説明

送信信号漏れによって生じる2次歪の低減

【課題】全二重無線通信システムにおけるTX信号漏れの不都合な影響を低減するための方法を提供する。
【解決手段】送信信号漏れの2次歪を低減または除去するために、無線デバイスは所望RX信号及びTX漏れ信号の両方を搬送する結合された信号を二乗する。例えば、デバイスは、事実上、結合された信号を二乗するために、強力な2次非線形性を示すデバイスを含んでよい。デバイスは、二乗された信号を受信パスにおけるミキサの出力から減算し、ミキサによって引き起こされる2次歪の少なくとも一部をキャンセルする。この方法において、デバイスはTX信号漏れの2次歪の悪影響を低減し、受信器の感度を向上または維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には無線通信に関し、より具体的には無線全二重通信システムにおける送信信号漏れの不都合な影響を低減するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
全二重通信システムにおいて無線デバイスは、双方向通信をサポートするために無線信号を同時に送信及び受信できる。送信パスにおいて、電力増幅器は送信のための無線周波数(RF)信号を増幅する。送信(TX)信号は、デュプレクサを通過して伝送され、アンテナを介して送信される。受信パスにおいて、所望(RX)信号はアンテナを介して受信され、デュプレクサを通過して低雑音増幅器(LNA)に連結される。LNAによる増幅に続いて、RX信号はフィルタリングされ、それからミキサによってベースバンドにダウンコンバートされる。ダウンコンバートされたRX信号は、受信データを回復するためにその他のコンポーネントによって処理される。
【0003】
全二重通信システムにおいて、送信パスが受信パスに干渉し得る。TX信号の一部が、デュプレクサから受信パスに連結されるかもしれず、TX信号漏れを引き起こす。TX信号漏れは、受信パスによって処理される所望信号に干渉を引き起こし得る。送信周波数は受信周波数と異なるため、TX信号漏れはフィルタリングされ得る。しかしながら、フィルタリングを用いたとしても、典型的にはTX信号漏れの残余量が残存し、アンテナを介して受信された所望RX信号にスペクトル的にオーバーラップし得る2次歪を引き起こす。この歪は、受信器の感度を劣化させ得る。所望RX信号は、デュプレクサを横断する漏れを介して受信されるTX信号とは対照的に、アンテナを介して受信される信号である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、全二重無線通信システムにおけるTX信号漏れの不都合な影響を低減するための技術を記述する。具体的には、本開示は、受信信号のダウンコンバージョンのために使用されるミキサにおける非線形性によって引き起こされ得る、TX信号漏れの2次歪の不都合な影響を低減するための技術を記述する。
【0005】
無線デバイスの受信パスにおいて、所望RX信号はTX漏れ信号と結合される。結合された信号は、ミキサによってベースバンドへダウンコンバートされる。ミキサは、その固有の非線形性により2次歪を引き起こす。2次歪は、所望RX信号によって占められるものと同じ周波数に低下し得るので、受信器の感度を低下させ得る。具体的には、残余のTX漏れの2次歪は、ベースバンドにダウンコンバートされたRX信号を覆い得る。
【0006】
送信信号漏れの2次歪を低減または除去するために、デバイスは所望RX信号及びTX漏れ信号の両方を搬送する結合された信号を二乗する。例えば、デバイスは、事実上、結合された信号を二乗するために、強力な2次非線形性を示すデバイスを含んでよい。デバイスは、二乗された信号を、受信パスにおけるダウンコンバージョンミキサの出力から減算し、ミキサによって引き起こされる2次歪の少なくとも一部をキャンセルする。この方法において、デバイスは、TX信号漏れの2次歪の不都合な影響を低減し、受信器の感度を向上または維持できる。
【0007】
一態様において、本開示は、ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートするミキサと、二乗された入力信号を作り出すために入力信号を二乗する二乗部と、二乗された入力信号をダウンコンバートされた入力信号から減算する減算部とを備える無線受信機を提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートすることと、二乗された入力信号を作り出すために入力信号を二乗することと、二乗された入力信号をダウンコンバートされた入力信号から減算することとを備える方法を提供する。
【0009】
更なる態様において、本開示は、無線周波数(RF)送信器と、RF受信器と、RFアンテナと、送信器及び受信器をアンテナに連結するデュプレクサとを備え、デュプレクサは送信漏れ信号を低雑音増幅器へ通す、無線通信デバイスを提供する。受信器は、ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートするミキサと、二乗された入力信号を作り出すために入力信号を二乗する二乗部と、二乗された入力信号をダウンコンバートされた入力信号から減算する減算部とを更に備える。
【0010】
別の態様において、本開示は、アンテナと、アンテナに連結され、送信漏れ信号を低雑音増幅器へ通すデュプレクサと、デュプレクサ及びアンテナを介して受信される入力信号を増幅するために連結される低雑音増幅器と、増幅された入力信号をフィルタリングするフィルタと、ダウンコンバートされた入力信号を作り出すためにフィルタリングされ増幅された入力信号をダウンコンバートするミキサと、二乗された入力信号を作り出すためにフィルタリングされ増幅された入力信号を二乗する二乗部と、二乗された入力信号をダウンコンバートされた入力信号から減算する減算部とを備える無線受信器を提供する。
【0011】
本開示の1つまたは複数の態様の詳細は、添付図面及び以下の記述において説明される。本開示のその他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、そして特許請求の範囲から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、無線通信デバイスの例示的なRF部を説明するブロック図である。
【図2A】図2Aは、図1のデバイスの受信パス内の信号及び歪成分を説明するグラフである。
【図2B】図2Bは、図1のデバイスの受信パス内の信号及び歪成分を説明するグラフである。
【図3】図3は、図1のデバイスの受信パスにおける2次歪を低減するよう構成された例となる受信器のブロック図である。
【図4】図4は、図3の受信器における使用のための例となる二乗部のブロック図である。
【図5】図5は、例となる受信器の更なる細部を説明するブロック図である。
【図6】図6は、プロセッサベースの減算部に連結された例となる受信器の更なる細部を説明するブロック図である。
【図7】図7は、図1のデバイスの受信パス内の2次歪の低減のための技術を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
無線デバイスの受信パスにおいて、所望RX信号はTX漏れ信号と結合する。結合された信号は、ミキサによってベースバンドへダウンコンバートされる。ミキサは、その固有の非線形性により2次歪を引き起こす。2次歪は、所望RX信号によって占められるものと同じ周波数に低下し得るので、受信器の感度を低下させ得る。具体的には、残余のTX漏れの2次歪は、ベースバンドにダウンコンバートされたRX信号を覆い得る。
【0014】
送信信号漏れの2次歪を低減または除去するために、本開示に従って、デバイスは所望RX信号及びTX漏れ信号の両方を搬送する結合された信号を二乗してよい。例えば、デバイスは、事実上、結合された信号を二乗するための、強力な2次非線形性を示すユニットを含んでよい。デバイスは、受信パスにおけるダウンコンバージョンミキサの出力から二乗された信号を減算し、ミキサによって引き起こされる2次歪をキャンセルする。この方法において、デバイスは、TX信号漏れの2次歪の不都合な影響を低減できるので、受信器の感度を向上または維持できる。
【0015】
本開示において記述される技術は、種々の全二重の無線通信システムのいずれにおいても使用されてよい。全二重の無線通信システムの一部の例は、PCS(Personal Communication System)、DCS(Digital Cellular System)及びIMT−2000(International Mobile Telecommunications-2000)システムである。一つの具体例として、上記技術は、符号分割多元アクセス(CDMA)通信を備える無線通信デバイスにおいて適用されてよい。無線通信デバイスの例は、モバイル無線電話機、衛星電話機、PDA、無線通信カード、ラップトップまたはデスクトップコンピュータまたは関連する無線インタフェース、無線アクセスポイント、デジタルオーディオまたはビデオデバイス、ビデオゲームコンソール、または類似のものを含む。
【0016】
図1は、無線通信デバイス10の例示的なRF部を説明するブロック図である。図1の例において、デバイス10は、アンテナ12、デュプレクサ14、電力増幅器(PA)16、受信器18、LNA20、フィルタ22、ミキサ24、ローカル発振器(LO)26及び送信器28を含む。一部の場合において、ベースバンドフィルタがミキサ24の出力をフィルタリングするために準備されてもよい。
【0017】
送信パス上で、送信器28内の電力増幅器(PA)16はRF送信信号を受信及び増幅する。送信信号は、モデムによって供給されてよく、PA16による増幅に先立ってデジタル信号からアナログ信号へ変換され、フィルタリングされ、ベースバンドから送信帯へアップコンバートされてよい。送信器28は、CDMA通信のために構成されてよい。送信信号は、デュプレクサ14を通過して伝送され、RFアンテナ12を介して、例えば基地局などの1つまたは複数の遠隔デバイスへ送信される。送信信号の一部もまた、受信パスへデュプレクサを通過して漏れる。
【0018】
受信パス上で、所望の受信(RX)信号がアンテナ12を介して受信され、デュプレクサ14を通過して伝送され、受信器18に供給される。受信器18は、CDMA通信を備えていてよい。図1の例において、受信器18は低雑音増幅器(LNA)20、フィルタ22、ミキサ24及びローカル発振器(LO)24を含む。LNA20は、デュプレクサ14を介して、送信パスからのTX漏れ信号も同様に受信する。従って、LNA20は、RX信号及びTX漏れ信号の両方を増幅する。フィルタ22は、増幅されたRF信号をフィルタリングしてTX漏れ信号を含む帯域外信号成分を低減させ、フィルタリングされたRF信号を提供するために準備されてよい。
【0019】
ミキサ24は、LNA20からのフィルタリングされたRF信号を受信し、周波数ダウンコンバートする。具体的には、ミキサ24は、受信器18内の処理のためにRF帯からベースバンドへと、フィルタリングされたRF信号をダウンコンバートする。ミキサ24は、フィルタリングされ増幅された信号を、所望のベースバンド周波数を獲得するために選択されたローカル発振器(LO)24の信号と混合することによりダウンコンバージョンを行ってよい。ミキサ24の出力は、アナログ信号からデジタル信号へ変換され、例えば信号によって搬送されたデータを復調及び復号するためのモデムによってデジタル的に処理されてよい。
【0020】
一部の場合において、フィルタ22はTX漏れ信号を拒絶するよう設計された表面弾性波(SAW)フィルタであってよい。SAWフィルタは、急峻な遷移帯域エッジ及び帯域外成分の大きな減衰などの多くの利点を持つ。フィルタ22はTX漏れ信号のいくつかの影響の除去に有効であるかもしれないが、TX漏れ信号のかなりの部分が残存し、受信器の感度を損なわせるかもしれない。
【0021】
図2A及び図2Bは、図1のデバイス10の受信パス内の信号及び歪成分を説明するグラフである。図2Aは、図1のフィルタ22の出力における受信信号を示す。図2Aに示されるように、フィルタ22の出力において、受信信号は所望RX信号32及び残余TX漏れ信号30を備える。TX漏れ信号30及び所望RX信号32は、異なる周波数帯を占めている。
【0022】
図2Bは、ミキサ24の出力における受信信号を示しており、ここでミキサ24への入力は所望RX信号32及び残余TX漏れ信号30の両方を備える受信信号である。理想的には、ミキサ24は所望信号32をベースバンドにダウンコンバートし、残余TX漏れ信号30をローカル発振器(LO)周波数とTX RF周波数との間の差分と等しいかもしれない中間周波数へダウンコンバートする。しかしながら、ミキサ24は理想的でなく、非線形性により2次歪を引き起こす。
【0023】
ミキサ24の非線形性は、残余TX漏れ信号30から2次歪を生成し得る。この2次歪の一部は、ダウンコンバートされた所望RX信号32のベースバンドへ落ちるかもしれない。ベースバンド歪は、ミキサオーバーラップ38として参照されてよい。ミキサオーバーラップ38は、受信器によって確実に検出可能な最小の所望信号がより大きな振幅を備える必要があるよう、受信器の感度を劣化させる付加的な雑音として作用する。
【0024】
図3は、図1のデバイスの受信パスにおける2次歪を低減するよう構成された例となる受信器18のブロック図である。図3の例において、受信器18は、LNA20、フィルタ22、ミキサ24及びLO26を含む。受信器18は、例えばミキサ24の出力に連結される、ベースバンドフィルタ25を含んでもよい。ベースバンドフィルタ25は、ミキサ24の出力から帯域外周波数を除去するよう構成されてよい。図3において更に示されるように、送信信号漏れの2次歪を低減または除去するために、受信器18は二乗部40及び減算部42を含んでよい。減算部42は、受信器26内に準備されてもよいし、受信器18に連結される別個のユニットであってもよい。
【0025】
LNA20は、所望RX信号32及びTX漏れ信号30を搬送する結合された信号を受信する。LNA20に連結されるフィルタ22は、所望信号32及び残余TX漏れ信号30をフィルタリングする。ミキサ24は、LO26によって供給されるLO周波数とフィルタリングされた信号とを混合することによりフィルタリングされた信号をベースバンドへダウンコンバートする。また一方、TX漏れ信号からの2次歪を低減するために、二乗部40はフィルタリングされた信号を二乗する。減算部42は、ミキサ24によって生成されるダウンコンバートされた信号から二乗された信号を減算する。減算は、TX漏れ信号のミキサ24への適用に起因する2次歪の大部分をキャンセルするのに役立つ。
【0026】
二乗部40は、強力な2次非線形性を示す任意の半導体デバイスであってよい。強力な2次非線形を備えるデバイスは、2次の項に関して高い利得を備える伝達関数を示すだろう。従って、二乗部40は、ミキサオーバーラップ38(図2B)と同様の周波数特性を持つ2次歪を意図的に生成するために選択及び/または構成される。減算部42における二乗された信号のダウンコンバートされた信号からの減算は、2次歪の実質的なキャンセルをもたらす。
【0027】
ミキサ24及び二乗部40の出力は、減算部42へ連結される。減算部42は、アナログ形式またはデジタル形式のいずれかで、2信号の減算ができる任意のデバイスを備えてよい。減算部42は、二乗部40の出力をミキサ24の出力から減算してよい。前述のように、ミキサ24の出力は、TX漏れ信号によって引き起こされるミキサオーバーラップ38によって部分的に覆われている所望RX信号32を供給するかもしれない。
【0028】
ミキサ24の出力から二乗部40の出力を減算することにより、ミキサオーバーラップ38の振幅が減少し、所望RX信号32の覆いの縮小をもたらすだろう。このミキサオーバーラップ38における減少は、受信器によって確実に検出可能な所望信号の振幅が低減されるので、受信器の感度を改善するだろう。
【0029】
図4は、図3の受信器18における使用のための例となる二乗部40のブロック図である。図4の例において、二乗部40は互いに連結された無線周波数(RF)及びローカル発振器(LO)ポートを持つミキサ44を備える。ミキサ44は、周波数応答においてミキサ24と実質的に同様であってよい。しかしながら、RF入力ポート及びLOポートを互いに連結することにより、ミキサ44は入力信号をそれ自体と混合し、二乗効果を提供する。ミキサ44のRF及びLOポートの両方に適用される入力は、図3におけるフィルタ22の出力であってよい。
【0030】
二乗部40の出力は、ゼロ周波数に中心があってよい。ミキサ24がゼロ中間周波数(ZIF)ダウンコンバータとして構成されるならば、ミキサ24、44のIFポートは所望のベースバンド周波数の信号を簡単に生成する。受信器のアーキテクチャがヘテロダインであるならば、複数の周波数変換段がフィルタ22及び減算部42の間に設けられてよい。ミキサ44のRF及びLOポートの連結は、受信器18の感度を向上させるためにミキサ24によって引き起こされる2次歪から減算され得る、強力な2次非線形性を引き起こす。
【0031】
図5は、例となる受信器18の更なる細部を説明するブロック図である。図5において、受信器18は、図3の受信器に実質的に対応するが、二乗部40の出力と減算部42の入力との間に連結されるフィルタ46を更に含む。フィルタ46は、二乗部40の出力から帯域外周波数を除去するベースバンドフィルタであってよい。
【0032】
図6は、LNA20、フィルタ22、二乗部40、ミキサ24、フィルタ25及び減算部42に連結されるフィルタ46を備える、別の例示的な受信器26のブロック図である。前述のように、ミキサ24の出力はミキサオーバーラップ38によって部分的に覆われた所望信号32を備えるだろうし、二乗部40の出力はミキサオーバーラップ38と同様の周波数特性を備える信号であってよい。二乗部40の出力は、帯域外周波数を除去するためにフィルタ46によってフィルタリングされてよい。フィルタ46は、ベースバンドフィルタであってよい。無線受信器は、本開示において記述されるように、種々の周波数帯域に適用されてよい。符号分割多元アクセス(CDMA)に関して、例えば、受信帯域は約869−894MHzであってよいし、送信帯域は約824−849MHzであってよいし、ベースバンドは約0−630kHzであってよい。US PCSに関して、別の例として、受信帯域は1930−1990MHzであってよいし、送信帯域は約1850−1910MHzであってよいし、ベースバンドは約0−630kHzであってよい。
【0033】
図6の例において、受信器18は一般的に図4の受信器に対応するが、アナログ−デジタル変換器(ADC)48及びADC50を更に含む。更に、減算部42はデジタル信号プロセッサ(DSP)を含む。従って、図6は、減算演算に先立って受信器18の出力がデジタルデータに変換される例を説明する。ADC48は、任意選択のフィルタ25を介してミキサ24によって出力されるアナログ信号を、第1のデジタル信号に変換する。ADC50は、二乗部40及び任意選択のフィルタ46によって出力されるアナログ信号を第2のデジタル信号に変換する。
【0034】
減算部42は、受信器18から第1及び第2のデジタル信号を受信するDSP52を含んでよい。DSP52は、ミキサ26によってTX漏れ信号を混合することにより生み出された2次歪を低減するために、二乗部40、フィルタ46及びADC50によって生成される第2のデジタル信号を、ミキサ24及びADC48によって生成される第1のデジタル信号から減算する。例えば、DSP52はデジタルドメインで数学的な減算演算を行ってよい。
【0035】
DSP52は、デジタル入力を必要とするが、ミキサ24及びフィルタ46の出力はアナログであるかもしれない。従って、ADC48はミキサ24のアナログ出力をデジタル信号に変換し、ADC50はフィルタ46のアナログ出力をデジタル信号に変換する。別個のユニットとして示されているが、減算部42は受信器18の一部を形成してもよい。更に、一部の場合において、減算はデジタル信号よりもむしろアナログ信号で行われてよい。DSP52の出力は、当該デジタル信号によって搬送されるデータを復調及び復号するためのモデムによって処理されるデジタル信号であってよい。モデムは、少なくとも一部において、DSP52によって形成されてよい。
【0036】
図7は、図1のデバイスの受信パス内の2次歪の低減のための技術を説明するフロー図である。図7において示されるように、ミキサ24は受信信号を周波数ダウンコンバートする(54)。受信信号は、所望RX信号及びTX漏れ信号を含むかもしれず、LNA20によって増幅され、デュプレクサを介して受信されてよい。二乗部40は、受信信号を二乗する(56)。減算部42は、2次歪を低減するために、ダウンコンバートされた受信信号から二乗された受信信号を減算する(58)。
【0037】
一部の場合において、本開示において記述される技術は、全二重無線通信システムにおいて使用されてよい。夫々の場合において、受信器及び送信器の部分は同時に動作してよい。そのような動作の間、送信信号の一部が受信パスに漏れるかもしれない。この漏れた信号は、フィルタリングされるかもしれないが、いくらかの残余漏れ信号を残すかもしれない。ミキサによって引き起こされる2次歪は、残余漏れ信号を所望信号の周波数帯に移動させるかもしれず、故に所望信号を部分的に覆い、受信器の感度を低下させる。2次歪を備える別個の信号を意図的に作り出し、それをミキサの出力から減算することにより、ミキサによって引き起こされる2次歪は低減されて受信器の感度が強化される。
【0038】
本開示の様々な態様が記述されてきた。先行の記述は、説明の目的で提示されており、包括的または限定的であることを意図されていない。多くの修正及び変形が以下の請求の範囲内で可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートするミキサと、
二乗された入力信号を作り出すために前記入力信号を二乗する二乗部と、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算する減算部と
を具備する無線受信機。
【請求項2】
前記ミキサは、第1のミキサであって、
前記二乗部は、互いに連結された無線周波数(RF)ポート及びローカル発振器(LO)ポートを持つ第2のミキサを備える、
請求項1の受信機。
【請求項3】
アンテナと、
前記アンテナに連結されるデュプレクサと、
前記デュプレクサに連結される入力及び前記ミキサへ前記入力信号を適用するために連結される出力を持つ低雑音増幅器と
を更に備え、
前記デュプレクサは前記低雑音増幅器へ送信漏れ信号を通す、
請求項1の受信機。
【請求項4】
前記低雑音増幅器と前記ミキサとの間に連結されるフィルタを更に具備する請求項3の受信機。
【請求項5】
前記フィルタは、無線周波数(RF)表面弾性波(SAW)フィルタを備える、請求項4の受信機。
【請求項6】
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化する第1のアナログ−デジタル変換器(ADC)と、
前記二乗された入力信号をデジタル化する第2のADCと
を更に具備する請求項1の受信機。
【請求項7】
前記減算部は、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化され二乗された入力信号を減算するデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える、請求項6の受信機。
【請求項8】
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化する第1のアナログ−デジタル変換器(ADC)と、
フィルタリングされ二乗された入力信号を作り出すために前記二乗された入力信号をフィルタリングするベースバンドフィルタと、
前記フィルタリングされ二乗された入力信号をデジタル化する第2のADCと
を更に具備する請求項1の受信機。
【請求項9】
前記減算部は、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化されフィルタリングされ二乗された入力信号を減算するデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える、請求項8の受信機。
【請求項10】
ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートすることと、
二乗された入力信号を作り出すために前記入力信号を二乗することと、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された信号を減算することと
を具備する方法。
【請求項11】
前記入力信号を二乗することは、二乗部を用いて前記入力信号を二乗することを備え、
前記二乗部は、互いに連結された無線周波数(RF)ポート及びローカル発振器(LO)ポート持つミキサを備える、
請求項10の方法。
【請求項12】
前記入力信号をダウンコンバートすることは、ミキサを介して前記入力信号をダウンコンバートすることを備え、
前記方法は、アンテナと、前記アンテナに連結されたデュプレクサと、前記デュプレクサに連結される入力及び前記ミキサへ前記入力信号を適用するために連結される出力を持つ低雑音増幅器とを介して前記入力信号を受信することを更に備え、
前記デュプレクサは、前記低雑音増幅器へ送信漏れ信号を通す、
請求項10の方法。
【請求項13】
前記低雑音増幅器と前記ミキサとの間に連結されるフィルタを用いて前記入力信号をフィルタリングすることを更に備える請求項12の方法。
【請求項14】
前記フィルタは、無線周波数(RF)表面弾性波(SAW)フィルタを備える、請求項13の方法。
【請求項15】
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化することと、
前記二乗された入力信号をデジタル化することと
を更に具備し、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算することは、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化され二乗された入力信号を減算することを備える、
請求項10の方法。
【請求項16】
フィルタリングされ二乗された入力信号を作り出すために前記二乗された入力信号をフィルタリングすることを更に具備し、
前記二乗された入力信号をデジタル化することは、前記フィルタリングされ二乗された入力信号をデジタル化することを備える、
請求項15の方法。
【請求項17】
ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートするための手段と、
二乗された入力信号を作り出すために前記入力信号を二乗するための手段と、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算するための手段と
を具備するデバイス。
【請求項18】
前記二乗するための手段は、互いに連結された無線周波数(RF)ポート及びローカル発振器(LO)ポートを持つミキサを備える、請求項17のデバイス。
【請求項19】
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化するための手段と、
前記二乗された入力信号をデジタル化するための手段と
を更に具備し、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算するための手段は、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化され二乗された入力信号を減算するための手段を備える、
請求項17のデバイス。
【請求項20】
フィルタリングされ二乗された入力信号を作り出すために前記二乗された入力信号をフィルタリングするための手段を更に具備し、
前記二乗された入力信号をデジタル化するための手段は、前記フィルタリングされ二乗された入力信号をデジタル化するための手段を備える、
請求項19のデバイス。
【請求項21】
無線周波数(RF)送信器と、
RF受信器と、
RFアンテナと、
前記アンテナへ前記送信器及び前記受信器を連結するデュプレクサと
を具備し、
前記デュプレクサは、低雑音増幅器へ送信漏れ信号を通し、
前記RF受信器は、
ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために入力信号をダウンコンバートするミキサと、
二乗された入力信号を作り出すために前記入力信号を二乗する二乗部と、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算する減算部と
を備える、
無線通信デバイス。
【請求項22】
前記送信器は符号分割多元アクセス(CDMA)送信器であって、前記受信器はCDMA受信器である、請求項21のデバイス。
【請求項23】
前記ミキサは第1のミキサであって、
前記二乗部は、互いに連結された無線周波数(RF)ポート及びローカル発振器(LO)ポートを持つ第2のミキサを備える、
請求項21のデバイス。
【請求項24】
前記RF受信器は、
前記デュプレクサへ連結される入力及び前記ミキサへ前記入力信号を適用するために連結される出力を持つ低雑音増幅器と、
前記低雑音増幅器と前記ミキサとの間に連結されるフィルタと
を更に備える、
請求項21のデバイス。
【請求項25】
前記フィルタは、無線周波数(RF)表面弾性波(SAW)フィルタを備える、請求項24のデバイス。
【請求項26】
前記RF受信器は、
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化する第1のアナログ−デジタル変換器(ADC)と、
前記二乗された入力信号をデジタル化する第2のADCと
を更に備える、
請求項21のデバイス。
【請求項27】
前記減算部は、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化され二乗された入力信号を減算するデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える、請求項26のデバイス。
【請求項28】
前記受信器は、
前記ダウンコンバートされた入力信号をデジタル化する第1のアナログ−デジタル変換器(ADC)と、
フィルタリングされ二乗された入力信号を作り出すために前記二乗された入力信号をフィルタリングするベースバンドフィルタと、
前記フィルタリングされ二乗された入力信号をデジタル化する第2のアナログ−デジタル変換器(ADC)と
を更に備える、
請求項21のデバイス。
【請求項29】
前記減算部は、デジタル化されダウンコンバートされた入力信号からデジタル化されフィルタリングされ二乗された入力信号を減算するデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える、請求項28のデバイス。
【請求項30】
アンテナと、
前記アンテナに連結されるデュプレクサと、
前記デュプレクサ及び前記アンテナを介して受信された入力信号を増幅するために連結される低雑音増幅器と、
増幅された入力信号をフィルタリングするフィルタと、
ダウンコンバートされた入力信号を作り出すために、フィルタリングされ増幅された入力信号をダウンコンバートするミキサと、
二乗された入力信号を作り出すために、前記フィルタリングされ増幅された入力信号を二乗する二乗部と、
前記ダウンコンバートされた入力信号から前記二乗された入力信号を減算する減算部と
を具備し、
前記デュプレクサは前記低雑音増幅器へ送信漏れ信号を通す、
無線受信機。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102486(P2013−102486A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−285290(P2012−285290)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−501131(P2010−501131)の分割
【原出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】