説明

通信装置

【課題】ネットワークに接続された多機能周辺機器としての通信装置の利便性を向上させる。
【解決手段】本発明の通信装置100は、少なくとも一つのネットワーク装置201が接続されている第1の通信ネットワーク200に接続され、該ネットワーク装置201との間で双方向通信を行うと共に、上記第1の通信ネットワーク200とは異なるネットワーク網からなる第2の通信ネットワーク300に接続され、該第2の通信ネットワーク300に接続された通信機器301との間で通信を行い、常時動作している常時動作部103と、上記第1の通信ネットワーク200上の上記ネットワーク装置201に対して、汎用の通信プロトコルを用いて送信したコマンドに対する返信コマンドに応じて、上記常時動作部103における動作を制御する通信制御部110とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種類の通信ネットワークに対する通信機能を有し、1台でプリント機能、複写機能、ファックス機能等の複数の機能を有する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、MFP(Multi Function Peripheral:複数の機能を搭載した複合的な周辺機器)が知られている。MFPとして、例えば1台で、プリンタとスキャナー、コピー機、電話機、FAXなどの複数の機能を兼ねる複合機がある。このように、様々な機能を1台の機器にコンパクトにまとめたMFPは、SOHO(Small Office Home Office)の普及などとともに需要が高まり、一般的になっている。
【0003】
また、ネットワーク機能を搭載したMFPも一般的になってきている。このようなネットワーク機能を搭載したMFPでは、ネットワークと連携してスキャナー、プリンタ、FAX、またネットワーク経由でPC(Personal Computer)からMFP内部設定や登録等ができるようになっている。
【0004】
特許文献1,2には、PC等の通信装置から、在席情報などを送信・登録することにより、サーバやMFP等の機器の処理を行う技術が開示されている。
【0005】
一方、TCP/IPネットワーク上の指定のIPアドレスが接続されているかどうか診断することも一般的に知られている。IPアドレスを指定すると、ICMP(Internet Control Message Protocol)を使って通常32バイト程度のデータを送信し、相手のコンピュータから返信があるかどうか、返信がある場合はどのくらい時間がかかっているか、などのデータを元にネットワークを診断する命令(PINGなど)が有名である。
【0006】
特許文献3には、PC接続確認を実施し、未接続時にはプリント機能を搭載した機器の電源をオフする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−84417号公報(1998年8月7日公開)
【特許文献2】特開平10−84417号公報(1998年3月31日公開)
【特許文献3】特開2006−323770号公報(2006年11月30日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の何れの技術を用いても、上述したように、電話、ファックス等の常時動作する必要のある機能を有するMFPのような多機能周辺機器をネットワークに接続したシステムにおいて、当該ネットワークに接続されている他の機器の接続状態から、当該多機能周辺機器の各機能の設定を変更することはできなかった。
【0008】
このため、多機能周辺機器をネットワークに接続した場合の利便性を低下させるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ネットワークに接続された多機能周辺機器としての通信装置の利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る通信装置は、上記課題を解決するために、少なくとも一つのネットワーク装置が接続されている第1の通信ネットワークに接続され、該ネットワーク装置との間で双方向通信を行うと共に、上記第1の通信ネットワークとは異なるネットワーク網からなる第2の通信ネットワークに接続され、該第2の通信ネットワークに接続された通信機器との間で通信を行う通信装置であって、当該通信装置において、常時動作している常時動作部と、上記第1の通信ネットワーク上の上記ネットワーク装置に対して、汎用の通信プロトコルを用いて送信したコマンドに対する返信コマンドに応じて、上記常時動作部における動作を制御する通信制御部とを備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、通信制御部が、第1の通信ネットワーク上の上記ネットワーク装置に対して、汎用の通信プロトコルを用いて送信したコマンドに対する返信コマンドから、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況を監視することになる。そして、監視の結果、接続状況に応じて、上記常時動作部における動作を制御することになる。
【0012】
これにより、上記構成の通信装置は、第1の通信ネットワークに接続されているネットワーク装置から常時動作部の制御が行われるのではなく、自身が第1の通信ネットワークにおけるネットワーク装置の接続状況に応じて、常時動作している常時動作部の設定を行うことができる。
【0013】
上記の常時動作している常時動作部は、主に、電話機能、ファクシミリ機能及び、これらの機能に関連する機能を示す。これに加えて、プリント機能、コピー機能等の複数種類の機能も常時動作部とすることもできる。
【0014】
上記通信制御部は、具体的には、上記コマンドの送受信を行うコマンド送受信部と、上記コマンド送受信部により受信したコマンドに、上記常時動作部の動作を制御するために必要な命令コマンドが含まれているか否かを判定するコマンド判定部と、上記コマンド判定部における判定結果に基づいて上記常時動作部の動作設定を行う動作設定部とを含んでいる。
【0015】
そして、上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに動作する着信動作が複数種類設定されており、上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における着信動作の種類を設定するようになっている。
【0016】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに使用者に対して、通知音で知らせる機能を有し、上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における使用者に対する通知音の音量を制御するようにすることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じて、公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときの通知音の音量を自動的に切り替えることができる。例えば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されている場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいる可能性が高いため、通知音の音量を通常の呼び出し音の音量にし、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されていない場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいない可能性が高いため、あえて使用者に被呼があったことを知らせる必要がないので、通知音の音量を通常の音量よりも下げるようにすればよい。これにより、通信装置の環境に応じて通知音量を適切に調整することができる。
【0018】
また、上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに使用者に対して、複数種類の音源からの通知音で知らせる機能を有し、上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における使用者に対する通知音の音源を切り替えるようにするのが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じて、公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときの通知音の音源を自動的に切り替えることができる。これにより、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されている場合と、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されていない場合とで音源を異ならせて、接続状況に応じて音源を自動的に切り替えるようにすればよい。
【0020】
また、上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記常時動作部は、留守番電話モードとして在宅モードと留守モードの2種類を含んだ留守番電話機能を有し、上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記留守番電話機能における在宅モードまたは留守モードの何れかのモードに切り替えるようにすればよい。
【0021】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じて、留守番電話モードを自動的に切り替えることができる。例えば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されている場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいる可能性が高いため、留守番電話モードを在宅モードに設定し、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されていない場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいない可能性が高いため、あえて使用者に被呼があったことを知らせる必要がないので、留守番電話モードを留守モードに設定するようにすればよい。
【0022】
ここで、在宅モードとは、ネットワーク装置付近に使用者が存在している場合に設定する留守番電話モードであり、留守モードとは、ネットワーク装置付近に使用者が存在しない場合に設定する留守番電話モードである。
【0023】
さらに、上記動作設定部は、上記留守番電話機能における在宅モードまたは留守モードの何れかのモードに設定されているときに、上記コマンド判定部による判定結果に応じて着信したときの留守応答メッセージを切り替えるようにすればよい。
【0024】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じた、留守応答メッセージに設定できる。例えば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されている場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいる可能性が高いため、留守番電話モードが在宅モードであると判定して、在宅モードにおいて最適なメッセージを出力できるように自動的に設定し、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されていない場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいない可能性が高いため、あえて使用者に被呼があったことを知らせる必要がないので、留守番電話モードが留守モードであると判定して、留守モードにおいて最適なメッセージを出力できるように自動的に設定するようにすればよい。
【0025】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記常時動作部は、上記公衆電話網から受信したファクシミリデータを、上記第1の通信ネットワークに接続されている自装置以外の他のネットワーク装置へ転送する転送機能を有し、上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、受信したファクシミリデータについて、上記の他のネットワーク装置へのファクシミリデータの上記常時動作部による転送の可否設定を行う転送可否設定機能を有していることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じて、受信したファクシミリデータの転送の可否設定を行うことができる。例えば、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されている場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいる可能性が高いため、受信したファクシミリデータを他のネットワーク装置に転送しないようにし、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置が接続されていない場合には、使用者が当該ネットワーク装置が設置された部屋にいない可能性が高いため、あえて使用者に被呼があったことを知らせる必要がないので、受信したファクシミリデータを他のネットワーク装置に転送するように設定することができる。
【0027】
上記動作設定部は、上記コマンド送受信部により受信したコマンドに含まれるネットワーク装置のIPアドレスにより、異なる処理を実行するようにしてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、予めIPアドレス毎に異なる処理を設定するようにすることで、第1の通信ネットワーク上のネットワーク装置の接続状況に応じて、ネットワーク装置に対して所望する処理を実行させることができる。
【0029】
上記コマンド送受信部は、コマンドの送信を、一定の周期毎に繰返し実施するようにしてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、コマンドの送信を、一定の周期毎に繰返し実施することで、第1の通信ネットワークにネットワーク装置が接続されているか否かの確認を自動で行うようになる。
【0031】
上記コマンド送受信部は、コマンド送信を、当該通信装置の動作待機状態時に実施するようにしてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、通信装置が使用者により使用されていない間に、第1の通信ネットワークにネットワーク装置が接続されているか否かの確認を自動で行うようになる。
【0033】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、上記コマンド送受信部は、コマンド送信を、上記公衆電話網を介して回線交換機より受信する呼び出し信号を受けた場合に実施するようにしてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、第1の通信ネットワークにネットワーク装置が接続されているか否かの確認を最小限にすることが可能となり、その結果、消費電力の低減を図ることができる。
【0035】
上記動作設定部は、設定した動作の情報の一部又は全部を使用者に通知するようにしてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、上述のように、各種設定が自動で行われた場合であっても、設定した動作の情報が使用者に通知されるので、使用者による使用感の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る通信装置は、以上のように、少なくとも一つのネットワーク装置が接続されている第1の通信ネットワークに接続され、該ネットワーク装置との間で双方向通信を行うと共に、上記第1の通信ネットワークとは異なるネットワーク網からなる第2の通信ネットワークに接続され、該第2の通信ネットワークに接続された通信機器との間で通信を行う通信装置であって、当該通信装置において、常時動作している常時動作部と、上記第1の通信ネットワーク上の上記ネットワーク装置に対して、汎用の通信プロトコルを用いて送信したコマンドに対する返信コマンドに応じて、上記常時動作部における動作を制御する通信制御部とを備えていることで、通信ネットワークに接続された通信装置の利便性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の一実施形態について説明すれば、以下の通りである。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置100の一例を示す概略ブロック図である。
【0040】
上記通信装置100は、図1に示すように、2種類の通信ネットワークである、第1の通信ネットワーク200、第2の通信ネットワーク300と通信可能となっている。
【0041】
上記第1の通信ネットワーク200としては、例えばLAN(Local Area Network:構内通信網)やWAN(Wide Area Network:広域通信網)等の通信ネットワークを挙げることができる。本実施の形態では、第1の通信ネットワーク200としてLANを用いた場合について説明する。
【0042】
上記第2の通信ネットワーク300としては、上記第1の通信ネットワーク200とは独立して構成される別の通信ネットワーク、例えば固定電話網、携帯電話網等の通信ネットワークを挙げることができる。本実施の形態では、第2の通信ネットワーク300として固定電話網を用いた場合について説明する。
【0043】
なお、上記第1の通信ネットワーク200と第2の通信ネットワーク300とは、独立して構成された別の通信ネットワークであればよく、同じ種類の通信ネットワークであってもよい。例えば、第1の通信ネットワーク200と第1の通信ネットワーク200とが何れも、LANであってもよい。
【0044】
上記第1の通信ネットワーク200には、少なくとも1台のネットワーク装置201が接続され、上記第2の通信ネットワーク300には、少なくとも1台の通信機器301が接続されている。
【0045】
上記通信装置100は、上記第1の通信ネットワーク200に接続されネットワーク装置201との間で双方向通信を行うための第1通信部101と、上記第2の通信ネットワーク300に接続された通信機器301との間で通信を行うための第2通信部102と、上記第2通信部102を利用した通信によって常時動作する常時動作部103と、これらを制御する通信制御部110とを備えている。
【0046】
ここで、上記常時動作部103としては、第2の通信ネットワーク300が固定電話網などの電話網である場合に、電話の着信や、ファックス受信などの通信装置100において常時動作する必要のある動作部を示している。
【0047】
さらに、上記通信装置100は、上記通信制御部110で利用するための各種情報を格納した記憶部105を備えている。なお、上記記憶部105に格納されている情報は、上記通信制御部110によって必要に応じて書き換えられるようになっている。
【0048】
上記通信制御部110は、上記第1通信部101を用いて、上記第1の通信ネットワーク200を介して上記ネットワーク装置201に対して汎用の通信プロトコルにてコマンドの送受信を行うコマンド送受信部111と、上記コマンド送受信部111が受信したコマンドに命令コマンドが含まれているか否かを判定するコマンド判定部112と、上記コマンド判定部112によって、命令コマンドが含まれていると判定したときに、当該命令コマンドに対応付けられた処理を実行するための動作を設定する動作設定部113とを少なくとも含んでいる。
【0049】
上記通信プロトコルは、通信装置100から第1の通信ネットワーク200に接続されているネットワーク装置201に対してデータを送信し、該ネットワーク装置201から返信データを受信するためのプロトコルであれば、どのようなプロトコルであってもよい。例えば、上記の通信プロトコルの一つとして、PING(Packet INternet Groper)を挙げることができる。
【0050】
上記構成の通信装置100は、第1の通信ネットワーク200に対してネットワーク装置201の接続状況を確認するためのコマンドを送信し、返信されたデータに命令コマンドが含まれているときに、この命令コマンドに予め対応付けられた処理を実行するための動作を設定するようになっているので、ネットワーク装置201側から通信装置100の動作を制御する必要はない。
【0051】
しかも、通信装置100側で、第1の通信ネットワーク200に接続されているネットワーク装置201の接続状況を把握できるので、記憶部105に予め接続状況とそれに対応する処理とを対応付けて記憶させておけば、ネットワーク装置201の接続状況に応じて自動的に通信装置100自身で所望の処理を実行することができる。
【0052】
以上のことから、本発明の通信装置100としては、ネットワーク接続機能を有して、少なくとも通話機能、ファックス機能等の常時動作させる必要のある機能を備えた多機能周辺装置(MFP:Multifunction Peripheral)が好適である。
【0053】
また、上記通信装置100は、第1の通信ネットワーク200に対してネットワーク装置201の接続状況を確認した接続確認結果や、通信制御部110内の動作設定部113において決定された設定情報を、ユーザに通知する通知部106を備えている。この通知部106を実現する機能としては、接続確認結果や接続情報を印字出力するためのプリンタなどの印字機能、接続確認結果や接続情報をユーザにメール転送するためのSMTP機能、接続確認結果や接続情報を表示するための液晶表示パネルなどの表示機能、接続確認結果や接続情報を音声で報知するためのスピーカなどの音声出力機能を挙げることができる。このように、上記通知部106を実現する機能としては、ユーザに対して接続確認結果や設定情報を知らせる得る機能であればどのような機能であってもよい。
【0054】
以下に、本発明の通信装置100をMFPに適用した例について説明する。
【0055】
図2は、MFP1の概略構成ブロック図である。なお、MFP1において、通信装置100と同一の機能を有する部材については同一の部材番号を付記し、詳細な説明は省略する。
【0056】
上記MFP1は、図2に示すように、第1通信部101に相当するネットワーク部2、クロック3、第2通信部102に相当するNCU(Network Control Unit)4及びモデム部5、スピーカー制御部6、スピーカー7、操作部8、記憶部105、通信制御部110を含んだ構成となっている。
【0057】
ここで、記憶部105、通信制御部110は、図1に示す通信装置100の構成要素と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0058】
上記ネットワーク部2は、Ethernet(登録商標)等の通信方式によるLAN10(第1の通信ネットワーク200)に接続されている。これにより、MFP1は、同じLAN10に接続されているネットワーク装置201との間で通信を行うようになっている。例えば、図3に示すように、(1)通信装置100がコマンド送信をネットワーク装置201に対して行った結果、(2)該ネットワーク装置201が受信したコマンドに対する返信用のコマンドを通信装置100に送信する。
【0059】
上記クロック3は、現在時間を通信制御部110に出力するものである。ここで、通信制御部110は、クロック3からの出力により現在時刻を把握し、予め設定された時刻に達したときに、他のネットワーク装置201に対して接続確認用のコマンドを送信するようになっている。
【0060】
上記第2通信部102内のNCU4は、第2の通信ネットワーク300である公衆網20と通信ケーブル11を介して接続され、該公衆網に対するデータの送受信のためのポートとして機能している。
【0061】
上記モデム部5は、NCU4を介して公衆網20(第2の通信ネットワーク300)にデータの送信及び受信を行うところである。このモデム部5は、受信したデータをスピーカー制御部6及び通信制御部110に出力するようになっている。
【0062】
上記スピーカー制御部6は、モデム部5から得られたデータに基づいて、スピーカー7に音波となる電気信号を出力するようになっている。例えば、モデム部5から得られたデータが電話の着信を示すデータであれば、音波として着信音を鳴らすようにスピーカー7に電気信号を出力する。
【0063】
上記操作部8は、MFP1における各種の操作及び設定を行うための入力インターフェースである。MFP1のユーザは、この上記操作部8を操作することで、同一LAN10上に接続されている他のネットワーク装置201の接続状況を確認したり、接続状況確認のための設定を行ったりすることができる。
【0064】
図4は、MFP1とネットワーク装置201との接続関係を示す図である。
【0065】
ここで、上記構成のMFP1は、図4に示すように、ネットワーク装置201としての3台のPC(Personal Computer)(1)〜(3)及び2台のネットワーク機器(1)(2)と通信ネットワークの一つであるLAN10に接続されている。すなわち、ここでは、通信装置100が接続されている第1の通信ネットワーク200は、LAN10である。なお、図4の各機器の上部に記した数値(例えば、192.168.1.2.)は、各機器のIPアドレスを示している。
【0066】
上記LAN10は、ルータ12を介してインターネットに接続されている。
【0067】
上記MFP1は、第1の通信ネットワーク200としてのLAN10を介してインターネットにアクセス可能である。
【0068】
また、MFP1は、LAN10に接続して機能するネットワーク機能だけでなく、電話/ファクシミリ/留守番電話機能を備えており、第2の通信ネットワーク300の一つである公衆網20が接続されている。
【0069】
上記のネットワーク機器(1)(2)としては、ネットワークプリンタやネットワーク家電(冷蔵庫、エアコンなど)でもよいし、部屋の照明などでもよく、ネットワークに接続する機能を有する機器であれば、特に種類は問わない。
【0070】
図4に示すネットワークにおいて、MFP1は、操作部8からの操作信号により、LAN10に接続された他の機器に対して、図5に示すような各機器の接続設定を行う。つまり、MFP1は、図5に示す接続設定により、各機器の接続状況を把握する。
【0071】
具体的には、MFP1は、図5で設定された時刻になると、図4に示すLAN10に接続されたネットワーク機器(1)、PC(2)、PC(3)に相当するIPアドレスに対してLAN接続確認のコマンドを送信するものとする。ここで、MFP1は、図5に示す接続設定情報に基づいて、図4に示すLAN10に接続された機器のうち、接続設定が行われていないネットワーク機器(2)、PC(1)に対してはネットワーク接続確認の対象となっていないため、LAN接続確認のコマンド送信を実施しない。コマンド送信に対して各機器からのコマンド受信(図3)の有無を図2の記憶部105に記憶させる。記憶させた結果が図6のような結果になっているものとする。
【0072】
図6に示す結果は、接続の確認時間が、18時の時点では、ネットワーク機器(1)とPC(2)が接続確認されている結果が得られているが、21時の時点では全ての機器の接続確認が取れなかったことを示している。21時の時点では、全てのネットワーク装置からコマンド受信が無かったという結果を示している。
【0073】
ここで、MFP1は、図1に示す通信制御部110内のコマンド送受信部111により受信したコマンドからコマンド判定部112によって、全てのネットワーク装置からのコマンド受信が無かったと判定した場合に、当該通信制御部110が任意の処理を行う。
【0074】
上記の任意の処理とは、電話/ファクシミリ/留守番電話機能に関する各種設定の変更でも良いし、MFP1がネットワーク経由で受信されるパケットをポーリングしないようにする設定に変更することでも良いし、ネットワーク機器が照明機器などの場合では、照明OFFを示す送信コマンドを送ることでも良い。任意の処理内容については、特に問わないが、ユーザが所望する処理を行うものとする。
【0075】
以下に、任意の処理として、電話/ファクシミリ/留守番電話機能に関する各種設定の変更を行う場合の例について説明する。
【0076】
まず、着信設定制御について説明する。
【0077】
図7は、MFP1における着信設定制御の流れを示すフローチャートである。以下の説明において、接続しているとは、機器がLAN10に接続され通信可能な状態であることを示し、接続されていないとは、機器がLAN10に接続されているものの、電源OFF等により通信不可能な状態であることを示すものとする。
【0078】
まず、MFP1の通信制御部110は、クロック3の出力により、図5に示した接続確認の設定時刻を経過したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、設定時刻を経過していれば、コマンド送受信部111が、予め設定した確認先の機器に対して、接続確認用のコマンドを第1通信部101からLAN10を介して送信して接続確認を行い、接続確認を行った結果を記憶部105に格納する(ステップS2)。
【0079】
次に、記憶部105に格納されている接続確認から、前回接続の確認結果を調べて、LAN10に接続されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0080】
ステップS3において、前回接続されていることが確認されれば、ステップS4に移行して、今回接続の確認結果から接続されているか否かを判定する。ここで、今回接続されていれば処理を終了し、今回接続されていなければ、着信回数を2回に設定し、着信時のモードをFAX受信固定に設定し(ステップS5)、処理を終了する。
【0081】
一方、ステップS3において、前回接続されていないと確認されれば、ステップS6に移行して、今回接続の確認結果から接続されているか否かを判定する。ここで、今回接続されていなければ、既に着信モードが設定されていると判断し、処理を終了し、今回接続されていれば、着信回数を5回に設定し、着信時のモードをTEL/FAX自動切替えモードに設定し(ステップS7)、処理を終了する。
【0082】
ここで、TEL/FAX自動切替えモードとは、一旦、MFP1は着信しておいた上でMFP1本体のベルを鳴らし通話を促すのと並行して回線からのFAX送信信号(CNG信号など)を検出している状態、つまり電話/FAXの両待ち状態となるモードのことである。
【0083】
以上のように、図7に示すフローチャートでは、前回ネットワーク機器との接続確認が取れており、今回ネットワーク機器との接続確認が取れなくなった場合に、着信設定を着信回数2回、着信時のモードをFAX受信固定に変更する処理の流れを示すと共に、前回ネットワーク機器との接続確認が取れておらず、今回ネットワーク機器との接続確認が取れるようになった場合に、着信設定を着信回数5回、着信時のモードをTEL/FAX自動切替えモードに設定する処理の流れを示している。前者は、図6に示す接続確認時間が18時から21時に移行した場合の処理の流れに相当し、後者は、図6に示す接続確認時間が21時から翌日の9時に移行した場合の処理の流れに相当している。
【0084】
ここで、LAN10内の図5に示すように接続確認対象として設定されているネットワーク機器がオフィスの1部屋に存在していると仮定した場合、18時から21時に移行した場合は、その部屋が不在になるというケースと判定できるので、電話には誰もでることはできないと想定して、FAX専用マシンとしてFAX受信固定に設定することを意味しており、21時から翌日の9時に移行した場合は、その部屋が稼動開始したということで誰かが在席していると判定し、MFP1を電話/FAXの両方を受けることが可能なモードに切り替えることを意味している。
【0085】
次に、着信音量制御について説明する。
【0086】
図8は、MFP1における音量設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0087】
まず、MFP1の通信制御部110は、第2通信部102によって公衆網20からの受信、すなわち被呼の有無を判定する(ステップS11)。ここで、被呼有りと判定すれば、通信制御部110によって、図5において設定した接続確認対象の機器がLAN10に接続されているか否かを確認する(ステップS12)。
【0088】
ステップS12において、機器が接続されていると判定された場合、スピーカー制御部6によりスピーカー7による着信鳴動音を大音量レベルに設定し(ステップS13)、処理を終了する。
【0089】
一方、ステップS12において、機器が接続されていないと判定された場合、スピーカー制御部6によりスピーカー7による着信鳴動音を小音量レベルに設定し(ステップS14)、処理を終了する。
【0090】
ここでは、図6に示す接続確認結果から、21時の時点で全てのネットワーク機器の接続確認が取れなくなった場合と、翌日の9時に1台の接続確認が取れるようになった場合とを例にして上記処理を当てはめる。この場合、MFP1は、21時から翌日の9時の間、LAN10に接続されたネットワーク機器は無いと判断し、被呼時の着信ベル音量を小に設定する。それ以外の時間帯は、接続ネットワーク機器があると判断し被呼時の着信ベル音量を大に設定する。一般に、ネットワーク接続が無いということは不在である場合が多いため、あえて人に被呼があったことを大音量で知らせる必要がないことから有効である。
【0091】
続いて、着信音源制御について説明する。
【0092】
図9は、MFP1における着信音源設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
まず、MFP1の通信制御部110は、第2通信部102によって公衆網20からの受信、すなわち被呼の有無を判定する(ステップS21)。ここで、被呼有りと判定すれば、通信制御部110によって、図5において設定した接続確認対象の機器が全てLAN10に接続されていないことを確認する(ステップS22)。
【0094】
ステップS22において、機器が全てLAN10に未接続でないと判定されれば、少なくとも1台の機器はLAN10に接続されていると判断し、接続されている機器が設定された時刻において予め設定された機器(一部の機器)であるか否かを判断する(ステップS23。ここで、一部の機器であると判断されれば、着信音を予め指定されたメロディに選択し(ステップS24)、処理を終了する。
【0095】
また、ステップS23において、一部の機器でないと判断されれば、着信音を予め指定されたベルの音に選択し(ステップS25)、処理を終了する。
【0096】
さらに、上記のステップS22において、全機器が未接続であると判断されれば、着信音を音源無しのノンコールに設定し(ステップS26)、処理を終了する。
【0097】
ここでは、図6に示す接続確認結果から、12時、13時に全設定機器がネットワーク接続されている場合と、9時、18時の時点で一部の機器がネットワーク接続されている場合と、21時の時点で接続されているネットワーク機器は無い場合とにおける着信制御について説明している。
【0098】
つまり、図9に示すフローチャートにより、21時の時点で、音源無しのノンコール設定とする。9時、18時の時点では一部の機器がネットワーク接続されているので、指定のメロディを着信音源として設定する。12時、13時の時点では全機器がネットワーク接続されている結果のため、着信音源として通常のベル音を設定する。
【0099】
なお、着信設定については、上述した例の設定だけではなく、ネットワーク接続機器がない場合に異なる音源を使用する設定とするなども考えられる。
【0100】
また、上述の着信音源制御については、ネットワーク機器の接続確認のコマンド受信情報を利用して着信音源を切り替えればよいので、図9に示すフローチャートの処理に限定されるものではない。
【0101】
次に、在宅/留守制御について説明する。
【0102】
図10は、MFP1における在宅/留守制御の流れを示すフローチャートである。以下の説明において、接続しているとは、機器がLAN10に接続され通信可能な状態であることを示し、接続されていないとは、機器がLAN10に接続されているものの、電源OFF等により通信不可能な状態であることを示すものとする。
【0103】
まず、MFP1の通信制御部110は、クロック3の出力により、図5に示した接続確認の設定時刻を経過したか否かを判定する(ステップS31)。ここで、設定時刻を経過していれば、コマンド送受信部111が、予め設定した確認先の機器に対して、接続確認用のコマンドを第1通信部101からLAN10を介して送信して接続確認を行い、接続確認を行った結果を記憶部105に格納する(ステップS32)。
【0104】
次に、記憶部105に格納されている接続確認から、前回接続の確認結果を調べて、LAN10に接続されているか否かを判定する(ステップS33)。
【0105】
ステップS33において、前回接続されていることが確認されれば、ステップS34に移行して、今回接続の確認結果から接続されているか否かを判定する。ここで、今回接続されていれば処理を終了し、今回接続されていなければ、着信モードを留守モードに設定し(ステップS35)、処理を終了する。
【0106】
一方、ステップS33において、前回接続されていないと確認されれば、ステップS36に移行して、今回接続の確認結果から接続されているか否かを判定する。ここで、今回接続されていなければ、既に着信モードが留守モードに設定されていると判断し、処理を終了し、今回接続されていれば、着信モードを在宅モードに設定し(ステップS37)、処理を終了する。
【0107】
以上のように、図10に示すフローチャートでは、前回ネットワーク機器との接続確認が取れており、今回ネットワーク機器との接続確認が取れなくなった場合に、留守モード設定に変更するものである。留守モード時は、一定の着信回数後に応答メッセージを流し、メッセージ録音可能にするモードのことである。また、前回ネットワーク機器との接続確認が取れておらず、今回ネットワーク機器との接続確認が取れるようになった場合に、在宅モードに変更するものである。在宅モードは、一定着信回数後に応答メッセージ等は流さず、前述した自動FAX受信モードや、TEL/FAX自動切替えモードなどに移行するモードである。オフィスなどのLAN環境では、ネットワーク機器の未接続状態が人の不在であることと一致するケースが多く、自動で留守/在宅モードを切り替えることが可能である。
【0108】
次に、留守応答制御について説明する。
【0109】
図11は、MFP1における留守応答処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
まず、ステップS41において、MFP1の通信制御部110は、第2通信部102によって公衆網20からの受信、すなわち被呼の有無を判定する。
【0111】
次に、ステップS42において、被呼有りと判定すれば、通信制御部110によって、着信モードが留守モードに設定されているか否かを判定する。
【0112】
さらに、ステップS43において、留守モードに設定されていると判定すれば、着信回数が規定回数に達しているか否かを判定する。
【0113】
以上のステップS41〜S43において、全て、YESの場合に、LAN10に接続されているネットワーク機器が存在しているか否かを判定する(ステップS44)。ここで、LAN10にネットワーク機器が接続されていると判定されれば、応答メッセージ(1)を再生し(ステップS45)、LAN10にネットワーク機器が接続されていないと判定されれば、応答メッセージ(2)を再生し(ステップS46)、処理を終了する。
【0114】
ここで、図6に示す接続確認結果を上記の処理に当てはめると、図11に示すフローチャートにおいて、ネットワーク機器が全て未接続状態である21時から翌日の9時の間は、留守着信時に応答メッセージ(2)を流し、それ以外の時間帯は少なくとも1台のネットワーク機器が接続状態にあるので、応答メッセージ(1)を流すということを示している。上記の応答メッセージ例としては、図12(a)〜図12(c)に示す通りである。
【0115】
上述のように、図5で設定されているネットワーク機器が全てネットワークに接続されていないということを、人が既に不在でオフィスなどでは業務が終了していることに意味づけしている。よって応答メッセージ(2)は、それを鑑みた応答メッセージとなっている。例えば、図12(b)に示す応答メッセージ例2を挙げることができる。
【0116】
また、ネットワーク機器がLAN10に接続された状態では、一時的に席を外している可能性が大きいため、応答メッセージ(1)は、それを鑑みた応答メッセージとなっている。例えば、図12(a)または図12(c)に示す応答メッセージ例1,3を挙げることができる。
【0117】
このように考えることで、LAN環境下の状態をオフィス等の状態と関連付けて、ユーザ所望の設定とすることが可能となる。
【0118】
以上の説明では、接続確認結果として、図6に示す例を示すのみであり、特にユーザに対して結果を示す点について触れなかったが、接続確認結果を上記通信装置100の通知部106を用いてユーザに通知するようにしてもよい。通知例としては、図13に示すような内容が考えられる。
【0119】
また、上記接続確認結果の通知方法は、様々な方法を用いることができるが、例えば、MFP1が印字機能を搭載しているのであれば、接続確認結果を印字しても良いし、また、MFP1がSMTP機能を搭載しているのであれば、接続確認結果をユーザに対してメール送信しても良いし、単に操作部により操作し本体上に表示しても良い。
【0120】
また、通信装置100では、上述したように、上記通知部106において、上記接続確認結果の他に設定情報をユーザに通知することが可能である。
【0121】
各設定情報をユーザに通知する場合、具体的には、以下に示すような情報として通知部106によって通知される。図14(a)〜図14(d)は、通知部106による設定情報の通知例を示す。ここでは、○印を付記した項目が設定された項目であることを示している。
【0122】
例えば、図7に示した着信モード設定制御により設定された設定情報は、図14(a)に示すような情報となる。ここでは、自動FAX受信モードが設定されていることが示されている。
【0123】
また、図8に示した音量設定制御により設定された設定情報は、図14(b)に示すような情報となる。ここでは、大音量ベル鳴動が設定されていることが示されている。
【0124】
さらに、図9に示した着信音源設定制御により設定された設定情報は、図14(c)に示すような情報となる。ここでは、メロディ選択が設定されていることが示されている。
【0125】
また、図10に示した在宅/留守設定制御、及び図11に示した留守応答制御によって設定された設定された情報は、図14(d)に示すような情報となる。ここでは、留守モードに設定されると共に、この留守モードに最適な応答内容を示す応答メッセージ(1)が設定されていることが示されている。
【0126】
以上のように、ユーザに通知すべき接続確認結果や設定情報は、図13、図14(a)〜図14(d)に示す内容全てであってもよいし、一部分の情報のみであってもよく、通知すべき情報は適宜設定可能となっている。
【0127】
続いて、転送制御について説明する。
【0128】
図15は、MFP1における転送処理の流れを示すフローチャートである。
【0129】
まず、MFP1の通信制御部110は、第2通信部102によって公衆網20からの受信、すなわちFAX受信の有無を判定する(ステップS51)。ここで、FAX受信があれば、通信制御部110によって、図5において設定した接続確認対象のネットワーク機器のうちLAN10に接続されているネットワーク機器が存在しているか否かを判定する(ステップS52)。
【0130】
ステップS52において、LAN10に接続されているネットワーク機器が存在していると判定されれば、MFP1に搭載された印字機能により、FAX受信データを印字し(ステップS53)、処理を終了する。
【0131】
一方、ステップS53において、LAN10に接続されているネットワーク機器が存在していないと判定されれば、何れかのネットワーク機器に対してFAX受信データを転送し(ステップS54)、処理を終了する。
【0132】
以上のように、図15に示すフローチャートでは、図6に示す接続確認結果から、ネットワーク機器が全て未接続状態である場合にFAX受信した場合の処理を示す。
【0133】
ここでは、図6に示す接続確認結果において、21時から翌日の9時の間にFAX受信し受信データがMFP1に存在する場合には、ユーザが指定するネットワーク機器のIPアドレスに受信データを転送するようになっている。つまり、ネットワーク機器が全て未接続状態であることを、オフィス等の人の不在と認識することにより、FAX受信データをそのままMFP1により印字しないようになり、セキュリティ上、また印字データの取り忘れなどを防ぐといった効果がある。
【0134】
次に、着信音源制御の他の例について説明する。
【0135】
図16は、図5に示す機器の接続設定例が拡張された場合の接続設定例を示す図である。
【0136】
図17は、図16に示す接続設定例を用いた場合の着信音源設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0137】
まず、MFP1の通信制御部110は、第2通信部102によって公衆網20からの受信、すなわち被呼の有無を判定する(ステップS61)。ここで、被呼有りと判定すれば、通信制御部110によって、図16において設定した接続確認対象のネットワーク機器(1)がLAN10に接続されているか否かを判定する(ステップS62)。
【0138】
ステップS62において、ネットワーク機器(1)がLAN10に接続されていると判定されれば、さらに、図16において設定した接続確認対象のPC(2)(3)が接続されているか否かを判定する(ステップS63)。
【0139】
ステップS63において、PC(2)(3)が接続されていないと判定されれば、LAN10には、ネットワーク機器(1)のみが接続されているものとして、着信音を予め指定されたメロディに選択し(ステップS64)、処理を終了する。
【0140】
一方、ステップS63において、PC(2)(3)が接続されていると判定されれば、LAN10には、図16に示した接続確認対象であるネットワーク機器(1)及びPC(2)(3)の全てが接続されているものとして、着信音を予め指定されたベル音に選択し(ステップS65、処理を終了する。
【0141】
また、上記ステップS62において、ネットワーク機器(1)がLAN10に接続されていないと判定されれば、着信音を音源無し(ノンコール)に設定し(ステップS66)、処理を終了する。
【0142】
以上の処理は、接続確認結果により実施する所定の処理を、各ネットワーク機器の接続確認結果によって異なる処理を実施することを示している。
【0143】
図17に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートに示す着信音源制御の他の例について示したものである。そして、図16に示す接続設定例では、ネットワーク機器(1)が未接続であることを最優先とする設定となっている。つまり、ネットワーク機器(1)が未接続の場合は、他の機器の接続結果に関わらずノンコール着信設定としている。
【0144】
図16に示す接続設定は、ネットワーク機器(1)の接続可否が人の不在と連携しており、PC(2)、PC(3)などはあまり関連しない場合に有効な設定である。このように、接続設定をユーザが自由に設定できるようにすれば、ユーザ環境により柔軟に設定を決定出来るという利便性を有している。
【0145】
ここで、MFP1が接続確認を行う場合、図5、図16に示すように予め決めた接続設定に基づくのではなく、MFP1が一定周期毎に繰り返し他のネットワーク機器の接続確認を行うようにしてもよい。
【0146】
この場合の一定周期は、ユーザが図2の操作部8を介して設定する周期であてもよいし、MFP1の初期設定で予め設定された周期であってもよい。このように、一定周期で接続確認する場合には、各ネットワーク機器の接続状況が日々で異なるケースなどにおいて、特に有効であり、図5や図16に示すように予め決まった接続設定に基づいて接続確認を行うよりは、利便性は高い。
【0147】
また、MFP1が実施する他のネットワーク機器のネットワーク接続確認を、該MFP1が動作していない待機状態の時に実施するのが好ましい。つまり、MFP1は、コピー機能やプリント機能が使用されず、電話、FAXの着信を待っている待機状態の時にネットワーク接続確認を行うようにするのが好ましい。これは、各ネットワーク機器に接続していない場合でも、MFP1のみが使用されている場合に有効である。ユーザが在室時でMFP1の使用時にも関わらず、留守設定など不在時の設定に変更されてしまうことを防止する意味で有効である。
【0148】
さらに、MFP1が実施する他のネットワーク機器のネットワーク接続確認のタイミングを、公衆網の回線交換機より受信する呼び出し信号を受けた場合(着信時)に行うようにしてもよい。これは、リアルタイム性を重視したものであり、例えば、図10に示すフローチャートの場合は、着信時に留守判定を行うことになり、図15に示すフローチャートの場合は、着信後に受信するFAXデータの転送設定を行うことになり、前者後者ともにリアルタイム性があり、有効である。
【0149】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0150】
最後に、通信装置の各ブロック、特に通信制御部110は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0151】
すなわち、通信制御部110は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである通信制御部110の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記通信制御部110に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0152】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0153】
また、通信制御部110を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0154】
少なくとも2種類の通信ネットワークに対して通信可能な通信装置、特に、一つの通信ネットワークが公衆電話網である場合の通信装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信装置の一例を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す通信装置をMFPに適用した場合の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すMFPと他のネットワーク装置とが双方向通信を行っている状態を示す図である。
【図4】MFPとネットワーク装置との接続関係を示す図である。
【図5】各機器の接続設定を示す図である。
【図6】図5に示す各機器の接続設定に基づいた接続確認結果を示す図である。
【図7】MFPにおける着信設定制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】MFPにおける音量設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】MFPにおける着信音源設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】MFPにおける在宅/留守制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】MFPにおける留守応答処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】(a)〜(c)は、留守モード時における応答メッセージの例を示す図である。
【図13】ユーザに対する接続確認結果を通知する通知例を示す図である。
【図14】(a)〜(d)は、ユーザに対する設定情報を通知する通知例を示す図である。
【図15】MFPにおける転送処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】図5に示す機器の接続設定例を拡張された場合の接続設定例を示す図である。
【図17】図16に示す接続設定例を用いた場合の着信音源設定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0156】
1 MFP
2 ネットワーク部
3 クロック
4 NCU
5 モデム部
6 スピーカー制御部
7 スピーカー
8 操作部
10 LAN
11 通信ケーブル
12 ルータ
20 公衆網
100 通信装置
101 第1通信部
102 第2通信部
103 常時動作部
105 記憶部
106 通知部
110 通信制御部
111 コマンド送受信部
112 コマンド判定部
113 動作設定部
200 第1の通信ネットワーク
201 ネットワーク装置
300 第2の通信ネットワーク
301 通信機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのネットワーク装置が接続されている第1の通信ネットワークに接続され、該ネットワーク装置との間で双方向通信を行うと共に、上記第1の通信ネットワークとは異なるネットワーク網からなる第2の通信ネットワークに接続され、該第2の通信ネットワークに接続された通信機器との間で通信を行う通信装置であって、
当該通信装置において、常時動作している常時動作部と、
上記第1の通信ネットワーク上の上記ネットワーク装置に対して、汎用の通信プロトコルを用いて送信したコマンドに対する返信コマンドに応じて、上記常時動作部における動作を制御する通信制御部とを備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
上記通信制御部は、
上記コマンドの送受信を行うコマンド送受信部と、
上記コマンド送受信部により受信したコマンドに、上記常時動作部の動作を制御するために必要な命令コマンドが含まれているか否かを判定するコマンド判定部と、
上記コマンド判定部における判定結果に基づいて上記常時動作部の動作設定を行う動作設定部とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに動作する着信動作が複数種類設定されており、
上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における着信動作の種類を設定することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに使用者に対して、通知音で知らせる機能を有し、
上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における使用者に対する通知音の音量を制御することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記常時動作部は、上記公衆電話網を介して受信する呼び出し信号を受信したときに使用者に対して、複数種類の音源からの通知音で知らせる機能を有し、
上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記常時動作部における使用者に対する通知音の音源を切り替えることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記常時動作部は、留守番電話モードとして在宅モードと留守モードの2種類を含んだ留守番電話機能を有し、
上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、上記留守番電話機能における在宅モードまたは留守モードの何れかのモードに切り替えることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項7】
上記動作設定部は、上記留守番電話機能における在宅モードまたは留守モードの何れかのモードに設定されているときに、上記コマンド判定部による判定結果に応じて着信したときの留守応答メッセージを切り替えることを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記常時動作部は、上記公衆電話網から受信したファクシミリデータを、上記第1の通信ネットワークに接続されている自装置以外の他のネットワーク装置へ転送する転送機能を有し、
上記動作設定部は、上記コマンド判定部による判定結果に応じて、受信したファクシミリデータについて、上記の他のネットワーク装置へのファクシミリデータの上記常時動作部による転送の可否設定を行う転送可否設定機能を有していることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
上記動作設定部は、
上記コマンド送受信部により受信したコマンドに含まれるネットワーク装置のIPアドレスにより、異なる処理を実行することを特徴とする請求項2〜8の何れかに記載の通信装置。
【請求項10】
上記コマンド送受信部は、コマンドの送信を、一定の周期毎に繰返し実施することを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
上記コマンド送受信部は、コマンド送信を、当該通信装置の動作待機状態時に実施することを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
上記第2の通信ネットワークが公衆電話網であるとき、
上記コマンド送受信部は、コマンド送信を、上記公衆電話網を介して回線交換機より受信する呼び出し信号を受けた場合に実施することを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
上記動作設定部は、設定した動作の情報の一部又は全部を使用者に通知することを特徴とする請求項2〜12の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1〜13の何れか1項に記載の通信装置の各部として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−4400(P2010−4400A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162458(P2008−162458)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】