通信システム、通信装置および通信端末
【課題】電力線を使用する通信ネットワークに対して通信端末を容易に増設できる通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置の一態様であるPLCアダプタのCPUが実行する処理は、サービスコンセントに通信端末が接続されたことを検知し(ステップS414にてYES)、ペアリング要求があった場合に(ステップS420にてYES)、リレーを切り換えてローパスフィルタを有効化するステップ(S431)と、設定情報を送信するステップ(S432)と、設定情報の設定が完了した後にリレーを切り換えてローパスフィルタを無効化するステップ(S450)とを含む。
【解決手段】通信装置の一態様であるPLCアダプタのCPUが実行する処理は、サービスコンセントに通信端末が接続されたことを検知し(ステップS414にてYES)、ペアリング要求があった場合に(ステップS420にてYES)、リレーを切り換えてローパスフィルタを有効化するステップ(S431)と、設定情報を送信するステップ(S432)と、設定情報の設定が完了した後にリレーを切り換えてローパスフィルタを無効化するステップ(S450)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線を媒体として通信を行なうネットワークにおいてネットワークを識別・判断する情報を通信機器に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、低速、高速にかかわらず、宅内で利用される電力線を利用したネットワークにおいては、電力線上に情報が重畳されることから、近隣宅との混信が生じる可能性がある。そこで、混信を回避するために、特定の機器のみが同一ネットワークに属することを表わす識別情報を用いる技術が使用されている。
【0003】
たとえば、電力線ネットワークに接続される機器に対して手動で識別情報を設定する方法が考えられる。この方法によると、使用者に対する相当な負荷と、誤入力のような設定ミスを生じる可能性がある。
【0004】
また、識別情報を自動で設定する方法も考えられる。この方法によると、識別情報が電力線上に重畳されるため、近隣の識別情報が誤って設定されるという問題があった。
【0005】
識別情報の設定に関し、たとえば、特開2003−78456号公報(特許文献1)は、誤設定の問題を解決するために、コンセントに識別情報を記憶させておき、機器の電源コードがコンセントに挿入されたときに識別情報を重畳して機器に設定する技術を開示している。さらに、当該機器が識別情報を受信する時間を限定することで、近隣への情報の漏れを防止する技術が開示されている。
【0006】
また、特開2004−104338号公報(特許文献2)は、家屋内で特殊な工事が不要で、さらにセキュリティ上安心して各種パラメータが設定可能となる電灯線通信機器設定装置を開示している。
【0007】
また、一方、無線LAN(Local Area Network)の通信規格であるIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11b/g/a等のように通信データを暗号化して送受信する仕組みも広く使用されている。
【特許文献1】特開2003−78456号公報
【特許文献2】特開2004−104338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2003−78456号公報に開示された技術によると、以下のような問題点があった。第1に、コンセントに対してハウスコードを重畳する仕組みを組み込むため、新築時以外の工事は大掛かりなものとなる。そのため、既存の住宅には、容易に組み込むことができないという問題点がある。また、家庭内のすべてのコンセントへの対応は、相当の費用を要するという問題もある。
【0009】
第2に、特定のコンセントにのみ上記対応を行った場合、新たに機器を追加設定する場合、そのコンセントの場所に追加設定する機器を持っていく必要がある。そのため、宅内のネットワークを柔軟に構築できないという問題点もある。
【0010】
第3に、重畳されているハウスコードを受信する時間を限定し、誤ったハウスコードが端末に設定されることを防ぐ方法については記載されているが、ハウスコード情報が電力線上に重畳されてしまうことにより、逆に隣宅の機器に設定されてしまう危険性や、第三者にハウスコードが盗聴される危険性については記載されていない。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を、コストの増加を抑制しつつ容易に実現できる通信システムを提供することである。他の目的は、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる通信システムを提供することである。他の目的は、宅内における通信の秘密を保持できる通信システムを提供することである。
【0012】
他の目的は、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を容易に実現できる通信装置または通信端末を提供することである。他の目的は、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる通信装置または通信端末を提供することである。他の目的は、宅内における通信の秘密を保持できる通信装置または通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従う通信システムは、通信装置と通信端末とを備える。通信装置は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、信号の変調と復調とを行うモデム部と、電力線を介した通信ネットワークと通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、設定情報に基づいて、電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、電源プラグ部に対して伝送される信号から設定情報を除去するフィルタ部と、設定情報をサービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、タイミングの検知の結果に応じてフィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える。通信端末は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、端末電源プラグ部によって受信される信号から、電力線を使用する通信ネットワークと通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、データを格納する記憶部と、設定情報を通信端末の記憶部に書き込む登録部と、設定情報に基づいて、端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える。
【0014】
この発明のある局面に従う通信装置は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、信号の変調と復調とを行うモデム部と、電力線を介した通信ネットワークと通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、設定情報に基づいて、電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、電源プラグ部に対して伝送される信号から設定情報を除去するフィルタ部と、設定情報をサービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、タイミングの検知の結果に応じてフィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える。
【0015】
好ましくは、通信装置は、設定情報をサービスコンセント部に出力する命令の入力を受け付ける入力部をさらに備える。検知部は、命令の入力に基づいてタイミングを検知する。
【0016】
好ましくは、検知部は、サービスコンセント部に機器が接続されたことに基づいてタイミングを検知する。
【0017】
好ましくは、検知部は、サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて設定情報の要求を検出し、要求が検出されたことに基づいてタイミングを検知する。
【0018】
好ましくは、通信装置は、サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて、設定情報の登録が受信した信号の送信装置において完了したことを検知する完了検知部をさらに備える。フィルタ制御部は、完了が検知されたことに基づいて、フィルタ部の動作を終了させる。
【0019】
好ましくは、通信装置は、当該通信装置の外部と信号を通信するインターフェイス部をさらに備える。モデム部は、インターフェイス部から送られたデータの形式を電力線による伝送に対応する形式に変換し、電力線から送られた信号の形式をインターフェイス部を介した伝送に応じた形式に変換する。
【0020】
好ましくは、通信装置は、インターフェイス部に対するケーブルの接続を検知する接続検知部と、接続検知部による検知の結果に応じて、サービスコンセント部に対して設定情報を出力するかしないかを切り換える切換部とをさらに備える。
【0021】
好ましくは、通信装置は、電源プラグ部からサービスコンセント部に対する電力供給を制御する供給制御部をさらに備える。
【0022】
好ましくは、通信装置は、サービスコンセント部に接続される端末に対して、通信ネットワークと端末との関係を規定する端末設定データを要求する要求部と、端末から受信する端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備える。端末設定データが未設定または初期状態の場合には、動作制御部は、端末に対して設定情報を送信する。端末設定データの内容が設定情報の内容と異なる場合には、動作制御部は、サービスコンセント部に対する電力の供給を遮断する。端末設定データの内容と設定情報の内容とが同じである場合には、動作制御部は、通信装置の現在の状態を維持する。
【0023】
好ましくは、記憶部は、端末設定データに応じて動作制御部が実行する動作を規定するデータをさらに格納している。動作制御部は、規定するデータに従って動作を実行する。
【0024】
好ましくは、記憶部は、電力を供給するのみのモードと、電力の供給とともに設定情報の送出を可能とするモードとの間で、サービスコンセント部の動作モードを切り換えるための切換データをさらに格納している。通信装置は、切換データに基づいてサービスコンセント部に対する送電と送信とを切り換えるモード制御部をさらに備える。
【0025】
好ましくは、通信装置は、当該通信装置に入力される信号に基づいて、通信装置とのペアリングの要求を検出する要求検出部をさらに備える。検知部は、要求が検出されたことに基づいてタイミングを検知する。ペアリングが実行された後に、フィルタ制御部は、フィルタ部による動作を終了させる。
【0026】
好ましくは、設定情報は、通信ネットワークを特定するデータと、通信装置を特定するデータとを含む。
【0027】
この発明のある局面に従う通信端末は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、端末電源プラグ部によって受信される信号から、電力線を使用する通信ネットワークと通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、データを格納する記憶部と、設定情報を記憶部に書き込む登録部と、設定情報に基づいて、端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える。
【0028】
好ましくは、信号は、設定情報と、設定情報の登録の要求とを含む。取得部は、設定情報と要求とを検出する。登録部は、要求が検出されたことに基づいて、設定情報を登録部に書き込む。
【0029】
好ましくは、設定情報は、通信ネットワークを特定するデータと、通信端末を特定するデータとを含む。
【0030】
好ましくは、通信端末は、設定情報の送信要求の受信を検知する検知部と、送信要求の受信に応答して、送信要求の送信者に設定情報を送信する送信部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る通信システムによると、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築がコストの増加を抑制しつつ容易に実現可能となる。また、宅内のネットワークが柔軟に構築することができる。さらに、宅内における通信の秘密が保持可能となる。
【0032】
また、本発明に係る通信装置または通信端末によると、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を容易に実現できる。また、本発明の他の局面に係る通信装置または通信端末によると、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる。さらに、他の局面に従う通信装置または通信端末によると、宅内における通信の秘密が保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信システム10について説明する。図1は、通信システム10を構成する機能を表すブロック図である。通信システム10は、通信装置100と通信端末150とを備える。通信装置100と通信端末150とは、電力線190によって接続されている。
【0035】
通信装置100は、電源プラグ部110と、入力部112と、サービスコンセント部114と、検知部116と、フィルタ制御部118と、フィルタ部120と、記憶部122と、制御部123と、モデム部126とを備える。制御部123は、通信制御部124を含む。
【0036】
電源プラグ部110は、電力線190とフィルタ部120に接続されている。電源プラグ部110は、電力線190から電力の供給を受けるとともに信号を通過させる。
【0037】
入力部112は、通信装置100に対する操作の入力を受け付ける。入力部112は、たとえば通信装置100の筐体の前面に設けられたボタン、タッチパネルその他の操作手段として実現される。
【0038】
サービスコンセント部114は、検知部116とフィルタ部120とモデム部126とに接続される。また、サービスコンセント部114は、電源プラグ部110によって取得された電力を通信装置100の外部に供給する。サービスコンセント部114には、通常の電源コンセントに接続される機器が接続可能である。当該機器は、たとえば、テレビ、照明器具その他の電化製品、コンピュータその他の情報通信装置等を含む。さらに、ある局面においては、サービスコンセント部114は、信号を通過させる。
【0039】
記憶部122は、電力線190を用いた通信ネットワークと、通信装置100との関係を規定する設定情報を格納する。当該設定情報は、通信装置100の電力線190におけるアドレスと、通信ネットワークを識別するネットワークID(Identification)とを含む。
【0040】
制御部123は、記憶部122とモデム部126と検知部116とに接続される。詳細には、制御部123は、検知部116と記憶部122に接続されており、記憶部122から当該設定情報を読み出す。通信制御部124は、モデム部126に接続されており、当該設定情報に基き、電源プラグ部110あるいはサービスコンセント部114を介した通信を制御する。
【0041】
検知部116は、設定情報をサービスコンセント部114の外部に出力するタイミングを検知する。フィルタ制御部118は、検知部116によるタイミングの検知の結果に応じて、フィルタ部120によるフィルタリングを制御する。フィルタ部120は、電源プラグ部110に対して伝送される信号から、当該設定情報を除去する。
【0042】
ある局面において、入力部112は、設定情報をサービスコンセント部114の外部に出力するための命令の入力を受け付ける。検知部116は、当該命令の入力に応答して上記タイミングを検知する。検知部116がそのタイミングを検知したことに基づいて、フィルタ制御部118は、フィルタ部120によるフィルタリングの動作を有効化する。
【0043】
ある局面において、検知部116は、サービスコンセント部114に情報通信装置が接続されたことを検知し、その接続の検知に応答して上記タイミングを検知する。たとえば、情報通信装置の接続の前後における電流値あるいは電圧値が変化したタイミングが検知される。ここで、情報通信装置は、通信装置100が有する構成と同様の構成を有する電力線通信のための装置を含む。
【0044】
他の局面において、検知部116は、サービスコンセント部114を介して受信した信号に基づいて設定情報の要求を検出し、その要求が検出されたことに基づいて当該タイミングを検知する。この信号は、たとえば電力線通信のための装置によって発信される。
【0045】
他の局面において、検知部116は、サービスコンセント部114を介して受信した信号に基づいて、設定情報の登録が、サービスコンセント部114を介して受信した信号を送信した情報通信装置において完了したことを検知する。フィルタ制御部118は、その完了が検知されたことに基づいてフィルタ部120の動作を終了させる。
【0046】
モデム部126は、サービスコンセント部114と、フィルタ部120と、制御部123とに電気的に接続されている。モデム部126は、電源プラグ部110から制御部123に伝送される信号あるいは制御部123から電源プラグ部110に伝送される信号の変調および/または復調を行なう。
【0047】
図1を再び参照して、通信端末150は、端末電源プラグ部160と、モデム部162と、記憶部164と、制御部170とを備える。制御部170は、取得部172と、登録部174と、通信制御部176とを含む。
【0048】
端末電源プラグ部160は、電力線190に接続される。端末電源プラグ部160は、電力線190から電力の供給を受けるとともに、信号を通過させる。
【0049】
モデム部162は、端末電源プラグ部160と制御部170との間に配置される。モデム部162は、端末電源プラグ部160から制御部170に伝送される信号あるいは制御部170から端末電源プラグ部160に伝送される信号の変調および/または復調を行なう。
【0050】
記憶部164は、通信端末150の動作を規定するデータを格納する。当該データは、電力線190を使用する通信ネットワークに参加するためのデータ(たとえばネットワーク識別、アドレス、通信装置100の識別データなど)を含む。
【0051】
制御部170は、モデム部162から出力されるデータと記憶部164に格納されているデータとの少なくともいずれかに基づいて、通信端末150の動作を制御するように構成されている。より具体的には、制御部170において、取得部172は、端末電源プラグ部160によって受信される信号から、電力線190を使用する通信ネットワークと通信端末150との関係を規定する設定情報を取得する。登録部174は、その設定情報を記憶部164において確保したメモリ領域に書き込む。通信制御部176は、記憶部164に格納された設定情報と、通信端末150の動作を規定するために予め準備されたファームウェアその他のプログラムとを用いて、端末電源プラグ部160を介した信号の送受信を制御する。なお、他の局面においては、上述の通信装置100が、通信端末150として機能することもできる。
【0052】
また、さらに他の局面において、通信端末150は、外部から送られた要求に応答して、通信端末150が有する情報を送信してもよい。当該要求の一例は、上述の通信ネットワークに参加するためのデータを送信する要求である。この局面に従うと、当該要求は、送信者を特定する情報と共に、通信端末150に受信される。送信者を特定する情報は、たとえば、当該要求を送信した機器の識別番号である。この情報は、当該要求を含む信号のヘッダ部に含まれている。
【0053】
制御部170が当該要求の受信を検知すると、通信制御部176は、当該受信の検知に応答して、記憶部164に格納されているデータ(通信ネットワークに参加するためのデータ)を読み出し、その読み出したデータを、当該送信者に送信する。
【0054】
図2を参照して、通信装置100の具体的構成について説明する。図2は、通信装置100の一態様であるPLC(Power Line Communication)アダプタ200のハードウェア構成を表すブロック図である。PLCアダプタ200は、CPU(Central Processing Unit)210と、PLCモデム212と、アナログフロントエンド214と、トランス216と、プラグ218と、ローパスフィルタ220と、サービスコンセント222と、挿入検出部224と、AC−DC(Alternating Current−Direct Current)電源変換部226と、RAM(Random Access Memory)228と、フラッシュROM(Read Only Memory)230と、イーサネット(登録商標)コントローラ232と、RJ45コネクタ234と、LED(Light Emitting Diode)236と、スピーカ238と、操作パネル240とを備える。RJ45コネクタ234には、パソコン250その他の情報通信装置が接続可能である。サービスコンセント222には、PLCアダプタ260が有するプラグ262が装着可能である。
【0055】
CPU210は、PLCアダプタ200に与えられる命令と、PLCアダプタ200の内部に格納されているデータおよびプログラム等に基づいて、PLCアダプタ200の動作を制御する。具体的には、CPU210は、RAM228、フラッシュROM230に格納されているデータと、フラッシュROM230に格納されているプログラムとに基づいて命令を実行し、その命令に応じた通信の制御を行なう。
【0056】
PLCモデム212は、CPU210によって生成されたデータあるいはイーサネット(登録商標)コントローラ232を介して取得されたデータを電力線通信のための形式に変換し、変換後のデータをアナログフロントエンド214に出力する。また、PLCモデム212は、プラグ218を介して電力線から取得された信号から、準備されているデータを取り出し、その取得したデータをCPU210に伝送する。
【0057】
アナログフロントエンド214は、PLCモデム212から出力されるデジタルデータをアナログ信号に変換し、トランス216にそのアナログ信号を伝送する。逆に、アナログフロントエンド214は、トランス216から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換し、そのデジタルデータをPLCモデム212に送出する。
【0058】
トランス216は、アナログフロントエンド214からのアナログ信号を電力線上に重畳する。また、トランス216は、電力線上の信号を取り出し、その取り出した信号をアナログフロントエンド214に送信する。プラグ218は、PLCアダプタ200が設置される部屋の壁に設けられるコンセントに接続され、電力線190から電力の供給を受ける。
【0059】
ローパスフィルタ220は、信号を除去する。ローパスフィルタ220は、設定情報の送信が行なわれない間は、その動作は無効にされる。この切り換えは、たとえばCPU210からの命令に従って行なわれる。
【0060】
サービスコンセント222は、PLCアダプタ200によって電力の供給を受ける他の装置(たとえばPLCアダプタ260)のプラグ(たとえばプラグ262)の挿入を受け付ける。
【0061】
挿入検出部224は、サービスコンセント222に他のプラグが挿入されたことを検出する。挿入検出部224は、その検出が表す信号をCPU210に向けて送出する。
【0062】
AC−DC電源変換部226は、PLCアダプタ200に与えられた交流電源を直流電源に変換し、PLCアダプタ200を構成するハードウェアに供給する。
【0063】
RAM228は、CPU210によって生成されたデータを一時的に格納する。また、RAM228は、イーサネット(登録商標)コントローラ232によって外部から取得されたデータも格納する。
【0064】
フラッシュROM230は、PLCアダプタ200の製造者によって予め準備されたデータおよびプログラムを格納している。さらに、フラッシュROM230は、CPU210の書込動作によって、PLCアダプタ200の通信によって取得されたデータも格納する。
【0065】
イーサネット(登録商標)コントローラ232は、CPU210から出力される命令に従って、PLCアダプタ200と、RJ45コネクタ234に接続されるパソコン250との通信を制御する。イーサネット(登録商標)コントローラ232は、RAM228に格納されているデータの読み出し、RJ45コネクタ234にそのデータを送出する。また、PLCアダプタ200がパソコン250から送られたデータを受信すると、イーサネット(登録商標)コントローラ232は、RJ45コネクタ234から送られたデータをRAM228において確保した領域に書き込む。CPU210は、その書き込みの完了の割込信号に応答してRAM228を参照して、その書き込まれたデータを読み出す。
【0066】
RJ45コネクタ234は、パソコン250その他の情報通信装置に接続されるケーブルの装着を受け付ける。
【0067】
LED236は、CPU210から出力される発光命令に従って、予め規定された点灯動作あるいは点滅動作を実行する。たとえば、LED236は、PLCアダプタ200の動作状態(通常の通信、設定情報の通信、他の通信端末とのペアリング)を示す信号をそれぞれ発信する。PLCアダプタ200の使用者は、その点灯あるいは点滅の状態により、PLCアダプタ200の動作状態を認識することができる。
【0068】
スピーカ238は、CPU210から出力される信号に従って、PLCアダプタ200の動作を通知するために予め規定された音を出力する。たとえばPLCアダプタ200において異常が検出された場合、スピーカ238は、その異常を報知するブザー音を発する。
【0069】
操作パネル240は、PLCアダプタ200に対する設定の入力を受け付ける。たとえば、PLCアダプタ200による設定情報の送信を許可あるいは禁止するための設定は、操作パネル240に対する操作に従って実現される。また、使用者がローパスフィルタ220の動作を強制的に実行させたい場合には、操作パネル240に対する操作に従って、その動作が強制的に切り換えられる。この場合、CPU210から出力される命令は、無効化される。
【0070】
次に、図3を参照して、PLCアダプタ200のデータ構造について説明する。図3は、フラッシュROM230におけるデータの格納の一態様を概念的に表す図である。フラッシュROM230は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。
【0071】
電力線190を使用する通信ネットワークを実現するためのデータは、メモリ領域310〜340に格納されている。具体的には、PLCアダプタ200を識別するための通信装置IDは、メモリ領域310に格納されている。PLCアダプタ200が参加するネットワークを識別するネットワークIDは、メモリ領域320に格納されている。
【0072】
PLCアダプタ200が他の通信端末と暗号通信を行なう場合に使用される暗号鍵は、メモリ領域330に格納されている。暗号通信を行なうか否かを規定する設定データは、メモリ領域340に格納されている。なお、暗号通信の方式は、特に限定されない。また、電力線190を使用する通信の性質上、暗号化されたデータが伝送されるのが好ましいが、暗号通信は必ずしも行なわれなくてもよい。
【0073】
CPU210は、メモリ領域310〜340に格納されている各設定データを参照し、プラグ218に接続される電力線190を用いた通信を実現する。
【0074】
PLCアダプタ200の動作を制御するプログラムは、メモリ領域350〜370に格納されている。具体的には、PLCアダプタ200と他の通信端末との間で関連付け(ペアリング)を実行するためのペアリングプログラムは、メモリ領域350に格納されている。ペアリングプログラムは、配信プログラムを含む。配信プログラムが実行されると、メモリ領域310〜340に格納されている設定情報が、ペアリングの対象となる通信端末に対して送信される。ペアリングが完了した他の通信端末との間で通信を行なうための通信制御プログラムは、メモリ領域360に格納されている。PLCアダプタ200のハードウェアの動作を制御するファームウェアは、メモリ領域370に格納されている。
【0075】
CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられる操作あるいは命令に従って、メモリ領域350〜370に格納されているプログラムを実行し、特定の処理を実現する。
【0076】
次に、図4を参照して、PLCアダプタ200の制御構造について説明する。図4は、CPU210が実行する一例の動作を表すフローチャートである。
【0077】
ステップS410にて、PLCアダプタ200のCPU210は、PLCモデム212を介してプラグ218に接続されている電力線190から信号を受信する。ステップS412にて、CPU210は、PLCモデム212を介して電力線190に向けて信号を送信する。
【0078】
ステップS414にて、CPU210は、挿入検出部224からの信号に基づいて、サービスコンセント222に他の情報通信装置が接続されたか否かを判定する。具体的には、たとえば、挿入検出部224は、サービスコンセント222に供給される電流値の変化を検出する。CPU210は、その変化の検出の結果に基づいて、サービスコンセント222に対するプラグの挿入の有無を判定する。CPU210は、サービスコンセント22に他のプラグが挿入されたと判定すると(ステップS414にてYES)、処理をステップS418に切り換える。そうでない場合には(ステップS414にてNO)、CPU210は、制御をステップS410に戻す。
【0079】
ステップS418にて、CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられるペアリング要求コマンドの受信を待機する。ステップS420にて、CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられた信号に基づいてペアリング要求が存在するか否かを判定する。CPU210は、ペアリング要求が存在すると判定すると(ステップS420にてYES)、制御をステップS430に切り換える。そうでない場合には(ステップS420にてNO)、CPU210は、制御をステップS410に切り換える。
【0080】
ステップS430にて、CPU210は、ペアリング処理を実行する。より具体的には、ステップS431にて、CPU210は、ローパスフィルタ220に接続されているリレー(図示しない)を切り換えて、ローパスフィルタ220の動作を有効化する。ステップS432にて、CPU210は、フラッシュROM230を参照して、メモリ領域310〜340に格納されている設定情報を読み出し、その情報を出力する。この場合、ローパスフィルタ220は作動しているため、この設定情報を有する信号は、フィルタリング動作により、プラグ218からPLCアダプタ200の外部には供給されない。この設定情報を受信した通信端末は、それが有するメモリに格納することにより、PLCアダプタ200との間で通信ネットワークを構成することができる。
【0081】
ステップS434にて、CPU210は、その通信端末から設定情報の登録の完了通知の受信を待機する。具体的には、CPU210は、サービスコンセント222から送られる信号の中に当該通知を表す信号が含まれているか否かを判定する。
【0082】
ステップS436にて、CPU210は、完了通知を受信したか否かを判定する。CPU210は完了通知を受信したと判定すると(ステップS436にてYES)、制御をステップS438に切り換える。そうでない場合には(ステップS436にてNO)、CPU210は、制御をステップS440に切り換える。
【0083】
ステップS438にて、CPU210は、LED236に命令を与えることにより、LED236に点滅動作を実行させる。あるいは、CPU210は、スピーカ238に対して音声信号を送出する。スピーカ238は、その信号に応じて音を発する。PLCアダプタ200の使用者は、他の通信端末(たとえばPLCアダプタ260)における設定情報の登録が完了したことを知ることができる。
【0084】
ステップS440にて、CPU210は、ステップS438において送信された信号とは異なる信号をLED236あるいはスピーカ238に送出する。LED236は、その信号に従って点滅するため、あるいは、スピーカ238は、その信号に従って音を発するため、当該使用者は、PLCアダプタ260における設定情報の登録が完了していないことを認識することができる。
【0085】
ステップS450にて、CPU210は、上記リレーを切り換えることによりローパスフィルタ220を無効化する。その結果、CPU210が出力したデータはすべて、プラグ218を介して電力線190に送信され得る。
【0086】
以上のようにして、本実施の形態に係る通信システム10によると、設定情報の送信タイミングに合わせて、フィルタ部120の動作が制御され、電力線190を使用する通信ネットワークを構成するための設定情報の電力線190への送信の可否を切り換えられる。
【0087】
具体的には、通信システム10を構成するPLCアダプタ200において、他の情報通信装置の一態様であるPLCアダプタ260等がサービスコンセント222に接続されると、ローパスフィルタ220は、フィルタリング動作を実行する。設定情報は、ローパスフィルタ220によって遮断される。したがって、当該設定情報は、プラグ218を介して電力線190に流出しなくなる。
【0088】
その間、PLCアダプタ200は、他のPLCアダプタ260と通信することにより、ペアリング処理を実行する。PLCアダプタ260は、PLCアダプタ200のサービスコンセント222から電力の供給を受けるとともに、当該設定情報を受信し、その設定情報をメモリに格納する。その結果、PLCアダプタ260は、PLCアダプタ200が構成する通信ネットワークの構成メンバーとして、そのネットワーク、すなわち電力線190を使用する通信ネットワークに新たに参加できる。
【0089】
PLCアダプタ260の使用者は、PLCアダプタ200とPLCアダプタ260とのペアリングを、既に設定情報を有するPLC200が設置されている場所において実行できる。当該使用者は、ペアリングを実行した後、PLCアダプタ260を、使用が予定される他の部屋に移し、その部屋の壁に設けられているコンセントに接続する。これにより、電力線190を介したPLCアダプタ200とPLCアダプタ260とは、同一の通信ネットワーク内において通信することができる。また、既存のコンセントが使用可能であるため、部屋の壁に対する新たな工事が不要となる。
【0090】
このようにすると、既存のPLCアダプタ200に新たなPLCアダプタを容易に追加する事ができる。また、ペアリング処理が実行される間は、設定情報が電力線190に流出しなくなるため、他の装置に設定情報が受信されることが防止される。これにより、コストの増加と設定情報の漏洩を防ぎつつ、電力線を使用する通信ネットワークを構成する情報通信装置の増設が容易に実現され得る。
【0091】
なお、他の局面において、通信装置100は、他の通信端末と通信するためのインターフェイス部を有していてもよい。この場合、インターフェイス部が、当該通信端末から送られた情報を受信すると、その信号は、モデム部126に送られる。モデム部126は、その信号の形式を電力線190による伝送に対応する形式に変換する。逆に、モデム部126は、電力線190から送られた信号の形式を、当該通信端末に対する送信に対応する形式に変換する。
【0092】
また、この場合、検知部116は、当該インターフェイス部に対する通信ケーブル(たとえば、LANケーブル)の接続を検知してもよい。この場合、制御部123は、その検知の結果に応じて、サービスコンセント部114に対して当該設定情報を出力するか否かを切り換える。たとえば、通信ケーブルがインターフェイス部に接続されたことが検知されると、制御部123は、サービスコンセント部114に対して当該設定情報を出力する。
【0093】
<変形例>
図5を参照して、本実施の形態の変形例に係る通信システム50について説明する。図5は、通信システム50の構成を表わすブロック図である。通信システム50は、通信装置500と通信端末150とを備える。通信装置500と通信端末150とは、電力線190によって接続可能である。通信端末150は、通信装置500から電力の供給を受けることができる。
【0094】
本変形例に係る通信装置500は、サービスコンセント114を介して受信した信号からペアリング要求を検出したことに基づいてフィルタ動作を切り換える。すなわち、図5を参照して、通信装置500は、通信装置100の構成に対して入力部112と検知部116とを有さない。通信装置500は、ペアリング要求検出部510をさらに備える。ペアリング要求検出部510は、電源プラグ部110およびサービスコンセント部114からの出力に基づいて作動するように構成されている。フィルタ制御部118は、ペアリング要求検出部510からの出力に基づいて作動するように構成される。
【0095】
ペアリング要求検出部510は、電源プラグ部110から送られる信号あるいはサービスコンセント部114から送られる信号から、通信装置500とのペアリングの要求を検出する。ペアリング要求検出部510による検出の結果は、フィルタ制御部118に入力される。フィルタ制御部118は、ペアリング要求が検出されたことを表す信号の入力に基づいて、フィルタ部120によるフィルタリングを有効化する。
【0096】
より具体的には、フィルタ制御部118は、サービスコンセント部114からの信号がペアリング要求を含んでいる場合にのみ、フィルタ部120によるフィルタリング動作を有効化する。その結果、記憶部122に格納されている設定情報は、サービスコンセント部114を介して通信装置500の外部に送信され得るが、電源プラグ部110から電力線190に対しては送信されなくなる。
【0097】
次に、図6を参照して、本変形例に係る通信端末150のデータ構造について説明する。図6は、記憶部164に格納されているデータの一態様を表す図である。記憶部164は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。通信装置(たとえば通信装置500)との間でペアリングを行なうことを要求するプログラムは、メモリ領域610に格納されている。このプログラムは、接続された通信装置に対して、ペアリングの要求を表わす信号を送信し、その通信装置から受信する情報から、その通信装置と通信ネットワークを構成するためのデータを取得する。
【0098】
通信端末150による通信処理を実行するためのプログラムは、メモリ領域620に格納されている。通信端末150を構成するハードウェアの動作を制御するファームウェアは、メモリ領域630に格納されている。通信制御部176が上記の通信制御プログラムを実行すると、通信端末150は、電力線190に接続された後は、通信装置500と通信することができる。
【0099】
通信端末150を識別するためのID(端末ID)は、メモリ領域640に格納されている。この端末IDは、たとえば、通信端末150の製造時にメモリに書き込まれ、製品として出荷されている時には既に設定されている。
【0100】
電力線190を用いた通信のための設定情報は、メモリ領域650〜670に格納される。通信端末150がペアリングをまだ実行していない場合には、設定情報は記憶部164に存在しない。したがってこの時点では、メモリ領域650〜670は、特定のデータが存在しないことを表すコード「NULL」がそれぞれ格納される。あるいは、記憶部164が初期値を持つように実装してもよい。
【0101】
一方、後述するように、通信端末150が通信装置500との間でペアリングを実行することにより設定情報を取得すると、取得されたデータは、メモリ領域650〜670にそれぞれ格納される。具体的には、通信システム50が構成するネットワークの識別データは、メモリ領域650に格納される。通信端末150と通信装置500とが暗号通信を行なう場合には、暗号鍵はメモリ領域660に格納される。通信端末150がペアリングを実行した日時を表すデータは、メモリ領域670に格納される。
【0102】
図7を参照して、本変形例に係る通信端末150を実現する通信制御部176について説明する。図7は、通信制御部176によって実現される機能を表すブロック図である。通信制御部176は、ペアリング要求生成部710と、確認メッセージ認識部720と、回答生成部730と、符号化部740と、送信制御部750とを備える。ある局面において、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェアとが協働することにより実現される。すなわち、各機能に応じた処理を実行するように構成されたプログラムがCPUその他のプロセッサによって実行されると、これらの機能は実現される。なお、他の局面において、当該通信端末は、各機能に応じた処理を実行する回路の組み合わせのように、ハードウェアによって実現されてもよい。
【0103】
ペアリング要求生成部710は、操作部166に対して与えられた操作に基づいて、通信端末150と通信装置500との間でのペアリング要求を生成する。たとえば、操作部166は、操作を検知すると、その操作に応じた信号を制御部170に送出する。制御部170は、その信号がペアリング要求に対応するか否かを確認する。制御部170は、その信号がペアリング要求に対応することを確認すると、通信制御部176として、ペアリング要求を生成する。
【0104】
確認メッセージ認識部720は、後述するように、通信装置500から送信されたペアリング要求の送信者であるか否かを問うメッセージを検出する。
【0105】
回答生成部730は、確認メッセージ認識部720に対する回答信号を生成する。符号化部740は、ペアリング要求生成部710によって生成されたペアリング要求、あるいは回答生成部730によって生成された回答信号を符号化する。送信制御部750は、その符号化によって生成されたパケットをモデム部162に送出し、当該パケットを通信端末150の外部に送信する。
【0106】
そこで、図8を参照して、通信端末150から送信されるパケットについて説明する。図8は、ペアリング要求を表すパケット800の構成を概念的に表す図である。パケット800は、ヘッダ部810と、ユーザデータ部820と、FCS(Frame Check Sequence)830とを含む。ヘッダ810は、送信元を示す情報と宛先を示す情報とを含む。送信元を示す情報は、たとえば通信端末150の端末ID(メモリ領域640)である。宛先を示す情報は、たとえば、装置は特定されていないことを表わす情報(たとえば、ブロードキャスト送信を表わす情報)である。
【0107】
ユーザデータ部820は、パケット800の具体的内容を表す制御コードを含む。制御コードは、たとえば「ペアリング要求」を表すコードとして予め規定されたものである。FCS830は、パケット800の送信誤りの検出および訂正するためのデータを含む。
【0108】
次に、図9を参照して、本変形例に係る通信端末150の制御構造について説明する。図9は、制御部170が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0109】
ステップS910にて、制御部170は、操作部166からの信号に基づいて、ペアリングを開始する操作の入力が行なわれたことを検知する。ステップS920にて、制御部170は、通信制御部176としてペアリング要求を生成する。ステップS930にて、制御部170は、生成したペアリング要求を端末電源プラグ部160を介して通信端末150の外部に出力する。
【0110】
ステップS940にて、制御部170は、確認メッセージ認識部720として、ペアリング要求を確認するためのメッセージを受信したことを検知する。制御部170は、その検知に応答して記憶部164を参照し、ペアリング要求を送信したことを表すフラグを確認し、通信端末150がペアリング要求の送信者であるか否かを判定する。制御部170は、ペアリング要求の送信履歴が記憶部164に格納されていることを確認すると、通信端末150がペアリング要求の送信者であることを認識する。
【0111】
ステップS950にて、通信制御部176は、回答生成部730として、当該メッセージに対する応答を生成し、送信制御部750として、その信号を通信端末150の外部に出力する。この応答は、端末電源プラグ部160から出力され、通信端末150のプラグが接続されている通信装置500のサービスコンセント部114によって受信される。通信装置500は、その応答に基づいて通信端末150がペアリング要求の送信者であることを認識し、記憶部122に格納されている設定情報を読み出して、サービスコンセント部114からその設定情報を送信する。
【0112】
ステップS960にて、制御部170は、取得部172として設定情報の受信を検知する。ステップS970にて、登録部174は、その取得された設定情報を記憶部164において確保したメモリ領域(メモリ領域650〜670)に格納する。これにより、通信端末150と通信装置500との間のペアリングが完了する。
【0113】
次に、図10を参照して、通信装置500の具体的構成について説明する。図10は、通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000のハードウェア構成を表すブロック図である。PLCアダプタ1000は、図2に示されるPLCアダプタ200の構成に対して、挿入検出部224とCPU210とを有さない。PLCアダプタ1000は、CPU1010を備える。CPU1010は、後述するように、外部から与えられた信号からペアリング要求を検出する機能と、その要求に対する確認メッセージを送信する機能とを有する。
【0114】
そこで、図11を参照して、PLCアダプタ1000を実現するCPU1010について説明する。図11は、CPU1010によって実現される機能の構成を表すブロック図である。CPU1010は、検出部1110と、応答確認部1120と、ペアリング部1130と、フィルタ有効化部1140と、メッセージ送信制御部1150と、フィルタ無効化部1160とを備える。これらの機能は、CPU1010が、当該機能に応じた処理を実行するように構成されたプログラムを実行することにより実現される。
【0115】
検出部1110は、PLCアダプタ1000に入力された信号からPLCアダプタ1000とのペアリングの要求を検出する。より具体的には、検出部1110は、プラグ218あるいはサービスコンセント222から入力された信号からペアリング要求を検出する。応答確認部1120は、サービスコンセント222を介して受信した信号から、ペアリング要求の問い合せに対する回答信号を受信する。応答確認部1120は、その確認の結果をペアリング部1130に送出する。
【0116】
ペアリング部1130は、応答確認部1120による確認の結果に基づいてペアリング要求を送信した装置(たとえば通信端末150)とPLCアダプタ1000との間のペアリングを実行する。具体的には、ペアリング部1130は、フラッシュROM230に格納されている設定情報を読み出し、その情報をサービスコンセント222に対して送信する。当該装置は、その情報の入力をメモリに格納する。
【0117】
フィルタ有効化部1140は、検出部1110によってペアリング要求が検出されたことに基づいて、ローパスフィルタ220によるフィルタ動作を有効にする。具体的には、CPU1010は、ローパスフィルタ220のリレーに信号を送信し、フィルタリング動作を実行させる。
【0118】
メッセージ送信制御部1150は、フィルタ有効化部1140によるフィルタリングの設定が完了したことに基づいて、ペアリング要求の送信元を問い合せるメッセージを生成し、そのメッセージをPLCモデム212に向けて送出する。このメッセージは、たとえばローパスフィルタ220によって除去される形式であるため、プラグ218から電力線190に送信されない。
【0119】
フィルタ無効化部1160は、ペアリング要求の確認メッセージに対する回答信号を受信しなかった場合あるいは回答信号を受信してもその信号の内容が適合しないものである場合に、停止命令をローパスフィルタ220に与えることにより、フィルタリングを終了させる。この場合、ペアリングが行なわれないため、設定情報はPLCアダプタ1000の外部に送信されない。一方、ペアリング部1130によるペアリングが成功した場合に、フィルタ無効化部1160は、設定情報を送信する必要がないと判定し、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを終了させる。
【0120】
図12を参照して、CPU1010によって生成される確認メッセージ1200について説明する。図12は、確認メッセージ1200の構成を概念的に表す図である。確認メッセージ1200は、ヘッダ部1210と、ユーザデータ部1220と、FCS1230とを含む。ヘッダ部1210は、宛先アドレスと送信元アドレスとを含む。宛先アドレスは、確認メッセージ1200が特定の端末に向けられているものでないことを表すデータ(たとえばブロードキャスト送信あるいはマルチキャスト送信であることを表すデータ)を含む。送信元アドレスは、たとえば、PLCアダプタ1000の識別IDあるいは通信システム50におけるアドレスである。
【0121】
ユーザデータ部1220は、確認メッセージ1200の種類を表すコードと、具体的な内容とを含む。たとえば、ユーザデータ部1220は、確認メッセージ1200がペアリング要求を確認するためのメッセージであることを表すコードを送信する。このコードは、PLCアダプタ1000を使用する通信システムにおいて予め規定されたものである。ユーザデータ部1220は、さらに、具体的な内容として、CPU1010が受信を検知したペアリング要求の送信者を問い合せていることを表すデータを含む。FCS1230は、図8に示されるFCS830と同様の機能を有する。
【0122】
図13を参照して、PLCアダプタ1000の制御構造について説明する。図13は、CPU1010が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【0123】
ステップS1310にて、CPU1010は、検出部1110として、PLCモデム212から送られた信号からペアリング要求を検出する。ステップS1320にて、CPU1010は、フィルタ有効化部1140として、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを有効に設定する。
【0124】
ステップS1330にて、CPU1010は、メッセージ送信制御部1150として、当該ペアリング要求の送信者を確認する確認メッセージ1200をサービスコンセント222に送信する。サービスコンセント222にプラグが接続されている通信端末150(具体的にはPLCアダプタ260)は、確認メッセージ1200を受信する。
【0125】
ステップS1340にて、CPU1010は、確認メッセージ1200に対する応答を受信したか否かを判定する。CPU1010は、その応答を受信したと判定すると(ステップS1340にてYES)、制御をステップS1350に切り換える。そうでない場合には(ステップS1340にてNO)、CPU1010は、制御をステップS1360に切り換える。なお、判定の基準は上記のものに限られない。他の局面において、ステップS1340にて、CPU1010は、応答を受信してもその内容が予め定められた規定に適合するか否かを判定してもよい。この場合、応答の内容が当該規定に適合する場合に(ステップS1340にてYES)、CPU1010は、制御をステップS1350に切り換える。そうでない場合には(ステップS1340にてNO)、CPU1010は、制御をステップS1360に切り換える。
【0126】
ステップS1350にて、CPU1010は、ペアリング処理を実行する。ステップS1360にて、CPU1010は、フィルタ無効化部1160として、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを無効に設定する。
【0127】
以上のようにして、本変形例に係る通信システム50によると、通信装置500は、新たにネットワークを構成しようとする通信端末150から送られたペアリング要求に応じて、設定情報の送信の可否を制御するフィルタリング動作を制御する。
【0128】
具体的には、通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000は、サービスコンセント222に接続されたPLCアダプタ260から送られたペアリング要求を検出すると、ローパスフィルタ220の動作を有効化する。ローパスフィルタ220がフィルタリング動作を開始すると、PLCアダプタ1000が保持している設定情報は、プラグ218を介してPLCアダプタ1000の外部に流出しなくなる。
【0129】
一方、PLCアダプタ1000は、サービスコンセント222を介して当該設定情報を送信することにより、ペアリング要求を送信したPLCアダプタ260との間のペアリングを実行する。
【0130】
これにより、電力線190を使用する通信ネットワークにおいて、設定情報の漏洩を防止しつつPLCアダプタ260を当該通信ネットワークに対して容易に追加することができる。
【0131】
他の局面において、通信装置500は、サービスコンセント部114に接続される通信端末150の端末設定データに応じて動作を切り換えてもよい。切り換えの対象となる動作は、たとえば、通信端末150にペアリングのための設定を新たに行なうことと、サービスコンセント部114の電源を遮断することと、通信端末150に対して特に何もしないこととを含む。この切り換えは、たとえば、記憶部122に格納される制御データに基づいて実現される。この場合、制御データは、比較の結果を表わすデータと、その結果に応じて実行される処理(設定情報の送信など)を表わすデータとが関連付けられたものである。制御部123は、比較の結果に照らして制御データを参照し、その比較の結果によって特定される処理を実行する。
【0132】
このような切り換えを実現するために、他の局面に従う通信装置500は、通信端末150に端末設定データを要求する要求部と、当該端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備える。ここで、端末設定データは、通信ネットワークと通信端末150との関係を規定する。
【0133】
この場合、通信端末150において、端末設定データの設定のパターンとしては、たとえば、以下の2パターンが考えられる。第1のパターンは、初期値が設定されている状態である。この場合、特定の通信ネットワークに参加するためのデータが通信端末150の記憶部164に設定されていない。第2のパターンは、何らかの端末設定データが記憶部164に格納されている状態である。このとき、通信端末150は、何らかの通信ネットワークに参加して通信することが可能である。
【0134】
通信装置500は、通信端末150から端末設定データを受信すると、自己が有する設定情報と、その受信した端末設定データとを比較する。比較の結果は、たとえば、以下の3つの場合を含む。通信装置500は、その比較の結果に基づいて、予め規定された動作を実行する。
【0135】
第1に、端末設定データが初期値である場合(上記の第1のパターンに対応)、通信装置500は、通信端末150が通信ネットワークに参加するための設定を有さないことを検知する。この場合、通信装置500は、通信端末150に対して、通信ネットワークに新たに参加するための設定を実現することができる。たとえば、通信装置500は、設定情報を通信端末150に送信する。通信端末150は、その設定情報を端末設定データとして記憶部164に格納する。これにより、通信端末150は、通信装置500が参加している通信ネットワークに参加することが可能となる。
【0136】
第2および第3の場合は、端末設定データの状態が上記の「第2のパターン」であるときに実現される。
【0137】
すなわち、第2の場合として、端末設定データの内容と設定情報の内容とが一致しない時、通信装置500は、通信端末150が参加できる通信ネットワークと通信装置500が参加できる通信ネットワークとが異なることを検知する。この場合、通信装置500は、通信端末150に対して、自己が有する設定情報を送信し得る。通信端末150が設定情報を受信すると、端末設定データの内容は、設定情報の内容に変更される。したがって、通信端末150は、通信装置500が参加できる通信ネットワークに参加可能となる。あるいは、通信装置500は、通信端末150に対して、設定情報を送信しなくてもよい。この場合、端末設定データの内容が変更されないため、通信端末150が参加できる通信ネットワークは変更されない。また、このとき、通信装置500は、通信ネットワークが異なる端末が接続されたことを検知して、電力の供給を遮断するようにしてもよい。
【0138】
また、第3の場合として、端末設定データの内容と設定情報の内容とが一致する時、通信装置500は、通信端末150に対して、設定情報を送信しない。通信端末150が参加できる通信ネットワークは、通信装置500が参加できる通信ネットワークと同じであるため、通信装置500と通信端末150とは、その通信ネットワークを介して通信することができる。
【0139】
また、さらに他の局面において、通信装置500は、サービスコンセント部114の使用態様を、電力の供給用のみとしての使用と、電力の供給に加えて設定情報を送信するための使用との間で、切り換える設定を有していてもよい。たとえば、この局面に従う通信装置500において、記憶部122は、いずれかの使用態様を特定するデータを保持する。制御部123は、そのデータを参照して、サービスコンセント部114を介した電力の供給のみの使用と、電力供給に加えて設定情報の送信との使用を切り換えることができる。
【0140】
なお、上記の実施の形態および変形例では、PLCアダプタ200,260,1000の動作は、プロセッサの一態様としてのCPUが各処理を実現するプログラムを実行する態様として、すなわち、ソフトウェアとハードウェアとの協働による動作として説明されているが、他の態様によって実現されてもよい。たとえば、当該動作は、各処理を実現する回路素子の組み合わせとして、ハードウェアの動作として実現されてもよい。
【0141】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、電力線を通信回線として使用する通信ネットワークの構築に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システム10を構成する機能を表すブロック図である。
【図2】通信装置100の一態様であるPLCアダプタ200のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図3】PLCアダプタ200のフラッシュROM230におけるデータの格納の一態様を概念的に表す図である。
【図4】PLCアダプタ200のCPU210が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の変形例に係る通信システム50の構成を表わすブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例に係る通信端末150の記憶部164におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図7】通信端末150を実現する通信制御部176によって実現される機能を表すブロック図である。
【図8】通信端末150から送信されるパケット800の構成を概念的に表す図である。
【図9】通信端末150の制御部170が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図10】通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図11】PLCアダプタ1000を実現するCPU1010によって実現される機能の構成を表すブロック図である。
【図12】CPU1010によって生成される確認メッセージ1200の構成を概念的に表す図である。
【図13】PLCアダプタ1000のCPU1010が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0144】
10,50 通信システム、190 電力線、218,262 プラグ、800 パケット、1200 確認メッセージ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線を媒体として通信を行なうネットワークにおいてネットワークを識別・判断する情報を通信機器に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、低速、高速にかかわらず、宅内で利用される電力線を利用したネットワークにおいては、電力線上に情報が重畳されることから、近隣宅との混信が生じる可能性がある。そこで、混信を回避するために、特定の機器のみが同一ネットワークに属することを表わす識別情報を用いる技術が使用されている。
【0003】
たとえば、電力線ネットワークに接続される機器に対して手動で識別情報を設定する方法が考えられる。この方法によると、使用者に対する相当な負荷と、誤入力のような設定ミスを生じる可能性がある。
【0004】
また、識別情報を自動で設定する方法も考えられる。この方法によると、識別情報が電力線上に重畳されるため、近隣の識別情報が誤って設定されるという問題があった。
【0005】
識別情報の設定に関し、たとえば、特開2003−78456号公報(特許文献1)は、誤設定の問題を解決するために、コンセントに識別情報を記憶させておき、機器の電源コードがコンセントに挿入されたときに識別情報を重畳して機器に設定する技術を開示している。さらに、当該機器が識別情報を受信する時間を限定することで、近隣への情報の漏れを防止する技術が開示されている。
【0006】
また、特開2004−104338号公報(特許文献2)は、家屋内で特殊な工事が不要で、さらにセキュリティ上安心して各種パラメータが設定可能となる電灯線通信機器設定装置を開示している。
【0007】
また、一方、無線LAN(Local Area Network)の通信規格であるIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11b/g/a等のように通信データを暗号化して送受信する仕組みも広く使用されている。
【特許文献1】特開2003−78456号公報
【特許文献2】特開2004−104338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2003−78456号公報に開示された技術によると、以下のような問題点があった。第1に、コンセントに対してハウスコードを重畳する仕組みを組み込むため、新築時以外の工事は大掛かりなものとなる。そのため、既存の住宅には、容易に組み込むことができないという問題点がある。また、家庭内のすべてのコンセントへの対応は、相当の費用を要するという問題もある。
【0009】
第2に、特定のコンセントにのみ上記対応を行った場合、新たに機器を追加設定する場合、そのコンセントの場所に追加設定する機器を持っていく必要がある。そのため、宅内のネットワークを柔軟に構築できないという問題点もある。
【0010】
第3に、重畳されているハウスコードを受信する時間を限定し、誤ったハウスコードが端末に設定されることを防ぐ方法については記載されているが、ハウスコード情報が電力線上に重畳されてしまうことにより、逆に隣宅の機器に設定されてしまう危険性や、第三者にハウスコードが盗聴される危険性については記載されていない。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を、コストの増加を抑制しつつ容易に実現できる通信システムを提供することである。他の目的は、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる通信システムを提供することである。他の目的は、宅内における通信の秘密を保持できる通信システムを提供することである。
【0012】
他の目的は、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を容易に実現できる通信装置または通信端末を提供することである。他の目的は、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる通信装置または通信端末を提供することである。他の目的は、宅内における通信の秘密を保持できる通信装置または通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従う通信システムは、通信装置と通信端末とを備える。通信装置は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、信号の変調と復調とを行うモデム部と、電力線を介した通信ネットワークと通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、設定情報に基づいて、電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、電源プラグ部に対して伝送される信号から設定情報を除去するフィルタ部と、設定情報をサービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、タイミングの検知の結果に応じてフィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える。通信端末は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、端末電源プラグ部によって受信される信号から、電力線を使用する通信ネットワークと通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、データを格納する記憶部と、設定情報を通信端末の記憶部に書き込む登録部と、設定情報に基づいて、端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える。
【0014】
この発明のある局面に従う通信装置は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、信号の変調と復調とを行うモデム部と、電力線を介した通信ネットワークと通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、設定情報に基づいて、電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、電源プラグ部に対して伝送される信号から設定情報を除去するフィルタ部と、設定情報をサービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、タイミングの検知の結果に応じてフィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える。
【0015】
好ましくは、通信装置は、設定情報をサービスコンセント部に出力する命令の入力を受け付ける入力部をさらに備える。検知部は、命令の入力に基づいてタイミングを検知する。
【0016】
好ましくは、検知部は、サービスコンセント部に機器が接続されたことに基づいてタイミングを検知する。
【0017】
好ましくは、検知部は、サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて設定情報の要求を検出し、要求が検出されたことに基づいてタイミングを検知する。
【0018】
好ましくは、通信装置は、サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて、設定情報の登録が受信した信号の送信装置において完了したことを検知する完了検知部をさらに備える。フィルタ制御部は、完了が検知されたことに基づいて、フィルタ部の動作を終了させる。
【0019】
好ましくは、通信装置は、当該通信装置の外部と信号を通信するインターフェイス部をさらに備える。モデム部は、インターフェイス部から送られたデータの形式を電力線による伝送に対応する形式に変換し、電力線から送られた信号の形式をインターフェイス部を介した伝送に応じた形式に変換する。
【0020】
好ましくは、通信装置は、インターフェイス部に対するケーブルの接続を検知する接続検知部と、接続検知部による検知の結果に応じて、サービスコンセント部に対して設定情報を出力するかしないかを切り換える切換部とをさらに備える。
【0021】
好ましくは、通信装置は、電源プラグ部からサービスコンセント部に対する電力供給を制御する供給制御部をさらに備える。
【0022】
好ましくは、通信装置は、サービスコンセント部に接続される端末に対して、通信ネットワークと端末との関係を規定する端末設定データを要求する要求部と、端末から受信する端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備える。端末設定データが未設定または初期状態の場合には、動作制御部は、端末に対して設定情報を送信する。端末設定データの内容が設定情報の内容と異なる場合には、動作制御部は、サービスコンセント部に対する電力の供給を遮断する。端末設定データの内容と設定情報の内容とが同じである場合には、動作制御部は、通信装置の現在の状態を維持する。
【0023】
好ましくは、記憶部は、端末設定データに応じて動作制御部が実行する動作を規定するデータをさらに格納している。動作制御部は、規定するデータに従って動作を実行する。
【0024】
好ましくは、記憶部は、電力を供給するのみのモードと、電力の供給とともに設定情報の送出を可能とするモードとの間で、サービスコンセント部の動作モードを切り換えるための切換データをさらに格納している。通信装置は、切換データに基づいてサービスコンセント部に対する送電と送信とを切り換えるモード制御部をさらに備える。
【0025】
好ましくは、通信装置は、当該通信装置に入力される信号に基づいて、通信装置とのペアリングの要求を検出する要求検出部をさらに備える。検知部は、要求が検出されたことに基づいてタイミングを検知する。ペアリングが実行された後に、フィルタ制御部は、フィルタ部による動作を終了させる。
【0026】
好ましくは、設定情報は、通信ネットワークを特定するデータと、通信装置を特定するデータとを含む。
【0027】
この発明のある局面に従う通信端末は、電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、端末電源プラグ部によって受信される信号から、電力線を使用する通信ネットワークと通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、データを格納する記憶部と、設定情報を記憶部に書き込む登録部と、設定情報に基づいて、端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える。
【0028】
好ましくは、信号は、設定情報と、設定情報の登録の要求とを含む。取得部は、設定情報と要求とを検出する。登録部は、要求が検出されたことに基づいて、設定情報を登録部に書き込む。
【0029】
好ましくは、設定情報は、通信ネットワークを特定するデータと、通信端末を特定するデータとを含む。
【0030】
好ましくは、通信端末は、設定情報の送信要求の受信を検知する検知部と、送信要求の受信に応答して、送信要求の送信者に設定情報を送信する送信部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る通信システムによると、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築がコストの増加を抑制しつつ容易に実現可能となる。また、宅内のネットワークが柔軟に構築することができる。さらに、宅内における通信の秘密が保持可能となる。
【0032】
また、本発明に係る通信装置または通信端末によると、家庭内において電力線を使用する通信ネットワークの構築を容易に実現できる。また、本発明の他の局面に係る通信装置または通信端末によると、宅内のネットワークを柔軟に構築することができる。さらに、他の局面に従う通信装置または通信端末によると、宅内における通信の秘密が保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信システム10について説明する。図1は、通信システム10を構成する機能を表すブロック図である。通信システム10は、通信装置100と通信端末150とを備える。通信装置100と通信端末150とは、電力線190によって接続されている。
【0035】
通信装置100は、電源プラグ部110と、入力部112と、サービスコンセント部114と、検知部116と、フィルタ制御部118と、フィルタ部120と、記憶部122と、制御部123と、モデム部126とを備える。制御部123は、通信制御部124を含む。
【0036】
電源プラグ部110は、電力線190とフィルタ部120に接続されている。電源プラグ部110は、電力線190から電力の供給を受けるとともに信号を通過させる。
【0037】
入力部112は、通信装置100に対する操作の入力を受け付ける。入力部112は、たとえば通信装置100の筐体の前面に設けられたボタン、タッチパネルその他の操作手段として実現される。
【0038】
サービスコンセント部114は、検知部116とフィルタ部120とモデム部126とに接続される。また、サービスコンセント部114は、電源プラグ部110によって取得された電力を通信装置100の外部に供給する。サービスコンセント部114には、通常の電源コンセントに接続される機器が接続可能である。当該機器は、たとえば、テレビ、照明器具その他の電化製品、コンピュータその他の情報通信装置等を含む。さらに、ある局面においては、サービスコンセント部114は、信号を通過させる。
【0039】
記憶部122は、電力線190を用いた通信ネットワークと、通信装置100との関係を規定する設定情報を格納する。当該設定情報は、通信装置100の電力線190におけるアドレスと、通信ネットワークを識別するネットワークID(Identification)とを含む。
【0040】
制御部123は、記憶部122とモデム部126と検知部116とに接続される。詳細には、制御部123は、検知部116と記憶部122に接続されており、記憶部122から当該設定情報を読み出す。通信制御部124は、モデム部126に接続されており、当該設定情報に基き、電源プラグ部110あるいはサービスコンセント部114を介した通信を制御する。
【0041】
検知部116は、設定情報をサービスコンセント部114の外部に出力するタイミングを検知する。フィルタ制御部118は、検知部116によるタイミングの検知の結果に応じて、フィルタ部120によるフィルタリングを制御する。フィルタ部120は、電源プラグ部110に対して伝送される信号から、当該設定情報を除去する。
【0042】
ある局面において、入力部112は、設定情報をサービスコンセント部114の外部に出力するための命令の入力を受け付ける。検知部116は、当該命令の入力に応答して上記タイミングを検知する。検知部116がそのタイミングを検知したことに基づいて、フィルタ制御部118は、フィルタ部120によるフィルタリングの動作を有効化する。
【0043】
ある局面において、検知部116は、サービスコンセント部114に情報通信装置が接続されたことを検知し、その接続の検知に応答して上記タイミングを検知する。たとえば、情報通信装置の接続の前後における電流値あるいは電圧値が変化したタイミングが検知される。ここで、情報通信装置は、通信装置100が有する構成と同様の構成を有する電力線通信のための装置を含む。
【0044】
他の局面において、検知部116は、サービスコンセント部114を介して受信した信号に基づいて設定情報の要求を検出し、その要求が検出されたことに基づいて当該タイミングを検知する。この信号は、たとえば電力線通信のための装置によって発信される。
【0045】
他の局面において、検知部116は、サービスコンセント部114を介して受信した信号に基づいて、設定情報の登録が、サービスコンセント部114を介して受信した信号を送信した情報通信装置において完了したことを検知する。フィルタ制御部118は、その完了が検知されたことに基づいてフィルタ部120の動作を終了させる。
【0046】
モデム部126は、サービスコンセント部114と、フィルタ部120と、制御部123とに電気的に接続されている。モデム部126は、電源プラグ部110から制御部123に伝送される信号あるいは制御部123から電源プラグ部110に伝送される信号の変調および/または復調を行なう。
【0047】
図1を再び参照して、通信端末150は、端末電源プラグ部160と、モデム部162と、記憶部164と、制御部170とを備える。制御部170は、取得部172と、登録部174と、通信制御部176とを含む。
【0048】
端末電源プラグ部160は、電力線190に接続される。端末電源プラグ部160は、電力線190から電力の供給を受けるとともに、信号を通過させる。
【0049】
モデム部162は、端末電源プラグ部160と制御部170との間に配置される。モデム部162は、端末電源プラグ部160から制御部170に伝送される信号あるいは制御部170から端末電源プラグ部160に伝送される信号の変調および/または復調を行なう。
【0050】
記憶部164は、通信端末150の動作を規定するデータを格納する。当該データは、電力線190を使用する通信ネットワークに参加するためのデータ(たとえばネットワーク識別、アドレス、通信装置100の識別データなど)を含む。
【0051】
制御部170は、モデム部162から出力されるデータと記憶部164に格納されているデータとの少なくともいずれかに基づいて、通信端末150の動作を制御するように構成されている。より具体的には、制御部170において、取得部172は、端末電源プラグ部160によって受信される信号から、電力線190を使用する通信ネットワークと通信端末150との関係を規定する設定情報を取得する。登録部174は、その設定情報を記憶部164において確保したメモリ領域に書き込む。通信制御部176は、記憶部164に格納された設定情報と、通信端末150の動作を規定するために予め準備されたファームウェアその他のプログラムとを用いて、端末電源プラグ部160を介した信号の送受信を制御する。なお、他の局面においては、上述の通信装置100が、通信端末150として機能することもできる。
【0052】
また、さらに他の局面において、通信端末150は、外部から送られた要求に応答して、通信端末150が有する情報を送信してもよい。当該要求の一例は、上述の通信ネットワークに参加するためのデータを送信する要求である。この局面に従うと、当該要求は、送信者を特定する情報と共に、通信端末150に受信される。送信者を特定する情報は、たとえば、当該要求を送信した機器の識別番号である。この情報は、当該要求を含む信号のヘッダ部に含まれている。
【0053】
制御部170が当該要求の受信を検知すると、通信制御部176は、当該受信の検知に応答して、記憶部164に格納されているデータ(通信ネットワークに参加するためのデータ)を読み出し、その読み出したデータを、当該送信者に送信する。
【0054】
図2を参照して、通信装置100の具体的構成について説明する。図2は、通信装置100の一態様であるPLC(Power Line Communication)アダプタ200のハードウェア構成を表すブロック図である。PLCアダプタ200は、CPU(Central Processing Unit)210と、PLCモデム212と、アナログフロントエンド214と、トランス216と、プラグ218と、ローパスフィルタ220と、サービスコンセント222と、挿入検出部224と、AC−DC(Alternating Current−Direct Current)電源変換部226と、RAM(Random Access Memory)228と、フラッシュROM(Read Only Memory)230と、イーサネット(登録商標)コントローラ232と、RJ45コネクタ234と、LED(Light Emitting Diode)236と、スピーカ238と、操作パネル240とを備える。RJ45コネクタ234には、パソコン250その他の情報通信装置が接続可能である。サービスコンセント222には、PLCアダプタ260が有するプラグ262が装着可能である。
【0055】
CPU210は、PLCアダプタ200に与えられる命令と、PLCアダプタ200の内部に格納されているデータおよびプログラム等に基づいて、PLCアダプタ200の動作を制御する。具体的には、CPU210は、RAM228、フラッシュROM230に格納されているデータと、フラッシュROM230に格納されているプログラムとに基づいて命令を実行し、その命令に応じた通信の制御を行なう。
【0056】
PLCモデム212は、CPU210によって生成されたデータあるいはイーサネット(登録商標)コントローラ232を介して取得されたデータを電力線通信のための形式に変換し、変換後のデータをアナログフロントエンド214に出力する。また、PLCモデム212は、プラグ218を介して電力線から取得された信号から、準備されているデータを取り出し、その取得したデータをCPU210に伝送する。
【0057】
アナログフロントエンド214は、PLCモデム212から出力されるデジタルデータをアナログ信号に変換し、トランス216にそのアナログ信号を伝送する。逆に、アナログフロントエンド214は、トランス216から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換し、そのデジタルデータをPLCモデム212に送出する。
【0058】
トランス216は、アナログフロントエンド214からのアナログ信号を電力線上に重畳する。また、トランス216は、電力線上の信号を取り出し、その取り出した信号をアナログフロントエンド214に送信する。プラグ218は、PLCアダプタ200が設置される部屋の壁に設けられるコンセントに接続され、電力線190から電力の供給を受ける。
【0059】
ローパスフィルタ220は、信号を除去する。ローパスフィルタ220は、設定情報の送信が行なわれない間は、その動作は無効にされる。この切り換えは、たとえばCPU210からの命令に従って行なわれる。
【0060】
サービスコンセント222は、PLCアダプタ200によって電力の供給を受ける他の装置(たとえばPLCアダプタ260)のプラグ(たとえばプラグ262)の挿入を受け付ける。
【0061】
挿入検出部224は、サービスコンセント222に他のプラグが挿入されたことを検出する。挿入検出部224は、その検出が表す信号をCPU210に向けて送出する。
【0062】
AC−DC電源変換部226は、PLCアダプタ200に与えられた交流電源を直流電源に変換し、PLCアダプタ200を構成するハードウェアに供給する。
【0063】
RAM228は、CPU210によって生成されたデータを一時的に格納する。また、RAM228は、イーサネット(登録商標)コントローラ232によって外部から取得されたデータも格納する。
【0064】
フラッシュROM230は、PLCアダプタ200の製造者によって予め準備されたデータおよびプログラムを格納している。さらに、フラッシュROM230は、CPU210の書込動作によって、PLCアダプタ200の通信によって取得されたデータも格納する。
【0065】
イーサネット(登録商標)コントローラ232は、CPU210から出力される命令に従って、PLCアダプタ200と、RJ45コネクタ234に接続されるパソコン250との通信を制御する。イーサネット(登録商標)コントローラ232は、RAM228に格納されているデータの読み出し、RJ45コネクタ234にそのデータを送出する。また、PLCアダプタ200がパソコン250から送られたデータを受信すると、イーサネット(登録商標)コントローラ232は、RJ45コネクタ234から送られたデータをRAM228において確保した領域に書き込む。CPU210は、その書き込みの完了の割込信号に応答してRAM228を参照して、その書き込まれたデータを読み出す。
【0066】
RJ45コネクタ234は、パソコン250その他の情報通信装置に接続されるケーブルの装着を受け付ける。
【0067】
LED236は、CPU210から出力される発光命令に従って、予め規定された点灯動作あるいは点滅動作を実行する。たとえば、LED236は、PLCアダプタ200の動作状態(通常の通信、設定情報の通信、他の通信端末とのペアリング)を示す信号をそれぞれ発信する。PLCアダプタ200の使用者は、その点灯あるいは点滅の状態により、PLCアダプタ200の動作状態を認識することができる。
【0068】
スピーカ238は、CPU210から出力される信号に従って、PLCアダプタ200の動作を通知するために予め規定された音を出力する。たとえばPLCアダプタ200において異常が検出された場合、スピーカ238は、その異常を報知するブザー音を発する。
【0069】
操作パネル240は、PLCアダプタ200に対する設定の入力を受け付ける。たとえば、PLCアダプタ200による設定情報の送信を許可あるいは禁止するための設定は、操作パネル240に対する操作に従って実現される。また、使用者がローパスフィルタ220の動作を強制的に実行させたい場合には、操作パネル240に対する操作に従って、その動作が強制的に切り換えられる。この場合、CPU210から出力される命令は、無効化される。
【0070】
次に、図3を参照して、PLCアダプタ200のデータ構造について説明する。図3は、フラッシュROM230におけるデータの格納の一態様を概念的に表す図である。フラッシュROM230は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。
【0071】
電力線190を使用する通信ネットワークを実現するためのデータは、メモリ領域310〜340に格納されている。具体的には、PLCアダプタ200を識別するための通信装置IDは、メモリ領域310に格納されている。PLCアダプタ200が参加するネットワークを識別するネットワークIDは、メモリ領域320に格納されている。
【0072】
PLCアダプタ200が他の通信端末と暗号通信を行なう場合に使用される暗号鍵は、メモリ領域330に格納されている。暗号通信を行なうか否かを規定する設定データは、メモリ領域340に格納されている。なお、暗号通信の方式は、特に限定されない。また、電力線190を使用する通信の性質上、暗号化されたデータが伝送されるのが好ましいが、暗号通信は必ずしも行なわれなくてもよい。
【0073】
CPU210は、メモリ領域310〜340に格納されている各設定データを参照し、プラグ218に接続される電力線190を用いた通信を実現する。
【0074】
PLCアダプタ200の動作を制御するプログラムは、メモリ領域350〜370に格納されている。具体的には、PLCアダプタ200と他の通信端末との間で関連付け(ペアリング)を実行するためのペアリングプログラムは、メモリ領域350に格納されている。ペアリングプログラムは、配信プログラムを含む。配信プログラムが実行されると、メモリ領域310〜340に格納されている設定情報が、ペアリングの対象となる通信端末に対して送信される。ペアリングが完了した他の通信端末との間で通信を行なうための通信制御プログラムは、メモリ領域360に格納されている。PLCアダプタ200のハードウェアの動作を制御するファームウェアは、メモリ領域370に格納されている。
【0075】
CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられる操作あるいは命令に従って、メモリ領域350〜370に格納されているプログラムを実行し、特定の処理を実現する。
【0076】
次に、図4を参照して、PLCアダプタ200の制御構造について説明する。図4は、CPU210が実行する一例の動作を表すフローチャートである。
【0077】
ステップS410にて、PLCアダプタ200のCPU210は、PLCモデム212を介してプラグ218に接続されている電力線190から信号を受信する。ステップS412にて、CPU210は、PLCモデム212を介して電力線190に向けて信号を送信する。
【0078】
ステップS414にて、CPU210は、挿入検出部224からの信号に基づいて、サービスコンセント222に他の情報通信装置が接続されたか否かを判定する。具体的には、たとえば、挿入検出部224は、サービスコンセント222に供給される電流値の変化を検出する。CPU210は、その変化の検出の結果に基づいて、サービスコンセント222に対するプラグの挿入の有無を判定する。CPU210は、サービスコンセント22に他のプラグが挿入されたと判定すると(ステップS414にてYES)、処理をステップS418に切り換える。そうでない場合には(ステップS414にてNO)、CPU210は、制御をステップS410に戻す。
【0079】
ステップS418にて、CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられるペアリング要求コマンドの受信を待機する。ステップS420にて、CPU210は、PLCアダプタ200に対して与えられた信号に基づいてペアリング要求が存在するか否かを判定する。CPU210は、ペアリング要求が存在すると判定すると(ステップS420にてYES)、制御をステップS430に切り換える。そうでない場合には(ステップS420にてNO)、CPU210は、制御をステップS410に切り換える。
【0080】
ステップS430にて、CPU210は、ペアリング処理を実行する。より具体的には、ステップS431にて、CPU210は、ローパスフィルタ220に接続されているリレー(図示しない)を切り換えて、ローパスフィルタ220の動作を有効化する。ステップS432にて、CPU210は、フラッシュROM230を参照して、メモリ領域310〜340に格納されている設定情報を読み出し、その情報を出力する。この場合、ローパスフィルタ220は作動しているため、この設定情報を有する信号は、フィルタリング動作により、プラグ218からPLCアダプタ200の外部には供給されない。この設定情報を受信した通信端末は、それが有するメモリに格納することにより、PLCアダプタ200との間で通信ネットワークを構成することができる。
【0081】
ステップS434にて、CPU210は、その通信端末から設定情報の登録の完了通知の受信を待機する。具体的には、CPU210は、サービスコンセント222から送られる信号の中に当該通知を表す信号が含まれているか否かを判定する。
【0082】
ステップS436にて、CPU210は、完了通知を受信したか否かを判定する。CPU210は完了通知を受信したと判定すると(ステップS436にてYES)、制御をステップS438に切り換える。そうでない場合には(ステップS436にてNO)、CPU210は、制御をステップS440に切り換える。
【0083】
ステップS438にて、CPU210は、LED236に命令を与えることにより、LED236に点滅動作を実行させる。あるいは、CPU210は、スピーカ238に対して音声信号を送出する。スピーカ238は、その信号に応じて音を発する。PLCアダプタ200の使用者は、他の通信端末(たとえばPLCアダプタ260)における設定情報の登録が完了したことを知ることができる。
【0084】
ステップS440にて、CPU210は、ステップS438において送信された信号とは異なる信号をLED236あるいはスピーカ238に送出する。LED236は、その信号に従って点滅するため、あるいは、スピーカ238は、その信号に従って音を発するため、当該使用者は、PLCアダプタ260における設定情報の登録が完了していないことを認識することができる。
【0085】
ステップS450にて、CPU210は、上記リレーを切り換えることによりローパスフィルタ220を無効化する。その結果、CPU210が出力したデータはすべて、プラグ218を介して電力線190に送信され得る。
【0086】
以上のようにして、本実施の形態に係る通信システム10によると、設定情報の送信タイミングに合わせて、フィルタ部120の動作が制御され、電力線190を使用する通信ネットワークを構成するための設定情報の電力線190への送信の可否を切り換えられる。
【0087】
具体的には、通信システム10を構成するPLCアダプタ200において、他の情報通信装置の一態様であるPLCアダプタ260等がサービスコンセント222に接続されると、ローパスフィルタ220は、フィルタリング動作を実行する。設定情報は、ローパスフィルタ220によって遮断される。したがって、当該設定情報は、プラグ218を介して電力線190に流出しなくなる。
【0088】
その間、PLCアダプタ200は、他のPLCアダプタ260と通信することにより、ペアリング処理を実行する。PLCアダプタ260は、PLCアダプタ200のサービスコンセント222から電力の供給を受けるとともに、当該設定情報を受信し、その設定情報をメモリに格納する。その結果、PLCアダプタ260は、PLCアダプタ200が構成する通信ネットワークの構成メンバーとして、そのネットワーク、すなわち電力線190を使用する通信ネットワークに新たに参加できる。
【0089】
PLCアダプタ260の使用者は、PLCアダプタ200とPLCアダプタ260とのペアリングを、既に設定情報を有するPLC200が設置されている場所において実行できる。当該使用者は、ペアリングを実行した後、PLCアダプタ260を、使用が予定される他の部屋に移し、その部屋の壁に設けられているコンセントに接続する。これにより、電力線190を介したPLCアダプタ200とPLCアダプタ260とは、同一の通信ネットワーク内において通信することができる。また、既存のコンセントが使用可能であるため、部屋の壁に対する新たな工事が不要となる。
【0090】
このようにすると、既存のPLCアダプタ200に新たなPLCアダプタを容易に追加する事ができる。また、ペアリング処理が実行される間は、設定情報が電力線190に流出しなくなるため、他の装置に設定情報が受信されることが防止される。これにより、コストの増加と設定情報の漏洩を防ぎつつ、電力線を使用する通信ネットワークを構成する情報通信装置の増設が容易に実現され得る。
【0091】
なお、他の局面において、通信装置100は、他の通信端末と通信するためのインターフェイス部を有していてもよい。この場合、インターフェイス部が、当該通信端末から送られた情報を受信すると、その信号は、モデム部126に送られる。モデム部126は、その信号の形式を電力線190による伝送に対応する形式に変換する。逆に、モデム部126は、電力線190から送られた信号の形式を、当該通信端末に対する送信に対応する形式に変換する。
【0092】
また、この場合、検知部116は、当該インターフェイス部に対する通信ケーブル(たとえば、LANケーブル)の接続を検知してもよい。この場合、制御部123は、その検知の結果に応じて、サービスコンセント部114に対して当該設定情報を出力するか否かを切り換える。たとえば、通信ケーブルがインターフェイス部に接続されたことが検知されると、制御部123は、サービスコンセント部114に対して当該設定情報を出力する。
【0093】
<変形例>
図5を参照して、本実施の形態の変形例に係る通信システム50について説明する。図5は、通信システム50の構成を表わすブロック図である。通信システム50は、通信装置500と通信端末150とを備える。通信装置500と通信端末150とは、電力線190によって接続可能である。通信端末150は、通信装置500から電力の供給を受けることができる。
【0094】
本変形例に係る通信装置500は、サービスコンセント114を介して受信した信号からペアリング要求を検出したことに基づいてフィルタ動作を切り換える。すなわち、図5を参照して、通信装置500は、通信装置100の構成に対して入力部112と検知部116とを有さない。通信装置500は、ペアリング要求検出部510をさらに備える。ペアリング要求検出部510は、電源プラグ部110およびサービスコンセント部114からの出力に基づいて作動するように構成されている。フィルタ制御部118は、ペアリング要求検出部510からの出力に基づいて作動するように構成される。
【0095】
ペアリング要求検出部510は、電源プラグ部110から送られる信号あるいはサービスコンセント部114から送られる信号から、通信装置500とのペアリングの要求を検出する。ペアリング要求検出部510による検出の結果は、フィルタ制御部118に入力される。フィルタ制御部118は、ペアリング要求が検出されたことを表す信号の入力に基づいて、フィルタ部120によるフィルタリングを有効化する。
【0096】
より具体的には、フィルタ制御部118は、サービスコンセント部114からの信号がペアリング要求を含んでいる場合にのみ、フィルタ部120によるフィルタリング動作を有効化する。その結果、記憶部122に格納されている設定情報は、サービスコンセント部114を介して通信装置500の外部に送信され得るが、電源プラグ部110から電力線190に対しては送信されなくなる。
【0097】
次に、図6を参照して、本変形例に係る通信端末150のデータ構造について説明する。図6は、記憶部164に格納されているデータの一態様を表す図である。記憶部164は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。通信装置(たとえば通信装置500)との間でペアリングを行なうことを要求するプログラムは、メモリ領域610に格納されている。このプログラムは、接続された通信装置に対して、ペアリングの要求を表わす信号を送信し、その通信装置から受信する情報から、その通信装置と通信ネットワークを構成するためのデータを取得する。
【0098】
通信端末150による通信処理を実行するためのプログラムは、メモリ領域620に格納されている。通信端末150を構成するハードウェアの動作を制御するファームウェアは、メモリ領域630に格納されている。通信制御部176が上記の通信制御プログラムを実行すると、通信端末150は、電力線190に接続された後は、通信装置500と通信することができる。
【0099】
通信端末150を識別するためのID(端末ID)は、メモリ領域640に格納されている。この端末IDは、たとえば、通信端末150の製造時にメモリに書き込まれ、製品として出荷されている時には既に設定されている。
【0100】
電力線190を用いた通信のための設定情報は、メモリ領域650〜670に格納される。通信端末150がペアリングをまだ実行していない場合には、設定情報は記憶部164に存在しない。したがってこの時点では、メモリ領域650〜670は、特定のデータが存在しないことを表すコード「NULL」がそれぞれ格納される。あるいは、記憶部164が初期値を持つように実装してもよい。
【0101】
一方、後述するように、通信端末150が通信装置500との間でペアリングを実行することにより設定情報を取得すると、取得されたデータは、メモリ領域650〜670にそれぞれ格納される。具体的には、通信システム50が構成するネットワークの識別データは、メモリ領域650に格納される。通信端末150と通信装置500とが暗号通信を行なう場合には、暗号鍵はメモリ領域660に格納される。通信端末150がペアリングを実行した日時を表すデータは、メモリ領域670に格納される。
【0102】
図7を参照して、本変形例に係る通信端末150を実現する通信制御部176について説明する。図7は、通信制御部176によって実現される機能を表すブロック図である。通信制御部176は、ペアリング要求生成部710と、確認メッセージ認識部720と、回答生成部730と、符号化部740と、送信制御部750とを備える。ある局面において、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェアとが協働することにより実現される。すなわち、各機能に応じた処理を実行するように構成されたプログラムがCPUその他のプロセッサによって実行されると、これらの機能は実現される。なお、他の局面において、当該通信端末は、各機能に応じた処理を実行する回路の組み合わせのように、ハードウェアによって実現されてもよい。
【0103】
ペアリング要求生成部710は、操作部166に対して与えられた操作に基づいて、通信端末150と通信装置500との間でのペアリング要求を生成する。たとえば、操作部166は、操作を検知すると、その操作に応じた信号を制御部170に送出する。制御部170は、その信号がペアリング要求に対応するか否かを確認する。制御部170は、その信号がペアリング要求に対応することを確認すると、通信制御部176として、ペアリング要求を生成する。
【0104】
確認メッセージ認識部720は、後述するように、通信装置500から送信されたペアリング要求の送信者であるか否かを問うメッセージを検出する。
【0105】
回答生成部730は、確認メッセージ認識部720に対する回答信号を生成する。符号化部740は、ペアリング要求生成部710によって生成されたペアリング要求、あるいは回答生成部730によって生成された回答信号を符号化する。送信制御部750は、その符号化によって生成されたパケットをモデム部162に送出し、当該パケットを通信端末150の外部に送信する。
【0106】
そこで、図8を参照して、通信端末150から送信されるパケットについて説明する。図8は、ペアリング要求を表すパケット800の構成を概念的に表す図である。パケット800は、ヘッダ部810と、ユーザデータ部820と、FCS(Frame Check Sequence)830とを含む。ヘッダ810は、送信元を示す情報と宛先を示す情報とを含む。送信元を示す情報は、たとえば通信端末150の端末ID(メモリ領域640)である。宛先を示す情報は、たとえば、装置は特定されていないことを表わす情報(たとえば、ブロードキャスト送信を表わす情報)である。
【0107】
ユーザデータ部820は、パケット800の具体的内容を表す制御コードを含む。制御コードは、たとえば「ペアリング要求」を表すコードとして予め規定されたものである。FCS830は、パケット800の送信誤りの検出および訂正するためのデータを含む。
【0108】
次に、図9を参照して、本変形例に係る通信端末150の制御構造について説明する。図9は、制御部170が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0109】
ステップS910にて、制御部170は、操作部166からの信号に基づいて、ペアリングを開始する操作の入力が行なわれたことを検知する。ステップS920にて、制御部170は、通信制御部176としてペアリング要求を生成する。ステップS930にて、制御部170は、生成したペアリング要求を端末電源プラグ部160を介して通信端末150の外部に出力する。
【0110】
ステップS940にて、制御部170は、確認メッセージ認識部720として、ペアリング要求を確認するためのメッセージを受信したことを検知する。制御部170は、その検知に応答して記憶部164を参照し、ペアリング要求を送信したことを表すフラグを確認し、通信端末150がペアリング要求の送信者であるか否かを判定する。制御部170は、ペアリング要求の送信履歴が記憶部164に格納されていることを確認すると、通信端末150がペアリング要求の送信者であることを認識する。
【0111】
ステップS950にて、通信制御部176は、回答生成部730として、当該メッセージに対する応答を生成し、送信制御部750として、その信号を通信端末150の外部に出力する。この応答は、端末電源プラグ部160から出力され、通信端末150のプラグが接続されている通信装置500のサービスコンセント部114によって受信される。通信装置500は、その応答に基づいて通信端末150がペアリング要求の送信者であることを認識し、記憶部122に格納されている設定情報を読み出して、サービスコンセント部114からその設定情報を送信する。
【0112】
ステップS960にて、制御部170は、取得部172として設定情報の受信を検知する。ステップS970にて、登録部174は、その取得された設定情報を記憶部164において確保したメモリ領域(メモリ領域650〜670)に格納する。これにより、通信端末150と通信装置500との間のペアリングが完了する。
【0113】
次に、図10を参照して、通信装置500の具体的構成について説明する。図10は、通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000のハードウェア構成を表すブロック図である。PLCアダプタ1000は、図2に示されるPLCアダプタ200の構成に対して、挿入検出部224とCPU210とを有さない。PLCアダプタ1000は、CPU1010を備える。CPU1010は、後述するように、外部から与えられた信号からペアリング要求を検出する機能と、その要求に対する確認メッセージを送信する機能とを有する。
【0114】
そこで、図11を参照して、PLCアダプタ1000を実現するCPU1010について説明する。図11は、CPU1010によって実現される機能の構成を表すブロック図である。CPU1010は、検出部1110と、応答確認部1120と、ペアリング部1130と、フィルタ有効化部1140と、メッセージ送信制御部1150と、フィルタ無効化部1160とを備える。これらの機能は、CPU1010が、当該機能に応じた処理を実行するように構成されたプログラムを実行することにより実現される。
【0115】
検出部1110は、PLCアダプタ1000に入力された信号からPLCアダプタ1000とのペアリングの要求を検出する。より具体的には、検出部1110は、プラグ218あるいはサービスコンセント222から入力された信号からペアリング要求を検出する。応答確認部1120は、サービスコンセント222を介して受信した信号から、ペアリング要求の問い合せに対する回答信号を受信する。応答確認部1120は、その確認の結果をペアリング部1130に送出する。
【0116】
ペアリング部1130は、応答確認部1120による確認の結果に基づいてペアリング要求を送信した装置(たとえば通信端末150)とPLCアダプタ1000との間のペアリングを実行する。具体的には、ペアリング部1130は、フラッシュROM230に格納されている設定情報を読み出し、その情報をサービスコンセント222に対して送信する。当該装置は、その情報の入力をメモリに格納する。
【0117】
フィルタ有効化部1140は、検出部1110によってペアリング要求が検出されたことに基づいて、ローパスフィルタ220によるフィルタ動作を有効にする。具体的には、CPU1010は、ローパスフィルタ220のリレーに信号を送信し、フィルタリング動作を実行させる。
【0118】
メッセージ送信制御部1150は、フィルタ有効化部1140によるフィルタリングの設定が完了したことに基づいて、ペアリング要求の送信元を問い合せるメッセージを生成し、そのメッセージをPLCモデム212に向けて送出する。このメッセージは、たとえばローパスフィルタ220によって除去される形式であるため、プラグ218から電力線190に送信されない。
【0119】
フィルタ無効化部1160は、ペアリング要求の確認メッセージに対する回答信号を受信しなかった場合あるいは回答信号を受信してもその信号の内容が適合しないものである場合に、停止命令をローパスフィルタ220に与えることにより、フィルタリングを終了させる。この場合、ペアリングが行なわれないため、設定情報はPLCアダプタ1000の外部に送信されない。一方、ペアリング部1130によるペアリングが成功した場合に、フィルタ無効化部1160は、設定情報を送信する必要がないと判定し、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを終了させる。
【0120】
図12を参照して、CPU1010によって生成される確認メッセージ1200について説明する。図12は、確認メッセージ1200の構成を概念的に表す図である。確認メッセージ1200は、ヘッダ部1210と、ユーザデータ部1220と、FCS1230とを含む。ヘッダ部1210は、宛先アドレスと送信元アドレスとを含む。宛先アドレスは、確認メッセージ1200が特定の端末に向けられているものでないことを表すデータ(たとえばブロードキャスト送信あるいはマルチキャスト送信であることを表すデータ)を含む。送信元アドレスは、たとえば、PLCアダプタ1000の識別IDあるいは通信システム50におけるアドレスである。
【0121】
ユーザデータ部1220は、確認メッセージ1200の種類を表すコードと、具体的な内容とを含む。たとえば、ユーザデータ部1220は、確認メッセージ1200がペアリング要求を確認するためのメッセージであることを表すコードを送信する。このコードは、PLCアダプタ1000を使用する通信システムにおいて予め規定されたものである。ユーザデータ部1220は、さらに、具体的な内容として、CPU1010が受信を検知したペアリング要求の送信者を問い合せていることを表すデータを含む。FCS1230は、図8に示されるFCS830と同様の機能を有する。
【0122】
図13を参照して、PLCアダプタ1000の制御構造について説明する。図13は、CPU1010が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【0123】
ステップS1310にて、CPU1010は、検出部1110として、PLCモデム212から送られた信号からペアリング要求を検出する。ステップS1320にて、CPU1010は、フィルタ有効化部1140として、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを有効に設定する。
【0124】
ステップS1330にて、CPU1010は、メッセージ送信制御部1150として、当該ペアリング要求の送信者を確認する確認メッセージ1200をサービスコンセント222に送信する。サービスコンセント222にプラグが接続されている通信端末150(具体的にはPLCアダプタ260)は、確認メッセージ1200を受信する。
【0125】
ステップS1340にて、CPU1010は、確認メッセージ1200に対する応答を受信したか否かを判定する。CPU1010は、その応答を受信したと判定すると(ステップS1340にてYES)、制御をステップS1350に切り換える。そうでない場合には(ステップS1340にてNO)、CPU1010は、制御をステップS1360に切り換える。なお、判定の基準は上記のものに限られない。他の局面において、ステップS1340にて、CPU1010は、応答を受信してもその内容が予め定められた規定に適合するか否かを判定してもよい。この場合、応答の内容が当該規定に適合する場合に(ステップS1340にてYES)、CPU1010は、制御をステップS1350に切り換える。そうでない場合には(ステップS1340にてNO)、CPU1010は、制御をステップS1360に切り換える。
【0126】
ステップS1350にて、CPU1010は、ペアリング処理を実行する。ステップS1360にて、CPU1010は、フィルタ無効化部1160として、ローパスフィルタ220によるフィルタリングを無効に設定する。
【0127】
以上のようにして、本変形例に係る通信システム50によると、通信装置500は、新たにネットワークを構成しようとする通信端末150から送られたペアリング要求に応じて、設定情報の送信の可否を制御するフィルタリング動作を制御する。
【0128】
具体的には、通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000は、サービスコンセント222に接続されたPLCアダプタ260から送られたペアリング要求を検出すると、ローパスフィルタ220の動作を有効化する。ローパスフィルタ220がフィルタリング動作を開始すると、PLCアダプタ1000が保持している設定情報は、プラグ218を介してPLCアダプタ1000の外部に流出しなくなる。
【0129】
一方、PLCアダプタ1000は、サービスコンセント222を介して当該設定情報を送信することにより、ペアリング要求を送信したPLCアダプタ260との間のペアリングを実行する。
【0130】
これにより、電力線190を使用する通信ネットワークにおいて、設定情報の漏洩を防止しつつPLCアダプタ260を当該通信ネットワークに対して容易に追加することができる。
【0131】
他の局面において、通信装置500は、サービスコンセント部114に接続される通信端末150の端末設定データに応じて動作を切り換えてもよい。切り換えの対象となる動作は、たとえば、通信端末150にペアリングのための設定を新たに行なうことと、サービスコンセント部114の電源を遮断することと、通信端末150に対して特に何もしないこととを含む。この切り換えは、たとえば、記憶部122に格納される制御データに基づいて実現される。この場合、制御データは、比較の結果を表わすデータと、その結果に応じて実行される処理(設定情報の送信など)を表わすデータとが関連付けられたものである。制御部123は、比較の結果に照らして制御データを参照し、その比較の結果によって特定される処理を実行する。
【0132】
このような切り換えを実現するために、他の局面に従う通信装置500は、通信端末150に端末設定データを要求する要求部と、当該端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備える。ここで、端末設定データは、通信ネットワークと通信端末150との関係を規定する。
【0133】
この場合、通信端末150において、端末設定データの設定のパターンとしては、たとえば、以下の2パターンが考えられる。第1のパターンは、初期値が設定されている状態である。この場合、特定の通信ネットワークに参加するためのデータが通信端末150の記憶部164に設定されていない。第2のパターンは、何らかの端末設定データが記憶部164に格納されている状態である。このとき、通信端末150は、何らかの通信ネットワークに参加して通信することが可能である。
【0134】
通信装置500は、通信端末150から端末設定データを受信すると、自己が有する設定情報と、その受信した端末設定データとを比較する。比較の結果は、たとえば、以下の3つの場合を含む。通信装置500は、その比較の結果に基づいて、予め規定された動作を実行する。
【0135】
第1に、端末設定データが初期値である場合(上記の第1のパターンに対応)、通信装置500は、通信端末150が通信ネットワークに参加するための設定を有さないことを検知する。この場合、通信装置500は、通信端末150に対して、通信ネットワークに新たに参加するための設定を実現することができる。たとえば、通信装置500は、設定情報を通信端末150に送信する。通信端末150は、その設定情報を端末設定データとして記憶部164に格納する。これにより、通信端末150は、通信装置500が参加している通信ネットワークに参加することが可能となる。
【0136】
第2および第3の場合は、端末設定データの状態が上記の「第2のパターン」であるときに実現される。
【0137】
すなわち、第2の場合として、端末設定データの内容と設定情報の内容とが一致しない時、通信装置500は、通信端末150が参加できる通信ネットワークと通信装置500が参加できる通信ネットワークとが異なることを検知する。この場合、通信装置500は、通信端末150に対して、自己が有する設定情報を送信し得る。通信端末150が設定情報を受信すると、端末設定データの内容は、設定情報の内容に変更される。したがって、通信端末150は、通信装置500が参加できる通信ネットワークに参加可能となる。あるいは、通信装置500は、通信端末150に対して、設定情報を送信しなくてもよい。この場合、端末設定データの内容が変更されないため、通信端末150が参加できる通信ネットワークは変更されない。また、このとき、通信装置500は、通信ネットワークが異なる端末が接続されたことを検知して、電力の供給を遮断するようにしてもよい。
【0138】
また、第3の場合として、端末設定データの内容と設定情報の内容とが一致する時、通信装置500は、通信端末150に対して、設定情報を送信しない。通信端末150が参加できる通信ネットワークは、通信装置500が参加できる通信ネットワークと同じであるため、通信装置500と通信端末150とは、その通信ネットワークを介して通信することができる。
【0139】
また、さらに他の局面において、通信装置500は、サービスコンセント部114の使用態様を、電力の供給用のみとしての使用と、電力の供給に加えて設定情報を送信するための使用との間で、切り換える設定を有していてもよい。たとえば、この局面に従う通信装置500において、記憶部122は、いずれかの使用態様を特定するデータを保持する。制御部123は、そのデータを参照して、サービスコンセント部114を介した電力の供給のみの使用と、電力供給に加えて設定情報の送信との使用を切り換えることができる。
【0140】
なお、上記の実施の形態および変形例では、PLCアダプタ200,260,1000の動作は、プロセッサの一態様としてのCPUが各処理を実現するプログラムを実行する態様として、すなわち、ソフトウェアとハードウェアとの協働による動作として説明されているが、他の態様によって実現されてもよい。たとえば、当該動作は、各処理を実現する回路素子の組み合わせとして、ハードウェアの動作として実現されてもよい。
【0141】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、電力線を通信回線として使用する通信ネットワークの構築に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システム10を構成する機能を表すブロック図である。
【図2】通信装置100の一態様であるPLCアダプタ200のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図3】PLCアダプタ200のフラッシュROM230におけるデータの格納の一態様を概念的に表す図である。
【図4】PLCアダプタ200のCPU210が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の変形例に係る通信システム50の構成を表わすブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例に係る通信端末150の記憶部164におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図7】通信端末150を実現する通信制御部176によって実現される機能を表すブロック図である。
【図8】通信端末150から送信されるパケット800の構成を概念的に表す図である。
【図9】通信端末150の制御部170が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図10】通信装置500の一態様であるPLCアダプタ1000のハードウェア構成を表すブロック図である。
【図11】PLCアダプタ1000を実現するCPU1010によって実現される機能の構成を表すブロック図である。
【図12】CPU1010によって生成される確認メッセージ1200の構成を概念的に表す図である。
【図13】PLCアダプタ1000のCPU1010が実行する一連の動作の一部を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0144】
10,50 通信システム、190 電力線、218,262 プラグ、800 パケット、1200 確認メッセージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と通信端末とを備え、
前記通信装置は、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、
信号の変調と復調とを行うモデム部と、
前記電力線を介した通信ネットワークと前記通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、
前記設定情報に基づいて、前記電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、
前記通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、
前記電源プラグ部に対して伝送される信号から前記設定情報を除去するフィルタ部と、
前記設定情報を前記サービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、
前記タイミングの検知の結果に応じて前記フィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備え、
前記通信端末は、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、
前記端末電源プラグ部によって受信される信号から、前記電力線を使用する通信ネットワークと前記通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、
データを格納する記憶部と、
前記設定情報を前記通信端末の前記記憶部に書き込む登録部と、
前記設定情報に基づいて、前記端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える、通信システム。
【請求項2】
通信装置であって、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、
信号の変調と復調とを行うモデム部と、
前記電力線を介した通信ネットワークと前記通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、
前記設定情報に基づいて、前記電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、
前記通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、
前記電源プラグ部に対して伝送される信号から前記設定情報を除去するフィルタ部と、
前記設定情報を前記サービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、
前記タイミングの検知の結果に応じて前記フィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える、通信装置。
【請求項3】
前記設定情報を前記サービスコンセント部に出力する命令の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記検知部は、前記命令の入力に基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記サービスコンセント部に機器が接続されたことに基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて前記設定情報の要求を検出し、前記要求が検出されたことに基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて、前記設定情報の登録が前記受信した信号の送信装置において完了したことを検知する完了検知部をさらに備え、
前記フィルタ制御部は、前記完了が検知されたことに基づいて、前記フィルタ部の動作を終了させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置の外部と信号を通信するインターフェイス部をさらに備え、
前記モデム部は、前記インターフェイス部から送られたデータの形式を前記電力線による伝送に対応する形式に変換し、前記電力線から送られた信号の形式を前記インターフェイス部を介した伝送に応じた形式に変換する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記インターフェイス部に対するケーブルの接続を検知する接続検知部と、
前記接続検知部による検知の結果に応じて、前記サービスコンセント部に対して前記設定情報を出力するかしないかを切り換える切換部とをさらに備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記電源プラグ部から前記サービスコンセント部に対する電力供給を制御する供給制御部をさらに備える、請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記サービスコンセント部に接続される端末に対して、前記通信ネットワークと前記端末との関係を規定する端末設定データを要求する要求部と、
前記端末から受信する前記端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備え、
前記端末設定データが未設定または初期状態の場合には、前記動作制御部は、前記端末に対して前記設定情報を送信し、
前記端末設定データの内容が前記設定情報の内容と異なる場合には、前記動作制御部は、前記サービスコンセント部に対する電力の供給を遮断し、
前記端末設定データの内容と前記設定情報の内容とが同じである場合には、前記動作制御部は、前記通信装置の現在の状態を維持する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記端末設定データに応じて前記動作制御部が実行する動作を規定するデータをさらに格納しており、
前記動作制御部は、前記規定するデータに従って前記動作を実行する、請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記記憶部は、電力を供給するのみのモードと、電力の供給とともに前記設定情報の送出を可能とするモードとの間で、前記サービスコンセント部の動作モードを切り換えるための切換データをさらに格納しており、
前記通信装置は、前記切換データに基づいて前記サービスコンセント部に対する送電と送信とを切り換えるモード制御部をさらに備える、請求項2に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置に入力される信号に基づいて、前記通信装置とのペアリングの要求を検出する要求検出部をさらに備え、
前記検知部は、前記要求が検出されたことに基づいて前記タイミングを検知し、
前記ペアリングが実行された後に、前記フィルタ制御部は、前記フィルタ部による動作を終了させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項14】
前記設定情報は、前記通信ネットワークを特定するデータと、前記通信装置を特定するデータとを含む、請求項2に記載の通信装置。
【請求項15】
通信端末であって、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、
前記端末電源プラグ部によって受信される信号から、前記電力線を使用する通信ネットワークと前記通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、
データを格納する記憶部と、
前記設定情報を前記記憶部に書き込む登録部と、
前記設定情報に基づいて、前記端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える、通信端末。
【請求項16】
前記信号は、前記設定情報と、前記設定情報の登録の要求とを含み、
前記取得部は、前記設定情報と前記要求とを検出し、
前記登録部は、前記要求が検出されたことに基づいて、前記設定情報を前記登録部に書き込む、請求項15に記載の通信端末。
【請求項17】
前記設定情報は、前記通信ネットワークを特定するデータと、前記通信端末を特定するデータとを含む、請求項15に記載の通信端末。
【請求項18】
前記設定情報の送信要求の受信を検知する検知部と、
前記送信要求の受信に応答して、前記送信要求の送信者に前記設定情報を送信する送信部とをさらに備える、請求項15に記載の通信端末。
【請求項1】
通信装置と通信端末とを備え、
前記通信装置は、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、
信号の変調と復調とを行うモデム部と、
前記電力線を介した通信ネットワークと前記通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、
前記設定情報に基づいて、前記電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、
前記通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、
前記電源プラグ部に対して伝送される信号から前記設定情報を除去するフィルタ部と、
前記設定情報を前記サービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、
前記タイミングの検知の結果に応じて前記フィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備え、
前記通信端末は、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、
前記端末電源プラグ部によって受信される信号から、前記電力線を使用する通信ネットワークと前記通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、
データを格納する記憶部と、
前記設定情報を前記通信端末の前記記憶部に書き込む登録部と、
前記設定情報に基づいて、前記端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える、通信システム。
【請求項2】
通信装置であって、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号が伝送される電源プラグ部と、
信号の変調と復調とを行うモデム部と、
前記電力線を介した通信ネットワークと前記通信装置との関係を規定する設定情報を格納する記憶部と、
前記設定情報に基づいて、前記電源プラグ部を介した通信を制御する通信制御部と、
前記通信装置の外部に電力を供給するとともに信号が伝送されるサービスコンセント部と、
前記電源プラグ部に対して伝送される信号から前記設定情報を除去するフィルタ部と、
前記設定情報を前記サービスコンセント部の外部に出力するタイミングを検知する検知部と、
前記タイミングの検知の結果に応じて前記フィルタ部を作動させるフィルタ制御部とを備える、通信装置。
【請求項3】
前記設定情報を前記サービスコンセント部に出力する命令の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記検知部は、前記命令の入力に基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記サービスコンセント部に機器が接続されたことに基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて前記設定情報の要求を検出し、前記要求が検出されたことに基づいて前記タイミングを検知する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記サービスコンセント部を介して受信した信号に基づいて、前記設定情報の登録が前記受信した信号の送信装置において完了したことを検知する完了検知部をさらに備え、
前記フィルタ制御部は、前記完了が検知されたことに基づいて、前記フィルタ部の動作を終了させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置の外部と信号を通信するインターフェイス部をさらに備え、
前記モデム部は、前記インターフェイス部から送られたデータの形式を前記電力線による伝送に対応する形式に変換し、前記電力線から送られた信号の形式を前記インターフェイス部を介した伝送に応じた形式に変換する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記インターフェイス部に対するケーブルの接続を検知する接続検知部と、
前記接続検知部による検知の結果に応じて、前記サービスコンセント部に対して前記設定情報を出力するかしないかを切り換える切換部とをさらに備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記電源プラグ部から前記サービスコンセント部に対する電力供給を制御する供給制御部をさらに備える、請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記サービスコンセント部に接続される端末に対して、前記通信ネットワークと前記端末との関係を規定する端末設定データを要求する要求部と、
前記端末から受信する前記端末設定データに応じた動作を制御する動作制御部とをさらに備え、
前記端末設定データが未設定または初期状態の場合には、前記動作制御部は、前記端末に対して前記設定情報を送信し、
前記端末設定データの内容が前記設定情報の内容と異なる場合には、前記動作制御部は、前記サービスコンセント部に対する電力の供給を遮断し、
前記端末設定データの内容と前記設定情報の内容とが同じである場合には、前記動作制御部は、前記通信装置の現在の状態を維持する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記端末設定データに応じて前記動作制御部が実行する動作を規定するデータをさらに格納しており、
前記動作制御部は、前記規定するデータに従って前記動作を実行する、請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記記憶部は、電力を供給するのみのモードと、電力の供給とともに前記設定情報の送出を可能とするモードとの間で、前記サービスコンセント部の動作モードを切り換えるための切換データをさらに格納しており、
前記通信装置は、前記切換データに基づいて前記サービスコンセント部に対する送電と送信とを切り換えるモード制御部をさらに備える、請求項2に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置に入力される信号に基づいて、前記通信装置とのペアリングの要求を検出する要求検出部をさらに備え、
前記検知部は、前記要求が検出されたことに基づいて前記タイミングを検知し、
前記ペアリングが実行された後に、前記フィルタ制御部は、前記フィルタ部による動作を終了させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項14】
前記設定情報は、前記通信ネットワークを特定するデータと、前記通信装置を特定するデータとを含む、請求項2に記載の通信装置。
【請求項15】
通信端末であって、
電力線から電力の供給を受けるとともに信号の送受信を行なう端末電源プラグ部と、
前記端末電源プラグ部によって受信される信号から、前記電力線を使用する通信ネットワークと前記通信端末との関係を規定する設定情報を取得する取得部と、
データを格納する記憶部と、
前記設定情報を前記記憶部に書き込む登録部と、
前記設定情報に基づいて、前記端末電源プラグ部を介した信号の送受信を制御する通信制御部とを備える、通信端末。
【請求項16】
前記信号は、前記設定情報と、前記設定情報の登録の要求とを含み、
前記取得部は、前記設定情報と前記要求とを検出し、
前記登録部は、前記要求が検出されたことに基づいて、前記設定情報を前記登録部に書き込む、請求項15に記載の通信端末。
【請求項17】
前記設定情報は、前記通信ネットワークを特定するデータと、前記通信端末を特定するデータとを含む、請求項15に記載の通信端末。
【請求項18】
前記設定情報の送信要求の受信を検知する検知部と、
前記送信要求の受信に応答して、前記送信要求の送信者に前記設定情報を送信する送信部とをさらに備える、請求項15に記載の通信端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−94852(P2009−94852A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264181(P2007−264181)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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