説明

透明アクリル物品上に画像を形成する方法

熱可塑性物質、たとえばアクリルガラスを画像処理する方法が提供される。画像が転写シートまたは媒体の上に形成され、アクリルガラス基材に熱転写されて、この上に画像が永続的に出現する。新規な不透明通過型コーティングは、明澄または透明アクリルガラス物品の1つの表面に塗布される。熱活性型染料は画像を形成し、前記熱活性型染料は、不透明通過型コーティングに対して近接した関係で熱活性化されたときに、不透明通過型コーティングを通過して熱可塑性基材に達する。画像は熱可塑性材料を通じて光を反射し、材料を通じて不透明コーティングの反対側から見える。不透明通過型コーティング層は、アクリルガラス表面に永続的に結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願人は、2009年11月12日に出願された米国仮出願番号第61/260,442号の利益を請求する。
[発明の分野]
本発明は、概して転写印刷に関し、さらに詳細には透明物品を画像処理する工程に関する。
【背景技術】
【0002】
転写印刷工程は、画像を1つの基材から別の基材に物理的に転写することに関する。転写印刷工程、たとえば熱転写印刷は、特別に作製された印刷装置の使用を回避することができる。画像は、機械的、物理的および/または化学的構造または特性による制約のために、直接印刷工程を使用して画像処理するのが困難である物品上に産生することができる。
【0003】
昇華転写工程は、デジタル印刷用途で使用される。これらの用途は、合成構成要素、たとえばポリエステル材料を備える基材に限定されている。合成材料、たとえばポリエステル樹脂を備えるコーティングは、転写印刷工程の前に昇華着色剤に親和性を与えるために物品表面に塗布することができる。さらに昇華着色剤の特徴のために、白色またはパステルカラーの背景基材には、最良の反射結像強度および鮮明性を達成するために、フルカラー昇華転写技術が主に使用されている。
【0004】
熱可塑性物質、たとえばポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(メチル2−メチルプロペノアート)として化学的に公知のアクリルポリマーまたは樹脂質材料は、Plexiglas、Polycast、Potix、Luciteなどの商標を有するアクリルガラスとしても公知であり、低コスト、高い明澄度(clarity)/透明性ならびに機械、電気および化学安定性のために賞を受賞し、他の視覚表示のために装飾されてきた。
【0005】
これらの熱可塑性物質は、時には通常のガラス材料に代わって使用される。しかしこれらの材料の比較的低い軟化温度および/またはガラス転移温度のために、比較的高い熱の利用を伴わない画像処理方法によって、画像が適用または積層される。スクリーン印刷、塗装、および機械的接着は、高い熱の利用を必要としない画像処理の例である。
【0006】
このことは特に、押出アクリルガラスに当てはまる。概して、押出アクリルガラスの溶融温度は90℃より低い。したがってこの材料は各種の形状に比較的容易に成形されるが、低い分子量およびポリマーマトリックス中での可塑剤の使用により、材料は高温に対して感受性となる。高温での画像または他の装飾の適用は、熱可塑性物質の熱変形、または熱可塑性材料の完全な溶融を生じる。
【0007】
昇華転写技術は、画像処理用途で使用される。印刷画像の熱転写の間に、昇華染料は熱によって活性化または昇華される。画像は、転写媒体から最終基材に転写される。昇華染料の熱転写には、昇華性染料を気化、または昇華させるために転写温度が十分に高いことが必要である。多くの場合では、この染料の昇華温度は150℃超であり、転写のために熱が20秒以上印加される。従来の押出アクリルガラスに対する、この期間にわたる熱および高温の印加によって、アクリルガラス材料に深刻な熱損傷が生じる。時間の短縮または温度の低下によって着色剤の転写が不十分となり、このことにより比較的微弱で不十分な画像処理強度が生じる。
【0008】
白色顔料含有ポリエステル/ポリウレタンコーティングを含むポリマーコーティング材料によってアクリルガラスをコーティングして、昇華染料の受け入れを向上させる、および着色画像のコントラストを向上させる試みがなされている。このコーティングは、昇華性染料に対して親和性を向上させるが、アクリルガラスの熱脆弱性は低下させない。さらに白色顔料コーティングは、昇華着色剤に対して高い親和性を有し、昇華性染料をコーティング層内部に保持して、これにより昇華性着色剤によって生成された画像の密度および強度を制限する。
【0009】
転写紙からの非昇華型熱転写方法も、アクリルガラス転写に使用されている。カラー・レーザ・コピー機(CLC)トナー転写紙などのデジタル印刷転写紙が使用されている。この方法に関連する問題として、困難な画像の配置または登録、困難な転写紙の剥離、画像強度および/もしくはコントラストの不足、不十分な耐候性、ならびに/または美的魅力の不足が挙げられる。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、アクリルガラス物品および同様のプラスチック物品の画像処理の方法、ならびに得られた画像処理物品である。不透明通過型コーティングは、明澄または透明な熱可塑性基材の表面に塗布される。熱活性型着色剤、たとえば昇華染料を含む画像が形成される。着色剤は熱活性化され、アクリルガラス物品に転写されて、この上で画像が永続的に表示される。画像を形成する着色剤は、着色剤の熱転写の間に不透明通過型コーティングを通過する。画像は、不透明なコーティングの反対側のアクリル材料側からアクリル材料を通して見える。不透明通過型コーティング層および画像は、アクリルガラス表面に永続的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による昇華印刷および転写工程に好適な不透明通過型コーティングポリマー層8、および任意の昇華性染料高親和性層6を有する、好ましいアクリルガラス基材4を示す。
【図2】完成したアクリルガラス物品の観察シナリオを示し、昇華画像2が不透明通過型コーティング層8とアクリルガラス物品との間に位置決めされている。画像は、アクリルガラス物品4を通じて反対側の表面から見ることができる。
【図3】熱がアクリルガラス基材の上部の昇華転写媒体の裏側に印加され、温度勾配を生成してアクリルガラス基材の熱変形を防止する、熱転写工程を示す。
【図4】転写シートまたは媒体に印刷するためのコンピュータ・ハードウェア・システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい基材は熱可塑性材料であって、材料は光を基材の1つの表面から本発明に従って画像処理される反対側の表面へ通過させるので、熱可塑性材料を通じて画像を見ることができる。本発明の一実施形態において、キャスト・アクリル・ガラス材料、ポリ(メチルメタクリレート)またはPMMAは、キャスト重合工程によって形成される。PMMAは、以下の化学式を有することができる。
【化1】

このPMMAは、本発明の熱可塑性基材の転写画像処理、たとえば昇華画像処理に有用である基材の例である。
【0013】
本発明の実施形態により、1片の透明キャスト・アクリル・ガラスは、少なくとも2つの対向する表面を有する。一方の表面は観察表面3である。別の画像処理表面は、観察表面3から明澄および透明物品の本体を通じて観察することができる印刷画像を有する。画像処理表面6は、画像処理工程、たとえば昇華転写画像処理工程によりフルカラー画像であることができる画像2を備える。
【0014】
一実施形態において、キャスト・アクリル・ガラスは基材4として使用される。キャスト・アクリル・ガラスは、高い明瞭度/透明度を所有し、看板、板ガラスおよび製造用途に好適である。キャスト・アクリル・ガラスは概して、押出アクリルガラス材料よりも高い熱安定性および機械的安定性を所有する。キャスト・アクリル・ガラスのエステル官能基の存在は、分散および/または昇華性染料に対する固有の親和性を提供する。押出アクリルガラスと比較して、キャスト・アクリル・ガラスはより高い機械衝撃強度、ならびに優れた熱安定性、熱変形耐性、およびより高い熱容量を有する。ビカー軟化温度は、押出アクリルガラス材料よりもはるかに高い218℃もの高さであることができる。
【0015】
熱可塑性材料、たとえばアクリルガラスは透明であることができるが、本材料で形成された基材は1つの表面から画像が出現する反対側の表面へ光をなお通過させながら、半透明であることができるか、または前記基材は着色することができる。
【0016】
キャスト・アクリル・ガラス材料の優れた熱特性および機械的特性は一部は、より高い分子量、および溶融温度が低い可塑剤が存在しないことによる。本発明では、キャスト・アクリル・ガラス材料は好ましくは150,000以上の、さらに好ましくは500,000から2,500,000の分子量を有し、重要な可塑剤、たとえばフタレートは重合組成物に存在しない。セル(バッチ)・キャスト・アクリルまたは連続(ダイナミック)キャスト・アクリルの両方を使用することができる。
【0017】
本発明の実施形態において、アクリルガラス物品4は、明澄/透明物品の片側の少なくとも1つの部分を不透明通過型ポリマー層8でコーティングされる。不透明層は、白色またはオフホワイト色不透明着色通過型ポリマー層であることができる。前記材料は物品の画像処理の前に塗布される。
【0018】
不透明通過型ポリマー層は、ポリマーマトリックス中に少なくとも1つの乳白剤、たとえば白色顔料を備え、前記乳白剤はフルカラー画像であることができる転写画像に高コントラスト背景を提供する。好ましい乳白剤は白色顔料、たとえば二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、もしく酸化亜鉛、またはこれらの組合せである。有機白色着色剤も使用することができる。好ましくは、乳白剤は、2重量%〜30重量%の不透明通過型ポリマー層組成物を備える。多すぎる顔料は、コーティングの脆弱性、または着色剤の高度の保持および不十分な透過を生じ得る。
【0019】
本出願で使用されるインクは液体インクであることができる。本出願で使用した昇華転写工程およびインクは、Hale,et al,米国特許第5,488,907号にさらに記載されている昇華転写工程およびインクであることができる。「通過型」という用語は本明細書で使用する場合、転写媒体に印刷された昇華性着色剤が熱転写工程の間にポリマー層を通じて昇華または拡散することを意味する。しかし、この層は転写工程が完了した後に昇華画像を低温拡散通過させないため、前記層は熱可塑性材料の表面から実質的に移動せず、画像の価値を低下させる。
【0020】
不透明透過型コーティングはさらに、熱活性化染料、たとえば昇華性染料に対して親和性をほとんどまたは全く有さない少なくとも1つの明澄ポリマーまたは樹脂材料を備えることが好ましい。ポリマーまたは樹脂材料は、転写印刷工程の間に、層の外側からアクリルガラスへの昇華画像の通過を実質的に妨害しない。画像は熱可塑性基材に、熱可塑性基材と不透明コーティング層の間で永続的に結合する。通過型層または膜を形成することができる天然または合成熱硬化性または可塑性物質ポリマー材料は、コーティングの成分として使用することができる。好ましくは、熱硬化性ポリマー材料は反応および架橋して堅く結合し、熱転写工程の間の剥離の問題を排除する、非粘着性通過型層を提供する。
【0021】
不透明通過型ポリマー層に好ましい材料は、十分な機械強度、ならびに耐候性および耐光性を有するアクリル基材に結合する材料である。この材料の例は、限定されるわけではないが、単独または組合せて使用され、セルロースおよび化学修飾セルロース、低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリスチレンまたは架橋ポリスチレン、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、フッ化ポリマー、シロキサンおよび/または修飾シロキサンポリマー材料、コポリマー、たとえばポリテトラフルオロエチレン、およびポリフッ化ビニリデンである。低分子量エマルションポリマー、たとえばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、またはケイ素ベースエラストマーを使用することができる。ポリマー材料は、昇華性着色剤に対して芳香族ポリマー材料よりも低い親和性を有するかまたは親和性を有さない、ポリエステル官能基のない脂肪族構造を有することができ、アクリルガラス基材への転写時に低い着色剤保持力、高い通過効率、および高い画像色密度を可能にする。とりわけ放射線硬化、たとえばUV硬化または電子ビーム硬化が使用されてポリマー層を形成する場合、さまざまな種類の放射線硬化性モノマー、およびオリゴマー/プレポリマーも使用することができる。
【0022】
不透明通過型層で使用されるポリマー材料を架橋することができる。最初にコーティング材料を、続いて架橋または重合特性を備え、より向上した結合および機械、物理/化学ならびに固着特徴を有する材料を、アクリルガラスの1つの表面に塗布することができる。架橋材料の例としては、エポキシ、イソシアネート/ポリイソシアネート、ポリアスパラギン酸類、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アクリル/自己架橋性アクリル、フェノール性、アジリジン、アセチルアセトナートキレート架橋または重合など、および異なる材料の組合せが挙げられる。
【0023】
好ましくは、架橋反応は、アクリルガラス材料の軟化温度またはガラス転移温度の付近のまたはやや上の温度で行う。アクリルガラス材料を溶解させる溶媒または共溶媒は、不透明通過型ポリマーコーティングに使用することができる。コーティングの熱安定性は、アクリルガラス基材の熱安定性に劣らないことが好ましい。
【0024】
1つ以上の触媒を使用して、架橋/重合反応効率を向上させる、反応時間を短縮する、および/または反応温度を低下させることもできる。特定の架橋系に応じて、反応系に好適な各種の触媒を使用することができる。たとえばポリスタノキサン触媒は、ブロックイソシアネート/ポリイソシアネート樹脂に使用することができる。活性化オキソ中心三核Cr(III)複合体はエポキシベース樹脂系に使用することができ、および強有機酸触媒、たとえばベンゼンスルホン酸(BSA)、メタンスルホン酸(MSA)、1,5−ナフタレンジスルホン酸(NDSA)、1−ナフタレンスルホン酸(NSA)、パラトルエンスルホン酸(PTSA)または硫酸(SA)は、フェノール系樹脂として使用することができ、または1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(traiamine)−ホルムアルデヒドおよびポリエーテルポリオールベース樹脂架橋反応として使用することができる。
【0025】
不透明通過型ポリマー層の放出特性(releasing property)および非粘着性は、1つ以上の放出剤をコーティング組成物に添加することによって改良することができる。高い放出特性によって、工程完了時の転写媒体の除去が容易になり、転写媒体からの染色が抑制され、転写媒体が裂ける可能性が低下する。さらに放出剤は、コートされたポリマー層の表面エネルギーを実質的に低下させて、所望でない染色または白色度の低下を減少させて、異物の密接接触または静電気引力からの汚染を減少させることができる。
【0026】
不透明通過型ポリマー層によって使用することができる好適な放出剤(releasing agents)としては、ワックスおよびワックス状材料、たとえばポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、カルナバワックス、高融点鉱油、脂肪酸など、タンパク質放出剤、フルオロカーボン、シリコーンおよび修飾シリコーン/シロキサン材料ならびに/または樹脂系、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。液体形または粉末形のどちらの放出剤も、コーティング組成物の一部として使用することができる。
【0027】
熱活性化着色剤の着色剤通過型効率をさらに向上させるために、起泡剤/発泡剤などの添加剤を組成物に添加することができる。好ましい起泡剤/発泡剤薬品は、不透明通過型ポリマー層または膜の乾燥または硬化の完了時に微小孔を発生する。このことは、熱転写中の熱活性化着色剤の熱可塑性物質またはアクリルガラス材料への輸送を向上させる。
【0028】
好ましい起泡剤としては、加熱時に分解して、インク層を膨張させるガスを放出する起泡剤を挙げることができる。化学発泡剤または増稠剤として公知のこの種の起泡剤としては、有機膨張剤、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、およびジアゾアミノベンゼンを含むアゾ化合物、ニトロソ化合物、たとえばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、スルホニルヒドラジン、たとえばベンゼンスルホニルヒドラジン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−トルエンスルホニルアジド、ヒドラゾルカルボンアミド、アセトン−p−スルホニルヒドラゾン、および無機膨張剤、たとえば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム アゾジカルボンアミドが挙げられる。
【0029】
各種の他の添加剤を使用することができる。物性調節剤、抗酸化剤、UV遮断剤/ヒンダードアミン光安定化剤、粘度調整剤、表面張力調節剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、蛍光増白剤、pH調整剤、耐摩耗添加剤などを添加することができる。放射線硬化コーティング組成物には、1つ以上の光開始剤または増感剤を使用することができる。
【0030】
各種の印刷およびコーティング方法、たとえばシルクスクリーン印刷、スプレーコーティング、転写コーティング、パッド印刷、オフセット印刷、ブラシコーティング、および/またはデジタル印刷方法、たとえば各種のインクジェット印刷方法を、不透明通過型ポリマー層のアクリル樹脂への塗布に採用することができる。特定のコーティングおよび/または反応系に従って、各種の乾燥または硬化方法、たとえば赤外放射(IR)乾燥および/または近赤外放射乾燥/硬化を含む熱、放射線硬化、圧力などを使用することができる。
【0031】
【表1】

【0032】
不透明通過型層の乾燥コート重量は概して、5g/m〜60g/mの範囲に及び、好ましくは10g/m〜45g/mの範囲にある。
【0033】
任意の高昇華性染料親和性層6、たとえばポリエステルまたはポリウレタンコーティング層は、不透明通過型ポリマー層とアクリルガラスベースとの間に存在して、昇華性染料受け入れ特性をさらに変化させることができる。この層の塗布は公知の方法によって達成できる。
【0034】
一実施形態において、画像は基材、たとえば転写媒体を提供する紙または転写紙にデジタル印刷される。熱は、印刷された画像と反対側の昇華転写媒体の裏側から印加することができ、画像層と不透明通過型コーティング層とを密着接触させる。熱は好ましくは圧力下で印加されて、画像を転写媒体からアクリルガラスに転写する。熱活性型着色剤は熱活性化されて、好ましくは気化されて不透明層を通過して熱可塑性基材に達する。熱は同時に、画像を形成する着色剤を活性化するおよび/もしくは画像層の構成要素の反応を開始させる、ならびに/または画像層の成分および着色剤を結合および/もしくは架橋することができる。画像はここで不透明層と熱可塑性基材との間に存在し、熱可塑性物質/アクリルガラスおよび/または任意の着色剤/昇華性染料親和性層に永続的に結合される。最終設計画像の優れた耐久性および固着特性は、明澄/透明アクリルガラスを通じて観察されるように、達成することができる。図2。
【0035】
適切なレベルの熱および圧力を転写工程の間に印加し、媒体とコートされたアクリル基材との間の適正な表面接触を確保して、アクリルガラス材料を変形させないように、または画像層のアクリルガラス架橋成分ならびに着色剤の光学品質を低下させないようにする。画像はここで不透明層と熱可塑性基材との間に存在し、熱可塑性物質/アクリルガラスおよび/または任意の着色剤/昇華性染料親和性層に永続的に結合される。最終設計画像の優れた耐久性および固着特性は、明澄/透明アクリルガラスを通じて観察されるように、達成することができる。図2。
【0036】
適切なレベルの熱および圧力を転写工程の間に印加し、媒体とコートされたアクリル基材との間の適正な表面接触を確保して、アクリルガラス材料を変形させないように、またはアクリルガラス材料の光学品質を低下させないようにする。転写工程の間に真空を印加して、転写効率をさらに補助することができる。
【0037】
熱転写中の加熱による熱可塑性物質またはアクリルガラスの早期変形および/または反りを抑制するために、熱可塑性物品は、物品全体の熱容量をヒートプレスによって、特定のアクリルガラス材料の熱容量に応じて生成された総熱量より高くする厚さを有することが好ましい。例として5mm以上の厚さを圧盤ヒートプレスによる、熱容量が1.5J/g−Cのアクリルガラス材料で使用する。
【0038】
本発明のまた別の実施形態において、熱転写は、(加熱炉が使用される場合のように)物品全体を均一に加熱する代わりに、不透明コーティングに接触している転写媒体10に熱を印加することによって行われる。図3。熱は、ヒートプレスの圧盤12によって印加することができる。本方法は、物品上部表面でより高く、物品の底部に向かってはるかに低い温度勾配を生成する。気化された昇華性着色剤5は、不透明通過型ポリマー層を通じて高い効率で輸送されて、アクリル物品への昇華画像の凝縮および結合を可能にして、ランサイズに関する物品本体の熱変形および/熱反りを抑制する。画像は上記のように、機械式感熱型プリンタ、インクジェットプリンタおよび電子複写または静電プリンタを含む多色での印刷が可能な任意の好適な印刷手段によってコンピュータから基材に印刷および転写することができる。
【0039】
コンピュータおよびデジタルプリンタは安価であり、写真およびコンピュータ生成画像の転写は、基材、たとえばセラミック、織物、および他の物品に行うことができる。この転写は、家庭のエンドユーザならびに商業組織によって産生することができる。画像は上記のように、熱の印加によって転写される。
【0040】
工程は、アクリルと同様の特徴を有する透明および半透明プラスチック基材で使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写画像処理の方法であって、
熱活性型着色剤を備える画像を形成するステップと、
不透明コーティングを熱可塑性材料の第1の表面に塗布するステップであって、前記熱可塑性材料が光を前記第1の表面の反対側の前記熱可塑性材料の表面から前記熱可塑性材料に通過させるステップと、
前記熱可塑性材料の前記第1の表面に塗布されている前記不透明コーティングに画像を配置するステップと、
前記画像に熱を印加するステップであって、前記熱活性型着色剤が活性化され、そして前記熱活性型着色剤が前記不透明コーティングを通過し、そして前記画像が不透明コーティングと前記熱可塑性材料の前記第1の表面との間に形成されるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記着色剤が熱の印加時に気化して、前記不透明コーティング内を通過する請求項1に記載の転写画像処理の方法。
【請求項3】
前記着色剤が熱の印加時に昇華して、前記不透明コーティング内を通過する請求項1または請求項2に記載の転写画像処理の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性材料がアクリルガラスである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性材料が透明である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性材料が半透明である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性材料が着色されている請求項1〜請求項6のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項8】
前記着色剤が画像への熱の印加時に前記不透明コーティングを通じて拡散する請求項1〜請求項7のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項9】
前記着色剤の加熱後に、前記着色剤が周囲温度に戻り、前記着色剤が不透明コーティングを通過しない請求項1〜請求項8のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項10】
前記不透明コーティングが実質的に白色である請求項1〜請求項9のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項11】
前記不透明コーティングが二酸化チタンを含む請求項1〜請求項10のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項12】
前記着色剤が昇華性染料を含み、前記昇華性染料が前記昇華性染料への熱の印加時に気化して、前記気化昇華性染料が前記不透明コーティングを通過する請求項1〜請求項11のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項13】
前記不透明層が請求項1に記載されたように加熱された着色剤を前記不透明コーティングに通過可能にするように構成されている請求項1〜請求項12のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項14】
前記不透明層がポリマーを含む請求項1〜請求項13のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項15】
前記熱活性型着色剤が前記不透明層と前記熱可塑性材料の前記第1の表面との間のポリマーに結合する請求項1〜請求項14のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項16】
前記不透明層が、前記画像が上に形成されている基材からの熱活性型着色剤の放出を促進するように構成されている放出材料を含む請求項1〜請求項15のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項17】
前記画像が基材上に形成され、前記画像が熱の印加時に、前記基材から前記不透明コーティングを通過して前記熱可塑性材料の前記第1の表面に転写される請求項1〜請求項16のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項18】
前記熱活性型着色剤が活性化され、前記熱活性型着色剤が前記不透明コーティングを通過して、前記画像が前記不透明コーティングと前記熱可塑性材料の前記第1の表面との間に形成された後に、前記第1の表面と反対側の前記熱可塑性材料の前記表面を通じて前記画像を見ることができる請求項1〜請求項17のいずれかに記載の転写画像処理の方法。
【請求項19】
画像処理された熱可塑性材料であって、
熱可塑性材料基材であって、前記熱可塑性材料基材が光を前記熱可塑性材料基材の第1の表面の反対側の前記熱可塑性材料基材の表面から前記熱可塑性材料基材に通過させる熱可塑性材料基材と、
熱可塑性基材の前記第1の表面上に存在する不透明コーティングであって、熱活性型着色剤を前記不透明コーティングに、前記熱活性型着色剤が熱活性化されているときに通過させるように前記不透明コーティングが構成および配置されている、不透明コーティングと、
前記不透明コーティングと前記熱可塑性基材との間に存在する熱活性型着色剤を備える画像であって、前記画像が前記熱可塑性材料基材の前記第1の表面の反対側の前記熱可塑性材料基材の前記表面から見える画像と
を含む画像処理された熱可塑性材料。
【請求項20】
前記熱可塑性材料基材がアクリルガラスである請求項19に記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項21】
前記熱可塑性材料基材が透明である請求項19または請求項20に記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項22】
前記熱可塑性材料基材が半透明である請求項19または請求項20に記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項23】
前記熱可塑性基材が着色されている請求項19〜請求項22のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項24】
前記不透明コーティングが実質的に白色である請求項19〜請求項23のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項25】
前記不透明コーティングが実質的に二酸化チタンを含む請求項19〜請求項24のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項26】
前記熱活性型着色剤が昇華性染料を含み、前記不透明コーティングが、前記昇華性染料を気化させるための前記昇華性染料への熱の印加時に、気化された前記昇華性染料を前記不透明コーティングに通過させるように構成および配置されている、請求項19〜請求項25のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項27】
前記不透明層がポリマーを備える請求項19〜請求項26のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。
【請求項28】
前記熱活性型着色剤が前記不透明層と前記熱可塑性材料基材の第1の表面との間に存在するポリマーに結合する請求項19〜請求項27のいずれかに記載の画像処理された熱可塑性材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510741(P2013−510741A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538977(P2012−538977)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056365
【国際公開番号】WO2011/060155
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(504329001)ソーグラス・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】