説明

通信システム、通信方法および通信プログラム

【課題】複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することを課題とする。
【解決手段】同図に示す移動体通信装置A、BおよびCの各所有者は、移動体通信装置Aの所有者をグループ管理者とする所定のグループに所属しており、移動体通信装置Aは、グループ内のグループ員が列挙されたグループリスト(例えば、A・B・C)とグループを特定する情報としてグループID(例えば、*99)を記憶している。また、グループ管理者以外の装置である移動体通信装置BおよびCは、グループIDのみを記憶している(つまり、グループリストを記憶していないので、他のグループ員を宛先としてデータを直接発信することはできない)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う通信システム、通信方法および通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通信装置に搭載された機能(携帯電話端末やPHS(Personal Handy phone System)等)を利用し、基地局あるいは中継局などのネットワークを介して、通信装置間の通信を行っていた(例えば、特許文献1参照)。また、所定のグループにおける通信装置間で通信を行う際には、グループ管理の機能(例えば、グループ管理者の認証やグループ入会の許可や解除等)をセンタ(サーバ装置)に持たせて、基地局あるいは中継局などのネットワークを介して、管理型のグループ通信(各グループ員の宛先を一箇所において管理する通信)を行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−141682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の技術は、グループ管理の簡易性、費用および処理的負荷の面で問題点があった。
【0005】
すなわち、複数の通信装置間で任意のグループを結成する度に、グループを管理する機能をセンタ(サーバ装置)に用意する必要があるのでは、簡易にグループを結成することが困難となり、グループ入会の許可や解除をセンタを介して行うのは手間がかかるという問題点もあった。また、グループ内で通信を行う際に少なからずセンタに対する管理費が発生するという問題点もあった。
【0006】
さらに、グループ管理の主導権がセンタにある場合には、グループ員のいずれかがグループ管理者に成りすまして、グループ内に虚偽の情報を送信する恐れがあるため、グループ管理者を認証する機能も必要となり、センタにおける認証負荷が増すという問題点もあった。
【0007】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能な通信システム、通信方法および通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う通信システムにおいて、前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶手段と、前記グループ情報記憶手段に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信手段と、前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶手段によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記通信装置は、前記グループを宛先として所定のデータを発信する場合には、前記グループを特定する情報を付加して発信することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記データ発信手段は、前記所定のデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに発信し、当該着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、当該所定のデータをネットワークを介して発信することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、前記データ転送手段は、前記所定のデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに転送し、当該着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、当該所定のデータをネットワークを介して転送することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う通信方法において、前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶工程と、前記グループ情報記憶工程に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信工程と、前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶工程によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送工程と、を含んだことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う方法をコンピュータに実行させる通信システムにおいて、前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶手順と、前記グループ情報記憶手順に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信手順と、前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶手順によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、5および6の発明によれば、この通信システムは、複数の通信装置のうちの管理者通信装置が、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリスト(例えば、各装置に一意に付与されている装置IDなど)をグループ情報として記憶し、そのグループリストに基づいて、各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信し、グループ員からグループを宛先として発信された所定のデータを着信し、その着信されたデータをグループリストに基づいて、他のグループ員を宛先として転送するので、グループ管理者として機能する通信装置においてグループ入会の許可等を管理でき、センタに対する管理費も不要であり、センタにおける認証負荷もなく、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、この通信システムは、グループの通信を行う通信装置が、グループを宛先としてデータを発信する場合には、グループを特定する情報を付加して発信するので、管理者通信装置からこのデータを受信した他の通信装置は、グループを特定する情報(例えば、グループを特定するグループIDなど)を用いて、グループ宛に発信されたデータであることを把握することが可能となり、一方、他の通信装置からデータを受信した管理者の通信装置は、このデータが自分宛のものかグループ宛のものかを判別することが可能となる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、この通信システムは、データに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに発信し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、このデータをネットワークを介して発信するので、着信応答が必要なデータをその宛先に確実に着信させることが可能となる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、この通信システムは、データに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに転送し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、このデータをネットワークを介して転送するので、着信応答が必要なデータをその宛先に確実に着信させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る通信システム、通信方法および通信プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例1に係る通信システムについて説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を実施例2として説明する。なお、以下の実施例では、受信したデータを記憶することなく発信することを「中継」といい、受信したデータを自分宛のデータとして記憶することを「着信」という。
【実施例1】
【0019】
以下の実施例1では、実施例1に係る通信システムの概要および特徴、この通信システムを構成する移動体通信装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。なお、以下では、車両に搭載された移動体通信装置間でグループの通信を行う場合について説明する。
【0020】
[通信システムの概要および特徴(実施例1)]
まず最初に、図1および図2を用いて、実施例1に係る通信システムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る通信システムおいてグループ管理者の移動体通信装置からグループ宛にデータを発信する場合の概要を説明するための図であり、図2は実施例1にかかる通信システムにおいてグループ管理者の移動体通信装置が他の移動体通信装置からグループ宛に発信されたデータを転送する場合の概要を説明するための図である。
【0021】
図1に示すように、実施例1に通信システムは、複数の移動体通信装置の間で管理型のグループ通信を行うことを概要とする。ここで、本実施例における管理型のグループ通信とは、グループ内の移動体通信装置間で自由に行う通信をいうものでなく、グループ管理者として機能する管理者の移動体通信装置において各グループ員の宛先を所持させ、グループ内の通信を管理者の移動体通信装置において管理するグループ通信をいう。そして、この通信システムは、複数の移動体通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理する点に主たる特徴がある。
【0022】
この主たる特徴のうち、まず、図1を用いて、グループ管理者の移動体通信装置からグループ宛にデータを発信する場合について具体的に説明すると、同図に示す移動体通信装置A、BおよびCの各所有者は、移動体通信装置Aの所有者をグループ管理者とする所定のグループに所属しており、移動体通信装置Aは、グループ内のグループ員が列挙されたグループリスト(例えば、A・B・C)とグループを特定する情報としてグループID(例えば、*99)を記憶している。また、グループ管理者以外の装置である移動体通信装置BおよびCは、管理者装置ID(例えば、A)およびグループIDを記憶している(つまり、グループリストを記憶していないので、管理者以外の他のグループ員を宛先としてデータを直接発信することはできない)。
【0023】
また、同図に示す移動体通信装置Aは、グループ内の他の移動体通信装置Cとはネットワークを介さない通信(例えば、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用した通信)が可能な位置関係にあり、グループ内の他の移動体通信装置Bとはネットワークを介さない通信が不可能な位置関係にあり、移動体通信装置AおよびBとグループ外の移動体通信装置Dとは、それぞれネットワークを介さない通信が可能な位置関係にある。
【0024】
まず、移動体通信装置Aは、グループ内の他の移動体通信装置BおよびCに対してネットワークを介さずに所定のデータ(例えば、画像データや音声データ)を発信する。具体的には、移動体通信装置Aは、記憶しているグループ情報や所定のデータに基づいて、送信元ID(例えば、A)、送信先ID(例えば、BまたはC)、所定のデータおよびグループID(例えば、*99)を含んだグループ員BまたはCのそれぞれを宛先とする発信用データを生成し、ネットワークを介さずにそれぞれ発信する(図1の(1)参照)。
【0025】
次に、管理者の移動体通信装置から発信されたデータをネットワークを介さずに受信する各移動体通信装置は、受信データの宛先に基づいて、このデータの着信や中継を行う。具体的には、受信データの宛先を確認し、その宛先が他の移動体通信装置を指定するものである場合には、そのデータをそのまま中継する。一方、受信データの宛先が他の移動体通信装置を指定するものでない場合(つまり、宛先が自分宛である場合)には、そのデータをそのまま着信する。
【0026】
つまり、図1に示す場合において、移動体通信装置Aとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にある移動体通信装置Dは、移動体通信装置Aから受信したデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものであるので、そのデータをそのまま中継する(図1の(2)参照)。一方、移動体通信装置Dとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にある移動体通信装置Bは、移動体通信装置Dから中継されたデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものでないので、そのデータをそのまま着信する(図1の(3)参照)。
【0027】
また、移動体通信装置Aとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にある移動体通信装置Cも同様に、移動体通信装置Aから受信したデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものでないので、そのデータをそのまま着信する(図1の(4)参照)。
【0028】
続いて、実施例1に係る通信システムの主たる特徴のうち、図2を用いて、グループ管理者の移動体通信装置が他の移動体通信装置からグループ宛に発信されたデータを転送する場合について具体的に説明すると、同図に示す移動体通信装置A、BおよびCの各所有者は、上記と同様に、移動体通信装置Aをグループ管理者とする所定のグループに所属しており、上記と同様に、移動体通信装置AはグループリストおよびグループIDを、移動体通信装置BおよびCは管理者装置IDおよびグループIDをそれぞれ記憶している。さらに、移動体通信装置A、B、CおよびDは、ネットワークを介さない通信が可能かどうかについても、上記と同様の位置関係にある。
【0029】
まず、移動体通信装置Bは、自己が所属するグループに対してネットワークを介さずに所定のデータ(例えば、画像データや音声データ)を発信する。具体的には、移動体通信装置Bは、記憶しているグループ情報や所定のデータに基づいて、送信元ID(例えば、B)、送信先ID(例えば、A)、所定のデータおよびグループID(例えば、*99)を含んだグループ管理者を宛先とする発信用データを生成し、ネットワークを介さずに発信する(図2の(1)参照)。
【0030】
次に、移動体通信装置Bとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にある移動体通信装置Dは、受信したデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものであるので、上記と同様に、そのデータをそのまま中継する(図2の(2)参照)。
【0031】
続いて、グループ内の移動体通信装置からグループ宛のデータを受信したグループ管理者の移動体通信装置は、受信したデータの内容に基づいて、このデータの着信または転送を行う。具体的には、受信したデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものである場合には、そのデータをそのまま中継する。一方、受信したデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものでない場合(つまり、宛先が自分宛である場合)には、さらに、受信したデータにグループIDが付加されているかどうか確認する。その結果、グループIDが付加されている場合には、グループ宛に発信されたデータとして着信するとともに他のグループ員宛にそれぞれ転送する。これとは反対に、グループIDが付加されていない場合には、宛先が自分宛のデータとしてそのまま着信する。
【0032】
つまり、図2に示す場合において、移動体通信装置Dとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にあるグループ管理者の移動体通信装置Aは、移動体通信装置Dから中継されたデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものではなく、さらに、グループIDが付加されているので、グループ宛のデータとしてこのデータを着信するとともに他のグループ員である移動体通信装置Cに対して転送する(図2の(3)および(4)参照)。具体的には、着信データを転送する管理者の移動体通信装置Aは、同図に示すように、着信データの送信元ID(例えば、B)を転送元ID(例えば、A)に変換するとともに、着信データの送信先IDおよび転送元ID以外の残りのグループ員をグループリスト(A・B・C)に基づいて割り出し、着信データの送信先ID(例えば、A)をその残りのグループ員を宛先とする送信先ID(例えば、C)に変換した転送用データを生成して、転送する。
【0033】
また、移動体通信装置Aとネットワークを介さずに通信可能な位置関係にある移動体通信装置Cは、移動体通信装置Aから転送されたデータの宛先が他の移動体通信装置を指定するものでないので、そのデータをそのまま着信する(図2の(5)参照)。
【0034】
このように、実施例1に係る通信システムは、複数の移動体通信装置のうちの管理者の移動体通信装置が、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリスト(例えば、各装置に一意に付与されている装置IDなど)をグループ情報として記憶し、そのグループリストに基づいて、各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信し、グループ員からグループを宛先として発信された所定のデータを着信し、その着信されたデータをグループリストに基づいて、他のグループ員を宛先として転送するので、グループ管理者として機能する移動体通信装置においてグループ入会の許可等を管理でき、センタに対する管理費も不要であり、センタにおける認証負荷もなく、複数の移動体通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0035】
[移動体通信装置の構成(実施例1)]
次に、図3、図4および図5を用いて、図1および図2に示した通信システムにおける移動体通信装置20の構成を説明する。図3は、実施例1に係る移動体通信装置20の構成を示すブロック図であり、図4は、実施例1に係る管理者の移動体通信装置に記憶されているグループ情報の構成例を示す図であり、図5は、実施例1に係る管理者以外の移動体通信装置に記憶されているグループ情報の構成例を示す図である。図3に示すように、この移動体通信装置20は、ディスプレイ11およびスピーカ12に接続されたナビゲーション装置10に所定のバス30で接続され、記憶部21、ネットワーク通信制御部22および通信制御部23から構成される。
【0036】
このうち、ナビゲーション装置10は、自車両の走行経路の設定および誘導を行なう装置である。具体的には、ナビゲーション装置10は、GPS(Global Positioning System)によって自車両の現在位置を取得し、所定のデータ(例えば、地図データ等)を用いて自車両が走行している道路を特定し、ディスプレイ11やスピーカ12を用いて経路誘導を実行する。
【0037】
ディスプレイ11は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段およびユーザに所定の情報を提供する出力手段であり、具体的には、後に詳述する移動体通信装置20から発信させる情報の入力をユーザからの受け付ける、あるいは、ナビゲーション装置10および移動体通信装置20から受け付けた情報をユーザに提供する。また、スピーカ12はユーザに情報の報知を行う出力手段である。
【0038】
記憶部21は、通信制御部23による各種処理に用いるデータを記憶する記憶手段であり、特に本発明に密接に関係するものとしては、グループ情報記憶部21aおよびデータ記憶部21bを備える。
【0039】
このうち、グループ情報記憶手段21aは、グループ通信を行うグループに関する情報を記憶する記憶手段である。具体的には、管理者の移動体通信装置におけるグループ情報記憶部21aは、図4に例示するように、グループ名、グループを特定するグループIDおよび各グループ員の移動体通信装置に対して一意に付与されている装置IDを用いて、所定のグループにおける各グループ員を列挙したグループリストを記憶する。なお、このグループリストは、例えば、あらかじめユーザから(例えば、ディスプレイ11などを介して)各グループ員の装置IDの入力を受け付けて生成され、グループ情報記憶部21aに記憶される。また、管理者以外の移動体通信装置におけるグループ情報記憶部21aは、図5に例示するように、グループ名およびグループIDを上記と同様に記憶する他、グループリストの代わりに管理者の装置IDを記憶する。
【0040】
データ記憶手段21bは、他のグループ員に対して発信する所定のデータ(例えば、画像データや音声データなど)を記憶する記憶手段であり、具体的には、あらかじめユーザから受け付けたデータを記憶する他、他のユーザから発信され、後述する着信処理部23dによって着信処理されたデータを記憶する。
【0041】
ネットワーク通信制御部22は、移動体通信装置20のネットワーク通信(例えば、公衆電話網やインターネット、LANやWANなどによって形成される通信網を介して行われる通信)を制御する制御手段であり、具体的には、携帯電話端末やPHS(Personal Handy phone System)等の機能を利用し、基地局あるいは中継局等のネットワークを介して他の移動体通信装置との間、他の通信装置(例えば、家庭内や会社内で使用される通信装置等)との間、センタ(例えば、発信または転送されたデータを受信して中継するセンタに設置されたサーバ装置等)との間で行う通信を制御する。
【0042】
通信制御部23は、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用し、ネットワークを介さずに、グループの移動体通信装置間の通信を制御する制御手段であって、所定の制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部である。
【0043】
そして、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に例示するように、発信処理部23aと、データ発信部23bと、データ受信部23cと、着信処理部23dと、データ中継部23eと、データ転送部23fとを備える。
【0044】
このうち、発信処理部23aは、発信用のデータを生成するとともにそのデータの発信指令を送る発信処理手段である。具体的には、発信処理部23aは、例えば、ディスプレイ11を介してユーザから所定のデータ(例えば、データ記憶部21bに記憶されている画像データや音声データ等)とその所定のデータの宛先(各グループ員の装置IDやグループIDによって指定される宛先)の入力を受け付けると、その宛先からグループ向けの発信であるグループ発信であるかどうか(つまり、グループIDが入力さているかどうか)を確認する。
【0045】
そして、グループ発信である場合には、さらに、グループ管理者としての発信である管理者発信であるかどうか(つまり、グループIDおよび各グループ員の宛先が全て入力されているかどうか)確認する。その結果、管理者発信である場合には、発信処理部23aは、グループ情報記憶部21aに記憶されているグループ情報(グループ名、グループIDおよびグループリスト)と、データ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID(例えば、A)、送信先ID(例えば、BまたはC)、所定のデータおよびグループIDを含んだ各グループ員のそれぞれを宛先とする発信用データを生成し、これらの発信用のデータとともにこれらのデータの発信指令をデータ発信部23bに対して送る。
【0046】
これとは反対に、管理者発信でない場合には、発信処理部23aは、グループ情報記憶部21aに記憶されているグループ情報(グループ名、グループIDおよび管理者装置ID)と、データ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID(例えば、B)、送信先ID(例えば、A)、所定のデータおよびグループIDを含んだ管理者のグループ員Aを宛先とする発信用データを生成し、この発信用のデータとともにこのデータの発信指令をデータ発信部23bに対して送る。
【0047】
ここで、先ほどの説明に戻ると、グループ発信でない場合(例えば、グループリストに基づいて個別の宛先を指定された場合やグループに属さないものを指定された場合等)には、発信処理部23aは、指定された宛先とデータ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID、送信先IDおよび所定のデータを含んだ発信用データを生成し、発信用のデータとともに発信指令をデータ発信部23bに対して送る。
【0048】
データ発信部23bは、発信処理部23aによって生成された発信用のデータをネットワークを介さずに発信する発信手段である。具体的には、発信処理部23aから発信用のデータとその発信用のデータの発信指令を受け付けると、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用して、ネットワークを介さずにそれぞれデータを発信する。
【0049】
データ受信部23cは、移動体通信装置から発信されたデータをネットワークを介さずに受信する受信手段である。具体的には、他の移動体通信装置からブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用して発信されたデータを受信すると、そのデータの送信先ID(宛先)を確認して、その結果、そのデータの送信先IDが他の移動体通信装置を指定するものである場合には、そのデータをそのまま中継するべく、そのデータおよび中継の指令をデータ中継部23eに対して送る。一方、そのデータの送信先ID(宛先)が他の移動体通信装置を指定するものでない場合には、そのデータをそのまま着信するべく、そのデータおよび着信処理指令を着信処理部23dに対して送る。
【0050】
また、データ受信部23cは、受信したデータの送信先ID(宛先)が他の移動体通信装置を指定するものでない場合には、さらに、そのデータの宛先がグループであって(つまり、グループIDが付加されているかどうか)、かつ自己が管理者かどうか(グループ情報記憶部21aにグループリストが記憶されているかどうか)を確認する。その結果、受信データの宛先がグループであり、かつ自己が管理者である場合には、受信データをグループ宛に発信されたデータとして着信するとともに他のグループ員宛にそれぞれ転送するべく、このデータおよび着信処理指令を後述する着信処理部23dに対して送るとともに、このデータおよび転送指令を後述するデータ転送部43fに対して送る。これとは反対に、受信データの宛先がグループではなく(つまり、グループIDが付加されていない)、かつ自己が管理者でない場合には、自分宛のデータとしてそのまま着信するべく、このデータおよび着信処理指令を後述する着信処理部23dに対して送る。
【0051】
なお、データ受信部23cは、受信したデータが、既に着信処理部23dに対して着信処理指令を送ったデータと同一である場合には、着信処理指令を送らずに、データを着信しないようにしてもよい。
【0052】
着信処理部23dは、データ受信部23cからデータの着信処理指令を受け付けてデータを着信処理する着信処理手段である。具体的には、データ受信部23cからデータおよび着信処理指令を受け付けると、そのデータをそのまま着信する。なお、データを着信した後には、例えば、ディスプレイやスピーカ等からデータの着信をユーザに報知したりまたは、例えば、画像データを着信した場合には、ユーザに視認される状態でディスプレイに出力したり、音声データを着信した場合には、スピーカ等から出力したりするなどの着信処理を行う。
【0053】
データ中継部23eは、データ受信部23cからデータの中継指令を受け付けてデータを中継する中継手段である。具体的には、データ受信部23cからデータおよび中継指令を受け付けると、データ中継部23eは、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用して、そのデータをネットワークを介さずにそのまま中継する。
【0054】
データ転送部23fは、管理者として機能する移動体通信装置がグループ内の他の移動体通信装置から受信したデータを着信する場合に、データ受信部23cからデータの転送指令を受け付けてデータを転送する転送手段である。具体的には、データ受信部23cからデータおよび転送指令を受け付けると、データ転送部23fは、着信データの送信元IDを自らを転送元とする転送元IDに変換するとともに、着信データの送信先IDおよび転送元IDに係る各グループを除いた残りのグループ員を、グループ情報記憶部21aから読み出したグループリストに基づいて割り出し、着信データの送信先IDをその残りのグループ員を宛先とする送信先IDに変換した転送用データを生成して、それぞれ転送する。なお、データ転送部23fは、着信データの送信先IDおよび転送元IDに係る各グループを除いて生成した転送用データを転送する場合に限られるものではなく、着信データの送信先IDおよび転送元IDに係る各グループを含めて生成した転送用データを転送するようにしてもよい。
【0055】
[移動体通信装置によるデータ発信処理(実施例1)]
次に、図6を用いて、実施例1に係る通信システムの移動体通信装置によるデータ発信処理の流れを説明する。図6は、実施例1に係る通信システムの移動体通信装置によるデータ発信処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に説明する処理は、移動体通信装置の動作中に繰り返し実行される。
【0056】
同図に示すように、データ発信指示を受け付けると(ステップS601肯定)、発信処理部23aは、その宛先からグループ向けの発信であるグループ発信であるかどうか(つまり、グループIDが入力さているかどうか)を確認する(ステップS602)。
【0057】
そして、グループ発信である場合には(ステップS602肯定)、発信処理部23aは、さらに、グループ管理者としての発信である管理者発信であるかどうか(つまり、グループIDおよび各グループ員の宛先が全て入力されているかどうか)確認する(ステップS603)。
【0058】
その結果、管理者発信である場合には(ステップS603肯定)、発信処理部23aは、グループ情報記憶部21aに記憶されているグループ情報(グループ名、グループIDおよびグループリスト)と、データ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID(例えば、A)、送信先ID(例えば、BまたはC)、所定のデータおよびグループIDを含んだ各グループ員BまたはCのそれぞれを宛先とする発信用データを生成し、これらの発信用のデータとともにこれらの発信用のデータの発信指令をデータ発信部23bに対して送り、これらの発信用のデータとともにこれらのデータの発信指令を受け付けたデータ発信部23bは、これらの発信用のデータをそれぞれ発信する(ステップS604)。
【0059】
これとは反対に、管理者発信でない場合には(ステップS603否定)、発信処理部23aは、グループ情報記憶部21aに記憶されているグループ情報(グループ名、グループIDおよび管理者装置ID)と、データ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID(例えば、B)、送信先ID(例えば、A)、所定のデータおよびグループIDを含んだ管理者のグループ員Aを宛先とする発信用データを生成し、この発信用のデータとともにこのデータの発信指令をデータ発信部23bに対して送り、この発信用のデータとともにこのデータの発信指令を受け付けたデータ発信部23bは、この発信用のデータを発信する(ステップS605)。
【0060】
ここで、ステップS602の説明に戻ると、グループ発信でない場合(例えば、グループリストに基づいて個別の宛先を指定された場合やグループに属さないものを指定された場合等)には(ステップS602否定)、発信処理部23aは、指定された宛先とデータ記憶部21bに記憶されている所定のデータとに基づいて、送信元ID、送信先IDおよび所定のデータを含んだ発信用データを生成し、発信用のデータとともに発信指令をデータ発信部23bに対して送り、発信用のデータとともに発信指令を受け付けたデータ発信部23bは、この発信用のデータを発信する(ステップS606)。
【0061】
なお、上記では、通信制御部23であるマイコンが実現する各機能ブロックによる処理として説明したが、実際の処理はマイコンにより行われるものである。
【0062】
[移動体通信装置によるデータ転送処理(実施例1)]
続いて、図7を用いて、実施例1係る通信システムの移動体通信装置によるデータ転送処理の流れを説明する。図7は、実施例1に係る通信システムの移動体通信装置によるデータ転送処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に説明する処理は、移動体通信装置の動作中に繰り返し実行される。
【0063】
同図に示すように、データ受信部23cは、他の移動体通信装置からネットワークを介さずにデータを受信すると(ステップS701肯定)、そのデータの送信先ID(宛先)が他の移動体通信装置を指定するものであるかどうか確認を行う(ステップS702)。
【0064】
その確認の結果、そのデータの送信先ID(宛先)が他の移動体通信装置を指定するものである場合には(ステップS702肯定)、データ受信部23cは、そのデータをそのまま中継するべく、そのデータおよび中継の指令をデータ中継部23eに対して送り、そのデータおよび中継の指令を受け付けたデータ中継部23eは、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用して、そのデータをネットワークを介さずにそのまま中継する(ステップS703)。
【0065】
ここで、ステップS702の説明に戻ると、受信したデータの送信先ID(宛先)が他の移動体通信装置を指定するものでない場合(つまり、宛先が自分宛である場合)には(ステップS702否定)、データ受信部23cは、さらに、そのデータの宛先がグループ(つまり、グループIDが付加されているかどうか)、かつ自己が管理者かどうか(グループ情報記憶部21aにグループリストが記憶されているかどうか)を確認する(ステップS704)。その結果、受信データの宛先がグループ(つまり、グループIDが付加されている)、かつ自己が管理者である(つまり、グループリストが記憶されている)場合には(ステップS704肯定)、データ受信部23cは、受信データの着信および転送を行う(ステップS705)。
【0066】
具体的には、データ受信部23cは、受信データをグループ宛に発信されたデータとして着信するとともに他のグループ員宛にそれぞれ転送するべく、このデータおよび着信の指令を後述する着信処理部23dに対して送るとともに、このデータおよび転送の指令を後述するデータ転送部23fに対して送る。データ受信部23cからデータおよび着信処理指令を受け付けた着信処理部23dは、受信データをグループ宛に発信されたデータとして着信する。また、データ受信部23cからデータおよび転送の指令を受け付けた転送部23fは、着信データの送信元IDを自らを転送元とする転送元IDに変換するとともに、着信データの送信先IDおよび転送元IDに係る各グループを除いた残りのグループ員を、グループ情報記憶部21aから読み出したグループリストに基づいて割り出し、着信データの送信先IDをその残りの(他の)グループ員を宛先とする送信先IDに変換した転送用データを生成して、それぞれ転送する。
【0067】
ここで、ステップS704の説明に戻ると、受信データの宛先がグループ、かつ自己が管理者でない場合には(ステップS704否定)、データ受信部23cは、自分宛のデータとしてそのまま着信するべく、このデータおよび着信処理指令を後述する着信処理部23dに対して送り、データおよび着信処理指令を受け付けた着信処理部23dは、このデータを着信する(ステップS706)。
【0068】
なお、上記では、通信制御部23であるマイコンが実現する各機能ブロックによる処理として説明したが、実際の処理はマイコンにより行われるものである。
【0069】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1によれば、この通信システムは、複数の通信装置のうちの管理者通信装置が、自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリスト(例えば、各装置に一意に付与されている装置IDなど)をグループ情報として記憶し、そのグループリストに基づいて、各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信し、グループ員からグループを宛先として発信された所定のデータを着信し、その着信されたデータをグループリストに基づいて、他のグループ員を宛先として転送するので、グループ管理者として機能する通信装置においてグループ入会の許可等を管理でき、センタに対する管理費も不要であり、センタにおける認証負荷もなく、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0070】
また、実施例1によれば、この通信システムは、グループの通信を行う通信装置が、グループを宛先としてデータを発信する場合には、グループを特定する情報を付加して発信するので、管理者通信装置からこのデータを受信した他の通信装置は、グループを特定する情報(例えば、グループを特定するグループIDなど)を用いて、グループ宛に発信されたデータであることを把握することが可能となり、一方、他の通信装置からデータを受信した管理者の通信装置は、このデータが自分宛のものかグループ宛のものかを判別することが可能となる。
【0071】
また実施例1によれば、この通信システムは、ネットワークを介さずに(例えば、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を利用して)データを発信し、ネットワークを介さずに着信されたデータをネットワークを介さずに転送するので、通信装置間の距離が離れていても、通信装置に発信あるいは転送したデータを中継させることで、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【実施例2】
【0072】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0073】
(1)グループ員の募集
上記の実施例おいて、所定のグループへ入会を希望する入会希望者を受け付けるようにしてもよい。そこで、以下では、図8および図9を用いて、この場合の通信システムについて説明する。図8は、実施例2に係る管理型のグループ通信を行うグループへの入会募集受付の概要を説明するための図であり、図9は、実施例2に係るグループ員募集画面の表示例を示す図である。
【0074】
図8に示すように、グループ管理者の所有する移動体通信装置Aは、例えば、図9に例示するような、募集画面をネットワークを介さずに発信する(図8の(1)参照)。なお、移動体通信措置Aは、募集画面をデータとして発信する前に、発信するデータを受信可能な他の移動体通信装置をあらかじめ探知しておき、その探知した装置を宛先として発信する。募集画面を受信した移動体通信装置Cの所有者が、例えば、入会を希望するグループに既に所属しているグループ員からあらかじめ取得していたパスワードを募集画面内の所定箇所に入力するとともに、募集画面内のアイコン(「応募する」)を指定すると、移動体通信装置Cは、例えば、移動体通信装置Aを宛先とする応募メッセージを自動的に生成して発信する(図8の(2)参照)。
【0075】
移動体通信装置Aは、移動体通信装置Cのユーザが入会を希望するグループのグループ情報としてグループリスト(例えば、(A・B))およびグループID、図示はしていないがグループ名などを記憶している。そして、移動体通信装置Cから応募メッセージを受け付けると、管理者の移動体通信装置Aは、新たにグループリスト(例えば、(A・B・C))を生成して(図8の(3)参照)、記憶する。そして、管理者の移動体通信装置Aは、入会希望者の移動体通信装置Cに対して、入会受付通知とともにグループ情報としてグループIDおよび管理者装置ID、図示はしていないがグループ名などを発信する(図8の(4)参照)。なお、既存のグループ員Bの所有する移動体通信装置Bに対しては何も発信しない。
【0076】
このように、この移動体通信装置は、所定のグループに入会を希望する入会希望者を受け付けて、その受け付けられたグループ員を列挙したグループリストを生成し、その生成したグループリストを記憶するので、センタなどによるグループの形成を待たずに、グループ管理者の所有する移動体通信装置でグループへの入会を受け付けて、グループメンバを形成することが可能となる。なお、グループ管理者の所有する移動体通信装置は、グループへの入会を受け付けて管理するだけでなく、グループからの脱退(グループ員の解除)を受け付けて管理する場合についても同様に適用できる。
【0077】
(2)グループIDを用いないグループ通信
上記の実施例では、複数の移動体通信装置の間でグループ通信を行う通信システムにおいて、グループ員からグループ宛に発信されたデータを受信したグループ管理者の所有する移動体通信装置が、このデータにグループIDが付加されているかどうかによってグループ宛に発信されたデータであるかどうかを判定して、グループ宛のデータであれば他のグループ員に対してそれぞれ転送する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、グループ通信を行う際に、グループIDを用いることなく、グループ宛に発信されたデータであるかどうかを管理者の移動体通信装置において判定するようにしてもよい。
【0078】
具体的には、グループ員からグループIDを付加することなくグループ宛に発信されたデータを受信した管理者の移動体通信装置は、記憶部に記憶されているグループリストと受信データの送信元IDを比較し、送信元IDがグループリストに含まれている場合には、グループ宛に発信されたデータとして着信するとともに、他のグループ員に対してそれぞれ転送する。
【0079】
このように、この通信システムは、複数の移動体通信装置の間でグループ通信を行う際に、グループIDを用いないので、発信するデータ量および処理負担を軽減することができ、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0080】
(3)ネットワークを介したグループ通信
上記の実施例では、複数の移動体通信装置の間でネットワークを介さずにグループ通信を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネットワークを介してグループ通信を行うようにしてもよい。具体的には、図10に示すように、グループ内の移動体通信装置(管理者の装置および管理者以外の装置)の通信制御部22は、基地局(もしくは中継局)などのネットワークを介して通信(データの発信および転送)を行う。
【0081】
このように、この通信システムは、ネットワーク(例えば、公衆電話網やインターネット、LANやWANなどによって形成される通信網)を介してデータを発信し、ネットワークを介して着信されたデータをネットワークを介して転送するので、ネットワークを介さずにデータの発信、着信または中継が行えない状況であっても、ネットワークを介してデータを発信または転送することができ、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0082】
(4)着信応答要求を付加したデータの発信
上記の実施例において、確実に宛先に着信させ、着信したことを確認したいデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに発信し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内(例えば、宛先に着信されていないことを合理的に判断できる時間内)にない場合には、このデータをネットワークを介して発信するようにしてもよい。
【0083】
これにより、この通信システムは、データに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに発信し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、このデータをネットワークを介して発信するので、着信応答が必要なデータをその宛先に確実に着信させることが可能となる。
【0084】
(5)着信応答要求を付加したデータの転送
上記の実施例において、確実に宛先に着信させ、着信したことを確認したいデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに転送し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内(例えば、宛先に着信されていないことを合理的に判断できる時間内)にない場合には、このデータをネットワークを介して転送するようにしてもよい。
【0085】
これにより、この通信システムは、データに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに転送し、この着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、このデータをネットワークを介して転送するので、着信応答が必要なデータをその宛先に確実に着信させることが可能となる。
【0086】
(6)車両に搭載された移動体通信装置以外の間でグループ通信を行う通信システム
上記の実施例では、車両に搭載した移動体通信装置間でグループ通信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)や赤外線通信等の機能を搭載したPDA、あるいは携帯電話やPHSの如き移動体通信端末等を所持する利用者の間でグループ通信を行う場合や、移動体通信装置と移動を前提としない通信装置(例えば、家庭内や会社内で使用される通信装置等)との間でグループ通信を行う場合、または移動を前提としない通信装置間でグループ通信を行う場合にも同様に適用できる。これにより、移動を前提としない場合においても、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することが可能となる。
【0087】
(7)装置構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0088】
また、図3に示した移動体通信装置20の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、データ発信部23bとデータ転送部23fを統合するなど、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、移動体通信装置20にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0089】
なお、本実施例で説明した通信方法(例えば、図6に示すデータ発信方法、図7に示すデータ中継、転送および着信方法)は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明に係る通信システム、通信方法および通信プログラムは、複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行うに有用であり、特に、複数の通信装置の間で行う管理型のグループ通信を低コストで簡易に管理することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1に係る通信システムおいてグループ管理者の移動体通信装置からグループ宛にデータを発信する場合の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1にかかる通信システムにおいてグループ管理者の移動体通信装置が他の移動体通信装置からグループ宛に発信されたデータを転送する場合の概要を説明するための図である。
【図3】実施例1に係る移動体通信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係る管理者の移動体通信装置に記憶されているグループ情報の構成例を示す図である。
【図5】実施例1に係る管理者以外の移動体通信装置に記憶されているグループ情報の構成例を示す図である。
【図6】実施例1に係る通信システムの移動体通信装置によるデータ発信処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係る通信システムの移動体通信装置によるデータ転送処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例2に係る管理型のグループ通信を行うグループへの入会募集受付の概要を説明するための図である。
【図9】実施例2に係るグループ員募集画面の表示例を示す図である。
【図10】実施例2に係る管理型のグループ通信をネットワークを介して行う場合を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
10 ナビゲーション装置
11 ディスプレイ
20 移動体通信装置
21 記憶部
21a グループ情報記憶部
21b データ記憶部
22 ネットワーク通信制御部
23 通信制御部
23a 発信処理部
23b データ発信部
23c データ受信部
23d 着信処理部
23e データ中継部
23f データ転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う通信システムにおいて、
前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、
自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶手段と、
前記グループ情報記憶手段に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信手段と、
前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶手段によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送手段と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
前記グループを宛先として所定のデータを発信する場合には、前記グループを特定する情報を付加して発信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記データ発信手段は、前記所定のデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに発信し、当該着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、当該所定のデータをネットワークを介して発信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記データ転送手段は、前記所定のデータに着信応答要求を付加してネットワークを介さずに転送し、当該着信応答要求に対する着信応答が所定時間内にない場合には、当該所定のデータをネットワークを介して転送することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う通信方法において、
前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、
自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶工程と、
前記グループ情報記憶工程に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信工程と、
前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶工程によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送工程と、
を含んだことを特徴とする通信方法。
【請求項6】
複数の通信装置の間で管理型のグループ通信を行う方法をコンピュータに実行させる通信プログラムにおいて、
前記複数の通信装置のうちの管理者の通信装置は、
自己が管理するグループについて、各グループ員が列挙されたグループリストを記憶するグループ情報記憶手順と、
前記グループ情報記憶手順に記憶されているグループリストに基づいて、前記各グループ員のそれぞれを宛先とする所定のデータを発信するデータ発信手順と、
前記グループ員から前記グループを宛先として発信された所定のデータを着信した場合に、当該データを、前記グループリスト記憶手順によって記憶されているグループリストに基づいて、他のグループ員のそれぞれを宛先として転送するデータ転送手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−150888(P2007−150888A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344387(P2005−344387)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】