通信装置
【課題】2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】乗員保護装置は、送信回路と受信回路とを備えている。送信回路は、2種類の2値信号である信号Aと信号Bを加算し、多重2値信号を生成して送信する。2種類の2値信号は、一方の2値信号のハイレベルの振幅は、他方の2値信号のハイレベルの振幅の2倍に設定されている。受信回路は、多重2値信号の振幅に基づいて多重2値信号を成す複数の2値信号に対応する信号を求める。これにより、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【解決手段】乗員保護装置は、送信回路と受信回路とを備えている。送信回路は、2種類の2値信号である信号Aと信号Bを加算し、多重2値信号を生成して送信する。2種類の2値信号は、一方の2値信号のハイレベルの振幅は、他方の2値信号のハイレベルの振幅の2倍に設定されている。受信回路は、多重2値信号の振幅に基づいて多重2値信号を成す複数の2値信号に対応する信号を求める。これにより、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信線を介して接続される送信手段と受信手段とを備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信線を介して接続される送信手段と受信手段とを備えた通信装置を有するものとして、例えば特許文献1に開示されている乗員保護装置がある。この乗員保護装置は、マスターユニットと、サテライトユニットとを備えている。マスターユニットとサテライトユニットは、通信ラインによって接続されている。マスターユニットは、通信ラインを介してアドレス信号と要求信号を順次送信する。サテライトセンサは、マスターユニットの送信したアドレス信号と要求指令を順次受信する。そして、アドレス信号と要求信号に基づいて通信ラインを介してマスターユニットに衝突データを送信する。マスターユニットは、サテライトセンサの送信した衝突データを受信する。そして、衝突データに基づいてエアバッグ等を展開し乗員を保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−258821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したアドレス信号と要求信号は、一般的に、振幅が一定値であるハイレベルとローレベルの2値からなる2値信号として送受信されている。そのため、2値信号の周波数を上げることで、単位時間当たりに送受信可能な情報量を簡単に増加させることができる。しかし、2値信号の周波数を上げると、ハイレベルとローレベルの切換わりに伴って発生する放射ノイズが増加してしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、複数の2値信号のハイレベルの振幅を、信号の種類によって異なるように設定することで、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加できることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の通信装置は、ローレベルとハイレベルの2値からなるn種類の2値信号を送信する送信手段と、通信線を介して送信手段に接続され、送信手段の送信したn種類の2値信号を受信する受信手段と、を備えた通信装置において、 n種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあり、送信手段は、n種類の2値信号を加算し多重2値信号を生成して送信し、受信手段は、送信手段の送信した多重2値信号を受信し、多重2値信号の振幅に基づいて多重2値信号を成すn種類の2値信号に対応した信号を求めることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、多重2値信号は、n種類の2値信号を加算して生成されている。n種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にある。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。従って、多重2値信号の振幅に基づいてn種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。しかも、多重2値信号は、n種類の2値信号を加算して生成されることから、多重2値信号の周波数は、2値信号の周波数と同一である。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0009】
請求項2に記載の通信装置は、受信手段は、多重2値信号の振幅を閾値と比較し、比較結果に基づいてn種類の2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号からn種類の2値信号に対応する信号を確実に求めることができる。
【0010】
請求項3に記載の通信装置は、閾値は、(2n −1)種類設定されていることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号として取り得る全ての振幅は2n 種類である。そのため、閾値を(2n −1)種類設定することで、多重2値信号からn種類の2値信号に対応する信号をより確実に求めることができる。
【0011】
請求項4に記載の通信装置は、多重2値信号は、電圧波形又は電流波形として送受信されることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号を確実に送受信することができる。
【0012】
請求項5に記載の通信装置は、ローレベルとハイレベルの2値からなる複数種類の2値信号を送信する送信手段と、通信線を介して送信手段に接続され、送信手段の送信した2値信号を受信する受信手段と、を備えた通信装置において、複数種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なり、送信手段は、複数種類の2値信号を順次送信し、受信手段は、送信手段の送信した複数種類の2値信号を順次受信し、ハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定するとともに、複数種類の2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、複数種類の2値信号のハイレベルの振幅は、それぞれ異なる。そのため、2値信号のハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定することができる。つまり、信号の種類についての情報を2値信号のハイレベルの振幅として付加することができる。しかも、2値信号の周波数を上げる必要がない。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0014】
請求項6に記載の通信装置は、送信手段及び受信手段は、車両に搭載され、指令又は指令に対する応答を信号として送受信することを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載された通信装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0015】
請求項7に記載の通信装置は、送信手段及び受信手段は、車両に搭載され車両への衝突を検出するセンサ装置と、車両に搭載され、センサ装置の検出結果に基づいて乗員保護手段の起動を制御する制御装置の間で、信号を送受信することを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載されたセンサ装置と制御装置の間で信号を送受信する通信装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における乗員保護装置のブロック図である。
【図2】通信線を介して接続される制御装置の送信回路とセンサ装置の受信回路周辺の回路図である。
【図3】通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。
【図4】信号Aと信号Bについて説明するための説明図である。
【図5】信号Aと信号Bから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図6】多重2値信号から信号A及び信号Bに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図7】信号A、信号B及び多重2値信号のタイムチャートである。
【図8】信号Cと信号Dについて説明するための説明図である。
【図9】信号Cと信号Dから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図10】多重2値信号から信号C及び信号Dに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図11】別の形態における通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。
【図12】第2実施形態の乗員保護装置における信号Eと信号Fと信号Gについて説明するための説明図である。
【図13】信号Eと信号Fと信号Gを生成する動作について説明するための説明図である。
【図14】2値信号から論理状態を判定する動作について説明するための説明図である。
【図15】2値信号から信号の種類を判定する動作について説明するための説明図である。
【図16】信号E、信号F及び信号Gのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る通信装置を、車両に搭載され、車両の乗員を保護する乗員保護装置に適用した例を示す。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して乗員保護装置の概略構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態における乗員保護装置のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、乗員保護装置1(通信装置)は、センサ装置10と、制御装置11と、エアバッグ装置12とを備えている。センサ装置10と制御装置11とは、通信線13を介して接続されている。具体的には、基準線130と伝送線131とを介して接続されている。
【0020】
センサ装置10は、車両の所定箇所に設置され、車両への衝突を検出する装置である。具体的には、車両の加速度を検出する装置である。センサ装置10は、制御装置11から電圧波形として送信される多重2値信号を受信する。ここで、多重2値信号は、指令等の複数の2値信号を加算して生成される信号である。センサ装置10は、受信した多重2値信号から、指令等の複数の2値信号に対応する信号を求める。その後、これらに対する応答である複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成する。そして、生成した多重2値信号を電流波形として制御装置11に送信する。センサ装置10は、受信回路100(受信手段)と、送信回路101(送信手段)と、センサ102と、制御回路103(受信手段、送信手段)とを備えている。
【0021】
受信回路100は、制御装置11から電圧波形として送信される多重2信号を受信し、その振幅に基づいて多重2信号を成す指令等の複数の2値信号に対応した信号を制御回路103に出力する回路である。受信回路100は、通信線13を介して制御装置11に接続されている。
【0022】
送信回路101は、制御回路103で生成される指令等に対する応答である複数の2値信号を加算して多重2信号を生成し、電流波形として制御装置11に送信する回路である。送信回路103は、通信線13を介して制御装置11に接続されている。
【0023】
センサ102は、車両への衝突を検出する素子である。具体的には、車両の加速度を検出する素子である。
【0024】
制御回路103は、受信回路100から出力される指令等の複数の2値信号に対応した信号に基づいてセンサ102を制御し、指令等に対応する応答である複数の2値信号を送信回路101に出力する回路である。制御回路103は、受信回路100、送信回路101及びセンサ102にそれぞれ接続されている。
【0025】
制御装置11は、センサ装置10に指令等を送信し、指令等に対する応答としてセンサ装置10から送信される検出結果、及び、後述するセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御する装置である。制御装置11は、センサ装置10の検出結果を得るため、指令等の複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成する。そして、生成した多重2値信号を電圧波形としてセンサ装置10に送信する。その後、センサ装置10から電流波形として送信される指令等に対する応答である多重2値信号を受信する。受信した多重2値信号から指令等に対する応答である複数の2値信号に対応する信号、つまり、センサ装置10の検出結果等を求める。そして、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する。制御装置11は、送信回路110(送信手段)と、受信回路111(受信手段)と、センサ112と、制御回路113(送信手段、受信手段)とを備えている。
【0026】
送信回路110は、制御回路113で生成される指令等の複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成し、電圧波形としてセンサ装置10の受信回路100に送信する回路である。送信回路110は、通信線13を介して受信回路100に接続されている。
【0027】
受信回路111は、センサ装置10の送信回路101から電流波形として送信される多重2値信号を受信し、その振幅に基づいて多重2値信号を成す指令等に対する応答である複数の2値信号に対応した信号を制御回路113に出力する回路である。受信回路111は、通信線13を介して送信回路101に接続されている。
【0028】
センサ112は、制御装置11内に配置され、車両への衝突を検出する素子である。具体的には、車両の加速度を検出する素子である。
【0029】
制御回路113は、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する回路である。制御回路113は、センサ装置10の検出結果を得るため、指令等の複数の2値信号を送信回路110に出力し、受信回路111から出力される指令等に対応する応答である複数の2値信号及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12に点火信号を出力する。制御回路113は、送信回路110、受信回路111及びセンサ113にそれぞれ接続されている。
【0030】
エアバッグ装置12は、制御装置11の制御回路113から出力される点火信号に基づいてエアバッグを展開し、乗員を保護する装置である。エアバッグ装置12は、制御回路113に接続されている。
【0031】
次に、図2及び図3を参照して、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100、並びに、センサ装置10の送信回路101と制御装置11の受信回路111の構成について詳細に説明する。ここで、図2は、通信線を介して接続される制御装置の送信回路とセンサ装置の受信回路周辺の回路図である。図3は、通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。ここでは、指令等及び指令等に対する応答として、2種類の2値信号を伝達する例を示す。
【0032】
図2に示すように、制御装置11の送信回路110は、抵抗110a〜110cと、スイッチ110d〜110fと、バッファ110gとを備えている。ここで、抵抗110a〜110cの抵抗値は、2:1:4となるように設定されている。抵抗110aの一端は、電源に接続されている。具体的には、3Vを供給する電源に接続されている。抵抗100aの他端は、スイッチ110dを介して接地され、基準線130に接続されている。また、スイッチ110e及び抵抗110bを介して接地され、基準線130に接続されている。さらに、スイッチ110f及び抵抗110cを介して接地され、基準線130に接続されている。加えて、入力抵抗の大きなバッファ110gを介して伝送線131に接続されている。スイッチ110d〜110fの制御端子は、制御回路113に接続されている。
【0033】
センサ装置10の受信回路100は、コンパレータ100a〜100cと、基準電源100d〜100fとを備えている。ここで、基準電源100d〜100fの電圧は、それぞれ0.5V、1.5V、2.5Vに設定されている。コンパレータ100a〜100cの非反転入力端子は、伝送線131に接続されている。コンパレータ100aの反転入力端子は、基準電源100dの正極端子に接続され、基準電源100dの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100bの非反転入力端子は、基準電源100eの正極端子に接続され、基準電源100eの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100cの非反転入力端子は、基準電源100fの正極端子に接続され、基準電源100fの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100a〜100cの出力端子は、制御回路103に接続されている。
【0034】
図3に示すように、送信回路101は、スイッチ101a、101bと、電流源101c、101dとを備えている。ここで、電流源101c、101dの出力電流は、1:2となるように、それぞれIA、2IAに設定されている。スイッチ101a、101bの一端は、伝送線131に接続されている。スイッチ101aの他端は、電流源101cを介して基準線130に接続されている。スイッチ101bの他端は、電流源101dを介して基準線130に接続されている。スイッチ101a、101bの制御端子は、制御回路103に接続されている。
【0035】
制御装置11の受信回路111は、抵抗111aと、オペアンプ111hと、コンパレータ111b〜111dと、基準電源111e〜111gとを備えている。ここで、抵抗111aの抵抗値は、電流源101aの電流IAが流れたとき、電流が流れていないときとの差分が1Vとなるように設定されている。また、基準電源111e〜111gの電圧は、それぞれ0.5V、1.5V、2.5Vに設定されている。抵抗111aの一端は電源に、他端は伝送線131にそれぞれ接続されている。オペアンプ111hの入力端子は、抵抗111aの両端にそれぞれ接続されている。コンパレータ111b〜111dの非反転入力端子は、オペアンプ111hの出力端子に接続されている。コンパレータ111bの反転入力端子は、基準電源111eの正極端子に接続され、基準電源111eの負極端子は接地されている。コンパレータ111cの反転入力端子は、基準電源111fの正極端子に接続され、基準電源111fの負極端子は接地されている。コンパレータ111dの反転入力端子は、基準電源111gの正極端子に接続され、基準電源111gの負極端子は接地されている。コンパレータ111b〜111dの出力端子は、制御回路113に接続されている。また、基準線130は、受信回路111内で接地されている。
【0036】
次に、図2、図4〜図7を参照して制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の送受信動作について説明する。ここで、図4は、信号Aと信号Bについて説明するための説明図である。図5は、信号Aと信号Bから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。図6は、多重2値信号から信号A及び信号Bに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。図7は、信号A、信号B及び多重2値信号のタイムチャートである。まず、2値信号から多重2値信号を生成する動作について説明する。
【0037】
図2において、制御回路113は、指令等として2種類の信号A及び信号Bを生成する。信号Aと信号Bは、論理状態が0であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値ならなる2値信号である。図4に示すように、信号Aは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が1Vである。一方、信号Bは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2Vである。つまり、信号Aと信号Bは、ローレベルが共通し、信号Bのハイレベルの振幅が、信号Aのハイレベルの振幅の2倍である。
【0038】
図2において、制御回路113は、送信回路110を制御し、生成した信号Aと信号Bを加算して多重2値信号を生成し送信する。具体的には、スイッチ110d〜110fを制御し、生成した信号Aと信号Bを加算して多重2値信号を生成する。
【0039】
図5に示すように、信号Aと信号Bがともに論理状態0であるローレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110dのみをオンする。スイッチ110dがオンすると、抵抗110dの他端が接地される。そのため、抵抗110dの他端の電圧は0Vとなる。これにより、振幅が0Vである信号Aと、振幅が0Vである信号Bが加算され、振幅が0Vの多重2値信号が生成されることとなる。
【0040】
信号Aが論理状態1であるハイレベル、信号Bが論理状態0であるローレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110eのみをオンする。スイッチ110eがオンすると、3Vの電源電圧が、直列接続された抵抗110a、110bによって分圧される。抵抗110a、110bの抵抗値は、2:1に設定されている。そのため、抵抗110aの他端の電圧は1Vとなる。これにより、振幅が1Vである信号Aと、振幅が0Vである信号Bが加算され、振幅が1Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0041】
信号Aが論理状態0であるローレベル、信号Bが論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110fのみをオンする。スイッチ110fがオンすると、3Vの電源電圧が、直列接続された抵抗110a、110cによって分圧される。抵抗110a、110cの抵抗値は、1:2に設定されている。そのため、抵抗110aの他端の電圧は2Vとなる。これにより、振幅が0Vである信号Aと、振幅が2Vである信号Bが加算され、振幅が2Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0042】
信号Aと信号Bがともに論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110d〜110fを全てオフする。スイッチ110d〜110fがオフすると、抵抗110aの他端の電圧は3Vとなる。これにより、振幅が1Vである信号Aと、振幅が2Vである信号Bが加算され、振幅が3Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0043】
例えば、図7に示すように、信号Aの論理状態が011、信号Bの論理状態が101の場合には、t1〜t2間が2V、t2〜t3間が1V、t3〜t4間が3Vである多重2値信号が生成される。このようにして生成された多重2値信号は、バッファ110gから出力され、通信線13を介して受信回路100に送信される。
【0044】
次に、多重2値信号から多重2値信号を成す2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図2において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される多重2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0045】
図6に示すように、多重2値信号の振幅が0Vのとき、コンパレータ100a〜100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100d〜100fの電圧より低いことから、ともにローレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルであると、制御回路103は、信号Aと信号Bがともに論理状態0であると判定する。
【0046】
多重2値信号の振幅が1Vのとき、コンパレータ100aは、多重2値信号の電圧が基準電源100dの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ100b、100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100e、100fの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ100aの出力がハイレベルであり、コンパレータ100b、100cの出力がローレベルであると、制御回路103は、信号Aが論理状態1、信号Bが論理状態0と判定する。
【0047】
多重2値信号の振幅が2Vのとき、コンパレータ100a、100bは、多重2値信号の電圧が基準電源100d、100eの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ100cは、多重2値信号の電圧が基準電圧100fの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ100a、100bの出力がハイレベルであり、コンパレータ100cの出力がローレベルであると、制御回路103は、信号Aが論理状態0、信号Bが論理状態1と判定する。
【0048】
多重2値信号の振幅が3Vのとき、コンパレータ100a〜100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100d〜100fの電圧より高いことから、ともにハイレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにハイレベルであると、制御回路103は、信号Aと信号Bがともに論理状態1であると判定する。
【0049】
例えば、図7に示すように、t1〜t2間が2V、t2〜t3間が1V、t3〜t4間が3Vである多重2値信号の場合には、基準電源100d〜100fの電圧との比較結果から信号Aが論理状態011、信号Bが論理状態101であると判定する。このようにして、制御回路103は、信号Aと信号Bの論理状態を求め、対応する動作を行う。
【0050】
次に、図3、図8〜図10を参照してセンサ装置10の送信回路100と制御装置11の受信回路111の送受信動作について説明する。ここで、図8は、信号Cと信号Dについて説明するための説明図である。図9は、信号Cと信号Dから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。図10は、多重2値信号から信号C及び信号Dに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【0051】
まず、2値信号から多重2値信号を生成する動作について説明する。図3において、制御回路103は、指令等に対する応答として2種類の信号C及び信号Dを生成する。信号Cと信号Dは、論理状態が0であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値ならなる2値信号である。図8に示すように、信号Cは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Aであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅がIAである。一方、信号Dは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Aであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2IAである。つまり、信号Cと信号Dは、ローレベルが共通し、信号Dのハイレベルの振幅が、信号Cのハイレベルの振幅の2倍である。
【0052】
図3において、制御回路103は、送信回路101を制御し、生成した信号Cと信号Dを加算して多重2値信号を生成し送信する。具体的には、スイッチ101a、101bを制御し、生成した信号Cと信号Dを加算して多重2値信号を生成する。
【0053】
図9に示すように、信号Cと信号Dがともに論理状態0であるローレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101a、101bを全てオフする。スイッチ101a、101bがオフすると、電流源101c、101dから電流が供給されない。そのため、通信線13に流れる電流は0Aとなる。これにより、振幅が0Aである信号Cと、振幅が0Aである信号Dが加算され、振幅が0Aの多重2値信号が生成されることとなる。
【0054】
信号Cが論理状態1であるハイレベル、信号Dが論理状態0であるローレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101aのみをオンする。スイッチ101aがオンすると、電流源101cから電流が供給される。そのため、通信線13を流れる電流はIAとなる。これにより、振幅がIAである信号Cと、振幅が0Aである信号Dが加算され、振幅がIAである多重2値信号が生成されることとなる。
【0055】
信号Cが論理状態0であるローレベル、信号Dが論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101bのみをオンする。スイッチ110fがオンすると、通信線13を流れる電流は2IAとなる。これにより、振幅が0Aである信号Cと、振幅が2IAである信号Dが加算され、振幅が2IAである多重2値信号が生成されることとなる。
【0056】
信号Cと信号Dがともに論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101a、101bを全てオンする。スイッチ101a、101bがオンすると、通信線13を流れる電流は3IAとなる。これにより、振幅がIAである信号Cと、振幅が2IAである信号Dが加算され、振幅が3IAである多重2値信号が生成されることとなる。このようにして生成された多重2値信号は、通信線13を介して受信回路111に送信される。
【0057】
次に、多重2値信号から多重2値信号を成す2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図3において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される多重2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0058】
図10に示すように、多重2値信号の振幅が0Aのとき、抵抗111aの端子間電圧は0Vとなる。コンパレータ111b〜111dは、抵抗111aの端子間電圧が基準電源111e〜111gの電圧より低いことから、ともにローレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルであると、制御回路113は、信号Cと信号Dがともに論理状態0であると判定する。
【0059】
多重2値信号の振幅がIAのとき、抵抗111aの端子間電圧は1Vとなる。コンパレータ111bは、多重2値信号の電圧が基準電源111cの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ111c、111dは、多重2値信号の電圧が基準電源111f、111gの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ111bの出力がハイレベルであり、コンパレータ111c、111dの出力がローレベルであると、制御回路113は、信号Cが論理状態1、信号Dが論理状態0と判定する。
【0060】
多重2値信号の振幅が2IAのとき、抵抗111aの端子間電圧は2Vとなる。コンパレータ111b、111cは、多重2値信号の電圧が基準電源111e、111fの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ111dは、多重2値信号の電圧が基準電圧111gの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ111b、111cの出力がハイレベルであり、コンパレータ111dの出力がローレベルであると、制御回路113は、信号Cが論理状態0、信号Dが論理状態1と判定する。
【0061】
多重2値信号の振幅が3IAのとき、抵抗111aの端子間電圧は3Vとなる。コンパレータ111b〜111dは、多重2値信号の電圧が基準電源111e〜111gの電圧より高いことから、ともにハイレベルを出力する。コンパレータ111b〜111dの出力がともにハイレベルであると、制御回路113は、信号Cと信号Dがともに論理状態1であると判定する。このようにして、制御回路103は、信号Cと信号Dの論理状態を求める。
【0062】
そして、図1に示す制御装置11は、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する。エアバッグ装置12は、制御装置11から出力される点火信号に基づいてエアバッグを展開し乗員を保護する。
【0063】
最後に、効果について説明する。第1実施形態によれば、多重2値信号は、2種類の2値信号である信号Aと信号Bを加算して生成されている。また、2種類の2値信号である信号Cと信号Dを加算して生成されている。図4に示すように、信号Aと信号Bは、ローレベルが共通し、信号Bのハイレベルの振幅が、信号Aのハイレベルの振幅の2倍である。図8に示すように、信号Cと信号Dも、ローレベルが共通し、信号Dのハイレベルの振幅が、信号Cのハイレベルの振幅の2倍である。そのため、図5及び図9に示すように、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。従って、多重2値信号の振幅に基づいて2種類の2値信号である信号Aと信号B、また、信号Cと信号Dに対応した信号を求めることができる。しかも、多重2値信号は、2種類に2値信号を加算して生成されることから、多重2値信号の周波数は、2値信号の周波数と同一である。従って、車両に搭載されたセンサ装置と制御装置の間で信号を送受信し、乗員を保護する乗員保護装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0064】
また、第1実施形態によれば、図6及び図10に示すように、多重2値信号として取り得る全ての振幅は4種類である。そのため、これらの振幅を判別できる3種類の閾値を基準電源の電圧として設定することで、多重2値信号から2種類の2値信号を確実に求めることができる。
【0065】
さらに、第1実施形態によれば、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の間では、多重2値信号は、電圧波形として送受信されている。一方、センサ装置10の送信回路101と制御装置11の受信回路113の間では、多重2値信号は、電流波形として送受信されている。そのため、多重2値信号を確実に送受信することができる。
【0066】
なお、第1実施形態では、2種類の2値信号から多重2値信号を生成するとともに、その多重2値信号から多重2値信号を成す2種類の2値信号に対応した信号を生成する例を挙げているが、2値信号の種類は2種類に限られるものではない。2値信号が3種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して1、2、4倍の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる7種類の閾値を設定することで、多重2値信号から3種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0067】
また、2値信号が4種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して1、2、4、8倍の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる15種類の閾値を設定することで、多重2値信号から3種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0068】
さらに、2値信号がn種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる(2n−1)種類の閾値を設定することで、多重2値信号からn種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、スイッチ101aと電流源101c、スイッチ101bと電流源101dが、送信回路101として一体的に構成され、スイッチ101a、101bが、ともに制御回路103によって制御される例を挙げているが、これに限られるものではない。例えば、図11に示すように、スイッチ101aと電流源101c、スイッチ101bと電流源101dがそれぞれ独立した送信回路101A、101Bとして構成され、スイッチ101a、101bが、それぞれ独立した制御回路103A、103Bによって制御されていてもよい。つまり、複数のセンサ装置が、通信線13を介して直列接続されるように構成されていてもよい。また、送信回路110についても同様に、スイッチ毎にそれぞれ独立して構成され、スイッチが、それぞれ独立した制御回路によって制御されていてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の通信装置について説明する。第2実施形態の乗員保護装置は、第1実施形態の乗員保護装置がハイレベルの振幅が異なる複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成し送受信していたのに対して、ハイレベルの振幅が異なる複数の2値信号を順次送受信するようにしたものである。第2実施形態の乗員保護装置は、第1実施形態の乗員保護装置と同一構成であり、動作のみが異なる。ここでは、第1実施形態の乗員保護装置との相違部分である動作のみについて説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0071】
図2、図12〜図14を参照して、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の送受信動作について説明する。ここで、図12は、第2実施形態の乗員保護装置における信号Eと信号Fと信号Gについて説明するための説明図である。図13は、信号Eと信号Fと信号Gを生成する動作について説明するための説明図である。図14は、2値信号から論理状態を判定する動作について説明するための説明図である。図15は、2値信号から信号の種類を判定する動作について説明するための説明図である。図16は、信号E、信号F及び信号Gのタイムチャートである。
【0072】
まず、2値信号を生成し送信する動作について説明する。図2において、制御回路113は、指令等として、3種類の信号E、F及びGを生成する。信号E、F及びGは、論理状態が1であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値からなる2値信号である。図12に示すように、信号Eは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が1Vである。信号Fは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2Vである。信号Gは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が3Vである。つまり、信号E、F及びGは、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なる。
【0073】
図2において、制御回路113は、スイッチ110d〜110fを制御し、信号E、F及びGを生成して順次送信する。図13に示すように、スイッチ110d〜110fの動作と生成される信号の振幅の関係は、第1実施形態の乗員保護装置と同じである。
【0074】
例えば、信号Eの論理状態が011、信号Fの論理状態が101、信号Gの論理状態が110の場合には、図16に示すように、t5〜t6間には、ハイレベルの振幅が1Vである信号Eが、t7〜t8間には、ハイレベルの振幅が2Vである信号Fが、t9〜t10間には、ハイレベル振幅が3Vである信号Gが、それぞれ2値信号として生成され順次送信される。
【0075】
次に、送信された複数の2値信号から、信号の種類を判定し、2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図2において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0076】
図14に示すように、2値信号の振幅が0Vのとき、コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態0であると判定する。2値信号の振幅が1Vのとき、コンパレータ100aの出力がハイレベル、コンパレータ100b、100cの出力がローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。2値信号の振幅が2Vのとき、コンパレータ100a、100bの出力がハイレベル、コンパレータ100cの出力がローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。2値信号の振幅が3Vのとき、コンパレータ100a、100bの出力がともにハイレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。
【0077】
また、図15に示すように、2値信号のハイレベルの振幅が1Vのときには、制御回路113は、その2値信号が信号Eであると判定する。2値信号のハイレベルの振幅が2Vのときには、その2値信号が信号Fであると判定する。2値信号のハイレベルの振幅が3Vのときには、その2値信号が信号Gと判定する。
【0078】
例えば、図16に示すように、t5〜t6間に、ハイレベルの振幅が1Vである2値信号が、t7〜t8間に、ハイレベルの振幅が2Vである2値信号が、t9〜t10間に、ハイレベル振幅が3Vである2値信号が順次送信される場合には、基準電源100d〜100fの電圧との比較結果から信号Eが論理状態011、信号Fが論理状態101、信号Gが論理状態110であると判定する。
【0079】
センサ装置10の送信回路100と制御装置11の受信回路113の送受信動作も、2値信号が電流波形として送受信されること以外同様である。
【0080】
最後に、効果について説明する。第2実施形態によれば、3種類の2値信号である信号E、信号F及び信号Gのハイレベルの振幅は、それぞれ異なる。そのため、2値信号のハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定することができる。つまり、信号の種類についての情報を2値信号のハイレベルの振幅として付加することができる。しかも、2値信号の周波数を上げる必要がない。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0081】
なお、第2実施形態では、ハイレベルの振幅が異なる3種類の2値信号を送受信する例を挙げているが、2値信号の種類は3種類に限られるものではない。2値信号の種類は、何種であってもよい。それらのハイレベルの振幅が異っていれば、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・乗員保護装置(通信装置)、10・・・センサ装置、100・・・受信回路(受信手段)、100a〜100c・・・コンパレータ、100d〜100f・・・基準電源、101、101A、101B・・・送信回路(送信手段)、101a、101b・・・スイッチ、101c、101d・・・電流源、102・・・センサ、103、103A、103B・・・制御回路(受信手段、送信手段)、11・・・制御装置、110・・・送信回路(送信手段)、110a〜110c・・・抵抗、110d〜110f・・・スイッチ、110g・・・バッファ、111・・・受信回路(受信手段)、111a・・・抵抗、111b〜111d・・・コンパレータ、1110e〜111g・・・基準電源、111h・・・オペアンプ、112・・・センサ、113・・・制御回路(送信手段、受信手段)、12・・・エアバッグ装置、13・・・通信線、130・・・基準線、131・・・伝送線
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信線を介して接続される送信手段と受信手段とを備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信線を介して接続される送信手段と受信手段とを備えた通信装置を有するものとして、例えば特許文献1に開示されている乗員保護装置がある。この乗員保護装置は、マスターユニットと、サテライトユニットとを備えている。マスターユニットとサテライトユニットは、通信ラインによって接続されている。マスターユニットは、通信ラインを介してアドレス信号と要求信号を順次送信する。サテライトセンサは、マスターユニットの送信したアドレス信号と要求指令を順次受信する。そして、アドレス信号と要求信号に基づいて通信ラインを介してマスターユニットに衝突データを送信する。マスターユニットは、サテライトセンサの送信した衝突データを受信する。そして、衝突データに基づいてエアバッグ等を展開し乗員を保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−258821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したアドレス信号と要求信号は、一般的に、振幅が一定値であるハイレベルとローレベルの2値からなる2値信号として送受信されている。そのため、2値信号の周波数を上げることで、単位時間当たりに送受信可能な情報量を簡単に増加させることができる。しかし、2値信号の周波数を上げると、ハイレベルとローレベルの切換わりに伴って発生する放射ノイズが増加してしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、複数の2値信号のハイレベルの振幅を、信号の種類によって異なるように設定することで、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加できることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の通信装置は、ローレベルとハイレベルの2値からなるn種類の2値信号を送信する送信手段と、通信線を介して送信手段に接続され、送信手段の送信したn種類の2値信号を受信する受信手段と、を備えた通信装置において、 n種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあり、送信手段は、n種類の2値信号を加算し多重2値信号を生成して送信し、受信手段は、送信手段の送信した多重2値信号を受信し、多重2値信号の振幅に基づいて多重2値信号を成すn種類の2値信号に対応した信号を求めることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、多重2値信号は、n種類の2値信号を加算して生成されている。n種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にある。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。従って、多重2値信号の振幅に基づいてn種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。しかも、多重2値信号は、n種類の2値信号を加算して生成されることから、多重2値信号の周波数は、2値信号の周波数と同一である。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0009】
請求項2に記載の通信装置は、受信手段は、多重2値信号の振幅を閾値と比較し、比較結果に基づいてn種類の2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号からn種類の2値信号に対応する信号を確実に求めることができる。
【0010】
請求項3に記載の通信装置は、閾値は、(2n −1)種類設定されていることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号として取り得る全ての振幅は2n 種類である。そのため、閾値を(2n −1)種類設定することで、多重2値信号からn種類の2値信号に対応する信号をより確実に求めることができる。
【0011】
請求項4に記載の通信装置は、多重2値信号は、電圧波形又は電流波形として送受信されることを特徴とする。この構成によれば、多重2値信号を確実に送受信することができる。
【0012】
請求項5に記載の通信装置は、ローレベルとハイレベルの2値からなる複数種類の2値信号を送信する送信手段と、通信線を介して送信手段に接続され、送信手段の送信した2値信号を受信する受信手段と、を備えた通信装置において、複数種類の2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なり、送信手段は、複数種類の2値信号を順次送信し、受信手段は、送信手段の送信した複数種類の2値信号を順次受信し、ハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定するとともに、複数種類の2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、複数種類の2値信号のハイレベルの振幅は、それぞれ異なる。そのため、2値信号のハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定することができる。つまり、信号の種類についての情報を2値信号のハイレベルの振幅として付加することができる。しかも、2値信号の周波数を上げる必要がない。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0014】
請求項6に記載の通信装置は、送信手段及び受信手段は、車両に搭載され、指令又は指令に対する応答を信号として送受信することを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載された通信装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0015】
請求項7に記載の通信装置は、送信手段及び受信手段は、車両に搭載され車両への衝突を検出するセンサ装置と、車両に搭載され、センサ装置の検出結果に基づいて乗員保護手段の起動を制御する制御装置の間で、信号を送受信することを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載されたセンサ装置と制御装置の間で信号を送受信する通信装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における乗員保護装置のブロック図である。
【図2】通信線を介して接続される制御装置の送信回路とセンサ装置の受信回路周辺の回路図である。
【図3】通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。
【図4】信号Aと信号Bについて説明するための説明図である。
【図5】信号Aと信号Bから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図6】多重2値信号から信号A及び信号Bに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図7】信号A、信号B及び多重2値信号のタイムチャートである。
【図8】信号Cと信号Dについて説明するための説明図である。
【図9】信号Cと信号Dから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図10】多重2値信号から信号C及び信号Dに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【図11】別の形態における通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。
【図12】第2実施形態の乗員保護装置における信号Eと信号Fと信号Gについて説明するための説明図である。
【図13】信号Eと信号Fと信号Gを生成する動作について説明するための説明図である。
【図14】2値信号から論理状態を判定する動作について説明するための説明図である。
【図15】2値信号から信号の種類を判定する動作について説明するための説明図である。
【図16】信号E、信号F及び信号Gのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る通信装置を、車両に搭載され、車両の乗員を保護する乗員保護装置に適用した例を示す。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して乗員保護装置の概略構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態における乗員保護装置のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、乗員保護装置1(通信装置)は、センサ装置10と、制御装置11と、エアバッグ装置12とを備えている。センサ装置10と制御装置11とは、通信線13を介して接続されている。具体的には、基準線130と伝送線131とを介して接続されている。
【0020】
センサ装置10は、車両の所定箇所に設置され、車両への衝突を検出する装置である。具体的には、車両の加速度を検出する装置である。センサ装置10は、制御装置11から電圧波形として送信される多重2値信号を受信する。ここで、多重2値信号は、指令等の複数の2値信号を加算して生成される信号である。センサ装置10は、受信した多重2値信号から、指令等の複数の2値信号に対応する信号を求める。その後、これらに対する応答である複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成する。そして、生成した多重2値信号を電流波形として制御装置11に送信する。センサ装置10は、受信回路100(受信手段)と、送信回路101(送信手段)と、センサ102と、制御回路103(受信手段、送信手段)とを備えている。
【0021】
受信回路100は、制御装置11から電圧波形として送信される多重2信号を受信し、その振幅に基づいて多重2信号を成す指令等の複数の2値信号に対応した信号を制御回路103に出力する回路である。受信回路100は、通信線13を介して制御装置11に接続されている。
【0022】
送信回路101は、制御回路103で生成される指令等に対する応答である複数の2値信号を加算して多重2信号を生成し、電流波形として制御装置11に送信する回路である。送信回路103は、通信線13を介して制御装置11に接続されている。
【0023】
センサ102は、車両への衝突を検出する素子である。具体的には、車両の加速度を検出する素子である。
【0024】
制御回路103は、受信回路100から出力される指令等の複数の2値信号に対応した信号に基づいてセンサ102を制御し、指令等に対応する応答である複数の2値信号を送信回路101に出力する回路である。制御回路103は、受信回路100、送信回路101及びセンサ102にそれぞれ接続されている。
【0025】
制御装置11は、センサ装置10に指令等を送信し、指令等に対する応答としてセンサ装置10から送信される検出結果、及び、後述するセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御する装置である。制御装置11は、センサ装置10の検出結果を得るため、指令等の複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成する。そして、生成した多重2値信号を電圧波形としてセンサ装置10に送信する。その後、センサ装置10から電流波形として送信される指令等に対する応答である多重2値信号を受信する。受信した多重2値信号から指令等に対する応答である複数の2値信号に対応する信号、つまり、センサ装置10の検出結果等を求める。そして、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する。制御装置11は、送信回路110(送信手段)と、受信回路111(受信手段)と、センサ112と、制御回路113(送信手段、受信手段)とを備えている。
【0026】
送信回路110は、制御回路113で生成される指令等の複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成し、電圧波形としてセンサ装置10の受信回路100に送信する回路である。送信回路110は、通信線13を介して受信回路100に接続されている。
【0027】
受信回路111は、センサ装置10の送信回路101から電流波形として送信される多重2値信号を受信し、その振幅に基づいて多重2値信号を成す指令等に対する応答である複数の2値信号に対応した信号を制御回路113に出力する回路である。受信回路111は、通信線13を介して送信回路101に接続されている。
【0028】
センサ112は、制御装置11内に配置され、車両への衝突を検出する素子である。具体的には、車両の加速度を検出する素子である。
【0029】
制御回路113は、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する回路である。制御回路113は、センサ装置10の検出結果を得るため、指令等の複数の2値信号を送信回路110に出力し、受信回路111から出力される指令等に対応する応答である複数の2値信号及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12に点火信号を出力する。制御回路113は、送信回路110、受信回路111及びセンサ113にそれぞれ接続されている。
【0030】
エアバッグ装置12は、制御装置11の制御回路113から出力される点火信号に基づいてエアバッグを展開し、乗員を保護する装置である。エアバッグ装置12は、制御回路113に接続されている。
【0031】
次に、図2及び図3を参照して、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100、並びに、センサ装置10の送信回路101と制御装置11の受信回路111の構成について詳細に説明する。ここで、図2は、通信線を介して接続される制御装置の送信回路とセンサ装置の受信回路周辺の回路図である。図3は、通信線を介して接続されるセンサ装置の送信回路と制御装置の受信回路周辺の回路図である。ここでは、指令等及び指令等に対する応答として、2種類の2値信号を伝達する例を示す。
【0032】
図2に示すように、制御装置11の送信回路110は、抵抗110a〜110cと、スイッチ110d〜110fと、バッファ110gとを備えている。ここで、抵抗110a〜110cの抵抗値は、2:1:4となるように設定されている。抵抗110aの一端は、電源に接続されている。具体的には、3Vを供給する電源に接続されている。抵抗100aの他端は、スイッチ110dを介して接地され、基準線130に接続されている。また、スイッチ110e及び抵抗110bを介して接地され、基準線130に接続されている。さらに、スイッチ110f及び抵抗110cを介して接地され、基準線130に接続されている。加えて、入力抵抗の大きなバッファ110gを介して伝送線131に接続されている。スイッチ110d〜110fの制御端子は、制御回路113に接続されている。
【0033】
センサ装置10の受信回路100は、コンパレータ100a〜100cと、基準電源100d〜100fとを備えている。ここで、基準電源100d〜100fの電圧は、それぞれ0.5V、1.5V、2.5Vに設定されている。コンパレータ100a〜100cの非反転入力端子は、伝送線131に接続されている。コンパレータ100aの反転入力端子は、基準電源100dの正極端子に接続され、基準電源100dの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100bの非反転入力端子は、基準電源100eの正極端子に接続され、基準電源100eの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100cの非反転入力端子は、基準電源100fの正極端子に接続され、基準電源100fの負極端子は基準線130に接続されている。コンパレータ100a〜100cの出力端子は、制御回路103に接続されている。
【0034】
図3に示すように、送信回路101は、スイッチ101a、101bと、電流源101c、101dとを備えている。ここで、電流源101c、101dの出力電流は、1:2となるように、それぞれIA、2IAに設定されている。スイッチ101a、101bの一端は、伝送線131に接続されている。スイッチ101aの他端は、電流源101cを介して基準線130に接続されている。スイッチ101bの他端は、電流源101dを介して基準線130に接続されている。スイッチ101a、101bの制御端子は、制御回路103に接続されている。
【0035】
制御装置11の受信回路111は、抵抗111aと、オペアンプ111hと、コンパレータ111b〜111dと、基準電源111e〜111gとを備えている。ここで、抵抗111aの抵抗値は、電流源101aの電流IAが流れたとき、電流が流れていないときとの差分が1Vとなるように設定されている。また、基準電源111e〜111gの電圧は、それぞれ0.5V、1.5V、2.5Vに設定されている。抵抗111aの一端は電源に、他端は伝送線131にそれぞれ接続されている。オペアンプ111hの入力端子は、抵抗111aの両端にそれぞれ接続されている。コンパレータ111b〜111dの非反転入力端子は、オペアンプ111hの出力端子に接続されている。コンパレータ111bの反転入力端子は、基準電源111eの正極端子に接続され、基準電源111eの負極端子は接地されている。コンパレータ111cの反転入力端子は、基準電源111fの正極端子に接続され、基準電源111fの負極端子は接地されている。コンパレータ111dの反転入力端子は、基準電源111gの正極端子に接続され、基準電源111gの負極端子は接地されている。コンパレータ111b〜111dの出力端子は、制御回路113に接続されている。また、基準線130は、受信回路111内で接地されている。
【0036】
次に、図2、図4〜図7を参照して制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の送受信動作について説明する。ここで、図4は、信号Aと信号Bについて説明するための説明図である。図5は、信号Aと信号Bから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。図6は、多重2値信号から信号A及び信号Bに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。図7は、信号A、信号B及び多重2値信号のタイムチャートである。まず、2値信号から多重2値信号を生成する動作について説明する。
【0037】
図2において、制御回路113は、指令等として2種類の信号A及び信号Bを生成する。信号Aと信号Bは、論理状態が0であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値ならなる2値信号である。図4に示すように、信号Aは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が1Vである。一方、信号Bは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2Vである。つまり、信号Aと信号Bは、ローレベルが共通し、信号Bのハイレベルの振幅が、信号Aのハイレベルの振幅の2倍である。
【0038】
図2において、制御回路113は、送信回路110を制御し、生成した信号Aと信号Bを加算して多重2値信号を生成し送信する。具体的には、スイッチ110d〜110fを制御し、生成した信号Aと信号Bを加算して多重2値信号を生成する。
【0039】
図5に示すように、信号Aと信号Bがともに論理状態0であるローレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110dのみをオンする。スイッチ110dがオンすると、抵抗110dの他端が接地される。そのため、抵抗110dの他端の電圧は0Vとなる。これにより、振幅が0Vである信号Aと、振幅が0Vである信号Bが加算され、振幅が0Vの多重2値信号が生成されることとなる。
【0040】
信号Aが論理状態1であるハイレベル、信号Bが論理状態0であるローレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110eのみをオンする。スイッチ110eがオンすると、3Vの電源電圧が、直列接続された抵抗110a、110bによって分圧される。抵抗110a、110bの抵抗値は、2:1に設定されている。そのため、抵抗110aの他端の電圧は1Vとなる。これにより、振幅が1Vである信号Aと、振幅が0Vである信号Bが加算され、振幅が1Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0041】
信号Aが論理状態0であるローレベル、信号Bが論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110fのみをオンする。スイッチ110fがオンすると、3Vの電源電圧が、直列接続された抵抗110a、110cによって分圧される。抵抗110a、110cの抵抗値は、1:2に設定されている。そのため、抵抗110aの他端の電圧は2Vとなる。これにより、振幅が0Vである信号Aと、振幅が2Vである信号Bが加算され、振幅が2Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0042】
信号Aと信号Bがともに論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路113は、スイッチ110d〜110fを全てオフする。スイッチ110d〜110fがオフすると、抵抗110aの他端の電圧は3Vとなる。これにより、振幅が1Vである信号Aと、振幅が2Vである信号Bが加算され、振幅が3Vである多重2値信号が生成されることとなる。
【0043】
例えば、図7に示すように、信号Aの論理状態が011、信号Bの論理状態が101の場合には、t1〜t2間が2V、t2〜t3間が1V、t3〜t4間が3Vである多重2値信号が生成される。このようにして生成された多重2値信号は、バッファ110gから出力され、通信線13を介して受信回路100に送信される。
【0044】
次に、多重2値信号から多重2値信号を成す2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図2において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される多重2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0045】
図6に示すように、多重2値信号の振幅が0Vのとき、コンパレータ100a〜100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100d〜100fの電圧より低いことから、ともにローレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルであると、制御回路103は、信号Aと信号Bがともに論理状態0であると判定する。
【0046】
多重2値信号の振幅が1Vのとき、コンパレータ100aは、多重2値信号の電圧が基準電源100dの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ100b、100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100e、100fの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ100aの出力がハイレベルであり、コンパレータ100b、100cの出力がローレベルであると、制御回路103は、信号Aが論理状態1、信号Bが論理状態0と判定する。
【0047】
多重2値信号の振幅が2Vのとき、コンパレータ100a、100bは、多重2値信号の電圧が基準電源100d、100eの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ100cは、多重2値信号の電圧が基準電圧100fの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ100a、100bの出力がハイレベルであり、コンパレータ100cの出力がローレベルであると、制御回路103は、信号Aが論理状態0、信号Bが論理状態1と判定する。
【0048】
多重2値信号の振幅が3Vのとき、コンパレータ100a〜100cは、多重2値信号の電圧が基準電源100d〜100fの電圧より高いことから、ともにハイレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにハイレベルであると、制御回路103は、信号Aと信号Bがともに論理状態1であると判定する。
【0049】
例えば、図7に示すように、t1〜t2間が2V、t2〜t3間が1V、t3〜t4間が3Vである多重2値信号の場合には、基準電源100d〜100fの電圧との比較結果から信号Aが論理状態011、信号Bが論理状態101であると判定する。このようにして、制御回路103は、信号Aと信号Bの論理状態を求め、対応する動作を行う。
【0050】
次に、図3、図8〜図10を参照してセンサ装置10の送信回路100と制御装置11の受信回路111の送受信動作について説明する。ここで、図8は、信号Cと信号Dについて説明するための説明図である。図9は、信号Cと信号Dから多重2値信号を生成する動作について説明するための説明図である。図10は、多重2値信号から信号C及び信号Dに対応する信号を生成する動作について説明するための説明図である。
【0051】
まず、2値信号から多重2値信号を生成する動作について説明する。図3において、制御回路103は、指令等に対する応答として2種類の信号C及び信号Dを生成する。信号Cと信号Dは、論理状態が0であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値ならなる2値信号である。図8に示すように、信号Cは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Aであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅がIAである。一方、信号Dは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Aであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2IAである。つまり、信号Cと信号Dは、ローレベルが共通し、信号Dのハイレベルの振幅が、信号Cのハイレベルの振幅の2倍である。
【0052】
図3において、制御回路103は、送信回路101を制御し、生成した信号Cと信号Dを加算して多重2値信号を生成し送信する。具体的には、スイッチ101a、101bを制御し、生成した信号Cと信号Dを加算して多重2値信号を生成する。
【0053】
図9に示すように、信号Cと信号Dがともに論理状態0であるローレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101a、101bを全てオフする。スイッチ101a、101bがオフすると、電流源101c、101dから電流が供給されない。そのため、通信線13に流れる電流は0Aとなる。これにより、振幅が0Aである信号Cと、振幅が0Aである信号Dが加算され、振幅が0Aの多重2値信号が生成されることとなる。
【0054】
信号Cが論理状態1であるハイレベル、信号Dが論理状態0であるローレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101aのみをオンする。スイッチ101aがオンすると、電流源101cから電流が供給される。そのため、通信線13を流れる電流はIAとなる。これにより、振幅がIAである信号Cと、振幅が0Aである信号Dが加算され、振幅がIAである多重2値信号が生成されることとなる。
【0055】
信号Cが論理状態0であるローレベル、信号Dが論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101bのみをオンする。スイッチ110fがオンすると、通信線13を流れる電流は2IAとなる。これにより、振幅が0Aである信号Cと、振幅が2IAである信号Dが加算され、振幅が2IAである多重2値信号が生成されることとなる。
【0056】
信号Cと信号Dがともに論理状態1であるハイレベルのとき、制御回路103は、スイッチ101a、101bを全てオンする。スイッチ101a、101bがオンすると、通信線13を流れる電流は3IAとなる。これにより、振幅がIAである信号Cと、振幅が2IAである信号Dが加算され、振幅が3IAである多重2値信号が生成されることとなる。このようにして生成された多重2値信号は、通信線13を介して受信回路111に送信される。
【0057】
次に、多重2値信号から多重2値信号を成す2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図3において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される多重2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0058】
図10に示すように、多重2値信号の振幅が0Aのとき、抵抗111aの端子間電圧は0Vとなる。コンパレータ111b〜111dは、抵抗111aの端子間電圧が基準電源111e〜111gの電圧より低いことから、ともにローレベルを出力する。コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルであると、制御回路113は、信号Cと信号Dがともに論理状態0であると判定する。
【0059】
多重2値信号の振幅がIAのとき、抵抗111aの端子間電圧は1Vとなる。コンパレータ111bは、多重2値信号の電圧が基準電源111cの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ111c、111dは、多重2値信号の電圧が基準電源111f、111gの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ111bの出力がハイレベルであり、コンパレータ111c、111dの出力がローレベルであると、制御回路113は、信号Cが論理状態1、信号Dが論理状態0と判定する。
【0060】
多重2値信号の振幅が2IAのとき、抵抗111aの端子間電圧は2Vとなる。コンパレータ111b、111cは、多重2値信号の電圧が基準電源111e、111fの電圧より高いことから、ハイレベルを出力する。一方、コンパレータ111dは、多重2値信号の電圧が基準電圧111gの電圧より低いことから、ローレベルを出力する。コンパレータ111b、111cの出力がハイレベルであり、コンパレータ111dの出力がローレベルであると、制御回路113は、信号Cが論理状態0、信号Dが論理状態1と判定する。
【0061】
多重2値信号の振幅が3IAのとき、抵抗111aの端子間電圧は3Vとなる。コンパレータ111b〜111dは、多重2値信号の電圧が基準電源111e〜111gの電圧より高いことから、ともにハイレベルを出力する。コンパレータ111b〜111dの出力がともにハイレベルであると、制御回路113は、信号Cと信号Dがともに論理状態1であると判定する。このようにして、制御回路103は、信号Cと信号Dの論理状態を求める。
【0062】
そして、図1に示す制御装置11は、センサ装置10及びセンサ112の検出結果に基づいてエアバッグ装置12を制御するための点火信号を出力する。エアバッグ装置12は、制御装置11から出力される点火信号に基づいてエアバッグを展開し乗員を保護する。
【0063】
最後に、効果について説明する。第1実施形態によれば、多重2値信号は、2種類の2値信号である信号Aと信号Bを加算して生成されている。また、2種類の2値信号である信号Cと信号Dを加算して生成されている。図4に示すように、信号Aと信号Bは、ローレベルが共通し、信号Bのハイレベルの振幅が、信号Aのハイレベルの振幅の2倍である。図8に示すように、信号Cと信号Dも、ローレベルが共通し、信号Dのハイレベルの振幅が、信号Cのハイレベルの振幅の2倍である。そのため、図5及び図9に示すように、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。従って、多重2値信号の振幅に基づいて2種類の2値信号である信号Aと信号B、また、信号Cと信号Dに対応した信号を求めることができる。しかも、多重2値信号は、2種類に2値信号を加算して生成されることから、多重2値信号の周波数は、2値信号の周波数と同一である。従って、車両に搭載されたセンサ装置と制御装置の間で信号を送受信し、乗員を保護する乗員保護装置において、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0064】
また、第1実施形態によれば、図6及び図10に示すように、多重2値信号として取り得る全ての振幅は4種類である。そのため、これらの振幅を判別できる3種類の閾値を基準電源の電圧として設定することで、多重2値信号から2種類の2値信号を確実に求めることができる。
【0065】
さらに、第1実施形態によれば、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の間では、多重2値信号は、電圧波形として送受信されている。一方、センサ装置10の送信回路101と制御装置11の受信回路113の間では、多重2値信号は、電流波形として送受信されている。そのため、多重2値信号を確実に送受信することができる。
【0066】
なお、第1実施形態では、2種類の2値信号から多重2値信号を生成するとともに、その多重2値信号から多重2値信号を成す2種類の2値信号に対応した信号を生成する例を挙げているが、2値信号の種類は2種類に限られるものではない。2値信号が3種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して1、2、4倍の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる7種類の閾値を設定することで、多重2値信号から3種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0067】
また、2値信号が4種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して1、2、4、8倍の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる15種類の閾値を設定することで、多重2値信号から3種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0068】
さらに、2値信号がn種類の場合には、これら2値信号は、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあればよい。これにより、多重2値信号として取り得る全ての振幅を、それぞれ異なる振幅にすることができる。そのため、多重2値信号として取り得る全ての振幅を判別できる(2n−1)種類の閾値を設定することで、多重2値信号からn種類の2値信号に対応した信号を求めることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、スイッチ101aと電流源101c、スイッチ101bと電流源101dが、送信回路101として一体的に構成され、スイッチ101a、101bが、ともに制御回路103によって制御される例を挙げているが、これに限られるものではない。例えば、図11に示すように、スイッチ101aと電流源101c、スイッチ101bと電流源101dがそれぞれ独立した送信回路101A、101Bとして構成され、スイッチ101a、101bが、それぞれ独立した制御回路103A、103Bによって制御されていてもよい。つまり、複数のセンサ装置が、通信線13を介して直列接続されるように構成されていてもよい。また、送信回路110についても同様に、スイッチ毎にそれぞれ独立して構成され、スイッチが、それぞれ独立した制御回路によって制御されていてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の通信装置について説明する。第2実施形態の乗員保護装置は、第1実施形態の乗員保護装置がハイレベルの振幅が異なる複数の2値信号を加算して多重2値信号を生成し送受信していたのに対して、ハイレベルの振幅が異なる複数の2値信号を順次送受信するようにしたものである。第2実施形態の乗員保護装置は、第1実施形態の乗員保護装置と同一構成であり、動作のみが異なる。ここでは、第1実施形態の乗員保護装置との相違部分である動作のみについて説明し、共通する部分については説明を省略する。
【0071】
図2、図12〜図14を参照して、制御装置11の送信回路110とセンサ装置10の受信回路100の送受信動作について説明する。ここで、図12は、第2実施形態の乗員保護装置における信号Eと信号Fと信号Gについて説明するための説明図である。図13は、信号Eと信号Fと信号Gを生成する動作について説明するための説明図である。図14は、2値信号から論理状態を判定する動作について説明するための説明図である。図15は、2値信号から信号の種類を判定する動作について説明するための説明図である。図16は、信号E、信号F及び信号Gのタイムチャートである。
【0072】
まず、2値信号を生成し送信する動作について説明する。図2において、制御回路113は、指令等として、3種類の信号E、F及びGを生成する。信号E、F及びGは、論理状態が1であるローレベルと、論理状態が1であるハイレベルの2値からなる2値信号である。図12に示すように、信号Eは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が1Vである。信号Fは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が2Vである。信号Gは、論理状態が0であるローレベルのとき、振幅が0Vであり、論理状態が1であるハイレベルのとき、振幅が3Vである。つまり、信号E、F及びGは、ローレベルが共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なる。
【0073】
図2において、制御回路113は、スイッチ110d〜110fを制御し、信号E、F及びGを生成して順次送信する。図13に示すように、スイッチ110d〜110fの動作と生成される信号の振幅の関係は、第1実施形態の乗員保護装置と同じである。
【0074】
例えば、信号Eの論理状態が011、信号Fの論理状態が101、信号Gの論理状態が110の場合には、図16に示すように、t5〜t6間には、ハイレベルの振幅が1Vである信号Eが、t7〜t8間には、ハイレベルの振幅が2Vである信号Fが、t9〜t10間には、ハイレベル振幅が3Vである信号Gが、それぞれ2値信号として生成され順次送信される。
【0075】
次に、送信された複数の2値信号から、信号の種類を判定し、2値信号に対応する信号を生成する動作について説明する。図2において、コンパレータ100a〜100bは、送信回路110から送信される2値信号の電圧を、基準電源100d〜100fの電圧と比較する。
【0076】
図14に示すように、2値信号の振幅が0Vのとき、コンパレータ100a〜100cの出力がともにローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態0であると判定する。2値信号の振幅が1Vのとき、コンパレータ100aの出力がハイレベル、コンパレータ100b、100cの出力がローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。2値信号の振幅が2Vのとき、コンパレータ100a、100bの出力がハイレベル、コンパレータ100cの出力がローレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。2値信号の振幅が3Vのとき、コンパレータ100a、100bの出力がともにハイレベルとなり、制御回路113は、2値信号が論理状態1であると判定する。
【0077】
また、図15に示すように、2値信号のハイレベルの振幅が1Vのときには、制御回路113は、その2値信号が信号Eであると判定する。2値信号のハイレベルの振幅が2Vのときには、その2値信号が信号Fであると判定する。2値信号のハイレベルの振幅が3Vのときには、その2値信号が信号Gと判定する。
【0078】
例えば、図16に示すように、t5〜t6間に、ハイレベルの振幅が1Vである2値信号が、t7〜t8間に、ハイレベルの振幅が2Vである2値信号が、t9〜t10間に、ハイレベル振幅が3Vである2値信号が順次送信される場合には、基準電源100d〜100fの電圧との比較結果から信号Eが論理状態011、信号Fが論理状態101、信号Gが論理状態110であると判定する。
【0079】
センサ装置10の送信回路100と制御装置11の受信回路113の送受信動作も、2値信号が電流波形として送受信されること以外同様である。
【0080】
最後に、効果について説明する。第2実施形態によれば、3種類の2値信号である信号E、信号F及び信号Gのハイレベルの振幅は、それぞれ異なる。そのため、2値信号のハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定することができる。つまり、信号の種類についての情報を2値信号のハイレベルの振幅として付加することができる。しかも、2値信号の周波数を上げる必要がない。従って、2値信号の周波数を上げることなく、単位時間当たりに送受信可能な情報量を増加させることができる。
【0081】
なお、第2実施形態では、ハイレベルの振幅が異なる3種類の2値信号を送受信する例を挙げているが、2値信号の種類は3種類に限られるものではない。2値信号の種類は、何種であってもよい。それらのハイレベルの振幅が異っていれば、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・乗員保護装置(通信装置)、10・・・センサ装置、100・・・受信回路(受信手段)、100a〜100c・・・コンパレータ、100d〜100f・・・基準電源、101、101A、101B・・・送信回路(送信手段)、101a、101b・・・スイッチ、101c、101d・・・電流源、102・・・センサ、103、103A、103B・・・制御回路(受信手段、送信手段)、11・・・制御装置、110・・・送信回路(送信手段)、110a〜110c・・・抵抗、110d〜110f・・・スイッチ、110g・・・バッファ、111・・・受信回路(受信手段)、111a・・・抵抗、111b〜111d・・・コンパレータ、1110e〜111g・・・基準電源、111h・・・オペアンプ、112・・・センサ、113・・・制御回路(送信手段、受信手段)、12・・・エアバッグ装置、13・・・通信線、130・・・基準線、131・・・伝送線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローレベルとハイレベルの2値からなるn種類の2値信号を送信する送信手段と、
通信線を介して前記送信手段に接続され、前記送信手段の送信したn種類の前記2値信号を受信する受信手段と、
を備えた通信装置において、
n種類の前記2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあり、
前記送信手段は、n種類の前記2値信号を加算し多重2値信号を生成して送信し、
前記受信手段は、前記送信手段の送信した前記多重2値信号を受信し、前記多重2値信号の振幅に基づいて前記多重2値信号を成すn種類の前記2値信号に対応した信号を求めることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記多重2値信号の振幅を閾値と比較し、比較結果に基づいてn種類の前記2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記閾値は、(2n −1)種類設定されていることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記多重2値信号は、電圧波形又は電流波形として送受信されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
ローレベルとハイレベルの2値からなる複数種類の2値信号を送信する送信手段と、
通信線を介して前記送信手段に接続され、前記送信手段の送信した前記2値信号を受信する受信手段と、
を備えた通信装置において、
複数種類の前記2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なり、
前記送信手段は、複数種類の前記2値信号を順次送信し、
前記受信手段は、前記送信手段の送信した複数種類の前記2値信号を順次受信し、ハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定するとともに、複数種類の前記2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
前記送信手段及び前記受信手段は、車両に搭載され、指令又は指令に対する応答を信号として送受信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信手段及び前記受信手段は、前記車両に搭載され前記車両への衝突を検出するセンサ装置と、前記車両に搭載され、前記センサ装置の検出結果に基づいて乗員を保護する乗員保護装置の間で信号を送受信することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項1】
ローレベルとハイレベルの2値からなるn種類の2値信号を送信する送信手段と、
通信線を介して前記送信手段に接続され、前記送信手段の送信したn種類の前記2値信号を受信する受信手段と、
を備えた通信装置において、
n種類の前記2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がハイレベルの最小振幅に対して2m−1倍(mは1〜nまでの整数)の関係にあり、
前記送信手段は、n種類の前記2値信号を加算し多重2値信号を生成して送信し、
前記受信手段は、前記送信手段の送信した前記多重2値信号を受信し、前記多重2値信号の振幅に基づいて前記多重2値信号を成すn種類の前記2値信号に対応した信号を求めることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記多重2値信号の振幅を閾値と比較し、比較結果に基づいてn種類の前記2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記閾値は、(2n −1)種類設定されていることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記多重2値信号は、電圧波形又は電流波形として送受信されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
ローレベルとハイレベルの2値からなる複数種類の2値信号を送信する送信手段と、
通信線を介して前記送信手段に接続され、前記送信手段の送信した前記2値信号を受信する受信手段と、
を備えた通信装置において、
複数種類の前記2値信号は、ローレベルの振幅が共通し、ハイレベルの振幅がそれぞれ異なり、
前記送信手段は、複数種類の前記2値信号を順次送信し、
前記受信手段は、前記送信手段の送信した複数種類の前記2値信号を順次受信し、ハイレベルの振幅に基づいて信号の種類を判定するとともに、複数種類の前記2値信号に対応する信号を求めることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
前記送信手段及び前記受信手段は、車両に搭載され、指令又は指令に対する応答を信号として送受信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信手段及び前記受信手段は、前記車両に搭載され前記車両への衝突を検出するセンサ装置と、前記車両に搭載され、前記センサ装置の検出結果に基づいて乗員を保護する乗員保護装置の間で信号を送受信することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−213168(P2010−213168A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59361(P2009−59361)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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