説明

送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ

【課題】
送風機の風量制御(速度コントロール)ができず、また、インバータ制御機器の場所をとり、さらに、インバータの冷却効率が悪いという問題があった。
【解決手段】
モータ本体と、冷却ファンと、ファンカバーとからなり、モータフレームの外周にはインバータが収納されているアルミ製端子箱と蓋が取り付けられている。そして、端子箱と端子箱蓋とには冷却フィンが設けられており、このフィン及びインバータをモータに取り付けた冷却ファンで冷却することにより大幅に冷却効果が高まり課題を解決している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機用可変速インダクションモータとインバータとを一体化して小型化を図る技術と、インバータ等の冷却効率向上による電子部品の長寿命化を図る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術を公知特許に基づいて説明する。特許文献1は渦流送風機の発生騒音低減に関する発明であり、これに使用する電動機は2極の誘導電動機(インダクションモータ)を使用していることが段落0010と段落0011に記載されている。そして、この誘導電動機の出力軸には羽根車が取り付けられている。(特許文献1参照)
【0003】
誘導電動機は商用電源で運転されているのでファンの回転数は一定であるため、このファンの回転により発生する風圧が一定になる。そして、誘導電動機は商用電源を用いているので、回転数はこの商用電源の周波数と電動機の巻線数により決まってしまうが、風量変化を必要としない送風機の場合は回転速度が一定であっても実用するうえで特に問題はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−107454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で説明した標準的な誘導電動機(インダクションモータ)は、送風機の風量制御(速度コントロール)を行うことができず、使用状況により送風機の風量制御が必要な機器には使用することができないという問題があった。
【0006】
そこで、送風機の風量を調整することが必要な場合は、インバータ制御によってモータの回転速度の制御を行い、風量制御を行っている。
【0007】
そして、可変速インダクションモータを設置する場合には、従来は図2(本願の図)に示すように可変速インダクションモータ13とインバータ14とを接続する外部配線ケーブル12が必要であり、さらに、インバータ14を収納する操作盤11を設置するスペースを確保しなければならず、モータの設置スペースが大きくなるという問題があった。
【0008】
また、インバータ14を使用することにより自己発熱するが、その熱を放散する効率が悪く、操作盤内の温度が上昇するためインバータなどの電子部品の劣化、或いは、破損などが発生することによりモータの寿命が短いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータは、モータフレームの外周面に端子箱座を設置し、この端子箱座に端子箱を設置する。この端子箱の内部にインバータを収納し、端子箱蓋で蓋をしている。そして、この端子箱の内部で、モータ本体とインバータとが内部配線ケーブルで接続されているので、外部配線ケーブルが不要になり材料費が安価になる。また、操作盤を設置する設置スペースが不要になるので、大幅な省スペース化を図ることができるなどの特徴がある。
【0010】
請求項2の送風機用可変速インダクションモータは、インバータを収納した端子箱と端子箱蓋とに冷却フィンを設けてあるので冷却効率が向上し、使用時にインバータなどの電子部品の温度が低下するので長寿命化するという特徴がある。

【0011】
請求項3の送風機用可変速インダクションモータは、このモータの反出力側の軸に冷却ファンを取り付けた後にファンカバーで覆い、そして、このファンカバーとモータフレームとの間に間隙を設けたことにより、冷却ファンの回転による冷却風で端子箱と端子箱蓋に設けた冷却フィンが冷却されて冷却効果が向上し、インバータを収納した端子箱内部の温度上昇の低減化を図ることができ、インバータなどの電子部品が長寿命化したことを特徴としたものである。なお、図4は冷却ファン3による冷却風の流れを示したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インバータをモータフレームの外周面に取り付けた端子箱に収納することにより、モータとインバータとを接続する外部配線ケーブル省略することが出来るので材料費を大幅に削減することができる。さらに、インバータを収納する操作盤を設置するスペースを省略することができるので、大幅に省スペース化を図ることができる。
【0013】
そして、本発明によれば、モータの反出力軸に取り付けた冷却ファンによる冷却風により、インバータを冷却することができる。
【0014】
また、端子箱と端子箱蓋とに冷却フィンを設け、この冷却フィンを冷却ファンで強制的に送風することにより、インバータ等の電子部品を冷却する効率が大幅に向上し、端子箱内部の温度を低減する効果があり、インバータなどの電子部品の寿命が長くなり、モータの寿命を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータの実施方法を示した斜視図である。
【図2】従来の可変速インダクションモータとインバータを収納する操作盤の配線を示した斜視図である。
【図3】本発明の端子箱6と端子箱蓋7の側面の冷却フィンを示した斜視図である。
【図4】本発明の送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータの冷却ファンによる冷却風の流れを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について、図1及び図3を用いて説明する。送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ1は、モータ本体2の外郭であるモータフレーム15の外周面に端子箱座5が取り付けられている。そして、端子箱6は端子箱座5を介してモータ本体2に取り付けられている。端子箱座5にアルミ製端子箱6(端子箱の一例)が一体に設けられており、そのアルミ製端子箱6の内部にはインバータ8が取り付けられている。インバータ8を取り付けた後、このアルミ製端子箱6にアルミ製端子箱蓋7(端子箱蓋の一例)で蓋をしている。そして、モータ本体2の反出力側の軸には、冷却ファン(図示せず)が取り付けられており、この冷却ファン3を覆うためにファンカバー4が取り付けられている。
【0017】
そして、モータフレーム15と冷却ファン3との間には、冷却ファン3の回転により発生した冷却風が通過できるよう間隙が設けられている。
【0018】
なお、端子箱6と端子箱蓋7とをアルミ製にすることにより、熱の伝導がさらによくなるので冷却効果を大幅に向上することができ、そして、また、軽量化を図ることができる。
【0019】
図3及び図4にはアルミ製端子箱6とアルミ製端子箱蓋7に設けた冷却フィン10a、10b、10cが記載されている。この冷却フィン10a、10b、10cを設けることにより、アルミ製端子箱6とアルミ製端子箱蓋7との冷却効果をさらに向上することができ、かつ、インバータ等の電子部品の冷却効果を大幅に向上することができるので、電子部品の寿命を延ばすことができる。

【0020】
そして、モータ本体2の反出力側の軸に冷却ファン3を取り付け、この冷却ファン3をファンカバー4で覆いモータを運転することにより、冷却ファン3が回転し冷却風が発生する。この冷却風は、モータフレーム15とファンカバー4の間の隙間を通り、端子箱の方向に流れ、アルミ製端子箱6とアルミ製端子箱蓋7に設けた冷却フィン10a、10b、10cを冷却することになり、端子箱6内部の温度上昇を大幅に抑制することができる。なお、図4に示す矢印は冷却ファン3による冷却風の流れを示したものである。
【0021】
尚、本発明の実施例の形態では、端子箱と端子箱材質はアルミ製のものを用いたが、その他の材質では、鋳鉄製、樹脂製、シルミン製でも使用できるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0022】
このインバータ搭載可変速インダクションモータは、変速可能な送風機用モータとして、使用状況により風量制御の必要な種々の送風機に用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ
2 モータ本体
3 冷却ファン
4 ファンカバー
5 端子箱座
6 端子箱
7 端子箱蓋
8、14 インバータ
9 内部配線ケーブル
10a、10b、10c 冷却フィン
11 操作盤
12 外部配線ケーブル
13 可変速インダクションモータ
15 モータフレーム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機に用いられる可変速可能なインダクションモータにおいて、モータフレームの外周面にインバータ収納用端子箱とこのインバータ収納用端子箱内のインバータを有することを特徴とする送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ。
【請求項2】
インバータを収納した端子箱と端子箱蓋に冷却フィンを設けたことを特徴とする請求項1記載の送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ。
【請求項3】
このモータの反出力側の軸に冷却ファンを軸着し、この冷却ファンをファンカバーで覆い、このファンカバーと前記モータフレームとの間に間隙を設けたことを特徴とする請求項2記載の送風機用インバータ搭載可変速インダクションモータ。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−10477(P2011−10477A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151988(P2009−151988)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(593163173)日本電産パワーモータ株式会社 (1)
【出願人】(000162490)協和化工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】