説明

送液システム

【課題】 タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る種々の送液系において、流量計を使用せずに供給流量を高精度に設定可能とし、配管を簡素化してコスト低減と故障によるトラブルの防止を図り、衛生面での問題も解消し得る送液システムを提供する。
【解決手段】 タンクT1,T2内に貯留した液体L1,L2をポンプP1,P2を介して送る送液系において、液面センサーS1,S2によってポンプ稼働に伴うタンクT1,T2内の液面低下量を計測し、その単位時間当たりの液面低下量からコントローラーCによってポンプP1,P2の回転数に対する液体吐出量を演算し、簡易体積流量として表示すると共に、演算値に基づいてポンプP1,P2をコントローラーCで設定送液量に対応した稼働速度に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る種々の送液系において、送液量を設定・表示するための送液システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各々タンクに貯留された異種の液体をそれぞれポンプを介して供給して合流させ、所定割合の混合液として送出する場合、その混合比を正確に設定する上で、ポンプの稼働速度を制御して各々の液体の供給流量を精密に制御する必要がある。しかるに、定量送液に汎用されるロータリーポンプの如き定量ポンプにおいても、稼働中のリークがあることから、実際の送液量はポンプに規定される公称送液量に対して5〜10%程度の変動を生じる上、その変動傾向にも液体の比重や粘度等の性状による差異があるため、供給流量を精密に設定することは極めて困難である。
【0003】
そこで、従来より一般的に、下流側の送液流路に体積流量計を介在させ、この体積流量計による計測値からフィードバックする形で、コントローラーによってポンプの稼働速度を制御する方法が採用されている。また、質量基準で流量を設定する場合は、質量流量計を用いて同様にポンプの稼働速度を制御するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように体積流量計や質量流量計を介在させる場合、流量計自体が高価である上に配管も複雑化するため、設備コスト及び保全コストが高く付くと共に、流量計の故障によるトラブルが発生することも往々にしてあり、また流量計の内部には送液流路に連通する管路が存在するが、送液系の洗浄を行う際に該管路まで洗浄液が充分に行き渡りにくく、洗い残しによる雑菌繁殖等も懸念され、特に厳密なサニタリー仕様が要求される飲食品分野や医薬品分野の送液系では大きな問題となる。
【0005】
本発明は、上述の情況に鑑み、タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る種々の送液系において、流量計を使用することなく供給流量を高精度に設定可能とし、もって配管を簡素化してコスト低減と故障によるトラブルの防止を図り、且つ衛生面での問題も解消し得る送液システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る送液システムは、図面の参照符号を付して示せば、タンクT1,T2内に貯留した液体L1,L2をポンプP1,P2を介して送る送液系において、液面センサーS1,S2によってポンプ稼働に伴う該タンクT1,T2内の液面低下量を計測し、その単位時間当たりの液面低下量からコントローラーCによってポンプP1,P2の回転数又は往復度数に対する液体吐出量を演算し、簡易体積流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプP1,P2をコントローラーCで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る送液システムは、タンクT1,T2内に貯留した液体L1,L2をポンプP1,P2を介して送る送液系において、重量計W1,W2によって該ポンプ稼働に伴うタンク重量の減少を計測し、その単位時間当たりの重量減少からコントローラーCによってポンプP1,P2の回転数又は往復度数に対する液体吐出重量を演算し、簡易質量流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプP1,P2をコントローラーCで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3に係る送液システムは、タンクT1,T2内に貯留した液体L1,L2をポンプP1,P2を介して送る送液系において、圧力計PS1,PS2によってポンプ稼働に伴うタンクT1,T2内の液圧の減少を計測し、その単位時間当たりの液圧減少からコントローラーCによってポンプP1,P2の回転数又は往復度数に対する液体吐出重量を演算し、簡易質量流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプP1,P2をコントローラーCで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの送液システムにおいて、ポンプP1,P2がロータリーポンプである構成を採用している。
【0010】
請求項5の発明は、上記請求項1〜4の送液システムにおいて、ポンプP1,P2の下流側の送液流路に逆止弁CV1,CV2を介装すると共に、前記タンクT1,T2内の液体L1,L2の水頭圧を該逆止弁CV1,CV2の背圧以下に設定する構成としている。
【0011】
請求項6の発明は、上記請求項1〜5の送液システムにおいて、タンクT1,T2内に貯留した液体L1,L2をポンプP1,P2を介して送る複数の前記送液系を有し、これら送液系から送られる異種の液体L1,L2を混合器Mで混合して送出する構成としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る送液システムによれば、タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る際、流量計を使用せずに、請求項1の発明ではポンプ稼働に伴う該タンク内の単位時間当たりの液面低下量から、また請求項2の発明ではポンプ稼働に伴う該タンク内の単位時間当たりの液重量の減少から、更に請求項3の発明ではポンプ稼働に伴う該タンク内の単位時間当たりの液圧の減少から、それぞれポンプの回転数又は往復度数に対する液体吐出量を演算することから、簡易体積流量又は簡易質量流量として流量計使用時と同等の精度で実際の流量に極めて近い流量を表示できると共に、該演算値に基づいてポンプの稼働速度を制御するから、送液量の設定に高い信頼性が得られる。また、これら送液システムでは、流量計の省略によって配管が簡素化され、それだけ設備コストが低減されると共に、故障も発生しにくく、且つ洗浄時に配管の隅々まで洗浄液を行き渡らせることが可能となり、洗い残しによる衛生面での問題を生じない。
【0013】
しかして、これら請求項1〜3の発明に係る送液システムは、請求項4の発明のように前記ポンプがロータリーポンプである場合に特に適用効果が大きい。また、ポンプ下流側の送液流路に逆止弁が介在する構成において、請求項5の発明のように、タンク内の液体の水頭圧を該逆止弁の背圧以下に設定すれば、逆止弁本来の一方向通液機能を確実に発揮させることができる。更に、この送液システムを請求項6の如く複数の送液系から送られる異種の液体を混合器で混合して送出する構成に適用すれば、混合液の成分比率を容易に且つ厳密に設定できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る送液システムを2液混合送出系に適用した実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は第一実施形態の送液システムのブロック図、図2は同送液システムを採用した2液混合送出装置の正面図、図3は同2液混合送出装置の側面図、図4は第二実施形態の送液システムのブロック図、図5は第三実施形態の送液システムのブロック図である。なお、第二及び第三実施形態の送液システムにおいては、第一実施形態の送液システムと共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0015】
図1に示す第一実施形態の送液システムでは、タンクT1,T2の各々に貯留された2種の液体L1,L2を、それぞれロータリーポンプP1,P2を介して導出管路11a,11bより導出して合流させ、送出管路12に介在するラインミキサーからなる混合機Mを通して混合し、所定の体積比率の混合液として送出する。しかして、タンクT1,T2内には液面センサーS1,S2がそれぞれ配設されており、液面が例えば図示仮想線で示す設定レベルMLより高い間は供給管路10a,10bに介在する開閉弁V1,V2は閉止しているが、両液体L1,L2の一方の液面が該設定レベルMLに達すると、液面センサーS1又はS2の検出信号に基づくコントローラCからの指令で対応する送液系の開閉弁V1又はV2が開放し、供給管路10a又は10bより液体L1又はL2がタンク下部からタンクT1又はT2内へ、ポンプP1又はP2による送液量を大きく上回る供給速度で供給される。そして、液面が同じく図示仮想線で示す規定高レベルHLに達すれば、液面センサーS1又はS2の検出信号に基づくコントローラCからの指令で開閉弁V1又はV2が閉止し、液体L1又はL2の供給が停止する。
【0016】
ここで、タンクT1,T2内の液面の規定高レベルHL(上限)から規定低レベルLL(下限)までの間は液面面積が一定であり、設定レベルMlは高低レベルHL,LL間の任意高さ(通常は中間位の高さ)に設定される。しかして、コントローラCは、液体L1,L2のいずれについても、その液面が規定高レベルHLに達して供給停止後、ポンプP1,P2 の稼働に伴って低下してゆく液面の単位時間当たりの低下量から求められる導出流量(体積)と、その間のポンプ回転数とから、当該ポンプP1,P2 の回転数に対する液体吐出量を演算し、これを表示部Dに簡易体積流量として表示させると共に、この演算された液体吐出量が設定吐出量に近づくように常時フィードバックして両ポンプP1,P2 の駆動速度を制御するようになされている。
【0017】
図中、V3,V4は、供給管路10a,10bから分岐してタンクT1,T2の上部に連通接続した洗浄用管路13a,13bに介在する開閉弁であり、洗浄時以外は閉止している。また、CV1,CV2は、導出管路11a,11bの合流部と両ポンプP1,P2との間に介在している逆止弁であり、両ポンプP1,P2の吐出方向の液流のみを許容する。なお、逆止弁CV1,CV2には送液停止時に確実に閉弁するようにコイルスプリング等による背圧が加えられるが、送液停止時の逆流を防止する上で、タンクT1,T2内の液体L1,L2の規定高レベルHLは、水頭圧が逆止弁CV1,CV2の該背圧以下になるように設定する必要がある。
【0018】
図2及び図3に示す2液混合送出装置は、前記第一実施形態の送液システムを適用したものであり、上下二段になった架台1の上段部1aにタンクT1,T2が設置されると共に、同下段部1bにロータリーポンプP1,P2とそれらの駆動モーター2a,2bが設置されている。そして、タンクT1,T2の底部前端から導出管路11a,11bが垂下しており、両導出管路11a,11bの各下降部分に前記ロータリーポンプP1,P2と逆止弁CV1,CV2が順次介挿されると共に、両導出管路11a,11bの合流部より垂直に立ち上がる送出管路12に2連の混合機M,Mが介挿されている。なお、各混合機Mは、筒内に向きの異なる多数の固定羽根が配置し、通過液を激しく擾乱させて混合作用を発揮するものである。
【0019】
タンクT1,T2は、図3に示すように、前後方向に長い略横長矩形に形成されており、その後方下部に供給管路10a,10bが開閉弁V1,V2を介して連通接続されると共に、これら供給管路10a,10bから分岐した洗浄用管路13a,13bが各々開閉弁V3,V4を介して前部寄り上部に連通接続している。また、当該タンクT1,T2の上部には、フィルター付き通気孔F1,F2が設けられると共に、内部へ垂下する液面センサーS1,S2が取付けられている。3a,3bは逆止弁CV1,CV2の各々の強制開放用シリンダー、4a,4bは導出管路11a,11bに各々設けたドレン、5aは供給管路10a,10bの液入口、6は混合液出口である。なお、ロータリーポンプP1,P2及び開閉弁V1〜V4の動作は、図示省略したコントローラー(図1の符号C参照)によって第一実施形態の送液システムで説明したように制御されている。
【0020】
この第一実施形態の送液システムを適用した2液混合送出装置では、タンクT1,T2に貯留した2種の液体L1,L2を所定の体積比率の混合液として送出する際、ロータリーポンプP1,P2の稼働に伴うタンクT1,T2内の単位時間当たりの液面低下量からポンプP1,P2の回転数に対する液体吐出量を演算し、簡易体積流量として実際の流量に極めて近い流量を表示できると共に、該演算値に基づいてポンプP1,P2の稼働速度を制御するから、液体L1,L2の各々の送液量の設定に高い信頼性が得られ、もって両液体L1,L2の混合比率が厳密に維持されて性状及び品質的に安定した混合液を供給できる。しかも、この2液混合送出装置は、流量計が不要であるから、配管が簡素化され、それだけ設備コストが低減されると共に、故障も発生しにくいものとなる。
【0021】
一方、送液ラインの洗浄においては、ドレン4a,4bを開放してライン内に残る液体L1,L2を抜いた上で、開閉弁V3,V4を開放し、供給管路10a,10bより洗浄液を導入する。これによって、洗浄液が供給管路10a,10bと洗浄用管路13a,13bとに分流するから、タンクT1,T2内が上下両側から流入する洗浄液で効果的に清浄化される共に、ポンプP1,P2の駆動によって両タンクT1,T2内の洗浄液が導出管路11a,11b及び送出管路12を通して送出され、もってポンプP1,P2及び混合機Mの内部を含む導出側ラインも清浄化される。しかして、この洗浄の際、従来の送液システムにおけるような流量計内部の管路が存在しないから、配管の隅々まで洗浄液を行き渡り、洗い残しによる衛生面での問題を生じない。
【0022】
図4に示す第二実施形態の送液システムは、前記第一実施形態と同様に、タンクT1,T2の各々に貯留された2種の液体L1,L2を、それぞれロータリーポンプP1,P2を介して導出管路11a,11bより導出して合流させ、送出管路12に介在するラインミキサーからなる混合機Mを通して混合し、所定比率の混合液として送出するものである。しかるに、混合液の混合比を質量(重量)基準で設定するため、第一実施形態における液面センサーS1,S2を使用しない代わりに、両タンクT1,T2がロードセルの如き重量計W1,W2に各々搭載されている。
【0023】
すなわち、この送液システムでは、重量計W1,W2にて計測されるタンクT1,T2内の液体L1,L2の重量が設定重量MWより大きい間は供給管路10a,10bに介在する開閉弁V1,V2は閉止しているが、送液によって低下してゆく両液体L1,L2の重量の一方が該設定重量MWに達すると、重量計W1又はW2からの検出信号に基づくコントローラCからの指令で対応する送液系の開閉弁V1又はV2が開放し、供給管路10a又は10bより液体L1又はL2がタンク下部からタンクT1又はT2内へ、ポンプP1又はP2による送液量を大きく上回る供給速度で供給される。そして、供給される液体L1又はL2の重量が規定最大重量LWに達すれば、重量計W1又はW2の検出信号に基づくコントローラCからの指令で開閉弁V1又はV2が閉止して液体供給を停止する。
【0024】
しかして、コントローラCは、液体L1,L2のいずれについても、そのタンクT1,T2内の液体重量が規定最大重量LWに達して供給停止後、ロータリーポンプP1,P2
の稼働に伴って低下してゆく液体重量の時間当たりの減少量とポンプ回転数とから、当該ポンプP1,P2 の回転数に対する液体吐出重量を演算し、これを表示部Dに簡易質量流量として表示させると共に、この演算された液体吐出重量が設定吐出量に近づくように常時フィードバックして両ポンプP1,P2 の駆動速度を制御するようになされている。
【0025】
なお、図中では規定最大重量LW及び設定重量MWと規定最小重量SWを各々の液重量における液面位置として例示しているが、前記第一実施形態における設定レベルMLと同様に、設定重量MWは規定最大重量LWと規定最小重量SW間で任意(通常は中間位)に設定される。また、タンクT1,T2内の液体L1,L2の規定最大重量LWは、その液量における水頭圧が逆止弁CV1,CV2の背圧以下になるように設定する。
【0026】
図5に示す第三実施形態の送液システムは、前記第二実施形態と同様に、タンクT1,T2の各々に貯留された2種の液体L1,L2を、それぞれロータリーポンプP1,P2を介して導出管路11a,11bより導出して合流させ、送出管路12に介在するラインミキサーからなる混合機Mを通して混合し、質量(重量)基準での所定比率の混合液として送出するものであるが、第二実施形態における重量計W1,W2に代えて、両タンクT1,T2の内底部に圧力計PS1,PS2が各々設置されている。
【0027】
すなわち、この送液システムでは、圧力計PS1,PS2にて計測されるタンクT1,T2内の液体L1,L2の液圧(水頭圧)が設定液圧MPより大きい間は供給管路10a,10bに介在する開閉弁V1,V2は閉止しているが、送液によって低下してゆく両液体L1,L2の液圧の一方が該設定液圧MPに達すると、圧力計PS1,PS2からの検出信号に基づくコントローラCからの指令で対応する送液系の開閉弁V1又はV2が開放し、供給管路10a又は10bより液体L1又はL2がタンク下部からタンクT1又はT2内へ、ポンプP1又はP2による送液量を大きく上回る供給速度で供給される。そして、この供給によって増大するタンクT1,T2内の液圧が規定最高液圧HPに達すれば、圧力計W1又はW2の検出信号に基づくコントローラCからの指令で開閉弁V1又はV2が閉止して液体供給を停止する。
【0028】
しかして、コントローラCは、液体L1,L2のいずれについても、そのタンクT1,T2内の液圧が規定最高液圧HPに達して供給停止後、ロータリーポンプP1,P2 の稼働に伴って低下してゆく液圧の時間当たりの減少量とポンプ回転数とから、当該ポンプP1,P2 の回転数に対する液体吐出重量を演算し、これを表示部Dに簡易質量流量として表示させると共に、この演算された液体吐出重量が設定吐出量に近づくように常時フィードバックして両ポンプP1,P2 の駆動速度を制御するようになされている。
【0029】
なお、図中では規定最高液圧HP及び設定液圧MPと規定最低液圧LPを各々の液重量における液面位置として例示しているが、前記第一及び第二実施形態における設定レベルML及び設定重量MWと同様に、設定液圧MPは規定最高液圧HPと規定最低液圧LP間で任意(通常は中間位)に設定される。また、タンクT1,T2内の液体L1,L2の規定最高液圧LWは、逆止弁CV1,CV2の位置を基準にした水頭圧に換算して、該水頭圧が逆止弁CV1,CV2の背圧以下になるように設定する。
【0030】
前記の第二及び第三実施形態の送液システムでは、タンクT1,T2に貯留した2種の液体L1,L2を所定の重量比率の混合液として送出する際、質量流量計を用いることなく、簡易質量流量として実際の流量に極めて近い流量を表示できると共に、該簡易質量流量の演算値に基づいてポンプP1,P2の稼働速度を制御するから、液体L1,L2の各々の送液量の設定に高い信頼性が得られ、もって両液体L1,L2の混合比率が厳密に維持されて性状及び品質的に安定した混合液を供給できる。また、質量流量計を用いないから、配管が簡素化し、それだけ設備コストが低減されて故障も発生しにくくなり、洗浄においても前記第一実施形態と同様に洗い残しによる衛生面での問題を生じない。
【0031】
なお、上述した第一〜第三実施形態の送液システムでは、供給管路10a,10bからタンクT1,T2への液体L1,L2の供給・停止を開閉弁V1,V2で行うようにしているが、これら開閉弁V1,V2の代わりにポンプを用いる構成としてよい。また、液体L1,L2の粘度が高い場合、固定羽根を有する混合機Mに代えて、回転駆動型の攪拌羽根で強制攪拌を行うものを用いればよい。
【0032】
本発明の送液システムは、第一〜第三実施形態のような2液混合送出系の他、3液以上の混合送出系にも適用できると共に、単に一つのタンク内に貯留した液体をポンブを介して送出する系にも適用可能であるが、混合送出系では概して性状や品質面より混合比率を厳密に定める必要があるために特に適用効果が大きい。
【0033】
本発明の送液システムにおけるポンプとしては、実施形態で例示したロータリーポンプの他、遠心ポンプやピストンポンブも使用可能である。しかして、コントローラーにて演算する液体吐出量は、ロータリーポンプや遠心ポンプでは回転数を基準にするが、ピストンポンブでは往復度数が基準になる。ただし、ピストンポンブでは機構的にリークは僅少であり、逆に遠心ポンプはリークが非常に大きく元来より送液量調整に不向きであるため、本発明は特にロータリーポンプを使用する送液系に対する適用効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る第一実施形態の送液システムを示すブロック図である。
【図2】同送液システムを採用した2液混合送出装置の正面図である。
【図3】同2液混合送出装置の側面図である。
【図4】本発明に係る第二実施形態の送液システムを示すブロック図である。
【図5】本発明に係る第三実施形態の送液システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
C コントローラー
CV1,CV2 逆止弁
L1,L2 液体
M 混合機
P1,P2 ロータリーポンプ
PS1,PS2 圧力計
S1,S2 液面センサー
T1,T2 タンク
W1,W2 重量計


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る送液系において、液面センサーによってポンプ稼働に伴う該タンク内の液面低下量を計測し、その単位時間当たりの液面低下量からコントローラーによってポンプの回転数又は往復度数に対する液体吐出量を演算し、簡易体積流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプをコントローラーで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴とする送液システム。
【請求項2】
タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る送液系において、重量計によってポンプ稼働に伴うタンク重量の減少を計測し、その単位時間当たりの重量減少からコントローラーによってポンプの回転数又は往復度数に対する液体吐出重量を演算し、簡易質量流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプをコントローラーで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴とする送液システム。
【請求項3】
タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る送液系において、圧力計によってポンプ稼働に伴うタンク内の液圧の減少を計測し、その単位時間当たりの液圧減少からコントローラーによってポンプの回転数又は往復度数に対する液体吐出重量を演算し、簡易質量流量として表示すると共に、この演算値に基づいて該ポンプをコントローラーで設定送液量に対応した稼働速度に制御することを特徴とする送液システム。
【請求項4】
前記ポンプがロータリーポンプである請求項1〜3のいずれかに記載の送液システム。
【請求項5】
前記ポンプの下流側の送液流路に逆止弁を介装すると共に、前記タンク内の液体の水頭圧を該逆止弁の背圧以下に設定する請求項1〜4のいずれかに記載の送液システム。
【請求項6】
タンク内に貯留した液体をポンプを介して送る複数の前記送液系を有し、これら送液系から送られる異種の液体を混合器で混合して送出する請求項1〜5のいずれかに記載の送液システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−285726(P2006−285726A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105823(P2005−105823)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(390016551)株式会社ナカキン (8)
【Fターム(参考)】