説明

透明ガラス体、この製造方法、およびこの用途

本発明は、透明ガラス体の少なくとも1つの表面上に構築された少なくとも1つの反射防止ガラス表面(2)と、および反射防止ガラス表面(2)に付けられた少なくとも1層のガラス様保護被膜(3)を含む透明ガラス体に関する。反射される放射の割合Eが最小化されると、従って透過する放射Eは増加する。混入物Kは、非常に限られた量でしか反射防止表面に進入できない。風化による劣化は最小限になる。本発明はさらに、透明ガラス体の製造方法、および透明ガラス体の用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止ガラス表面を持つ新規透明ガラス体に関する。
【0002】
さらには、本発明は、反射防止ガラス表面を持つ新規透明ガラス体の新規製造方法に関する。
【0003】
さらには、本発明は、構造用ガラス、建築用ガラス、または自動車用ガラス、ならびに太陽光発電用および太陽熱エネルギー変換用製品における、反射防止ガラス表面を持つ新規透明ガラス体の用途に関する。
【背景技術】
【0004】
ガラス表面の反射低減は、様々な手段で実現することができる。干渉光学層系では、屈折率の異なる2種以上の薄層でガラス表面を覆うことによる破壊的干渉により、反射された放射の一部は消失する。このような方法は、例えば、US6,495,203B2で公知である。
【0005】
または、単層系の屈折率がこの下にある物質の屈折率の累乗根にほぼ相当する場合、単層系で反射低減を達成することができる。屈折率の調節は、単層系については、ガラス表面を網構造化する(skeletonizing)かガラス表面を多孔質フィルムで覆うことにより達成することができる。ガラス表面を多孔質ケイ酸塩フィルムで覆う従来法は、特許DE10146687C1にて開示されている。DE102005020168A1から、多孔質ケイ酸塩フィルムの長期安定性を高めるためのさらなる疎水性被膜の利用が公知である。
【0006】
網構造化表面を持つ透明ガラス体の製造方法は、DE822714Bに開示されている。US6,929,861Aには、自身の構造により浄化性能が改善された網構造化(skeletonized)ガラス表面が公知である。
【0007】
多孔質または網構造化ガラス表面および被膜は、風化、特に水分の存在下での風化で劣化する。多孔質または網構造化ガラス表面および被膜の相対的に広くて制約なく曝される表面が原因であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,495,203号明細書
【特許文献2】独国特許第10146687号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102005020168号明細書
【特許文献4】独国公告特許第822714号明細書
【特許文献5】米国特許第6,929,861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、耐候性反射防止表面を有する新規透明ガラス体を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、簡単でありながら非常に再現性の高い様式で、大量に、耐候性表面を持つ透明反射防止ガラス体をもたらす、新規透明ガラス体の新規製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、構造用ガラス、建築用ガラス、または自動車用ガラス、ならびに太陽光発電用および太陽熱エネルギー変換用製品における、新規透明ガラス体の新規用途を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下を含む透明ガラス体を提供する:
a.透明ガラス体の少なくとも1つの表面上に構築された少なくとも1つの反射防止ガラス表面、および
b.反射防止ガラス表面に付けられた少なくとも1層のガラス様保護被膜。
【0013】
以下において、反射防止性で、透明で、耐候性のガラス体を、「本発明のガラス体」と示す。
【0014】
さらに、反射防止性で、透明で、耐候性のガラス体の新規製造方法が見出され、この方法において:
I)反射低減溶液を少なくとも1つのガラス表面に塗布することにより、網構造化表面を得る、
II)網構造化表面から組成物をすすぎ落とす、
III)網構造化表面を持つ透明ガラス体にゾルゲル溶液を塗布する、
IV)網構造化表面上で組成物を20℃から200℃で乾燥させて被膜を作る、
V)被膜を200℃から750℃で熱処理してガラス様保護被膜を得る。
【0015】
以下において、反射防止性で、透明で、耐候性のガラス体の製造方法を、「本発明の製造方法」と示す。
【0016】
最後に、構造用ガラス、建築用ガラス、または自動車用ガラスにおける、好ましくは太陽光発電用および太陽熱エネルギー変換用製品用ガラスとしての、本発明のガラス体の新規用途、この新規用途を「本発明の用途」と示す。
【0017】
本発明の製造方法は、網構造化表面の反射防止作用を持ち続けながら高い耐候性を有する本発明のガラス体を再現性よく大量に製造することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術の透明ガラス板の断面図。
【図2】本発明の透明ガラス板の断面図。
【図3】先行技術の透明ガラス板の2つの透過率スペクトル。
【図4】本発明の透明ガラス板の2つの透過率スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電磁放射の、透過したもの、反射したもの、および吸収されたものの合計は、入射エネルギーに相当する。透明ガラス体を通じた吸収は一定であるとの仮定の下では、ガラス体の界面での反射を減少させること、即ち反射低減は、透過率の増加を導く。反射低減を通じて、界面、例えば、空気からガラスへ、またはガラスから空気へ入る界面で反射される放射の割合は減少する。
【0020】
屈折率は、電磁放射が2種の媒体の界面へ入射した際の、この屈折即ち方向変化および反射挙動を示す。屈折率は、真空中での光の位相速度と各物質中での光の位相速度の比でもある。
【0021】
単相系での反射低減に対する屈折率調節は、網構造化表面により達成される。空隙のおかげで、網構造層を通る光の平均位相速度は上昇し、従って、屈折率は低下する。網構造化ガラス表面は、層の厚さが30nmから1000nm、好ましくは50nmから200nmである。網構造化ガラス表面は、規定された空隙により互いが分離されているケイ酸塩を含有している。空隙の平均幅は、0.1nmから200nm、好ましくは0.5nmから50nmの範囲にある。ガラス体の深さ方向への空隙の寸法が、平均での網構造化ガラス表面の厚さを決定する。
【0022】
空気からガラスへ入る界面で約1.22の屈折率だと、反射、詳細には可視光の反射は最小になる。網構造化ガラス表面の屈折率は、1.22から1.45の範囲、好ましくは1.25から1.40の範囲にある。全体としては、構造は、網構造化ガラス表面で得ようとする屈折率、この表面の層の厚さ、およびこの表面の層の安定性に基づいて最適化されている。
【0023】
網構造化ガラス表面の製造プロセスを通じて、少量のフッ素化合物、好ましくはフッ化物およびフルオロ錯体、詳細には、HF、SiF、およびNaF、および/またはこれらの混合物が、網構造化表面に残存する。例えば、風化を通じて、水分と一緒になることで、網構造の分解が倍増される。
【0024】
本発明の保護被膜は、風化により引き起こされる反射防止被膜の劣化を防ぐことが見出されている。保護被膜の目的は、水分、有機混入物、および/または無機混入物が網状構造の空隙に進入するのを最小限にすることである。
【0025】
本明細書では、劣化は、反射防止層および/または透明ガラス体の全体または部分的崩壊を通じた透過率の減少を意味する。風化は、通常、製品の完成と同時に始まり、貯蔵、輸送、さらなる加工、および製品寿命全体に渡って起こっている。
【0026】
風化試験は、促進気候曝露を用いて行うことができる。DIN−EN61215:2005、試験10.13では、太陽光電池モジュールの製品寿命について、中緯度地域での屋外での風化約20年に相当する、試験期間1000時間の温度85℃相対湿度85%での水分/熱試験が記載されている。
【0027】
劣化に対する保護被膜は、網構造化層の空隙を埋めないか、空隙を完全に埋めるか、上限50%で部分的に埋めるかである。また、閉じられた連続層が、完全に埋めないか上限50%で部分的に埋めるかで網構造化層を覆って存在する。保護被膜の厚さは、5nmから1000nm、好ましくは10nmから200nmである。網構造化ガラス表面を保護被膜で覆うことにより、表面の反射低減は持続する。
【0028】
保護被膜は、金属酸化物または半金属酸化物、好ましくはSi、Ti、Zr、Al、Sn、W、Ceの酸化物を含有し、特に好ましいのはケイ酸塩である。保護被膜自身での日光の吸収は、保護被膜の層厚さに依存して、極小から完全に無視できる程度である。
【0029】
空気からガラスへの界面では、光の通常入射の場合、反射損失は約4%である。従って、吸収を無視できる高透明ガラス板は、透過率が約92%である。高透明ガラスでは、片面を反射低減とすることで、DIN−EN410:1998によるエネルギー透過率>93%が達成される。様々な種類の高吸収ガラスを考慮すると、本発明のガラス体は、網構造化表面および保護層も含めて、DIN−EN410:1998によるエネルギー透過率が、>80%、好ましくは>90%、特に好ましくは>93%である。
【0030】
ガラス体のエネルギー透過率は、DIN−EN410:1998に従って、ガラス体の透過率スペクトルを、300nmから2500nmの範囲で重みづけした太陽スペクトルで数学的に変換することで、計算される。エネルギー透過率は、放射線物理学におけるガラスの特徴変数である。
【0031】
透明ガラス体が、例えば、太陽熱エネルギーまたは建築ガラスで直接の熱生成に用いられる場合、エネルギー移動は熱注入についての特徴変数である。太陽熱エネルギー製品において、太陽の放射エネルギーは、適した熱交換器中、好ましくは300nmから2500nmの全スペクトルにわたって吸収される。好ましくは、液体、詳細には水または熱的に安定な有機化合物を含有する液体が、主要貯蔵媒体として用いられる。熱は、個人宅において、または産業において、加工熱として、または有用熱として、一次利用または二次利用することができる。
【0032】
太陽光発電モジュールは、太陽光を電気エネルギーに直接変換するのに用いられる太陽電池の直列回路を有する。太陽電池は、半導体材料、詳細には非晶質から単結晶構造を持つケイ素、ならびにカドミウム、テルル、および/または黄銅鉱のグループ(銅、インジウム、ガリウム、セレン、および/または合金を含有する)またはこれらの混合物を含有する半導体化合物を含有する。多数の太陽電池について、スペクトル選択性は400nmから1100nmのスペクトル範囲で特に高い。この波長範囲での反射低減は、太陽電池への光の透過率の上昇をもたらし、従って太陽光発電モジュールの電気効率の上昇をもたらす。
【0033】
本発明のガラス体は、好ましくは、太陽光発電モジュールを覆うために用いられる。DIN−EN410:1998による計算に基づいて、放射線物理学の特徴変数を、400nmから1100nmの限られた範囲にわたって計算することができる。
【0034】
本発明のガラス体は、様々な空間的に広がる形状または平面形状を有することができる。本発明のガラス体は、複数の空間方向に、少しだけまたは大きく、折るまたは曲げることができる。本発明のガラス体の表面積は、広範囲の値を取ることができ、本発明の用途に従って各用途目的により決定される。本発明のガラス体は、表面積が、自動車用ガラスでの数平方センチメートルから上限構造用ガラス用の数平方メートルまで可能である。太陽熱エネルギーおよび太陽光発電用カバーガラスとして、本発明のガラス体は、0.5mから3mの表面積を有する。シート厚さは1mmから20mm、好ましくは2.5mmから4.5mmである。
【0035】
ガラス体の硬化は、用途に依存して、特に構造用ガラス、建築用ガラス、または自動車用ガラスの安全性要件に応じて、必要になる。部分プレテンションまたはプレテンションにより、ガラス板の機械的安定性および破壊挙動が上昇する。建築分野での使用については、詳細にはDIN−EN12150:2000の要件を満たさなくてはならない;太陽光発電での使用については、詳細にはDIN−EN61730:2005の要件を満たさなくてはならない。
【0036】
透明ガラス体を製造する本発明の方法において、ガラス体の表面は、溶液の塗布により網構造化される。この溶液は、実質的にHSiFならびに溶解したSiOで構成される。溶解したSiOは、飽和濃度より3ミリモル/リットル高い濃度を上限として用いられる。このための方法は、独国特許第822714B号にて公知である。
【0037】
溶液は、スプレー、ディップ、またはフロー法により塗布される。溶液の塗布の種類は、製造しようとする層の品質にとって非常に重要である。好ましくは、ディップ法が用いられる。同じような板の場合、複数の板を、溶液に垂直に浸漬することができる。本発明の方法の利点は、高度な自動化である。いわゆる「バッチ」法では、本質の処理工程において複数のガラス体を平行して処理して、一定品質で高い処理量が得られる。1回のバッチは、複数の同じような透明ガラス体を、たいていは1つの枠に入れて含む。透明ガラス体を含む枠は、処理段階を次々と平行して移動させられていく。
【0038】
随意の予備段階において、透明ガラス体は洗浄される。どのような種類の混入物または不均一性も、網構造化に用いられるプロセスに影響を及ぼす恐れがあり、最終的に不均一な反射低減をもたらす恐れがある。洗浄プロセスは、複数の段階で、好ましくは脱塩水を用いて行われる。随意の乾燥工程後、洗浄した透明ガラス体を枠におさめて、温度制御されたプールのカスケードに移す。第一段階では、網構造化しようとする透明ガラス体の表面を水酸化ナトリウムまたはフッ化水素を含有する溶液で前処理する。1回以上の中間すすぎ段階後、透明ガラス体の表面を、HSiFならびに溶解したSiOの実溶液で網構造化する。反応速度および作り出される構造の形状は、設定温度および溶液の組成、ならびに表面の前処理によって実質的に決まる。網構造化表面層は、ガラス体積から形成される。空隙対残存材料の比が、屈折率を実質的に決める。網構造化は、1回以上のすすぎ工程後に終結する。
【0039】
保護被膜は、ゾルゲル法を用いて溶液から複数の処理段階を経て網構造化表面に付けられる。溶液は、1回以上の段階で、スプレー、ディップ、フロー、またはスピンコーティング法により塗布され、次いで乾燥される。用いるコーティングの種類および溶液の特性が、層厚さと均一性に実質的な影響を有している。ディップ法が好ましい。溶液の組成は、金属酸化物または二酸化ケイ素のコロイド状懸濁液を含有し、好ましくはSi−アルコキシド、Ti−アルコキシド、Zr−アルコキシド、Al−アルコキシド、Sn−アルコキシド、W−アルコキシド、Ce−アルコキシド、特に好ましくはオルトケイ酸テトラエチル、メチルトリエトキシシラン、および/またはこれらの混合物を含有する。
【0040】
その後の乾燥および熱処理の期間および温度は、溶媒の反応性に依存する。溶液で濡れている網構造化ガラス表面を、20℃から200℃の温度、好ましくは25℃で乾燥させる。ゲルフィルムが形成される。ゲルフィルムを、200℃から750℃の範囲の熱処理でガラス様被膜に変換する。ガラス様被膜は、空隙を埋めないか、または空隙を部分的もしくは完全に埋めるか、および/または閉じられた層として、透明ガラス体の網構造化表面を覆っている。乾燥および熱処理に必要な熱は、熱放射または熱伝導により供給することができる。熱放射として、短波光、可視光、ならびに長波の赤外線放射が挙げられる。または、空気の熱伝導を通じて熱注入が起こり得る。
【0041】
本発明のガラス体は、ガラス板の形で、例えば、自動車構造のガラスとして用いられて、車内の運転者に厄介な反射を防ぐ。本発明のガラス体は、ショーウィンドウにも使用されて、これを眺める人に厄介な反射を防ぐ。
【0042】
本発明のガラス体は、好ましくは、太陽光発電および太陽熱エネルギー用カバーガラスとして用いられる。
【0043】
図1は、片面が反射防止表面(2)である先行技術の透明ガラス板(1)の断面図を示す。反射される放射の割合Eが最小化されると、従って透過する放射Eは増加する。混入物Kは、有機化合物および無機化合物を含むが、詳細には水分を含み、妨げなく反射防止表面に進入できる。
【0044】
図2は、片面が反射防止表面(2)でありさらに保護層を持つ本発明の透明ガラス板(1)の断面図を示す。反射される放射の割合Eが最小化されると、従って透過する放射Eは増加する。混入物Kは、非常に限られた量でしか反射防止表面に進入できない。風化による劣化は最小限になる。
【0045】
図3は、両面が反射防止表面(2)であるが保護層は持たない高透明度の3mm厚さのガラス板(1)について、DIN−EN61215:2005に基づく水分/熱試験の最初の0時間後および促進風化500時間後の2つの透過率スペクトルを示す。図3は、風化した後の透過率スペクトルに明らかな低下を示す。
【0046】
図4は、両面が反射防止表面であり保護層を持つ高透明度の3mm厚さのガラス板について、DIN−EN61215:2005に基づく水分/熱試験の最初の0時間後および促進風化500時間後の2つの透過率スペクトルを示す。透過率スペクトルは、風化による変化をほとんど示さない。
【0047】
本発明のガラス体は、反射防止性の耐候性表面を有する。空気/ガラスまたはガラス/空気の界面で反射される放射の割合Eは最小化される。従って、ガラス体を通過する透過率Eは増加する。反射低減に対する屈折率の調節は、網構造化表面(2)により達成される。風化による劣化は、ガラス様保護被膜(3)により最小限になる。ガラス様被膜(3)は、表面で反射される放射の増加をもたらさない。
【実施例】
【0048】
プレテンション処理していない厚さ3mmの高透明度ガラス板(1)の2つの被検体#1および#2について、網構造化表面(2)で両面を反射低減させた。被検体#2は、本発明に従って、保護層(3)で両面の保護もした。これらの被検体を、DIN−EN61215:2005に基づく水分/熱試験で500時間風化させた。0時間後の初期段階および500時間後に、透過率スペクトルを測定し、エネルギー透過率の値TEを計算した。
【0049】
【表1】

本発明に従って保護被膜(3)を持つガラス板である被検体#2について、透過率の値が風化後も安定なままであったことが実証された。これは、400nmから1100nmの範囲の波長で特に顕著であった。対称的に、保護被膜のない被検体#1は、風化後、透過率の値の下落を示した。
【0050】
保護被膜のないガラス板の透過率スペクトルを図3に示す。本発明のガラス板の透過率曲線を図4に示す。それぞれの場合において、測定されたデータは、水分/熱試験(500時間)での初期段階0時間および500時間風化後について示す。
【0051】
被検体#1と本発明の被検体#2の比較から、本発明の被検体#2の方が風化後の透過率の下落が小さいことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.透明ガラス体の少なくとも1つの表面上に構築された少なくとも1つの反射防止ガラス表面(2)および
b.反射防止ガラス表面(2)に付けられた少なくとも1層のガラス様保護被膜(3)
を含む、透明ガラス体。
【請求項2】
反射防止ガラス表面(2)は、網構造化された構造を有し、層の厚さが30nmから1000nm、および好ましくは50nmから200nmである、請求項1に記載の透明ガラス体。
【請求項3】
網構造化ガラス表面(2)は、ケイ酸塩および空隙を含有する構造を有し、好ましくは空隙の平均幅が0.1nmから200nm、および好ましくは0.5nmから50nmである、請求項1または2に記載の透明ガラス体。
【請求項4】
網構造化ガラス表面(2)は、平均構造深さが30nmから1000nm、および好ましくは50nmから200nmである、請求項1から3の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項5】
網構造化ガラス表面(2)は、フッ素化合物、好ましくはフッ化物およびフルオロ錯体、および特に好ましくはHF、SiF、NaF、および/またはこれらの混合物を含有する、請求項1から4の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項6】
網構造化ガラス表面(2)は、屈折率が1.22から1.45、および好ましくは1.25から1.40である、請求項1から5の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項7】
保護被膜(3)は、Si、Ti、Zr、Al、Sn、W、Ce、および/またはこれらの混合物など1種以上の金属の酸化物、好ましくはケイ酸塩を含有する、請求項1から6の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項8】
保護被膜(3)は層の厚さが5nmから1000nm、および好ましくは10nmから200nmである、請求項1から7の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項9】
透明ガラス体(1)、網構造化表面(2)、および保護被膜(3)は、DIN−EN410:1998による[sic]エネルギー透過率が>80%、好ましくは>90%、および特に好ましくは>93%である、請求項1から8の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項10】
透明ガラス体(1)は硬化されている、請求項1から9の一項に記載の透明ガラス体。
【請求項11】
I)反射低減溶液を少なくとも1つのガラス表面に塗布することにより、網構造化表面(2)を得る、
II)網構造化表面(2)から組成物をすすぎ落とす、
III)網構造化表面(2)を持つ透明ガラス体(1)にゾルゲル溶液を塗布する、
IV)網構造化表面(2)上で組成物を20℃から200℃で乾燥させてゲル被膜を作る、
V)ゲル被膜を200℃から750℃で熱処理してガラス様保護被膜(3)を得る、
透明ガラス体の製造方法。
【請求項12】
網構造化した構造は、HSiFならびにコロイド状の溶解したSiOを含有する反射低減溶液から生成される、請求項11に記載の透明ガラス体の製造方法。
【請求項13】
溶解したSiOは、飽和濃度より3ミリモル/リットル高い濃度を上限として反射低減溶液に用いられる、請求項11または12に記載の透明ガラス体の製造方法。
【請求項14】
ゾルゲル溶液は、金属アルコキシドまたは二酸化ケイ素のコロイド状懸濁液、好ましくは、Si−アルコキシド、Ti−アルコキシド、Zr−アルコキシド、Al−アルコキシド、Sn−アルコキシド、W−アルコキシド、Ce−アルコキシド、特に好ましくは、オルトケイ酸テトラエチル、メチルトリエトキシシラン、および/またはこれらの混合物を含有する、請求項11から13の一項に記載の透明ガラス体の製造方法。
【請求項15】
構造用ガラス、建築用ガラス、または自動車用ガラス、好ましくは太陽光発電用および太陽熱エネルギー変換用製品用ガラスとしての、請求項1から10の一項に記載の透明ガラス体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−517396(P2012−517396A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548698(P2011−548698)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051446
【国際公開番号】WO2010/089382
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】