説明

通信システム、通信装置、被疑箇所の特定方法及びプログラム

【課題】 障害発生時に、被疑箇所の特定に時間がかかるという課題を解決する。
【解決手段】 複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムにおいて、障害を検出した通信装置をマスタ装置101、マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置102とし、マスタ装置101が、自装置の送受信レベルの測定結果と、スレーブ装置102への送受信レベルの測定要求によってスレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、自装置の内部回線診断結果と、スレーブ装置102への内部回線診断の要求によってスレーブ装置102から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及びスレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行い、マスタ装置またはスレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムに関し、特に、障害発生時に被疑箇所の特定を自動的に行う通信システム、通信装置、被疑箇所の特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ及びルータ等の通信装置の光回線ポートにて障害が発生した場合、リンクダウンまたはフレーム廃棄が発生する。この場合に、障害が発生していると思われる箇所(被疑箇所)は複数存在し、自装置及び対向装置のバックプレーン・インタフェースカードの対象ポート・光モジュール・光ケーブル等が被疑箇所として考えられる。被疑箇所の特定においては、運用中の通信を停止させ、保守員による光レベル測定や回線診断を行う必要がある。
【0003】
例えば、スイッチ及びルータ等の通信装置に広く搭載されているGigabit Ethernet(回線速度:1Gbps)の回線で障害が発生した場合、被疑箇所の切り分け(特定)を行う方法としては、部位を順番に交換することにより特定する方法や、光マルチメータによる回線光レベルの測定や運用中の通信を停止させてインタフェースモジュールの内部回線診断を行うことにより、障害元が自装置又は他装置であるか、送信・受信側であるか等の切り分けを行う方法が採用されている。
【0004】
図6に、スイッチ及びルータ等の通信装置1、2が光回線で接続される通信システムにおいて、回線においてリンクダウンやエラーフレーム受信等の回線障害が発生した場合の被疑箇所の特定方法を示す。図6において、通信装置1、2は、それぞれ、中央処理制御部であるCPU11、41と、インタフェースカード13、43と、メディアアクセスコントロール層と物理層部分を制御するPHY/MAC(Physical layer/Media Access Control layer:物理層/メディアアクセスコントロール層)デバイス14〜17、44〜47と、光モジュール18〜21、48〜51を備えている。
【0005】
回線においてリンクダウンやエラーフレーム受信等の回線障害が発生した場合、図6に示すように、運用回線を閉塞し、光出力レベルを光マルチメータ3等で測定することにより、正常性を確認している。さらに、被疑箇所として、装置外部(光モジュール)か、装置内部(インタフェースカード及びバックプレーン)かを特定する際には、手動制御によってPHY/MACデバイスでの折り返しにより通信経路の内部回線診断を行うことで特定している。
【0006】
このため、被疑箇所の特定においては、切り分け時間及び交換部品が必要となり、かつ回線診断を行う場合には保守員の該当装置の操作が必要となるため、非常に非効率であった。また、部品交換による被疑箇所切り分けの場合は、復旧までに時間がかかることにより、交換を行うまでに再度障害が発生し、さらにリンクダウンやフレーム廃棄が発生する場合がある。
【0007】
被疑箇所の特定に関する関連技術が、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0008】
特許文献1には、通信障害が発生した場合に、通信装置における受光レベルを中心に診断を実施することにより、被疑箇所の特定を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、端末診断・回線診断および他装置の診断を順番に処理することで、被疑箇所の特定を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−352484号公報
【0010】
【特許文献2】特開平04−291850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、特許文献1や特許文献2等に記載される関連技術による被疑箇所切り分けにおいては、次のような課題がある。
【0012】
障害元が回線の送信側か又は受信側かを切り分ける際に、光マルチメータ等を接続して手動で確認する必要があり、また、障害元が装置内部か又は装置外部かを切り分ける際に、保守員の手動による内部回線診断を行う必要があるため、非常に非効率であり、被疑箇所の特定に時間がかかることである。
【0013】
また、被疑箇所の特定に時間がかかることから、時間経過により自動復旧したような場合には、有益な情報を得られないと共に、被疑箇所切り分けまでの時間がさらに長期化してしまうことである。
【0014】
(発明の目的)
本発明の目的は、障害時に、自装置と対向装置における送受信レベルの測定による被疑箇所の切り分け、及び内部回線診断による被疑箇所の切り分けを自動化して、早期に被疑箇所の特定を行うことができる通信システム、通信装置、被疑箇所の特定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による通信システムは、複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムにおいて、障害を検出した通信装置をマスタ装置、マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置とし、マスタ装置が、自装置の送受信レベルの測定結果と、スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によってスレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、自装置の内部回線診断結果と、スレーブ装置への内部回線診断の要求によってスレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及びスレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行い、マスタ装置またはスレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行う。
【0016】
本発明による通信装置は、複数の通信装置と回線を介して接続する通信装置において、障害を検出した通信装置をマスタ装置、対向する通信装置をスレーブ装置として機能させ、マスタ装置が、自装置の送受信レベルの測定結果と、スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によってスレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、自装置の内部回線診断結果と、スレーブ装置への内部回線診断の要求によってスレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及びスレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行い、マスタ装置またはスレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行う。
【0017】
本発明による被疑箇所の特定方法は、複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムのおける被疑箇所の特定方法であって、障害を検出した通信装置をマスタ装置、マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置とし、マスタ装置で、自装置の送受信レベルの測定結果と、スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によってスレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うステップと、自装置の内部回線診断結果と、スレーブ装置への内部回線診断の要求によってスレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及びスレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うステップと、マスタ装置またはスレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行うステップを実行する。
【0018】
本発明によるプログラムは、複数の通信装置と回線を介して接続する通信装置上で動作し、被疑箇所の特定を行うプログラムであって、障害を検出した通信装置をマスタ装置、マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置として機能させ、マスタ装置に、自装置の送受信レベルの測定結果と、スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によってスレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行う処理と、自装置の内部回線診断結果と、スレーブ装置への内部回線診断の要求によってスレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及びスレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行う処理と、マスタ装置またはスレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行う処理を、実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、障害発生と同時に、自装置と対向装置における送受信レベルの測定による被疑箇所の切り分け、及び内部回線診断による被疑箇所の切り分けを自動的に行い、早期に被疑箇所の特定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における切り分け処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるマスタ装置とスレーブ装置間の処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における送受信光レベル測定要求及び送受信光レベル通知用のパケットのフォーマットを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における内部回線診断要求及び通知用パケットのフォーマットを示す図である。
【図6】関連技術における被疑箇所の切り分け方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明の第1の実施の形態による回線障害時の自動切り分けを行うシステムの構成例を示す。
【0022】
第1の実施の形態では、回線障害を検出した装置をマスタ装置101、その対向装置をスレーブ装置102とし、マスタ装置101のCPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)111において、被疑箇所の切り分け処理を実施する。
【0023】
図1に示すマスタ装置101及びスレーブ装置102としては、Gigabit Ethernet(回線速度:1Gbps)等の回線で構成されるネットワークを介して相互に接続される通信装置(例えば、光モジュールを搭載したスイッチ及びルータ等の通信装置)が該当する。
【0024】
図1に示す通り、マスタ装置101及びスレーブ装置102は、中央処理制御部であるCPU111、141と、インタフェースカード113、143と、メディアアクセスコントロール層と物理層部分を制御するPHY/MAC(Physical layer/Media Access Control layer:物理層/メディアアクセスコントロール層)デバイス114〜117、144〜147と、送受信光レベルの測定機能を有する光モジュール(通信モジュール)118〜121、148〜151を備え、パケット処理機能部及び装置スロット数Nのバックプレーンを介して他スロットとの通信を行うスイッチ、またはルータ等の装置である。
【0025】
CPU111、141と光モジュール118〜121、148〜151及びPHY/MACデバイス114〜117、144〜147間には、光信号レベルの測定要求とその結果受信やリンクダウン及びエラーフレーム検出の情報通信を行う制御バス132、162と、CPU111、141とパケット処理機能部112、142とのパケット通信経路であるデータバス131、161を有する。
【0026】
また、マスタ装置101とスレーブ装置102間の通信経路の冗長化として、ポート1とポート2に関してLAG((Link Aggregation:リンクアグリゲーション)機能103を用いた冗長通信経路173や別ネットワーク104を経由した冗長通信経路174を有する。
【0027】
PHY/MACデバイス114〜117、144〜147は、内部回線診断のためのデバイス内での内部折り返し機能133、163を有する。この内部折り返し機能133、163は、パケット処理機能部112、142から受信したパケットをデバイス内で折り返す機能である。
【0028】
光モジュール118〜121、148〜151は、受光レベルを測定する機能と、送信光レベルを測定する機能を有する。送信光レベルについては、送信光のフィードバック処理により測定が可能である。光モジュール118〜121、148〜151は、CPU111、141からの制御によって送受信光レベルの測定を行い、測定結果をCPU111、141に対して通知する。
【0029】
CPU111、141は、光モジュール118〜121、148〜151及びPHY/MACデバイス114〜117、144〜147からの受信結果に基づいて、保持するモジュールタイプごとの送受信光レベルの基準値と送受信光レベルの測定値を比較し、障害元がマスタ装置101又はスレーブ装置102の送信側か受信側かの切り分ける機能を有する。
【0030】
また、CPU111、141は、内部回線診断を自動制御して診断結果から、故障元がマスタ装置101及びスレーブ装置102の装置内部であるか、又は装置外部であるかの切り分けを行う機能を有すると共に、マスタ装置101またはスレーブ装置102の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果とを総合し、両結果に基づいて被疑箇所の特定を行う機能を有する。
【0031】
さらに、CPU111、141は、PHY/MACデバイス114〜117、144〜147より受信したエラーフレーム数や光モジュール118〜121、148〜151からのリンク状態を定期的に監視し、エラーフレーム数またはリンク状態に基づいて回線の障害を検出する機能を有する。
【0032】
さらに、CPU111、141は、光モジュール118〜121、148〜151の送受信光レベルの測定機能を制御し、光モジュール118〜121、148〜151に対して送受信光レベルの測定を実行させる機能も有する。
【0033】
上記CPU111、141の各機能については、マスタ装置101及びスレーブ装置102が備えるROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等の記憶媒体に格納されるプログラムによって提供される。CPU111、141は、そのプログラムを実行することで、上述した各機能を実現する。
【0034】
(第1の実施の形態の動作)
第1の実施の形態の動作として、図1のマスタ装置101のポート1にて回線障害が発生した場合の動作例について、図2の切り分け処理を示すフローチャート、図3のマスタ装置とスレーブ装置間のデータ処理フローを示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0035】
マスタ装置101のCPU111は、障害を検出すると同時に、以下に説明する一連の処理を自動的に実行することで、被疑箇所の特定を行う。
【0036】
マスタ装置101のポート1にて回線障害が発生した場合、マスタ装置101のCPU111は、ポート1で対向の光モジュール148からの光受信断を検出することによりリンクダウン(障害)を検出する(ステップS201)。
【0037】
マスタ装置101のCPU111は、制御バス132を介してポート1の光モジュール118に対して送受信光レベル(送信側:Tx_m、受信側:Rx_m)を測定させ(ステップS202)、光モジュール118から送受信光レベルの測定結果を受信する(ステップS203)。
【0038】
次に、マスタ装置101のCPU111からスレーブ装置102のCPU141に対して、冗長化された通信経路173、174を介して、スレーブ装置102の接続対向ポートであるポート1の光モジュール148による送受信光レベルの測定(送信側:Tx_s、受信側:Rx_s)を要求する(ステップS204)。要求時は、例えば、図4に示すフォーマットの送受信光レベル測定要求及び送受信光レベル通知用のパケットにおいて、種別をREQ(要求)、タイプを該当モジュール(光モジュール148)の種別を選択し要求する。
【0039】
マスタ装置101のCPU111からの測定要求を受信したスレーブ装置102のCPU141は、ポート1の光モジュール148より制御バス162を介して光モジュール148に対して送受信光レベルを測定させ、その送受信光レベルの測定結果を、図4のフォーマットにより、冗長通信経路173、174を経由してマスタ装置101のCPU111へ送信する(ステップS205)。
【0040】
光モジュール118からの送受信光レベルの測定結果とスレーブ装置102からの送受信光レベルの測定結果を受信したマスタ装置101のCPU111は、受信した送受信光レベルを各モジュール毎に設定された送受信光レベルの基準値(受信レベルと送信レベルそれぞれの最小値及び最大値)と比較し、比較結果に基づいて、障害元がマスタ装置101又はスレーブ装置102の送信側か受信側かの切り分けを実施する(ステップS206)。
【0041】
この場合のマスタ装置101のCPU111による判別方法としては、送受信光レベルの測定値が、基準値の範囲(最小値から最大値の範囲内)である場合に正常と判定し、基準値の範囲外である場合に不良と判定する。
【0042】
故障元が、マスタ装置101のポート1及びスレーブ装置102の対向ポートの装置内部(パケット処理部112、142、インタフェースカード113、143)であるか、又は装置外部(光モジュール118、148)であるかの切り分け(被疑箇所の特定)を行うため、内部回線診断を実施する。内部回線診断結果に問題がない場合は、装置外部(光モジュール118、148)が被疑部位と特定される。
【0043】
内部回線診断においては、マスタ装置101のCPU111からポート1のPHY/MACデバイス114間にて、例えば、図5に示すフォーマットの内部回線診断用パケット171の送受信を行うことにより、内部回線の診断を行う(ステップS207)。
【0044】
CPU111からの内部回線診断用パケット171を受信したバケット処理機能部112、インタフェースカード113、ポート1のPHY/MACデバイス114は、内部回線診断用パケット171に示された内部回路診断指示に基づいて内部回路診断を行う。診断結果を盛り込んだ内部回線診断用パケット171は、PHY/MACデバイス114の内部折り返し機能133によって折り返され、CPU111で受信される。
【0045】
同時に、マスタ装置101のCPU111は、スレーブ装置102のCPU141に対して診断要求のため、光レベル測定要求時と同様に、冗長通信経路173、174を介して、図5に示すパケットフォーマットにより内部回線診断要求を送信する(ステップS208)。
【0046】
内部回線診断要求を受信したスレーブ装置102のCPU141は、ポート1のPHY/MACデバイス144間にて内部回線診断用パケット172の送受信を行うことにより、内部回線の診断を行う。診断終了後に、CPU141は、図5に示すパケットフォーマットの内部回線診断用パケット172に診断結果を盛り込み、その内部回線診断用パケット172をマスタ装置101のCPU111へ通知する(ステップS209)。
【0047】
マスタ装置101のCPU111は、マスタ装置101の内部回線診断結果と、スレーブ装置102のCPU141から通知されたスレーブ装置102の内部回線診断結果に基づいて、故障元が、マスタ装置101のポート1及びスレーブ装置102の対向ポートの装置内部(パケット処理部112、142、インタフェースカード113、143)であるか、又は装置外部(光モジュール118、148)であるかの切り分けを行う(ステップS210)。
【0048】
以上から、マスタ装置101のCPU111は、マスタ装置101またはスレーブ装置102の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果とを総合し、両結果に基づいて被疑箇所の特定を行う(ステップS211)。
【0049】
本実施の形態では、障害検出時に、マスタ装置101で対向するスレーブ装置102の送受信光レベルの測定結果及び内部回線診断の診断結果を収集することで、スレーブ装置102に対する遠隔診断をリアルタイムに実施することができる。
【0050】
なお、上記の説明では、対向の光モジュール148からの光受信断を検出して、リンクダウンを検出した場合について示したが、PHY/MACデバイス114より受信したFCSエラー等のエラーフレーム数が所定数を超えていることを検出した場合においても、上記と同様の処理を行うことにより、被疑箇所特定が可能である。
【0051】
(第1の実施の形態による効果)
上述した第1の実施の形態による効果について説明する。
回線障害発生と同時に、自動的に、マスタ装置101とスレーブ装置102で送受信光レベルの測定を行い、測定結果に基づいて障害元がマスタ装置又はスレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、かつ、マスタ装置101の内部回線診断結果と、スレーブ装置102への内部回線診断の要求によってスレーブ装置102から取得した診断結果に基づいて、故障元がマスタ装置101及びスレーブ装置102の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うので、被疑箇所特定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0052】
本発明の他の実施の形態としては、10Gigabit Ethernetの光モジュールの回線を持つインタフェースカードを搭載する通信装置においても、構成及び動作は上記の通りの仕組みにより、同等の効果が得られ、回線障害時の光レベル測定及び内部回線診断により被疑箇所特定が可能である。
【0053】
以上好ましい実施の形態と実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施の形態及び実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
101:マスタ装置
102:スレーブ装置
111、141:CPU
112、142:パケット処理機能部
113、143:インタフェースカード
114〜117、144〜147:PHY/MACデバイス
118〜121、148〜151:光モジュール
172:内部回線診断用パケット
173、174:冗長通信経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムにおいて、
障害を検出した前記通信装置をマスタ装置、前記マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置とし、
前記マスタ装置が、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によって前記スレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、
自装置の内部回線診断結果と、前記スレーブ装置への内部回線診断の要求によって前記スレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及び前記スレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行い、
前記マスタ装置または前記スレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記マスタ装置が、
障害元のポートの送受信レベルを測定すると共に、前記スレーブ装置に対して対向するポートの送受信レベルの測定を要求し、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置から受信した送受信レベルの測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、
自装置の内部回線診断を行うと共に、前記スレーブ装置に対して内部回線診断を要求し、自装置の診断結果と前記スレーブ装置から受信した診断結果に基づいて、故障元が、自装置の障害元のポート及び前記スレーブ装置の対向するポートの装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送受信レベルの測定、前記送受信レベルの測定要求、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分け、前記内部回線診断、前記内部回線診断の要求、前記装置内部及び装置外部の切り分け及び前記被疑箇所を特定する各処理を、
前記マスタ装置のCPUが、障害発生と同時に自動的に実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記マスタ装置が、
前記送受信レベルの測定結果と予め設定された基準値とを比較し、測定結果が前記基準値の範囲内であるかどうかによって前記障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置は、受信したパケットを折り返す機能を有するデバイスとの間で、内部回線診断用のパケットを送受信することにより、前記内部回線診断用パケットに記された診断結果を取得することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記マスタ装置と前記スレーブ装置のポートの通信モジュールが、送信信号及び受信信号のレベルを測定する機能を有し、前記マスタ装置と前記スレーブ装置のCPUによって制御されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信装置のCPUが、受信したエラーフレーム数や通信モジュールからのリンク状態を定期的に監視し、エラーフレーム数またはリンク状態に基づいて障害を検出することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の通信システム。
【請求項8】
複数の通信装置と回線を介して接続する通信装置において、
障害を検出した前記通信装置をマスタ装置、対向する前記通信装置をスレーブ装置として機能させ、
前記マスタ装置が、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によって前記スレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、
自装置の内部回線診断結果と、前記スレーブ装置への内部回線診断の要求によって前記スレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及び前記スレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行い、
前記マスタ装置または前記スレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行うことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
前記マスタ装置が、
障害元のポートの送受信レベルを測定すると共に、前記スレーブ装置に対して対向するポートの送受信レベルの測定を要求し、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置から受信した送受信レベルの測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行い、
自装置の内部回線診断を行うと共に、前記スレーブ装置に対して内部回線診断を要求し、自装置の診断結果と前記スレーブ装置から受信した診断結果に基づいて、故障元が、自装置の障害元のポート及び前記スレーブ装置の対向するポートの装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記マスタ装置が、
前記送受信レベルの測定、前記送受信レベルの測定要求、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分け、前記内部回線診断、前記内部回線診断の要求、前記装置内部及び装置外部の切り分け及び前記被疑箇所を特定する各処理を、
前記マスタ装置のCPUが、障害発生と同時に自動的に実行することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記マスタ装置が、
前記送受信レベルの測定結果と予め設定された基準値とを比較し、測定結果が前記基準値の範囲内であるかどうかによって前記障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うことを特徴とする請求項8から請求項10の何れかに記載の通信装置。
【請求項12】
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置が、受信したパケットを折り返す機能を有するデバイスとの間で、内部回線診断用のパケットを送受信することにより、前記内部回線診断用パケットに記された診断結果を取得することを特徴とする請求項8から請求項11の何れかに記載の通信装置。
【請求項13】
前記マスタ装置と前記スレーブ装置のポートの通信モジュールが、送信信号及び受信信号のレベルを測定する機能を有し、前記マスタ装置と前記スレーブ装置のCPUによって制御されることを特徴とする請求項8から請求項12の何れかに記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信装置のCPUが、受信したエラーフレーム数や通信モジュールからのリンク状態を定期的に監視し、エラーフレーム数またはリンク状態に基づいて障害を検出することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の通信装置。
【請求項15】
複数の通信装置を回線を介して接続する通信システムのおける被疑箇所の特定方法であって、
障害を検出した前記通信装置をマスタ装置、前記マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置とし、
前記マスタ装置で、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によって前記スレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うステップと、
自装置の内部回線診断結果と、前記スレーブ装置への内部回線診断の要求によって前記スレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及び前記スレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うステップと、
前記マスタ装置または前記スレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行うステップを実行することを特徴とする被疑箇所の特定方法。
【請求項16】
前記マスタ装置で、
障害元のポートの送受信レベルを測定すると共に、前記スレーブ装置に対して対向するポートの送受信レベルの測定を要求するステップと、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置から受信した送受信レベルの測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うステップと、
自装置の内部回線診断を行うと共に、前記スレーブ装置に対して内部回線診断を要求するステップと、
自装置の診断結果と前記スレーブ装置から受信した診断結果に基づいて、故障元が、自装置の障害元のポート及び前記スレーブ装置の対向するポートの装置内部か装置外部であるかの切り分けを行うステップを実行することを特徴とする請求項15に記載の被疑箇所の特定方法。
【請求項17】
前記送受信レベルの測定、前記送受信レベルの測定要求、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分け、前記内部回線診断、前記内部回線診断の要求、前記装置内部及び装置外部の切り分け及び前記被疑箇所を特定する各処理を、
前記マスタ装置で、障害発生と同時に自動的に実行することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の被疑箇所の特定方法。
【請求項18】
前記マスタ装置で、
前記送受信レベルの測定結果と予め設定された基準値とを比較し、測定結果が前記基準値の範囲内であるかどうかによって前記障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行うことを特徴とする請求項15から請求項17の何れかに記載の被疑箇所の特定方法。
【請求項19】
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置で、受信したパケットを折り返す機能を有するデバイスとの間で、内部回線診断用のパケットを送受信することにより、前記内部回線診断用パケットに記された診断結果を取得することを特徴とする請求項15から請求項18の何れかに記載の被疑箇所の特定方法。
【請求項20】
前記通信装置で、受信したエラーフレーム数や通信モジュールからのリンク状態を定期的に監視し、エラーフレーム数またはリンク状態に基づいて障害を検出することを特徴とする請求項15から請求項19の何れかに記載の被疑箇所の特定方法。
【請求項21】
複数の通信装置と回線を介して接続する通信装置上で動作し、被疑箇所の特定を行うプログラムであって、
障害を検出した前記通信装置をマスタ装置、前記マスタ装置の対向の通信装置をスレーブ装置として機能させ、
前記マスタ装置に、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置への送受信レベルの測定要求によって前記スレーブ装置から取得した測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行う処理と、
自装置の内部回線診断結果と、前記スレーブ装置への内部回線診断の要求によって前記スレーブ装置から取得した診断結果に基づいて、故障元が自装置及び前記スレーブ装置の装置内部か装置外部であるかの切り分けを行う処理と、
前記マスタ装置または前記スレーブ装置の送信側及び受信側の切り分け結果と、装置内部及び装置外部の切り分け結果に基づいて被疑箇所の特定を行う処理を、実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
前記マスタ装置に、
障害元のポートの送受信レベルを測定すると共に、前記スレーブ装置に対して対向するポートの送受信レベルの測定を要求する処理と、
自装置の送受信レベルの測定結果と、前記スレーブ装置から受信した送受信レベルの測定結果に基づいて、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行う処理と、
自装置の内部回線診断を行うと共に、前記スレーブ装置に対して内部回線診断を要求する処理と、
自装置の診断結果と前記スレーブ装置から受信した診断結果に基づいて、故障元が、自装置の障害元のポート及び前記スレーブ装置の対向するポートの装置内部か装置外部であるかの切り分けを行う処理を、実行させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記送受信レベルの測定、前記送受信レベルの測定要求、障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分け、前記内部回線診断、前記内部回線診断の要求、前記装置内部及び装置外部の切り分け及び前記被疑箇所を特定する各処理を、
前記マスタ装置に、障害発生と同時に自動的に実行させることを特徴とする請求項21又は請求項22に記載のプログラム。
【請求項24】
前記マスタ装置に、
前記送受信レベルの測定結果と予め設定された基準値とを比較し、測定結果が前記基準値の範囲内であるかどうかによって前記障害元が前記マスタ装置又は前記スレーブ装置の送信側か受信側かの切り分けを行う処理を実行させることを特徴とする請求項21から請求項23の何れかに記載のプログラム。
【請求項25】
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置に、受信したパケットを折り返す機能を有するデバイスとの間で、内部回線診断用のパケットを送受信することにより、前記内部回線診断用パケットに記された診断結果を取得する処理を実行させることを特徴とする請求項21から請求項23の何れかに記載のプログラム。
【請求項26】
前記通信装置に、受信したエラーフレーム数や通信モジュールからのリンク状態を定期的に監視し、エラーフレーム数またはリンク状態に基づいて障害を検出する処理を実行させることを特徴とする請求項21から請求項25の何れかに記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−245589(P2010−245589A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88827(P2009−88827)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】