説明

通信装置

【課題】間違った回線番号への通信を未然に防止すること。
【解決手段】ファクシミリ番号の入力後、ユーザーにそのファクシミリ番号の宛先のある住所の郵便番号を入力させる。データ抽出部101はファクシミリ番号を構成する市外局番に基づいて市外局番−住所テーブル151から住所1を抽出し、郵便番号に基づいて郵便番−住所テーブル152から住所2を抽出する。制御部100は住所1と住所2を比較し、住所2が住所1に含まれていたら入力されたファクシミリ番号は正しいと判断し、ファクシミリ送信を開始する。不一致である場合、データ抽出部101が郵便番号に基づいて大口事業所テーブル153から事業所名とファクシミリ番号を抽出し、表示制御部103がこれらを候補番号として表示部471に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間違った回線番号への通信を未然に防止する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機密性の高い書類を即座に相手へ送りたいときは、電子メールではなくファクシミリ送信が用いられる場合が多い。そのため、特許文献1に記載されている方法のように、ファクシミリ番号の入力ミス等による誤送信を防ぐ機能の強化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−036478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ファクシミリ装置によく使用するファクシミリ番号を短縮登録する段階で番号自体を間違って入力してしまうと、そのまま間違ったファクシミリ番号が登録されてしまう。特許文献1に記載されている方法では、短縮番号を押した後に送信先のファクシミリ番号の再入力が必要であるが、ユーザーがファクシミリ番号を間違って記憶していると、再入力したファクシミリ番号も間違ったファクシミリ番号と一致してしまうため、誤送信を効率的に防ぐことができなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、間違った回線番号への通信を未然に防止する機能を備えた通信装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明の通信装置は、回線番号の一部を構成する市外局番と住所を対応付けて記憶する第1記憶手段と、郵便番号と住所を対応付けて記憶する第2記憶手段と、回線番号の入力を受け付ける回線番号入力受付手段と、前記回線番号入力受付手段が回線番号の入力を受け付けた後、当該回線番号の宛先に対応する住所についての郵便番号の入力を受け付ける郵便番号入力受付手段と、前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号の市外局番に対応する住所を前記第1記憶手段から抽出する第1抽出手段と、前記郵便番号入力受付手段が受け付けた郵便番号に対応する住所を前記第2記憶手段から抽出する第2抽出手段と、前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致するか否かを判定する判定手段と、他の通信装置と通信を行う通信手段と、前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致すると前記判定手段が判定した場合、前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行う通信制御手段と、前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、通信を開始しない旨の警告メッセージを表示部に表示させる表示制御手段と、を備えたものである。
【0007】
ここで、回線番号とは電話番号及びファクシミリ番号等のことを言う。入力された回線番号の一部を構成する市外局番とその回線番号の宛先のある住所の郵便番号が示す住所を比較し、住所が不一致である場合は回線番号か郵便番号のどちらかが間違って入力されたことになる。市外局番から入力したときは郵便番号より回線番号の方が桁数が多く、ユーザーが数字を間違えて入力する確率が高い。つまり、住所が不一致である場合は回線番号が誤入力された可能性が高く、間違った番号への通信を未然に防ぐことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置であって、固有の郵便番号が付与されている事業所の事業所名と、当該固有の郵便番号と、当該事業所の回線番号とを対応付けて記憶する第3記憶手段と、前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、前記郵便番号入力受付手段が受け付けた郵便番号に対応する事業所の事業所名及び当該事業所の回線番号を前記第3記憶手段から抽出する第3抽出手段と、を更に備え、前記表示制御手段は、前記警告メッセージを表示した後に、前記第3抽出手段が抽出した事業所名及び回線番号を前記表示部に表示させるものである。
【0009】
固有の郵便番号が付与されている事業所の事業所名と当該固有の郵便番号と当該事業所の回線番号とを対応付けて記憶する第3記憶手段を備えることにより、判定手段が回線番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とが一致しないと判定した場合、第3抽出手段が郵便番号に基づいて第3記憶手段から事業所名と回線番号を抽出することができる。そして、表示制御手段が抽出された事業名及び回線番号を表示部に表示させることにより、ユーザーは正しい回線番号を簡単に知ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の通信装置であって前記警告メッセージが表示された後に前記第3抽出手段が抽出し、前記表示制御手段によって前記表示部に表示された回線番号へ通信を開始するか否かの選択入力を受け付ける通信許可受付手段を更に備え、前記通信制御手段は前記通信許可受付手段が通信を開始する旨の選択入力を受け付けた場合に前記第3抽出手段が抽出した回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行うものである。
【0011】
この構成によれば、第3抽出手段が抽出し表示部に表示された回線番号が正しい回線番号であれば、ユーザーは簡単に正しい番号と通信を開始することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の通信装置であって、過去に通信した回線番号を記憶する通信履歴記憶手段と、前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号と予め設定された上位桁が一致する回線番号を前記通信履歴記憶手段から抽出する第4抽出手段と、を更に備え、前記表示制御手段は、前記警告メッセージを表示した後に、前記第4抽出手段が抽出した回線番号を前記表示部に表示させるものである。
【0013】
過去に通信した回線番号を記憶する通信履歴記憶手段を備えることにより、判定手段が回線番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とが一致しないと判定した場合、第4抽出手段が入力された回線番号と予め設定された上位桁が一致する番号を通信履歴記憶手段から抽出することができる。そして、表示制御手段が抽出された番号を表示部に表示させることにより、ユーザーは正しい回線番号を簡単に知ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の通信装置であって、前記警告メッセージが表示された後に前記第4抽出手段が抽出し、前記表示制御手段によって前記表示部に表示された回線番号の選択入力を受け付ける選択入力受付手段を更に備え、前記通信制御手段は前記選択入力受付手段が受け付けた回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行うものである。
【0015】
この構成によれば、第4抽出手段が抽出し、表示部に表示された回線番号に正しい回線番号があれば、ユーザーはその番号を選択することによって簡単に正しい番号と通信を開始することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、回線番号の入力後、ユーザーにその回線番号の宛先のある住所の郵便番号を入力させ、判定手段が回線番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所が一致するか否かを判定することにより、入力された回線番号が正しいか否かを判断することができる。つまり間違った番号で入力された回線番号を検出することができ、間違った番号への通信を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の内部構成を概略的に示す側面図。
【図2】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】市外局番−住所テーブルのデータ構成を示した図。
【図4】郵便番号−住所テーブルのデータ構成を示した図。
【図5】大口事業所テーブルのデータ構成を示した図。
【図6】第1の実施の形態におけるファクシミリ送信の処理の流れを示したフローチャート。
【図7】図6に続くフローチャート。
【図8】ファクシミリ番号入力画面の一例を示した図。
【図9】郵便番号入力画面の一例を示した図。
【図10】表示画面の一例を示した図。
【図11】表示画面の一例を示した図。
【図12】表示画面の一例を示した図。
【図13】第2の実施の形態におけるファクシミリ送信の処理の流れを示したフローチャート。
【図14】図13に続くフローチャート。
【図15】表示画面の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置の一例である画像形成装置1の内部構成を概略的に示す側面図である。尚、本実施の形態では、コピー機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えた複合機としての画像形成装置1を例に挙げて説明するが、電話機能又はファクシミリ機能のみを備えた通信装置であっても適用可能である。
【0019】
画像形成装置1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。画像形成装置1のフロント部には、略長方形の操作パネル47が設けられている。操作パネル47は、表示部471と、操作キー472等を備えている。表示部471は、例えばタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等によって構成されている。操作キー472は、例えばユーザーが印刷実行指示を入力するためのスタートキーや、印刷部数等を入力するためのテンキー等の各種キースイッチを備えている。
【0020】
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)及び露光ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを後述する制御部へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部へ出力する。
【0021】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構63とを備える。
【0022】
本体部2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬出されてきた用紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。
【0023】
画像形成部40は、制御部から出力された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム43を露光する光学ユニット42と、感光体ドラム43と、感光体ドラム43上にトナー像を形成する現像部44と、感光体ドラム43上のトナー像を用紙に転写する転写部41とを備えている。トナー像が転写された用紙は定着部45へ搬送される。
【0024】
定着部45は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる。定着後の用紙は、搬送ローラ463及び464等によってスタックトレイ3又は排出トレイ48へ排出される。
【0025】
図2は、画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。制御部100は、装置全体の動作制御を司るもので、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部100には、原稿読取部5、画像メモリー140、画像形成部40、操作パネル47、ファクシミリ通信部170、ネットワークI/F部210、及びHDD(Hard Disk Drive)150が接続されている。
【0026】
制御部100は、ROMやHDD150等に記憶された制御プログラムを実行することにより、データ抽出部101、ファクシミリ送信制御部102及び表示制御部103として機能する。尚、点線で示した送受信履歴記憶部104は、第2の実施の形態において用いられる要素であるため、ここでの説明は省略する。
【0027】
データ抽出部101は、HDD150が記憶する各テーブルから必要なデータを抽出する。データ抽出部101による抽出処理については、後ほど詳しく説明する。
【0028】
ファクシミリ送信制御部102は、ファクシミリ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。具体的には、ファクシミリ送信制御部102は、ファクシミリ通信部170を用いて通信回線171に接続された他のファクシミリ装置との間でデータ送受信を行う。更に、ファクシミリ送信制御部102は、例えば原稿読取部5で読み取られた原稿画像を、ファクシミリ通信部170に他のファクシミリ装置へ送信させたり、ファクシミリ通信部170が他のファクシミリ装置から受信した画像信号に基づき、画像形成部40に用紙に画像形成させたりする。
【0029】
表示制御部103は、表示部471に対して文字や画像等を表示させるための制御を行う。画像メモリー140には、例えば原稿読取部5によって原稿から読み取られた画像データや、ネットワークに接続された端末装置からネットワークI/F部210が受信した画像データが記憶される。また、ファクシミリ機能によって、他のファクシミリ装置に送信しようとする画像データも、画像メモリー140に一旦記憶される。
【0030】
ファクシミリ通信部170は、データ送受信相手である相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)や、ファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備えている。そしてファクシミリ通信部170は、公衆電話回線等の通信回線171に接続されている。ネットワークI/F部210は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して、これらネットワークに接続されたパーソナルコンピューター等の端末装置との間で通信を行う通信インターフェイス回路である。
【0031】
HDD150は、市外局番−住所テーブル151、郵便番号−住所テーブル152及び大口事業所テーブル153を記憶する。尚、本実施の形態では磁気ディスク等で構成されるHDD150を用いて説明するが、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の半導体メモリーを用いてもよい。
【0032】
図3は、市外局番−住所テーブル151のデータ構成を示した図である。電話番号やファクシミリ番号の市外局番は、市内通話料金で通話できる単位料金区域(MA)毎に割り当てられており、1つの単位料金区域に含まれる行政区域は予め定められている。つまり、市外局番と行政区域(住所)は対応していることとなり、市外局番−住所テーブル151は市外局番と行政区域とが対応付けられて記憶されている。
【0033】
ここで、市外局番−住所テーブル151は、電話会社等が設定した単位料金区域名を記憶するのではなく、単位料金区域名に含まれる具体的な行政区域(市町村)と市外局番を対応付けて記憶する。詳しく説明すると、市外局番「06」の場合、単位料金区域名は「大阪」となる。しかしこの単位料金区域「大阪」には「大阪市、豊中市、吹田市、守口市、門真市、・・・」等の複数の行政区域が含まれる。市外局番−住所テーブル151は、これら具体的な行政区域を記憶する。
【0034】
図4は、郵便番号−住所テーブル152のデータ構成を示した図である。郵便番号は、都道府県や市区町村毎に割り当てられており、郵便番号−住所テーブル152は各郵便番号と住所とが対応付けられて記憶されている。
【0035】
図5は、大口事業所テーブル153のデータ構成を示した図である。1日の郵便配達数が所定数以上の事業所については個別の郵便番号が割り当てられ、大口事業所テーブル153は個別の郵便番号が割り当てられた事業所とその郵便番号及びファクシミリ番号が対応付けられて記憶されている。
【0036】
図6及び7は、本実施の形態におけるファクシミリ送信の処理の流れを示したフローチャートである。ユーザーが操作パネル47に配置された機能キーから「ファクシミリ送信」を選択すると、表示制御部103は図8に示したファクシミリ番号入力画面700を表示部471に表示させる(ステップS10)。
【0037】
そしてユーザーが操作キー472によってファクシミリ番号を入力し、OKキー701を選択すると(ステップS11;YES)、表示制御部103は図9に示した郵便番号入力画面710を表示部471に表示させる(ステップS12)。この画面において、ユーザーはステップS11にて入力したファクシミリ番号の宛先のある住所の郵便番号を入力する。
【0038】
ユーザーが郵便番号を入力し、OKキー711を選択すると(ステップS13;YES)、データ抽出部101はステップS11にて入力されたファクシミリ番号の市外局番に対応する住所1を市外局番−住所テーブル151から抽出する(ステップS14)。例えばステップS11においてユーザーが「06−6764−XXXX」と入力した場合、データ抽出部101は市外局番「06」に対応する住所「大阪市、豊中市、吹田市、守口市、門真市、・・・」を市外局番−住所テーブル151から抽出し、これらの住所を住所1とする。
【0039】
次に、データ抽出部101は、ステップS13にて入力された郵便番号に対応する住所2を郵便番号−住所テーブル152から抽出する(ステップS15)。例えばステップS13においてユーザーが「540XXXX」と入力した場合、データ抽出部101は郵便番号「540XXXX」に対応する住所として「大阪市中央区」を郵便番号−住所テーブル152から抽出し、この住所を住所2とする。
【0040】
続いて、制御部100は、データ抽出部101が抽出した住所1及び住所2を比較する(ステップS16)。上記の例によると、データ抽出部101が市外局番から抽出した住所1が「大阪市、豊中市、吹田市、守口市、門真市、・・・」であり、郵便番号から抽出した住所2が「大阪市中央区」である。一般的に郵便番号に割り当てられる住所の方が細かい市区町村まで示しているため、住所1と住所2が完全に一致することは少ない。従って、細かい住所まで示す住所2が広い範囲の住所を示す住所1に含まれているならば、制御部100は住所1と住所2は一致していると判断する。従って、上記の例の場合は住所1と住所2は一致していると制御部100は判断する。
【0041】
住所1と住所2が一致している場合(ステップS16;YES)、表示制御部103は図10に示した画面720を表示部471に表示させる。そしてユーザーによってOKキー721が選択されたら、ファクシミリ送信制御部102はステップS11で入力されたファクシミリ番号へファクシミリ送信を開始し(ステップS24)、送信終了後、制御部100は処理を終了する。
【0042】
一方、制御部100が住所1と住所2が不一致であると判断した場合(ステップS16;NO)、ファクシミリ送信制御部102はファクシミリ送信を一時中断し、表示制御部103は送信を一時中断する旨と伝えるための警告メッセージを表示部471に表示させる(ステップS17)。図11は、ステップS17において表示部471に表示される画面730の一例である。
【0043】
住所1と住所2が一致しない例として、ユーザーがファクシミリ番号を「06−・・・」と入力せずに「03−・・・」と誤入力し、郵便番号は正しく「540XXXX」と入力した場合等であり、このときデータ抽出部101は住所1として「東京都中央区、港区、・・・」等の東京23区の住所を抽出するが、住所2として「大阪市中央区」を抽出する。住所1に住所2が含まれていないため、制御部100は住所1と住所2は不一致であると判断する。
【0044】
このように住所1と住所2が不一致である場合、郵便番号より入力桁数の多いファクシミリ番号を誤入力している可能性が高いため、ファクシミリ送信制御部102は誤送信を未然に防ぐためにファクシミリ送信を一時中断し、表示制御部103は画面730に警告メッセージと共に、ファクシミリ番号の再入力、候補番号の表示、ファクシミリ送信の中止をユーザーに選択させるための選択キー731〜733を表示させる。ここでユーザーがファクシミリ番号の再入力を示す選択キー731を選択した場合(ステップS18;番号を再入力)、制御部100はステップS10へ処理を移行する。また、ユーザーが送信中止を示す選択キー733を選択した場合(ステップS18;送信を中止)、ファクシミリ送信制御部102はファクシミリの送信処理を中止し(ステップS23)、制御部100は処理を終了する。
【0045】
ユーザーが候補番号の表示を示す選択キー732を選択した場合(ステップS18;候補番号を表示)、データ抽出部101は大口事業所テーブル153からステップS13にて入力された郵便番号を検出する(ステップS19)。大口事業所テーブル153から郵便番号が検出された場合(ステップS20;YES)、データ抽出部101は大口事業所テーブル153から検出された郵便番号に対応付けて記憶されている事業所名とファクシミリ番号を抽出し、表示制御部103が抽出された事業所名とファクシミリ番号を候補番号として表示部471に表示させる(ステップS21)。図12はステップS21において表示される画面740を示した図である。
【0046】
表示されたファクシミリ番号と送信先のファクシミリ番号が正しければ、ユーザーはOKキー741を選択し、異なる場合はキャンセルキー742を選択する。OKキー741が選択された場合(ステップS22;YES)、ファクシミリ送信制御部102はステップS21においてデータ抽出部101が抽出したファクシミリ番号に対してファクシミリ送信を開始し(ステップS24)、送信終了後、制御部100は処理を終了する。キャンセルキー742が選択された場合(ステップS22;NO)、制御部100はステップS18へ処理を移行する。
【0047】
また、大口事業所テーブル153から郵便番号が検出されなかった場合(ステップS20;NO)、制御部100はステップS18へ処理を移行する。
【0048】
以上、説明したように、ファクシミリ番号の入力後、ユーザーにそのファクシミリ番号の宛先のある住所の郵便番号を入力させ、ファクシミリ番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とを比較することにより、入力されたファクシミリ番号が正しいか否かを判断することができる。つまり間違った番号で入力されたファクシミリ番号を検出することができ、ファクシミリ送信の誤送信を防ぐことができる。
【0049】
更に、ファクシミリ番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とが一致しない場合は、データ抽出部101が郵便番号に基づいて大口事業所テーブル153から事業所名とファクシミリ番号を抽出し、表示制御部103がこれらを候補番号として表示部471に表示させることにより、ユーザーはファクシミリ番号を間違えて入力したとしても正しい番号へのファクシミリ送信を簡単に行うことができる。
【0050】
尚、本実施の形態では、回線番号としてファクシミリ番号に限定し、画像形成装置1は入力されたファクシミリ番号が正しいか否かを判別するとして説明を行ったが、同様の構成を用いて入力された電話番号も正しいか否かを判別することとしてもよい。
【0051】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、データ抽出部101が抽出した住所1と住所2が不一致である場合、入力された郵便番号に基づいて大口事業所テーブル153からファクシミリ番号を抽出して、このファクシミリ番号を候補番号として表示部471に表示させる場合について説明した。第2の実施の形態では、候補番号を過去にファクシミリ送受信された履歴番号から抽出する場合について説明する。
【0052】
尚、本実施の形態における画像形成装置1の内部構成は図1で示したものと同一であるため説明を省略する。また、本実施の形態における画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図については、第1の実施の形態において図2を用いて説明した要素に加えて、点線で示した送受信履歴記憶部104を加えたものとなるため、異なるこの部分のみ説明する。また、HDD150が記憶する各テーブルは図3、4及び5において説明したデータ構成と同一であるため同様に説明を省略する。
【0053】
制御部100は、ROMやHDD150等に記憶された制御プログラムを実行することにより、データ抽出部101、ファクシミリ送信制御部102及び表示制御部103として機能する他に、送受信履歴記憶部104として機能する。送受信履歴記憶部104は、過去にファクシミリ送受信されたファクシミリ番号を蓄積して記憶する。
【0054】
図13及び14は、本実施の形態におけるファクシミリ送信の処理の流れを示したフローチャートである。ユーザーが操作パネル47に配置された機能キーから「ファクシミリ送信」を選択すると、表示制御部103は図8に示したファクシミリ番号入力画面700を表示部471に表示させる(ステップS10)。
【0055】
そしてユーザーが操作キー472によってファクシミリ番号を入力し、OKキー701を選択すると(ステップS11;YES)、表示制御部103は図9に示した郵便番号入力画面710を表示部471に表示させる(ステップS12)。この画面において、ユーザーはステップS11にて入力したファクシミリ番号の宛先のある住所の郵便番号を入力する。
【0056】
ユーザーが郵便番号を入力し、OKキー711を選択すると(ステップS13;YES)、データ抽出部101はステップS11にて入力されたファクシミリ番号の市外局番に対応する住所1を市外局番−住所テーブル151から抽出する(ステップS14)。次に、データ抽出部101は、ステップS13にて入力された郵便番号に対応する住所2を郵便番号−住所テーブル152から抽出する(ステップS15)。
【0057】
続いて、制御部100は、データ抽出部101が抽出した住所1及び住所2を比較する(ステップS16)。住所1と住所2が一致している場合(ステップS16;YES)、表示制御部103は図10に示した画面720を表示部471に表示させる。そしてユーザーによってOKキー721が選択されたら、ファクシミリ送信制御部102はステップS11で入力されたファクシミリ番号へファクシミリ送信を開始し(ステップS24)、送信終了後、制御部100は処理を終了する。
【0058】
一方、制御部100が住所1と住所2が不一致であると判断した場合(ステップS16;NO)、ファクシミリ送信制御部102はファクシミリ送信を一時中断し、表示制御部103は送信を一時中断する旨と伝えるための警告メッセージを表示部471に表示させる(ステップS17)。図11は、ステップS17において表示部471に表示される画面730の一例である。ここで表示制御部103は画面730に警告メッセージと共に、ファクシミリ番号の再入力、候補番号の表示、ファクシミリ送信の中止をユーザーに選択させるための選択キー731〜733を表示させる。
【0059】
ユーザーがファクシミリ番号の再入力を示す選択キー731を選択した場合(ステップS18;番号を再入力)、制御部100はステップS10へ処理を移行する。また、ユーザーが送信中止を示す選択キー733を選択した場合(ステップS18;送信を中止)、ファクシミリ送信制御部102はファクシミリの送信処理を中止し(ステップS23)、制御部100は処理を終了する。
【0060】
ユーザーが候補番号の表示を示す選択キー732を選択した場合(ステップS18;候補番号を表示)、データ抽出部101は入力されたファクシミリ番号と予め設定された上位桁の一致する番号を送受信履歴記憶部104から抽出する(ステップS19)。予め設定された上位桁とは、市外局番を含めて例えば上位6桁〜9桁で設定されることが望ましい。上位6桁で設定されている場合、データ抽出部101は入力されたファクシミリ番号と市外局番及び市内局番が一致する番号を抽出し、上位9桁で設定されている場合は入力されたファクシミリ番号と市内局番、市内局番及び下4桁の加入者番号のうち上位3桁までが一致する番号を抽出する。この桁数はユーザーが任意の桁数を設定可能としてもよいし、固定された桁数が工場出荷時に設定されていてもよい。
【0061】
送受信履歴記憶部104から予め設定された上位桁の一致するファクシミリ番号が抽出された場合(ステップS32;YES)、表示制御部103が抽出されたファクシミリ番号を候補番号として表示部471に表示させる(ステップS33)。図15はステップS33において表示される画面750を示した図である。抽出されたファクシミリ番号が複数ある場合はリスト表示され、各ファクシミリ番号にはラジオボタン751が対応して表示される。
【0062】
表示されたファクシミリ番号の中に送信先となる正しいファクシミリ番号があれば、ユーザーは正しいファクシミリ番号のラジオボタン751を選択状態にしてOKキー752を選択する。OKキー752が選択された場合(ステップS34;YES)、ファクシミリ送信制御部102は選択されたファクシミリ番号に対してファクシミリ送信を開始し(ステップS24)、送信終了後、制御部100は処理を終了する。キャンセルキー753が選択された場合(ステップS34;NO)、制御部100はステップS18へ処理を移行する。
【0063】
また、送受信履歴記憶部104から予め設定された上位桁の一致するファクシミリ番号が検出されなかった場合(ステップS32;NO)、制御部100はステップS18へ処理を移行する。
【0064】
以上、説明したように、ファクシミリ番号の入力後、ユーザーにそのファクシミリ番号の宛先のある住所の郵便番号を入力させ、ファクシミリ番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とを比較することにより、入力されたファクシミリ番号が正しいか否かを判断することができる。つまり間違った番号で入力されたファクシミリ番号を検出することができ、ファクシミリ送信の誤送信を防ぐことができる。
【0065】
更に、ファクシミリ番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とが一致しない場合は、データ抽出部101が入力されたファクシミリ番号と予め設定された上位桁が一致する番号を送受信履歴記憶部104から抽出し、抽出された番号を表示制御部103が表示部471に表示させてユーザーに選択させることにより、ユーザーはファクシミリ番号を間違えて入力したとしても正しい番号へのファクシミリ送信を簡単に行うことができる。
【0066】
尚、ファクシミリ番号を構成する市外局番が示す住所と郵便番号が示す住所とが一致しない場合の候補番号として、第1の実施の形態では、入力された郵便番号に基づいて大口事業所テーブル153からファクシミリ番号を抽出し、第2の実施の形態では入力されたファクシミリ番号に基づいて送受信履歴記憶部104からファクシミリ番号を抽出することとしたが、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。つまり、入力された郵便番号が大口事業所テーブル153から検出できなかった場合は、入力されたファクシミリ番号に基づいて送受信履歴記憶部104からファクシミリ番号を抽出するようにしてもよいし、又はその逆であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置(通信装置)
100 制御部(判定手段)
101 データ抽出部(第1抽出手段、第2抽出手段、第3抽出手段、第4抽出手段)
102 ファクシミリ送信制御部(通信制御手段)
103 表示制御部(表示制御手段)
104 送受信履歴記憶部(通信履歴記憶手段)
140 画像メモリー
150 HDD
151 市外局番−住所テーブル(第1記憶手段)
152 郵便番号−住所テーブル(第2記憶手段)
153 大口事業所テーブル(第3記憶手段)
170 ファクシミリ通信部(通信手段)
210 ネットワークI/F部
40 画像形成部
47 操作パネル(回線番号入力受付手段、郵便番号入力受付手段、通信許可受付手段、選択入力受付手段)
473 表示部
5 原稿読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線番号の一部を構成する市外局番と住所を対応付けて記憶する第1記憶手段と、
郵便番号と住所を対応付けて記憶する第2記憶手段と、
回線番号の入力を受け付ける回線番号入力受付手段と、
前記回線番号入力受付手段が回線番号の入力を受け付けた後、当該回線番号の宛先に対応する住所についての郵便番号の入力を受け付ける郵便番号入力受付手段と、
前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号の市外局番に対応する住所を前記第1記憶手段から抽出する第1抽出手段と、
前記郵便番号入力受付手段が受け付けた郵便番号に対応する住所を前記第2記憶手段から抽出する第2抽出手段と、
前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致するか否かを判定する判定手段と、
他の通信装置と通信を行う通信手段と、
前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致すると前記判定手段が判定した場合、前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行う通信制御手段と、
前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、通信を開始しない旨の警告メッセージを表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えた通信装置。
【請求項2】
固有の郵便番号が付与されている事業所の事業所名と、当該固有の郵便番号と、当該事業所の回線番号とを対応付けて記憶する第3記憶手段と、
前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、前記郵便番号入力受付手段が受け付けた郵便番号に対応する事業所の事業所名及び当該事業所の回線番号を前記第3記憶手段から抽出する第3抽出手段と、
を更に備え、前記表示制御手段は、前記警告メッセージを表示した後に、前記第3抽出手段が抽出した事業所名及び回線番号を前記表示部に表示させるものである請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記警告メッセージが表示された後に前記第3抽出手段が抽出し、前記表示制御手段によって前記表示部に表示された回線番号へ通信を開始するか否かの選択入力を受け付ける通信許可受付手段を更に備え、前記通信制御手段は前記通信許可受付手段が通信を開始する旨の選択入力を受け付けた場合に前記第3抽出手段が抽出した回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行うものである請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
過去に通信した回線番号を記憶する通信履歴記憶手段と、
前記第1抽出手段が抽出した住所及び前記第2抽出手段が抽出した住所が一致しないと前記判定手段が判定した場合、前記回線番号入力受付手段が受け付けた回線番号と予め設定された上位桁が一致する回線番号を前記通信履歴記憶手段から抽出する第4抽出手段と、
を更に備え、前記表示制御手段は、前記警告メッセージを表示した後に、前記第4抽出手段が抽出した回線番号を前記表示部に表示させるものである請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記警告メッセージが表示された後に前記第4抽出手段が抽出し、前記表示制御手段によって前記表示部に表示された回線番号の選択入力を受け付ける選択入力受付手段を更に備え、前記通信制御手段は前記選択入力受付手段が受け付けた回線番号の通信装置との通信を開始させる制御を前記通信手段に対して行うものである請求項4に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−165153(P2012−165153A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23506(P2011−23506)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】