通信装置
【課題】複数のコイルアンテナを備える通信装置であって、各コイルアンテナに接続される動作手段の消費電力が異なる場合に、消費電力に応じた電力をバランスよく供給することができる通信装置を提供する。
【解決手段】外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多い。
【解決手段】外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の出力手段とそれらに対応して設けられる複数のコイルアンテナを備えた通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導や電波方式によって電力や信号を非接触で伝送する非接触信号伝送装置がある。例えば、下記特許文献1は、環状の電力用コイルと前記電力用コイルの内側に配置された信号用コイルを備える非接触信号伝送装置で、信号用コイルの内側及び周囲の比透磁率が電力用コイルの内側及び周囲の比透磁率よりも低くなるように構成されている。
【0003】
具体的には、電力用コイルは強磁性体であるフェライトで構成され、信号用コイルの比透磁率は電力用コイルの比透磁率に対する比が10分の1未満になるように作製される。このような構成にすることで、電力用コイルの信号用コイルに対する干渉を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような非接触信号伝送装置において、上記複数のコイルから構成されるアンテナとそのアンテナに接続される複数の動作手段がある場合に、各アンテナから信号を受信して得られる電力を用いた動作手段を動作させるために、それぞれの動作手段の消費電力が異なる場合がある。
【0006】
本発明は、複数のコイルアンテナを備える通信装置であって、各コイルアンテナに接続される動作手段の消費電力が異なる場合に、なるべく簡単な構成で消費電力に応じた電力を供給することができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1発明の通信装置は、外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多いことを特徴とする。
【0008】
第2発明の通信装置は、上記第1発明において、前記第一出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、前記外部の通信機器と信号の送受信を行うことを特徴とする。
【0009】
第3発明の通信装置は、上記第2発明において、前記第二出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて、動作を行なうことを特徴とする。
【0010】
第4発明の通信装置は、上記第2又は第3発明において、前記通信装置を対象物品に装着する場合に、前記対象物品の表面に対向する対向面を有し、前記第一コイルアンテナが設けられる第一面は、前記第二コイルアンテナが設けられる第二面よりも、前記対向面に近い側に形成されることを特徴とする。
【0011】
第5発明の通信装置は、上記第4発明において、前記第二出力手段は、前記第二ループアンテナを介して受信した信号から整流して得られる電力を用いて表示を行なう表示手段であって、前記第二面は前記第一面よりも前記表示手段に近い側に形成されることを特徴とする。
【0012】
第6発明の通信装置は、上記第5発明において、前記表示手段は発光手段であることを特徴とする。
【0013】
第7発明の通信装置は、上記第1ないし第3発明のいずれかにおいて、前記第一コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部を有し、前記第二コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第二コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第二コイルアンテナ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナに接続される前記第一出力手段の消費電力と、前記第二コイルアンテナに接続される前記第二出力手段の消費電力がそれぞれ異なる場合であっても、消費電力に応じた電力を各出力手段に供給することができる。
【0015】
請求項2に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナは前記第一出力手段を兼ねることにより、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、外部の通信機器と信号の送受信を行なうことができる。
【0016】
請求項3に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて第二出力手段は動作を行なうため、第一コイルアンテナより受信した信号により、外部の通信機器との通信に基いて第二出力手段での動作を行なうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明の通信装置によれば、前記第一面は前記第二面よりも、前記対象物品の表面に対向する側に前記第一面が配置され、外部の通信機器との距離が近くなる側に第二コイルアンテナが配置されるので、第一コイルアンテナよりも第二コイルアンテナの方が外部の通信機器からの送信された信号を受信しやすくなる。そのため、前記第一出力手段よりも消費電力の大きい第二出力手段へ、より大きな電力を供給することができる。
【0018】
請求項5に係る発明の通信装置によれば、前記表示手段は前記通信装置において、ユーザが視認しやすいように、通信装置の表面側に配置される。第二コイルアンテナが、第一コイルアンテナよりも表示手段に近い面に設けられることで、外部の通信機器からの距離が第二コイルアンテナの方が近くなる。そのため、第一コイルアンテナよりも第二コイルアンテナの方が外部の通信機器からの信号を受信しやすくなるので、前記第一出力手段よりも消費電力の大きい第二出力手段へ、より大きな電力を供給することができる。
【0019】
請求項6に係る発明の通信装置によれば、前記表示手段が発光手段であるので、効果的に発光を行うことができる。
【0020】
請求項7に係る発明の通信装置によれば、外部の通信機器に対して、前記第一コイルアンテナと前記第二コイルアンテナの設けられる位置が規定されない場合であっても、前記第一コイルアンテナに接続される前記第一出力手段と、前記第二コイルアンテナに接続される前記第二出力手段の消費電力に応じた電力を各出力手段に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のRFIDシステムの全体構成の一例を表すシステム構成図である。
【図2】本実施形態の無線タグの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の一例を表す平面模式図である。
【図4】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の別例を表す平面模式図である。
【図5】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の他の例を表す平面模式図である。
【図6】図4と図5の無線タグの6−6線及び6‘−6’線における断面模式図である。
【図7】アンテナコイルに対する磁界を示す模式図である。
【図8】本実施形態の無線タグを用いた物品管理のシステム構成図である。
【図9】図8の無線タグを物品に貼着したときの断面図である。
【図10】無線タグ通信装置の詳細機能を示す機能ブロック図である。
【図11】無線タグ通信装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図12】本実施形態の無線タグのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図13】変形例の無線タグの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図14】変形例の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の一例を表す平面模式図である。
【図15】変形例の無線タグのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1の無線タグ通信システム400において、無線タグ200は請求項に記載の通信装置の一実施形態であり、また、外部の通信機器としての無線タグ通信装置100と無線通信を行なう。
【0023】
図1の無線タグ通信システム400の概略を説明すると、装置アンテナ152を備えた無線タグ通信装置100と、その無線タグ通信装置100の通信対象である無線タグ200とから構成されるRadio Frequency Identification(以下、RFIDとする)システムである。上記無線タグ通信装置100は、そのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ200は応答器としてそれぞれ機能する。
【0024】
前記無線タグ通信装置100から送信信号である質問波FCが前記装置アンテナ152を介して、上記無線タグ200に向けて送信される。そして、その質問波FCを受信した上記無線タグ200において、所定のデータである情報信号によりその質問波FCが変調され、返信信号である応答波FRとして上記無線タグ通信装置100に向けて返信される。また、前記無線タグ200では受信した質問波FCを整流して電力を得ることで、電池を備えずに表示等の機能を実現している。このようにして、前記無線タグ通信装置100と前記無線タグ200との間で情報の通信が行われる。以下、各構成について順を追って説明する。
【0025】
図2において、前記無線タグ200の機能的構成を説明する。無線タグ200は第一コイルアンテナ210と第二コイルアンテナ220を有し、前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220に接続された制御回路部250を有する。前記制御回路部250は、第一コイルアンテナ210により受信された応答要求コマンドを含む信号を含む質問波を整流する第一整流部252と、この第一整流部252により整流された質問波のエネルギーを蓄積して駆動電源とするための第一電源部253を有する。
【0026】
また、上記第一コイルアンテナ210により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部257に供給するクロック抽出部254と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部255を有する。そして、後述する変復調部256と、上記メモリ部255、クロック抽出部254、及び変復調部256等を介し上記制御回路部250の作動を制御するための上記制御部257とを備えている。
【0027】
前記変復調部256は、前記第一コイルアンテナ210により受信された上記無線タグ通信装置100のアンテナからの質問波の復調を行う。また、上記制御部257からの返信信号を変調し、タグIDなどを含む信号を前記第一コイルアンテナ210より応答波として送信する。なお、本実施形態の前記第一コイルアンテナ210は、請求項1に記載の第一出力手段を兼ねる。
【0028】
クロック抽出部254は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部257に供給する。
【0029】
制御部257は、上記変復調部256により復調された受信信号を解析し、上記メモリ部255において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部256により上記第一コイルアンテナ210から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0030】
一方、第二コイルアンテナ220は、前記質問波を整流する第二整流部262と、この第二整流部262により整流された質問波のエネルギーを蓄積して表示手段260の駆動電源とするための第二電源部263を有する。前記第二電源部263は、少なくとも前記第一電源部253よりも多くのエネルギーを蓄積できるものとする。
【0031】
前記制御部257は、上記変復調部256により復調された受信信号を解析した場合に、所定の条件において、スイッチ部265をONに切り替える。これにより、前記第二電源部263からの電力が表示手段260に供給されて、前記表示手段260に情報が表示される。
【0032】
前記表示手段260はテキスト文字などによって情報を表示する。前記表示手段260として、液晶ディスプレイや電子ペーパーなどが用いられる。また、前記表示手段260として発光手段が用いられてもよく、情報の表示として、点滅発光や7セグメント表示などを行ってもよい。前記発光手段として、各種の発光素子が用いられ、発光ダイオード、有機Electro Luminescence(以下、有機ELとする)などがあげられる。なお、有機EL素子の場合は、面全体が発光するため、薄くても視認性の高い発光素子を実現できる。
【0033】
このような構成の前記無線タグ200において、前記第一コイルアンテナ210から信号を送信するための消費電力と、前記表示手段260に情報を表示するための必要な消費電力の量は同じではない。通常は、前記表示手段260に情報を表示するための消費電力の方が、前記第一コイルアンテナ210から信号を送信するための消費電力よりも大きい。
【0034】
そのため、前記無線タグ通信装置100から送信された質問波を整流して駆動電源とする場合に、従来のように、第一コイルアンテナと第二コイルアンテナを同じように形成すると、第一コイルアンテナから信号を送信するための消費電力に相当する電力は第一電源部に蓄えられているのに、第二電源部には前記表示手段に情報を表示するための消費電力に相当する電力が蓄えられておらず、前記表示手段での表示を行うことができないという場合が生じる。
【0035】
そのため、本実施形態では以下のように第一コイルアンテナ210と第二コイルアンテナ220を形成する。各構成について、順を追って説明する。
【0036】
<基板の同一面に第一コイルアンテナと第二コイルアンテナが形成される場合>
図3(a)を用いて、本実施形態の無線タグ200に形成される前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220の構成を説明する。前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220は、無線タグ200本体を構成する基板201の任意の面である第一面10上に形成される。
【0037】
ここで、コイルアンテナの誘起電流I(A)は、コイルアンテナを鎖交する磁界強度H(A/m)と、コイルアンテナの巻き数N、コイルアンテナの開口面積A(m2)の積に比例する。また、コイルアンテナから得られる電力は、誘起電流(A)に比例する。誘起電流がより多く流れることにより、出力手段へより多くの電力を供給することができる。
【0038】
本実施形態において、前記第一出力手段としての第一コイルアンテナ210と、第二出力手段である表示手段260は、前記表示手段260の方が消費電力が大きい(図2参照)。そのため、前記表示手段260に電力を供給する前記第二コイルアンテナ220の方が、前記第一コイルアンテナ210よりも得られる電力が大きくなるように形成する必要がある。
【0039】
そこで、第二コイルアンテナ220の開口部226の面積である開口面積は、本実施形態では第一コイルアンテナ210の開口部225を含んでおり、第一コイルアンテナ210の開口面積よりも大きく形成される(図3(a)参照)。このとき、前記第一コイルアンテナ210の巻き数と前記第二コイルアンテナ220の巻き数は同一である。
【0040】
また、図3(b)の無線タグ200Aにおいて、第一コイルアンテナ210Aの巻き数と第二コイルアンテナ220Aの巻き数は、第二コイルアンテナ220Aの巻き数の方が多く形成される。このとき、前記第一コイルアンテナ210Aの開口部225Aの面積である開口面積と前記第二コイルアンテナ220Aの開口部226Aの面積である開口面積は略同じである。なお、図3(b)においては、わかりやすいように、第二コイルアンテナ210Aは、破線で示している。
【0041】
加えて、図3(c)の無線タグ200Bのように、第一コイルアンテナ210Bと第二コイルアンテナ220Bの開口部225B,226Bの開口面積と巻き数を両方とも変化させてもよい。前記第二コイルアンテナ220Bの開口部226Bの面積は、前記第一コイルアンテナ210Bの開口部225Bの面積よりも大きく形成されると共に、前記第二コイルアンテナ220Bの巻き数は、前記第一コイルアンテナ210Bの巻き数よりも多く形成される。
【0042】
なお、前記第一コイルアンテナ210,210A,210Bの消費電力と前記表示手段260の消費電力に応じて、前記第一コイルアンテナ210、210A、210Bと、前記第二コイルアンテナ220,220A,220Bの、コイルアンテナの巻き数や開口面積は適宜決定される。なお、以下の実施形態においても同様である。
【0043】
また、上述の実施形態では、無線タグ200において、第二コイルアンテナ220の開口部226の開口面積が、第一コイルアンテナ210の開口部225の開口面積よりも大きく形成される場合に、前記前記第一コイルアンテナ210の巻き数と前記第二コイルアンテナ220の巻き数は同一とした。しかしながら、前記第一コイルアンテナ210の巻き数が前記第二コイルアンテナ220の巻き数より多くなってもよい。この場合には、前記第一コイルアンテナ210の開口面積と巻き数の積が、前記第二コイルアンテナ220の開口面積と巻き数の積よりも小さく形成されている必要がある。
【0044】
同様に、無線タグ200Aにおいて、第二コイルアンテナ220Aの巻き数が、第一コイルアンテナ210Aの巻き数よりも多く形成される場合に、前記前記第一コイルアンテナ210Aの開口面積と前記第二コイルアンテナ220Aの開口面積は同一とした。しかしながら、前記第一コイルアンテナ210Aの開口部225Aの開口面積が、前記第二コイルアンテナ220の開口部226Aの開口面積よりも大きくなってもよい。この場合には、前記第一コイルアンテナ210Aの開口面積と巻き数の積が、前記第二コイルアンテナ220Aの開口面積と巻き数の積よりも小さく形成されている必要がある。
【0045】
<第一コイルアンテナと第二コイルアンテナが第一面と第二面の両方に設けられる場合>
次に、図4及び図6(a)を用いて、本実施形態の無線タグ200Cに形成される前記第一コイルアンテナ210C(図6(a)参照)と前記第二コイルアンテナ220C(図6(b)参照)の構成を説明する。図3と同じ符号のものは同じ構成であるものとし、説明を省略する。本実施形態では、第一コイルアンテナ210Cは、基板201の第一面10側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部211と(図4(a)及び図6(a)参照)、貫通孔30より引き出されて第二面20側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部212を有している(図4(b)及び図6(a)参照)。
【0046】
また、第二コイルアンテナ220Cは、前記第一面10側に配置される前記第一面側第二コイルアンテナ部221と(図4(a)、図6(a)参照)、貫通孔31、31より引き出されて前記第二面20側に配置される第二面側第2コイルアンテナ部222とを有している(図4(b)、図6(a)参照)。
【0047】
通常、図7の従来図で示されるように、無線タグ通信装置100の装置アンテナ152から送信された電波信号により発生する磁界Eは、無線タグ200の厚みのある基板の各面にそれぞれコイルアンテナ800、900が設けられた場合、無線タグ通信装置100との距離が近いほうの面を第8面80、遠い方の面を第9面90とすると、第8面80側に形成されるコイルアンテナ800の方が、相対的に鎖交磁束量が強くなる。
【0048】
そこで、本実施形態の無線タグ200Cは、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの基板201のどちら側に配置されても、基板201の厚みによるコイルアンテナの配置の違いに伴う磁界の影響を考慮せず、各コイルアンテナの形成の仕方の違いによって、第二コイルアンテナよりも第一コイルアンテナから得られる電力の方が大きくなるように形成されている。
【0049】
具体的には、図6(a)において、前記第一面10側に設けられた前記第一面側第一コイルアンテナ部211と前記第一面側第二コイルアンテナ部221は同一面上に形成されているため、無線タグ通信装置100から受信した信号による誘起電力の比が前記第一面側第一コイルアンテナ部211の開口部と前記第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部の開口面積の比と等しくなる。ここで、図4(a)において、開口部225Cとは、第一面側第一コイルアンテナ部211と、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。また、開口部226Cとは、第一面側第二コイルアンテナ部221と、貫通孔31,31を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。
【0050】
また、前記第二面20側に設けられた前記第二面側第一コイルアンテナ部212と前記第二面側第2コイルアンテナ部222も同一面上に形成されているため、無線タグ通信装置100から受信した信号による誘起電力の比が前記第二面側第一コイルアンテナ部212の開口部と前記第二面側第二コイルアンテナ部222の開口部の開口面積比と等しくなる。なお、開口部227Cとは、第二面側第一コイルアンテナ部212と、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。また、なお、開口部228Cとは、第二面側第二コイルアンテナ部222と、貫通孔31,31を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。
【0051】
そのため、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの厚みのある基板201のどちら側に配置されても、第二コイルアンテナよりも第一コイルアンテナから得られる電力の方が大きくなる。なお、前記第一コイルアンテナと前記第二コイルアンテナの開口面積と巻き数の関係は、上述の実施形態の無線タグ200,200A,200Bのように、第一コイルアンテナに供給する電力よりも、前記表示手段160に供給する電力の方が大きくなるように、各アンテナコイル同士の開口面積、巻き数を変化させて形成すればよい。
【0052】
例えば、図4(a)の無線タグ200Cは、第一面10上において、第一面側第一コイルアンテナ部211の開口部225Cの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部226Cの開口面積のほうが大きく形成される(図4(a)参照)。
【0053】
また、第二面20上において、第二面側第一コイルアンテナ部212の開口部227Cの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部228Cの開口面積のほうが大きく形成される(図4(b)参照)。
【0054】
このように、開口面積を異ならせて各アンテナコイルを形成することで、第一コイルアンテナ210Cよりも第二コイルアンテナ220Cから得られる電力の方が大きくなるように形成される。
【0055】
図5の無線タグ200Dは、第一面10上において、第一面側第一コイルアンテナ部211Aの開口部225Dの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221Aの開口部226Dの開口面積のほうが大きく形成される(図5(a)参照)。ここで、開口部225Dとは、第一面側第一コイルアンテナ部211Aと、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。
【0056】
また、第二面20上において、第二面側第一コイルアンテナ部212Aの開口部227Dの開口面積よりも、第二面側第二コイルアンテナ部222Aの開口部228Dの開口面積のほうが大きく形成される(図5(b)参照)。ここで、開口部227Dとは、第二面側第一コイルアンテナ部212Aと、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。
【0057】
さらに、図6(b)にも示すように、本実施形態の無線タグ200Dは、第一コイルアンテナ210Dの巻き数よりも第二コイルアンテナ220Dの巻き数のほうが多く形成されている。
【0058】
そのため、このように各アンテナコイルを形成することで、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの基板201のどちら側に配置されても、第一コイルアンテナ210Dよりも第二コイルアンテナ220Dから得られる電力の方がより大きくなる。
【0059】
なお、図示はしないが、前記無線タグ200Dにおいて、第一コイルアンテナ210Dの開口部225D,227Dと第二コイルアンテナ220Dの開口部226D,228Dの開口面積を同一にして、各コイルアンテナの巻き数を変化させてもよい。
【0060】
本実施形態の無線タグ200C,200Dは、例えば、財布に入れた電子マネー用のカードや乱雑に箱詰めされた衣類につけられた商品タグのなどのように、基板のどちら側から無線タグ通信装置100の信号を受信するか定められないような場合に適している。
【0061】
<無線タグにおいて、外部の通信機器から信号を受信する側がある程度決まっている場合>
上述の実施形態では、無線タグ200のどちら側から無線タグ通信装置100と信号を送受信するか、特に定められていないような場合が想定されている。
【0062】
一方、本実施形態の無線タグ200Eでは、無線タグ通信装置100と信号を送受信する側がある程度決まっている場合について説明する。
【0063】
例えば、本実施形態の無線タグ200Eと前記無線タグ通信装置100を用いて物品管理などを行なう場合を説明する。図8の物品管理システム600では、無線タグ200Eを貼り付ける対象物品である書籍Mに、前記表示手段260として発光ダイオードや有機ELなどの発光素子が備えられた無線タグ200Eが貼り付けられている。
【0064】
本実施形態では、無線タグ通信装置100と、探索対象である前記書籍Mに備えられた無線タグ200EのタグIDを指定して、発光指示コマンドを送信する。前記無線タグ200Eは受信した発光指示コマンドに基づいて、前記発光素子を発光させる。無線タグ200Eにおいて、無線タグとして通信を行う部分(図2におけるメモリ部255、制御部257)などは動作電圧が2V程度であり、動作に必要な電力も0.1mW以下と非常に小さい。
【0065】
しかし、表示手段260(発光素子)は動作電圧が高く(有機ELの場合、5V程度)、動作電力も数mW必要になる。そこで、図2に示すように電源部を2つに分け、通信を行う部分を第一整流部及び第一電源部、発光部を第二整流部及び第二電源部で動作させる。また、それぞれの電源部で必要となる電力が異なるため、第一電源部と、第二電源部ではそれぞれ異なるコイルアンテナを用い、その出力電力を調整することで、通信を行う部分が起動するときには、必ず表示手段も動作できる電力を得られているように、コイルの開口面積、巻き数等を規定する必要がある。
【0066】
図8及び図9のように、無線タグ200Eを構成する基板201の第一面10と第二面20において、第二面20の方が無線タグ通信装置100からの信号を受信しやすい側に配置される。これにより、前記第二コイルアンテナ220Eは、前記第一コイルアンテナ210Eよりも、受信した信号による磁界が強くなるので、前記第二コイルアンテナ220Eにより多くの誘起電流が流れ、より多くの電力を表示手段260に供給できる。
【0067】
具体的には、図9において、前記無線タグ200Eは対象物品Mに貼り付けるための粘着層などからなる貼着面30を有している。第一コイルアンテナ210Eが形成される前記基板201の第一面10が、前記第二コイルアンテナ220Eが形成される第二面20よりも貼着面30に近い側に形成される。図3と同じ符号のものは同じ構成であるものとし、説明を省略する。また、前記第一面20は貼着面として形成されてもよい。ここで、前記貼着面30は請求項の前記通信装置を対象物品に装着する場合において、前記対象物品の表面に対向する対向面に相当する。なお、図9中の符号211は、無線タグ本体部211である。
【0068】
また、前記無線タグ200Eには表示手段260が形成されており、前記第二面20は、前記第一面10よりも前記表示手段260に近い側に形成される。前記表示手段260は視認しやすいように前記無線タグ200Eの表面側に形成されており、前記表示手段260が設けられた側から無線タグ通信装置100との信号の送受信を行なうことになる。
【0069】
つまり、前記表示手段260により近い面である第二面20側の方が無線タグ通信装置100からの信号を受信しやすい。これにより、前記第二コイルアンテナ220Eは、前記第一コイルアンテナ210Eよりも、受信した信号による磁界が強くなるので、前記第二コイルアンテナ220Eより多くの誘起電流が流れ、より多くの電力を表示手段260に供給できる。
【0070】
加えて、第一コイルアンテナ210Eと第二コイルアンテナ220Eの開口面積と巻き数を変化させることで、より確実に第二コイルアンテナ220Eに接続される表示手段260に、第一コイルアンテナ210Eに供給するよりも大きな電力を供給することができる。
【0071】
このときの、第一コイルアンテナ210Eと第二コイルアンテナ220Eの形成の仕方は、前述の実施形態の前記無線タグ200,200A,200Bにおいて、第一面10側に第一コイルアンテナ210,210A,210Bを形成し、前記第二面20側に第二コイルアンテナ220,220A,220Bを形成させればよいので、その説明は省略する。
【0072】
次に、前記物品管理システム600の無線タグ通信装置100と無線タグ200Eの動作について順を追って説明する。
【0073】
図9、図10を用いて、前記無線タグ通信装置100の構成について説明する。前記無線タグ通信装置100は、装置アンテナ152を介して無線タグ200Eとの無線通信の制御を行なう。そして、前記装置アンテナ152を介して無線タグ200Eから読み出された信号を処理する高周波回路112、CPU154、記憶手段としてのRAM156及びROM155を有し、これらは、電気的にバスで接続されている。
【0074】
前記高周波回路112は、無線タグ200Eを動作させるための信号を発生させる。また、無線タグ200Eとの通信を行うために、前記CPU154からの指示に基づいて無線タグ200Eへの送信命令を発生し、前記信号を変調して質問波FCとして送信すると共に、無線タグ200Eにおいて変調された応答波FRを受信、復調して前記CPU154に伝える。
【0075】
前記CPU154は、前記RAM156の一時記憶機能を利用するのと並行して、前記ROM155にあらかじめ記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより無線タグ通信装置100全体の制御を行なう。また、無線タグ通信装置100は、操作者からの指示や情報が入力される入力手段170、情報やメッセージを表示する表示手段160を備える。
【0076】
次に、図11において、前記無線タグ通信装置100のCPU154によって実行される制御手順を説明する。この例では、タグ探索コマンドが実行されるとこのフローが開始される。
【0077】
まず、ステップS110において、キーボタンなどの入力手段170によって、対象物品Mに備えられる無線タグ200EのタグIDを指定する操作情報が入力される。
【0078】
ステップS120において、高周波回路112に制御信号を出力して、前記特定のタグIDを指定して無線タグ200Eのメモリ部255に記録されたデータを読み出すタグ読み取り信号を送信する。前記タグ読み取り信号として、応答要求コマンドを含む質問波FCが、リーダアンテナ152を介して通信領域内に存在する無線タグ200Eに送信される。
【0079】
ステップS130では、前記応答要求コマンドに対応して前記タグIDに対応する無線タグ200Eからのリプライ信号を含む応答波FRを受信したか否かを判定する。すなわち、通信領域内の無線タグ200Eから指定した所定のタグIDが返答されたかどうか判断される。所定のタグIDを受信した場合には、判定が満たされてステップS140に進む。一方、所定のタグIDを受信しない場合は、ステップS150へ進む。
【0080】
ステップS140では、前記タグIDを指定して前記無線タグ200Eの表示手段260に表示を指示するための発光指示コマンドを送信する。
【0081】
ステップS150では、表示手段160に探索結果に対応して記憶手段に記憶された表示画面を表示させる。例えば、指定したタグIDに対応する無線タグ200Eから応答信号を受信している場合には、「探索対象の物品が見つかりました」などの表示を行う。一方、指定したタグIDに対応する無線タグ200Eから応答信号を受信していない場合には、「検索対象の物品が見つかりませんでした」などの表示を行う。
【0082】
ステップS160では、入力手段170によって停止操作情報が入力されたか否かが判断される。停止操作情報が入力された場合には、このフローを終了する。一方、停止操作情報が入力されない場合は、ステップS120へ戻り、指定したタグIDの検索が継続して実施される。
【0083】
続いて、無線タグ200Eの動作について説明する。図12は、無線タグ200Eの制御部257によって実行される制御手順を表すフローチャートである。この例では無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0084】
ステップS205では、受信したコマンドが応答要求コマンドであるか否かが判断される。応答要求コマンドである場合には、ステップS210へ進む。一方、応答要求コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0085】
ステップS210では、無線タグ通信装置からの応答要求コマンドに対して、メモリ部255に記憶されたタグIDを応答して、ステップS220へ進む。
【0086】
ステップS220では、前記無線タグ通信装置100から発光指示コマンドを受信したか否かが判断される。発光指示コマンドを受信しない場合はこのフローを終了する。一方、前記発光指示コマンドを受信した場合には、ステップS230の処理へ進む。
【0087】
ステップS230では、受信した発光指示コマンドに基づいて、スイッチ回路部265をONにして、発光手段を発光させてこのフローを終了する。
【0088】
<無線タグの制御回路部の構成が異なる場合>
次に、変形例の無線タグ200Fについて説明する。図13において、前記無線タグ200Fの機能的構成を説明する。図2と同じ符号のものは同じ構成であるものとして、その説明を省略する。本変形例では、第一コイルアンテナ210に接続され、無線タグ通信装置100と信号を送受信するための第一制御回路部251(図13(a))と、前記第二コイルアンテナに接続され、前記表示手段に表示を行なうための第二制御回路部252(図13(b))が別々に構成されている。
【0089】
図13(a)において、前記第一制御回路部251は、前記第一整流部252と、前記第一電源部253、前記クロック抽出部254、前記変復調部256を有する。
【0090】
前記第一制御部157は、上記変復調部256により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部255において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部256により上記第一コイルアンテナ210から返信するための基本的な制御を実行する。
【0091】
一方、図13(b)において、第二制御回路部252は前記第二整流部263と、前記第二電源部262、前記クロック抽出部254、前記変復調部256を有する。
【0092】
前記第二制御部158は、上記変復調部256により復調された受信信号を解釈して、発光指示コマンドを受信した場合に、スイッチ部256をONに切り替えて、前記表示手段260に情報を表示する制御を行なう。
【0093】
このように、前記第一制御回路部251と前記第二制御回路部252を設けることで、上述した実施形態において、制御回路部250が1つのときの構成と比較して、第一出力手段である第一コイルアンテナ210Eの消費電力をさらに小さくすることができる。
【0094】
図14を用いて、本変形例の無線タグ200Fに形成される前記第一コイルアンテナ210Fと前記第二コイルアンテナ220Fの構成を説明する。前記第一制御回路部251に接続される前記第一コイルアンテナ210Fと、前記第二制御回路部252に接続される前記第二コイルアンテナ220Fは、この例では、無線タグ200本体を構成する基板201の任意の面である第一面10上に形成される。
【0095】
前記第一コイルアンテナ210Fと第二コイルアンテナ220Fの開口部225F,226Fの開口面積と巻き数を両方とも変化させて形成している。すなわち、前記第二コイルアンテナ220Fの開口部226Fの面積である開口面積は、前記第一コイルアンテナ210Fの開口部225Fの面積である開口面積よりも大きく形成されると共に、前記第二コイルアンテナ220Fの巻き数は、前記第一コイルアンテナ210Fの巻き数よりも多く形成される。なお、その他の構成については、上述の図3(c)の無線タグ200Bの実施形態と同様である。
【0096】
また、図14(b)に他の変形例としての無線タグ200Gを示す。この無線タグ200Gにおいて、第一コイルアンテナ210Gと第二コイルアンテナ220Gは矩形状のコイルアンテナとして形成されている。この無線タグ200Gにおいて、第一コイルアンテナ210Gと第二コイルアンテナ220Gの開口部225G,226Gの開口面積と巻き数の構成の相対的な関係は、上述の無線タグ200Fと同様であるので説明を省略する。
【0097】
次に、前記無線タグ通信装置100と無線タグ200Fの動作について説明する。なお、前記無線タグ通信装置100の図11と同じ動作を行うものとして、説明を省略する。
【0098】
図15において、無線タグ200Fの第一制御部157、及び第二制御部158の動作について説明する。まず、図15(a)を用いて、無線タグ200Fの第一制御部157によって実行される制御手順を述べる。この例では、無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0099】
ステップS305では、受信したコマンドが応答要求コマンドであるか否かが判断される。応答要求コマンドである場合には、ステップS310へ進む。一方、応答要求コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0100】
ステップS310では、無線タグ通信装置からの応答要求コマンドに対して、第一制御回路部251のメモリ部255に記憶されたタグIDを応答して、このフローを終了する。
【0101】
また、図15(b)を用いて、無線タグ200Fの第二制御部158によって実行される制御手順を説明する。この例では、無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0102】
ステップS410では、受信したコマンドが発光指示コマンドであるか否かが判断される。発光指示コマンドである場合には、ステップS415へ進む。一方、発光指示コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0103】
ステップS415では、受信した発光指示コマンドに含まれるタグIDが第二制御回路部252のメモリ部255に記憶されているIDと一致するかどうかが判断される。一致する場合にはステップS420へ進むが、一致しない場合にはこのフローを終了する。
【0104】
ステップS420では、受信した発光指示コマンドに基づいて、発光手段を発光させて、このフローを終了する。
【0105】
上述した実施形態では、第一出力手段は第一コイルアンテナ、第二出力手段は表示手段としたが、所定の報知を行なう報知手段や所定の状態を検知する検知手段などの他の動作手段で構成されていてもよい。また、動作手段は第一出力手段と第二出力手段の2つだけに限らず、3つ以上の複数の動作手段とそれぞれに対応して接続されるコイルアンテナが設けられていてもよい。この場合、複数の動作手段のうち、任意の2つの動作手段とそれに対するコイルアンテナが、上述の実施形態の構成となるように形成される。
【0106】
また、前記第一面10と前記第二面20にそれぞれ所定の態様で備えられる前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220は、実質上、前記実施形態の構成となるように所定の面に設けられていれば良く、図示しない接続端子への引き込みなどの都合上、その一部が他の面に設けられていても良い。
【0107】
さらに、本実施形態の第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの形状として、円形状、矩形状のものを説明したが、これらの形状に限られず、楕円形、正方形、長方形、三角形などその他の形状であってもよい。また、第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの形状は、例えば、第一コイルアンテナが円形状、第二コイルアンテナが矩形状など、それぞれが異なる形状であってもよい。
【0108】
通信装置の一例として無線タグをあげて説明したが、無線通信を行う他の通信装置であってもよい。その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0109】
100 無線タグ通信装置
200,200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G 無線タグ
210,210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G 第一コイルアンテナ
220,220A,220B,220C,220D,220E,220F,220G 第二コイルアンテナ
260 表示手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の出力手段とそれらに対応して設けられる複数のコイルアンテナを備えた通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導や電波方式によって電力や信号を非接触で伝送する非接触信号伝送装置がある。例えば、下記特許文献1は、環状の電力用コイルと前記電力用コイルの内側に配置された信号用コイルを備える非接触信号伝送装置で、信号用コイルの内側及び周囲の比透磁率が電力用コイルの内側及び周囲の比透磁率よりも低くなるように構成されている。
【0003】
具体的には、電力用コイルは強磁性体であるフェライトで構成され、信号用コイルの比透磁率は電力用コイルの比透磁率に対する比が10分の1未満になるように作製される。このような構成にすることで、電力用コイルの信号用コイルに対する干渉を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような非接触信号伝送装置において、上記複数のコイルから構成されるアンテナとそのアンテナに接続される複数の動作手段がある場合に、各アンテナから信号を受信して得られる電力を用いた動作手段を動作させるために、それぞれの動作手段の消費電力が異なる場合がある。
【0006】
本発明は、複数のコイルアンテナを備える通信装置であって、各コイルアンテナに接続される動作手段の消費電力が異なる場合に、なるべく簡単な構成で消費電力に応じた電力を供給することができる通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1発明の通信装置は、外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多いことを特徴とする。
【0008】
第2発明の通信装置は、上記第1発明において、前記第一出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、前記外部の通信機器と信号の送受信を行うことを特徴とする。
【0009】
第3発明の通信装置は、上記第2発明において、前記第二出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて、動作を行なうことを特徴とする。
【0010】
第4発明の通信装置は、上記第2又は第3発明において、前記通信装置を対象物品に装着する場合に、前記対象物品の表面に対向する対向面を有し、前記第一コイルアンテナが設けられる第一面は、前記第二コイルアンテナが設けられる第二面よりも、前記対向面に近い側に形成されることを特徴とする。
【0011】
第5発明の通信装置は、上記第4発明において、前記第二出力手段は、前記第二ループアンテナを介して受信した信号から整流して得られる電力を用いて表示を行なう表示手段であって、前記第二面は前記第一面よりも前記表示手段に近い側に形成されることを特徴とする。
【0012】
第6発明の通信装置は、上記第5発明において、前記表示手段は発光手段であることを特徴とする。
【0013】
第7発明の通信装置は、上記第1ないし第3発明のいずれかにおいて、前記第一コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部を有し、前記第二コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第二コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第二コイルアンテナ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナに接続される前記第一出力手段の消費電力と、前記第二コイルアンテナに接続される前記第二出力手段の消費電力がそれぞれ異なる場合であっても、消費電力に応じた電力を各出力手段に供給することができる。
【0015】
請求項2に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナは前記第一出力手段を兼ねることにより、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、外部の通信機器と信号の送受信を行なうことができる。
【0016】
請求項3に係る発明の通信装置によれば、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて第二出力手段は動作を行なうため、第一コイルアンテナより受信した信号により、外部の通信機器との通信に基いて第二出力手段での動作を行なうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明の通信装置によれば、前記第一面は前記第二面よりも、前記対象物品の表面に対向する側に前記第一面が配置され、外部の通信機器との距離が近くなる側に第二コイルアンテナが配置されるので、第一コイルアンテナよりも第二コイルアンテナの方が外部の通信機器からの送信された信号を受信しやすくなる。そのため、前記第一出力手段よりも消費電力の大きい第二出力手段へ、より大きな電力を供給することができる。
【0018】
請求項5に係る発明の通信装置によれば、前記表示手段は前記通信装置において、ユーザが視認しやすいように、通信装置の表面側に配置される。第二コイルアンテナが、第一コイルアンテナよりも表示手段に近い面に設けられることで、外部の通信機器からの距離が第二コイルアンテナの方が近くなる。そのため、第一コイルアンテナよりも第二コイルアンテナの方が外部の通信機器からの信号を受信しやすくなるので、前記第一出力手段よりも消費電力の大きい第二出力手段へ、より大きな電力を供給することができる。
【0019】
請求項6に係る発明の通信装置によれば、前記表示手段が発光手段であるので、効果的に発光を行うことができる。
【0020】
請求項7に係る発明の通信装置によれば、外部の通信機器に対して、前記第一コイルアンテナと前記第二コイルアンテナの設けられる位置が規定されない場合であっても、前記第一コイルアンテナに接続される前記第一出力手段と、前記第二コイルアンテナに接続される前記第二出力手段の消費電力に応じた電力を各出力手段に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のRFIDシステムの全体構成の一例を表すシステム構成図である。
【図2】本実施形態の無線タグの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の一例を表す平面模式図である。
【図4】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の別例を表す平面模式図である。
【図5】本実施形態の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の他の例を表す平面模式図である。
【図6】図4と図5の無線タグの6−6線及び6‘−6’線における断面模式図である。
【図7】アンテナコイルに対する磁界を示す模式図である。
【図8】本実施形態の無線タグを用いた物品管理のシステム構成図である。
【図9】図8の無線タグを物品に貼着したときの断面図である。
【図10】無線タグ通信装置の詳細機能を示す機能ブロック図である。
【図11】無線タグ通信装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図12】本実施形態の無線タグのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図13】変形例の無線タグの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図14】変形例の無線タグの第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの構成の一例を表す平面模式図である。
【図15】変形例の無線タグのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1の無線タグ通信システム400において、無線タグ200は請求項に記載の通信装置の一実施形態であり、また、外部の通信機器としての無線タグ通信装置100と無線通信を行なう。
【0023】
図1の無線タグ通信システム400の概略を説明すると、装置アンテナ152を備えた無線タグ通信装置100と、その無線タグ通信装置100の通信対象である無線タグ200とから構成されるRadio Frequency Identification(以下、RFIDとする)システムである。上記無線タグ通信装置100は、そのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ200は応答器としてそれぞれ機能する。
【0024】
前記無線タグ通信装置100から送信信号である質問波FCが前記装置アンテナ152を介して、上記無線タグ200に向けて送信される。そして、その質問波FCを受信した上記無線タグ200において、所定のデータである情報信号によりその質問波FCが変調され、返信信号である応答波FRとして上記無線タグ通信装置100に向けて返信される。また、前記無線タグ200では受信した質問波FCを整流して電力を得ることで、電池を備えずに表示等の機能を実現している。このようにして、前記無線タグ通信装置100と前記無線タグ200との間で情報の通信が行われる。以下、各構成について順を追って説明する。
【0025】
図2において、前記無線タグ200の機能的構成を説明する。無線タグ200は第一コイルアンテナ210と第二コイルアンテナ220を有し、前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220に接続された制御回路部250を有する。前記制御回路部250は、第一コイルアンテナ210により受信された応答要求コマンドを含む信号を含む質問波を整流する第一整流部252と、この第一整流部252により整流された質問波のエネルギーを蓄積して駆動電源とするための第一電源部253を有する。
【0026】
また、上記第一コイルアンテナ210により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部257に供給するクロック抽出部254と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部255を有する。そして、後述する変復調部256と、上記メモリ部255、クロック抽出部254、及び変復調部256等を介し上記制御回路部250の作動を制御するための上記制御部257とを備えている。
【0027】
前記変復調部256は、前記第一コイルアンテナ210により受信された上記無線タグ通信装置100のアンテナからの質問波の復調を行う。また、上記制御部257からの返信信号を変調し、タグIDなどを含む信号を前記第一コイルアンテナ210より応答波として送信する。なお、本実施形態の前記第一コイルアンテナ210は、請求項1に記載の第一出力手段を兼ねる。
【0028】
クロック抽出部254は受信した信号からクロック成分を抽出し、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部257に供給する。
【0029】
制御部257は、上記変復調部256により復調された受信信号を解析し、上記メモリ部255において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部256により上記第一コイルアンテナ210から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0030】
一方、第二コイルアンテナ220は、前記質問波を整流する第二整流部262と、この第二整流部262により整流された質問波のエネルギーを蓄積して表示手段260の駆動電源とするための第二電源部263を有する。前記第二電源部263は、少なくとも前記第一電源部253よりも多くのエネルギーを蓄積できるものとする。
【0031】
前記制御部257は、上記変復調部256により復調された受信信号を解析した場合に、所定の条件において、スイッチ部265をONに切り替える。これにより、前記第二電源部263からの電力が表示手段260に供給されて、前記表示手段260に情報が表示される。
【0032】
前記表示手段260はテキスト文字などによって情報を表示する。前記表示手段260として、液晶ディスプレイや電子ペーパーなどが用いられる。また、前記表示手段260として発光手段が用いられてもよく、情報の表示として、点滅発光や7セグメント表示などを行ってもよい。前記発光手段として、各種の発光素子が用いられ、発光ダイオード、有機Electro Luminescence(以下、有機ELとする)などがあげられる。なお、有機EL素子の場合は、面全体が発光するため、薄くても視認性の高い発光素子を実現できる。
【0033】
このような構成の前記無線タグ200において、前記第一コイルアンテナ210から信号を送信するための消費電力と、前記表示手段260に情報を表示するための必要な消費電力の量は同じではない。通常は、前記表示手段260に情報を表示するための消費電力の方が、前記第一コイルアンテナ210から信号を送信するための消費電力よりも大きい。
【0034】
そのため、前記無線タグ通信装置100から送信された質問波を整流して駆動電源とする場合に、従来のように、第一コイルアンテナと第二コイルアンテナを同じように形成すると、第一コイルアンテナから信号を送信するための消費電力に相当する電力は第一電源部に蓄えられているのに、第二電源部には前記表示手段に情報を表示するための消費電力に相当する電力が蓄えられておらず、前記表示手段での表示を行うことができないという場合が生じる。
【0035】
そのため、本実施形態では以下のように第一コイルアンテナ210と第二コイルアンテナ220を形成する。各構成について、順を追って説明する。
【0036】
<基板の同一面に第一コイルアンテナと第二コイルアンテナが形成される場合>
図3(a)を用いて、本実施形態の無線タグ200に形成される前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220の構成を説明する。前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220は、無線タグ200本体を構成する基板201の任意の面である第一面10上に形成される。
【0037】
ここで、コイルアンテナの誘起電流I(A)は、コイルアンテナを鎖交する磁界強度H(A/m)と、コイルアンテナの巻き数N、コイルアンテナの開口面積A(m2)の積に比例する。また、コイルアンテナから得られる電力は、誘起電流(A)に比例する。誘起電流がより多く流れることにより、出力手段へより多くの電力を供給することができる。
【0038】
本実施形態において、前記第一出力手段としての第一コイルアンテナ210と、第二出力手段である表示手段260は、前記表示手段260の方が消費電力が大きい(図2参照)。そのため、前記表示手段260に電力を供給する前記第二コイルアンテナ220の方が、前記第一コイルアンテナ210よりも得られる電力が大きくなるように形成する必要がある。
【0039】
そこで、第二コイルアンテナ220の開口部226の面積である開口面積は、本実施形態では第一コイルアンテナ210の開口部225を含んでおり、第一コイルアンテナ210の開口面積よりも大きく形成される(図3(a)参照)。このとき、前記第一コイルアンテナ210の巻き数と前記第二コイルアンテナ220の巻き数は同一である。
【0040】
また、図3(b)の無線タグ200Aにおいて、第一コイルアンテナ210Aの巻き数と第二コイルアンテナ220Aの巻き数は、第二コイルアンテナ220Aの巻き数の方が多く形成される。このとき、前記第一コイルアンテナ210Aの開口部225Aの面積である開口面積と前記第二コイルアンテナ220Aの開口部226Aの面積である開口面積は略同じである。なお、図3(b)においては、わかりやすいように、第二コイルアンテナ210Aは、破線で示している。
【0041】
加えて、図3(c)の無線タグ200Bのように、第一コイルアンテナ210Bと第二コイルアンテナ220Bの開口部225B,226Bの開口面積と巻き数を両方とも変化させてもよい。前記第二コイルアンテナ220Bの開口部226Bの面積は、前記第一コイルアンテナ210Bの開口部225Bの面積よりも大きく形成されると共に、前記第二コイルアンテナ220Bの巻き数は、前記第一コイルアンテナ210Bの巻き数よりも多く形成される。
【0042】
なお、前記第一コイルアンテナ210,210A,210Bの消費電力と前記表示手段260の消費電力に応じて、前記第一コイルアンテナ210、210A、210Bと、前記第二コイルアンテナ220,220A,220Bの、コイルアンテナの巻き数や開口面積は適宜決定される。なお、以下の実施形態においても同様である。
【0043】
また、上述の実施形態では、無線タグ200において、第二コイルアンテナ220の開口部226の開口面積が、第一コイルアンテナ210の開口部225の開口面積よりも大きく形成される場合に、前記前記第一コイルアンテナ210の巻き数と前記第二コイルアンテナ220の巻き数は同一とした。しかしながら、前記第一コイルアンテナ210の巻き数が前記第二コイルアンテナ220の巻き数より多くなってもよい。この場合には、前記第一コイルアンテナ210の開口面積と巻き数の積が、前記第二コイルアンテナ220の開口面積と巻き数の積よりも小さく形成されている必要がある。
【0044】
同様に、無線タグ200Aにおいて、第二コイルアンテナ220Aの巻き数が、第一コイルアンテナ210Aの巻き数よりも多く形成される場合に、前記前記第一コイルアンテナ210Aの開口面積と前記第二コイルアンテナ220Aの開口面積は同一とした。しかしながら、前記第一コイルアンテナ210Aの開口部225Aの開口面積が、前記第二コイルアンテナ220の開口部226Aの開口面積よりも大きくなってもよい。この場合には、前記第一コイルアンテナ210Aの開口面積と巻き数の積が、前記第二コイルアンテナ220Aの開口面積と巻き数の積よりも小さく形成されている必要がある。
【0045】
<第一コイルアンテナと第二コイルアンテナが第一面と第二面の両方に設けられる場合>
次に、図4及び図6(a)を用いて、本実施形態の無線タグ200Cに形成される前記第一コイルアンテナ210C(図6(a)参照)と前記第二コイルアンテナ220C(図6(b)参照)の構成を説明する。図3と同じ符号のものは同じ構成であるものとし、説明を省略する。本実施形態では、第一コイルアンテナ210Cは、基板201の第一面10側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部211と(図4(a)及び図6(a)参照)、貫通孔30より引き出されて第二面20側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部212を有している(図4(b)及び図6(a)参照)。
【0046】
また、第二コイルアンテナ220Cは、前記第一面10側に配置される前記第一面側第二コイルアンテナ部221と(図4(a)、図6(a)参照)、貫通孔31、31より引き出されて前記第二面20側に配置される第二面側第2コイルアンテナ部222とを有している(図4(b)、図6(a)参照)。
【0047】
通常、図7の従来図で示されるように、無線タグ通信装置100の装置アンテナ152から送信された電波信号により発生する磁界Eは、無線タグ200の厚みのある基板の各面にそれぞれコイルアンテナ800、900が設けられた場合、無線タグ通信装置100との距離が近いほうの面を第8面80、遠い方の面を第9面90とすると、第8面80側に形成されるコイルアンテナ800の方が、相対的に鎖交磁束量が強くなる。
【0048】
そこで、本実施形態の無線タグ200Cは、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの基板201のどちら側に配置されても、基板201の厚みによるコイルアンテナの配置の違いに伴う磁界の影響を考慮せず、各コイルアンテナの形成の仕方の違いによって、第二コイルアンテナよりも第一コイルアンテナから得られる電力の方が大きくなるように形成されている。
【0049】
具体的には、図6(a)において、前記第一面10側に設けられた前記第一面側第一コイルアンテナ部211と前記第一面側第二コイルアンテナ部221は同一面上に形成されているため、無線タグ通信装置100から受信した信号による誘起電力の比が前記第一面側第一コイルアンテナ部211の開口部と前記第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部の開口面積の比と等しくなる。ここで、図4(a)において、開口部225Cとは、第一面側第一コイルアンテナ部211と、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。また、開口部226Cとは、第一面側第二コイルアンテナ部221と、貫通孔31,31を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。
【0050】
また、前記第二面20側に設けられた前記第二面側第一コイルアンテナ部212と前記第二面側第2コイルアンテナ部222も同一面上に形成されているため、無線タグ通信装置100から受信した信号による誘起電力の比が前記第二面側第一コイルアンテナ部212の開口部と前記第二面側第二コイルアンテナ部222の開口部の開口面積比と等しくなる。なお、開口部227Cとは、第二面側第一コイルアンテナ部212と、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。また、なお、開口部228Cとは、第二面側第二コイルアンテナ部222と、貫通孔31,31を結んだ線で囲まれた略半円形状の内側の部分とする。
【0051】
そのため、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの厚みのある基板201のどちら側に配置されても、第二コイルアンテナよりも第一コイルアンテナから得られる電力の方が大きくなる。なお、前記第一コイルアンテナと前記第二コイルアンテナの開口面積と巻き数の関係は、上述の実施形態の無線タグ200,200A,200Bのように、第一コイルアンテナに供給する電力よりも、前記表示手段160に供給する電力の方が大きくなるように、各アンテナコイル同士の開口面積、巻き数を変化させて形成すればよい。
【0052】
例えば、図4(a)の無線タグ200Cは、第一面10上において、第一面側第一コイルアンテナ部211の開口部225Cの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部226Cの開口面積のほうが大きく形成される(図4(a)参照)。
【0053】
また、第二面20上において、第二面側第一コイルアンテナ部212の開口部227Cの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221の開口部228Cの開口面積のほうが大きく形成される(図4(b)参照)。
【0054】
このように、開口面積を異ならせて各アンテナコイルを形成することで、第一コイルアンテナ210Cよりも第二コイルアンテナ220Cから得られる電力の方が大きくなるように形成される。
【0055】
図5の無線タグ200Dは、第一面10上において、第一面側第一コイルアンテナ部211Aの開口部225Dの開口面積よりも、第一面側第二コイルアンテナ部221Aの開口部226Dの開口面積のほうが大きく形成される(図5(a)参照)。ここで、開口部225Dとは、第一面側第一コイルアンテナ部211Aと、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。
【0056】
また、第二面20上において、第二面側第一コイルアンテナ部212Aの開口部227Dの開口面積よりも、第二面側第二コイルアンテナ部222Aの開口部228Dの開口面積のほうが大きく形成される(図5(b)参照)。ここで、開口部227Dとは、第二面側第一コイルアンテナ部212Aと、貫通孔30,30を結んだ線で囲まれた内側の部分とする。
【0057】
さらに、図6(b)にも示すように、本実施形態の無線タグ200Dは、第一コイルアンテナ210Dの巻き数よりも第二コイルアンテナ220Dの巻き数のほうが多く形成されている。
【0058】
そのため、このように各アンテナコイルを形成することで、無線タグ通信装置100が無線タグ200Cの基板201のどちら側に配置されても、第一コイルアンテナ210Dよりも第二コイルアンテナ220Dから得られる電力の方がより大きくなる。
【0059】
なお、図示はしないが、前記無線タグ200Dにおいて、第一コイルアンテナ210Dの開口部225D,227Dと第二コイルアンテナ220Dの開口部226D,228Dの開口面積を同一にして、各コイルアンテナの巻き数を変化させてもよい。
【0060】
本実施形態の無線タグ200C,200Dは、例えば、財布に入れた電子マネー用のカードや乱雑に箱詰めされた衣類につけられた商品タグのなどのように、基板のどちら側から無線タグ通信装置100の信号を受信するか定められないような場合に適している。
【0061】
<無線タグにおいて、外部の通信機器から信号を受信する側がある程度決まっている場合>
上述の実施形態では、無線タグ200のどちら側から無線タグ通信装置100と信号を送受信するか、特に定められていないような場合が想定されている。
【0062】
一方、本実施形態の無線タグ200Eでは、無線タグ通信装置100と信号を送受信する側がある程度決まっている場合について説明する。
【0063】
例えば、本実施形態の無線タグ200Eと前記無線タグ通信装置100を用いて物品管理などを行なう場合を説明する。図8の物品管理システム600では、無線タグ200Eを貼り付ける対象物品である書籍Mに、前記表示手段260として発光ダイオードや有機ELなどの発光素子が備えられた無線タグ200Eが貼り付けられている。
【0064】
本実施形態では、無線タグ通信装置100と、探索対象である前記書籍Mに備えられた無線タグ200EのタグIDを指定して、発光指示コマンドを送信する。前記無線タグ200Eは受信した発光指示コマンドに基づいて、前記発光素子を発光させる。無線タグ200Eにおいて、無線タグとして通信を行う部分(図2におけるメモリ部255、制御部257)などは動作電圧が2V程度であり、動作に必要な電力も0.1mW以下と非常に小さい。
【0065】
しかし、表示手段260(発光素子)は動作電圧が高く(有機ELの場合、5V程度)、動作電力も数mW必要になる。そこで、図2に示すように電源部を2つに分け、通信を行う部分を第一整流部及び第一電源部、発光部を第二整流部及び第二電源部で動作させる。また、それぞれの電源部で必要となる電力が異なるため、第一電源部と、第二電源部ではそれぞれ異なるコイルアンテナを用い、その出力電力を調整することで、通信を行う部分が起動するときには、必ず表示手段も動作できる電力を得られているように、コイルの開口面積、巻き数等を規定する必要がある。
【0066】
図8及び図9のように、無線タグ200Eを構成する基板201の第一面10と第二面20において、第二面20の方が無線タグ通信装置100からの信号を受信しやすい側に配置される。これにより、前記第二コイルアンテナ220Eは、前記第一コイルアンテナ210Eよりも、受信した信号による磁界が強くなるので、前記第二コイルアンテナ220Eにより多くの誘起電流が流れ、より多くの電力を表示手段260に供給できる。
【0067】
具体的には、図9において、前記無線タグ200Eは対象物品Mに貼り付けるための粘着層などからなる貼着面30を有している。第一コイルアンテナ210Eが形成される前記基板201の第一面10が、前記第二コイルアンテナ220Eが形成される第二面20よりも貼着面30に近い側に形成される。図3と同じ符号のものは同じ構成であるものとし、説明を省略する。また、前記第一面20は貼着面として形成されてもよい。ここで、前記貼着面30は請求項の前記通信装置を対象物品に装着する場合において、前記対象物品の表面に対向する対向面に相当する。なお、図9中の符号211は、無線タグ本体部211である。
【0068】
また、前記無線タグ200Eには表示手段260が形成されており、前記第二面20は、前記第一面10よりも前記表示手段260に近い側に形成される。前記表示手段260は視認しやすいように前記無線タグ200Eの表面側に形成されており、前記表示手段260が設けられた側から無線タグ通信装置100との信号の送受信を行なうことになる。
【0069】
つまり、前記表示手段260により近い面である第二面20側の方が無線タグ通信装置100からの信号を受信しやすい。これにより、前記第二コイルアンテナ220Eは、前記第一コイルアンテナ210Eよりも、受信した信号による磁界が強くなるので、前記第二コイルアンテナ220Eより多くの誘起電流が流れ、より多くの電力を表示手段260に供給できる。
【0070】
加えて、第一コイルアンテナ210Eと第二コイルアンテナ220Eの開口面積と巻き数を変化させることで、より確実に第二コイルアンテナ220Eに接続される表示手段260に、第一コイルアンテナ210Eに供給するよりも大きな電力を供給することができる。
【0071】
このときの、第一コイルアンテナ210Eと第二コイルアンテナ220Eの形成の仕方は、前述の実施形態の前記無線タグ200,200A,200Bにおいて、第一面10側に第一コイルアンテナ210,210A,210Bを形成し、前記第二面20側に第二コイルアンテナ220,220A,220Bを形成させればよいので、その説明は省略する。
【0072】
次に、前記物品管理システム600の無線タグ通信装置100と無線タグ200Eの動作について順を追って説明する。
【0073】
図9、図10を用いて、前記無線タグ通信装置100の構成について説明する。前記無線タグ通信装置100は、装置アンテナ152を介して無線タグ200Eとの無線通信の制御を行なう。そして、前記装置アンテナ152を介して無線タグ200Eから読み出された信号を処理する高周波回路112、CPU154、記憶手段としてのRAM156及びROM155を有し、これらは、電気的にバスで接続されている。
【0074】
前記高周波回路112は、無線タグ200Eを動作させるための信号を発生させる。また、無線タグ200Eとの通信を行うために、前記CPU154からの指示に基づいて無線タグ200Eへの送信命令を発生し、前記信号を変調して質問波FCとして送信すると共に、無線タグ200Eにおいて変調された応答波FRを受信、復調して前記CPU154に伝える。
【0075】
前記CPU154は、前記RAM156の一時記憶機能を利用するのと並行して、前記ROM155にあらかじめ記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより無線タグ通信装置100全体の制御を行なう。また、無線タグ通信装置100は、操作者からの指示や情報が入力される入力手段170、情報やメッセージを表示する表示手段160を備える。
【0076】
次に、図11において、前記無線タグ通信装置100のCPU154によって実行される制御手順を説明する。この例では、タグ探索コマンドが実行されるとこのフローが開始される。
【0077】
まず、ステップS110において、キーボタンなどの入力手段170によって、対象物品Mに備えられる無線タグ200EのタグIDを指定する操作情報が入力される。
【0078】
ステップS120において、高周波回路112に制御信号を出力して、前記特定のタグIDを指定して無線タグ200Eのメモリ部255に記録されたデータを読み出すタグ読み取り信号を送信する。前記タグ読み取り信号として、応答要求コマンドを含む質問波FCが、リーダアンテナ152を介して通信領域内に存在する無線タグ200Eに送信される。
【0079】
ステップS130では、前記応答要求コマンドに対応して前記タグIDに対応する無線タグ200Eからのリプライ信号を含む応答波FRを受信したか否かを判定する。すなわち、通信領域内の無線タグ200Eから指定した所定のタグIDが返答されたかどうか判断される。所定のタグIDを受信した場合には、判定が満たされてステップS140に進む。一方、所定のタグIDを受信しない場合は、ステップS150へ進む。
【0080】
ステップS140では、前記タグIDを指定して前記無線タグ200Eの表示手段260に表示を指示するための発光指示コマンドを送信する。
【0081】
ステップS150では、表示手段160に探索結果に対応して記憶手段に記憶された表示画面を表示させる。例えば、指定したタグIDに対応する無線タグ200Eから応答信号を受信している場合には、「探索対象の物品が見つかりました」などの表示を行う。一方、指定したタグIDに対応する無線タグ200Eから応答信号を受信していない場合には、「検索対象の物品が見つかりませんでした」などの表示を行う。
【0082】
ステップS160では、入力手段170によって停止操作情報が入力されたか否かが判断される。停止操作情報が入力された場合には、このフローを終了する。一方、停止操作情報が入力されない場合は、ステップS120へ戻り、指定したタグIDの検索が継続して実施される。
【0083】
続いて、無線タグ200Eの動作について説明する。図12は、無線タグ200Eの制御部257によって実行される制御手順を表すフローチャートである。この例では無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0084】
ステップS205では、受信したコマンドが応答要求コマンドであるか否かが判断される。応答要求コマンドである場合には、ステップS210へ進む。一方、応答要求コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0085】
ステップS210では、無線タグ通信装置からの応答要求コマンドに対して、メモリ部255に記憶されたタグIDを応答して、ステップS220へ進む。
【0086】
ステップS220では、前記無線タグ通信装置100から発光指示コマンドを受信したか否かが判断される。発光指示コマンドを受信しない場合はこのフローを終了する。一方、前記発光指示コマンドを受信した場合には、ステップS230の処理へ進む。
【0087】
ステップS230では、受信した発光指示コマンドに基づいて、スイッチ回路部265をONにして、発光手段を発光させてこのフローを終了する。
【0088】
<無線タグの制御回路部の構成が異なる場合>
次に、変形例の無線タグ200Fについて説明する。図13において、前記無線タグ200Fの機能的構成を説明する。図2と同じ符号のものは同じ構成であるものとして、その説明を省略する。本変形例では、第一コイルアンテナ210に接続され、無線タグ通信装置100と信号を送受信するための第一制御回路部251(図13(a))と、前記第二コイルアンテナに接続され、前記表示手段に表示を行なうための第二制御回路部252(図13(b))が別々に構成されている。
【0089】
図13(a)において、前記第一制御回路部251は、前記第一整流部252と、前記第一電源部253、前記クロック抽出部254、前記変復調部256を有する。
【0090】
前記第一制御部157は、上記変復調部256により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部255において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部256により上記第一コイルアンテナ210から返信するための基本的な制御を実行する。
【0091】
一方、図13(b)において、第二制御回路部252は前記第二整流部263と、前記第二電源部262、前記クロック抽出部254、前記変復調部256を有する。
【0092】
前記第二制御部158は、上記変復調部256により復調された受信信号を解釈して、発光指示コマンドを受信した場合に、スイッチ部256をONに切り替えて、前記表示手段260に情報を表示する制御を行なう。
【0093】
このように、前記第一制御回路部251と前記第二制御回路部252を設けることで、上述した実施形態において、制御回路部250が1つのときの構成と比較して、第一出力手段である第一コイルアンテナ210Eの消費電力をさらに小さくすることができる。
【0094】
図14を用いて、本変形例の無線タグ200Fに形成される前記第一コイルアンテナ210Fと前記第二コイルアンテナ220Fの構成を説明する。前記第一制御回路部251に接続される前記第一コイルアンテナ210Fと、前記第二制御回路部252に接続される前記第二コイルアンテナ220Fは、この例では、無線タグ200本体を構成する基板201の任意の面である第一面10上に形成される。
【0095】
前記第一コイルアンテナ210Fと第二コイルアンテナ220Fの開口部225F,226Fの開口面積と巻き数を両方とも変化させて形成している。すなわち、前記第二コイルアンテナ220Fの開口部226Fの面積である開口面積は、前記第一コイルアンテナ210Fの開口部225Fの面積である開口面積よりも大きく形成されると共に、前記第二コイルアンテナ220Fの巻き数は、前記第一コイルアンテナ210Fの巻き数よりも多く形成される。なお、その他の構成については、上述の図3(c)の無線タグ200Bの実施形態と同様である。
【0096】
また、図14(b)に他の変形例としての無線タグ200Gを示す。この無線タグ200Gにおいて、第一コイルアンテナ210Gと第二コイルアンテナ220Gは矩形状のコイルアンテナとして形成されている。この無線タグ200Gにおいて、第一コイルアンテナ210Gと第二コイルアンテナ220Gの開口部225G,226Gの開口面積と巻き数の構成の相対的な関係は、上述の無線タグ200Fと同様であるので説明を省略する。
【0097】
次に、前記無線タグ通信装置100と無線タグ200Fの動作について説明する。なお、前記無線タグ通信装置100の図11と同じ動作を行うものとして、説明を省略する。
【0098】
図15において、無線タグ200Fの第一制御部157、及び第二制御部158の動作について説明する。まず、図15(a)を用いて、無線タグ200Fの第一制御部157によって実行される制御手順を述べる。この例では、無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0099】
ステップS305では、受信したコマンドが応答要求コマンドであるか否かが判断される。応答要求コマンドである場合には、ステップS310へ進む。一方、応答要求コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0100】
ステップS310では、無線タグ通信装置からの応答要求コマンドに対して、第一制御回路部251のメモリ部255に記憶されたタグIDを応答して、このフローを終了する。
【0101】
また、図15(b)を用いて、無線タグ200Fの第二制御部158によって実行される制御手順を説明する。この例では、無線タグ通信装置100からコマンドを受信すると、このフローが開始される。
【0102】
ステップS410では、受信したコマンドが発光指示コマンドであるか否かが判断される。発光指示コマンドである場合には、ステップS415へ進む。一方、発光指示コマンドでない場合には、このフローを終了する。
【0103】
ステップS415では、受信した発光指示コマンドに含まれるタグIDが第二制御回路部252のメモリ部255に記憶されているIDと一致するかどうかが判断される。一致する場合にはステップS420へ進むが、一致しない場合にはこのフローを終了する。
【0104】
ステップS420では、受信した発光指示コマンドに基づいて、発光手段を発光させて、このフローを終了する。
【0105】
上述した実施形態では、第一出力手段は第一コイルアンテナ、第二出力手段は表示手段としたが、所定の報知を行なう報知手段や所定の状態を検知する検知手段などの他の動作手段で構成されていてもよい。また、動作手段は第一出力手段と第二出力手段の2つだけに限らず、3つ以上の複数の動作手段とそれぞれに対応して接続されるコイルアンテナが設けられていてもよい。この場合、複数の動作手段のうち、任意の2つの動作手段とそれに対するコイルアンテナが、上述の実施形態の構成となるように形成される。
【0106】
また、前記第一面10と前記第二面20にそれぞれ所定の態様で備えられる前記第一コイルアンテナ210と前記第二コイルアンテナ220は、実質上、前記実施形態の構成となるように所定の面に設けられていれば良く、図示しない接続端子への引き込みなどの都合上、その一部が他の面に設けられていても良い。
【0107】
さらに、本実施形態の第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの形状として、円形状、矩形状のものを説明したが、これらの形状に限られず、楕円形、正方形、長方形、三角形などその他の形状であってもよい。また、第一コイルアンテナと第二コイルアンテナの形状は、例えば、第一コイルアンテナが円形状、第二コイルアンテナが矩形状など、それぞれが異なる形状であってもよい。
【0108】
通信装置の一例として無線タグをあげて説明したが、無線通信を行う他の通信装置であってもよい。その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0109】
100 無線タグ通信装置
200,200A,200B,200C,200D,200E,200F,200G 無線タグ
210,210A,210B,210C,210D,210E,210F,210G 第一コイルアンテナ
220,220A,220B,220C,220D,220E,220F,220G 第二コイルアンテナ
260 表示手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、
前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、
前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、
前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、
少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多いことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第一出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、前記外部の通信機器と信号の送受信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第二出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて、動作を行なうことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置を対象物品に装着する場合に、前記対象物品の表面に対向する対向面を有し、
前記第一コイルアンテナが設けられる第一面は、前記第二コイルアンテナが設けられる第二面よりも、前記対向面に近い側に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第二出力手段は、前記第二ループアンテナを介して受信した信号から整流して得られる電力を用いて表示を行なう表示手段であって、
前記第二面は前記第一面よりも前記表示手段に近い側に形成されることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記表示手段は発光手段であることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第一コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部を有し、
前記第二コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第二コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第二コイルアンテナ部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項1】
外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第一コイルアンテナと、
前記第一コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力を用いて所定の出力を行なう第一出力手段と、
前記外部の通信機器から送信される信号の受信を行なう第二コイルアンテナと、
前記第二コイルアンテナを介して受信した信号から得られる電力であって、前記第一出力手段に供給される電力よりも大きい電力を用いて所定の出力を行なう第二出力手段とを備える通信装置であって、
少なくとも、前記第二コイルアンテナの開口面積が前記第一コイルアンテナの開口面積よりも大きい、又は前記第二コイルアンテナの巻き数が第一コイルアンテナの巻き数よりも多いことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第一出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号を整流部で整流して得られる電力を用いて、前記外部の通信機器と信号の送受信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第二出力手段は、前記第一コイルアンテナを介して受信した信号に基づいて、動作を行なうことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置を対象物品に装着する場合に、前記対象物品の表面に対向する対向面を有し、
前記第一コイルアンテナが設けられる第一面は、前記第二コイルアンテナが設けられる第二面よりも、前記対向面に近い側に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第二出力手段は、前記第二ループアンテナを介して受信した信号から整流して得られる電力を用いて表示を行なう表示手段であって、
前記第二面は前記第一面よりも前記表示手段に近い側に形成されることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記表示手段は発光手段であることを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第一コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第一コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第一コイルアンテナ部を有し、
前記第二コイルアンテナは、前記第一面側に配置される第一面側第二コイルアンテナ部と前記第二面側に配置される第二面側第二コイルアンテナ部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−65507(P2011−65507A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216630(P2009−216630)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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