説明

送出可能な繊維材料

【課題】セルロース木材パルプ繊維は、多くの材料においてフィラーおよび/または強化材および/または改質材を提供する。
【解決手段】上面および下面ならびに六角形の外周12〜22を有するセルロース木材パルプ繊維の単一または複数の小片10を用いて、この繊維、繊維束またはこれらの混合物を熱可塑性樹脂材料、セメント材料、熱硬化性樹脂材料と混合して形成したブレンド体であり、ここで、該六角形は、完全に等辺のものから完全に非対称のものまで、どのようなものでもよい、ブレンド体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出可能な形状のセルロース木材パルプに関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース木材パルプ繊維は、多くの材料においてフィラーおよび/または強化材および/または改質材として使用し得る。材料中に入れる量の繊維を送り出して、さらに多量の繊維を材料中に含ませられるようにするというニーズがある。
【0003】
プラスチック産業における例として、フィラーや強化材料がプラスチックの性質を改善するために典型的に使用される。このような材料を加えることによって、伝導度、強度、弾性値、切り欠け衝撃強さ、密度、吸収性などの性質を改善することができる。
【0004】
フィラーや強化材料を用いるプラスチックやポリマー材料の部分的なリストとして、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ、これらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチルテレフタレート、エチレン・カーボンモノオキサイド、スチレン・アクリロニトリルおよびスチレン・マレイン酸無水物などのスチレンコポリマーブレンド、熱可塑性ポリマー、ポリアセタール、セルロースブチレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ある種のメチルメタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレンポリマーが挙げられる。
【0005】
繊維材料は、プラスチック中で強化材として使用される。ガラス繊維は、プラスチック用の強化成分として使用される。ガラス繊維は、熱硬化性プラスチック用および熱可塑性プラスチック用の強化材料として使用される。ガラス繊維は、機械的強度、寸法安定性、および耐熱性を製品に付与するために使用される。しかし、ガラス繊維は製品の密度および重量を増大させ、高価であり、磨耗性で処理装置を磨耗させる。
【0006】
無機繊維は、フィラーとしておよび強化用に使用される他の材料である。無機繊維も密度が高く、製品重量が大きくなる。無機繊維も磨耗性である。
セルロース木材パルプ繊維にはこれらの欠点がない。セルロース木材パルプ繊維は、ガラス繊維または無機フィラーに比べて比較的低密度である。例えば、セルロース木材パルプ繊維は約1500kg/mの密度であるのに対し、Eグレードのガラス繊維の密度は2500kg/mである。これによってより低密度でより軽量な製品が得られる。これは、例えば、自動車用途を始めとする多くの用途において重要な事項である。セルロース木材パルプ繊維は、ガラス繊維ほど磨耗性でなく、ガラス繊維や無機フィラーと同じほどには処理装置を磨耗させない。
【0007】
セルロース木材パルプ繊維は、熱硬化性材料や熱可塑性材料において強化剤ないしフィラーとして使用することができ、繊維・セメント材料における強化材として使用したり、密度調整剤としてより高密度の材料と混ぜて製品をより低密度でより軽量にしたり、他の材料と混ぜて吸収性を大きくしたり、より高速で吸収させたりできる。
【0008】
これらの各用途においては、繊維の添加量を理解し、繊維を均一に添加することが必要である。容易かつ均一に送り出すことができる形状のセルロース木材パルプ繊維があることは有益である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のある態様の上面図である。
【図2】図2は、図1の態様の側面図である。
【図3】図3は、図1および図2の態様の等角図である。
【図4】図4は、本発明の別の態様の上面図である。
【図5】図5は、図4の態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、パルプ、板紙および紙繊維の原料として数多くの樹種を利用できる。針葉樹種および広葉樹種およびこれらの混合物を使用し得る。これらは軟材および硬材としても知られている。典型的な軟材種は、種々のスプルース(例えば、シトカスプルース)、ファー(ダグラスファー)、種々のツガ(ベイツガ)、タマラック、ラーチ、種々のパイン(サザンパイン、ホワイトパインおよびカリビアンパイン)、サイプレスおよびセコイアまたはこれらの混合物である。典型的な硬材種は、タモ、アスペン、コットンウッド、ベースウッド、カバ、ブナ、クリ、ガム、ニレ、ユーカリ、メープルオーク、ポプラおよびシカモアまたはこれらの混合物である。リサイクルされたセルロース材料を、上記繊維の出発材料として使用し得る。本発明は、化学パルプ、機械パルプ、サーモメカニカルパルプおよびケミサーモメカニカルパルプを使用し得る。クラフト、サルファイトおよびソーダ化学パルプを使用し得る。繊維は漂白しても漂白しなくてもよい。本発明は、未漂白ダグラスファー化学パルプ繊維を使用し得る。
【0011】
軟材種や硬材種の使用は、所望の繊維長にある程度依存する。硬材種ないし広葉樹種は1〜2mmの繊維長を有する。軟材種ないし針葉樹種は3.5〜7mmの繊維長を有する。ダグラスファー、グランドファー、ベイツガ、ウエスタンラーチおよびサザンパインは、4〜6mmの範囲の繊維長を有する。パルプ化および漂白すると、繊維の切断により平均長が若干短くなることがある。
【0012】
パルプの製造において、木材材料は化学的プロセスまたは機械的プロセスによって繊維まで分解される。次いで、繊維は場合により漂白してもよい。次いで、繊維をストックチェストで水と混ぜてスラリーを調製する。次いで、スラリーをヘッドボックスに送り、そしてワイヤー上に配置し、脱水および乾燥して、パルプシートが形成される。添加剤を、ストックチェスト、ヘッドボックスまたはその両方で繊維と混ぜてもよい。また、脱水および乾燥の前、中、後において、材料をパルプシート上にスプレーしてもよい。
【0013】
伝統的にパルプは、シート状、ベール状、または、パルプシートやベールが細かくまたはスラリーにされた後の繊維状で、他の材料に加えられる。本技術分野で周知の送出装置で送り出せるように、パルプを小片などの他の形状にすることが有利である。本発明において、セルロース木材パルプ繊維を微粒子形状にすることができ、小片の形状によって、繊維を送り出したり、処理できる速度や均一性が決まることが見出された。六角形の形状を有する小片は、四角形の形状を有する小片よりも早くかつ均一に供給することができる。
【0014】
ある態様において、本発明の小片は送出システムに入れられる。本発明の小片は減容システムまたは軽量化システムに入れられ、次の処理工程に送出ないし移送される。ある態様においてシングルスクリューフィーダーまたはツインスクリューフィーダーが使用され、本発明の小片が次の処理工程に送出ないし移送される。次の処理工程は、本発明の小片が混合される材料による。この材料は熱硬化性材料であっても熱可塑性材料であってもよく、ポルトランドセメントなどのセメント用の水溶液やクレイまたはロームなどの乾燥材料であってもよい。いくつかの態様において、この小片から、繊維、繊維束または繊維ないし繊維束の混合物が混合前または混合中に形成される。他の態様において、本発明の小片は混合中において実質的に小片のままである。
【0015】
セルロース木材パルプ繊維を利用し得るプラスチックまたはポリマー材料の一部のリストには、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、これらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチルテレフタレート、エチレン・カーボンモノオキサイド、スチレン・アクリロニトリルおよびスチレン・マレイン酸無水物などのスチレンコポリマーブレンド、熱可塑性ポリマー、ポリアセタール、セルロースブチレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ある種のメチルメタクリレート、ポリクロロトリフルオロエチレンポリマーが含まれる。セルロース木材パルプ繊維を利用し得る熱硬化性材料または熱可塑性材料の完全なリストは当業者に知られている。
【0016】
セルロース木材パルプ繊維は、市販のセルロース木材パルプ、漂白された板および紙の形態でもよい。これらの材料は典型的にはロール状またはベール状で運送される。パルプシート、紙または板(繊維シート)の厚さは、小片の厚さを決定する1要因である。繊維シートには、2つの対向する実質的に平行な面があり、これらの面の間の距離が小片の厚さとなる。典型的な繊維シートは0.1mm〜4mmの厚さである。いくつかの態様において厚さは0.5mm〜4mmであってよい。小片の厚さに影響を与える他の1つの要因は、繊維シートへの前処理があるかである。これによって本発明の小片が繊維シートより薄くまたは厚くなることがある。
【0017】
繊維シートないし小片は、基本重量が12g/m(gsm)〜2000g/mであってよい。ある態様において本発明の小片は、基本重量が600g/m〜1900g/mであってよい。他の態様において本発明の小片は、基本重量が500g/m〜900g/mであってよい。紙シートの1つの態様では、基本重量が70g/m〜120g/mであってよい。他の態様において板紙は、基本重量が100g/m〜350g/mであってよい。他の態様においてスペシャリティ用途の繊維シートは、基本重量が350g/m〜500g/mであってよい。
【0018】
パルプ添加剤または前処理も小片の特徴を変え得る。結合阻害剤で処理したパルプは、結合阻害剤で処理しないパルプよりもゆるい小片となる。小片がゆるいと、混ぜ合わせる材料により分散しやすくなる。
【0019】
本発明の小片は六角形の形状を有し、その1つの態様を図1に示す。六角形は、完全に等辺のものから完全に非対称のものまでどのようなものでもよい。等辺でない場合、主軸は4〜8ミリメートル(mm)であってよく、短軸は2〜5mmであってよい。六角形のいくつかの辺は同じ長さであってよく、すべて辺またはいくつかの辺は異なる長さであってよい。六角形の周囲または外周は12mm〜30mmであってよく、小片の上面または下面(24または26)の面積は12〜32mmであってよい。ある態様において、本発明の小片は、厚さが0.1〜1.5mm、長さが4.5〜6.5mm、幅が3〜4mm、一つの面の面積が15〜20mmであってよい。他の態様において、本発明の小片は、厚さが1〜4mm、長さが5〜8mm、幅が2.5〜5mm、一つの面の面積が12〜20mmであってよい。
【0020】
六角形状をした小片の2つの例を示す。
図1〜3において、小片10は六角形の形状をしており、同じ長さの対向する2つの辺12および18(他の4辺14、16、20および22よりも長い)を有する。他の4辺14、16、20および22は、図示したように同じ長さでもよく、異なる長さでもよい。辺のうちの2つ、すなわち、各側のもの(14と20または14と22など)は同じ長さでもよく、各側の他の2辺(16と22または16と20)は同じ長さでもよく、異なる長さでもよい。これらのいずれのバリエーションにおいて、辺10および18は同じ長さでもよく、異なる長さでもよい。小片の縁は鋭くても丸くてもよい。
【0021】
小片10の上24と下26の距離は0.1mm〜4mmであってよい。
図4および図5は、六角形の6辺がそれぞれ異なる長さである態様を示す。図示したこの態様は説明のためのものであり、辺の長さのオーダーや辺の長さのサイズは変更してよい。
【0022】
上記の形状、サイズおよび基本重量の小片は、本技術分野でよく知られた軽量の容積フィーダーシステムで容易に送り出すことができる。
本発明の小片内の繊維配置は、六角形の主軸に対して平行または六角形の主軸に対して垂直であってよく、その間の配向でもよい。
【0023】
六角形小片はヘニオンダイサー(Henion dicer)で形成させることができるが、他の手段を用いて六角形小片を調製することもできる。
六角形小片は、四角または矩形の小片に対して数多くの利点を有する。周囲が六角形の小片は、周囲が矩形または四角の小片よりも早く調製することができ、周囲が矩形または四角の小片よりも速く送り出すことができる。ある態様では四角小片の1.6倍の速度で六角形小片が調製された。
【0024】
六角形小片による利点の実施例として、ウェアハウザーNRカンパニー(Columbus、MS工場)製のCF405パルプを、長径が6.14mm(〜1/4インチ)で短径が3.36mm(〜1/8インチ)の六角形の小片、3/32インチ(2.38mm)の四角形の小片および1/8インチ(3.18mm)の四角形の小片にした。本発明の小片を、ツインスクリューフィーダーおよびシングルスクリューフィーダーの両方から送り出した。本技術分野で通常行われる標準的な振動撹拌を用いてブリッジングを防いだ。各試験で3つの小片について回転速度の範囲は同じとした。ツインスクリューフィーダーから供出される量(ポンド/時間/rpm)は、六角形の小片で1.61、3/32インチの四角形小片で1.16、1/8インチの四角形小片で0.905だった。シングルスクリューフィーダーから供出される量(ポンド/時間/rpm)は、六角形の小片で1.73、3/32インチの四角形小片で0.45、1/8インチの四角形小片で0.65だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対向する面と六角形の外周を有し、主軸長が4〜8mm、幅が2〜5mm、厚さが0.1mm〜4mmであるセルロース木材パルプ繊維小片。
【請求項2】
前記木材パルプ繊維が、木材パルプシート、板紙シートまたは紙シートの形態である、請求項1の小片。
【請求項3】
前記六角形が等辺六角形である、請求項1の小片。
【請求項4】
前記六角形の辺が異なる長さである、請求項1の小片。
【請求項5】
前記六角形の対向する2つの辺が同じ長さであり、この2辺が六角形の他の辺より長い、請求項1の小片。
【請求項6】
基本重量が12〜2000g/mmである、請求項1の小片。
【請求項7】
対向する面のそれぞれの面積が12〜30mmである、請求項1の小片。
【請求項8】
六角形の外周が12mm〜32mmである、請求項1の小片。
【請求項9】
2つの対向する面と六角形の外周を有し、主軸長が4〜8mm、幅が2〜5mm、厚さが0.1mm〜4mmであるセルロース木材パルプ繊維小片を用意すること、
この小片をフィーダーからミキサーに送り出すこと、
この小片から繊維、繊維束またはこれらの混合物を混合前または混合中に形成すること、
この繊維、繊維束またはこれらの混合物を材料と混合して、この繊維、繊維束またはこれらの混合物と材料とのブレンドを形成させること、
を含む、木材パルプ繊維を材料と混ぜる方法。
【請求項10】
前記材料が熱可塑性樹脂である、請求項9の方法。
【請求項11】
前記材料がセメントである、請求項9の方法。
【請求項12】
前記材料が熱硬化性樹脂である、請求項9の方法。
【請求項13】
2つの対向する面と六角形の外周を有し、主軸長が4〜8mm、幅が2〜5mm、厚さが0.1mm〜4mmである木材パルプ繊維小片を用意すること、
この小片をフィーダーからミキサーに送り出すこと、
を含む、木材パルプ繊維を材料と混ぜる方法。
【請求項14】
前記材料が前記繊維よりも高い嵩密度を有する乾燥成分であり、この乾燥成分の嵩密度よりも低い嵩密度を有するブレンドを調製する、請求項13の方法。
【請求項15】
前記材料が前記繊維よりも低い嵩密度を有する乾燥成分であり、この乾燥成分の嵩密度よりも高い嵩密度を有するブレンドを調製する、請求項13の方法。
【請求項16】
前記材料が前記繊維よりも低い吸収容量を有する乾燥成分であり、この乾燥成分よりも高い吸収容量を有するブレンドを調製する、請求項13の方法。
【請求項17】
前記材料が前記繊維よりも高い吸収容量を有する乾燥成分であり、この乾燥成分よりも低い吸収容量を有するブレンドを調製する。請求項13の方法。
【請求項18】
前記材料が前記繊維よりも低い吸収速度を有する乾燥成分であり、この乾燥成分よりも高い吸収速度を有するブレンドを調製する、請求項13の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−883(P2011−883A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120521(P2010−120521)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(510146193)ウェヤーハウザー・エヌアール・カンパニー (5)
【Fターム(参考)】