説明

通信端末装置

【課題】待機応答LSIを備えた通信端末装置において、待機応答モードから通常モードへの復帰時にパケットロスを防止又は低減する。
【解決手段】複合機10は、待機応答LSI12と、バックエンドシステム13と、を備える。待機応答LSI12は、受信したパケットを蓄積する受信バッファ21を有する。当該待機応答LSI12は、バックエンドシステム13が省電力モードのときに、可能であればネットワーク80を介して送られてきたパケットに応答し、前記パケットに応答できない場合はバックエンドシステム13を通常モードに復帰させる。バックエンドシステム13は、省電力モードから通常モードに復帰する際に、受信バッファ21に蓄積されたデータを参照して復帰ポートを取得し、当該復帰ポートに応じて各機能を復帰させる順序を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機応答モードと通常モードを切り替え可能な通信端末装置において、待機応答モードから通常モードへの復帰を制御するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピーファクシミリ複合機などの省電力化が厳しく要求されている。そこで、このようなコピーファクシミリ複合機は、通常時よりも消費電力を抑えた省電力モードに切り替え可能に構成される場合がある。特許文献1から5は、このような省電力モードを備えた構成を開示している。
【0003】
上記のようなコピーファクシミリ複合機は、ネットワークに接続され、通信端末装置として利用される場合がある。このようにネットワークに接続されている通信端末装置は、送信されてくるパケットに対して適切に応答できることが要求される。ところが、省電力モードではCPU等の電源がOFF(又はOFFに近い状態)とされているため、パケットを受信しても適切な処理を行うことができない。
【0004】
そこで、待機応答LSIにパケットの応答処理を行わせ、バックエンドのシステムは電源OFFに近い状態(CPUスリープ等)とすることにより、消費電力を削減する効果を狙った通信端末装置が提案されている。待機応答LSIは、特定のパケットに応答することに特化した集積回路であり、汎用のCPU、RAM、フラッシュメモリ等から構成されたバックエンドシステムに比べて消費電力が著しく低くなっている。この構成によれば、バックエンドシステムの電源をOFFに近い状態としたままパケットへの応答が可能なので、パケットの送信元の機器は、送信先の機器が省電力モードであるか否かを気にすることなくパケットを送信することができる。このような構成は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1は、予め設定された制御を司るサブCPU(待機応答LSIに相当)を備えたネットワーク制御装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−267100号公報
【特許文献2】特開2007−194876号公報
【特許文献3】特開2006−95741号公報
【特許文献4】特開2004−222234号公報
【特許文献5】特開2002−281101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、待機応答LSIの機能は限定されているので、当該待機応答LSIで全てのパケットに対応できる訳ではない。そこで、待機応答LSIがパケットに対応できなかった場合には、バックエンドシステムの電源をONに戻すように構成される。電源がONとされたバックエンドシステムは、各プログラムを順次起動する。バックエンドシステムは、全てのプログラムの起動が完了した後に、パケットへの応答が可能になる。
【0007】
待機応答LSIは、バックエンドシステムがパケットに応答可能となるまでの間、受信したパケットのデータを蓄積する受信バッファを有している。しかし、受信バッファの容量は限られているため、バックエンドシステムがパケットに応答可能となるまでに時間がかかり過ぎると、受信バッファが溢れてしまい、パケットロスが発生するという問題がある。
【0008】
この点、特許文献2は、省電力モードから復帰する際に、選択された機能に対応するシステムソフトウェアを優先的にロードすることで、画像処理装置を利用可能となるまでの待ち時間を短縮した構成を開示している。このように、省電力モードから復帰する際の待ち時間を短縮することが可能となれば、パケットロスを防止又は低減することができると考えられる。また、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5は、省電力モードから復帰する際に必要に応じた機能を選択して起動するという点で特許文献2と類似の構成を開示している。
【0009】
ところで、特許文献2が開示しているのは、優先的にロードする機能を示す情報を保持するための優先機能選択情報保持部を有する構成である。また、特許文献3及び4の構成も、省電力モードから復帰する際に、選択して起動する機能を指定するためのフラグ又はレジスタを備えている。このように、特許文献2から4の構成では、追加のレジスタ等が必要になる結果、製造コストがかさむという問題がある。なお特許文献5は、省エネルギーモード時に通常モード復帰要因を検出する省エネ制御部を備えた構成を開示しているが、当該復帰要因をどのようにして検出するのかという具体的な記載はない。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、待機応答LSIを備えた通信端末装置において、待機応答モードから通常モードへの復帰時にパケットロスを防止又は低減することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の通信端末装置が提供される。即ち、この通信端末装置は、サブシステムと、メインシステムと、を備える。サブシステムは、受信したパケットを蓄積するデータ蓄積部を有する。当該サブシステムは、メインシステムが省電力モードのときに、可能であればネットワークを介して送られてきたパケットに応答し、前記パケットに応答できない場合は前記メインシステムを通常モードに復帰させる。前記メインシステムは、前記省電力モードから前記通常モードに復帰する際に、前記データ蓄積部に蓄積されたデータを参照して前記復帰の要因を取得し、当該要因に応じて各機能を復帰させる順序を変更する。
【0013】
このように、サブシステムに蓄積されたパケットのデータを参照することで復帰要因を取得できるので、復帰要因に応じて各機能を復帰させる順序を変更することができる。
【0014】
上記の通信端末装置であって、前記メインシステムは、前記復帰の要因に係る機能を優先的に復帰させ、残りの機能を通常の順序で復帰させることが好ましい。
【0015】
これにより、復帰要因に素早く対応することができる。また、復帰要因に関係しない機能であれば、即座に起動させなくても良いので、通常の順序で起動させれば良い。
【0016】
上記の通信端末装置であって、前記メインシステムは、前記データ蓄積部に蓄積されたパケットのポートを取得し、当該ポートに対応したサーバプログラムを優先的に起動することが好ましい。
【0017】
これにより、復帰要因に係るパケットに応答できるサーバプログラムを素早く起動できるので、パケットロスを防止又は軽減することができる。
【0018】
上記の通信端末装置は印刷機能を備え、前記復帰の要因が前記印刷機能に係るものであった場合は、当該印刷機能を優先的に起動することが好ましい。
【0019】
即ち、印刷機能を優先的に起動し、ヒートローラの加熱等を早めに行っておくことで、速やかに印刷を開始することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の構成を示す図。
【図2】複合機が通常モードのときの様子を説明する図。
【図3】複合機が通常モードから待機応答モードへ移行するときの様子を説明する図。
【図4】複合機が待機応答モードのときの様子を説明する図。
【図5】複合機が待機応答モードから通常モードへ復帰するときの様子を説明する図。
【図6】待機応答モードから通常モードに復帰する際のバックエンドシステムの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施形態に係る通信端末装置としてのコピーファクシミリ複合機10は、ネットワーク80に接続可能であり、ネットワークプリンタ、ネットワークスキャナ等として機能するように構成されている。
【0022】
図1に示すように、複合機10は、ネットワークインタフェース11、待機応答LSI(サブシステム)12、バックエンドシステム(メインシステム)13、画像読取部14、画像形成部15、ファクシミリ送受信部16を備えている。
【0023】
画像読取部14は原稿画像の読み取りを行う。画像形成部15は用紙への画像の印刷を行う。ファクシミリ送受信部16は、公衆回線81を介したファクシミリ送受信を行う。これら画像読取部14、画像形成部15、ファクシミリ送受信部16の構成は公知なので、詳細な説明は省略する。
【0024】
ネットワークインタフェース11は、複合機10をネットワーク80に接続するためのハードウェアである。ネットワーク80には多数のクライアント端末70が接続されている。各クライアント端末70は、ネットワーク80を介して複合機10との間でパケットの送受信を行うことができる。
【0025】
バックエンドシステム13は、CPU31、RAM32、フラッシュメモリ33等のハードウェアと、フラッシュメモリ33に記憶された制御プログラム等のソフトウェアと、から構成されている。そしてバックエンドシステム13は、前記制御プログラムをフラッシュメモリ33からRAM32にロードし、CPU31において実行することで、複合機10の各構成を制御するようになっている。
【0026】
また、フラッシュメモリ33には、ネットワーク80を介して送信されてきたパケットを処理するためのサーバプログラムも記憶されている。本実施形態の複合機10は、ネットワーク80を介して様々なサービスを提供するように構成されているので、当該サービスの種類に応じて前記サーバプログラムも複数種類用意されている。各サーバプログラムには特定のポートが割りあてられている。ネットワーク80を介して複合機10のサービスを利用しようとするクライアント端末70は、当該サービスに対応したポート番号を指定したうえで所定のパケットを複合機10に送信する。バックエンドシステム13は、ネットワークを介してパケットが送信されてくると、当該パケットのポート番号に応じたサーバプログラムに、当該パケットの応答を行わせる。これにより、クライアント端末70は、ネットワーク80を介して複合機10が提供するサービスを利用することができる。
【0027】
バックエンドシステム13において、前記プログラムは、機能ごとに個別の実行ファイルに分割してフラッシュメモリ33に記憶されている。従って、前記プログラムは、機能ごとに個別にロードすることができる。電源投入時における各プログラムのロード順は予め決まっているが、後述するように、このロード順は変更することができる。
【0028】
なお、バックエンドシステム13は、CPU31、RAM32、フラッシュメモリ33等の電源をOFFに近い状態(CPUスリープ等)とした省電力モードに切り替えることができるように構成されている。
【0029】
待機応答LSI12は、ネットワークインタフェース11とバックエンドシステム13との間に設置されている。待機応答LSI12は、ネットワーク80の維持管理用のリクエストパケットに応答することに特化した集積回路である。待機応答LSI12は、バックエンドシステム13に比べて機能は限定されているものの、消費電力は通常モードのバックエンドシステム13に比べて極めて小さくなっている。また待機応答LSI12は、受信したパケットのデータを蓄積する受信バッファ(データ蓄積部)21を備えている。
【0030】
上記のようなネットワーク維持管理のためのパケットは、一例を挙げれば、ARP(Address Resolution Protocol)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等のプロトコルを用いて送信される。ネットワーク80の維持管理を行う機器(以下、管理者と言う)は、上記のようなARPリクエスト、SNMPリクエストを各機器に送信し、各機器からの返信を受信して、各機器の異常の有無などを確認する。管理者は、これにより、ネットワーク80の維持管理を行うようになっている。
【0031】
また、この複合機10は、各構成を稼動させた状態の「通常モード」と、通常モードよりも消費電力を抑えた「待機応答モード」と、を切り替えることができるように構成されている。次に、複合機10の「通常モード」と「待機応答モード」について説明する。
【0032】
図2に示すように、複合機10が通常モードのとき、待機応答LSI12はトンネル状態となり、ネットワークを介して送信されてきたパケットにはバックエンドシステム13が応答する。例えば、クライアント端末70からネットワーク80を介して印刷データ送信されてきた場合、バックエンドシステム13は、前記印刷データに基づいて画像形成部15に印刷を行わせる。また、バックエンドシステム13は、ネットワークの維持管理用のパケットに対して適切なリプライパケットを返す。
【0033】
複合機10の通常モードから待機応答モードへの移行は、ユーザが特定の操作を行うことで行われる。また、特定の条件を満たした場合に、複合機10が通常モードから待機応答モードへ自動的に移行するように構成しても良い。図3に示すように、複合機10が待機応答モードに以降する際、バックエンドシステム13は、待機応答LSIに対して待機応答用のSNMP情報100を設定する。
【0034】
複合機10が待機応答モードに移行した場合、バックエンドシステム13の電源がOFFに近い状態(省電力モード)となる。このため、当該バックエンドシステム13ではパケットへの応答が行えなくなる。そこで待機応答モードにおいては、図4に示すように、バックエンドシステム13に代わって待機応答LSI12がパケットへの応答を行う。このとき、待機応答LSI12は、設定されたSNMP情報100に基づいて、ネットワーク維持管理用のパケットに対する応答を行う。これにより、バックエンドシステム13が省電力モードであっても、ネットワークの維持管理を継続することができる。
【0035】
また、複合機10が待機応答モードのとき、画像読取部14、画像形成部15、及びファクシミリ送受信部16への給電も停止(又は停止に近い状態)とされる。これにより、待機応答モードにおいては、複合機10全体の消費電力は極めて小さいものとなる。
【0036】
ところで、待機応答LSI12に登録できるSNMPの設定には限りがあるので、待機応答LSI12が全てのSNMPリクエストに応答できる訳ではない。また、待機応答モードに移行してからある程度時間が経過してしまうと、待機応答LSI12に登録されているSNMP情報が古くなってしまう。このような場合は、バックエンドシステム13で情報の再収集を行わなければならない。また、複合機10に印刷データが送信されてきた場合などは、バックエンドシステム13、画像形成部15等を起動させて、適切に印刷処理を行わせる必要がある。
【0037】
以上のような場合は、待機応答LSI12でパケットの処理を行うことができないので、パケットに応答するためには通常モードに復帰する必要がある。このような場合、待機応答LSI12は、図5に示すように、バックエンドシステム13に対して通常モードへの復帰通知101を送信する。復帰通知101を受けたバックエンドシステム13は、CPU31、RAM32、フラッシュメモリ33等の電源をONとし、フラッシュメモリ33に記憶されているプログラムを起動する。一方で、待機応答LSI12は、バックエンドシステム13がパケットに応答可能になるまでの間、受信したパケットのデータを受信バッファ21に蓄積する。そして、バックエンドシステム13がパケットに応答可能になると、待機応答LSI12はトンネル状態に移行する。
【0038】
しかしながら、待機応答モードから通常モードに復帰する際、バックエンドシステム13がパケットに対して応答可能になるまでに時間がかかり過ぎると、受信バッファ21が溢れてしまいパケットロスが発生してしまうという問題がある。
【0039】
そこで本実施形態の複合機10では、待機応答モードから通常モードに復帰する際、パケットに応じたサーバプログラムを最初に起動して、当該サーバプログラムが起動した時点で、バックエンドシステム13によるパケットへの応答を開始するように構成している。
【0040】
次に、図6のフローチャートを参照して、待機応答モードから通常モードに復帰する際の、バックエンドシステム13における具体的な処理について説明する。
【0041】
待機応答モードにおいて、待機応答LSI12では応答できないパケットが受信された場合、バックエンドシステム13に対して復帰通知が送信される(S101)。復帰通知を受信したバックエンドシステム13は、CPU31、RAM32、フラッシュメモリ33等の電源をONとする。続いてバックエンドシステム13は、待機応答LSI12と通信し(S102)、受信バッファ21に蓄積されているパケットのデータを参照して、当該パケットのポート(サーバ側ポート)を取得する(S103)。当該ポートのことを、待機応答モードから通常モードへ復帰させる要因(復帰要因)となったポートであるという意味で、復帰ポートと呼ぶ。
【0042】
次に、バックエンドシステム13は、取得した復帰ポートが設定ポート一覧に含まれているか否かを判定する(S104)。設定ポート一覧は、各ポート番号とサーバプログラムとの対応関係を記述した情報である。例えば、ポート80で受信したパケットに対しては、HTTPサーバプログラムで処理を行う、という情報が設定ポート一覧に含まれている。
【0043】
設定ポート一覧に復帰ポートが含まれていた場合、バックエンドシステム13は、設定ポート一覧の記述に基づいて、前記復帰ポートに応じたサーバプログラムを起動する(S105)。例えば、受信バッファ21から取得した復帰ポートが80だった場合、バックエンドシステム13は、HTTPサーバプログラムを起動する。また例えば、復帰ポートがプリント用のポート(例えばPCプリントの場合はポート9100)である場合にはプリント用サーバプログラムを起動し、復帰ポートが電子メール用のポートであった場合には電子メール用サーバプログラムを起動する。
【0044】
そしてバックエンドシステム13は、起動させたサーバプログラムによってパケットへの応答を開始する(S106)。このように、復帰ポートに応じたサーバプログラムを最初に起動し、当該サーバプログラムによってパケットに応答するように構成することで、他のプログラムを起動させる時間を待つことなく素早くパケットに応答することができる。従って、パケットロスを防止又は低減することができる。
【0045】
このように、本実施形態の構成によれば、受信バッファ21に蓄積されたデータを見ることで、優先的に起動すべきサーバプログラムを判断することができる。この点、特許文献2から特許文献4の構成では、省電力モードからの復帰時に起動するべき機能を指定するレジスタ等を設ける必要があり、コストがかさんでいた。本実施形態では、待機応答LSI12の受信バッファ21を参照するだけなので、特別なレジスタ等を設ける必要がなく、従来の構成をそのまま用いることができる。
【0046】
なお、復帰ポートが設定ポート一覧に含まれていなかった場合は、特定のサーバプログラムを優先的に起動させることなくステップS112に進み、各プログラムを通常の順番で起動させてフローを終了する。
【0047】
続いてバックエンドシステム13は、復帰ポートがプリント用のポート(例えばPCプリントの場合はポート9100)であるか否かを判定し(S107)、プリント用のポートであった場合は,ヒートローラのヒートアップ(予熱)を行う(S110)。即ち、画像形成部15は、用紙に画像を定着させるための図略のヒートローラを備えており、当該画像形成部15で印刷を行うためにはヒートローラのヒートアップが必要である。そこで、プリント用のパケットが送られてきた場合には、速やかにヒートローラのヒートアップの指示を出しておくことで、印刷開始までの待ち時間を低減することができる。このように、復帰ポートに基づいて優先的にヒートアップ指示を行うことで、他のプログラムの起動が完了する時間を待つことなくヒートアップ開始指示を行うことができる。
【0048】
なお、プリンタ用のポートでパケットが送られてきた場合であっても、即座に印刷を行う必要が無い場合がある。そこで本実施形態の複合機10は、プリント用のポートでパケットが送られてきた場合は、まず、プリントデータの解析を行い(S108)、当該プリントデータが即プリントデータであるか否かの判定を行う(S109)。即プリントデータの場合は、速やかにヒートローラを予熱した方が良いので、画像形成部15にヒートアップ指示を送信する(S110)。
【0049】
一方、即プリントデータではなかった場合には、ヒートアップ指示は送信せずに、プリントデータを蓄積するだけとする(S111)。即プリントデータでない場合というのは、セキュリティプリントが指定された場合などが該当する。セキュリティプリントというのは、プリントデータを複合機10に送信した後、ユーザが複合機10の元まで赴き、その場でパスワードを入力することでプリント可能になるというサービスである。このような場合、複合機10がプリントデータを受信して即座に印刷が行われる訳ではないので、ヒートローラのヒートアップは行わずに電力の無駄を抑える。
【0050】
以上の処理が終わると、バックエンドシステム13は、残りのプログラムを通常の順番で起動する(S112)。
【0051】
以上で説明したように、本実施形態の複合機10は、待機応答LSI12と、バックエンドシステム13と、を備える。待機応答LSI12は、受信したパケットを蓄積する受信バッファ21を有する。当該待機応答LSI12は、バックエンドシステム13が省電力モードのときに、可能であればネットワーク80を介して送られてきたパケットに応答し、前記パケットに応答できない場合はバックエンドシステム13を通常モードに復帰させる。バックエンドシステム13は、省電力モードから通常モードに復帰する際に、受信バッファ21に蓄積されたデータを参照して復帰ポートを取得し、当該復帰ポートに応じて各機能を復帰させる順序を変更する。
【0052】
このように、待機応答LSI12に蓄積されたパケットのデータを参照することで復帰ポートを取得できるので、復帰ポートに応じて各機能を復帰させる順序を変更することができる。
【0053】
また本実施形態の複合機10において、バックエンドシステム13は、復帰ポートに係る機能を優先的に復帰させ、残りの機能を通常の順序で復帰させている。
【0054】
これにより、復帰ポートのパケットに素早く対応することができる。また、復帰ポートに関係しない機能であれば、即座に起動させなくても良いので、通常の順序で起動させれば良い。
【0055】
また本実施形態の複合機10において、バックエンドシステム13は、受信バッファ21に蓄積されたパケットのポートを取得し、当該ポートに対応したサーバプログラムを優先的に起動している。
【0056】
これにより、復帰ポートに係るパケットに応答できるサーバプログラムを素早く起動できるので、パケットロスを防止又は軽減することができる。
【0057】
また本実施形態の複合機10は画像形成部15を備え、前記復帰ポートが印刷機能に係るものであった場合は、当該印刷機能を優先的に起動している。
【0058】
即ち、画像形成部15を優先的に起動し、ヒートローラの加熱等を早めに行っておくことで、速やかに印刷を開始することが可能になる。
【0059】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0060】
上記実施形態では、待機応答モードから通常モードに復帰する際、復帰要因に対応したサーバプログラムを最初に起動するとして説明したが、必ずしも最初に起動する必要はなく、復帰要因に応じたプログラムを優先的に起動することができれば良い。
【0061】
本発明の構成は、コピーファクシミリ複合機に限らず、例えば単独のネットワークプリンタ、単独のネットワークスキャナ等、各種の情報端末装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 複合機(情報端末装置)
12 待機応答LSI(サブシステム)
13 バックエンドシステム(メインシステム)
21 受信バッファ(データ蓄積部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したパケットを蓄積するデータ蓄積部を有し、メインシステムが省電力モードのときに、可能であればネットワークを介して送られてきたパケットに応答し、前記パケットに応答できない場合は前記メインシステムを通常モードに復帰させるサブシステムと、
前記省電力モードから前記通常モードに復帰する際に、前記データ蓄積部に蓄積されたデータを参照して前記復帰の要因を取得し、当該要因に応じて各機能を復帰させる順序を変更するメインシステムと、
を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記メインシステムは、前記復帰の要因に係る機能を優先的に復帰させ、残りの機能を通常の順序で復帰させることを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通信端末装置であって、
前記メインシステムは、前記データ蓄積部に蓄積されたパケットのポートを取得し、当該ポートに対応したサーバプログラムを優先的に起動することを特徴とする通信端末装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の通信端末装置であって、
印刷機能を備え、前記復帰の要因が前記印刷機能に係るものであった場合は、当該印刷機能を優先的に起動することを特徴とする通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156706(P2012−156706A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13228(P2011−13228)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】