説明

送信器と受信ユニットとの間における情報の伝達方法およびそのための装置

【課題】最少の出力消費で送信器と受信ユニットとの間の双方向通信を可能にする情報の伝達方法および関連する装置を提供する。
【解決手段】送信器(1)と、送信器(1)の信号の受信のための受信ユニット(5)との間における情報の伝達方法において、送信器(1)の信号が受信ユニット(5)によって変化され、送信器(1)の出力(10、15)が送信器(1)によって監視され、送信器(1)の出力(10、15)における送信器(1)の信号の変化が送信器(1)によって検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器と受信ユニットとの間における情報の伝達のための方法、送信器の信号を受信するための受信ユニット、および受信ユニットに対する送信器信号を伝達するための送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
既に、アナログの出力信号をアナログのインタフェースを通してエンジン制御装置に送り込むセンサが知られている。エンジン制御装置には、通常の保護回路と低域フィルタリング装置の後段にアナログ・デジタル変換器が配置されている。アナログのインタフェースを通して、信号は単一方向にのみ伝達される、即ち、センサのアナログ出力信号がセンサ内で生成され、アナログインタフェースのアナログの信号線を通してエンジン制御装置のアナログ・デジタル変換器へ導かれ、該アナログ・デジタル変換器がセンサのアナログ出力信号のアナログ・デジタル変換を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最少の出力消費で送信器(1)と受信ユニット(5)との間の双方向通信を可能にする、送信器と受信ユニットとの間における情報の伝達方法、および関連の装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、送信器と、送信器の信号の受信のための受信ユニットとの間における情報の伝達方法において、送信器の信号が受信ユニットによって変化され、送信器の出力が送信器によって監視され、送信器の出力における送信器の信号の変化が送信器によって検出される。
【発明の効果】
【0005】
このようにすることによって、情報伝達が単に送信器から受信ユニットへだけでなく、受信ユニットから送信器へも可能となる。これによって送信器と受信ユニットとの間のアナログのインタフェースは双方向インタフェースとなり、そのために送信器と受信ユニットとの間の該インタフェースの機能が高められる。
【0006】
本発明は更に、有利な拡張および改良が可能となる。
送信器の信号の変化が送信器内の適当な評価装置によって、受信ユニットから伝達された情報として検出される。
【0007】
これは、送信器の中で送信器の出力電流或いは出力電圧が予め定められた電流領域および/または電圧領域を用いて監視されること、および送信器の出力電圧が予め定められている電圧領域の外或いは送信器の出力電流が予め定められている電流領域の外にある場合には、送信器によって、受信ユニットから伝達された情報が検出されることによって、簡単な手法で実現される。
【0008】
そのために、例えば出力電流が送信器内の電流測定抵抗を用いて簡単な手法で測定される。
送信器によって、送信器の出力の送信器の信号の変化の時間的長さが求められ、且つ該時間的長さに応じて、受信ユニットから送信器に対して伝達された情報が検出されると、もう一つの利点が生まれる。このようにすることによって、例えば受信ユニットから送信器に対する情報の伝達の際の電磁的結合或いは容量性の結合による妨害パルスに対する伝達の安定性が高められる。更に、送信器の出力での送信器の信号の変化の時間的長さの評価によって、受信ユニットから送信器に対して伝達される様々な情報、例えば個々のパルスの形による情報或いは複数のパルスから成るデジタル情報、が区別される。
【0009】
送信器によって、検出された、受信ユニットで受信された情報に応じて、一つの機能が実行されると、もう一つの利点が生まれる。このようにすることによって、受信ユニットの側からの送信器の制御が可能となる。
【0010】
送信器の信号が受信ユニットから少なくとも一つのパルスを加えられ且つ少なくとも一つのパルスが送信器の出力上で送信器によって検出されると、もう一つの利点が生まれる。このようにすることによって、受信ユニットの情報が送信器で極めて簡単に且つ信頼性をもって検出される。
【0011】
その際には、少なくとも一つのパルスは、特に簡単な手法で電流パルス或いは電圧パルスとして送信器の信号に加えることができる。
送信器と受信ユニットとの間のアナログ信号線で、そのような電流パルス或いは電圧パルスを発生させるための特に簡単な手法は、上記のアナログ信号線を予め定められている電流源或いは予め定められている電位と接続するためのスイッチの、特に短時間の起動によって可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一つの実施例が図面に示されており、以下の記載で詳しく説明される。
図1において、参照記号1は、送信器、例えば自動車の中のセンサを指示している。参照記号5は、送信器1の信号を受信するための受信ユニットを指示しており、該ユニットは、例えば上記の自動車の制御装置に組み込まれている。しかしながら、送信器1と受信ユニット5は、車両の中での応用に限定される訳ではなく、任意の応用例のために適している。その際、図1には、送信器1と受信ユニット5の、本発明にとって重要な構成部分並びにその他の幾つかの、本発明の理解に役立つ構成部分だけが示されている。送信器1は、図1では演算増幅器の形で示されている出力段50を含んでおり、この演算増幅器は、第一の出力端子10と第二の出力端子15とを有し、これ等の出力端子には、送信器の信号(以下、送信器信号とも呼ばれる)が印加されている。出力段50の第二の出力端子15は、基準電位、例えばアースとなっている。出力段50の第一の出力端子10は、同時に送信器1の第一の出力端子であり、また出力段50の第二の出力端子15は同時に送信器1の第二の出力端子となっている。二つの出力端子10、15の送信器信号は、例えば、測定された圧力を示す信号、測定された温度を示す信号、測定された回転数を示す信号等とすることができる。送信器1は、任意の数値を測定するために、また該数値に対応する測定信号或いは送信器信号を送信器の第一の出力端子10と第二の出力端子15に出力するために備えられている。更に、供給電圧の入力端子95が送信器1に備えられており、該入力端子を通して送信器1に供給電圧VVSが供給される。この供給電圧VVSは、電流測定抵抗40を通して出力段50へ送られ、またこの供給電圧VVSを通して送信器1の出力段としての演算増幅器50に、第一の、例えば正(プラス)の動作電位が供給される。第二の出力端子15を通して出力段50に基準電位が第二の動作電位として供給される。出力段50の非反転入力端子と反転入力端子とを介した送信器信号の生成は、図1では分かり易くするためにこれ以上詳しくは示されていない。供給電圧の入力端子95は更に、送信器1の第二の演算増幅器45の反転入力端子と結合されており、これに対して電流測定抵抗40と出力段50との間の電位は、第二の演算増幅器45の非反転入力端子に送られる。第二の演算増幅器45の二つの動作電位は、図1では分かり易くするために略示するだけにとどめられている。第二の演算増幅器45は、その際、増幅器の反転入力端子と非反転入力端子との上の電位差に応じて出力信号を生成する比較器として用いられる。この出力信号の利用は任意であり、図1に示されているように、タイマ55に送ることができる。タイマ55の出力は、タイマ55の出力の矢印によって示唆されているように、送信器1内の更なる評価装置へ送られる。かくして、第二の演算増幅器45は、電流測定抵抗40での電圧降下に応じて、対応する出力信号を送り出す。受信ユニット5は、アナログインタフェース60を通して送信器1に結合されている。その際、アナログインタフェース60の第一のアナログ信号線20は、送信器1の第一の出力端子10を受信ユニット5の第一の入力端子85と結合し、アナログインタフェース60の第二のアナログ信号線25は、送信器1の第二の出力端子15を受信ユニット5の第二の入力端子90に結合している。その際、受信ユニット5の第二の入力端子90は、更に基準電位35、本例ではアースとなっている。受信ユニット5の第一の入力端子85と第二の入力端子90は、受信信号の高周波障害と静電放電をアース35へ導くこと(ESD保護)によってフィルタリングする保護コンデンサ65を通して互いに結合されている。受信ユニット5で、このようにして事前にフィルタリングされた受信信号は、次いで受信ユニット5の低域フィルタ70によって更にフィルタリングされる。低域フィルタリングされた受信信号は、次いで当業者には既知の手法で、受信ユニット5の図1には最早示されていないアナログ・デジタル変換器或いはその後に接続されている評価ユニットに送り込まれる。受信ユニット5の第一の入力端子85は更に、プルアップ抵抗75を通して受信ユニット5の予め与えられている、例えば+5Vの電位と結合されている。更に、受信ユニット5の第一の入力端子85は、制御可能なスイッチ30を通して基準電位35と、それ故本例の場合にはアースと結合可能である。制御可能なスイッチ30は、受信ユニット5の制御信号80によって制御される。
【0013】
本発明によれば、第一のアナログ信号線20と第二のアナログ信号線25とで受け取られた送信器1の信号は、受信ユニット5によって変化されるということ、送信器1が出力側で監視されること、および送信器1の出力側で、受信ユニット5によって行われた送信器1の信号の変化が送信器1によって検出されることが提案されている。その際、送信器信号の変化は、受信ユニット5の側から、受信ユニット5の第一のアナログ信号線20或いは第一の入力端子85を基準電位35と結合するための制御信号80を用いて、特に短時間の間起動されるスイッチ30によって行われる。その際、第一のアナログ信号線20を基準電位35と結合するためにはスイッチ30が閉じられる。これによって、スイッチ30が閉じられている時間長さの間、送信器1の第一の出力端子10と第二の出力端子15との間の電圧が第一のアナログ信号線20と第二のアナログ信号線25の伝導抵抗に応じて電圧パルスを加えられ、その結果として該電圧パルスが更に、電流測定抵抗40を通って流れる電流パルスを生成する。送信器1の第一の出力端子10と第二の出力端子15との間の電圧パルスは、その際出力段50から送り出されて受信ユニット5へ伝達される送信器の信号に加えられ或いは重畳される。上記の電流パルス或いは電圧パルスは、既に述べられたように、スイッチ30が閉じられている時間長さに相当する時間長さを有している。その際、送信器の信号に対して影響を与える時間をできる限り短時間に限定するために、スイッチ30を制御信号80によって短時間閉じることが特に有利である。他方、スイッチ30を閉じることによって生成される電流パルス或いは電圧パルスは、該パルスを、例えば電磁結合或いは容量結合によって第一のアナログ信号線20と第二のアナログ信号線25に生じることのある妨害パルスと区別することができるようにするためには、十分に長く持続することが必要である。それ故、制御信号80は、例えば試験台の上で、スイッチ30を閉じるための時間長さが上記の要求に適合するように、適切に調整されるものとする。その際、スイッチ30は、送信器1の信号に或いは送信器1の第一の出力端子10と第二の出力端子15との間の電圧に複数のパルスが、従ってパルス列が重畳されるように、制御信号80によって、スイッチが何度も連続的に閉じられ又再び開かれるように制御可能である。
【0014】
送信器1は、通常その出力段50を通して第一の出力端子10と第二の出力端子15との間に、送信器1によって測定された物理的値に対応するか或いはこの測定された物理的値を代表する、定められた電圧を生成する。その際、出力段50は、通常の作動の際には、第一の出力端子10と第二の出力端子15との間の電圧を予め定められている電圧動作領域内でドライブし、また予め定められている電領動作域内の電流強度で第一の出力端子10と第二の出力端子15を通して出力電流を流す。その際、第一の出力端子10と第二の出力端子15を通って流れる出力電流の和は、電流測定抵抗40を通っても流れる。その際、上記の予め定められている電圧動作領域或いは電流動作領域は、例えば試験台の上で、スイッチ30を閉じたときに、送信器1の出力端子10、15への電圧パルス或いは電流パルスの重畳によって、予め定められている電圧動作領域或いは電流動作領域がオーバーされるように、適切に調整されている。電流動作領域或いは電圧動作領域の限界に対応している電流閾値或いは電圧閾値を用いた送信器1の出力端子10、15での出力電流或いは出力電圧の監視は、かくして、送信器1内で、スイッチ30を閉じることによって生じる送信器の信号の変化の検出を可能にする。このようにすることによって、スイッチ30の操作を通じて生成される、送信器1の出力端子10、15の電流パルス或いは電圧パルスによって、情報が受信ユニット5から送信器1に対して伝達され且つ送信器1で検出されるので、受信ユニット5から送信器1の方向に向けた効果的な通信が可能となる。この通信が、先に述べられたように、複数の電流パルス或いは電圧パルスを用いて行われると、受信ユニット5から送信器1へのデジタル情報の伝達も可能となる。
【0015】
図1に基づく回路装置の機能様態は次の通りである。適当なソフトウェアによって生成することのできる制御信号80を介して、スイッチ30が予め定められ又既に説明されたように、試験台の上で調整された時間長さにわたって閉じられると、これによって、この時間長さの間、送信器1の第一の出力端子10のアナログ信号が基準電位35の方向へ流れる。送信器1はその出力段50を通じて第一の出力端子10と第二の出力端子15の出力信号を一定に保持しようと努め、その結果、スイッチ30が閉じられたことに対する反応として、第一の出力端子10と第二の出力端子15の出力電流を引上げる。引上げられたこの出力電流はまた、電流測定抵抗40を通って流れる。これによって、電流測定抵抗40に印加される電圧も引上げられる。第二の演算増幅器45のために予め適切に与えられた切換え閾値(該閾値は送信器1の出力電流のための予め定められた電流動作領域を決定する)によって、スイッチ30を閉じることによって引上げられた、電流測定抵抗40を通って流れる出力電流が、送信器1の予め定められた電流動作領域の外にあるか否かが確認される。該出力電流が動作領域の外にある場合には、第二の演算増幅器45の出力信号の変化がもたらされる。タイマ55は、第二の演算増幅器45のこの変化された出力信号の時間長さを、又それによって送信器1の引上げられた出力電流の時間長さを測定する。この時間長さがスイッチ30を閉じるために予め定められている時間長さと一致している場合には、スイッチ30を閉じることによって生成される電流パルス或いは電圧パルスは、受信ユニット5の情報信号に対応している。この目的のためにスイッチ30を閉じるために予め与えられている時間長さは、送信器1にも記憶させておくことができる。予め定められているこの時間長さとタイマ55によって求められた時間長さとの比較は、タイマ55の後段に続いている比較器で行われるが、この比較器は、図を簡単にするために図1には最早示されていない。既に述べられたように、タイマ55によって測定された時間長さが予め定められている時間長さと一致した場合には、送信器1は、スイッチ30を閉じることによって受信ユニット5から送信器1に対して伝えられた情報信号を検出し、例えば特定の機能を起動させることによってこれに反応する。その機能は、例えば送信器1のスイッチオフ或いは校正機能、或いは、送信器1によって実行されることのできるその他の任意の機能とすることができる。その際には、検出され且つ受信ユニット5によって受信された情報に応じて、様々な機能が送信器1によって実行され得る。既に述べられたように、例えば受信ユニット5によってパルス列も送信器1に対して伝達され、又それによってデジタル信号も伝達される。かくして、生成されたパルス列に応じて、例えば様々なデジタル信号が受信ユニット5から送信器1に対して伝達される。送信器1は、そのような様々なパルス列を比較ユニットの後に続く評価ユニットで、当業者には既に知られている手法で評価し、その際、受信ユニット5から伝達された様々なパルス列の検出が送信器1で様々な機能を起動させることができる。このようにすることによって、送信器1は受信ユニット5によっても制御される。その際、様々なパルス列とは、本例では、それぞれ予め定められた同じパルス時間長さを持つパルスの、配列の異なる列として理解されるものとする。
【0016】
しかしながら別の実施態様によれば、スイッチ30は異なるパルスを生成するために異なる時間長さの間閉じられることができる、ということも提案されている。このようにすることによっても、この異なる時間長さが送信器1にも記憶されていて且つ比較ユニットでタイマ55によって測定された時間長さと比較されれば、受信ユニット5の異なる情報が送信器1で区別される。但し、その際には、既に述べられたように、パルスの最短時間長さは、少なくともそのパルスがアナログインタフェース60で、例えば電磁結合或いは容量結合に起因する妨害パルスと取違えられることがない程度に長くなければならないであろう。
【0017】
異なるパルス列は又、それぞれ異なる時間長さの、少なくとも二つのパルスの同じまたは異なる配列のパルスの列としても生成され且つ評価されることができる。異なるパルス列は又、そのパルス数によって互いに区別されることもできる。
【0018】
かくして、異なるパルス時間長さによるおよび/または異なるパルス列を生成するためのスイッチ30の制御によって、受信ユニット5で異なる情報が生成され、アナログインタフェース60を通して送信器1に伝えられ、且つそこで既に述べられたようにして検出される。
【0019】
受信ユニット5のドライブ出力が送信器1のそれよりも低い場合には、スイッチ30を閉じることによって受信ユニット5によって生成された、アナログの送信器信号の中の通信信号はほとんど検出不可能である。送信器1の出力段50が、出力段50の調節速度に応じて、上記の通信信号を理想的には完全に補償する。送信器信号はそれによって短時間だけ又ほとんど検出不可能な程度しか妨害されない。しかしながら、受信ユニット5のドライブ出力が送信器1のそれよりも高い場合には、アナログの送信器信号は、スイッチ30を閉じることによって受信ユニット5によって生成された通信信号によって検出可能な程度まで妨害され、その際、送信器1の出力段50は、この通信信号を最早完全に補償することはできない。かくして、送信器信号は、通信信号の時間長さの間、従ってスイッチ30が閉じられている時間長さの間、検出可能な程度まで妨害される。
【0020】
図2には、受信ユニット5における通信信号の生成のための流れ図が示されている。プログラムのスタートの後、受信ユニット5のソフトウェアがプログラムステップ100で望ましいパルス列或いはパルス時間長さを生成するための制御信号80を定め、その際このパルス列或いはパルス時間長さが受信ユニット5の情報或いは命令に割り当てられる。次いで、プログラムが終了される。
【0021】
図3には、送信器1における本発明に基づく方法の流れを示す流れ図が或るプログラムの例に基づいて示されている。その際、以下の説明では、監視ユニットとしての電流測定抵抗40が送信器1の出力10、15を監視し、また第二の演算増幅器45が検出ユニットと名付けられ、該検出ユニットが出力端子10、15における送信器信号の変化を、換言すれば、送信器1の出力端子或いは出力側で、予め定められている領域を越える送信器信号の変化を、受信ユニット5から伝達された情報として検出するものとする。プログラムのスタートの後、監視ユニット40が送信器1の出力を、本例の場合には電流測定抵抗40で生じる電圧降下によって監視する。次いで、プログラムステップ205へ進められる。
【0022】
プログラムステップ205では、検出ユニット45が、電流測定抵抗40における電圧降下が予め定められている閾値をオーバーしているか否かがチェックされる。オーバーしている場合(y)には、プログラムステップ210へ分岐され、そうでない場合(n)には、プログラムステップ200へ戻される。
【0023】
プログラムステップ210では、検出ユニット45がその出力端子に、例えば予め定められている電圧値へジャンプすることによって、検出信号を生成する。タイマ55が、この検出信号或いは予め定められている電圧へのジャンプの時間長さを測定する。次いで、プログラムステップ215へ進められる。
【0024】
プログラムステップ215では、タイマ55の後段に接続されている比較ユニットが、検出ユニット45によって送り出された検出信号或いは電圧ジャンプの時間長さが複数の予め定められている値に相当しているか否かをチェックする。検出信号或いは電圧ジャンプの時間長さが複数の予め定められている値に相当している場合(y)には、プログラムステップ220へ進められ、そうでない場合(n)には、プログラムは終了される。
【0025】
プログラムステップ220では、比較ユニットの後段に接続されている評価ユニットが上記の時間長さに割り当てられている情報或いは該時間長さに割り当てられている受信ユニット5の命令を求める。その際、可能な命令は、様々な時間長さに割り当てて送信器1の適当な、評価ユニットに割り当てられたメモリに記憶させておくことができる。次いで、プログラムステップ225へ進められる。
【0026】
プログラムステップ225では、評価ユニットが、送信器1の、検出された命令或いは検出された情報と結び付けられている機能を起動させる。その際にも又、受信ユニット5の様々な機能、様々な情報或いは命令は、評価ユニットに割り当てられている送信器1のメモリに記憶させておくことができる。次いで、プログラムは終了される。
【0027】
受信ユニット5の様々な情報或いは命令が、受信ユニット5によって生成された唯一のパルスの様々なパルス時間長さによってではなく、受信ユニット5によって生成された異なるパルス列によって形成されている場合にも、上記と同様の手法によって処理することができる。後者の場合には、タイマ55によって測定されたパルス時間長さの評価は、検出されたパルスが妨害によって或いは受信ユニット5のスイッチ30を閉じることによって生成されたものであるか否かというチェックのためにのみ用いられる。その際には、評価ユニットは、比較ユニットから送られて来た受信ユニット5の有効なパルスから受信パルス列を形成し、該受信パルス列を受信ユニット5の様々な情報或いは命令に割り当てられて送信器1に記憶されているパルス列と比較する。評価ユニットによって検出された受信パルス列が記憶されているパルス列と一致した場合には、そのパルス列に割り当てられている送信器1の機能が起動されるが、その際にも又、送信器1の様々な機能は送信器1の様々なパルス列に割り当てて記憶させておくことができる。
【0028】
図1の例によれば、受信ユニット5の情報信号の発生のために受信ユニット5の第一の入力端子85はスイッチ30を通して基準電位35と結合されている。代わりの手法として、この目的のために、第一の入力端子85は、スイッチ30を通して、別の予め適当に定められた電位と結合することもでき、その場合には、その電位は、例えば試験台の上で、上記の第一の入力端子85を当該の電位と結合することによって生成される、送信器1の出力端子の電流パルス或いは電圧パルスが送信器1によっても検出可能であるように、即ち送信器1の出力端子に、予め定められた電圧領域或いは電流領域の外にある電圧或いは電流をもたらすように、調整可能である。この目的のために、受信ユニット5の第一の入力端子85は、スイッチ30を通して、例えば予めしかるべく適当に定められた供給電圧と結合されることもできる。更に、代わりの手法として、この目的のために、上記の第一の入力端子85は又、スイッチ30を通して、しかるべく適当に選ばれた電源と結合されることもできる。また、追加として或いは代わりの手法として、第二の入力端子90は第二の制御信号によって或いは制御信号80によってしかるべく制御される第二のスイッチを通して、予め適当に定められた電流源或いは予め定められた電位と結合されることもできる。
【0029】
本発明によって、送信器1から受信ユニット5への送信器信号の伝達のための既存のアナログインタフェース60を通して、従って追加の信号線無しに、情報も受信ユニット5から送信器1に対して伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】アナログインタフェースを通じて互いに結合されている送信器と受信ユニットとの配線図である。
【図2】受信ユニットの側における本発明に基づく方法を説明するための第一の流れ図である。
【図3】送信器の側における本発明に基づく方法を説明するための第二の流れ図である。
【符号の説明】
【0031】
1…送信器
5…受信ユニット
10,15…出力端子
20,25…アナログ信号線
30…制御可能のスイッチ
35…基準電位
40…電流測定抵抗(監視手段)
45…演算増幅器(比較器、検出手段)
50…出力段(演算増幅器)
55…タイマ
60…アナログインタフェース
65…保護コンデンサ
70…低域フィルタ
75…プルアップ抵抗
80…制御信号
85,90,95…入力端子
VVS…供給電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器(1)と、送信器(1)の信号の受信のための受信ユニット(5)との間における情報の伝達方法において、
送信器(1)の信号が受信ユニット(5)によって変化されるということ、
送信器(1)の出力(10、15)が送信器(1)によって監視されること、および
送信器(1)の出力(10、15)における送信器(1)の信号の変化が送信器(1)によって検出されること、
を特徴とする情報の伝達方法。
【請求項2】
送信器(1)における送信器(1)の信号の変化の評価によって、受信ユニット(5)から伝達された情報が検出されることを特徴とする請求項1に記載の伝達方法。
【請求項3】
送信器(1)の信号が、受信ユニット(5)から少なくとも一つのパルスを加えられること、および
送信器(1)の出力端子(10、15)の前記少なくとも一つのパルスが送信器(1)によって検出されること、
を特徴とする請求項1または2に記載の伝達方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つのパルスが、電流パルス或いは電圧パルスとして送信器(1)の信号に加えられることを特徴とする請求項3に記載の伝達方法。
【請求項5】
送信器(1)と受信ユニット(5)との間のアナログ信号線(20)の前記電流パルス或いは電圧パルスが、上記のアナログ信号線(20)を予め定められている電流源或いは予め定められている電位(35)と接続するスイッチ(30)の、特に短時間の起動によって生成されることを特徴とする請求項4に記載の伝達方法。
【請求項6】
送信器(1)において、送信器(1)の出力電流或いは出力電圧が、予め定められている電流領域および電圧領域の少なくともいずれかを用いて監視されること、および
送信器(1)の出力電圧が予め定められている電圧領域の外にあるか、或いは送信器(1)の出力電流が予め定められている電流領域の外にある場合に、送信器(1)によって、受信ユニット(5)から伝達された情報が検出されること、
を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の伝達方法。
【請求項7】
前記出力電流が、送信器(1)内の電流測定抵抗(40)を用いて測定されることを特徴とする請求項6に記載の伝達方法。
【請求項8】
送信器(1)によって、送信器(1)の出力(10、15)における送信器(1)の信号の変化の時間的長さが求められること、および
前記時間的長さに応じて、受信ユニット(5)から送信器(1)に伝達された情報が検出されること、
を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の伝達方法。
【請求項9】
送信器(1)によって、検出された、受信ユニット(5)で受信された情報に応じて、所定の機能が実行されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の伝達方法。
【請求項10】
送信器(1)の信号を受信するための受信ユニット(5)において、
信号線(20)を通して受信された送信器(1)の信号を変化させるための手段(30、35)を備え、該手段が信号線(20)の受信された送信器(1)の信号に送信器(1)のための情報を加えること、
を特徴とする受信ユニット。
【請求項11】
受信ユニット(5)に送信器信号を伝達するための送信器(1)において、
送信器(1)の出力(10、15)を監視する監視手段(40)と、
予め定められた範囲を越える送信器(1)の出力(10、15)の送信器信号の変化を、受信ユニット(5)から伝達された情報として検出する検出手段(45)と、
を備えていることを特徴とする送信器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−164248(P2006−164248A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320493(P2005−320493)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】