説明

送風機組立体

【課題】小型且つコンパクトであって暖房効率が高く、しかも不快の臭いが生じない羽根なし送風機組立体を提供する。
【解決手段】空気流を生じさせる羽根なし送風機組立体(10)が、空気流を生じさせる手段を収容したベース(12)に取り付けられているノズル(14)を有する。ノズルは、空気流を受け入れる内部通路(94)と、空気流を放出する口(26)とを有する。ノズルは、口から放出された空気流によって送風機組立体の外部から空気を引き込むよう通す開口部(24)の周りに延びると共にこれを構成している。ノズルは、口の上流側で空気流を加熱する空気加熱手段を更に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機組立体に関する。好ましい実施形態では、本発明は、部屋、オフィス又は他の家庭内環境において暖かい空気流又は温風を生じさせる家庭用送風機、例えばタワー型送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型家庭用送風機又はファンは、典型的には、軸線回りに回転可能に取り付けられた1組の羽根又はベーンと、空気流を生じさせるために1組の羽根を回転させる駆動装置とを有する。空気流の運動及び循環により、「風冷(wind chill)」又はそよ風が生じ、その結果、ユーザは、熱が対流及び蒸発により放散されるので冷却効果を受ける。
【0003】
かかるファンは、種々の寸法形状で入手できる。例えば、天井ファンは、直径が少なくとも1mの場合があり、通常、天井から吊り下げられた状態で取り付けられていて、下向きの空気流を生じさせ、それにより部屋を冷やすようになっている。他方、卓上ファンは、直径が訳30cmの場合が多く、通常、自立型であり且つ携帯可能である。床置きタワー型ファンは、一般に、高さ約1mの細長くて垂直に延びるケーシングを有し、このケーシングは、空気流を生じさせる1つ又は2つ以上の組の回転羽根を収容している。タワー型ファンの出口を回転させて空気流が部屋の広い領域にわたって吹き抜けるように放出されるようにするための首振り又は揺動機構体が採用されている場合がある。
【0004】
ファンヒータ(温風器)は、一般に、ユーザが回転羽根により生じた空気流をオプションとして加熱することができるよう回転羽根の後ろ又は前に配置された多数の加熱要素を有する。加熱要素は、一般に、熱放射コイル又はフィンの形態をしている。通常、ユーザがファンヒータから放出される空気流の温度を調節することができるように、可変サーモスタット又は多くの所定の出力電力設定が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の構成の欠点は、ファンヒータの回転羽根により生じる空気流が一般的に言って一様ではないということにある。これは、ファンヒータの羽根表面又は外方に向いた表面にわたるばらつきに起因している。これらばらつきの程度は、製品毎に様々な場合があり、1つの個々のファンヒータと別の個々のファンヒータとでも異なる場合がある。これらのばらつきの結果として、乱流又は「風向きが不定の」空気流が発生し、かかる空気流は、空気の一連のパルス又はブラストとして感じられる場合があると共にユーザにとって不快な場合がある。空気流の乱流の結果生じるもう1つの欠点は、ファンヒータの暖房効果が距離につれて急激に減少する場合のあることにある。
【0006】
家庭環境においては、電気器具は、スペース上の制約によりできるだけ小形且つコンパクトであることが望ましい。電気器具の部品が外方に突き出ることは望ましくなく又はユーザが可動部品、例えば羽根に触ることができるということは望ましくない。ファンヒータは、可動羽根又は高温熱放射コイルとの接触によるユーザの怪我が生じないようにするために羽根及び熱放射コイルを成形有孔ケーシング内に収容する傾向があるが、かかる収納部品は、クリーニングが困難な場合がある。したがって、或る量のほこり又は他の屑片が、ファンヒータの使用と使用の間でケーシング内や熱放射コイル上に堆積する場合がある。熱放射コイルを作動させると、コイルの外面の温度は、特にコイルからの電力出力が比較的高い場合、700℃を超える値まで急上昇する場合がある。その結果、ファンヒータの使用と使用の間にコイル上に定着していたほこりのうちのいくらかが燃える場合があり、その結果、或る期間にわたりファンヒータから不快な臭いが放出される。
【0007】
本発明は、先行技術の欠点を解決する改良型送風機組立体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点において、本発明は、空気流を生じさせる羽根なし送風機組立体であって、送風機組立体は、空気流を生じさせる手段と、空気流を受け入れる内部通路及び空気流を放出する口を備えたノズルとを有し、ノズルは、口から放出された空気流により送風機組立体の外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、送風機組立体は、空気加熱手段を更に有することを特徴とする送風機組立体を提供する。
【0009】
羽根なし送風機組立体の使用により、羽根付きファンを使用しなくても、空気流を作ることができると共に冷却効果を生じさせることができる。羽根付きファン組立体と比較して、羽根なし送風機組立体は、可動部品と複雑さの両方の減少をもたらす。さらに、空気流を送風機組立体から放出するために羽根付きファンを用いなくても、比較的一様な空気流を生じさせて部屋内又はユーザに向かって案内することができる。加熱された空気流は、ノズルから効率的に出ることができ、先行技術のファンヒータにより生じる空気流より乱流による損失エネルギ及び損失速度が小さくなる。ユーザにとっての利点は、加熱された空気流を、羽根付きファンを用いた先行技術のファンヒータが加熱された空気流をファン組立体から放出するために用いられる場合よりも、迅速に送風機組立体から数メートルの距離のところで受けることができるということにある。
【0010】
「羽根なし」という用語は、可動羽根を用いないで空気流を送風機組立体から前方に放出し又は送り出す送風機組立体を記載するために用いられている。それ故、羽根なし送風機組立体は、空気流をユーザの方へ又は室内へ差し向ける、可動羽根のない、出力領域又は放出ゾーンを有するものであると考えることができる。羽根なし送風機組立体の出力領域には、例えば各種ポンプ、各種発生器、各種モータ又は各種流体輸送装置、及び、例えば空気流を発生させるモータロータ及び/又は羽根付きインペラのような回転装置を含む多種多様な源の1つによって生じる一次空気流を供給することができる。生じた一次空気流は、送風機組立体の外部に位置する室内空間又は他の環境から内部通路を通ってノズルに至り、次にノズルの口を通って室内空間に送り出されて戻ることができる。
【0011】
それ故、送風機組立体を羽根なしとして説明することは、補助ファン機能に必要な、例えばモータのような動力原及びコンポーネントの説明にまで及ぶものではない。補助送風機機能の例としては、ファン組立体の照明、調節及び首振りが挙げられる。
【0012】
空気が口から放出される方向は、好ましくは、空気流が内部通路の少なくとも一部を通過する方向に対して実質的に直角である。好ましくは、空気流は、実質的に垂直な平面内で内部通路の少なくとも一部を通り、空気は、実質的に水平の方向に口から放出される。内部通路は、好ましくは、ノズルの前部近く(前部寄り)に設けられ、口は、好ましくは、ノズルの後部近く(後部寄り)に設けられ、空気をノズルの前部に向かって且つ開口部を通って差し向けるよう構成されている。したがって、口は、好ましくは、空気が内部通路から口の出口に流れる際に、空気の流れ方向を実質的に逆にするよう形作られている。口は、好ましくは、断面が実質的にU字形であり、好ましくは、その出口に向かって細くなっている。
【0013】
ノズルの形状は、羽根付きファン用のスペースを設けるという要件によって制約されることはない。好ましくは、ノズルは、開口部を包囲する。例えば、ノズルは、開口部の周りにぐるりと50〜250cmの距離だけ延びるのが良い。ノズルは、細長い環状のノズルであってもよく、このノズルは、好ましくは、高さが500〜1,000mmであり、幅が100〜300mmである。変形例として、ノズルは、ほぼ円形環状のノズルであっても良く、このノズルは、好ましくは、高さが50〜400mmである。内部通路は、好ましくは、環状であり、好ましくは、空気流を開口部周りに互いに逆方向に流れる2つの空気流に分割するよう形作られている。
【0014】
ノズルは、好ましくは、内部通路を画定する内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分を有する。各区分は、好ましくは、それぞれの環状部材で作られるが、各区分は、その区分を形成するよう互いに連結された又違ったやり方で組み立てられた複数の部材で提供されても良い。外側ケーシング区分は、好ましくは、ノズルの内側ケーシング区分の外面とノズルの外側ケーシング区分の内面のオーバーラップした部分間に口の少なくとも1つの出口を画定するように、内側ケーシング区分と部分的にオーバーラップするよう形作られている。各出口は、好ましくは、スロットの形態をしており、好ましくは、0.5〜5mmの幅を有する。口は、開口部の周りに間隔を置いて設けられた複数のかかる出口で構成されてもよい。例えば、複数の互いに間隔を置いた出口を画定するように、口の中に1つ又は2つ以上の密封部材を設けるのが良い。かかる出口は、好ましくは、実質的に同一サイズのものである。ノズルが細長い環状ノズルの形態をしている場合、各出口は、好ましくは、ノズルの内周部のそれぞれの細長い側部に沿って設けられる。
【0015】
ノズルは、ノズルの内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分のオーバーラップした部分を互いに押し離す複数のスペーサを有してもよい。これは、開口部の周りに実質的に一様な出口幅を維持するのを助けることができる。スペーサは、好ましくは、出口に沿って等間隔に設けられる。
【0016】
ノズルは、内部通路内に設けられ、各々が空気流の一部分を口の方へ差し向ける複数の静止案内ベーンを有してもよい。かかる案内ベーンの使用は、口を通る空気流の実質的に一様な分布をもたらすのを助けることができる。
【0017】
ノズルは、口に隣接して位置する表面を有するのが良く、口は、この口から放出される空気流をかかる表面上でこれに沿って差し向けるよう構成されている。好ましくは、この表面は、湾曲した表面であり、より好ましくは、コアンダ面である。好ましくは、ノズルの内側ケーシング区分の外面は、コアンダ面を画定するよう形作られている。コアンダ面は、表面に近接した、出力オリフィスを出た流体の流れが、コアンダ効果を示す既知形式の表面である。流体は、表面上をこれに沿って密接し、ほぼ「くっついて」又は「貼りついて」流れようとする。コアンダ効果は、一次空気流をコアンダ面上でこれに沿って差し向ける既に立証されて証明されている同伴方法である。コアンダ面の特徴及びコアンダ面上の流体の流れの効果に関する説明は、レバ(Reba)著,「サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)」,第214巻,1966年6月,p.84〜92の記事に見られる。コアンダ面の利用により、送風機組立体の外部からの増加した量の空気が、口から放出される空気によって開口部を通って引き込まれる。
【0018】
好ましい実施形態では、空気流は、送風機組立体のノズルを通って作られる。以下の説明において、この空気流を一次空気流と称する。一次空気流は、ノズルの口から出て、好ましくは、コアンダ面上をこれに沿って流れる。一次空気流は、ノズルの口の周りの空気を同伴し、これは、一次空気流と同伴空気の両方をユーザに送る空気増量手段(air amplifier)としての役目を果たす。本明細書においては、同伴空気を二次空気流と称する。二次空気流は、ノズルの口を包囲した室内空間、領域又は外部環境から引き込まれると共に転置により送風機組立体の周りの他の領域から引き込まれ、ノズルによって画定された開口部を主に通る。コアンダ面上でこれに沿って差し向けられた一次空気流と同伴された二次空気流との組み合わせにより、ノズルにより画定された開口部からユーザに向かって前方に放出され又は送り出される全空気流が得られる。
【0019】
好ましくは、ノズルは、コアンダ面の下流側に設けられたディフューザ面を有する。ディフューザ面は、放出された空気流をユーザのいる場所に向かって差し向ける一方で、滑らかで一様な出力を維持し、ユーザが「風向きが不定の」流れを感じることなく適当な冷却効果を生じさせる。好ましくは、ノズルの内側ケーシング区分の外面は、ディフューザ面を画定するよう形作られている。
【0020】
好ましくは、ノズルを通る空気流を生じさせる手段は、モータによって駆動されるインペラで構成される。これにより、空気流を効率的に発生させる送風機組立体を提供することができる。空気流を生じさせる手段は、好ましくは、DCブラシレスモータ及び混流インペラで構成される。これは、伝統的なブラシ付きモータで用いられるブラシからの摩擦損失及びカーボンデブリを回避することができる。カーボンデブリ及び放出物の減少は、クリーンな又は汚染物に敏感な環境、例えば病院又はアレルギーのある人の周りにおいて有利である。一般に羽根付きファンで用いられている誘導モータも又ブラシを備えていないが、DCブラシレスモータは、誘導モータよりも非常に広い動作速度範囲を提供することができる。
【0021】
加熱手段は、口の上流側で1次空気流を加熱するよう構成されていてもよく、2次空気流は、加熱された1次空気流を送風機組立体から運び去るために用いられてもよい。したがって、第2の観点において、本発明は、空気流を生じさせる羽根なし送風機組立体であって、送風機組立体が、空気流を生じさせる手段と、空気流を受ける内部通路及び空気流を放出する口を備えたノズルとを有し、ノズルは、口から放出された空気流により送風機組立体の外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、送風機組立体は、口の上流側で空気流を加熱する空気加熱手段を更に有することを特徴とする送風機組立体を提供する。
【0022】
追加的に又は代替的に、加熱手段は、2次空気流を加熱するよう構成されていてもよい。一実施形態では、加熱手段の少なくとも一部は、加熱手段が1次空気流と2次空気流の両方を加熱することができるように、口から下流側に配置される。
【0023】
好ましくは、ノズルは、加熱手段を有する。加熱手段の少なくとも一部は、ノズル内に配置されてもよい。加熱手段の少なくとも一部は、開口部の周りに延びるようノズル内に配置されてもよい。ノズルが円形開口部を画定する場合、加熱手段は、好ましくは、開口部の周りに少なくとも270°にわたり、より好ましくは、開口部の周りに少なくとも300°にわたり延びる。ノズルが細長い開口部を画定する場合、加熱手段は、好ましくは、開口部の少なくとも対向した細長い側部に設けられる。
【0024】
一実施形態では、加熱手段は、口の上流側で1次空気流を加熱するよう内部通路内に配置される。加熱手段は、1次空気流の少なくとも一部が口から放出される前に加熱手段上を通るように、内側ケーシング区分の内面及び外側ケーシング区分の内面のうちの一方に連結されてもよい。例えば、加熱手段は、これら内面のうちの一方又は両方に連結された複数の薄膜ヒータで構成されてもよい。
【0025】
変形例として、加熱手段は、1次空気流の実質的に全てが加熱手段を通り、その後口から放出されるように、これら内面間に設けられても良い。例えば、加熱手段は、1次空気流が加熱手段に設けられた細孔を通過し、その後口から放出されるように、内部通路内に設けられている少なくとも1つの多孔性ヒータで構成されていてもよい。この少なくとも1つの多孔性ヒータは、セラミック材料で作られるのが良く、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient、正の温度係数)セラミックヒータであるのが良く、このヒータは、作動時に空気流を迅速に加熱することができる。加熱手段は、好ましくは、「バーントダスト(burnt dust:焼けたほこり)」に起因する臭いが送風機組立体から放出されることがないようヒータの温度が約200℃を超えて上昇するのを阻止するよう構成されている。
【0026】
セラミック材料は、オプションとして、金属製又は他の導電性材料で被覆されても良く、それにより送風機組立体内に設けられ且つ加熱手段を作動させるコントローラへの加熱手段の接続が容易になる。変形例として、少なくとも1つの非多孔性ヒータを、内部通路内に設けられると共にコントローラに接続された金属製フレーム内に設けても良い。金属製フレームは、広い表面領域を提供し、それ故良好な熱伝達を提供するのに役立つと共にヒータへの電気的接続手段となる。
【0027】
ノズルの内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分は、送風機組立体の使用中、ノズルの外面が過度に高温状態になるのを阻止するために、プラスチック材料又は熱伝導率が比較的低い(1Wm-1-1よりも小さい)他の材料で作られるのが良い。しかしながら、内側ケーシング区分は、内側ケーシング区分が加熱手段によって加熱されるように、外側ケーシング区分よりも熱伝導率の高い材料で作られても良い。これにより、熱を口の上流側に位置している内側ケーシング区分の内面から内部通路を通る1次空気流に伝達すると共に口の下流側に位置した内側ケーシング区分の外面から開口部を通る1次空気流及び2次空気流に伝達することができる。
【0028】
かかる加熱手段をノズルの少なくとも一部の中に配置するという構成の代替手段として、加熱手段の一部を空気流を生じさせる手段を収容したケーシング内に又は空気流が通る送風機組立体の別の部分内に配置しても良い。したがって、第3の観点において、本発明は、空気流を生じさせる羽根なし送風機組立体であって、送風機組立体が、空気流を生じさせる手段と、空気流を受ける内部通路及び空気流を放出する口を備えたノズルとを有し、ノズルは、口から放出された空気流により送風機組立体の外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、送風機組立体は、空気流が通る多孔性空気加熱手段を更に有することを特徴とする送風機組立体を提供する。
【0029】
別の一例として、加熱手段は、内部通路内に設けられた複数のヒータと、各ヒータに連結され且つ熱を1次空気流に伝えるよう内部通路を横切って少なくとも部分的に延びる複数の熱放射フィンと、を含むのが良い。2つの組のかかるフィンが各ヒータに連結されるのが良く、フィンの各組は、ノズルの内側ケーシング区分の内面及び外側ケーシング区分の内面の各々にそれぞれ向かってヒータから延びる。
【0030】
変形例として、加熱手段は、口から上流側で空気流を加熱するよう内部通路と熱的接触関係をなすように、違ったやり方でノズル内に配置されても良い。例えば、加熱手段をノズルの内側ケーシング区分内に配置しても良く、内側ケーシング区分の少なくとも内面は、加熱手段からの熱を内部通路を通過する1次空気流に運ぶよう熱伝導性材料で作られる。例えば、内側ケーシング区分は、熱伝導率が10Wm-1-1よりも大きい材料で作られるのが良く、好ましくは、金属材料、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で作られるのが良い。
【0031】
加熱手段は、ハウジングの内側ケーシング区分内に配置された複数のヒータを含んでもよい。例えば、加熱手段は、内側ケーシング区分の内面と外面との間に配置された複数のカートリッジヒータを含んでも良い。ノズルが細長い環状ノズルの形態をしている場合、少なくとも1つのヒータをノズルの対向した細長い表面の各々に沿って配置するのが良い。例えば、加熱手段は、複数の組のカートリッジヒータを含んでも良く、カートリッジヒータの各組は、ノズルのそれぞれの側部に沿って配置される。カートリッジヒータの各組は、2つ又は3つ以上のカートリッジヒータで構成されてもよい。
【0032】
ヒータをノズルの内側ケーシング区分の内側部分と外側部分との間に配置しても良い。少なくとも、ノズルの内側ケーシング区分の外側部分、好ましくは、ノズルの内側ケーシング区分の内側部分と外側部分の両方は、好ましくは、ノズルの外側ケーシング区分よりも高い熱伝導率(好ましくは、10Wm-1-1よりも大きい)を有する材料で作られ、好ましくは、金属材料、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で作られる。例えばアルミニウムのような材料の使用は、加熱手段の熱的負荷を減少させるのを助けることができ、それにより、加熱手段の温度が作動時に増大する速度と、空気が加熱される速度の両方を増大させることができる。
【0033】
内側ケーシング区分のかかる部分は、加熱手段の一部をなすと考えることができる。その結果、加熱手段は、ノズルの内部通路を部分的に画定することができる。加熱手段は、コアンダ面とディフューザ面のうちの一方又はこれら両方を含んでもよい。
【0034】
ヒータは、ノズルから放出される空気流の温度を変化させるように、ユーザにより個々に又は既定の組み合わせで選択的に作動可能である。
【0035】
加熱手段は、開口部を横切って少なくとも部分的に突き出るのが良い。一実施形態では、加熱手段は、開口部を横切って少なくとも部分的に延びる複数の熱放射フィンで構成される。これは、加熱手段から開口部を通る空気への熱の伝達速度の増大を助けることができる。ノズルが細長い環状ノズルの形態をしている場合、熱放射フィンの積重ね体をノズルの対向した細長い表面の各々に沿って設けても良い。送風機組立体の連続的な使用と使用の間に熱放射フィンの上面上に定着する場合のあるほこり又は他の屑片を、送風機組立体をオンに切り替えたときに、開口部を通って引き込まれる空気流によってかかる上面から迅速に吹き飛ばすことができる。使用中、加熱手段の外面温度は、好ましくは、40℃〜70℃、好ましくは約50℃以下であり、したがって、熱放射フィン又は加熱手段の他の外面との偶発的な接触に起因するユーザの怪我や加熱手段の外面上に残存しているほこりの「焼け」を回避することができる。
【0036】
送風機組立体は、卓上又は床置き型であっても良く、或いは、壁又は天井取り付け型であっても良い。
【0037】
第4の観点において、本発明は、空気流を放出する口を備えたファンヒータ(温風器)であって、口は、口から放出された空気流によりファンヒータの外部からの空気を引き込む開口部の周りに延び、ファンヒータは、コアンダ面を有し、口は、空気流をコアンダ面上でこれに沿って差し向けるよう配置され、ファンヒータは、空気加熱手段を更に有することを特徴とするファンヒータを提供する。
【0038】
第5の観点において、本発明は、空気流を生じさせる送風機組立体用のノズルであって、ノズルは、空気流を受け入れる内部通路及び空気流を放出する口を有し、ノズルは、口から放出された空気流により送風機組立体の外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、ノズルは、空気加熱手段を更に有することを特徴とするノズルを提供する。
【0039】
第6の観点において、本発明は、上述したようなノズルを有する送風機組立体を提供する。
【0040】
本発明の第1の観点の特徴は、本発明の第2の観点から第6の観点までの任意の特徴に同じように適用でき又この逆の関係が成り立つ。
【0041】
次に、添付の図面を参照して、本発明を説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】家庭用ファンの正面図である。
【図2】図1のファンの斜視図である。
【図3】図1のファンのベースの断面図である。
【図4】図1のファンのノズルの分解組立図である。
【図5】図4に示されている領域Aの拡大図である。
【図6】図4のノズルの正面図である。
【図7】図6のE‐E線に沿って取ったノズルの断面図である。
【図8】図6のD‐D線に沿って取ったノズルの断面図である。
【図9】図8に示されているノズルの一断面の拡大図である。
【図10】図6のC‐C線に沿って取ったノズルの断面図である。
【図11】図10に示されているノズルの一断面の拡大図である。
【図12】図6のB‐B線に沿って取ったノズルの断面図である。
【図13】図12に示されているノズルの一断面の拡大図である。
【図14】図1のファンのノズルの一部を通る空気流を示す図である。
【図15】図1のファンのための第1の変形例としてのノズルの正面図である。
【図16】図15のノズルの斜視図である。
【図17】図15のA‐A線に沿って取った図15のノズルの断面図である。
【図18】図15のB‐B線に沿って取った図15のノズルの断面図である。
【図19】別の家庭用ファンの斜視図である。
【図20】図19のファンの正面図である。
【図21】図19のファンのノズルの側面図である。
【図22】図20のA‐A線に沿って取った断面図である。
【図23】図21のB‐B線に沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1及び図2は、羽根なしファン(送風機)組立体の一例を示している。この例では、羽根なしファン組立体は、家庭用タワー型送風機又はファン10の形態をしており、ベース12と、ベース12に取り付けられると共にこれによって支持されたノズル14と、を有している。ベース12は、オプションとして、ディスク形ベースプレート18に取り付けられた実質的に円筒形の外側ケーシング16を有している。外側ケーシング16は、外側ケーシング16に形成された孔の形態をしている複数の空気入口20を有し、1次空気流は、外部環境からこれら空気入口を通ってベース12内に引き込まれる。ベース12は、ファン10の動作を制御するための、ユーザ操作可能な複数のボタン21及びユーザ操作可能なダイヤル22を更に有している。この例では、ベース12の高さは、200〜300mmであり、外側ケーシング16の直径は、100〜200mmである。
【0044】
ノズル14は、細長い環状の形をしており、中央の細長い開口部24を画定している。ノズル14の高さは、500〜1,000mmであり、その幅は、150〜400mmである。この例では、ノズルの高さは、約750mmであり、ノズルの幅は、約190mmである。ノズル14は、ファン10の後部寄り(後部近く)に設けられていて、空気をファン10から開口部24を通って放出する口26を有している。口26は、開口部24周りに少なくとも部分的に延びている。ノズル14の内周部は、口26に隣接して設けられ且つ口26がファン10から放出された空気を差し向けるコアンダ面28と、コアンダ面28の下流側に位置するディフューザ面30と、ディフューザ面30の下流側に位置する案内面32と、を有している。ディフューザ面30は、ファン10から放出された空気の流れを助けるように、開口部24の中心軸線Xから遠ざかってテーパするよう配置されている。ディフューザ面30と開口部24の中心軸線Xとのなす角度は、5°〜15°であり、この例では約7°である。案内面32は、ファン10からの冷却用空気流の効率的な送り出しを一段と助けるように、ディフューザ面30に対して角度をなして配置されている。案内面32は、好ましくは、口26から放出された空気流に、実質的に平らで且つ実質的に滑らかな面を提供するように、開口部24の中心軸線Xに実質的に平行に配置されている。見栄えの良いテーパ付き表面34が、案内面32から下流側に設けられ、開口部24の中心軸線Xに実質的に垂直に位置する先端面36で終端している。テーパ面34と開口部24の中心軸線Xとのなす角度は、好ましくは約45°である。開口部24の中心軸線Xに沿って延びる方向におけるノズル24の全体深さは、100〜150mmであり、この例では、約110mmである。
【0045】
図3は、ファン10のベース12の断面図である。ベース12の外側ケーシング16は、下側ケーシング区分40と、下側ケーシング区分40に取り付けられた主ケーシング区分42と、を有している。下側ケーシング区分40は、図1及び図2に示されているユーザ操作可能なボタン21の押し下げ及び/又はユーザ操作可能なダイヤル22の操作に応答してファン10の動作を制御する、全体が符号44で示される、コントローラを収容している。下側ケーシング区分40は、オプションとして、遠隔制御装置(図示せず)からの制御信号を受け取り、これら制御信号をコントローラ44に伝えるセンサ46を有しても良い。これら制御信号は、好ましくは、赤外線信号又はRF信号である。センサ46は、窓47の後ろに配置され、制御信号は、この窓を通ってベース12の外側ケーシング16の下側ケーシング区分40に入る。ファン10が待機モードにあるかどうかを示すために、発光ダイオード(図示せず)を設けても良い。下側ケーシング区分40は、主ケーシング区分42を下側ケーシング区分40に対して揺動させる、全体が符号48で示される、機構体も収容している。下側ケーシング区分40に対する主ケーシング区分42の各揺動サイクルの範囲は、好ましくは60°〜120°であり、この例では約90°である。この例では、揺動機構体48は、毎分約3〜5回の揺動サイクルを行うよう構成されている。電力をファン10に供給するための主電源ケーブル50が、下側ケーシング区分40に形成された孔を通って延びている。
【0046】
主ケーシング区分42は、円筒形グリル60を有し、このグリルには、ベース12の外側ケーシング16の空気入口20を提供するように、孔62のアレイが形成されている。主ケーシング区分42は、孔62を通って1次空気流をベース12内に引き込むインペラ(羽根車)64を収容している。好ましくは、インペラ64は、混流インペラの形態をしている。インペラ64は、モータ68から外方に延びる回転シャフト66に連結されている。この例では、モータ68は、ユーザによるダイヤル22の操作及び/又は遠隔制御装置から受け取った信号に応答して、コントローラ44によって可変の速度をもつDCブラシレスモータである。モータ68の最大速度は、好ましくは、5,000〜10,000rpmである。モータ68は、モータバケット(motor bucket)内に収容され、このモータバケットは、下側部分72に連結された上側部分70を有している。モータバケットの上側部分70は、螺線羽根を備えた静止ディスクの形態をしたディフューザ74を有している。モータバケットは、主ケーシング区分42に連結されたほぼ切頭円錐形のインペラハウジング76内に配置された状態でこれに取り付けられている。インペラ64及びインペラハウジング76は、インペラ64がインペラハウジング76の内面に近接して位置するが、これとは接触しないように形作られている。1次空気流をインペラハウジング76内に案内するために、実質的に環状の入口部材78が、インペラハウジング76の底部に連結されている。
【0047】
輪郭付けられた(profiled)上側ケーシング区分80が、例えばスナップ嵌め連結具によって、ベース12の主ケーシング区分42の開放上端部に連結されている。Oリング密封部材を用いてベース12の主ケーシング区分42と上側ケーシング区分80との間に気密シールを形成しても良い。上側ケーシング区分80は、主ケーシング区分42から1次空気流を受け入れるチャンバ86と、1次空気流がベース12からノズル14内に流れる孔88と、を有している。
【0048】
好ましくは、ベース12は、ベース12からの騒音放出を減少させる消音フォームを更に有している。この実施形態では、ベース12の主ケーシング区分42は、グリル60の下に配置された第1のほぼ円筒形のフォーム部材89aと、インペラハウジング76と入口部材78との間に配置された第2の実質的に環状のフォーム部材89bと、を有している。
【0049】
次に、図4〜13を参照してノズル14について説明する。ノズル14は、細長い環状の外側ケーシング区分90を有し、この外側ケーシング区分90は、細長い環状の内側ケーシング区分92に連結され且つこの周りに延びる。内側ケーシング区分92は、ノズル14の中央開口部24を画定し、コアンダ面28、ディフューザ面30、案内面32及びテーパ面34を画定するよう形作られた外周面93を備えている。
【0050】
外側ケーシング区分90と内側ケーシング区分92は一緒になって、ノズル14の環状内部通路94を画定している。内部通路94は、ファン10の前部近く(前部寄り)に配置されている。内部通路94は、開口部24周りに延び、かくして、この内部通路は、各々が中央開口部24のそれぞれの細長い側部に隣接する2つの実質的に垂直に延びる区分と、垂直に延びる区分の上端部を互いに接合する上側湾曲区分と、垂直に延びる区分の下端部を互いに接合する下側湾曲区分と、を有している。内部通路94は、外側ケーシング区分90の内周面96及び内側ケーシング区分92の内周面98によって画定されている。外側ケーシング区分90は、例えばスナップ嵌め連結具によって、ベース12の上側ケーシング区分80に連結されると共にこれを覆っているベース100を有している。外側ケーシング区分90のベース100は、ベース12の上側ケーシング区分80の孔88と整列した孔102を有し、1次空気流は、この孔102を通ってファン10のベース12からノズル14の内部通路94の下側湾曲部分に入る。
【0051】
特に図8及び図9を参照すると、ノズル14の口26は、ファン10の後部近く(後部寄り)に配置されている。口26は、外側ケーシング区分90の内周面96及び内側ケーシング区分92の外周面93のそれぞれの互いにオーバーラップした又は向かい合った部分104,106によって画定されている。この例では、口26は、各々がノズル14の中央開口部24のそれぞれの細長い側部に沿って延びると共にノズル14の内部通路94のそれぞれ垂直に延びる区分と流体連通状態にある、2つの区分を有している。口26の各区分を通る空気流は、ノズル14の内部通路94のそれぞれ垂直に延びる部分を通る空気流に実質的に垂直である。口26の各区分は、断面が実質的にU字形であり、その結果、空気流の方向は、空気流が口26を通過する際に実質的に逆になる。この例では、外側ケーシング区分90の内周面96及び内側ケーシング区分92の外周面93の互いにオーバーラップした部分104,106は、口26の各区分が出口110まで細くなるテーパ付きの部分108を有するように形作られている。各出口110は、好ましくは0.5〜5mmの比較的一定の幅を備えた、実質的に垂直に延びるスロットの形態をしている。この例では、各出口110の幅は、約1.1mmである。
【0052】
かくして、口26は、各々が中央開口部24のそれぞれの側部に配置された2つの出口110を有するものと考えることができる。図4を参照すると、ノズル14は、各々が外側ケーシング区分90と内側ケーシング区分92との間にシールを形成する2つの湾曲したシール部材112,114を更に有し、その結果、ノズル14の内部通路94の湾曲部分からの空気の漏れが実質的に生じないようになっている。
【0053】
1次空気流を口26内に差し向けるため、ノズル14は、内部通路94内に設けられ且つ各々が空気流の一部を口26の方へ差し向ける複数の静止案内ベーン120を有している。案内ベーン120は、図4、図5、図7、図10及び図11に示されている。案内ベーン120は、好ましくは、ノズル14の内側ケーシング区分92の内周面98と一体である。案内ベーン120は、空気流が口26中に差し向けられるときに空気流の速度の大きな低下が生じないように湾曲している。この例では、ノズル14は、2つの組をなす案内ベーン120を有し、案内ベーン120の各組は、内部通路94のそれぞれの垂直に延びる部分に沿って通る空気を、口26の関連する区分に向かって差し向ける。各組内においては、案内ベーン120は、案内ベーン120間に複数の通路122を画定するように、実質的に垂直に整列すると共に等間隔を置いて配置されており、空気は、かかる通路122を通って口26に差し向けられる。案内ベーン120を等間隔に設けることにより、口26の区分の長さに沿う空気の流れの実質的に一様な分布が得られる。
【0054】
図11を参照すると、案内ベーン120は、好ましくは、各案内ベーン120の一部分124がノズル24の外側ケーシング区分90の内周面96に係合するよう形作られており、それにより外側ケーシング区分90の内周面96及び内側ケーシング区分92の外周面93のオーバーラップしている部分104,106が互いに押し離されるようになっている。これは、各出口110の幅を、口26の各区分の長さに沿った実質的に一定のレベルに維持するのを助けることができる。図7、図12及び図13を参照すると、この例では、これ又外側ケーシング区分90の内周面96及び内側ケーシング区分92の外周面93のオーバーラップした部分104,106を互いに押し離して出口110の幅を所望のレベルに維持するための、追加のスペーサ126が、口26の各区分の長さに沿って設けられている。各スペーサ126は、2枚の隣り合う案内ベーン120間の実質的に真ん中に配置されている。製造を容易にするため、スペーサ126は、好ましくは、ノズル14の内側ケーシング区分92の外周面98と一体である。所望ならば、隣り合う案内ベーン120相互間に追加のスペーサ126を設けることができる。
【0055】
使用にあたり、ユーザが、ファン10のベース12のボタン21のうちの適当な1つを押すと、コントローラ44は、モータ68を作動させてインペラ64を回転させ、それにより、1次空気流が空気入口20を通ってファン10のベース12内に引き込まれる。1次空気流は、毎秒最高30リットル、より好ましくは毎秒最高50リットルになるのがよい。1次空気流は、インペラハウジング76及びベース12の内側ケーシング区分80を通ってノズル14の外側ケーシング区分90のベース100に入り、ここから、1次空気流は、ノズル14の内部通路94に入る。
【0056】
また図14を参照すると、符号148で示された1次空気流は、2つの空気流に分割され、これらのうち一方は、図14において符号150で示され、これら2つの空気流は、ノズル14の中央開口部24の周りに互いに逆方向に進む。各空気流150は、ノズル14の内部通路94の2つの垂直に延びる区分の各々に入り、そして内部通路94のこれら区分の各々を通って実質的に垂直方向上方に運ばれる。内部通路94のこれら区分の各々内に配置されている案内ベーン120の組は、空気流150を、内部通路94の垂直に延びる区分に隣接して位置する口26の区分の方へ差し向ける。案内ベーン120の各々は、空気流150のそれぞれの部分152を、口26の区分の方へ差し向けて、口26の区分の長さに沿って空気流150の実質的に一様な分布が生じるようにする。案内ベーン120は、空気流150の各部分152が実質的に水平の方向で口26に入るように形状付けられている。口26の各区分内において、空気流のその部分の流れ方向は、図14では符号154で示されているように実質的に逆になる。空気流のその部分は、口26のその区分が出口110に向かってテーパしているので絞られ、スペーサ126の周りに導かれ、再び実質的に水平の方向で出口110を通って放出される。
【0057】
口26から放出された1次空気流は、ノズル14のコアンダ面28上でこれに沿って差し向けられ、それにより2次空気流が外部環境から、特に口26の出口110周りの領域及びノズル14の後部の周りの領域からの空気の同伴によって生じる。この2次空気流は、ノズル14の中央開口部24を通り、ここで、2次空気流は、1次空気流と合流し、それによりノズル14から前方に放出される全空気流156又は気流(風)が生じる。
【0058】
ノズル14の口26に沿う1次空気流の均等な分布により、空気流は、ディフューザ面30上でこれに沿って一様に流れるようになる。ディフューザ面30は、空気流を、制御された膨張領域を通して移動させることによって、空気流の平均速度を減少させる。開口部24の中心軸線Xに対するディフューザ面30の比較的浅い角度により、空気流の膨張は、徐々に起こることができる。もしそうでなければ、厳しい又は急速な発散により空気流は、分散して膨張領域中に渦が生じる。かかる渦により、空気流中に乱流及び関連の騒音が増大する場合があり、このことは、特に例えばファンのような家庭用製品では望ましくない場合がある。案内ベーン120が設けられていなければ、1次空気流の大部分は、口26の上方部分を通ってファン10から出て行き、開口部24の中心軸線に対して鋭角をなして上方に口26から出て行く傾向がある。その結果、ファン10により生じる空気流中に空気の不均一な分布が生じる。さらに、ファン10からの空気流の大部分は、ディフューザ面30によって適正には拡散されず、それにより、非常に大きな乱流を含む空気流が発生する。
【0059】
ディフューザ面30を超えて前方に放出された空気流は、引き続き広がる傾向を持つ場合がある。開口部24の中心軸線Xに実質的に平行に延びる案内面32が設けられていることにより、空気流は、ユーザに向かい又は室内に集中する傾向がある。
【0060】
次に、図15〜18を参照して、ノズル14に代えてベース12に取り付けられていると共にこれによって支持される変形例としてのノズル200について説明する。ノズル200は、ファン又は送風機10を、ファン10と同様の冷却用空気流かユーザにより要求される暖かい空気流かのいずれかを生じさせるために使用できるファンヒータに変換するために用いられる。ノズル200は、ノズル14と実質的に同一の寸法形状のものであり、したがって、中央の細長い開口部202を画定している。ノズル14の場合と同様、ノズル200は、ノズル200の後部近く(後部寄り)に設けられ且つ開口部202を通って空気を放出する口204を有している。口204は、開口部202周りに少なくとも部分的に延びている。ノズル200の内周部は、口204に隣接して設けられ且つ口204がノズル200から放出された空気をその上で差し向けるコアンダ面206と、コアンダ面206の下流側に位置するディフューザ面208と、を有している。ディフューザ面208は、ファンヒータから放出された空気の流れを助けるように、開口部202の中心軸線Xから遠ざかってテーパするよう構成されている。ディフューザ面208と開口部202の中心軸線Xとのなす角度は、5°〜25°であり、この例では約7°である。ディフューザ面208は、開口部202の中心軸線Xに実質的に垂直に位置した前面210で終端している。
【0061】
ノズル14と同様に、ノズル200は、細長い環状の外側ケーシング区分220を有し、この外側ケーシング区分220は、細長い環状の内側ケーシング区分222に連結されると共にこの周りに延びている。外側ケーシング区分220は、ノズル14の外側ケーシング区分90と実質的に同一である。外側ケーシング区分220は、好ましくは、プラスチック材料で作られている。外側ケーシング区分220は、ベース224を有し、このベース224は、例えばスナップ嵌め連結具によりベース12の上側ケーシング区分80に連結されると共にこれを覆っている。内側ケーシング区分222は、ノズル200の中央開口部202を画定し、コアンダ面206、ディフューザ面208及び端面250を構成するよう形作られた外周面226を有している。
【0062】
外側ケーシング区分220と内側ケーシング区分222は一緒になって、ノズル200の環状内部通路228を画定している。内部通路228は、開口部202周りに延び、かくして、この内部通路は、各々が中央開口部202のそれぞれ対応の細長い側部に隣接して位置する2つの実質的に垂直に延びる区分と、垂直に延びる区分の上端部を互いに接合する上側湾曲区分と、垂直に延びる区分の下端部を互いに接合する下側湾曲区分と、を有している。内部通路228は、外側ケーシング区分220の内周面230及び内側ケーシング区分222の内周面232によって境界付けられている。外側ケーシング区分220のベース224は、孔234を有し、この孔は、ノズル200がベース12に連結されると、ベース12の上側ケーシング区分80の孔88と整列する。使用にあたり、1次空気流は、ベース12から孔234を通過し、そしてノズル220の内部通路228の下側湾曲部分に入る。
【0063】
特に図17及び図18を参照すると、ノズル200の口204は、ノズル14の口26と実質的に同一である。口204は、ノズル200の後部近く(後部寄り)に配置され、この口は、外側ケーシング区分220の内周面230及び内側ケーシング区分222の外周面226のそれぞれオーバーラップした又は向かい合った部分によって画定されている。口204は、各々がノズル200の中央開口部202のそれぞれの細長い側部に沿って延びると共にノズル200の内部通路228のそれぞれの垂直に延びる区分と流体連通状態にある2つの区分を有している。口204の各区分を通る空気流は、ノズル200の内部通路228のそれぞれの垂直に延びる部分を通る空気流に実質的に垂直である。口204は、空気流が口204を通過する際に空気流の方向が実質的に逆になるように形作られている。外側ケーシング区分220の内周面230及び内側ケーシング区分222の外周面226のオーバーラップした部分は、口204の各区分が出口238まで細くなるテーパ付き部分236を有するよう形作られている。各出口238は、実質的に垂直に延びるスロットの形態をしており、好ましくは、0.5〜5mm、より好ましくは1〜2mmの比較的一定の幅を有する。この例では、各出口238の幅は、約1.7mmである。かくして、口204は、各々が中央開口部202のそれぞれの側部に設けられた2つの出口238を有するものと考えることができる。
【0064】
この例では、ノズル200の内側ケーシング区分222は、多数の連結区分で構成される。内側ケーシング区分222は、下方区分240を有し、この下方区分240は、外側ケーシング区分220と一緒になって、内部通路228の下方湾曲区分を画定している。ノズル200の内側ケーシング区分222の下方区分240は、好ましくは、プラスチック材料で作られる。内側ケーシング区分222は、上方区分242を更に有し、この上方区分242は、外側ケーシング区分220と一緒になって、内部通路228の上方湾曲区分を構成している。内側ケーシング区分222の上方区分242は、内側ケーシング区分222の下方区分240と実質的に同一である。図18に示されているように、内側ケーシング区分222の下方区分240及び上方区分242の各々は、外側ケーシング区分220とシールを形成し、その結果、ノズル200の内部通路228の湾曲区分からの空気の漏れが実質的に生じないようになっている。
【0065】
ノズル200の内側ケーシング区分222は各々が、中央開口部202のそれぞれの側部に沿って且つ内側ケーシング区分222の下方区分240と上方区分242との間に延びている、2つの実質的に垂直に延びた区分を更に有している。内側ケーシング区分222の垂直に延びる各区分は、内側プレート244と、内側プレート244に連結された外側プレート246と、を有している。内側プレート244及び外側プレート246の各々は、好ましくは、熱伝導率がノズル200の外側ケーシング区分220よりも高い材料で作られ、この例では、内側プレート244及び外側プレート246の各々は、アルミニウム又はアルミニウム合金で作られている。内側プレート244は、外側ケーシング区分220と一緒になって、ノズル200の内部通路228の垂直に延びる区分を画定している。外側プレート246は、口204から放出された空気が差し向けられるコアンダ面206と、ディフューザ面208の端部分208bと、を備えている。
【0066】
内側ケーシング区分222の垂直に延びる各区分は、その内側プレート244と外側プレート246との間に位置する1組のカートリッジヒータ248を有している。この実施形態では、カートリッジヒータ248の各組は、各々が内側プレート248及び外側プレート246の長さと実質的に同一の長さを備えた、2つの実質的に垂直に延びるカートリッジヒータ248で構成されている。各カートリッジヒータ248は、ノズル200の外側ケーシング区分220のベース234を貫通して延びる電力リード線(図示せず)によってコントローラ44に接続されてもよい。リード線は、ノズル200がベース12に連結されると、ベース12の上側ケーシング区分80に設けられている協働するコネクタと嵌合するコネクタで終端してもよい。これら協働するコネクタは、ベース12内でコントローラ44まで延びる電力リード線に接続されるのが良い。ユーザがカートリッジヒータ248の各組を選択的に作動させることができるように、少なくとも1つの追加的なユーザ操作可能なボタン又はダイヤルをベース12の下側ケーシング区分40に設けてもよい。
【0067】
内側ケーシング区分222の垂直に延びる各区分は、ピン252によって外側プレート246に連結されたヒートシンク250を更に有している。この例では、各ヒートシンク250は、各々が4本のピン252によって外側プレート246に連結された、上方部分250a及び下方部分250bを有している。ヒートシンク250の各部分は、垂直に延びるヒートシンクプレート254を有し、このヒートシンクプレート254は、ヒートシンクプレート254の外面が外側プレート246の外面と実質的に面一をなすように、外側プレート246の凹み部分内に配置されている。ヒートシンクプレート254の外面は、ディフューザ面208の一部をなしている。ヒートシンクプレート254は、好ましくは、外側プレート246と同じ材料で作られている。ヒートシンク250の各部分は、開口部202を通る空気流に熱を放散する熱放射フィン256の積重ね体を有している。各熱放射フィン256は、ヒートシンクプレート254から外方に且つ開口部202を部分的に横切って延びている。図17を参照すると、この例では、各熱放射フィン256は、実質的に台形である。熱放射フィン256は、好ましくは、ヒートシンクプレート254と同じ材料で作られ、好ましくは、これと一体である。
【0068】
かくして、ノズル200の内側ケーシング区分222の垂直に延びる各部分は、開口部202を通過する空気流を加熱するそれぞれの加熱ユニットであると見なすことができ、これら加熱ユニットの各々は、内側プレート244、外側プレート246、1組のカートリッジヒータ248と、ヒートシンク250を有している。その結果、各加熱ユニットの少なくとも一部は、口204から下流側に位置し、各加熱ユニットの少なくとも一部は、ノズル200の外側ケーシング区分220と一緒になって内部通路228の一部を画定し、内部通路228は、これら加熱ユニットの周りに延びている。
【0069】
ノズル200の内側ケーシング区分222は、内部通路228内に配置され且つ各々が空気流の一部分を口204の方へ差し向ける案内ベーンを更に有してもよい。案内ベーンは、好ましくは、ノズル200の内側ケーシング区分222の内側プレート244の内周面と一体である。その他の点においては、これら案内ベーンは、好ましくは、ノズル14の案内ベーン120と実質的に同一であり、したがって、ここではこれについて詳細には説明しない。ノズル14と同様、外側ケーシング区分220の内周面230及び内側ケーシング区分222の外周面226のオーバーラップした部分を互いに押し離して、出口238の幅を所望のレベルに維持するためのスペーサが、口204の各区分の長さに沿って設けられていてもよい。
【0070】
使用にあたり、図1〜図14を参照して上述したように空気流が作られファン10から放出されるのと同じ仕方で、乱流の比較的少ない空気流が、作られてファンヒータから放出される。加熱ユニットのどれもユーザによって作動されない場合、ファンヒータの冷却効果は、ファン10の冷却効果と同様である。ユーザがベース12の追加のボタンを押し又は追加のダイヤルを操作してヒータユニットのうちの1つ又は2つ以上を作動させると、コントローラ44は、これらヒータユニットのカートリッジヒータ248の組を作動させる。カートリッジヒータ248により生じた熱は、熱伝導により、カートリッジヒータ248の作動された各組と関連した、内側プレート244、外側プレート246及びヒートシンク250に伝達される。熱は、熱放射フィン256の外面から開口部202を通る空気流に消散して伝えられ、そして極めて僅かな程度ではあるが、内側プレート244の内面から内部通路228を通る1次空気流の一部に伝えられる。その結果、暖かい空気の流れ(温風)がファンヒータから放出される。この温風は、ノズル200から効率的に出て行き、先行技術のファンヒータにより生じる空気流よりも、乱流による損失エネルギ及び損失速度が小さくなる。
【0071】
ファンヒータにより生じる空気流の流量が比較的高いので、加熱ユニットの外面の温度は、比較的低い温度、例えば50℃〜70℃に維持可能であり、他方、ファンヒータから数メートル離れたところにいるユーザは、ファンヒータの暖房効果を迅速に受けることができる。これは、ファンヒータの使用中、加熱ユニットの外面との偶発的な接触によるユーザの深刻な怪我を阻止することができる。加熱ユニットの外面のこの比較的低い温度と関連したもう1つの利点は、この温度が、加熱ユニットを作動させたときに不快な「バーントダスト」の臭いを生じさせるには不十分であるということにある。
【0072】
図19〜図21は、ノズル14に代えてベース12に取り付けられると共にこれによって支持されたもう1つの変形例としてのノズル300を示している。ノズル200と同様、ノズル300は、送風機又はファン10を、ファン10と同様の冷却用空気流かユーザの要求による温風のいずれかを生じさせるために使用できるファンヒータに変換するために用いられる。ノズル300は、ノズル14及びノズル200とは異なる寸法形状のものである。この例では、ノズル300は、細長くない、円形の中央開口部302を備えている。ノズル300は、好ましくは、150〜400mmの高さを有し、この例では約200mmの高さを有している。
【0073】
上述のノズル14,200の場合と同様、ノズル300は、ノズル300の後部近く(後部寄り)に設けられ且つ開口部302を通って1次空気流を放出する口304を有している。この例では、口304は、開口部302に沿って実質的に完全に延びている。ノズル300の内周部は、口304に隣接して設けられ且つ口304がノズル300から放出された空気をその上に差し向けるコアンダ面306と、コアンダ面306の下流側に位置するディフューザ面308と、を有している。この例では、ディフューザ面308は、開口部302の中心軸線Xと同軸の実質的に円筒形の表面である。見栄えのするテーパ付きの表面310が、ディフューザ面308から下流側に位置し、開口部302の中心軸線Xに実質的に垂直に位置する先端面312で終端している。テーパ面310と開口部302の中心軸線Xとのなす角度は、好ましくは約45°である。開口部302の中心軸線Xに沿って延びる方向におけるノズル300の全体深さは、好ましくは90〜150mmであり、この例では約100mmである。
【0074】
図22は、ノズル300の平断面図である。ノズル14,200と同様、ノズル300は、環状外側ケーシング区分314を有し、この外側ケーシング区分314は、環状の内側ケーシング区分316に連結されると共にこの周りに延びている。ケーシング区分314,316は、好ましくは、ノズル300の先端部312のところ又はその周りで互いに連結されている。これら区分の各々は、複数の互いに連結された部品で作られていてもよいが、この例では、外側ケーシング区分314及び内側ケーシング区分316の各々は、それぞれ単一の成形部品で作られている。内側ケーシング区分316は、ノズル300の中央開口部302を画定し、コアンダ面306、ディフューザ面308及びテーパ付き表面310を画定するよう形作られた外周面318を有している。ケーシング区分314,316の各々は、好ましくは、プラスチック材料で作られる。
【0075】
外側ケーシング区分314と内側ケーシング区分316は、一緒になって、ノズル300の環状内部通路320を画定している。かくして、内部通路320は、開口部24の周りに延びている。内部通路320は、外側ケーシング区分314の内周面322及び内側ケーシング区分316の内周面324によって境界付けられている。外側ケーシング区分314は、ベース326を有し、このベース326は、例えばスナップ嵌め連結具によりベース12の主本体42の開放上端部に連結されてこれを覆っている。ノズル14の外側ケーシング区分90のベース100と同様、外側ケーシング区分314のベース326は、1次空気流がベース12の主本体42の開放上端部からノズル14の内部通路320に流入する孔を有する。
【0076】
口304は、ノズル300の後部近く(後部寄り)に設けられている。ノズル14の口26と同様、口304は、外側ケーシング区分314の内周面322及び内側ケーシング区分316の外周面318のオーバーラップした又は向かい合った部分によって画定されている。この例では、口304は、実質的に環状であり、図21に示されているように、ノズル14を直径方向に通る線に沿って断面で見ると、実質的にU字形の断面を有している。この例では、外側ケーシング区分314の内周面322及び内側ケーシング区分316の外周面318のオーバーラップした部分は、1次空気流をコアンダ面306上でこれに沿って差し向けるよう構成された出口328に向かって口304がテーパするように、形作られている。出口328は、環状スロットの形態をしており、好ましくは、0.5〜5mmの比較的一定の幅を有している。この例では、出口328の幅は、約1〜2mmである。外側ケーシング区分314の内周面322及び内側ケーシング区分316の外周面318のオーバーラップした部分を互いに押し離して、出口328の幅を所望のレベルに維持するためのスペーサが、口302の周りに間隔を置いて設けられていてもよい。これらスペーサは、外側ケーシング区分314の内周面322か内側ケーシング区分316の外周面318かのいずれかと一体であってもよい。
【0077】
ノズル300は、1次空気流が口304から放出される前に1次空気流を加熱する少なくとも1つのヒータを有する。この例では、ノズル300は、符号330で示され且つノズル300の内部通路320内に配置された複数のヒータを有し、1次空気流は、これがノズル300を通って流れる際にヒータを通る。図23に示されているように、ヒータ330は、好ましくは、開口部302の周りに延びるアレイで構成され、好ましくは、ノズル300の中心軸線Xに垂直に延びる平面内に位置する。アレイは、好ましくは、軸線X回りに少なくとも270°、より好ましくは軸線X回りに少なくとも315°にわたって延びる。この例では、ヒータ330のアレイは、軸線回りに約320°にわたって延び、アレイの各端は、外側ケーシング区分314のベース326の孔のそれぞれの側部で又はその付近で終端している。ヒータ330のアレイは、好ましくは、内部通路320の後部近く(後部寄り)に配置されていて、1次空気流の実質的に全てがヒータ330のアレイを通り、その後に口304に入るようになっており、ノズル300のプラスチック部品にで失われる熱は少ない。
【0078】
ヒータ330のアレイは、内部通路320内に並んで配列された複数個のセラミックヒータにより提供されても良い。ヒータ330は、好ましくは、多孔性で正の温度係数(PTC)のセラミック材料で作られ、例えば内側ケーシング区分316が取り付けられる前の外側ケーシング区分314内に配置された弧状金属製フレームに形成されたそれぞれ対応の孔内に配置されてもよい。フレームから延びる電力リード線は、外側ケーシング区分314のベース326を貫通して延びて、ノズル300がベース12に連結されたときにベース12の上側ケーシング区分80に設けられた協働するコネクタと嵌合するコネクタで終端してもよい。これらの協働するコネクタは、ベース12内でコントローラ44まで延びる電力リード線に接続されるのが良い。ユーザがヒータ330のアレイを作動させることができるように、少なくとも1つの追加的な、ユーザ操作可能なボタン又はダイヤルをベース12の下側ケーシング区分40に設けるのが良い。使用中、ヒータ330の最高温度は、約200℃である。
【0079】
使用にあたり、ノズル300を備えたファン組立体10の動作は、ノズル200を備えたファン組立体の動作とほとんど同じである。ユーザがベース12の追加のボタンを押し又は追加のダイヤルを操作すると、コントローラ44は、ヒータ330のアレイを作動させる。ヒータ330のアレイにより生じた熱は、熱伝導により、内部通路320を通っている1次空気流に伝達され、加熱された1次空気流がノズル300の口304から放出される。加熱された1次空気流は、この空気流がコアンダ面306上をこれに沿って流れ、そしてノズル300によって画定される開口部302を通って流れる際に、ノズル300の口304を包囲している部屋の空間、領域又は外部環境から空気を同伴し、その結果、ファン組立体10から前方に放出される全体の空気硫は、口304から放出される1次空気流よりも低い温度を有するが、外部環境から同伴された空気よりも高い温度を有する。その結果、温風がファン組立体から放出される。ノズル200により生じる温風の場合と同様、この温風は、ノズル300から効率的に出て行き、先行技術のファンヒータにより生じる空気流よりも乱流による損失エネルギ及び損失速度が小さくなる。
【0080】
本発明は、上述の詳細な説明には限定されない。当業者には変形例が明らかであろう。
本発明は、以下のような態様であっても良い。
(1)加熱手段の少なくとも一部は、ノズル内に設けられている送風機組立体。
(2)ノズルは、加熱手段を有する送風機組立体。
(3)加熱手段は、少なくとも1つの多孔性ヒータで構成される送風機組立体。
(4)加熱手段は、複数の熱放射フィンで構成される送風機組立体。
(5)加熱手段は、内部通路と熱的接触状態にある送風機組立体。
(6)加熱手段は、口から放出された空気流により開口部を通って引き込まれた空気を加熱するよう構成されている送風機組立体。
(7)ノズルは、内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分を有し、内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分は、一緒になって、内部通路及び口を画定している送風機組立体。
(8)ノズルの内側ケーシング区分の少なくとも一部は、ノズルの外側ケーシング区分よりも高い熱伝導率を有する送風機組立体。
(9)出口は、スロットの形態をしている送風機組立体。
(10)出口の幅は、0.5〜5mmである送風機組立体。
(11)加熱手段は、ノズルの内側ケーシング区分を加熱するよう構成されている送風機組立体。
(12)ノズルの内側ケーシング区分は、加熱手段を有する送風機組立体。
(13)内部通路は、加熱手段の周りに延びている送風機組立体。
(14)加熱手段は、内部通路を部分的に画定している送風機組立体。
(15)加熱手段の少なくとも一部は、口の下流側に位置している送風機組立体。
(16)加熱手段は、開口部を横切って少なくとも部分的に延びている送風機組立体。
(17)ノズルは、細長い環状ノズルで構成される送風機組立体。
(18)加熱手段は、ノズルの対向する細長い表面に沿って設けられた複数のヒータを含む送風機組立体。
(19)複数のヒータは、複数の組のカートリッジヒータを含み、カートリッジヒータの各組は、ノズルのそれぞれの側部に沿って設けられている送風機組立体。
(20)加熱手段は、コアンダ面を含む送風機組立体。
(21)加熱手段は、ディフューザ面を含む送風機組立体。
(22)加熱手段は、口の上流側で空気流を加熱するよう構成されているノズル。
(23)加熱手段の少なくとも一部は、ノズル内に設けられているノズル。
(24)加熱手段の少なくとも一部は、開口部の周りに延びるノズル。
(25)加熱手段は、少なくとも1つの多孔性ヒータで構成されるノズル。
(26)加熱手段は、複数の熱放射フィンで構成されるノズル。
(27)加熱手段は、内部通路と熱的接触状態にあるノズル。
(28)内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分を有し、内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分は、一緒になって、内部通路及び口を画定しているノズル。
(29)ノズルの内側ケーシング区分の少なくとも一部は、ノズルの外側ケーシング区分よりも高い熱伝導率を有するノズル。
(30)加熱手段は、ノズルの内側ケーシング区分を加熱するよう構成されているノズル。
(31)ノズルの内側ケーシング区分は、加熱手段を有するノズル。
(32)内部通路は、加熱手段の周りに延びているノズル。
(33)加熱手段は、内部通路を部分的に画定しているノズル。
(34)加熱手段は、口から放出された空気流により開口部を通って引き込まれた空気を加熱するよう構成されているノズル。
(35)加熱手段の少なくとも一部は、口の下流側に位置しているノズル。
(36)加熱手段は、少なくとも部分的にノズルの内部通路内に設けられているノズル。
(37)加熱手段は、コアンダ面を含むノズル。
(38)加熱手段は、ディフューザ面を含むノズル。
【符号の説明】
【0081】
10 家庭用タワー型ファン
12 ベース
14 ノズル
24 開口部
26 口
28 コアンダ面
30 ディフューザ面
32 案内面
34 テーパ面
36 先端面
74 ディフューザ
80 内側ケーシング区分
90 外側ケーシング区分
94 内部通路
110 出口
248 カートリッジヒータ
256 熱放射フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根なし送風機組立体であって、空気流を生じさせる手段と、前記空気流を受け入れる内部通路を画定する内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分並びに前記空気流を放出する口を備えたノズルと、を有し、前記内側ケーシング区分は、前記口から放出された前記空気流により前記ノズルの外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、前記送風機組立体は、前記口の上流側で前記空気流を加熱するよう構成された空気加熱手段を有し、前記空気加熱手段の少なくとも一部は、前記内部通路内に配置されるとともに前記開口の周りに延びる、送風機組立体。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記内部通路内に配置された複数のヒータを含む、請求項1記載の送風機組立体。
【請求項3】
前記口は、前記ノズルの前記内側ケーシング区分の外面と前記ノズルの前記外側ケーシング区分の内面との間に設けられた出口を有する、請求項1又は2記載の送風機組立体。
【請求項4】
前記口は、前記ノズルの後部寄りに配置されている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の送風機組立体。
【請求項5】
前記口は、出口を有し、前記口は、前記出口に向かってテーパ付けられている、請求項1又は2記載の送風機組立体。
【請求項6】
前記内部通路は、環状である、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の送風機組立体。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記内側ケーシング区分の内面及び前記外側ケーシング区分の内面のいずれか一方に接続されている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の送風機組立体。
【請求項8】
前記口に隣接して位置する表面を有し、前記口は、前記空気流を前記表面上でこれに沿って差し向けるよう構成されている、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の送風機組立体。
【請求項9】
前記表面は、コアンダ面を含む、請求項8記載の送風機組立体。
【請求項10】
前記ノズルは、前記コアンダ面から下流側に位置するディフューザ面を有する、請求項9記載の送風機組立体。
【請求項11】
空気流を生じさせる送風機組立体用のノズルであって、前記ノズルは、空気流を受ける内部通路を画定する内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分と、前記空気流を放出する口とを有し、前記内側ケーシング区分は、前記口から放出された前記空気流により前記ノズルの外部からの空気を引き込む開口部を画定すると共にその周りに延び、前記ノズルは、前記口の上流側で前記空気流を加熱するように構成された空気加熱手段を有し、前記加熱手段の少なくとも一部は、前記内部通路内に配置されるとともに前記開口の周りに延びる、ノズル。
【請求項12】
前記加熱手段は、前記内部通路内に配置された複数のヒータを含む、請求項11記載のノズル。
【請求項13】
前記口は、前記ノズルの前記内側ケーシング区分の外面と前記ノズルの前記外側ケーシング区分の内面との間に設けられた出口を有する、請求項11又は12記載のノズル。
【請求項14】
前記口は、前記ノズルの後部寄りに配置されている、請求項11〜13のうちいずれか一に記載のノズル。
【請求項15】
前記口は、出口を有し、前記口は、前記出口に向かってテーパ付けられている、請求項11又は12記載のノズル。
【請求項16】
前記内部通路は、環状である、請求項11〜15のうちいずれか一に記載のノズル。
【請求項17】
前記加熱手段は、前記内側ケーシング区分の内面及び前記外側ケーシング区分の内面のいずれか一方に接続されている、請求項11〜16のうちいずれか一に記載のノズル。
【請求項18】
前記口に隣接して位置する表面を有し、前記口は、前記空気流を前記表面上でこれに沿って差し向けるよう構成されている、請求項11〜17のうちいずれか一に記載のノズル。
【請求項19】
前記表面は、コアンダ面を含む、請求項18記載のノズル。
【請求項20】
前記ノズルは、前記コアンダ面から下流側に位置するディフューザ面を有する、請求項19記載のノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−29110(P2013−29110A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−197200(P2012−197200)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【分割の表示】特願2010−47644(P2010−47644)の分割
【原出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】