説明

通信装置

【課題】 通話の保留時に電話回線を介して遠隔の通信装置に送出する保留音と、自らの通信装置で聴きたい保留音とを異ならせることのできる通信装置を提供する。
【解決手段】 通信回線を介して遠隔の通信装置との間でデータ通信及び通話が可能な通信装置であって、遠隔の通信装置との通話中に利用者が保留キーを押下することで通話が保留状態に移行されたとき、通信用モデムは第1の保留音信号を発生して通信回線に送出するとともに、ビープ音発生回路は第2の保留音信号を発生して通信装置内の増幅器へと送出する。そして、第2の保留音信号は増幅器により増幅され、通信装置内のスピーカから第2の保留音として出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話機能及びファクシミリ通信等のデータ通信機能を備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置本体部内にメロディ発生回路と通信用モデムとを備え、遠隔の通信装置との間で電話回線を介して通話及びファクシミリ通信が可能な通信装置が多々案出されている。例えば、特許文献1にはそのようなファクシミリ装置が具体的に記載されている。まずこの特許文献1の「従来の技術」に記載されているファクシミリ装置は、図9に示すように、ファクシミリ通信を行うための通信用モデム201と、専用のメロディ発生回路202と、通信用モデム201が生成したファクシミリ信号及びメロディ発生回路202が生成したメロディ信号を選択的に取り込む加算器203と、電話回線204の接続をライントランス209側又は電話機205側に選択的に切り替える第1のリレー206と、加算器203の出力を、このファクシミリ装置本体が有するスピーカ212の増幅回路211に選択的に出力可能にする第2のリレー210と、このファクシミリ装置の各回路を制御する制御部207と、操作パネル208とを備えている。そして、更に、このファクシミリ装置は、外付け電話機205を接続可能に構成されている。このファクシミリ装置によれば、利用者が外付け電話機205の受話器を用いて通話をしている最中に操作パネル208上の保留ボタンを押下して通話を保留にすると、制御部207が作動してメロディ発生回路202にメロディ信号を発生させる。そして制御部207が第1のリレー206を外付け電話機205側からライントランス209側へと切り替えることで電話回線204がライントランス209側に接続されると共に、第2のリレー210が閉状態とされる。従って、メロディ発生回路202が生成したメロディ信号は加算器203、ライントランス209、第1のリレー206を経由して電話回線204へと送出されるため、遠隔の通信装置のスピーカからはメロディ信号に基づく保留音(保留メロディ)が出力される。また、メロディ発生回路202が生成したメロディ信号は加算器203、第2のリレー210を経由して増幅回路211へと送出され、更にスピーカ212からメロディ信号に基づく保留音(保留メロディ)が出力されるのである。
【0003】
しかし、この従来の技術に記載されているファクシミリ装置では、専用のメロディ発生回路102を用いているため、このメロディ発生回路102を収納するスペースを装置本体内に確保しなければならない上、コストも増加するという問題点があった。
【0004】
そこで、この従来のファクシミリ装置の問題点を解決するために、この特許文献1に記載された、発明としてのファクシミリ装置では、図10に示すように、通信用モデム231によりメロディ信号を発生させることによりメロディ発生回路を無くすことが記載されている。このファクシミリ装置は、ファクシミリ通信を行うとともにメロディ信号を発生するための通信用モデム231と、電話回線242の接続をライントランス233側又は電話機243側に選択的に切り替える第3のリレー234と、通信用モデム231の出力を装置本体230が有するスピーカ235の増幅回路236に選択的に出力可能にする第4のリレー237と、このファクシミリ装置の各回路を制御する制御部232と、操作パネル241とを備えている。このファクシミリ装置によれば、利用者が外付け電話機243の受話器を用いて通話をしている最中に操作パネル241上の保留ボタンを押下して通話を保留にすると、制御回路232が第3のリレー234を切り替えることで電話回線242は電話機243側からライントランス233側へと切替接続される。そして通信用モデム231で発生されたメロディ信号(単一周波数信号fN)は、第3のリレー234及び電話回線242を介して遠隔の通信装置へと送出されるため、遠隔の通信装置のスピーカからはメロディ信号に基づく保留音(保留メロディ)が出力される。このとき、第4のリレー237が制御回路232によりON状態にされていれば、メロディ信号は、第4のリレー237を介して増幅回路236へと送出され、このメロディ信号に基づく保留音(保留メロディ)は装置本体230のスピーカ235からも出力されるのである。
【0005】
【特許文献1】特公平6−38622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているファクシミリ装置では、何れのファクシミリ装置であっても、同一のメロディ信号が、電話回線を介して遠隔の通信装置へも自らのスピーカの増幅回路へも送出されるので、利用者が遠隔の通信装置に送出したい保留音(保留メロディ)と自らの聴きたい保留音(保留メロディ)とをそれぞれ異なる保留音にすることができないという問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、通話の保留時に電話回線を介して遠隔の通信装置に送出する保留音と、自らの通信装置で聴きたい保留音とを異ならせることができ、更にはリレーを少なくすることで制御の容易な通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、通信回線を介して遠隔の通信装置との間でデータ通信及び通話が可能であり、遠隔の通信装置との通話中に、通信回線を開放することなくその通話を保留状態に移行させる保留移行手段とを備えた通信装置であって、前記保留移行手段によって当該装置が保留状態に移行されたときに第1の保留音信号を発生して前記通信回線に送出可能であるとともに、遠隔の通信装置との間でデータ通信を実行可能な通信用モデムと、前記保留移行手段によって当該装置が保留状態に移行されたときに第2の保留音信号を発生可能な音信号発生手段と、当該音信号発生手段が発生した第2の保留音信号に基づいて保留音を出力可能な音声出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記音信号発生手段は、前記音声出力手段と常時接続されていることを特徴とする。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記音信号発生手段は、それぞれ単音を発生する回路を複数備えてなることを特徴とする。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1〜請求項3の何れかの発明において、遠隔の通信装置からの着呼時に、前記音信号発生手段は前記音声出力手段から出力される着呼音用の信号を発生することを特徴とする。
【0012】
また請求項5の発明は、請求項1〜請求項4の何れかの発明において、遠隔の通信装置からの着呼時に自動的に通信回線を閉結してデータ通信又は通話の何れか一方を可能とする自動着信モードを備え、通信回線の閉結後、前記通信用モデムは疑似リングバック音用の信号を通信回線に送出するとともに、前記音信号発声手段は疑似リング音用の信号を前記音声出力手段に送出することを特徴とする。
【0013】
また請求項6の発明は、請求項1〜請求項5の何れかの発明において、第1の保留音データ、第2の保留音データ、着呼音データ、疑似リングバック音データ、そして疑似リング音データのうち少なくとも一つの音データを記憶可能であり、その記憶している音データに対して複数の候補を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶されている複数の候補から一つの候補を選択して設定する選択設定手段とを備え、前記通信用モデム及び前記音信号発生手段は、前記選択設定手段により選択設定された音データに基づいて音信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、保留移行手段によってこの通信装置が保留状態に移行されたとき、通信用モデムは第1の保留音信号を発生して通信回線に送出し、音声出力手段は音信号発生手段が発生した第2の保留音信号に基づいて保留音を出力するので、通話の保留時に電話回線を介して遠隔の通信装置に送出する保留音と、自らの通信装置で聴きたい保留音とを異ならせることができ、使用者の多様な要望に応えることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、音信号発生手段は音声出力手段と常時接続されているので、音声出力手段から出力される音声の制御が容易となる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、音信号発生手段はそれぞれ単音を発生する回路を複数備えてなるので、音声出力手段は多重和音の音声を出力することができ、出力音声に対する使用者の多様な要望に応えることができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、遠隔の通信装置からの着呼時に、音信号発生手段は着呼音用の信号を発生することができるので、簡易な構成にも拘わらず、保留音も着呼音も出力できる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、保留音のみならず、疑似リングバックトーンと疑似リング音も異なる音声で出力することができるので、使用者の多様な要望に応えることができる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば、選択設定手段により、第1の保留音データ、第2の保留音データ、着呼音データ、疑似リングバック音データ、そして疑似リング音データのうち少なくとも一つの音データについて記憶手段に記憶されている複数の候補から一つの候補を選択して設定することができるので、容易に各音を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0021】
図1は本実施形態に適用された複合機(本発明の通信装置に相当する)の斜視図であり、図2は本実施形態の複合機の内部構成を示すブロック図である。図3及び図4は本実施形態の複合機に着信モードや着呼音等の設定をする際の動作を示すフローチャートである。図5は、着呼音鳴動に際しての複合機の動作を示すフローチャートである。図6は、複合機にF/Tモードが設定されているときの自動着信動作を示すフローチャートである。図7は、複合機の通話処理を示すフローチャートである。そして図8は、複合機にTADモードが設定されているときの自動着信動作を示すフローチャートである。
【0022】
この複合機10は通話機能、ファクシミリ機能、コピー機能を有し、更に、パーソナルコンピュータ等との接続によるスキャナ機能やプリンタ機能をも備えている。そのため、この複合機10は、記録紙搬送部80と画像記録部90(図2参照)とから構成されるプリンタを内部に収容する装置筐体21の上部側にフラットベット式のスキャナ装置(以下、画像読取部と称す)130を配してなる。画像読取部130の手前側には操作用の各種キーや表示部(以下、LCDと称す:Liquid Crystal Display)141を備える操作パネル140が配されている。各種キーとしては、数字やアルファベットを入力可能なテンキー142、各種機能を選択するための機能キー143、LCD141にメニューを表示させたり、各種設定を確定するためのメニュー/設定キー144、LCD141の表示を順次変更するための十字キー145、複合機10の各動作を途中で停止するための停止キー146、更にはこの複合機10に電源を投入するための電源キー147等が設けられている。利用者が操作パネル140上の所定のキーを操作することにより、電話番号の入力やこの複合機10の各種モード設定等が行われる。各種モード設定としては、自動着信モードたるファクシミリ/電話自動切替(F/T)モードや留守番電話(TAD)モード、更には手動着信モードたる電話(TEL)モード等があるが、これらの各モードについては後述する。画像読取部130は開閉可能な原稿カバー138を備えており、利用者はこの原稿カバー138を開いた状態で図示しない原稿台ガラス上に原稿を載置し、操作パネル140の所定のキーを操作することでファクシミリ通信やコピー等を実行することができる。また、画像読取部130は装置筐体21の上面の一側縁に設けられる図示しないヒンジを介して装置筐体21に接続されている。従って、画像読取部130は、ヒンジを中心として装置筐体21から上方に開閉可能(いわゆるクラムシェル型)に構成されている。
【0023】
装置筐体21の一側壁には送受話器本体(以下、親機と称す)Dを載置可能なホルダ部120が備えられており、この親機Dを介して通話が可能となっている。
【0024】
また、図1に示すように装置筐体21の後部側の側縁部には通信ユニット81が装着されている。通信ユニット81は合成樹脂製のケーシング82を備え、内部に通信基板(以下、無線通信回路と称す)83(図2参照)が収容されている。この無線通信回路83は他の送受信器(以下、子機と称す)E(図2参照)との間を無線接続するためのものであって、送受信用のアンテナ83Aを備えている。このように、複合機10には、直接装置筐体21に接続される親機Dと、コードレスの子機Eとが設けられており、用途に応じてこれら両送受話器(親機D、子機E)を選択的に使用でき、更には、これら両送受話器間での通話も可能に構成されている。
【0025】
次に、図2を参照して、複合機10の電気的構成を簡単に説明する。
【0026】
本実施形態の複合機10の装置筐体21には、親機Dが接続されるコネクタ160と、電話回線185が接続されるコネクタ170とが設けられている。電話回線185は遠隔の交換機180とこの複合機10とを接続する回線であり、また、遠隔の交換機180は電話回線195を介して遠隔の通信装置190とも接続されている。更に装置筐体21の一側壁には、上述した通り、親機Dを保持可能なホルダ部120が固定して設けられており、このホルダ部120内にはON/OFFフックセンサ150が設けられている。ON/OFFフックセンサ150は、ホルダ部120に親機Dが載置された状態か否かによって移動するアクチュエータを備えており、ASIC40がこのアクチュエータの移動の有無を検出することによりホルダ部120に親機Dが載置されたか否かが検出されるのである。
【0027】
また、装置筐体2内には、制御回路30と、通信用モデム50と、リレー60と、ライントランス70と、記録紙搬送部80と、画像記録部90と、画像読取部130と、増幅器100と、スピーカ110とが備えられている。但し、画像読取部130だけは、上述した通り、装置筐体21の上方に開閉可能に載置されている。
【0028】
制御回路30は、CPU31、ROM32、RAM33、EEPROM34を中心とするマイクロコンピュータとして構成され、図示しないバスを介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)40に接続されている。また制御回路30には、上述した無線通信回路83が接続されている。
【0029】
CPU31は、電話回線185を介して送受信される各種信号に従って各部を制御し、ファクシミリ動作、即ち、データ通信や通話動作を実行するものである。また、この複合機10全体の動作を実行するものである。また操作パネル140と協働して選択設定手段を構成している。
【0030】
記憶手段たるROM32は、この複合機10で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであり、図3〜図8のフローチャートに示すプログラムは、このROM32内に格納されている。更にROM32内には、後述する送出用保留音データ(第1の保留音データ)、確認用保留音データ(第2の保留音データ)、着呼音データ、疑似リングバック音データ、そして疑似リング音データが記憶されている。
【0031】
RAM33は、ファクシミリ装置1の各動作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。
【0032】
また、EEPROM34内の所定領域には、この複合機10に現在自動着信モードが設定されているか否かを示す自動着信モードフラグが記憶される。この複合機10に現在自動着信モードが設定されている場合には、EEPROM34内の所定領域に「1」が記憶され、自動着信モードが設定されていない場合には、EEPROM34内の所定領域に「0」が記憶されるのである。
【0033】
ASIC40内には、それぞれ単音を発生可能な4つのブザー回路41〜44(音信号発生手段)が設けられており、各ブザー回路41〜44が生成した単音信号は増幅器100を介してスピーカ110から単音として出力される。これらの増幅器100とスピーカ110とが、音声出力手段を構成している。本実施形態の複合機10は4つのブザー回路41〜44を備えているので、スピーカ110から4重和音を出力することができる。更に、ASIC40には、ON/OFFフックセンサ150からの信号が入力される。また、ASIC40には、記録紙搬送部80と、画像記録部90と、画像読取部130とが接続されており、各部位の動作は制御回路30及びASIC40によって制御される。
【0034】
次に、利用者が操作パネル140上の所定のキーを操作することにより、後述する送出用保留音(第1の保留音)、確認用保留音(第2の保留音)、着呼音(着呼メロディ)、疑似リングバック音、疑似リング音が選択されて設定される手順について簡単に説明する。これらの送出用保留音(第1の保留音)、確認用保留音(第2の保留音)、着呼音(着呼メロディ)、疑似リングバック音、疑似リング音は、各々複数のパターン音やメロディ等から構成されており、後述するROM32内に予め記憶されている。ここで、送出用保留音(第1の保留音)とは、遠隔の通信装置190との通話中に複合機10側の利用者が通話を保留状態に移行させたとき、遠隔の通信装置190側で聞こえる保留音であり、通信用モデム50が電話回線185に送出するものである。また確認用保留音(第2の保留音)とは、遠隔の通信装置190との通話中に複合機10側の利用者が通話を保留状態に移行させたとき、ASIC40内の4つのブザー回路41〜44が第2保留音用の信号を発生して増幅器100へと送出することにより、複合機10内のスピーカ110から出力される保留音である。また着呼音(着呼メロディ)とは、遠隔の通信装置190から着呼があったときにASIC40内の4つのブザー回路41〜44が着呼音(着呼メロディ)用の信号を発生して増幅器100へと送出することにより、複合機10内のスピーカ110から出力される音(メロディ)である。更に疑似リングバック音とは、後述するF/Tモード時に電話回線が閉結された後、通信用モデム50から電話回線185へと送出される音であり、発呼者が遠隔の通信装置190を介して通信状況を確認する限りでは、あたかも電話回線185が未だ閉結されることなく、そのまま被呼者側の通信装置(複合機10)が被呼者に着呼を報知するために呼出音を鳴動し続けている状態であるかのように聞こえるのである。そして疑似リング音とは、後述するF/Tモード時に電話回線が閉結された後、ASIC40内の4つのブザー回路41〜44から増幅器100へと送出されてスピーカ110から出力される音であり、あたかも電話回線185が未だ閉結されることなく、被呼者側の通信装置(複合機10)が発呼者から着呼を受け続けている状態であるかのように聞こえる音である。
【0035】
次に、図3〜図4のフローチャートを参照して、この複合機10における着信時のモード設定と各音の選択及び設定の動作を説明する。このフローチャートは、複合機10に電源が投入されたときに開始される。
【0036】
まず、操作パネル140から何らかのキー入力がなされたか否かが判断される(S1)。操作パネル140から何らのキー入力もないと判断されると(S1:No)、いわゆる待機状態としてS1が繰り返し実行される。操作パネル140から何らかのキー入力がなされたと判断されると(S1:Yes)、そのキー入力が複合機10に対して着信モードを設定すべきキー入力であるか否かが判断される(S3)。例えば、メニュー/設定キー144が押下された後、LCD141に「着信モード設定?」と表示されるまで十字キー145が複数回押下され、更にLCD141に「着信モード設定?」と表示されている状態でメニュー/設定キー144が再度押下されると、複合機10に対して着信モードを設定すべきキー入力であると判断される(S3:Yes)。すると、LCD141には「F/Tモード?」と表示され、着信モードがF/Tモードに設定されたか否かが判断される(S5)。LCDに「F/Tモード?」と表示された状態でメニュー/設定キー144が押下されると(S5:Yes)、複合機10の着信モードは「F/Tモード」に設定され(S7)、EEPROM34内の自動着信モードフラグがONに設定される(S9)。即ち、EEPROM34内の自動着信モードフラグ記憶領域に「1」が記憶される。そして、再びS1へと戻る。
【0037】
一方、LCD141に「F/Tモード?」と表示された状態で十字キー145が押下されると(S5:No)、LCD141には「TADモード?」と表示され、着信モードがTADモードに設定されたか否かが判断される(S11)。LCD141に「TADモード?」と表示された状態でメニュー/設定キー144が押下されると(S11:Yes)、複合機10の着信モードは「TADモード」に設定され(S13)、EEPROM34内の自動着信モードフラグがONに設定される(S9)。そして、再びS1へと戻る。
【0038】
一方、LCD141に「TADモード?」と表示された状態で再び十字キー145が押下されると(S11:No)、LCD141には「TELモード?」と表示され、着信モードがTELモードに設定されたか否かが判断される(S15)。LCD141に「TELモード?」と表示された状態でメニュー/設定キー144が押下されると(S15:Yes)、複合機10の着信モードは「TELモード」に設定され(S17)、EEPROM34内の自動着信モードフラグがOFFに設定される(S9)。即ち、EEPROM34内の自動着信モードフラグ記憶領域に「0」が記憶される。そして、再びS1へと戻る。
【0039】
一方、LCD141に「TELモード?」と表示された状態で再び十字キー145が押下されると(S15:No)、LCD141には再び「F/Tモード?」と表示され、S5へと戻る。
【0040】
本実施形態の受信モードは、「F/Tモード」、「TADモード」、「TELモード」の3つのモードから構成されているが、これらのモード以外のモードを備えてもよいし、3つのモードを全て備える必要もないことは言うまでもない。
【0041】
他方、操作パネル140から何らかのキー入力がなされたと判断され(S1:Yes)、そのキー入力が着信モードを設定すべき所定のキー入力ではないと判断されると(S3:No)、そのキー入力が各種の音を設定すべき所定のキー入力であったか否かが判断される(S21)。例えば、メニュー/設定キー144が押下された後、LCD141に「各種の音設定?」と表示されるまで十字キー145が複数回押下され、更にLCD141に「各種の音設定?」と表示されている状態でメニュー/設定キー144が押下されると、各種の音を設定すべき所定のキー入力であると判断される(S21:Yes)。そして、「設定すべき音を選択」する処理が実行される(S23)。この処理では、十字キー145の押下に応じて、LCD141に「着呼音?」→第1の保留音としての「送出用保留音?」→第2の保留音としての「確認用保留音?」→「疑似リング音?」→「疑似リングバック音?」が順々にトグル表示される。そして、利用者がLCD141に選択したい音を表示させた状態で、メニュー/設定キー144を押下すると、「複数のデータから所望のデータを選択/設定」する処理が実行される(S25)。例えば、LCD141に「着呼音?」が表示されているときに、利用者がメニュー/設定キー144を押下すると、利用者が設定すべき音として「着呼音」を選択したこととなるので、次にその選択された「着呼音」に対して複数ある候補のデータの中からどのデータを選択して設定するかがS25で実行されるのである。S25の処理では、十字キー145の押下に応じて、LCD141に「ベルパターン1」→「ベルパターン2」→「ベルパターン3」→「曲A」→「曲B」→「曲C」が順々にトグル表示される。ベルパターン1〜3はそれぞれ異なるベルの鳴動音パターンであり、曲A〜Cはそれぞれ異なる曲(メロディ)である。そして、利用者がLCD141に選択したいベルパターン又は曲を表示させた状態で、メニュー/設定キー144を押下すると、その時点でLCD141に表示されているベルパターン又は曲が「着呼音」として設定されるのである。そしてLCD141には「別の音を設定?」と表示されるので(S27)、利用者がメニュー/設定キー144を押下すると(S27:Yes)、「設定すべき音を選択」する処理から再び実行される(S23)。一方、利用者が停止キー146を押下すると(S27:No)、S1へと戻る。
【0042】
なお、上記の説明では、「着呼音」として用いられる複数のデータについてのみ説明をしたが、その他の「送出用保留音」、「確認用保留音」、「疑似リング音」、「疑似リングバック音」についてもそれぞれ設定可能な複数のデータを記憶していることは言うまでもない。
【0043】
また、操作パネル140から何らかのキー入力がなされたと判断され(S1:Yes)、そのキー入力が着信モードを設定すべき所定のキー入力ではないと判断され(S3:No)、且つそのキー入力が各種の音を設定すべき所定のキー入力でもないと判断されると(S21:No)、操作パネル140からのキー入力に対応したその他の処理(S29)が実行され、S1へと戻る。
【0044】
このように利用者が操作パネル140の所定のキーを押下することにより、複合機10はこれらの音やメロディの選択設定モードに移行する。そして、更に利用者が操作パネル140上の各種キーを操作することにより各々の音やメロディを選択して設定することができるのである。これらの選択方法や設定方法には様々な方法があるが、各音やメロディに対して一つの音やメロディを選択して設定できる方法であれば上述した方法以外の何れの方法でも構わない。従って、本実施形態では、遠隔の通信装置190との通話中に複合機10が保留状態に移行されたとき、遠隔の通信装置190側で聞こえる送出用保留音と、複合機10の装置筐体21内に配設されているスピーカ110から出力される確認用保留音とを異なる音やメロディに設定することができる。更に、遠隔の通信装置190から着呼があったときにASIC40内の4つのブザー回路41〜44から増幅器100へと送出される着呼音信号(着呼メロディ用信号)や、後述するF/Tモード時に電話回線が閉結された後、通信用モデム50から電話回線185へと送出される疑似リングバック音やASIC40内の4つのブザー回路41〜44から増幅器100へと送出される疑似リング音としての着呼音信号(着呼メロディ用信号)をもそれぞれ任意に選択設定することができる。更に、予めROM32内に記憶されている音やメロディだけでなく、遠隔の通信サーバ等に記憶されているこれらの音やメロディのデータをダウンロードしてEEPROM34内に記憶し、利用者が操作パネル140を操作することによりこれらのデータから利用者の好みの音やメロディを任意に選択設定するように構成してもよい。
【0045】
次に本実施形態の複合機10に対して遠隔の通信装置から着呼がなされた際の、この複合機10の動作を図5〜図8に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0046】
まず、遠隔の発呼者から、即ち、何れかの遠隔の通信装置190から着呼があるまで(S100:No)、この複合機10は待機状態が継続される。遠隔の通信装置190から着呼があると(S100:Yes)、ASIC40内のブザー回路41〜44が着呼音(着呼メロディ)のための信号を増幅器100へと送出するので、複合機10のスピーカ110は被呼者に対して着呼があることを報知する着呼音(着呼メロディ)を出力する(S200)。次に、自動着信モードに設定されているか否か(自動着信モードフラグがONかOFFか、即ちEEPROM34内の自動着信モードフラグ記憶領域に「1」が記憶されているか「0」が記憶されているか)が判断される(S300)。この複合機10が使用者により予め自動着信モードに設定されていると判断された場合には(S300:Yes)、着呼回数がカウントされてASIC40内の所定の記憶領域に記憶される(S400)。この着呼回数は交換機180から出力される鳴動信号のON/OFFの状態を数えることで実行される。そしてカウント数が所定のカウント値n以上になったか否かが判断される(S500)。カウント数が所定のカウント値n未満であると判断されると(S500:No)、着呼回数のカウント及び記憶が継続される。カウント数が所定のカウント値n以上になったと判断されると(S500:Yes)、ASIC40内の各ブザー回路41〜44は着呼音(着呼メロディ)のための信号を増幅器100へ送出するのを停止する(S600)ため、スピーカ110からの着呼音の出力も停止される。そして、後述する自動着信処理(S700)が実行される。この自動着信処理(S700)が終了すると、その処理内容に応じて、後述する通話処理(S1100)が実行されるか、又はS100へ戻って複合機10は待機状態となる。
【0047】
一方、この複合機10が使用者により自動着信モードに設定されていないと判断された場合、即ち、単なる電話モードに代表される手動着信モードに設定されていると判断された場合には(S300:No)、発呼者(遠隔の通信装置190)側からの発呼、即ち被呼者(複合機10)側における着呼が停止されたか否かが判断される(S800)。これは、交換機180から出力される鳴動信号が所定時間以上OFF状態になったか否かで判断される。着呼が停止されたと判断されると(S800:Yes)、ASIC40内のブザー回路41〜44が着呼音(着呼メロディ)のための信号を増幅器100へ送出するのを停止する(S1200)ため、スピーカ110からの着呼音の出力も停止される。そして、S100へ戻って複合機10は待機状態となる。一方、着呼が停止されていないと判断されると(S800:No)、親機DがOFFフックされたか否かが判断される(S900)。ここで、「親機DがOFFフック」とは、実際に親機Dが被呼者にホルダ部120から持ち上げられてOFFフック状態になることにより電話回線185が閉結される場合に限らず、子機Eの図示しない通話スイッチが被呼者により押下されて電話回線185が閉結された場合も含まれる。親機DがOFFフックされたか否かについては、ホルダ部120内に備えられているON/OFFフックセンサ150が出力する信号に基づいて判断される。親機DがOFFフックされていないと判断された場合(S900:No)、即ち電話回線185が閉結されていない場合には、再びS800が繰り返し実行される。一方、親機DがOFFフックされたと判断された場合(S900:Yes)、即ち電話回線185が閉結された場合には、ASIC40内のブザー回路41〜44は着呼音(着呼メロディ)のための信号を増幅器100へ送出するのを停止して(S1000)、通話処理(S1100)へと移行する。この通話処理(S1100)が終了すると、S100へ戻って複合機10は待機状態となる。
【0048】
次に、図6を参照して、自動着信処理(S700)を説明する。ただし、この自動着信処理はF/Tモードに関するものである。F/Tモードとは、自動着信モードの一つであって、例えば遠隔の通信装置190から何らかの着呼があった場合、まず電話回線185が閉結されてファクシミリ受信は自動的に実行されるものの、通話に関しては所定時間内に被呼者が通話に応じないと自動的に回線が開放されるモードである。この自動着信処理(S700)では、図6に示すように、まず電話回線185が閉結(着信)され(S701)、通信用モデム50からは疑似リングバックトーンが電話回線185に送出される。従って、電話回線185は既に閉結されているものの、発呼者が遠隔の通信装置190を介して通信状況を確認する限りでは、そのまま被呼者側の通信装置(複合機10)が被呼者に着呼を報知するために呼出音を鳴動し続けている状態であるかのように聞こえる。しかし、遠隔の通信装置190自体は、複合機10が電話回線185を閉結したことを認識できるので、ファクシミリ送信の場合にはCNG信号を電話回線195へと送出する。一方、ASIC40内のブザー回路41〜44からは疑似リング(着呼メロディ)のための信号が増幅器100に送出されるので、スピーカ110からは疑似リング音が出力されるため、被呼者は遠隔の通信装置190から発呼されている(複合機10に着呼がある)ことを認識することができる(S702)。次に、F/Tタイムアウトか否かが判断される(S703)。上述した通り、電話回線185は既にS701で閉結されているので、発呼側の遠隔の通信装置190がファクシミリ送信を目的としているのであれば所定時間内にCNG信号を送出するが、通話を目的としている場合にはCNG信号を送出しない。そこで、まず、電話回線185が弊結されてから所定時間が経過したか否か、即ちF/Tタイムアウトか否かが判断されるのである。F/Tタイムアウトでないと判断されると(S703:No)、次に親機DがOFFフックされたか否かが判断される(S704)。この場合の「親機DがOFFフック」は上述のS900とほぼ同様の趣旨である。しかし、この時点ではS701で既に電話回線185は閉結されているので、親機Dが被呼者にホルダ部120から持ち上げられることにより実際にOFFフック状態となって通話が可能になった場合、子機Eの図示しない通話スイッチが被呼者に押下されて実際に通話が可能になった場合を示している。「親機DがOFFフック」されていないと判断されたら(S704:No)、CNG信号が検出されたか否かが判断される(S705)。上述した通り、発呼側の遠隔の通信装置190がファクシミリ送信を目的としているのであれば所定時間内にCNG信号を送出してくるからである。CNG信号が検出されていないと判断されたら(S705:No)、S703へと戻り、S703〜S705が繰り返し実行される。
【0049】
一方、F/Tタイムアウトであると判断されると(S703:Yes)、即ち、電話回線185が弊結されてから所定時間が経過したにもかかわらず、「親機DがOFFフック」されることなく、更にはCNG信号も検出されなかった通信用モデム50から電話回線185に送出していた疑似リングバックトーンが停止され(S706)、更にASIC40のブザー回路41〜44から増幅器100に送出され、スピーカ110から出力されていた疑似リング(着呼メロディ)も停止される(S707)。そして電話回線185が開放され(S708)、S100に戻って複合機10は待機状態となる。所定時間内にCNG信号が検出されない場合に電話回線が開放されるのは、自動着信処理(S700)に移行したときに電話回線185が閉結される(S701)ため、発呼者(遠隔の通信装置190)に課金される通話料金を無駄に増加させないためである。
【0050】
一方、「親機DがOFFフック」されたと判断されたら(S704:Yes)、通信用モデム50から電話回線185に送出していた疑似リングバックトーンが停止され(S709)、更にASIC40のブザー回路41〜44から増幅器100に送出されていた疑似リング(着呼メロディ)も停止される(S710)。そして後述する通話処理(S1100)が実行される。
【0051】
また、CNG信号が検出されたと判断されたら(S705:Yes)、通信用モデム50から電話回線185に送出していた疑似リングバックトーンが停止され(S711)、ASIC40のブザー回路41〜44から増幅器100に送出されていた疑似リング(着呼メロディ)も停止される(S712)。そしてFAX受信処理が実行される(S713)。このFAX受信処理は一般によく知られている処理なので、ここでは詳述しない。そしてFAX受信処理(S713)が終了したら、電話回線185が開放され(S714)、S100へ戻って複合機10は待機状態となる。
【0052】
次に、図7を参照して、通話処理(S1100)を詳細に説明する。
【0053】
この通話処理(S1100)では、まず親機Dが「ONフック」されたか否かが判断される(S1101)。ここで、親機Dが「ONフック」とは、親機Dが被呼者によりホルダ部120に実際に置かれた場合に限らず、子機Eの図示しない通話スイッチが被呼者に再度押下されることによって、被呼者が通話を終了させようとする場合である。「親機DがONフック」されたと判断された場合には(S1101:Yes)、それまで通話に使用されていた親機D、又は子機EをOFFにしてから、即ち通話機能をOFFにしてから(S1110)、電話回線185を開放する(S1111)。そして、S100へ戻って複合機10は待機状態となる。
【0054】
一方、親機Dが「ONフック」されていないと判断されれば(S1101:No)、即ち、被呼者が通話を終了させようとしていない場合には、被呼者が操作パネル140上の図示しない保留キーを押下したか否かが判断される(S1102)。この保留キーは複合機10の操作パネル140上にも設けられているが、子機Eにも設けられている。被呼者により保留キーが押下されていないと判断されれば(S1102:No)、S1101が繰り返し実行される。即ち、この間は発呼者と被呼者との間で通話状態が継続される。被呼者により保留キーが押下されると(S1102:Yes)、親機Dのマイクロホン、又は子機EのマイクロホンがOFF状態とされる(S1103)。従って、被呼側の音声等が発呼側(遠隔の通信装置190)に伝達されなくなる。そして、この間通信用モデム50から電話回線185に保留音(保留メロディ)が送出されるとともに、ASIC40のブザー回路41〜44からは保留音(保留メロディ)のための信号が増幅器100に送出される(S1104)。そして、再度被呼者が操作パネル140上の保留キーを押下したか否かが判断される(S1105)。保留キーが未だ再び押下されていないと判断されると(S1105:No)、親機Dがホルダ部120に載置されたか否かがON/OFFフックセンサ150の出力に基づいて判断される(S1108)。この場合は、実際に親機Dがホルダ部120に載置されたか否かのみが判断される。即ち、保留状態で親機Dをホルダ部120に載置したとしても電話回線185が開放されるわけではなく、保留状態は継続されるのである。そして、実際に親機Dがホルダ部120に載置されていないと判断されれば(S1108:No)、S1105へと戻る。一方、実際に親機Dがホルダ部120に載置されたと判断されると(S1108:Yes)、次に親機Dがホルダ部120から実際に持ち上げられたか否かが判断される(S1109)。親機Dがホルダ部120から持ち上げられたと判断されると(S1109:Yes)、S1105で操作パネル140上の保留キーが再度押下された場合と同様に、保留状態が停止される。この場合、通信用モデム50及びASIC40がそれぞれ保留音を電話回線185又は増幅器100へ送出するのを停止する(S1106)。そして、先ほどOFF状態とされた親機Dのマイクロホン、又は子機のマイクロホンがON状態にされて(S1106)、S1101の処理から繰り返し実行される。
【0055】
以上は、自動着信モードがF/Tモードの場合であるが、自動着信モードがTAD(Telephone Answering Device:留守番電話)モードの場合には、別の動作が行われる。
【0056】
次に、図8を参照して、複合機10がTADモードに設定されている場合における自動着信処理を説明する。ここで、TADモードとは、自動着信モードの一つであって、例えば遠隔の通信装置190から複合機10に対して何らかの発呼があった場合、複合機10はまず電話回線185を閉結し、所定時間内にCNG信号を検出したらファクシミリ受信を自動的に行うのである。そして、複合機10が所定時間内にCNG信号を検出しなかったら、複合機10内に予め記憶されている「留守である旨のメッセージ」を発呼側の遠隔の通信装置190に送出した後、遠隔の通信装置190から送出されてくる「発呼者のメッセージ」を記憶して、電話回線185を開放するモードである。
【0057】
図5のフローチャートにおいてS600の処理が終了されると、TADモードにおける自動着信処理が実行され、まず電話回線185が閉結される(S721)。発呼側の遠隔の通信装置190がファクシミリ送信を目的としているのであれば所定時間内にCNG信号を送出するので、複合機10は所定時間、例えば4秒間だけ無音状態で待機する(S722)。4秒が経過していないと判断されれば(S722:No)、発呼側の遠隔の通信装置190から送出されたCNG信号を検出したか否かが判断される(S723)。そしてCNG信号が検出されていないと判断されたら(S723:No)、S722の判断が繰り返し実行される。しかし、発呼側の遠隔の通信装置190から送出されたCNG信号が検出されたと判断されたら(S723:Yes)、S713と同様に通常のファクシミリ受信処理(S724)が実行された後、電話回線185が開放される(S732)。そして、S100に戻って複合機10は待機状態となる。
【0058】
一方、CNG信号を検出することなく4秒が経過したと判断されたら(S722:Yes)、例えば「ただいま留守にしております。御用の方はピーッという発信音の後にメッセージをお話し下さい。」等のメッセージ(OGM:Out Going Message)を通信用モデム50から電話回線185に向けて送出し始める(S725)。そして送出し終わるまでOGMの送出が継続され(S726:No)、所定のOGMを送出し終わったら(S726:Yes)、OGMの送出が停止される(S727)。次に発呼者の話すメッセージ(ICM:In Coming Message)が通信用モデム50を介してRAM33の所定の領域に録音され始める(S728)。そしてICM録音を開始してから所定時間(例えば、15秒)が経過したか否かが判断される(S729)。所定時間が経過していないと判断されれば(S729:No)、次に発呼側の遠隔の通信装置190が電話回線195を開放したか否かが判断される(S730)。発呼側の遠隔の通信装置190が電話回線195を開放していないと判断されれば(S730:No)、S729の判断が繰り返し実行される。そして所定時間が経過したと判断されたか(S729:Yes)、又は発呼側の遠隔の通信装置190が電話回線195を開放したと判断されたら(S730:Yes)、ICM録音が停止され(S731)、電話回線185が開放される(S732)。そして、S100に戻って複合機10は待機状態となる。
【0059】
以上詳述した通り、本発明の通信装置によれば、保留移行手段によってこの通信装置が保留状態に移行されたとき、通信用モデムは第1の保留音信号を発生して通信回線に送出し、音声出力手段は音信号発生手段が発生した第2の保留音信号に基づいて保留音を出力するので、通話の保留時に電話回線を介して遠隔の通信装置に送出する保留音と、自らの通信装置で聴きたい保留音とを異ならせることができ、使用者の多様な要望に応えることができる。
【0060】
また、音信号発生手段は音声出力手段と常時接続されているので、音声出力手段から出力される音声の制御が容易となる。
【0061】
また、音信号発生手段はそれぞれ単音を発生する回路を複数備えてなるので、音声出力手段は多重和音の音声を出力することができ、出力音声に対する使用者の多様な要望に応えることができる。
【0062】
また、遠隔の通信装置からの着呼時に、音信号発生手段は着呼音用の信号を発生することができるので、簡易な構成にも拘わらず、保留音も着呼音も出力できる。
【0063】
また、保留音のみならず、疑似リングバックトーンと疑似リング音も異なる音声で出力することができるので、使用者の多様な要望に応えることができる。
【0064】
また、選択設定手段により、第1の保留音データ、第2の保留音データ、着呼音データ、疑似リングバック音データ、そして疑似リング音データのうち少なくとも一つの音データについて記憶手段に記憶されている複数の候補から一つの候補を選択して設定することができるので、容易に各音を設定することができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0066】
例えば、上述の実施形態においては、遠隔の通信装置190との通話は親機D又は子機Eを介して行われているが、親機Dや子機Eの代わりに装置筐体21内に設けられている図示しないマイクロホンとスピーカ110とを用いる、いわゆるスピーカホンにより通話を行うこととしてもよい。この場合、図6のS704における「OFFフックか?」の判断は、操作パネル140上の図示しないスピーカホンスイッチが被呼者に押下されたか否かで判断される。また、図7のS1101における「ONフックか?」の判断は、操作パネル140上の図示しないスピーカホンスイッチが被呼者に再度押下されたか否かで判断される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態の複合機の外観斜視図
【図2】本実施形態の複合機の内部構成を示すブロック図
【図3】複合機に着信モードや着呼音等の設定をする際の動作を示すフローチャートの部分図
【図4】複合機に着信モードや着呼音等の設定をする際の動作を示すフローチャートの部分図
【図5】着呼音鳴動に際しての複合機の動作を示すフローチャート
【図6】複合機にF/Tモードが設定されているときの自動着信動作を示すフローチャート
【図7】複合機の通話処理を示すフローチャート
【図8】複合機にTADモードが設定されているときの自動着信動作を示すフローチャート
【図9】従来のファクシミリ装置の概略構成を示すブロック図
【図10】従来の別のファクシミリ装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0068】
10…複合機
21…装置筐体
30…制御回路
31…CPU
32…ROM
33…RAM
34…EEPROM
40…ASIC
41〜44…ビープ音発生回路
50…通信用モデム
60…リレー
70…ライントランス
80…記録紙搬送部
81…
82…
83…無線通信回路
83A…アンテナ
90…画像記録部
100…増幅器
110…スピーカ
120…ホルダ部
130…画像読取部
138…原稿カバー
140…操作パネル
150…ON/OFFフックセンサ
180…交換機
185…電話回線
190…遠隔の通信装置
195…電話回線
D…親機
E…子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して遠隔の通信装置との間でデータ通信及び通話が可能であり、遠隔の通信装置との通話中に、通信回線を開放することなくその通話を保留状態に移行させる保留移行手段とを備えた通信装置であって、
前記保留移行手段によって当該装置が保留状態に移行されたときに第1の保留音信号を発生して前記通信回線に送出可能であるとともに、遠隔の通信装置との間でデータ通信を実行可能な通信用モデムと、
前記保留移行手段によって当該装置が保留状態に移行されたときに第2の保留音信号を発生可能な音信号発生手段と、
当該音信号発生手段が発生した第2の保留音信号に基づいて保留音を出力可能な音声出力手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記音信号発生手段は、前記音声出力手段と常時接続されていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記音信号発生手段は、それぞれ単音を発生する回路を複数備えてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
遠隔の通信装置からの着呼時に、前記音信号発生手段は前記音声出力手段から出力される着呼音用の信号を発生することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の通信装置。
【請求項5】
遠隔の通信装置からの着呼時に自動的に通信回線を閉結してデータ通信又は通話の何れか一方を可能とする自動着信モードを備え、
通信回線の閉結後、前記通信用モデムは疑似リングバック音用の信号を通信回線に送出するとともに、前記音信号発声手段は疑似リング音用の信号を前記音声出力手段に送出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の通信装置。
【請求項6】
第1の保留音データ、第2の保留音データ、着呼音データ、疑似リングバック音データ、そして疑似リング音データのうち少なくとも一つの音データを記憶可能であり、その記憶している音データに対して複数の候補を記憶する記憶手段と、
当該記憶手段に記憶されている複数の候補から一つの候補を選択して設定する選択設定手段と、を備え、
前記通信用モデム及び前記音信号発生手段は、前記選択設定手段により選択設定された音データに基づいて音信号を出力することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−13870(P2006−13870A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187915(P2004−187915)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】