説明

通信学習サーバ

【課題】 送信可能化権の侵害等の問題を回避することによってはじめて可能となる教師と生徒の間での在宅レッスン用通信学習サーバを提供する。
【解決手段】 コンテンツデータを格納するコンテンツデータ格納部10と、該格納部10に格納されたコンテンツデータの送受信を行う通信部11と、該通信部11の制御を行って上記コンテンツデータ格納部10に記憶されたコンテンツデータへのアクセスを管理すると共に、その管理に伴って該コンテンツデータのコンテンツデータ格納部10への格納・変更・削除・読み出しを制御するアクセス管理部12とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信学習サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで外国語会話やピアノのレッスン等は、通常そのスキルを有する教師のところに、教えてもらう側(以下生徒とする)が出向き、リアルタイムで会話や演奏をしながら、指導を受けるのが通常である。
【0003】
ところが、近年における著しいIT技術の発達に伴い、外国語会話レッスンなどは、テレビ会議形式で、自宅に居ながらにして行えるようになった。
【0004】
他方楽器のレッスンは、未だ、そのような状態にいたっておらず、旧態依然としたレッスン方法がとられている。
【0005】
これに対し、楽器のレッスンにおいてもIT技術を使い、会話のレッスンと同様、自宅にいながらにして行えるようにする構成も考えられる。
【0006】
例えば、インターネットなどのネット上に、HTTPサーバ、FTPサーバ及びMAILサーバなどを設け、そこに教師とその生徒のブラウザ端末が接続可能な構成とし、例えば教師側が、具体的な課題曲をホームページ上で提示すると共に、自分が弾いた楽曲の演奏データやそれと一緒に演奏映像データをFTPサーバに格納しておく。
【0007】
他方生徒側は、自分のブラウザ端末を使用して、上記HTTPサーバ上のホームページにアクセスし、その課題曲を受けると共に、FTPサーバから、これらの演奏データや演奏映像データを各々の端末にダウンロードする。それを手本に自らも演奏を行い、その演奏データをFTPサーバを使って、上記FTPサーバ上のデータ格納領域に各生徒用に設けられたファイル格納手段に転送すると共に、練習を行った旨を、教師側にメールで伝える。
【0008】
そのメールを受けた教師は、自分のブラウザ端末を使用して、夫々の生徒の演奏データを上記ファイル格納手段からダウンロードし、自分の端末側で、その演奏状態を聴く。それによって、生徒の演奏の問題のある点などを指摘した文章や具体的な演奏データ(以下評価データという)をその端末上で作成し、それらを、上記各生徒用にデータ格納領域に設けられたファイル格納手段に格納しておき、各々に、教師側のレッスンの採点が終わった旨をメールなどで伝える。
【0009】
各生徒は、夫々のメールを受けて、自己のファイル格納手段にアクセスし、上記評価データをダウンロードし、それらから、教師の評価や矯正すべき演奏部分の指摘を受ける。それによって、再びレッスンを自分で繰り返す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述のように想定される楽器のレッスンのための構成では、教師側及び生徒側の上記演奏データなどを格納しておくところが、HTTPサーバやFTPサーバ上であり、その楽曲に未だ他人の著作権が存在する場合、通常はURLさえ分かれば、誰もがダウンロードできる状態になって格納されることになるため、その楽曲の著作権に関し、送信可能化権を侵害することになってしまうといった問題を生じていた。
【0011】
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、このような送信可能化権の侵害等の問題を回避することによってはじめて可能となる教師と生徒の間での在宅レッスン用通信学習サーバの構成を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため本発明に係る通信学習サーバは、
コンテンツデータを格納するコンテンツデータ格納手段と、該格納手段に格納されたコンテンツデータの送受信を行う通信手段と、該通信手段の制御を行って上記コンテンツデータ格納手段に記憶されたコンテンツデータへのアクセスを管理すると共に、その管理に伴って該コンテンツデータのコンテンツデータ格納手段への格納・変更・削除・読み出しを制御するアクセス管理手段とを有する通信学習サーバであって、
上記アクセス管理手段は、上記通信手段にアクセスしてくるブラウザ端末に対して、アクセス権限の適否を判定すると共に、
アクセス権限の認められたアクセスのうち、特定のアクセス権限を提示するアクセスにおいて、コンテンツデータの読み出しが終了した後、該アクセス管理手段により、該コンテンツデータを上記コンテンツデータ格納手段から自動的に削除、或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動すること
ことを基本的特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、アクセス管理手段により、本サーバにアクセスしてくるブラウザ端末のアクセス権限の適否が判定され、その結果アクセス権限の認められたアクセス(例えば上記教師と生徒が特定のIDやパスワードなどを打ち込んで利用されるブラウザ端末のアクセスなど)のうち、特定のアクセス権限を提示するアクセスにおいて、コンテンツデータの読み出しが終了した後(例えば上記教師の利用するブラウザ端末のアクセスによってコンテンツデータ格納手段に格納されたコンテンツデータに対しては、該教師によって特定の生徒にデータ読み出しのアクセス権限が認められ、この生徒の利用するブラウザ端末のアクセスによってコンテンツデータ格納手段から該コンテンツデータが読み出された際に)、該アクセス管理手段により、該コンテンツデータが上記コンテンツデータ格納手段から自動的に削除される、或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動することになる。このようなアクセス権限の管理と、該アクセスに対応するコンテンツデータ格納手段におけるコンテンツデータに対する処理の制御が上述のようにしてなされることで、送信可能化権の侵害等の問題を回避することができるようになり、従って教師と生徒の間でのレッスンが互いに自宅に居ながらにして行える、所謂在宅レッスンが行えるようになる。
【0014】
また請求項2の構成は、上記アクセス管理手段を更に具体的な構成として示したものであって、具体的には、
上記通信手段にアクセスしてくるブラウザ端末に対して、アクセス権限の適否及び権限の種類を判定する権限判定手段と、
該権限判定手段が判定するアクセス権限の種類と、コンテンツデータ格納手段に格納されているコンテンツデータに対するアクセスの種類とのリンク付けを行うリンク付け手段と、
該リンク付け手段によりリンク付けされた任意のコンテンツデータのアクセスの種類に応じて、該コンテンツデータに対するコンテンツデータ格納手段への格納・変更・削除・読み出し処理を管理する処理管理手段と
を有しており、
上記権限判定手段と処理管理手段とにより、上記コンテンツデータ格納手段における該コンテンツデータの読み出しが、最初にこのコンテンツデータをコンテンツデータ格納手段に格納した者のアクセスによって指定された者のアクセスによるものであるか否かが判定されると共に、
該コンテンツデータの読み出しが、上記指定された者のアクセスに対して行われたと権限判定手段及び処理管理手段で判定された場合に、その読み出しが終了した後、上記処理管理手段により、該コンテンツデータを上記コンテンツデータ格納手段から自動的に削除、或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動する
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1及び請求項2記載の通信学習サーバによれば、送信可能化権の侵害等を生ぜずに、IT技術を使用して所謂在宅レッスンが行えるようになるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態構成としての通信学習サーバ100が、インターネット300を介して先生Aのブラウザ端末200、生徒Bのブラウザ端末210及び生徒Cのブラウザ端末211とつながり、その間で演奏データや楽譜データなどのコンテンツデータ、及びこれらが使用されてピアノレッスンが行われる場合の先生の指示や、生徒の質問、それに対する答えなどの各会話データなどがやりとりされる状態を示している。尚、この実施例では、先生A、生徒B及び生徒CのユーザーIDとパスワードの設定が、各端末と通信学習サーバ100との間で既になされており、後述するように、端末が通信学習サーバ100に接続した時にこのユーザIDとパスワードのやり取りが各端末と通信学習サーバ100との間でなされ、アクセス権限の判定がなされるものとする。
【0017】
図2は、そのうち、上記通信学習サーバ100の機能概要を示している。すなわち、該通信学習サーバ100は、コンテンツデータ等を格納するコンテンツデータ格納部10と、該格納部10に格納されたコンテンツデータ等の送受信を行う通信部11と、該通信部11の制御を行って上記コンテンツデータ格納部10に記憶されたコンテンツデータ等へのアクセスを管理すると共に、その管理に伴って該コンテンツデータ等のコンテンツデータ格納部10への格納・変更・削除・読み出しを制御するアクセス管理部12とを有している。
【0018】
ここでは、通信部11にインターネット300からのアクセスがあると、それがアクセス管理部12に通知され、該通信学習サーバ100へのアクセス権限があるか否かが判定される。アクセス権限があるとアクセス管理部12が判定した場合、次にそのアクセスの種類の判定がなされる。
【0019】
たとえば、そのアクセスが先生Aのブラウザ端末200による場合、IDやパスワード等の送受により、該アクセスに対するアクセス権限の判定がなされる。そして、先生Aのアクセスであることが認められると(先生Aのアクセス権限が認められると)、そのアクセスによる処理の種類の判定がなされる。生徒Bに提示する新しい練習課題曲を登録する場合は、先生Aが手本として弾いた新しい演奏データ(コンテンツデータ)や先生からの指示乃至アドバイスを含む会話データ等の格納が指示される。
【0020】
この時、アクセス管理部12は、コンテンツデータ格納部10に対して、どのような処理(それらのデータの格納・変更・削除等)がなされるか、その種類が判定される。またそれと共にそれらのデータに対し、アクセスして良い生徒とそのアクセスの種類等の特定を一緒に行う(電子メールアドレスなどの特定を含む)。
【0021】
それによってアクセス管理部12は、後述する図5の左側のようなインデックスデータを作成し、コンテンツデータ格納部10へ格納する。同時に上記ブラウザ端末200からアップロードされる演奏データなどを同図に示すように、コンテンツデータ格納部10へ格納する。この時、アクセス管理部12により、同じ項番が付けられ、互いにリンク付けされる。
【0022】
一方、上述のように、アクセス管理部12は、上記格納された演奏データ等に対し、先生Aのブラウザ端末200から、該演奏データ等への読み出し等のアクセスができる生徒Bの電子メールアドレスを得ているので、該電子メールアドレスを使用して、該生徒Bへ先生Aからの課題曲が登録されている旨の電子メールを通信部11を介して自動的に送出する。
【0023】
この電子メールには、上記通信部11のURLが含まれており、該生徒Bのブラウザ端末210に一緒にインストールされている電子メールソフトでその電子メールを開けると、そこに該URLが記載されており、それを生徒Bが端末210上でクリックすると、該ブラウザ端末210は、本通信学習サーバ100の通信部11につながる。
【0024】
以下は、先生Aの場合と同様、アクセス権限の判定がなされ、そしてその生徒Bのアクセスの種類が特定される。この場合は、生徒Bは、コンテンツデータ格納部10に該生徒B用に先生Aによって格納された演奏データ等(指示やアドバイス等の会話データも含む)のみへの読み出しアクセスが許されている。この際、該生徒Bが自己のブラウザ端末210により、先生Aからの課題曲の演奏データのダウンロードを要求すると、上記図5のインデックスデータ上に示されたダウンロードフラグが、図9に示すように立ち、該演奏データ等のデータのダウンロードが実行される。
【0025】
以上の演奏データ等のダウンロードが終了すると、このインデックスデータにリンク付けされた演奏データ(コンテンツデータ)等は、アクセス管理部12により、コンテンツデータ格納部10から削除される。同時に上記インデックスデータ上の削除フラグが、図11に示すように立ち、該インデックスデータが更新されることになる。
【0026】
以上とは逆に生徒BやCから、先生Aに対し、自己に与えられた課題曲の演奏データを先生Aに送り、批評などを受ける場合は、上記の手順が先生Aと生徒B又はCと全く逆になって行われることになる。
【0027】
図3は、上記アクセス管理部12の更に詳細な機能構成のブロック図を示している。該アクセス管理部12は、権限判定部120と、リンク付け部121と、処理管理部122とを有している。
【0028】
そのうち上記権限判定部120は、上記通信部11にアクセスしてくるブラウザ端末に対して、アクセス権限の適否及び権限の種類を判定する機能を有しており、本サーバ100のCPU(図示無し)と、該CPUに読み込まれて上記判定機能をこのCPUに実行させる、本サーバ100のハードディスクドライブ(図示無し;上記コンテンツデータ格納部10もこのドライブで構成される)に格納されたプログラムとにより構成されている。
【0029】
上記リンク付け部121は、後述する図5に示すように、権限判定部120が判定するアクセス権限の種類と、コンテンツデータ格納部10に格納されているコンテンツデータ等に対するアクセスの種類とのリンク付けを行う機能を有しており、上述と同様、上記CPUと、該CPUに読み込まれて上記リンク付け機能をこのCPUに実行させる、上記ハードディスクドライブに格納されたプログラムとにより構成されている。ここでは、インデックスデータとコンテンツデータ(演奏データ)のそれぞれのデータ先頭部に同じ管理番号を付けることで、リンク付けがなされることになる。
【0030】
上記処理管理部122は、リンク付け部121によりリンク付けされた任意の演奏データ等のアクセスの種類に応じて、該演奏データ等に対するコンテンツデータ格納部10への格納・変更・削除・読み出し処理を管理する機能を有しており、上述と同様、上記CPUと、該CPUに読み込まれて上記処理管理機能をこのCPUに実行させる、上記ハードディスクドライブに格納されたプログラムとにより構成されている。
【0031】
以上のアクセス管理部12の構成のうち、上記権限判定部120と処理管理部122とにより、上記コンテンツデータ格納部10における該演奏データ等の読み出しが、最初にこの演奏データ等をコンテンツデータ格納部10に格納した者(例えば先生A)のアクセスによって指定された者(例えば生徒B)のアクセスによるものであるか否かが判定される。なお、生徒BやCから先生Aに自己の練習曲の実演データを送り、批評等をしてもらう場合は、その逆になる。
【0032】
該演奏データ等の読み出しが、上記指定された者(例えば生徒B)のアクセスに対して行われたと権限判定部120及び処理管理部122で判定された場合に、その読み出しが終了した場合には、上記処理管理部122により、該演奏データ等が上記コンテンツデータ格納部10から自動的に削除されることになる(或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動させるようにしても良い)。なおここでも、生徒BやCから先生Aに自己の練習曲の演奏データを送り、先生Aが該データをダウンロードした後は、以上の逆になる。
【0033】
図4〜図11までは、上記構成の実行中に、各ブラウザ端末200及び210(又はブラウザ端末211)の画面表示と、コンテンツデータ格納部10におけるインデックスデータ及びそれに関連する演奏データ(コンテンツデータ)との格納状態等、及びそれらの遷移を示している。なお、これらの画面構成では、先生及び生徒ともいずれもID及びパスワードによるアクセス権限の適否の判定が権限判定部120によって行われており、いずれの場合もアクセス権限があると認められた状態である。
【0034】
例えば先生Aが生徒Bに対し、練習課題曲を提示し、その手本となる課題曲の演奏データ及び練習時のアドバイス等を本通信学習サーバ100に登録する場合、自分のブラウザ端末200を使用して上記通信学習サーバ100にアクセスする。すると、通信学習サーバ100により、図4に示すような画面が、上記ブラウザ端末200に表示される。
【0035】
ここで、先生Aが弾いた手本となる課題曲の演奏データが、先生Aにより選択される。又送付先としてだれにそのデータのダウンロードを認めるかを入力してもらう。この例では、生徒B(又は生徒C)が入力されるが、さらに該生徒B(又は生徒C)に、課題曲の演奏データが登録されていることを知らせるために、生徒B(又は生徒C)の電子メールアドレスの入力が求められることになる。
【0036】
これらが選択・入力されて送信ボタンがクリックされると、図5に示されるように、先生Aの属性データ(データ格納者としてのデータ属性と該データに関する権限の属性データ)と入力指定した生徒Bの属性データ(データの受領者としてのデータ属性と該データに関する権限の属性データ)及びデータ受領者に関するダウンロードフラグ及び該データの削除フラグを一括りにするインデックスデータが、処理管理部122により、コンテンツデータ格納部10上に生成される。
【0037】
また先生Aのブラウザ端末200からアップロードされてくる上記演奏データは、コンテンツデータとして、アドバイス等のデータと共に、同じくコンテンツデータ格納部10へ格納される。その際、リンク付け部121により、上記インデックスデータとそれに対応するコンテンツデータには、それぞれのデータ先頭部に同じ管理番号を付けることで、リンク付けがなされることになる。
【0038】
これらの処理が終了すると、通信学習サーバ100により、上記のようにして入力された生徒Bの電子メールアドレス宛に、図6に示すような電子メールが送出される。この電子メールには、本通信学習サーバ100のURLが掲載されている。
【0039】
生徒Bが電子メールを受け取ると、そのメール受信画面(ブラウザ画面ではなくメールプログラムの画面表示)には、図6のように表示される。ここでは、先生Aから課題曲に関する演奏データ(コンテンツデータ)がそこに示されたURLに格納されていることが、そのメール受信画面から明らかとなる。そこで、生徒Bは、そのURLをクリックすることで、ブラウザプログラムがその端末210上で立ち上がり、本通信学習サーバ100にアクセスすることになる。
【0040】
本通信学習サーバ100に、上記生徒Bのブラウザ端末210が接続されると、ユーザID及びパスワードの入力が該サーバ100により求められる。それに応じて生徒Bが該ユーザID及びパスワードを入力することで、権限判定部120により、そのアクセスに対してアクセス権限があるか否かがチェックされる。ここでは、その詳細は省略し、アクセス権限が認められて、生徒Bのアクセスであると判定されたものとする。
【0041】
すると、生徒Bのブラウザ端末210画面には、生徒Bに先生Aが課題曲として選定し、コンテンツデータ格納部10内に格納した演奏データが選択可能な図7に示すような画面表示がなされる。ここで生徒Bは、コンテンツデータ格納部10内に格納された演奏データを選択し、ダウンロードボタン(図上Yesの選択ラジオボタン)をクリックする。そしてOKボタンをクリックする。
【0042】
すると、コンテンツデータとしてコンテンツデータ格納部10内に格納された演奏データ及びアドバイスなどのデータが本通信学習サーバ100から、生徒Bブラウザ端末210にダウンロードされる。この間生徒Bブラウザ端末210には、図8に示すような画面表示がなされる。
【0043】
そのダウンロードが終了すると、処理管理部122により、図9に示すように、インデックスデータ中のダウンロードフラグが立てられることになる。これは、インデックスデータ上ダウンロードが済んだことを記録するためである。
【0044】
次に上記処理管理部122により、上記インデックスデータと同一管理番号(リンク付けされた)のコンテンツデータ等を、コンテンツデータ格納部10から削除する。
【0045】
すると、生徒Bブラウザ端末210には、図10に示すようなダウンロード終了と共にそのコンテンツデータ等が削除された旨の画面表示がなされる。
【0046】
同時に図11に示すように、削除されたコンテンツデータと同一管理番号のインデックスデータ中にある削除フラグが立てられることになる。
【0047】
以上の処理工程は、先生Aが生徒Bに対し課題曲を出し、自分の弾いた演奏データを、自分のブラウザ端末200を介して、本通信学習サーバ100のコンテンツデータ格納部10へコンテンツデータとして格納すると共に、その知らせを受けた生徒Bが、本通信学習サーバ100にアクセスし、自分のブラウザ端末210に、該演奏データをダウンロードする場合について、詳述した。これに対し、以上とは逆に生徒BやCから、先生Aに対し、自己に与えられた課題曲の演奏データを先生Aに送り、批評などを受ける場合は、上記の処理工程が先生Aと生徒B又はCと全く逆になって行われることになる。
【0048】
図12及び図13は、本通信学習サーバ100におけるコンテンツデータのアップロード及びダウンロードの処理ステップを示すフローチャートである。
【0049】
図12に示すように、まず本通信学習サーバ100では、通信部11へのアクセスがあったか否かがチェックされる(ステップS100)。アクセスがなければ(ステップS100;N)、最初に戻る。
【0050】
反対にアクセスがあれば(ステップS100;Y)、そのアクセス先にユーザIDやパスワードの入力を求め、それに応じて入力されてきたこれらに関する情報から、該アクセスにアクセス権限があるか否かが権限判定部120によりサーチされる(ステップS101)。
【0051】
そして入力されたユーザIDやパスワードに対応するものがあるか否か、すなわちアクセス権限があるか否かがチェックされる(ステップS102)。アクセス権限がなければ(ステップS102;N)、処理を終了し(ステップS103)、上記ステップS100に復帰する。
【0052】
反対にアクセス権限があれば(ステップS102;Y)、そのアクセスにより、本通信学習サーバ100に対し、どのような処理をさせたいのか、すなわち該アクセスの種類のサーチがなされる(ステップS104)。上記ユーザIDにより、先生A又は生徒BやCであると判定されているので、データのアップロード、ダウンロード、変更・削除など、インデックスデータの権限の部分をサーチすれば分かることになる。なお、新しいデータをアップロードする場合は、該当するインデックスデータやコンテンツデータがないので、それもインデックスデータ該当無しとして検索され、すぐに分かることになる。
【0053】
そして処理管理部122により、コンテンツデータ(演奏データ)等のアップロードであるか否かがチェックされる(ステップS105)。ここで上記データのダウンロードであることが判定されれば(ステップS105;N)、後述する図13で説明するダウンロード処理工程に移行する。
【0054】
反対にコンテンツデータのアップロードであれば(ステップS105;Y)、図4に示すようなデータのアップロードに必要な情報の入力画面が、通信学習サーバ100により、それにつながったブラウザ端末画面に出力される(ステップS106)。
【0055】
そして対象となるコンテンツデータがアップロードされたか否かが、処理管理部122によりチェックされる(ステップS107)。コンテンツデータがアップロードされていなければ(ステップS107;N)、上記ステップS106に戻る。
【0056】
反対にコンテンツデータがアップロードされていれば(ステップS107;Y)、上記情報入力画面表示の際にブラウザ端末にダウンロード対象者(アップロードする者が先生Aであれば生徒BかC、生徒B又はCがアップロードするのであればその逆)の情報(対象者を特定する情報と電子メールアドレス)の入力があったか否かがチェックされる(ステップS108)。その入力がなければ(ステップS108;N)、上記ステップS106に復帰する。
【0057】
反対にその入力があれば(ステップS108;Y)、その対象者の情報(少なくともユーザIDなど)がサーチされる(ステップS109)。そして図4に示すようなインデックスデータとコンテンツデータがコンテンツデータ格納部10内に格納されると共に、リンク付け部121によりこれらのデータのリンク付け(すなわちこれらのデータの筆頭に同じ管理番号を付す)がなされる。
【0058】
さらに上記入力画面に従って、上記対象者の電子メールアドレスの入力があったか否かがチェックされる(ステップS110)。該項目は必須入力項目ではなく、もし電子メールアドレスの入力がなければ(ステップS110;N)、その対象者の住所などをサーチし、プリントアウト出力して(ステップS114)、処理を終了する。この場合、プリントアウトされたものは、郵便などで対象者に送られる。
【0059】
反対に電子メールアドレスの入力があれば(ステップS110;Y)、予め本通信学習サーバ100中に登録されている先生Aや生徒B、Cなどの電子メールアドレスとの照合がなされる(ステップS111)。
【0060】
そして入力された電子メールアドレスと予め登録されている電子メールアドレスとが一致しているか否かがチェックされる(ステップS112)。
【0061】
入力された電子メールアドレスと予め登録されている電子メールアドレスとが一致していれば(ステップS112;Y)、該電子メールアドレス宛に、図6に示すような電子メールが出力される(ステップS113)。反対にこれらが一致していなければ(ステップS112;N)、上記と同様、住所などをサーチし、プリントアウト出力して(ステップS114)、処理を終了する。
【0062】
図13は、上記ステップS105で、コンテンツデータ(演奏データ)等のダウンロードであると判定された場合の以後のダウンロード処理フローを示している。
【0063】
図7に示すようなデータのダウンロードに必要な情報の入力画面が、通信学習サーバ100により、それにつながったブラウザ端末画面に出力される(ステップS201)。
【0064】
そしてダウンロード対象となるコンテンツデータがコンテンツデータ格納部10に格納されているか否かが、処理管理部122によりチェックされる(ステップS202)。コンテンツデータが格納されていなければ(ステップS202;N)、上記ステップS201に戻る。
【0065】
反対にコンテンツデータが格納されていれば(ステップS202;Y)、本通信学習サーバ100にアクセスして入力されたユーザIDなどを基に、ダウンロード対象となるコンテンツデータとリンク付けられたインデックスデータ欄のダウンロード者のユーザ属性が調べられる(ステップS203)。
【0066】
それにより、アクセスしてきたユーザにそのコンテンツデータに対するダウンロード権限があるか否かがチェックされる(ステップS204)。
【0067】
その権限がなければ(ステップS204;N)、上記ステップS201に復帰する。反対にその権限があれば(ステップS204;Y)、上記インデックスデータ欄のダウンロード権限を持つアクセスしてきたユーザに対し、対応するコンテンツデータを送信し、そのブラウザ端末にダウンロードさせる(ステップS205)。
【0068】
このダウンロードが終了した時点で、上記インデックスデータのダウンロードフラグが立てられ、またそれに対応するコンテンツデータが削除される(ステップS206)。同時にインデックスデータの削除フラグが立てられる。
【0069】
そして図10に示されるような処理終了画面が、通信学習サーバ100により、ダウンロードを終えたブラウザ端末画面に出力される(ステップS207)。 以上詳述した本実施形態構成によれば、先生Aと生徒B又はCとの間でやりとりされる課題曲などの演奏データについて、それに依然として著作権が存在する場合でも、ダウンロードされる相手が個人で且つ特定されており、他の者はいっさいアクセスができず、且つその相手方に一旦ダウンロードされてしまえば、コンテンツデータ格納部10に格納されていたコンテンツデータは削除されてしまうことになる。そのため、そのコンテンツデータの送信可能化権が侵害されることはない。従って以上のようなIT技術を使用して、ピアノレッスンなどが所謂在宅レッスンの形式で行えるようになる。
【0070】
また上記構成によれば、一旦所定の者にコンテンツデータがダウンロードされると、コンテンツデータ格納部10からそのデータは削除されるので、該コンテンツデータ格納部10のデータ格納領域も、直ぐに一杯になってしまうことはなく、該格納領域が狭められることもない。
【0071】
尚、本発明の通信学習サーバは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】インターネット300を介して本発明の一実施形態構成に係る通信学習サーバ100とブラウザ端末とがつながった状態を示す説明図である。
【図2】通信学習サーバ100の機能概要を示す概要図である。
【図3】アクセス管理部12の更に詳細な機能構成のブロック図である。
【図4】先生Aが生徒Bに対し、練習課題曲を提示し、その手本となる課題曲の演奏データ及び練習時のアドバイス等を本通信学習サーバ100に登録する場合に、ブラウザ端末200に表示される画面構成説明図である。
【図5】各フラグを含むインデックスデータとそれに対応するコンテンツデータとが関連付けられた状態を示すデータ格納状態を示すデータ説明図である。
【図6】コンテンツデータのダウンロード対象となる者へ送られた電子メールの表示画面を示す説明図である。
【図7】上記電子メールに掲載されたURLをクリックすることで、本通信学習サーバ100にブラウザ端末210がアクセスしてきた場合の該端末表示画面の状態を示す説明図である。
【図8】コンテンツデータのダウンロード中のブラウザ端末210表示画面の状態を示す説明図である。
【図9】コンテンツデータのダウンロードが終了した時点でのそれに対応するインデックスデータ中のダウンロードフラグが立った状態を示すデータ説明図である。
【図10】コンテンツデータのダウンロードが終了した時点でのブラウザ端末210表示画面の状態を示す説明図である。
【図11】コンテンツデータのダウンロードが終了した時点でのインデックスデータ中の削除フラグが立り、且つ該当するコンテンツデータが削除された状態を示すデータ説明図である。
【図12】本通信学習サーバ100におけるコンテンツデータのアップロードの処理ステップを示すフローチャートである。
【図13】本通信学習サーバ100におけるコンテンツデータのダウンロードの処理ステップを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
10 コンテンツデータ格納部
11 通信部
12 アクセス管理部
100 通信学習サーバ
120 権限判定部
121 リンク付け部
122 処理管理部
200、210、211 ブラウザ端末
300 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを格納するコンテンツデータ格納手段と、該格納手段に格納されたコンテンツデータの送受信を行う通信手段と、該通信手段の制御を行って上記コンテンツデータ格納手段に記憶されたコンテンツデータへのアクセスを管理すると共に、その管理に伴って該コンテンツデータのコンテンツデータ格納手段への格納・変更・削除・読み出しを制御するアクセス管理手段とを有する通信学習サーバであって、
上記アクセス管理手段は、上記通信手段にアクセスしてくるブラウザ端末に対して、アクセス権限の適否を判定すると共に、
アクセス権限の認められたアクセスのうち、特定のアクセス権限を提示するアクセスにおいて、コンテンツデータの読み出しが終了した後、該アクセス管理手段により、該コンテンツデータを上記コンテンツデータ格納手段から自動的に削除、或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動すること
を特徴とする通信学習サーバ。
【請求項2】
上記アクセス管理手段は、
上記通信手段にアクセスしてくるブラウザ端末に対して、アクセス権限の適否及び権限の種類を判定する権限判定手段と、
該権限判定手段が判定するアクセス権限の種類と、コンテンツデータ格納手段に格納されているコンテンツデータに対するアクセスの種類とのリンク付けを行うリンク付け手段と、
該リンク付け手段によりリンク付けされた任意のコンテンツデータのアクセスの種類に応じて、該コンテンツデータに対するコンテンツデータ格納手段への格納・変更・削除・読み出し処理を管理する処理管理手段と
を有しており、
上記権限判定手段と処理管理手段とにより、上記コンテンツデータ格納手段における該コンテンツデータの読み出しが、最初にこのコンテンツデータをコンテンツデータ格納手段に格納した者のアクセスによって指定された者のアクセスによるものであるか否かが判定されると共に、
該コンテンツデータの読み出しが、上記指定された者のアクセスに対して行われたと権限判定手段及び処理管理手段で判定された場合に、その読み出しが終了した後、上記処理管理手段により、該コンテンツデータを上記コンテンツデータ格納手段から自動的に削除、或いはコンテンツデータ格納手段の非公開なエリアに移動する
ことを特徴とする請求項1記載の通信学習サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−4094(P2006−4094A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178598(P2004−178598)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】