透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法
【課題】 マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光の取出し効率を向上した透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス基板30の厚みを最小基板厚さT1で形成し、そのガラス基板30の光取出し面30bにガラスペースト層からなる補償ガラス層39を形成した。そして、補償ガラス層39に受容孔39hを形成し、ガラス基板30の機械的強度を補償する凸部39aを形成した。さらに、受容孔39hと相対する位置に隔壁DBwで囲まれる有機EL層OELを形成し、同受容孔39h内に紫外線硬化性樹脂を吐出してマイクロレンズ40を形成した。
【解決手段】 ガラス基板30の厚みを最小基板厚さT1で形成し、そのガラス基板30の光取出し面30bにガラスペースト層からなる補償ガラス層39を形成した。そして、補償ガラス層39に受容孔39hを形成し、ガラス基板30の機械的強度を補償する凸部39aを形成した。さらに、受容孔39hと相対する位置に隔壁DBwで囲まれる有機EL層OELを形成し、同受容孔39h内に紫外線硬化性樹脂を吐出してマイクロレンズ40を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置には、像担持体としての感光ドラムを露光して潜像を形成する電気光学装置としての露光ヘッドが利用されている。近年では、この露光ヘッドの薄型化と軽量化を図るために、露光ヘッドの発光源として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いるものが提案されている。
【0003】
なかでも、この種の露光ヘッドにおいては、構成材料の選択幅を広くできる利便性から、透明基板の一側面(発光素子形成面)上に有機EL素子を形成して有機EL素子の発光した光を発光素子形成面と相対向する他側面(光取出し面)から取り出す、いわゆるボトムエミッション構造が採用されている。
【0004】
しかし、ボトムエミッション構造では、光取出し面と有機EL素子との間に、その有機EL素子を発光させるための各種配線や容量等が形成される。このため、有機EL素子の開口率を低下して、光の取出し効率を低下させる問題があった。
【0005】
そこで、この種の露光ヘッドでは、光の取出し効率を向上するために、有機EL素子から発光された光を集光するレンズ、いわゆるマイクロレンズを光取出し面上に設ける提案がなされている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、有機EL素子と相対向する光取出し面に硬化性樹脂を吐出し、その吐出した樹脂を硬化することによってマイクロレンズを形成している。
【特許文献1】特開2003−291404号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記する露光ヘッドでは、マイクロレンズが、発光素子形成面と光取出し面との間の距離、すなわち透明基板の厚さ分だけ有機EL素子から離間する。そのため、有機EL素子に対するマイクロレンズの開口角(有機EL素子の中心位置からマイクロレンズの直径に対して張る角度)が、透明基板の厚さ分だけ小さくなり、ひいては有機EL素子から発光された光の取出し効率を透明基板の厚さ分だけ損なう問題を招く。
【0007】
こうした問題は、透明基板の厚みを薄くして、その透明基板に有機EL素子とマイクロレンズを形成することによって軽減できると考えられる。しかし、透明基板の厚さを薄くすると、その機械的強度が不足して、有機EL素子やマイクロレンズを形成する時に、透明基板を破損する虞がある。また、透明基板の光取出し面を平滑にする加工が困難となり、その表面粗さ(算術平均粗さ)の劣化に伴ってマイクロレンズの形成位置やその形状にバラツキを来たす虞がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光の取出し効率を向上した透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の透明基板は、光入射面側に入射した光を光取出し面側から出射する透明基板に
おいて、前記光取出し面にマイクロレンズを形成し、前記マイクロレンズの周囲に、前記光取出し面から突出して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成した。
【0010】
本発明の透明基板によれば、光取出し面から突出する強度補償部を形成する分だけ透明基板の機械的強度を補償することができる。そのため、強度補償部を形成する分だけ、予め透明基板の厚さを薄くすることができ、光入射面と光取出し面との間の距離を短くすることができる。しかも、予め形成される光取出し面にマイクロレンズを形成するため、例えば研削加工等によって形成する光取出し面よりも、その表面粗さを小さくすることができる。
【0011】
従って、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光入射面に対するマイクロレンズの開口角を広げることができ、光入射面側から入射した光の取出し効率を向上することができる。
【0012】
この透明基板において、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズである。
【0013】
この透明基板によれば、光取出し面に形成した強度補償層の貫通孔にマイクロレンズを形成するため、貫通孔を形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部のサイズを大きくすることができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面側から入射した光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0014】
この透明基板において、前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有するレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔である。
【0015】
この透明基板によれば、貫通孔が、マイクロレンズの開口径と相対する内径を備える円形孔で形成されるため、マイクロレンズを形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部を光取出し面の略全面にわたり形成することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面から入射した光の取り出し効率をさらに向上することができる。
【0016】
この透明基板において、前記透明基板は、ガラス基板であって、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものである。
【0017】
この透明基板によれば、光取出し面に塗布したガラスペースト層を焼成して強度補償部を形成するため、透明基板に対する強度補償部の密着性を容易に確保することができ、透明基板と強度補償部の熱膨張率等を略同じにすることができる。従って、透明基板の機械的強度をさらに向上することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面側から入射した光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置は、透明基板の発光素子形成面に形成された発光素子から発光された光を前記発光素子形成面と相対向する前記透明基板の光取出し面側から出射する電気光学装置において、前記光取出し面であって前記発光素子と対峙する位置にマイクロレンズを形成し、そのマイクロレンズの周囲に、前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成した。
【0019】
本発明の電気光学装置によれば、光取出し面から突出する強度補償部を形成する分だけ透明基板の機械的強度を補償することができる。そのため、強度補償部を形成する分だけ、透明基板の厚みを薄くすることができ、発光素子形成面と光取出し面との間の距離を短くすることができる。しかも、予め形成される光取出し面にマイクロレンズを形成するため、例えば研削加工等によって形成する光取出し面よりも、その表面粗さを小さくすることができる。
【0020】
従って、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光入射面に対するマイクロレンズの開口角を広げることができ、発光素子から発光された光の取出し効率を向上することができる。
【0021】
この電気光学装置において、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズである。
【0022】
この電気光学装置によれば、光取出し面に形成した強度補償層の貫通孔にマイクロレンズを形成するため、貫通孔を形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部のサイズを大きくすることができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0023】
この電気光学装置において、前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有する凸形状のレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔である。
【0024】
この電気光学装置によれば、貫通孔がマイクロレンズの開口径と相対する内径を備える円形孔で形成されるため、マイクロレンズを形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部を光取出し面の略全面にわたり形成することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取り出し効率をさらに向上することができる。
【0025】
この電気光学装置において、前記透明基板はガラス基板であって、前記強度補償部は前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものである。
【0026】
この電気光学装置によれば、光取出し面に積層したガラスペースト層を焼成して強度補償部を形成するため、透明基板に対する強度補償部の密着性を容易に確保することができ、透明基板と強度補償部の熱膨張率等を略同じにすることができる。従って、透明基板の機械的強度をさらに向上することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0027】
この電気光学装置において、前記発光素子は、前記光取出し面側に形成した透明電極と、前記透明電極と相対して形成した背面電極と、前記透明電極と前記背面電極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子である。
【0028】
この電気光学装置によれば、エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取り出し効率を向上することができる。
この電気光学装置において、前記発光層は、有機材料で形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0029】
この電気光学装置によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取出し効率を向上することができる。
本発明の画像形成装置は、像担持体の外周面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体の外周面を露光して潜像を形成する露光手段と、前記潜像に対して着色粒子を供給して顕像を現像する現像手段と、前記顕像を転写媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記露光手段は、上記する電気光学装置を備えた。
【0030】
本発明の画像形成装置によれば、帯電した像担持体を露光する露光手段が上記電気光学装置を備えるようになる。従って、発光素子から発光された露光光の取出し効率を向上することができる。
【0031】
本発明の電気光学装置の製造方法は、透明基板の光取出し面に強度補償層を積層した後に、前記強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成するとともに、前記光取出し面と相対向する前記透明基板の発光素子形成面上であって前記貫通孔と相対向する位置に発光素子を形成して、前記発光素子から発光された光を出射するマイクロレンズを前記貫通孔に形成するようにした。
【0032】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、透明基板の光取出し面に、その透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成する分だけ、透明基板の厚さを薄くして、前記光取出し面と発光素子形成面との間の距離を短くすることができる。従って、発光素子に対するマイクロレンズの開口角を拡大することができ、発光素子から発光された光の取出し効率を向上した電気光学装置を製造することができる。
【0033】
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子であって、発光層形成材料からなる液滴を液滴吐出装置から隔壁内に吐出し、吐出した前記液滴を硬化することによって前記発光層を形成するようにした。
【0034】
この電気光学装置の製造方法によれば、液滴吐出装置から隔壁内に吐出する液滴によって発光層を形成するため、エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取出し効率を向上した電気光学装置をより簡便な方法によって製造することができる。
【0035】
この電気光学装置の製造方法において、前記隔壁をマスクにして感光性材料からなる前記強度補償層を露光し、前記強度補償層を現像することによって前記貫通孔を形成するようにした。
【0036】
この電気光学装置の製造方法によれば、隔壁をマスクにして貫通孔をパターニングするため、隔壁の位置と貫通孔の位置とを整合させることができ、発光層の位置とマイクロレンズの位置を整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に向上することができる。
【0037】
この電気光学装置の製造方法において、前記強度補償部をマスクにして感光性材料からなる隔壁層を露光し、前記隔壁層を現像することによって前記隔壁を形成するようにした。
【0038】
この電気光学装置の製造方法によれば、強度補償部をマスクにして隔壁をパターニングするため、隔壁の位置と貫通孔の位置とを整合させることができ、発光層の位置とマイクロレンズの位置とを整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に
向上することができる。
【0039】
この電気光学装置の製造方法において、感光性材料からなる前記強度補償層と感光性材料からなる隔壁層を同時に露光して、前記貫通孔に対応するパターンを前記強度補償層及び前記隔壁層に形成し、前記強度補償層及び前記隔壁層を現像することによって前記貫通孔及び前記隔壁を形成するようにした。
【0040】
この電気光学装置の製造方法によれば、強度補償層及び隔壁層を同時に露光して、貫通孔及び隔壁を形成するため、貫通孔に形成するマイクロレンズの位置と隔壁内に形成する発光層の位置を整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1は、画像形成装置としての電子写真方式プリンタを示す概略側断面図である。
(電子写真方式プリンタ)
図1に示すように、電子写真方式プリンタ10(以下単に、プリンタ10という。)は、箱体状に形成される筐体11を備えている。その筐体11内には、駆動ローラ12、従動ローラ13及びテンションローラ14が設けられ、各ローラ12〜14に対して転写媒体としての中間転写ベルト15が張設されている。そして、駆動ローラ12の回転によって、中間転写ベルト15は、図1における矢印方向に循環駆動可能に備えられている。
【0042】
中間転写ベルト15の上方には、4体の像担持体としての感光ドラム16が、中間転写ベルト15の張設方向(副走査方向Y)に回転可能に併設されている。その感光ドラム16の外周面には、光導電性を有する感光層16a(図4参照)が形成されている。感光層16aは、暗中でプラス又はマイナスの電荷を帯電し、所定の波長領域からなる光を照射されると、照射された部位の電荷が消失されるようになっている。すなわち、電子写真方式プリンタ10は、これら4体の感光ドラム16によって構成されるタンデム式のプリンタである。
【0043】
各感光ドラム16の周囲には、それぞれ帯電手段としての帯電ローラ19、露光手段を構成する電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスアレイ露光ヘッド20(以下単に、露光ヘッド20という。)、現像手段としてのトナーカートリッジ21、転写手段を構成する一次転写ローラ22及びクリーニング手段23が配設されている。
【0044】
帯電ローラ19は、感光ドラム16に密着する半導電性のゴムローラである。この帯電ローラ19に直流電圧を印加して感光ドラム16を回転すると、感光ドラム16の感光層16aが、全周面にわたり所定の帯電電位に帯電するようになっている。
【0045】
露光ヘッド20は、所定の波長領域の光を出射する光源であって、図2に示すように、長尺板状に形成されている。その露光ヘッド20は、その長手方向を感光ドラム16の軸方向(図1において紙面に直交する方向:主走査方向X)と平行にして、感光層16aから所定の距離だけ離間した位置に位置決めされている。そして、露光ヘッド20が印刷データに基づく光を鉛直方向Z(図1参照)に出射して感光ドラム16が回転方向Roに回転すると、感光層16aが、所定の波長領域の光に露光される。すると、感光層16aは、露光された部位(露光スポット)の電荷を消失して、その外周面に静電的な画像(静電潜像)を形成する。なお、この露光ヘッド20の露光する光の波長領域は、感光層16aの分光感度と整合した波長領域である。つまり、露光ヘッド20の露光する光の発光エネ
ルギーのピーク波長は、前記感光層16aの分光感度のピーク波長と略一致するようになっている。
【0046】
トナーカートリッジ21は、箱体形状に形成されて、その内部に直径10μm程度の着色粒子としてのトナーTを収容する。なお、本実施形態における4体のトナーカートリッジ21には、それぞれ対応する4色(黒、シアン、マゼンタ及びイエロ)のトナーTが収容されている。そのトナーカートリッジ21には、感光ドラム16側から順に、現像ローラ21aと供給ローラ21bが備えられている。供給ローラ21bは、回転することによって、トナーTを現像ローラ21aまで搬送するようになっている。現像ローラ21aは、供給ローラ21bとの摩擦等によって、同供給ローラ21bの搬送したトナーTを帯電させるとともに、帯電したトナーTを同現像ローラ21aの外周面に均一に付着するようになっている。
【0047】
そして、感光ドラム16に前記帯電電位と略等しいバイアス電位を印加した状態で、供給ローラ21b及び現像ローラ21aを回転する。すると、感光ドラム16は、前記露光スポットと現像ローラ21a(トナーT)との間に、前記バイアス電位に相対する静電吸着力を付与する。静電吸着力を受けたトナーTは、同現像ローラ21cの外周面から前記露光スポットに移動して吸着する。これによって、各感光ドラム16(各感光層16a)の外周面には、それぞれ静電潜像に対応した単色の可視像(顕像)が形成される(現像される)。
【0048】
中間転写ベルト15の内側面15aであって前記各感光ドラム16と対峙する位置には、それぞれ一次転写ローラ22が設けられている。一次転写ローラ22は、導電性ローラであって、その外周面が中間転写ベルト15の内側面15aに密着しながら回転する。この一次転写ローラ22に直流電圧を印加して感光ドラム16及び中間転写ベルト15を回転すると、感光層16aに吸着したトナーTが、一次転写ローラ22側への静電吸着力よって中間転写ベルト15の外側面15bに順次移動して吸着するようになっている。すなわち、一次転写ローラ22は、感光ドラム16に形成した顕像を中間転写ベルト15の外側面15bに一次転写する。そして、中間転写ベルト15の外側面15bは、各感光ドラム16と一次転写ローラ22によって、単色からなる顕像の一次転写を4回繰り返し、これらの顕像を重ね合わせることによってフルカラーの画像(トナー像)を得る。
【0049】
クリーニング手段23は、図示しないLED等の光源とゴムブレードを備え、前記一次転写後の感光層16aに光を照射して帯電した感光層16aを除電するようになっている。そして、クリーニング手段23は、除電した感光層16aに残留するトナーTをゴムブレードによって機械的に除去する。
【0050】
中間転写ベルト15の下側には、記録用紙Pを収容した記録用紙カセット24が配設されている。その記録用紙カセット24の上側には、記録用紙Pを中間転写ベルト15側に給紙する給紙ローラ25が配設されている。その給紙ローラ25の上側にあって駆動ローラ12と相対向する位置には、転写手段を構成する二次転写ローラ26が配設されている。二次転写ローラ26は、前記各一次転写ローラ22と同じく導電性ローラであって、記録用紙Pの裏面を押圧し、同記録用紙Pの表面を中間転写ベルト15の外側面15bに接触させている。そして、この二次転写ローラ26に直流電圧を印加して中間転写ベルト15を回転すると、中間転写ベルト15の外側面15bに吸着したトナーTが、記録用紙Pの表面上に順次移動して吸着する。すなわち、二次転写ローラ26は、中間転写ベルト15の外側面15bに形成されたトナー像を記録用紙Pの表面上に二次転写する。
【0051】
二次転写ローラ26の上側には、熱源を内蔵するヒートローラ27aと同ヒートローラ27aを押圧する押圧ローラ27bが配設されている。そして、二次転写後の記録用紙P
がヒートローラ27aと押圧ローラ27bとの間に搬送されると、記録用紙P上に転写されたトナーTが、加熱によって軟化し、記録用紙P内に浸透して硬化する。これによって、記録用紙Pの表面にトナー像が定着する。トナー像を定着させた記録用紙Pは、排紙ローラ28によって筐体11の外側に排出されるようになっている。
【0052】
従って、プリンタ10は、帯電した感光層16aを露光ヘッド20によって露光し、同感光層16aに静電潜像を形成する。次に、プリンタ10は、感光層16aの静電潜像を現像して同感光層16aに単色の顕像を形成する。続いて、プリンタ10は、感光層16aの顕像を中間転写ベルト15上に順次一次転写して同中間転写ベルト15上にフルカラーのトナー像を形成する。そして、プリンタ10は、中間転写ベルト15上のトナー像を記録用紙P上に二次転写し、加熱加圧によってトナー像を定着させて印刷を終了する。
【0053】
次に、上記プリンタ10に備えられた電気光学装置としての露光ヘッド20について以下に説明する。図2は、露光ヘッド20を示す正断面図である。
図2に示すように、露光ヘッド20には、透明基板としてのガラス基板30が備えられている。ガラス基板30は、長尺状に形成された無色透明の無アルカリガラス基板であって、その長手方向(図2における左右方向:主走査方向X)の幅が感光ドラム16の軸方向の幅と略同じ大きさで形成されている。
【0054】
なお、本実施形態では、そのガラス基板30について、上面(感光ドラム16側と反対の面)を発光素子形成面30aとし、下面(感光ドラム16側の面)を光取出し面30bとしている。そして、ガラス基板30の厚みは、その光取出し面30bを平滑(例えば、表面粗さ:平均算術粗さが2μm以下)にして、均一な厚さを得ることができる最小の厚さ(最小基板厚さT1)で形成されるものとする。なお、本実施形態では、その最小基板厚さT1を100μmとしているが、これに限られるものではない。
【0055】
まず、ガラス基板30の発光素子形成面30a側について以下に説明する。図3は、露光ヘッド20を光取出し面30b側から見た平面図である。図4は、図3に示す一点鎖線A−Aに沿った概略断面図である。
【0056】
図2に示すように、ガラス基板30の発光素子形成面30a上には、複数の画素形成領域31が形成されている。各画素形成領域31には、それぞれ薄膜トランジスタ32(以下単に、TFT32という。)と発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)33とからなる画素34が形成されている。TFT32は、印刷データに基づいて生成されたデータ信号によってオン状態となり、そのオン状態に基づいて、有機EL素子33を発光するようになっている。
【0057】
図4に示すように、TFT32は、その最下層にチャンネル膜BCを備えている。チャンネル膜BCは、発光素子形成面30a上に形成される島状のp型ポリシリコン膜であって、その左右両側には、図示しない活性化したn型領域(ソース領域及びドレイン領域)が形成されている。つまり、TFT32は、いわゆるポリシリコン形TFTである。
【0058】
チャンネル膜BCの上側中央位置には、発光素子形成面30a側から順に、ゲート絶縁膜D0、ゲート電極Pg及びゲート配線M1が形成されている。ゲート絶縁膜D0は、シリコン酸化膜等の光透過性を有する絶縁膜であって、チャンネル膜BCの上側及び発光素子形成面30aの略全面に堆積されている。ゲート電極Pgは、タンタル等の低抵抗金属膜であって、チャンネル膜BCの略中央位置と相対向する位置に形成されている。ゲート配線M1は、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、ゲート電極Pgと図示しないデータ線駆動回路とを電気的に接続している。そして、データ線駆動回路がゲート配線M1を介してゲート電極Pgにデータ信号を入力すると、TFT32は、そのデータ信
号に基づいたオン状態となる。
【0059】
チャンネル膜BCであって前記ソース領域及びドレイン領域の上側には、上方に延びるソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcが形成されている。各コンタクトSc,Dcは、チャンネル膜BCとのコンタクト抵抗を低くする金属膜で形成されている。そして、これら各コンタクトSc,Dc及びゲート電極Pg(ゲート配線M1)は、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜D1によってそれぞれ電気的に絶縁されている。
【0060】
各コンタクトSc,コンタクトDcの上側には、それぞれアルミニウム等の低抵抗金属膜からなる電源線M2s及び陽極線M2dが形成されている。電源線M2sは、ソースコンタクトScと図示しない駆動電源とを電気的に接続している。陽極線M2dは、ドレインコンタクトDcと有機EL素子33とを電気的に接続している。これら電源線M2s及び陽極線M2dは、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜D2によって電気的に絶縁されている。そして、TFT32がデータ信号に基づいたオン状態となると、そのデータ信号に応じた駆動電流が、電源線M2s(駆動電源)から陽極線M2d(有機EL素子33)に供給される。
【0061】
図4に示すように、第2層間絶縁膜D2の上側には、有機EL素子33が形成されている。その有機EL素子33の最下層には、透明電極としての陽極Pcが形成されている。陽極Pcは、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、その一端が陽極線M2dに接続されている。その陽極Pcの上側には、各陽極Pcを互いに電気的に絶縁するシリコン酸化膜等の第3層間絶縁膜D3が堆積されている。この第3層間絶縁膜D3には、陽極Pcの略中央位置を上側に開口する円形孔(位置整合孔D3h)が形成されている。
【0062】
その第3層間絶縁膜D3の上側には、感光性ポリイミド等の樹脂で形成される隔壁層DBが堆積されている。その隔壁層DBの位置整合孔D3hと相対向する位置には、上側に向かってテーパ状に開口する円錐孔DBhが形成されている。そして、この円錐孔DBhの内周面によって、隔壁DBwが形成される。
【0063】
陽極Pcの上側にあって位置整合孔D3hの内側には、高分子系の有機材料からなる有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)OELが形成されている。すなわち、有機EL層OELは、位置整合孔D3hの直径(整合径R1)と同じ外径で形成されている。
【0064】
有機EL層OELは、正孔輸送層と発光層の2層からなる有機化合物層であって、その上側には、アルミニウム等の光反射性を有する金属膜からなる背面電極としての陰極Paが形成されている。陰極Paは、発光素子形成面30a側の略全面を覆うように形成され、各画素34が共有することによって各有機EL素子33に共通する電位を供給するようになっている。
【0065】
すなわち、有機EL素子33は、これら陽極Pc、有機EL層OEL及び陰極Paによって形成される有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であって、その発光した光を出射する面(有機EL層OEL)の直径が位置整合孔D3hの内径、つまり整合径R1で形成されている。
【0066】
陰極Paの上側には、接着層La1によって陰極Pa(ガラス基板30)に接着される封止基板38が配設されている。封止基板38は、平面視方向から見てガラス基板30と同サイズに形成される無色透明の無アルカリガラス基板であって、有機EL層OELや各種金属配線の酸化等を防止するようになっている。
【0067】
そして、データ信号に応じた駆動電流が陽極線M2dに供給されると、有機EL層OE
Lは、その駆動電流に応じた輝度で発光する。この際、有機EL層OELから陰極Pa側(図4における上側)に向かって発光された光は、同陰極Paによって反射される。そのため、有機EL層OELから発光された光は、その殆どが、陽極Pc、第2層間絶縁膜D2、第1層間絶縁膜D1、ゲート絶縁膜D0及びガラス基板30を透過して光取出し面30b側(感光ドラム16側)に照射される。
【0068】
次に、ガラス基板30の光取出し面30b側について以下に説明する。
図2に示すように、ガラス基板30の光取出し面30bには、強度補償層としての補償ガラス層39が形成されている。補償ガラス層39は、後述するガラスペースト層Gp(図5参照)のガラス粉末を溶融して焼成したものである。その補償ガラス層39の有機EL層OELと対峙する位置には、その上下方向を貫通する貫通孔としての受容孔39hが形成されている。そして、補償ガラス層39に受容孔39hが形成されることによって強度補償部としての凸部39aが形成される。
【0069】
この凸部39a(補償ガラス層39)の厚みは、後述する画素形成工程(図5に示すステップS12)の加熱処理やプラズマ処理において、ガラス基板30の機械的な破損を回避して、その機械的強度を補償する厚さ(補償厚さT2)に形成されている。なお、本実施形態では、試験等に基づいて、この補償厚さT2を最小基板厚さT1と同じ厚さ、すなわち100μmとしているが、これに限られるものではない。
【0070】
その受容孔39h内には、それぞれマイクロレンズ40が形成されている。マイクロレンズ40は、前記有機EL層OELから発光される光の波長に対して十分な透過率を有する半球面状の光学面を備えた凸形状のレンズであって、図4に示すように、有機EL素子33(有機EL層OEL)の中心位置がその光軸A上に位置するように形成されている。
【0071】
そのマイクロレンズ40の直径(開口径)は、受容孔39hの直径(有機EL層OELの直径)、すなわち整合径R1で形成されている。これによって、マイクロレンズ40は、その周辺部における結像性能を劣化させることなく、有機EL層OELから発光された光を感光層16a側に出射できるようになっている。
【0072】
また、マイクロレンズ40は、その下側曲面(出射面40a)の頂点と感光層16aとの間の距離を像側焦点距離Hfにして、有機EL素子33から光軸Aに沿って発光された光線(平行光線束)の光軸Aとの交点(像側焦点F)を感光層16a上に位置するようになっている。これによって、マイクロレンズ40から出射された光は、感光層16aに所望するサイズの露光スポットを形成できるようになっている。
【0073】
そして、有機EL層OELから発光された光がマイクロレンズ40に入射すると、マイクロレンズ40は、入射した光を集光して感光層16aに露光スポットを形成する。この際、有機EL層OELの中心位置からマイクロレンズ40の直径に対して張る角度(開口角θ1)は、ガラス基板30の厚さが最小基板厚さT1で形成される分だけ拡大される。つまり、マイクロレンズ40は、ガラス基板30の厚さが最小基板厚さT1で形成される分だけ、有機EL層OELから発光された光の取出し効率を向上して露光する光量を増加することができる。
(露光ヘッドの製造方法)
次に、露光ヘッド20の製造方法について以下に説明する。図5は、露光ヘッド20の製造方法を説明するフローチャートであって、図6〜図8は、同露光ヘッド20の製造方法を説明する説明図である。
【0074】
図5に示すように、はじめにガラスペースト層貼着工程を行う(ステップS11)。すなわち、ガラス基板30の光取出し面30bにガラスペースト層Gp(図6参照)を貼着
して凸部39aを形成する。
【0075】
なお、本実施形態におけるガラスペースト層Gpは、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料であって、ガラス粉末、結着樹脂及び感光性樹脂等からなるペーストである。そのガラス粉末は、酸化鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素の混合物や、酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素の混合物等であって、約400〜600℃の軟化点を有する粉末である。また、結着樹脂は、加熱することによってガラス基板30との接着性を有する樹脂(例えば、アクリル樹脂等)であって、後述する焼成によって補償ガラス層39から分解除去されるものである。さらに、感光性樹脂は、所定の波長からなる露光光を露光することによって現像液に可溶となる樹脂であって、結着樹脂と同じく、後述する焼成によって補償ガラス層39から分解除去されるものである。
【0076】
まず、ガラスペースト層貼着工程では、図示しない支持基板上に積層されるガラスペースト層Gpを、加熱ローラ等によって光取出し面30bに熱圧着し、図6に示すように、ガラスペースト層Gpを前記支持基板からガラス基板30に貼着する。
【0077】
続いて、受容孔39h(隔壁DBw)に相対する所定のパターンを有したフォトマスクMkをガラスペースト層Gpに重ねあわせ、同ガラスペースト層Gpを露光・現像する。これによって、ガラスペースト層Gpに、整合径R1を直径とする受容孔39hをパターニングする。受容孔39hをパターニングすると、ガラス基板30を所定の高温雰囲気下に配置して、ガラスペースト層Gpに含有される有機物(結着樹脂及び感光性樹脂)を分解除去し、ガラス粉末を溶融して焼成する。そして、光取出し面30b上に受容孔39hと凸部39aからなる補償ガラス層39を形成する。
【0078】
図5に示すように、光取出し面30bに凸部39aを形成すると、続いて画素形成工程を行う(ステップS12)。すなわち、ガラス基板30の発光素子形成面30a上に画素34を形成する。
【0079】
図7に示すように、画素形成工程では、まず、発光素子形成面30a全面にエキシマレーザ等によって結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜をパターニングして各画素形成領域31内にチャンネル膜BCを形成する。チャンネル膜BCを形成すると、熱CVD法等によって、そのチャンネル膜BC及び発光素子形成面30aの上側全面にシリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜D0を形成し、そのゲート絶縁膜D0の上側全面にタンタル等の低抵抗金属膜を堆積する。次に、その低抵抗金属膜をパターニングして、ゲート絶縁膜D0の上側にゲート電極Pgを形成する。ゲート電極Pgを形成すると、そのゲート電極Pgをマスクにしたイオンドーピング法によって、チャンネル膜BCにn型領域(ソース領域及びドレイン領域)を形成する。
【0080】
チャンネル膜BCにソース領域及びドレイン領域すると、ゲート電極Pg及びゲート絶縁膜D0の上側全面にITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、同透明導電膜をパターニングすることによって、ゲート電極Pgの上側にゲート配線M1を形成する。ゲート配線M1を形成すると、プラズマCVD法等によって、ゲート配線M1及びゲート絶縁膜D0の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜D1を形成し、その第1層間絶縁膜D1であってソース領域及びドレイン領域と相対する位置に一対のコンタクトホールをパターニングする。そして、コンタクトホール内を金属膜で埋め込むことによって、ソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcを形成する。
【0081】
各コンタクトSc,Dcを形成すると、各コンタクトSc,Dc及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積し、その金属膜をパターニングすることに
よって各コンタクトSc,Dcに接続する電源線M2s及び陽極線M2dを形成する。次に、これら電源線M2s、陽極線M2d及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜D2を堆積し、その第2層間絶縁膜D2であって陽極線M2dの一部と相対向する位置にビアホールを形成する。続いて、そのビアホール内と第2層間絶縁膜D2の上側全面に、ITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、その透明導電膜をパターニングすることによって陽極線M2dと接続する陽極Pcを形成する。
【0082】
陽極Pcを形成すると、その陽極Pc及び第2層間絶縁膜D2の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜D3を堆積する。そして、第3層間絶縁膜D3をエッチングして、受容孔39hと相対向する位置に整合径R1からなる位置整合孔D3hを形成する。
【0083】
位置整合孔D3hを形成すると、その位置整合孔D3h内及び第3層間絶縁膜D3の上側全面に光硬化性樹脂からなる隔壁形成材料を塗布し、その隔壁形成材料をパターニングすることによって隔壁DBw(円錐孔DBh)を有する隔壁層DBを形成する。
【0084】
そして、インクジェット法等によって位置整合孔D3h(円錐孔DBh)内に正孔輸送層の構成材料を吐出し、その構成材料を乾燥及び硬化することによって正孔輸送層を形成する。さらに、インクジェット法等によって、その正孔輸送層上に発光層の構成材料(発光層形成材料)を吐出し、その構成材料を乾燥及び硬化することによって発光層を形成する。つまり、直径を整合径R1にする有機EL層OELを形成する。有機EL層OELを形成すると、その有機EL層OEL及び第3層間絶縁膜D3の上側全面にアルミニウム等の金属膜からなる陰極Paを堆積し、陽極Pc、有機EL層OEL及び陰極Paからなる有機EL素子33を形成する。
【0085】
発光素子形成面30a上に画素34を形成すると、画素34(陰極Pa)の上側全面にエポキシ樹脂等からなる接着剤を塗布して接着層La1を形成し、その接着層La1を介して、封止基板38をガラス基板30に貼着する。これによって、封止基板38によって封止される画素34(TFT32及び有機EL素子33)を発光素子形成面30aに形成する。
【0086】
この際、ガラス基板30は、各種加熱処理やプラズマ処理等によって機械的負荷を受けるが、補償厚さT2からなる凸部39a(補償ガラス層39)によってその機械的強度が補償され、その機械的破損を回避することができる。
【0087】
図5に示すように、発光素子形成面30aに画素34を形成すると、受容孔39hに液滴を吐出する液滴吐出工程を行う(ステップS13)。図8は、液滴吐出工程を説明する説明図である。まず、液滴を吐出するための液滴吐出装置の構成について説明する。
【0088】
図8に示すように、液滴吐出装置を構成する液滴吐出ヘッド45には、ノズルプレート46が備えられている。そのノズルプレート46の下面(ノズル形成面46a)には、機能液としての紫外線硬化性樹脂Puを吐出する多数のノズルNが上方に向かって形成されている。各ノズルNの上側には、図示しない収容タンクに連通して紫外線硬化性樹脂PuをノズルN内に供給可能にする供給室47が形成されている。各供給室47の上側には、上下方向に往復振動して供給室47内の容積を拡大縮小する振動板48が配設されている。その振動板48の上側であって各供給室47と相対向する位置には、それぞれ上下方向に伸縮して振動板48を振動させる圧電素子49が配設されている。
【0089】
そして、液滴吐出装置に搬送されるガラス基板30は、図8に示すように、その光取出し面30bがノズル形成面46aと相対向する位置に配置されるようになっている。しか
も、ガラス基板30は、発光素子形成面30aをノズル形成面46aと平行にして、かつ各受容孔39hの中心位置をそれぞれノズルNの直下に配置して位置決めされる。
【0090】
ここで、液滴吐出ヘッド45に液滴を吐出するための駆動信号を入力すると、同駆動信号に基づいて圧電素子49が伸縮して供給室47の容積が拡大縮小する。このとき、供給室47の容積が縮小すると、縮小した容積に相対する量の紫外線硬化性樹脂Puが、各ノズルNから微小液滴Dsとして吐出される。吐出された各微小液滴Dsは、それぞれ受容孔39h内の発光素子形成面30aに着弾する。続いて、供給室47の容積が拡大すると、拡大した容積分の紫外線硬化性樹脂Puが、図示しない収容タンクから供給室47内に供給される。つまり、液滴吐出ヘッド45は、こうした供給室47の拡大縮小によって、所定の容量の紫外線硬化性樹脂Puを受容孔39hに向かって吐出する。受容孔39h内に着弾した複数の微小液滴Dsは、図8の2点鎖線で示すように、その表面張力等によって半球面状の表面を呈する液滴Dmを形成する。なお、この際、液滴吐出ヘッド45は、液滴Dmの直径が受容孔39hの直径、すなわち整合径R1となる分だけ微小液滴Dsを吐出する。
【0091】
図5に示すように、受容孔39h内に液滴Dmを形成すると、その液滴Dmを硬化してマイクロレンズ40を形成するレンズ形成工程を行う(ステップS14)。すなわち、液滴Dmに紫外線を照射して液滴Dmを硬化する。これによって、光取出し面30bに、整合径R1からなる開口径を有するマイクロレンズ40を形成する。
【0092】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、ガラス基板30の厚みを最小基板厚さT1で形成し、同ガラス基板30の光取出し面30bに凸部39aを形成してガラス基板30の機械的強度を補償するようにした。従って、ガラス基板30を最小基板厚さT1で形成する分だけ、マイクロレンズ40の開口角θ1を大きくすることができ、有機EL素子33から発光された光の取出し効率を向上した露光ヘッド20を製造することができる。
【0093】
(2)しかも、予め形成される平滑(算術平均粗さRaが1μm以下)な光取出し面30bにマイクロレンズ40を形成するため、その形状のバラツキを抑制することができる。
【0094】
(3)上記実施形態では、受容孔39hと相対向する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成し、その受容孔39h及び円錐孔DBh(隔壁DBw)内に、それぞれ紫外線硬化性樹脂Pu及び有機EL層OELの構成材料を吐出して、マイクロレンズ40及び有機EL層OELを形成するようにした。従って、マイクロレンズ40の形成位置を有機EL層OELと相対向する位置に整合させることができ、その形成位置のバラツキを抑制することができる。
【0095】
(4)しかも、受容孔39hを、マイクロレンズ40の開口径に相当する整合径R1によって形成するため、同マイクロレンズ40の開口径を確実に整合径R1にすることができ、その形状のバラツキを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、図9及び図10に従って説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態における受容孔39hと隔壁DBw(隔壁層DB)の製造方法を変更したものであり、その他の点では第1実施形態と同一の構成になっている。そのため以下では、変更点である受容孔39hと隔壁DBwの製造方法について詳細に説明する。図9は、第2実施形態における露光ヘッド20の製造方法を説明するフローチャートであって、図10は、同露光ヘッド20の製造方法を説明する説明図である。
【0096】
図9に示すように、はじめにガラス基板30の発光素子形成面30a上にTFT32を形成し、陽極Pc上の隔壁層DBに隔壁DBw(円錐孔DBh)を形成する隔壁前工程を行う(ステップS21)。なお、本実施形態における隔壁層DBは、後述するガラスペースト層Gpを露光する露光光Lp(図10参照)を吸収するようになっている。
【0097】
図9に示すように、陽極Pc上に隔壁DBwを形成すると、ガラスペースト塗布工程を行う(ステップS22)。すなわち、ガラス基板30の光取出し面30bにガラスペーストを塗布してガラスペースト層Gpを形成する。なお、本実施形態におけるガラスペースト層Gpは、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料であって、ガラス粉末及び感光性樹脂等からなるペーストである。
【0098】
図9に示すように、光取出し面30bにガラスペースト層Gpを形成すると、受容孔後工程を行う。すなわち、前記隔壁層DBをマスクにして、同ガラスペースト層Gpを露光光Lpに露光して現像する(ステップS23)。これによって、ガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、隔壁層DBの円錐孔DBhと相対する位置に整合径R1からなる円形孔、すなわち受容孔39hをパターニングすることができる。そして、現像したガラスペースト層Gpを焼成させることによって補償ガラス層39に受容孔39hを形成し、凸部39aを形成することができる。
【0099】
図9に示すように、受容孔39hをパターニングして補償ガラス層39を形成すると、隔壁層DB内に有機EL層OELを形成して有機EL素子33を形成し、受容孔39h内にマイクロレンズ40を形成する(ステップS13,S14)。
【0100】
これによって、ガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、円錐孔DBh(有機EL層OEL)と相対向する位置に受容孔39h(マイクロレンズ40)を自己整合して形成することができる。
【0101】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ガラス粉末を焼成して凸部39aを形成するようにしたが、これに限らず、例えば金属膜等であってもよく、その厚みがガラス基板30の機械的強度を補償することができる厚みに形成できるものであればよい。
・上記実施形態では、透明基板をガラス基板30として具体化したが、これに限らず、例えばポリイミド等のプラスチック基板であってもよく、有機EL層OELから発光された光を透過する透明基板であればよい。
・上記実施形態では、受容孔39hに紫外線硬化性樹脂Puを吐出して液滴Dmを形成するようにした。これに加え、受容孔39hの内周面に撥液処理(例えば、フッ素系のプラズマ処理や撥液材料の塗布等)を施した後に、紫外線硬化性樹脂Puを吐出して液滴Dmを形成するようにしてもよい。これによれば、微小液滴Dsを受容孔39hの内周面に濡れ広がらせることなく、半球面状の表面を呈する液滴Dmを均一に形成することができる。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40の開口径を有機EL層OELの内径(整合径R1)と大きさで形成した。これに限らず、例えば、開口径を整合径R1の2倍のサイズで形成してもよい。つまり、開口径は、マイクロレンズ40の周辺部における結像性能を劣化させることなく、各有機EL層OELに対応して所望するサイズの露光スポットを形成するものであればよい。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を半球面状の凸レンズとしたが、これに限らず、半円柱状レンズや凹レンズとして具体化してもよい。これによれば、有機EL素子33から発光される光の拡散する効率をより向上することができる。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を紫外線硬化性樹脂Puによって形成する構成にしたが、これに限らず、例えば熱硬化性樹脂であってもよく、受容孔39hで硬化可能
な機能液であればよい。
・上記実施形態では、出射面40aの頂点と感光層16aとの間の距離を像側焦点距離Hfとし、有機EL層OELから発光された光を感光層16a上で収束するようにした。これに限らず、出射面40aの頂点と感光層16aとの間の距離は、例えば有機EL層OELの等倍像を得る距離にしてもよく、像側焦点距離Hf等に限定されるものではない。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を液滴吐出装置によって形成する構成にした。これに限らず、マイクロレンズ40を形成する方法は、例えばレプリカ法等によって形成したマイクロレンズ40を受容孔39h内に取付ける構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL素子33の発光を制御するTFT32を画素34毎に1個備える構成にした。これに限らず、有機EL素子33の発光を制御するTFT32を画素34毎に2個以上備える構成にしてもよく、あるいはTFT32をガラス基板30に備えない構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL層OELをインクジェット法によって形成する構成にした。これに限らず、有機EL層OELの形成方法は、例えば、スピンコート法や真空蒸着法等であってもよく、インクジェット法に限定されるものではない。
・上記実施形態では、高分子系の有機材料によって有機EL層OELを形成するようにしたが、低分子系の有機材料であってもよく、さらには無機材料で形成するEL層であってもよい。
・上記実施形態では、電気光学装置を露光ヘッド20として具体化したが、これに限らず、例えば液晶パネルに装着されるバックライト等であってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型ディスプレイ(FEDやSED等)であってもよい。
・上記第2実施形態では、隔壁層DBに隔壁をマスクにしてガラスペースト層Gpを露光するようにした。これに限らず、例えば図11に示すように、隔壁層DBを形成する前に、補償ガラス層39(受容孔39h)を形成するようにしてもよい。そして、受容孔39hを形成した後に、第3層間絶縁膜D3の上側全面に隔壁形成材料を塗布し、補償ガラス層39をマスクにして前記隔壁形成材料を露光・現像するようにしてもよい。
【0102】
これによれば、隔壁形成材料を露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、補償ガラス層39の受容孔39hと相対する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成することができる。なお、この際、補償ガラス層39が、隔壁形成材料を露光する露光光Lpを吸収して、隔壁形成材料が、露光された部分のみを現像液に溶解するポジ型の感光性材料で構成されるのが望ましい。
・さらには、図12に示すように、隔壁形成材料とガラスペースト層Gpを同時に露光して、円錐孔DBh(隔壁DBw)及び受容孔39hに相当するパターンを形成するようにしてもよい。これによれば、隔壁形成材料を露光するためのフォトマスク、若しくはガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、受容孔39hと相対する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成することができる。なお、この際、隔壁形成材料及びガラスペースト層Gpは、露光された部分のみを現像液に溶解するポジ型の感光性材料で構成されるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の画像形成装置を示す概略側断面図。
【図2】同じく、露光ヘッドを示す概略正断面図。
【図3】同じく、露光ヘッドを示す概略平面面図。
【図4】同じく、露光ヘッドを示す拡大断面図。
【図5】同じく、露光ヘッドの製造方法を説明するフローチャート。
【図6】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図7】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図8】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図9】第2実施形態の露光ヘッドの製造方法を説明するフローチャート。
【図10】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図11】変更例における露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図12】変更例における露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【符号の説明】
【0104】
10…画像形成装置としてのプリンタ、15…転写媒体としての中間転写ベルト、16…像担持体としての感光ドラム、19…帯電手段としての帯電ローラ、20…露光手段を構成する電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスアレイ露光ヘッド、21…現像手段としてのトナーカートリッジ、22…転写手段を構成する一転写ローラ、26…転写手段を構成する二次転写ローラ、30…透明基板としてのガラス基板、30a…発光素子形成面、30b…光取出し面、33…発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子、39…強度補償層としての補償ガラス層、39a…強度補償部としての凸部、39h…貫通孔としての受容孔、40…マイクロレンズ、45…液滴吐出装置を構成する液滴吐出ヘッド、Gp…ガラスペースト層、OEL…発光層としての有機エレクロトルミネッセンス層、Pa…背面電極としての陰極、Pc…透明電極としての陽極、T…着色粒子としてのトナー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置には、像担持体としての感光ドラムを露光して潜像を形成する電気光学装置としての露光ヘッドが利用されている。近年では、この露光ヘッドの薄型化と軽量化を図るために、露光ヘッドの発光源として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いるものが提案されている。
【0003】
なかでも、この種の露光ヘッドにおいては、構成材料の選択幅を広くできる利便性から、透明基板の一側面(発光素子形成面)上に有機EL素子を形成して有機EL素子の発光した光を発光素子形成面と相対向する他側面(光取出し面)から取り出す、いわゆるボトムエミッション構造が採用されている。
【0004】
しかし、ボトムエミッション構造では、光取出し面と有機EL素子との間に、その有機EL素子を発光させるための各種配線や容量等が形成される。このため、有機EL素子の開口率を低下して、光の取出し効率を低下させる問題があった。
【0005】
そこで、この種の露光ヘッドでは、光の取出し効率を向上するために、有機EL素子から発光された光を集光するレンズ、いわゆるマイクロレンズを光取出し面上に設ける提案がなされている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、有機EL素子と相対向する光取出し面に硬化性樹脂を吐出し、その吐出した樹脂を硬化することによってマイクロレンズを形成している。
【特許文献1】特開2003−291404号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記する露光ヘッドでは、マイクロレンズが、発光素子形成面と光取出し面との間の距離、すなわち透明基板の厚さ分だけ有機EL素子から離間する。そのため、有機EL素子に対するマイクロレンズの開口角(有機EL素子の中心位置からマイクロレンズの直径に対して張る角度)が、透明基板の厚さ分だけ小さくなり、ひいては有機EL素子から発光された光の取出し効率を透明基板の厚さ分だけ損なう問題を招く。
【0007】
こうした問題は、透明基板の厚みを薄くして、その透明基板に有機EL素子とマイクロレンズを形成することによって軽減できると考えられる。しかし、透明基板の厚さを薄くすると、その機械的強度が不足して、有機EL素子やマイクロレンズを形成する時に、透明基板を破損する虞がある。また、透明基板の光取出し面を平滑にする加工が困難となり、その表面粗さ(算術平均粗さ)の劣化に伴ってマイクロレンズの形成位置やその形状にバラツキを来たす虞がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光の取出し効率を向上した透明基板、電気光学装置、画像形成装置及び電気光学装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の透明基板は、光入射面側に入射した光を光取出し面側から出射する透明基板に
おいて、前記光取出し面にマイクロレンズを形成し、前記マイクロレンズの周囲に、前記光取出し面から突出して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成した。
【0010】
本発明の透明基板によれば、光取出し面から突出する強度補償部を形成する分だけ透明基板の機械的強度を補償することができる。そのため、強度補償部を形成する分だけ、予め透明基板の厚さを薄くすることができ、光入射面と光取出し面との間の距離を短くすることができる。しかも、予め形成される光取出し面にマイクロレンズを形成するため、例えば研削加工等によって形成する光取出し面よりも、その表面粗さを小さくすることができる。
【0011】
従って、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光入射面に対するマイクロレンズの開口角を広げることができ、光入射面側から入射した光の取出し効率を向上することができる。
【0012】
この透明基板において、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズである。
【0013】
この透明基板によれば、光取出し面に形成した強度補償層の貫通孔にマイクロレンズを形成するため、貫通孔を形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部のサイズを大きくすることができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面側から入射した光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0014】
この透明基板において、前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有するレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔である。
【0015】
この透明基板によれば、貫通孔が、マイクロレンズの開口径と相対する内径を備える円形孔で形成されるため、マイクロレンズを形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部を光取出し面の略全面にわたり形成することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面から入射した光の取り出し効率をさらに向上することができる。
【0016】
この透明基板において、前記透明基板は、ガラス基板であって、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものである。
【0017】
この透明基板によれば、光取出し面に塗布したガラスペースト層を焼成して強度補償部を形成するため、透明基板に対する強度補償部の密着性を容易に確保することができ、透明基板と強度補償部の熱膨張率等を略同じにすることができる。従って、透明基板の機械的強度をさらに向上することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、光入射面側から入射した光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置は、透明基板の発光素子形成面に形成された発光素子から発光された光を前記発光素子形成面と相対向する前記透明基板の光取出し面側から出射する電気光学装置において、前記光取出し面であって前記発光素子と対峙する位置にマイクロレンズを形成し、そのマイクロレンズの周囲に、前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成した。
【0019】
本発明の電気光学装置によれば、光取出し面から突出する強度補償部を形成する分だけ透明基板の機械的強度を補償することができる。そのため、強度補償部を形成する分だけ、透明基板の厚みを薄くすることができ、発光素子形成面と光取出し面との間の距離を短くすることができる。しかも、予め形成される光取出し面にマイクロレンズを形成するため、例えば研削加工等によって形成する光取出し面よりも、その表面粗さを小さくすることができる。
【0020】
従って、マイクロレンズの形状やその形成位置のバラツキを回避して、光入射面に対するマイクロレンズの開口角を広げることができ、発光素子から発光された光の取出し効率を向上することができる。
【0021】
この電気光学装置において、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズである。
【0022】
この電気光学装置によれば、光取出し面に形成した強度補償層の貫通孔にマイクロレンズを形成するため、貫通孔を形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部のサイズを大きくすることができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0023】
この電気光学装置において、前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有する凸形状のレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔である。
【0024】
この電気光学装置によれば、貫通孔がマイクロレンズの開口径と相対する内径を備える円形孔で形成されるため、マイクロレンズを形成する領域以外の領域に、透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成することができる。従って、強度補償部を光取出し面の略全面にわたり形成することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取り出し効率をさらに向上することができる。
【0025】
この電気光学装置において、前記透明基板はガラス基板であって、前記強度補償部は前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものである。
【0026】
この電気光学装置によれば、光取出し面に積層したガラスペースト層を焼成して強度補償部を形成するため、透明基板に対する強度補償部の密着性を容易に確保することができ、透明基板と強度補償部の熱膨張率等を略同じにすることができる。従って、透明基板の機械的強度をさらに向上することができ、透明基板の厚さをより薄くすることができる。ひいては、発光素子から発光された光の取出し効率をさらに向上することができる。
【0027】
この電気光学装置において、前記発光素子は、前記光取出し面側に形成した透明電極と、前記透明電極と相対して形成した背面電極と、前記透明電極と前記背面電極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子である。
【0028】
この電気光学装置によれば、エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取り出し効率を向上することができる。
この電気光学装置において、前記発光層は、有機材料で形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0029】
この電気光学装置によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取出し効率を向上することができる。
本発明の画像形成装置は、像担持体の外周面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体の外周面を露光して潜像を形成する露光手段と、前記潜像に対して着色粒子を供給して顕像を現像する現像手段と、前記顕像を転写媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記露光手段は、上記する電気光学装置を備えた。
【0030】
本発明の画像形成装置によれば、帯電した像担持体を露光する露光手段が上記電気光学装置を備えるようになる。従って、発光素子から発光された露光光の取出し効率を向上することができる。
【0031】
本発明の電気光学装置の製造方法は、透明基板の光取出し面に強度補償層を積層した後に、前記強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成するとともに、前記光取出し面と相対向する前記透明基板の発光素子形成面上であって前記貫通孔と相対向する位置に発光素子を形成して、前記発光素子から発光された光を出射するマイクロレンズを前記貫通孔に形成するようにした。
【0032】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、透明基板の光取出し面に、その透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成する分だけ、透明基板の厚さを薄くして、前記光取出し面と発光素子形成面との間の距離を短くすることができる。従って、発光素子に対するマイクロレンズの開口角を拡大することができ、発光素子から発光された光の取出し効率を向上した電気光学装置を製造することができる。
【0033】
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子であって、発光層形成材料からなる液滴を液滴吐出装置から隔壁内に吐出し、吐出した前記液滴を硬化することによって前記発光層を形成するようにした。
【0034】
この電気光学装置の製造方法によれば、液滴吐出装置から隔壁内に吐出する液滴によって発光層を形成するため、エレクトロルミネッセンス素子から発光された光の取出し効率を向上した電気光学装置をより簡便な方法によって製造することができる。
【0035】
この電気光学装置の製造方法において、前記隔壁をマスクにして感光性材料からなる前記強度補償層を露光し、前記強度補償層を現像することによって前記貫通孔を形成するようにした。
【0036】
この電気光学装置の製造方法によれば、隔壁をマスクにして貫通孔をパターニングするため、隔壁の位置と貫通孔の位置とを整合させることができ、発光層の位置とマイクロレンズの位置を整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に向上することができる。
【0037】
この電気光学装置の製造方法において、前記強度補償部をマスクにして感光性材料からなる隔壁層を露光し、前記隔壁層を現像することによって前記隔壁を形成するようにした。
【0038】
この電気光学装置の製造方法によれば、強度補償部をマスクにして隔壁をパターニングするため、隔壁の位置と貫通孔の位置とを整合させることができ、発光層の位置とマイクロレンズの位置とを整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に
向上することができる。
【0039】
この電気光学装置の製造方法において、感光性材料からなる前記強度補償層と感光性材料からなる隔壁層を同時に露光して、前記貫通孔に対応するパターンを前記強度補償層及び前記隔壁層に形成し、前記強度補償層及び前記隔壁層を現像することによって前記貫通孔及び前記隔壁を形成するようにした。
【0040】
この電気光学装置の製造方法によれば、強度補償層及び隔壁層を同時に露光して、貫通孔及び隔壁を形成するため、貫通孔に形成するマイクロレンズの位置と隔壁内に形成する発光層の位置を整合させることができる。従って、マイクロレンズの形成位置のバラツキを回避して、電気光学装置の発光素子から発光された光の取出し効率を、より確実に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1は、画像形成装置としての電子写真方式プリンタを示す概略側断面図である。
(電子写真方式プリンタ)
図1に示すように、電子写真方式プリンタ10(以下単に、プリンタ10という。)は、箱体状に形成される筐体11を備えている。その筐体11内には、駆動ローラ12、従動ローラ13及びテンションローラ14が設けられ、各ローラ12〜14に対して転写媒体としての中間転写ベルト15が張設されている。そして、駆動ローラ12の回転によって、中間転写ベルト15は、図1における矢印方向に循環駆動可能に備えられている。
【0042】
中間転写ベルト15の上方には、4体の像担持体としての感光ドラム16が、中間転写ベルト15の張設方向(副走査方向Y)に回転可能に併設されている。その感光ドラム16の外周面には、光導電性を有する感光層16a(図4参照)が形成されている。感光層16aは、暗中でプラス又はマイナスの電荷を帯電し、所定の波長領域からなる光を照射されると、照射された部位の電荷が消失されるようになっている。すなわち、電子写真方式プリンタ10は、これら4体の感光ドラム16によって構成されるタンデム式のプリンタである。
【0043】
各感光ドラム16の周囲には、それぞれ帯電手段としての帯電ローラ19、露光手段を構成する電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスアレイ露光ヘッド20(以下単に、露光ヘッド20という。)、現像手段としてのトナーカートリッジ21、転写手段を構成する一次転写ローラ22及びクリーニング手段23が配設されている。
【0044】
帯電ローラ19は、感光ドラム16に密着する半導電性のゴムローラである。この帯電ローラ19に直流電圧を印加して感光ドラム16を回転すると、感光ドラム16の感光層16aが、全周面にわたり所定の帯電電位に帯電するようになっている。
【0045】
露光ヘッド20は、所定の波長領域の光を出射する光源であって、図2に示すように、長尺板状に形成されている。その露光ヘッド20は、その長手方向を感光ドラム16の軸方向(図1において紙面に直交する方向:主走査方向X)と平行にして、感光層16aから所定の距離だけ離間した位置に位置決めされている。そして、露光ヘッド20が印刷データに基づく光を鉛直方向Z(図1参照)に出射して感光ドラム16が回転方向Roに回転すると、感光層16aが、所定の波長領域の光に露光される。すると、感光層16aは、露光された部位(露光スポット)の電荷を消失して、その外周面に静電的な画像(静電潜像)を形成する。なお、この露光ヘッド20の露光する光の波長領域は、感光層16aの分光感度と整合した波長領域である。つまり、露光ヘッド20の露光する光の発光エネ
ルギーのピーク波長は、前記感光層16aの分光感度のピーク波長と略一致するようになっている。
【0046】
トナーカートリッジ21は、箱体形状に形成されて、その内部に直径10μm程度の着色粒子としてのトナーTを収容する。なお、本実施形態における4体のトナーカートリッジ21には、それぞれ対応する4色(黒、シアン、マゼンタ及びイエロ)のトナーTが収容されている。そのトナーカートリッジ21には、感光ドラム16側から順に、現像ローラ21aと供給ローラ21bが備えられている。供給ローラ21bは、回転することによって、トナーTを現像ローラ21aまで搬送するようになっている。現像ローラ21aは、供給ローラ21bとの摩擦等によって、同供給ローラ21bの搬送したトナーTを帯電させるとともに、帯電したトナーTを同現像ローラ21aの外周面に均一に付着するようになっている。
【0047】
そして、感光ドラム16に前記帯電電位と略等しいバイアス電位を印加した状態で、供給ローラ21b及び現像ローラ21aを回転する。すると、感光ドラム16は、前記露光スポットと現像ローラ21a(トナーT)との間に、前記バイアス電位に相対する静電吸着力を付与する。静電吸着力を受けたトナーTは、同現像ローラ21cの外周面から前記露光スポットに移動して吸着する。これによって、各感光ドラム16(各感光層16a)の外周面には、それぞれ静電潜像に対応した単色の可視像(顕像)が形成される(現像される)。
【0048】
中間転写ベルト15の内側面15aであって前記各感光ドラム16と対峙する位置には、それぞれ一次転写ローラ22が設けられている。一次転写ローラ22は、導電性ローラであって、その外周面が中間転写ベルト15の内側面15aに密着しながら回転する。この一次転写ローラ22に直流電圧を印加して感光ドラム16及び中間転写ベルト15を回転すると、感光層16aに吸着したトナーTが、一次転写ローラ22側への静電吸着力よって中間転写ベルト15の外側面15bに順次移動して吸着するようになっている。すなわち、一次転写ローラ22は、感光ドラム16に形成した顕像を中間転写ベルト15の外側面15bに一次転写する。そして、中間転写ベルト15の外側面15bは、各感光ドラム16と一次転写ローラ22によって、単色からなる顕像の一次転写を4回繰り返し、これらの顕像を重ね合わせることによってフルカラーの画像(トナー像)を得る。
【0049】
クリーニング手段23は、図示しないLED等の光源とゴムブレードを備え、前記一次転写後の感光層16aに光を照射して帯電した感光層16aを除電するようになっている。そして、クリーニング手段23は、除電した感光層16aに残留するトナーTをゴムブレードによって機械的に除去する。
【0050】
中間転写ベルト15の下側には、記録用紙Pを収容した記録用紙カセット24が配設されている。その記録用紙カセット24の上側には、記録用紙Pを中間転写ベルト15側に給紙する給紙ローラ25が配設されている。その給紙ローラ25の上側にあって駆動ローラ12と相対向する位置には、転写手段を構成する二次転写ローラ26が配設されている。二次転写ローラ26は、前記各一次転写ローラ22と同じく導電性ローラであって、記録用紙Pの裏面を押圧し、同記録用紙Pの表面を中間転写ベルト15の外側面15bに接触させている。そして、この二次転写ローラ26に直流電圧を印加して中間転写ベルト15を回転すると、中間転写ベルト15の外側面15bに吸着したトナーTが、記録用紙Pの表面上に順次移動して吸着する。すなわち、二次転写ローラ26は、中間転写ベルト15の外側面15bに形成されたトナー像を記録用紙Pの表面上に二次転写する。
【0051】
二次転写ローラ26の上側には、熱源を内蔵するヒートローラ27aと同ヒートローラ27aを押圧する押圧ローラ27bが配設されている。そして、二次転写後の記録用紙P
がヒートローラ27aと押圧ローラ27bとの間に搬送されると、記録用紙P上に転写されたトナーTが、加熱によって軟化し、記録用紙P内に浸透して硬化する。これによって、記録用紙Pの表面にトナー像が定着する。トナー像を定着させた記録用紙Pは、排紙ローラ28によって筐体11の外側に排出されるようになっている。
【0052】
従って、プリンタ10は、帯電した感光層16aを露光ヘッド20によって露光し、同感光層16aに静電潜像を形成する。次に、プリンタ10は、感光層16aの静電潜像を現像して同感光層16aに単色の顕像を形成する。続いて、プリンタ10は、感光層16aの顕像を中間転写ベルト15上に順次一次転写して同中間転写ベルト15上にフルカラーのトナー像を形成する。そして、プリンタ10は、中間転写ベルト15上のトナー像を記録用紙P上に二次転写し、加熱加圧によってトナー像を定着させて印刷を終了する。
【0053】
次に、上記プリンタ10に備えられた電気光学装置としての露光ヘッド20について以下に説明する。図2は、露光ヘッド20を示す正断面図である。
図2に示すように、露光ヘッド20には、透明基板としてのガラス基板30が備えられている。ガラス基板30は、長尺状に形成された無色透明の無アルカリガラス基板であって、その長手方向(図2における左右方向:主走査方向X)の幅が感光ドラム16の軸方向の幅と略同じ大きさで形成されている。
【0054】
なお、本実施形態では、そのガラス基板30について、上面(感光ドラム16側と反対の面)を発光素子形成面30aとし、下面(感光ドラム16側の面)を光取出し面30bとしている。そして、ガラス基板30の厚みは、その光取出し面30bを平滑(例えば、表面粗さ:平均算術粗さが2μm以下)にして、均一な厚さを得ることができる最小の厚さ(最小基板厚さT1)で形成されるものとする。なお、本実施形態では、その最小基板厚さT1を100μmとしているが、これに限られるものではない。
【0055】
まず、ガラス基板30の発光素子形成面30a側について以下に説明する。図3は、露光ヘッド20を光取出し面30b側から見た平面図である。図4は、図3に示す一点鎖線A−Aに沿った概略断面図である。
【0056】
図2に示すように、ガラス基板30の発光素子形成面30a上には、複数の画素形成領域31が形成されている。各画素形成領域31には、それぞれ薄膜トランジスタ32(以下単に、TFT32という。)と発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)33とからなる画素34が形成されている。TFT32は、印刷データに基づいて生成されたデータ信号によってオン状態となり、そのオン状態に基づいて、有機EL素子33を発光するようになっている。
【0057】
図4に示すように、TFT32は、その最下層にチャンネル膜BCを備えている。チャンネル膜BCは、発光素子形成面30a上に形成される島状のp型ポリシリコン膜であって、その左右両側には、図示しない活性化したn型領域(ソース領域及びドレイン領域)が形成されている。つまり、TFT32は、いわゆるポリシリコン形TFTである。
【0058】
チャンネル膜BCの上側中央位置には、発光素子形成面30a側から順に、ゲート絶縁膜D0、ゲート電極Pg及びゲート配線M1が形成されている。ゲート絶縁膜D0は、シリコン酸化膜等の光透過性を有する絶縁膜であって、チャンネル膜BCの上側及び発光素子形成面30aの略全面に堆積されている。ゲート電極Pgは、タンタル等の低抵抗金属膜であって、チャンネル膜BCの略中央位置と相対向する位置に形成されている。ゲート配線M1は、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、ゲート電極Pgと図示しないデータ線駆動回路とを電気的に接続している。そして、データ線駆動回路がゲート配線M1を介してゲート電極Pgにデータ信号を入力すると、TFT32は、そのデータ信
号に基づいたオン状態となる。
【0059】
チャンネル膜BCであって前記ソース領域及びドレイン領域の上側には、上方に延びるソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcが形成されている。各コンタクトSc,Dcは、チャンネル膜BCとのコンタクト抵抗を低くする金属膜で形成されている。そして、これら各コンタクトSc,Dc及びゲート電極Pg(ゲート配線M1)は、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜D1によってそれぞれ電気的に絶縁されている。
【0060】
各コンタクトSc,コンタクトDcの上側には、それぞれアルミニウム等の低抵抗金属膜からなる電源線M2s及び陽極線M2dが形成されている。電源線M2sは、ソースコンタクトScと図示しない駆動電源とを電気的に接続している。陽極線M2dは、ドレインコンタクトDcと有機EL素子33とを電気的に接続している。これら電源線M2s及び陽極線M2dは、シリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜D2によって電気的に絶縁されている。そして、TFT32がデータ信号に基づいたオン状態となると、そのデータ信号に応じた駆動電流が、電源線M2s(駆動電源)から陽極線M2d(有機EL素子33)に供給される。
【0061】
図4に示すように、第2層間絶縁膜D2の上側には、有機EL素子33が形成されている。その有機EL素子33の最下層には、透明電極としての陽極Pcが形成されている。陽極Pcは、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、その一端が陽極線M2dに接続されている。その陽極Pcの上側には、各陽極Pcを互いに電気的に絶縁するシリコン酸化膜等の第3層間絶縁膜D3が堆積されている。この第3層間絶縁膜D3には、陽極Pcの略中央位置を上側に開口する円形孔(位置整合孔D3h)が形成されている。
【0062】
その第3層間絶縁膜D3の上側には、感光性ポリイミド等の樹脂で形成される隔壁層DBが堆積されている。その隔壁層DBの位置整合孔D3hと相対向する位置には、上側に向かってテーパ状に開口する円錐孔DBhが形成されている。そして、この円錐孔DBhの内周面によって、隔壁DBwが形成される。
【0063】
陽極Pcの上側にあって位置整合孔D3hの内側には、高分子系の有機材料からなる有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)OELが形成されている。すなわち、有機EL層OELは、位置整合孔D3hの直径(整合径R1)と同じ外径で形成されている。
【0064】
有機EL層OELは、正孔輸送層と発光層の2層からなる有機化合物層であって、その上側には、アルミニウム等の光反射性を有する金属膜からなる背面電極としての陰極Paが形成されている。陰極Paは、発光素子形成面30a側の略全面を覆うように形成され、各画素34が共有することによって各有機EL素子33に共通する電位を供給するようになっている。
【0065】
すなわち、有機EL素子33は、これら陽極Pc、有機EL層OEL及び陰極Paによって形成される有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であって、その発光した光を出射する面(有機EL層OEL)の直径が位置整合孔D3hの内径、つまり整合径R1で形成されている。
【0066】
陰極Paの上側には、接着層La1によって陰極Pa(ガラス基板30)に接着される封止基板38が配設されている。封止基板38は、平面視方向から見てガラス基板30と同サイズに形成される無色透明の無アルカリガラス基板であって、有機EL層OELや各種金属配線の酸化等を防止するようになっている。
【0067】
そして、データ信号に応じた駆動電流が陽極線M2dに供給されると、有機EL層OE
Lは、その駆動電流に応じた輝度で発光する。この際、有機EL層OELから陰極Pa側(図4における上側)に向かって発光された光は、同陰極Paによって反射される。そのため、有機EL層OELから発光された光は、その殆どが、陽極Pc、第2層間絶縁膜D2、第1層間絶縁膜D1、ゲート絶縁膜D0及びガラス基板30を透過して光取出し面30b側(感光ドラム16側)に照射される。
【0068】
次に、ガラス基板30の光取出し面30b側について以下に説明する。
図2に示すように、ガラス基板30の光取出し面30bには、強度補償層としての補償ガラス層39が形成されている。補償ガラス層39は、後述するガラスペースト層Gp(図5参照)のガラス粉末を溶融して焼成したものである。その補償ガラス層39の有機EL層OELと対峙する位置には、その上下方向を貫通する貫通孔としての受容孔39hが形成されている。そして、補償ガラス層39に受容孔39hが形成されることによって強度補償部としての凸部39aが形成される。
【0069】
この凸部39a(補償ガラス層39)の厚みは、後述する画素形成工程(図5に示すステップS12)の加熱処理やプラズマ処理において、ガラス基板30の機械的な破損を回避して、その機械的強度を補償する厚さ(補償厚さT2)に形成されている。なお、本実施形態では、試験等に基づいて、この補償厚さT2を最小基板厚さT1と同じ厚さ、すなわち100μmとしているが、これに限られるものではない。
【0070】
その受容孔39h内には、それぞれマイクロレンズ40が形成されている。マイクロレンズ40は、前記有機EL層OELから発光される光の波長に対して十分な透過率を有する半球面状の光学面を備えた凸形状のレンズであって、図4に示すように、有機EL素子33(有機EL層OEL)の中心位置がその光軸A上に位置するように形成されている。
【0071】
そのマイクロレンズ40の直径(開口径)は、受容孔39hの直径(有機EL層OELの直径)、すなわち整合径R1で形成されている。これによって、マイクロレンズ40は、その周辺部における結像性能を劣化させることなく、有機EL層OELから発光された光を感光層16a側に出射できるようになっている。
【0072】
また、マイクロレンズ40は、その下側曲面(出射面40a)の頂点と感光層16aとの間の距離を像側焦点距離Hfにして、有機EL素子33から光軸Aに沿って発光された光線(平行光線束)の光軸Aとの交点(像側焦点F)を感光層16a上に位置するようになっている。これによって、マイクロレンズ40から出射された光は、感光層16aに所望するサイズの露光スポットを形成できるようになっている。
【0073】
そして、有機EL層OELから発光された光がマイクロレンズ40に入射すると、マイクロレンズ40は、入射した光を集光して感光層16aに露光スポットを形成する。この際、有機EL層OELの中心位置からマイクロレンズ40の直径に対して張る角度(開口角θ1)は、ガラス基板30の厚さが最小基板厚さT1で形成される分だけ拡大される。つまり、マイクロレンズ40は、ガラス基板30の厚さが最小基板厚さT1で形成される分だけ、有機EL層OELから発光された光の取出し効率を向上して露光する光量を増加することができる。
(露光ヘッドの製造方法)
次に、露光ヘッド20の製造方法について以下に説明する。図5は、露光ヘッド20の製造方法を説明するフローチャートであって、図6〜図8は、同露光ヘッド20の製造方法を説明する説明図である。
【0074】
図5に示すように、はじめにガラスペースト層貼着工程を行う(ステップS11)。すなわち、ガラス基板30の光取出し面30bにガラスペースト層Gp(図6参照)を貼着
して凸部39aを形成する。
【0075】
なお、本実施形態におけるガラスペースト層Gpは、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料であって、ガラス粉末、結着樹脂及び感光性樹脂等からなるペーストである。そのガラス粉末は、酸化鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素の混合物や、酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素の混合物等であって、約400〜600℃の軟化点を有する粉末である。また、結着樹脂は、加熱することによってガラス基板30との接着性を有する樹脂(例えば、アクリル樹脂等)であって、後述する焼成によって補償ガラス層39から分解除去されるものである。さらに、感光性樹脂は、所定の波長からなる露光光を露光することによって現像液に可溶となる樹脂であって、結着樹脂と同じく、後述する焼成によって補償ガラス層39から分解除去されるものである。
【0076】
まず、ガラスペースト層貼着工程では、図示しない支持基板上に積層されるガラスペースト層Gpを、加熱ローラ等によって光取出し面30bに熱圧着し、図6に示すように、ガラスペースト層Gpを前記支持基板からガラス基板30に貼着する。
【0077】
続いて、受容孔39h(隔壁DBw)に相対する所定のパターンを有したフォトマスクMkをガラスペースト層Gpに重ねあわせ、同ガラスペースト層Gpを露光・現像する。これによって、ガラスペースト層Gpに、整合径R1を直径とする受容孔39hをパターニングする。受容孔39hをパターニングすると、ガラス基板30を所定の高温雰囲気下に配置して、ガラスペースト層Gpに含有される有機物(結着樹脂及び感光性樹脂)を分解除去し、ガラス粉末を溶融して焼成する。そして、光取出し面30b上に受容孔39hと凸部39aからなる補償ガラス層39を形成する。
【0078】
図5に示すように、光取出し面30bに凸部39aを形成すると、続いて画素形成工程を行う(ステップS12)。すなわち、ガラス基板30の発光素子形成面30a上に画素34を形成する。
【0079】
図7に示すように、画素形成工程では、まず、発光素子形成面30a全面にエキシマレーザ等によって結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜をパターニングして各画素形成領域31内にチャンネル膜BCを形成する。チャンネル膜BCを形成すると、熱CVD法等によって、そのチャンネル膜BC及び発光素子形成面30aの上側全面にシリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜D0を形成し、そのゲート絶縁膜D0の上側全面にタンタル等の低抵抗金属膜を堆積する。次に、その低抵抗金属膜をパターニングして、ゲート絶縁膜D0の上側にゲート電極Pgを形成する。ゲート電極Pgを形成すると、そのゲート電極Pgをマスクにしたイオンドーピング法によって、チャンネル膜BCにn型領域(ソース領域及びドレイン領域)を形成する。
【0080】
チャンネル膜BCにソース領域及びドレイン領域すると、ゲート電極Pg及びゲート絶縁膜D0の上側全面にITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、同透明導電膜をパターニングすることによって、ゲート電極Pgの上側にゲート配線M1を形成する。ゲート配線M1を形成すると、プラズマCVD法等によって、ゲート配線M1及びゲート絶縁膜D0の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜D1を形成し、その第1層間絶縁膜D1であってソース領域及びドレイン領域と相対する位置に一対のコンタクトホールをパターニングする。そして、コンタクトホール内を金属膜で埋め込むことによって、ソースコンタクトSc及びドレインコンタクトDcを形成する。
【0081】
各コンタクトSc,Dcを形成すると、各コンタクトSc,Dc及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積し、その金属膜をパターニングすることに
よって各コンタクトSc,Dcに接続する電源線M2s及び陽極線M2dを形成する。次に、これら電源線M2s、陽極線M2d及び第1層間絶縁膜D1の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜D2を堆積し、その第2層間絶縁膜D2であって陽極線M2dの一部と相対向する位置にビアホールを形成する。続いて、そのビアホール内と第2層間絶縁膜D2の上側全面に、ITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、その透明導電膜をパターニングすることによって陽極線M2dと接続する陽極Pcを形成する。
【0082】
陽極Pcを形成すると、その陽極Pc及び第2層間絶縁膜D2の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜D3を堆積する。そして、第3層間絶縁膜D3をエッチングして、受容孔39hと相対向する位置に整合径R1からなる位置整合孔D3hを形成する。
【0083】
位置整合孔D3hを形成すると、その位置整合孔D3h内及び第3層間絶縁膜D3の上側全面に光硬化性樹脂からなる隔壁形成材料を塗布し、その隔壁形成材料をパターニングすることによって隔壁DBw(円錐孔DBh)を有する隔壁層DBを形成する。
【0084】
そして、インクジェット法等によって位置整合孔D3h(円錐孔DBh)内に正孔輸送層の構成材料を吐出し、その構成材料を乾燥及び硬化することによって正孔輸送層を形成する。さらに、インクジェット法等によって、その正孔輸送層上に発光層の構成材料(発光層形成材料)を吐出し、その構成材料を乾燥及び硬化することによって発光層を形成する。つまり、直径を整合径R1にする有機EL層OELを形成する。有機EL層OELを形成すると、その有機EL層OEL及び第3層間絶縁膜D3の上側全面にアルミニウム等の金属膜からなる陰極Paを堆積し、陽極Pc、有機EL層OEL及び陰極Paからなる有機EL素子33を形成する。
【0085】
発光素子形成面30a上に画素34を形成すると、画素34(陰極Pa)の上側全面にエポキシ樹脂等からなる接着剤を塗布して接着層La1を形成し、その接着層La1を介して、封止基板38をガラス基板30に貼着する。これによって、封止基板38によって封止される画素34(TFT32及び有機EL素子33)を発光素子形成面30aに形成する。
【0086】
この際、ガラス基板30は、各種加熱処理やプラズマ処理等によって機械的負荷を受けるが、補償厚さT2からなる凸部39a(補償ガラス層39)によってその機械的強度が補償され、その機械的破損を回避することができる。
【0087】
図5に示すように、発光素子形成面30aに画素34を形成すると、受容孔39hに液滴を吐出する液滴吐出工程を行う(ステップS13)。図8は、液滴吐出工程を説明する説明図である。まず、液滴を吐出するための液滴吐出装置の構成について説明する。
【0088】
図8に示すように、液滴吐出装置を構成する液滴吐出ヘッド45には、ノズルプレート46が備えられている。そのノズルプレート46の下面(ノズル形成面46a)には、機能液としての紫外線硬化性樹脂Puを吐出する多数のノズルNが上方に向かって形成されている。各ノズルNの上側には、図示しない収容タンクに連通して紫外線硬化性樹脂PuをノズルN内に供給可能にする供給室47が形成されている。各供給室47の上側には、上下方向に往復振動して供給室47内の容積を拡大縮小する振動板48が配設されている。その振動板48の上側であって各供給室47と相対向する位置には、それぞれ上下方向に伸縮して振動板48を振動させる圧電素子49が配設されている。
【0089】
そして、液滴吐出装置に搬送されるガラス基板30は、図8に示すように、その光取出し面30bがノズル形成面46aと相対向する位置に配置されるようになっている。しか
も、ガラス基板30は、発光素子形成面30aをノズル形成面46aと平行にして、かつ各受容孔39hの中心位置をそれぞれノズルNの直下に配置して位置決めされる。
【0090】
ここで、液滴吐出ヘッド45に液滴を吐出するための駆動信号を入力すると、同駆動信号に基づいて圧電素子49が伸縮して供給室47の容積が拡大縮小する。このとき、供給室47の容積が縮小すると、縮小した容積に相対する量の紫外線硬化性樹脂Puが、各ノズルNから微小液滴Dsとして吐出される。吐出された各微小液滴Dsは、それぞれ受容孔39h内の発光素子形成面30aに着弾する。続いて、供給室47の容積が拡大すると、拡大した容積分の紫外線硬化性樹脂Puが、図示しない収容タンクから供給室47内に供給される。つまり、液滴吐出ヘッド45は、こうした供給室47の拡大縮小によって、所定の容量の紫外線硬化性樹脂Puを受容孔39hに向かって吐出する。受容孔39h内に着弾した複数の微小液滴Dsは、図8の2点鎖線で示すように、その表面張力等によって半球面状の表面を呈する液滴Dmを形成する。なお、この際、液滴吐出ヘッド45は、液滴Dmの直径が受容孔39hの直径、すなわち整合径R1となる分だけ微小液滴Dsを吐出する。
【0091】
図5に示すように、受容孔39h内に液滴Dmを形成すると、その液滴Dmを硬化してマイクロレンズ40を形成するレンズ形成工程を行う(ステップS14)。すなわち、液滴Dmに紫外線を照射して液滴Dmを硬化する。これによって、光取出し面30bに、整合径R1からなる開口径を有するマイクロレンズ40を形成する。
【0092】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、ガラス基板30の厚みを最小基板厚さT1で形成し、同ガラス基板30の光取出し面30bに凸部39aを形成してガラス基板30の機械的強度を補償するようにした。従って、ガラス基板30を最小基板厚さT1で形成する分だけ、マイクロレンズ40の開口角θ1を大きくすることができ、有機EL素子33から発光された光の取出し効率を向上した露光ヘッド20を製造することができる。
【0093】
(2)しかも、予め形成される平滑(算術平均粗さRaが1μm以下)な光取出し面30bにマイクロレンズ40を形成するため、その形状のバラツキを抑制することができる。
【0094】
(3)上記実施形態では、受容孔39hと相対向する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成し、その受容孔39h及び円錐孔DBh(隔壁DBw)内に、それぞれ紫外線硬化性樹脂Pu及び有機EL層OELの構成材料を吐出して、マイクロレンズ40及び有機EL層OELを形成するようにした。従って、マイクロレンズ40の形成位置を有機EL層OELと相対向する位置に整合させることができ、その形成位置のバラツキを抑制することができる。
【0095】
(4)しかも、受容孔39hを、マイクロレンズ40の開口径に相当する整合径R1によって形成するため、同マイクロレンズ40の開口径を確実に整合径R1にすることができ、その形状のバラツキを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を、図9及び図10に従って説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態における受容孔39hと隔壁DBw(隔壁層DB)の製造方法を変更したものであり、その他の点では第1実施形態と同一の構成になっている。そのため以下では、変更点である受容孔39hと隔壁DBwの製造方法について詳細に説明する。図9は、第2実施形態における露光ヘッド20の製造方法を説明するフローチャートであって、図10は、同露光ヘッド20の製造方法を説明する説明図である。
【0096】
図9に示すように、はじめにガラス基板30の発光素子形成面30a上にTFT32を形成し、陽極Pc上の隔壁層DBに隔壁DBw(円錐孔DBh)を形成する隔壁前工程を行う(ステップS21)。なお、本実施形態における隔壁層DBは、後述するガラスペースト層Gpを露光する露光光Lp(図10参照)を吸収するようになっている。
【0097】
図9に示すように、陽極Pc上に隔壁DBwを形成すると、ガラスペースト塗布工程を行う(ステップS22)。すなわち、ガラス基板30の光取出し面30bにガラスペーストを塗布してガラスペースト層Gpを形成する。なお、本実施形態におけるガラスペースト層Gpは、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料であって、ガラス粉末及び感光性樹脂等からなるペーストである。
【0098】
図9に示すように、光取出し面30bにガラスペースト層Gpを形成すると、受容孔後工程を行う。すなわち、前記隔壁層DBをマスクにして、同ガラスペースト層Gpを露光光Lpに露光して現像する(ステップS23)。これによって、ガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、隔壁層DBの円錐孔DBhと相対する位置に整合径R1からなる円形孔、すなわち受容孔39hをパターニングすることができる。そして、現像したガラスペースト層Gpを焼成させることによって補償ガラス層39に受容孔39hを形成し、凸部39aを形成することができる。
【0099】
図9に示すように、受容孔39hをパターニングして補償ガラス層39を形成すると、隔壁層DB内に有機EL層OELを形成して有機EL素子33を形成し、受容孔39h内にマイクロレンズ40を形成する(ステップS13,S14)。
【0100】
これによって、ガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、円錐孔DBh(有機EL層OEL)と相対向する位置に受容孔39h(マイクロレンズ40)を自己整合して形成することができる。
【0101】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ガラス粉末を焼成して凸部39aを形成するようにしたが、これに限らず、例えば金属膜等であってもよく、その厚みがガラス基板30の機械的強度を補償することができる厚みに形成できるものであればよい。
・上記実施形態では、透明基板をガラス基板30として具体化したが、これに限らず、例えばポリイミド等のプラスチック基板であってもよく、有機EL層OELから発光された光を透過する透明基板であればよい。
・上記実施形態では、受容孔39hに紫外線硬化性樹脂Puを吐出して液滴Dmを形成するようにした。これに加え、受容孔39hの内周面に撥液処理(例えば、フッ素系のプラズマ処理や撥液材料の塗布等)を施した後に、紫外線硬化性樹脂Puを吐出して液滴Dmを形成するようにしてもよい。これによれば、微小液滴Dsを受容孔39hの内周面に濡れ広がらせることなく、半球面状の表面を呈する液滴Dmを均一に形成することができる。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40の開口径を有機EL層OELの内径(整合径R1)と大きさで形成した。これに限らず、例えば、開口径を整合径R1の2倍のサイズで形成してもよい。つまり、開口径は、マイクロレンズ40の周辺部における結像性能を劣化させることなく、各有機EL層OELに対応して所望するサイズの露光スポットを形成するものであればよい。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を半球面状の凸レンズとしたが、これに限らず、半円柱状レンズや凹レンズとして具体化してもよい。これによれば、有機EL素子33から発光される光の拡散する効率をより向上することができる。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を紫外線硬化性樹脂Puによって形成する構成にしたが、これに限らず、例えば熱硬化性樹脂であってもよく、受容孔39hで硬化可能
な機能液であればよい。
・上記実施形態では、出射面40aの頂点と感光層16aとの間の距離を像側焦点距離Hfとし、有機EL層OELから発光された光を感光層16a上で収束するようにした。これに限らず、出射面40aの頂点と感光層16aとの間の距離は、例えば有機EL層OELの等倍像を得る距離にしてもよく、像側焦点距離Hf等に限定されるものではない。
・上記実施形態では、マイクロレンズ40を液滴吐出装置によって形成する構成にした。これに限らず、マイクロレンズ40を形成する方法は、例えばレプリカ法等によって形成したマイクロレンズ40を受容孔39h内に取付ける構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL素子33の発光を制御するTFT32を画素34毎に1個備える構成にした。これに限らず、有機EL素子33の発光を制御するTFT32を画素34毎に2個以上備える構成にしてもよく、あるいはTFT32をガラス基板30に備えない構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL層OELをインクジェット法によって形成する構成にした。これに限らず、有機EL層OELの形成方法は、例えば、スピンコート法や真空蒸着法等であってもよく、インクジェット法に限定されるものではない。
・上記実施形態では、高分子系の有機材料によって有機EL層OELを形成するようにしたが、低分子系の有機材料であってもよく、さらには無機材料で形成するEL層であってもよい。
・上記実施形態では、電気光学装置を露光ヘッド20として具体化したが、これに限らず、例えば液晶パネルに装着されるバックライト等であってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型ディスプレイ(FEDやSED等)であってもよい。
・上記第2実施形態では、隔壁層DBに隔壁をマスクにしてガラスペースト層Gpを露光するようにした。これに限らず、例えば図11に示すように、隔壁層DBを形成する前に、補償ガラス層39(受容孔39h)を形成するようにしてもよい。そして、受容孔39hを形成した後に、第3層間絶縁膜D3の上側全面に隔壁形成材料を塗布し、補償ガラス層39をマスクにして前記隔壁形成材料を露光・現像するようにしてもよい。
【0102】
これによれば、隔壁形成材料を露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、補償ガラス層39の受容孔39hと相対する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成することができる。なお、この際、補償ガラス層39が、隔壁形成材料を露光する露光光Lpを吸収して、隔壁形成材料が、露光された部分のみを現像液に溶解するポジ型の感光性材料で構成されるのが望ましい。
・さらには、図12に示すように、隔壁形成材料とガラスペースト層Gpを同時に露光して、円錐孔DBh(隔壁DBw)及び受容孔39hに相当するパターンを形成するようにしてもよい。これによれば、隔壁形成材料を露光するためのフォトマスク、若しくはガラスペースト層Gpを露光するためのフォトマスクを別体として配設することなく、受容孔39hと相対する位置に円錐孔DBh(隔壁DBw)を形成することができる。なお、この際、隔壁形成材料及びガラスペースト層Gpは、露光された部分のみを現像液に溶解するポジ型の感光性材料で構成されるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の画像形成装置を示す概略側断面図。
【図2】同じく、露光ヘッドを示す概略正断面図。
【図3】同じく、露光ヘッドを示す概略平面面図。
【図4】同じく、露光ヘッドを示す拡大断面図。
【図5】同じく、露光ヘッドの製造方法を説明するフローチャート。
【図6】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図7】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図8】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図9】第2実施形態の露光ヘッドの製造方法を説明するフローチャート。
【図10】同じく、露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図11】変更例における露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【図12】変更例における露光ヘッドの製造工程を説明する説明図。
【符号の説明】
【0104】
10…画像形成装置としてのプリンタ、15…転写媒体としての中間転写ベルト、16…像担持体としての感光ドラム、19…帯電手段としての帯電ローラ、20…露光手段を構成する電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスアレイ露光ヘッド、21…現像手段としてのトナーカートリッジ、22…転写手段を構成する一転写ローラ、26…転写手段を構成する二次転写ローラ、30…透明基板としてのガラス基板、30a…発光素子形成面、30b…光取出し面、33…発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子、39…強度補償層としての補償ガラス層、39a…強度補償部としての凸部、39h…貫通孔としての受容孔、40…マイクロレンズ、45…液滴吐出装置を構成する液滴吐出ヘッド、Gp…ガラスペースト層、OEL…発光層としての有機エレクロトルミネッセンス層、Pa…背面電極としての陰極、Pc…透明電極としての陽極、T…着色粒子としてのトナー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面側に入射した光を光取出し面側から出射する透明基板において、
前記光取出し面にマイクロレンズを形成し、前記マイクロレンズの周囲に、前記光取出し面から突出して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成したことを特徴とする透明基板。
【請求項2】
請求項1に記載する透明基板において、
前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズであることを特徴とする透明基板。
【請求項3】
請求項2に記載する透明基板において、
前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有するレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔であることを特徴とする透明基板。
【請求項4】
請求項2又は3に記載する透明基板において、
前記透明基板は、ガラス基板であって、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものであることを特徴とする透明基板。
【請求項5】
透明基板の発光素子形成面に形成された発光素子から発光された光を前記発光素子形成面と相対向する前記透明基板の光取出し面側から出射する電気光学装置において、
前記光取出し面であって前記発光素子と対峙する位置にマイクロレンズを形成し、そのマイクロレンズの周囲に、前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載する電気光学装置において、
前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載する電気光学装置において、
前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有する凸形状のレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載する電気光学装置において、
前記透明基板はガラス基板であって、前記強度補償部は前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1つに記載する電気光学装置において、
前記発光素子は、前記光取出し面側に形成した透明電極と、前記透明電極と相対して形成した背面電極と、前記透明電極と前記背面電極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載する電気光学装置において、
前記発光層は、有機材料で形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレ
クトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
像担持体の外周面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体の外周面を露光して潜像を形成する露光手段と、前記潜像に対して着色粒子を供給して顕像を現像する現像手段と、前記顕像を転写媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
前記露光手段は、請求項5〜10のいずれか1つに記載する電気光学装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
透明基板の光取出し面に強度補償層を積層した後に、前記強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成するとともに、前記光取出し面と相対向する前記透明基板の発光素子形成面上であって前記貫通孔と相対向する位置に発光素子を形成して、前記発光素子から発光された光を出射するマイクロレンズを前記貫通孔に形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記発光素子は、発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子であって、
発光層形成材料からなる液滴を液滴吐出装置から隔壁内に吐出し、吐出した前記液滴を硬化することによって前記発光層を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記隔壁をマスクにして感光性材料からなる前記強度補償層を露光し、前記強度補償層を現像することによって前記貫通孔を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記強度補償部をマスクにして感光性材料からなる隔壁層を露光し、前記隔壁層を現像することによって前記隔壁を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
感光性材料からなる前記強度補償層と感光性材料からなる隔壁層を同時に露光して、前記貫通孔に対応するパターンを前記強度補償層及び前記隔壁層に形成し、前記強度補償層及び前記隔壁層を現像することによって前記貫通孔及び前記隔壁を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項1】
光入射面側に入射した光を光取出し面側から出射する透明基板において、
前記光取出し面にマイクロレンズを形成し、前記マイクロレンズの周囲に、前記光取出し面から突出して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成したことを特徴とする透明基板。
【請求項2】
請求項1に記載する透明基板において、
前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズであることを特徴とする透明基板。
【請求項3】
請求項2に記載する透明基板において、
前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有するレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔であることを特徴とする透明基板。
【請求項4】
請求項2又は3に記載する透明基板において、
前記透明基板は、ガラス基板であって、前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものであることを特徴とする透明基板。
【請求項5】
透明基板の発光素子形成面に形成された発光素子から発光された光を前記発光素子形成面と相対向する前記透明基板の光取出し面側から出射する電気光学装置において、
前記光取出し面であって前記発光素子と対峙する位置にマイクロレンズを形成し、そのマイクロレンズの周囲に、前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載する電気光学装置において、
前記強度補償部は、前記光取出し面に積層した強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成したものであって、前記マイクロレンズは、前記貫通孔に形成したレンズであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載する電気光学装置において、
前記マイクロレンズは、半球面状の光学面を有する凸形状のレンズであって、前記貫通孔は、前記マイクロレンズの開口径と相対する内径を有する円形孔であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載する電気光学装置において、
前記透明基板はガラス基板であって、前記強度補償部は前記光取出し面に積層した感光性のガラスペースト層に前記貫通孔をパターニングして焼成したものであることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1つに記載する電気光学装置において、
前記発光素子は、前記光取出し面側に形成した透明電極と、前記透明電極と相対して形成した背面電極と、前記透明電極と前記背面電極との間に形成した発光層とを備えたエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載する電気光学装置において、
前記発光層は、有機材料で形成され、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレ
クトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
像担持体の外周面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体の外周面を露光して潜像を形成する露光手段と、前記潜像に対して着色粒子を供給して顕像を現像する現像手段と、前記顕像を転写媒体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
前記露光手段は、請求項5〜10のいずれか1つに記載する電気光学装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
透明基板の光取出し面に強度補償層を積層した後に、前記強度補償層に前記光取出し面までを貫通する貫通孔を形成して前記透明基板の機械的強度を補償する強度補償部を形成するとともに、前記光取出し面と相対向する前記透明基板の発光素子形成面上であって前記貫通孔と相対向する位置に発光素子を形成して、前記発光素子から発光された光を出射するマイクロレンズを前記貫通孔に形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記発光素子は、発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子であって、
発光層形成材料からなる液滴を液滴吐出装置から隔壁内に吐出し、吐出した前記液滴を硬化することによって前記発光層を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記隔壁をマスクにして感光性材料からなる前記強度補償層を露光し、前記強度補償層を現像することによって前記貫通孔を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記強度補償部をマスクにして感光性材料からなる隔壁層を露光し、前記隔壁層を現像することによって前記隔壁を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
感光性材料からなる前記強度補償層と感光性材料からなる隔壁層を同時に露光して、前記貫通孔に対応するパターンを前記強度補償層及び前記隔壁層に形成し、前記強度補償層及び前記隔壁層を現像することによって前記貫通孔及び前記隔壁を形成するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−150707(P2006−150707A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343433(P2004−343433)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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