通信装置、通信方法
【課題】初期同期の確立までの時間を短縮する技術を提供する。
【解決手段】変調された信号内の第1参照シンボルにより示されN個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、受信された信号内の第1受信シンボルにより示されN個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、N個の第1参照複素数値に対するN個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、第1しきい値とN個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、第1しきい値より大きい第2しきい値とN個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、第1比較の結果と第2比較の結果とに基づいて、第1受信シンボルを第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部とを備える通信装置である。
【解決手段】変調された信号内の第1参照シンボルにより示されN個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、受信された信号内の第1受信シンボルにより示されN個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、N個の第1参照複素数値に対するN個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、第1しきい値とN個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、第1しきい値より大きい第2しきい値とN個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、第1比較の結果と第2比較の結果とに基づいて、第1受信シンボルを第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部とを備える通信装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャリア変調方式の同期を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル信号処理デバイスの性能の向上により、移動体通信システムの変復調にディジタル信号処理が用いられるようになった。ディジタル信号処理を利用する変調方式の一つとしてマルチキャリア変調方式が知られている。マルチキャリア変調方式には、OFDM(orthogonal frequency-division multiplexing)やMC−CDMA(multi-carrier code division multiple access)が含まれる。OFDMを用いた移動体通信システムには、LTE(long term evolution)やWiMAX(worldwide interoperability for microwave access)が含まれる。このような移動体通信システムにおいて通信装置の受信部は、移動体通信システムの基地局と移動局の間の通信の初期同期の確立を行う。
【0003】
OFDMの初期同期シーケンスの例について説明する。ここで送信信号には、規定のタイミングで周期的に同期シンボルが配置される。同期シンボルには、スロットの同期である一次同期のための一次同期シンボルと無線フレームの同期である二次同期のための二次同期シンボルがある。受信部は、所定のサンプリング周波数で量子化されたベースバンドOFDM信号をFFT(fast Fourier transform)処理することにより、検波処理を行う。受信部は複素平面上に展開される検波処理出力を監視し、一次同期シンボルを検出することによりスロットタイミングを検出し、二次同期シンボルを検出することによりフレームタイミングを検出する。
【0004】
OFDMは、CDMA(code division multiple access)等と比較してシンボルレートが低い。そのため、OFDMは一般的にマルチパスの影響を受けにくいことや、周波数選択性フェージングによるOFDMのスペクトラムへのダメージは小さいことが知られている。例えばマルチパスの分散が10us〜20usである場合、周波数選択性フェージングの帯域幅は約10kHzになる。これにより、周波数選択性フェージングは一部のサブキャリアだけの受信電力を抑圧する。しかし、この周波数選択性フェージングは前述の初期同期に影響を与える。
【0005】
周波数選択性フェージングによる初期同期への影響を低減するために、受信部は例えば、サブキャリア毎の電力の正規化処理を行う。次に受信部は例えば、受信され正規化された複数の同期シンボルの候補と、予め保持された同期シンボルのレプリカとの相関演算を行うことにより、候補とレプリカの相関電力を算出する。次に受信部は例えば、或る候補から得られた相関電力が相関電力しきい値以上である場合、初期同期が確立したと判定し、その候補を同期シンボルと認識し、同期シンボルのタイミングを認識する。
【0006】
関連する技術として、同期信号の検出状態に基づいて同期信号のしきい値を制御する技術や、受信された同期信号と予め設定された同期信号との不一致ビット数を2つのしきい値により判定する技術が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−119368号公報
【特許文献2】特開平8−8869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の正規化処理が行われても相関電力は変動するため、最適な相関電力しきい値を決定することは困難である。一般に、同期失敗の発生確率と誤同期の発生確率はトレードオフの関係になる。相関電力しきい値が大きい場合、即ち初期同期の条件が厳しい場合、例えば移動体通信システムのセルエッジでの不安定な受信状況や深刻なフェージング影響下において初期同期が確立されない状態が発生する。一方、相関電力しきい値が小さい場合、即ち初期同期の条件が緩い場合、誤った初期同期が容易に確立されることからその後に受信した情報を復号して誤同期が判明するまで受信処理の遅延が発生する。このように、受信部の初期同期確立までに要する時間は相関電力しきい値の影響を受ける。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、初期同期の確立までの時間を短縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部とを備える通信装置である。
【0011】
また、本発明の別の一態様は、マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行うことを備える通信方法である。
【発明の効果】
【0012】
この出願に開示された技術によれば、初期同期の確立までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】送信信号における同期シンボルの配置を示す配置図である。
【図3】同期処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1受信処理を示すフローチャートである。
【図5】第2受信処理を示すフローチャートである。
【図6】一次同期処理を示すフローチャートである。
【図7】適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を示す模式図である。
【図8】一次同期確認処理を示すフローチャートである。
【図9】二次同期処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態では、LTEを用いた移動体通信システムの移動局である通信装置の例について説明する。この通信装置は基地局との無線通信を行う。
【0016】
まず通信装置の構成について説明する。
【0017】
図1は、通信装置1の構成を示すブロック図である。この通信装置1は、通信装置の適用例である。通信装置1は、アナログ信号処理部2と、ディジタル信号処理部3と、データ入力部4と、データ出力部5と、アンテナ6とを有する。ディジタル信号処理部3は送信部11と受信部12とを有する。
【0018】
送信時、送信部11は、データ入力部4出力である送信データを複数の複素信号にマッピングしてシンボルを生成し、シンボル毎のIFFT(inverse fast Fourier transform)処理により変調する。アナログ信号処理部2は、送信部11出力であるディジタル信号をアナログ信号へ変換し、RF帯へ変換し、増幅し、アンテナ6により送信する。
【0019】
受信時、アナログ信号処理部2は、アンテナ6により受信されたRF帯の信号を増幅し、IF帯へ変換し、アナログ信号をディジタル信号へ変換する。受信部12は、アンテナ6により受信された信号を周波数変換やFFT処理等により復調して受信データを生成する。
【0020】
データ入力部4は、外部からの入力に基づいて送信データを生成し、送信データを送信部11へ入力する。例えば通信装置1が携帯電話機などの音声端末装置である場合、マイクにより音声を検出し、その音声を符号化して送信データを生成する。データ出力部5は、受信部12出力である受信データを取得し、受信データに基づいて外部への出力を行う。例えば通信装置1が携帯電話機などの音声端末装置である場合、受信データを復号化して音声を生成し、その音声をスピーカにより出力する。
【0021】
次に受信部12の構成について説明する。
【0022】
前述の受信部12は、直交検波部21と、搬送波生成部22と、CP検出部23と、S/P(serial to parallel)変換部24と、FFT処理部25と、同期処理部26と、復号部27とを有する。
【0023】
直交検波部21は、搬送波生成部22により生成されたIF搬送波を用いて、アナログ信号処理部2から出力されるディジタル信号の直交検波を行い、I成分及びQ成分を有する複素ベースバンド信号へ変換する。CP検出部23は、複素ベースバンド信号からCP(cyclic prefix)を検出することによりシンボルタイミングとIF搬送波の誤差とを検出し、搬送波生成部22の周波数を設定する。搬送波生成部22は、CP検出部23による設定に従ってIF搬送波を生成する。S/P変換部24は、CP検出部23により検出されたシンボルタイミング毎に、複素ベースバンド信号のS/P変換を行って1シンボル分の複素ベースバンド信号である受信シンボルを出力する。FFT処理部25は、1シンボル分の複素ベースバンド信号のFFT処理を行う。同期処理部26は、FFT処理部25出力の補正を行い、補正された信号に基づいて初期同期確立を行う。復号部27は、同期処理部26により補正された信号から受信データを復号する。
【0024】
次に送信信号における同期シンボルの配置について説明する。
【0025】
ここでは、LTEの送信信号の例について説明する。図2は、送信信号における同期シンボルの配置を示す配置図である。
【0026】
この配置図の上部は無線フレームを示す。この配置図の上部において横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。1個の無線フレームは、10個のサブフレームにより形成される。各サブフレームに付された数字1〜10はサブフレーム番号を示す。
【0027】
この配置図の下部は第1サブフレームと第6サブフレームを示す。この配置図の下部において横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。1個のサブフレームは、2個のスロットにより形成される。各サブフレーム内の各スロットに付された数字1〜2はスロット番号を示す。1個のスロットは、7個のシンボルにより形成される。各スロット内の各シンボルに付された数字1〜7はシンボル番号を示す。
【0028】
無線フレームの時間長は10msであり、サブフレームの時間長は1msであり、スロットの時間長は0.5msである。
【0029】
ここで、送信信号に含まれる総サブキャリア数は、例えば1024等の2のべき乗数の整数である。中心周波数に位置するサブキャリアはNULLサブキャリアと呼ばれている。同期シンボルを表すためにNULLサブキャリアを除いた中央部のサブキャリアを同期用サブキャリアとする。同期用サブキャリア数は72である。同期シンボルには、一次同期のためのシンボルである一次同期シンボル(第1参照シンボル)111と二次同期のためのシンボルである二次同期シンボル(第2参照シンボル)112a,112bとがある。同期シンボルは、同期用サブキャリアに配置される。そのため、この配置図における無線フレームは、同期用サブキャリアだけを示す。
【0030】
ここでNは2以上の整数であり、例えば同期用サブキャリア数である。第1参照シンボルは例えば一次同期シンボルであり、第2参照シンボルは例えば二次同期シンボルである。
【0031】
一次同期シンボル111は、第1サブフレーム内の第1スロット内の第7シンボルと、第6サブフレーム内の第1スロット内の第7シンボルとに配置される。二次同期シンボル112aは、第1サブフレーム内の第1スロット内の第6シンボルに配置される。二次同期シンボル112bは、第6サブフレーム内の第1スロット内の第6シンボルに配置される。なお、二次同期シンボル112aと二次同期シンボル112bはフレーム同期を目的とするため、互いに異なるシンボルである。
【0032】
一次同期シンボル111及び二次同期シンボル112a,112bにより表されるデータパターンは、セル番号を示す。これらのデータパターンは、同期用サブキャリア数分の複素データにより形成される。一次同期シンボル111は例えば、3種類のデータパターンのいずれか一つを表す。二次同期シンボル112a,112bは例えば、128種類のデータパターンのいずれか一つを表す。
【0033】
この送信信号によれば、通信装置1は伝搬路を介して、この送信信号を受信し、一次同期シンボル111の受信タイミングを検出することにより一次同期を行うことができ、二次同期シンボル112a,112bの受信タイミングを検出することにより二次同期を行うことができる。更に通信装置1は、一次同期シンボル111及び二次同期シンボル112a,112bのデータパターンを認識することにより、在圏セルのセル番号を認識することができる。
【0034】
次に同期処理部26の構成について説明する。
【0035】
図3は、同期処理部26の構成を示すブロック図である。同期処理部26は、受信シンボルバッファ31と、補正処理部34と、同期判定部35と、格納部37とを有する。格納部37は、参照シンボル格納部32と、しきい値格納部33と、状態格納部36とを有する。
【0036】
受信シンボルバッファ31は、FFT処理部25出力である受信シンボルを格納する。受信シンボルは、総サブキャリア数の複素数値を示す。受信シンボルに示される複素数値のうち同期中に用いられる複素数値は、中央部の同期用サブキャリア数分の複素数値である。参照シンボル格納部32は、参照用の同期シンボルである参照シンボルを格納する。しきい値格納部33は、受信シンボルと参照シンボルとの誤差を判定するための複数の誤差しきい値と、条件を満たす誤差の数を判定するための適合数しきい値とを格納する。状態格納部36は、受信シンボルが一次同期又は二次同期を通過した状態を示す通過情報を格納する。
【0037】
ここで、中央部の同期用サブキャリア数分の複素数値は例えば、第1受信複素数値、第2受信複素数値、第3受信複素数値である。
【0038】
参照シンボルには、一次同期用の参照シンボルと、二次同期用の参照シンボルとが含まれる。一次同期用の参照シンボルは、送信される一次同期シンボルのレプリカであり、二次同期用の参照シンボルは、送信される二次同期シンボルのレプリカである。誤差しきい値には、一次同期用の誤差しきい値と二次同期用の誤差しきい値とが含まれる。一次同期用の誤差しきい値には、第1誤差しきい値と、第1誤差しきい値より大きい第2誤差しきい値とが含まれる。二次同期用の誤差しきい値には、第3誤差しきい値と、第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値とが含まれる。通過情報には、一次同期を通過したことを示す一次通過フラグ、二次同期を通過したことを示す二次通過フラグ、一次同期を通過したときに認識された一次同期シンボルである一次通過シンボル、二次同期を通過したときに認識された二次同期シンボルである二次通過シンボル、一次同期を通過したときの誤差しきい値である一次通過しきい値、二次同期を通過したときの誤差しきい値である二次通過しきい値、などが含まれる。
【0039】
ここで、第1しきい値は例えば第1誤差しきい値であり、第2しきい値は例えば第2誤差しきい値であり、第3しきい値は例えば第3誤差しきい値であり、第4しきい値は例えば第4誤差しきい値である。
【0040】
なお、参照シンボル格納部32及びしきい値格納部33は例えば、不揮発性メモリで実現される。一方、受信シンボルバッファ31及び状態格納部36は例えば、揮発性メモリで実現される。
【0041】
同期判定部35は、誤差算出部41と比較部42と判定部43とを有する。誤差算出部41は、受信シンボルと参照シンボルとの誤差を算出する。比較部42は、算出された誤差と誤差しきい値を比較し、算出された誤差のうち誤差しきい値以下となる誤差の数である適合数を算出する。判定部43は、受信シンボルバッファ31と参照シンボル格納部32としきい値格納部33と状態格納部36とに格納された情報を用いて、受信シンボルから一次同期シンボルを検出することによりスロットタイミングを検出し、受信シンボルから二次同期シンボルを検出することによりフレームタイミングを検出して補正処理部34及び復号部27へ出力する。
【0042】
補正処理部34は同期判定部35により検出された同期シンボルの情報に基づいて受信シンボル補正処理を行う。この受信シンボル補正処理において補正処理部34は、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出し、マルチパス及び周波数選択性フェージングによる受信シンボルの位相回転と電力変動を補正することにより補正シンボルを算出して出力する。
【0043】
復号部27は、同期判定部35により検出されたスロットタイミング及びフレームタイミングに従って、補正シンボルの復号を行う。
【0044】
次に受信部12による受信処理について説明する。受信部12は、次に示す受信処理を繰り返す。
【0045】
受信処理において、受信部12はまず次に示す第1受信処理を行う。
【0046】
図4は、第1受信処理を示すフローチャートである。まず、判定部43は、新しいシンボルを受信したか否か、即ち新しい受信シンボルが受信シンボルバッファ31に格納されたか否かを判定する(S31)。新しいシンボルを受信していないと判定された場合(S31,N)、判定部43は、新しいシンボルを受信したと判定されるまでS31を繰り返す。新しいシンボルを受信したと判定された場合(S31,Y)、判定部43は一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S33)。
【0047】
一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S33,N)、判定部43は第1誤差しきい値及び第2誤差しきい値を用いて一次同期シンボルを検出する一次同期処理を行い(S34)、このフローをS31へ移行させる。一次通過フラグがONであると判定された場合(S33,Y)、判定部43は一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S35)、一次通過しきい値が第1誤差しきい値であるか否かを判定する(S41)。
【0048】
一次通過しきい値が第1誤差しきい値であると判定された場合(S41,Y)、判定部43は、このフローをS45へ移行させる。一次通過しきい値が第1誤差しきい値でないと判定された場合、即ち一次通過しきい値が第2誤差しきい値である場合(S41,N)、判定部43は第1誤差しきい値のみを用いて一次同期シンボルを検出する一次同期確認処理を行い(S42)、一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S43)。
【0049】
一次通過フラグがONであると判定された場合(S43,Y)、判定部43はこのフローをS31へ移行させる。一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S43,N)、判定部43は、このフローをS45へ移行させる。
【0050】
S43において一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S43,N)、又はS41において一次通過しきい値が第1誤差しきい値であると判定された場合(S41,Y)、判定部43は二次同期シンボルを検出する二次同期処理を行い(S45)、二次通過フラグがONであるか否かを判定する(S46)。
【0051】
二次通過フラグがONでない、即ち二次通過フラグがOFFであると判定された場合(S46,N)、判定部43は、このフローをS31へ移行させる。二次通過フラグがONであると判定された場合(S46,Y)、判定部43は、このフローを終了させる。この第1受信処理が終了すると、受信部12は第2受信処理を実行する。
【0052】
受信部12は、この第1受信処理の後、次に示す第2受信処理を行う。
【0053】
図5は、第2受信処理を示すフローチャートである。まず判定部43は、二次通過しきい値が第3誤差しきい値であるか否かを判定する(S51)
【0054】
二次通過しきい値が第3誤差しきい値であると判定された場合(S51,Y)、判定部43は、このフローをS55へ移行させる。二次通過しきい値が第3誤差しきい値でない、即ち二次通過しきい値が第4誤差しきい値であると判定された場合(S51,N)、判定部43は第1誤差しきい値のみを用いて一次同期シンボルを検出する一次同期確認処理を行い(S52)、一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S53)。
【0055】
一次通過フラグがONであると判定された場合(S53,Y)、判定部43はこのフローをS57へ移行させる。一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S53,N)、判定部43は、このフローをS55へ移行させる。
【0056】
S53において一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S53,N)、又はS51において二次通過しきい値が第3誤差しきい値であると判定された場合(S51,Y)、判定部43は状態格納部36から通過情報を読み出し、通過情報に含まれた一次通過シンボルのデータパターンと通過情報に含まれた二次通過シンボルのデータパターンとからセル番号を認識し(S55)、復号部27は、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)により送信された報知情報を復号する(S56)。
【0057】
S56の後、又はS53において一次通過フラグがONであると判定された場合(S53,Y)、判定部43は二次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S57)、このフローを終了させる。
【0058】
以上で受信処理は終了する。状態格納部36に保存された通過情報は、受信処理が終了するまで保持される。従って、或る受信シンボルが高い誤差しきい値を用いて一次同期を通過した場合にその通過情報を保持することにより、低い誤差しきい値を用いて新たな受信シンボルの一次同期の通過を判定することができる。つまり、同期判定部35は初期同期の確立前に、より確からしい一次同期シンボルを検出する可能性がある。これにより、誤って検出した一次同期シンボルで初期同期が確立されて報知情報の復号により誤同期が判明するケースを低減することができる。
【0059】
次に前述のS34に示された一次同期処理について説明する。
【0060】
図6は、一次同期処理を示すフローチャートである。まず判定部43は、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出す(S112)。この場合において、受信シンボルは第1受信シンボルに含まれる。誤差算出部41は、一次同期用の誤差しきい値の一つを選択してしきい値格納部33から読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S113)、一次同期用の参照シンボルの一つを選択して参照シンボル格納部32から読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当てる(S114)。ここで、最初に割り当てられる適用誤差しきい値は、一次同期用の第1誤差しきい値及び第2誤差しきい値のうち低い方の第1誤差しきい値である。
【0061】
次に誤差算出部41及び比較部42は受信シンボルの評価を示す適合数を算出する評価処理を行う(S121)。
【0062】
この評価処理において、まず誤差算出部41は適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を算出する。複数の誤差の夫々は、受信シンボル内の複素数値の夫々から適用参照シンボル内の複素数値の夫々を引いた差の絶対値である。次に比較部42は複数の誤差のうち、適用誤差しきい値以下となる誤差の数である適合数を算出する。
【0063】
図7は、適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を示すコンスタレーションである。このコンスタレーションにおいて、横軸はシンボル内の或るサブキャリアに対応する複素数値のI成分を示し、縦軸は当該サブキャリアに対応する複素数値のQ成分を示す。ベクトルAは当該サブキャリアの複素数値の真値、即ち適用参照シンボル内の当該サブキャリアの複素数値を示す。ベクトルBは受信シンボル内の当該サブキャリアの複素数値を示す。ここで、当該サブキャリアにおいて、適用参照シンボル内の複素数値に対する受信シンボル内の複素数値の誤差は、(B−A)であるベクトルCの絶対値である。評価処理において判定部43は、この誤差を全ての同期用サブキャリアに対して算出する。更にこのコンスタレーションにおいて、誤差が第1誤差しきい値以下になる複素数値の範囲は、中心を複素数値の真値とし半径を第1誤差しきい値とする円の内部である。同様に誤差が第2誤差しきい値以下になる複素数値の範囲は、中心を複素数値の真値とし半径を第2誤差しきい値とする円の内部である。Bのように、第1誤差しきい値による適合数が適合数しきい値未満となっても、第2誤差しきい値による適合数が適合数しきい値以上になる場合がある。
【0064】
次に判定部43は、適合数が適合数しきい値以上であるか否かを判定する(S122)。
【0065】
適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43はこのフローをS131へ移行させる。適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボル(第1受信シンボル)が適用参照シンボル(第1参照シンボル)と同一であり、現在の受信シンボルが一次同期を通過したと認識する。そして判定部43は、一次通過シンボルが適用参照シンボルであることと一次通過しきい値が適合誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151)。次に判定部43は一次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152)、このフローを終了させる。
【0066】
S122において適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43は全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたか否かを判定する(S131)。
【0067】
全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43はこのフローをS141へ移行させる。未だ幾つかの一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられていないと判定された場合(S131,N)、判定部43は次の一次同期用の参照シンボルを選択して読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当て(S132)、このフローをS121へ移行させる。
【0068】
S131において全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43は全ての一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたか否かの判定を行う(S141)。
【0069】
未だ幾つかの一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられていないと判定された場合(S141,N)、判定部43は次の一次同期用の誤差しきい値を選択して読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S142)、このフローをS114へ移行させる。全て一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたと判定された場合(S141,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが一次同期を通過しなかったと認識し、一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143)、このフローを終了させる。
【0070】
以上の一次同期処理によれば同期判定部35は、複数の一次同期用の誤差しきい値のうち、まず最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)を用いて評価処理を行い、適合数が適合数しきい値以上でない場合、その誤差しきい値より高い誤差しきい値(より緩い条件)を用いて評価処理を行う。これにより、受信シンボルが一次同期を通過する確率を向上させることができ、同期失敗の発生確率を低下させることができる。
【0071】
次に前述のS42及びS52に示された一次同期確認処理について説明する。
【0072】
図8は、一次同期確認処理を示すフローチャートである。この図に示されたステップのうち、前述の一次同期処理に含まれたステップに相当するステップは、一次同期処理と同一の符号により示されている。この一次同期確認処理におけるS112〜S132は、一次同期処理と同様である。
【0073】
S122において適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボルが適用参照シンボルであり、現在の受信シンボルが一次同期を通過したと認識する。この場合において、適合数は第5適合数に含まれ、受信シンボルは第3受信シンボルに含まれ、適用参照シンボルは第1参照シンボルに含まれる。そして判定部43は、一次通過シンボルが現在の適用参照シンボルであることと一次通過しきい値が第1誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151b)。次に判定部43は一次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152)、このフローを終了させる。
【0074】
S131において全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが一次同期を通過しなかったと認識し、一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143b)、このフローを終了させる。
【0075】
以上の一次同期確認処理によれば同期判定部35は、複数の一次同期用の誤差しきい値のうち、最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)だけを用いて評価処理を行う。従って例えば、一次同期処理で或る受信シンボルが高い誤差しきい値により一次同期を通過し、その後一次同期確認処理で新たな受信シンボルが低い誤差しきい値により一次同期を通過した場合に、より確からしい新たなシンボルを一次同期シンボルと認識することができる。これにより、誤同期の発生確率を低下させることができる。
【0076】
次に前述のS45に示された二次同期処理について説明する。
【0077】
図9は、二次同期処理を示すフローチャートである。この図に示されたステップのうち、前述の一次同期処理に含まれたステップに相当するステップは、一次同期処理と同一の符号により示されている。まず判定部43は、一次同期処理と同様、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出す(S112)。この場合において、受信シンボルは第2受信シンボルに含まれる。
【0078】
次に誤差算出部41は、二次同期用の誤差しきい値の一つを選択してしきい値格納部33から読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S113c)、二次同期用の参照シンボルの一つを選択して参照シンボル格納部32から読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当てる(S114c)。ここで、最初に割り当てられる適用誤差しきい値は、二次同期用の第3誤差しきい値及び第4誤差しきい値のうち低い方の第3誤差しきい値である。
【0079】
次に一次同期処理と同様のS121、S122が実行される。
【0080】
適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボルが適用参照シンボルと同一であり、現在の受信シンボルが二次同期を通過したと認識する。この場合において、受信シンボルは第2受信シンボルに含まれ、適用参照シンボルは第2参照シンボルに含まれる。そして判定部43は、二次通過シンボルが現在の適用参照シンボルであることと二次通過しきい値が現在の適合誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151c)。次に判定部43は二次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152c)、このフローを終了させる。
【0081】
S122において適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43は全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたか否かを判定する(S131c)。
【0082】
全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131c,Y)、判定部43はこのフローをS141cへ移行させる。未だ幾つかの二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられていないと判定された場合(S131c,N)、判定部43は次の二次同期用の参照シンボルを選択して読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当て(S132c)、このフローをS121へ移行させる。
【0083】
S131cにおいて全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131c,Y)、判定部43は全ての二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたか否かの判定を行う(S141c)。
【0084】
未だ幾つかの二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられていないと判定された場合(S141c,N)、判定部43は次の二次同期用の誤差しきい値を選択して読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S142c)、このフローをS114cへ移行させる。全て二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたと判定された場合(S141c,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが二次同期を通過しなかったと認識し、二次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143c)、このフローを終了させる。
【0085】
以上の二次同期処理によれば同期判定部35は、複数の二次同期用の誤差しきい値のうち、まず最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)を用いて評価処理を行い、適合数が適合数しきい値以上でない場合、その誤差しきい値より高い誤差しきい値(より緩い条件)を用いて評価処理を行う。これにより、二次同期を通過する確率を向上させることができ、同期失敗の発生確率を低下させることができる。
【0086】
通信装置1が、受信シンボルと適用参照シンボルとの誤差に対して、複数の誤差しきい値を用いることにより、受信された同期シンボルがフェージングの影響や弱電界域により放棄される確率を低減することができる。これにより、初期同期確立時間を短縮することができる。また、この通信装置1は、或る受信シンボルが緩い条件で一次同期を通過したときの情報を保持しておき、新たな受信シンボルがより厳しい条件で一次同期を通過した場合に新たな受信シンボルを正しい一次同期シンボルと認識する。これにより、誤った一次同期により正しい一次同期シンボルが見逃されて受信処理が進行することを防ぐことができる。このように誤同期による初期同期確立時間の増大を防ぐことにより、回線の品質が悪い状況において初期同期確立時間を短縮することができる。
【0087】
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0088】
なお、しきい値格納部33は、適用誤差しきい値が第1誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第1適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第2誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第2適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第3誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第3適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第4誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第4適合数しきい値とを予め格納していても良い。この場合、同期判定部35は適用誤差しきい値に対応する適合数しきい値をしきい値格納部33から読み出し、S122を行う。第1適合数しきい値と第2適合数しきい値と第3適合数しきい値と第4適合数しきい値との少なくともいずれかは、他と異なる値であっても良い。
【0089】
更に、一次同期処理のS142のように適合数算出処理に用いる条件を厳しい条件から緩い条件へ変更するステップにおいて、適合数しきい値を第1適合数しきい値から第2適合数しきい値へ変更しても良い。この場合、第2適合数しきい値は第1適合数しきい値より小さい。同様に二次同期処理のS142cにおいて、適合数算出処理に用いる適合数しきい値を第3適合数しきい値から第4適合数しきい値へ変更しても良い。この場合、第4適合数しきい値は第3適合数しきい値より小さい。
【0090】
一次同期用の誤差しきい値は、互いに大きさの異なる3種類以上の値であっても良い。この場合、或る受信シンボルが最も低い誤差しきい値以外を用いて一次同期を通過し、一次通過しきい値が保存された場合、新たな受信シンボルが一次通過しきい値より低い誤差しきい値を用いて一次同期を通過した場合、同期判定部35はその新たな受信シンボルを一次同期シンボルと認識する。同様に二次同期用の誤差しきい値は、互いに大きさの異なる3種類以上の値であっても良い。
【0091】
また、同期判定部35は、複数の評価処理を並列に処理しても良い。この場合、複数の評価処理は、互いに異なる誤差しきい値を用いても良いし、互いに異なる適合数しきい値を用いても良いし、互いに異なる参照シンボルを用いても良い。
【0092】
また、評価処理において算出される誤差は、受信シンボル内の複素数値から適用参照シンボルの複素数値を引いた差の絶対値の二乗であっても良い。
【0093】
また、通信装置1は、無線通信の代わりに有線通信を行っても良い。この場合、アンテナ6の代わりに有線伝送路を介して他の通信装置に接続される。
【0094】
また、受信部12の各機能は、ハードウェアにより実現されても良いし、ソフトウェアにより実現されても良い。ソフトウェアにより実現される場合、受信部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサと記憶部を有し、プロセッサが記憶部に格納されたプログラムを実行することにより受信部12の各機能を実現する。
【0095】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部と
を備える通信装置。
(付記2)
前記記憶部は、前記変調された信号内の第2参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2参照複素数値を記憶し、
前記復調部は、前記受信された信号内の第2受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第2参照複素数値に対する前記N個の第2受信複素数値の誤差であるN個の第2誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、第2誤差のしきい値である第3しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第3比較を行い、
前記判定部は、前記第3比較の結果に基づき前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定を行う、
付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記比較部は、前記第1比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第1しきい値より小さい第1誤差の数である第1適合数を算出し、前記第2比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第2しきい値より小さい第1誤差の数である第2適合数を算出し、前記第3比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第3しきい値より小さい第2誤差の数である第3適合数を算出し、
前記判定部は、前記第1適合数と前記第2適合数と前記第3適合数とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定と、前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定とを行う、
付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記判定部は、前記第1適合数のしきい値である第1適合数しきい値と前記第2適合数のしきい値である第2適合数しきい値と前記第3適合数のしきい値である第3適合数しきい値とを用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
付記3に記載の通信装置。
(付記5)
前記比較部は、前記第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第4比較を行い、前記4比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第4しきい値より小さい第2誤差の数である第4適合数を算出し、
前記判定部は、前記第4適合数のしきい値である第4適合数しきい値を用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
付記4に記載の通信装置。
(付記6)
前記復調部は、前記受信された信号内の第3受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第3受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第3受信複素数値の誤差であるN個の第3誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、前記第1しきい値と前記N個の第3誤差の夫々とを比較する第5比較を行い、前記第5比較の結果に基づき前記N個の第3誤差の中で前記第1誤差しきい値より小さい第3誤差の数である第5適合数を算出し、
前記判定部は、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第2適合数が前記第1適合数しきい値以上である場合、前記第3受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識する、
付記5に記載の通信装置。
(付記7)
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、
前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う
ことを備える通信方法。
【0096】
記憶部は例えば、参照シンボル格納部32である。復調部は例えば、FFT処理部25である。
【符号の説明】
【0097】
1 通信装置
2 アナログ信号処理部
3 ディジタル信号処理部
4 データ入力部
5 データ出力部
6 アンテナ
11 送信部
12 受信部
21 直交検波部
22 搬送波生成部
23 CP検出部
24 S/P変換部
25 FFT処理部
26 同期処理部
27 復号部
31 受信シンボルバッファ
32 参照シンボル格納部
33 しきい値格納部
34 補正処理部
35 同期判定部
36 状態格納部
37 格納部
41 誤差算出部
42 比較部
43 判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャリア変調方式の同期を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル信号処理デバイスの性能の向上により、移動体通信システムの変復調にディジタル信号処理が用いられるようになった。ディジタル信号処理を利用する変調方式の一つとしてマルチキャリア変調方式が知られている。マルチキャリア変調方式には、OFDM(orthogonal frequency-division multiplexing)やMC−CDMA(multi-carrier code division multiple access)が含まれる。OFDMを用いた移動体通信システムには、LTE(long term evolution)やWiMAX(worldwide interoperability for microwave access)が含まれる。このような移動体通信システムにおいて通信装置の受信部は、移動体通信システムの基地局と移動局の間の通信の初期同期の確立を行う。
【0003】
OFDMの初期同期シーケンスの例について説明する。ここで送信信号には、規定のタイミングで周期的に同期シンボルが配置される。同期シンボルには、スロットの同期である一次同期のための一次同期シンボルと無線フレームの同期である二次同期のための二次同期シンボルがある。受信部は、所定のサンプリング周波数で量子化されたベースバンドOFDM信号をFFT(fast Fourier transform)処理することにより、検波処理を行う。受信部は複素平面上に展開される検波処理出力を監視し、一次同期シンボルを検出することによりスロットタイミングを検出し、二次同期シンボルを検出することによりフレームタイミングを検出する。
【0004】
OFDMは、CDMA(code division multiple access)等と比較してシンボルレートが低い。そのため、OFDMは一般的にマルチパスの影響を受けにくいことや、周波数選択性フェージングによるOFDMのスペクトラムへのダメージは小さいことが知られている。例えばマルチパスの分散が10us〜20usである場合、周波数選択性フェージングの帯域幅は約10kHzになる。これにより、周波数選択性フェージングは一部のサブキャリアだけの受信電力を抑圧する。しかし、この周波数選択性フェージングは前述の初期同期に影響を与える。
【0005】
周波数選択性フェージングによる初期同期への影響を低減するために、受信部は例えば、サブキャリア毎の電力の正規化処理を行う。次に受信部は例えば、受信され正規化された複数の同期シンボルの候補と、予め保持された同期シンボルのレプリカとの相関演算を行うことにより、候補とレプリカの相関電力を算出する。次に受信部は例えば、或る候補から得られた相関電力が相関電力しきい値以上である場合、初期同期が確立したと判定し、その候補を同期シンボルと認識し、同期シンボルのタイミングを認識する。
【0006】
関連する技術として、同期信号の検出状態に基づいて同期信号のしきい値を制御する技術や、受信された同期信号と予め設定された同期信号との不一致ビット数を2つのしきい値により判定する技術が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−119368号公報
【特許文献2】特開平8−8869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の正規化処理が行われても相関電力は変動するため、最適な相関電力しきい値を決定することは困難である。一般に、同期失敗の発生確率と誤同期の発生確率はトレードオフの関係になる。相関電力しきい値が大きい場合、即ち初期同期の条件が厳しい場合、例えば移動体通信システムのセルエッジでの不安定な受信状況や深刻なフェージング影響下において初期同期が確立されない状態が発生する。一方、相関電力しきい値が小さい場合、即ち初期同期の条件が緩い場合、誤った初期同期が容易に確立されることからその後に受信した情報を復号して誤同期が判明するまで受信処理の遅延が発生する。このように、受信部の初期同期確立までに要する時間は相関電力しきい値の影響を受ける。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、初期同期の確立までの時間を短縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部とを備える通信装置である。
【0011】
また、本発明の別の一態様は、マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行うことを備える通信方法である。
【発明の効果】
【0012】
この出願に開示された技術によれば、初期同期の確立までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】送信信号における同期シンボルの配置を示す配置図である。
【図3】同期処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1受信処理を示すフローチャートである。
【図5】第2受信処理を示すフローチャートである。
【図6】一次同期処理を示すフローチャートである。
【図7】適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を示す模式図である。
【図8】一次同期確認処理を示すフローチャートである。
【図9】二次同期処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態では、LTEを用いた移動体通信システムの移動局である通信装置の例について説明する。この通信装置は基地局との無線通信を行う。
【0016】
まず通信装置の構成について説明する。
【0017】
図1は、通信装置1の構成を示すブロック図である。この通信装置1は、通信装置の適用例である。通信装置1は、アナログ信号処理部2と、ディジタル信号処理部3と、データ入力部4と、データ出力部5と、アンテナ6とを有する。ディジタル信号処理部3は送信部11と受信部12とを有する。
【0018】
送信時、送信部11は、データ入力部4出力である送信データを複数の複素信号にマッピングしてシンボルを生成し、シンボル毎のIFFT(inverse fast Fourier transform)処理により変調する。アナログ信号処理部2は、送信部11出力であるディジタル信号をアナログ信号へ変換し、RF帯へ変換し、増幅し、アンテナ6により送信する。
【0019】
受信時、アナログ信号処理部2は、アンテナ6により受信されたRF帯の信号を増幅し、IF帯へ変換し、アナログ信号をディジタル信号へ変換する。受信部12は、アンテナ6により受信された信号を周波数変換やFFT処理等により復調して受信データを生成する。
【0020】
データ入力部4は、外部からの入力に基づいて送信データを生成し、送信データを送信部11へ入力する。例えば通信装置1が携帯電話機などの音声端末装置である場合、マイクにより音声を検出し、その音声を符号化して送信データを生成する。データ出力部5は、受信部12出力である受信データを取得し、受信データに基づいて外部への出力を行う。例えば通信装置1が携帯電話機などの音声端末装置である場合、受信データを復号化して音声を生成し、その音声をスピーカにより出力する。
【0021】
次に受信部12の構成について説明する。
【0022】
前述の受信部12は、直交検波部21と、搬送波生成部22と、CP検出部23と、S/P(serial to parallel)変換部24と、FFT処理部25と、同期処理部26と、復号部27とを有する。
【0023】
直交検波部21は、搬送波生成部22により生成されたIF搬送波を用いて、アナログ信号処理部2から出力されるディジタル信号の直交検波を行い、I成分及びQ成分を有する複素ベースバンド信号へ変換する。CP検出部23は、複素ベースバンド信号からCP(cyclic prefix)を検出することによりシンボルタイミングとIF搬送波の誤差とを検出し、搬送波生成部22の周波数を設定する。搬送波生成部22は、CP検出部23による設定に従ってIF搬送波を生成する。S/P変換部24は、CP検出部23により検出されたシンボルタイミング毎に、複素ベースバンド信号のS/P変換を行って1シンボル分の複素ベースバンド信号である受信シンボルを出力する。FFT処理部25は、1シンボル分の複素ベースバンド信号のFFT処理を行う。同期処理部26は、FFT処理部25出力の補正を行い、補正された信号に基づいて初期同期確立を行う。復号部27は、同期処理部26により補正された信号から受信データを復号する。
【0024】
次に送信信号における同期シンボルの配置について説明する。
【0025】
ここでは、LTEの送信信号の例について説明する。図2は、送信信号における同期シンボルの配置を示す配置図である。
【0026】
この配置図の上部は無線フレームを示す。この配置図の上部において横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。1個の無線フレームは、10個のサブフレームにより形成される。各サブフレームに付された数字1〜10はサブフレーム番号を示す。
【0027】
この配置図の下部は第1サブフレームと第6サブフレームを示す。この配置図の下部において横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。1個のサブフレームは、2個のスロットにより形成される。各サブフレーム内の各スロットに付された数字1〜2はスロット番号を示す。1個のスロットは、7個のシンボルにより形成される。各スロット内の各シンボルに付された数字1〜7はシンボル番号を示す。
【0028】
無線フレームの時間長は10msであり、サブフレームの時間長は1msであり、スロットの時間長は0.5msである。
【0029】
ここで、送信信号に含まれる総サブキャリア数は、例えば1024等の2のべき乗数の整数である。中心周波数に位置するサブキャリアはNULLサブキャリアと呼ばれている。同期シンボルを表すためにNULLサブキャリアを除いた中央部のサブキャリアを同期用サブキャリアとする。同期用サブキャリア数は72である。同期シンボルには、一次同期のためのシンボルである一次同期シンボル(第1参照シンボル)111と二次同期のためのシンボルである二次同期シンボル(第2参照シンボル)112a,112bとがある。同期シンボルは、同期用サブキャリアに配置される。そのため、この配置図における無線フレームは、同期用サブキャリアだけを示す。
【0030】
ここでNは2以上の整数であり、例えば同期用サブキャリア数である。第1参照シンボルは例えば一次同期シンボルであり、第2参照シンボルは例えば二次同期シンボルである。
【0031】
一次同期シンボル111は、第1サブフレーム内の第1スロット内の第7シンボルと、第6サブフレーム内の第1スロット内の第7シンボルとに配置される。二次同期シンボル112aは、第1サブフレーム内の第1スロット内の第6シンボルに配置される。二次同期シンボル112bは、第6サブフレーム内の第1スロット内の第6シンボルに配置される。なお、二次同期シンボル112aと二次同期シンボル112bはフレーム同期を目的とするため、互いに異なるシンボルである。
【0032】
一次同期シンボル111及び二次同期シンボル112a,112bにより表されるデータパターンは、セル番号を示す。これらのデータパターンは、同期用サブキャリア数分の複素データにより形成される。一次同期シンボル111は例えば、3種類のデータパターンのいずれか一つを表す。二次同期シンボル112a,112bは例えば、128種類のデータパターンのいずれか一つを表す。
【0033】
この送信信号によれば、通信装置1は伝搬路を介して、この送信信号を受信し、一次同期シンボル111の受信タイミングを検出することにより一次同期を行うことができ、二次同期シンボル112a,112bの受信タイミングを検出することにより二次同期を行うことができる。更に通信装置1は、一次同期シンボル111及び二次同期シンボル112a,112bのデータパターンを認識することにより、在圏セルのセル番号を認識することができる。
【0034】
次に同期処理部26の構成について説明する。
【0035】
図3は、同期処理部26の構成を示すブロック図である。同期処理部26は、受信シンボルバッファ31と、補正処理部34と、同期判定部35と、格納部37とを有する。格納部37は、参照シンボル格納部32と、しきい値格納部33と、状態格納部36とを有する。
【0036】
受信シンボルバッファ31は、FFT処理部25出力である受信シンボルを格納する。受信シンボルは、総サブキャリア数の複素数値を示す。受信シンボルに示される複素数値のうち同期中に用いられる複素数値は、中央部の同期用サブキャリア数分の複素数値である。参照シンボル格納部32は、参照用の同期シンボルである参照シンボルを格納する。しきい値格納部33は、受信シンボルと参照シンボルとの誤差を判定するための複数の誤差しきい値と、条件を満たす誤差の数を判定するための適合数しきい値とを格納する。状態格納部36は、受信シンボルが一次同期又は二次同期を通過した状態を示す通過情報を格納する。
【0037】
ここで、中央部の同期用サブキャリア数分の複素数値は例えば、第1受信複素数値、第2受信複素数値、第3受信複素数値である。
【0038】
参照シンボルには、一次同期用の参照シンボルと、二次同期用の参照シンボルとが含まれる。一次同期用の参照シンボルは、送信される一次同期シンボルのレプリカであり、二次同期用の参照シンボルは、送信される二次同期シンボルのレプリカである。誤差しきい値には、一次同期用の誤差しきい値と二次同期用の誤差しきい値とが含まれる。一次同期用の誤差しきい値には、第1誤差しきい値と、第1誤差しきい値より大きい第2誤差しきい値とが含まれる。二次同期用の誤差しきい値には、第3誤差しきい値と、第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値とが含まれる。通過情報には、一次同期を通過したことを示す一次通過フラグ、二次同期を通過したことを示す二次通過フラグ、一次同期を通過したときに認識された一次同期シンボルである一次通過シンボル、二次同期を通過したときに認識された二次同期シンボルである二次通過シンボル、一次同期を通過したときの誤差しきい値である一次通過しきい値、二次同期を通過したときの誤差しきい値である二次通過しきい値、などが含まれる。
【0039】
ここで、第1しきい値は例えば第1誤差しきい値であり、第2しきい値は例えば第2誤差しきい値であり、第3しきい値は例えば第3誤差しきい値であり、第4しきい値は例えば第4誤差しきい値である。
【0040】
なお、参照シンボル格納部32及びしきい値格納部33は例えば、不揮発性メモリで実現される。一方、受信シンボルバッファ31及び状態格納部36は例えば、揮発性メモリで実現される。
【0041】
同期判定部35は、誤差算出部41と比較部42と判定部43とを有する。誤差算出部41は、受信シンボルと参照シンボルとの誤差を算出する。比較部42は、算出された誤差と誤差しきい値を比較し、算出された誤差のうち誤差しきい値以下となる誤差の数である適合数を算出する。判定部43は、受信シンボルバッファ31と参照シンボル格納部32としきい値格納部33と状態格納部36とに格納された情報を用いて、受信シンボルから一次同期シンボルを検出することによりスロットタイミングを検出し、受信シンボルから二次同期シンボルを検出することによりフレームタイミングを検出して補正処理部34及び復号部27へ出力する。
【0042】
補正処理部34は同期判定部35により検出された同期シンボルの情報に基づいて受信シンボル補正処理を行う。この受信シンボル補正処理において補正処理部34は、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出し、マルチパス及び周波数選択性フェージングによる受信シンボルの位相回転と電力変動を補正することにより補正シンボルを算出して出力する。
【0043】
復号部27は、同期判定部35により検出されたスロットタイミング及びフレームタイミングに従って、補正シンボルの復号を行う。
【0044】
次に受信部12による受信処理について説明する。受信部12は、次に示す受信処理を繰り返す。
【0045】
受信処理において、受信部12はまず次に示す第1受信処理を行う。
【0046】
図4は、第1受信処理を示すフローチャートである。まず、判定部43は、新しいシンボルを受信したか否か、即ち新しい受信シンボルが受信シンボルバッファ31に格納されたか否かを判定する(S31)。新しいシンボルを受信していないと判定された場合(S31,N)、判定部43は、新しいシンボルを受信したと判定されるまでS31を繰り返す。新しいシンボルを受信したと判定された場合(S31,Y)、判定部43は一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S33)。
【0047】
一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S33,N)、判定部43は第1誤差しきい値及び第2誤差しきい値を用いて一次同期シンボルを検出する一次同期処理を行い(S34)、このフローをS31へ移行させる。一次通過フラグがONであると判定された場合(S33,Y)、判定部43は一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S35)、一次通過しきい値が第1誤差しきい値であるか否かを判定する(S41)。
【0048】
一次通過しきい値が第1誤差しきい値であると判定された場合(S41,Y)、判定部43は、このフローをS45へ移行させる。一次通過しきい値が第1誤差しきい値でないと判定された場合、即ち一次通過しきい値が第2誤差しきい値である場合(S41,N)、判定部43は第1誤差しきい値のみを用いて一次同期シンボルを検出する一次同期確認処理を行い(S42)、一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S43)。
【0049】
一次通過フラグがONであると判定された場合(S43,Y)、判定部43はこのフローをS31へ移行させる。一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S43,N)、判定部43は、このフローをS45へ移行させる。
【0050】
S43において一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S43,N)、又はS41において一次通過しきい値が第1誤差しきい値であると判定された場合(S41,Y)、判定部43は二次同期シンボルを検出する二次同期処理を行い(S45)、二次通過フラグがONであるか否かを判定する(S46)。
【0051】
二次通過フラグがONでない、即ち二次通過フラグがOFFであると判定された場合(S46,N)、判定部43は、このフローをS31へ移行させる。二次通過フラグがONであると判定された場合(S46,Y)、判定部43は、このフローを終了させる。この第1受信処理が終了すると、受信部12は第2受信処理を実行する。
【0052】
受信部12は、この第1受信処理の後、次に示す第2受信処理を行う。
【0053】
図5は、第2受信処理を示すフローチャートである。まず判定部43は、二次通過しきい値が第3誤差しきい値であるか否かを判定する(S51)
【0054】
二次通過しきい値が第3誤差しきい値であると判定された場合(S51,Y)、判定部43は、このフローをS55へ移行させる。二次通過しきい値が第3誤差しきい値でない、即ち二次通過しきい値が第4誤差しきい値であると判定された場合(S51,N)、判定部43は第1誤差しきい値のみを用いて一次同期シンボルを検出する一次同期確認処理を行い(S52)、一次通過フラグがONであるか否かを判定する(S53)。
【0055】
一次通過フラグがONであると判定された場合(S53,Y)、判定部43はこのフローをS57へ移行させる。一次通過フラグがONでない、即ち一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S53,N)、判定部43は、このフローをS55へ移行させる。
【0056】
S53において一次通過フラグがOFFであると判定された場合(S53,N)、又はS51において二次通過しきい値が第3誤差しきい値であると判定された場合(S51,Y)、判定部43は状態格納部36から通過情報を読み出し、通過情報に含まれた一次通過シンボルのデータパターンと通過情報に含まれた二次通過シンボルのデータパターンとからセル番号を認識し(S55)、復号部27は、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)により送信された報知情報を復号する(S56)。
【0057】
S56の後、又はS53において一次通過フラグがONであると判定された場合(S53,Y)、判定部43は二次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S57)、このフローを終了させる。
【0058】
以上で受信処理は終了する。状態格納部36に保存された通過情報は、受信処理が終了するまで保持される。従って、或る受信シンボルが高い誤差しきい値を用いて一次同期を通過した場合にその通過情報を保持することにより、低い誤差しきい値を用いて新たな受信シンボルの一次同期の通過を判定することができる。つまり、同期判定部35は初期同期の確立前に、より確からしい一次同期シンボルを検出する可能性がある。これにより、誤って検出した一次同期シンボルで初期同期が確立されて報知情報の復号により誤同期が判明するケースを低減することができる。
【0059】
次に前述のS34に示された一次同期処理について説明する。
【0060】
図6は、一次同期処理を示すフローチャートである。まず判定部43は、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出す(S112)。この場合において、受信シンボルは第1受信シンボルに含まれる。誤差算出部41は、一次同期用の誤差しきい値の一つを選択してしきい値格納部33から読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S113)、一次同期用の参照シンボルの一つを選択して参照シンボル格納部32から読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当てる(S114)。ここで、最初に割り当てられる適用誤差しきい値は、一次同期用の第1誤差しきい値及び第2誤差しきい値のうち低い方の第1誤差しきい値である。
【0061】
次に誤差算出部41及び比較部42は受信シンボルの評価を示す適合数を算出する評価処理を行う(S121)。
【0062】
この評価処理において、まず誤差算出部41は適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を算出する。複数の誤差の夫々は、受信シンボル内の複素数値の夫々から適用参照シンボル内の複素数値の夫々を引いた差の絶対値である。次に比較部42は複数の誤差のうち、適用誤差しきい値以下となる誤差の数である適合数を算出する。
【0063】
図7は、適用参照シンボルに対する受信シンボルの誤差を示すコンスタレーションである。このコンスタレーションにおいて、横軸はシンボル内の或るサブキャリアに対応する複素数値のI成分を示し、縦軸は当該サブキャリアに対応する複素数値のQ成分を示す。ベクトルAは当該サブキャリアの複素数値の真値、即ち適用参照シンボル内の当該サブキャリアの複素数値を示す。ベクトルBは受信シンボル内の当該サブキャリアの複素数値を示す。ここで、当該サブキャリアにおいて、適用参照シンボル内の複素数値に対する受信シンボル内の複素数値の誤差は、(B−A)であるベクトルCの絶対値である。評価処理において判定部43は、この誤差を全ての同期用サブキャリアに対して算出する。更にこのコンスタレーションにおいて、誤差が第1誤差しきい値以下になる複素数値の範囲は、中心を複素数値の真値とし半径を第1誤差しきい値とする円の内部である。同様に誤差が第2誤差しきい値以下になる複素数値の範囲は、中心を複素数値の真値とし半径を第2誤差しきい値とする円の内部である。Bのように、第1誤差しきい値による適合数が適合数しきい値未満となっても、第2誤差しきい値による適合数が適合数しきい値以上になる場合がある。
【0064】
次に判定部43は、適合数が適合数しきい値以上であるか否かを判定する(S122)。
【0065】
適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43はこのフローをS131へ移行させる。適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボル(第1受信シンボル)が適用参照シンボル(第1参照シンボル)と同一であり、現在の受信シンボルが一次同期を通過したと認識する。そして判定部43は、一次通過シンボルが適用参照シンボルであることと一次通過しきい値が適合誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151)。次に判定部43は一次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152)、このフローを終了させる。
【0066】
S122において適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43は全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたか否かを判定する(S131)。
【0067】
全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43はこのフローをS141へ移行させる。未だ幾つかの一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられていないと判定された場合(S131,N)、判定部43は次の一次同期用の参照シンボルを選択して読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当て(S132)、このフローをS121へ移行させる。
【0068】
S131において全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43は全ての一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたか否かの判定を行う(S141)。
【0069】
未だ幾つかの一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられていないと判定された場合(S141,N)、判定部43は次の一次同期用の誤差しきい値を選択して読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S142)、このフローをS114へ移行させる。全て一次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたと判定された場合(S141,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが一次同期を通過しなかったと認識し、一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143)、このフローを終了させる。
【0070】
以上の一次同期処理によれば同期判定部35は、複数の一次同期用の誤差しきい値のうち、まず最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)を用いて評価処理を行い、適合数が適合数しきい値以上でない場合、その誤差しきい値より高い誤差しきい値(より緩い条件)を用いて評価処理を行う。これにより、受信シンボルが一次同期を通過する確率を向上させることができ、同期失敗の発生確率を低下させることができる。
【0071】
次に前述のS42及びS52に示された一次同期確認処理について説明する。
【0072】
図8は、一次同期確認処理を示すフローチャートである。この図に示されたステップのうち、前述の一次同期処理に含まれたステップに相当するステップは、一次同期処理と同一の符号により示されている。この一次同期確認処理におけるS112〜S132は、一次同期処理と同様である。
【0073】
S122において適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボルが適用参照シンボルであり、現在の受信シンボルが一次同期を通過したと認識する。この場合において、適合数は第5適合数に含まれ、受信シンボルは第3受信シンボルに含まれ、適用参照シンボルは第1参照シンボルに含まれる。そして判定部43は、一次通過シンボルが現在の適用参照シンボルであることと一次通過しきい値が第1誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151b)。次に判定部43は一次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152)、このフローを終了させる。
【0074】
S131において全ての一次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが一次同期を通過しなかったと認識し、一次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143b)、このフローを終了させる。
【0075】
以上の一次同期確認処理によれば同期判定部35は、複数の一次同期用の誤差しきい値のうち、最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)だけを用いて評価処理を行う。従って例えば、一次同期処理で或る受信シンボルが高い誤差しきい値により一次同期を通過し、その後一次同期確認処理で新たな受信シンボルが低い誤差しきい値により一次同期を通過した場合に、より確からしい新たなシンボルを一次同期シンボルと認識することができる。これにより、誤同期の発生確率を低下させることができる。
【0076】
次に前述のS45に示された二次同期処理について説明する。
【0077】
図9は、二次同期処理を示すフローチャートである。この図に示されたステップのうち、前述の一次同期処理に含まれたステップに相当するステップは、一次同期処理と同一の符号により示されている。まず判定部43は、一次同期処理と同様、受信シンボルを受信シンボルバッファ31から読み出す(S112)。この場合において、受信シンボルは第2受信シンボルに含まれる。
【0078】
次に誤差算出部41は、二次同期用の誤差しきい値の一つを選択してしきい値格納部33から読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S113c)、二次同期用の参照シンボルの一つを選択して参照シンボル格納部32から読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当てる(S114c)。ここで、最初に割り当てられる適用誤差しきい値は、二次同期用の第3誤差しきい値及び第4誤差しきい値のうち低い方の第3誤差しきい値である。
【0079】
次に一次同期処理と同様のS121、S122が実行される。
【0080】
適合数が適合数しきい値以上であると判定された場合(S122,Y)、判定部43は受信シンボルが適用参照シンボルと同一であり、現在の受信シンボルが二次同期を通過したと認識する。この場合において、受信シンボルは第2受信シンボルに含まれ、適用参照シンボルは第2参照シンボルに含まれる。そして判定部43は、二次通過シンボルが現在の適用参照シンボルであることと二次通過しきい値が現在の適合誤差しきい値であることとを示す通過情報を状態格納部36へ保存する(S151c)。次に判定部43は二次通過フラグをセット(ONに変更)し(S152c)、このフローを終了させる。
【0081】
S122において適合数が適合数しきい値以上でないと判定された場合(S122,N)、判定部43は全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたか否かを判定する(S131c)。
【0082】
全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131c,Y)、判定部43はこのフローをS141cへ移行させる。未だ幾つかの二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられていないと判定された場合(S131c,N)、判定部43は次の二次同期用の参照シンボルを選択して読み出し、読み出された参照シンボルを適用参照シンボルへ割り当て(S132c)、このフローをS121へ移行させる。
【0083】
S131cにおいて全ての二次同期用の参照シンボルが適用参照シンボルへ割り当てられたと判定された場合(S131c,Y)、判定部43は全ての二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたか否かの判定を行う(S141c)。
【0084】
未だ幾つかの二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられていないと判定された場合(S141c,N)、判定部43は次の二次同期用の誤差しきい値を選択して読み出し、読み出された誤差しきい値を適用誤差しきい値へ割り当て(S142c)、このフローをS114cへ移行させる。全て二次同期用の誤差しきい値が適用誤差しきい値へ割り当てられたと判定された場合(S141c,Y)、判定部43は現在の受信シンボルが二次同期を通過しなかったと認識し、二次通過フラグをクリア(OFFに変更)し(S143c)、このフローを終了させる。
【0085】
以上の二次同期処理によれば同期判定部35は、複数の二次同期用の誤差しきい値のうち、まず最も低い誤差しきい値(最も厳しい条件)を用いて評価処理を行い、適合数が適合数しきい値以上でない場合、その誤差しきい値より高い誤差しきい値(より緩い条件)を用いて評価処理を行う。これにより、二次同期を通過する確率を向上させることができ、同期失敗の発生確率を低下させることができる。
【0086】
通信装置1が、受信シンボルと適用参照シンボルとの誤差に対して、複数の誤差しきい値を用いることにより、受信された同期シンボルがフェージングの影響や弱電界域により放棄される確率を低減することができる。これにより、初期同期確立時間を短縮することができる。また、この通信装置1は、或る受信シンボルが緩い条件で一次同期を通過したときの情報を保持しておき、新たな受信シンボルがより厳しい条件で一次同期を通過した場合に新たな受信シンボルを正しい一次同期シンボルと認識する。これにより、誤った一次同期により正しい一次同期シンボルが見逃されて受信処理が進行することを防ぐことができる。このように誤同期による初期同期確立時間の増大を防ぐことにより、回線の品質が悪い状況において初期同期確立時間を短縮することができる。
【0087】
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0088】
なお、しきい値格納部33は、適用誤差しきい値が第1誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第1適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第2誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第2適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第3誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第3適合数しきい値と、適用誤差しきい値が第4誤差しきい値である場合の適合数しきい値である第4適合数しきい値とを予め格納していても良い。この場合、同期判定部35は適用誤差しきい値に対応する適合数しきい値をしきい値格納部33から読み出し、S122を行う。第1適合数しきい値と第2適合数しきい値と第3適合数しきい値と第4適合数しきい値との少なくともいずれかは、他と異なる値であっても良い。
【0089】
更に、一次同期処理のS142のように適合数算出処理に用いる条件を厳しい条件から緩い条件へ変更するステップにおいて、適合数しきい値を第1適合数しきい値から第2適合数しきい値へ変更しても良い。この場合、第2適合数しきい値は第1適合数しきい値より小さい。同様に二次同期処理のS142cにおいて、適合数算出処理に用いる適合数しきい値を第3適合数しきい値から第4適合数しきい値へ変更しても良い。この場合、第4適合数しきい値は第3適合数しきい値より小さい。
【0090】
一次同期用の誤差しきい値は、互いに大きさの異なる3種類以上の値であっても良い。この場合、或る受信シンボルが最も低い誤差しきい値以外を用いて一次同期を通過し、一次通過しきい値が保存された場合、新たな受信シンボルが一次通過しきい値より低い誤差しきい値を用いて一次同期を通過した場合、同期判定部35はその新たな受信シンボルを一次同期シンボルと認識する。同様に二次同期用の誤差しきい値は、互いに大きさの異なる3種類以上の値であっても良い。
【0091】
また、同期判定部35は、複数の評価処理を並列に処理しても良い。この場合、複数の評価処理は、互いに異なる誤差しきい値を用いても良いし、互いに異なる適合数しきい値を用いても良いし、互いに異なる参照シンボルを用いても良い。
【0092】
また、評価処理において算出される誤差は、受信シンボル内の複素数値から適用参照シンボルの複素数値を引いた差の絶対値の二乗であっても良い。
【0093】
また、通信装置1は、無線通信の代わりに有線通信を行っても良い。この場合、アンテナ6の代わりに有線伝送路を介して他の通信装置に接続される。
【0094】
また、受信部12の各機能は、ハードウェアにより実現されても良いし、ソフトウェアにより実現されても良い。ソフトウェアにより実現される場合、受信部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサと記憶部を有し、プロセッサが記憶部に格納されたプログラムを実行することにより受信部12の各機能を実現する。
【0095】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部と
を備える通信装置。
(付記2)
前記記憶部は、前記変調された信号内の第2参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2参照複素数値を記憶し、
前記復調部は、前記受信された信号内の第2受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第2参照複素数値に対する前記N個の第2受信複素数値の誤差であるN個の第2誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、第2誤差のしきい値である第3しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第3比較を行い、
前記判定部は、前記第3比較の結果に基づき前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定を行う、
付記1に記載の通信装置。
(付記3)
前記比較部は、前記第1比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第1しきい値より小さい第1誤差の数である第1適合数を算出し、前記第2比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第2しきい値より小さい第1誤差の数である第2適合数を算出し、前記第3比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第3しきい値より小さい第2誤差の数である第3適合数を算出し、
前記判定部は、前記第1適合数と前記第2適合数と前記第3適合数とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定と、前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定とを行う、
付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記判定部は、前記第1適合数のしきい値である第1適合数しきい値と前記第2適合数のしきい値である第2適合数しきい値と前記第3適合数のしきい値である第3適合数しきい値とを用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
付記3に記載の通信装置。
(付記5)
前記比較部は、前記第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第4比較を行い、前記4比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第4しきい値より小さい第2誤差の数である第4適合数を算出し、
前記判定部は、前記第4適合数のしきい値である第4適合数しきい値を用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
付記4に記載の通信装置。
(付記6)
前記復調部は、前記受信された信号内の第3受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第3受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第3受信複素数値の誤差であるN個の第3誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、前記第1しきい値と前記N個の第3誤差の夫々とを比較する第5比較を行い、前記第5比較の結果に基づき前記N個の第3誤差の中で前記第1誤差しきい値より小さい第3誤差の数である第5適合数を算出し、
前記判定部は、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第2適合数が前記第1適合数しきい値以上である場合、前記第3受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識する、
付記5に記載の通信装置。
(付記7)
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、
前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う
ことを備える通信方法。
【0096】
記憶部は例えば、参照シンボル格納部32である。復調部は例えば、FFT処理部25である。
【符号の説明】
【0097】
1 通信装置
2 アナログ信号処理部
3 ディジタル信号処理部
4 データ入力部
5 データ出力部
6 アンテナ
11 送信部
12 受信部
21 直交検波部
22 搬送波生成部
23 CP検出部
24 S/P変換部
25 FFT処理部
26 同期処理部
27 復号部
31 受信シンボルバッファ
32 参照シンボル格納部
33 しきい値格納部
34 補正処理部
35 同期判定部
36 状態格納部
37 格納部
41 誤差算出部
42 比較部
43 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記変調された信号内の第2参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2参照複素数値を記憶し、
前記復調部は、前記受信された信号内の第2受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第2参照複素数値に対する前記N個の第2受信複素数値の誤差であるN個の第2誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、第2誤差のしきい値である第3しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第3比較を行い、
前記判定部は、前記第3比較の結果に基づき前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記比較部は、前記第1比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第1しきい値より小さい第1誤差の数である第1適合数を算出し、前記第2比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第2しきい値より小さい第1誤差の数である第2適合数を算出し、前記第3比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第3しきい値より小さい第2誤差の数である第3適合数を算出し、
前記判定部は、前記第1適合数と前記第2適合数と前記第3適合数とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定と、前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定とを行う、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1適合数のしきい値である第1適合数しきい値と前記第2適合数のしきい値である第2適合数しきい値と前記第3適合数のしきい値である第3適合数しきい値とを用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第4比較を行い、前記4比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第4しきい値より小さい第2誤差の数である第4適合数を算出し、
前記判定部は、前記第4適合数のしきい値である第4適合数しきい値を用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、
前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う
ことを備える通信方法。
【請求項1】
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して受信する通信装置であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶する記憶部と、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調する復調部と、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出する誤差算出部と、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行う比較部と、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う判定部と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記変調された信号内の第2参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2参照複素数値を記憶し、
前記復調部は、前記受信された信号内の第2受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第2受信複素数値を復調し、
前記誤差算出部は、前記N個の第2参照複素数値に対する前記N個の第2受信複素数値の誤差であるN個の第2誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
前記比較部は、第2誤差のしきい値である第3しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第3比較を行い、
前記判定部は、前記第3比較の結果に基づき前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記比較部は、前記第1比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第1しきい値より小さい第1誤差の数である第1適合数を算出し、前記第2比較に基づき前記N個の第1誤差の中で前記第2しきい値より小さい第1誤差の数である第2適合数を算出し、前記第3比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第3しきい値より小さい第2誤差の数である第3適合数を算出し、
前記判定部は、前記第1適合数と前記第2適合数と前記第3適合数とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定と、前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識するか否かの判定とを行う、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1適合数のしきい値である第1適合数しきい値と前記第2適合数のしきい値である第2適合数しきい値と前記第3適合数のしきい値である第3適合数しきい値とを用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第3適合数が前記第3適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記第3誤差しきい値より大きい第4誤差しきい値と前記N個の第2誤差の夫々とを比較する第4比較を行い、前記4比較に基づき前記N個の第2誤差の中で前記第4しきい値より小さい第2誤差の数である第4適合数を算出し、
前記判定部は、前記第4適合数のしきい値である第4適合数しきい値を用いて、前記第1適合数が前記第1適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合と、前記第2適合数が前記第2適合数しきい値以上であり且つ前記第4適合数が前記第4適合数しきい値以上である場合とに、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識すると共に前記第2受信シンボルを前記第2参照シンボルと認識する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
マルチキャリア変調を用いてN(Nは2以上の整数)個のサブキャリアが変調された信号を、伝搬路を介して通信装置により受信する通信方法であって、
前記変調された信号内の第1参照シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1参照複素数値を記憶し、
前記受信された信号内の第1受信シンボルにより示されるN個の複素数値であって前記N個のサブキャリアに夫々対応する、N個の第1受信複素数値を復調し、
前記N個の第1参照複素数値に対する前記N個の第1受信複素数値の誤差であるN個の第1誤差を、前記N個のサブキャリアに夫々対応して算出し、
第1誤差のしきい値である第1しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第1比較を行い、
前記第1しきい値より大きい第2しきい値と前記N個の第1誤差の夫々とを比較する第2比較を行い、
前記第1比較の結果と前記第2比較の結果とに基づいて、前記第1受信シンボルを前記第1参照シンボルと認識するか否かの判定を行う
ことを備える通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−239188(P2011−239188A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109044(P2010−109044)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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