を取得すること、
不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、
前記不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、
前記過剰包含的不確実性エリアに基づいて前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、前記関係が、
(a)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界内にある関係、
(b)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界外にある関係、および、
(c)不定関係、
を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、
前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、
を備える、アセットを追跡するための方法。
【請求項2】
前記地理的境界は、閉じられたエリアを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閉じられたエリアは、円を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記閉じられたエリアは、多角形を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記地理的境界は、線を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記地理的境界は、複数の閉じられたエリアを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記地理的境界は、時間の関数を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フィックスデータを受信する前記行為は、前記フィックスデータを平面にマッピングすることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フィックスデータを受信する前記行為は、前記フィックスデータを妥当性について検査することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フィックスデータを妥当性について検査する前記行為は、
前記フィックスデータと2つの前のフィックスデータ点との間の加速度を判断すること、および、
前記判断された加速度をしきい値と比較すること、
を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フィックスデータを受信する前記行為は、元の不確実性エリアの確実性を高めることによって前記不確実性エリアを形成することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記過剰包含的不確実性エリアは、円を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断する行為は、
最大値を、前記半径Rと前記長軸(a)との和と比較すること、
を備え、
前記最大値は、max(P_x,P_y)を備え、ここで、P_xは、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間の相対緯度変位であり、且つ、P_yは、相対経度変位である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断する前記行為は、
最大値と前記長軸(a)との和を、前記半径Rと比較すること、
を備え、
前記最大値は、調整パラメータによってスケーリングされるmax(P_x,P_y)を備え、ここで、P_xは、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間の相対緯度変位であり、且つ、P_yは、相対経度変位である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断する前記行為は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記長軸(a)との和の2乗と比較すること、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断する前記行為は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記長軸(a)との差の2乗と比較すること、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記不定関係が前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間に存在するとき、前記フィックスデータの精度に基づいて新しいフィックスが必要とされないと判断することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記フィックスデータの精度に基づいて新しいフィックスが必要とされ、且つ、前記不定関係が前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間に存在すると判断すること、
新しい不確実性エリアを規定する新しい不確実性パラメータを備える新しいフィックスデータを受信すること、
前記新しい不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて新しい過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、
前記新しい過剰包含的不確実性エリアに基づいて前記地理的境界と前記新しい不確実性エリアとの間の新しい関係を判断すること、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記新しい不確実性エリアは、長軸(a)と短軸(b)とを規定し、且つ、前記新しい関係を判断する行為は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記短軸(b)との和の2乗と比較すること、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記新しい不確実性エリアと前記地理的境界との間の交差について検査するために数値テストを実行すること、
をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記数値テストを実行する前記行為は、
前記新しい不確実性エリアのエッジに沿った点列を判断すること、および、
前記点列の各点(P)について、
前記点(P)と前記地理的境界の中心との間の距離(d)を判断すること、
前記距離(d)を前記地理的境界の前記半径Rと比較すること、および、
前記地理的境界が前記新しい不確実性エリアと重複するかどうかを判断すること、
を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記数値テストを実行する前記行為は、
前記点列を判断する前記行為より前に、前記新しい不確実性エリアを中心に置き、回転すること、
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記数値テストを実行する前記行為は、
最小距離(di−1)を発見すること、および、
重複が存在しないと判断すること、
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記新しい不確実性エリアは、長軸(a)と短軸(b)とを規定し、且つ、前記新しい関係を判断する前記行為は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記短軸(b)との間の差の2乗と比較すること、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記数値テストを実行する前記行為は、
最大距離(di−1)を発見すること、および、
重複が存在しないと判断すること、
をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記変化は、前記地理的境界に進入することを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記変化は、前記地理的境界を退出することを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
地理的境界を取得するための手段、
不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信するための手段、
前記不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断するための手段、および、
前記過剰包含的不確実性エリアに基づいて前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間の関係を判断するための手段であって、前記関係が、
(a)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界内にある関係、
(b)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界外にある関係、および、
(c)不定関係、
を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断するための手段、および、
前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告するための手段、
を備える、アセットを追跡するためのシステム。
【請求項29】
前記地理的境界は、時間の関数を備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記過剰包含的不確実性エリアは、円を規定する、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断するための前記手段は、
最大値を、前記半径Rと前記長軸(a)との和と比較するための手段、
を備え、
前記最大値は、max(P_x,P_y)を備え、ここで、P_xは、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間の相対緯度変位であり、且つ、P_yは、相対経度変位である、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断するための前記手段は、
最大値と前記長軸(a)との和を、前記半径Rと比較するための手段、
を備え、
前記最大値は、調整パラメータによってスケーリングされるmax(P_x,P_y)を備え、ここで、P_xは、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間の相対緯度変位であり、且つ、P_yは、相対経度変位である、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断するための前記手段は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記長軸(a)との和の2乗と比較するための手段、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間を備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記地理的境界は、半径Rを規定し、前記不確実性エリアは、長軸(a)を規定し、且つ、前記関係を判断するための前記手段は、
距離の2乗を、前記半径Rと前記長軸(a)との差の2乗と比較するための手段、
を備え、
前記距離は、前記地理的境界の中心(G)と前記不確実性エリアの中心(P)との間を備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
前記フィックスデータの精度に基づいて新しいフィックスが必要とされないこと、および、前記不定関係が前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間に存在すること、を判断するための手段をさらに備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項36】
前記不確実性エリアと前記地理的境界との間に交差について検査するために数値テストを実行するための手段、
をさらに備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項37】
プロセッサとメモリとを備える地理的追跡デバイスであって、前記メモリが、
地理的境界を取得すること、
不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、
前記不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、
前記過剰包含的不確実性エリアに基づいて前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、前記関係が、
(a)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界内にある関係、
(b)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界外にある関係、および、
(c)不定関係、
を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、
前に判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、
を行うソフトウェア命令を含む、地理的追跡デバイス。
【請求項38】
プログラムコードを記憶したコンピュータ可読媒体であって、
地理的境界を取得すること、
不確実性エリアを規定する不確実性パラメータを備えるフィックスデータを受信すること、
前記不確実性パラメータのうちの少なくとも1つに基づいて過剰包含的不確実性エリアを判断すること、および、
前記過剰包含的不確実性エリアに基づいて前記地理的境界と前記不確実性エリアとの間の関係を判断することであって、前記関係が、
(a)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界内にある関係、
(b)前記不確実性エリアが完全に前記地理的境界外にある関係、および、
(c)不定関係、
を備える可能な関係のうちの1つを備える、関係を判断すること、および、
前の判断された関係からの変化に基づいてイベントを報告すること、
を行うプログラムコードを備える、コンピュータ可読媒体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−505481(P2012−505481A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531204(P2011−531204)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060142
【国際公開番号】WO2010/042802
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】