説明

通信用筐体

【課題】 光パッチパネル部を観音開きの可動式とすることにより、光ファイバを光コネクタ部へ接続する作業性を向上させ、小型化を提供すること。
【解決手段】 小型化により光伝送装置を収容するラックの同一領域内に実装可能となり、ネットワーク構築時だけでなく、構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合でも、光レベルや光分散調整がフロント側の1箇所より容易に作業が可能となる。また、光レベル調整用の光減衰器や光分散補償用ファイバをパッチパネル部102、103の内部に実装可能としている為、実装に制約を受けることがない。これにより、スムーズな経路変更が可能となり、支障移転時での光レベル調整も容易で確実にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用筐体に係り、特に、光通信システムに用いられる光ファイバ用パッチパネルや小型パッチパネル等の通信用筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信システム分野において光ネットワークを形成する光伝送装置では、光ファイバ配線を必要とし装置への光ファイバ配線による光余長を規定のファイバ曲げ半径を確保しつつ処理する領域が必要である。また、波長多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を利用した装置の導入も進み、光ファイバの配線数も増加している。光波長多重伝送では、伝送路間の光レベル、光分散を伝送路区間単位で調整する必要があり、光レベル調整用の光減衰器や光分散補償用ファイバを伝送路経路特性にあわせて調整、実装する必要がある。
【0003】
従来では、光レベル調整用の光減衰器は、光伝送路と光伝送装置との間に施設されるパッチパネル部に実装する場合が多い。これは、光レベル調整用減衰器を光伝送装置側で実装する場合、高密度実装化による操作性確保や光伝送装置を搭載するラック前面扉との干渉等による実装制約が多い為である。また、パッチパネル部は、光伝送路と光伝送装置を接続する中継点である為、光伝送装置近辺に必ずあるわけではない。さらに、パッチパネル部は、光ファイバの挿抜作業に支障がないように操作領域を大きくとる必要があり、実装領域の確保に課題が残る。前述の通り、ネットワークを構築する際や伝送路の経路変更に伴う光レベル調整作業は、設置場所の異なる光伝送装置とパッチパネル部で光レベルの測定を実施することとなり作業効率も必ずしも良くない場合がある。
また、作業効率向上の為にパッチパネル部を光伝送装置近傍に設置可能な構造が特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-65141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来では、ネットワーク構築、伝送路経路変更による支障移転時の光レベル調整やそれに伴う光ファイバの配線は、光伝送装置およびパッチパネル部に別れて作業を実施する必要があり、パッチパネル部においてもフロント側とリア側の両サイドから接続作業を必要とし、作業効率の低下を招く場合がある。また、パッチパネル部は運用ファイバの誤抜去防止の観点からも操作領域を確保し、光コネクタ部へアクセスし易い大型化が必然となっている。
また、特許文献1に記載されたような構造では、ネットワーク構築時の光レベル調整作業において光伝送装置のフロント側およびリア側にて作業が発生してしまうという課題および光余長処理部が奥行き方向に固定設置されている為、操作性確保の為に実装領域を大きくとる必要がある課題が残る。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、小型でフロント側から容易に光ファイバ配線および光レベル調整作業を行うことができるパッチパネル部等の通信用筐体を提供することを目的のひとつとする。本発明は、特に、光ファイバを接続する光コネクタを複数個実装したパネルおよび配線に伴う余長処理部を観音開き式構造にすることにより、構築や支障移転時の光レベル調整・分散調整がパネルフロントより容易に作業可能な小型パッチパネルを提供することを目的とする。
本発明は、ネットワーク構築時だけでなく、構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合でも、光レベルや光分散調整が光伝送装置前面側の1箇所より容易に作業を可能とすることを他の目的とする。また、本発明は、光レベル調整用の光減衰器や光分散補償用ファイバをパッチパネル部等の通信用筐体内部に実装可能とし、前述に記載した実装制約を解決し小型化を実現することを他の目的とする。さらに、本発明は、これにより、スムーズな経路変更を可能とし、支障移転時での光レベル調整も容易で確実にできるようにすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によると、
光ファイバを中継用光コネクタにパネル正面側から接続を可能とし作業性を向上させる為に、中継用光コネクタを複数個実装したパネルのサイドを支柱固定とし、観音開き式にパネルおよび余長処理部を開閉可能とすることを特徴とする小型光パッチパネルが提供される。

そして、パッチパネル部のフロント側より容易にアクセスが可能な構造として光伝送路と光伝送装置間を接続する光コネクタを光パッチパネル部前面端に実装し、光パッチパネル部と光ファイバ余長処理部を観音開き式に可動させることにより、フロント側にて光パッチパネル部に実装されている光コネクタ部の前面側および後面側の両サイドにアクセスが容易に可能となる。また、観音開き式に可動させることにより、ネットワーク構築や伝送路経路変更に伴い、光レベル調整が発生した場合でも、光パッチパネル内側に光減衰器を搭載することが可能となり、収容領域への制約もなく必要な調整が実現可能となる。更に、パッチパネル部内部奥行き領域に分散補償ファイバを搭載することにより、光分散調整もフロント側から容易に実施可能となる。さらに、光ファイバ余長処理部をパッチパネル部と合わせて可動させることにより光ファイバの曲げ半径規定を確保することが容易に可能となる。また、観音開き構造の支点にて伝送路側もしくは光伝送装置側からの光ファイバの配線ルートを確保し、曲げ半径規定を確保する構造にて配線を規定することにより新規ネットワーク構築時の光ファイバ配線や光パッチパネル部扉開閉時による曲げ半径規定以下の配線になることを防止する。
【0008】
本発明の第1の解決手段によると、
伝送路と伝送装置を接続するための複数のコネクタと、配線を筺体内部へ引き込むための配線用開口部と、筺体に支持するための支柱とを有し、該支柱を中心に正面側へ観音開き式に開閉可能な構造となっているパネル部と、
前記パネル部の正面側に前記パネル部と一体構造で実装され、配線の余長を処理するための正面側余長処理部と、
前記パネル部の背面側に前記パネル部と一体構造で実装され、前記配線用開口部より筺体内部へ引き込まれた配線の余長を処理するための背面側余長処理部と、
を備え、
前記パネル部、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部は、筺体の正面の左右両側に設けられ、前記パネル部の開閉時に、前記支柱を中心に前記パネル部と一体にて観音開き式に回転可動することを特徴とする通信用筺体が提供される。
【0009】
本発明の第2の解決手段によると、
伝送路と伝送装置を接続するための複数のコネクタと、配線を筺体内部へ引き込むための配線用開口部と、筺体に支持するための支柱とを有し、該支柱を中心に正面側へ観音開き式に開閉可能な構造となっているパネル部と、
前記パネル部の正面側に前記パネル部と一体構造で実装され、配線の余長を処理するための正面側余長処理部と、
前記パネル部の背面側に前記パネル部と一体構造で実装され、前記配線用開口部より筺体内部へ引き込まれた配線の余長を処理するための背面側余長処理部と、
を備え、
前記パネル部、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部は、筺体の正面の左又側は右側の一方のみに設けられ、前記パネル部の開閉時に、前記支柱を中心に前記パネル部と一体にて片側開き式に回転可動することを特徴とする通信用筺体が提供される。

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パッチパネル部等の通信用筐体を可動式とし、光コネクタ部への作業性を確保することにより小型化を提供する。本発明によれば、特に、光パッチパネル部を観音開きの可動式とすることにより、光ファイバを光コネクタ部へ接続する作業性を向上させ、小型化を提供することができる。
また、本発明によれば、小型化により光伝送装置を収容するラックの同一領域内に実装可能となり、ネットワーク構築時だけでなく、構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合でも、光レベルや光分散調整がフロント側の1箇所より容易に作業が可能となる。また、本発明によると、光レベル調整用の光減衰器や光分散補償用ファイバをパッチパネル部等の通信用筐体内部に実装可能としている為、実装に制約を受けることがない。さらに、本発明によると、これにより、スムーズな経路変更が可能となり、支障移転時での光レベル調整も容易で確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】光パッチパネル部外観図である。
【図2】光パッチパネル部外観図である。
【図3】光パッチパネル部の扉開閉角度を制限する機構図である。
【図4】光パッチパネル部への光ケーブル配線の一例である。
【図5】光パッチパネル部正面図である。
【図6】光パッチパネル部上面図である。
【図7】第2の実施の形態の光パッチパネル部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

1.第1の実施の形態(両側の観音開きの可動式)

図1は、光パッチパネル部の外観を示す図である。

図において、光パッチパネル部102、103を構成形成する通信用筺体101が示される。この通信用筺体101の正面には、光伝送路と光伝送装置を光ファイバで接続する為の光コネクタ113を複数実装した光パッチパネル部102、103および配線された光ファイバの余長を処理する為の余長処理部201、202を備える。さらに、筺体101はラックに搭載可能なラック取り付け用L字型状の固定部110、111が取り付けられている。
光パッチパネル部102、103は、筺体101と支柱107にて支持されており、支柱107を中心に正面側へ観音開き式に開閉可能な構造となっている。また、光パッチパネル部102,103には、光コネクタ113がネジ114での締め付け固定によって複数個実装されている為、配線される光ファイバのコネクタ種別によって適合する光コネクタ113へネジ114を外すことにより容易に交換可能な構造となっている。さらに、光パッチパネル部102、103には、つまみネジ106を筺体ネジ穴(図示せず)に締め付け固定することにより、扉開閉を固定する構造となっている。また、光パッチパネル部102,103には、光伝送路もしくは光伝送装置から配線された光ファイバを筺体101内部へ引き込む為の配線用開口部112が設けられており、開口部112に光クランプ115を取り付けることにより配線された光ファイバが開口部112からの飛び出しを防ぎ、扉開閉時でも光パッチパネル部102、103と筺体101間に光ファイバが挟まれることを防止する構造となっている。
配線された光ファイバの余長を処理することができる余長処理部201、202は、光パッチパネル部102,103の正面側に実装されており、配線された光ファイバの余長に対し、光クランプ105を4個一式に十字型に配置することにより光ファイバ曲げ半径規定を満足する配線を可能としている。
光パッチパネル部102、103を支持している支柱107近傍には、光ファイバの曲げ半径規定を確保する円弧型構造部品108が光パッチパネル102、103に対し外側向きに取り付けられている。本円弧型構造部品108によりネットワーク新規構築時の伝送路側もしくは光伝送装置側から光パッチパネル部102、103へ接続される光ファイバの配線ルートが規定の光ファイバ曲げ半径を確保して容易に配線作業を行うことが可能となる。また、支柱107に取り付けられている円弧型構造部品108の付け根部に光クランプ116を取り付けることにより、配線された光ファイバが光パッチパネル部102、103の支柱107を起点として配線される為、光パッチパネル部102、103扉開閉時による光ファイバのつっぱりや曲げ半径規定以下の配線になることを防止する。
【0013】
図2は、光パッチパネル部の左扉開時での外観図を示す図である。
図において、光伝送路と光伝送装置を光ファイバで接続する為の光コネクタ113を複数実装した光パッチパネル部102、103の内側には、光パッチパネル部102、103上部に設けている配線用開口部112より筺体101内部へ配線された光ファイバの余長を処理する為の余長処理部203、204が構成されている。また、筺体101の内部には、光分散補償用ファイバを収容した筺体109を実装可能とした領域を持ち合わせている。その為、ネットワーク構築時だけでなく、構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合でも、光分散調整がフロント側の1箇所より容易に作業が可能となる。また、光分散補償用ファイバ筺体109は、フロント側からスライドすることにより交換可能であり、伝送路の特性に応じた最適な光分散補償用ファイバ筺体109を使用することにより容易に光伝送路特性に応じた調整作業が可能となる。
光パッチパネル部102、103は、支柱107を中心に観音開き式にて扉開閉可能な構造となっている。その為、つまみネジ106を緩めることにより光パッチパネル部102、103の扉が両サイドに観音開き式に開き、パッチパネル内部側に接続される光ファイバがフロント側から容易に接続可能となる。また、観音開き式となっている為、光パッチパネル部102、103に対する接続操作が手前で実施できることにより、光ファイバを配線する操作領域を筺体101部で十分確保する必要もなく、高密度実装にて小型化を実現することが可能となる。
配線された光ファイバの余長を処理することができる余長処理部203、204は、光パッチパネル部102,103と一体構造となっている為、光パッチパネル部102、103扉開閉時、支柱107を中心に光パッチパネル部102、103と同じ軌道にて可動する。その為、光パッチパネル部102、103扉開閉時に配線された光ファイバのつっぱりや規定以下の曲げを防止することができる。また、余長処理部203、204は、光パッチパネル102,103の背面側に実装されており、配線された光ファイバの余長に対し、光クランプ105を4個一式に十字型に配置することにより光ファイバ曲げ半径規定を満足する配線を可能としている。余長処理部203、204は、光パッチパネル部102,103扉開閉時に左右の余長処理部がお互い干渉しないような台形型構造となっている。また、余長処理部201,202も同様に光パッチパネル部102、103扉開閉時に搭載ラックとの干渉を防止するために台形型構造となっており、さらに余長処理部201,202と搭載ラックとの干渉防止の為に光パッチパネル部102、103扉の開閉角度を制限する機構を設けている。
なお、特に台形構造に限らず、円弧形状、半円形状等の干渉しない構造を適宜採用することができる。
また、光クランプ105の数や配置も適宜定めることができる。さらに、光クランク105のかわりに、光ファイバ曲げ半径規定を満足するような光クランプ105以外の適宜構造としてもよく、光クランプ105を設けなくてもよい。
【0014】
図3は、光パッチパネル部の扉開閉角度を制限する機構図を側面側から示す図である。
図において、光パッチパネル筺体101の正面側下部はL字型状に上側に折り曲げている。また、光パッチパネル部102、103と一体構造となっている余長処理部203、204の最も内側よりにあたる部分は、L字型状に下側に折り曲げている。その為に光パッチパネル部102、103扉が観音開き式に開かれた際、光パッチパネル筺体101の正面側下部のL字型状に上側に折り曲げられた部分に余長処理部203、204のL字型状に下側に折り曲げられた部分が干渉し、観音開き式に開かれた扉の角度をそれ以上開かないように制限している。この機構をとることにより光パッチパネル部102、103の扉開閉時に光パッチパネル102、103部と搭載されているラックとの間で配線された光ファイバが挟まれることを防止することが可能となる。
【0015】
図4は、光パッチパネル部への光ファイバ配線ルートを示す一例である。
図において、光伝送路もしくは光伝送装置から配線された光ファイバ11、12は、円弧型構造部品108に沿って光ファイバ11、12の曲げ半径規定を確保しながら配線される。その後、支柱107近傍に取り付けられている光クランプ116を経由し、光パッチパネル102、103に実装されている光コネクタ113の正面側に接続される光ファイバ12は、光パッチパネル102、103前面側にある余長処理部201、202に実装されている光クランプ105を使用して光ファイバ12の曲げ半径規定を確保しながら余長処理配線を行った後、光コネクタ113へ前面側から接続を行う。
一方で、光パッチパネル102、103に実装されている光コネクタ113の背面側に接続される光ファイバ11は、光配線および接続作業効率向上の為に光パッチパネル部103扉を開けて作業を実施する。光ファイバ11は、光コネクタ113の背面側に接続する為、筺体101内部へ引き込む必要がある。光パッチパネル102、103上部にある配線用開口部112の光クランプ115を介して光パッチパネル102、103背面側へ引き込み配線を行う。その後、光パッチパネル102、103の背面にある余長処理部203、204に実装されている光クランプ105を使用して光ファイバ11の曲げ半径規定を確保しながら余長配線を行った後、光コネクタ113へ背面側から接続を行う。
ここでネットワークを新規に構築する場合や構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合での光レベル調整を行う場合等、光レベル調整用の光減衰器21は、光パッチパネル102、103に実装されている光コネクタ113の背面側に光コネクタ113と光ファイバ11の間に実装することが可能である。その為、構築後の伝送路経路変更による光レベルの再調整が必要になった場合でも光減衰器21を最適な値に変更するだけで容易に作業をフロントサイドより実施することができ、作業効率向上をもたらす。同じく光分散値も必要に応じて調整が必要な場合、筺体101内部に搭載可能な光分散補償用ファイバ109を設置することによ容易に調整作業ができる。
【0016】
図5は、光パッチパネル部正面図を示す図である。
図6は、光パッチパネル部上面図を示す図である。
図において、筺体101はラックに搭載可能なラック取り付け用L字型状の固定部110、111が取り付けられている。このラック取り付け用L字型状の固定部110、111は筺体101にネジ120で4箇所固定にて取り付けられている。また、筺体101には、ラックの形態に合わせてラック取り付け用L字型状の固定部110、111の取り付け位置を奥行き方向に移動可能なネジ穴を設けている。その為、搭載ラックの形態に応じてネジ120を取り外し、ラック取り付け用L字型状の固定部110、111の取り付け位置を変えることによりラックを固定することなく柔軟ば位置に取り付け可能となる。
従って、本実施形態により光パッチパネル部102、103を観音開きの可動式とすることにより、光ファイバ11、12を光コネクタ部113へ接続する作業性を向上させ、小型化を提供することができる。また、小型化により光伝送装置を収容するラックの同一領域内に実装可能となり、ネットワーク構築時だけでなく、構築後の伝送経路変更による支障移転での回線切替時や、伝送路品質が変化した場合でも、光レベルや光分散調整がフロント側の1箇所より容易に作業が可能となる。また、光レベル調整用の光減衰器21や光分散補償用ファイバ109をパッチパネル部102、103内部に実装可能としている為、実装に制約を受けることがない。これにより、スムーズな経路変更が可能となり、支障移転時での光レベル調整も容易で確実にできる。
【0017】
2.第2の実施の形態(片側(観音)開きの可動式)

第1の実施の形態は、光パッチパネル102、103の両側の観音開きの可動式の構成であるのに対し、本発明の第2の実施の形態は、光パッチパネル103のみの片側の観音開きの構成を備える。この例では、左側のみの観音開きの光パッチパネルを示すが、右側のみとしてもよい。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一番号の構成は、同一構成を示す。第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。

【産業上の利用可能性】
【0018】
以上は、主に光ファイバを接続するためのパッチパネルについて説明したが、本発明は、光ファイバに限らず、適宜の配線に適用することができる。その際、光パッチパネル部筺体、光パッチパネル部、光クランプ、光分散補償用ファイバ筺体、光コネクタ、光減衰器は、それぞれ、パッチパネル部筺体、パッチパネル部、クランプ、分散補償用ファイバ筺体、コネクタ、減衰器に置き換えることができる。

【符号の説明】
【0019】
101…光パッチパネル部筺体
102、103…光パッチパネル部
105、115、116…光クランプ
106…つまみネジ
107…支柱、支持部
108…円弧型構造部品
109…光分散補償用ファイバ筺体
110、111…ラック取り付け用L字型状固定部
112…配線用開口部
113…光コネクタ
114、120…ネジ
201、202、203、204…余長処理部
11、12…光ファイバ
21…光減衰器




【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路と伝送装置を接続するための複数のコネクタと、配線を筺体内部へ引き込むための配線用開口部と、筺体に支持するための支柱とを有し、該支柱を中心に正面側へ観音開き式に開閉可能な構造となっているパネル部と、
前記パネル部の正面側に前記パネル部と一体構造で実装され、配線の余長を処理するための正面側余長処理部と、
前記パネル部の背面側に前記パネル部と一体構造で実装され、前記配線用開口部より筺体内部へ引き込まれた配線の余長を処理するための背面側余長処理部と、
を備え、
前記パネル部、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部は、筺体の正面の左右両側に設けられ、前記パネル部の開閉時に、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部が前記支柱を中心に前記パネル部と一体にて観音開き式に回転可動することを特徴とする通信用筺体。

【請求項2】
伝送路と伝送装置を接続するための複数のコネクタと、配線を筺体内部へ引き込むための配線用開口部と、筺体に支持するための支柱とを有し、該支柱を中心に正面側へ観音開き式に開閉可能な構造となっているパネル部と、
前記パネル部の正面側に前記パネル部と一体構造で実装され、配線の余長を処理するための正面側余長処理部と、
前記パネル部の背面側に前記パネル部と一体構造で実装され、前記配線用開口部より筺体内部へ引き込まれた配線の余長を処理するための背面側余長処理部と、
を備え、
前記パネル部、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部は、筺体の正面の左又側は右側の一方のみに設けられ、前記パネル部の開閉時に、前記正面側余長処理部及び前記背面側余長処理部が前記支柱を中心に前記パネル部と一体にて片側開き式に回転可動することを特徴とする通信用筺体。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の通信用筐体において、
前記正面側余長処理部及び/又は前記背面側余長処理部は、それぞれ、前記パネル部の正面側および背面側での配線の余長を、配線の曲げ半径規定を確保しながら余長処理を行い配線を収容可能とするためのクランプをさらに備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の通信用筐体において、
前記支柱の近傍に、他の装置との配線の曲げ半径規定を確保しながら配線を可能とする円弧型部品を備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の通信用筐体において、
さらに、筺体の正面側下部と、前記背面側余長処理部の背面方向の端部とに、前記パネル部が所定の回転角度で静止させるための手段を備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の通信用筐体において、
さらに、筺体内部に、レベル調整用の減衰器、分散補償用の配線、分散補償用の配線を収容する筺体、及び/又は、他の部品を搭載することが可能な領域を備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の通信用筐体において、
レベル調整用の減衰器を使用するときは、さらに、前記パネル部の前記コネクタの背面側で、前記コネクタと配線の間に該減衰器実装することができるようにしたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の通信用筐体において、
さらに、前記配線用開口部にクランプを備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の通信用筐体において、
さらに、前記円弧型構造部品にクランプを備えたことを特徴とする通信用筐体。

【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の通信用筐体において、
前記正面側余長処理部及び/又は前記背面側余長処理部は、前記パネル部の開閉時に左右の前記正面側余長処理部及び/又は左右の前記背面側余長処理部が、互いに干渉しないような形状としたことを特徴とする通信用筐体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−123056(P2012−123056A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271727(P2010−271727)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】