説明

送電制御装置、送電装置、送電側装置および無接点電力伝送システム

【課題】1次コイルと2次コイルの自動的な位置合わせが可能となり、2次側機器のメーカ、大きさ、種類、機器デザイン等に依存せずに、常に両コイルの相対位置を自動的に適正化する。
【解決手段】送電制御装置は、受電装置への送電を制御する送電側制御回路と、1次コイルのXY平面上における位置を移動させるためのアクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御回路と、1次コイルのコイル端電圧またはコイル電流に基づいて、1次コイルと2次コイルの相対位置検出信号を生成する相対位置検出信号生成回路と、相対位置検出信号が示す前記1次コイルと2次コイルの相対位置が許容範囲になるように、アクチュエータ制御回路に指示して1次コイルのXY平面上における位置を移動させる1次コイル位置制御回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電制御装置、送電装置、送電側装置および無接点電力伝送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機や時計)の充電などが提案されている。
【0003】
1次コイルと2次コイルを用いた無接点電力伝送装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
また、無接点電力伝送システムにおいて、1次コイルと2次コイルとの位置ずれを検出する技術は、特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の技術では、受電装置の整流回路の出力電圧に基づいて、1次コイルと2次コイルの相対位置関係が正常であるか否かを検出し、正常である場合にその旨を発光ダイオードLEDの点灯により使用者に知らせる。位置関係が異常である場合にはLEDが点灯しない。この場合には、ユーザが手動で位置関係を調整する。
【特許文献1】特開2006−60909号公報
【特許文献2】特開2005−6460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無接点電力伝送システムにおいて、1次コイルと2次コイルとの位置合わせを正確に行うためには、例えば、受電装置を内蔵する2次側機器に専用の送電台(送電装置を内蔵する1次側電子機器)を使用するのがよい。但し、この場合は、2次側機器が異なれば、その都度、専用の送電台を用意する必要が生じて、送電台の汎用性を担保することができない。
【0006】
例えば、無接点電力伝送システムを利用して携帯端末のバッテリを充電する場合、例えば、同じ大きさの端末であっても、メーカが異なれば、外観の形状(デザイン)が異なり、かつ、2次コイルの設置位置も異なるのが普通であり、一台の送電台(充電台)で、異なるメーカの複数の携帯端末に対応することは困難である。
【0007】
また、種類の異なる端末(例えば、携帯電話端末とPDA端末)では、端末の大きさや形状(デザイン)が異なり、2次コイルの設置位置も異なる。よって、同様に、1台の送電台で、種類の異なる端末に対応することは困難である。
【0008】
また、専用の送電台を使用せずに、例えば、フラットな平面をもつ構造物(例えば机)の所定エリア上に携帯端末を載置するだけで充電が可能となれば、無接点電力伝送システムの利便性は格段に向上する。しかし、所定のエリア上の概略位置に置かれた携帯端末の2次コイルの正確な位置は、上記と同様の理由で特定することができない。よって、このような次世代の無接点電力伝送システムは、現状の技術では実現できない。
【0009】
特許文献2の技術では、1次コイルと2次コイルとの位置合わせが正確であるか否かをユーザに提示することはできるが、位置合わせは、結局のところ、ユーザの手動による調整に頼るしかない。
【0010】
本発明はこのような考察に基づいてなされたものである。本発明の少なくとも一つの実施形態では、1次コイルと2次コイルの自動的な位置合わせが可能となり、2次側機器のメーカ、大きさ、種類、機器デザイン等に依存せずに、常に両コイルの相対位置を自動的に適正化することができる。よって、汎用性が高い送電装置(1次側装置)が実現され、次世代の無接点電力伝送システムも実現される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の送電制御装置の一態様は、送電装置から受電装置に対して、電磁結合された1次コイルおよび2次コイルを経由して無接点で電力を伝送する無接点電力伝送システムにおける、前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、前記受電装置への送電を制御する送電側制御回路と、前記1次コイルのXY平面上における位置を移動させるためのアクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御回路と、前記1次コイルのコイル端電圧またはコイル電流に基づいて、前記1次コイルと前記2次コイルの相対位置検出信号を生成する相対位置検出信号生成回路と、前記相対位置検出信号が示す前記1次コイルと前記2次コイルの相対位置が許容範囲になるように、前記アクチュエータ制御回路に指示して前記1次コイルのXY平面上における位置を移動させる1次コイル位置制御回路と、を有する。
【0012】
送電制御装置は、送電側制御回路による送電制御機能に加えて、アクチュエータ制御回路によるアクチュエータ制御機能を有している。コイル端電圧またはコイル電流に基づいて相対位置検出信号生成回路が、1次コイルと受電側の2次コイルとの相対的位置関係を示す相対位置検出信号を生成する。アクチュエータ制御回路は、相対位置検出信号を指標として、1次コイルと2次コイルの相対的な位置関係が許容範囲になるように、アクチュエータを動作させて1次コイルのXY平面における位置を調整する。2次側機器が概略の位置に置かれたとしても、1次コイルが自動的に最適位置に移動するため、常に適正な送電が実現される。2次側機器の大きさ、形状、機器デザイン等に影響されず、常に適正な送電が実現されるため、無接点電力伝送システムの汎用性が格段に向上する。また、2次側機器の設計の自由度は何ら制限されないため、2次側機器のメーカの負担が生じない。
相対位置検出信号生成回路は、例えば、コイル端電圧のピーク値を所定のしきい値電圧と比較することによって得られる。このような回路は、無接点電力伝送システムにおいて、例えば、1次側と2次側の通信を可能とするために元々、備わっている回路(あるいは、元々の回路に若干の変更を施すだけで実現できる回路)である。特別な回路(位置検出素子等)を用いず、無接点電力伝送システムに備わっている回路構成を活用してコイル間の相対的な位置関係を検出するため、構成が複雑化せず、かつ実現が容易である。なお、一次コイル位置制御回路は、送電側制御回路(主として送電を制御する回路)内に設けることができ、また、アクチュエータ制御回路内に設けることもでき、あるいは、それらの回路とは別に設けることもできる。
【0013】
(2)本発明の送電制御装置の他の態様では、前記2次コイルは磁性体付きの2次コイルであり、前記1次コイル位置制御回路は、前記磁性体付きの2次コイルの接近によって、前記1次コイルのインダクタンスが増大し、前記1次コイルを所定周波数で駆動した場合のコイル端電圧もしくはコイル電流が減少して第1のしきい値に達すると、前記アクチュエータ制御回路に指示して、前記1次コイルのXY平面上における位置を所定の走査パターンに従って移動させる。
【0014】
1次コイルに対して磁性体付きの2次コイルが接近すると、1次コイルの磁束が2次コイルの磁性体中を通過するようになって磁束密度が増加し、これに伴い、1次コイルのインダクタンスが増加する。ここでいう「インダクタンス」は、磁性体付きの2次コイルの接近によって変動するインダクタンス(正確には、見かけ上のインダクタンス)である。「見かけ上のインダクタンス」という用語は、1次コイル単独のインダクタンス(2次コイルの接近の影響を受けないときのインダクタンス)と区別するために使用している。この見かけ上のインダクタンスの値は、例えば、2次コイルが接近したときの1次コイルのインダクタンスを計測器で実測することによって得られる。本明細書では、「見かけ上のインダクタンス」と明記した方がよい場合を除いて、見かけ上のインダクタンスのことを、単にインダクタンスと表記する。1次コイルのインダクタンスが増加すると、1次コイルを所定周波数で駆動した場合のコイル端電圧もしくはコイル電流が減少するため、この初期の変化を、第1のしきい値を用いて検出する(例えば、コイル端電圧のピーク値を第1のしきい値電圧と比較し、その出力レベルによって検出する)。第1のしきい値に達したということは、2次コイルが1次コイルの送電範囲付近まで接近してきたことを示す。そこで、両コイルの位置をさらに接近させるために、次に、アクチュエータを駆動して1次コイルを所定の走査パターンにしたがって走査するものである。
【0015】
(3)本発明の送電制御装置の他の態様では、前記1次コイル位置制御回路は、前記1次コイルの位置の移動によって、前記コイル端電圧もしくはコイル電流がさらに減少して第2のしきい値に達すると、前記1次コイルの移動を停止する。
【0016】
1次コイルの移動によって、1次コイルと2次コイルの相対的距離がさらに縮小されるにつれて、1次コイルのインダクタンスはさらに上昇し、コイル端電圧やコイル電流はさらに減少し、第2のしきい値に達したところで1次コイルの移動を停止する。第2のしきい値に達したということは、2次コイルが、1次コイルの送電許容範囲にまで接近したことを示すものであり、両コイルは送電に適した位置関係になったと判定できるからである。このようにして、特別な位置検出信号を用いずに、無接点電力伝送システムの本来的に備わる回路から得られる情報(コイル間の相対位置情報)を利用し1次コイル位置の調整を無理なく達成することができる。
【0017】
(4)本発明の送電制御装置の他の態様では、前記送電側制御回路は、前記2次コイルの接近を検出するために、所定周波数の駆動信号によって前記1次コイルを間欠的に駆動させると共に、前記1次コイルの走査の実行期間においては前記1次コイルを連続的に駆動する。
【0018】
これによって、2次側機器(2次コイル)の接近の検出ならびに1次コイル位置の調整を自動的に行うことができる。すなわち、送電制御装置は、2次側機器(2次コイル)の接近を検出するために、1次コイルを間欠的に(例えば、所定周期で)駆動する。1次コイルの駆動期間においては、上述のとおり、1次コイル端電圧(あるいはコイル電流)に基づいて2次コイルの接近を検出することができる。2次コイルの接近が検出されたときは、1次コイルの駆動を間欠駆動から連続駆動に切り換える。これによって、コイル端電圧(コイル電流)の連続的な監視が可能となる。そして、上述のとおり1次コイル位置を移動させ、コイル端電圧(電流)の変化を指標として許容位置を探索する。このように、本態様によれば、2次側機器(2次コイル)の接近の検出ならびに1次コイル位置の調整を自動的に行うことができる。位置検出素子等を別に設ける必要がなく、回路構成の簡素化が図れる。
【0019】
(5)本発明の送電装置は、本発明の送電制御装置と、前記1次コイルと、を有する。
【0020】
本発明によって、1次コイルと2次コイルの自動的な位置合わせが可能となり、2次側機器のメーカ、大きさ、種類、機器デザイン等に依存せずに、常に両コイルの相対位置を自動的に適正化することができる。よって、汎用性が高い送電装置が実現される。
【0021】
(6)本発明の送電側装置は、無接点電力伝送システムにおける送電側装置であって、本発明の送電装置と、前記アクチュエータ制御回路によって動作が制御されるアクチュエータと、前記アクチュエータによって駆動される、前記1次コイルを搭載したXYステージと、を有する。
【0022】
本態様の送電側装置は、送電装置と、アクチュエータと、このアクチュエータで駆動されるXYステージと、を含む無接点電力伝送用の1次側の構造体である。この送電側装置は、例えば、フラットな平面をもつ構造物(例えば机)に内蔵することができる。これによって、専用の送電台を使用せずに、例えば、フラットな平面をもつ構造物(例えば机)の所定エリア上に携帯端末等を載置するだけで充電等が可能となり、無接点電力伝送システムの利便性が格段に向上する。
【0023】
(7)本発明の無接点電力伝送システムは、本発明の送電側装置と、前記送電側装置の前記送電装置からの電力伝送を受ける、前記2次コイルを有する受電装置と、を有する。
【0024】
これによって、例えば、フラットな平面をもつ構造物(例えば机)の所定エリア上に携帯端末等を載置するだけで、自動的に一次コイルの位置調整がなされて充電等が可能となる、極めて汎用性および利便性の高い次世代の無接点電力伝送システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0026】
(第1の実施形態)
まず、本発明を利用した無接点電力伝送システムの利用例について説明する。
【0027】
(無接点電力伝送システムの利用例)
図1(A),図1(B)は、本発明を利用した無接点電力伝送システムの利用態様の一例を示す図である。図1(A)はシステム机の斜視図であり、図1(B)は図1(A)のシステム机のP−P’線に沿う断面図である。
【0028】
図1(B)に示すように、送電側装置(本発明の送電装置10、アクチュエータ(不図示)ならびにXYステージ702を備えた1次側構造体)704は、フラットな平面をもつ構造物(ここではシステム机)620に内蔵されている。
【0029】
すなわち、送電側装置704はシステム机620の内部に設けられた凹部に設置される。システム机620の上部には、平板(例えば、数ミリの厚さのアクリル板)600が設けられており、この平板600は、支持部材610によって支持されている。
【0030】
平板600の一部には、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なコンピュータ端末を含む)を載置するための携帯端末載置領域Z1が設けられている。
【0031】
図1(A)に示すように、平板600に設けられた携帯端末載置領域Z1は、他の部分と色が異なっており、携帯端末をセットする領域であることがユーザに一目でわかるようになっている。なお、携帯端末載置領域Z1の全体の色を変えるのではなく、その領域Z1と他の領域の境界部分の色を変えてもよい。
【0032】
携帯端末(2次側機器)510には、送電装置10からの電力伝送を受ける受電装置40(2次コイルを含む)が内蔵されている。
【0033】
システム机620に内蔵されている送電装置10は、携帯端末510が携帯端末載置領域Z1上の概略位置に置かれると、そのことを自動的に検出し、アクチュエータ(図1では不図示)を駆動してXYステージ(可動ステージ)を移動させて、1次コイル位置を、2次コイル位置に合うように自動的に調整する。この1次コイル位置の自動調整機能によって、携帯端末のメーカ、種類、大きさ、形状、デザイン等に関係なく、常に、1次コイルと2次コイルの位置を最適化して無接点電力伝送を行うことができる。
【0034】
(無接点電力伝送システムの構成と動作)
図2は、送電装置、受電装置を含む無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0035】
(送電装置の構成と動作)
【0036】
図示されるように、送電側装置(1次側構造体)は、XYステージ(可動ステージ)702と、このXYステージ702によってX軸方向およびY軸方向に移動可能に設けられた送電装置10と、アクチュエータドライバ710と、X方向アクチュエータ720と、Y方向アクチュエータ730と、を含む。具体的には、送電装置10はXYステージ702のトッププレート(可動板)上に載置される(この点については、図14を用いて後述する)。
【0037】
送電装置10は、送電制御装置20と、送電部12と、波形モニタ回路14と、を有する。また、送電制御装置20は、送電側制御回路22と、駆動クロック生成回路23と、発振回路24と、比較器25と、ドライバ制御回路26と、アクチュエータ制御回路27と、波形検出回路(ピークホールド回路またはパルス幅検出回路)28と、1次コイル位置制御回路31と、を有する。
【0038】
波形検出回路28および比較器25は、1次コイルL1と2次コイルL2との相対的な
位置関係(相対距離)を示す相対位置信号を生成する相対位置信号生成回路29として機能する。
【0039】
また、受電装置40には、受電部42と、負荷変調部46と、給電制御部48とが設けられている。また、本負荷90は、充電制御装置92とバッテリ(2次電池)94が含まれる。
【0040】
図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の電圧出力ノードNB6から負荷90に対して電力(電圧VOUT)を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0041】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、波形モニタ回路14、表示部16、送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部、波形モニタ回路)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0042】
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。
【0043】
図3(A)および図3(B)は、1次側機器と2次側機器との間の情報伝送の原理を説明するための図である。1次側から2次側への情報伝達には周波数変調が利用される。また、2次側から1次側への情報伝達には負荷変調が利用される。
【0044】
図3(A)に示されるように、例えば、データ「1」を送電装置10から受電装置40に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。
【0045】
また、図3(B)に示すように、受電装置40は、負荷変調によって低負荷状態/高負荷状態を切り換えることができ、これによって、「0」,「1」を1次側(送電装置10)に送信することができる。
【0046】
図2の送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(あるいはバッファ回路)であり、送電制御装置20のドライバ制御回路26により制御される。
【0047】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1に示すように、構造物(システム机)620の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、携帯電話機510を構造物620から物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0048】
1次コイルL1と2次コイルL2としては、例えば、絶縁された単線を同一平面内で渦巻き状に巻いた平面コイルを用いることができる。但し、単線を縒り線に代え、この縒り線(絶縁された複数の細い単線を縒り合わせたもの)を渦巻き状に巻いた平面コイルを用いてもよい。但し、コイルの種類は、特に限定されるものではない。
【0049】
波形モニタ回路14は、1次コイルL1の誘起電圧を検出する回路であり、例えば、抵抗RA1、RA2や、RA1とRA2の共通接続点NA3とGND(広義には低電位側電源)との間に設けられるダイオードDA1を含むことができる。具体的には、1次コイルの誘起電圧を抵抗RA1、RA2で分圧することによって得られた信号PHINが、送電制御装置20の波形検出回路28に入力される。
【0050】
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示装置)などにより実現される。
【0051】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、送電側制御回路22と、駆動クロック生成回路23と、発振回路24と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、比較器25と、1次コイル位置制御回路31と、アクチュエータ制御回路27と、を含む。
【0052】
送電側制御回路22は、送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。
【0053】
具体的には、送電側制御回路22は、電力伝送、負荷検出、周波数変調、異物検出、あるいは着脱検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0054】
発振回路24は、例えば、水晶発振回路により構成され、1次側のクロックを生成する。駆動クロック生成回路23は、発振回路24で生成されたクロックや送電側制御回路22からの周波数設定信号に基づいて、所望の周波数の駆動制御信号を生成する。
【0055】
ドライバ制御回路26は、例えば、送電部12に含まれる2つの送電ドライバ(不図示)が同時オンしないように調整しつつ、駆動制御信号を送電部12の送電ドライバ(不図示)に出力し、その送電ドライバの動作を制御する。
【0056】
波形検出回路28は、1次コイルL1の一端の誘起電圧に相当する信号PHINの波形をモニタし、負荷検出、異物検出等を行う。例えば、受電装置40の負荷変調部46が、送電装置10に対してデータを送信するための負荷変調を行うと、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形が、それに対応して変化する。
【0057】
具体的には、図3(B)に示すように、データ「0」を送信するために、受電装置40の負荷変調部46が負荷を低くすると、信号波形の振幅(ピーク電圧)が小さくなり、データ「1」を送信するために負荷を高くすると、信号波形の振幅が大きくなる。したがって、波形検出回路28は、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40からのデータが「0」なのか「1」なのかを判断できる。なお、波形検出の手法は、上述の手法に限定されない。例えば、受電側の負荷が高くなったか低くなったかを、ピーク電圧以外の物理量を用いて判断してもよい。例えば、ピーク電流を用いて判断することもできる。
【0058】
また、波形検出回路28としては、ピークホールド回路(あるいは、電圧と電流の位相差で決まるパルス幅を検出するパルス幅検出回路)を用いることができる。波形検出回路28の出力信号のレベルを、比較器25によって所定のしきい値と比較することによって、1次コイルL1と2次コイルL2との相対的位置関係を示す相対位置信号PEが得られる(この点は、図4を参照して後述する)。
【0059】
(受電装置の構成と動作)
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0060】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4を含む。ダイオードDB1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と直流電圧VDCの生成ノードNB3との間に設けられ、DB2は、ノードNB3と2次コイルL2の他端のノードNB2との間に設けられ、DB3は、ノードNB2とVSSのノードNB4との間に設けられ、DB4は、ノードNB4とNB1との間に設けられる。
【0061】
受電部42の抵抗RB1、RB2はノードNB1とNB4との間に設けられる。そしてノードNB1、NB4間の電圧を抵抗RB1、RB2により分圧することで得られた信号CCMPIが、受電制御装置50の周波数検出回路60に入力される。
【0062】
受電部42のコンデンサCB1及び抵抗RB4、RB5は、直流電圧VDCのノードNB3とVSSのノードNB4との間に設けられる。そしてノードNB3、NB4間の電圧を抵抗RB4、RB5により分圧して得られる分圧電圧VD4は、信号線LP2を経由して、受電側制御回路52および位置検出回路56に入力される。位置検出回路56に関しては、その分圧電圧VD4が、位置検出のための信号入力(ADIN)となる。
【0063】
負荷変調部46は、負荷変調処理を行う。具体的には、受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させ、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。
【0064】
このトランジスタTB3は、受電制御装置50の受電側制御回路52から信号線LP3を経由して与えられる制御信号P3Qによりオン・オフ制御される。本送電が開始される前の認証ステージにおいて、トランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行って送電装置に信号を送信する際には、給電制御部48のトランジスタTB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
【0065】
例えば、データ「0」を送信するために2次側を低負荷(インピーダンス大)にする場合には、信号P3QがLレベルになってトランジスタTB3がオフになる。これにより負荷変調部46の負荷はほぼ無限大(無負荷)になる。一方、データ「1」を送信するために2次側を高負荷(インピーダンス小)にする場合には、信号P3QがHレベルになってトランジスタTB3がオンになる。これにより負荷変調部46の負荷は、抵抗RB3(高負荷)になる。
【0066】
給電制御部48は、負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ(LDO)49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0067】
また、レギュレータ(LDO)49の入力端と出力端との間には、PMOSトランジスタ(M1)からなるスイッチ回路が設けられている。このスイッチ回路としてのPMOSトランジスタ(M1)をオンすることによって、レギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。例えば、高負荷時(例えば、消耗が激しい2次電池の充電の初期においては、ほぼ一定の大電流を定常的に流すことが必要となり、このようなときが高負荷時に該当する)においては、レギュレータ49自体の等価インピーダンスによって電力ロスが増大し、発熱も増大することから、レギュレータを迂回して、バイパス経路を経由して電流を負荷に供給するようにする。
【0068】
スイッチ回路としてのPMOSトランジスタ(M1)のオン/オフを制御するために、パイパス制御回路として機能するNMOSトランジスタ(M2)およびプルアップ抵抗R8が設けられている。
【0069】
受電側制御回路52から、信号線LP4を介して、ハイレベルの制御信号がNMOSトランジスタ(M2)のゲートに与えられると、NMOSトランジスタ(M2)がオンする。すると、PMOSトランジスタ(M1)のゲートがローレベルになり、PMOSトランジスタ(M1)がオンしてレギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。一方、NMOSトランジスタ(M2)がオフ状態のときは、PMOSトランジスタ(M1)のゲートは、プルアップ抵抗R8を介してハイレベルに維持されるため、PMOSトランジスタ(M1)はオフし、バイパス経路は形成されない。
【0070】
NMOSトランジスタ(M2)のオン/オフは、受電制御装置50に含まれる受電制御回路52によって制御される。
【0071】
また、トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ)は、電源電圧VD5の生成ノードNB5(レギュレター49の出力ノード)とノードNB6(受電装置40の電圧出力ノード)との間に設けられ、受電制御装置50の制御回路52からの信号P1Qにより制御される。具体的には、トランジスタTB2は、ID認証が完了(確立)して通常の電力伝送(すなわち、本送電)を行う場合にはオン状態となる。
【0072】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧VD5により動作することができる。また、受電制御装置50は、制御回路52(受電側)、位置検出回路56、発振回路58、周波数検出回路60、満充電検出回路62を含むことができる。
【0073】
受電側制御回路52は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。この受電側制御回路52は、シリーズレギュレータ(LDO)49の出力端の定電圧(VD5)を電源として動作する。この電源電圧(VD5)は、電源供給線LP1を経由して、受電側制御回路52に与えられる。
【0074】
この受電側制御回路52は、具体的には、ID認証、位置検出、周波数検出、満充電検出、認証用の通信のための負荷変調、異物挿入検出を可能とするための通信のための負荷変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0075】
位置検出回路56は、2次コイルL2の誘起電圧の波形に相当する信号ADINの波形を監視して、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。
【0076】
具体的には、信号ADINをコンパレータで2値に変換して、位置関係が適正であるか否かを判断する。
【0077】
発振回路58は、例えばCR発振回路により構成され、2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出して、送電装置10からの送信データが「1」なのか「0」なのかを判断する。
【0078】
満充電検出回路62(充電検出回路)は、負荷90のバッテリ94が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する回路である。具体的には満充電検出回路62は、例えば、充電状態の表示に使用されるLEDRのオン・オフを検出することによって、満充電状態を検出する。すなわち、所定時間(例えば5秒)連続でLEDRが消灯した場合に、バッテリ94が満充電状態(充電完了)であると判断する。
【0079】
また、負荷90内の充電制御装置92も、LEDRの点灯状態に基づいて満充電状態を検出することができる。
【0080】
また、負荷90は、バッテリ94の充電制御等を行う充電制御装置92を含む。充電制御装置92は、発光装置(LEDR)の点灯状態に基づいて満充電状態を検出することができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリのように、バッテリ94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。なお、本負荷90は、2次電池に限定されるものではない。例えば、所定の回路が動作することによって、その回路が本負荷となる場合もあり得る。
【0081】
(2次側機器の接近検出および両コイルの位置合わせについて)
図4は、2次側機器の接近検出および両コイルの自動的な位置合わせについて説明するための図である。図4では、図2に示される送電装置10の内部構成が、より具体的に示されている。
【0082】
図4では、1次コイル位置制御回路31は、送電側制御回路22内に設けられている。波形検出回路28は、ここではピークホールド回路とする。波形検出回路28からは、コイル端電圧のピーク電圧Vpが出力される。
【0083】
また、比較器25は、第1のコンパレータCP1と、第2のコンパレータCP2とを有し、第1のコンパレータCP1は、コイル端のピーク電圧Vpを第1のしきい値電圧Vth1と比較し、その結果に応じて、第1の相対位置信号PE1を生成する。同様に、第2のコンパレータCP2は、コイル端のピーク電圧Vpを第2のしきい値電圧Vth2と比較し、その結果に応じて、第2の相対位置信号PE2を生成する。
【0084】
1次コイル位置制御回路31は、相対位置信号(PE1,PE2)に基づいて、2次側機器(2次コイルL2)の接近を検出し、かつ、その相対位置信号(PE1,PE2)を指標として1次コイルL1の位置をXY平面上で移動させ、コイル間の自動位置合わせを実行する。
【0085】
(コイル間の相対位置を検出する原理)
以下、コイル間の相対位置を検出する原理について、図5〜図11を用いて説明する。
【0086】
図5(A)〜図5(F)は、1次コイルに2次コイルの磁性体が接近した場合のインダクタンスの増加について説明するための図である。上述のとおり、ここでいう「インダクタンス」は、磁性体付きの2次コイルの接近によって変動するインダクタンス(正確には、見かけ上のインダクタンス)である。「見かけ上のインダクタンス」という用語は、1次コイル単独のインダクタンス(2次コイルの接近の影響を受けないときのインダクタンス)と区別するために使用している。以下の説明では、Lpsと表記されるインダクタンスが、見かけ上のインダクタンスである。
【0087】
図5(A)に示すように、2次コイルL2には、磁性体(FS)が付属している。図5(B)に示すように、この磁性体(FS)は、例えば、平面コイルである2次コイルL2と回路基板3100間に存在する磁気シールド材としての磁性体である(これに限定されるものではなく、2次コイルL2のコアとしての磁性体であってもよい)。
【0088】
図5(C)に示される1次コイルL1単独の等価回路は、図5(D)に示されるようになり、その共振周波数は図示されるようにfpとなる。すなわち、共振周波数は、L1とC1によって決定される。ここで、図5(E)に示すように、2次コイルL2が接近すると、2次コイルL1に付属している磁性体(FS)が1次コイルL1と結合し、図5(F)に示すように、1次コイル(L1)の磁束が磁性体(FS)を通過することになり、磁束密度が増加する。これによって、1次コイルのインダクタンスは上昇する。このときの1次コイルL1の共振周波数は、図示されるようにfscとなる。すなわち、共振周波数は、Lps(2次コイルの接近による影響を考慮した1次コイルの見かけ上のインダクタンス)と1次側のコンデンサC1に依存する。すなわち、1次コイルの見かけ上のインダクタンスLpsは、次のように表すことができる。Lps=L1+ΔL。この式において、L1は、1次コイル単独のインダクタンスであり、ΔLは、1次コイルに磁性体FSが接近したことに起因するインダクタンスの上昇分である。Lpsの具体的な値は、2次コイルが接近したときの1次コイルのインダクタンスを、例えば、計測器で実測することによって取得することができる。
【0089】
次に、両コイルの接近によって、1次コイルのインダクタンスがどのように変化するかについて考察する。
【0090】
図6(A)〜図6(D)は、1次コイルと2次コイルの相対的な位置関係の例を示す図である。図中、PA1は、1次コイルL1の中心点を示し、PA2は、2次コイルL2の中心点を示す。
【0091】
図6(A)では、両コイルの位置が遠いため相互の影響はないが、図6(B)のように2次コイル(L2)が1次コイル(L1)に接近すると、図5で説明したように1次コイルのインダクタンスが増大しはじめる。図6(C)では、自己誘導に加えて、両コイルが結合して相互誘導(一方のコイルの磁束を他方のコイルの磁束によって相殺しようとする作用)が働き、そして、図6(D)に示すように、両コイルの位置が完全に一致すると、2次コイル(L2)側に電流が流れるため、相互誘導による磁束の相殺によって洩れ磁束は減少し、コイルのインダクタンスは減少する。すなわち、位置合わせが行われたことによって2次側機器が動作を開始し、その2次側機器の動作開始に伴って2次コイル(L2)に電流が流れ、これによって相互誘導による磁束の相殺が生じ、洩れ磁束が減少して1次コイル(L1)のインダクタンスが減少する。
【0092】
図7は、1次コイルと2次コイルの相対距離と、1次コイルのインダクタンスの関係を示す図である。図7において、横軸が相対距離であり、縦軸がインダクタンスである。ここで、「相対距離」とは、「2つのコイルの中心の横方向のずれ量を規格化した相対値」である。なお、相対距離は、両コイルが横方向にどれだけずれているかを示す指標の一つであり、相対距離の代わりに、絶対距離(例えば、両コイルの中心がどれだけずれているかを、ミリメートルで示した絶対値)を使用してもよい。図7において、相対距離がd1のときは、2次コイルの影響がなく、1次コイルL1のインダクタンスは、1次コイル単独のインダクタンス“a”である。2次コイルL2が接近してくると(相対距離d2)、磁性体の影響で磁束密度が増大するためインダクタンス“b”まで上昇する。
【0093】
さらに2次コイルL2が接近すると(相対距離d3)、インダクタンスは“c”まで上昇する。さらに2次コイルが接近すると(相対距離d4)、インダクタンスは“d”まで上昇する。この状態となるコイル間の結合が生じ、以後は、相互インダクタンスの影響が支配的となる。
【0094】
すなわち、相対距離d5では、相互誘導の影響が支配的になるためにインダクタンスは低下して“e”となる。相対距離0(1次コイルと2次コイルの各中心が、XY平面の中心に位置する場合)では、磁束の相殺によって洩れ磁束が最小となり、インダクタンスは一定値(図7の「中心のインダクタンス」)に収束する。
【0095】
ここで、相対距離“d2”が送電限界範囲を示し、また、相対距離が“d3”と“d4”で規定される範囲に収まっていれば所望の送電が可能であるとする(つまり、d3とd4で規定される範囲が位置許容範囲LQとする)。この場合、インダクタンスしきい値(INth1)を用いれば、2次コイル(L2)が相対距離d2まで接近したことを検出することができる。同様に、インダクタンスしきい値(INth2)を用いれば、2次コイル(L2)が、相対距離d2とd4で規定される相対距離内にあるか否かを検出することができる。すなわち、インダクタンスの増大に起因する1次コイルのインダクタンスの上昇の程度を調べることによって、1次コイルと2次コイルの相対距離が、位置許容範囲(LQ)内にあるか否かを判定することができる(この場合、相対距離がより小さい範囲での判定はできないが、送電の位置合わせの指標としては、このレベルの判定であれば十分に実用に耐える)。
【0096】
例えば、2次コイル(L2)の接近によってインダクタンス値が上昇したことを第1のインダクタンスしきい値(INth1)を用いて検出したとすれば、それは、2次コイルL2が送電可能範囲付近にまで接近してきたことを示している。
【0097】
そこで、次に、1次コイルを所定の走査パターンに従って移動(スキャン)させる。これによって、1次コイル(L1)と2次コイル(L2)の相対距離がさらに縮小されれば、インダクタンスはさらに上昇し、やがて、図7のc点まで達する。このことが、第2のインダクタンスしきい値(INth2)によって検出されると、1次コイルの移動(スキャン)を停止する。使用するXYステージの制動の精度にもよるが、これによって、1次コイル(L1)と2次コイル(L2)の相対距離は、ほぼd3〜d5の範囲(位置許容範囲LQ)に収まることになる。
【0098】
実際には、上述のインダクタンスしきい値(INth1,INth2)に対応する電圧しきい値(Vth1,Vth2)を用いて、両コイルの相対位置関係を判定する。以下、具体的に説明する。
【0099】
図8は、インダクタンスの増大によって、1次コイルを含む共振回路の共振周波数の変化を示す図である。2次コイルL2に付属する磁性体(FS)の接近によって1次コイルのインダクタンスが増大すると、図8に示すように、1次コイルを含む共振回路の共振特性はQ1からQ2に変化する。ここで、1次コイルの駆動周波数をfdとすれば、1次コイルL1のインダクタンス値の増大に伴う共振特性のシフトに起因して、コイル端電圧(もしくは電流)がΔAだけ低下することになる。このΔAの変化に着目することによって、コイル端電圧(もしくは電流)に基づく両コイルの相対位置の判定が可能となる。
【0100】
図9(A)〜図9(C)は1次コイルと2次コイルの相対位置の変化例を示す図である。図10は、1次コイルと2次コイルの位置関係を自動的に調整する方法を説明するための図である。
【0101】
送電制御装置20(図2参照)は、図10の期間T1,期間T2に示すように、所定周期で間欠的に1次コイルL1を、周波数fdで駆動する。そして、図9に示されるようにコイル端電圧Vf(あるいはコイル電流)を観測する。図9(A)のように2次コイルL2がないときは、図10の期間T1,T2に示すように、コイル端電圧(交流)の振幅
Vfは、vth1を下回ることはない。
【0102】
図10の時刻t4における駆動では、コイル端電圧Vfは、第1の電圧しきい値Vth1を下回る。これによって、送電制御装置20は、2次コイルL2の接近を検出することができる。この場合、送電制御装置20は、続いて1次コイル(L1)のスキャンを行いながらコイル端電圧Vfの変化を連続的に監視し、両コイルの相対位置のサーチを行う必要がある。よって、送電制御装置20は、時刻t4以降、間欠送電を連続送電に切り換える。この連続送電は、1次コイルL1の移動(スキャン)期間T3は継続される。
【0103】
1次コイルL1の移動によって、2次コイルとの距離が縮小され、位置許容範囲LQ(図7参照)内になったときは、コイル端電圧Vfは、第2の電圧しきい値Vth2を下回る。これによって、1次コイルL1の移動(スキャン)が停止されると共に、1次コイルL1の連続駆動も停止される。このようにして、2次コイルL2(磁性体FS)の接近検出ならびに1次コイルL1の位置調整が自動的になされる。
【0104】
より具体的には、図11(A),図11(B)に示されるような動作が行われる。図11(A),図11(B)は、1次コイルと2次コイルの位置関係を自動的に調整するための具体的な回路動作を示す図である。図11(A)に示すように、コイル端電圧Vfが波形モニタ回路14内の抵抗RA1,RA2によって分圧され、ピークホールド回路28によってピーク電圧Vpが検出され、そのピーク電圧Vpが、比較器25内の第1および第2のコンパレータCP1,CP2によって、第1および第2の電圧しきい値(Vth1,Vth2)と比較される。
【0105】
1次コイル位置制御回路31は、第1のコンパレータCP1の出力信号(相対位置信号)PE1がハイレベルからローレベルに変化すると(図11(B)の時刻t10)、アクチュエータ制御回路27に指示して1次コイル(L1)の移動を開始させ、かつ、上述のとおり、間欠駆動を連続駆動に切り換える。
【0106】
その後、第2のコンパレータCP2の出力信号(相対位置信号)PE2がハイレベルからローレベルに変化すると(図11(B)の時刻t11)、アクチュエータ制御回路27に指示して1次コイル(L1)の移動を停止させると共に、1次コイルの駆動を停止させる。
【0107】
図12(A),図12(B)は、1次コイルの移動(スキャン)について説明するための図である。図12(A)に示すように、送電装置(送電モジュール)10は、1次コイルL1を備える。1次コイルL1の位置を移動させるときは、アクチュエータを用いて、下地のXYステージ702をX方向またはY方向に移動させる。なお、図12(A)において、PA1は、1次コイルL1の中心を示す。
図12(B)に示すように、1次コイルL1の位置調整のための走査は、例えば、螺旋状のパターンで行われる。螺旋状スキャンによれば、1次コイル位置を、高精度に広範囲にわたって移動させることができる(但し、これに限定されるものではない)。
【0108】
以上説明した、1次コイルの自動的な位置調整の手順を示すと、図13のようになる。図13は、1次コイルの自動的な位置調整の手順を示すフロー図である。
【0109】
図示されるように、2次コイルの接近を検出するために、1次コイルの間欠的な駆動(周波数fd)を行い(ステップS1)、Vth1を用いた判定によって2次コイル接近が検出されると(ステップS2)、連続駆動に切り換えると共に螺旋状スキャンを開始する(ステップS3)。
【0110】
続いて、Vth2による判定によって両コイルの相対位置が許容範囲内であると判定されると(ステップS4)、連続駆動を停止すると共に螺旋状スキャンを停止する(ステップS5)。
【0111】
(XYステージの構成例と動作)
次に、XYステージの構成例と動作について説明する。図14は、XYステージの基本構成を示す斜視図である。
【0112】
図示されるように、XYステージ702は、一対のガイドレール100と、X軸スライダ200と、Y軸スライダ300と、を有する。これらに使用する材料は、例えば、アルミニウム、鉄、グラナイト(御影石)、セラミックス等である。
【0113】
一対のガイドレール100は互いに対向するガイド溝110を持ち、X軸方向に延在して平行に設けられる。一対のガイドレール100は図示しない定盤に固定される。
【0114】
一対のガイドレール100の間にX軸スライダ200が係合される。X軸スライダ200は矩形平板状をしており、その両端部がそれぞれ対向するガイド溝110に嵌め込まれて係合され、ガイド溝110に沿ってX軸方向の移動は許容されるが、Y軸方向の動きは規制されるようになっている。したがってX軸スライダ200は一対のガイドレール100に沿ってX軸方向に往復運動できる。
【0115】
なお、ガイドレール100に設けたガイド溝110をX軸スライダ200側に設け、ガイドレール100側にX軸スライダ200に設けたガイド溝に嵌まる凸条を設けるようにしてもよい。ガイドレール100とX軸スライダ200との係合部は、3つの面で支持されていればよく、ガイド溝の形状は問わない。
【0116】
X軸スライダ200を囲むようにY軸スライダ300が装着されている。Y軸スライダ300は、矩形平板状のX軸スライダ200の断面形状に合致するように、断面略コ字型をしている。その略コ字型をしたY軸スライダ300の開口部が内側に折り返されている。なお、Y軸スライダ300は上部が開口していてもよく、さらには全く開口していない断面略ロ字型をしたものでもよい。
【0117】
これによりガイド溝110に係合するX軸スライダ200の幅方向の両端部は、Y軸スライダ300によって上面、側面、下面の3面が支持される。そしてY軸スライダ300はX軸スライダ200に装着されることにより、X軸スライダ200に対してX軸方向の動きが規制されて、X軸スライダ200がX軸方向に移動するとそれに伴ってX軸方向に移動する。また、X軸スライダ200に対してY軸方向の動きが許容されて、X軸スライダ200に対してY軸方向に移動できるようになっている。X軸スライダ200はスライドするだけでなく、X軸スライダ200に対してY軸スライダ300をY軸方向に移動させるガイドも兼ねている。また、Y軸スライダ300の上部が、XY軸運動をさせる対象を載せるトッププレート(可動主面)となる。
【0118】
図示されるように、トッププートとしてのY軸スライダ300の主面には、1次コイル(円形の巻線コイル)L1と、IC化された送電制御装置20と、を含む送電装置10が搭載されている。
【0119】
また、図14のXYステージ702では、駆動源として、高精度なリニアモータを使用している。なおリニアモータに代えてボールネジ機構としてもよい。
【0120】
X軸スライダ200を移動させるX軸リニアモータ600は一対のガイドレール100間に設けてある。ロッド状の固定子610に装着されたX軸リニアモータ600の可動子620をX軸スライダ200の下部に固着することで、X軸スライダ200を往復動自在としている。
【0121】
また、Y軸スライダ300は、Y軸リニアモータ700によって往復駆動される。X軸スライダ200に凹部210が設けられ、その凹部210に、Y軸リニアモータ700が収納されている。これによって、ステージ高を抑えることができる。
【0122】
X軸リニアモータ600およびY軸リニアモータ700は各々、図2に示されるX方向アクチュエータ720およびY方向アクチュエータ730に相当する。
【0123】
このようなXYステージ702に、1次コイル(円形の巻線コイル)L1およびIC化された送電制御装置20を含む送電装置10が搭載されることによって、送電側装置(無接点電力伝送システムの送電機構)704が構成される。
【0124】
そして、図1(B)に示したように、送電側装置704は、プレーンな平面をもつ構造物(例えば、机等)の内部に埋め込まれる。これによって、概略な位置に置かれた2次側機器(携帯端末等)の2次コイル位置に対応するように、1次コイルのXY平面における位置を自動的に移動させることが可能な、次世代の無接点電力伝送システムに対応した送電側装置704が実現される。
【0125】
上述のとおり、本発明の送電制御装置20は、間欠的に1次コイルを駆動し、1次コンダクタンスの上昇によるコイル端電圧(電流)の減少が生じているか否かを常に監視する。そして、2次側機器の接近(2次側機器が所定エリアZ1内に載置されたこと)が検出されれば、1次コイル位置制御回路31による1次コイル位置の自動調整がなされる。したがって、2次側機器の接近検出ならびに1次コイルの位置調整が自動的に行われることになり、ユーザの手間は一切、生じない。
【0126】
以上、本発明を、実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々、変形、応用が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲において多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。
【0127】
従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(低電位側電源、電子機器等)と共に記載された用語(GND、携帯電話機・充電器等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態および変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
【0128】
また、送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成ならびに動作や、1次側における2次側の負荷検出の手法も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0129】
本発明の少なくとも一つの実施態様によれば、例えば、以下の効果が得られる。但し、以下の効果は同時に得られるとは限らず、以下の効果の列挙が本発明を不当に限定する根拠として用いられてはならない。
(1)2次側機器が概略の位置に置かれたとしても、1次コイルが自動的に最適位置に移動するため、常に適正な送電が実現される。
(2)2次側機器の大きさ、形状、機器デザイン等に影響されず、常に適正な送電が実現されるため、無接点電力伝送システムの汎用性が格段に向上する。
(3)2次側機器の設計の自由度は何ら制限されないため、2次側機器のメーカの負担が生じない。
(4)特別な回路(位置検出素子等)を用いず、無接点電力伝送システムに備わっている回路構成を活用してコイル間の相対的な位置関係を検出するため、構成が複雑化せず、かつ実現が容易である。
(5)例えば、フラットな平面をもつ構造物(例えば机)の所定エリア上に携帯端末等を載置するだけで、自動的に一次コイルの位置調整がなされて充電等が可能となる、極めて汎用性および利便性の高い次世代の無接点電力伝送システムを実現することができる。
【0130】
本発明は、汎用性および利便性が格段に向上した次世代の無接点電力伝送システムを提供するという効果を奏し、したがって、特に、送電制御装置(送電制御IC)、送電装置(ICモジュール等)、送電側装置(送電装置、アクチュエータならびにXYステージを備えた1次側構造体)、無接点電力伝送システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】図1(A),図1(B)は、本発明を利用した無接点電力伝送システムの利用態様の一例を示す図
【図2】送電装置、受電装置を含む無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図
【図3】図3(A)および図3(B)は、1次側機器と2次側機器との間の情報伝送の原理を説明するための図
【図4】2次側機器の接近検出および両コイルの自動的な位置合わせについて説明するための図
【図5】図5(A)〜図5(F)は、1次コイルに2次コイルの磁性体が接近した場合のインダクタンスの増加について説明するための図
【図6】図6(A)〜図6(D)は、1次コイルと2次コイルの相対的な位置関係の例を示す図
【図7】1次コイルと2次コイルの相対距離と、1次コイルのインダクタンスの関係を示す図
【図8】インダクタンスの増大によって、1次コイルを含む共振回路の共振周波数の変化を示す図
【図9】図9(A)〜図9(C)は1次コイルと2次コイルの相対位置の変化例を示す図
【図10】1次コイルと2次コイルの位置関係を自動的に調整する方法を説明するための図
【図11】図11(A),図11(B)は、1次コイルと2次コイルの位置関係を自動的に調整するための具体的な回路動作を示す図
【図12】図12(A),図12(B)は、1次コイルの移動(スキャン)について説明するための図
【図13】図13は、1次コイルの自動的な位置調整の手順を示すフロー図
【図14】XYステージの基本構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0132】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、10 送電装置、12 送電部、
14 波形モニタ回路、16 表示部、20 送電制御装置、22 送電側制御回路、
23 駆動クロック生成回路、24 発振回路、25 比較器、
26 ドライバ制御回路、27 アクチュエータ制御回路、28 波形検出回路、
29 相対位置信号生成回路、31 1次コイル位置制御回路、40 受電装置、
42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、48 給電制御部、
50 受電制御装置、52 受電側制御回路、56 位置検出回路、58 発振回路、
60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、90 2次側機器の負荷、
92 充電制御装置、94 バッテリ(2次電池)、
702 XYテーブル 704 送電側装置(1次側構造体)、
710 アクチュエータドライバ、720 X方向アクチュエータ、
730 Y方向アクチュエータ、PE(PE1,PE2) 相対位置信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から受電装置に対して、電磁結合された1次コイルおよび2次コイルを経由して無接点で電力を伝送する無接点電力伝送システムにおける、前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、
前記受電装置への送電を制御する送電側制御回路と、
前記1次コイルのXY平面上における位置を移動させるためのアクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御回路と、
前記1次コイルのコイル端電圧またはコイル電流に基づいて、前記1次コイルと前記2次コイルの相対位置検出信号を生成する相対位置検出信号生成回路と、
前記相対位置検出信号が示す前記1次コイルと前記2次コイルの相対位置が許容範囲になるように、前記アクチュエータ制御回路に指示して前記1次コイルのXY平面上における位置を移動させる1次コイル位置制御回路と、
を有することを特徴とする送電制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の送電制御装置であって、
前記2次コイルは磁性体付きの2次コイルであり、
前記1次コイル位置制御回路は、
前記磁性体付きの2次コイルの接近によって、前記1次コイルのインダクタンスが増大し、前記1次コイルを所定周波数で駆動した場合のコイル端電圧もしくはコイル電流が減少して第1のしきい値に達すると、前記アクチュエータ制御回路に指示して、前記1次コイルのXY平面上における位置を所定の走査パターンに従って移動させる、
ことを特徴とする送電制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の送電制御装置であって、
前記1次コイル位置制御回路は、
前記1次コイルの位置の移動によって、前記コイル端電圧もしくはコイル電流がさらに減少して第2のしきい値に達すると、前記1次コイルの移動を停止する、
ことを特徴とする送電制御装置。
【請求項4】
請求項2記載の送電制御装置であって、
前記送電側制御回路は、
前記2次コイルの接近を検出するために、所定周波数の駆動信号によって前記1次コイルを間欠的に駆動させると共に、前記1次コイルの走査の実行期間においては前記1次コイルを連続的に駆動する、
ことを特徴とする送電制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか記載の送電制御装置と、
前記1次コイルと、
を有することを特徴とする送電装置。
【請求項6】
無接点電力伝送システムにおける送電側装置であって、
請求項5記載の送電装置と、
前記アクチュエータ制御回路によって動作が制御されるアクチュエータと、
前記アクチュエータによって駆動される、前記1次コイルを搭載したXYステージと、
を有することを特徴とする送電側装置。
【請求項7】
請求項6記載の送電側装置と、
前記送電側装置の前記送電装置からの電力伝送を受ける、前記2次コイルを有する受電装置と、
を有することを特徴とする無接点電力伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−81943(P2009−81943A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249375(P2007−249375)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】