説明

通信システム、送信装置、受信装置および通信方法

【課題】通信速度を高めつつ、優先度の高いデータを通信する場合にデータの品質低下を抑制することができる。
【解決手段】送信装置500Aは、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、入力データを第1および第2の分割データに分割して、送信信号を生成する分割モードと、入力データを分割することなく、当該入力データから送信信号を生成する非分割モードとを切り替える。受信装置500Bは、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが第1および第2の分割データを取得した場合、第1および第2の分割データを合成させてデータ出力する。一方、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合、受信装置500Bは、少なくとも第1または第2の受信信号処理部402a、402bのいずれかにより取得された入力データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば送信装置と受信装置を含む通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やインターネットなどの普及が急速に進み、これに伴って通信情報量は飛躍的に増加してきている。また、通信設備を迅速に設置することが要求されるなか、敷設時間が少なくて済む点や、設備費用を低くおさえることができる点などの理由から、無線通信が広く利用されてきている。無線通信では、通信品質の確保に加えて、通信速度の高速化が要求される。これを実現するために、例えばダイバーシティなどの技術が無線通信に適用されてきた。
【0003】
図8は、ダイバーシティ技術を適用した通信システム一例の構成を示す図である(特許文献1を参照。)。図8に示されるように、通信システム9000は、送信装置900Aと受信装置900Bにより構成される。
【0004】
送信装置900Aでは、まず、データ分割部930が入力データをビット単位またはバイト単位で分割し、これら分割されたデータを2つの系列で送信処理ブロック920へ供給する。すなわち、データ分割部930は、送信信号処理部922a(ルート1に配置)および送信信号処理部922b(ルート2に配置)に分割データを入力する。各送信信号処理部922a、922bは分割データに対してパケット化やヘッダ情報、誤り訂正用信号などを付加してベースバンドの送信信号を生成し、送信部921a、921bにそれぞれ入力する。送信部921a、921bの各々は、変調処理や周波数変換処理を行い、無線周波数帯の送信信号を生成し、これをアンテナ部911a、911bを介して、受信装置900Bへ向けて出力する。このとき、アンテナ部911aおよびアンテナ部911bの偏波方式は、互いに異なるように設定されている(例えば、アンテナ部911aは右旋円偏波方式、アンテナ部911bは左旋円偏波方式を採用)。なお、制御部940は、相手側の装置から受信した信号の状態に関する情報を取得して制御信号を生成し、この制御信号を用いて、データ分割部930や送信処理ブロック920を制御する。
【0005】
受信装置900Bでは、受信部961a、961bの各々が、アンテナ部951a、951bを介して、ルート1およびルート2のルート毎に信号を受信する。なお、アンテナ部951aの偏波方式はアンテナ部911aと同じであり、アンテナ部951bの偏波方式はアンテナ部911bと同じである。各受信部961a、961bの各々は、受信信号に対して周波数変換処理や復調処理を行い、処理後の各信号を受信信号処理部962a、962bへ入力する。各受信信号処理部962a、962bは、例えば、受信信号のヘッダ情報に基づいて信号抽出をした後に、誤り検出訂正処理を行い、処理後の信号をデータ合成部970に入力する。データ合成部970は、各受信信号処理部962a、962bから入力される信号を合成し、合成後の信号を出力する。なお、制御部980は、制御部940と同様に、相手側の装置から受信した信号の状態に関する情報を取得して制御信号を生成し、この制御信号を用いて、データ合成部970や受信処理ブロック960を制御する。
【0006】
通信システム9000では、通信回線の状態が良い通常の場合には、上述したように、入力データを2つに分割して、互いに独立した2つの信号経路を構築して、2つの分割データをそれぞれ処理している。これにより、周波数を拡張することなく、通信速度を倍増することができた。一方、通信回線の状態が悪い場合、送信データの分割を停止し、2つの信号経路のうち、回線状態が比較的良い方を使用して通信を行うように制御することで、信号の劣化を抑制している。なお、回線状態は、2つの通信経路毎に、受信信号のS/N(Signal to Noise Power Ratio)比やエラーレート特性などを用いて判断しており、これらの特性の値が、所定のしきい値以下になると、切り替えのトリガーとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4241648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、通信回線の状態の良否に基づいて、入力データを分割して2つの通信経路の双方を使用して送信するか、入力データを分割しないで通信経路の一方のみを使用して送信するのかを切り替えている。従って、例えば音声データのように、テキストデータと比較して優先度の高いデータが入力されても、通信回線の状態が良ければ、入力データを分割して2つの通信経路の双方を使用して送信される。このため、入力データが優先度の高いデータであるにもかかわらず、受信装置側でデータの合成処理などのデータ再生処理を行う必要が生じてしまい、入力データと比較して受信データの品質が著しく低下することがあった。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、通信速度を高めつつ、優先度の高いデータを通信する場合にデータの品質低下を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信システムは、送信装置と、前記送信装置により送信される送信信号を受信する受信装置を有する通信システムであって、前記送信装置は、入力データに基づいて、前記送信信号を生成する第1および第2の送信信号処理部と、前記入力データに含まれる優先度情報を取得する優先度情報取得部と、前記入力データを第1および第2の分割データに分割するデータ分割処理部と、前記優先度情報取得部により取得される前記優先度情報に基づいて、前記第1および第2の送信信号処理部の各々に対して、前記データ分割処理部により分割された前記第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号を生成させる分割モードと、前記データ分割処理部に前記入力データを分割させることなく、前記第1および第2の送信信号処理部の双方に対して、前記入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させる非分割モードとを切り替える送信制御部とを備え、前記受信装置は、前記送信装置から送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、前記第1の分割データまたは前記入力データを取得する第1の受信信号処理部と、前記送信装置から送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、前記第2の分割データまたは前記入力データを取得する第2の受信信号処理部と、前記第1および第2の分割データを合成するデータ合成処理部と、前記第1および第2の受信信号処理部が前記第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合には、前記データ合成処理部に対して、前記第1および第2の受信信号処理部により取得された前記第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させ、前記第1および第2の受信信号処理部が前記入力データを取得した場合には、少なくとも前記第1または第2の受信信号処理部のいずれかにより取得された入力データを出力させる出力制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる技術によれば、通信速度を高めつつ、優先度の高いデータを通信する場合にデータの品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図1B】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの送信動作フローを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの送信動作フローを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムの受信動作フローを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの送信動作フローの一部を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムの送信動作フローの一部を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムの受信動作フローの一部を示す図である。
【図8】ダイバーシティ技術を適用した通信システムの一例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
図1Aおよび図1Bは、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システム1000の構成を示す図1Aおよび図1Bに示されるように、通信システム1000は、送信装置500Aと受信装置500Bとを含んで構成される。図1Aは、主として送信装置500Aの構成を詳細に示している。図1Bは、主として受信装置500Bの構成を詳細に示している。なお、以下の説明では、便宜上、送信装置500Aと受信装置500Bとを区別して説明するが、送信装置500Aおよび受信装置500Bはともに同じ構成を有している。
【0014】
図1Aに示されるように、送信装置500Aは、制御部100と、送信回路部200と、切り替え制御部300と、受信回路部400とを含んで構成されている。また、アンテナ部101a、102bが送信回路部200および受信回路部400にそれぞれ接続されている。
【0015】
制御部100は、送信回路部200、切り替え制御部300および受信回路部400などを含め、送信装置500A全体を制御する。制御部100は、送信側制御部110および受信側制御部120を有している。送信用制御部110は、送信装置500Aに入力されるデータを入力データとして取得する。送信用制御部110は、優先度情報取得部111を有している。優先度取得部111は、入力データに含まれる優先度情報を取得する。ここで、優先度情報とは、入力データを送信する際の優先度に関する情報であって、データ内容などに応じて設定される情報である。この優先度情報は、例えば、TOS(Type Of Service)などで適用されるパケットのヘッダ情報に含まれている。TOSは、IPv(Internet Protocol version)4のパケットのヘッダ情報を構成するフィールドの1つであって、通信サービスの種別を示すものである。
【0016】
なお、受信制御部120については、後で、受信装置500Bの説明の中で、詳細に説明する。
【0017】
送信回路部200は、データ分割処理部201と、第1の送信信号処理部202aと、第2の送信信号処理部202bと、第1の送信部203aと、第2の送信部203bと、遅延回路204と、を含んで構成されている。送信回路部200には、それぞれ独立した2つの処理経路がルート1およびルート2として形成されている。ルート1は、第1の送信信号処理部201aおよび第1の送信部203aにより構成される。ルート2は、第2の送信信号処理部202b、遅延回路204および第2の送信部203bにより構成される。
【0018】
データ分割処理部201は、後述の切り替え制御部300の送信制御部301から入力される制御信号に従って、制御部100から入力される入力データを、例えばビット単位やバイト単位で分割し、第1の分割データと第2の分割データを生成する。このとき、データ分割処理部201は、分割を行ったことを示す識別情報を、第1および第2の分割データの各々に書き込む。また、データ分割処理部201は、第1の分割データを第1の送信信号処理部202aに入力し、第2の分割データを第2の送信信号処理部202bに入力する。
【0019】
第1および第2の送信信号処理部202a、202bは、後述の出力制御部301から入力される制御信号に従って、入力される各データに対して、誤り訂正符号などを付加して、ベースバンドの送信信号を生成する。また、第1の送信信号処理部202aは、生成した送信信号を、第1の送信部203aに入力する。第2の送信信号処理部202bは、生成した送信信号を、遅延回路204を介して、第2の送信部203bに入力する。
【0020】
第1および第2の送信部203a、203bは、第1および第2の送信信号処理部202a、202bから入力される送信信号に対して、例えば周波数変調を行って無線周波数帯の送信信号を生成する。また、第1および第2の送信部203a、203bの各々は、アンテナ部101a、101bを介して、受信装置500Bへ向けて送信信号を送信する。このとき、アンテナ部101aおよびアンテナ部101bには、互いに異なる偏波方式が設定されている。例えば、アンテナ部101aは、交差偏波伝送方式の1つである垂直偏波によって送信信号を出力し、アンテナ部101bは、水平偏波によって送信信号を出力する。なお、偏波方式は、垂直偏波または水平偏波に限定されず、アンテナ部101a、101bから出力される信号が互いに干渉しない限り、これら以外の偏波方式を採用することができる。
【0021】
遅延回路204は、第2の送信信号処理部202aから出力される送信信号を所定の時間分(例えば第1シンボル以上の適切な時間分)、遅延させる。これにより、ルート1で第1の送信部203aに入力する送信信号の位相と、ルート2で第2の送信部203bに入力する送信信号の位相とが、互いに異なるように設定できる。なお、第2の送信信号処理部202bおよび第2の送信部203bの間に、遅延回路204を配置するのではなく、第1の送信信号処置部202aおよび第1の送信部203aの間に、遅延回路204を配置してもよい。
【0022】
切り替え制御部300は、送信制御部301および出力制御部302を有している。なお、出力制御部302については、受信装置500Bの説明の際に、詳しく説明する。送信制御部301は、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードまたは非分割モードに切り替える制御を行う。
【0023】
ここで、分割モードとは、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、データ分割処理部201により分割された第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号とを生成させるモードをいう。非分割モードとは、データ分割処理部201に入力データを分割させることなく、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの双方に対して、入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させるモードをいう。
【0024】
具体的には、優先度情報には予めしきい値が設定されており、例えば優先度情報が所定のしきい値以上の場合、送信制御部301は高優先度のデータであると識別して非分割モードに切り替える。一方、優先度情報が所定のしきい値未満の場合、送信制御部301は低優先度のデータであると識別して分割モードに切り替える。
【0025】
送信制御部301は、分割モードまたは非分割モードの設定に応じた制御信号を生成して、データ分割処理部201、第1の送信信号処理部202aおよび第2の送信信号処理部202bに制御信号を入力する。
【0026】
例えば、分割モードが設定されている場合、送信制御部301は、データ分割処理部204に対して、制御部100から入力される入力データを第1および第2の分割データに分割させる制御信号を出力する。併せて、送信制御部301は、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、データ分割処理部201により生成された第1および第2の分割データに誤り訂正符号などを付加して、ベースバンドの送信信号を生成させる制御信号を出力する。
【0027】
また、非分割モードが設定されている場合、送信制御部301は、データ分割処理部204に対して、制御部100から入力される入力データを分割しないで、前記第1および第2の送信信号処理部202a、202bに入力させる制御信号を出力する。併せて、送信制御部301は、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、制御部100から入力される入力データに誤り訂正符号などを付加して、ベースバンドの送信信号を生成させる制御信号を出力させる制御信号を生成する。
【0028】
なお、切り替え制御部300は、受信回路部400とも接続されている。受信回路部400は、後述の受信装置500から送信される信号を、アンテナ部101a、101bを介して、受信する。そして、受信回路部400は、例えば送信装置500A側での受信レベルやS/Nやエラーレートなど、送信装置500A側の受信品質に関する情報(送信装置500A側受信品質情報)を取得し、これを切り替え制御部300に入力しうる。この場合、送信制御部301は、制御部100から入力される各種情報に加え、送信装置500A側受信品質情報に基づいて、制御信号を生成し、これをデータ分割処理部201や、第1および第2の送信信号処理部202a、202bに入力しうる。また、さらに、受信回路部400は、受信装置500B側での受信レベルやS/Nやエラーレートなど、受信装置500Bの受信品質に関する情報(受信装置500B側受信品質情報)を、アンテナ101a、101bを介して、受信しうる。この場合、送信制御部301は、制御部100から入力される各種情報に加え、受信装置500B側受信品質情報に基づいて、制御信号を生成し、これをデータ分割処理部201や、第1および第2の送信信号処理部202a、202bに入力しうる。さらには、送信制御部301は、制御部100から入力される各種情報に加え、送信装置500A側受信品質情報および受信装置500B側受信品質情報に基づいて、制御信号を生成し、これをデータ分割処理部201や、第1および第2の送信信号処理部202a、202bに入力してもよい。
【0029】
図1Bに示されるように、受信装置500Bは、送信装置500Aと同様に、制御部100と、送信回路部200と、切り替え制御部300と、受信回路部400とを含んで構成されている。また、アンテナ部101a、102bが送信回路部200および受信回路部400にそれぞれ接続されている。
【0030】
制御部100は、送信装置500Aと同様に、送信側制御部110と、受信側制御部120とを含んで構成されている。受信側制御部120は、主として、送信装置500Aから受信する各種データに対して制御を行う。受信側制御部121は、出力データ生成部121を有している。この出力データ生成部121は、受信回路部400から出力されるデータに基づいて、出力データを生成し、この出力データを例えばスピーカや表示装置などの出力装置(不図示)を用いて出力する。送信側制御部110については、送信装置500Aの説明のなかで詳細に説明した通りである。
【0031】
受信回路部400は、第1の受信部401a、第2の受信部401b、第1の受信信号処理部402a、第2の受信信号処理部402b、遅延回路403およびデータ合成処理部404とを含んで構成されている。受信回路部400には、送信回路部200と同様に、それぞれ独立した2つの処理経路がルート1およびルート2として形成されている。すなわち、ルート1は、第1の受信部401a、遅延回路403および第1の送信信号処理部402aにより構成される。ルート2は、第2の送信部401bおよび第2の送信信号処理部402bにより構成される。
【0032】
第1および第2の受信部401a、401bの各々は、アンテナ部101a、101bを介して、送信装置500Aから送信される信号を受信信号として受信し、受信信号に対して周波数変換処理を行う。このとき、アンテナ部101aおよびアンテナ部101bには、前述したように、互いに異なる偏波方式が設定されている。第1および第2の受信部401a、401bは、それぞれ対応する偏波方式の信号を、送信装置500Aから受信する。すなわち、第1の受信部401aは、アンテナ101aを介して、送信装置500Aのアンテナ部101aから出力された信号を受信する。第2の受信部401bは、アンテナ部101bを介して、送信装置500Aのアンテナ部101bから出力された信号を受信する。また、第1の受信部401aは、処理後の受信信号を、遅延回路403を介して、第1の受信信号処理部402aに入力する。第2の受信部401bは、処理後の受信信号を第2の受信信号処理部402bに入力する。
【0033】
第1および第2の受信信号処理部402a、402bの各々は、切り替え制御部300の出力制御部302から入力される制御信号に従って、第1および第2の受信部401a、401bにより入力される受信信号に対して、復調処理や検出訂正処理などを行い、処理後の信号から、入力データ、または第1および第2の分割データを取得する。すなわち、送信装置500Aの第1および第2の送信部203a、203bが、受信装置500Bに対して、入力データを送信した場合、第1および第2の受信信号処理部402a、402bの各々は、第1および第2の受信部401a、401bから入力される受信信号に基づいて入力データを取得する。送信装置500Aの第1および第2の送信部203a、203bが、受信装置500Bに対して、第1および第2の分割データを送信した場合、第1の受信信号処理部402aは、第1の受信部401aから入力される受信信号に基づいて第1の分割データを取得し、第2の受信信号処理部402bは、第2の受信部401bから入力される受信信号に基づいて第2の分割データを取得する。
【0034】
また、第1および第2の受信信号処理部402a、402bは、取得したデータ(第1および第2の分割データ、または入力データ)をデータ合成処理部404に入力する。さらに、第1および第2の受信信号処理部402a、402bの各々は、データ合成処理部404に各種データを入力するとともに、例えば受信レベルやS/Nやエラーレートなどの受信品質に関する情報をそれぞれ切り替え制御部300に入力する。すなわち、第1の受信信号処理部402aは、ルート1における受信品質に関する情報を、第2の受信信号処理部402bは、ルート2における受信品質に関する情報を、切り替え制御部300に入力する。なお、ここでのルート1およびルート2における受信品質に関する情報は、前述した受信装置500B側受信品質情報に相当する。
【0035】
遅延回路403は、送信装置500Aの遅延回路204と同じ遅延量だけ遅らせる処理を行う。送信装置500A側では、遅延回路204によって、ルート2にて第2の送信信号処理部202bから出力される信号が、ルート1にて第1の送信信号処理部202aから出力される信号に対して、所定の時間分、遅延されている。したがって、第2の受信部401bにより受信される信号は、第1の受信部401aにより受信される信号に対して、所定の時間分、遅延することになる。このため、遅延回路403は、第1の受信部401aから出力される信号の位相と、第2の受信部401bから出力される信号の位相とが、互いに一致するように、第1の受信部401aから出力される信号を所定の時間分、遅延させる。この結果、ルート1で第1の受信信号処理部402aに入力する信号の位相と、ルート2で第2の受信信号処理部402bに入力する信号の位相とを、互いに一致させることができる。なお、送信装置500Aにて、遅延回路204が、第1の送信信号処理部202aおよび第1の送信部203aの間に配置されている場合には、受信装置500Bでは、第2の受信部401bおよび第2の受信信号処理部402bの間に遅延回路403を配置する必要がある。
【0036】
データ合成処理部404は、後述の切り替え制御部300内の出力制御部302から入力される制御信号に従って、第1および第2の受信信号処理部402a、402bにより入力される第1および第2の分割データを合成し、合成後に得られるデータを制御部100に入力する。
【0037】
また、データ合成処理部404は、送信装置500A側のデータ分割処理部201により書き込まれた情報(例えば、分割を行ったことを示す識別情報)など、入力する信号に埋め込まれている各種情報(送信装置500A側の送信制御部301が生成した制御信号に関する情報など)を、切り替え制御部300に入力する。
【0038】
切り替え制御部300は、前述の通り、送信制御部301および出力制御部302を含んで構成されている。なお、送信制御部301については、送信装置500Aの構成説明にて詳しく説明したので、ここでの説明は省略する。
【0039】
出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合、データ合成処理部404に対して、第1および第2の受信信号処理部401a、401bにより取得された第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを制御部100へ出力させる。
【0040】
これに対して、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合、出力制御部302は、データ合成処理部404に対して、第1または第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された入力データを、制御部100へ出力させる。
【0041】
なお、切り替え制御部300は、第1の受信信号処理部402aから、ルート1における受信品質に関する情報を取得し、第2の受信信号処理部402bから、ルート2における受信品質に関する情報を取得する。これらの2つの受信品質に関する情報は、前述の通り、ともに受信装置500B側受信品質情報に相当する。
【0042】
また、切り替え制御部300は、データ合成処理部404から、入力する信号に埋め込まれている各種情報を取得する。出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bならびにデータ合成処理部404から入力される情報などに基づいて、制御信号を生成し、これをデータ合成処理部404に入力する。また、切り替え制御部300は、受信装置500B側受信品質情報を取得し、これを送信回路部200に入力する。そして、受信装置500Bの送信回路部200は、受信装置500B側受信品質情報を、アンテナ101a、101bを介して、送信装置500Aへ向けて出力する。この結果、送信装置500Aにて、受信装置500B側受信品質情報を取得することができる。
【0043】
次に、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000の動作について説明する。以下の説明では、最初に、図2および図3を用いて、通信システム1000の送信動作を説明し、その後に、図4を用いて、通信システム1000の受信動作を説明する。
【0044】
まず、通信システム1000の送信動作について、説明する。図2および図3は、通信システム1000の送信動作フローを示す。
【0045】
図2に示されるように、まず、切り替え制御部300の送信制御部301が、送信装置500A側の受信回路部400における受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低いか否かを判断する(ステップ(以下、単にSTと称する。)201)。前述したように、送信装置500Aの受信回路部400は、受信装置500Bの受信回路部400と同じ構成を有している。第1および第2の受信信号処理部402a、402bの各々は、送信装置500A側受信品質情報をそれぞれ切り替え制御部300に入力する。すなわち、第1の受信信号処理部402aは、ルート1における送信装置500A側受信品質情報を、第2の受信信号処理部402bは、ルート2における送信装置500A側受信品質情報を、切り替え制御部300に入力する。そして、切り替え制御部300は、送信装置500A側受信品質情報を取得し、送信制御部301が、送信装置500A側受信品質情報なかの受信レベルが所定のしきい値より低いか否かを判断する。なお、ST201では、送信装置500A側受信品質情報のうち受信レベルに基づいた処理を行っているが、これに限らず、S/Nやエラーレートに基づく処理や、これらの組合せに基づく処理を行ってもよい。
【0046】
送信装置500A側の受信回路部400における受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低くない場合(ST201、NO)、送信制御部301は、受信装置500B側の受信回路部400における受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低いか否かを判断する(ST202)。前述の通り、受信装置500Bの送信回路部200は、第1および第2のルート毎の受信装置500B側受信品質情報を、アンテナ101a、101bを介して、送信装置500Aへ向けて出力する。また、送信装置500Aにて、受信装置500B側受信品質情報を取得し、送信装置500Aの受信回路部400には、受信装置500B側受信品質情報が入力される。そして、送信装置500A側の送信制御部301は、受信回路部400に入力される受信装置500B側受信品質情報を取得し、受信装置500B側受信品質情報に含まれる受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低いか否かを判断する。なお、ST202では、受信装置500B側受信品質情報のうち受信レベルに基づいた処理を行っているが、これに限らず、S/Nやエラーレートに基づく処理や、これらの組合せに基づく処理を行ってもよい。
【0047】
受信装置500B側の受信回路部400における受信レベルが第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より高い場合(ST202、YES)、出力制御部301が、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードまたは非分割モードに切り替える制御を行う(ST203〜ST207)。具体的には、優先度情報が所定のしきい値よりも低い場合(ST203、YES)、出力制御部301は分割モードに切り替えて(ST204)、データ分割制御部201や第1および第2の送信信号処理部202a、202bに制御信号を入力する。そして、データ分割処理部201が、出力制御部301の制御信号に基づいて、入力データを例えばビット単位やバイト単位に2つのデータに分割して、第1および第2の分割データを生成し、これら第1および第2の分割データを第1および第2のルートに交互に割り振る(ST205)。
【0048】
優先度情報が所定のしきい値よりも高い場合(ST203、NO)、出力制御部301は非分割モードに切り替えて(ST206)、データ分割制御部201や第1および第2の送信信号処理部202a、202bに制御信号を入力する。そして、データ分割処理部201は、出力制御部301の制御信号に基づいて、入力データを分割することなく、当該入力データを第1および第2のルートの双方に入力する(ST207)。また、同様に、送信装置500A側の受信回路部400における受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低い場合(ST201、YES)も、送信装置500BはST206およびST207の処理を行う。
【0049】
次に、送信制御部301は、入力データの総量が、所定のしきい値よりも大きいか否かを確認する(ST208)。
【0050】
入力データの総量がしきい値より大きい場合(ST208、YES)、送信制御部301は、第1および第2の送信信号処理部201a、201bに対して、変調時の多値数を上げる制御信号を入力する(ST209)。そして、第1および第2の送信信号処理部201a、201bは、送信制御部301により入力される制御信号に基づいて、変調時の多値数を上げる処理を行う。このように、多値数を上げることにより、単位時間当たりに流せるデータ量を増加させることができる。
【0051】
入力データの総量がしきい値より小さい場合(ST208、NO)、送信制御部301は、第1および第2の送信信号処理部201a、201bに対して、変調時の多値数を下げる制御信号を入力する(ST210)。そして、第1および第2の送信信号処理部201a、201bは、送信制御部301により入力される制御信号に基づいて、変調時の多値数を下げる処理を行う。このように、多値数を下げることにより、単位時間当たりに流せるデータ量を低減することできる。
【0052】
以上のように、多値数を調整することにより、送信装置500Aから受信装置500Bへ送信される各データの品質が損なわれるのを低減することができる。なお、多値数の関する情報は、第1および第2の分割データまたは入力データのヘッダ情報などに書き込まれる。そして、受信装置500B側では、この書き込まれた情報も参照して、復調などの処理を行う。
【0053】
そして、ST209またはST210の処理の後、ST201以降の処理を繰り返す。
【0054】
次に、図3に基づいて、受信装置500B側の受信回路部400における受信レベルが、第1および第2のルートの双方で所定のしきい値より低い場合(ST201、NO)について、説明する。
【0055】
図3に示されるように、ST202の処理の後、送信制御部301が、再度、送信装置500A側の受信回路部400における受信レベルが、所定のしきい値より低いか否かを判断する(ST301)。なお、このST301で用いるしきい値は、ST202で用いるしきい値よりも低い値で設定されている。また、ST301では、受信装置500B側受信品質情報のうち受信レベルに基づいた処理を行っているが、これに限らず、S/Nやエラーレートに基づく処理や、これらの組合せに基づく処理を行ってもよい。
【0056】
受信装置500B側の受信回路部400における受信レベルが所定のしきい値より低い場合(ST301、YES)、送信制御部301は、第1または第2の送信信号処理部201a、201bに対して、しきい値よりも低いルートの多値数を下げる制御信号を入力する(ST302)。第1または第2の送信信号処理部201a、201bは、送信制御部301により入力される制御信号に基づいて、変調時の多値数を下げる処理を行う。これにより、多値数が適正な値に調整され、送信装置500Aから受信装置500Bへ送信される各データの品質が損なわれるのを低減することができる。
【0057】
一方、受信装置500B側の受信回路部400における受信レベルが所定のしきい値より低くない場合(ST301、NO)、送信制御部301は、第1または第2の送信信号処理部201a、201bに対して、各ルートの多値数を上げる制御信号を入力する。第1および第2の送信信号処理部201a、201bは、送信制御部301により入力される制御信号に基づいて、変調時の多値数を上げる処理を行う。これにより、多値数が適正な値に調整され、送信装置500Aから受信装置500Bへ送信する各データの品質が損なわれるのを低減することができる。
【0058】
次に、送信制御部301は、第1および第2のルートの多値数が共に最小か否かを判断する(ST304)。なお、多値数を見ることにより、各ルートの単位時間当たりの伝送量を試算できる。例えば、多値数が多い場合、より多くのデータを各ルートに流すことができる。一方、多値数が少ない場合、多くのデータを各ルートに流すことはできない。ここでは、第1および第2のルートの各多値数が最小値であるか否かを基準に、各ルートに流すデータを振り分けている。
【0059】
すなわち、第1および第2のルートの多値数が共に最小でない場合(ST304、NO)、送信制御部301が、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードまたは非分割モードに切り替える制御を行う(ST305〜ST309)。このST305〜ST309の各処理は、前述のST203〜ST207の各処理と同じであるので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0060】
一方、第1および第2のルートの多値数が共に最小である場合(ST304、YES)、送信制御部301が、入力データを第1または第2のルートのいずれか一方のみに入力する制御信号をデータ分割処理部201に入力する(ST314)。そして、データ分割処理部201は、送信制御部301から入力される制御信号に基づいて、入力データを第1または第2の送信信号処理部202aのいずれか一方に入力する。
【0061】
ST307またはST309の処理が終わった後、第1および第2のルートの間で、多値数が異なっている可能性も考えられる。第1および第2のルートの間で、多値数が異なっていると、第1および第2のルートでの伝送速度が異なり、この結果、データ分割処理部201における分割処理速度が、第1および第2のルートの間で偏ってしまう。そこで、以下のST310〜ST313の処理にて、第1および第2のルートに入力するデータ量を調整する。
【0062】
すなわち、まず、送信制御部301が、データ分割処理部201における入力データの待ちキューの数を監視し、待ちキューの数が所定の範囲内であるか否かを判断する(ST310)。なお、この所定の範囲は、例えば、バッファ(不図示)に格納できる待ちキューの最大値の10〜90%に設定されている。このような範囲にしきい値を設定することで、バッファが空にならない状態で、且つ、バッファから待ちキューが溢れていない状態にすることができる。なお、前記10〜90%の値はあくまで例示であって、バッファが空にならない状態で、且つ、バッファから待ちキューが溢れていない状態であれば、所定の範囲をどのように設定してもよい。
【0063】
待ちキューの数が所定の範囲内である場合(ST310、YES)、バッファが空でもなく、バッファから待ちキューが溢れるおそれもないので、ST202(図2)以降の処理を行う。一方、待ちキューの数が所定の範囲内でない場合(ST310、NO)、送信制御部301は、当該待ちキューの数が所定の範囲より大きいか否かを判断する(ST311)。そして、待ちキューの数が所定の範囲より大きい場合(ST311、YES)、待ちキューがバッファから溢れる可能性があるため、データ入力のフロー制御を行う(ST312)。待ちキューの数が所定の範囲より小さい場合(ST311、NO)、ブランクを挿入する(ST313)。これにより、データ分割処理部201における分割処理速度が、第1および第2のルートの間で偏ってしまっても、各ルートに入力するデータ量を適正に調整することができる。
【0064】
そして、図2および図3に示した各処理を経て、第1および第2の送信部203a、203bが、入力される各種データを、アンテナ101a、101bを介して、受信装置500Bへ向けて送信する。
【0065】
以上により、送信装置500Aの送信処理が完了する。
【0066】
次に、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000の受信動作について説明する。図4は、通信システム1000の受信動作フローを示す。
【0067】
図4に示されるように、まず、第1および第2の受信部401a、401bが、第1および第2のアンテナ部101a、101bを介して、送信装置500Aから送信される信号を受信信号として受信する(ST401)。具体的には、第1の受信部401aは、アンテナ101aを介して、送信装置500Aのアンテナ部101aから出力された信号を受信する。第2の受信部401bは、アンテナ部101bを介して、送信装置500Aのアンテナ部101bから出力された信号を受信する。また、第1および第2の受信部401a、401bの各々は、受信信号に対して周波数変換処理を行う。そして、第1および第2の受信部401a、401bは、周波数変換処理後の受信信号を第1および第2の受信信号処理部402a、402bに入力する。
【0068】
次に、出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bに入力された受信信号の中に第1および第2の分割データが含まれるか否かを確認する(ST402)。
【0069】
第1および第2の分割データが受信信号中に含まれている場合(ST402、YES)、出力制御部302は、データ合成処理部404に対して、第1および第2の分割データを合成させ、合成後のデータを制御部100に出力させる制御信号を生成し、これをデータ合成処理部404に入力する。そして、データ合成処理部404が、出力制御部302による制御信号に従って、第1および第2の分割データを合成し、合成後のデータを制御部100に入力する(ST403)。次に、制御部100の出力データ生成部121は、データ合成処理部404から入力される合成後のデータに基づいて出力データを生成し、制御部100はこれをスピーカや表示装置などの出力装置を用いて出力する(ST404)。
【0070】
第1および第2の分割データが受信信号中に含まれていない場合(ST402、YES)、出力制御部302は、入力データが受信信号中に含まれていると判断して、以下のST406〜ST408の処理を行う。
【0071】
まず、出力制御部302は、入力データが第1および第2のルートに入力されたか否かを確認する(ST405)。具体的には、出力制御部302は、受信信号が第1および第2の受信信号処理部402a、402bの双方に入力されたか否かを確認することにより、入力データが第1および第2のルートに入力されたか否かを確認する。
【0072】
入力データが第1および第2のルートの双方に入力されている場合(ST405、YES)、出力制御部302は、第1または第2のルートに入力するデータのうち、いずれか一方を選択する(ST406)。具体的には、出力制御部302が、第1および第2の受信信号処理部402a、402bから受信装置500B側受信品質情報を取得し、この受信装置500B側受信品質情報に基づいて第1または第2の受信信号処理部402aに入力された入力データのうち、いずれか一方を選択する。出力制御部302は、例えば第1または第2の受信信号処理部402aに入力される入力データのうち、受信装置500B側品質情報が高い方を選択する。
【0073】
そして、出力制御部302は、選択した入力データを制御部100に入力させる制御信号を生成し、この制御信号をデータ合成処理部404に入力する。データ合成処理部404が、出力制御部302の制御信号に従って、S406で選択された入力データを制御部100に入力する。
【0074】
次に、制御部100の出力データ生成部121は、出力制御部302により選択されたデータを出力データとして生成し、制御部100はこれをスピーカや表示装置などの出力装置を用いて出力する(ST407)。
【0075】
このように、出力制御部302がより品質のよい入力データを取得し、これに基づいて出力データ生成部121に対して出力データを生成させることができる。仮に、第1または第2のルートに入力される入力データの一方の品質が著しく低下したとしても、出力制御部302は出力データ生成部121に対して入力データの他方を用いて、高い品質の出力データを生成させることができる。この結果、制御部100は、出力装置を用いてより品質の高いデータを出力することができる。
【0076】
入力データが第1および第2のルートの双方に入力されていない場合(ST405、NO)、第1または第2の受信信号処理部402a、402bのいずれかにのみ、受信信号が入力されていることになる。このとき、出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bに入力されるデータ有無に関する情報に基づいて、第1または第2のルートのうち、入力データが入力された側の入力データを制御部100に入力させる制御信号を生成し、これをデータ合成処理部404に入力する。また、データ合成処理部404が、出力制御部301による制御信号に従って、入力データを制御部100に入力する。
【0077】
そして、制御部100の出力データ生成部121は、データ合成処理部404から入力された入力データに基づいて出力データを生成し、制御部100はこれをスピーカや表示装置などの出力装置を用いて出力する(ST408)。
【0078】
以上により、受信装置500Bの受信処理が完了する。
【0079】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態における通信システム1000は、送信装置500Aと、送信装置500Aにより送信される送信信号を受信する受信装置500Bを有している。
【0080】
そして、送信装置500Aは、少なくとも、第1および第2の送信信号処理部202a、202bと、優先度情報取得部111と、データ分割処理部201と、送信制御部301とを備えている。第1および第2の送信信号処理部202a、202bは、入力データに基づいて、送信信号を生成する。優先度情報取得部111は、入力データに含まれる優先度情報を取得する。データ分割処理部201は、入力データを第1および第2の分割データに分割する。送信制御部301は、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードと、非分割モードとを切り替える。このとき、分割モードとは、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、データ分割処理部201により分割された第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号を生成させるモードである。非分割モードとは、データ分割処理部201に入力データを分割させることなく、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの双方に対して、入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させるモードである。
【0081】
また、受信装置500Bは、少なくとも、第1および第2の受信信号処理部402a、402bと、データ合成処理部404と、出力制御部302とを備えている。第1の受信信号処理部402aは、送信装置500Aから送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、第1の分割データまたは入力データを取得する。第2の受信信号処理部402bは、送信装置500Aから送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、第2の分割データまたは入力データを取得する。データ合成処理部404は、第1および第2の分割データを合成する。第1および第2の受信信号処理部402a、402bが第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合、出力制御部302は、データ合成処理部404に対して、第1および第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させる。一方、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合、出力制御部302は、少なくとも第1または第2の受信信号処理部402a、402bのいずれかにより取得された入力データを出力させる。
【0082】
以上のように、送信装置500Aは、優先度情報に基づいて、分割モードと、非分割モードとを切り替えて、受信装置500Bへ送信するデータを生成している。例えば、音声データのように、リアルタイムに高い品質でデータ通信したい場合、通常は優先度情報が高く設定されており、この場合には非分割モードに切り替えることができる。一方、文字列データのように、必ずしもリアルタイムに高い品質でデータ通信する必要がない場合、優先度は低く設定されており、この場合には分割モードに切り替えることができる。
【0083】
また、分割モードでは、送信装置500Aは、入力データを2つの分割データ(第1および第2の分割データ)に分割して、第1および第2の送信信号処理部202a、202bのそれぞれにて、第1および第2の分割データに基づく送信信号を生成している。そして、受信装置500Bは、第1および第2の分割データを合成したデータを出力する。このように、分割モードでは、送信装置500Aから受信装置500Bへの送信処理を、入力データを分割して得られる第1および第2の分割データに基づく送信信号を用いて行っているので、周波数を拡張することなく、通信速度を倍増することができる。
【0084】
一方、非分割モードでは、送信装置500Aは、入力データを分割することなく、第1および第2の送信信号処理部202a、202bのそれぞれにて、当該入力データに基づく送信信号を生成している。そして、受信装置500Bは、入力データを出力する。このように、非分割モードでは、送信装置500Aから受信装置500Bへの送信処理を、分割モードのように入力データを分割したデータを用いるのではなく、入力データに基づく送信信号を用いて行っているので、分割モードと比較して、より品質の高いデータ通信を実現できる。
【0085】
この結果、本発明によれば、分割モードでは通信速度を高めつつ、非分割モードにて優先度の高いデータを通信する場合にデータの品質低下を抑制することができる。
【0086】
本発明の実施の形態における通信システム1000において、送信装置500Aは、受信装置500Bとの間で通信が行われる際に、送信装置500A側における受信品質に関する情報である送信装置側受信品質情報を取得し、送信制御部301は、優先度情報に加え、送信装置500A側受信品質情報に基づいて、分割モードと非分割モードとを切り替える。これにより、受信装置Bから送信装置Aへ向けた信号(上り信号)の通信状況に対応したモード切り替えを行うことができる。例えば、送信装置500A側受信品質情報が低い場合には、送信装置500A側で、上り信号の通信状況が良くないと判断され、非分割モードに切り替えることができる。
【0087】
本発明の実施の形態における通信システム1000において、送信装置500Aは、受信装置500Bとの間で通信が行われる際に、受信装置500B側における受信品質に関する情報である受信装置500B側受信品質情報を取得し、送信制御部301は、優先度情報に加え、受信装置500B側受信品質情報に基づいて、分割モードと非分割モードとを切り替える。これにより、送信装置Aから受信装置Bへ向けた信号(下り信号)の通信状況に対応したモード切り替えを行うことができる。
【0088】
本発明の第1の実施の形態における通信システム1000において、第1の送信信号処理部202aにより生成される送信信号の偏波方式と、第2の送信信号処理部202bにより生成される送信信号の偏波方式とが、互いに異なるように設定されている。これにより、第1の送信信号処理部202aにより生成される送信信号と、第2の送信信号処理部202bにより生成される送信信号とが、互いに干渉することを抑止することができる。なお、上記第1の実施の形態では、好ましい実施の態様として、第1および第2の送信信号処理部202a、202bにより生成される送信信号の両偏波方式が互いに異なるよう設定したが、本発明では、これに限定されず、前記両偏波方式を一致させてもよい。
【0089】
本発明の第1の実施の形態における通信システム1000において、第1の送信信号処理部202aにより生成される送信信号の位相と、第2の送信信号処理部202bにより生成される送信信号の位相とが、互いに異なるように設定されてもよい。これにより、第1の送信信号処理部202aにより生成される送信信号と、第2の送信信号処理部202bにより生成される送信信号とが、互いに干渉することを抑止することができる。なお、この場合、第1および第2の送信信号処理部202a、202bにより生成される送信信号の偏波方式が互いに異なるように設定してもしなくても、どちらでもよい。また、上記第1の実施の形態では、好ましい実施態様として、第1および第2の送信信号処理部202a、202bにより生成される送信信号の両位相が互いに異なるよう設定したが、本発明では、これに限定されず、前記両位相を一致させてもよい。
【0090】
本発明の第1の実施の形態における送信装置500Aは、少なくとも、第1および第2の送信信号処理部202a、202bと、優先度情報取得部111と、データ分割処理部201と、送信制御部301とを備えている。第1および第2の送信信号処理部は、入力データに基づいて、送信信号を生成する。優先度情報取得部111は、入力データに含まれる優先度情報を取得する。データ分割処理部201は、入力データを第1および第2の分割データに分割する。送信制御部301は、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードと、非分割モードとを切り替える。このとき、分割モードとは、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、データ分割処理部201により分割された第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号を生成させるモードである。非分割モードとは、データ分割処理部201に入力データを分割させることなく、第1および第2の送信信号処理部202a、202bの双方に対して、入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させるモードである。
【0091】
これにより、分割モードでは通信速度を高めつつ、非分割モードにて優先度の高いデータを通信する場合にデータの品質低下を抑制することができる。
【0092】
本発明の第1の実施の形態における受信装置500Bは、予め設定された分割モードまたは非分割モードに切り替えることができる送信装置500Aが、分割モード時に入力データを分割して送信する第1および第2の分割データに基づく信号、または非分割モード時に送信する入力データに基づく信号を、受信信号として受信する。そして、当該受信装置500Bは、少なくとも、第1および第2の受信信号処理部402a、402bと、データ合成処理部404と、出力制御部302とを備えている。第1の受信信号処理部402aは、受信信号に基づいて、第1の分割データまたは入力データを取得する。第2の受信信号処理部402bは、受信信号に基づいて、第2の分割データまたは入力データを取得する。データ合成処理部404は、第1および第2の分割データを合成する。出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合、データ合成処理部404に対して、第1および第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させる。一方、出力制御部302は、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合、少なくとも第1または第2の受信信号処理部402a、402bのいずれかにより取得された入力データを出力させる。
【0093】
これにより、送信装置500A側で分割モードに切り替えられている場合には、第1および第2の分割データを受信信号から取得して、これら合成したデータを出力データとして出力できる。また、送信装置500B側で非分割モードに切り替えられている場合には、送信装置500Aに入力される入力データを受信信号から取得し、このデータに対して合成処理など行うことなく、当該データを出力データとして出力することができる。この結果、送信装置500Aにて分割モードに切り替えられている場合は通信速度を高めることができ、送信装置500Aにて非分割モードに切り替えられている場合にはデータの品質低下を抑制することができる。
【0094】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態における通信システムについて説明する。図5および図6は、第2の実施の形態における通信システムの送信動作フローの一部を示す。
【0095】
第2の実施の形態における通信システムの構成は、第1の実施の形態における通信システム1000と同一である。
【0096】
上記第1の実施の形態の説明では、図2に示されるように、出力制御部301が、優先度情報取得部111により取得される優先度情報に基づいて、分割モードまたは非分割モードに切り替える制御を行うに際して(ST203〜ST207)、優先度情報が所定のしきい値よりも高い場合(ST203、NO)、出力制御部301は非分割モードに切り替えていた(ST206)。そして、データ分割処理部201が、出力制御部301の制御信号に基づいて、入力データを分割することなく、当該入力データを第1および第2のルートの双方に入力していた(ST207)。すなわち、この場合、データ分割処理部201は、第1のルート上の第1の受信信号処理部202aと、第2のルート上の第2の受信信号処理部202bとの双方に、入力データを入力していた。
【0097】
これに対して、第2の実施の形態における通信システムでは、ST207の処理に代えて、次に説明するST207aの処理を行う。すなわち、送信装置500Aの出力制御部301が非分割モードに切り替えた場合(図2のST206)、データ分割処理部201は、出力制御部301の制御信号に基づいて、入力データを分割することなく、当該入力データを第1または第2のルートのいずれかに入力する(ST207a)。この場合、データ分割処理部201は、第1のルート上の第1の受信信号処理部202aと、第2のルート上の第2の受信信号処理部202bのいずれか一方に、入力データを入力する。また、受信装置500B側では、出力制御部302は、第1または第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合に、第1または第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された入力データを出力させる。
【0098】
また、同様に、図3のS309の処理に代えて、S309aの処理を行う。すなわち、送信装置500Aの出力制御部301が非分割モードに切り替えた場合(図3のST206)、データ分割処理部201は、出力制御部301の制御信号に基づいて、入力データを分割することなく、当該入力データを第1または第2のルートのいずれかに入力する(ST309a)。
【0099】
以上のように、本発明の第2の実施の形態における通信システムでは、送信制御部301は、非分割モードの場合、データ分割処理部201に入力データを分割させることなく、第1または第2の送信信号処理部202a、202bの各々に対して、入力データを供給して、これを送信信号として生成させる。受信装置500Bでは、出力制御部302は、第1または第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合には、第1または第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された入力データを出力させる。このように、非分割モードにて、入力データを送信装置500Aから受信装置500Bへ送信する処理において、送信装置500A側では、第1または第2の送信信号処理装置202a、202bのいずれか一方しか動作させていないので、これらの装置202a、202bの双方を動作させる場合と比較して、消費電力を低減することができる。同様に、受信装置500B側では、第1または第2の受信信号処理装置402a、402bのいずれか一方しか動作させていないので、これらの装置402a、402bの双方を動作させる場合と比較して、消費電力を低減することができる。
【0100】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態における通信システムについて説明する。図7は、第3の実施の形態における通信システムの受信動作フローの一部を示す。
【0101】
第3の実施の形態における通信システムの構成は、第1の実施の形態における通信システム1000と同一である。
【0102】
上記第1の実施の形態の説明では、図4に示されるように、第1および第2の分割データが受信信号中に含まれていない場合(ST402、YES)に、出力制御部302は、入力データが受信信号中に含まれていると判断している。また、出力制御部302は、入力データが第1および第2のルートに入力されたか否かを確認し(ST405)、入力データが第1および第2のルートの双方に入力されている場合(ST405、YES)、出力制御部302は、第1または第2のルートに入力するデータのうち、いずれか一方を選択していた(ST406)。そして、制御部100の出力データ生成部121が、出力制御部302により選択された入力データに基づいて出力データとして生成し、制御部100はこれをスピーカや表示装置などの出力装置を用いて出力していた(ST407)。
【0103】
これに対して、第3の実施の形態における通信システムでは、ST406の処理に代えて、次に示すST406aの処理を行う。また、ST407の処理に代えて、次に示すST407aの処理を行う。
【0104】
すなわち、入力データが第1および第2のルートの双方に入力されている場合(ST405、YES)、出力制御部302は、第1または第2のルートに入力するデータの双方を合成する(ST406a)。具体的には、出力制御部302が、データ合成処理部404に対して、第1および第2の受信信号処理部402aに入力される入力データの双方を合成させ、合成後のデータを制御部100に入力させる制御信号を生成する。そして、出力制御部302は、この制御信号をデータ合成処理部404に入力する。データ合成処理部404が、出力制御部302の制御に基づいて、第1および第2の受信信号処理部402a、402bの各々に入力される2つの入力データを合成し、合成後のデータを制御部100に入力する。
【0105】
また、制御部100の出力データ生成部121は、データ合成処理部404により合成されたデータに基づいて出力データを生成し、制御部100は出力データをスピーカや表示装置などの出力装置を用いて出力する(ST407a)。
【0106】
以上のように、本発明の第3の実施の形態における通信システムでは、受信装置500Bの出力制御部302が、第1および第2の受信信号処理部402a、402bが入力データを取得した場合に、第1または第2の受信信号処理部402a、402bにより取得された入力データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させている。
【0107】
このように、受信装置500Bは、受信信号から得られる2つの入力データを合成して、合成後のデータを出力データとして出力しているので、受信利得(例えばダイバーシティゲインと呼ばれている。)が高いデータを出力データとして出力できる。
【0108】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0109】
101a、101b アンテナ部
100 制御部
110 送信側制御部
111 優先度情報取得部
120 受信側制御部
121 出力データ生成部
200 送信回路部
201 データ分割処理部
202a 第1の送信信号処理部
202b 第2の送信信号処理部
203a 第1の送信部
203b 第2の送信部
204 遅延回路
300 切り替え制御部
301 送信制御部
302 出力制御部
400 受信回路部
401a 第1の受信部
401b 第2の受信部
402a 第1の受信信号処理部
402b 第2の受信信号処理部
403 遅延回路
404 データ合成処理部
500A 送信装置
500B 受信装置
1000 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、前記送信装置により送信される送信信号を受信する受信装置を有する通信システムであって、
前記送信装置は、
入力データに基づいて、前記送信信号を生成する第1および第2の送信信号処理部と、
前記入力データに含まれる優先度情報を取得する優先度情報取得部と、
前記入力データを第1および第2の分割データに分割するデータ分割処理部と、
前記優先度情報取得部により取得される前記優先度情報に基づいて、前記第1および第2の送信信号処理部の各々に対して、前記データ分割処理部により分割された前記第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号を生成させる分割モードと、前記データ分割処理部に前記入力データを分割させることなく、前記第1および第2の送信信号処理部の双方に対して、前記入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させる非分割モードとを切り替える送信制御部とを備え、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、前記第1の分割データまたは前記入力データを取得する第1の受信信号処理部と、
前記送信装置から送信される送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、前記第2の分割データまたは前記入力データを取得する第2の受信信号処理部と、
前記第1および第2の分割データを合成するデータ合成処理部と、
前記第1および第2の受信信号処理部が前記第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合には、前記データ合成処理部に対して、前記第1および第2の受信信号処理部により取得された前記第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させ、前記第1および第2の受信信号処理部が前記入力データを取得した場合には、少なくとも前記第1または第2の受信信号処理部のいずれかにより取得された入力データを出力させる出力制御部とを備えた通信システム。
【請求項2】
前記送信装置では、前記送信制御部は、前記非分割モードの場合、前記データ分割処理部に前記入力データを分割させることなく、前記第1または第2の送信信号処理部に対して、前記入力データを供給して、これらを送信信号として生成させ、
前記受信装置では、出力制御部は、前記第1または第2の受信信号処理部が前記入力データを取得した場合、前記第1または第2の受信信号処理部により取得された入力データを出力させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記受信装置では、前記出力制御部が、前記第1および第2の受信信号処理部が前記入力データを取得した場合、前記第1または第2の受信信号処理部により取得された入力データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信装置は、前記受信装置との間で通信が行われる際に、前記送信装置側における受信品質に関する情報である送信装置側受信品質情報を取得し、
前記送信制御部は、前記優先度情報に加え、前記送信装置側受信品質情報に基づいて、前記分割モードと前記非分割モードとを切り替える請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記送信装置は、前記受信装置との間で通信が行われる際に、前記受信装置側における受信品質に関する情報である受信装置側受信品質情報を取得し、
前記送信制御部は、前記優先度情報に加え、前記受信装置側受信品質情報に基づいて、前記分割モードと前記非分割モードとを切り替える請求項1〜4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1の送信信号処理部により生成される送信信号の偏波方式と、前記第2の送信信号処理部により生成される送信信号の偏波方式とが、互いに異なるように設定された請求項1〜5のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1の送信信号処理部により生成される送信信号の位相と、前記第2の送信信号処理部により生成される送信信号の位相とが、互いに異なるように設定された請求項1〜6のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
入力データに基づいて、前記送信信号を生成する第1および第2の送信信号処理部と、
前記入力データに含まれる優先度情報を取得する優先度情報取得部と、
前記入力データを第1および第2の分割データに分割するデータ分割処理部と、
前記優先度情報取得部により取得される前記優先度情報に基づいて、前記第1および第2の送信信号処理部の各々に対して、前記データ分割処理部により分割された前記第1および第2の分割データを別々に供給して、これらに基づく送信信号を生成させる分割モードと、前記データ分割処理部に前記入力データを分割させることなく、前記第1および第2の送信信号処理部の双方に対して、前記入力データを供給して、これに基づく送信信号を生成させる非分割モードとを切り替える送信制御部とを備えた送信装置。
【請求項9】
予め設定された分割モードまたは非分割モードに切り替えることができる送信装置が、分割モード時に入力データを分割して送信する第1および第2の分割データに基づく信号、または非分割モード時に送信する前記入力データに基づく信号を、受信信号として受信する受信装置であって、
前記受信信号に基づいて、前記入力データまたは前記第1の分割データを取得する第1の受信信号処理部と、
前記受信信号に基づいて、前記入力データまたは前記第2の分割データを取得する第2の受信信号処理部と、
前記第1および第2の分割データを合成するデータ合成処理部と、
前記第1および第2の受信信号処理部が前記第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合には、前記データ合成処理部に対して、前記第1および第2の受信信号処理部により取得された前記第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させ、前記第1および第2の受信信号処理部が前記入力データを取得した場合には、少なくとも前記第1または第2の受信信号処理部のいずれかにより取得された前記入力データを出力させる出力制御部とを備えた受信装置。
【請求項10】
入力データに含まれる優先度情報を取得する優先度情報取得ステップと、
前記入力データを第1および第2の分割データに分割するデータ分割ステップと、
前記入力データに基づいて、送信信号を生成する送信信号生成ステップと、
前記優先度情報取得ステップで取得される前記優先度情報に基づいて、前記データ分割ステップにより分割された前記第1および第2の分割データの各々に基づく前記送信信号を生成させる分割モードと、前記データ分割ステップにより前記入力データを分割することなく、前記入力データに基づく前記送信信号を生成させる非分割モードとを切り替える送信制御ステップと、
前記送信信号生成ステップにより生成される前記送信信号を受信して得られる受信信号に基づいて、前記第1および第2の分割データの双方、または前記入力データを取得するデータ取得ステップと、
前記第1および第2の分割データを合成するデータ合成ステップと、
前記データ取得ステップで前記第1および第2の分割データをそれぞれ取得した場合には、前記第1および第2の分割データを合成させた後、合成後に得られるデータを出力させ、前記データ取得ステップで前記入力データを取得した場合には、前記入力データを出力させる出力制御ステップとを含む通信方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−16989(P2013−16989A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147564(P2011−147564)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】