説明

通信装置及び通信装置の制御方法

【課題】携帯電話が圏外のエリアに移動通信装置がある場合には、サブ通信部のオンオフの制御ができない。
【解決手段】携帯無線端末101は、基地局と通信するメイン通信部102と、アクセスポイントと通信するサブ通信部103と、サブ通信部103がアクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの少なくとも一部を通信可能範囲に含む第1基地局に関する情報を学習リストとして記憶するメモリ105と、オンオフ制御情報に基づき前記サブ通信部のオンオフを制御する制御部104とを有する。学習リストは、基地局の通信可能範囲外であるアクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は隣接するエリアを通信可能範囲内とする第2基地局に関する情報を有する。制御部104は、第1基地局又は第2基地に関する情報に基づき、サブ通信部103のオンオフを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信方式により通信可能な通信手段を具備する通信装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワイヤレスコネクティビティ向上のため、無線LAN等を利用したサブ通信方法を有する携帯無線端末がある。屋外では携帯電話を用いた通信、自宅など屋内においては無線LANを利用した通信とする利用シーンが考えられる。また、その切り替えはシームレスに行われることが望ましい。
【0003】
このようなシームレスな切り替えは、屋外でメイン通信部である携帯電話を利用している場合においても、サブ通信部を定期的に動作させ、無線LANビーコン等、サブ通信部の通信に必要な信号の検出動作を行うことにより実現可能である。しかしながら、サブ通信部を定期的に動作させた場合、消費電力が増加することとなる。そのため、屋外など無線LANアクセスポイントが設置されていないような状況下においては、サブ通信部の動作を可能な限り抑制することが重要となる。
【0004】
このような携帯無線端末においてはセルラ通信に用いられる基地局の基地局情報を用いてローカル無線送受信処理装置等のサブ通信部の起動及びアクセス制御を行う方法が特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1では、このセルラ通信に用いられる基地局装置の識別情報と当該基地局装置から送信される信号の受信電力情報とを「基地局情報」としてローカル無線送受信装置のチャンネル情報などの「アクセスポイント情報」と対応させて携帯無線端末に記憶させ、サブ通信部を起動制御する場合にはそのとき得られた基地局情報をもとにサブ通信部の通信可能な範囲内であるかどうかを判断し、サブ通信部の起動制御およびアクセス制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−60742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、携帯無線端末においてサブ通信部の制御を行う場合に、基地局情報をサブ通信部の検索処理開始条件としている。そのため、セルラ通信装置のアクセス可能範囲内に当該携帯無線端末がない場合には、サブ通信部の制御を行えないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通信装置は、基地局と通信するメイン通信部と、アクセスポイントと通信するサブ通信部と、前記サブ通信部が前記アクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの少なくとも一部を通信可能範囲に含む第1基地局に関する情報をオンオフ制御情報として記憶する記憶部と、前記オンオフ制御情報に基づき前記サブ通信部のオンオフを制御する制御部とを有し、前記オンオフ制御情報は、前記基地局の通信可能範囲外である前記アクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は隣接するエリアを通信可能範囲内とする通信可能範囲内とする第2基地局に関する情報を有し、前記制御部は、前記第1基地局又は前記第2基地局に関する情報に基づき、前記サブ通信部のオンオフを制御するものである。
【0009】
本発明においては、アクセスポイントが通信可能な第1エリアが基地局の基地局圏外である場合、当該第1エリアに隣接する、又は最も近い第2エリアを基地局圏内とする第2基地局の情報をサブ通信部のオンオフ制御情報として用いるため、当該第1エリアがメイン通信部の圏外であってもサブ通信部のオンオフ制御を行うことができる。なお、サブ通信部のオンオフを制御するとは、具体的には、学習リストの情報を基に、サブ通信部装置に対し、その通信に必要な信号の検出動作を開始させる又は開始させないよう制御することを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より適切にサブ通信部のオンオフを制御することにより、消費電力の低減を図った通信装置及びその通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態にかかる通信システムを表す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる通信装置が使用する学習リストを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の通信装置におけるアクセスポイント登録処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1の通信装置における学習処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1の通信装置におけるアクセスポイント検出処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)乃至(c)は夫々本発明の各実施の形態(a)乃至(c)にかかるサブ通信部の無線LAN(局所無線通信)及びメイン通信部の携帯電話網(広域無線通信)のセルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信システムを示す図である。図1に示すように本実施の形態にかかる通信システムは、携帯電話基地局SB1、SB2と、無線LANアクセスポイントAPと、携帯無線端末101とを有する。
【0013】
携帯電話基地局SB1、SB2は、携帯無線端末101と無線通信するための無線基地局である。この携帯電話基地局SB1、SB2は携帯無線端末101と無線通信により情報を送受信する。以下の説明においては、携帯電話基地局が通信可能なエリアを基地局圏内という。
【0014】
無線LANアクセスポイントAPは局所無線通信を行うための通信装置であり、例えばIEEE802.11諸規格に準拠した機器で構成され、無線LAN接続機能を有する装置と無線通信を行う。
【0015】
ここで本実施の形態における携帯無線端末101は、メイン通信部102とサブ通信部103と、制御部104と、メモリ105とを有する。
【0016】
メイン通信部102は、移動体通信用の無線通信デバイスなどから構成され、携帯電話基地局SB1やSB2等の携帯電話基地局と通信する。メイン通信部102と通信可能な基地局情報が変更になった場合、すなわち携帯無線端末101が一の基地局圏内から他の基地局圏内に移動した場合と、圏外エリアからある基地局の基地局圏内に移動した場合に、現在の基地局の情報を制御部104に通知する。
【0017】
サブ通信部103は、無線LANアクセスポイントAP等の無線LANアクセスポイントと通信する。また、通信可能か否かを検出し、検出結果を制御部104に通知する。
【0018】
メモリ105は、サブ通信部が前記アクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの少なくとも一部を通信可能範囲に含む第1基地局に関する情報をオンオフ制御情報(以下、学習リストという。)として記憶する記憶部である。
【0019】
制御部104は、学習リストを参照し、メイン通信部102及びサブ通信部103を制御したり、メモリ105の学習リストを更新したりする。ここで、本実施の形態にかかる制御部104は、学習リストに基づきサブ通信部103のオンオフを制御する。学習リストは上述の第1基地局情報の他、基地局の通信可能範囲外であるアクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は、基地局の通信可能範囲外であるアクセスポイント圏内エリアに隣接するエリアを基地局圏内とする第2基地局の情報を有する。そして、制御部104は、これらの第1基地局又は第2基地局の情報に基づき、サブ通信部103のオンオフを制御する。このことにより、従来制御不能であった、携帯電話基地局の基地局圏外であって、LANアクセスポイントとは通信可能なエリアにおいても、サブ通信部を制御することができる。なお、サブ通信部103のオンオフ制御方法についての詳細は後述する。
【0020】
先ず、学習リストについて説明する。図2は、学習リストを示す図である。学習リストは基地局情報とアクセスポイント情報とが対応して記録される。基地局情報とは、メイン通信部が通信する基地局から送信された基地局を識別する識別情報である。基地局識別情報が登録されている基地局の基地局圏内に携帯無線端末101が入ると、制御部104はサブ通信部103の電源をオンして、サブ通信部103にアクセスポイントの検出を行わせる。つまり、サブ通信部103をオンとすべきエリアを通信可能範囲内とする携帯電話基地局の識別情報が学習リストに登録される。なお、基地局情報としては、基地局の識別情報だけではなく、基地局からの受信電波の強さの平均などの、基地局に関する情報を用いることもできる。
【0021】
アクセスポイント情報は、無線LANアクセスポイントとサブ通信部との間の受信レベルを示すもので、例えば、"高"及び"低"を含む。なお、本実施の形態においては、学習リストはアクセスポイント情報を含むものとして説明するが、アクセスポイント情報がなくても、従来制御不能であった、携帯電話基地局の基地局圏外であって、LANアクセスポイントとは通信可能なエリアにおいても、サブ通信部を制御することができる。
【0022】
ここで、本実施の形態においては、ある携帯電話基地局の基地局圏内にアクセスポイントがある場合、学習リストには、その際に通信している携帯電話基地局の基地局情報と共にアクセスポイント情報として"高"が記憶される。本明細書においては、このようにサブ通信部がアクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの一部又は全部を通信可能範囲に含む基地局のことを第1基地局という。すなわち、学習リストに登録されている基地局のうち、第1基地局のアクセスポイント情報には"高"が登録される。そして、アクセスポイント情報が"高"の場合、制御部104は、サブ通信部103をオンしてアクセスポイントを検出する際の検出頻度を高くする。これは、第1基地局の基地局圏内にはアクセスポイントの圏内エリアを含むため、携帯無線端末101が第1基地局の基地局圏内にある場合、アクセスポイントと通信することができる蓋然性が高いためである。これにより、サブ通信部103を頻繁にオンしてアクセスポイントを検出するためである。
【0023】
一方、アクセスポイントがあるエリアが建物の構造上などの理由で携帯電話基地局の基地局圏外となる場合がある。ただし、基地局圏外のエリアであっても、LANアクセスポイント圏内であれば、サブ通信部のオンオフ制御を行う必要がある場合がある。そこで、本明細書においては、LANアクセスポイント圏内であるが基地局圏外であるようなエリアに隣接するか、またはもっとも近いエリアを基地局圏内とする基地局を第2基地局という。そして、この第2基地局の情報を、サブ通信部103のオンオフに使用する。これにより、従来は、基地局圏外であって、アクセスポイント圏内であるエリアにおいて、サブ通信部103のオンオフを、携帯基地局識別情報により制御することができなかったのに対し、第2基地局情報を使用することにより、基地局圏外であるがアクセスポイント圏内であるエリアにおいても、サブ通信部103のオンオフを制御することができる。
【0024】
なお、この通信可能範囲外であるアクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は隣接するエリアとは、後述する図6(b)に示すように、基地局エリア204aの中にLANアクセスポイントAPの第1エリア201があり、更に、このエリア201の一部が基地局SB3aの圏外になっている場合のエリア204aも含む。
【0025】
ここで、本実施の形態においては、第2基地局情報に対応して登録されるアクセスポイント情報を"低"とする。そして、アクセスポイント情報が"低"の場合、制御部104は、サブ通信部103をオンしてアクセスポイントを検出する際の検出頻度を低く設定する。これは、第2基地局基地局圏内には、アクセスポイントを含まないので、サブ通信部103のオンをできるだけ抑制して消費電力の無駄を省くためである。携帯無線端末101が第2基地局の基地局圏内にある場合、LANアクセスポイントは当該エリアには含まれないものの、LANアクセスポイントがその近くにあると推定し、サブ通信部103を定期的にオンしてアクセスポイントを検出する。ただし、第2基地局圏内においては、上述の"高"の場合よりは、アクセスポイントを検出できる蓋然性が低いため、サブ通信部103のオンタイミングの頻度を下げ、消費電力の低減を図る。
【0026】
なお、本実施の形態においては、アクセスポイント情報を2種類設定するものして説明するが、上述したようにアクセスポイント情報を設定しなくともよい。また、その他の条件に応じてアクセスポイント情報を異ならせ、サブ通信部103のオンタイミングの頻度を調整するようにしてもよい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態にかかる携帯無線端末101の動作について説明する。携帯無線端末101は、先ず、無線LANアクセスポイントを登録するアクセスポイント登録処理を行う。次に、無線LANアクセスポイントと携帯電話基地局との通信状態を学習する学習処理を行う。その後、無線LANアクセスポイントと通信が可か否かを判断するアクセスポイント検出処理を行う。
【0028】
先ず、アクセスポイント登録処理について説明する。図3は、アクセスポイント登録処理を示すフローチャートである。図3に示すように、制御部104はユーザ等、外部からの指示によりアクセスポイント登録処理を開始する。先ず、制御部104は、サブ通信部103をオンする(ステップS1001)。次に、サブ通信部103がアクセスポイントと通信可能なエリアであるか判定する(ステップS1002)。サブ通信部がアクセスポイントと通信可能なエリアでなかった場合には(ステップS1002:No)、サブ通信部をオフして処理を終了する(ステップS1006)。
【0029】
一方、サブ通信部103が通信可能である場合(ステップS1002:Yes)、当該エリアが携帯電話基地局の基地局圏内であるかどうか判断する(ステップS1003)。基地局の基地局圏内である場合(ステップS1003:Yes)は、メイン通信部102から基地局情報を取得し、学習リストを生成する(ステップS1004)。具体的には、基地局情報として基地局の識別情報を登録し、かつ、当該基地局の基地局圏内にアクセスポイントが存在するため、上述したように、アクセスポイント情報として"高"を登録する。これにより、当該基地局の基地局圏内に携帯無線端末101が移動すると、アクセスポイント情報"高"であるので、比較的高い頻度でアクセスポイントの検出を行うこととなる。そして、学習リスト作成の後、学習動作を開始する(ステップS1005)。
【0030】
また、当該エリアが携帯電話基地局の基地局圏内でない場合(ステップS1003:No)、学習リストは生成せず、学習処理を開始する(ステップS1005)。
【0031】
次に、学習処理について説明する。図4は、本実施の形態の携帯無線端末における学習処理を示すフローチャートである。携帯無線端末101が、ある携帯電話基地局のエリアを出て、他の携帯電話基地局エリアに入ると、制御部104は、携帯電話基地局が変更になったことを知らせる通知をメイン通信部から受け取る(ステップS2001:Yes)。次に、制御部104は、サブ通信部103をオンし、LANアクセスポイントと通信可能か否かを判定する(ステップS2002)。アクセスポイント基地局圏内だった場合(ステップS2002:Yes)、学習リストに現在の携帯電話基地局の識別情報を追加する(ステップS2003)。この場合、当該基地局のエリア内にアクセスポイントがあるので、基地局識別情報を登録すると共に、アクセスポイント情報として"高"を登録する。
【0032】
一方、アクセスポイント基地局圏内ではない場合(ステップS2002:No)、アクセスポイント登録処理以降、学習リストが一度も更新されているか否かを確認する(ステップS2004)。学習リストの更新が一度もない場合(ステップS2004:Yes)、当該エリアは、無線LANのアクセスポイントと通信可能ではないが、この基地局の情報を学習リストに追加する(ステップS2005)。ここで、この場合のアクセスポイント情報は、上述したように、"低"として登録する。
【0033】
アクセスポイント登録処理以降に学習リストが更新されていた場合には(ステップS2004:No)、基地局情報を追加しない。次に、制御部104はサブ通信部103をオフし(ステップS2006)、学習動作を終了する(ステップS2007)。学習動作を終了したら、次に説明するアクセスポイント検出動作を開始する(ステップS2008)。
【0034】
次に、アクセスポイント検出処理について説明する。図5は、本実施の形態の携帯無線端末におけるアクセスポイント検出処理を示すフローチャートである。携帯無線端末101がエリアの移動を検出すると、アクセスポイント検出処理を開始する。先ず、制御部104は、先ず、現在のエリアを基地局圏内とする基地局情報が学習リスト内の基地局情報に存在するか否かを判定する(ステップS3001)。現在の基地局の情報が学習リストに登録されている場合は(ステップS3001:Yes)、サブ通信部103をオンして(ステップS3002)、アクセスポイントを検出する。ここで、アクセスポイントを検出したら(ステップS3004:Yes)アクセスポイント検出処理を終了する(ステップS3005)。一方、アクセスポイントを検出できなかった場合、一定時間、サブ通信部103をオフし(ステップS3003)、再び、アクセスポイントと通信できるか否かを確かめる(ステップS3004)。
【0035】
ここで、上述したように、本実施の形態においては、学習リストには、基地局情報に加えて、アクセスポイント情報が登録されている。したがって、このアクセスポイント情報が"高"の場合は、サブ通信部103を頻繁にオンし、一方、アクセスポイント情報が"低"の場合、上記"高"の場合より、サブ通信部103のオンするタイミングの間隔を大きく取ることで、消費電力を抑制することができる。そして、アクセスポイント検出処理が終了したら(ステップS3005)、再び、上述の学習処理を開始する(ステップS3006)。
【0036】
一方、現在のエリアの基地局の識別情報が学習リストに登録されていない場合(ステップS3001:No)、サブ通信処理をオフして処理を修了する(ステップS3007)。このアクセスポイント検出処理は、以降、携帯電話基地局のエリアが変更になる毎に実行するものとする。
【0037】
次に、本実施の形態にかかる通信システムの具体的な動作について説明する。上述したように、LANアクセスポイントと通信可能なエリア(アクセスポイント圏内エリア)は、携帯電話基地局の基地局圏内である場合と、圏外である場合がある。そこで、ここでは、アクセスポイント圏内エリアがこれら2つのいずれかである場合について説明する。図6(a)は、アクセスポイント圏内エリアが携帯電話の基地局圏内である場合、図6(b)及び(c)は、アクセスポイント圏内エリアが携帯基地局圏外である場合を示す図である。
【0038】
図6(a)に示す例では、エリア201がアクセスポイントと通信可能なエリアを示し、エリア202、203が、携帯電話が基地局圏内であるエリアを示す。エリア201が、LANアクセスポイントAPと通信可能なエリアであり、エリア202は、携帯電話基地局SB1の基地局圏内エリアであり、エリア203は、携帯電話基地局SB2の基地局圏内エリアである。また、エリア202内には、LANアクセスポイントAPがある。
【0039】
また、図6(b)及び(c)に示す例では、携帯電話基地局SB3aの基地局圏内エリア204a、携帯電話基地局SB3bの基地局圏内エリア204bを示す。基地局圏内エリア204bの一部は基地局圏外であり、そのエリアをエリア205a、205bとする。なお、エリア205aは、エリア201より小さく、エリア205bは、エリア201より大きい。
【0040】
先ず、図6(a)の場合の動作について説明する。例えばユーザは、エリア202にてアクセスポイント登録処理を実行させる。図3に示すように、先ず、制御部104はユーザから入力されたアクセスポイント登録制御信号を受け取ると、サブ通信部103を起動させる(ステップS1001)。サブ通信部103は、アクセスポイントと通信可能か検出し、ここでは、アクセスポイントAPを検出する。したがって、この基地局SB1の情報を使用して学習リストを生成する。携帯電話基地局圏内にアクセスポイントが存在するため、アクセスポイント情報は、"高"とする(ステップS1004)。そして、学習処理を開始する(ステップS1005)。
【0041】
次に、学習処理を実行する。ユーザが移動し、エリア202からエリア203に移動した場合について説明する。図4に示すように、制御部104は、移動ありを検出する(ステップS2001)。サブ通信部103をオンしてアクセスポイントと通信可能か判定する(ステップS2002)。ここでは、アクセスポイントを検出できないため、ステップS2004に進む。そして、上記ステップ1004で学習リストを生成しているため、ステップS2006に進み、サブ通信部103をオフし、学習処理を終了する(ステップS2007)。次に、アクセスポイント検出処理を実行する(ステップS2008)。
【0042】
次に、携帯無線端末101が、エリア203から再び202に戻ってきた場合の動作について説明する。エリアが変更になるので、アクセスポイント検出処理を開始する。先ず、携帯無線端末101の制御部104は、メイン通信部102からの基地局変更通知を受けると、メイン通信部102から現在の基地局情報を取得し、メモリ105の学習リストに当該基地局情報が登録されているか否かを確認する(ステップS3001)。ここでは、基地局SB1が学習リストに登録されているため、サブ通信部103をオンして(ステップS3002)、アクセスポイントを検出する(ステップS3004)。ここで、アクセスポイントAPを検出できない場合、学習リストのアクセスポイント情報に従い、サブ通信部103を適宜オンしてアクセスポイントAPを検出するまで処理を繰り返す。基地局SB1におけるアクセスポイント情報は、"高"であるので、高頻度でサブ通信部103のオンオフを制御する。アクセスポイントAPを検出したら学習処理を行い(ステップS3006)、再びエリアの移動のタイミングでアクセスポイント検出処理を実行する。なお、制御部104はアクセスポイントAPを検出するまで適宜サブ通信部103をオンして処理を繰り返すが、携帯無線端末101がエリア202からエリア203に移動した場合には、エリアが変更となるためアクセスポイント検出処理を開始する。ここで移動先のエリアが学習リストに登録されていなければサブ通信部103をオフして(S3007)処理を終了する。
【0043】
次に、図6(b)の場合の動作について説明する。ユーザがエリア205a内、又はエリア205b内であってエリア201内にいる場合、すなわち、無線LANアクセスポイントAPと通信可能であって、かつ当該エリア201が携帯電話圏外のエリアにいる場合に、アクセスポイント登録処理を起動させたとする。この場合、サブ通信部103は、アクセスポイントAPと通信可能であるが、通信可能範囲であるので、ステップS1003からステップS1005に進む。学習リストは生成されない。
【0044】
次いで、学習動作を開始する。ユーザが移動し、基地局SB3の圏外であるエリア204a、204bに移動すると、ステップS2001で移動ありと判定される。そして、サブ通信部103がアクセスポイントAPと通信可能か否かが判定され、ここでは通信不能であるので、ステップS2004に進む。そして、アクセスポイント登録処理以降、学習リストは更新されていないため、ステップS2005に進み、基地局SB3の識別情報を学習リストに登録する。ここで、当該エリアは、アクセスポイントAPと通信不能なエリアであるので、アクセスポイント情報として"低"を登録する。そして、アクセスポイント検出処理に進む(ステップS2008)。
【0045】
次に、ユーザがエリア203に移動すると、エリアが変更になるので、アクセスポイント検出処理を開始する。当該エリア203が学習リストにあるか否か判定され(ステップS3001)、学習リストに基地局SB2の情報はないので、処理を終了する。そして、ユーザが再びエリア204a、204bに移動すると、エリアが変更になるので、再びアクセスポイント検出処理を開始する。そして、当該エリアが学習リストにあるか否かチェックされ(ステップS3001)、学習リストに登録されているので、サブ通信部103をオンしてアクセスポイントと通信可能かチェックする(ステップS3004)。ここで、当該エリア204a、204bはLANアクセスポイントと通信可能なアクセスポイント圏内エリア201を含まない、又は一部圏外のエリア205aを有し、当該エリア205aがアクセスポイント圏内エリア201を含む。このため、基地局SB3a、SB3bと共に保存されているアクセスポイント情報は、"低"となっている。このため、制御部104は、サブ通信部103の起動タイミングの間隔を取ることで、消費電力の低減を図る。ここで、携帯無線端末101が圏外となるエリア205a、205bに移動しても、本実施の形態においては、引き続きサブ通信部103は制御部104によって定期的にオンされる。そして、エリア205a、205b(ただし、エリア201内)では、アクセスポイントAPと通信可能であることを検出することができる。
【0046】
本実施の形態においては、メイン通信部102が通信不能である携帯電話圏外のエリアを含むような場合でも、サブ通信部103を適切にオンし、無線LANアクセスポイントと通信可能か検出させることができる。このような圏外であっても、LANアクセスポイントの通信可能範囲であるような領域ではサブ通信部をオンし、LANアクセスポイントが存在しないようなエリアでは、サブ通信部をオフしておくことで、サブ通信部のオンオフ制御を適切に行うことができ、携帯無線端末の消費電力を抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態においては、基地局情報と対応づけて、LANアクセスポイントと通信が可能となる蓋然性の大きさに応じたアクセスポイント情報を保持する。そして、当該蓋然性の大きさに応じてサブ通信部をオンオフすることで、更に消費電力の低減を図ることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、メイン通信部が通信可能な基地局が複数存在し、基地局情報が複数の基地局から同時に受信可能であったり、当該携帯無線端末がサブ通信部を複数有するものとしてもよい。また、学習リストを参照して、サブ通信部のオンオフを制御できれば、携帯無線端末は、図1に示す構成でなくともよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
101 携帯無線端末
102 メイン通信部
103 サブ通信部
104 制御部
105 メモリ
SB1、SB2、SB3a、SB3b 基地局
AP アクセスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と通信するメイン通信部と、
アクセスポイントと通信するサブ通信部と、
前記サブ通信部が前記アクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの少なくとも一部を通信可能範囲に含む第1基地局に関する情報をオンオフ制御情報として記憶する記憶部と、
前記オンオフ制御情報に基づき前記サブ通信部のオンオフを制御する制御部とを有し、
前記オンオフ制御情報は、前記基地局の通信可能範囲外である前記アクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は隣接するエリアを通信可能範囲内とする第2基地局に関する情報を有し、
前記制御部は、前記第1基地局又は前記第2基地局に関する情報に基づき、前記サブ通信部のオンオフを制御する通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、学習動作により前記第2基地局の情報を前記オンオフ制御情報に登録することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、外部からの指示により登録動作を実行後、前記学習動作を実行し、
前記登録動作では、前記制御部は、前記サブ通信部をオンして現在のエリアが前記アクセスポイント圏内エリアであるか否かを判定し、前記アクセスポイント圏内エリアである場合は前記メイン通信部に基地局情報を要請し、前記第1基地局が存在する場合に当該第1基地局の情報を前記オンオフ制御情報に登録することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記登録動作において前記第1基地局が存在しない場合の後の前記学習動作において、前記制御部は、前記基地局が変更になったことを知らせる前記メイン通信部からの通知を受け取ると、前記サブ通信部により現在のエリアが前記アクセスポイント圏内エリアであるか否かを判定し、前記アクセスポイント圏内エリアではなく、かつ前記オンオフ制御情報の更新が一度もされていない場合、当該基地局の情報を前記第2基地局の情報として前記オンオフ制御情報に登録することを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
前記メイン通信部は、一の基地局の通信可能範囲内から他の基地局の通信可能なエリアに移動した場合、及び圏外エリアからある基地局の通信可能範囲内に移動した場合に前記基地局の変更を通知することを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記学習動作を実行後、アクセスポイント検出動作を実行し、
前記アクセスポイント検出動作では、前記制御部は、
前記基地局が変更になったことを知らせる通知を前記メイン通信部から受け取ると、現在のエリアを通信可能範囲内とする基地局の情報が前記オンオフ制御情報に含まれるか否かを判定し、
当該基地局の情報が前記オンオフ制御情報に含まれる場合は、前記サブ通信部をオンして前記アクセスポイントを検索し、アクセスポイントを検出したら当該検出動作を終了し、
前記基地局の情報が前記オンオフ制御情報に含まれない場合は、当該検出動作を終了することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記アクセスポイント検出動作において、前記基地局の情報が前記オンオフ制御情報に含まれる場合に、前記サブ通信部をオンして前記アクセスポイントを検索し、検出したら当該検出動作を終了し、前記学習動作を開始することを特徴とする請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1基地局の情報を登録する際、前記サブ通信部から当該サブ通信部の当該エリアにおける受信レベルを受信レベル情報として取得し前記第1基地局の情報と共に登録することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1基地局の情報を登録する際、前記サブ通信部から当該サブ通信部の当該エリアにおける受信レベルを受信レベル情報として取得し前記第1基地局の情報と共に登録し、
前記アクセスポイント検出動作において、当該基地局の情報が前記オンオフ制御情報に含まれる場合に前記サブ通信部をオンして前記アクセスポイントを検索する際、前記受信レベル情報が示す受信レベルに応じて、前記アクセスポイントを検索する頻度を調整することを特徴とする請求項6記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記受信レベルが高い場合は前記アクセスポイントを検索する頻度を、前記受信レベルが低い場合の前記アクセスポイントを検索する頻度より高くすることを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2基地局の情報と共に登録する前記受信レベル情報のレベルを、前記第1基地局の情報と共に登録する前記受信レベル情報のレベルより低く設定することを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項12】
基地局と通信するメイン通信部と、アクセスポイントと通信するサブ通信部とを有する通信装置の制御方法であって、
前記サブ通信部が前記アクセスポイントと通信が可能なアクセスポイント圏内エリアの少なくとも一部を通信可能範囲に含む第1基地局の情報と、前記オンオフ制御情報は、前記基地局の通信可能範囲外である前記アクセスポイント圏内エリアに最も近い、又は隣接するエリアを通信可能範囲内とする第2基地局の情報とを有するオンオフ制御情報に基づき、前記サブ通信部のオンオフを制御する通信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−9913(P2011−9913A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149611(P2009−149611)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】