通信システムならびにそれを用いる情報通信システムおよび給電監視制御システム
【課題】遠隔検針を行う給電監視制御システムにおいて、各戸のユニット電力計の定時検針や定時送信の基準となる時計を、低コストに合わせられるようにする。
【解決手段】NTPサーバ1は、それに社内光ファイバ網などで有線接続されるゲートウエイGWaに対して、たとえば1日1回等の所定の周期タイミングとなる時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaから、無線通信によって、下位のユニット電力計T5−1,T5−2;T4−1,T4−2,T4−3,T4−4を順に時刻合せする。したがって、各ユニット電力計Tを正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、GPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、共通に正確な時計を用いることができる。
【解決手段】NTPサーバ1は、それに社内光ファイバ網などで有線接続されるゲートウエイGWaに対して、たとえば1日1回等の所定の周期タイミングとなる時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaから、無線通信によって、下位のユニット電力計T5−1,T5−2;T4−1,T4−2,T4−3,T4−4を順に時刻合せする。したがって、各ユニット電力計Tを正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、GPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、共通に正確な時計を用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へ、たとえばツリー状にネットワークを構築し、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の無線通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムならびにそれを用いる情報通信システムおよび給電監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道の検針データ等をセンター装置に定期的に吸い上げるようにした典型的な従来技術が、特許文献1に示されている。この従来技術では、各端局が自機に設定された発報時刻となると前記検針データを送信する。そして、各端局に設定された(ランダムな)時計合わせ時刻になると、各端局が無線通信および電話回線を介して前記センター装置と通信を行うことで、エリア内に多くの端局が存在しても、混信をしないようにして、前記のような定時発報の基準となる時計を合わせるように構成されている。
【特許文献1】特許第3288162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の手法では、各端局が直接センター装置と1対1で通信を行っている。したがって、多くの端局が、特に基端局からツリー状に接続され、或いは多段に接続されてネットワークが構成されている場合、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックが増加するという問題がある。ここで、各端局が、それぞれISDN回線などの正確な時刻情報を取得することができる高コストなネットワークに接続されていたり、各端局にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得可能な高コストな機器が搭載されていれば、そのような時刻情報の送受信は不要にできるが、そのような構成を用いない安価なネットワークでは、またGPS信号を受信できない受信機では、前記のような時刻情報の送受信は必要である。
【0004】
本発明の目的は、各通信装置間で共通の時刻を用いるにあたって、安価なネットワーク構成であっても、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加を抑えることができる無線通信システムならびにそれを用いる情報通信システムおよび給電監視制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の通信システムは、データ通信を行う通信部と、時計機能を有する時計部とを有する通信装置を複数備え、前記各通信装置の通信部がデータを中継送信可能なように順次接続されて成り、前記各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにした通信システムにおいて、前記各通信装置は、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正する制御部を備えることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へツリー状に配列されるなどして、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムにおいて、定時発報や、たとえば該通信システムが自動検針に用いられる場合の定時検針などのために、各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにするにあたって、その時刻設定を、各通信装置の制御部が、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正することで行う。すなわち、時刻が担保された上位段から前記ツリー状などの順に、下りリレーで時刻情報を転送することで行う。
【0007】
したがって、各通信装置を正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、各通信装置にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各通信装置間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの通信装置が直接基端局と通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0008】
また、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、基端局へ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、応答によるトラヒックの増加を抑えることができる。
【0010】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、受信した時刻情報が自機の時計部の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の通信装置への前記時刻情報の転送を禁止することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、各通信装置では順次前記時刻設定を行い、その際、現在使用中の時刻に、受信された時刻情報の時刻が予め定める値以上にずれている場合には、自機が異常である可能性が高いと判断し、前記時刻情報の再送信(転送)は行わない。
【0012】
したがって、時刻情報の転送に伴い、時計のずれが他の通信装置へ波及してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、自機の時計部がリセットされている場合および予め定める期間に亘って時刻更新が行われなかった場合には、前記基端局へ、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号を基端局へ返信しない場合、正しく時刻設定が行われなくても、基端局はそれを分らず、またその通信装置および配下の通信装置では、正確な前記定時発報や定時検針が行えないので、前記制御部は、時計部が初期状態などでリセットされていると判定した時点で、或いは予め定める期間、たとえば数日に亘って時刻更新が行われていないと判定した時点で、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求する。
【0015】
したがって、正しく時刻設定が行われたか否かを表す応答信号を返信しないようにしてトラヒックを抑えても、時計が狂った通信装置が放置されないようにすることができる。
【0016】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記基端局は、該基端局から前記各末端局への通信経路を複数有し、特定の通信装置から前記時刻情報の送信要求を受信すると、前記特定の通信装置に対して現在使用している通信経路を、他の通信経路に切換えて前記時刻情報を送信することを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、前記時刻情報の送信要求を送信するということは、その通信装置か、それよりも上位段の通信装置に故障が生じている、或いは通信経路に異常があるものと判断できるので、基端局は、複数の通信経路が存在する場合、その通信経路を見直し、次回に正しく時計合わせを行えるように、通信経路を切換えて前記時刻情報を送信する。
【0018】
したがって、故障が生じている、或いは通信経路に異常がある通信装置の影響を受けることなく、前記ツリーの末端側の通信装置が正しい時刻情報を受信して、正常動作を行う可能性を高めることができる。
【0019】
また、本発明の通信システムでは、末端局(下位)側から基端局(上位)側へ伝送されるデータは各通信装置で収集されたセンシングデータであり、基端局(上位)側から末端局(下位)側へ伝送されるデータは末端局に対する制御データであることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、リモートセンシングおよびリモートコントロールを実現することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記通信部はPHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで通信を行うことを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、PHSは1対1の通信であり、基端局が前記時刻情報を同報送信することができないので、本発明のように上位側から下位側へ順次時刻情報を転送してゆくことは、短時間で設定でき、またトラヒックを削減でき、好適である。
【0023】
また、本発明の情報通信システムは、前記の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成ることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、サーバ装置は、リモートセンシングおよびリモートコントロールなどを行うことができる。
【0025】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、サーバ装置は、各通信装置がどのように配列されているかを表すルートテーブルを保持して、各通信装置から定期的に電力量計のセンシングデータを取得し、必要に応じて各通信装置を介して負荷開閉器を制御することができる。
【0027】
したがって、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の通信システムは、以上のように、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へツリー状に配列されるなどして、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムにおいて、定時発報や定時検針などのために各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにするにあたって、その時刻設定を、各通信装置の制御部が、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正することで行う。
【0029】
それゆえ、各通信装置を正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、各通信装置にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各通信装置間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの通信装置が直接基端局と通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0030】
また、本発明の情報通信システムは、以上のように、前記の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成る。
【0031】
それゆえ、サーバ装置は、リモートセンシングおよびリモートコントロールなどを行うことができる。
【0032】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、以上のように、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成る。
【0033】
それゆえ、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。この給電監視制御システムは、電力会社の営業所などに設置されるサーバ装置1と、そのサーバ装置1と社内光ファイバ網などのネットワーク2を介して接続される1または複数のゲートウエイGWa,GWb,GWc,・・・(総称するときは、以下参照符号GWで示す)と、前記各ゲートウエイGWから最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・まで、複数の階層を備えてツリー状に配列される前記ユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・;T2−1,T2−2,・・・;T3−1,T3−2,・・・(総称するときは、以下参照符号Tで示す)とを備えて構成される。
【0035】
各ユニット電力計Tは、本願出願人が先に特開2006−292442号公報や特開2006−170787号公報で提案したような構造に類似しており、たとえば図2で示すように構成される。すなわち、宅内の各配電線が接続される端子台6側から、負荷開閉器3、電力量計4および無線通信装置5が配列されて構成されている。前記電力量計4は、積算電力量を予め定める周期、たとえば30分毎に検針し、センシングデータであるその検針データを、無線通信装置5が、後述するように各ユニット電力計Tに予め設定されたタイミングに、自機の属するゲートウエイGWへ向けて送信し、集約されてサーバ装置1に入力される。一方、サーバ装置1からは、負荷開閉器3の開閉や、不達検針データを再送するバックアップ検針などを行わせるための制御データが、必要に応じて、ゲートウエイGWを介して各無線通信装置5へ向けて送信される。
【0036】
前記サーバ装置1は、各ユニット電力計Tがどのように配列されているかを表す図1で示すようなルートテーブルを保持しており、上述のようにしてそれぞれに内蔵する無線通信装置5から定期的に電力量計4の検針データを取得し、必要に応じて各無線通信装置5を介して負荷開閉器3を制御することができるようになっており、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができるようになっている。
【0037】
前記各ユニット電力計Tの無線通信装置5は、PHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで通信動作を行う。図3は、無線通信装置5の一構成例を示すブロック図である。この無線通信装置5は、通信部である前記PHSの無線機11と、その通信を制御し、制御部である無線通信制御部12と、時計部13と、通信に必要なパラメータを記憶しているメモリ14と、前記メモリ14の内容の一部を設定することができる入力操作部15と、電力量計4から検針データを受信するインタフェイス21と、前記負荷開閉器3へ制御データを送信するインタフェイス22と、それらの電力量計4および負荷開閉器3との通信を制御する機内通信制御部23と、前記検針データをバックアップ記憶しておくメモリ24と、前記検針データや制御データを前記無線機11から送受信するにあたって、後述するような併合・分割の処理を行うデータ加工部25と、そのデータ加工の際に使用されるワーキングメモリ26とを備えて構成される。
【0038】
先ず、各無線通信装置5は、前記入力操作部15から設定され、前記メモリ14に、自機の電話番号を、正常時に使用される主電話番号♯01およびルート故障時に使用される副電話番号♯02の複数有するとともに、前記検針データを転送する上位の相手(発呼)先の電話番号も、♯11,♯21の2種類有する。前記電話番号♯11,♯21は、前記ルートテーブルの階層に従う自機に隣接するユニット電力計の電話番号である。なお、電話番号♯11は前記主電話番号♯01に対応した電話番号であり、電話番号♯21は前記副電話番号♯02に対応した電話番号である。
【0039】
具体的には、図1の例では、最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5;T1−11,T1−12(総称するときは、以下参照符号T1で示す)には、それぞれ前記主電話番号♯01として、a−300,a−310,a−320,a−330,a−340;b−300,b−310が予め登録されているとともに、副電話番号♯02として、f−301,e−311,d−321,c−331,b−341;a−301,g−311が予め登録されている。なお、各ユニット電力計Tは、前記正常時における主ルートの電話番号♯01と、その主ルートの故障時に使用される後述する副ルートの電話番号♯02とを有するけれど、以降の説明では、説明の簡略化のために、先ず正常時に使用される主ルートの電話番号を用いて説明する。
【0040】
そして、前記ユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5;T1−11,T1−12が通常時に使用する電話番号♯11には、それぞれ1つ上位の局であるユニット電力計T2−2,T2−4,T2−6,T2−8,T2−10;T2−12,T2−14の電話番号a−120,a−140,a−160,a−180,a−200;b−120,b−140が予め登録されている。
【0041】
このように構成される無線通信装置5において、先ず通常モードでは、無線通信制御部12は、無線機11で受信された下位側からの検針データを前記データ加工部25に入力する。一方、前記データ加工部25には、前記インタフェイス21を介して機内通信制御部23が受信し、メモリ24に格納しておいた自機の電力量計4からの検針データが、予め定める送信周期、たとえば前記30分毎に読出されている。そして前記データ加工部25は、ワーキングメモリ26を使用して、入力されたデータを併合する処理を行い、新たな検針データを作成する。
【0042】
その新たな検針データには、無線通信制御部12において、前記メモリ14の電話番号♯01に格納されている自機の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではb−80が付加された後、後述するように時計部13で規定されたタイミングで、無線機11から、前記電話番号♯11に格納されている自機に隣接する上位側の無線通信装置の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではユニット電力計T4−11のb−30に発呼させて送信を行う。
【0043】
こうして、自機が中継局となってデータを転送する際に、無線通信制御部12が、下位側からの検針データに、自機の検針データを併合して、上位側へ転送してゆくことで、基端局(上位)側となる程データ長が長くなるが、各無線通信装置5がゲートウエイGWへデータを個別に送信してゆく場合に比べて、トラヒックを大幅に削減することができる。なお、自機が末端局である場合は、転送されて来る検針データが無いので、前記無線機11での受信は行われず、またデータ加工部25での検針データの併合は行われず、メモリ24からの検針データがそのまま送信される。
【0044】
これに対して、サーバ1からの制御データには、そのヘッダ部分に、前記ルートテーブルに従い、途中に経由すべき無線通信装置の電話番号が総て記載されており、無線通信制御部12は、自機に届いた制御データを解析し、次に送信すべき無線通信装置の電話番号に発呼することで転送を行う。たとえば、前記ユニット電力計T4−11で中継されたサーバ1からの制御データは、任意のタイミングで、次の階層のユニット電力計T3−11とT3−12との内、データに従って、たとえばT3−12に転送されることになる。このとき、前記無線機11で受信された制御データは、無線通信制御部12から前記データ加工部25に入力されて、ワーキングメモリ26を使用して自機宛の制御データが分割される。その制御データに応答して、機内通信制御部23は、前記インタフェイス22を介して、前記負荷開閉器3の開閉制御を行い、或いは不達となった検針データをメモリ24から読出して、前記送信機11にバックアップ送信させる。
【0045】
こうして、上位側からの制御データから、自機が受取るべき制御データを分割して、下位側へ転送してゆくことで、基端局(上位)側となる程データ長が長くなるが、ゲートウエイGWが各無線通信装置5へデータを個別に送信してゆく場合に比べて、トラヒックを大幅に削減することができる。なお、自機が末端局である場合は、転送すべき制御データが無いので、前記無線機11での送信は行われず、またデータ加工部25での制御データの分割は行われない。図1では、ゲートウエイGWa側のツリーにおいて、前記検針データの併合および制御データの分割の様子を分り易く示すように、データ量に対応した太さの矢印を付して示している。
【0046】
前記メモリ24に格納されるデータは、図3において参照符号24aで示すような、毎時0分および30分において電力量計4で検針された積算電力量のデータであり、或いは図示しない停電などの情報も合わせて格納されていてもよく、その記憶容量は、検針データを、たとえば40日分蓄積可能な容量に選ばれる。
【0047】
このように複数の無線通信装置5を順に経て中継送信を行うことで、前記PHSトランシーバモードでは、見通し可能な場合でも、半径150〜200mの範囲でしか通信できないのに対して、それを超える範囲の無線通信装置もゲートウエイGWと通信を行うことができるようになっている。また、データを併合・分割することで、多くの無線通信装置5に対して、定時の検針データの収集や制御データの配信を規則的にかつ短時間で行うことができるようになっている。さらにまた、各無線通信装置5のメモリ14には、隣接する上位の無線通信装置の電話番号♯11,♯21を記憶しておくだけで、前記ツリー全体のルートテーブルを備えていなくてもよく、記憶容量を小さくすることができるとともに、ルート変更も容易である。
【0048】
さらにまた、各無線通信装置5において、検針データの送信タイミングが、時計部13によって、同じ階層に位置する無線通信装置間で、同じ無線通信装置の配下に位置する無線通信装置間では相互に異なるように規定され、相互に異なる無線通信装置の配下に位置する無線通信装置間では同じタイミングが使用される。すなわち、各無線通信装置5は、1対1でしか通信できなくても、末端局(下位)であるユニット電力計T1側から、基端局(上位)であるゲートウエイGWa側へデータを送信するにあたって、同じ無線通信装置の下層に位置する無線通信装置間では、送信タイミングをずらして上位の無線通信装置と前記1対1の通信を行えるようにし、異なる無線通信装置の下層に位置する無線通信装置とは同じ送信タイミングを使用可能にする。
【0049】
具体的には、図1のゲートウエイGWaに関するルートテーブルを図4に拡大して示すと、最下層である前記第6の階層のユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5は、相互に異なるユニット電力計T2−2,T2−4,T1−6,T2−8,T2−10の下位側にそれぞれ位置しており、30分検針データの送信タイミングは、毎時0分および30分の0秒に設定される。
【0050】
これに対して、第5の階層のユニット電力計T2−1,T2−2,T2−3,T2−4,T2−5,T2−6,T2−7,T2−8,T2−9,T2−10において、ユニット電力計T2−1,T2−2;T2−3,T2−4;T2−5,T2−6;T2−7,T2−8;T2−9,T2−10は、それぞれ同じユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4,T3−5の下位側に位置しており、ユニット電力計T2−1,T2−3,T2−5,T2−7,T2−9については毎時0分および30分の5秒に設定され、ユニット電力計T2−2,T2−4,T2−6,T2−8,T2−10については、前述のようにデータの併合を行って、毎時0分および30分の10秒に設定される。
【0051】
同様に、第4の階層のユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4,T3−5において、ユニット電力計T3−1は単独でユニット電力計T4−1の下位側に位置しているのに対して、ユニット電力計T3−2,T3−3;T3−4,T3−5は、それぞれ同じユニット電力計T4−2,T4−3の下位側に位置しており、ユニット電力計T3−1,T3−2,T3−4については毎時0分および30分の15秒に設定され、ユニット電力計T3−3,T3−5については、毎時0分および30分の20秒に設定される。
【0052】
さらに、第3の階層のユニット電力計T4−1,T4−2,T4−3,T4−4において、ユニット電力計T4−1,T4−2;T4−3,T4−4は、それぞれ同じユニット電力計T5−1,T5−2の下位側に位置しており、ユニット電力計T4−1,T4−3については毎時0分および30分の25秒に設定され、ユニット電力計T4−2,T4−4については、毎時0分および30分の30秒に設定される。そして、第2の階層のユニット電力計T5−1,T5−2は、同じ第1の階層のゲートウエイGWaの下位側に位置しており、ユニット電力計T5−1については毎時0分および30分の35秒に設定され、ユニット電力計T5−2については、毎時0分および30分の40秒に設定される。これらのタイミングは、メモリ14内に、τ1として格納される。
【0053】
このように構成することで、前述のように階層が多く、多くの無線通信装置5を収容するシステムで、上りデータの送信に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0054】
前記30分検針データのデータ量は、たとえば34バイトであり、前記PHSのトランシーバモードにおける伝送レート28kbpsでは、上述のように下位側のデータを併合しても、1送信期間の5秒間で送信可能である。なお、上述のように各階層間の送信タイミングを隣接させるのではなく、ルートテーブルの見直しや、新築などによるユニット電力計Tの増設などに備えて、冗長期間を設けておくようにしてもよい。
【0055】
次に、PHSトランシーバモードによる無線ネットワークにおいて、ツリー&メッシュの複合型ルーティングマップによる前記主ルートおよび副ルートのルートテーブルの作成方法を説明する。前記主ルートは、前述のように正常時に使用され、各無線通信装置5からゲートウエイGWへ短い時間で確実に伝送することを目的として作成されるルートである。各無線通信装置5はこの主ルートを優先して使用し、該主ルートでの通信を実現するために、自機の主電話番号♯01と、発呼先の電話番号♯11とを有する。一方、前記副ルートは、主ルートに一時的な通信障害が発生した際に使用される迂回ルートであり、自機の主ルートにおける階層より上位段、同位段、下位段の無線通信装置へ接続するルートに、隣接する別のゲートウエイ側の無線通信装置へ接続するルートなどを有し、自機の副電話番号♯02と、発呼先の電話番号♯21とを有する。
【0056】
図5を用いて、主ルートのルートマップの作成方法の一例を示す。作成にあたって、ゲートウエイGWおよび各ユニット電力計Ta〜Ti間の電界強度レベルが測定され、この図5では、それをルート間に数値で示している。先ず、第1の階層のゲートウエイGWにおいて、電界強度が予め定めるレベルα1以上の局で、最大k1局を第2の階層(1ホップ目)の局に決定する。図5の例では、α1=50dBμV、k1=2であり、前記電界強度レベルが高い上位2つのユニット電力計Tb,Tdが1ホップ目の局となっている。
【0057】
次に、その1ホップ目の局における電界強度が予め定めるレベルα2以上で、最大k2局を第3の階層(2ホップ目)の局に決定する。図5の例では、α2=30dBμV、k2=2であり、前記2つのユニット電力計Tb,Tdに対して、電界強度レベルが高い上位2つのユニット電力計Ta,Tc;Tf,Tgがそれぞれ2ホップ目の局となっている。その後、これらユニット電力計Ta,Tc;Tf,Tgから3ホップ目以降についても、選択できる局がなくなるまで同様に選択が繰返し行われる。孤立した局ができてしまった場合は、電界強度の強い局に分岐数k2の上限に関係なく接続する。こうして作成されたルートテーブルが、主ルートに確定される。主ルートが確定すると、以下のようにして副ルートを作成する。
【0058】
図6に、図1の一部を抜出して示すその副ルートの一例を示す。この例では、第4層のユニット電力計T3−5に故障が生じた場合に、主ルートとして該ユニット電力計T3−5の配下に位置するユニット電力計T2−10における副ルートの例を示している。先ず、前記上位段へのルートとしては、参照符号R1で示すように前記ユニット電力計T3−5をジャンプしたユニット電力計T4−4へのルートおよび1階層上の参照符号R2で示すようにユニット電力計T3−4へのルートがあり、同位段へのルートとしては、参照符号R3で示すようにユニット電力計T2−8へのルートがあり、下位段(当然自機の配下に位置するユニット電力計T1−5は除く)へのルートとしては、参照符号R4で示すようにユニット電力計T1−4へのルートがあり、他のゲートウエイへのルートとしては、参照符号R5で示すようにユニット電力計T3−11へのルートがあり、これらの電話番号a−60,a−00,a−180,a−330,b−70が、前記電話番号♯21として登録されている。副ルートの電話番号は、このような5つに限らず、前記ツリー&メッシュの構造に応じて適宜選択されればよい。
【0059】
そして、ユニット電力計T2−10の無線通信装置5が、前記主ルートでの障害の発生を検知すると、無線通信制御部12は、メモリ14の電話番号♯21に記憶されている前記ルートR1〜R5にそれぞれ対応した発呼先の電話番号から、予め定めた優先順位に従って順に選択して発呼を行う。したがって、たとえば図7で示すようにゲートウエイGWaに異常が生じると、次位のユニット電力計T5−1,T5−2では、前記検針データの送信失敗により、それを検知することができるけれども、さらに次位のユニット電力計T4−1,T4−2,・・・では、それを検知することができない。しかしながら、その次位のユニット電力計T5−1,T5−2では、直上位がそのゲートウエイGWaであり、同じツリー内での迂回ルートは存在せず、電話番号♯21として記憶しているのは他のゲートウエイGWb,GWc,GWd,・・・へのルートであるので、自機の電話番号を副電話番号♯02に切換えて発呼する。これによって、順次下位のユニット電力計T4−1,T4−2,・・・でもゲートウエイGWaの異常を検知し、他のゲートウエイGWb,GWc,GWd,・・・への副ルートを選択する。
【0060】
この副ルートでの発呼は、任意タイミングであり、衝突によりエラーが発生しても、上述のような再試行で衝突を回避する。また、他のゲートウエイ(図7の例ではGWb)側では、その他のゲートウエイGWb側での検針データは定時に送信しており、追送されることになる故障ゲートウエイGWa側のデータには、前述のようなデータの併合が行われないので、図7で示すようにデータ量を示す矢印の太さは一定である。
【0061】
上述のように構成される給電監視制御システムにおいて、注目すべきは、各無線通信装置5の無線通信制御部12が検針データを定時送信するために、また機内通信制御部23が定時検針するために使用される時計部13に、各無線通信装置5間で共通の時刻を用いるにあたって、無線通信制御部12は、無線機11を介して、基端局となるゲートウエイGWから末端局となるユニット電力計T1へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部13を修正することである。
【0062】
図8はそのような時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図であり、図9はその設定動作のタイミングチャートである。NTP(Network Time Protocol)サーバとなるサーバ装置1は、それに社内光ファイバ網などの通信回線で有線接続されるゲートウエイGWaに対して、たとえば1日1回等の所定の周期タイミングとなる時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaのNTP時刻が更新される。
【0063】
続いて、前記NTPにて時刻合せが行われた第1の階層のゲートウエイGWaと、直接無線通信可能な第2階層のユニット電力計T5−1,T5−2との間で、前記1対1の無線通信で、時刻t1,t2において、順次時刻合せが行われる。この時刻t2となるタイミングでは、既に時刻合せが終了しているユニット電力計T5−1は、第3階層のユニット電力計T4−1に対して時刻合せを行う。その後、ゲートウエイGWaとの間で時刻合せの終了したユニット電力計T5−2は、時刻t3において、第3階層のユニット電力計T4−3に対して時刻合せを行う。このとき、ユニット電力計T5−1も、もう1つのユニット電力計T4−2に対して時刻合せを行う。その後、ユニット電力計T5−2は、時刻t4において、もう1つのユニット電力計T4−4に対して時刻合せを行う。
【0064】
このように時刻が担保された上位段の無線通信装置5から順に下りリレーで時刻情報を転送して時刻合せを行うことで、各無線通信装置5が正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続されたり、各無線通信装置5にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各無線通信装置5間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの無線通信装置5が、NTPにて時刻合せを行っているゲートウエイGWと直接通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0065】
また注目すべきは、前記各無線通信装置5の無線通信制御部12は、ゲートウエイGWへ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことである。これによって、応答によるトラヒックの増加を抑えることもできる。
【0066】
さらにまた注目すべきは、前記各無線通信装置5の無線通信制御部12は、受信した時刻情報が自機の時計部13の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の無線通信装置5への前記時刻情報の転送を禁止するとともに、サーバ装置1へ、ずれが生じたことを報知することである。図10はそのような時刻ずれ時の動作を説明するための図であり、図11はその動作のタイミングチャートであり、それぞれ前述の図8および図9に対応している。
【0067】
図8および図9と同様に、サーバ装置1はゲートウエイGWaに対して、時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaのNTP時刻が更新される。続いて、そのゲートウエイGWaがユニット電力計T5−1,T5−2に、時刻t1,t2において順次時刻合せを行うが、ユニット電力計T5−2では正常に時刻合せが行われたものの、ユニット電力計T5−1ではずれが大きく、時刻合せは行われず、また配下のユニット電力計T4−1,T4−2の時刻合せも行われない。このため、ユニット電力計T4−1,T4−2の配下のユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4の時刻合せも行われない。
【0068】
これに応答して、過去に先に更新が行われていて、予め定める期間、たとえば数日に亘るカウント期間が先にタイムアップするユニット電力計T4−1が、時刻t11において、上位のユニット電力計T5−1に対して時刻が未更新であることを報知するとともに、副ルートへの切換えを要求するルートの再登録要求を送信する。それらの未更新の報知および再登録要求は、時刻t12においてユニット電力計T5−1からゲートウエイGWaに送信され、その後サーバ装置1に転送される。後にタイムアップしたユニット電力計T4−2も同様に、未更新の報知および再登録要求を行う。なお、時計部13が初期状態などでリセットされている場合は、直ちにそのことを報知するとともに、ルートの再登録要求を送信する。
【0069】
ここで、各無線通信装置5の無線通信制御部12は、間欠受信を行うが、送信側は呼び出しを2秒間行うのに対して、受信側は十数msec間隔で周波数の異なる10チャネルをスキャンし、休み、またスキャンするという間欠受信を行っている。したがって、呼び出し側が間欠受信の間隔に対して充分に長い時間呼び出しを行うので、着信可能であり、これは前記ユニット電力計T5−1のように時刻同期が取れていない無線通信装置に対しても同様で、これによって図10に示すような、該時刻同期が取れていないユニット電力計T5−1を介する未更新の報知および再登録要求の送信が可能となる。
【0070】
サーバ装置1は、これに応答して、再登録応答および時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaは、時刻t13において副ルートとなるユニット電力計T5−2に対してそれらを転送し、時刻t14においてユニット電力計T5−2からユニット電力計T4−3へ、さらに時刻t14においてユニット電力計T4−3からユニット電力計T4−1へ転送され、時刻合せが行われる。
【0071】
サーバ装置1は、以上のことから、ユニット電力計T5−1の時計部13が精度保証範囲を超えて大幅にずれて故障が発生しているものと判定し、交換されると、正ルートへの復帰のための再登録要求を該当のユニット電力計T4−1,T4−2へ送信する。
【0072】
このように各無線通信装置5で順次時刻設定を行ってゆくにあたって、自機が現在使用中の時刻に、受信された時刻情報の時刻が予め定める値以上にずれている場合には、自機が異常である可能性が高いと判断し、前記時刻情報の再送信(転送)を行わなくすることで、時計部13のずれが他の無線通信装置へ波及してしまうことを防止することができる。
【0073】
また、前述のように時刻情報を受信したことを表す応答信号をゲートウエイGWへ返信しない場合、正しく時刻設定が行われなくても、ゲートウエイGWはそれを分らず、またその無線通信装置および配下の無線通信装置では、正確な前記定時発報や定時検針が行えないので、前記無線通信制御部12が、上述のように時計部13がリセットされていると判定した時点で、或いは他の例としては予め定める期間以上に亘って前記時刻情報が更新されていないと判定した時点で、前記ゲートウエイGWへ自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することで、正しく時刻設定が行われたか否かを表す応答信号を返信しないようにしてトラヒックを抑えても、時計部13が狂った無線通信装置が放置されないようにすることができる。
【0074】
さらにまた、前記時刻情報の送信要求を送信するということは、その無線通信装置か、それよりも上位段の無線通信装置に故障が生じている、或いは通信経路に異常があるものと判断できるので、ゲートウエイGWは、前記時刻情報の送信要求を受信すると、通信経路を切換えて前記時刻情報を送信することで、故障が生じている、或いは通信経路に異常がある無線通信装置の影響を受けることなく、前記ツリーの末端側の無線通信装置が正しい時刻情報を受信して、正常動作を行う可能性を高めることができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、基端局が、サーバ装置1とゲートウエイGWとから成る例を示した。これは、基端局の一例であり、複数のサーバ装置を備えている基端局、ゲートウエイGWを使用していない基端局等であってもよい。また、端局である各ユニット電力計T間の無線通信方式としてPHSを例示したが、他の無線通信方式を採用することもできる。たとえば、無線LANを構成しているサーバとクライアントに、本発明を適用することも可能である。さらに、無線通信方式ではなく、有線通信方式を採用してもよい。さらにまた、上記実施形態では、端局である各ユニット電力計Tは、複数の階層を備えたツリー状にネットワーク接続されている例を示した。これに代えて、各ユニット電力計Tが個別にサーバ装置1へ接続されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記給電監視制御システムに用いられるユニット電力計の一構成例を示す正面図である。
【図3】前記ユニット電力計における無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】ツリー状に配列される各無線通信装置の送信タイミングを説明するための図である。
【図5】ルートマップの作成方法の一例を示す図である。
【図6】故障時に使用される副ルートの作成方法の一例を示す図である。
【図7】ゲートウエイ故障時に使用される副ルートの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の一形態の時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図である。
【図9】図8のタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施の他の形態の時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図である。
【図11】図10のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 負荷開閉器
4 電力量計
5 無線通信装置
6 端子台
11 無線機
12 無線通信制御部
13 時計部
14,24 メモリ
15 入力操作部
21,22 インタフェイス
23 機内通信制御部
25 データ加工部
26 ワーキングメモリ
T1−1〜T1−5,T1−11,T1−12 ユニット電力計
T2−1〜T2−10,T2−11〜T2−14 ユニット電力計
T3−1〜T3−5,T3−11,T3−12 ユニット電力計
T4−1〜T4−4,T4−11,T4−12 ユニット電力計
T5−1,T5−2,T5−11,T5−12 ユニット電力計
GWa,GWb,GWc,・・・ ゲートウエイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へ、たとえばツリー状にネットワークを構築し、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の無線通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムならびにそれを用いる情報通信システムおよび給電監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道の検針データ等をセンター装置に定期的に吸い上げるようにした典型的な従来技術が、特許文献1に示されている。この従来技術では、各端局が自機に設定された発報時刻となると前記検針データを送信する。そして、各端局に設定された(ランダムな)時計合わせ時刻になると、各端局が無線通信および電話回線を介して前記センター装置と通信を行うことで、エリア内に多くの端局が存在しても、混信をしないようにして、前記のような定時発報の基準となる時計を合わせるように構成されている。
【特許文献1】特許第3288162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の手法では、各端局が直接センター装置と1対1で通信を行っている。したがって、多くの端局が、特に基端局からツリー状に接続され、或いは多段に接続されてネットワークが構成されている場合、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックが増加するという問題がある。ここで、各端局が、それぞれISDN回線などの正確な時刻情報を取得することができる高コストなネットワークに接続されていたり、各端局にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得可能な高コストな機器が搭載されていれば、そのような時刻情報の送受信は不要にできるが、そのような構成を用いない安価なネットワークでは、またGPS信号を受信できない受信機では、前記のような時刻情報の送受信は必要である。
【0004】
本発明の目的は、各通信装置間で共通の時刻を用いるにあたって、安価なネットワーク構成であっても、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加を抑えることができる無線通信システムならびにそれを用いる情報通信システムおよび給電監視制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の通信システムは、データ通信を行う通信部と、時計機能を有する時計部とを有する通信装置を複数備え、前記各通信装置の通信部がデータを中継送信可能なように順次接続されて成り、前記各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにした通信システムにおいて、前記各通信装置は、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正する制御部を備えることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によれば、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へツリー状に配列されるなどして、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムにおいて、定時発報や、たとえば該通信システムが自動検針に用いられる場合の定時検針などのために、各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにするにあたって、その時刻設定を、各通信装置の制御部が、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正することで行う。すなわち、時刻が担保された上位段から前記ツリー状などの順に、下りリレーで時刻情報を転送することで行う。
【0007】
したがって、各通信装置を正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、各通信装置にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各通信装置間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの通信装置が直接基端局と通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0008】
また、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、基端局へ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、応答によるトラヒックの増加を抑えることができる。
【0010】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、受信した時刻情報が自機の時計部の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の通信装置への前記時刻情報の転送を禁止することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、各通信装置では順次前記時刻設定を行い、その際、現在使用中の時刻に、受信された時刻情報の時刻が予め定める値以上にずれている場合には、自機が異常である可能性が高いと判断し、前記時刻情報の再送信(転送)は行わない。
【0012】
したがって、時刻情報の転送に伴い、時計のずれが他の通信装置へ波及してしまうことを防止することができる。
【0013】
また、本発明の通信システムでは、前記各通信装置の制御部は、自機の時計部がリセットされている場合および予め定める期間に亘って時刻更新が行われなかった場合には、前記基端局へ、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号を基端局へ返信しない場合、正しく時刻設定が行われなくても、基端局はそれを分らず、またその通信装置および配下の通信装置では、正確な前記定時発報や定時検針が行えないので、前記制御部は、時計部が初期状態などでリセットされていると判定した時点で、或いは予め定める期間、たとえば数日に亘って時刻更新が行われていないと判定した時点で、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求する。
【0015】
したがって、正しく時刻設定が行われたか否かを表す応答信号を返信しないようにしてトラヒックを抑えても、時計が狂った通信装置が放置されないようにすることができる。
【0016】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記基端局は、該基端局から前記各末端局への通信経路を複数有し、特定の通信装置から前記時刻情報の送信要求を受信すると、前記特定の通信装置に対して現在使用している通信経路を、他の通信経路に切換えて前記時刻情報を送信することを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、前記時刻情報の送信要求を送信するということは、その通信装置か、それよりも上位段の通信装置に故障が生じている、或いは通信経路に異常があるものと判断できるので、基端局は、複数の通信経路が存在する場合、その通信経路を見直し、次回に正しく時計合わせを行えるように、通信経路を切換えて前記時刻情報を送信する。
【0018】
したがって、故障が生じている、或いは通信経路に異常がある通信装置の影響を受けることなく、前記ツリーの末端側の通信装置が正しい時刻情報を受信して、正常動作を行う可能性を高めることができる。
【0019】
また、本発明の通信システムでは、末端局(下位)側から基端局(上位)側へ伝送されるデータは各通信装置で収集されたセンシングデータであり、基端局(上位)側から末端局(下位)側へ伝送されるデータは末端局に対する制御データであることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、リモートセンシングおよびリモートコントロールを実現することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の通信システムでは、前記通信部はPHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで通信を行うことを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、PHSは1対1の通信であり、基端局が前記時刻情報を同報送信することができないので、本発明のように上位側から下位側へ順次時刻情報を転送してゆくことは、短時間で設定でき、またトラヒックを削減でき、好適である。
【0023】
また、本発明の情報通信システムは、前記の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成ることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、サーバ装置は、リモートセンシングおよびリモートコントロールなどを行うことができる。
【0025】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、サーバ装置は、各通信装置がどのように配列されているかを表すルートテーブルを保持して、各通信装置から定期的に電力量計のセンシングデータを取得し、必要に応じて各通信装置を介して負荷開閉器を制御することができる。
【0027】
したがって、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の通信システムは、以上のように、複数の通信装置が、最上位の基端局から最下位の末端局へツリー状に配列されるなどして、各通信装置で送受信すべきデータが、自機より上位側の通信装置で中継されて前記基端局との間で送受信される通信システムにおいて、定時発報や定時検針などのために各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにするにあたって、その時刻設定を、各通信装置の制御部が、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正することで行う。
【0029】
それゆえ、各通信装置を正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続したり、各通信装置にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各通信装置間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの通信装置が直接基端局と通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0030】
また、本発明の情報通信システムは、以上のように、前記の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成る。
【0031】
それゆえ、サーバ装置は、リモートセンシングおよびリモートコントロールなどを行うことができる。
【0032】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、以上のように、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成る。
【0033】
それゆえ、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。この給電監視制御システムは、電力会社の営業所などに設置されるサーバ装置1と、そのサーバ装置1と社内光ファイバ網などのネットワーク2を介して接続される1または複数のゲートウエイGWa,GWb,GWc,・・・(総称するときは、以下参照符号GWで示す)と、前記各ゲートウエイGWから最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・まで、複数の階層を備えてツリー状に配列される前記ユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・;T2−1,T2−2,・・・;T3−1,T3−2,・・・(総称するときは、以下参照符号Tで示す)とを備えて構成される。
【0035】
各ユニット電力計Tは、本願出願人が先に特開2006−292442号公報や特開2006−170787号公報で提案したような構造に類似しており、たとえば図2で示すように構成される。すなわち、宅内の各配電線が接続される端子台6側から、負荷開閉器3、電力量計4および無線通信装置5が配列されて構成されている。前記電力量計4は、積算電力量を予め定める周期、たとえば30分毎に検針し、センシングデータであるその検針データを、無線通信装置5が、後述するように各ユニット電力計Tに予め設定されたタイミングに、自機の属するゲートウエイGWへ向けて送信し、集約されてサーバ装置1に入力される。一方、サーバ装置1からは、負荷開閉器3の開閉や、不達検針データを再送するバックアップ検針などを行わせるための制御データが、必要に応じて、ゲートウエイGWを介して各無線通信装置5へ向けて送信される。
【0036】
前記サーバ装置1は、各ユニット電力計Tがどのように配列されているかを表す図1で示すようなルートテーブルを保持しており、上述のようにしてそれぞれに内蔵する無線通信装置5から定期的に電力量計4の検針データを取得し、必要に応じて各無線通信装置5を介して負荷開閉器3を制御することができるようになっており、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができるようになっている。
【0037】
前記各ユニット電力計Tの無線通信装置5は、PHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで通信動作を行う。図3は、無線通信装置5の一構成例を示すブロック図である。この無線通信装置5は、通信部である前記PHSの無線機11と、その通信を制御し、制御部である無線通信制御部12と、時計部13と、通信に必要なパラメータを記憶しているメモリ14と、前記メモリ14の内容の一部を設定することができる入力操作部15と、電力量計4から検針データを受信するインタフェイス21と、前記負荷開閉器3へ制御データを送信するインタフェイス22と、それらの電力量計4および負荷開閉器3との通信を制御する機内通信制御部23と、前記検針データをバックアップ記憶しておくメモリ24と、前記検針データや制御データを前記無線機11から送受信するにあたって、後述するような併合・分割の処理を行うデータ加工部25と、そのデータ加工の際に使用されるワーキングメモリ26とを備えて構成される。
【0038】
先ず、各無線通信装置5は、前記入力操作部15から設定され、前記メモリ14に、自機の電話番号を、正常時に使用される主電話番号♯01およびルート故障時に使用される副電話番号♯02の複数有するとともに、前記検針データを転送する上位の相手(発呼)先の電話番号も、♯11,♯21の2種類有する。前記電話番号♯11,♯21は、前記ルートテーブルの階層に従う自機に隣接するユニット電力計の電話番号である。なお、電話番号♯11は前記主電話番号♯01に対応した電話番号であり、電話番号♯21は前記副電話番号♯02に対応した電話番号である。
【0039】
具体的には、図1の例では、最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5;T1−11,T1−12(総称するときは、以下参照符号T1で示す)には、それぞれ前記主電話番号♯01として、a−300,a−310,a−320,a−330,a−340;b−300,b−310が予め登録されているとともに、副電話番号♯02として、f−301,e−311,d−321,c−331,b−341;a−301,g−311が予め登録されている。なお、各ユニット電力計Tは、前記正常時における主ルートの電話番号♯01と、その主ルートの故障時に使用される後述する副ルートの電話番号♯02とを有するけれど、以降の説明では、説明の簡略化のために、先ず正常時に使用される主ルートの電話番号を用いて説明する。
【0040】
そして、前記ユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5;T1−11,T1−12が通常時に使用する電話番号♯11には、それぞれ1つ上位の局であるユニット電力計T2−2,T2−4,T2−6,T2−8,T2−10;T2−12,T2−14の電話番号a−120,a−140,a−160,a−180,a−200;b−120,b−140が予め登録されている。
【0041】
このように構成される無線通信装置5において、先ず通常モードでは、無線通信制御部12は、無線機11で受信された下位側からの検針データを前記データ加工部25に入力する。一方、前記データ加工部25には、前記インタフェイス21を介して機内通信制御部23が受信し、メモリ24に格納しておいた自機の電力量計4からの検針データが、予め定める送信周期、たとえば前記30分毎に読出されている。そして前記データ加工部25は、ワーキングメモリ26を使用して、入力されたデータを併合する処理を行い、新たな検針データを作成する。
【0042】
その新たな検針データには、無線通信制御部12において、前記メモリ14の電話番号♯01に格納されている自機の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではb−80が付加された後、後述するように時計部13で規定されたタイミングで、無線機11から、前記電話番号♯11に格納されている自機に隣接する上位側の無線通信装置の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではユニット電力計T4−11のb−30に発呼させて送信を行う。
【0043】
こうして、自機が中継局となってデータを転送する際に、無線通信制御部12が、下位側からの検針データに、自機の検針データを併合して、上位側へ転送してゆくことで、基端局(上位)側となる程データ長が長くなるが、各無線通信装置5がゲートウエイGWへデータを個別に送信してゆく場合に比べて、トラヒックを大幅に削減することができる。なお、自機が末端局である場合は、転送されて来る検針データが無いので、前記無線機11での受信は行われず、またデータ加工部25での検針データの併合は行われず、メモリ24からの検針データがそのまま送信される。
【0044】
これに対して、サーバ1からの制御データには、そのヘッダ部分に、前記ルートテーブルに従い、途中に経由すべき無線通信装置の電話番号が総て記載されており、無線通信制御部12は、自機に届いた制御データを解析し、次に送信すべき無線通信装置の電話番号に発呼することで転送を行う。たとえば、前記ユニット電力計T4−11で中継されたサーバ1からの制御データは、任意のタイミングで、次の階層のユニット電力計T3−11とT3−12との内、データに従って、たとえばT3−12に転送されることになる。このとき、前記無線機11で受信された制御データは、無線通信制御部12から前記データ加工部25に入力されて、ワーキングメモリ26を使用して自機宛の制御データが分割される。その制御データに応答して、機内通信制御部23は、前記インタフェイス22を介して、前記負荷開閉器3の開閉制御を行い、或いは不達となった検針データをメモリ24から読出して、前記送信機11にバックアップ送信させる。
【0045】
こうして、上位側からの制御データから、自機が受取るべき制御データを分割して、下位側へ転送してゆくことで、基端局(上位)側となる程データ長が長くなるが、ゲートウエイGWが各無線通信装置5へデータを個別に送信してゆく場合に比べて、トラヒックを大幅に削減することができる。なお、自機が末端局である場合は、転送すべき制御データが無いので、前記無線機11での送信は行われず、またデータ加工部25での制御データの分割は行われない。図1では、ゲートウエイGWa側のツリーにおいて、前記検針データの併合および制御データの分割の様子を分り易く示すように、データ量に対応した太さの矢印を付して示している。
【0046】
前記メモリ24に格納されるデータは、図3において参照符号24aで示すような、毎時0分および30分において電力量計4で検針された積算電力量のデータであり、或いは図示しない停電などの情報も合わせて格納されていてもよく、その記憶容量は、検針データを、たとえば40日分蓄積可能な容量に選ばれる。
【0047】
このように複数の無線通信装置5を順に経て中継送信を行うことで、前記PHSトランシーバモードでは、見通し可能な場合でも、半径150〜200mの範囲でしか通信できないのに対して、それを超える範囲の無線通信装置もゲートウエイGWと通信を行うことができるようになっている。また、データを併合・分割することで、多くの無線通信装置5に対して、定時の検針データの収集や制御データの配信を規則的にかつ短時間で行うことができるようになっている。さらにまた、各無線通信装置5のメモリ14には、隣接する上位の無線通信装置の電話番号♯11,♯21を記憶しておくだけで、前記ツリー全体のルートテーブルを備えていなくてもよく、記憶容量を小さくすることができるとともに、ルート変更も容易である。
【0048】
さらにまた、各無線通信装置5において、検針データの送信タイミングが、時計部13によって、同じ階層に位置する無線通信装置間で、同じ無線通信装置の配下に位置する無線通信装置間では相互に異なるように規定され、相互に異なる無線通信装置の配下に位置する無線通信装置間では同じタイミングが使用される。すなわち、各無線通信装置5は、1対1でしか通信できなくても、末端局(下位)であるユニット電力計T1側から、基端局(上位)であるゲートウエイGWa側へデータを送信するにあたって、同じ無線通信装置の下層に位置する無線通信装置間では、送信タイミングをずらして上位の無線通信装置と前記1対1の通信を行えるようにし、異なる無線通信装置の下層に位置する無線通信装置とは同じ送信タイミングを使用可能にする。
【0049】
具体的には、図1のゲートウエイGWaに関するルートテーブルを図4に拡大して示すと、最下層である前記第6の階層のユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5は、相互に異なるユニット電力計T2−2,T2−4,T1−6,T2−8,T2−10の下位側にそれぞれ位置しており、30分検針データの送信タイミングは、毎時0分および30分の0秒に設定される。
【0050】
これに対して、第5の階層のユニット電力計T2−1,T2−2,T2−3,T2−4,T2−5,T2−6,T2−7,T2−8,T2−9,T2−10において、ユニット電力計T2−1,T2−2;T2−3,T2−4;T2−5,T2−6;T2−7,T2−8;T2−9,T2−10は、それぞれ同じユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4,T3−5の下位側に位置しており、ユニット電力計T2−1,T2−3,T2−5,T2−7,T2−9については毎時0分および30分の5秒に設定され、ユニット電力計T2−2,T2−4,T2−6,T2−8,T2−10については、前述のようにデータの併合を行って、毎時0分および30分の10秒に設定される。
【0051】
同様に、第4の階層のユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4,T3−5において、ユニット電力計T3−1は単独でユニット電力計T4−1の下位側に位置しているのに対して、ユニット電力計T3−2,T3−3;T3−4,T3−5は、それぞれ同じユニット電力計T4−2,T4−3の下位側に位置しており、ユニット電力計T3−1,T3−2,T3−4については毎時0分および30分の15秒に設定され、ユニット電力計T3−3,T3−5については、毎時0分および30分の20秒に設定される。
【0052】
さらに、第3の階層のユニット電力計T4−1,T4−2,T4−3,T4−4において、ユニット電力計T4−1,T4−2;T4−3,T4−4は、それぞれ同じユニット電力計T5−1,T5−2の下位側に位置しており、ユニット電力計T4−1,T4−3については毎時0分および30分の25秒に設定され、ユニット電力計T4−2,T4−4については、毎時0分および30分の30秒に設定される。そして、第2の階層のユニット電力計T5−1,T5−2は、同じ第1の階層のゲートウエイGWaの下位側に位置しており、ユニット電力計T5−1については毎時0分および30分の35秒に設定され、ユニット電力計T5−2については、毎時0分および30分の40秒に設定される。これらのタイミングは、メモリ14内に、τ1として格納される。
【0053】
このように構成することで、前述のように階層が多く、多くの無線通信装置5を収容するシステムで、上りデータの送信に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0054】
前記30分検針データのデータ量は、たとえば34バイトであり、前記PHSのトランシーバモードにおける伝送レート28kbpsでは、上述のように下位側のデータを併合しても、1送信期間の5秒間で送信可能である。なお、上述のように各階層間の送信タイミングを隣接させるのではなく、ルートテーブルの見直しや、新築などによるユニット電力計Tの増設などに備えて、冗長期間を設けておくようにしてもよい。
【0055】
次に、PHSトランシーバモードによる無線ネットワークにおいて、ツリー&メッシュの複合型ルーティングマップによる前記主ルートおよび副ルートのルートテーブルの作成方法を説明する。前記主ルートは、前述のように正常時に使用され、各無線通信装置5からゲートウエイGWへ短い時間で確実に伝送することを目的として作成されるルートである。各無線通信装置5はこの主ルートを優先して使用し、該主ルートでの通信を実現するために、自機の主電話番号♯01と、発呼先の電話番号♯11とを有する。一方、前記副ルートは、主ルートに一時的な通信障害が発生した際に使用される迂回ルートであり、自機の主ルートにおける階層より上位段、同位段、下位段の無線通信装置へ接続するルートに、隣接する別のゲートウエイ側の無線通信装置へ接続するルートなどを有し、自機の副電話番号♯02と、発呼先の電話番号♯21とを有する。
【0056】
図5を用いて、主ルートのルートマップの作成方法の一例を示す。作成にあたって、ゲートウエイGWおよび各ユニット電力計Ta〜Ti間の電界強度レベルが測定され、この図5では、それをルート間に数値で示している。先ず、第1の階層のゲートウエイGWにおいて、電界強度が予め定めるレベルα1以上の局で、最大k1局を第2の階層(1ホップ目)の局に決定する。図5の例では、α1=50dBμV、k1=2であり、前記電界強度レベルが高い上位2つのユニット電力計Tb,Tdが1ホップ目の局となっている。
【0057】
次に、その1ホップ目の局における電界強度が予め定めるレベルα2以上で、最大k2局を第3の階層(2ホップ目)の局に決定する。図5の例では、α2=30dBμV、k2=2であり、前記2つのユニット電力計Tb,Tdに対して、電界強度レベルが高い上位2つのユニット電力計Ta,Tc;Tf,Tgがそれぞれ2ホップ目の局となっている。その後、これらユニット電力計Ta,Tc;Tf,Tgから3ホップ目以降についても、選択できる局がなくなるまで同様に選択が繰返し行われる。孤立した局ができてしまった場合は、電界強度の強い局に分岐数k2の上限に関係なく接続する。こうして作成されたルートテーブルが、主ルートに確定される。主ルートが確定すると、以下のようにして副ルートを作成する。
【0058】
図6に、図1の一部を抜出して示すその副ルートの一例を示す。この例では、第4層のユニット電力計T3−5に故障が生じた場合に、主ルートとして該ユニット電力計T3−5の配下に位置するユニット電力計T2−10における副ルートの例を示している。先ず、前記上位段へのルートとしては、参照符号R1で示すように前記ユニット電力計T3−5をジャンプしたユニット電力計T4−4へのルートおよび1階層上の参照符号R2で示すようにユニット電力計T3−4へのルートがあり、同位段へのルートとしては、参照符号R3で示すようにユニット電力計T2−8へのルートがあり、下位段(当然自機の配下に位置するユニット電力計T1−5は除く)へのルートとしては、参照符号R4で示すようにユニット電力計T1−4へのルートがあり、他のゲートウエイへのルートとしては、参照符号R5で示すようにユニット電力計T3−11へのルートがあり、これらの電話番号a−60,a−00,a−180,a−330,b−70が、前記電話番号♯21として登録されている。副ルートの電話番号は、このような5つに限らず、前記ツリー&メッシュの構造に応じて適宜選択されればよい。
【0059】
そして、ユニット電力計T2−10の無線通信装置5が、前記主ルートでの障害の発生を検知すると、無線通信制御部12は、メモリ14の電話番号♯21に記憶されている前記ルートR1〜R5にそれぞれ対応した発呼先の電話番号から、予め定めた優先順位に従って順に選択して発呼を行う。したがって、たとえば図7で示すようにゲートウエイGWaに異常が生じると、次位のユニット電力計T5−1,T5−2では、前記検針データの送信失敗により、それを検知することができるけれども、さらに次位のユニット電力計T4−1,T4−2,・・・では、それを検知することができない。しかしながら、その次位のユニット電力計T5−1,T5−2では、直上位がそのゲートウエイGWaであり、同じツリー内での迂回ルートは存在せず、電話番号♯21として記憶しているのは他のゲートウエイGWb,GWc,GWd,・・・へのルートであるので、自機の電話番号を副電話番号♯02に切換えて発呼する。これによって、順次下位のユニット電力計T4−1,T4−2,・・・でもゲートウエイGWaの異常を検知し、他のゲートウエイGWb,GWc,GWd,・・・への副ルートを選択する。
【0060】
この副ルートでの発呼は、任意タイミングであり、衝突によりエラーが発生しても、上述のような再試行で衝突を回避する。また、他のゲートウエイ(図7の例ではGWb)側では、その他のゲートウエイGWb側での検針データは定時に送信しており、追送されることになる故障ゲートウエイGWa側のデータには、前述のようなデータの併合が行われないので、図7で示すようにデータ量を示す矢印の太さは一定である。
【0061】
上述のように構成される給電監視制御システムにおいて、注目すべきは、各無線通信装置5の無線通信制御部12が検針データを定時送信するために、また機内通信制御部23が定時検針するために使用される時計部13に、各無線通信装置5間で共通の時刻を用いるにあたって、無線通信制御部12は、無線機11を介して、基端局となるゲートウエイGWから末端局となるユニット電力計T1へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部13を修正することである。
【0062】
図8はそのような時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図であり、図9はその設定動作のタイミングチャートである。NTP(Network Time Protocol)サーバとなるサーバ装置1は、それに社内光ファイバ網などの通信回線で有線接続されるゲートウエイGWaに対して、たとえば1日1回等の所定の周期タイミングとなる時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaのNTP時刻が更新される。
【0063】
続いて、前記NTPにて時刻合せが行われた第1の階層のゲートウエイGWaと、直接無線通信可能な第2階層のユニット電力計T5−1,T5−2との間で、前記1対1の無線通信で、時刻t1,t2において、順次時刻合せが行われる。この時刻t2となるタイミングでは、既に時刻合せが終了しているユニット電力計T5−1は、第3階層のユニット電力計T4−1に対して時刻合せを行う。その後、ゲートウエイGWaとの間で時刻合せの終了したユニット電力計T5−2は、時刻t3において、第3階層のユニット電力計T4−3に対して時刻合せを行う。このとき、ユニット電力計T5−1も、もう1つのユニット電力計T4−2に対して時刻合せを行う。その後、ユニット電力計T5−2は、時刻t4において、もう1つのユニット電力計T4−4に対して時刻合せを行う。
【0064】
このように時刻が担保された上位段の無線通信装置5から順に下りリレーで時刻情報を転送して時刻合せを行うことで、各無線通信装置5が正確な時刻情報を取得することができるISDNなどの高コストなネットワークに接続されたり、各無線通信装置5にGPS受信機などの正確な時刻情報を取得する高コストな機器を搭載したりすることなく、安価なネットワーク構成であっても、各無線通信装置5間で共通に正確な時計を用いることができる。また、多くの無線通信装置5が、NTPにて時刻合せを行っているゲートウエイGWと直接通信できなくても時刻設定を行うことができるとともに、時刻設定に伴うネットワークのトラヒックの増加も抑えることができる。
【0065】
また注目すべきは、前記各無線通信装置5の無線通信制御部12は、ゲートウエイGWへ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことである。これによって、応答によるトラヒックの増加を抑えることもできる。
【0066】
さらにまた注目すべきは、前記各無線通信装置5の無線通信制御部12は、受信した時刻情報が自機の時計部13の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の無線通信装置5への前記時刻情報の転送を禁止するとともに、サーバ装置1へ、ずれが生じたことを報知することである。図10はそのような時刻ずれ時の動作を説明するための図であり、図11はその動作のタイミングチャートであり、それぞれ前述の図8および図9に対応している。
【0067】
図8および図9と同様に、サーバ装置1はゲートウエイGWaに対して、時刻t0において、時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaのNTP時刻が更新される。続いて、そのゲートウエイGWaがユニット電力計T5−1,T5−2に、時刻t1,t2において順次時刻合せを行うが、ユニット電力計T5−2では正常に時刻合せが行われたものの、ユニット電力計T5−1ではずれが大きく、時刻合せは行われず、また配下のユニット電力計T4−1,T4−2の時刻合せも行われない。このため、ユニット電力計T4−1,T4−2の配下のユニット電力計T3−1,T3−2,T3−3,T3−4の時刻合せも行われない。
【0068】
これに応答して、過去に先に更新が行われていて、予め定める期間、たとえば数日に亘るカウント期間が先にタイムアップするユニット電力計T4−1が、時刻t11において、上位のユニット電力計T5−1に対して時刻が未更新であることを報知するとともに、副ルートへの切換えを要求するルートの再登録要求を送信する。それらの未更新の報知および再登録要求は、時刻t12においてユニット電力計T5−1からゲートウエイGWaに送信され、その後サーバ装置1に転送される。後にタイムアップしたユニット電力計T4−2も同様に、未更新の報知および再登録要求を行う。なお、時計部13が初期状態などでリセットされている場合は、直ちにそのことを報知するとともに、ルートの再登録要求を送信する。
【0069】
ここで、各無線通信装置5の無線通信制御部12は、間欠受信を行うが、送信側は呼び出しを2秒間行うのに対して、受信側は十数msec間隔で周波数の異なる10チャネルをスキャンし、休み、またスキャンするという間欠受信を行っている。したがって、呼び出し側が間欠受信の間隔に対して充分に長い時間呼び出しを行うので、着信可能であり、これは前記ユニット電力計T5−1のように時刻同期が取れていない無線通信装置に対しても同様で、これによって図10に示すような、該時刻同期が取れていないユニット電力計T5−1を介する未更新の報知および再登録要求の送信が可能となる。
【0070】
サーバ装置1は、これに応答して、再登録応答および時刻更新の指示を与え、これを受信したゲートウエイGWaは、時刻t13において副ルートとなるユニット電力計T5−2に対してそれらを転送し、時刻t14においてユニット電力計T5−2からユニット電力計T4−3へ、さらに時刻t14においてユニット電力計T4−3からユニット電力計T4−1へ転送され、時刻合せが行われる。
【0071】
サーバ装置1は、以上のことから、ユニット電力計T5−1の時計部13が精度保証範囲を超えて大幅にずれて故障が発生しているものと判定し、交換されると、正ルートへの復帰のための再登録要求を該当のユニット電力計T4−1,T4−2へ送信する。
【0072】
このように各無線通信装置5で順次時刻設定を行ってゆくにあたって、自機が現在使用中の時刻に、受信された時刻情報の時刻が予め定める値以上にずれている場合には、自機が異常である可能性が高いと判断し、前記時刻情報の再送信(転送)を行わなくすることで、時計部13のずれが他の無線通信装置へ波及してしまうことを防止することができる。
【0073】
また、前述のように時刻情報を受信したことを表す応答信号をゲートウエイGWへ返信しない場合、正しく時刻設定が行われなくても、ゲートウエイGWはそれを分らず、またその無線通信装置および配下の無線通信装置では、正確な前記定時発報や定時検針が行えないので、前記無線通信制御部12が、上述のように時計部13がリセットされていると判定した時点で、或いは他の例としては予め定める期間以上に亘って前記時刻情報が更新されていないと判定した時点で、前記ゲートウエイGWへ自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することで、正しく時刻設定が行われたか否かを表す応答信号を返信しないようにしてトラヒックを抑えても、時計部13が狂った無線通信装置が放置されないようにすることができる。
【0074】
さらにまた、前記時刻情報の送信要求を送信するということは、その無線通信装置か、それよりも上位段の無線通信装置に故障が生じている、或いは通信経路に異常があるものと判断できるので、ゲートウエイGWは、前記時刻情報の送信要求を受信すると、通信経路を切換えて前記時刻情報を送信することで、故障が生じている、或いは通信経路に異常がある無線通信装置の影響を受けることなく、前記ツリーの末端側の無線通信装置が正しい時刻情報を受信して、正常動作を行う可能性を高めることができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、基端局が、サーバ装置1とゲートウエイGWとから成る例を示した。これは、基端局の一例であり、複数のサーバ装置を備えている基端局、ゲートウエイGWを使用していない基端局等であってもよい。また、端局である各ユニット電力計T間の無線通信方式としてPHSを例示したが、他の無線通信方式を採用することもできる。たとえば、無線LANを構成しているサーバとクライアントに、本発明を適用することも可能である。さらに、無線通信方式ではなく、有線通信方式を採用してもよい。さらにまた、上記実施形態では、端局である各ユニット電力計Tは、複数の階層を備えたツリー状にネットワーク接続されている例を示した。これに代えて、各ユニット電力計Tが個別にサーバ装置1へ接続されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記給電監視制御システムに用いられるユニット電力計の一構成例を示す正面図である。
【図3】前記ユニット電力計における無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】ツリー状に配列される各無線通信装置の送信タイミングを説明するための図である。
【図5】ルートマップの作成方法の一例を示す図である。
【図6】故障時に使用される副ルートの作成方法の一例を示す図である。
【図7】ゲートウエイ故障時に使用される副ルートの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の一形態の時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図である。
【図9】図8のタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施の他の形態の時刻設定動作を説明するための図1のネットワークの一部を切出して示す図である。
【図11】図10のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 負荷開閉器
4 電力量計
5 無線通信装置
6 端子台
11 無線機
12 無線通信制御部
13 時計部
14,24 メモリ
15 入力操作部
21,22 インタフェイス
23 機内通信制御部
25 データ加工部
26 ワーキングメモリ
T1−1〜T1−5,T1−11,T1−12 ユニット電力計
T2−1〜T2−10,T2−11〜T2−14 ユニット電力計
T3−1〜T3−5,T3−11,T3−12 ユニット電力計
T4−1〜T4−4,T4−11,T4−12 ユニット電力計
T5−1,T5−2,T5−11,T5−12 ユニット電力計
GWa,GWb,GWc,・・・ ゲートウエイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信を行う通信部と、時計機能を有する時計部とを有する通信装置を複数備え、前記各通信装置の通信部がデータを中継送信可能なように順次接続されて成り、前記各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにした通信システムにおいて、
前記各通信装置は、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記各通信装置の制御部は、基端局へ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記各通信装置の制御部は、受信した時刻情報が自機の時計部の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の通信装置への前記時刻情報の転送を禁止することを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記各通信装置の制御部は、自機の時計部がリセットされている場合および予め定める期間に亘って時刻更新が行われなかった場合には、前記基端局へ、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項5】
前記基端局は、該基端局から前記各末端局への通信経路を複数有し、特定の通信装置から前記時刻情報の送信要求を受信すると、前記特定の通信装置に対して現在使用している通信経路を、他の通信経路に切換えて前記時刻情報を送信することを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記末端局側から基端局側へ伝送されるデータは各通信装置で収集されたセンシングデータであり、基端局側から末端局側へ伝送されるデータは末端局に対する制御データであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信部はPHSトランシーバモードで通信を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成ることを特徴とする情報通信システム。
【請求項9】
前記請求項8記載の情報通信システムにおいて、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする給電監視制御システム。
【請求項1】
データ通信を行う通信部と、時計機能を有する時計部とを有する通信装置を複数備え、前記各通信装置の通信部がデータを中継送信可能なように順次接続されて成り、前記各通信装置における時計部が共通の時刻を用いるようにした通信システムにおいて、
前記各通信装置は、前記通信部を介して、基端局となる通信装置から末端局となる通信装置へ時刻情報を順次転送し、受信した時刻情報で自機の時計部の時刻を修正する制御部を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記各通信装置の制御部は、基端局へ、前記時刻情報を受信したことを表す応答信号の返信は行わないことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記各通信装置の制御部は、受信した時刻情報が自機の時計部の時刻と予め定める値以上にずれを生じている場合には、下位側の通信装置への前記時刻情報の転送を禁止することを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記各通信装置の制御部は、自機の時計部がリセットされている場合および予め定める期間に亘って時刻更新が行われなかった場合には、前記基端局へ、自機に対する個別の時刻情報の送信を要求することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項5】
前記基端局は、該基端局から前記各末端局への通信経路を複数有し、特定の通信装置から前記時刻情報の送信要求を受信すると、前記特定の通信装置に対して現在使用している通信経路を、他の通信経路に切換えて前記時刻情報を送信することを特徴とする請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記末端局側から基端局側へ伝送されるデータは各通信装置で収集されたセンシングデータであり、基端局側から末端局側へ伝送されるデータは末端局に対する制御データであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信部はPHSトランシーバモードで通信を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信システムに、前記最上位の基端局で送受信されるデータを取扱うサーバ装置を備えて成ることを特徴とする情報通信システム。
【請求項9】
前記請求項8記載の情報通信システムにおいて、各通信装置に、前記センシングデータを取得する電力量計および前記制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする給電監視制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−188929(P2009−188929A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29408(P2008−29408)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000204424)大井電気株式会社 (25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000204424)大井電気株式会社 (25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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