透視性を有する発光シート、発光性装飾材及び発光シートの製造方法
【課題】夜間でも視認可能で、昼間又は照明下においては発光の有無により異なった装飾性をもたせることができる発光性装飾材を提供する。
【解決手段】平面シートの向こう側が透視可能な透明基材1から構成される透明部と、ストライプ状の第1透明電極層3、発光層4、およびストライプ状の第2透明電極層8から構成される発光部(3−4−8)、平面シートの向こう側が透視可能な透明基材7から構成される透明部を備える透視性を有する発光シート。
【解決手段】平面シートの向こう側が透視可能な透明基材1から構成される透明部と、ストライプ状の第1透明電極層3、発光層4、およびストライプ状の第2透明電極層8から構成される発光部(3−4−8)、平面シートの向こう側が透視可能な透明基材7から構成される透明部を備える透視性を有する発光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業ビルの窓や自動車などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートとして用いられる発光シート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透視性を持ったまま、シートの両面に互いに異なる画像を持たせた特殊装飾材を作製するために、それぞれの画素の異なる画像をドット状に描画したシートを見合わせ精度よく貼り合わせ、その後一方のシートを剥離しそのシート上の画素をもう一方のシート上の画素へ転写して特殊装飾材を得る方法(特許文献1)や密着性能の異なるインクを用いて画像を描画後、粘着シートを用いて不要部分を選択的に除去する方法(特許文献2)などが提案され、実用化されている。現在では特殊装飾材の意匠性から店舗や商用車などの商業用途から個人用途まで幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、これらの手法によって作製される特殊装飾材は昼間又は照明下においてのみ視認でき、夜間は視認することができないという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−92694号公報
【特許文献2】特開平5−92695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、夜間の照明のない環境においても視認可能であり、昼間又は照明下においては意図的な電源のon、offによる発光の有無により異なった装飾性の視認が可能な発光性装飾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)平面シートの向こう側が透視可能な透明部と、発光部を備える透視性を有する発光シート。
(2)発光部が第1透明電極層、発光層及び第2透明電極層からなる前記(1)に記載の発光シート。
(3)前記第1透明電極層及び前記第2透明電極層の少なくともいずれかがストライプ形状である前記(2)に記載の発光シート。
(4)部分的に透視制御層からなる透視制御部を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の発光シート。
(5)前記透視制御層が、着色導電材又は着色インクによって設けられたものである前記(4)に記載の発光シート。
(6)誘電体層を有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の発光シート。
(7)少なくとも、前記発光層、透視制御層及び誘電体層がマトリックス状に配置されている前記(6)に記載の発光シート。
(8)前記第1透明電極層及び第2透明電極層が共にストライプ形状であり、相互のストライプ形状が平行になっていない前記(2)〜(7)のいずれかに記載の発光シート。
(9)パターニングにより作製される前記(1)〜(8)のいずれかに記載の発光シート。
(10)パターニングが、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行われている前記(9)に記載の発光シート。
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の発光シートに平面シートの向こう側が透視可能な透明部を残すように印刷が施されている発光性装飾材。
(12)第1透明基材上に、少なくとも、第1透明電極層及び発光層を形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることを特徴とする、前記(1)に記載の透視性を有する発光シートの製造方法。
(13)第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる前記(12)に記載の発光シート。
(14)少なくとも、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるようにパターニングを行う前記(13)に記載の製造方法。
(15)パターニングを、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行う前記(14)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、昼夜あるいは明室、暗室のような様々な照明環境下において様々なバリエーションの装飾性の視認が可能な発光性装飾材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の発光シートは、図1に示すように平面シートの向こう側が透視可能な透明部aと、発光部bを備えるものである。ここで透明部aとはシートの向こう側が透視可能な透明部分のことをいい、発光部bとは後述する発光層4を設けた発光する部分のことをいう。更に、透視可能な透明部を残すように印刷が施されているものが好ましい。
【0009】
このようにすることで、平面シートの向こう側が手前側に比べて明るい場合には、手前側の観察者に対して平面シートの向こう側が視認可能であり、明るさの程度にもよるが平面シートの表面に印刷が施されている場合でもその印刷の視認が困難で、平面シートの向こう側が視認される。また平面シートの向こう側が手前側に比べて暗い場合には、平面シートの向こう側が視認し難く、平面シートの表面に印刷が施されている場合には印刷による文字や画像が鮮明に視認することができる。
【0010】
また発光部を発光させることにより、平面シートの向こう側が明るい場合であっても透視し難くなり、平面シート自体が明るくなり、更に平面シートの表面に印刷が施されている場合には印刷による文字や画像がバックライトにより光って見えるような効果をもたらすことができる。
【0011】
本発明の発光シートの好ましい態様は、図9に示すように、第1透明基材1上に、少なくとも、第1透明電極層3、発光層4及び第2透明電極層8を備えてなるものである。前記好ましい態様において、前記第1透明電極層3及び前記第2透明電極層8の少なくともいずれかはストライプ形状であり、両方がストライプ形状であることが好ましい。
【0012】
本発明の好ましい実施態様では、図10に示すように、誘電体層5及び/又は部分的に透視制御層6を有する。
【0013】
図10においては、誘電体層5は発光層4と透視制御層6との間に設けられているが、これに限られず、第1透明電極層3と発光層4との間、あるいは透視制御層6と第2透明電極層8との間に設けてもよい。
【0014】
また透視制御層6は、図10においては誘電体層5と第2透明電極層8との間に設けられているが、これに限られず、発光層4と誘電体層5との間、第2透明電極層8と第2透明基材7との間、あるいは第2透明基材7の第2透明電極層8を設けた反対の表面に設けてもよい。平面的に見た場合、透視制御層6からなる透視制御部は部分的に設けることが好ましく、発光部と同じ位置に設けることが好ましく、その大きさは対応する発光部と同等以上で対応する発光部がすっぽり収まるような形状にすることが好ましい。このようにすることにより、発光面(発光層から見て透視制御層の存在する反対面)に発光したときに発光面の反対面に光を漏れなくすることができる。透視制御層は発光層から見て発光させたい面と反対側に設ける必要がある。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、前記透視制御層6は着色導電材又は着色インクによって設けられている。本発明の好ましい実施態様では、前記第1透明電極層3及び第2透明電極層8のストライプ形状は平行になっておらず、更に直交していることがより好ましい。
【0016】
本発明の発光シートに用いる透明基材としては、透明であれば特に制限はないが、フレキシブルであることが好ましい。その材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート;ガラスが挙げられ、厚み10〜150μm程度のシートが用いられる。
【0017】
第1透明電極層及び第2透明電極層に用いられる材料としては、特に制限はなく、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物の薄膜、貴金属の超薄膜が挙げられる。第1透明電極層及び第2透明電極層として金属酸化物の薄膜を用いる場合、厚みは、通常50〜50000nmである。第1透明電極層及び第2透明電極層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の物理的蒸着法、あるいは熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学的気相成長法、あるいはバインダー等に分散した導電ペーストを用いて、印刷や塗布によって形成することができる。
【0018】
本発明においては、発光層は第1透明電極層と第2透明電極層との間に設ける。発光層が透明である場合には平面状で全面に設けられてもよいが、不透明な場合には透明部が残るように部分的に設けられる必要がある。更に、発光層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、第1透明電極層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。
【0019】
発光層の材料としては、例えばEL(Electroluminescence)素材のように発光が可能なものであれば特に制限はなく、ZnS:Cu、ZnS:Mn等の無機EL材料;アルミニウム・キノリノール錯体、芳香族ジアミン誘導体(例えば、トリフェニルジアミン誘導体)等の低分子型有機EL材料;ポリフェニレンビニレン等の高分子型有機EL材料のいずれを用いてもよい。発光層の厚みは、通常0.1〜50μmである。例えば、無機EL材料を用いる場合、スパッタリングによる形成、又は発光材料を含有する液を塗布し、乾燥することにより発光層を形成することができ、有機EL材料を用いる場合には、真空蒸着法、インクジェット法を用いることができる。
【0020】
本発明においては、発光効率を高める点から誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層は、第1透明電極層と第2透明電極層との間に設け、好ましくは発光層と第2透明電極層との間に設ける。更に、誘電体層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、発光層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。誘電体層の材料としては、高誘電率材料が好ましく、例えばチタン酸バリウム、酸化シリコン、窒化シリコン、アンチモンドープ酸化スズ、酸化イットリウム等が挙げられる。誘電体層の厚みは、通常0.1〜50μmである。誘電体層は、例えば、スパッタリング又は前記の材料を含有する液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0021】
更に本発明においては、黒色や茶色などの外部の光を比較的反射・散乱しない色彩を持つ透視制御層を部分的に設けることが好ましい。透視制御層を設けることで、発光する面からは向こう側を透視し難く、発光する面の反対側からは向こう側が比較的透視しやすい特殊な効果を得ることができる。
【0022】
透視制御層を設ける方法としては、発光層と、第1透明電極層又は第2透明電極層との間に、直接、又は誘電体層を介して、着色導電ペーストをインクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などによって設ける方法がある。着色導電ペーストを用いる場合には、透視制御層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、第1透明電極層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。着色導電ペーストは、光を反射・散乱しない色彩であれば特に制限はなく、銀フィラーやカーボンブラックを高分子樹脂に分散させたもの又はポリアセチレンなどの高分子材料にハロゲン系材料をドープさせた導電性高分子などを用いることができる。
【0023】
また、着色導電ペーストを用いない場合は、第1透明基材又は第2透明基材のどちらか一方の面上に、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などによって光を反射・散乱しない色彩の既存のインキを用いて印刷することで、着色導電ペーストを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
本発明の発光シートは、例えば、発光面側に位置する前記透明基材(第1透明基材)上に、少なくとも、第1透明電極層と、画素を構成する発光層とを形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることにより製造することができる。誘電体層を設ける場合には、第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる。
【0025】
更に透視制御層を設ける場合には、第1積層体の誘電体層上に着色導電ペーストを設けるか、あるいは第1透明基材又は第2透明基材のどちらか一方に光を反射・散乱しない色彩のインキを用いて印刷することで設けることができる。
【0026】
マスキングテープ、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等を用いてパターニングにより作製された発光シートは、第1透明電極層及び第2透明電極層の間に電圧を印加すれば、発光層が発光することにより、発光していないときと異なった装飾性を視認することができ、更に夜間でも視認性が良好である。前記のパターニング方法は2種以上を組み合わせてもよい。
【0027】
パターニングにより前記発光層及び誘電体層等をマトリックス状に配置させれば、選択的に画素を発光させることが可能になり、静止画をあたかも動画のような印象を与えて表示することもできる。
【0028】
例えば、マスキングテープを用いてパターニングを行う方法としては、少なくとも、第1積層体の作製に際し、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるように、第1透明基材と第1透明電極層との間、及び第1透明電極層と前記発光層との間にマスキング層を形成させ、第1積層体と第2積層体を接合させる前に前記マスキング層を除去する方法が挙げられる。
【0029】
更に、本発明の発光シートに、透視可能な透明部を残すように装飾効果をもたらすような印刷を施すことができる。印刷は発光面又は発光面の反対面のいずれか一方でも、両方に施してもよい。例えば、図16に示すように図10における第1透明基材1の両面、第2透明基材7の両面に印刷することができる。第1透明基材1の第1透明電極層3側に印刷する場合には、第1透明電極層3を設ける前に印刷を施す。また第2透明基材7の第2透明電極層8側に印刷する場合には、第2透明電極層8を設ける前に印刷を施す。印刷に用いるインクは特に制限されるものではなく、既存のものを幅広く用いることができる。印刷方法についても特に制限されるものではなく、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の既存の印刷方法を用いることができる。
【0030】
本発明の発光シートを発光性装飾材として商業ビルの看板や窓あるいは自動車などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートとして用いる場合、発光性装飾材両面にそれぞれ粘着剤付きシート(保護用粘着シート)を貼り合わせることにより、発光性装飾材を保護することができる。使用する保護用粘着シートは透明であれば、特に制限はないが、粘着シートの粘着剤を設けた面の反対面に耐擦傷(ハードコート)処理が施されているものが特に好ましい。また、発光性装飾材を壁や窓ガラスに貼り付ける場合、発光性装飾材の片面に粘着剤を塗布することで壁や窓ガラスに貼り付けることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
第1透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)(図2)に幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を図2に示すように1cm間隔になるように縦方向に貼付し、その後、厚み100nmの第1の透明電極層3としてITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜した(図3)。
【0033】
その上に更に横方向に前述の幅1cm、厚み20μmの前記と同様のマスキングテープ2’を1cm間隔になるように貼付した(図4)。
【0034】
その後、マイヤーバーを用いて、発光層4となるZnS:Cu液(藤倉化成(株)製FEL−190)を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布し(図5)、マスキングテープ2,2’を剥離した(図6)。
【0035】
第2の透明基材7として前記とは別の厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)上に、幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を1cm間隔になるように横方向に貼付し、その後、第2透明電極層8として厚み100nmのITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜し、マスキングテープ2を剥離した(図7)。
【0036】
その後、第2透明電極層8が発光層4(図6)にストライプ状の透明電極層3,8が互いに直交し、接合するように貼合し(図8)、100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、発光シートを得た(図9)。
【0037】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に透視性を有することが確認された。
【0038】
(実施例2)
第1透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)(図2)に幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を図2に示すように1cm間隔になるように縦方向に貼付し、その後、厚み100nmの第1の透明電極層3としてITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜した(図3)。
【0039】
その上に更に横方向に前述の幅1cm、厚み20μmの前記と同様のマスキングテープ2’を1cm間隔になるように貼付した(図4)。
【0040】
その後、マイヤーバーを用いて、発光層4(図5)となるZnS:Cu液(藤倉化成(株)製FEL−190)を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布し、100℃の乾燥機にて30分間乾燥後、続けて誘電体層5(図12)となるチタン酸バリウム液(藤倉化成(株)製FEL−615)を乾燥後の厚みが30μmになるように塗布し、同じく100℃の乾燥機にて30分間乾燥した。
【0041】
その後、前述の誘電体層5上に透視制御層6(図13)となる導電ペースト(藤倉化成(株)製FEA−685)を30μm塗布し、マスキングテープ2,2’を剥離した(図14)。
【0042】
第2の透明基材7として前記とは別の厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)上に、幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を1cm間隔になるように横方向に貼付し、その後、第2透明電極層8として厚み100nmのITO(図7)をスパッタリングによってストライプ状に製膜し、マスキングテープ2を剥離した(図7)。
【0043】
その後、第2透明電極層8が図14の透視制御層6(図14)にストライプ状の透明電極層3,8が互いに直交し、接合するように貼合した(図15)。その後、100℃の乾燥機にて30分間乾燥した。
【0044】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0045】
(実施例3)
マスキングテープの代わりにスクリーン印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0046】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0047】
(実施例4)
マスキングテープの代わりにインクジェット印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0048】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0049】
(実施例5)
マスキングテープの代わりにグラビア印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0050】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0051】
(実施例6)
実施例2で作製した発光シートの両面にインクジェット印刷法を用いて、図16に示すように文字を印刷して発光性装飾材を作製した。
【0052】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した。その結果、装飾性を有し、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を説明するための発光シートの平面図である。
【図2】第1透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)にマスキングテープを貼付した状態を示す図である。
【図3】透明導電膜を製膜した状態を示す図である。
【図4】図3の透明導電膜上に、横方向にマスキングテープを貼付した状態を示す図である。
【図5】発光層を塗布した状態を示す図である。
【図6】図5の状態からマスキングテープを剥離した状態を示す図である。
【図7】第2透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)上に透明導電膜を製膜した状態を示す図である。
【図8】図7のITO面が図6の発光層に接合するように貼合した状態を示す図である。
【図9】本発明の好ましい態様を説明するための断面図である。
【図10】本発明の好ましい態様を説明するための断面図である。
【図11】電圧印加時の接続状態を示す図である。
【図12】図5の発光層上に誘電体層を積層した状態を示す図である。
【図13】図12の誘電体層上に透視制御層を積層した状態を示す図である。
【図14】図13の状態からマスキングテープを剥離した状態を示す図である。
【図15】図7のITO面が図14の透視制御層に接合するように貼合した状態を示す図である。
【図16】本発明の発光性装飾材の平面図である。
【符号の説明】
【0054】
a 透明部
b 発光部
1 第1透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)
2 マスキングテープ
2’ マスキングテープ
3 第1透明電極層(透明導電膜)
4 発光層
5 誘電体層
6 透視制御層
7 第2透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)
8 第2透明電極層(透明導電膜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業ビルの窓や自動車などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートとして用いられる発光シート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透視性を持ったまま、シートの両面に互いに異なる画像を持たせた特殊装飾材を作製するために、それぞれの画素の異なる画像をドット状に描画したシートを見合わせ精度よく貼り合わせ、その後一方のシートを剥離しそのシート上の画素をもう一方のシート上の画素へ転写して特殊装飾材を得る方法(特許文献1)や密着性能の異なるインクを用いて画像を描画後、粘着シートを用いて不要部分を選択的に除去する方法(特許文献2)などが提案され、実用化されている。現在では特殊装飾材の意匠性から店舗や商用車などの商業用途から個人用途まで幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、これらの手法によって作製される特殊装飾材は昼間又は照明下においてのみ視認でき、夜間は視認することができないという欠点があった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−92694号公報
【特許文献2】特開平5−92695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、夜間の照明のない環境においても視認可能であり、昼間又は照明下においては意図的な電源のon、offによる発光の有無により異なった装飾性の視認が可能な発光性装飾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)平面シートの向こう側が透視可能な透明部と、発光部を備える透視性を有する発光シート。
(2)発光部が第1透明電極層、発光層及び第2透明電極層からなる前記(1)に記載の発光シート。
(3)前記第1透明電極層及び前記第2透明電極層の少なくともいずれかがストライプ形状である前記(2)に記載の発光シート。
(4)部分的に透視制御層からなる透視制御部を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の発光シート。
(5)前記透視制御層が、着色導電材又は着色インクによって設けられたものである前記(4)に記載の発光シート。
(6)誘電体層を有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の発光シート。
(7)少なくとも、前記発光層、透視制御層及び誘電体層がマトリックス状に配置されている前記(6)に記載の発光シート。
(8)前記第1透明電極層及び第2透明電極層が共にストライプ形状であり、相互のストライプ形状が平行になっていない前記(2)〜(7)のいずれかに記載の発光シート。
(9)パターニングにより作製される前記(1)〜(8)のいずれかに記載の発光シート。
(10)パターニングが、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行われている前記(9)に記載の発光シート。
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の発光シートに平面シートの向こう側が透視可能な透明部を残すように印刷が施されている発光性装飾材。
(12)第1透明基材上に、少なくとも、第1透明電極層及び発光層を形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることを特徴とする、前記(1)に記載の透視性を有する発光シートの製造方法。
(13)第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる前記(12)に記載の発光シート。
(14)少なくとも、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるようにパターニングを行う前記(13)に記載の製造方法。
(15)パターニングを、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行う前記(14)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、昼夜あるいは明室、暗室のような様々な照明環境下において様々なバリエーションの装飾性の視認が可能な発光性装飾材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の発光シートは、図1に示すように平面シートの向こう側が透視可能な透明部aと、発光部bを備えるものである。ここで透明部aとはシートの向こう側が透視可能な透明部分のことをいい、発光部bとは後述する発光層4を設けた発光する部分のことをいう。更に、透視可能な透明部を残すように印刷が施されているものが好ましい。
【0009】
このようにすることで、平面シートの向こう側が手前側に比べて明るい場合には、手前側の観察者に対して平面シートの向こう側が視認可能であり、明るさの程度にもよるが平面シートの表面に印刷が施されている場合でもその印刷の視認が困難で、平面シートの向こう側が視認される。また平面シートの向こう側が手前側に比べて暗い場合には、平面シートの向こう側が視認し難く、平面シートの表面に印刷が施されている場合には印刷による文字や画像が鮮明に視認することができる。
【0010】
また発光部を発光させることにより、平面シートの向こう側が明るい場合であっても透視し難くなり、平面シート自体が明るくなり、更に平面シートの表面に印刷が施されている場合には印刷による文字や画像がバックライトにより光って見えるような効果をもたらすことができる。
【0011】
本発明の発光シートの好ましい態様は、図9に示すように、第1透明基材1上に、少なくとも、第1透明電極層3、発光層4及び第2透明電極層8を備えてなるものである。前記好ましい態様において、前記第1透明電極層3及び前記第2透明電極層8の少なくともいずれかはストライプ形状であり、両方がストライプ形状であることが好ましい。
【0012】
本発明の好ましい実施態様では、図10に示すように、誘電体層5及び/又は部分的に透視制御層6を有する。
【0013】
図10においては、誘電体層5は発光層4と透視制御層6との間に設けられているが、これに限られず、第1透明電極層3と発光層4との間、あるいは透視制御層6と第2透明電極層8との間に設けてもよい。
【0014】
また透視制御層6は、図10においては誘電体層5と第2透明電極層8との間に設けられているが、これに限られず、発光層4と誘電体層5との間、第2透明電極層8と第2透明基材7との間、あるいは第2透明基材7の第2透明電極層8を設けた反対の表面に設けてもよい。平面的に見た場合、透視制御層6からなる透視制御部は部分的に設けることが好ましく、発光部と同じ位置に設けることが好ましく、その大きさは対応する発光部と同等以上で対応する発光部がすっぽり収まるような形状にすることが好ましい。このようにすることにより、発光面(発光層から見て透視制御層の存在する反対面)に発光したときに発光面の反対面に光を漏れなくすることができる。透視制御層は発光層から見て発光させたい面と反対側に設ける必要がある。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、前記透視制御層6は着色導電材又は着色インクによって設けられている。本発明の好ましい実施態様では、前記第1透明電極層3及び第2透明電極層8のストライプ形状は平行になっておらず、更に直交していることがより好ましい。
【0016】
本発明の発光シートに用いる透明基材としては、透明であれば特に制限はないが、フレキシブルであることが好ましい。その材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート;ガラスが挙げられ、厚み10〜150μm程度のシートが用いられる。
【0017】
第1透明電極層及び第2透明電極層に用いられる材料としては、特に制限はなく、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物の薄膜、貴金属の超薄膜が挙げられる。第1透明電極層及び第2透明電極層として金属酸化物の薄膜を用いる場合、厚みは、通常50〜50000nmである。第1透明電極層及び第2透明電極層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の物理的蒸着法、あるいは熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学的気相成長法、あるいはバインダー等に分散した導電ペーストを用いて、印刷や塗布によって形成することができる。
【0018】
本発明においては、発光層は第1透明電極層と第2透明電極層との間に設ける。発光層が透明である場合には平面状で全面に設けられてもよいが、不透明な場合には透明部が残るように部分的に設けられる必要がある。更に、発光層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、第1透明電極層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。
【0019】
発光層の材料としては、例えばEL(Electroluminescence)素材のように発光が可能なものであれば特に制限はなく、ZnS:Cu、ZnS:Mn等の無機EL材料;アルミニウム・キノリノール錯体、芳香族ジアミン誘導体(例えば、トリフェニルジアミン誘導体)等の低分子型有機EL材料;ポリフェニレンビニレン等の高分子型有機EL材料のいずれを用いてもよい。発光層の厚みは、通常0.1〜50μmである。例えば、無機EL材料を用いる場合、スパッタリングによる形成、又は発光材料を含有する液を塗布し、乾燥することにより発光層を形成することができ、有機EL材料を用いる場合には、真空蒸着法、インクジェット法を用いることができる。
【0020】
本発明においては、発光効率を高める点から誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層は、第1透明電極層と第2透明電極層との間に設け、好ましくは発光層と第2透明電極層との間に設ける。更に、誘電体層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、発光層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。誘電体層の材料としては、高誘電率材料が好ましく、例えばチタン酸バリウム、酸化シリコン、窒化シリコン、アンチモンドープ酸化スズ、酸化イットリウム等が挙げられる。誘電体層の厚みは、通常0.1〜50μmである。誘電体層は、例えば、スパッタリング又は前記の材料を含有する液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0021】
更に本発明においては、黒色や茶色などの外部の光を比較的反射・散乱しない色彩を持つ透視制御層を部分的に設けることが好ましい。透視制御層を設けることで、発光する面からは向こう側を透視し難く、発光する面の反対側からは向こう側が比較的透視しやすい特殊な効果を得ることができる。
【0022】
透視制御層を設ける方法としては、発光層と、第1透明電極層又は第2透明電極層との間に、直接、又は誘電体層を介して、着色導電ペーストをインクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などによって設ける方法がある。着色導電ペーストを用いる場合には、透視制御層はマトリックス状に設けられていることが好ましく、第1透明電極層と第2透明電極層に挟まれる位置に設けられていることがより好ましい。着色導電ペーストは、光を反射・散乱しない色彩であれば特に制限はなく、銀フィラーやカーボンブラックを高分子樹脂に分散させたもの又はポリアセチレンなどの高分子材料にハロゲン系材料をドープさせた導電性高分子などを用いることができる。
【0023】
また、着色導電ペーストを用いない場合は、第1透明基材又は第2透明基材のどちらか一方の面上に、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などによって光を反射・散乱しない色彩の既存のインキを用いて印刷することで、着色導電ペーストを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
本発明の発光シートは、例えば、発光面側に位置する前記透明基材(第1透明基材)上に、少なくとも、第1透明電極層と、画素を構成する発光層とを形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることにより製造することができる。誘電体層を設ける場合には、第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる。
【0025】
更に透視制御層を設ける場合には、第1積層体の誘電体層上に着色導電ペーストを設けるか、あるいは第1透明基材又は第2透明基材のどちらか一方に光を反射・散乱しない色彩のインキを用いて印刷することで設けることができる。
【0026】
マスキングテープ、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等を用いてパターニングにより作製された発光シートは、第1透明電極層及び第2透明電極層の間に電圧を印加すれば、発光層が発光することにより、発光していないときと異なった装飾性を視認することができ、更に夜間でも視認性が良好である。前記のパターニング方法は2種以上を組み合わせてもよい。
【0027】
パターニングにより前記発光層及び誘電体層等をマトリックス状に配置させれば、選択的に画素を発光させることが可能になり、静止画をあたかも動画のような印象を与えて表示することもできる。
【0028】
例えば、マスキングテープを用いてパターニングを行う方法としては、少なくとも、第1積層体の作製に際し、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるように、第1透明基材と第1透明電極層との間、及び第1透明電極層と前記発光層との間にマスキング層を形成させ、第1積層体と第2積層体を接合させる前に前記マスキング層を除去する方法が挙げられる。
【0029】
更に、本発明の発光シートに、透視可能な透明部を残すように装飾効果をもたらすような印刷を施すことができる。印刷は発光面又は発光面の反対面のいずれか一方でも、両方に施してもよい。例えば、図16に示すように図10における第1透明基材1の両面、第2透明基材7の両面に印刷することができる。第1透明基材1の第1透明電極層3側に印刷する場合には、第1透明電極層3を設ける前に印刷を施す。また第2透明基材7の第2透明電極層8側に印刷する場合には、第2透明電極層8を設ける前に印刷を施す。印刷に用いるインクは特に制限されるものではなく、既存のものを幅広く用いることができる。印刷方法についても特に制限されるものではなく、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の既存の印刷方法を用いることができる。
【0030】
本発明の発光シートを発光性装飾材として商業ビルの看板や窓あるいは自動車などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートとして用いる場合、発光性装飾材両面にそれぞれ粘着剤付きシート(保護用粘着シート)を貼り合わせることにより、発光性装飾材を保護することができる。使用する保護用粘着シートは透明であれば、特に制限はないが、粘着シートの粘着剤を設けた面の反対面に耐擦傷(ハードコート)処理が施されているものが特に好ましい。また、発光性装飾材を壁や窓ガラスに貼り付ける場合、発光性装飾材の片面に粘着剤を塗布することで壁や窓ガラスに貼り付けることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
第1透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)(図2)に幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を図2に示すように1cm間隔になるように縦方向に貼付し、その後、厚み100nmの第1の透明電極層3としてITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜した(図3)。
【0033】
その上に更に横方向に前述の幅1cm、厚み20μmの前記と同様のマスキングテープ2’を1cm間隔になるように貼付した(図4)。
【0034】
その後、マイヤーバーを用いて、発光層4となるZnS:Cu液(藤倉化成(株)製FEL−190)を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布し(図5)、マスキングテープ2,2’を剥離した(図6)。
【0035】
第2の透明基材7として前記とは別の厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)上に、幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を1cm間隔になるように横方向に貼付し、その後、第2透明電極層8として厚み100nmのITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜し、マスキングテープ2を剥離した(図7)。
【0036】
その後、第2透明電極層8が発光層4(図6)にストライプ状の透明電極層3,8が互いに直交し、接合するように貼合し(図8)、100℃の乾燥機にて30分間乾燥し、発光シートを得た(図9)。
【0037】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に透視性を有することが確認された。
【0038】
(実施例2)
第1透明基材1として厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)(図2)に幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を図2に示すように1cm間隔になるように縦方向に貼付し、その後、厚み100nmの第1の透明電極層3としてITOをスパッタリングによってストライプ状に製膜した(図3)。
【0039】
その上に更に横方向に前述の幅1cm、厚み20μmの前記と同様のマスキングテープ2’を1cm間隔になるように貼付した(図4)。
【0040】
その後、マイヤーバーを用いて、発光層4(図5)となるZnS:Cu液(藤倉化成(株)製FEL−190)を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布し、100℃の乾燥機にて30分間乾燥後、続けて誘電体層5(図12)となるチタン酸バリウム液(藤倉化成(株)製FEL−615)を乾燥後の厚みが30μmになるように塗布し、同じく100℃の乾燥機にて30分間乾燥した。
【0041】
その後、前述の誘電体層5上に透視制御層6(図13)となる導電ペースト(藤倉化成(株)製FEA−685)を30μm塗布し、マスキングテープ2,2’を剥離した(図14)。
【0042】
第2の透明基材7として前記とは別の厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)上に、幅1cm、厚み20μmのマスキングテープ2(リンテック(株)製Adwill C−902)を1cm間隔になるように横方向に貼付し、その後、第2透明電極層8として厚み100nmのITO(図7)をスパッタリングによってストライプ状に製膜し、マスキングテープ2を剥離した(図7)。
【0043】
その後、第2透明電極層8が図14の透視制御層6(図14)にストライプ状の透明電極層3,8が互いに直交し、接合するように貼合した(図15)。その後、100℃の乾燥機にて30分間乾燥した。
【0044】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0045】
(実施例3)
マスキングテープの代わりにスクリーン印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0046】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0047】
(実施例4)
マスキングテープの代わりにインクジェット印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0048】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0049】
(実施例5)
マスキングテープの代わりにグラビア印刷法を用いて発光層(ZnS:Cu)、誘電体層(チタン酸バリウム液)及び透視制御層(導電ペースト)を印刷した以外は実施例2と同様にして、発光シートを得た。
【0050】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した結果、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【0051】
(実施例6)
実施例2で作製した発光シートの両面にインクジェット印刷法を用いて、図16に示すように文字を印刷して発光性装飾材を作製した。
【0052】
図11に示すように、厚み方向に電圧が印加されるように接続し、周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加した。その結果、装飾性を有し、夜間でも視認性に優れ、更に一方の面からは透視性を有するが、他方の面からは透視し難いという効果を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を説明するための発光シートの平面図である。
【図2】第1透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)にマスキングテープを貼付した状態を示す図である。
【図3】透明導電膜を製膜した状態を示す図である。
【図4】図3の透明導電膜上に、横方向にマスキングテープを貼付した状態を示す図である。
【図5】発光層を塗布した状態を示す図である。
【図6】図5の状態からマスキングテープを剥離した状態を示す図である。
【図7】第2透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)上に透明導電膜を製膜した状態を示す図である。
【図8】図7のITO面が図6の発光層に接合するように貼合した状態を示す図である。
【図9】本発明の好ましい態様を説明するための断面図である。
【図10】本発明の好ましい態様を説明するための断面図である。
【図11】電圧印加時の接続状態を示す図である。
【図12】図5の発光層上に誘電体層を積層した状態を示す図である。
【図13】図12の誘電体層上に透視制御層を積層した状態を示す図である。
【図14】図13の状態からマスキングテープを剥離した状態を示す図である。
【図15】図7のITO面が図14の透視制御層に接合するように貼合した状態を示す図である。
【図16】本発明の発光性装飾材の平面図である。
【符号の説明】
【0054】
a 透明部
b 発光部
1 第1透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)
2 マスキングテープ
2’ マスキングテープ
3 第1透明電極層(透明導電膜)
4 発光層
5 誘電体層
6 透視制御層
7 第2透明基材(ポリエチレンテレフタレートシート)
8 第2透明電極層(透明導電膜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面シートの向こう側が透視可能な透明部と、発光部を備える透視性を有する発光シート。
【請求項2】
発光部が第1透明電極層、発光層及び第2透明電極層からなる請求項1記載の発光シート。
【請求項3】
前記第1透明電極層及び前記第2透明電極層の少なくともいずれかがストライプ形状である請求項2記載の発光シート。
【請求項4】
部分的に透視制御層からなる透視制御部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項5】
前記透視制御層が、着色導電材又は着色インクによって設けられたものである請求項4記載の発光シート。
【請求項6】
誘電体層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項7】
少なくとも、前記発光層、透視制御層及び誘電体層がマトリックス状に配置されている請求項6記載の発光シート。
【請求項8】
前記第1透明電極層及び第2透明電極層が共にストライプ形状であり、相互のストライプ形状が平行になっていない請求項2〜7のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項9】
パターニングにより作製される請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項10】
パターニングが、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行われている請求項9記載の発光シート。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光シートに平面シートの向こう側が透視可能な透明部を残すように印刷が施されている発光性装飾材。
【請求項12】
第1透明基材上に、少なくとも、第1透明電極層及び発光層を形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることを特徴とする、請求項1記載の透視性を有する発光シートの製造方法。
【請求項13】
第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
少なくとも、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるようにパターニングを行う請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
パターニングを、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行う請求項14記載の製造方法。
【請求項1】
平面シートの向こう側が透視可能な透明部と、発光部を備える透視性を有する発光シート。
【請求項2】
発光部が第1透明電極層、発光層及び第2透明電極層からなる請求項1記載の発光シート。
【請求項3】
前記第1透明電極層及び前記第2透明電極層の少なくともいずれかがストライプ形状である請求項2記載の発光シート。
【請求項4】
部分的に透視制御層からなる透視制御部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項5】
前記透視制御層が、着色導電材又は着色インクによって設けられたものである請求項4記載の発光シート。
【請求項6】
誘電体層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項7】
少なくとも、前記発光層、透視制御層及び誘電体層がマトリックス状に配置されている請求項6記載の発光シート。
【請求項8】
前記第1透明電極層及び第2透明電極層が共にストライプ形状であり、相互のストライプ形状が平行になっていない請求項2〜7のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項9】
パターニングにより作製される請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光シート。
【請求項10】
パターニングが、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行われている請求項9記載の発光シート。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の発光シートに平面シートの向こう側が透視可能な透明部を残すように印刷が施されている発光性装飾材。
【請求項12】
第1透明基材上に、少なくとも、第1透明電極層及び発光層を形成させて第1積層体を作製し、別に、第2透明基材上に、少なくとも、第2透明電極層を形成させて第2積層体を作製し、第1積層体と第2積層体を接合させることを特徴とする、請求項1記載の透視性を有する発光シートの製造方法。
【請求項13】
第1積層体の発光層上に誘電体層を形成させた後、第2積層体と接合させる請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
少なくとも、前記発光層及び誘電体層がマトリックス状に配置されるようにパターニングを行う請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
パターニングを、マスキングテープを用いて、又はスクリーン印刷、インクジェット印刷もしくはグラビア印刷により行う請求項14記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−93977(P2008−93977A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278681(P2006−278681)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
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