通信装置
【課題】現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えを行う。
【解決手段】宛先管理情報記憶手段は、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶する。マルチキャスト振分手段は、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力手段によって入力されたフレームを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定する。
【解決手段】宛先管理情報記憶手段は、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶する。マルチキャスト振分手段は、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力手段によって入力されたフレームを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレームを転送する通信装置に関し、特に複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して通信相手の端末装置へデータを送信する場合、送信データはデータリンク層においてフレームに分割され、通信装置によって中継されて、通信相手に届けられる。フレームを中継する通信装置としては、レイヤ2スイッチ等がある。ここで、通信装置間の通信路の品質を向上させる方法として、リンク集約(リンクアグリゲーション:Link Aggregation:LAG)の技術が知られている。リンク集約とは、同一の通信装置との間にケーブル等の物理リンクを複数設置し、これらの物理リンクを束ねて一つの仮想的な論理リンクを構成する技術であり、IEEE802.3adで規定されている。
【0003】
このリンク集約を行って伝送帯域を増やすことで、高価なケーブルや通信インタフェースを用意することなく、高速な通信路を実現できる。また、近年、リンク集約は、通信事業者が提供するキャリアネットワークにおいて、リンク冗長を目的として使われることが多くなってきた。これは、リンク集約により、複数の物理リンクを同時に使用するため、一部の物理リンクが故障した場合でも、通信路が完全に切断されることを防止でき、可用性を向上させることができるためである。
【0004】
例えば、論理リンクを構成する物理リンクのうち、所定のリンクを現用リンクとし、現用リンク以外のリンクを擬似的に閉塞して予備リンクとする。この論理リンクにおける現用リンクを運用リンクとして通信に用いるとともに、運用リンクの状態を監視する。そして、運用リンクのうち一部の運用リンクが使用不可状態となると、当該一部の運用リンクをリンクアグリゲーショングループからデタッチし、予備リンクの擬似閉塞を解除して、当該予備リンクをリンクアグリゲーショングループに運用リンクとしてアタッチする技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、論理リンクを構成するリンクのうち、一方のリンクのグループを現用リンクとし、他方のグループを予備リンクとする。現用リンクの障害発生時には、この現用リンクを未使用状態に変更するとともに予備リンクを未使用状態から使用可能状態へ変更することで、予備リンクを運用リンクとするリンクの切替を行うことにより、継続してリンク集約によるネットワークの接続を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−349764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、リンク集約機能を用いたフレームの転送を行うネットワークにおいても、障害発生によるダウンは、通信品質の低下、およびシステムの可用性の低下に繋がるため、できる限り短時間で復旧可能であることが望ましい。特に、リンク冗長化のためにリンク集約機能が使用された、通信事業者が提供するキャリアネットワークにおいては、障害発生時に少しでも早く正常なリンクへの切り替えが完了して接続が復旧することが要求されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時などに、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えが可能な通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施態様によれば、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、フレームが入力される入力手段と、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力手段によって入力されたフレームを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、を有することを特徴とする通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の通信装置によれば、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクを用いた通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時に、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態の概要を示す図である。
【図2】フレーム転送システムの全体構成を示す図である。
【図3】スイッチのハードウェア構成を示す図である。
【図4】フレームのデータ構造例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図11】第2の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図13】第4の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図14】第4の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図15】第4の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図17】第5の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図18】第5の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図19】第6の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図20】第6の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図21】第6の実施の形態の集約マルチキャスト管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図22】第6の実施の形態の集約マルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図23】第6の実施の形態のマルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の概要を示す図である。図1に示したように、本実施の形態に係る通信装置1は、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置であって、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて現用リンクから予備リンクへ切り替えるものである。
【0012】
図1に示す通信装置1は、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを他の通信装置などに転送する装置である。通信装置1は、論理リンクを用いてフレームを転送するために、入力手段11、集約宛先管理情報記憶手段12、振分手段13、第1の出力手段14、第2の出力手段15を有している。
【0013】
入力手段11は、通信装置1によって他の通信装置、コンピュータを始めとする情報機器などに転送されるフレームが入力される。
集約宛先管理情報記憶手段12は、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、集約宛先管理テーブル12aを構成して集約宛先管理情報記憶手段12に記憶されている。また、物理リンクは、第1の出力手段14および第2の出力手段15が有する各ポート(ポート#0など)である。
【0014】
集約宛先管理情報は、第1の出力手段14の物理リンクを特定する第1の物理リンク情報(図中の集約宛先管理テーブル12aの左側の列)と、第2の出力手段15の物理リンクを特定する第2の物理リンク情報(図中の集約宛先管理テーブル12aの右側の列)とを有する。
【0015】
振分手段13は、集約宛先管理情報記憶手段12に集約宛先管理テーブル12aとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力手段11によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0016】
ここで、振分手段13は、切替指示に応じて、第1の物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、第1の出力手段14を構成する物理リンクに決定する第1の状態と、第2の物理リンク情報を参照してフレームが出力される前記物理リンクを、第2の出力手段15を構成する物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能である。この切替指示は、例えば、通信装置1と他の通信装置との論理リンクによる通信に障害が発生した場合に、通信装置1自身に、この障害の発生を検出する機能および障害の発生の検出に基づいて切替指示を行う機能を持たせてもよい。なお、通信装置1以外の他の装置に障害の発生を検出して切替指示を出力する機能を持たせてもよい。
【0017】
第1の出力手段14は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、第2の出力手段15は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの第1の出力手段14を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。
【0018】
このような通信装置1によれば、入力手段11により、フレームが入力され、集約宛先管理情報記憶手段12により、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報が記憶される。振分手段13により、集約宛先管理情報が参照され、フレームが出力される物理リンクが、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定される。第1の出力手段14は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成されており、第2の出力手段15は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの第1の出力手段14を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成されている。集約宛先管理情報は、第1の出力手段14の物理リンクが特定される第1の物理リンク情報と、第2の出力手段15の物理リンクが特定される第2の物理リンク情報とを有している。振分手段13により、第1の物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクが、第1の出力手段14を構成する物理リンクに決定される第1の状態と、第2の物理リンク情報が参照されてフレームが出力される物理リンクが、第2の出力手段15を構成する物理リンクに決定される第2の状態とに切り替え可能であるとともに、切替指示に応じて、第1の状態から第2の状態に切り替えられる。
【0019】
これにより、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクを用いた通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時に、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えを実現できる。
【0020】
[第1の実施の形態]
図2は、フレーム転送システムの全体構成を示す図である。本実施の形態のフレーム転送システムは、端末装置間でデータの送受信を行えるように、複数のレイヤ2スイッチがデータリンク層のフレームを中継するものである。
【0021】
図2に示すフレーム転送システムは、スイッチ100,100a,100b,100c,100dと端末装置40,61,62,63,64,65,66とで構成される。スイッチ100,100a,100b,100c,100dは、レイヤ2スイッチである。端末装置61,62,63,64,65,66は、ユーザが使用する端末装置である。端末装置40は、スイッチ100の管理者が使用する端末装置である。スイッチ100a,100b,100c,100dは、スイッチ100と同様に構成されており、同等の機能を有する。
【0022】
スイッチ100は、スイッチ100a,100bと接続されている。スイッチ100bは、スイッチ100c,100dと接続されている。端末装置61,62は、スイッチ100aと接続されている。端末装置63,64は、スイッチ100cと接続されている。端末装置65,66は、スイッチ100dと接続されている。端末装置40は、スイッチ100と接続されている。2つのスイッチ間またはスイッチと端末装置の間は、1つ以上の物理リンク(ネットワークケーブル)で接続されている。
【0023】
スイッチ100,100a,100b,100c,100dは、フレームに含まれるアドレスに従って、送信元の端末装置から宛先の端末装置まで、フレームを中継する。例えば、端末装置61が端末装置63へフレームを送信する場合、スイッチ100a、スイッチ100、スイッチ100b、スイッチ100cの順にフレームが中継される。
【0024】
図3は、スイッチのハードウェア構成を示す図である。図3は、スイッチ100の内部構成を示したものであるが、スイッチ100a,100b,100c,100dも同様の構成で実現できる。スイッチ100は、CPU101、インタフェースカード102a,102b,102c,102d、スイッチカード103、テーブル記憶メモリ104、ポート監視部105、バス106を有している。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)101は、スイッチ100全体を制御している。CPU101は、プログラムによる処理を実行する。CPU101は、図示しないメモリに保持されたデータを用いて、同じくメモリに保持されたプログラムを実行する。CPU101は、図示しない通信インタフェースを介して、管理者が使用する端末装置40から送信されるコマンドを受信するとともに、コマンドに対する実行結果を端末装置40に応答する。
【0026】
テーブル記憶メモリ104は、複数のテーブルを記憶している。テーブル記憶メモリ104に記憶されるテーブルには、論理リンクの構成を管理するテーブル、論理リンク内でのフレームの転送先を決定するためのテーブル、フレームの転送先を示す情報を格納するテーブルが含まれる。
【0027】
バス106には、CPU101、インタフェースカード102a,102b,102c,102d、スイッチカード103、テーブル記憶メモリ104、ポート監視部105が接続されている。
【0028】
インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、それぞれ複数個(例えば、8個)の通信ポートを有している。それぞれの通信ポートには、1つの物理リンクを接続できる。インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、それぞれの通信ポートを監視してフレームを取得する。なお、インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、複数の通信ポートに同時にフレームが到来した場合に備えて、フレームを一時的に保持するバッファを内部に有している。そして、インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、取得したフレームをスイッチカード103に送る。
【0029】
スイッチカード103は、図示しない学習テーブルを有している。スイッチカード103は、学習テーブルに、過去に受信したフレームの送信元アドレスと、そのフレームが到来した通信ポートまたは論理リンクの識別情報とを対応付けて記憶している。この学習テーブルは、スイッチカード103によって随時更新される。
【0030】
そして、スイッチカード103は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dのいずれかからフレームを受け取ると、学習テーブルを参照して、そのフレームの転送先を決定する。ここで、決定した転送先が論理リンクである場合、スイッチカード103は、テーブル記憶メモリ104に記憶されたテーブルを参照して、転送に使用する具体的なインタフェースカード102a,102b,102c,102dおよび通信ポートを決定する。その後、スイッチカード103は、フレームを、決定したインタフェースカード102a,102b,102c,102dに送る。
【0031】
フレームを受け取ったインタフェースカード102a,102b,102c,102dは、受け取ったフレームを、決定された通信ポートから送信先に送出する。
ポート監視部105は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートを監視する。そして、ポート監視部105は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートに接続された物理リンクの故障や復旧を検出すると、CPU101にその旨を通知する。
【0032】
図4は、フレームのデータ構造例を示す図である。図4に示すフレーム30が、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートを介して、スイッチ100a,100b等との間で送受信される。フレーム30は、宛先MACアドレス(MAC DA:Media Access Control address Destination Address)、送信元MACアドレス、TPID(Tag Protocol Identifier:タグ・プロトコル識別子)、VLAN(Virtual Local Area Network)タグ、タイプ、ペイロードおよびFCS(Frame Check Sequence)で構成される。
【0033】
宛先MACアドレスは、送信先の端末装置が有する通信インタフェースを一意に識別するアドレスである。送信元MACアドレスは、送信元の端末装置が有する通信インタフェースを一意に識別するアドレスである。TPIDは、当該フレームの種類(例えば、VLANのフレームであるか通常のフレームであるか)を示す値である。VLANタグは、1つのネットワークを複数の論理的なネットワークに分割して運用する場合に、個々の論理的なネットワークに割り当てられる一意に定められた値である。タイプは、使用するプロトコルを指定するフィールドである。ペイロードは、送受信するデータ本体であり、例えば、IPパケットを所定のデータ長に分割したものである。FCSは、受信したフレームの誤りを検出するために用いられる値である。
【0034】
なお、フレームのデータ構造は、ネットワークの運用形態等に応じて、種々の変形例が考えられる。例えば、VLANタグが省略される場合がある。また、図4に示したもの以外のヘッダ情報が付加される場合もある。
【0035】
図5は、第1の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。なお、図5ではスイッチ100のモジュール構成を示しているが、他のスイッチ100a,100b,100c,100dもスイッチ100と同様のモジュール構成によって実現できる。
【0036】
本実施の形態のスイッチ100は、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて現用リンクから予備リンクへ切り替えるために、入力部110、振分部120、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182を有する。また、振分部120は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125を有する。
【0037】
ここで、現用系出力部は、初期状態および通常の状態で運用系の出力部に設定された出力部である。予備系出力部は、初期状態および通常の状態で待機系の出力部に設定された出力部である。
【0038】
入力部110は、本実施の形態のスイッチ100によって他のスイッチ100a,100b,100c,100dおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
【0039】
振分部120は、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブル153aとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0040】
ここで、振分部120は、切替指示に応じて、現用系物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181を構成する物理リンクに決定する現用状態と、予備系物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、予備系出力部182を構成する物理リンクに決定する予備状態とに切り替え可能である。
【0041】
この切替指示は、スイッチ100と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部120の切替決定部122に対して切替指示が出力される。振分部120による切替に基づいて、現用系出力部181が、現用系出力部181を構成する物理リンクからフレームを出力し、または予備系出力部182が、予備系出力部182を構成する物理リンクからフレームを出力する。
【0042】
振分部120は、使用可能な物理リンク数に基づいて、現用状態から予備状態に切り替える。振分部120は、現用系出力部181の有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、現用状態から予備状態に切り替える。スイッチ100によって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチ100が有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0043】
フロー宛先決定部121は、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0044】
このフロー宛先決定部121は、入力されたフレームの宛先MACアドレス(図4参照)に基づいて、図6において後述するフロー宛先管理テーブル151aを用いて、各フレームの宛先を特定する。すなわち、フロー宛先決定部121は、入力されたフレームに含まれるMACアドレスを抽出する。このとき、入力されたフレームのMACアドレスが、フロー宛先管理テーブル151aによって、当該フレームの宛先が格納されている宛先フィールドのアドレスと対応付けられている。これを用いて、スイッチ100は、入力されたフレームのMACアドレスから、フロー宛先管理テーブル151aの対応するアドレスに格納されている宛先を取得する。
【0045】
また、宛先ポートが論理リンク(LAG)の場合は、そのフロー宛先管理テーブル151aにおいて、論理リンクで送信されるフレームの宛先MACアドレスに対応付けたLフィールドに1を設定することで、宛先として論理リンクを指定することができる。これに従い、フロー宛先決定部121は、フレームの宛先MACアドレスに対応付けられたLフィールドに1が設定されている場合、そのフレームの宛先を、指定された論理リンクに決定する。
【0046】
なお、フロー宛先管理テーブル151aのアドレスと対応付けるための、フレーム側の情報は、宛先MACアドレスに限らず、VLANタグ(図4参照)が示す値を用いてもよい。
【0047】
また、宛先MACアドレスまたはVLANタグをフロー宛先管理テーブル151aのアドレスとの対応付けに用いた場合には、フロー宛先管理テーブル151a側のアドレスのビット数が非常に大きくなる。これに基づき、フロー宛先管理テーブル151aに必要なメモリの容量が大きくなってしまう。これに対して、このフロー宛先管理テーブル151aを格納するメモリとして、一般的なSRAM(Static Random Access Memory)およびDRAM(Dainamic Random Access Memory)ではなく、CAM(Content Addressing Memory)を用いてもよい。これにより、宛先MACアドレスまたはVLANタグを直接、フロー宛先管理テーブル151aのアドレスとして用いる必要がなくなり、宛先MACアドレスまたはVLANタグを検索情報(検索キー)として使用することができる。これにより、フロー宛先管理テーブル151a側においてビット数分に対応したメモリ容量のテーブルを持つ必要がなく、フロー宛先管理テーブル151aを格納するメモリの節約になる。
【0048】
切替決定部122は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。
【0049】
また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0050】
ここで、フレーム部分情報とは、フレームの一部分を構成する情報であり、例えば、フレームに含まれているアドレスを用いることができる。フレーム部分情報として用いるアドレスとは、フレームの送信元の端末装置(または送信元の端末装置が属する集合)や宛先の端末装置(または宛先の端末装置が属する集合)を特定するための情報である。例えば、送信元/宛先のMACアドレス、送信元/宛先のIP(Internet Protocol)アドレス、VLANタグ等である。このフレーム部分情報のフレームにおける位置および範囲を特定するのが、フレーム部分特定情報である。
【0051】
本実施の形態では、このフレーム部分情報であるアドレスと物理リンクとを対応付けるために、例えば、アドレスから計算したハッシュ値と物理リンクが接続された通信ポートのポート番号とを、1対1に対応付けて用いる。
【0052】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0053】
ここで、ハッシュ計算は、送出するフレームの、フレーム部分特定情報で特定されたフレーム部分情報を、フレームを送出する論理リンクの、その時点の使用可能なポート数(最大値はN、例えば、8)の値によって割算し、割算した結果の余りの値(0〜N−1、例えば、0〜7)を用いるものとする。また、設定により、送出するフレームのフレーム部分情報を生成多項式で割った値を用いることもできる。
【0054】
振分先決定部124は、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0055】
フレーム廃棄部125は、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0056】
障害検出部130は、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部151は、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0057】
集約管理情報記憶部152は、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0058】
また、集約管理情報は、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0059】
集約宛先管理情報記憶部153は、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、詳しくは図8および図9において後述する集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0060】
集約宛先管理情報記憶部153は、デュアルポート(Dual Port)メモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0061】
現用系出力部181は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。ここでは、現用系出力部181および予備系出力部182は、8個の通信ポートを持ち、合わせて16個の通信ポートによって一つの論理リンクを構成している。
【0062】
端末装置40は、スイッチ100と通信可能に接続され、当該スイッチ100と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ100は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ100との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0063】
また、スイッチ100は、図3に示した複数(例えば、4つ)のインタフェースカード102a,102b,102c,102dによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カード(例えば、インタフェースカード102a)とし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カード(例えば、インタフェースカード102b,102c)とするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ100は、入力部110、振分部120、障害検出部130として機能する入力カードと、現用系出力部181および予備系出力部182としてそれぞれ機能する2つの出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0064】
スイッチ100は、上記の物理リンクを複数有する出力カード(例えば、現用系出力部181および予備系出力部182)を用いて、論理リンクを複数用いて通信することもできる。振分部120は、それぞれの論理リンクについて、その論理リンクを1つの出力カードの物理リンクで構成するか、または複数の出力カードを構成する物理リンクで構成するかを任意に設定可能である。この設定に基づいて、スイッチ100の論理リンクは、1つの出力カードを構成する物理リンクで構成可能であるとともに、複数の出力カードを構成する物理リンクで構成可能である。
【0065】
本実施の形態では、例えば、インタフェースカード102a,102b,102c,102dのように、それぞれが複数の通信ポートを持つインタフェースカードを複数用いて、物理リンクを集約して構成した論理リンクが構成される。このとき、各通信ポートが物理リンクとして通信が行われる。すなわち、この論理リンクは、複数のポートを持つ複数のインタフェースで構成される。
【0066】
本実施の形態では、例えば、N個(例えば、8個)のポートを持つ2枚のカードを使用して、2×Nポートの論理リンクを構成する。この一方のインタフェースカードのN個のポートを現用系インタフェースカードとして通信に使用し、もう一方のインタフェースカードのN個のポートを予備系インタフェースカードとして、待機状態にしておくことにより、インタフェース間に冗長性を持たせる。これを、各インタフェースカードのポート(物理リンク)数から、N:Nリンク構成という。
【0067】
このとき、この論理リンクにおいて、ユーザが通信に使用できるポート数はNポートである。現用系インタフェースカードの障害時には、この現用系インタフェースカードのポートを未使用状態に変更するとともに、予備系インタフェースカードのN個のポートを未使用状態から使用可能状態へ変更することで、使用するインタフェースカードの切替を行う。これにより、障害発生時にもN個のポートによる論理リンクを継続して提供可能である。また、障害が発生した現用系インタフェースカードの交換時にも、交換による通信への影響を防止するものである。
【0068】
図6は、第1の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図6に示すフロー宛先管理テーブル151aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、フロー宛先管理情報記憶部151として機能する。フロー宛先管理テーブル151aは、各フレームの送出先であるリンクが論理リンクを構成するものであるか否かを示すテーブルである。フロー宛先管理テーブル151aには、そのフレームを送出する宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す“L”フィールド、およびフレームが出力される宛先を示す“宛先”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0069】
Lフィールドには、フレームの宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの宛先ポートが論理リンクではない場合、“0”が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクである場合、“1”が設定される。
【0070】
宛先フィールドには、フレームの宛先が論理リンクである場合、図7において後述するLAG番号が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクでない場合、そのフレームを送信するインタフェースカードを示す宛先カード名、およびポート番号を示す情報が設定される。
【0071】
フロー宛先管理テーブル151aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図7は、第1の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図7に示す集約管理テーブル152aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約管理情報記憶部152として機能する。集約管理テーブル152aは、各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約管理テーブル152aには、各リンクが有効であるか否かを示す“V”フィールド、リンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号を示す“LAG番号”フィールド、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す“SEL”フィールド、フレームの振分において後述するハッシュ計算を行うか否かを示す“NH”フィールド、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値を示す“HT”フィールド、ハッシュ計算のルールを示す“HR”フィールド、現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す“現用AP”フィールド、および予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す“予備AP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0072】
V(Valid)フィールドには、スイッチ100による各リンクが有効であるか否かを示す情報が設定される。リンクが有効であれば、“0”が設定される。一方、スイッチ、各インタフェースまたはリンク集約に障害が発生している場合など、リンクが無効であれば、“1”が設定される。
【0073】
LAG番号フィールドには、リンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号が設定される。このLAG番号に従って、集約管理テーブル152aに予め設定されたリンク集約の振分のパターンのうち、いずれの振分を行うかが決定される。
【0074】
SEL(Selector)フィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替え、予備系の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から“1”に書き替えて設定される。
【0075】
NH(No Hash)フィールドには、フレームの振分においてハッシュ計算を行うか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの振分においてハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。一方、フレームの振分においてハッシュ計算を行わない場合には、“1”が設定される。
【0076】
HT(Hash Target)フィールドには、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値が設定される。具体的には、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのMACアドレスとする場合には、“0”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのVLAN IDとする場合には、“1”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をIPアドレスとする場合には、“2”が設定される。
【0077】
HR(Hash Rule)フィールドには、ハッシュ計算のルールを示す情報が設定される。具体的には、対象となる値を後述するActive Port数で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。対象となる値を生成多項式で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“1”が設定される。
【0078】
現用AP(Active Port)フィールドには、現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、現用系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル153aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル153bのアドレス)が直接設定される。
【0079】
予備APフィールドには、予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル153aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル153bのアドレス)が直接設定される。
【0080】
具体的には、集約管理テーブル152aの上から3行目に示す例では、NHフィールドの設定値が“0”であって、ハッシュ計算部123によってハッシュ計算が行われる。そして、このハッシュ計算の結果に応じて論理リンクで出力される。このときの現用APの値“8”は、現在の現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数を示している。物理リンクに障害が発生して使用可能なポート数が減少した場合には、障害検出部130によって、この値も減少させるように書き替えられる。一方、集約管理テーブル152aの上から4行目に示す例では、NHフィールドの設定値が“1”である。この場合には、ハッシュ計算部123によるハッシュ計算は行われずに、論理リンクを構成する物理ポートから出力される。このときの現用APの値“3”は、現在の現用系の論理リンクにおける物理リンクのポートを示している。現用APについて説明したが、予備APについても同様である。
【0081】
集約管理テーブル152aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約管理テーブル152aは、現用系および予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0082】
また、現用系出力部181の通信ポートに障害が発生して、予備系出力部182へ論理リンクの切替を行う場合は、集約管理テーブル152aのSELフィールドを“0”から“1”に書き替えるとともに、現用APフィールドもその時点で使用可能なポート数(Active port数、例えば、7)から、次に運用系となる予備系出力部182のその時点で使用可能なポート数(例えば、8)に書き替える。
【0083】
このように、集約管理テーブル152aに現用APと予備APを設けて、現用系出力部181と予備系出力部182のそれぞれに対してActive port数の設定を可能とすることにより、現用系出力部181から予備系出力部182への切替時にAPフィールドの書き替えの手間を省くことが可能となる。
【0084】
図8は、第1の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図8に示す集約宛先管理テーブル153aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先管理情報記憶部153として機能する。集約宛先管理テーブル153aは、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル153aには、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される宛先ポートとの対応関係を示す“HV”フィールド、現用系の論理リンクにおける宛先ポートを示す“現用DP”フィールド、および予備系の論理リンクにおける宛先ポートを示す“予備DP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0085】
HVフィールド(Hash Value)には、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの対応関係を示す値が設定される。
現用DP(Destination Port)フィールドには、現用系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
【0086】
予備DPフィールドには、予備系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
集約宛先管理テーブル153aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0087】
以上に示すように、第1の実施の形態によれば、障害発生時に集約管理テーブル152aのSELフィールドのみを書き替えることのみによって、現用系から予備系へ高速に切り替えることができる。
【0088】
また、論理リンク単位でHTフィールドに任意の値を設定することにより、特定のフレームフィールドをハッシュ計算の対象とすることができる。これにより、リンク集約のハッシュ計算について、演算対象となるフレームのフィールドを選択可能とすることで、フレームの振分の自由度を高めることができる。
【0089】
また、NHフィールドによって、リンク集約のハッシュ計算を行わず、振分先を1つに集約させることを選択することができる。
また、リンク集約単位でHRフィールドに任意の値を設定してハッシュ計算の計算方法を選択することができる。
【0090】
また、現用系と予備系のそれぞれに対して、その時点で使用可能なポート数の設定を可能とする。これにより、ポートに障害が発生しても、リンクに要求されている帯域に応じたポート数を満たしている場合には、論理リンクの切り替えを行わず、さらにポートに障害が発生して、リンクに要求されている帯域を満たさなくなってから、論理リンクを切り替えることができる。
【0091】
また、フレーム廃棄部125がフレームを廃棄することにより、論理リンクを構成するすべての出力部、すべてのポートに障害が発生した場合、または、スイッチ100に障害が発生した場合などに、不必要にスイッチ100からフレームが送信されてしまうことを防止でき、スイッチ内部でのフレームの送受信処理の負荷低減を行うことが可能となる。
【0092】
また、通信部140がスイッチ100の稼動状況を示すデータを端末装置40に出力することにより、ネットワーク保守者、シムテム保守者は論理リンクの運用状態を常に監視・制御することが可能となり、スイッチ100を用いたネットワーク通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0093】
<第1の実施の形態の変形例>
次に、第1の実施の形態の変形例について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のスイッチは、集約宛先管理テーブル153bにおいて、異なるアドレス内に現用DPと予備DPを格納している点で異なる。
【0094】
集約宛先管理テーブルの同一アドレス内に現用DPと予備DPが格納されている場合、テーブルのメモリ容量を効率的に使用することが可能であるが、現用系が運用系である状態において、フレーム入力に基づいて集約宛先管理テーブルが常にアクセスされているときに、設定用フレームを入力して非運用系である予備系のDP設定や変更等を行ったとき、入力パケットからのアクセスと予備系設定用フレームのアクセスとが同時に発生するアクセス衝突(競合)が発生する可能性がある。この場合、このアクセス衝突を回避するアクセス調停の制御回路を追加する必要があり、回路の複雑化、および装置のコストの上昇を引き起こすことになる。
【0095】
図9は、第1の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。本変形例では、図9に示すように、集約宛先管理テーブル153bを現用DPと予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。それぞれの領域のアドレスは、図7の集約管理テーブル152aのSELフィールドの値と図中のハッシュ計算の結果の値がビット結合した値を割り当てる。
【0096】
また、図中の集約宛先管理テーブル153bは、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル153bにおけるDPのアドレス“7”がビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先管理テーブル153bでは、このアドレスが、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの関係を対応付けている。ここで、デュアルポートメモリは、データの入出力のためのポートが二つ設けられているメモリである。一方のポートからデータを読み出している間に、他方のポートからデータを書き込むことが可能である。これにより、高速にデータの読み書きを行うことができる。これにより、現用DPと予備DPとを、異なるアドレスに割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく提供することを可能とする。
【0097】
図9に示す集約宛先管理テーブル153bは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。集約宛先管理テーブル153bは、集約宛先管理テーブル153aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル153bには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートを一意に識別する情報が格納されている。集約宛先管理テーブル153bは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0098】
以上に示すように、本変形例によれば、集約宛先管理テーブル153bにおいて、現用DPと予備DPとを異なるアドレスを持つ領域に割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を、運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく行うことができる。
【0099】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0100】
第2の実施の形態は、振分部220の有する統計情報書込部226が、各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報記憶部254に書き込んで記憶させる点で、第1の実施の形態と異なる。
【0101】
以下に、本実施の形態における振分部220について説明する。図10は、第2の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部220は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部226を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、図示しない入力部、振分部220、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部254を有する。
【0102】
入力部は、第1の実施の形態の入力部110と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部220は、第1の実施の形態の振分部120と同様、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0103】
フロー宛先決定部121は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0104】
切替決定部122は、第1の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0105】
ハッシュ計算部123は、第1の実施の形態と同様、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0106】
振分先決定部124は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0107】
フレーム廃棄部125は、第1の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0108】
統計情報書込部226は、振分先決定部124と同様に機能して、集約管理情報記憶部152に記憶されている集約管理情報を参照してハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいてフレームが出力される物理リンクを決定するとともに、決定した現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部254に書き込む。これにより、統計情報書込部226が振分先決定部124と並行して、フレームを出力する物理リンクを振分先決定部124と全く同様に決定し、決定に基づいて入力されたフレームが出力される物理リンクを集計する。
【0109】
障害検出部130は、第1の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0110】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0111】
集約管理情報記憶部152は、第1の実施の形態と同様、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0112】
また、集約管理情報は、第1の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0113】
集約宛先管理情報記憶部153は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0114】
集約宛先管理情報記憶部153は、第1の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0115】
集約宛先統計情報記憶部254は、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部254は、集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部254において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0116】
現用系出力部181は、第1の実施の形態と同様、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。
【0117】
通信部140は、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部254に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第1の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部140と通信可能に接続され、この通信部140と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0118】
図11は、第2の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。本実施の形態では、図11に示すように、集約宛先統計テーブル254aを現用DPおよび予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。
【0119】
また、図中の集約宛先統計テーブル254aは、図9の集約宛先管理テーブル153bと同様、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7(集約宛先統計テーブル254aにおける上から16行目)は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル153bにおけるDPのアドレス“7”とがビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先統計テーブル254aでは、このアドレスが、フレームが送出される通信ポートと、その通信ポートから送出されたフレームの数の関係を対応付けている。
【0120】
図11に示す集約宛先統計テーブル254aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先統計情報記憶部254として機能する。集約宛先統計テーブル254aは、通信ポートから送出されたフレームの数の集計結果を示すテーブルである。集約宛先統計テーブル254aには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートから送出されたフレームの数を示す情報が格納されている。集約宛先統計テーブル254aは、統計情報書込部226による集計結果の書き込みに応じて、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0121】
以上に示すように、第2の実施の形態によれば、統計情報書込部226が、切替決定部122およびハッシュ計算部123の処理および集約宛先管理テーブル153a(または153b)に基づいてスイッチから出力されるフレームを集計し、集約宛先統計テーブル254aにおいて、各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、振分結果を容易に取得することができる。
【0122】
また、このとき、統計情報書込部226は、フレームが出力される物理リンクおよびフレームが出力される物理リンクを決定する振分先決定部124とは別に計算するので、実際のフレームの出力に与える影響を最小限に留めることができる。
【0123】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。ここでは、上記の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0124】
第3の実施の形態は、振分部320の有する統計情報書込部326が、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報記憶部254に書き込んで記憶させる点で、第2の実施の形態と異なる。
【0125】
以下に、本実施の形態における振分部320について説明する。図12は、第3の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部320は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部326を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、第2の実施の形態と同様、図示しない入力部、振分部320、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部254を有する。
【0126】
入力部は、第2の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部320は、第2の実施の形態の振分部220と同様、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0127】
フロー宛先決定部121は、第2の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0128】
切替決定部122は、第2の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0129】
ハッシュ計算部123は、第2の実施の形態と同様、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0130】
振分先決定部124は、第2の実施の形態と同様、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0131】
フレーム廃棄部125は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0132】
統計情報書込部326は、現用系出力部181および予備系出力部182の物理リンクを監視して、各物理リンクから実際に出力されたフレームの数を集計し、集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部254に書き込む。
【0133】
障害検出部130は、第2の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0134】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第2の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0135】
集約管理情報記憶部152は、第2の実施の形態と同様、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0136】
また、集約管理情報は、第2の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0137】
集約宛先管理情報記憶部153は、第2の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0138】
集約宛先管理情報記憶部153は、第2の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0139】
集約宛先統計情報記憶部254は、第2の実施の形態と同様、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部254は、集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部254において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0140】
現用系出力部181は、第2の実施の形態と同様、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。
【0141】
通信部140は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部254に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第1の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部140と通信可能に接続され、この通信部140と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0142】
以上に示すように、第3の実施の形態によれば、統計情報書込部326が、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクを監視することにより、スイッチから出力されるフレームを集計する。そして、統計情報書込部326が、集約宛先統計テーブル254aに各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、振分結果を容易に取得することができる。
【0143】
また、このとき統計情報書込部326は、実際に出力されたフレームを監視して集計するので、実際に出力されたフレーム数を集計することができるとともに、集計に必要な構成を単純化することができる。
【0144】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0145】
第4の実施の形態は、複数の出力部を有しており、複数の出力部のうちの一部の出力部を運用系の出力部とし、それ以外の出力部を待機系の出力部とする。そして、その運用系の出力部を構成する物理リンクからフレームを出力する。その一方、待機系の出力部は、通常時は待機しており、運用系の出力部に故障が有る場合に、待機系の出力部の一部を、運用系であった出力部に替えて、運用系の出力部に切り替える点で、第1の実施の形態と異なる。
【0146】
以下に、本実施の形態におけるスイッチ400について説明する。図13は、第4の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
本実施の形態におけるスイッチ400は、複数の出力部481a,481b,・・・,481zを有する。また、本実施の形態のスイッチ400は、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて運用系の出力部を構成する物理リンクから待機系の出力部を構成する物理リンクへ切り替えるために、入力部110、振分部420、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部452、集約宛先管理情報記憶部453を有する。また、振分部420は、フロー宛先決定部121、切替決定部422、ハッシュ計算部123、振分先決定部424、フレーム廃棄部125を有する。
【0147】
ここで、運用系の出力部は、現在フレームの出力に使用される出力部である。待機系の出力部は、現在フレームの出力には使用されず、運用系の出力部の故障に備えて、フレームを出力可能な状態で待機する出力部である。また、現用系の出力部は、初期状態および通常の状態で運用系の出力部に設定された出力部である。予備系の出力部は、初期状態および通常の状態で待機系の出力部に設定された出力部である。
【0148】
入力部110は、第1の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチ400によって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部420は、集約宛先管理情報記憶部453に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、出力部481a,481b,・・・,481zのうちの一つの出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを、他の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0149】
この切替指示は、スイッチ400と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部420の切替決定部422に対して切替指示が出力される。振分部420による切替に基づいて、運用系の出力部が、現在フレームが出力されている運用系の出力部である出力部481aからいずれかの待機系の出力部(例えば、出力部481b)に切り替えられる。この切替以降は、これに従い、待機系の出力部481bからフレームが出力される。
【0150】
また、振分部420は、使用可能な物理リンク数に基づいて、運用系の出力部を切り替える。振分部420は、運用系の出力部である出力部481aの有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、他の待機系の出力部のうちのいずれかを運用系の出力部に切り替える。スイッチ400によって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチ400が有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0151】
フロー宛先決定部121は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0152】
切替決定部422は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている出力部481aを待機系の出力部に設定するとともに待機系の出力部481b,・・・,481zに設定されている出力部481b,・・・,481zのうち少なくとも一つの出力部を運用系の出力部に設定することによって運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、運用系の出力部であった出力部481aに替えて待機系の出力部であり、かつ、切替指示の対象である出力部481b,・・・,481zのうちのいずれかを新たに運用系の出力部に設定する。具体的には、このとき、切替決定部422は、集約管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部424は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の出力部481b,・・・,481zのうちから決定する。これにより、一つの出力部を運用系に割り当て、複数(N個)の出力部を待機系に割り当てる(N:1)カード冗長を実現することができる。
【0153】
また、切替決定部422は、第1の実施の形態の切替決定部122と同様、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部422は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部422は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部422は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0154】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、各出力部481a,481b,・・・,481zが有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0155】
振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部481aを構成する物理リンクに設定する。そして、運用系の出力部の物理リンクに障害が発生した場合には、振分先決定部424は、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部481b,・・・,481zを構成する物理リンクに切り替える。
【0156】
ここで、振分先決定部424は、集約管理情報を参照して、運用系の出力部481aを待機系の出力部481a,481b,・・・,481zのいずれかに切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0157】
フレーム廃棄部125は、第1の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ400および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0158】
障害検出部130は、現用系の出力部481aを構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部151は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0159】
集約管理情報記憶部452は、出力部481a,481b,・・・,481zのうちのいずれの出力部が運用系の出力部に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する。
また、集約管理情報は、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部422が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、出力部481a,481b,・・・,481zのそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0160】
集約宛先管理情報記憶部453は、第1の実施の形態の集約宛先管理情報記憶部153と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、詳しくは図15および図16において後述する集約宛先管理テーブル453a,453bを構成して集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている。集約宛先管理情報は、それぞれの出力部481a,481b,・・・,481zの物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、出力部481a,481b,・・・,481zが有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、物理リンク情報が示す各出力部481a,481b,・・・,481zがそれぞれ有する物理リンクとが対応付けられている。
【0161】
集約宛先管理情報記憶部453は、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部453において記憶されているアドレスの一部が各出力部481a,481b,・・・,481zと対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が各出力部481a,481b,・・・,481zが有する物理リンクと対応付けられている。
【0162】
出力部481a,481b,・・・,481zは、論理リンクを構成する物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の物理リンクから構成される。それぞれの出力部481a,481b,・・・,481zを構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)である。
【0163】
出力部481a,481b,・・・,481zのうちの一つの出力部481a,481b,・・・,481zは、フレームを出力する運用系の出力部(例えば、出力部481a)である。この運用系の出力部として設定されたもの以外の出力部(例えば、出力部481b,・・・,481z)は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部である。
【0164】
端末装置40は、第1の実施の形態と同様、スイッチ400と通信可能に接続され、当該スイッチ400と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ400は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ400との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0165】
また、スイッチ400は、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、上記の複数のインタフェースカードによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カードとし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カードとするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ400は、入力部110、振分部420、障害検出部130として機能する入力カードと、各出力部481a,481b,・・・,481zとしてそれぞれ機能する複数の出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0166】
なお、本実施の形態の切替決定部422は、運用系の出力部に設定されている出力部481a,481b,・・・,481zのうちの少なくとも一つの出力部481a,481b,・・・,481zを、待機系の出力部に設定するとともに、待機系の出力部に設定されている出力部(例えば、出力部481z)を運用系の出力部に設定することにより、運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、切替指示の対象である運用系の出力部であった出力部(例えば、出力部481a)に替えて待機系の出力部であった出力部481zを新たに運用系の出力部に設定するものに書き替えてもよい。
【0167】
そしてこの場合、振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部(例えば、出力部481z以外の出力部481a,481b,・・・)を構成する物理リンクに設定するとともに、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部481zを構成する物理リンクに切り替えるものとする。これにより、複数の出力部を運用系に割り当て、一つの出力部を待機系に割り当てる(1:N)カード冗長を実現することができる。
【0168】
図14は、第4の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図14に示す集約管理テーブル452aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約管理情報記憶部452として機能する。集約管理テーブル452aは、図7に示す集約管理テーブル152aと同様、各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約管理テーブル452aには、“V”フィールド、“LAG番号”フィールド、“SEL”フィールド、“NH”フィールド、“HT”フィールド、“HR”フィールド、“現用AP”フィールド、および複数個(例えば、N−1個)の“予備AP”フィールド(例えば、“予備AP1”フィールド,・・・,“予備AP N−1”フィールド)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0169】
本実施の形態のSELフィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系および複数の予備系のいずれであるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替える場合には、予備系の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から、切り替えによりフレームの送出に用いられる予備系の論理リンクを特定する情報(例えば、1〜N−1の値)に書き替えて設定される。
【0170】
上記の複数個の予備APフィールドには、それぞれの予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系のその論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル453aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル453bのアドレス)が直接設定される。
【0171】
集約管理テーブル452aは、集約管理テーブル152aと同様、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約管理テーブル452aは、運用系である出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0172】
図15は、第4の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図15に示す集約宛先管理テーブル453aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先管理情報記憶部453として機能する。集約宛先管理テーブル453aは、図8に示す集約宛先管理テーブル153aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル453aには、“HV”フィールド、“現用DP”フィールド、および複数個(例えば、N−1個)の予備DPフィールド(例えば、“予備DP1”フィールド,・・・,“予備DP N−1”フィールド)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0173】
上記の複数個の予備DPフィールドには、それぞれの予備系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
集約宛先管理テーブル453aは、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0174】
以上に示すように、第4の実施の形態によれば、多くの出力部を用いてリンク集約を構成することができ、スイッチの信頼性を向上させることができる。
<第4の実施の形態の変形例>
次に、第4の実施の形態の変形例について説明する。上記の第4の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のスイッチは、集約宛先管理テーブル453bにおいて、異なるアドレス内に現用DPおよびN−1個の予備DPを格納している点で異なる。
【0175】
集約宛先管理テーブルの同一アドレス内に現用DPと予備DPが格納されている場合、テーブルのメモリ容量を効率的に使用することが可能であるが、現用系が運用系である状態において、フレーム入力に基づいて集約宛先管理テーブルが常にアクセスされているときに、設定用フレームを入力して非運用系である予備系のDP設定や変更等を行ったとき、入力パケットからのアクセスと予備系設定用フレームのアクセスとが同時に発生するアクセス衝突(競合)が発生する可能性がある。この場合、このアクセス衝突を回避するアクセス調停の制御回路を追加する必要があり、回路の複雑化、および装置のコストの上昇を引き起こすことになる。
【0176】
図16は、第4の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。本変形例では、図16に示すように、集約宛先管理テーブル453bを現用DPとN−1個の予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。それぞれの領域のアドレスは、図14の集約管理テーブル452aのSELフィールドの値と図中のハッシュ計算の結果の値がビット結合した値を割り当てる。
【0177】
また、図中の集約宛先管理テーブル453bは、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル453bにおけるDPのアドレス“7”がビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先管理テーブル453bでは、このアドレスが、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの関係を対応付けている。
【0178】
図16に示す集約宛先管理テーブル453bは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。集約宛先管理テーブル453bは、集約宛先管理テーブル453aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル453bには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートを一意に識別する情報が格納されている。集約宛先管理テーブル453bは、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0179】
以上に示すように、本変形例によれば、集約宛先管理テーブル453bにおいて、現用DPおよび複数の予備DPを、それぞれ異なる領域に割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を、運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく行うことができる。
【0180】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。ここでは、上記の第2の実施の形態および第4の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0181】
第5の実施の形態は、出力部を有さず、フレームを実際には出力せずに、フレームの振分のみを実行するとともに、フレームが振り分けられる物理リンクの統計情報のみを取得する点で、上記の実施の形態と異なる。
【0182】
以下に、本実施の形態における振分部520について説明する。図17は、第5の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部520は、フロー宛先決定部121、切替決定部422、ハッシュ計算部123、振分先決定部424、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部526を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、図示しない入力部、振分部520、障害検出部130、図示しない通信部、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部452、集約宛先管理情報記憶部453の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部554を有する。
【0183】
一方、本実施の形態のスイッチは、第4の実施の形態と異なり、出力部481a,481b,・・・,481xを有さない。この出力部は、実際には存在しないが、試験のために実在のスイッチと同等の仕様(例えば、物理リンクが接続されるポートを8個有するなど)のものが想定され、各記憶部においてデータ上にのみ設定されている。
【0184】
入力部は、第4の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部520は、第4の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部453に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、複数の実在しない出力部のうちの一つの出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを、他の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0185】
この切替指示は、本実施の形態のスイッチと他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生したことを想定する場合には、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部520の切替決定部422に対して切替指示が出力される。振分部520による切替に基づいて、運用系の出力部が、現在フレームが出力されている運用系の出力部である出力部からいずれかの待機系の出力部に切り替えられる。この切替以降は、これに従い、待機系の出力部から出力されるフレームの数が集計される。
【0186】
また、振分部520は、使用可能な物理リンク数に基づいて、運用系の出力部を切り替える。振分部520は、運用系の出力部の有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、他の待機系の出力部のうちのいずれかを運用系の出力部に切り替える。スイッチによって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチが有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0187】
フロー宛先決定部121は、第4の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0188】
切替決定部422は、第4の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている出力部を待機系の出力部に設定するとともに待機系の出力部に設定されている出力部のうち少なくとも一つの出力部を運用系の出力部に設定することによって運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、運用系の出力部であった出力部に替えて待機系の出力部であり、かつ、切替指示の対象である出力部のうちのいずれかを新たに運用系の出力部に設定する。このとき、切替決定部422は、集約管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する統計情報書込部526は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の出力部のうちから決定する。
【0189】
また、切替決定部422は、第4の実施の形態と同様、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部422は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部422は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部422は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0190】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、各出力部が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0191】
振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0192】
ここで、振分先決定部424は、集約管理情報を参照して、運用系の出力部を待機系の出力部のいずれかに切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定するとともに、決定結果を統計情報書込部526に出力する。これに基づいて、統計情報書込部526により、決定された物理リンクから出力されることになるフレームの数が集計される。
【0193】
フレーム廃棄部125は、第4の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する試験を行う場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0194】
統計情報書込部526は、振分先決定部424による決定の結果を取得して、各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部554に書き込む。
【0195】
障害検出部130は、第4の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0196】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第4の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0197】
集約管理情報記憶部452は、第4の実施の形態と同様、出力部のうちのいずれの出力部が運用系の出力部に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する。
また、集約管理情報は、第4の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部422が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、複数の出力部のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0198】
集約宛先管理情報記憶部453は、第4の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル453a,453bを構成して集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている。集約宛先管理情報は、それぞれの出力部の物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。物理リンクは、それぞれの出力部が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0199】
集約宛先管理情報記憶部453は、第4の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部453において記憶されているアドレスの一部がそれぞれの出力部と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0200】
集約宛先統計情報記憶部554は、第2の実施の形態の集約宛先統計情報記憶部254と同様、各出力部の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部554は、集約宛先管理情報記憶部453と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部554において記憶されているアドレスの一部が各出力部と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0201】
出力部は、論理リンクを構成する物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の物理リンクから構成されるものとして設定されている。それぞれの出力部を構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)であるものとする。複数の出力部のうちの一つの出力部は、フレームを出力する運用系の出力部とする。この運用系の出力部として設定されたもの以外の出力部は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部とする。
【0202】
通信部(図示省略)は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部554に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第4の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部と通信可能に接続され、この通信部と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0203】
図18は、第5の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。本実施の形態では、図18に示すように、集約宛先統計テーブル554aを現用DPおよびN−1個の予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。
【0204】
また、図中の集約宛先統計テーブル554aは、図11の集約宛先統計テーブル254aと同様、デュアルポートメモリに格納される。例えば、現用DPにおいて、現用系出力部のポート#7(集約宛先統計テーブル554aにおける上から8行目)は、SELフィールドの値“0”と、集約宛先統計テーブル554aにおけるDPのアドレス“7”とがビット結合されて、16進数表記では“0x07”となっている。集約宛先統計テーブル554aでは、このアドレスが、フレームが送出される通信ポートと、その通信ポートから送出されるフレームの数の関係を対応付けている。
【0205】
図18に示す集約宛先統計テーブル554aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先統計情報記憶部554として機能する。集約宛先統計テーブル554aは、通信ポートから送出されたフレームの数の集計結果を示すテーブルである。集約宛先統計テーブル554aには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートから送出されたフレームの数を示す情報が格納されている。集約宛先統計テーブル554aは、統計情報書込部526による集計結果の書き込みに応じて、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0206】
以上に示すように、第5の実施の形態によれば、集約宛先統計テーブル554aにおいて、各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、出力部を省略でき、振分結果を容易に取得することができる。
【0207】
また、出力側のインタフェースカードを必要としないので、インタフェースカードが1枚のみで試験を行うことができる。
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0208】
第6の実施の形態は、リンク集約を用いた論理リンクにおいて、ユニキャストフローだけでなく、マルチキャストフローでフレームの送信を行うことができる点で、第1の実施の形態と異なる。
【0209】
以下に、本実施の形態におけるスイッチ600について説明する。図19は、第6の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
本実施の形態のスイッチ600は、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクと同時に、冗長構成を有さない物理リンクに対してマルチキャストフローによるフレームの送信を行うために、入力部110、振分部620、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部651、集約マルチキャスト管理情報記憶部692、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695、2個の冗長系出力部681a,681bおよび複数の独立系出力部682x,・・・を有する。また、振分部620は、フロー宛先決定部621を有する。マルチキャスト振分部670は、マルチキャスト切替決定部672、ハッシュ計算部673、マルチキャスト宛先決定部674、マルチキャスト振分先決定部675を有する。
【0210】
なお、本実施の形態では説明を省略するが、スイッチ600は、第1の実施の形態の図5における集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、ならびに、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124を有する振分部120を有しており、冗長系出力部681aおよび冗長系出力部681bで構成された論理リンクを用いて、フレームの転送を行うことができる。
【0211】
入力部110は、第1の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチ600によって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
本実施の形態の振分部620が有するフロー宛先決定部621は、フロー宛先管理情報記憶部651に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、入力部110により入力されたフレームを、冗長系出力部681a,681bによって構成された論理リンクのみを用いたユニキャストで出力するか、または冗長系出力部681a,681bに加えて冗長構成を有さず物理リンクのみで構成された独立系出力部682x,・・・も用いたマルチキャストで出力するかを決定する。
【0212】
ここで、入力されたフレームがマルチキャストで出力される場合、通常、フレームのMACアドレス(図4参照)の最上位ビットに1が設定されている。これに従い、本実施の形態のフロー宛先決定部621では、最上位ビットが1の場合、ある任意の最上位ビットが1のアドレスをマルチキャストアドレスとして、フロー宛先管理テーブル651aに登録することで、入力されたフレームのMACアドレスから、マルチキャストアドレスの宛先情報を取得する。
【0213】
また、宛先ポートが論理リンク(LAG)の場合は、そのフロー宛先管理テーブル651aにおいて、論理リンクで送信されるフレームの宛先MACアドレスに対応付けたLフィールドに1を設定することで、宛先として論理リンクを指定することができる。これに従い、フロー宛先決定部621は、フレームの宛先MACアドレスに対応付けられたLフィールドに1が設定されている場合、そのフレームの宛先を指定された論理リンクに決定する。
【0214】
なお、フロー宛先管理テーブル651aのアドレスと対応付けるための、フレーム側の情報は、宛先MACアドレスに限らず、VLANタグ(図4参照)が示す値を用いてもよい。
【0215】
また、宛先MACアドレスまたはVLANタグをフロー宛先管理テーブル651aのアドレスとの対応付けに用いた場合には、フロー宛先管理テーブル651a側のアドレスのビット数が非常に大きくなる。これに基づき、第1の実施の形態と同様に、フロー宛先管理テーブル651aに必要なメモリの容量が大きくなってしまう。これに対して、このフロー宛先管理テーブル651aを格納するメモリとして、一般的なSRAMおよびDRAMではなく、CAMを用いてもよい。
【0216】
また、振分部620は、説明を省略するが、フレームをユニキャストで出力する場合には、第1の実施の形態の振分部120と同様、集約宛先管理情報記憶部(図示省略)に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを切り替える。この切替指示は、スイッチ600と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部620の切替決定部(図示省略)に対して切替指示が出力される。このようにして、運用系の出力部が、いずれかの待機系の出力部に切り替えられる。
【0217】
マルチキャスト振分部670は、フロー宛先決定部621によってフレームがマルチキャストで出力すると決定された場合、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定する。
【0218】
マルチキャスト切替決定部672は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている冗長系出力部を待機系の冗長系出力部に設定するとともに待機系の冗長系出力部に設定されている冗長系出力部を運用系の冗長系出力部に設定することによって運用系の冗長系出力部を切り替える切替指示に応じて、集約マルチキャスト管理情報記憶部692に記憶されている集約マルチキャスト管理情報を、運用系の冗長系出力部であった冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)に替えて待機系の冗長系出力部であった冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)を新たに運用系の冗長系出力部に設定する。具体的には、このとき、マルチキャスト切替決定部672は、集約マルチキャスト管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約マルチキャスト管理情報を参照するマルチキャスト宛先決定部674は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の冗長系出力部681bに切り替える。
【0219】
また、マルチキャスト切替決定部672は、マルチキャスト集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。このとき、マルチキャスト切替決定部672は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。また、マルチキャスト切替決定部672は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。さらに、マルチキャスト切替決定部672は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0220】
ハッシュ計算部673は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、冗長系出力部681a,681bおよび独立系出力部682x,・・・などの各出力部が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0221】
マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト管理情報記憶部692に記憶されている集約マルチキャスト情報を参照して、現用物理リンク情報が示すパターンを選択するか、または予備物理リンク情報が示すパターンを選択するかの決定である切替決定を行う。
【0222】
ここで、マルチキャスト宛先決定部674は、予めフレームを出力する論理リンクを、運用系の出力部に設定されている冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)に設定する。そして、運用系の冗長系出力部の物理リンクに障害が発生した場合には、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、上記の運用系の出力部に設定されている冗長系出力部(冗長系出力部681a)から、待機系の出力部に設定されている冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)に切り替える。
【0223】
すなわち、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、切替決定の結果に基づいて、現用物理リンク情報または予備物理リンク情報のパターンと、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値とに基づいて、フレームが出力される物理リンクのパターンを決定する。
【0224】
これにより、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト管理情報を参照して、論理リンクを構成する運用系の冗長系出力部を待機系の冗長系出力部に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0225】
マルチキャスト振分先決定部675は、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695に記憶されているマルチキャスト宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0226】
障害検出部130は、冗長系出力部681aを構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部651は、フレームの送信先を示すとともに、フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0227】
集約マルチキャスト管理情報記憶部692は、フレームが冗長系出力部681a,681bを構成する物理リンクおよび独立系出力部682x,・・・を構成する物理リンクのうちいずれの物理リンクから出力されるかを示す集約マルチキャスト管理情報を記憶する。
【0228】
また、集約マルチキャスト管理情報は、ハッシュ計算部673で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約マルチキャスト管理情報は、マルチキャスト切替決定部672が、フレームをマルチキャストで出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、冗長系出力部681a,681bのそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。
【0229】
集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693は、集約マルチキャスト宛先管理情報を記憶する。ここで、集約マルチキャスト宛先管理情報は、詳しくは図22において後述する集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aを構成して集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている。集約マルチキャスト宛先管理情報は、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などのそれぞれの出力部の物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、出力部が有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約マルチキャスト宛先管理情報は、ハッシュ計算部673によって計算される各ハッシュ値と、現用物理リンク情報が示す各パターンとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部673によって計算される各ハッシュ値と、予備物理リンク情報が示す各パターンとが対応付けられている。
【0230】
集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693は、第1の実施の形態の集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。
マルチキャスト宛先管理情報記憶部695は、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶する。
【0231】
マルチキャスト宛先管理情報は、フレームを出力する物理リンクとして冗長系出力部681a,681bの現用物理リンクと独立系出力部682x,・・・の非冗長物理リンクとからなるパターンを示す複数の現用物理リンク情報と、それぞれがフレームを出力する物理リンクとして冗長系出力部681a,681bの予備物理リンクと独立系出力部682x,・・・の非冗長物理リンクとからなる組み合わせのパターンを示す情報である複数の予備物理リンク情報とを有する。マルチキャスト宛先管理情報は、マルチキャスト宛先決定部674によって決定されたパターンと、各物理リンクとが対応付けられている。
【0232】
冗長系出力部681a,681bは、論理リンクを構成する物理リンクから構成される。冗長系出力部681a,681bは、フレームを出力する物理リンクである現用物理リンクと、フレームを出力可能な状態で待機する物理リンクである予備物理リンクとから構成される。独立系出力部682x,・・・は、論理リンクを構成しない物理リンクである非冗長物理リンクから構成される。それぞれの出力部を構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)である。
【0233】
冗長系出力部681a,681bのうちの一方の出力部は、フレームを出力する運用系の出力部(例えば、冗長系出力部681a)である。冗長系出力部681a,681bのうちの他方の出力部(例えば、冗長系出力部681b)は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部である。独立系出力部682x,・・・は、複数の物理リンクから構成されているが、論理リンクを構成せず、単独で機能する出力部である。
【0234】
冗長系出力部681a,681bおよび独立系出力部682x,・・・は、マルチキャスト振分先決定部675により、マルチキャスト宛先管理情報に従って各出力部が有する通信ポートがフレームを送出する宛先ポートに決定されると、そのフレームをコピーして決定された宛先ポートから送出する。
【0235】
端末装置40は、第1の実施の形態と同様、スイッチ600と通信可能に接続され、当該スイッチ600と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ600は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ600との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0236】
また、スイッチ600は、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、上記の複数のインタフェースカードによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カードとし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カードとするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ600は、入力部110、振分部620、マルチキャスト振分部670、障害検出部130として機能する入力カードと、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部としてそれぞれ機能する複数の出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0237】
図20は、第6の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図20に示すフロー宛先管理テーブル651aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、フロー宛先管理情報記憶部651として機能する。フロー宛先管理テーブル651aは、各フレームがユニキャストで出力されるかまたはマルチキャストで出力されるかを示すとともに、各フレームの送出先であるリンクが論理リンクを構成するものであるか否かを示すテーブルである。フロー宛先管理テーブル651aには、そのフレームを送出する宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す“L”フィールド、そのフレームがユニキャストで出力されるかマルチキャストで出力されるかを示す“M”フィールド、およびフレームが出力される宛先を示す“宛先”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0238】
Lフィールドには、フレームの宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの宛先ポートが論理リンクではない場合、“0”が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクである場合、“1”が設定される。
【0239】
Mフィールドには、フレームがユニキャストで出力されるかマルチキャストで出力されるかを示す情報が設定される。具体的には、フレームがユニキャストで出力される場合、“0”が設定される。一方、フレームがマルチキャストで出力される場合、“1”が設定される。
【0240】
宛先フィールドには、フレームの宛先が論理リンクである場合、図21において後述するLAG番号が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクでない場合、そのフレームを送信するインタフェースカードを示す宛先カード名、およびポート番号を示す情報が設定される。
【0241】
フロー宛先管理テーブル651aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図21は、第6の実施の形態の集約マルチキャスト管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図21に示す集約マルチキャスト管理テーブル692aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約マルチキャスト管理情報記憶部692として機能する。集約マルチキャスト管理テーブル692aは、マルチキャストフローにおいて各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約マルチキャスト管理テーブル692aには、“LAG番号”フィールド、“SEL”フィールド、“NH”フィールド、“HT”フィールド、“HR”フィールド、“現用AP”フィールド、および“予備AP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0242】
LAG番号フィールドには、マルチキャストフローにおいてリンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号が設定される。このLAG番号に従って、集約マルチキャスト管理テーブル692aに予め設定されたリンク集約の振分のパターンのうち、いずれの振分を行うかが決定される。
【0243】
SEL(Selector)フィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替える場合には、予備系の冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から“1”に書き替えて設定される。
【0244】
NH(No Hash)フィールドには、フレームの振分においてハッシュ計算を行うか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの振分においてハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。一方、フレームの振分においてハッシュ計算を行わない場合には、“1”が設定される。
【0245】
HT(Hash Target)フィールドには、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値が設定される。具体的には、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのMACアドレスとする場合には、“0”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのVLAN IDとする場合には、“1”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をIPアドレスとする場合には、“2”が設定される。
【0246】
HR(Hash Rule)フィールドには、ハッシュ計算のルールを示す情報が設定される。具体的には、対象となる値を後述するActive Port数で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。対象となる値を生成多項式で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“1”が設定される。
【0247】
現用AP(Active Port)フィールドには、現用系の冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、現用系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aのHVフィールドの値が直接設定される。
【0248】
予備APフィールドには、予備系の冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aのHVフィールドの値が直接設定される。
【0249】
集約マルチキャスト管理テーブル692aは、集約管理テーブル152aと同様、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約マルチキャスト管理テーブル692aは、運用系である冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0250】
図22は、第6の実施の形態の集約マルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図22に示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693として機能する。集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、マルチキャスト宛先管理テーブル695a(図23)で定義されるマルチキャストフローにおいて各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートのパターンを示すテーブルである。集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aには、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される宛先ポートのパターンとの対応関係を示す“HV”フィールド、現用系の冗長系出力部を用いたマルチキャストフローにおける宛先ポートのパターンを示す“現用MID”フィールド、および予備系の冗長系出力部を用いたマルチキャストフローにおける宛先ポートのパターンを示す“予備MID”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0251】
HVフィールド(Hash Value)には、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートのパターンとの対応関係を示す値が設定される。
現用MID(Multicast ID)フィールドには、現用系の冗長系出力部の論理リンクを用いたマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンを一意に識別する情報が設定される。
【0252】
予備MIDフィールドには、予備系の冗長系出力部の論理リンクを用いたマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンを一意に識別する情報が設定される。
【0253】
これらのマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンおよびパターンを一意に識別する情報は、図23に示すマルチキャスト宛先管理テーブル695aにおいて示される。
【0254】
集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図23は、第6の実施の形態のマルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図23に示すマルチキャスト宛先管理テーブル695aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695として機能する。マルチキャスト宛先管理テーブル695aは、マルチキャストで出力される各フレームの宛先ポートのパターンを示すテーブルである。マルチキャスト宛先管理テーブル695aには、そのフレームを送出する宛先ポートのパターンを示す“MID”フィールド、およびマルチキャストフローでフレームが送出される宛先ポートを示す“A−0”〜“Z−7”フィールド(以下、宛先ポートフィールドとする)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。ここで、宛先ポートフィールドは、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部の通信ポートと対応するように設けられている。
【0255】
MIDフィールドには、マルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンおよびパターンを一意に識別する情報が設定される。マルチキャスト振分先決定部675は、上記の集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aに示されている現用MIDフィールドおよび予備MIDフィールドに示される情報に基づいて、このマルチキャスト宛先管理テーブル695aのMIDフィールドに示される情報から宛先ポートのパターンを参照して、そのフレームが送出される宛先ポートのパターンを特定することができる。
【0256】
宛先ポートフィールドには、そのMIDフィールドの情報で特定される宛先ポートのパターンにおいて、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部の通信ポートがフレームを送出する宛先ポートであるか否かを示す情報が設定される。具体的には、宛先ポートフィールドに示されたその通信ポートが宛先ポートではない場合、“0”が設定される。一方、宛先ポートフィールドに示されたその通信ポートが宛先ポートである場合、“1”が設定される。
【0257】
マルチキャスト宛先管理テーブル695aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
これにより、マルチキャスト振分部670がリンク集約を用いた論理リンクと冗長構成を有さない物理リンクが併用された通信システムで、論理リンクおよび物理リンクの両方に対してマルチキャストフローによるフレーム転送が可能になる。
【0258】
以上に示すように、第6の実施の形態によれば、ユニキャストフローおよびマルチキャストフローに関わらずリンク集約を用いた論理リンクによる信頼性の高い通信システムを構築することができる。
【0259】
なお、本実施の形態では、通信装置としてレイヤ2スイッチを用いた場合について説明したが、フレームの転送機能を有する他の種類の通信装置を用いてもよい。例えば、データリンク層より上位の階層の処理もできるルーター等を用いてもよい。
【0260】
以上、本発明の通信装置、通信システムおよび通信方法を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、上記については単に本発明の原理を示すものである。本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされ、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物や行程が付加されてもよい。また、本発明は上記の実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0261】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力される前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分手段は、
前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、
切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする通信装置。
【0262】
(付記2) 前記フレームが前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクから出力されるかまたは前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの数と前記第2の出力手段を構成する物理リンクの数とは同一であり、
前記振分手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段が有する前記物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算するハッシュ計算手段を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記第1の物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記第2の物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられ、
前記振分手段は、
前記切替指示に応じて、前記第1の状態を示すものから前記第2の状態を示すものに書き替える切替決定手段と、
前記集約管理情報を参照して、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えるとともに、前記集約宛先管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクを決定する振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0263】
(付記3) 前記集約管理情報は、前記フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報を有し、
前記切替決定手段は、前記フレーム部分特定情報に基づいて前記フレームの全体から前記フレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いて前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0264】
(付記4) 前記集約管理情報は、前記ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報を有し、
前記切替決定手段は、前記計算内容情報に基づいて、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0265】
(付記5) 前記集約管理情報は、前記ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有し、
前記切替決定手段は、前記演算不実行情報を検出した場合には、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせずに、前記フレームを出力する前記物理リンクを決定することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0266】
(付記6) 前記集約宛先管理情報記憶手段は、デュアルポートメモリで構成されていることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記7) 前記集約宛先管理情報は、前記物理リンクを特定する物理リンク特定情報を有し、
前記物理リンク特定情報は、前記集約宛先管理情報記憶手段において記憶されているアドレスの一部が前記第1の出力手段および前記第2の出力手段と対応付けられるとともに、前記アドレスの他の一部が前記物理リンクと対応付けられていることを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0267】
(付記8) 前記集約管理情報は、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報を有し、
前記振分手段は、使用可能な物理リンク数に基づいて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0268】
(付記9) 前記フレームには、当該フレームの送信先ごとに、確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されており、
前記振分手段は、前記第1の出力手段の前記有効物理リンク情報が示す前記物理リンクの数が、前記帯域情報によって示される前記帯域未満である場合には、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする付記8記載の通信装置。
【0269】
(付記10) 前記集約管理情報は、前記フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有し、
前記振分手段は、前記集約宛先管理情報が有する前記フレーム廃棄情報が、前記フレームを廃棄することを示す場合には前記フレームを廃棄するフレーム廃棄手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0270】
(付記11) 前記論理リンクを一つまたは複数用いて通信することができ、
前記物理リンクを複数有する出力カードを複数有し、
前記論理リンクは、一つの前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成可能であるとともに、複数の前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成可能であり、
前記振分手段は、それぞれの前記論理リンクにおいて、一つの前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成するか、または複数の前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成するかを設定可能であることを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0271】
(付記12) 前記入力手段を有する入力カードと、前記第1の出力手段と前記第2の出力手段とを有する出力カードとを有し、
前記入力カードは、前記振分手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0272】
(付記13) 前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクにするか、または前記論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶するフロー宛先管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記フロー宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記フロー宛先管理情報を参照して、前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンク、または前記論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定するフロー宛先決定部を有するとともに、
前記フロー宛先決定手段による決定に基づいて前記フレームが出力される前記物理ポートを決定することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0273】
(付記14) 前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの障害の発生を検出するとともに、前記障害の発生を検出した場合には、前記切替指示を出力する障害検出手段を有し、
前記切替決定手段は、前記障害検出手段による前記切替指示を検出した場合には、前記集約管理情報を前記第1の状態を示すものから前記第2の状態を示すものに書き替えることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0274】
(付記15) 前記ハッシュ計算に関する設定を示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記切替決定手段は、前記集約管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記3記載の通信装置。
【0275】
(付記16) 前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの数と前記第2の出力手段を構成する物理リンクの数とは同一であり、
前記ハッシュ計算手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段が有する前記物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0276】
(付記17) それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて前記フレームが出力される前記物理リンクを決定するとともに、決定した各前記物理リンクから出力された前記フレームの数の集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0277】
(付記18) 前記集約宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報記憶手段に記憶されている前記集約宛先統計情報とを出力可能な通信手段を有することを特徴とする付記17記載の通信装置。
【0278】
(付記19) それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、各前記物理リンクから出力された前記フレームの数を集計し、集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0279】
(付記20) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の前記物理リンクから構成される複数の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、それぞれの前記出力手段の前記物理リンクを特定する物理リンク情報を有し、
前記振分手段は、前記フレームを出力する前記物理リンクを、一つの前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、前記フレームを出力する物理リンクを、他の前記出力手段を構成する前記物理リンクに切り替えることを特徴とする通信装置。
【0280】
(付記21) 複数の前記出力手段のうちの一つの前記出力手段は、前記フレームを出力する運用出力手段であり、前記運用出力手段以外の前記出力手段は、前記フレームを出力可能な状態で待機する待機出力手段であり、
複数の前記出力手段のうちのいずれの前記出力手段が前記運用出力手段に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を前記待機出力手段に設定するとともに前記待機出力手段に設定されている前記出力手段のうち少なくとも一つの前記出力手段を前記運用出力手段に設定することにより前記運用出力手段を切り替える切替指示に応じて、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を、前記運用出力手段であった前記出力手段に替えて前記待機出力手段であった前記切替指示の対象である前記出力手段を新たに前記運用出力手段に設定するものに書き替える切替決定手段と、
予め前記フレームを出力する前記物理リンクを、前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して、前記フレームを出力する物理リンクを、当該待機出力手段を構成する前記物理リンクに切り替える振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記20記載の通信装置。
【0281】
(付記22) 複数の前記出力手段のうちの一つの前記出力手段は、前記フレームを出力可能な状態で待機する待機出力手段であり、前記運用出力手段以外の前記出力手段は、前記フレームを出力する運用出力手段であり、
複数の前記出力手段のうちのいずれの前記出力手段が前記運用出力手段に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記運用出力手段に設定されている前記出力手段のうちの少なくとも一つの前記出力手段を前記待機出力手段に設定するとともに前記待機出力手段に設定されている前記出力手段を前記運用出力手段に設定することにより、前記運用出力手段を切り替える切替指示に応じて、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を、前記切替指示の対象である前記運用出力手段であった前記出力手段に替えて前記待機出力手段であった前記出力手段を新たに前記運用出力手段に設定するものに書き替える切替決定手段と、
予め前記フレームを出力する前記物理リンクを、前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して、前記フレームを出力する物理リンクを、当該待機出力手段を構成する前記物理リンクに切り替える振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記20記載の通信装置。
【0282】
(付記23) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の前記物理リンクから構成される複数の各出力手段の前記物理リンクを特定する物理リンク情報を有し、
前記振分手段は、
当該振分手段による決定の結果に基づいて、各前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有し、
前記フレームを出力する前記物理リンクを、一つの前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、前記フレームを出力する前記物理リンクを、他の前記出力手段を構成する前記物理リンクに切り替えることを特徴とする通信装置。
【0283】
(付記24) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち、前記フレームが出力される前記物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを出力する前記物理リンクとして、前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【0284】
(付記25) 前記論理リンクを構成する前記物理リンクから構成される冗長系出力手段と、
前記論理リンクを構成しない前記物理リンクである非冗長物理リンクから構成される独立系出力手段と、
を有し、
前記冗長系出力手段は、前記フレームを出力する前記物理リンクである現用物理リンクと、前記フレームを出力可能な状態で待機する前記物理リンクである予備物理リンクとから構成され、
集約マルチキャスト宛先管理情報を記憶する集約マルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記フレームが前記冗長系出力手段を構成する前記物理リンクおよび前記独立系出力手段を構成する前記物理リンクのうちいずれの前記物理リンクから出力されるかを示す集約マルチキャスト管理情報を記憶する集約マルチキャスト管理情報記憶手段と、
を有し、
前記マルチキャスト宛先管理情報は、前記フレームを出力する前記物理リンクとして前記冗長系出力手段の前記現用物理リンクと前記独立系出力手段の前記非冗長物理リンクとからなるパターンを示す複数の現用物理リンク情報と、それぞれが前記フレームを出力する前記物理リンクとして前記冗長系出力手段の前記予備物理リンクと前記独立系出力手段の前記非冗長物理リンクとからなる組み合わせのパターンを示す情報である複数の予備物理リンク情報とを有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、ハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算するハッシュ計算手段と、マルチキャスト宛先決定手段と、マルチキャスト振分先決定手段とを有し、
前記集約マルチキャスト宛先管理情報は、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記現用物理リンク情報が示す各前記パターンとが対応付けられているとともに、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記予備物理リンク情報が示す各前記パターンとが対応付けられており、
前記マルチキャスト宛先決定手段は、
前記集約マルチキャスト管理情報記憶手段に記憶されている前記集約マルチキャスト情報を参照して、前記現用物理リンク情報が示す前記パターンを選択するか、または前記予備物理リンク情報が示す前記パターンを選択するかの決定である切替決定を行い、
前記集約マルチキャスト宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記切替決定の結果に基づいて、前記現用物理リンク情報または前記予備物理リンク情報の前記パターンと、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値とに基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクのパターンを決定し、
前記マルチキャスト宛先管理情報は、前記マルチキャスト宛先決定手段によって決定されたパターンと、各前記物理リンクとが対応付けられており、
前記マルチキャスト振分先決定手段は、前記マルチキャスト宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクを決定することを特徴とする付記24記載の通信装置。
【0285】
(付記26) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記フレーム部分特定情報に基づいて前記フレームの全体から前記フレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いて前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせるマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0286】
(付記27) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記計算内容情報に基づいて、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせるマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0287】
(付記28) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記演算不実行情報を検出した場合には、前記ハッシュ計算を行うことなく前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0288】
(付記29) 前記フレームの送信先を示すとともに、前記フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを示すフロー宛先管理情報を記憶するフロー宛先管理情報記憶手段と、
前記フロー宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記フロー宛先管理情報を参照して、前記フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを決定するフロー宛先決定手段を有する振分手段と、
を有することを特徴とする付記24記載の通信装置。
【0289】
(付記30) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信システムにおいて、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分手段は、
前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、
切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える第1の通信装置と、
前記物理リンクによって前記第1の通信装置と接続され、前記論理リンクを通じて前記第1の通信装置から出力された前記フレームが入力される第2の通信装置とを有することを特徴とする通信システム。
【0290】
(付記31) 前記第1の通信装置と通信可能に接続され、当該第1の通信装置と通信して得た情報を表示可能な端末装置を有し、
前記第1の通信装置は、前記端末装置と通信可能な通信手段を有し、
前記端末装置は、
前記通信手段を介した通信により、前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報とを取得し、
取得した前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報とを表示可能な表示手段を有することを特徴とする付記30記載の通信システム。
【0291】
(付記32) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信方法において、
入力手段により、前記フレームが入力される入力ステップと、
振分手段が、前記集約宛先管理情報記憶手段に記憶されており、前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分ステップと、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段、または前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段が、前記フレームを出力する出力ステップと、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分ステップは、前記振分手段が、前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える切替を行い、
前記出力ステップは、前記振分手段による前記切替に基づいて、前記第1の出力手段が、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクから前記フレームを出力し、または前記第2の出力手段が、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクから前記フレームを出力することを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0292】
1 通信装置
11 入力手段
12 集約宛先管理情報記憶手段
12a 集約宛先管理テーブル
13 振分手段
14 第1の出力手段
15 第2の出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明はフレームを転送する通信装置に関し、特に複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して通信相手の端末装置へデータを送信する場合、送信データはデータリンク層においてフレームに分割され、通信装置によって中継されて、通信相手に届けられる。フレームを中継する通信装置としては、レイヤ2スイッチ等がある。ここで、通信装置間の通信路の品質を向上させる方法として、リンク集約(リンクアグリゲーション:Link Aggregation:LAG)の技術が知られている。リンク集約とは、同一の通信装置との間にケーブル等の物理リンクを複数設置し、これらの物理リンクを束ねて一つの仮想的な論理リンクを構成する技術であり、IEEE802.3adで規定されている。
【0003】
このリンク集約を行って伝送帯域を増やすことで、高価なケーブルや通信インタフェースを用意することなく、高速な通信路を実現できる。また、近年、リンク集約は、通信事業者が提供するキャリアネットワークにおいて、リンク冗長を目的として使われることが多くなってきた。これは、リンク集約により、複数の物理リンクを同時に使用するため、一部の物理リンクが故障した場合でも、通信路が完全に切断されることを防止でき、可用性を向上させることができるためである。
【0004】
例えば、論理リンクを構成する物理リンクのうち、所定のリンクを現用リンクとし、現用リンク以外のリンクを擬似的に閉塞して予備リンクとする。この論理リンクにおける現用リンクを運用リンクとして通信に用いるとともに、運用リンクの状態を監視する。そして、運用リンクのうち一部の運用リンクが使用不可状態となると、当該一部の運用リンクをリンクアグリゲーショングループからデタッチし、予備リンクの擬似閉塞を解除して、当該予備リンクをリンクアグリゲーショングループに運用リンクとしてアタッチする技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、論理リンクを構成するリンクのうち、一方のリンクのグループを現用リンクとし、他方のグループを予備リンクとする。現用リンクの障害発生時には、この現用リンクを未使用状態に変更するとともに予備リンクを未使用状態から使用可能状態へ変更することで、予備リンクを運用リンクとするリンクの切替を行うことにより、継続してリンク集約によるネットワークの接続を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−349764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、リンク集約機能を用いたフレームの転送を行うネットワークにおいても、障害発生によるダウンは、通信品質の低下、およびシステムの可用性の低下に繋がるため、できる限り短時間で復旧可能であることが望ましい。特に、リンク冗長化のためにリンク集約機能が使用された、通信事業者が提供するキャリアネットワークにおいては、障害発生時に少しでも早く正常なリンクへの切り替えが完了して接続が復旧することが要求されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時などに、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えが可能な通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施態様によれば、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、フレームが入力される入力手段と、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力手段によって入力されたフレームを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、を有することを特徴とする通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の通信装置によれば、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクを用いた通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時に、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態の概要を示す図である。
【図2】フレーム転送システムの全体構成を示す図である。
【図3】スイッチのハードウェア構成を示す図である。
【図4】フレームのデータ構造例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図11】第2の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図13】第4の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図14】第4の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図15】第4の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図17】第5の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
【図18】第5の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図19】第6の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
【図20】第6の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図21】第6の実施の形態の集約マルチキャスト管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図22】第6の実施の形態の集約マルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【図23】第6の実施の形態のマルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の概要を示す図である。図1に示したように、本実施の形態に係る通信装置1は、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置であって、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて現用リンクから予備リンクへ切り替えるものである。
【0012】
図1に示す通信装置1は、複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを他の通信装置などに転送する装置である。通信装置1は、論理リンクを用いてフレームを転送するために、入力手段11、集約宛先管理情報記憶手段12、振分手段13、第1の出力手段14、第2の出力手段15を有している。
【0013】
入力手段11は、通信装置1によって他の通信装置、コンピュータを始めとする情報機器などに転送されるフレームが入力される。
集約宛先管理情報記憶手段12は、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、集約宛先管理テーブル12aを構成して集約宛先管理情報記憶手段12に記憶されている。また、物理リンクは、第1の出力手段14および第2の出力手段15が有する各ポート(ポート#0など)である。
【0014】
集約宛先管理情報は、第1の出力手段14の物理リンクを特定する第1の物理リンク情報(図中の集約宛先管理テーブル12aの左側の列)と、第2の出力手段15の物理リンクを特定する第2の物理リンク情報(図中の集約宛先管理テーブル12aの右側の列)とを有する。
【0015】
振分手段13は、集約宛先管理情報記憶手段12に集約宛先管理テーブル12aとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力手段11によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0016】
ここで、振分手段13は、切替指示に応じて、第1の物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、第1の出力手段14を構成する物理リンクに決定する第1の状態と、第2の物理リンク情報を参照してフレームが出力される前記物理リンクを、第2の出力手段15を構成する物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能である。この切替指示は、例えば、通信装置1と他の通信装置との論理リンクによる通信に障害が発生した場合に、通信装置1自身に、この障害の発生を検出する機能および障害の発生の検出に基づいて切替指示を行う機能を持たせてもよい。なお、通信装置1以外の他の装置に障害の発生を検出して切替指示を出力する機能を持たせてもよい。
【0017】
第1の出力手段14は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、第2の出力手段15は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの第1の出力手段14を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。
【0018】
このような通信装置1によれば、入力手段11により、フレームが入力され、集約宛先管理情報記憶手段12により、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報が記憶される。振分手段13により、集約宛先管理情報が参照され、フレームが出力される物理リンクが、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定される。第1の出力手段14は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成されており、第2の出力手段15は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの第1の出力手段14を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成されている。集約宛先管理情報は、第1の出力手段14の物理リンクが特定される第1の物理リンク情報と、第2の出力手段15の物理リンクが特定される第2の物理リンク情報とを有している。振分手段13により、第1の物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクが、第1の出力手段14を構成する物理リンクに決定される第1の状態と、第2の物理リンク情報が参照されてフレームが出力される物理リンクが、第2の出力手段15を構成する物理リンクに決定される第2の状態とに切り替え可能であるとともに、切替指示に応じて、第1の状態から第2の状態に切り替えられる。
【0019】
これにより、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクを用いた通信ネットワークにおける現用リンクの障害発生時に、現用リンクから予備リンクへの高速な切り替えを実現できる。
【0020】
[第1の実施の形態]
図2は、フレーム転送システムの全体構成を示す図である。本実施の形態のフレーム転送システムは、端末装置間でデータの送受信を行えるように、複数のレイヤ2スイッチがデータリンク層のフレームを中継するものである。
【0021】
図2に示すフレーム転送システムは、スイッチ100,100a,100b,100c,100dと端末装置40,61,62,63,64,65,66とで構成される。スイッチ100,100a,100b,100c,100dは、レイヤ2スイッチである。端末装置61,62,63,64,65,66は、ユーザが使用する端末装置である。端末装置40は、スイッチ100の管理者が使用する端末装置である。スイッチ100a,100b,100c,100dは、スイッチ100と同様に構成されており、同等の機能を有する。
【0022】
スイッチ100は、スイッチ100a,100bと接続されている。スイッチ100bは、スイッチ100c,100dと接続されている。端末装置61,62は、スイッチ100aと接続されている。端末装置63,64は、スイッチ100cと接続されている。端末装置65,66は、スイッチ100dと接続されている。端末装置40は、スイッチ100と接続されている。2つのスイッチ間またはスイッチと端末装置の間は、1つ以上の物理リンク(ネットワークケーブル)で接続されている。
【0023】
スイッチ100,100a,100b,100c,100dは、フレームに含まれるアドレスに従って、送信元の端末装置から宛先の端末装置まで、フレームを中継する。例えば、端末装置61が端末装置63へフレームを送信する場合、スイッチ100a、スイッチ100、スイッチ100b、スイッチ100cの順にフレームが中継される。
【0024】
図3は、スイッチのハードウェア構成を示す図である。図3は、スイッチ100の内部構成を示したものであるが、スイッチ100a,100b,100c,100dも同様の構成で実現できる。スイッチ100は、CPU101、インタフェースカード102a,102b,102c,102d、スイッチカード103、テーブル記憶メモリ104、ポート監視部105、バス106を有している。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)101は、スイッチ100全体を制御している。CPU101は、プログラムによる処理を実行する。CPU101は、図示しないメモリに保持されたデータを用いて、同じくメモリに保持されたプログラムを実行する。CPU101は、図示しない通信インタフェースを介して、管理者が使用する端末装置40から送信されるコマンドを受信するとともに、コマンドに対する実行結果を端末装置40に応答する。
【0026】
テーブル記憶メモリ104は、複数のテーブルを記憶している。テーブル記憶メモリ104に記憶されるテーブルには、論理リンクの構成を管理するテーブル、論理リンク内でのフレームの転送先を決定するためのテーブル、フレームの転送先を示す情報を格納するテーブルが含まれる。
【0027】
バス106には、CPU101、インタフェースカード102a,102b,102c,102d、スイッチカード103、テーブル記憶メモリ104、ポート監視部105が接続されている。
【0028】
インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、それぞれ複数個(例えば、8個)の通信ポートを有している。それぞれの通信ポートには、1つの物理リンクを接続できる。インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、それぞれの通信ポートを監視してフレームを取得する。なお、インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、複数の通信ポートに同時にフレームが到来した場合に備えて、フレームを一時的に保持するバッファを内部に有している。そして、インタフェースカード102a,102b,102c,102dは、取得したフレームをスイッチカード103に送る。
【0029】
スイッチカード103は、図示しない学習テーブルを有している。スイッチカード103は、学習テーブルに、過去に受信したフレームの送信元アドレスと、そのフレームが到来した通信ポートまたは論理リンクの識別情報とを対応付けて記憶している。この学習テーブルは、スイッチカード103によって随時更新される。
【0030】
そして、スイッチカード103は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dのいずれかからフレームを受け取ると、学習テーブルを参照して、そのフレームの転送先を決定する。ここで、決定した転送先が論理リンクである場合、スイッチカード103は、テーブル記憶メモリ104に記憶されたテーブルを参照して、転送に使用する具体的なインタフェースカード102a,102b,102c,102dおよび通信ポートを決定する。その後、スイッチカード103は、フレームを、決定したインタフェースカード102a,102b,102c,102dに送る。
【0031】
フレームを受け取ったインタフェースカード102a,102b,102c,102dは、受け取ったフレームを、決定された通信ポートから送信先に送出する。
ポート監視部105は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートを監視する。そして、ポート監視部105は、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートに接続された物理リンクの故障や復旧を検出すると、CPU101にその旨を通知する。
【0032】
図4は、フレームのデータ構造例を示す図である。図4に示すフレーム30が、インタフェースカード102a,102b,102c,102dの通信ポートを介して、スイッチ100a,100b等との間で送受信される。フレーム30は、宛先MACアドレス(MAC DA:Media Access Control address Destination Address)、送信元MACアドレス、TPID(Tag Protocol Identifier:タグ・プロトコル識別子)、VLAN(Virtual Local Area Network)タグ、タイプ、ペイロードおよびFCS(Frame Check Sequence)で構成される。
【0033】
宛先MACアドレスは、送信先の端末装置が有する通信インタフェースを一意に識別するアドレスである。送信元MACアドレスは、送信元の端末装置が有する通信インタフェースを一意に識別するアドレスである。TPIDは、当該フレームの種類(例えば、VLANのフレームであるか通常のフレームであるか)を示す値である。VLANタグは、1つのネットワークを複数の論理的なネットワークに分割して運用する場合に、個々の論理的なネットワークに割り当てられる一意に定められた値である。タイプは、使用するプロトコルを指定するフィールドである。ペイロードは、送受信するデータ本体であり、例えば、IPパケットを所定のデータ長に分割したものである。FCSは、受信したフレームの誤りを検出するために用いられる値である。
【0034】
なお、フレームのデータ構造は、ネットワークの運用形態等に応じて、種々の変形例が考えられる。例えば、VLANタグが省略される場合がある。また、図4に示したもの以外のヘッダ情報が付加される場合もある。
【0035】
図5は、第1の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。なお、図5ではスイッチ100のモジュール構成を示しているが、他のスイッチ100a,100b,100c,100dもスイッチ100と同様のモジュール構成によって実現できる。
【0036】
本実施の形態のスイッチ100は、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて現用リンクから予備リンクへ切り替えるために、入力部110、振分部120、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182を有する。また、振分部120は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125を有する。
【0037】
ここで、現用系出力部は、初期状態および通常の状態で運用系の出力部に設定された出力部である。予備系出力部は、初期状態および通常の状態で待機系の出力部に設定された出力部である。
【0038】
入力部110は、本実施の形態のスイッチ100によって他のスイッチ100a,100b,100c,100dおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
【0039】
振分部120は、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブル153aとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0040】
ここで、振分部120は、切替指示に応じて、現用系物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181を構成する物理リンクに決定する現用状態と、予備系物理リンク情報を参照してフレームが出力される物理リンクを、予備系出力部182を構成する物理リンクに決定する予備状態とに切り替え可能である。
【0041】
この切替指示は、スイッチ100と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部120の切替決定部122に対して切替指示が出力される。振分部120による切替に基づいて、現用系出力部181が、現用系出力部181を構成する物理リンクからフレームを出力し、または予備系出力部182が、予備系出力部182を構成する物理リンクからフレームを出力する。
【0042】
振分部120は、使用可能な物理リンク数に基づいて、現用状態から予備状態に切り替える。振分部120は、現用系出力部181の有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、現用状態から予備状態に切り替える。スイッチ100によって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチ100が有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0043】
フロー宛先決定部121は、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0044】
このフロー宛先決定部121は、入力されたフレームの宛先MACアドレス(図4参照)に基づいて、図6において後述するフロー宛先管理テーブル151aを用いて、各フレームの宛先を特定する。すなわち、フロー宛先決定部121は、入力されたフレームに含まれるMACアドレスを抽出する。このとき、入力されたフレームのMACアドレスが、フロー宛先管理テーブル151aによって、当該フレームの宛先が格納されている宛先フィールドのアドレスと対応付けられている。これを用いて、スイッチ100は、入力されたフレームのMACアドレスから、フロー宛先管理テーブル151aの対応するアドレスに格納されている宛先を取得する。
【0045】
また、宛先ポートが論理リンク(LAG)の場合は、そのフロー宛先管理テーブル151aにおいて、論理リンクで送信されるフレームの宛先MACアドレスに対応付けたLフィールドに1を設定することで、宛先として論理リンクを指定することができる。これに従い、フロー宛先決定部121は、フレームの宛先MACアドレスに対応付けられたLフィールドに1が設定されている場合、そのフレームの宛先を、指定された論理リンクに決定する。
【0046】
なお、フロー宛先管理テーブル151aのアドレスと対応付けるための、フレーム側の情報は、宛先MACアドレスに限らず、VLANタグ(図4参照)が示す値を用いてもよい。
【0047】
また、宛先MACアドレスまたはVLANタグをフロー宛先管理テーブル151aのアドレスとの対応付けに用いた場合には、フロー宛先管理テーブル151a側のアドレスのビット数が非常に大きくなる。これに基づき、フロー宛先管理テーブル151aに必要なメモリの容量が大きくなってしまう。これに対して、このフロー宛先管理テーブル151aを格納するメモリとして、一般的なSRAM(Static Random Access Memory)およびDRAM(Dainamic Random Access Memory)ではなく、CAM(Content Addressing Memory)を用いてもよい。これにより、宛先MACアドレスまたはVLANタグを直接、フロー宛先管理テーブル151aのアドレスとして用いる必要がなくなり、宛先MACアドレスまたはVLANタグを検索情報(検索キー)として使用することができる。これにより、フロー宛先管理テーブル151a側においてビット数分に対応したメモリ容量のテーブルを持つ必要がなく、フロー宛先管理テーブル151aを格納するメモリの節約になる。
【0048】
切替決定部122は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。
【0049】
また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0050】
ここで、フレーム部分情報とは、フレームの一部分を構成する情報であり、例えば、フレームに含まれているアドレスを用いることができる。フレーム部分情報として用いるアドレスとは、フレームの送信元の端末装置(または送信元の端末装置が属する集合)や宛先の端末装置(または宛先の端末装置が属する集合)を特定するための情報である。例えば、送信元/宛先のMACアドレス、送信元/宛先のIP(Internet Protocol)アドレス、VLANタグ等である。このフレーム部分情報のフレームにおける位置および範囲を特定するのが、フレーム部分特定情報である。
【0051】
本実施の形態では、このフレーム部分情報であるアドレスと物理リンクとを対応付けるために、例えば、アドレスから計算したハッシュ値と物理リンクが接続された通信ポートのポート番号とを、1対1に対応付けて用いる。
【0052】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0053】
ここで、ハッシュ計算は、送出するフレームの、フレーム部分特定情報で特定されたフレーム部分情報を、フレームを送出する論理リンクの、その時点の使用可能なポート数(最大値はN、例えば、8)の値によって割算し、割算した結果の余りの値(0〜N−1、例えば、0〜7)を用いるものとする。また、設定により、送出するフレームのフレーム部分情報を生成多項式で割った値を用いることもできる。
【0054】
振分先決定部124は、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0055】
フレーム廃棄部125は、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0056】
障害検出部130は、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部151は、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0057】
集約管理情報記憶部152は、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0058】
また、集約管理情報は、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0059】
集約宛先管理情報記憶部153は、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、詳しくは図8および図9において後述する集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0060】
集約宛先管理情報記憶部153は、デュアルポート(Dual Port)メモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0061】
現用系出力部181は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。ここでは、現用系出力部181および予備系出力部182は、8個の通信ポートを持ち、合わせて16個の通信ポートによって一つの論理リンクを構成している。
【0062】
端末装置40は、スイッチ100と通信可能に接続され、当該スイッチ100と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ100は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ100との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0063】
また、スイッチ100は、図3に示した複数(例えば、4つ)のインタフェースカード102a,102b,102c,102dによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カード(例えば、インタフェースカード102a)とし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カード(例えば、インタフェースカード102b,102c)とするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ100は、入力部110、振分部120、障害検出部130として機能する入力カードと、現用系出力部181および予備系出力部182としてそれぞれ機能する2つの出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0064】
スイッチ100は、上記の物理リンクを複数有する出力カード(例えば、現用系出力部181および予備系出力部182)を用いて、論理リンクを複数用いて通信することもできる。振分部120は、それぞれの論理リンクについて、その論理リンクを1つの出力カードの物理リンクで構成するか、または複数の出力カードを構成する物理リンクで構成するかを任意に設定可能である。この設定に基づいて、スイッチ100の論理リンクは、1つの出力カードを構成する物理リンクで構成可能であるとともに、複数の出力カードを構成する物理リンクで構成可能である。
【0065】
本実施の形態では、例えば、インタフェースカード102a,102b,102c,102dのように、それぞれが複数の通信ポートを持つインタフェースカードを複数用いて、物理リンクを集約して構成した論理リンクが構成される。このとき、各通信ポートが物理リンクとして通信が行われる。すなわち、この論理リンクは、複数のポートを持つ複数のインタフェースで構成される。
【0066】
本実施の形態では、例えば、N個(例えば、8個)のポートを持つ2枚のカードを使用して、2×Nポートの論理リンクを構成する。この一方のインタフェースカードのN個のポートを現用系インタフェースカードとして通信に使用し、もう一方のインタフェースカードのN個のポートを予備系インタフェースカードとして、待機状態にしておくことにより、インタフェース間に冗長性を持たせる。これを、各インタフェースカードのポート(物理リンク)数から、N:Nリンク構成という。
【0067】
このとき、この論理リンクにおいて、ユーザが通信に使用できるポート数はNポートである。現用系インタフェースカードの障害時には、この現用系インタフェースカードのポートを未使用状態に変更するとともに、予備系インタフェースカードのN個のポートを未使用状態から使用可能状態へ変更することで、使用するインタフェースカードの切替を行う。これにより、障害発生時にもN個のポートによる論理リンクを継続して提供可能である。また、障害が発生した現用系インタフェースカードの交換時にも、交換による通信への影響を防止するものである。
【0068】
図6は、第1の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図6に示すフロー宛先管理テーブル151aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、フロー宛先管理情報記憶部151として機能する。フロー宛先管理テーブル151aは、各フレームの送出先であるリンクが論理リンクを構成するものであるか否かを示すテーブルである。フロー宛先管理テーブル151aには、そのフレームを送出する宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す“L”フィールド、およびフレームが出力される宛先を示す“宛先”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0069】
Lフィールドには、フレームの宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの宛先ポートが論理リンクではない場合、“0”が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクである場合、“1”が設定される。
【0070】
宛先フィールドには、フレームの宛先が論理リンクである場合、図7において後述するLAG番号が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクでない場合、そのフレームを送信するインタフェースカードを示す宛先カード名、およびポート番号を示す情報が設定される。
【0071】
フロー宛先管理テーブル151aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図7は、第1の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図7に示す集約管理テーブル152aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約管理情報記憶部152として機能する。集約管理テーブル152aは、各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約管理テーブル152aには、各リンクが有効であるか否かを示す“V”フィールド、リンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号を示す“LAG番号”フィールド、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す“SEL”フィールド、フレームの振分において後述するハッシュ計算を行うか否かを示す“NH”フィールド、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値を示す“HT”フィールド、ハッシュ計算のルールを示す“HR”フィールド、現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す“現用AP”フィールド、および予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す“予備AP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0072】
V(Valid)フィールドには、スイッチ100による各リンクが有効であるか否かを示す情報が設定される。リンクが有効であれば、“0”が設定される。一方、スイッチ、各インタフェースまたはリンク集約に障害が発生している場合など、リンクが無効であれば、“1”が設定される。
【0073】
LAG番号フィールドには、リンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号が設定される。このLAG番号に従って、集約管理テーブル152aに予め設定されたリンク集約の振分のパターンのうち、いずれの振分を行うかが決定される。
【0074】
SEL(Selector)フィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替え、予備系の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から“1”に書き替えて設定される。
【0075】
NH(No Hash)フィールドには、フレームの振分においてハッシュ計算を行うか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの振分においてハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。一方、フレームの振分においてハッシュ計算を行わない場合には、“1”が設定される。
【0076】
HT(Hash Target)フィールドには、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値が設定される。具体的には、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのMACアドレスとする場合には、“0”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのVLAN IDとする場合には、“1”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をIPアドレスとする場合には、“2”が設定される。
【0077】
HR(Hash Rule)フィールドには、ハッシュ計算のルールを示す情報が設定される。具体的には、対象となる値を後述するActive Port数で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。対象となる値を生成多項式で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“1”が設定される。
【0078】
現用AP(Active Port)フィールドには、現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、現用系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル153aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル153bのアドレス)が直接設定される。
【0079】
予備APフィールドには、予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル153aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル153bのアドレス)が直接設定される。
【0080】
具体的には、集約管理テーブル152aの上から3行目に示す例では、NHフィールドの設定値が“0”であって、ハッシュ計算部123によってハッシュ計算が行われる。そして、このハッシュ計算の結果に応じて論理リンクで出力される。このときの現用APの値“8”は、現在の現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数を示している。物理リンクに障害が発生して使用可能なポート数が減少した場合には、障害検出部130によって、この値も減少させるように書き替えられる。一方、集約管理テーブル152aの上から4行目に示す例では、NHフィールドの設定値が“1”である。この場合には、ハッシュ計算部123によるハッシュ計算は行われずに、論理リンクを構成する物理ポートから出力される。このときの現用APの値“3”は、現在の現用系の論理リンクにおける物理リンクのポートを示している。現用APについて説明したが、予備APについても同様である。
【0081】
集約管理テーブル152aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約管理テーブル152aは、現用系および予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0082】
また、現用系出力部181の通信ポートに障害が発生して、予備系出力部182へ論理リンクの切替を行う場合は、集約管理テーブル152aのSELフィールドを“0”から“1”に書き替えるとともに、現用APフィールドもその時点で使用可能なポート数(Active port数、例えば、7)から、次に運用系となる予備系出力部182のその時点で使用可能なポート数(例えば、8)に書き替える。
【0083】
このように、集約管理テーブル152aに現用APと予備APを設けて、現用系出力部181と予備系出力部182のそれぞれに対してActive port数の設定を可能とすることにより、現用系出力部181から予備系出力部182への切替時にAPフィールドの書き替えの手間を省くことが可能となる。
【0084】
図8は、第1の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図8に示す集約宛先管理テーブル153aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先管理情報記憶部153として機能する。集約宛先管理テーブル153aは、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル153aには、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される宛先ポートとの対応関係を示す“HV”フィールド、現用系の論理リンクにおける宛先ポートを示す“現用DP”フィールド、および予備系の論理リンクにおける宛先ポートを示す“予備DP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0085】
HVフィールド(Hash Value)には、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの対応関係を示す値が設定される。
現用DP(Destination Port)フィールドには、現用系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
【0086】
予備DPフィールドには、予備系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
集約宛先管理テーブル153aは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0087】
以上に示すように、第1の実施の形態によれば、障害発生時に集約管理テーブル152aのSELフィールドのみを書き替えることのみによって、現用系から予備系へ高速に切り替えることができる。
【0088】
また、論理リンク単位でHTフィールドに任意の値を設定することにより、特定のフレームフィールドをハッシュ計算の対象とすることができる。これにより、リンク集約のハッシュ計算について、演算対象となるフレームのフィールドを選択可能とすることで、フレームの振分の自由度を高めることができる。
【0089】
また、NHフィールドによって、リンク集約のハッシュ計算を行わず、振分先を1つに集約させることを選択することができる。
また、リンク集約単位でHRフィールドに任意の値を設定してハッシュ計算の計算方法を選択することができる。
【0090】
また、現用系と予備系のそれぞれに対して、その時点で使用可能なポート数の設定を可能とする。これにより、ポートに障害が発生しても、リンクに要求されている帯域に応じたポート数を満たしている場合には、論理リンクの切り替えを行わず、さらにポートに障害が発生して、リンクに要求されている帯域を満たさなくなってから、論理リンクを切り替えることができる。
【0091】
また、フレーム廃棄部125がフレームを廃棄することにより、論理リンクを構成するすべての出力部、すべてのポートに障害が発生した場合、または、スイッチ100に障害が発生した場合などに、不必要にスイッチ100からフレームが送信されてしまうことを防止でき、スイッチ内部でのフレームの送受信処理の負荷低減を行うことが可能となる。
【0092】
また、通信部140がスイッチ100の稼動状況を示すデータを端末装置40に出力することにより、ネットワーク保守者、シムテム保守者は論理リンクの運用状態を常に監視・制御することが可能となり、スイッチ100を用いたネットワーク通信の信頼性を高めることが可能となる。
【0093】
<第1の実施の形態の変形例>
次に、第1の実施の形態の変形例について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のスイッチは、集約宛先管理テーブル153bにおいて、異なるアドレス内に現用DPと予備DPを格納している点で異なる。
【0094】
集約宛先管理テーブルの同一アドレス内に現用DPと予備DPが格納されている場合、テーブルのメモリ容量を効率的に使用することが可能であるが、現用系が運用系である状態において、フレーム入力に基づいて集約宛先管理テーブルが常にアクセスされているときに、設定用フレームを入力して非運用系である予備系のDP設定や変更等を行ったとき、入力パケットからのアクセスと予備系設定用フレームのアクセスとが同時に発生するアクセス衝突(競合)が発生する可能性がある。この場合、このアクセス衝突を回避するアクセス調停の制御回路を追加する必要があり、回路の複雑化、および装置のコストの上昇を引き起こすことになる。
【0095】
図9は、第1の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。本変形例では、図9に示すように、集約宛先管理テーブル153bを現用DPと予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。それぞれの領域のアドレスは、図7の集約管理テーブル152aのSELフィールドの値と図中のハッシュ計算の結果の値がビット結合した値を割り当てる。
【0096】
また、図中の集約宛先管理テーブル153bは、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル153bにおけるDPのアドレス“7”がビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先管理テーブル153bでは、このアドレスが、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの関係を対応付けている。ここで、デュアルポートメモリは、データの入出力のためのポートが二つ設けられているメモリである。一方のポートからデータを読み出している間に、他方のポートからデータを書き込むことが可能である。これにより、高速にデータの読み書きを行うことができる。これにより、現用DPと予備DPとを、異なるアドレスに割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく提供することを可能とする。
【0097】
図9に示す集約宛先管理テーブル153bは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。集約宛先管理テーブル153bは、集約宛先管理テーブル153aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル153bには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートを一意に識別する情報が格納されている。集約宛先管理テーブル153bは、スイッチ100の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0098】
以上に示すように、本変形例によれば、集約宛先管理テーブル153bにおいて、現用DPと予備DPとを異なるアドレスを持つ領域に割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を、運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく行うことができる。
【0099】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0100】
第2の実施の形態は、振分部220の有する統計情報書込部226が、各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報記憶部254に書き込んで記憶させる点で、第1の実施の形態と異なる。
【0101】
以下に、本実施の形態における振分部220について説明する。図10は、第2の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部220は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部226を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、図示しない入力部、振分部220、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部254を有する。
【0102】
入力部は、第1の実施の形態の入力部110と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部220は、第1の実施の形態の振分部120と同様、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0103】
フロー宛先決定部121は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0104】
切替決定部122は、第1の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0105】
ハッシュ計算部123は、第1の実施の形態と同様、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0106】
振分先決定部124は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0107】
フレーム廃棄部125は、第1の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0108】
統計情報書込部226は、振分先決定部124と同様に機能して、集約管理情報記憶部152に記憶されている集約管理情報を参照してハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいてフレームが出力される物理リンクを決定するとともに、決定した現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部254に書き込む。これにより、統計情報書込部226が振分先決定部124と並行して、フレームを出力する物理リンクを振分先決定部124と全く同様に決定し、決定に基づいて入力されたフレームが出力される物理リンクを集計する。
【0109】
障害検出部130は、第1の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0110】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0111】
集約管理情報記憶部152は、第1の実施の形態と同様、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0112】
また、集約管理情報は、第1の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0113】
集約宛先管理情報記憶部153は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0114】
集約宛先管理情報記憶部153は、第1の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0115】
集約宛先統計情報記憶部254は、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部254は、集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部254において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0116】
現用系出力部181は、第1の実施の形態と同様、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。
【0117】
通信部140は、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部254に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第1の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部140と通信可能に接続され、この通信部140と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0118】
図11は、第2の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。本実施の形態では、図11に示すように、集約宛先統計テーブル254aを現用DPおよび予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。
【0119】
また、図中の集約宛先統計テーブル254aは、図9の集約宛先管理テーブル153bと同様、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7(集約宛先統計テーブル254aにおける上から16行目)は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル153bにおけるDPのアドレス“7”とがビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先統計テーブル254aでは、このアドレスが、フレームが送出される通信ポートと、その通信ポートから送出されたフレームの数の関係を対応付けている。
【0120】
図11に示す集約宛先統計テーブル254aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先統計情報記憶部254として機能する。集約宛先統計テーブル254aは、通信ポートから送出されたフレームの数の集計結果を示すテーブルである。集約宛先統計テーブル254aには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートから送出されたフレームの数を示す情報が格納されている。集約宛先統計テーブル254aは、統計情報書込部226による集計結果の書き込みに応じて、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0121】
以上に示すように、第2の実施の形態によれば、統計情報書込部226が、切替決定部122およびハッシュ計算部123の処理および集約宛先管理テーブル153a(または153b)に基づいてスイッチから出力されるフレームを集計し、集約宛先統計テーブル254aにおいて、各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、振分結果を容易に取得することができる。
【0122】
また、このとき、統計情報書込部226は、フレームが出力される物理リンクおよびフレームが出力される物理リンクを決定する振分先決定部124とは別に計算するので、実際のフレームの出力に与える影響を最小限に留めることができる。
【0123】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。ここでは、上記の第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0124】
第3の実施の形態は、振分部320の有する統計情報書込部326が、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報記憶部254に書き込んで記憶させる点で、第2の実施の形態と異なる。
【0125】
以下に、本実施の形態における振分部320について説明する。図12は、第3の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部320は、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部326を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、第2の実施の形態と同様、図示しない入力部、振分部320、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、現用系出力部181、予備系出力部182の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部254を有する。
【0126】
入力部は、第2の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部320は、第2の実施の形態の振分部220と同様、集約宛先管理情報記憶部153に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクのうちのいずれかの物理リンクに決定する。
【0127】
フロー宛先決定部121は、第2の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0128】
切替決定部122は、第2の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、集約管理情報を現用状態を示すものから予備状態を示すものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部124は、フレームが出力される物理リンクを、現用系出力部181、予備系出力部182のうちから決定する。また、切替決定部122は、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部122は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部122は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部122は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0129】
ハッシュ計算部123は、第2の実施の形態と同様、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、現用系出力部181および予備系出力部182が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0130】
振分先決定部124は、第2の実施の形態と同様、フロー宛先決定部121による決定に基づいてフレームが出力される物理ポートを決定する。振分先決定部124は、集約管理情報を参照して、現用状態から予備状態に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0131】
フレーム廃棄部125は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ100および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0132】
統計情報書込部326は、現用系出力部181および予備系出力部182の物理リンクを監視して、各物理リンクから実際に出力されたフレームの数を集計し、集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部254に書き込む。
【0133】
障害検出部130は、第2の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0134】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第2の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0135】
集約管理情報記憶部152は、第2の実施の形態と同様、フレームが現用系出力部181を構成する物理リンクから出力されるかまたは予備系出力部182を構成する物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する。
【0136】
また、集約管理情報は、第2の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部122が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、現用系出力部181および予備系出力部182のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0137】
集約宛先管理情報記憶部153は、第2の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル153a,153bを構成して集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている。集約宛先管理情報は、現用系出力部181の物理リンクを特定する現用系物理リンク情報および予備系出力部182の物理リンクを特定する予備系物理リンク情報を有する。物理リンクは、現用系出力部181および予備系出力部182が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、現用系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、予備系物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0138】
集約宛先管理情報記憶部153は、第2の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部153において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0139】
集約宛先統計情報記憶部254は、第2の実施の形態と同様、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部254は、集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部254において記憶されているアドレスの一部が現用系出力部181および予備系出力部182と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0140】
現用系出力部181は、第2の実施の形態と同様、論理リンクを構成する物理リンクのうちの一部の物理リンクから構成される。また、予備系出力部182は、論理リンクを構成する物理リンクのうちの現用系出力部181を構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの、一部またはすべての物理リンクから構成される。現用系出力部181を構成する物理リンクの数と予備系出力部182を構成する物理リンクの数とは同一(例えば、8個)である。
【0141】
通信部140は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部153に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部254に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第1の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部140と通信可能に接続され、この通信部140と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0142】
以上に示すように、第3の実施の形態によれば、統計情報書込部326が、現用系出力部181および予備系出力部182の各物理リンクを監視することにより、スイッチから出力されるフレームを集計する。そして、統計情報書込部326が、集約宛先統計テーブル254aに各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、振分結果を容易に取得することができる。
【0143】
また、このとき統計情報書込部326は、実際に出力されたフレームを監視して集計するので、実際に出力されたフレーム数を集計することができるとともに、集計に必要な構成を単純化することができる。
【0144】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0145】
第4の実施の形態は、複数の出力部を有しており、複数の出力部のうちの一部の出力部を運用系の出力部とし、それ以外の出力部を待機系の出力部とする。そして、その運用系の出力部を構成する物理リンクからフレームを出力する。その一方、待機系の出力部は、通常時は待機しており、運用系の出力部に故障が有る場合に、待機系の出力部の一部を、運用系であった出力部に替えて、運用系の出力部に切り替える点で、第1の実施の形態と異なる。
【0146】
以下に、本実施の形態におけるスイッチ400について説明する。図13は、第4の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
本実施の形態におけるスイッチ400は、複数の出力部481a,481b,・・・,481zを有する。また、本実施の形態のスイッチ400は、リンク集約による冗長構成を有する通信ネットワークのリンクを、切替指示に基づいて運用系の出力部を構成する物理リンクから待機系の出力部を構成する物理リンクへ切り替えるために、入力部110、振分部420、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部452、集約宛先管理情報記憶部453を有する。また、振分部420は、フロー宛先決定部121、切替決定部422、ハッシュ計算部123、振分先決定部424、フレーム廃棄部125を有する。
【0147】
ここで、運用系の出力部は、現在フレームの出力に使用される出力部である。待機系の出力部は、現在フレームの出力には使用されず、運用系の出力部の故障に備えて、フレームを出力可能な状態で待機する出力部である。また、現用系の出力部は、初期状態および通常の状態で運用系の出力部に設定された出力部である。予備系の出力部は、初期状態および通常の状態で待機系の出力部に設定された出力部である。
【0148】
入力部110は、第1の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチ400によって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部420は、集約宛先管理情報記憶部453に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、出力部481a,481b,・・・,481zのうちの一つの出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを、他の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0149】
この切替指示は、スイッチ400と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部420の切替決定部422に対して切替指示が出力される。振分部420による切替に基づいて、運用系の出力部が、現在フレームが出力されている運用系の出力部である出力部481aからいずれかの待機系の出力部(例えば、出力部481b)に切り替えられる。この切替以降は、これに従い、待機系の出力部481bからフレームが出力される。
【0150】
また、振分部420は、使用可能な物理リンク数に基づいて、運用系の出力部を切り替える。振分部420は、運用系の出力部である出力部481aの有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、他の待機系の出力部のうちのいずれかを運用系の出力部に切り替える。スイッチ400によって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチ400が有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0151】
フロー宛先決定部121は、第1の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0152】
切替決定部422は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている出力部481aを待機系の出力部に設定するとともに待機系の出力部481b,・・・,481zに設定されている出力部481b,・・・,481zのうち少なくとも一つの出力部を運用系の出力部に設定することによって運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、運用系の出力部であった出力部481aに替えて待機系の出力部であり、かつ、切替指示の対象である出力部481b,・・・,481zのうちのいずれかを新たに運用系の出力部に設定する。具体的には、このとき、切替決定部422は、集約管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する振分先決定部424は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の出力部481b,・・・,481zのうちから決定する。これにより、一つの出力部を運用系に割り当て、複数(N個)の出力部を待機系に割り当てる(N:1)カード冗長を実現することができる。
【0153】
また、切替決定部422は、第1の実施の形態の切替決定部122と同様、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部422は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部422は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部422は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0154】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、各出力部481a,481b,・・・,481zが有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0155】
振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部481aを構成する物理リンクに設定する。そして、運用系の出力部の物理リンクに障害が発生した場合には、振分先決定部424は、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部481b,・・・,481zを構成する物理リンクに切り替える。
【0156】
ここで、振分先決定部424は、集約管理情報を参照して、運用系の出力部481aを待機系の出力部481a,481b,・・・,481zのいずれかに切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0157】
フレーム廃棄部125は、第1の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、スイッチ400および接続先の動作について試験を行う場合などにおいて、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0158】
障害検出部130は、現用系の出力部481aを構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部151は、第1の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0159】
集約管理情報記憶部452は、出力部481a,481b,・・・,481zのうちのいずれの出力部が運用系の出力部に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する。
また、集約管理情報は、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部422が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、出力部481a,481b,・・・,481zのそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0160】
集約宛先管理情報記憶部453は、第1の実施の形態の集約宛先管理情報記憶部153と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、詳しくは図15および図16において後述する集約宛先管理テーブル453a,453bを構成して集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている。集約宛先管理情報は、それぞれの出力部481a,481b,・・・,481zの物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、出力部481a,481b,・・・,481zが有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、物理リンク情報が示す各出力部481a,481b,・・・,481zがそれぞれ有する物理リンクとが対応付けられている。
【0161】
集約宛先管理情報記憶部453は、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部453において記憶されているアドレスの一部が各出力部481a,481b,・・・,481zと対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が各出力部481a,481b,・・・,481zが有する物理リンクと対応付けられている。
【0162】
出力部481a,481b,・・・,481zは、論理リンクを構成する物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の物理リンクから構成される。それぞれの出力部481a,481b,・・・,481zを構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)である。
【0163】
出力部481a,481b,・・・,481zのうちの一つの出力部481a,481b,・・・,481zは、フレームを出力する運用系の出力部(例えば、出力部481a)である。この運用系の出力部として設定されたもの以外の出力部(例えば、出力部481b,・・・,481z)は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部である。
【0164】
端末装置40は、第1の実施の形態と同様、スイッチ400と通信可能に接続され、当該スイッチ400と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ400は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ400との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0165】
また、スイッチ400は、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、上記の複数のインタフェースカードによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カードとし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カードとするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ400は、入力部110、振分部420、障害検出部130として機能する入力カードと、各出力部481a,481b,・・・,481zとしてそれぞれ機能する複数の出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0166】
なお、本実施の形態の切替決定部422は、運用系の出力部に設定されている出力部481a,481b,・・・,481zのうちの少なくとも一つの出力部481a,481b,・・・,481zを、待機系の出力部に設定するとともに、待機系の出力部に設定されている出力部(例えば、出力部481z)を運用系の出力部に設定することにより、運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、切替指示の対象である運用系の出力部であった出力部(例えば、出力部481a)に替えて待機系の出力部であった出力部481zを新たに運用系の出力部に設定するものに書き替えてもよい。
【0167】
そしてこの場合、振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部(例えば、出力部481z以外の出力部481a,481b,・・・)を構成する物理リンクに設定するとともに、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部481zを構成する物理リンクに切り替えるものとする。これにより、複数の出力部を運用系に割り当て、一つの出力部を待機系に割り当てる(1:N)カード冗長を実現することができる。
【0168】
図14は、第4の実施の形態の集約管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図14に示す集約管理テーブル452aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約管理情報記憶部452として機能する。集約管理テーブル452aは、図7に示す集約管理テーブル152aと同様、各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約管理テーブル452aには、“V”フィールド、“LAG番号”フィールド、“SEL”フィールド、“NH”フィールド、“HT”フィールド、“HR”フィールド、“現用AP”フィールド、および複数個(例えば、N−1個)の“予備AP”フィールド(例えば、“予備AP1”フィールド,・・・,“予備AP N−1”フィールド)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0169】
本実施の形態のSELフィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系および複数の予備系のいずれであるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替える場合には、予備系の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から、切り替えによりフレームの送出に用いられる予備系の論理リンクを特定する情報(例えば、1〜N−1の値)に書き替えて設定される。
【0170】
上記の複数個の予備APフィールドには、それぞれの予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系のその論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約宛先管理テーブル453aのHVフィールドの値(または集約宛先管理テーブル453bのアドレス)が直接設定される。
【0171】
集約管理テーブル452aは、集約管理テーブル152aと同様、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約管理テーブル452aは、運用系である出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0172】
図15は、第4の実施の形態の集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図15に示す集約宛先管理テーブル453aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先管理情報記憶部453として機能する。集約宛先管理テーブル453aは、図8に示す集約宛先管理テーブル153aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル453aには、“HV”フィールド、“現用DP”フィールド、および複数個(例えば、N−1個)の予備DPフィールド(例えば、“予備DP1”フィールド,・・・,“予備DP N−1”フィールド)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0173】
上記の複数個の予備DPフィールドには、それぞれの予備系の論理リンクにおいてフレームが送信される通信ポートである宛先ポートを一意に識別する情報が設定される。
集約宛先管理テーブル453aは、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0174】
以上に示すように、第4の実施の形態によれば、多くの出力部を用いてリンク集約を構成することができ、スイッチの信頼性を向上させることができる。
<第4の実施の形態の変形例>
次に、第4の実施の形態の変形例について説明する。上記の第4の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。本変形例のスイッチは、集約宛先管理テーブル453bにおいて、異なるアドレス内に現用DPおよびN−1個の予備DPを格納している点で異なる。
【0175】
集約宛先管理テーブルの同一アドレス内に現用DPと予備DPが格納されている場合、テーブルのメモリ容量を効率的に使用することが可能であるが、現用系が運用系である状態において、フレーム入力に基づいて集約宛先管理テーブルが常にアクセスされているときに、設定用フレームを入力して非運用系である予備系のDP設定や変更等を行ったとき、入力パケットからのアクセスと予備系設定用フレームのアクセスとが同時に発生するアクセス衝突(競合)が発生する可能性がある。この場合、このアクセス衝突を回避するアクセス調停の制御回路を追加する必要があり、回路の複雑化、および装置のコストの上昇を引き起こすことになる。
【0176】
図16は、第4の実施の形態の変形例における集約宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。本変形例では、図16に示すように、集約宛先管理テーブル453bを現用DPとN−1個の予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。それぞれの領域のアドレスは、図14の集約管理テーブル452aのSELフィールドの値と図中のハッシュ計算の結果の値がビット結合した値を割り当てる。
【0177】
また、図中の集約宛先管理テーブル453bは、デュアルポートメモリに格納される。例えば、予備DPにおいて、予備系出力部182のポート#7は、SELフィールドの値“1”と、集約宛先管理テーブル453bにおけるDPのアドレス“7”がビット結合されて、16進数表記では“0x17”となっている。集約宛先管理テーブル453bでは、このアドレスが、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートとの関係を対応付けている。
【0178】
図16に示す集約宛先管理テーブル453bは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。集約宛先管理テーブル453bは、集約宛先管理テーブル453aと同様、論理リンクにおける各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートを示すテーブルである。集約宛先管理テーブル453bには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートを一意に識別する情報が格納されている。集約宛先管理テーブル453bは、スイッチ400の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0179】
以上に示すように、本変形例によれば、集約宛先管理テーブル453bにおいて、現用DPおよび複数の予備DPを、それぞれ異なる領域に割り当てることにより、非運用系側の設定変更や登録を、運用状態においてもアクセス衝突を引き起こすことなく行うことができる。
【0180】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。ここでは、上記の第2の実施の形態および第4の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0181】
第5の実施の形態は、出力部を有さず、フレームを実際には出力せずに、フレームの振分のみを実行するとともに、フレームが振り分けられる物理リンクの統計情報のみを取得する点で、上記の実施の形態と異なる。
【0182】
以下に、本実施の形態における振分部520について説明する。図17は、第5の実施の形態の振分部の機能を示すブロック図である。
本実施の形態の振分部520は、フロー宛先決定部121、切替決定部422、ハッシュ計算部123、振分先決定部424、フレーム廃棄部125に加えて、各物理リンクから出力されるフレームの数を集計するために、統計情報書込部526を有する。また、本実施の形態の図示しないスイッチは、図示しない入力部、振分部520、障害検出部130、図示しない通信部、フロー宛先管理情報記憶部151、集約管理情報記憶部452、集約宛先管理情報記憶部453の他、各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果を記憶するために、集約宛先統計情報記憶部554を有する。
【0183】
一方、本実施の形態のスイッチは、第4の実施の形態と異なり、出力部481a,481b,・・・,481xを有さない。この出力部は、実際には存在しないが、試験のために実在のスイッチと同等の仕様(例えば、物理リンクが接続されるポートを8個有するなど)のものが想定され、各記憶部においてデータ上にのみ設定されている。
【0184】
入力部は、第4の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチによって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
振分部520は、第4の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部453に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、複数の実在しない出力部のうちの一つの出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを、他の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0185】
この切替指示は、本実施の形態のスイッチと他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生したことを想定する場合には、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部520の切替決定部422に対して切替指示が出力される。振分部520による切替に基づいて、運用系の出力部が、現在フレームが出力されている運用系の出力部である出力部からいずれかの待機系の出力部に切り替えられる。この切替以降は、これに従い、待機系の出力部から出力されるフレームの数が集計される。
【0186】
また、振分部520は、使用可能な物理リンク数に基づいて、運用系の出力部を切り替える。振分部520は、運用系の出力部の有効物理リンク情報が示す物理リンクの数が、帯域情報によって示される帯域未満である場合には、他の待機系の出力部のうちのいずれかを運用系の出力部に切り替える。スイッチによって送信されるフレームには、送信先に応じて当該フレームを送信するために確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されている。この帯域情報は、スイッチが有する図示しない記憶部に記憶されている。
【0187】
フロー宛先決定部121は、第4の実施の形態と同様、フロー宛先管理情報記憶部151に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンク、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンク(図示省略)のうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定する。
【0188】
切替決定部422は、第4の実施の形態と同様、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている出力部を待機系の出力部に設定するとともに待機系の出力部に設定されている出力部のうち少なくとも一つの出力部を運用系の出力部に設定することによって運用系の出力部を切り替える切替指示に応じて、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を、運用系の出力部であった出力部に替えて待機系の出力部であり、かつ、切替指示の対象である出力部のうちのいずれかを新たに運用系の出力部に設定する。このとき、切替決定部422は、集約管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約管理情報を参照する統計情報書込部526は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の出力部のうちから決定する。
【0189】
また、切替決定部422は、第4の実施の形態と同様、集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。このとき、切替決定部422は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。また、切替決定部422は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせる。さらに、切替決定部422は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部123にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0190】
ハッシュ計算部123は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、各出力部が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0191】
振分先決定部424は、予めフレームを出力する物理リンクを、運用系の出力部に設定されている出力部を構成する物理リンクに設定するとともに、集約管理情報記憶部452に記憶されている集約管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、当該待機系の出力部を構成する物理リンクに切り替える。
【0192】
ここで、振分先決定部424は、集約管理情報を参照して、運用系の出力部を待機系の出力部のいずれかに切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部123が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定するとともに、決定結果を統計情報書込部526に出力する。これに基づいて、統計情報書込部526により、決定された物理リンクから出力されることになるフレームの数が集計される。
【0193】
フレーム廃棄部125は、第4の実施の形態と同様、集約宛先管理情報が有するフレーム廃棄情報が、そのフレームを廃棄することを示す場合にはフレームを廃棄する。これにより、特定の送信先のみ、または特定の送信先以外のみにフレームを送信する試験を行う場合に、出力するフレームを制限することができる。
【0194】
統計情報書込部526は、振分先決定部424による決定の結果を取得して、各物理リンクから出力されたフレームの数の集計結果を集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶部554に書き込む。
【0195】
障害検出部130は、第4の実施の形態と同様、現用系出力部181を構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
【0196】
フロー宛先管理情報記憶部151は、第4の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを、論理リンクを構成する物理リンクにするか、または論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0197】
集約管理情報記憶部452は、第4の実施の形態と同様、出力部のうちのいずれの出力部が運用系の出力部に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する。
また、集約管理情報は、第4の実施の形態と同様、ハッシュ計算部123で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約管理情報は、切替決定部422が、フレームを出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、複数の出力部のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。さらに、集約管理情報は、フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有する。
【0198】
集約宛先管理情報記憶部453は、第4の実施の形態と同様、フレームが出力される物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する。ここで、集約宛先管理情報は、上記の集約宛先管理テーブル453a,453bを構成して集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている。集約宛先管理情報は、それぞれの出力部の物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。物理リンクは、それぞれの出力部が有する各ポートである。さらに、集約宛先管理情報は、ハッシュ計算部123によって計算される各ハッシュ値と、物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられている。
【0199】
集約宛先管理情報記憶部453は、第4の実施の形態と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、物理リンク特定情報は、集約宛先管理情報記憶部453において記憶されているアドレスの一部がそれぞれの出力部と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0200】
集約宛先統計情報記憶部554は、第2の実施の形態の集約宛先統計情報記憶部254と同様、各出力部の各物理リンクから出力されるフレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する。また、集約宛先統計情報記憶部554は、集約宛先管理情報記憶部453と同様、デュアルポートメモリで構成されている。また、集約宛先統計情報は、集約宛先統計情報記憶部554において記憶されているアドレスの一部が各出力部と対応付けられるとともに、アドレスの他の一部が物理リンクと対応付けられている。
【0201】
出力部は、論理リンクを構成する物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の物理リンクから構成されるものとして設定されている。それぞれの出力部を構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)であるものとする。複数の出力部のうちの一つの出力部は、フレームを出力する運用系の出力部とする。この運用系の出力部として設定されたもの以外の出力部は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部とする。
【0202】
通信部(図示省略)は、第2の実施の形態と同様、集約宛先管理情報記憶部453に記憶されている集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報記憶部554に記憶されている集約宛先統計情報とを端末装置(図示省略)に対して出力する。端末装置は、第4の実施の形態の端末装置と同様、本実施の形態のスイッチが有する通信部と通信可能に接続され、この通信部と通信して得た情報を表示することができる。端末装置は、通信部を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0203】
図18は、第5の実施の形態の集約宛先統計テーブルのデータ構造例を示す図である。本実施の形態では、図18に示すように、集約宛先統計テーブル554aを現用DPおよびN−1個の予備DPで別のアドレスに割り当て、それぞれに別個の領域を与える。
【0204】
また、図中の集約宛先統計テーブル554aは、図11の集約宛先統計テーブル254aと同様、デュアルポートメモリに格納される。例えば、現用DPにおいて、現用系出力部のポート#7(集約宛先統計テーブル554aにおける上から8行目)は、SELフィールドの値“0”と、集約宛先統計テーブル554aにおけるDPのアドレス“7”とがビット結合されて、16進数表記では“0x07”となっている。集約宛先統計テーブル554aでは、このアドレスが、フレームが送出される通信ポートと、その通信ポートから送出されるフレームの数の関係を対応付けている。
【0205】
図18に示す集約宛先統計テーブル554aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約宛先統計情報記憶部554として機能する。集約宛先統計テーブル554aは、通信ポートから送出されたフレームの数の集計結果を示すテーブルである。集約宛先統計テーブル554aには、上記のアドレスでフレームのハッシュ値と対応付けられた、現用系または予備系の論理リンクにおける宛先ポートから送出されたフレームの数を示す情報が格納されている。集約宛先統計テーブル554aは、統計情報書込部526による集計結果の書き込みに応じて、テーブル記憶メモリ104に格納される。
【0206】
以上に示すように、第5の実施の形態によれば、集約宛先統計テーブル554aにおいて、各通信ポートから送出されたフレーム数を示す情報を格納することにより、スイッチ100のフレームの振分機能について試験を行う場合に、出力部を省略でき、振分結果を容易に取得することができる。
【0207】
また、出力側のインタフェースカードを必要としないので、インタフェースカードが1枚のみで試験を行うことができる。
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0208】
第6の実施の形態は、リンク集約を用いた論理リンクにおいて、ユニキャストフローだけでなく、マルチキャストフローでフレームの送信を行うことができる点で、第1の実施の形態と異なる。
【0209】
以下に、本実施の形態におけるスイッチ600について説明する。図19は、第6の実施の形態のスイッチの機能を示すブロック図である。
本実施の形態のスイッチ600は、リンク集約による冗長構成を有する論理リンクと同時に、冗長構成を有さない物理リンクに対してマルチキャストフローによるフレームの送信を行うために、入力部110、振分部620、障害検出部130、通信部140、フロー宛先管理情報記憶部651、集約マルチキャスト管理情報記憶部692、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695、2個の冗長系出力部681a,681bおよび複数の独立系出力部682x,・・・を有する。また、振分部620は、フロー宛先決定部621を有する。マルチキャスト振分部670は、マルチキャスト切替決定部672、ハッシュ計算部673、マルチキャスト宛先決定部674、マルチキャスト振分先決定部675を有する。
【0210】
なお、本実施の形態では説明を省略するが、スイッチ600は、第1の実施の形態の図5における集約管理情報記憶部152、集約宛先管理情報記憶部153、ならびに、フロー宛先決定部121、切替決定部122、ハッシュ計算部123、振分先決定部124を有する振分部120を有しており、冗長系出力部681aおよび冗長系出力部681bで構成された論理リンクを用いて、フレームの転送を行うことができる。
【0211】
入力部110は、第1の実施の形態と同様、本実施の形態のスイッチ600によって他のスイッチおよび端末装置などの通信機器に転送されるフレームが入力される。
本実施の形態の振分部620が有するフロー宛先決定部621は、フロー宛先管理情報記憶部651に記憶されているフロー宛先管理情報を参照して、入力部110により入力されたフレームを、冗長系出力部681a,681bによって構成された論理リンクのみを用いたユニキャストで出力するか、または冗長系出力部681a,681bに加えて冗長構成を有さず物理リンクのみで構成された独立系出力部682x,・・・も用いたマルチキャストで出力するかを決定する。
【0212】
ここで、入力されたフレームがマルチキャストで出力される場合、通常、フレームのMACアドレス(図4参照)の最上位ビットに1が設定されている。これに従い、本実施の形態のフロー宛先決定部621では、最上位ビットが1の場合、ある任意の最上位ビットが1のアドレスをマルチキャストアドレスとして、フロー宛先管理テーブル651aに登録することで、入力されたフレームのMACアドレスから、マルチキャストアドレスの宛先情報を取得する。
【0213】
また、宛先ポートが論理リンク(LAG)の場合は、そのフロー宛先管理テーブル651aにおいて、論理リンクで送信されるフレームの宛先MACアドレスに対応付けたLフィールドに1を設定することで、宛先として論理リンクを指定することができる。これに従い、フロー宛先決定部621は、フレームの宛先MACアドレスに対応付けられたLフィールドに1が設定されている場合、そのフレームの宛先を指定された論理リンクに決定する。
【0214】
なお、フロー宛先管理テーブル651aのアドレスと対応付けるための、フレーム側の情報は、宛先MACアドレスに限らず、VLANタグ(図4参照)が示す値を用いてもよい。
【0215】
また、宛先MACアドレスまたはVLANタグをフロー宛先管理テーブル651aのアドレスとの対応付けに用いた場合には、フロー宛先管理テーブル651a側のアドレスのビット数が非常に大きくなる。これに基づき、第1の実施の形態と同様に、フロー宛先管理テーブル651aに必要なメモリの容量が大きくなってしまう。これに対して、このフロー宛先管理テーブル651aを格納するメモリとして、一般的なSRAMおよびDRAMではなく、CAMを用いてもよい。
【0216】
また、振分部620は、説明を省略するが、フレームをユニキャストで出力する場合には、第1の実施の形態の振分部120と同様、集約宛先管理情報記憶部(図示省略)に集約宛先管理テーブルとして記憶されている集約宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを設定するとともに、切替指示に応じて、フレームを出力する物理リンクを切り替える。この切替指示は、スイッチ600と他のスイッチとの論理リンクによる通信に障害が発生した場合には、障害検出部130により、この障害の発生が検出される。そして、障害検出部130により、障害の発生の検出に基づいて振分部620の切替決定部(図示省略)に対して切替指示が出力される。このようにして、運用系の出力部が、いずれかの待機系の出力部に切り替えられる。
【0217】
マルチキャスト振分部670は、フロー宛先決定部621によってフレームがマルチキャストで出力すると決定された場合、マルチキャスト宛先管理情報を参照して、入力部110によって入力されたフレームが出力される物理リンクを出力する物理リンクとして、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうちフレームを出力する物理リンクを決定する。
【0218】
マルチキャスト切替決定部672は、障害検出部130による切替指示を検出した場合には、運用系の出力部に設定されている冗長系出力部を待機系の冗長系出力部に設定するとともに待機系の冗長系出力部に設定されている冗長系出力部を運用系の冗長系出力部に設定することによって運用系の冗長系出力部を切り替える切替指示に応じて、集約マルチキャスト管理情報記憶部692に記憶されている集約マルチキャスト管理情報を、運用系の冗長系出力部であった冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)に替えて待機系の冗長系出力部であった冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)を新たに運用系の冗長系出力部に設定する。具体的には、このとき、マルチキャスト切替決定部672は、集約マルチキャスト管理情報を、設定が反映されたものに書き替える。これに基づいて、集約マルチキャスト管理情報を参照するマルチキャスト宛先決定部674は、フレームが出力される物理リンクを、待機系の冗長系出力部681bに切り替える。
【0219】
また、マルチキャスト切替決定部672は、マルチキャスト集約管理情報を参照して、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。このとき、マルチキャスト切替決定部672は、フレーム部分特定情報に基づいてフレームの全体からフレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いてハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。また、マルチキャスト切替決定部672は、計算内容情報に基づいて、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせる。さらに、マルチキャスト切替決定部672は、演算不実行情報を検出した場合には、ハッシュ計算部673にハッシュ計算を行わせることなく、フレームを出力する物理リンクを決定する。
【0220】
ハッシュ計算部673は、フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、冗長系出力部681a,681bおよび独立系出力部682x,・・・などの各出力部が有する物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算する。
【0221】
マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト管理情報記憶部692に記憶されている集約マルチキャスト情報を参照して、現用物理リンク情報が示すパターンを選択するか、または予備物理リンク情報が示すパターンを選択するかの決定である切替決定を行う。
【0222】
ここで、マルチキャスト宛先決定部674は、予めフレームを出力する論理リンクを、運用系の出力部に設定されている冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)に設定する。そして、運用系の冗長系出力部の物理リンクに障害が発生した場合には、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、フレームを出力する物理リンクを、上記の運用系の出力部に設定されている冗長系出力部(冗長系出力部681a)から、待機系の出力部に設定されている冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)に切り替える。
【0223】
すなわち、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、切替決定の結果に基づいて、現用物理リンク情報または予備物理リンク情報のパターンと、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値とに基づいて、フレームが出力される物理リンクのパターンを決定する。
【0224】
これにより、マルチキャスト宛先決定部674は、集約マルチキャスト管理情報を参照して、論理リンクを構成する運用系の冗長系出力部を待機系の冗長系出力部に切り替えるとともに、集約宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0225】
マルチキャスト振分先決定部675は、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695に記憶されているマルチキャスト宛先管理情報を参照して、ハッシュ計算部673が計算することによって得られたハッシュ値に基づいて、フレームが出力される物理リンクを決定する。
【0226】
障害検出部130は、冗長系出力部681aを構成する物理リンクの障害の発生を検出するとともに、障害の発生を検出した場合には、切替指示を出力する。
フロー宛先管理情報記憶部651は、フレームの送信先を示すとともに、フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを示すフロー宛先管理情報を記憶する。
【0227】
集約マルチキャスト管理情報記憶部692は、フレームが冗長系出力部681a,681bを構成する物理リンクおよび独立系出力部682x,・・・を構成する物理リンクのうちいずれの物理リンクから出力されるかを示す集約マルチキャスト管理情報を記憶する。
【0228】
また、集約マルチキャスト管理情報は、ハッシュ計算部673で行われるハッシュ計算に関する設定を示す。具体的には、集約マルチキャスト管理情報は、マルチキャスト切替決定部672が、フレームをマルチキャストで出力する物理リンクを決定するために、フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報、ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報、冗長系出力部681a,681bのそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報、ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有する。
【0229】
集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693は、集約マルチキャスト宛先管理情報を記憶する。ここで、集約マルチキャスト宛先管理情報は、詳しくは図22において後述する集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aを構成して集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693に記憶されている。集約マルチキャスト宛先管理情報は、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などのそれぞれの出力部の物理リンクを特定する物理リンク情報を有する。ここで、物理リンクは、出力部が有する各ポート(例えば、ポート#0,・・・,ポート#7など)である。さらに、集約マルチキャスト宛先管理情報は、ハッシュ計算部673によって計算される各ハッシュ値と、現用物理リンク情報が示す各パターンとが対応付けられているとともに、ハッシュ計算部673によって計算される各ハッシュ値と、予備物理リンク情報が示す各パターンとが対応付けられている。
【0230】
集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693は、第1の実施の形態の集約宛先管理情報記憶部153と同様、デュアルポートメモリで構成されている。
マルチキャスト宛先管理情報記憶部695は、論理リンクを構成する物理リンクおよび論理リンクを構成しない物理リンクのうち、フレームが出力される物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶する。
【0231】
マルチキャスト宛先管理情報は、フレームを出力する物理リンクとして冗長系出力部681a,681bの現用物理リンクと独立系出力部682x,・・・の非冗長物理リンクとからなるパターンを示す複数の現用物理リンク情報と、それぞれがフレームを出力する物理リンクとして冗長系出力部681a,681bの予備物理リンクと独立系出力部682x,・・・の非冗長物理リンクとからなる組み合わせのパターンを示す情報である複数の予備物理リンク情報とを有する。マルチキャスト宛先管理情報は、マルチキャスト宛先決定部674によって決定されたパターンと、各物理リンクとが対応付けられている。
【0232】
冗長系出力部681a,681bは、論理リンクを構成する物理リンクから構成される。冗長系出力部681a,681bは、フレームを出力する物理リンクである現用物理リンクと、フレームを出力可能な状態で待機する物理リンクである予備物理リンクとから構成される。独立系出力部682x,・・・は、論理リンクを構成しない物理リンクである非冗長物理リンクから構成される。それぞれの出力部を構成する物理リンクの数は同一(例えば、8個)である。
【0233】
冗長系出力部681a,681bのうちの一方の出力部は、フレームを出力する運用系の出力部(例えば、冗長系出力部681a)である。冗長系出力部681a,681bのうちの他方の出力部(例えば、冗長系出力部681b)は、フレームを出力可能な状態で待機する待機系の出力部である。独立系出力部682x,・・・は、複数の物理リンクから構成されているが、論理リンクを構成せず、単独で機能する出力部である。
【0234】
冗長系出力部681a,681bおよび独立系出力部682x,・・・は、マルチキャスト振分先決定部675により、マルチキャスト宛先管理情報に従って各出力部が有する通信ポートがフレームを送出する宛先ポートに決定されると、そのフレームをコピーして決定された宛先ポートから送出する。
【0235】
端末装置40は、第1の実施の形態と同様、スイッチ600と通信可能に接続され、当該スイッチ600と通信して得た情報を表示することができる。スイッチ600は、端末装置40と通信可能な通信部140を有する。端末装置40は、スイッチ600との間で、通信部140を介した通信により集約宛先管理情報および集約宛先統計情報とを取得することができる。そして、端末装置40は、取得した集約宛先管理情報と、集約宛先統計情報とを表示可能な図示しない表示部を有する。
【0236】
また、スイッチ600は、第1の実施の形態のスイッチ100と同様、上記の複数のインタフェースカードによって構成されている。ここでは、フレームが入力されるインタフェースカードを入力カードとし、フレームが出力されるインタフェースカードを出力カードとするが、各インタフェースカードは、機能的には同一であり、それぞれのカードにおいてフレームの入力および出力が可能である。すなわち、スイッチ600は、入力部110、振分部620、マルチキャスト振分部670、障害検出部130として機能する入力カードと、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部としてそれぞれ機能する複数の出力カードとによって、入力されたフレームを他のスイッチなどに出力する。
【0237】
図20は、第6の実施の形態のフロー宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図20に示すフロー宛先管理テーブル651aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、フロー宛先管理情報記憶部651として機能する。フロー宛先管理テーブル651aは、各フレームがユニキャストで出力されるかまたはマルチキャストで出力されるかを示すとともに、各フレームの送出先であるリンクが論理リンクを構成するものであるか否かを示すテーブルである。フロー宛先管理テーブル651aには、そのフレームを送出する宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す“L”フィールド、そのフレームがユニキャストで出力されるかマルチキャストで出力されるかを示す“M”フィールド、およびフレームが出力される宛先を示す“宛先”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0238】
Lフィールドには、フレームの宛先ポートが論理リンクを構成しているか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの宛先ポートが論理リンクではない場合、“0”が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクである場合、“1”が設定される。
【0239】
Mフィールドには、フレームがユニキャストで出力されるかマルチキャストで出力されるかを示す情報が設定される。具体的には、フレームがユニキャストで出力される場合、“0”が設定される。一方、フレームがマルチキャストで出力される場合、“1”が設定される。
【0240】
宛先フィールドには、フレームの宛先が論理リンクである場合、図21において後述するLAG番号が設定される。一方、フレームの宛先ポートが論理リンクでない場合、そのフレームを送信するインタフェースカードを示す宛先カード名、およびポート番号を示す情報が設定される。
【0241】
フロー宛先管理テーブル651aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図21は、第6の実施の形態の集約マルチキャスト管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図21に示す集約マルチキャスト管理テーブル692aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約マルチキャスト管理情報記憶部692として機能する。集約マルチキャスト管理テーブル692aは、マルチキャストフローにおいて各フレームが送出される論理リンクを決定するためのテーブルである。集約マルチキャスト管理テーブル692aには、“LAG番号”フィールド、“SEL”フィールド、“NH”フィールド、“HT”フィールド、“HR”フィールド、“現用AP”フィールド、および“予備AP”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0242】
LAG番号フィールドには、マルチキャストフローにおいてリンク集約の宛先の振分を行うためのLAG番号が設定される。このLAG番号に従って、集約マルチキャスト管理テーブル692aに予め設定されたリンク集約の振分のパターンのうち、いずれの振分を行うかが決定される。
【0243】
SEL(Selector)フィールドには、フレームを送出する論理リンクが現用系であるか予備系であるかを示す情報が設定される。具体的には、現用系の冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681a)の論理リンクでフレームを送出する場合には、“0”が設定される。一方、現用系の論理リンクに障害が発生し、現用系の論理リンクから予備系の論理リンクに切り替える場合には、予備系の冗長系出力部(例えば、冗長系出力部681b)の論理リンクでフレームを送出する場合には、上記の“0”から“1”に書き替えて設定される。
【0244】
NH(No Hash)フィールドには、フレームの振分においてハッシュ計算を行うか否かを示す情報が設定される。具体的には、フレームの振分においてハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。一方、フレームの振分においてハッシュ計算を行わない場合には、“1”が設定される。
【0245】
HT(Hash Target)フィールドには、ハッシュ計算を行う際にハッシュ計算の対象とする値が設定される。具体的には、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのMACアドレスとする場合には、“0”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をフレームのVLAN IDとする場合には、“1”が設定される。また、ハッシュ計算の対象とする値をIPアドレスとする場合には、“2”が設定される。
【0246】
HR(Hash Rule)フィールドには、ハッシュ計算のルールを示す情報が設定される。具体的には、対象となる値を後述するActive Port数で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“0”が設定される。対象となる値を生成多項式で割った余りをハッシュ値とするハッシュ計算を行う場合には、“1”が設定される。
【0247】
現用AP(Active Port)フィールドには、現用系の冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の現用系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において現用系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、現用系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aのHVフィールドの値が直接設定される。
【0248】
予備APフィールドには、予備系の冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数、またはNHフィールドに基づいてハッシュ計算を行わない場合の予備系の論理リンクにおける送出ポートを示す情報が設定される。具体的には、原則として、その時点において予備系の論理リンクにおける使用可能なポート数が設定される。NHフィールドの設定値が1の場合には、予備系の論理リンクにおいてフレームが送出されるポートを示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aのHVフィールドの値が直接設定される。
【0249】
集約マルチキャスト管理テーブル692aは、集約管理テーブル152aと同様、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。また、集約マルチキャスト管理テーブル692aは、運用系である冗長系出力部の論理リンクにおける使用可能なポート数の変化に応じて、設定値が変化する。
【0250】
図22は、第6の実施の形態の集約マルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図22に示す集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、集約マルチキャスト宛先管理情報記憶部693として機能する。集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、マルチキャスト宛先管理テーブル695a(図23)で定義されるマルチキャストフローにおいて各フレームが送出される通信ポートである宛先ポートのパターンを示すテーブルである。集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aには、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される宛先ポートのパターンとの対応関係を示す“HV”フィールド、現用系の冗長系出力部を用いたマルチキャストフローにおける宛先ポートのパターンを示す“現用MID”フィールド、および予備系の冗長系出力部を用いたマルチキャストフローにおける宛先ポートのパターンを示す“予備MID”フィールドが設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。
【0251】
HVフィールド(Hash Value)には、フレームに割り当てられたハッシュ値と、フレームが送出される通信ポートのパターンとの対応関係を示す値が設定される。
現用MID(Multicast ID)フィールドには、現用系の冗長系出力部の論理リンクを用いたマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンを一意に識別する情報が設定される。
【0252】
予備MIDフィールドには、予備系の冗長系出力部の論理リンクを用いたマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンを一意に識別する情報が設定される。
【0253】
これらのマルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンおよびパターンを一意に識別する情報は、図23に示すマルチキャスト宛先管理テーブル695aにおいて示される。
【0254】
集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
図23は、第6の実施の形態のマルチキャスト宛先管理テーブルのデータ構造例を示す図である。図23に示すマルチキャスト宛先管理テーブル695aは、テーブル記憶メモリ104に格納されている。テーブル記憶メモリ104は、マルチキャスト宛先管理情報記憶部695として機能する。マルチキャスト宛先管理テーブル695aは、マルチキャストで出力される各フレームの宛先ポートのパターンを示すテーブルである。マルチキャスト宛先管理テーブル695aには、そのフレームを送出する宛先ポートのパターンを示す“MID”フィールド、およびマルチキャストフローでフレームが送出される宛先ポートを示す“A−0”〜“Z−7”フィールド(以下、宛先ポートフィールドとする)が設けられている。各フィールドの横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられている。ここで、宛先ポートフィールドは、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部の通信ポートと対応するように設けられている。
【0255】
MIDフィールドには、マルチキャストフローにおいてフレームが送信される宛先ポートのパターンおよびパターンを一意に識別する情報が設定される。マルチキャスト振分先決定部675は、上記の集約マルチキャスト宛先管理テーブル693aに示されている現用MIDフィールドおよび予備MIDフィールドに示される情報に基づいて、このマルチキャスト宛先管理テーブル695aのMIDフィールドに示される情報から宛先ポートのパターンを参照して、そのフレームが送出される宛先ポートのパターンを特定することができる。
【0256】
宛先ポートフィールドには、そのMIDフィールドの情報で特定される宛先ポートのパターンにおいて、冗長系出力部681a,681b、独立系出力部682x,・・・などの各出力部の通信ポートがフレームを送出する宛先ポートであるか否かを示す情報が設定される。具体的には、宛先ポートフィールドに示されたその通信ポートが宛先ポートではない場合、“0”が設定される。一方、宛先ポートフィールドに示されたその通信ポートが宛先ポートである場合、“1”が設定される。
【0257】
マルチキャスト宛先管理テーブル695aは、スイッチ600の管理者による操作入力に応答して、テーブル記憶メモリ104に格納される。
これにより、マルチキャスト振分部670がリンク集約を用いた論理リンクと冗長構成を有さない物理リンクが併用された通信システムで、論理リンクおよび物理リンクの両方に対してマルチキャストフローによるフレーム転送が可能になる。
【0258】
以上に示すように、第6の実施の形態によれば、ユニキャストフローおよびマルチキャストフローに関わらずリンク集約を用いた論理リンクによる信頼性の高い通信システムを構築することができる。
【0259】
なお、本実施の形態では、通信装置としてレイヤ2スイッチを用いた場合について説明したが、フレームの転送機能を有する他の種類の通信装置を用いてもよい。例えば、データリンク層より上位の階層の処理もできるルーター等を用いてもよい。
【0260】
以上、本発明の通信装置、通信システムおよび通信方法を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、上記については単に本発明の原理を示すものである。本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされ、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物や行程が付加されてもよい。また、本発明は上記の実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0261】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力される前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分手段は、
前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、
切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする通信装置。
【0262】
(付記2) 前記フレームが前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクから出力されるかまたは前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクから出力されるかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの数と前記第2の出力手段を構成する物理リンクの数とは同一であり、
前記振分手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段が有する前記物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算するハッシュ計算手段を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記第1の物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられているとともに、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記第2の物理リンク情報が示す各物理リンクとが対応付けられ、
前記振分手段は、
前記切替指示に応じて、前記第1の状態を示すものから前記第2の状態を示すものに書き替える切替決定手段と、
前記集約管理情報を参照して、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えるとともに、前記集約宛先管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクを決定する振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0263】
(付記3) 前記集約管理情報は、前記フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報を有し、
前記切替決定手段は、前記フレーム部分特定情報に基づいて前記フレームの全体から前記フレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いて前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0264】
(付記4) 前記集約管理情報は、前記ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報を有し、
前記切替決定手段は、前記計算内容情報に基づいて、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0265】
(付記5) 前記集約管理情報は、前記ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有し、
前記切替決定手段は、前記演算不実行情報を検出した場合には、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせずに、前記フレームを出力する前記物理リンクを決定することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0266】
(付記6) 前記集約宛先管理情報記憶手段は、デュアルポートメモリで構成されていることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記7) 前記集約宛先管理情報は、前記物理リンクを特定する物理リンク特定情報を有し、
前記物理リンク特定情報は、前記集約宛先管理情報記憶手段において記憶されているアドレスの一部が前記第1の出力手段および前記第2の出力手段と対応付けられるとともに、前記アドレスの他の一部が前記物理リンクと対応付けられていることを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0267】
(付記8) 前記集約管理情報は、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段のそれぞれにおける使用可能な物理リンクの数を示す有効物理リンク数情報を有し、
前記振分手段は、使用可能な物理リンク数に基づいて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0268】
(付記9) 前記フレームには、当該フレームの送信先ごとに、確保すべき帯域を示す帯域情報が設定されており、
前記振分手段は、前記第1の出力手段の前記有効物理リンク情報が示す前記物理リンクの数が、前記帯域情報によって示される前記帯域未満である場合には、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えることを特徴とする付記8記載の通信装置。
【0269】
(付記10) 前記集約管理情報は、前記フレームを廃棄するか否かを示すフレーム廃棄情報を有し、
前記振分手段は、前記集約宛先管理情報が有する前記フレーム廃棄情報が、前記フレームを廃棄することを示す場合には前記フレームを廃棄するフレーム廃棄手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0270】
(付記11) 前記論理リンクを一つまたは複数用いて通信することができ、
前記物理リンクを複数有する出力カードを複数有し、
前記論理リンクは、一つの前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成可能であるとともに、複数の前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成可能であり、
前記振分手段は、それぞれの前記論理リンクにおいて、一つの前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成するか、または複数の前記出力カードを構成する前記物理リンクで構成するかを設定可能であることを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0271】
(付記12) 前記入力手段を有する入力カードと、前記第1の出力手段と前記第2の出力手段とを有する出力カードとを有し、
前記入力カードは、前記振分手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0272】
(付記13) 前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクにするか、または前記論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクにするかを示すフロー宛先管理情報を記憶するフロー宛先管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記フロー宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記フロー宛先管理情報を参照して、前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンク、または前記論理リンクを構成する物理リンク以外の物理リンクのうちの一つの物理リンクのうちいずれかに決定するフロー宛先決定部を有するとともに、
前記フロー宛先決定手段による決定に基づいて前記フレームが出力される前記物理ポートを決定することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0273】
(付記14) 前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの障害の発生を検出するとともに、前記障害の発生を検出した場合には、前記切替指示を出力する障害検出手段を有し、
前記切替決定手段は、前記障害検出手段による前記切替指示を検出した場合には、前記集約管理情報を前記第1の状態を示すものから前記第2の状態を示すものに書き替えることを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0274】
(付記15) 前記ハッシュ計算に関する設定を示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記切替決定手段は、前記集約管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせることを特徴とする付記3記載の通信装置。
【0275】
(付記16) 前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクの数と前記第2の出力手段を構成する物理リンクの数とは同一であり、
前記ハッシュ計算手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、前記第1の出力手段および前記第2の出力手段が有する前記物理リンクの数と同一の種類数の値を取り得るハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0276】
(付記17) それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて前記フレームが出力される前記物理リンクを決定するとともに、決定した各前記物理リンクから出力された前記フレームの数の集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有することを特徴とする付記2記載の通信装置。
【0277】
(付記18) 前記集約宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報記憶手段に記憶されている前記集約宛先統計情報とを出力可能な通信手段を有することを特徴とする付記17記載の通信装置。
【0278】
(付記19) それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、各前記物理リンクから出力された前記フレームの数を集計し、集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0279】
(付記20) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の前記物理リンクから構成される複数の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、それぞれの前記出力手段の前記物理リンクを特定する物理リンク情報を有し、
前記振分手段は、前記フレームを出力する前記物理リンクを、一つの前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、前記フレームを出力する物理リンクを、他の前記出力手段を構成する前記物理リンクに切り替えることを特徴とする通信装置。
【0280】
(付記21) 複数の前記出力手段のうちの一つの前記出力手段は、前記フレームを出力する運用出力手段であり、前記運用出力手段以外の前記出力手段は、前記フレームを出力可能な状態で待機する待機出力手段であり、
複数の前記出力手段のうちのいずれの前記出力手段が前記運用出力手段に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を前記待機出力手段に設定するとともに前記待機出力手段に設定されている前記出力手段のうち少なくとも一つの前記出力手段を前記運用出力手段に設定することにより前記運用出力手段を切り替える切替指示に応じて、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を、前記運用出力手段であった前記出力手段に替えて前記待機出力手段であった前記切替指示の対象である前記出力手段を新たに前記運用出力手段に設定するものに書き替える切替決定手段と、
予め前記フレームを出力する前記物理リンクを、前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して、前記フレームを出力する物理リンクを、当該待機出力手段を構成する前記物理リンクに切り替える振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記20記載の通信装置。
【0281】
(付記22) 複数の前記出力手段のうちの一つの前記出力手段は、前記フレームを出力可能な状態で待機する待機出力手段であり、前記運用出力手段以外の前記出力手段は、前記フレームを出力する運用出力手段であり、
複数の前記出力手段のうちのいずれの前記出力手段が前記運用出力手段に設定されているかを示す集約管理情報を記憶する集約管理情報記憶手段を有し、
前記振分手段は、
前記運用出力手段に設定されている前記出力手段のうちの少なくとも一つの前記出力手段を前記待機出力手段に設定するとともに前記待機出力手段に設定されている前記出力手段を前記運用出力手段に設定することにより、前記運用出力手段を切り替える切替指示に応じて、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を、前記切替指示の対象である前記運用出力手段であった前記出力手段に替えて前記待機出力手段であった前記出力手段を新たに前記運用出力手段に設定するものに書き替える切替決定手段と、
予め前記フレームを出力する前記物理リンクを、前記運用出力手段に設定されている前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、前記集約管理情報記憶手段に記憶されている前記集約管理情報を参照して、前記フレームを出力する物理リンクを、当該待機出力手段を構成する前記物理リンクに切り替える振分先決定手段と、
を有することを特徴とする付記20記載の通信装置。
【0282】
(付記23) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
それぞれの前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果である集約宛先統計情報を記憶する集約宛先統計情報記憶手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのそれぞれ異なる一部の前記物理リンクから構成される複数の各出力手段の前記物理リンクを特定する物理リンク情報を有し、
前記振分手段は、
当該振分手段による決定の結果に基づいて、各前記物理リンクから出力される前記フレームの数の集計結果を前記集約宛先統計情報として集約宛先統計情報記憶手段に書き込む統計情報書込手段を有し、
前記フレームを出力する前記物理リンクを、一つの前記出力手段を構成する前記物理リンクに設定するとともに、切替指示に応じて、前記フレームを出力する前記物理リンクを、他の前記出力手段を構成する前記物理リンクに切り替えることを特徴とする通信装置。
【0283】
(付記24) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち、前記フレームが出力される前記物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを出力する前記物理リンクとして、前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【0284】
(付記25) 前記論理リンクを構成する前記物理リンクから構成される冗長系出力手段と、
前記論理リンクを構成しない前記物理リンクである非冗長物理リンクから構成される独立系出力手段と、
を有し、
前記冗長系出力手段は、前記フレームを出力する前記物理リンクである現用物理リンクと、前記フレームを出力可能な状態で待機する前記物理リンクである予備物理リンクとから構成され、
集約マルチキャスト宛先管理情報を記憶する集約マルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記フレームが前記冗長系出力手段を構成する前記物理リンクおよび前記独立系出力手段を構成する前記物理リンクのうちいずれの前記物理リンクから出力されるかを示す集約マルチキャスト管理情報を記憶する集約マルチキャスト管理情報記憶手段と、
を有し、
前記マルチキャスト宛先管理情報は、前記フレームを出力する前記物理リンクとして前記冗長系出力手段の前記現用物理リンクと前記独立系出力手段の前記非冗長物理リンクとからなるパターンを示す複数の現用物理リンク情報と、それぞれが前記フレームを出力する前記物理リンクとして前記冗長系出力手段の前記予備物理リンクと前記独立系出力手段の前記非冗長物理リンクとからなる組み合わせのパターンを示す情報である複数の予備物理リンク情報とを有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記フレームの一部を構成するフレーム部分情報に、ハッシュ関数を用いてハッシュ値を計算するハッシュ計算手段と、マルチキャスト宛先決定手段と、マルチキャスト振分先決定手段とを有し、
前記集約マルチキャスト宛先管理情報は、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記現用物理リンク情報が示す各前記パターンとが対応付けられているとともに、前記ハッシュ計算手段によって計算される各前記ハッシュ値と、前記予備物理リンク情報が示す各前記パターンとが対応付けられており、
前記マルチキャスト宛先決定手段は、
前記集約マルチキャスト管理情報記憶手段に記憶されている前記集約マルチキャスト情報を参照して、前記現用物理リンク情報が示す前記パターンを選択するか、または前記予備物理リンク情報が示す前記パターンを選択するかの決定である切替決定を行い、
前記集約マルチキャスト宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記集約マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記切替決定の結果に基づいて、前記現用物理リンク情報または前記予備物理リンク情報の前記パターンと、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値とに基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクのパターンを決定し、
前記マルチキャスト宛先管理情報は、前記マルチキャスト宛先決定手段によって決定されたパターンと、各前記物理リンクとが対応付けられており、
前記マルチキャスト振分先決定手段は、前記マルチキャスト宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記ハッシュ計算手段が計算することによって得られた前記ハッシュ値に基づいて、前記フレームが出力される前記物理リンクを決定することを特徴とする付記24記載の通信装置。
【0285】
(付記26) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記フレーム部分情報を特定するフレーム部分特定情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記フレーム部分特定情報に基づいて前記フレームの全体から前記フレーム部分情報を抽出し、抽出された当該フレーム部分情報を用いて前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせるマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0286】
(付記27) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記ハッシュ計算の計算内容を示す計算内容情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記計算内容情報に基づいて、前記ハッシュ計算手段に前記ハッシュ計算を行わせるマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0287】
(付記28) 前記集約マルチキャスト管理情報は、前記ハッシュ計算を行わないことを示す演算不実行情報を有し、
前記マルチキャスト振分手段は、前記演算不実行情報を検出した場合には、前記ハッシュ計算を行うことなく前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト切替決定手段を有することを特徴とする付記25記載の通信装置。
【0288】
(付記29) 前記フレームの送信先を示すとともに、前記フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを示すフロー宛先管理情報を記憶するフロー宛先管理情報記憶手段と、
前記フロー宛先管理情報記憶手段に記憶されている前記フロー宛先管理情報を参照して、前記フレームをユニキャストで出力するか、またはマルチキャストで出力するかを決定するフロー宛先決定手段を有する振分手段と、
を有することを特徴とする付記24記載の通信装置。
【0289】
(付記30) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信システムにおいて、
フレームが入力される入力手段と、
前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を記憶する集約宛先管理情報記憶手段と、
前記集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段と、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分手段は、
前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、
切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える第1の通信装置と、
前記物理リンクによって前記第1の通信装置と接続され、前記論理リンクを通じて前記第1の通信装置から出力された前記フレームが入力される第2の通信装置とを有することを特徴とする通信システム。
【0290】
(付記31) 前記第1の通信装置と通信可能に接続され、当該第1の通信装置と通信して得た情報を表示可能な端末装置を有し、
前記第1の通信装置は、前記端末装置と通信可能な通信手段を有し、
前記端末装置は、
前記通信手段を介した通信により、前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報とを取得し、
取得した前記集約宛先管理情報と、前記集約宛先統計情報とを表示可能な表示手段を有することを特徴とする付記30記載の通信システム。
【0291】
(付記32) 複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信方法において、
入力手段により、前記フレームが入力される入力ステップと、
振分手段が、前記集約宛先管理情報記憶手段に記憶されており、前記フレームが出力される前記物理リンクを示す集約宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちのいずれかの前記物理リンクに決定する振分ステップと、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの一部の前記物理リンクから構成される第1の出力手段、または前記論理リンクを構成する前記物理リンクのうちの前記第1の出力手段を構成する前記物理リンク以外の前記物理リンクのうちの、一部またはすべての前記物理リンクから構成される第2の出力手段が、前記フレームを出力する出力ステップと、
を有し、
前記集約宛先管理情報は、前記第1の出力手段の前記物理リンクを特定する第1の物理リンク情報と、前記第2の出力手段の前記物理リンクを特定する第2の物理リンク情報とを有し、
前記振分ステップは、前記振分手段が、前記第1の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第1の状態と、前記第2の物理リンク情報を参照して前記フレームが出力される前記物理リンクを、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクに決定する第2の状態とに切り替え可能であるとともに、切替指示に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替える切替を行い、
前記出力ステップは、前記振分手段による前記切替に基づいて、前記第1の出力手段が、前記第1の出力手段を構成する前記物理リンクから前記フレームを出力し、または前記第2の出力手段が、前記第2の出力手段を構成する前記物理リンクから前記フレームを出力することを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0292】
1 通信装置
11 入力手段
12 集約宛先管理情報記憶手段
12a 集約宛先管理テーブル
13 振分手段
14 第1の出力手段
15 第2の出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち、前記フレームが出力される前記物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームを出力する前記物理リンクとして、前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項1】
複数の物理リンクを集約して構成した論理リンクを用いてフレームを転送する通信装置において、
フレームが入力される入力手段と、
前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち、前記フレームが出力される前記物理リンクを示すマルチキャスト宛先管理情報を記憶するマルチキャスト宛先管理情報記憶手段と、
前記マルチキャスト宛先管理情報を参照して、前記入力手段によって入力された前記フレームを出力する前記物理リンクとして、前記論理リンクを構成する前記物理リンクおよび前記論理リンクを構成しない前記物理リンクのうち前記フレームを出力する前記物理リンクを決定するマルチキャスト振分手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−227957(P2012−227957A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161413(P2012−161413)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2008−54311(P2008−54311)の分割
【原出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2008−54311(P2008−54311)の分割
【原出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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