説明

通信装置及び送信キャリブレーションウエイト算出方法

【課題】送信キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性を低めること。
【解決手段】送受信部20−1に対しPN符号(A)を送出するとともに、送受信部20−n(n≠1)に対しPN符号(B)を送出する制御部10と、送受信部20−1に送出されたPN符号(A)の特性を示す基準送信系統特性データを取得するとともに、送受信部20−n(n≠1)に送出されたPN符号(B)の特性を示す送信系統特性データを取得する送信系統特性データ取得部40と、基準送信系統特性データ及び送信系統特性データに基づいて、送受信部20−1と送受信部20−n(n≠1)の送信特性差を示す送信特性差データを取得する送信特性差データ算出部41と、送信特性差データに基づき送信キャリブレーションウエイトを算出する送信キャリブレーションウエイト算出部44と、を含んだことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及び送信キャリブレーションウエイト算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アダプティブアレイアンテナを使用する通信装置ではアンテナごとに送信系統が設けられるが、この送信系統間の送信特性差が全体としての送信特性に影響する。そこで、この影響を低減するために、送信系統間の送信特性差を示す送信キャリブレーションウエイトが用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、送信キャリブレーションウエイトを次のようにして算出している。すなわち、通信装置は、各送信系統に対し、順次キャリブレーション信号を送出する。キャリブレーション端末はこうして送出されるキャリブレーション信号を取得し、各キャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを算出する。この送信系統特性データは各送信系統の送信特性を示しており、通信装置は、該送信系統特性データの送信系統間における差異に基づいて、送信キャリブレーションウエイトを算出する。
【特許文献1】特開2005−348236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、個々の送信系統について別々にキャリブレーション信号を送出しているので、同じ条件の下、送信系統特性データを算出できているとは限らない。このため、送信系統特性データの送信系統間における差異が送信系統間の送信特性差を適切に示しておらず、送信キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されないこととなる可能性がある。
【0005】
従って、本発明の課題の一つは、送信キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性を低めることを実現する通信装置及び送信キャリブレーションウエイト算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明にかかる通信装置は、アダプティブアレイアンテナを有する通信装置であって、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうちのひとつを基準送信系統とし、前記基準送信系統に対しキャリブレーション信号を送出するとともに、他の送信系統に対しキャリブレーション信号を送出する送信系統送出手段と、前記送信系統送出手段により前記基準送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す基準送信系統特性データを取得する基準送信系統特性データ取得手段と、前記送信系統送出手段により前記他の送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを取得する送信系統特性データ取得手段と、前記基準送信系統特性データ取得手段により取得される基準送信系統特性データと、前記送信系統特性データ取得手段により取得される送信系統特性データと、に基づいて、前記基準送信系統と前記他の送信系統の送信特性差を示す送信特性差データを取得する送信特性差データ取得手段と、前記複数の送信系統のうち、前記基準送信系統以外の送信系統のそれぞれについて前記送信特性差データ取得手段により取得される送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する送信キャリブレーションウエイト算出手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
これによれば、基準送信系統と他の送信系統について同時にキャリブレーション信号を送出することができ、これらの間では同条件で送信系統特性データを算出できている可能性が高まる。このため、上記送信特性差データ取得手段により取得される送信特性差データは、これらの送信系統間の送信特性差を適切に示している可能性が高まり、結果として、送信キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性を低めることが実現される。
【0008】
また、上記通信装置において、前記送信系統送出手段は、前記基準送信系統に対しては第1のキャリブレーション信号を送出し、他の送信系統に対しては前記第1のキャリブレーション信号とは信号内容が異なる第2のキャリブレーション信号を送出する、こととしてもよい。
【0009】
これによれば、基準送信系統と他の送信系統について同時に異なるキャリブレーション信号を送出するので、1台のキャリブレーション端末で受信するとしても、これらを分離受信することができるようになる。
【0010】
さらに、上記通信装置において、前記基準送信系統に対し前記第1のキャリブレーション信号と前記第2のキャリブレーション信号を重畳して送出する重畳送信系統送出手段と、前記重畳送信系統送出手段により前記基準送信系統に対して送出された前記第1のキャリブレーション信号及び前記第2のキャリブレーション信号の特性差を示す基準特性差データを取得する基準特性差データ取得手段と、前記基準特性差データ取得手段により取得される基準特性差データに基づいて、前記送信特性差データ取得手段により取得される送信特性差データを補正する補正手段と、を含み、前記送信キャリブレーションウエイト算出手段は、前記補正手段による補正後の前記送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する、こととしてもよい。
【0011】
これによれば、キャリブレーション信号の信号内容が異なることによる特性差があったとしても、その特性差に基づいて基準特性差データに基づいて補正することができる。
【0012】
さらに、上記通信装置において、当該通信装置は直交波周波数分割多重による通信を行い、前記重畳送信系統送出手段は、所定サブチャネル内の所定の1又は複数のサブキャリアにて前記送出を行い、前記送信系統送出手段は、前記所定サブチャネル内の前記所定の1又は複数のサブキャリア以外のサブキャリアにて、前記重畳送信系統送出手段による前記送出と同期して前記送出を行う、こととしてもよい。
【0013】
1つのサブチャネル内では、サブキャリアが異なっても、同じ条件で送信されているとみなせるところ、上記通信装置によれば、所定サブチャネル内の異なるサブキャリアを利用して、重畳送信系統送出手段と送信系統送出手段により同時にキャリブレーション信号を送出することができる。従って、送信特性差データと基準特性差データが同条件で算出できている可能性が高まり、結果として、キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性をさらに低めることが実現される。
【0014】
また、上記各通信装置において、前記送信系統送出手段は、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうち前記基準送信系統以外の各送信系統に対し順次、前記基準送信系統に対して送出するキャリブレーション信号とともに、キャリブレーション信号を送出し、当該通信装置は、前記送信系統送出手段による送出と同期し、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する受信系統のうちの全部又は一部に対し、キャリブレーション信号を送出する受信系統送出手段と、前記受信系統送出手段により前記受信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す受信系統特性データを取得する受信系統特性データ取得手段と、前記受信系統特性データ取得手段により取得される受信系統特性データに基づき、受信キャリブレーションウエイトを算出する受信キャリブレーションウエイト算出手段と、をさらに含むこととしてもよい。
【0015】
これによれば、送出手段が基準送信系統以外の各送信系統に対し順次キャリブレーション信号を送出している間に、受信系統特性データを取得することができる。すなわち、送信系統の数−1回分の受信系統特性データを取得することができるので、受信キャリブレーションウエイトの精度を高めることができる。
【0016】
また、本発明にかかる送信キャリブレーションウエイト算出方法は、アダプティブアレイアンテナを有する通信装置において送信キャリブレーションウエイトを算出するための送信キャリブレーションウエイト算出方法であって、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうちのひとつを基準送信系統とし、前記基準送信系統に対しキャリブレーション信号を送出するとともに、他の送信系統に対しキャリブレーション信号を送出する送信系統送出ステップと、前記送信系統送出ステップにおいて前記基準送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す基準送信系統特性データを取得する基準送信系統特性データ取得ステップと、前記送信系統送出ステップにおいて前記他の送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを取得する送信系統特性データ取得ステップと、前記基準送信系統特性データ取得ステップにおいて取得される基準送信系統特性データと、前記送信系統特性データ取得ステップにおいて取得される送信系統特性データと、に基づいて、前記基準送信系統と前記他の送信系統の送信特性差を示す送信特性差データを取得する送信特性差データ取得ステップと、前記複数のアンテナのうち、前記基準送信系統以外の送信系統のそれぞれについて前記送信特性差データ取得ステップにおいて取得される送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する送信キャリブレーションウエイト算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本実施の形態にかかる基地局装置1のシステム構成を示す図である。この基地局装置1は、移動体通信システムにおいて基地局装置として使用される通信装置であり、図1に示すように、制御部10、送受信部20−n(n=1乃至K)、キャリブレーション端末部30を含んで構成される。
【0019】
制御部10は、CPU及びメモリを備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、基地局装置1の各部を制御する処理を行うとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。
【0020】
送受信部20−nは送信系統及び受信系統を備えており、直交波周波数分割多重(OFDM)による無線信号の送受信を実現する。各送受信部20−nはいずれもアンテナを備えており、各アンテナはアダプティブアレイアンテナを構成する。
【0021】
キャリブレーション端末部30は、移動体通信システムにおいて移動局装置として使用される通信装置にキャリブレーションにかかる機能を追加してなる通信装置であり、それ自体CPU及びメモリを備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、制御部10の指示に従ってキャリブレーション端末部30の各部を制御する処理を行うとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。
【0022】
本実施の形態では、キャリブレーション端末部30は各アンテナとカプラ(不図示)により接続されており、各アンテナを介して、送受信部20−nの受信系統に対してキャリブレーション信号を送出する。制御部10は、キャリブレーション端末部30から送出され、送受信部20−nから出力されたキャリブレーション信号を取得し、各キャリブレーション信号について、その特性を示す受信系統特性データを算出する。そして、受信系統特性データに基づいて受信キャリブレーションウエイトを算出する。
【0023】
また、制御部10は、送受信部20−nの送信系統に対してキャリブレーション信号を送出する。キャリブレーション端末部30は、制御部10から送出され、各アンテナに到達したキャリブレーション信号を取得し、各キャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを算出する。そして、送信系統特性データに基づいて送信キャリブレーションウエイトを算出する。
【0024】
さらに、制御部10は、こうして算出された受信キャリブレーションウエイトと送信キャリブレーションウエイトとに基づいて、キャリブレーションウエイトを算出する。そして、該キャリフレーションウエイトを用いて、ビームフォーミング信号とヌルフォーミング信号とを生成し、送受信部20−nの送信系統に対して送出する。キャリブレーション端末部30は、制御部10から送出され、アンテナに到達したビームフォーミング信号及びヌルフォーミング信号を取得し、その受信電力を算出する。制御部10は、こうして算出された受信電力に基づいて、キャリブレーションウエイトが適切に算出されているかどうかを確認する。この確認にかかる処理はFOM(Figure Of Merit:フィギュアオブメリット)処理と呼ばれる。
【0025】
以上概説した受信キャリブレーションウエイトの算出、送信キャリブレーションウエイトの算出、及びFOM処理の各処理は、まとめてキャリブレーション処理と呼ばれる。以下、各処理について詳細に説明する。
【0026】
図2は、基地局装置1の受信キャリブレーションウエイトの算出にかかる機能ブロックを示す図である。同図に示すように、制御部10は、受信系統特性データ取得部11、受信キャリブレーションウエイト算出部12、キャリブレーションウエイト算出部13を含んで構成される。また、送受信部20−nは、CP(cyclic prefix:サイクリック・プレフィックス)除去部21−n、S/P(serial/parallel:シリアル/パラレル)変換部22−n、フーリエ変換部23−n、チャネル選択部24−nを含んで構成される。さらに、キャリブレーション端末部30は、PN(Pseude Noise:疑似雑音)生成部31、S/P変換部32、逆フーリエ変換部33、P/S(parallel/serial:パラレル/シリアル)変換部34、CP付加部35を含んで構成される。
【0027】
PN生成部31は、所定のPN符号を生成し、S/P変換部32に対して出力する。なお、本実施の形態では、このPN符号をキャリブレーション信号として利用する。PN符号はスペクトル拡散に用いられる拡散符号系列であり、異なるPN符号は互いに直交するという性質を有している。すなわち、2つの異なるPN符号の相互相関値は、これらのPN符号が同期していれば、0となる。これに対し、2つの同じPN符号の相互相関値(自己相関値)は、これらのPN符号が同期しているときに最大となり、同期のずれが大きくなるに従い小さくなる。
【0028】
S/P変換部32は、シリアルデータとして入力されるPN符号を複素平面にマッピングする。64QAMを例に挙げると、PN符号を6ビットずつに区切り、64の信号点にマッピングする。そして、各信号点にマッピングしたデータを、パラレルデータとして逆フーリエ変換部33に出力する。
【0029】
逆フーリエ変換部33は、入力されたパラレルデータに対し、逆高速フーリエ変換(IFFT)を行う。その結果、各信号点にマッピングされたデータは、それぞれ異なる周波数に割り振られる。このとき割り振られる周波数の単位をサブキャリアという。逆フーリエ変換部33は、こうして得られた各サブキャリアにかかるデータをP/S変換部34に出力する。
【0030】
P/S変換部34は、逆フーリエ変換部33から入力される各サブキャリアにかかるデータを合成し、1つのPN信号としてCP付加部35に出力する。
【0031】
CP付加部35は、連続して送信するPN信号間にガードインターバルを設け、該ガードインターバルに、PN信号の一部(CP)を繰り返し含める。このCPは、通常、電送区間における誤りを補償するために用いられる。CP付加部35は、こうしてCP付PN信号を生成し、送受信部20−nのうちの全部又は一部に対して送出する。ここでは、全部に対して送出するものとして説明する。
【0032】
CP除去部21−nは、キャリブレーション端末部30から送受信部20−nに対して送出されたCP付PN信号からCPを除去し、S/P変換部22−nに対して出力する。
【0033】
S/P変換部22−nは、各サブキャリアにかかるデータを取得し、パラレルデータとしてフーリエ変換部23−nに出力する。
【0034】
フーリエ変換部23−nは、S/P変換部22−nから入力されたパラレルデータに対して高速フーリエ変換(FFT)を行う。その結果、各信号点にマッピングされたデータが得られる。フーリエ変換部23−nは、こうして取得される信号点ごとのデータを、チャネル選択部24−nに出力する。
【0035】
チャネル選択部24−nは、フーリエ変換部23−nから入力されるデータから、元のPN符号を取得し、受信系統特性データ取得部11に出力する。
【0036】
受信系統特性データ取得部11は、チャネル選択部24−nから入力されたPN符号について、その特性を示す受信系統特性データ(送受信部20−nについての受信系統特性データ)を取得する。具体的には、PN生成部31が生成したPN符号(参照信号)と、チャネル選択部24−nから入力されたPN符号(受信信号)の相互相関値rを算出し、送受信部20−nについての受信系統特性データとする。この相互相関値rは、以下の式(1)で表される。ここで、z(t)はチャネル選択部24−nから入力されたPN符号、s(t)はPN生成部31が生成したPN符号、E[ ]は期待値、*は複素共役を示している。
【0037】
【数1】

【0038】
受信キャリブレーションウエイト算出部12は、受信系統特性データ取得部11において取得される各送受信部20−nについての受信系統特性データに基づいて、受信キャリブレーションウエイトeを算出する。具体的には、以下の式(2)により算出する。なお、受信キャリブレーションウエイトeは、K個の要素を有するベクトルである。
【0039】
【数2】

【0040】
キャリブレーションウエイト算出部13は、こうして算出される受信キャリブレーションウエイトeと、後述する送信キャリブレーションウエイト算出部44により算出される送信キャリブレーションウエイトeと、に基づいてキャリブレーションウエイトCALを算出する。
【0041】
図3は、基地局装置1の送信キャリブレーションウエイトの算出にかかる機能ブロックを示す図である。同図に示すように、制御部10は、キャリブレーションウエイト算出部13、PN(A)生成部14、PN(B)生成部15、送信系統選択部16を含んで構成される。また、送受信部20−nは、S/P変換部26−n、逆フーリエ変換部27−n、P/S変換部28−n、CP付加部29−nを含んで構成される。なお、送受信部20−1は重畳部25−1も含んで構成される。この重畳部25−1を含むことにより、ここでは送受信部20−1が基準送信系統として使用される。
【0042】
また、キャリブレーション端末部30は、CP除去部36、S/P変換部37、フーリエ変換部38、チャネル選択部39、送信系統特性データ取得部40、送信特性差データ算出部41、基準特性差データ算出部42、補正部43、送信キャリブレーションウエイト算出部44を含んで構成される。
【0043】
PN(A)生成部14及びPN(B)生成部15は、それぞれ所定のPN符号(A)及びPN符号(B)を生成する。PN符号(A)とPN符号(B)は、互いにその内容が異なるPN符号である。
【0044】
PN(A)生成部14は、生成したPN符号(A)を重畳部25−1及びS/P変換部26−1に出力する。一方、PN(B)生成部15は、生成したPN符号(B)を重畳部25−1及び送信系統選択部16に出力する。PN(A)生成部14及びPN(B)生成部15は、送信キャリブレーションウエイトの算出が行われる間、繰り返し同じ符号を出力し続ける。
【0045】
重畳部25−1は、PN符号(A)とPN符号(B)を加算することにより重畳し、重畳符号としてS/P変換部26−1に出力する。
【0046】
送信系統選択部16は、送受信部20−2から送受信部20−Kまで、順次送信系統を選択し、選択した送受信部20−nに対し、PN(B)符号を出力する。なおこの場合において、送信系統選択部16は、N/2回(Nは偶整数)にわたり同じ送受信部20−nに対しPN(B)符号を出力する。
【0047】
S/P変換部26−nは、シリアルデータとして入力されるPN符号を複素平面にマッピングする。なお、S/P変換部26−1は、PN符号(A)と重畳符号とをそれぞれ複素平面にマッピングする。S/P変換部26−nは、各信号点にマッピングしたデータを、パラレルデータとして逆フーリエ変換部27−nに出力する。
【0048】
逆フーリエ変換部27−nは、入力されたパラレルデータに対し、逆高速フーリエ変換を行う。その結果、各信号点にマッピングされたデータは、それぞれ異なる周波数(サブキャリア)に割り振られる。
【0049】
ここで、一般的な直交波周波数分割多重について説明する。図4は、直交波周波数分割多重を説明するための図である。同図に示すように、直交波周波数分割多重では、1つの通信にかかるデータは、1つのサブチャネルを利用して送信される。このサブチャネルは多数の上記サブキャリアにより構成される周波数チャネルであり、1つのサブチャネルを構成するサブキャリアの一部(半数)は1st bin(第1の箱)、残部(残りの半数)は2nd bin(第2の箱)と呼ばれる。
【0050】
逆フーリエ変換部27−1は、重畳符号に関して、各信号点にマッピングされたデータが1st binであるサブキャリアのいずれかに割り振られるよう、逆高速フーリエ変換を行う。一方、PN符号(A)に関して、各信号点にマッピングされたデータが2nd binであるサブキャリアのいずれかに割り振られるよう、逆高速フーリエ変換を行う。また、逆フーリエ変換部27−n(n≠1)は、各信号点にマッピングされたデータが2nd binであるサブキャリアのいずれかに割り振られるよう、逆高速フーリエ変換を行う。
【0051】
逆フーリエ変換部27−nは、こうして得られた各サブキャリアにかかるデータをP/S変換部28−nに出力する。
【0052】
P/S変換部28−nは、逆フーリエ変換部27−nから入力される各サブキャリアにかかるデータを合成し、1つのPN信号としてCP付加部29−nに出力する。
【0053】
CP付加部29−nは、図2に示すCP付加部35と同様な処理によりCP付PN信号を生成し、キャリブレーション端末部30に対して送出する。
【0054】
こうして送受信部20−nから送出されたCP付PN信号は、キャリブレーション端末部30により取得される。図5は、こうしてキャリブレーション端末部30が取得するCP付PN信号を模式的に示す図である。同図に示すように、キャリブレーション端末部30が取得するCP付PN信号には、その1st binに重畳符号に応じた信号(送受信部20−1から送出された信号)が、その2nd binにPN符号(A)に応じた信号(送受信部20−1から送出された信号)とPN符号(B)に応じた信号(送信系統選択部16により選択された送受信部20−nから送出された信号)の合成信号が、それぞれ含まれる。
【0055】
CP除去部36は、各送受信部20−nから送出されたCP付PN信号からCPを除去し、S/P変換部37に対して出力する。
【0056】
S/P変換部37は、各サブキャリアにかかるデータを取得し、パラレルデータとしてフーリエ変換部38に出力する。
【0057】
フーリエ変換部38は、S/P変換部37から入力されたパラレルデータに対して高速フーリエ変換を行う。その結果、各信号点にマッピングされたデータが得られる。フーリエ変換部38は、こうして取得される信号点ごとのデータを、チャネル選択部39に出力する。
【0058】
チャネル選択部39は、フーリエ変換部38から入力されるデータから、送受信部20−1から送出された重畳符号、送受信部20−1から送出されたPN符号(A)、送受信部20−n(n≠1。以下、n=m(mは定数)である場合について説明する。)から送出されたPN符号(B)を取得する。
【0059】
送信系統特性データ取得部40は、チャネル選択部39から入力された重畳符号及び各PN符号について、その特性を示す受信系統特性データを取得する。具体的には、PN(A)生成部14が生成したPN符号(A)(参照信号)と、チャネル選択部39から入力されたPN符号(A)(受信信号)の相互相関値r1AAを算出し、送受信部20−1についての基準送信系統特性データとする。また、PN(B)生成部15が生成したPN符号(B)(参照信号)と、チャネル選択部39から入力されたPN符号(B)(受信信号)の相互相関値rmBBを算出し、送受信部20−mについての送信系統特性データとする。さらに、PN(A)生成部14が生成したPN符号(A)(参照信号)と、チャネル選択部39から入力された重畳符号(受信信号)の相互相関値r1DAを算出し、基準特性差データの基礎値Aとする。また、PN(B)生成部15が生成したPN符号(B)(参照信号)と、チャネル選択部39から入力された重畳符号(受信信号)の相互相関値r1DBを算出し、基準特性差データの基礎値Bとする。
【0060】
こうして算出される各相互相関値は、以下の式(3)乃至式(6)で表される。ここで、z(t)、z(t)、及びz(t)は、それぞれチャネル選択部39から入力されたPN符号(A)、PN符号(A)、及び重畳符号を示し、s(t)及びs(t)は、それぞれPN(A)生成部14が生成したPN符号(A)及びPN(B)生成部15が生成したPN符号(B)を示している。
【0061】
【数3】

【0062】
【数4】

【0063】
【数5】

【0064】
【数6】

【0065】
送信特性差データ算出部41は、送信系統特性データ取得部40により取得される基準送信系統特性データ(r1AA)及び送信系統特性データ(rmBB)に基づいて、送受信部20−1と送受信部20−mの送信特性差を示す送信特性差データSF(m)を取得する。具体的には、以下の式(7)により算出する。なお、上述のように、送信系統選択部16は、N/2回にわたり同じ信号を同じ送受信部20−nに対して出力している。式(7)におけるrmBB(x)はその1回分に相当し、その総和を算出することにより、繰り返し出力されたPN符号(B)について算出された信号の平均値を送信特性差データSF(m)に反映している(図5参照)。r1AA(x)や、後述する式(8)におけるr1DA(x)、r1DB(x)についても同様である。
【0066】
【数7】

【0067】
基準特性差データ算出部42は、制御部10から送受信部20−1に対して送出された重畳符号を構成するPN符号(A)及びPN符号(A)の特性差を示す基準特性差データを取得する。具体的には、送信系統特性データ取得部40により取得される基礎値A(r1DA)及び基礎値B(r1DB)に基づいて、基準特性差データBFを取得する。より具体的には、以下の式(8)により算出する。
【0068】
【数8】

【0069】
補正部43は、基準特性差データ算出部42により取得される基準特性差データBFに基づいて、送信特性差データ算出部41により取得される送信特性差データSF(m)を補正し、経路差データcoef(m)を取得する。具体的には、式(9)に示すように、SF(m)をBFで除算してcoef(m)とする。そして、算出したcoef(m)を、送信キャリブレーションウエイト算出部44に出力する。
【0070】
【数9】

【0071】
送信キャリブレーションウエイト算出部44は、補正部43から出力されるcoef(n)を、各送受信部20−n(n≠1)について、送信特性差データ算出部41により取得される送信特性差データSF(n)及び基準特性差データ算出部42により取得される基準特性差データBFに基づいて、送信キャリブレーションウエイトeを算出する。具体的には、式(10)のようにして算出する。なお、受信キャリブレーションウエイトeは、K個の要素を有するベクトルである。
【0072】
【数10】

【0073】
キャリブレーションウエイト算出部13は、受信キャリブレーションウエイトeと、送信キャリブレーションウエイトeと、に基づいてキャリブレーションウエイトCALを算出する。具体的には、式(11)の計算を行うことにより、キャリブレーションウエイトCALを算出する。なお、キャリブレーションウエイトCALも、K個の要素を有するベクトルである。また、CAL(n)、ern、etnは、それぞれCAL、e、eの要素のうち、送受信部20−nについての要素を示している。
【0074】
【数11】

【0075】
以上説明した送信キャリブレーションウエイト算出にかかる処理について、処理フロー図を参照しながら再度より詳細に説明する。
【0076】
図6は、送信キャリブレーションウエイト算出にかかる基地局装置1の処理のフローを示す図である。同図に示すように、基地局装置1は、まずPN符号(A)及びPN符号(B)を生成する(S1)。そして、PN符号(A)と、PN符号(A)及びPN符号(B)を重畳してなる重畳符号と、を送受信部20−1へ、PN符号(B)を送受信部20−n(n≠1)へ、それぞれ入力する(S2)。
【0077】
送受信部20−nは、S2において入力された各符号について、逆高速フーリエ変換(S3)及びCP付加(S4)を行い、送信する(S5)。これを受信したキャリブレーション端末部30は、CP除去(S6)、高速フーリエ変換(S7)、チャネル選択(S8)を行い、送信系統特性データを取得する(S9)。そして、こうして取得した送信系統特性データに基づき、送信特性差データ(S10)及び基準送信特性差データ(S11)をそれぞれ算出する。さらに、送信特性差データを基準特性差データにより補正する(S12)。
【0078】
以上の処理を各送受信部20−n(n≠1)の全てについて終了したら(S13)、キャリブレーション端末部30は、送信キャリブレーションウエイトを算出する(S14)。
【0079】
図7は、基地局装置1のFOM処理にかかる機能ブロックを示す図である。同図に示すように、制御部10は、PN生成部17、ウエイト決定部18、FOM結果取得部19を含んで構成される。また、送受信部20−nは、S/P変換部26−n、逆フーリエ変換部27−n、P/S変換部28−n、CP付加部29−nを含んで構成される。キャリブレーション端末部30は、CP除去部36、S/P変換部37、フーリエ変換部38、RSSI算出部45を含んで構成される。
【0080】
PN生成部17は、FOM処理用の所定のPN符号を生成する。このPN符号には任意のものを使用することができる。
【0081】
ウエイト決定部18は、キャリブレーションウエイト算出部13により算出されたキャリブレーションウエイトCALに基づき、ビームフォーミング信号とヌルフォーミング信号とを生成し、各送受信部20−nの送信系統に対して送出する。具体的には、以下の式(12)により送信ウエイトWbeamを生成し、これを上記PN符号に基づいて生成される送信信号に乗算することにより、ビームフォーミング信号を生成する。また、以下の式(13)により送信ウエイトWnullを生成し、これを上記PN符号に基づいて生成される送信信号に乗算することにより、ヌルフォーミング信号を生成する。なお、各ウエイトはK個の要素を有するベクトルである。また、Wbeam(n)、Wnull(n)は、それぞれWbeam、Wnullの要素のうち、送受信部20−nについての要素を示している。また、rは式(1)で算出されたものである。
【0082】
【数12】

【0083】
【数13】

【0084】
S/P変換部26−n、逆フーリエ変換部27−n、P/S変換部28−n、CP付加部29−n、CP除去部36、S/P変換部37、フーリエ変換部38は、上述のようにして信号処理を行う。
【0085】
RSSI算出部45は、ビームフォーミング信号及びヌルフォーミング信号のそれぞれについて、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信電力)を算出する。
【0086】
さらに、RSSI算出部45は、こうして算出したRSSIに基づいて、RSSIの差FOMを算出する。具体的には、以下の式(14)の計算を行い、RSSIの差FOMをdB単位で算出する。なお、RSSIbeam及びRSSInullは、それぞれビームフォーミング信号及びヌルフォーミング信号についてのRSSIである。
【0087】
【数14】

【0088】
RSSI算出部45は、こうして算出したRSSIの差FOMを、FOM結果取得部19に出力する。
【0089】
FOM結果取得部19は、入力されたFOMに基づき、キャリブレーションウエイトが適切に算出されているかどうかを確認する。具体的には、このFOMが所定の閾値を上回っている場合に、キャリブレーションウエイトが適切に算出されていると判定し、そうでない場合に、キャリブレーションウエイトが適切に算出されていないと判定する。その結果、キャリブレーションウエイトが適切に算出されていないと判定された場合、制御部10は再度キャリブレーション処理を開始することが望ましい。
【0090】
以上説明した処理を、制御部10とキャリブレーション端末部30の間の処理シーケンスを参照しながら、まとめて説明する。
【0091】
図8は、制御部10とキャリブレーション端末部30の間の処理シーケンスを示す図である。キャリブレーション処理を開始する場合、制御部10は、まず初期化信号をキャリブレーション端末部30に対して送信する(S100)。これに対しキャリブレーション端末部30が応答する(S101)と、制御部10はキャリブレーション処理を開始する。
【0092】
ここで、基地局装置1は、時分割複信による通信を行っている。すなわち、上り信号(送受信部20−nが受信する信号)と下り信号(送受信部20−nが送信する信号)が、同じ周波数で交互に送受信される。これを利用し、制御部10は、送受信部20−nからキャリブレーション端末部30に対するキャリブレーション信号(上りキャリブレーション信号)の送出と同期し、キャリブレーション端末部30から送受信部20−nに対するキャリブレーション信号(下りキャリブレーション信号)の送出も行う。すなわち、これらを交互に送出する(S102)。
【0093】
全送受信部20−n(n≠1)について、S102の処理が完了すると、制御部10は受信キャリブレーションウエイトを取得する。また、キャリブレーション端末部30は送信キャリブレーションウエイトを取得するので、これを制御部10に対して送信する(S103)。制御部10は、取得した受信キャリブレーションウエイトと、受信した送信キャリブレーションウエイトと、に基づいてキャリブレーションウエイトを算出する。
【0094】
キャリブレーションウエイトが算出されると、制御部10は、FOMスタート指示信号をキャリブレーション端末部30に対して送信する(S104)。これに対しキャリブレーション端末部30が応答する(S105)と、制御部10はFOM処理を開始する。
【0095】
FOM処理において、制御部10は、ビームフォーミング信号とヌルフォーミング信号とを順次送信する(S106)。キャリブレーション端末部30はこれらを受信してFOMを算出し、その結果を制御部10に通知する(S107)。
【0096】
以上説明したように、基地局装置1によれば、基準送信系統(上記実施の形態では、送受信部20−1。)と他の送信系統(上記実施の形態では、送受信部20−1以外の送受信部20−n。)について同時にキャリブレーション信号を送出することができ、これらの間では同条件で送信系統特性データを算出できている可能性が高まる。このため、送信特性差データ算出部41により算出される送信特性差データは、これらの送信系統間の送信特性差を適切に示している可能性が高まり、結果として、送信キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性を低めることが実現される。
【0097】
また、基準送信系統と他の送信系統について同時に異なるキャリブレーション信号を送出するので、1台のキャリブレーション端末部30で受信するとしても、これらを分離受信することができるようになる。
【0098】
さらに、キャリブレーション信号の信号内容が異なることによる特性差があったとしても、その特性差に基づいて基準特性差データに基づいて補正することができる。
【0099】
また、所定サブチャネル内の異なるサブキャリア(1st binと2nd bin)を利用して、同時に各キャリブレーション信号を送出しているので、送信特性差データと基準特性差データが同条件で算出できている可能性が高まり、結果として、キャリブレーションウエイトに、送信系統間の相対的な送信特性差が適切に反映されない可能性をさらに低めることが実現される。
【0100】
さらに、順次下りキャリブレーション信号を送出している間に、受信系統特性データを取得することができる。すなわち、送信系統の数−1回分の受信系統特性データを取得することができるので、例えばこれらの平均値を使用するようにすることにより、受信キャリブレーションウエイトの精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態にかかる基地局装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の機能ブロックのうち、受信キャリブレーションウエイトの算出にかかる機能ブロックを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の機能ブロックのうち、送信キャリブレーションウエイトの算出にかかる機能ブロックを示す図である。
【図4】直交波周波数分割多重を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる送信キャリブレーションウエイトの算出において、キャリブレーション端末部が取得するCP付PN信号を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる送信キャリブレーションウエイト算出に関し、基地局装置の処理のフローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の機能ブロックのうち、FOM処理にかかる機能ブロックを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる制御部とキャリブレーション端末部の間の処理シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0102】
1 基地局装置、10 制御部、11 受信系統特性データ取得部、12 受信キャリブレーションウエイト算出部、13 キャリブレーションウエイト算出部、14 PN(A)生成部、15 PN(B)生成部、16 送信系統選択部、17 PN生成部、18 ウエイト決定部、19 FOM結果取得部、20 送受信部、21,36 CP除去部、22,26,32,37 S/P変換部、23,38 フーリエ変換部、24,39 チャネル選択部、25 重畳部、27,33 逆フーリエ変換部、28,34 P/S変換部、29,35 CP付加部、30 キャリブレーション端末部、31 PN生成部、40 送信系統特性データ取得部、41 送信特性差データ算出部、42 基準特性差データ算出部、43 補正部、44 送信キャリブレーションウエイト算出部、45 RSSI算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプティブアレイアンテナを有する通信装置であって、
前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうちのひとつを基準送信系統とし、
前記基準送信系統に対しキャリブレーション信号を送出するとともに、他の送信系統に対しキャリブレーション信号を送出する送信系統送出手段と、
前記送信系統送出手段により前記基準送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す基準送信系統特性データを取得する基準送信系統特性データ取得手段と、
前記送信系統送出手段により前記他の送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを取得する送信系統特性データ取得手段と、
前記基準送信系統特性データ取得手段により取得される基準送信系統特性データと、前記送信系統特性データ取得手段により取得される送信系統特性データと、に基づいて、前記基準送信系統と前記他の送信系統の送信特性差を示す送信特性差データを取得する送信特性差データ取得手段と、
前記複数の送信系統のうち、前記基準送信系統以外の送信系統のそれぞれについて前記送信特性差データ取得手段により取得される送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する送信キャリブレーションウエイト算出手段と、
を含むことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記送信系統送出手段は、前記基準送信系統に対しては第1のキャリブレーション信号を送出し、他の送信系統に対しては前記第1のキャリブレーション信号とは信号内容が異なる第2のキャリブレーション信号を送出する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、
前記基準送信系統に対し前記第1のキャリブレーション信号と前記第2のキャリブレーション信号を重畳して送出する重畳送信系統送出手段と、
前記重畳送信系統送出手段により前記基準送信系統に対して送出された前記第1のキャリブレーション信号及び前記第2のキャリブレーション信号の特性差を示す基準特性差データを取得する基準特性差データ取得手段と、
前記基準特性差データ取得手段により取得される基準特性差データに基づいて、前記送信特性差データ取得手段により取得される送信特性差データを補正する補正手段と、
を含み、
前記送信キャリブレーションウエイト算出手段は、前記補正手段による補正後の前記送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
当該通信装置は直交波周波数分割多重による通信を行い、
前記重畳送信系統送出手段は、所定サブチャネル内の所定の1又は複数のサブキャリアにて前記送出を行い、
前記送信系統送出手段は、前記所定サブチャネル内の前記所定の1又は複数のサブキャリア以外のサブキャリアにて、前記重畳送信系統送出手段による前記送出と同期して前記送出を行う、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記送信系統送出手段は、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうち前記基準送信系統以外の各送信系統に対し順次、前記基準送信系統に対して送出するキャリブレーション信号とともに、キャリブレーション信号を送出し、
当該通信装置は、
前記送信系統送出手段による送出と同期し、前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する受信系統のうちの全部又は一部に対し、キャリブレーション信号を送出する受信系統送出手段と、
前記受信系統送出手段により前記受信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す受信系統特性データを取得する受信系統特性データ取得手段と、
前記受信系統特性データ取得手段により取得される受信系統特性データに基づき、受信キャリブレーションウエイトを算出する受信キャリブレーションウエイト算出手段と、
をさらに含むことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
アダプティブアレイアンテナを有する通信装置において送信キャリブレーションウエイトを算出するための送信キャリブレーションウエイト算出方法であって、
前記アダプティブアレイアンテナを構成する複数のアンテナそれぞれに対応する送信系統のうちのひとつを基準送信系統とし、
前記基準送信系統に対しキャリブレーション信号を送出するとともに、他の送信系統に対しキャリブレーション信号を送出する送信系統送出ステップと、
前記送信系統送出ステップにおいて前記基準送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す基準送信系統特性データを取得する基準送信系統特性データ取得ステップと、
前記送信系統送出ステップにおいて前記他の送信系統に対して送出されたキャリブレーション信号について、その特性を示す送信系統特性データを取得する送信系統特性データ取得ステップと、
前記基準送信系統特性データ取得ステップにおいて取得される基準送信系統特性データと、前記送信系統特性データ取得ステップにおいて取得される送信系統特性データと、に基づいて、前記基準送信系統と前記他の送信系統の送信特性差を示す送信特性差データを取得する送信特性差データ取得ステップと、
前記複数のアンテナのうち、前記基準送信系統以外の送信系統のそれぞれについて前記送信特性差データ取得ステップにおいて取得される送信特性差データに基づき、送信キャリブレーションウエイトを算出する送信キャリブレーションウエイト算出ステップと、
を含むことを特徴とする送信キャリブレーションウエイト算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−295314(P2007−295314A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121347(P2006−121347)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】