説明

透明部品の実装方法

【課題】表面実装機を用いて透明部品を基板の目的位置に正確に実装する。
【解決手段】透明部品には、上下方向の厚みが局部的に厚くまたは薄く形成された箇所が複数ある。実装ヘッド5に保持された透明部品に単一または複数のスポット光7aで照射した状態で、上面側または下面側から部品認識カメラ4で撮影する。このとき、局部的に明るさが相違する箇所が複数現れ、これらの箇所を特徴点として抽出することにより、透明部品の保持状態を認識することができるため、基板の目的位置に正確に実装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装機を用いて透明部品を基板の目的位置に実装する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップ部品を基板の目的位置に実装するのに表面実装機が広く利用されている。表面実装機は、実装ヘッドに保持されたチップ部品を部品認識カメラで撮影し、撮影画像からチップ部品の保持状態(チップ部品の保持位置および鉛直軸回りの回転角)を認識し、その保持状態に基づいて実装ヘッドの位置合わせをするものである。チップ部品の保持状態は、撮影画像に写り込んだチップ部品の特徴点を複数抽出し、この複数の特徴点をパターン照合することにより得られる。そのため、部品認識カメラで撮影される撮影画像に、チップ部品の特徴点を明瞭に写し込ませることが重要である。
【0003】
部品認識カメラの撮影方法としては、代表的には輪郭特徴抽出方式および電極抽出方式がある。輪郭特徴抽出方式は、チップ部品の背後から光を照射してその輪郭を撮影し、輪郭の特徴部分を抽出するものである。また、電極抽出方式は、チップ部品に正面から光を照射してチップ部品の光照射面を撮影し、電極と本体部分との反射率の相違に基づく明るさの相違から電極箇所を抽出するものである。何れの方式でも、撮影画像にチップ部品の特徴点を写し込ませることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−319271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板にLED部品等の発光部品を実装し、その発光部品の上方を覆うようにレンズ部品を実装した発光モジュールの製品化が検討されている。このタイプの製品では、基板や発光部品は共通仕様としたままレンズ部品の仕様を異ならせるだけで、発光モジュールの配光特性を異ならせることができるので、発光部品の仕様を共通化でき、多種類の製品を低コストで提供できるというメリットがある。さらに、コスト低減の効果を高めるため、表面実装機を用いてレンズ部品を実装し、製品の生産性を向上させることが望まれる。
【0006】
しかしながら、レンズ部品は全体が透明なので、その輪郭を撮影するのが困難であり、また、レンズ部品は電極を持たないので電極抽出もできない。このように、従来の撮影方法では撮影画像にレンズ部品の特徴点が写り込まず、レンズ部品を基板の目的位置に正確に実装することができないという問題がある。なお、この問題は、レンズ部品に限らず、プリズム部品など他の透明部品にも共通する。
【0007】
本発明は、表面実装機を用いて透明部品を基板の目的位置に正確に実装することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る透明部品の実装方法は、実装ヘッドに透明部品を保持させ、前記実装ヘッドに保持された透明部品を上面側または下面側から部品認識カメラで撮影し、得られた撮影画像から前記透明部品の保持状態を認識し、認識された保持状態の基準状態に対するずれを補償するように前記実装ヘッドを移動させ、その後、前記実装ヘッドの保持を解いて前記透明部品を基板の目的位置に実装する透明部品の実装方法において、前記透明部品には、複数箇所に前記部品認識カメラの撮影方向の厚みを局部的に厚くまたは薄く形成しておき、前記部品認識カメラによる撮影は、前記透明部品に単一または複数のスポット光を照射した状態で行う。
【0009】
ここで、「局部的」とは、透明部品を上面側または下面側から見たとき、透明部品全体の占める面積に対してその部分の占める面積の割合が十分に小さいことを言う。
【発明の効果】
【0010】
透明部品にスポット光を照射すると、透明部品を通過する過程で透過、散乱、反射、屈折、回折等が生じ、スポット光の一部が部品認識カメラに向う。透明部品の複数箇所の厚みを局部的に厚くまたは薄く形成しておけば、この複数箇所とそれらの周囲の箇所とで部品認識カメラに向う光の量を異ならせることができる。これは、撮影画像では局部的な明るさの相違として現れる。したがって、透明部品の保持状態を認識することができ、その結果、透明部品を基板の目的位置に正確に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】表面実装機を用いて透明部品を基板の目的位置に実装する方法を説明するための図
【図2】LEDモジュールの構成を示す図
【図3】撮影画像に明るさの相違が生じる原理を説明するための図
【図4】レンズ部品の変形例を示す図
【図5】レンズ部品の変形例を示す図
【図6】レンズ部品の変形例を示す図
【図7】レンズ部品の変形例を示す図
【図8】レンズ部品の変形例を示す図
【図9】撮影画像の一例を示す図
【図10】撮影画像の一例を示す図
【図11】LEDモジュールの変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、表面実装機を用いて透明部品を基板の目的位置に実装する方法を説明するための図である。本実施形態では、透明部品の一例であるレンズ部品21を、発光部品の一例であるLED部品が実装された基板に実装する場面を説明する。
<表面実装機>
表面実装機1は、基台2、部品供給部3、部品認識カメラ4、実装ヘッド5、吸着ノズル6、照明装置7、実装ヘッド駆動機構8、基板認識カメラ9、LED認識カメラ10を備えている。
【0013】
基台2には、LED部品13が実装された基板12が載置される。部品供給部3には、レンズ部品21を収納した部品トレイ11が載置される。
実装ヘッド5は、部品トレイ11に収納されたレンズ部品21を保持し、レンズ部品21を保持した状態で移動し、その後、レンズ部品21の保持を解いて、レンズ部品21を基板12の目的位置に実装するものである。
【0014】
レンズ部品21の保持およびその解除は、吸着ノズル6に接続された負圧発生装置により実現されている。
レンズ部品21のX方向およびY方向の移動は、実装ヘッド駆動機構8により実現されている。実装ヘッド駆動機構8は、案内レール8a、サーボモータ8b、ボールネジ8cから構成されている。案内レール8aおよびボールネジ8cはX方向に延伸しており、サーボモータ8bの回転力をX方向への駆動力として実装ヘッド5に伝達する。図1では、説明を簡単にするため実装ヘッド5をX方向に移動させる構成のみが記載されているが、実装ヘッド駆動機構8は、実装ヘッド5をY方向に移動させる構成も具備しているものとする。
【0015】
レンズ部品21のZ方向の移動は、実装ヘッド5に内蔵された、吸着ノズル6をZ方向に移動させる昇降駆動機構により実現されている。
レンズ部品21のZ方向回りの回転は、実装ヘッド5に内蔵された、吸着ノズル6をZ方向回りに回転させる回転駆動機構により実現されている。
レンズ部品21のX方向、Y方向への移動量、および、Z方向回りの回転角は、レンズ部品21の保持状態の基準状態に対するずれを補償する分量に決定される。レンズ部品21の基準状態は、表面実装機1には既知の情報である。一方、レンズ部品21の保持状態は、レンズ部品21を実装するたびに異なるので、その都度調べる必要がある。
【0016】
部品認識カメラ4は、上下方向(Z方向)上向きに配置されており、実装ヘッド5が撮影位置に到達したときにレンズ部品21を下面側から撮影するものである。レンズ部品21の撮影画像には、後述の理由により、局部的に明るさが相違する箇所が複数現れる。これらの箇所を特徴点として抽出することにより、透明部品の保持状態を認識することができる。
【0017】
基板認識カメラ9は、上下方向(Z方向)下向きに配置されている。基板認識カメラ9の撮影画像は、基板12に形成された基準マーク14(図2参照)の検出に利用される。
LED認識カメラ10は、上下方向(Z方向)下向きに配置されている。LED認識カメラ10の撮影画像は、基板12に実装されたLED部品13の位置検出に利用される。
照明装置7は、実装ヘッド5が撮影位置に到達したときにレンズ部品21に向けてスポット光7aを照射するものである。
<レンズ部品>
レンズ部品21は、透明度の高い樹脂やガラスからなり、射出成形等により一体的に形成されている。レンズ部品21の本体部は、集光または散光というレンズ本来の光学機能を発揮するレンズ部21aと、その外周縁に連なる環部21bとから構成されている。レンズ部品21の脚部21cは、レンズ部品21の本体部と基板12の表面との間隔を確保するために設けられたものであり、環部21b下面の複数個所(この例では3箇所)から上下方向(Z方向)下向きに突出形成されている。脚部21cが3本以上あれば、何らかの事情で1本の接着がとれてしまっても、残りの脚部で安定的に固定することができる。
【0018】
レンズ部品21の寸法関係を例示すると、レンズ部21aの直径が15[mm],最大高さが4[mm]である。環部21bの内径が15[mm],外径が19[mm],厚みが1.6[mm]。脚部21cの径が0.8[mm],長さが2.5[mm]である。
脚部21cが環部21b下面から下向きに突出しているので、レンズ部品21の上下方向の厚みは脚部21cにおいて厚くなっている。また、レンズ部品21の本体部の占める面積に対してひとつの脚部21cの占める面積の割合は十分に小さい。したがって、レンズ部品21には、複数箇所において部品認識カメラの撮影方向の厚みが局部的に厚く形成されているといえる。
<原理>
図3は、撮影画像に明るさの相違が生じる原理を説明するための図である。
【0019】
このレンズ部品には、部品認識カメラの撮影方向の厚みが局部的に厚く形成された箇所と、局部的に薄く形成された箇所とがある。
図3(a)では、照明装置と部品認識カメラとがレンズ部品を挟んで対向する位置関係にある。この場合、レンズ部品の局部的に薄い箇所(符号32)ではその周囲の箇所よりも光の透過量が多く、逆に、レンズ部品の局部的に厚い箇所(符号31)ではその周囲の箇所よりも光の透過量が少ない。したがって、部品認識カメラの撮影画像には局部的な明暗が現れ、これらが特徴点として抽出可能となる。なお、局部的に厚い箇所の端面を着色または粗面化すれば、光の透過量を一層低下させることができ、撮影画像における明暗を強調することができる。
【0020】
図3(b)では、部品認識カメラの撮影方向に垂直な基準面に対して、スポット光が角度θで斜め上方から入射されるように照明装置が配置されている。角度θを適切な範囲に調整した場合、レンズ部品の局部的に厚い箇所(符号31)および薄い箇所(符号32)に入射した光は、それらの内部で反射を繰り返すうちに減衰し、外部に出てこなくなる。一方、それ以外の周囲の箇所に入射した光は、ほとんどが透過してしまうが、一部は散乱や反射により部品認識カメラに向かい出射される。したがって、部品認識カメラの撮影画像には局部的な明暗が現れる。
【0021】
なお、実験では、照明装置7の光源として、単色のLEDを採用すれば、白色LEDの場合に比べて撮影画像における明暗がより明瞭になることが判明した。これは、白色光の場合には入射光の屈折角が波長毎に異なるので、レンズ部品内部での光の進み方が波長毎に異なることとなり、ある波長の光で明暗が生じても他の波長の光でそれが相殺されるという現象が生じているからと考えられる。単色光であればそのようなことがない。さらに、実験では、単色光の中でも、波長が短い青色光を採用すれば、明暗が一層明瞭になることが判明した。なお、単色LEDを採用し、かつ、局部的に厚い箇所または薄い箇所の端面を着色する場合には、単色LEDの波長域の光を吸収する素材を採用すべきである。
【0022】
また、照明装置7の光源とレンズ部品との間に、開口を有する遮光部材等を設けてレンズ部品に照射されるスポット光の広がり幅を絞れば、撮像画像における明暗がより明瞭になることが判明した。スポット光でも中心軸に近い中央部分とその周辺部分とではレンズ部品に入射される角度が異なり、レンズ部品内部での光の進み方が異なることになる。そうすると、ある角度で入射した光により明暗が生じても、他の角度で入射した光でそれが相殺されるという現象が生じることがある。スポット光の広がり幅を絞ることとすれば、そのようなことが生じにくい。
【0023】
また、照明装置7が単数であれば、局部的に厚い箇所または薄い箇所により部品認識に妨げになる影が生じる場合がある。その場合には、レンズ部品のZ軸回りに照明装置7を複数設け、複数のスポット光を照射することで影の影響を軽減することとしてもよい。
<実装手順>
次に、レンズ部品の実装手順を説明する。
【0024】
まず、LED部品13が実装された基板12を基台2上に載置する。基板12へのLED部品13の実装は、基板12に半田を印刷し、LED部品13を基板12の所定位置に配置し、基板12の半田を加熱溶融させることにより実施される。LED部品13を基板12に配置するときは、部品認識カメラ4でLED部品13を撮影して撮影画像からLED部品13の保持状態を認識し、それと共に、基板認識カメラ9で基板12を撮影して撮影画像から基準マーク14(図2参照)を検出する。そして、得られたLED部品13の保持状態と基準マーク14とを用いて、LED部品13の移動量および回転角を決定し、その分量だけ実装ヘッド5を移動させる。これにより、LED部品13を基板12の所定位置に正確に実装することができる。
【0025】
次に、基板12上におけるレンズ部品21の脚部21cが配置される位置に接着剤を付着する。接着剤の量を調整することにより、レンズ部品21の本体部のZ方向の位置を微調整することができる。
次に、実装ヘッド5を部品供給部3の部品トレイ11上方まで移動させ、吸着ノズル6をレンズ部品21の上面に接触するまで下降させ、レンズ部品21を保持させる。そして、吸着ノズル6を上昇させ、実装ヘッド5を部品認識カメラ4の光軸4aと吸着ノズル6の中心軸とが一致する位置まで移動させ、部品認識カメラ4でレンズ部品21の下面側から撮影し、撮影画像からレンズ部品21の保持状態を認識する。さらに、基板12に実装されたLED部品13を上方からLED認識カメラ10で撮影し、撮影画像からLED部品13の実装位置を特定する。
【0026】
次に、レンズ部品21の保持状態とLED部品13の実装位置とを用いて、レンズ部品21の光軸とLED部品13の光軸13aとが一致するように実装ヘッド5のX方向およびY方向の移動量を決定すると共に、レンズ部品21の脚部21cと基板12に付着させた接着剤の位置が一致するようにレンズ部品21の回転角を決定する。そして、決定された移動量だけ実装ヘッド5を移動させると共に、決定された回転角だけ吸着ノズル6を回転させ、レンズ部品21の脚部21cが基板12に接触するまで吸着ノズル6を下降させ、吸着ノズル6の保持を解除する。
【0027】
最後に、接着剤を硬化させる。なお、接着剤を硬化させるための場所まで、例えば水平ベルトコンベアのようなZ軸方向の移動や衝撃が発生しない方法を用いて、レンズ部品を搭載した基板を運搬することにより、硬化前にレンズ部品が所定の位置からずれることを防ぐことができる。
<まとめ>
本実施形態によれば、透明部品であるレンズ部品21の保持状態を認識することができ、その結果、レンズ部品21を基板12の目的位置に正確に実装することができる。図9および図10に撮影画像の一例を示す。
【0028】
図9の撮影画像は、レンズ部品を図3(a)に示す位置関係で撮影して得たものである。レンズ部品は3箇所に脚部を有し、これらの脚部の端面は着色されている。このレンズ部品では環部の厚み1.6[mm]程度に対して、脚部の長さが0.2[mm]程度である。撮影画像から明らかなように、局部的に厚い3箇所(脚部)とこれらの周囲の箇所とで明暗が生じている。
【0029】
また、図10の撮影画像は、レンズ部品を図3(b)に示す位置関係(角度θは約30度)で撮影して得たものである。レンズ部品は、図7に示すものである。撮影画像から明らかなように、局部的に厚い3箇所(脚部)および局部的に薄い6箇所(突起部)とこれらの周囲の箇所とで明暗が生じている。
また、本実施形態によれば、レンズ部品21は射出成形等により一体的に形成されている。そのため、レンズ部21aの光軸と脚部21cとの位置関係の製品ばらつきが極めて小さい。したがって、レンズ部品21の保持状態を認識しさえすれば、レンズ部品21を正確に基板の目的位置に実装することができる。一方、レンズ部品下面の複数箇所に金属膜を形成し、電極抽出方式によりレンズ部品の保持状態を認識する方法も考えられる。しかしながら、その方法では、レンズ部品下面に金属膜を形成するときに製品毎にばらつきが生じてしまい、その結果、レンズ部品の実装位置精度が本実施形態に比べて低くなるという問題がある。したがって、本実施形態のように、一体的に形成するのが好ましい。
【0030】
また、本実施形態では、基板12に実装されたLED部品13を基板12の上方からLED認識カメラで撮影し、得られた撮影画像からLED部品の実装位置を認識し、認識された実装位置をレンズ部品21の位置合わせの基準として用いている。これにより、LED部品13が基板12の基準位置からずれて実装されていても、LED部品13との間に一定の位置関係を維持して(すなわち、LED部品13の光軸とレンズ部品21の光軸とを一致させて)レンズ部品21を実装することができる。
<変形例>
以上、透明部品の実装方法について、実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)実施形態では、上下方向の厚みが局部的に厚く形成された箇所が脚部21cだけであるが、本発明はこれに限らず、脚部以外にも設けることとしてもよい。
【0031】
図4には、環部22b上面の複数箇所から上向きに突出した突起部22dを含むレンズ部品22を示す。このように、突起部22dは上下方向の厚みが局部的に厚く形成された箇所なので、撮影画像に明暗として現れる。なお、図4の例では上下方向に見て突起部22dが脚部22cに重なるように配置されているが、これに限らず、突起部22dは脚部22cに対して一定の相対位置関係を維持した状態でずれて配置されていてもよい。
【0032】
また、図5には、環部23b側面の複数箇所から径方向外側に突出した環部23bの厚みよりも薄い突起部23dを含むレンズ部品23を示す。このように、突起部23dは上下方向の厚みが局部的に薄く形成された箇所なので、撮影画像に明暗として現れる。
また、図6には、環部24bの上面の複数箇所に環部24bの厚みを薄くするように窪み24dを形成したレンズ部品24を示す。このように、窪み24dは上下方向の厚みが局部的に薄く形成された箇所なので、撮影画像に明暗として現れる。
【0033】
また、図7には、環部25b側面の複数箇所から径方向外側に突出した環部25bの厚みよりも薄い突起部25d,25eを含み、突起部25dと25eとで形成されている上下方向の位置が異なるレンズ部品25を示す。なお、このレンズ部25aは凹曲面となっており散光レンズとして働く。
また、図8には、環部26b上面の複数箇所から上向きに突出した突起部26dを含み、突起部26dが錐状となっているレンズ部品26を示す。突起部26dが斜面をもつため、スポット光の透過や反射の態様がその周囲の箇所とで異なり、撮影画像に明暗として現れる。
(2)レンズ部品の上下方向の厚みが局部的に厚くまたは薄く形成された箇所の端面を着色または粗面化してもよい。実施形態に当てはめると、レンズ部品21の脚部21cの下端面を着色または粗面化することになる。このようにすれば、表面実装機1の機内の迷光が脚部21cの下端面から入射することや、スポット光7cの一部が脚部21cの下端面から光が出射されることを抑制することができ、明暗を強調することができる。
(3)また、レンズ部品21の脚部21cの下端面を着色する場合には、実装ヘッド5にレンズ部品21を保持させてからレンズ部品21を撮影するまでの間に、レンズ部品21の脚部21cの下端面に色付きの接着剤を付着させ、部品認識カメラ4による撮影は、レンズ部品の脚部21c下端面に色付きの接着剤が付着された状態で行い、レンズ部品21の基板12への実装は、接着剤が付着された脚部21cを基板12の表面に当接させて行うこととしてもよい。これにより、基板12に接着剤を塗布する工程を省くことができ、生産性を向上させることができる。接着剤の付着は、例えば、表面実装機1に液体の接着剤を入れた容器を設けておき、実装ヘッド5を移動させてレンズ部品21の脚部21cの下端部を液体の接着剤に浸すことなどにより実施することができる。なお、色付きの接着剤は、部品認識カメラ4での撮影時に色付きであればよく、乾燥後に色付きのままであるか無色に変化するかは問わない。
(4)また、部品認識カメラ4を、実装ヘッド5に設け、実装ヘッド5と共に移動させ、レンズ部品21を上面側から撮影することとしてもよい。さらに、この場合において、基板12に実装されたLED部品13からの光がレンズ部品21に照射される位置まで実装ヘッド5を移動させ、部品認識カメラ4による撮影は、LED部品13からの光が下方からレンズ部品21に照射された状態において行うこととしてもよい。LED部品13の点灯は、例えば、基板12上に形成されたLED部品13への給電パッドから電力を供給することにより実施することができる。このように、基板12に実装されたLED部品13をスポット光の光源とすることにより、表面実装機1から照明装置7を省略することができる。
(5)また、LED認識カメラ10での撮影は、基板12に実装されたLED部品13を点灯させた状態において行うことしてもよい。得られた撮影画像の輝度分布のピーク位置からLED部品13の光軸13aを特定することができる。これにより、LED部品13の外形を撮影し、得られた撮影画像からLED部品13の光軸13aを特定するよりも、直接的に光軸を検出することができ、光軸検出の精度を高めることができる。また、LED部品13は、LED素子と筐体とから構成されているが、筐体の色と基板の色とが同系色の場合には、LED認識カメラの撮影画像からLEDの外形(輪郭)を特定するのが困難である。このような場合でも、上記方向によれば、光軸を正確に特定することができる。
(6)また、実施形態では、レンズ部品21は環部21bを具備しているが、環部21bは無くてもよい。
(7)また、LEDモジュールは、図2に示すものに限らず、例えば、図11に示すように、一列に配列されたものでもよい。なお、図11の例では、レンズ部品のZ軸回りの回転角が何れも同じにしてあるが、これに限らない。特に基板が一方向に長く、レンズ部品が基板の長手方向に整列する場合には、レンズ部品毎に回転角をずらして配置するのが好ましい。環境温度の変化により基板が長手方向に熱収縮または熱膨張した場合、レンズ部品の接着を剥がす方向に作用する応力が生じるが、回転角をずらしておくことにより、全てのレンズ部品が一斉に剥がれることを回避することができる。
(8)実施形態では、レンズ部品の保持状態の認識工程と、レンズ部品の実装工程とをレンズ部品毎に実施しているが、本発明はこれに限らない。例えば、レンズ部品の保持状態を認識して、粘着性のトレイの決められた位置にレンズ部品の位置と回転角を調整して仮置きする。粘着性のトレイに複数のレンズ部品を仮置きした後、トレイを基板の近くに搬送し、トレイに置かれたレンズ部品を順次基板に実装する。このとき、トレイに置かれたレンズ部品の位置と回転角は調整されているので、実装直前に保持状態の認識をすることなく機械的に実装する。この場合、レンズ部品の保持状態の認識工程と、別のレンズ部品の実装工程とを同時並行して実施することができ、生産性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば、基板にLED部品等の発光部品を実装し、その発光部品の上方を覆うようにレンズ部品を実装した発光モジュールに利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 表面実装機
2 基台
3 部品供給部
4 部品認識カメラ
5 実装ヘッド
6 吸着ノズル
7 照明装置
8 実装ヘッド駆動機構
9 基板認識カメラ
10 LED認識カメラ
11 部品トレイ
12 基板
13 LED部品
14 基準マーク
21,22,23,24,25,26 レンズ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装ヘッドに透明部品を保持させ、前記実装ヘッドに保持された透明部品を上面側または下面側から部品認識カメラで撮影し、得られた撮影画像から前記透明部品の保持状態を認識し、認識された保持状態の基準状態に対するずれを補償するように前記実装ヘッドを移動させ、その後、前記実装ヘッドの保持を解いて前記透明部品を基板の目的位置に実装する透明部品の実装方法において、
前記透明部品には、複数箇所に前記部品認識カメラの撮影方向の厚みを局部的に厚くまたは薄く形成しておき、
前記部品認識カメラによる撮影は、前記透明部品に単一または複数のスポット光を照射した状態で行うこと
を特徴とする透明部品の実装方法。
【請求項2】
前記透明部品の局部的に厚くまたは薄く形成された箇所の端面が着色または粗面化されていることを特徴とする請求項1に記載の透明部品の実装方法。
【請求項3】
前記透明部品の局部的に厚く形成された箇所は、前記透明部品の本体部の下面の複数箇所から下向きに突出した脚部であり、
前記透明部品の局部的に厚く形成された箇所の端面は、着色されており、
前記端面の着色は、前記実装ヘッドに透明部品を保持させてから前記透明部品を撮影するまでの間に前記透明部品の脚部の下端部に色付きの接着剤を付着させることにより行われ、
前記透明部品の前記基板への実装は、前記接着剤が付着された脚部を前記基板の表面に配置させて行うことを特徴とする請求項2に記載の透明部品の実装方法。
【請求項4】
前記基板の目的位置には、前記基板に垂直な方向に光を照射する発光部品が実装されており、前記透明部品は、前記発光部品の上方を覆うように前記基板に実装されるものであり、
前記実装ヘッドに透明部品を保持させてから前記透明部品を撮影するまでの間に、前記基板に実装された発光部品からの光が前記透明部品に照射される位置まで前記実装ヘッドを移動させ、
前記部品認識カメラによる撮影は、前記スポット光として、前記発光部品からの光が前記透明部品に下方から照射された状態において前記透明部品の上面側から行うことを特徴とする請求項1に記載の透明部品の実装方法。
【請求項5】
前記基板の目的位置には、前記基板に垂直な方向に光を照射する発光部品が実装されており、前記透明部品は、前記発光部品の上方を覆うように前記基板に実装されるものであり、
前記実装ヘッドの移動において、前記基板に実装された発光部品を前記基板の上方から発光部品認識カメラで撮影し、得られた撮影画像から前記発光部品の実装位置を認識し、認識された実装位置を前記透明部品の位置合わせの基準として用いることを特徴とする請求項1に記載の透明部品の実装方法。
【請求項6】
前記発光部品認識カメラでの撮影は、前記基板に実装された発光部品を点灯させた状態において行うことを特徴とする請求項5に記載の透明部品の実装方法。
【請求項7】
前記スポット光の光源は、単色のLEDであることを特徴とする請求項1に記載の透明部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−245467(P2010−245467A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95515(P2009−95515)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(399059485)シークス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】