通信装置およびクロック同期方法
【課題】リング網において障害発生時のクロックソースの切替に要する時間を短縮する。
【解決手段】実施の1形態のノード10は、リング網36における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網36における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報の少なくとも一方を用いて当該ノードの動作をマスタクロックに同期させる。ノード10は、リング網36における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に設定してリング網の第1方向へ送出する。それとともに、その付加情報を第2クロック情報にも設定してリング網の第2方向へ送出する。
【解決手段】実施の1形態のノード10は、リング網36における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網36における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報の少なくとも一方を用いて当該ノードの動作をマスタクロックに同期させる。ノード10は、リング網36における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に設定してリング網の第1方向へ送出する。それとともに、その付加情報を第2クロック情報にも設定してリング網の第2方向へ送出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、リング網に設置された通信装置およびその通信装置により実行されるクロック同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速化に伴い、通信網上に設置されたルータやスイッチ等、通信装置間における高品質のクロック同期が求められている。以下の特許文献1では、クロック供給装置からの中継数が小さくなるようにクロックソースを選択することで、クロックの供給経路に障害が発生しても、障害の影響を受ける通信装置の数を低減し、クロックソースの切替時間を短縮する技術を提案している。
【0003】
ITU−T G.8261/G.8262/G.8264は、従来のSONET/SDHにおけるクロック同期技術をイーサネット(登録商標)に適用し、イーサネット上でクロックパスを実現する方式を提案している。以下、このようなイーサネットを、Sync−E(Synchronous Ethernet、「Ethernet」は登録商標)とも呼ぶ。
【0004】
Sync−Eには、クロック供給装置からマスタクロックを直接取得し、そのマスタクロックへ同期する(以下、「外部同期」とも呼ぶ。)通信装置が含まれる。また、その装置からのESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel)フレームにもとづく伝送路抽出によってマスタクロックへの同期(以下、「ライン同期」とも呼ぶ。)を行う通信装置が含まれる。そしてSync−E全体として、精度±4.6ppmの高品質のクロック同期が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Sync−Eのリング網において、1つの供給経路から供給されるクロックに複数の通信装置が同期している場合にその供給経路に障害が発生すると、各通信装置は、他方の供給経路から供給されるクロックに同期するように、クロックソースの切替を順次行う必要がある。各通信装置は、クロックソースの切替を終了するまでは装置内部のクロックにより自走するため、その間のクロック品質が低下するという問題があった。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、リング網において障害発生時のクロックソースの切替に要する時間を短縮し、クロック品質の向上を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信装置は、リング網に設置された通信装置であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させる同期処理部と、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、を備える。クロック送出部は、リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に対して設定するとともに、第2クロック情報に対しても設定する。
【0009】
本発明の別の態様もまた、通信装置である。この装置は、リング網に設置された通信装置であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させる同期処理部と、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、を備える。第1クロック情報は、クロックの品質を示す情報を含むものであり、クロック送出部は、クロックの品質を示す情報に変化が生じた場合、第1クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、クロック同期方法である。この方法は、リング網に設置された通信装置により実行される方法であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するステップと、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させるステップと、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するステップと、を備える。送出するステップは、リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に対して設定するとともに、第2クロック情報に対しても設定する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、障害発生時のクロックソースの切替時間を短縮し、クロック品質の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態の通信システムの構成を示す図である。
【図2】外部同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す図である。
【図3】ライン同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す図である。
【図4】ESMCフレームのフレームフォーマットを示す図である。
【図5】SSMコードのデータフォーマットを示す図である。
【図6】クロックソースを切り替える従来の仕組みを示す図である。
【図7】クロックソースを切り替える従来の仕組みを示す図である。
【図8】クロックパス付加情報の構成を示す図である。
【図9】図1のノードの機能構成を示すブロック図である。
【図10】優先度情報の構成を示す図である。
【図11】第1クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す図である。
【図12】第2クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(a)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(b)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(c)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(d)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(e)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(f)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図14】図1のノードの動作を示すフローチャートである。
【図15】図1のノードの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態の通信システムの構成を示す。通信システム100は、ノード10で総称される複数の通信ノード(ノード12〜ノード30)を備える。ノード12〜ノード30のそれぞれは、イーサネットフレームを他のノードと送受する通信装置であり、例えばルータやスイッチ等の通信制御装置である。ノード12〜ノード30はリング状に接続されて、Sync−Eのリング網36が形成される。
【0015】
ノード12は、リング網36に設置された各ノードが同期すべきクロック(以下、「マスタクロック」とも呼ぶ。)を供給するクロック供給装置32およびクロック供給装置34に接続される。ノード12は、クロック供給装置32またはクロック供給装置34が提供するマスタクロックに外部同期する。以下では「外部同期ノード」とも呼ぶ。図2は、外部同期ノード(すなわちノード12)におけるクロックソースの優先度設定を示す。実施の形態のノード12は、クロック供給装置32を高優先度でクロックソースとし、クロック供給装置32に障害が発生した場合はクロックソースをクロック供給装置34へ切り替える。
【0016】
図1に戻り、ノード12は、リング網36の時計回り(以下、「EAST方向」とも呼ぶ。)に伝送させるESMCフレーム(以下、「第1クロック情報」とも呼ぶ。)をノード14へ送出する。この第1クロック情報は、ノード14→ノード16→・・・→ノード30と順次伝送され、EAST方向のクロックパスを形成する。またノード12は、リング網36の反時計回り(以下、「WEST方向」とも呼ぶ。)に伝送させるESMCフレーム(以下、「第2クロック情報」とも呼ぶ。)をノード30へ送出する。この第2クロック情報は、ノード30→ノード28→・・・→ノード14と順次伝送され、WEST方向のクロックパスを形成する。以下、第1クロック情報と第2クロック情報とを総称する場合は単に「クロック情報」と呼ぶこととする。
【0017】
ノード14〜ノード30のそれぞれは、第1クロック情報と第2クロック情報のいずれか一方をクロックソースとして、クロックソースとするESMCフレームからマスタクロックを抽出し、自ノード内部のクロックをマスタクロックに同期させる。言い換えれば、EAST方向のクロックパスとWEST方向のクロックパスのいずれかをクロックソースとしてマスタクロックと同期する。以下では、ノード14〜ノード30を「ライン同期ノード」とも呼ぶ。
【0018】
ライン同期ノードは、より高いクロック品質を示すクロックパスをクロックソースとして選択する。クロック品質を示すSSM(Synchronous Status Message)コードについては後述する。また、EAST方向クロックパスとWEST方向クロックパスのクロック品質が同じである場合の選択優先度を保持する。図3は、ライン同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す。実施の形態のノード14〜ノード30は、EAST方向のクロックパスをWEST方向のクロックパスよりも高優先度でクロックソースとする。
【0019】
図4は、ESMCフレームのフレームフォーマットを示す。同図は、ITU−T G.8264で規定されたESMCのPDU(Protocol Data Unit)フォーマットを示している。同図のイベントフラグには、通常時において「0」が設定され、SSMコードの値が変化した場合に「1」が設定される。SSMコードは、ESMCフレームのデータ・アンド・パディング領域に設定される。
【0020】
図5は、SSMコードのデータフォーマットを示す。同図は、ITU−T G.8264で規定されたQL(Quality Level) TLV(Type Length Value)フォーマットを示している。説明の簡明化のため、本実施の形態のSSMコードには、「PRC」・「SEC」・「DNU」のいずれかが設定されることとする。「PRC」は、自ノード内部のクロックが、クロック供給装置32もしくはクロック供給装置34から供給されるマスタクロックに同期している状態を示す。
【0021】
「SEC」は、自ノードのクロックがマスタクロックに同期しておらず、自走クロックとなっている状態、または、他ノードの自走クロックに同期している状態(総称して、「自走状態」とも呼ぶ。)を示す。「DNU」は、自ノードのクロックの品質レベルに関わらず、自ノードのクロックを他の装置が選択しないように、自ノードのクロックが選択不可であることを示す。クロックの品質レベル、言い換えればクロックソースとしての選択優先度は、PRC>SEC>DNUとなる。
【0022】
図1に戻り、通信システム100のノード間におけるSSMコードの送受内容を説明する。ノード12は、自ノードがマスタクロックに同期していることを示すSSMコード「PRC」を含む第1クロック情報をノード14へ送信する。ノード14は、第1クロック情報にもとづき自装置をマスタクロックに同期させる。そして、SSMコード「PRC」を含む第1クロック情報をノード16へ送信するとともに、クロックのループを防ぐためにSSMコード「DNU」を含む第2クロック情報をノード12へ送信する。以降ノード30まで同様に、リング網36のEAST方向(時計回り)にSSMコード「PRC」を含む第1クロック情報が伝送され、リング網36のWEST方向(反時計回り)にSSMコード「DNU」を含む第2クロック情報が伝送される。
【0023】
またノード12は、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報をノード30へ送信する。ノード30は、第2クロック情報への応答として、SSMコード「DNU」を含む第1クロック情報をノード12へ送信する。ノード30は、SSMコード「PRC」を含む第1クロック情報と第2クロック情報の両方を受け付けるが、図3で示す優先度設定にしたがって、第1クロック情報を用いてマスタクロックと同期する。以上により、リング網36全体に亘り、EAST方向のクロックパスにてマスタクロックへのクロック同期が実現される。
【0024】
図6および図7を用いて、リング網36に障害が発生した場合にクロックソースを切り替える従来の仕組みを説明する。ここでは、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常な状態になったこととする。
【0025】
図6で示すように、ノード16は、EAST方向クロックパスの異常を検出するとノード内クロックによる自走状態(Holdover)となり、第1クロック情報のSSMコードを、「PRC」から、自走状態を示すSSMコード「SEC」へ変更する。ノード16が自走状態になることに伴い、他のライン同期ノードも自走状態(クロック品質がSEC)となるため、SSMコード「SEC」を含む第1クロック情報がノード30まで伝送される。ノード30は、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報をノード12から受け付けており、クロック品質はPRC>SECであるため、クロックソースをWEST側クロックパスへ切り替える。言い換えれば、第1クロック情報に代えて第2クロック情報を用いて、ノード内クロックをマスタクロックと同期させる。
【0026】
図7で示すように、ノード30は、第2クロック情報のSSMコードを「DNU」から「PRC」へ変更する。他のライン同期ノードも、クロックソースをWEST側クロックパスに切り替え、第2クロック情報を用いてマスタクロックと同期するため、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報がWEST方向へ順次伝送される。最終的に、ノード16〜ノード30は、WEST方向のクロックパスにてマスタクロックと同期した状態になる。なお、第2クロック情報によりマスタクロックと同期したライン同期ノードは、第1クロック情報のSSMコードを「SEC」から「DNU」へ変更する。
【0027】
このような方式でクロックソースを切り替える場合、ノード16が自走状態になった後、SSMコード「SEC」の第1クロック情報がノード30まで通知される。すなわち、障害の通知が、ノード16→ノード18→ノード20→ノード22→ノード24→ノード26→ノード28→ノード30と伝送される。そして、ノード30のクロックソースが切り替わった後、SSMコード「PRC」の第2クロック情報がノード16まで通知される。すなわち、クロックソースの切替が、ノード30→ノード28→ノード26→ノード24→ノード22→ノード20→ノード18→ノード16の順に行われる。
【0028】
この一連のプロセスが完了するまでノード16の自走状態は継続するため、ノード16が自走状態になってから、クロック供給装置32のマスタクロックに同期した状態に復帰するまで長時間を要する。また、Sync−EにおけるESMCフレームの送信頻度は、標準的には毎秒1フレームであるため、SONET/SDHよりも一層時間を要しやすい。また、リング網36上に設置される通信ノードが増えるほど、リング網36全体での障害通知およびクロックソースの切替に一層の時間を要し、自走状態が長時間継続してしまう。この場合、通信システム100におけるクロック同期の品質が低下しやすくなり、ノード間の通信効率の低下を招きやすくなってしまう。
【0029】
そこで本実施の形態では、伝送経路に障害が発生したクロックパスとは異なるクロックパスでもその障害の旨を通知するノード10を提案する。例えば、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常な状態になった場合、ノード16は、第1クロック情報で障害を通知するとともに、ESMCフレームの未使用領域を使用して第2クロック情報でも障害を通知する。言い換えれば、他ノードにクロックソースを切り替えさせるための情報を第1クロック情報に付与するとともに、第2クロック情報にも付与する。これにより、障害の通知(クロックソース切替の契機となる情報)が、ノード16→ノード14→ノード12→ノード30の経路でも伝送されることになり、ノード30におけるクロックパスの切替が早期に実現される。その結果、ノード16におけるクロックパスの切替も早期に実現され、自走状態の継続期間が短縮される。
【0030】
まず、他ノードにクロックソースを切り替えさせるための情報を第2クロック情報にも付与するために、本実施の形態においてESMCフレームに対して付加的に設定される情報(以下、「クロックパス付加情報」とも呼ぶ。)を説明する。図8は、クロックパス付加情報の構成を示す。同図の「SSM」および「イベント」は、図4で示したようにESMCフレームが標準的に備える項目であり、ESMCフレームの標準的な位置に設定される。その他の項目(「ID1」〜「受信」)は、本実施の形態で特有の項目であり、ESMCフレームのリザーブ領域および/またはデータ・アンド・パディング領域の未使用領域(空き領域)に設定される。図4で示したように、ESMCフレームには比較的大きな未使用領域が存在するため、クロックパス付加情報は設計者により予め定められた空き領域に設定されてよい。なお、通信システム100では、リング網36に設置された各ノードを一意に特定するためのIDが予め定められている。
【0031】
図9は、図1のノード10の機能構成を示すブロック図である。ノード10は、設定保持部40と、ノード内クロック42と、外部クロック取得部44と、第1受信部46と、第2受信部52と、第1送出部58と、第2送出部62と、同期処理部66とを備える。
【0032】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリ、HDDをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ブロック図においては、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0033】
設定保持部40は、クロックソースを選択する際の優先度に関する情報(以下、「優先度情報」とも呼ぶ。)を保持する。図10は、設定保持部40に保持される優先度情報の構成を示す。同図の優先度情報は、ノード10がライン同期ノードである場合の優先度情報であり、ノード10が外部同期ノードである場合は図2と同様の優先度情報となる。
【0034】
本実施の形態の優先度情報では、優先度とクロックソースと外部同期ノードIDとクロックパス方向とが対応づけて設定される。優先度およびクロックソースは、クロック品質が同じ場合にどのクロックパスをクロックソースとするかを示しており、図10ではEAST方向のクロックパス(すなわち第1クロック情報)を優先してクロックソースとすることが定められている。外部同期ノードIDは、クロックパスにおける外部同期ノードのIDを示す。クロックパス方向は、クロック情報の伝送方向(第1クロック情報であればEAST)が設定される。
【0035】
図9に戻り、ノード内クロック42は、ノード10の内部に設けられたクロック装置である。既述したように、ノード内クロック42は、クロック供給装置32もしくはクロック供給装置34から供給されたマスタクロックに外部同期もしくはライン同期する。マスタクロックに同期できない場合は自走状態となる。外部クロック取得部44は、クロック供給装置32およびクロック供給装置34から供給されたクロックを取得して同期処理部66へ送出する。外部クロック取得部44は、外部同期ノードで必要となるオプショナルな機能であり、ライン同期ノードには必須ではない。
【0036】
第1受信部46は、リング網36をEAST方向に伝送される通信フレームをWEST側ノードから受信する。WEST側ノードは、第1クロック情報の送出元であるとともに、第2クロック情報の送出先となるノードである。例えば、ノード18にとってはノード16であり、ノード16にとってはノード14である。受信信号が光信号である場合、第1受信部46は、その受信信号に対して適宜O/E変換を行ってもよい。第1受信部46は、第1クロック受信部48と第1障害検出部50とを含む。
【0037】
第1クロック受信部48は、第1クロック情報をWEST側ノードから受け付けて同期処理部66へ送出する。第1障害検出部50は、自ノードとWEST側ノード間の伝送路の障害を検出し、言い換えれば、EAST方向クロックパスが異常になったことを検出する。第1障害検出部50は、クロック品質が許容範囲を越えて劣化すると想定される予め定められた障害(異常状態)を検出する。例えば、第1クロック受信部48において第1クロック情報が所定期間以上受け付けられないことをもって障害が発生したと判定してもよい。また、受け付けられた第1クロック情報がESMCフレームフォーマットと不一致であることをもって障害が発生したと判定してもよい。
【0038】
第2受信部52は、リング網36をWEST方向に伝送される通信フレームをEAST側ノードから受信する。EAST側ノードは、第2クロック情報の送出元であるとともに、第1クロック情報の送出先となるノードである。例えば、ノード14にとってはノード16であり、ノード16にとってはノード18である。受信信号が光信号である場合、第2受信部52は、その受信信号に対して適宜O/E変換を行ってもよい。第2受信部52は、第2クロック受信部54と第2障害検出部56とを含む。
【0039】
第2クロック受信部54は、第2クロック情報をEAST側ノードから受け付けて同期処理部66へ送出する。第2障害検出部56は、自ノードとEAST側ノード間の伝送路の障害を検出し、言い換えれば、WEST方向クロックパスが異常になったことを検出する。第2障害検出部56は、クロック品質が許容範囲を越えて劣化すると想定される予め定められた障害(異常状態)を検出する。例えば、第2クロック受信部54において第2クロック情報が所定期間以上受け付けられないことをもって障害が発生したと判定してもよい。また、受け付けられた第2クロック情報がESMCフレームフォーマットと不一致であることをもって障害が発生したと判定してもよい。
【0040】
第1送出部58は、リング網36をEAST方向に伝送される通信フレームをEAST側ノードへ送信する。光信号を送出すべき場合、第1送出部58は、送出信号に対して適宜E/O変換を行ってもよい。第1送出部58は、第1クロック送出部60を含む。
【0041】
第1クロック送出部60は、後述する同期処理部66により設定された第1クロック情報をリング網36のEAST方向へ送出する。具体的には、第1クロック情報のデータ信号に、ノード内クロック42から供給されたタイミング情報を重畳させた信号を送出する。また第1クロック送出部60は、通常時は毎秒1回の頻度で、障害発生時には即時に、第1クロック情報を送出する。本実施の形態では、イベントフラグに「1」が設定された第1クロック情報を即時送信の対象とし、所定期間内に送信先装置から受信通知を受け付けない場合は、その第1クロック情報を再送する。なお、イベントフラグが「1」となるのは、典型的には、ノード内クロック42の品質(マスタクロックとの同期品質)に変化が生じた場合であり、言い換えれば、SSMコードがそれまでの値から変化した場合である。また動作の例でも後述するが、本実施の形態では、クロックパス付加情報の「状態」や「切替」に「1」が設定された場合も即時送出の対象とする。後述する第2クロック送出部64においても同様である。
【0042】
本実施の形態において「即時に送出する」とは、可及的短時間のうちに遅滞なく送出することを意味し、少なくとも所定の定期送出間隔(1秒)未満の時間内に送出することを意味する。例えば、障害の発生が検出された場合、その障害を通知するための第1クロック情報が設定された直後に、その第1クロック情報を送出処理の待ち行列に入れることなく、また所定のバッファで待機させることなく、送出を開始してもよい。
【0043】
第2送出部62は、リング網36をWEST方向に伝送される通信フレームをWEST側ノードへ送信する。光信号を送出すべき場合、第2送出部62は、送出信号に対して適宜E/O変換を行ってもよい。第2送出部62は、第2クロック送出部64を含む。
【0044】
第2クロック送出部64は、後述する同期処理部66により設定された第2クロック情報をリング網36のWEST方向へ送出する。具体的には、第2クロック情報のデータ信号に、ノード内クロック42から供給されたタイミング情報を重畳させた信号を送出する。また第2クロック送出部64は、通常時は毎秒1回の頻度で、障害発生時には即時に、第2クロック情報を送出する。本実施の形態では、イベントフラグに「1」が設定された第2クロック情報を即時送信の対象とし、所定期間内に送信先装置から受信通知を受け付けない場合は、その第2クロック情報を再送する。
【0045】
同期処理部66は、自ノードおよび他ノードをマスタクロックと同期させるための各種データ処理を実行する。同期処理部66は、クロック抽出部68と第1クロック情報設定部70と第2クロック情報設定部72とクロックソース選択部74とを含む。
【0046】
クロックソース選択部74は、自ノードが外部同期ノード(ノード12)である場合、優先度情報を参照して、選択優先度がより高いクロック供給装置から供給されたクロックをクロックソースとして選択する。ここで選択されたクロックがリング網36におけるマスタクロックとなる。
【0047】
クロックソース選択部74は、自ノードがライン抽出ノード(ノード14〜ノード30)である場合、第1クロック情報のSSMコードと第2クロック情報のSSMコードとを比較して、より高品質なクロック情報をクロックソースとして選択する。両者の品質が同等である場合、クロック抽出部68は、優先度情報を参照して、選択優先度がより高いクロックパスで受け付けられたクロック情報をクロックソースとして選択する。一旦クロックソースを選択した後、第1クロック情報もしくは第2クロック情報のイベントフラグが「1」に設定されるまでは、SSMコードの比較処理を省略して、前回までのクロックソースの選択結果を維持してもよい。
【0048】
クロックソース選択部74は、クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されている場合、クロックパス付加情報の他の項目を確認する。第1クロック情報の状態・切替・通過が「1」であり、ID1・方向が優先度情報に設定された現在のクロックソース(WEST方向クロックパス)と一致する場合、第2クロック情報の受信を待つことなく、クロックソースをEAST方向クロックパス(第1クロック情報)へ即時に変更する。このクロックパス付加情報は、WEST方向クロックパスにおける障害の発生を示しているからである。なお、第2クロック情報の受信を待つことなくクロックパスを変更するとは、第2クロック情報が未受信であり、第1クロック情報のSSMコードと第2クロック情報のSSMコードとの比較を未実施であってもクロックパスを変更するとも言える。
【0049】
同様に、クロックソース選択部74は、第2クロック情報の状態・切替・通過が「1」であり、ID1・方向が優先度情報に設定された現在のクロックソース(EAST方向クロックパス)と一致する場合、第2クロック情報の受信を待つことなく、クロックソースをWEST方向クロックパス(第2クロック情報)へ即時に変更する。このクロックパス付加情報は、EAST方向クロックパスにおける障害の発生を示しているからである。
【0050】
クロック抽出部68は、自ノードが外部同期ノード(ノード12)である場合、クロックソースとして選択されたクロック供給装置からのクロック(マスタクロック)にノード内クロック42を同期させる。自ノードがライン抽出ノード(ノード14〜ノード30)である場合、クロックソースとして選択されたクロック情報をCDR(Clock Data Recovery)回路へ入力する等の手段により、第1クロック情報または第2クロック情報からマスタクロックを抽出する。そして、そのマスタクロックにノード内クロック42を同期させる。
【0051】
第1クロック情報設定部70は第1クロック情報を設定し、第2クロック情報設定部72は第2クロック情報を設定する。第1障害検出部50においてEAST方向クロックパスの障害が検出された場合、第1クロック情報設定部70は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをWEST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を、第1クロック送出部60を介して、EAST側ノードへ即時に通知する。このとき、第2クロック情報設定部72は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをWEST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を、第2クロック送出部64を介して、WEST側ノードへ即時に通知する。
【0052】
同様に、第2障害検出部56においてWEST方向クロックパスの障害が検出された場合、第2クロック情報設定部72は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをEAST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を、第2クロック送出部64を介して、WEST側ノードへ即時に通知する。このとき、第1クロック情報設定部70は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをEAST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を、第1クロック送出部60を介して、EAST側ノードへ即時に通知する。クロックパス付加情報の内容については後述する。
【0053】
なお、同期処理部66は、受信した第1クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されていた場合、受信フラグに「1」を設定した第2クロック情報を受信通知として、第2クロック送出部64を介して、WEST側装置に即時に送信させる。また、受信した第1クロック情報の受信フラグに「1」が設定されていた場合、イベントフラグを設定した第2クロック情報に対する受信通知であるため、受信通知を受領した旨を第2クロック送出部64に通知して、第2クロック情報の定期送信状態に復帰させる。
【0054】
同様に、同期処理部66は、受信した第2クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されていた場合、受信フラグに「1」を設定した第1クロック情報を受信通知として、第1クロック送出部60を介して、EAST側装置に即時に送信させる。また、受信した第2クロック情報の受信フラグに「1」が設定されていた場合、イベントフラグを設定した第1クロック情報に対する受信通知であるため、受信通知を受領した旨を第1クロック送出部60に通知して、第1クロック情報の定期送信状態に復帰させる。
【0055】
以上の構成による動作を以下説明する。
図11は、第1クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す。同図は、図1で示した通常時(伝送路障害の未発生時)の状態を示している。ノード12は、クロックパス付加情報のSSMに「PRC」、ID1に「ノード12」、方向に「WEST」を設定し、他の項目を未設定とした第1クロック情報をEAST方向へ送出する。本実施の形態では、EAST(WEST)方向クロックパスの障害を、逆方向のWEST(EAST)クロックパスでも通知するため、EAST(WEST)方向クロックパスの方向フィールドには、送出方向とは逆の「WEST(EAST)」が設定される。以降のライン同期ノードは、SSMコードのみ適宜調整し、その他のクロックパス付加情報を変更せず、そのまま伝送する。
【0056】
図12は、第2クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す。同図は、通常時(伝送路障害の未発生時)の状態を示している。ノード12は、クロックパス付加情報のSSM「PRC」、ID1「ノード12」、方向「EAST」を設定し、他の項目を未設定とした第1クロック情報をWEST方向へ送出する。以降のライン同期ノードは、SSMコードのみ適宜調整し、その他のクロックパス付加情報を変更せず、そのまま伝送する。
【0057】
ここで、図6および図7で例示したように、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常状態となったこととする。図13(a)〜図13(f)は、伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示している。
【0058】
図13(a)で示すように、ノード16は、クロックパスの障害を検出すると、SSMコードを「SEC」に変更し、イベントフラグを「1」に変更した第1クロック情報を、前回の送出時点から1秒の経過を待つことなく即時にノード18へ送出する。ノード16は、ノード18から受信通知を受け付けるか、もしくは送出回数が5回に達するまで、定期的にこの第1クロック情報を送出する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」を設定した第1クロック情報を送出すべき場合、定期送信間隔に関わらず即時送出する。こうして、SSMコードが「SEC」の第1クロック情報は、図6で示したようにノード30まで順次伝送される。
【0059】
図13(b)で示すように、ノード18は、イベントフラグに「1」が設定された図13(a)の第1クロック情報を受け付けると、受信フラグに「1」を設定した第2クロック情報を、受信通知として、前回の送出時点から1秒の経過を待つことなく即時にノード16へ返信する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」が設定された第1クロック情報を受け付けた場合、受信フラグを「1」にした第2クロック情報をその送信元のノードへ即時送信する。変形例として、前回の送出時点から1秒の経過をトリガとして、受信フラグを設定した第2クロック情報を送出してもよい。
【0060】
図13(c)で示すように、ノード16は、クロックパスの障害を検出すると、SSMコードを「SEC」、イベントフラグを「1」、状態を「1」、切替を「1」、ID2を「ノード16」に変更した第2クロック情報を即時にノード14へ送出する。
【0061】
図13(d)で示すように、ノード14は、イベントフラグに「1」が設定された図13(c)の第2クロック情報を受け付けると、受信フラグに「1」を設定した第1クロック情報を、受信通知として、即時にノード16へ返信する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」が設定された第2クロック情報を受け付けた場合、受信フラグを「1」にした第1クロック情報をその送信元のノードへ即時送信する。変形例として、前回の送出時点から1秒の経過をトリガとして、受信フラグを設定した第1クロック情報を送出してもよい。
【0062】
図13(e)で示すように、ノード14は、図13(c)の第2クロック情報を受け付けると、そのSSMコードを「DNU」に変更した第2クロック情報をノード12へ即時に送出する。この第2クロック情報では、状態・切替に「1」が設定されているものの、通過フラグが「0」であるため、ノード14はクロックソースを変更しない。
【0063】
図13(f)で示すように、外部同期ノードであるノード12は、図13(e)の第2クロック情報を受け付けると、そのSSMコードを「PRC」に変更し、通過フラグを「1」に変更した第2クロック情報をノード30へ即時に送信する。ノード12は、外部同期ノードであるため、伝送路の障害をトリガとしてはクロックソースを変更しない。
【0064】
図13(f)の第2クロック情報を受け付けたノード30は、クロックソースの即時切替処理を実行する。具体的には、クロックパス付加情報における状態・切替・通過のいずれにも「1」が設定され、ID1(外部同期ノード)と方向(クロックパスの方向)が現在のクロックパスと一致する場合、優先度情報にしたがって次に優先度の高いクロックパスをクロックソースとして選択する。図9の優先度情報の場合、クロックソースを、EAST方向クロックパスから、WEST方向クロックパスへ切り替える。
【0065】
以下、図13(f)の第2クロック情報がWEST方向へ伝送されていき、ノード30→ノード28→・・・→ノード16の順にクロックソースの切替が実行される。ノード16は、第2クロック情報のID2が自ノードのIDと一致する場合、それは第2クロック情報がリング網36を1周したことを意味するため、クロックパス付加情報の状態・切替・ID2を初期値「0」に戻す。ノード14が受け付けた第2クロック情報では通過が「1」であるものの、状態および切替が「0」であるため、ノード14はクロックソースを変更しない。ノード12は、通過が「1」の第2クロック情報を受け付けた場合、それは第2クロック情報がリング網36を1周したことを意味するため、通過を「0」に戻す。
【0066】
なお、通信システム100には、図13(a)の第1クロック情報の受信後に図13(f)の第2クロック情報を受信するノード(例えばノード18やノード20等)が存在する。また、図13(f)の第2クロック情報の受信後に図13(a)の第1クロック情報を受信するノード(例えばノード30やノード28等)が存在する。しかし、いずれのノードにおいても、図13(f)の第2クロック情報を受信した時点でクロックパスがWEST方向クロックパスに切り替わるため不整合等の問題は発生しない。
【0067】
図14は、図1のノード10の動作を示すフローチャートである。ここでは、ライン同期ノードの動作を示している。第1障害検出部50がEAST方向クロックパスの障害を検出すると(S10のY)、第1クロック情報設定部70は図13(a)で示すクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を設定する(S12)。第1クロック送出部60は、その第1クロック情報をEAST方向へ即時に送出する(S14)。所定の送出回数に未到達であり(S16のN)、EAST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S18のN)、S14に戻る。所定の送出回数に到達し(S16のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S18のY)、毎秒1回の頻度で第1クロック情報を送出する状態に戻る(S20)。
【0068】
第2クロック情報設定部72は図13(c)で示すクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を設定する(S22)。第2クロック送出部64は、その第2クロック情報をWEST方向へ即時に送出する(S24)。所定の送出回数に未到達であり(S26のN)、WEST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S28のN)、S24に戻る。所定の送出回数に到達し(S26のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S28のY)、毎秒1回の頻度で第2クロック情報を送出する状態に戻る(S30)。上記のS12〜S20と、S22〜S30とは並行して実行される。第1障害検出部50がEAST方向クロックパスの障害を未検出であれば(S10のN)、S12〜S30はスキップされる。なお、第2クロック受信部54がWEST方向クロックパスの障害を検出した場合にも上記に対応した同様の動作を行う。
【0069】
前回の第1クロック情報の送出から所定の送出間隔(例えば1秒)が経過すると(S32のY)、第1クロック送出部60は、第1クロック情報をEAST方向へ送出する(S34)。同様に、前回の第2クロック情報の送出から所定の送出間隔(1秒)が経過すると(S32のY)、第2クロック送出部64は、第2クロック情報をWEST方向へ送出する(S34)。第1クロック情報と第2クロック情報のいずれについても、前回の送出から所定の送出間隔が未経過であれば(S32のN)、S34はスキップされる。
【0070】
図15も、図1のノード10の動作を示すフローチャートである。同図は、図14の続きを示している。ここでは、第1クロック情報を受信した場合の動作を説明するが、第2クロック情報を受信した場合にも対応した同様の動作を行う。
【0071】
第1クロック受信部48が第1クロック情報を受信すると(S40のY)、クロックソース選択部74は、第1クロック情報のイベントフラグが「1」か否かを判定する。イベントフラグが「0」(未設定)であり(S42のN)、第1クロック情報がクロックソースである場合(S44のY)、クロック抽出部68は第1クロック情報からマスタクロックを抽出してノード内クロック42をそのマスタクロックに同期させる(S46)。第1クロック情報がクロックソースに指定されていなければ(S44のN)、S46はスキップされて本図のフローを終了する。
【0072】
第1クロック情報のイベントフラグが「1」である場合(S42のY)、第2クロック情報設定部72は第2クロック情報の受信フラグに「1」を設定し、第2クロック送出部64はその第2クロック情報を即時に送出する(S48)。第1クロック情報のクロック品質(SSMコード)と第2クロック情報のクロック品質との上下関係が逆転した場合(S50のY)、クロックソース選択部74はクロックソースを切り替える(S52)。例えば、第1クロック情報をクロックソースとする場合に第2クロック情報の方がより高いクロック品質を示す場合、クロックソースを第2クロック情報へ切り替える。クロック品質の上下関係が逆転しなければ(S50のN)、S52はスキップされる。
【0073】
クロックソース選択部74は、第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足するか否かを判定する。具体的には、クロックパス付加情報の状態・切替・通過が「1」であり、かつ、ID1・方向が現在のクロックパスと合致する場合に切替条件が充足したと判定する。第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足する場合(S54のY)、クロックソース選択部74は、クロックソースを第1クロック情報へ切り替える(S56)。クロック抽出部68は、第1クロック情報からマスタクロックを抽出してノード内クロック42をそのマスタクロックに同期させる(S58)。
【0074】
クロックパス付加情報のID2に自ノードのIDが設定されてなければ(S60のN)、第1クロック送出部60は、第1クロック情報をEAST方向へ即時に送出する(S62)。所定の送出回数に未到達であり(S64のN)、EAST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S66のN)、S62に戻る。所定の送出回数に到達し(S64のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S66のY)、第1クロック情報を定期的に送出する状態に戻る(S68)。クロックパス付加情報のID2に自ノードのIDが設定されている場合は(S60のY)、第1クロック情報に付加した状態・切替・ID2を初期状態(未設定の状態)に戻して本図のフローを終了する(S70)。第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足しない場合(S54のN)、S56〜S70をスキップする。第1クロック情報が未受信であれば(S40のN)、以降の処理はスキップされて本図のフローを終了する。
【0075】
なお、外部同期ノードの動作としては、(1)クロック供給装置32またはクロック供給装置34からマスタクロックを取得してノード内クロック42を同期させる。(2)マスタクロックを第1クロック情報および第2クロック情報として定期的にリング網36へ送出する。(3)状態・切替フィールドに「1」が設定された第1クロック情報(第2クロック情報)を受け付けた際に、通過フィールドに「1」を設定した第1クロック情報(第2クロック情報)送出する。以上の(1)〜(3)が少なくとも実行されればよい。
【0076】
本実施の形態の通信システム100によれば、リング構成のSync−Eにおいて、障害発生時のクロックソースの切替時間を短縮し、これにより各ノードの自走時間を短縮してクロック品質の向上を実現できる。具体的には、あるクロックパス方向で伝送路障害が発生した場合に、逆方向のクロックパスでもその障害を通知するため、クロックソース切替の起点となるノードへの障害通知に要する時間を短縮できる。また、クロックの品質が変化するような事態が生じた場合、例えば障害が発生した際には、定期送出間隔に関わらずクロック情報を即時送出するため、障害通知およびクロックソース切替のノード間での伝播に要する時間を短縮できる。さらにまた、クロック情報の受信通知と再送の仕組みにより、クロックソース切替の確実性を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0078】
上記実施の形態では、SSMコード値として「PRC」、「SEC」、「DNU」の3種を示したが、このうちの一部が用いられてもよく、また、これらに加えて他のSSMコード値が用いられてもよいことはもちろんである。
【0079】
上記実施の形態では特に言及していないが、通信システム100は複数の外部同期ノードを含んでよく、それぞれの外部同期ノードがクロック情報をリング網36へ送出してもよい。上記の通り、クロックパス付加情報には外部同期ノードのIDが含まれ、そのIDが現在のクロックソースにおける外部同期ノードのIDと一致することをクロックソースの切替条件とする。したがって、リング網36に複数の外部同期ノードが存在する場合も、実施の形態の構成により、クロックソースの切替に要する時間の短縮が実現される。
【0080】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば、請求項に記載のクロック送出部は、第1クロック情報設定部70と第1クロック送出部60の組み合わせにより実現されてもよく、第2クロック情報設定部72と第2クロック送出部64との組み合わせにより実現されてもよい。また、第1クロック情報に設定される付加情報はイベントフラグやSSMコードを意味してもよく、第2クロック情報に設定される付加情報はクロックパス付加情報の「状態」、「通過」等の項目であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 ノード、 36 リング網、 48 第1クロック受信部、 50 第1障害検出部、 54 第2クロック受信部、 56 第2障害検出部、 60 第1クロック送出部、 64 第2クロック送出部、 66 同期処理部、 68 クロック抽出部、 70 第1クロック情報設定部、 72 第2クロック情報設定部、 74 クロックソース選択部、 100 通信システム。
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に、リング網に設置された通信装置およびその通信装置により実行されるクロック同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信網の高速化に伴い、通信網上に設置されたルータやスイッチ等、通信装置間における高品質のクロック同期が求められている。以下の特許文献1では、クロック供給装置からの中継数が小さくなるようにクロックソースを選択することで、クロックの供給経路に障害が発生しても、障害の影響を受ける通信装置の数を低減し、クロックソースの切替時間を短縮する技術を提案している。
【0003】
ITU−T G.8261/G.8262/G.8264は、従来のSONET/SDHにおけるクロック同期技術をイーサネット(登録商標)に適用し、イーサネット上でクロックパスを実現する方式を提案している。以下、このようなイーサネットを、Sync−E(Synchronous Ethernet、「Ethernet」は登録商標)とも呼ぶ。
【0004】
Sync−Eには、クロック供給装置からマスタクロックを直接取得し、そのマスタクロックへ同期する(以下、「外部同期」とも呼ぶ。)通信装置が含まれる。また、その装置からのESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel)フレームにもとづく伝送路抽出によってマスタクロックへの同期(以下、「ライン同期」とも呼ぶ。)を行う通信装置が含まれる。そしてSync−E全体として、精度±4.6ppmの高品質のクロック同期が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Sync−Eのリング網において、1つの供給経路から供給されるクロックに複数の通信装置が同期している場合にその供給経路に障害が発生すると、各通信装置は、他方の供給経路から供給されるクロックに同期するように、クロックソースの切替を順次行う必要がある。各通信装置は、クロックソースの切替を終了するまでは装置内部のクロックにより自走するため、その間のクロック品質が低下するという問題があった。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、リング網において障害発生時のクロックソースの切替に要する時間を短縮し、クロック品質の向上を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信装置は、リング網に設置された通信装置であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させる同期処理部と、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、を備える。クロック送出部は、リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に対して設定するとともに、第2クロック情報に対しても設定する。
【0009】
本発明の別の態様もまた、通信装置である。この装置は、リング網に設置された通信装置であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させる同期処理部と、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、を備える。第1クロック情報は、クロックの品質を示す情報を含むものであり、クロック送出部は、クロックの品質を示す情報に変化が生じた場合、第1クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、クロック同期方法である。この方法は、リング網に設置された通信装置により実行される方法であって、マスタクロックの供給装置から供給された、リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するステップと、第1クロック情報と第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作をマスタクロックに同期させるステップと、リング網に設置された他の通信装置をマスタクロックに同期させるための情報を、第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するステップと、を備える。送出するステップは、リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いてマスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を第1クロック情報に対して設定するとともに、第2クロック情報に対しても設定する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、障害発生時のクロックソースの切替時間を短縮し、クロック品質の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態の通信システムの構成を示す図である。
【図2】外部同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す図である。
【図3】ライン同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す図である。
【図4】ESMCフレームのフレームフォーマットを示す図である。
【図5】SSMコードのデータフォーマットを示す図である。
【図6】クロックソースを切り替える従来の仕組みを示す図である。
【図7】クロックソースを切り替える従来の仕組みを示す図である。
【図8】クロックパス付加情報の構成を示す図である。
【図9】図1のノードの機能構成を示すブロック図である。
【図10】優先度情報の構成を示す図である。
【図11】第1クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す図である。
【図12】第2クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(a)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(b)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(c)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(d)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(e)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図13(f)】伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示す図である。
【図14】図1のノードの動作を示すフローチャートである。
【図15】図1のノードの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態の通信システムの構成を示す。通信システム100は、ノード10で総称される複数の通信ノード(ノード12〜ノード30)を備える。ノード12〜ノード30のそれぞれは、イーサネットフレームを他のノードと送受する通信装置であり、例えばルータやスイッチ等の通信制御装置である。ノード12〜ノード30はリング状に接続されて、Sync−Eのリング網36が形成される。
【0015】
ノード12は、リング網36に設置された各ノードが同期すべきクロック(以下、「マスタクロック」とも呼ぶ。)を供給するクロック供給装置32およびクロック供給装置34に接続される。ノード12は、クロック供給装置32またはクロック供給装置34が提供するマスタクロックに外部同期する。以下では「外部同期ノード」とも呼ぶ。図2は、外部同期ノード(すなわちノード12)におけるクロックソースの優先度設定を示す。実施の形態のノード12は、クロック供給装置32を高優先度でクロックソースとし、クロック供給装置32に障害が発生した場合はクロックソースをクロック供給装置34へ切り替える。
【0016】
図1に戻り、ノード12は、リング網36の時計回り(以下、「EAST方向」とも呼ぶ。)に伝送させるESMCフレーム(以下、「第1クロック情報」とも呼ぶ。)をノード14へ送出する。この第1クロック情報は、ノード14→ノード16→・・・→ノード30と順次伝送され、EAST方向のクロックパスを形成する。またノード12は、リング網36の反時計回り(以下、「WEST方向」とも呼ぶ。)に伝送させるESMCフレーム(以下、「第2クロック情報」とも呼ぶ。)をノード30へ送出する。この第2クロック情報は、ノード30→ノード28→・・・→ノード14と順次伝送され、WEST方向のクロックパスを形成する。以下、第1クロック情報と第2クロック情報とを総称する場合は単に「クロック情報」と呼ぶこととする。
【0017】
ノード14〜ノード30のそれぞれは、第1クロック情報と第2クロック情報のいずれか一方をクロックソースとして、クロックソースとするESMCフレームからマスタクロックを抽出し、自ノード内部のクロックをマスタクロックに同期させる。言い換えれば、EAST方向のクロックパスとWEST方向のクロックパスのいずれかをクロックソースとしてマスタクロックと同期する。以下では、ノード14〜ノード30を「ライン同期ノード」とも呼ぶ。
【0018】
ライン同期ノードは、より高いクロック品質を示すクロックパスをクロックソースとして選択する。クロック品質を示すSSM(Synchronous Status Message)コードについては後述する。また、EAST方向クロックパスとWEST方向クロックパスのクロック品質が同じである場合の選択優先度を保持する。図3は、ライン同期ノードにおけるクロックソースの優先度設定を示す。実施の形態のノード14〜ノード30は、EAST方向のクロックパスをWEST方向のクロックパスよりも高優先度でクロックソースとする。
【0019】
図4は、ESMCフレームのフレームフォーマットを示す。同図は、ITU−T G.8264で規定されたESMCのPDU(Protocol Data Unit)フォーマットを示している。同図のイベントフラグには、通常時において「0」が設定され、SSMコードの値が変化した場合に「1」が設定される。SSMコードは、ESMCフレームのデータ・アンド・パディング領域に設定される。
【0020】
図5は、SSMコードのデータフォーマットを示す。同図は、ITU−T G.8264で規定されたQL(Quality Level) TLV(Type Length Value)フォーマットを示している。説明の簡明化のため、本実施の形態のSSMコードには、「PRC」・「SEC」・「DNU」のいずれかが設定されることとする。「PRC」は、自ノード内部のクロックが、クロック供給装置32もしくはクロック供給装置34から供給されるマスタクロックに同期している状態を示す。
【0021】
「SEC」は、自ノードのクロックがマスタクロックに同期しておらず、自走クロックとなっている状態、または、他ノードの自走クロックに同期している状態(総称して、「自走状態」とも呼ぶ。)を示す。「DNU」は、自ノードのクロックの品質レベルに関わらず、自ノードのクロックを他の装置が選択しないように、自ノードのクロックが選択不可であることを示す。クロックの品質レベル、言い換えればクロックソースとしての選択優先度は、PRC>SEC>DNUとなる。
【0022】
図1に戻り、通信システム100のノード間におけるSSMコードの送受内容を説明する。ノード12は、自ノードがマスタクロックに同期していることを示すSSMコード「PRC」を含む第1クロック情報をノード14へ送信する。ノード14は、第1クロック情報にもとづき自装置をマスタクロックに同期させる。そして、SSMコード「PRC」を含む第1クロック情報をノード16へ送信するとともに、クロックのループを防ぐためにSSMコード「DNU」を含む第2クロック情報をノード12へ送信する。以降ノード30まで同様に、リング網36のEAST方向(時計回り)にSSMコード「PRC」を含む第1クロック情報が伝送され、リング網36のWEST方向(反時計回り)にSSMコード「DNU」を含む第2クロック情報が伝送される。
【0023】
またノード12は、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報をノード30へ送信する。ノード30は、第2クロック情報への応答として、SSMコード「DNU」を含む第1クロック情報をノード12へ送信する。ノード30は、SSMコード「PRC」を含む第1クロック情報と第2クロック情報の両方を受け付けるが、図3で示す優先度設定にしたがって、第1クロック情報を用いてマスタクロックと同期する。以上により、リング網36全体に亘り、EAST方向のクロックパスにてマスタクロックへのクロック同期が実現される。
【0024】
図6および図7を用いて、リング網36に障害が発生した場合にクロックソースを切り替える従来の仕組みを説明する。ここでは、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常な状態になったこととする。
【0025】
図6で示すように、ノード16は、EAST方向クロックパスの異常を検出するとノード内クロックによる自走状態(Holdover)となり、第1クロック情報のSSMコードを、「PRC」から、自走状態を示すSSMコード「SEC」へ変更する。ノード16が自走状態になることに伴い、他のライン同期ノードも自走状態(クロック品質がSEC)となるため、SSMコード「SEC」を含む第1クロック情報がノード30まで伝送される。ノード30は、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報をノード12から受け付けており、クロック品質はPRC>SECであるため、クロックソースをWEST側クロックパスへ切り替える。言い換えれば、第1クロック情報に代えて第2クロック情報を用いて、ノード内クロックをマスタクロックと同期させる。
【0026】
図7で示すように、ノード30は、第2クロック情報のSSMコードを「DNU」から「PRC」へ変更する。他のライン同期ノードも、クロックソースをWEST側クロックパスに切り替え、第2クロック情報を用いてマスタクロックと同期するため、SSMコード「PRC」を含む第2クロック情報がWEST方向へ順次伝送される。最終的に、ノード16〜ノード30は、WEST方向のクロックパスにてマスタクロックと同期した状態になる。なお、第2クロック情報によりマスタクロックと同期したライン同期ノードは、第1クロック情報のSSMコードを「SEC」から「DNU」へ変更する。
【0027】
このような方式でクロックソースを切り替える場合、ノード16が自走状態になった後、SSMコード「SEC」の第1クロック情報がノード30まで通知される。すなわち、障害の通知が、ノード16→ノード18→ノード20→ノード22→ノード24→ノード26→ノード28→ノード30と伝送される。そして、ノード30のクロックソースが切り替わった後、SSMコード「PRC」の第2クロック情報がノード16まで通知される。すなわち、クロックソースの切替が、ノード30→ノード28→ノード26→ノード24→ノード22→ノード20→ノード18→ノード16の順に行われる。
【0028】
この一連のプロセスが完了するまでノード16の自走状態は継続するため、ノード16が自走状態になってから、クロック供給装置32のマスタクロックに同期した状態に復帰するまで長時間を要する。また、Sync−EにおけるESMCフレームの送信頻度は、標準的には毎秒1フレームであるため、SONET/SDHよりも一層時間を要しやすい。また、リング網36上に設置される通信ノードが増えるほど、リング網36全体での障害通知およびクロックソースの切替に一層の時間を要し、自走状態が長時間継続してしまう。この場合、通信システム100におけるクロック同期の品質が低下しやすくなり、ノード間の通信効率の低下を招きやすくなってしまう。
【0029】
そこで本実施の形態では、伝送経路に障害が発生したクロックパスとは異なるクロックパスでもその障害の旨を通知するノード10を提案する。例えば、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常な状態になった場合、ノード16は、第1クロック情報で障害を通知するとともに、ESMCフレームの未使用領域を使用して第2クロック情報でも障害を通知する。言い換えれば、他ノードにクロックソースを切り替えさせるための情報を第1クロック情報に付与するとともに、第2クロック情報にも付与する。これにより、障害の通知(クロックソース切替の契機となる情報)が、ノード16→ノード14→ノード12→ノード30の経路でも伝送されることになり、ノード30におけるクロックパスの切替が早期に実現される。その結果、ノード16におけるクロックパスの切替も早期に実現され、自走状態の継続期間が短縮される。
【0030】
まず、他ノードにクロックソースを切り替えさせるための情報を第2クロック情報にも付与するために、本実施の形態においてESMCフレームに対して付加的に設定される情報(以下、「クロックパス付加情報」とも呼ぶ。)を説明する。図8は、クロックパス付加情報の構成を示す。同図の「SSM」および「イベント」は、図4で示したようにESMCフレームが標準的に備える項目であり、ESMCフレームの標準的な位置に設定される。その他の項目(「ID1」〜「受信」)は、本実施の形態で特有の項目であり、ESMCフレームのリザーブ領域および/またはデータ・アンド・パディング領域の未使用領域(空き領域)に設定される。図4で示したように、ESMCフレームには比較的大きな未使用領域が存在するため、クロックパス付加情報は設計者により予め定められた空き領域に設定されてよい。なお、通信システム100では、リング網36に設置された各ノードを一意に特定するためのIDが予め定められている。
【0031】
図9は、図1のノード10の機能構成を示すブロック図である。ノード10は、設定保持部40と、ノード内クロック42と、外部クロック取得部44と、第1受信部46と、第2受信部52と、第1送出部58と、第2送出部62と、同期処理部66とを備える。
【0032】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリ、HDDをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ブロック図においては、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0033】
設定保持部40は、クロックソースを選択する際の優先度に関する情報(以下、「優先度情報」とも呼ぶ。)を保持する。図10は、設定保持部40に保持される優先度情報の構成を示す。同図の優先度情報は、ノード10がライン同期ノードである場合の優先度情報であり、ノード10が外部同期ノードである場合は図2と同様の優先度情報となる。
【0034】
本実施の形態の優先度情報では、優先度とクロックソースと外部同期ノードIDとクロックパス方向とが対応づけて設定される。優先度およびクロックソースは、クロック品質が同じ場合にどのクロックパスをクロックソースとするかを示しており、図10ではEAST方向のクロックパス(すなわち第1クロック情報)を優先してクロックソースとすることが定められている。外部同期ノードIDは、クロックパスにおける外部同期ノードのIDを示す。クロックパス方向は、クロック情報の伝送方向(第1クロック情報であればEAST)が設定される。
【0035】
図9に戻り、ノード内クロック42は、ノード10の内部に設けられたクロック装置である。既述したように、ノード内クロック42は、クロック供給装置32もしくはクロック供給装置34から供給されたマスタクロックに外部同期もしくはライン同期する。マスタクロックに同期できない場合は自走状態となる。外部クロック取得部44は、クロック供給装置32およびクロック供給装置34から供給されたクロックを取得して同期処理部66へ送出する。外部クロック取得部44は、外部同期ノードで必要となるオプショナルな機能であり、ライン同期ノードには必須ではない。
【0036】
第1受信部46は、リング網36をEAST方向に伝送される通信フレームをWEST側ノードから受信する。WEST側ノードは、第1クロック情報の送出元であるとともに、第2クロック情報の送出先となるノードである。例えば、ノード18にとってはノード16であり、ノード16にとってはノード14である。受信信号が光信号である場合、第1受信部46は、その受信信号に対して適宜O/E変換を行ってもよい。第1受信部46は、第1クロック受信部48と第1障害検出部50とを含む。
【0037】
第1クロック受信部48は、第1クロック情報をWEST側ノードから受け付けて同期処理部66へ送出する。第1障害検出部50は、自ノードとWEST側ノード間の伝送路の障害を検出し、言い換えれば、EAST方向クロックパスが異常になったことを検出する。第1障害検出部50は、クロック品質が許容範囲を越えて劣化すると想定される予め定められた障害(異常状態)を検出する。例えば、第1クロック受信部48において第1クロック情報が所定期間以上受け付けられないことをもって障害が発生したと判定してもよい。また、受け付けられた第1クロック情報がESMCフレームフォーマットと不一致であることをもって障害が発生したと判定してもよい。
【0038】
第2受信部52は、リング網36をWEST方向に伝送される通信フレームをEAST側ノードから受信する。EAST側ノードは、第2クロック情報の送出元であるとともに、第1クロック情報の送出先となるノードである。例えば、ノード14にとってはノード16であり、ノード16にとってはノード18である。受信信号が光信号である場合、第2受信部52は、その受信信号に対して適宜O/E変換を行ってもよい。第2受信部52は、第2クロック受信部54と第2障害検出部56とを含む。
【0039】
第2クロック受信部54は、第2クロック情報をEAST側ノードから受け付けて同期処理部66へ送出する。第2障害検出部56は、自ノードとEAST側ノード間の伝送路の障害を検出し、言い換えれば、WEST方向クロックパスが異常になったことを検出する。第2障害検出部56は、クロック品質が許容範囲を越えて劣化すると想定される予め定められた障害(異常状態)を検出する。例えば、第2クロック受信部54において第2クロック情報が所定期間以上受け付けられないことをもって障害が発生したと判定してもよい。また、受け付けられた第2クロック情報がESMCフレームフォーマットと不一致であることをもって障害が発生したと判定してもよい。
【0040】
第1送出部58は、リング網36をEAST方向に伝送される通信フレームをEAST側ノードへ送信する。光信号を送出すべき場合、第1送出部58は、送出信号に対して適宜E/O変換を行ってもよい。第1送出部58は、第1クロック送出部60を含む。
【0041】
第1クロック送出部60は、後述する同期処理部66により設定された第1クロック情報をリング網36のEAST方向へ送出する。具体的には、第1クロック情報のデータ信号に、ノード内クロック42から供給されたタイミング情報を重畳させた信号を送出する。また第1クロック送出部60は、通常時は毎秒1回の頻度で、障害発生時には即時に、第1クロック情報を送出する。本実施の形態では、イベントフラグに「1」が設定された第1クロック情報を即時送信の対象とし、所定期間内に送信先装置から受信通知を受け付けない場合は、その第1クロック情報を再送する。なお、イベントフラグが「1」となるのは、典型的には、ノード内クロック42の品質(マスタクロックとの同期品質)に変化が生じた場合であり、言い換えれば、SSMコードがそれまでの値から変化した場合である。また動作の例でも後述するが、本実施の形態では、クロックパス付加情報の「状態」や「切替」に「1」が設定された場合も即時送出の対象とする。後述する第2クロック送出部64においても同様である。
【0042】
本実施の形態において「即時に送出する」とは、可及的短時間のうちに遅滞なく送出することを意味し、少なくとも所定の定期送出間隔(1秒)未満の時間内に送出することを意味する。例えば、障害の発生が検出された場合、その障害を通知するための第1クロック情報が設定された直後に、その第1クロック情報を送出処理の待ち行列に入れることなく、また所定のバッファで待機させることなく、送出を開始してもよい。
【0043】
第2送出部62は、リング網36をWEST方向に伝送される通信フレームをWEST側ノードへ送信する。光信号を送出すべき場合、第2送出部62は、送出信号に対して適宜E/O変換を行ってもよい。第2送出部62は、第2クロック送出部64を含む。
【0044】
第2クロック送出部64は、後述する同期処理部66により設定された第2クロック情報をリング網36のWEST方向へ送出する。具体的には、第2クロック情報のデータ信号に、ノード内クロック42から供給されたタイミング情報を重畳させた信号を送出する。また第2クロック送出部64は、通常時は毎秒1回の頻度で、障害発生時には即時に、第2クロック情報を送出する。本実施の形態では、イベントフラグに「1」が設定された第2クロック情報を即時送信の対象とし、所定期間内に送信先装置から受信通知を受け付けない場合は、その第2クロック情報を再送する。
【0045】
同期処理部66は、自ノードおよび他ノードをマスタクロックと同期させるための各種データ処理を実行する。同期処理部66は、クロック抽出部68と第1クロック情報設定部70と第2クロック情報設定部72とクロックソース選択部74とを含む。
【0046】
クロックソース選択部74は、自ノードが外部同期ノード(ノード12)である場合、優先度情報を参照して、選択優先度がより高いクロック供給装置から供給されたクロックをクロックソースとして選択する。ここで選択されたクロックがリング網36におけるマスタクロックとなる。
【0047】
クロックソース選択部74は、自ノードがライン抽出ノード(ノード14〜ノード30)である場合、第1クロック情報のSSMコードと第2クロック情報のSSMコードとを比較して、より高品質なクロック情報をクロックソースとして選択する。両者の品質が同等である場合、クロック抽出部68は、優先度情報を参照して、選択優先度がより高いクロックパスで受け付けられたクロック情報をクロックソースとして選択する。一旦クロックソースを選択した後、第1クロック情報もしくは第2クロック情報のイベントフラグが「1」に設定されるまでは、SSMコードの比較処理を省略して、前回までのクロックソースの選択結果を維持してもよい。
【0048】
クロックソース選択部74は、クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されている場合、クロックパス付加情報の他の項目を確認する。第1クロック情報の状態・切替・通過が「1」であり、ID1・方向が優先度情報に設定された現在のクロックソース(WEST方向クロックパス)と一致する場合、第2クロック情報の受信を待つことなく、クロックソースをEAST方向クロックパス(第1クロック情報)へ即時に変更する。このクロックパス付加情報は、WEST方向クロックパスにおける障害の発生を示しているからである。なお、第2クロック情報の受信を待つことなくクロックパスを変更するとは、第2クロック情報が未受信であり、第1クロック情報のSSMコードと第2クロック情報のSSMコードとの比較を未実施であってもクロックパスを変更するとも言える。
【0049】
同様に、クロックソース選択部74は、第2クロック情報の状態・切替・通過が「1」であり、ID1・方向が優先度情報に設定された現在のクロックソース(EAST方向クロックパス)と一致する場合、第2クロック情報の受信を待つことなく、クロックソースをWEST方向クロックパス(第2クロック情報)へ即時に変更する。このクロックパス付加情報は、EAST方向クロックパスにおける障害の発生を示しているからである。
【0050】
クロック抽出部68は、自ノードが外部同期ノード(ノード12)である場合、クロックソースとして選択されたクロック供給装置からのクロック(マスタクロック)にノード内クロック42を同期させる。自ノードがライン抽出ノード(ノード14〜ノード30)である場合、クロックソースとして選択されたクロック情報をCDR(Clock Data Recovery)回路へ入力する等の手段により、第1クロック情報または第2クロック情報からマスタクロックを抽出する。そして、そのマスタクロックにノード内クロック42を同期させる。
【0051】
第1クロック情報設定部70は第1クロック情報を設定し、第2クロック情報設定部72は第2クロック情報を設定する。第1障害検出部50においてEAST方向クロックパスの障害が検出された場合、第1クロック情報設定部70は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをWEST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を、第1クロック送出部60を介して、EAST側ノードへ即時に通知する。このとき、第2クロック情報設定部72は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをWEST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を、第2クロック送出部64を介して、WEST側ノードへ即時に通知する。
【0052】
同様に、第2障害検出部56においてWEST方向クロックパスの障害が検出された場合、第2クロック情報設定部72は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをEAST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を、第2クロック送出部64を介して、WEST側ノードへ即時に通知する。このとき、第1クロック情報設定部70は、他ノード(特にノード30)においてクロックソースをEAST方向クロックパスへ切り替えさせるための情報をクロックパス付加情報に設定する。そして、そのクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を、第1クロック送出部60を介して、EAST側ノードへ即時に通知する。クロックパス付加情報の内容については後述する。
【0053】
なお、同期処理部66は、受信した第1クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されていた場合、受信フラグに「1」を設定した第2クロック情報を受信通知として、第2クロック送出部64を介して、WEST側装置に即時に送信させる。また、受信した第1クロック情報の受信フラグに「1」が設定されていた場合、イベントフラグを設定した第2クロック情報に対する受信通知であるため、受信通知を受領した旨を第2クロック送出部64に通知して、第2クロック情報の定期送信状態に復帰させる。
【0054】
同様に、同期処理部66は、受信した第2クロック情報のイベントフラグに「1」が設定されていた場合、受信フラグに「1」を設定した第1クロック情報を受信通知として、第1クロック送出部60を介して、EAST側装置に即時に送信させる。また、受信した第2クロック情報の受信フラグに「1」が設定されていた場合、イベントフラグを設定した第1クロック情報に対する受信通知であるため、受信通知を受領した旨を第1クロック送出部60に通知して、第1クロック情報の定期送信状態に復帰させる。
【0055】
以上の構成による動作を以下説明する。
図11は、第1クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す。同図は、図1で示した通常時(伝送路障害の未発生時)の状態を示している。ノード12は、クロックパス付加情報のSSMに「PRC」、ID1に「ノード12」、方向に「WEST」を設定し、他の項目を未設定とした第1クロック情報をEAST方向へ送出する。本実施の形態では、EAST(WEST)方向クロックパスの障害を、逆方向のWEST(EAST)クロックパスでも通知するため、EAST(WEST)方向クロックパスの方向フィールドには、送出方向とは逆の「WEST(EAST)」が設定される。以降のライン同期ノードは、SSMコードのみ適宜調整し、その他のクロックパス付加情報を変更せず、そのまま伝送する。
【0056】
図12は、第2クロック情報に設定されるクロックパス付加情報を示す。同図は、通常時(伝送路障害の未発生時)の状態を示している。ノード12は、クロックパス付加情報のSSM「PRC」、ID1「ノード12」、方向「EAST」を設定し、他の項目を未設定とした第1クロック情報をWEST方向へ送出する。以降のライン同期ノードは、SSMコードのみ適宜調整し、その他のクロックパス付加情報を変更せず、そのまま伝送する。
【0057】
ここで、図6および図7で例示したように、ノード14〜ノード16間の伝送路に障害が発生し、EAST方向クロックパスが異常状態となったこととする。図13(a)〜図13(f)は、伝送路障害発生時のクロックパス付加情報を示している。
【0058】
図13(a)で示すように、ノード16は、クロックパスの障害を検出すると、SSMコードを「SEC」に変更し、イベントフラグを「1」に変更した第1クロック情報を、前回の送出時点から1秒の経過を待つことなく即時にノード18へ送出する。ノード16は、ノード18から受信通知を受け付けるか、もしくは送出回数が5回に達するまで、定期的にこの第1クロック情報を送出する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」を設定した第1クロック情報を送出すべき場合、定期送信間隔に関わらず即時送出する。こうして、SSMコードが「SEC」の第1クロック情報は、図6で示したようにノード30まで順次伝送される。
【0059】
図13(b)で示すように、ノード18は、イベントフラグに「1」が設定された図13(a)の第1クロック情報を受け付けると、受信フラグに「1」を設定した第2クロック情報を、受信通知として、前回の送出時点から1秒の経過を待つことなく即時にノード16へ返信する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」が設定された第1クロック情報を受け付けた場合、受信フラグを「1」にした第2クロック情報をその送信元のノードへ即時送信する。変形例として、前回の送出時点から1秒の経過をトリガとして、受信フラグを設定した第2クロック情報を送出してもよい。
【0060】
図13(c)で示すように、ノード16は、クロックパスの障害を検出すると、SSMコードを「SEC」、イベントフラグを「1」、状態を「1」、切替を「1」、ID2を「ノード16」に変更した第2クロック情報を即時にノード14へ送出する。
【0061】
図13(d)で示すように、ノード14は、イベントフラグに「1」が設定された図13(c)の第2クロック情報を受け付けると、受信フラグに「1」を設定した第1クロック情報を、受信通知として、即時にノード16へ返信する。他のノード10も同様に、イベントフラグに「1」が設定された第2クロック情報を受け付けた場合、受信フラグを「1」にした第1クロック情報をその送信元のノードへ即時送信する。変形例として、前回の送出時点から1秒の経過をトリガとして、受信フラグを設定した第1クロック情報を送出してもよい。
【0062】
図13(e)で示すように、ノード14は、図13(c)の第2クロック情報を受け付けると、そのSSMコードを「DNU」に変更した第2クロック情報をノード12へ即時に送出する。この第2クロック情報では、状態・切替に「1」が設定されているものの、通過フラグが「0」であるため、ノード14はクロックソースを変更しない。
【0063】
図13(f)で示すように、外部同期ノードであるノード12は、図13(e)の第2クロック情報を受け付けると、そのSSMコードを「PRC」に変更し、通過フラグを「1」に変更した第2クロック情報をノード30へ即時に送信する。ノード12は、外部同期ノードであるため、伝送路の障害をトリガとしてはクロックソースを変更しない。
【0064】
図13(f)の第2クロック情報を受け付けたノード30は、クロックソースの即時切替処理を実行する。具体的には、クロックパス付加情報における状態・切替・通過のいずれにも「1」が設定され、ID1(外部同期ノード)と方向(クロックパスの方向)が現在のクロックパスと一致する場合、優先度情報にしたがって次に優先度の高いクロックパスをクロックソースとして選択する。図9の優先度情報の場合、クロックソースを、EAST方向クロックパスから、WEST方向クロックパスへ切り替える。
【0065】
以下、図13(f)の第2クロック情報がWEST方向へ伝送されていき、ノード30→ノード28→・・・→ノード16の順にクロックソースの切替が実行される。ノード16は、第2クロック情報のID2が自ノードのIDと一致する場合、それは第2クロック情報がリング網36を1周したことを意味するため、クロックパス付加情報の状態・切替・ID2を初期値「0」に戻す。ノード14が受け付けた第2クロック情報では通過が「1」であるものの、状態および切替が「0」であるため、ノード14はクロックソースを変更しない。ノード12は、通過が「1」の第2クロック情報を受け付けた場合、それは第2クロック情報がリング網36を1周したことを意味するため、通過を「0」に戻す。
【0066】
なお、通信システム100には、図13(a)の第1クロック情報の受信後に図13(f)の第2クロック情報を受信するノード(例えばノード18やノード20等)が存在する。また、図13(f)の第2クロック情報の受信後に図13(a)の第1クロック情報を受信するノード(例えばノード30やノード28等)が存在する。しかし、いずれのノードにおいても、図13(f)の第2クロック情報を受信した時点でクロックパスがWEST方向クロックパスに切り替わるため不整合等の問題は発生しない。
【0067】
図14は、図1のノード10の動作を示すフローチャートである。ここでは、ライン同期ノードの動作を示している。第1障害検出部50がEAST方向クロックパスの障害を検出すると(S10のY)、第1クロック情報設定部70は図13(a)で示すクロックパス付加情報を含む第1クロック情報を設定する(S12)。第1クロック送出部60は、その第1クロック情報をEAST方向へ即時に送出する(S14)。所定の送出回数に未到達であり(S16のN)、EAST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S18のN)、S14に戻る。所定の送出回数に到達し(S16のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S18のY)、毎秒1回の頻度で第1クロック情報を送出する状態に戻る(S20)。
【0068】
第2クロック情報設定部72は図13(c)で示すクロックパス付加情報を含む第2クロック情報を設定する(S22)。第2クロック送出部64は、その第2クロック情報をWEST方向へ即時に送出する(S24)。所定の送出回数に未到達であり(S26のN)、WEST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S28のN)、S24に戻る。所定の送出回数に到達し(S26のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S28のY)、毎秒1回の頻度で第2クロック情報を送出する状態に戻る(S30)。上記のS12〜S20と、S22〜S30とは並行して実行される。第1障害検出部50がEAST方向クロックパスの障害を未検出であれば(S10のN)、S12〜S30はスキップされる。なお、第2クロック受信部54がWEST方向クロックパスの障害を検出した場合にも上記に対応した同様の動作を行う。
【0069】
前回の第1クロック情報の送出から所定の送出間隔(例えば1秒)が経過すると(S32のY)、第1クロック送出部60は、第1クロック情報をEAST方向へ送出する(S34)。同様に、前回の第2クロック情報の送出から所定の送出間隔(1秒)が経過すると(S32のY)、第2クロック送出部64は、第2クロック情報をWEST方向へ送出する(S34)。第1クロック情報と第2クロック情報のいずれについても、前回の送出から所定の送出間隔が未経過であれば(S32のN)、S34はスキップされる。
【0070】
図15も、図1のノード10の動作を示すフローチャートである。同図は、図14の続きを示している。ここでは、第1クロック情報を受信した場合の動作を説明するが、第2クロック情報を受信した場合にも対応した同様の動作を行う。
【0071】
第1クロック受信部48が第1クロック情報を受信すると(S40のY)、クロックソース選択部74は、第1クロック情報のイベントフラグが「1」か否かを判定する。イベントフラグが「0」(未設定)であり(S42のN)、第1クロック情報がクロックソースである場合(S44のY)、クロック抽出部68は第1クロック情報からマスタクロックを抽出してノード内クロック42をそのマスタクロックに同期させる(S46)。第1クロック情報がクロックソースに指定されていなければ(S44のN)、S46はスキップされて本図のフローを終了する。
【0072】
第1クロック情報のイベントフラグが「1」である場合(S42のY)、第2クロック情報設定部72は第2クロック情報の受信フラグに「1」を設定し、第2クロック送出部64はその第2クロック情報を即時に送出する(S48)。第1クロック情報のクロック品質(SSMコード)と第2クロック情報のクロック品質との上下関係が逆転した場合(S50のY)、クロックソース選択部74はクロックソースを切り替える(S52)。例えば、第1クロック情報をクロックソースとする場合に第2クロック情報の方がより高いクロック品質を示す場合、クロックソースを第2クロック情報へ切り替える。クロック品質の上下関係が逆転しなければ(S50のN)、S52はスキップされる。
【0073】
クロックソース選択部74は、第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足するか否かを判定する。具体的には、クロックパス付加情報の状態・切替・通過が「1」であり、かつ、ID1・方向が現在のクロックパスと合致する場合に切替条件が充足したと判定する。第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足する場合(S54のY)、クロックソース選択部74は、クロックソースを第1クロック情報へ切り替える(S56)。クロック抽出部68は、第1クロック情報からマスタクロックを抽出してノード内クロック42をそのマスタクロックに同期させる(S58)。
【0074】
クロックパス付加情報のID2に自ノードのIDが設定されてなければ(S60のN)、第1クロック送出部60は、第1クロック情報をEAST方向へ即時に送出する(S62)。所定の送出回数に未到達であり(S64のN)、EAST側ノードからの受信通知を所定期間に未受信であれば(S66のN)、S62に戻る。所定の送出回数に到達し(S64のY)、もしくは、EAST側ノードからの受信通知を受け付けると(S66のY)、第1クロック情報を定期的に送出する状態に戻る(S68)。クロックパス付加情報のID2に自ノードのIDが設定されている場合は(S60のY)、第1クロック情報に付加した状態・切替・ID2を初期状態(未設定の状態)に戻して本図のフローを終了する(S70)。第1クロック情報のクロックパス付加情報がクロックソースの切替条件を充足しない場合(S54のN)、S56〜S70をスキップする。第1クロック情報が未受信であれば(S40のN)、以降の処理はスキップされて本図のフローを終了する。
【0075】
なお、外部同期ノードの動作としては、(1)クロック供給装置32またはクロック供給装置34からマスタクロックを取得してノード内クロック42を同期させる。(2)マスタクロックを第1クロック情報および第2クロック情報として定期的にリング網36へ送出する。(3)状態・切替フィールドに「1」が設定された第1クロック情報(第2クロック情報)を受け付けた際に、通過フィールドに「1」を設定した第1クロック情報(第2クロック情報)送出する。以上の(1)〜(3)が少なくとも実行されればよい。
【0076】
本実施の形態の通信システム100によれば、リング構成のSync−Eにおいて、障害発生時のクロックソースの切替時間を短縮し、これにより各ノードの自走時間を短縮してクロック品質の向上を実現できる。具体的には、あるクロックパス方向で伝送路障害が発生した場合に、逆方向のクロックパスでもその障害を通知するため、クロックソース切替の起点となるノードへの障害通知に要する時間を短縮できる。また、クロックの品質が変化するような事態が生じた場合、例えば障害が発生した際には、定期送出間隔に関わらずクロック情報を即時送出するため、障害通知およびクロックソース切替のノード間での伝播に要する時間を短縮できる。さらにまた、クロック情報の受信通知と再送の仕組みにより、クロックソース切替の確実性を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0078】
上記実施の形態では、SSMコード値として「PRC」、「SEC」、「DNU」の3種を示したが、このうちの一部が用いられてもよく、また、これらに加えて他のSSMコード値が用いられてもよいことはもちろんである。
【0079】
上記実施の形態では特に言及していないが、通信システム100は複数の外部同期ノードを含んでよく、それぞれの外部同期ノードがクロック情報をリング網36へ送出してもよい。上記の通り、クロックパス付加情報には外部同期ノードのIDが含まれ、そのIDが現在のクロックソースにおける外部同期ノードのIDと一致することをクロックソースの切替条件とする。したがって、リング網36に複数の外部同期ノードが存在する場合も、実施の形態の構成により、クロックソースの切替に要する時間の短縮が実現される。
【0080】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば、請求項に記載のクロック送出部は、第1クロック情報設定部70と第1クロック送出部60の組み合わせにより実現されてもよく、第2クロック情報設定部72と第2クロック送出部64との組み合わせにより実現されてもよい。また、第1クロック情報に設定される付加情報はイベントフラグやSSMコードを意味してもよく、第2クロック情報に設定される付加情報はクロックパス付加情報の「状態」、「通過」等の項目であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 ノード、 36 リング網、 48 第1クロック受信部、 50 第1障害検出部、 54 第2クロック受信部、 56 第2障害検出部、 60 第1クロック送出部、 64 第2クロック送出部、 66 同期処理部、 68 クロック抽出部、 70 第1クロック情報設定部、 72 第2クロック情報設定部、 74 クロックソース選択部、 100 通信システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング網に設置された通信装置であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させる同期処理部と、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、
を備え、
前記クロック送出部は、前記リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いて前記マスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を前記第1クロック情報に対して設定するとともに、前記第2クロック情報に対しても設定することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記同期処理部は、第1クロック情報をクロックソースとする場合に、前記付加情報が設定された第2クロック情報が他の通信装置から受信されたとき、第1クロック情報が未受信であっても、第2クロック情報をクロックソースとするよう切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記リング網はイーサネット(登録商標)のリング網であり、前記第1クロック情報および前記第2クロック情報はESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel、「Ethernet」は登録商標)メッセージであり、
前記クロック送出部は、前記ESMCメッセージのリザーブ(Reserved)領域とデータ・アンド・パディング(Data and Padding)領域の少なくとも一方へ前記付加情報を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記クロック送出部は、前記付加情報を設定した第1クロック情報および第2クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記クロック送出部は、前記付加情報が設定された第1クロック情報または第2クロック情報が他の通信装置から受信されたとき、その受信の旨を当該他の通信装置へ通知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記クロック送出部は、前記付加情報を設定した第2クロック情報を送出後、その受信の旨の通知を未受領である場合、当該第2クロック情報を再度送出することを特徴とする請求項4または5に記載の通信装置。
【請求項7】
リング網に設置された通信装置であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させる同期処理部と、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、
を備え、
前記第1クロック情報は、クロックの品質を示す情報を含むものであり、
前記クロック送出部は、前記クロックの品質を示す情報に変化が生じた場合、前記第1クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
リング網に設置された通信装置により実行される方法であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するステップと、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させるステップと、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するステップと、
を備え、
前記送出するステップは、前記リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いて前記マスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を前記第1クロック情報に対して設定するとともに、前記第2クロック情報に対しても設定することを特徴とするクロック同期方法。
【請求項1】
リング網に設置された通信装置であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させる同期処理部と、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、
を備え、
前記クロック送出部は、前記リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いて前記マスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を前記第1クロック情報に対して設定するとともに、前記第2クロック情報に対しても設定することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記同期処理部は、第1クロック情報をクロックソースとする場合に、前記付加情報が設定された第2クロック情報が他の通信装置から受信されたとき、第1クロック情報が未受信であっても、第2クロック情報をクロックソースとするよう切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記リング網はイーサネット(登録商標)のリング網であり、前記第1クロック情報および前記第2クロック情報はESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel、「Ethernet」は登録商標)メッセージであり、
前記クロック送出部は、前記ESMCメッセージのリザーブ(Reserved)領域とデータ・アンド・パディング(Data and Padding)領域の少なくとも一方へ前記付加情報を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記クロック送出部は、前記付加情報を設定した第1クロック情報および第2クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記クロック送出部は、前記付加情報が設定された第1クロック情報または第2クロック情報が他の通信装置から受信されたとき、その受信の旨を当該他の通信装置へ通知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記クロック送出部は、前記付加情報を設定した第2クロック情報を送出後、その受信の旨の通知を未受領である場合、当該第2クロック情報を再度送出することを特徴とする請求項4または5に記載の通信装置。
【請求項7】
リング網に設置された通信装置であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するクロック受信部と、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させる同期処理部と、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するクロック送出部と、
を備え、
前記第1クロック情報は、クロックの品質を示す情報を含むものであり、
前記クロック送出部は、前記クロックの品質を示す情報に変化が生じた場合、前記第1クロック情報を、予め定められた送出間隔によらず、即時に送出することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
リング網に設置された通信装置により実行される方法であって、
マスタクロックの供給装置から供給された、前記リング網における第1方向の伝送路を介して伝送された第1クロック情報と、前記リング網における第2方向の伝送路を介して伝送された第2クロック情報とを受信するステップと、
前記第1クロック情報と前記第2クロック情報の少なくとも一方を用いて、本装置の動作を前記マスタクロックに同期させるステップと、
前記リング網に設置された他の通信装置を前記マスタクロックに同期させるための情報を、前記第1方向の伝送路へ第1クロック情報として送出し、前記第2方向の伝送路へ第2クロック情報として送出するステップと、
を備え、
前記送出するステップは、前記リング網における第1方向の伝送路で障害が検出された場合、第2クロック情報を用いて前記マスタクロックへの同期処理を実行させるための付加情報を前記第1クロック情報に対して設定するとともに、前記第2クロック情報に対しても設定することを特徴とするクロック同期方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図13(e)】
【図13(f)】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図13(e)】
【図13(f)】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−4925(P2012−4925A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138890(P2010−138890)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】
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