説明

通信装置

【課題】複数の受信端末から、所望の端末を簡単に選べる通信システムの提供。
【解決手段】ユーザが受信端末に向けて送信端末をスイングすると(S130)、ユーザがスイングをしている最中に音波を発すると共に加速度の情報を取得し(S140)、受信端末が、それらを取得しスペクトルの時間変化を取得する(S220)。送信端末が加速度の情報をブロードキャストし(S150)、受信端末がそれを受信する(S230)。そして、S220で取得したスペクトルの時間変化と、S230で取得した送信端末の加速度の情報とから、送信端末が自装置に向けてスイングされたかを判断する(S240)。送信端末は、その受信したアドレスを用いて接続の処理をし(S170)、受信端末の制御部25もS170に応答して接続の処理をする(S260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置間で無線通信する通信システム、及び、当該通信システムに用いられる無線通信機能を有した通信装置、及び、通信装置に組み込まれるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られる無線通信技術としては、ブルートゥース(登録商標)通信技術などの短距離無線通信技術が知られている。また、この種の無線通信技術を用いた通信システムとしては、無線通信により、複数の機器を、一つのリモートコントローラにて操作可能な通信システムが知られている。
【0003】
また、この種の通信システムとしては、複数の機器の空間的な配置を記述したトポロジーマップを、予めリモートコントローラ内のメモリに蓄積して、ユーザがリモートコントローラの方向キーを見た目の配置通りに操作すると、リモートコントローラがその方向キーの入力通りに、トポロジーマップを参照するものが知られている。この通信システムによれば、ユーザが機器の物理的な配置に合わせて方向キーを操作する程度で、操作対象の機器を選択できるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−284168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、ユーザにキー操作をさせなければ、特定の機器を通信先として選択して、当該機器との通信を確立することができないといった問題があった。即ち、ユーザは、所望の機器を、特定の通信装置(リモートコントローラ等)から操作しようとした場合に、まず、当該特定の通信装置に用意された操作性が必ずしも良いとはいえないキーを操作して、操作対象の機器を選択しなければ、所望の機器を遠隔操作することができず、機器の選択操作に煩わしさを感じる場合があった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、ユーザに煩わしいキー操作をさせなくても、ユーザが所望する通信装置、と通信可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1の通信システムは、送信装置と複数の受信装置とを備える。そして、送信装置は、無線出力手段と、入力手段と、要求手段とを備える。
【0008】
無線出力手段は、無線電波を自装置周囲に出力し、入力手段は、ユーザからの操作情報を受け付ける。また、要求手段は、入力手段から入力される指令に従って、指令に対応する要求信号を、無線出力手段に無線電波の形態で自装置周囲に出力させる。
【0009】
一方、複数の受信装置の夫々は、無線受信手段と、判定手段と、処理実行手段とを備える。無線受信手段は、送信装置から出力される無線電波を受信する。また、判定手段は、無線受信手段が送信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の自装置に対する送信装置の運動状態に基づき判定する。この他、処理実行手段は、受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、受信した要求信号に対応した処理を実行する。
【0010】
つまり、送信装置と複数の受信装置との間で無線通信する通信システムの場合には、送
信装置からの要求信号が自装置宛であるか否かを、受信装置の夫々は、判定する必要がある。この判定を、要求信号出力時の自装置に対する送信装置の運動状態に基づいてするように、受信装置の夫々は、構成されている。
【0011】
従って、ユーザは、表示画面などに表示された受信装置のリストの中から入力手段を通じて受信装置を選択する、などという煩わしい動作をしなくても、送信装置や受信装置の本体を手に持って、所定の動きを送信装置や受信装置に加える程度で、送信装置から特定の受信装置に向けて処理の実行を要求し、要求した処理を受信装置に実行させることができる。即ち、本発明によれば、ユーザに煩わしいキー操作をさせなくても、ユーザが所望する通信装置と、通信することができる。
【0012】
また、請求項1の通信システムは、具体的に請求項2記載のように構成されるとよい。請求項2の通信システムにおいては、送信装置が要求信号出力時に自装置に向かって変位すると、受信装置の判定手段が、当該要求信号が自装置宛の要求信号であると判定する構成にされている。
【0013】
つまり、ユーザは、要求信号出力時に送信装置を受信装置に向けて変位させる程度で、その判定を受信装置の夫々にさせることができる。従って、ユーザにとって直感的に分かりやすい簡単な動作によって、送信装置から特定の受信装置に向けて処理の実行を要求し、要求した処理を受信装置に実行させることができる。
【0014】
例えば、受信装置がテレビジョン受信機や録画機等の電化製品であり、送信装置がリモートコントローラである場合、ユーザは、従来のように、リモートコントローラの方向ボタンを操作しなくても、リモートコントローラを手に持って、操作対象の電化製品に向けリモートコントローラを動かす程度で、操作対象の電化製品を操作することができる。
【0015】
この他、携帯電話装置に、本発明の送信装置及び受信装置の両機能を付与すれば、携帯電話装置から他の携帯電話装置に向けて、写真データや動画データ等を送信する際に、キー操作で送信先をユーザに選択させなくてもよく、簡単に携帯電話装置間にてデータ交換できるようにすることができる。
【0016】
尚、従来の携帯電話装置では、赤外線通信にてデータ交換をしているため通信先を選択する必要がないが、赤外線通信では、指向性が高いため、携帯電話装置間で、送信部と受信部とを向き合わせた状態で通信をする必要がある。一方、本発明によれば、無指向性及び略無指向性の無線通信技術を用いても、通信先をキー操作でユーザに選択させる必要がないので、大変便利である。
【0017】
また、請求項2の通信システムは、具体的に請求項3記載のように構成されるとよい。請求項3の通信システムにおいて、送信装置は、所定周波数の音信号又は電磁波信号をプローブ信号として出力するプローブ信号出力手段を備える。
【0018】
一方、受信装置は、プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段を備える。そして、受信装置の判定手段は、プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号を周波数解析して、プローブ信号出力手段から出力されたプローブ信号のドップラーシフト量を算出し、算出したドップラーシフト量に基づき、要求信号出力時に送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する。
【0019】
このように、ドップラーシフト量に基づいて送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定するようにすれば、例えば、受信装置にカメラを設けて送信装置のモーションを撮影し、これを画像処理して、送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する場
合よりも、少ない処理負荷で、簡単に、上記判定を実現することができる。
【0020】
付言すれば、携帯電話装置等の通信装置には、赤外線等の電磁波を入出力する手段や音を入出力する手段(スピーカやマイクロフォン)等が他の用途のために予め設けられているので、この通信システムは、従来技術の通信装置を基にして簡単に構成することができる。
【0021】
また、請求項3の通信システムは、請求項4記載のように構成されるとよい。請求項4の通信システムにおいて、送信装置は、要求信号出力時における自装置の加速度を計測する加速度計測手段を備え、無線出力手段を通じて、加速度計測手段によって計測された加速度の情報を、無線電波の形態で自装置周囲に出力する。
【0022】
一方、受信装置の判定手段は、無線受信手段が受信した送信装置の要求信号出力時の加速度の情報と、算出したドップラーシフト量の情報と、に基づき、要求信号出力時に送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する。
【0023】
ドップラーシフト量に基づいた要求信号出力時に送信装置が自装置に向かって変位したか否かの判定については、送信装置から加速度の情報を取得しなくても、設計段階で、人が送信装置を振る動作を実行する際に生じる加速度の統計情報を実験等で取得し、この統計情報の拠り所にして判定アルゴリズムを設計することで、一定度の精度で実現することができるが、送信装置で加速度を計測し、この加速度の情報に基づいて、要求信号出力時に送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定すれば、一層高精度に、上記判定を実現することができて、判定ミスによる誤動作を抑えることができる。従って、この発明(請求項4)によれば、誤動作の少ない操作性の高い通信システムを構築することができる。
【0024】
また、請求項5の通信システムは、送信装置と複数の受信装置とを備え、各受信装置が、送信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の送信装置と自装置との位置関係に基づき、判定する構成にされたものである。
【0025】
具体的に、この通信システムにおける送信装置は、無線出力手段と、入力手段と、要求手段とを備える。無線出力手段は、無線電波を自装置周囲に出力し、入力手段は、ユーザからの操作情報を受け付ける。また、要求手段は、入力手段から入力される指令に対応する要求信号を、無線出力手段に無線電波の形態で自装置周囲に出力させる。
【0026】
一方、複数の受信装置の夫々は、無線受信手段と、判定手段と、処理実行手段とを備え、無線受信手段は、送信装置から出力される無線電波を受信する構成にされている。
また、判定手段は、無線受信手段が送信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の送信装置と自装置との位置関係に基づき判定する。そして、処理実行手段は、受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定手段により判定されると、受信した要求信号に対応した処理を実行する。
【0027】
従って、この発明によれば、ユーザは、送信装置から特定の受信装置に対して処理の実行を要求する場合に、入力手段を通じて受信装置を選択するという煩わしい動作をしなくても、送信装置と該当する受信装置とを所定の位置関係で配置する程度で、送信装置から特定の受信装置に向けて処理の実行を要求し、要求した処理を受信装置に実行させることができる。即ち、本発明によれば、ユーザに煩わしいキー操作をさせなくても、ユーザが所望する通信装置、と通信することができる。
【0028】
また、請求項5の通信システムは、具体的に請求項6のように構成されてもよい。請求
項6の通信システムは、要求信号出力時に自装置の現在位置を基準とした所定範囲内に送信装置が存在するか否かを、受信装置の判定手段が推定し、要求信号出力時に送信装置が所定範囲内に存在すると推定される場合に限って、当該要求信号が自装置宛の要求信号であると判定する構成にされている。
【0029】
この発明によれば、ユーザが送信装置と、処理の実行要求先の受信装置とを近づける程度で、その受信装置に、要求信号が自装置宛であると判定させることができ、要求信号に対応した処理を実行させることができる。
【0030】
尚、所定範囲内に要求信号送信元の送信装置が存在するか否かの判定については、具体的に、請求項6の通信システムを、請求項7記載のように構成して、実現することができる。請求項7の通信システムにおいて、送信装置の無線出力手段は、無線電波の形態で要求信号を出力する構成にされている。また、受信装置は、無線受信手段により受信された無線電波の信号強度を計測する強度計測手段を備える。そして、受信装置の判定手段は、強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報に基づき、要求信号送信元の送信装置が所定範囲内に存在するか否かを推定する。
【0031】
このように構成された通信システムによれば、所定範囲内に要求信号送信元の送信装置が存在するか否かの判定を、無線電波の信号強度を計測することで、簡単且つ高精度に実現することができる。
【0032】
尚、請求項7の通信システムを実現するためには、例えば、出力時の電波強度を一定に設計しておき、その一定の電波強度と受信した電波強度を比較すればよい。しかし、出力時の電波強度は、節電などのために、可変に設計されるのが望ましい。そこで、通信システムは、請求項8記載のように構成されるとよい。
【0033】
請求項8の通信システムにおいて、送信装置の無線出力手段は、要求信号として出力する無線電波の、当該出力時の信号強度の情報を、要求信号に含めて出力する構成にされている。そして、受信装置の判定手段は、強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報と、無線受信手段が受信した無線電波に含まれる当該無線電波の出力時の信号強度の情報と、に基づき、自装置を基準とした所定範囲内に送信装置が存在するか否かを推定する。
【0034】
従って、この発明によれば、出力時の電波強度が変化する通信システムにおいて、所定範囲内に要求信号送信元の送信装置が存在するか否かの判定を、簡単且つ高精度に実現することができる。
【0035】
ところで、送信装置から自装置までの距離を推定するために、通信または通話のための電波を用いたくない場合も考えられる。この場合には、請求項6の通信システムは、請求項9のように構成されるとよい。
【0036】
請求項9の通信システムは、送信装置が所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力するプローブ信号出力手段を備える。また、受信装置は、プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段と、プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号の信号強度を計測する強度計測手段とを備える。そして、この受信装置の判定手段は、強度計測手段が計測したプローブ信号の信号強度の情報に基づき、自装置を基準とした所定範囲内に送信装置が存在するか否かを推定する。
【0037】
この発明によれば、受信装置が、音信号又は電磁波信号のプローブ信号に基づいて、送信装置が自装置を基準とした所定範囲内に存在するか否かを推定する構成にされているの
で、スピーカやマイクロフォン、赤外線送受信部等、通信装置に通常備えられている手段を用いて、受診装置に、要求信号が自装置宛であるか否かを判定させることができる。
【0038】
一方、請求項10〜19は、通信装置の発明である。
請求項10の通信装置は、第一無線通信手段、第二無線通信手段、入力手段、接続要求手段および接続確立手段を備える。第一無線通信手段は、第一の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能に構成されており、特定方向に位置する外部通信装置とのみ無線通信可能な指向性の無線通信手段である。第二無線通信手段は、第二の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能に構成されており、特定方向に限定されず周囲に位置する外部通信装置と無線通信可能な無指向性の無線通信手段である。入力手段は、ユーザ操作可能に構成されている。接続要求手段は、入力手段から入力される指令に従い、第一無線通信手段に、外部通信装置に対する接続要求信号を送信させる。接続確立手段は、第一無線通信手段にて接続要求信号が受信されると、第二無線通信手段を通じて、当該接続要求元の外部通信装置と自装置との接続を確立する。
【0039】
従って、この発明によれば、通信装置のユーザは、表示画面などに表示された受信装置のリストの中から入力手段を通じて受信装置を選択するという煩わしい動作をしなくても、本発明の通信装置を、外部通信装置に向けると共に、入力手段を操作する程度で、第二無線通信手段による通信の接続を確立できる。
【0040】
更に、従来技術による、指向性のある通信方式による通信を行う通信装置の場合は、通信中は常に、ユーザはその通信装置を、外部通信装置の方向に向ける必要があった。それに対して本通信装置の場合は、第二無線通信手段による接続が確立するまでの一時だけ、本通信装置を外部通信装置に向ければよいので、外部通信装置と本発明に係る通信装置とのユーザの使い勝手が向上する。
【0041】
また、請求項11記載の通信装置は、請求項1の通信システムにおける受信装置として機能する装置である。この他、請求項12は、請求項2に対応し、以下同様に、請求項13〜請求項19の夫々は、請求項3〜請求項9の夫々に対応する通信装置の発明である。従って、請求項11〜19記載の通信装置の夫々は、請求項1〜9の夫々と同様な効果を奏する。
【0042】
この他、通信システム(請求項1〜請求項9)が備える各手段としての機能、及び、通信装置(請求項10〜請求項19)が備える各手段としての機能は、プログラムにより、コンピュータに実現させることができる。
【0043】
請求項20のプログラムは、請求項10記載の通信装置が備える接続要求手段及び接続確立手段としての機能を、上述の第一無線通信手段、第二無線通信手段及び入力手段を備える通信装置のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムによれば、請求項10と同様な効果を奏する。
【0044】
また、請求項21のプログラムは、請求項11記載の通信装置が備える判定手段及び処理実行手段としての機能を、上述の無線受信手段を備える通信装置のコンピュータに、実現させるためのものである。このプログラムによれば、請求項11と同様な効果を奏する。
【0045】
また、請求項22の通信システムは、送信装置と、複数の受信装置とを備える。そして、送信装置は、無線出力手段と、入力手段と、要求手段とを備える。無線出力手段は、無線電波を自装置周囲に出力する。また、入力手段は、ユーザが入力操作するのが可能に構成されている。そして、要求手段は、入力手段から入力される指令に従って、無線出力手
段に、指令に対する要求信号を、無線電波の形態で自装置周囲に出力させる。
【0046】
一方、複数の受信装置の夫々は、無線受信手段と、応答手段とを備える。無線受信手段は、送信装置から出力される無線電波を受信可能に構成されている。応答手段は、無線受信手段によって送信装置から出力された要求信号を受信すると、その要求に応答する。
【0047】
そして、送信装置は、更に、判定手段と、処理実行手段とを備える。そして、判定手段は、応答手段による応答結果に基づいて、要求信号出力時における自装置と受信装置のそれぞれとの位置関係を、判定する。また、処理実行手段は、判定手段によって判定された、要求信号出力時における自装置と所定の位置関係にある受信装置に対して、所定の処理を実行する。
【0048】
これまでに述べた他の請求項に係る通信システムの場合は、受信装置が、送信装置から送信されてくる要求信号が自装置宛かを判断するように構成されていた。それに対して、請求項22の通信新システムが備える受信装置は、送信装置から送信される要求信号は常に自装置宛の要求であるとみなして、それに応答する。
【0049】
そして、送信装置は、応答結果を受信すると共に、その応答結果に基づいて各受信装置との位置関係を判断する。そして、その判断した位置関係に基づいて、所定の位置関係にある受信装置に対して、所定の処理を実行する。
【0050】
従って、この発明によれば、ユーザは、送信装置から特定の受信装置に対して処理の実行を要求する場合に、入力手段を通じて受信装置を選択するという煩わしい動作をしなくても、送信装置と該当する受信装置とを所定の位置関係で配置する程度で、送信装置から特定の受信装置に向けて処理の実行を要求し、要求した処理を受信装置に実行させることができる。即ち、本発明によれば、ユーザに煩わしいキー操作をさせなくても、ユーザが所望する通信装置、と通信することができる。
【0051】
また、請求項22の通信システムは、請求項23に記載のように構成されてもよい。請求項23の通信システムにおける処理実行手段は、判定手段によって要求信号出力時に自装置の現在位置を基準とした所定範囲内に存在すると判定された受信装置に対して、所定の処理を実行する。
【0052】
この発明によれば、ユーザが送信装置と、処理の実行要求先の受信装置とを近づける程度で、その受信装置に、要求信号が自装置宛であると判定させることができ、要求信号に対応した処理を実行させることができる。
【0053】
尚、所定範囲内に要求信号送信元の送信装置が存在するか否かの判定については、具体的に、請求項23の通信システムを、請求項24記載のように構成して、実現することができる。請求項24の通信システムにおいて、送信装置の要求手段は、受信装置のそれぞれに対して、固有なスペクトルを持つ所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力することを、要求信号によって要求する構成にされている。
【0054】
一方、受信装置の応答手段は、プローブ信号出力手段を備える。このプローブ信号出力手段は、要求信号によって要求される固有なスペクトルを持つ所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力可能な構成にされており、応答手段は、受信した要求信号の要求内容に対する応答として、プローブ信号出力手段によってプローブ信号を出力する。
【0055】
また、送信装置は、プローブ信号受信手段と、計測手段とを備える。プローブ信号受信
手段は、プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能に構成されている。計測手段は、プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号の信号強度および周波数を計測する。
【0056】
そして、送信装置の判定手段は、計測手段が計測したプローブ信号の信号強度の情報と周波数の情報とに基づき、要求信号出力時における自装置と受信装置のそれぞれとの位置関係を判定して、自装置を基準とした所定範囲内に存在する受信装置を検出する。
【0057】
このように構成された通信システムによれば、所定範囲内に要求信号送信元の送信装置が存在するか否かの判定を、プローブ信号の信号強度を計測することで、簡単且つ高精度に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】携帯電話1の概略構成を表すブロック図である。
【図2】第一送信処理(a)及び第一受信処理(b)を表すフローチャートである。
【図3】周波数特定処理を表すフローチャートである。
【図4】周波数特定処理によって得られるデータ群を表す図である。
【図5】ズレ量算出処理を表すフローチャートである。
【図6】ユーザが送信端末を受信端末に向けてスイングする様子を表す図(a)及びスイングの方向とドップラー効果との関係を示した図(b)である。
【図7】第二送信処理(a)及び第二受信処理(b)を表すフローチャートである。
【図8】第三送信処理(a)及び第三受信処理(b)を表すフローチャートである。
【図9】家電100の構成ならびに家電100及び携帯電話1が構成する通信システムの概略構成を表すブロック図である。
【図10】第四送信処理(a)及び第四受信処理(b)を表すフローチャートである。
【図11】第五送信処理(a)及び第五受信処理(b)を表すフローチャートである。
【図12】第六送信処理(a)及び第六受信処理(b)を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施例について図面と共に説明する。
【実施例1】
【0060】
図1は、本発明が適用された第一実施例の携帯電話1の構成を表すブロック図である。本実施例の携帯電話1は、操作部11、マイクロフォン13、表示部15、スピーカ17、加速度センサ19、短距離無線通信部21、赤外線通信部23及び制御部25等を備える。
【0061】
操作部11は、ユーザからの指令を受け付けるためのユーザ操作可能なユーザインタフェースとして機能し、電話番号や文章等を手動入力するための複数の操作キーを有するものである。また、マイクロフォン(以下、単に「マイク」と称する。)13は、入力される音を電気信号に変換する装置であり、ユーザが発する音声や、他の携帯電話1が発するプローブ信号としての音波等が入力されると、これを電気信号に変換して制御部25に入力する。
【0062】
この他、表示部15は、カラー表示装置であり、液晶モニタ等で構成される。この表示部15には、制御部25の制御により、発信画面・着信画面や各種の操作画面が表示される。また、スピーカ17は、制御部25から入力された出力対象の信号を音波に変換して外部に出力するものであり、例えば、制御部25が、セルラー網を通じて外部の携帯電話から受信した通話信号に基づき、通話相手の携帯電話にて集音された音声を、出力する。
【0063】
また、加速度センサ19は、携帯電話1に生じる加速度を測定して、この測定結果を制御部25に入力するものである。この他、短距離無線通信部21は、無線電波の形態で自己周囲の通信装置と直接通信可能な無指向性の無線通信手段であり、特定方向に限定されず、四方に位置する通信装置と通信可能な構成にされている。この短距離無線通信部21は、例えば、無指向性の無線通信手段として周知のブルートゥース(登録商標)規格の通信モジュールで構成され、周囲に位置するブルートゥース(登録商標)機器と通信可能な構成にされる。
【0064】
この他、赤外線通信部23は、特定方向(赤外線発射方向)に位置する外部通信装置と無線通信可能な指向性の無線通信手段であり、特定方向に位置する外部通信装置とのみ赤外線を用いた情報の送受信が可能な通信モジュールとして構成されている。また、制御部25は、CPU、RAM、フラッシュメモリ等から構成され、CPUにて、フラッシュメモリに記憶された各種プログラムを実行することにより、装置内各部を統括制御し、セルラー網を通じて外部端末と通信して、通話機能および通信機能などを実現する。
【0065】
ところで、従来から携帯電話間では、携帯電話に記録された写真データや動画データ等
のデータ交換が行われているが、このデータ交換を、無指向性の短距離無線通信にて実現しようとすると、ユーザに、通信相手の携帯電話を指定させる必要がある。この場合には、例えば、ユーザにキー操作で通信相手をリストから選択させることにより、ユーザから通信相手の指定情報を取得する方法があるが、この方法では、ユーザに煩わしいキー操作をさせなければならず、操作性が悪い。
【0066】
そこで、本実施例の携帯電話1には、ユーザが、携帯電話本体をスイングする(振る)と、そのスイング先(振った先)の携帯電話を、通信相手として特定して、その通信相手の携帯電話との接続を確立し、ユーザから指定された送信対象のデータを、当該接続先の携帯電話に送信する機能を付与している。
【0067】
以下には、この機能を実現するために制御部25が実行する処理について説明する。尚、上記機能は、データ送信元及びデータ受信先の各携帯電話が、以下に説明する本実施例の携帯電話1と同一の機能を有していることを前提として実現される。
【0068】
図2(a)は、制御部25が主体となって実行する第一送信処理を表すフローチャートである。この第一送信処理は、操作部11を通じて所定の送信開始操作がなされると(換言すれば、操作開始指令が操作部11から入力されると)、制御部25により開始される。
【0069】
図2(a)に示す第一送信処理を開始すると、制御部25は、内蔵のフラッシュメモリに記憶されたユーザデータ(写真データや動画データ等)の中から、送信対象のデータをユーザに指定させるためのデータ選択画面を表示部15に表示して、送信対象のデータを問い合わせ、その回答を操作部11を通じてユーザから取得する(S110)。
【0070】
次に、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、問合せパケットをブロードキャストし、その応答パケットを受信することにより、短距離無線通信可能な通信圏内に位置する他の携帯電話1を発見する(S120)。具体的には、問合せパケットに対する応答パケットを送信してきた携帯電話1を、通信圏内に位置する他の携帯電話1として発見する。
【0071】
そして、S120の終了後には、データ送信先の携帯電話に向けて、自己の携帯電話1をスイングするように指示するメッセージを表示画面に表示して、ユーザに対し、自己の携帯電話1のスイングを促す(S130)。尚、スイングについては、後で図6を用いて説明する。
【0072】
次に、予め定められた周波数に強いピークを持つ音波を、プローブ信号として、所定時間、スピーカ17を通じて出力すると共に、プローブ信号の出力開始時点から時間ΔTを遅れた時点から、加速度センサ19によって測定された加速度の情報を、合計(n+1)回(nは任意の自然数)、所定周期ΔTで周期的に加速度センサ19から取得して、加速度の時系列データを生成する(S140)。尚、このときのプローブ信号の出力時間は、(n+1)・ΔTであるものとする。
【0073】
即ち、S140では、音波(プローブ信号)の出力期間中、所定周期ΔTで周期的に加速度センサ19から加速度の測定結果を取得して、加速度の時系列データを生成する。尚、S140で生成されるデータは、加速度のスカラー値の時系列データであり、[aT0
T1,・・・,aTn]のように表せる。ここで、aTkは時刻Tk(0≦k≦n、kは整数
)における加速度を表す。
【0074】
次に、制御部25は、S140で得られた何れかの加速度の値が、所定の閾値以上であ
るかを判断する(S145)。S140で得られた全ての加速度の値が、所定の閾値未満であれば(S145:No)、第一送信処理を終える。
【0075】
一方、どれか一つの加速度が所定の閾値以上であれば(S145:Yes)、S140にて生成した加速度の時系列データと、当該時系列データに対応するデータ番号とを、格納したアドレス応答要求パケットを、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、S120で発見した自装置周囲に位置する全ての携帯電話に送信する(S150)。
【0076】
このデータ番号は、ランダムに定められたり時刻を基に定められたりして、第一送信処理が行われる度に変更される。これを送信する理由は、後の処理で上記アドレス応答要求パケットに対応する応答パケットを受信したときに、当該応答パケットが、自装置の第一送信処理にて送信したアドレス応答要求パケットに応答して送信されたパケットであるか否かを判断するためである。
【0077】
即ち、アドレス応答要求パケットの送信を終えると、制御部25は、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレスと、当該パケットを送信する原因となった時系列データのデータ番号と、が格納されたパケットを、短距離無線通信部21を通じて受信したか否かを判断する(S160)。そして、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間内に、応答パケットを受信することができなかった場合には、S160でNoと判断して、当該第一送信処理を終了する。
【0078】
一方、短距離無線通信部21を通じて応答パケットを受信したと判断すると(S160:Yes)、制御部25は、受信した応答パケットが示すデータ番号が、直前のS150でアドレス応答要求パケットに格納したデータ番号と一致するか否かを判断する(S170)。そして、S160で受信したデータ番号とS150で送信したデータ番号とが一致しなければ(S170:No)、第一送信処理を終える。
【0079】
これに対し、S160で受信したデータ番号とS150で送信したデータ番号とが一致するのであれば(S170:Yes)、受信した応答パケットが示すアドレス先の携帯電話(応答パケット送信元の携帯電話)を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S180)。そして、S110で指定された送信対象のデータを、接続が確立された上記携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて送信して(S190)、第一送信処理を終える。
【0080】
次は、図2(b)を用いて、制御部25が主体となって実行する第一受信処理について説明する。第一受信処理は、自装置に対して送信されてくるプローブ信号を解析し、そのプローブ信号を送信してきた携帯電話1が、自装置に対して、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットの送信を要求しているかを判断するものである。
【0081】
尚、この第一受信処理は、携帯電話1がオンにされているときに、制御部25により、繰り返し実行される。第一受信処理を開始すると、制御部は、まず、周波数特定処理を行う(S210)。ここで、図3を用いて周波数特定処理を説明する。図3は、制御部25が実行する周波数特定処理を表すフローチャートである。
【0082】
この周波数特定処理では、まず、マイク13を通じて入力される音波の情報を取得する(S2110)。そして、現在時刻Tcより所定時間ΔT前の時刻(Tc−ΔT)から現在時刻Tcまでに、マイク13を通じて受信した音波の時系列データをFFT解析し、この期間にマイク13を通じて受信した音波についてのパワースペクトルを求める(S2120)。
【0083】
そして、S2120で求めたパワースペクトルにおける予め定められた周波数帯域(具体的には、プローブ信号の送信周波数を中心とした所定幅の周波数帯域)において、パワーが所定の閾値以上のピーク(極大点)を検索し(S2130)、パワースペクトル内に、パワーが閾値以上のピークが一つ以上あるか否かを判断する(S2140)。
【0084】
そして、パワーが閾値以上のピークが一つ以上あれば(S2140:Yes)、当該パワースペクトルにおいてパワーが閾値以上の各ピークについて、そのピーク周波数及びピーク周波数でのパワーの情報を対応付けてなる計測データ(prT,frT)を、制御部25に内蔵されたRAMに記録する(S2150)。そして、S2110に戻る。
【0085】
尚、ここで、変数pは、該当するピークのパワー、変数fは、そのピーク周波数を表す。また、添え字rは、パワーが閾値以上のピークの内、パワーがr番目に大きいピークについての情報であることを示す添え字であり、添え字Tは、時刻(T−ΔT)から時刻Tまでの音波の時系列データに基づく計測データであることを示す添え字である。
【0086】
パワースペクトルにおいてパワーが閾値以上のピークがR個見つかった場合、S2150では、計測データとして、パワーが大きいピークの順に、値(p1T,f1T),値(p2T,f2T),…,(pRT,fRT)を、RAMに記録する。因みに、パワーが閾値以上のピークの個数は、定まらないので、計測データとしてRAMに記録されるデータの個数も、一定ではない。
【0087】
一方、パワースペクトル内に、パワーが閾値以上のピークが一つもない場合(S2140:No)、制御部25は、RAMに何も記録せずに、当該周波数特定処理を終える。
尚、図4は、周波数特定処理のS2150で記録される計測データ群を表す図である。本実施例では、プローブ信号が外部の携帯電話1から送信されてくると、そのプローブ信号の出力期間中、継続的にパワーが閾値以上のピークが検出されるため、その期間中には、S2110〜S2150の処理が繰返し実行されて、その期間に得られた各時刻及び各ピークの計測データがRAMに記録される。
【0088】
具体的に、本実施例においては、プローブ信号が、時間(n+1)・ΔTの間継続的に出力されるため、RAMには、パワースペクトルに対する計測データを、パワースペクトル(n+1)個分蓄積可能な計測データ記憶領域が、予め確保されている。
【0089】
また、周波数特定処理を終えると、制御部25は、アドレス応答要求パケットの受信待機状態に遷移し、周波数特定処理を終えた直後から所定時間が経過するまでに、アドレス応答要求パケットを受信すると(S220:Yes)、アドレス応答要求パケットに含まれる加速度の時系列データに基づいて、ズレ量算出処理を実行する(S230)。
【0090】
一方、所定時間内に、アドレス応答要求パケットを受信することが出来なかった場合には(S220:No)、当該第一受信処理を終了する。尚、直前の周波数特定処理で所定時間以上連続的に閾値以上のピークを検出することができなかった場合、制御部25は、形式的に、S220でNoと判断して、当該第一受信処理を終了する。即ち、この場合には、アドレス応答要求パケットについての受信待機を行わず、形式的に、S220でNoと判断して、当該第一受信処理を終了する。
【0091】
続いて、S220でYesと判断したときに、制御部25が実行するズレ量算出処理について説明する。図5は、制御部25が実行するズレ量算出処理を表すフローチャートである。この処理を開始すると、制御部25は、まず、S220で受信した加速度の時系列データを、速度の時系列データに変換する(S2310)。時刻Tkにおける速度VTk
、次式で求める。
【0092】
【数1】

【0093】
但し、kは0≦k≦nを満たす整数である。また、本実施例では、初期速度(プローブ信号出力開始時点での携帯電話の速度)が零であると仮定して、加速度の時系列データを、速度の時系列データに変換している。
【0094】
そして、S2310で計算した、各時刻における速度の時系列データを基に、ドップラーシフトにより変化するプローブ信号の受信周波数の理論値を計算する(S2320)。この理論値は、音波(プローブ信号)の発信源と自装置とを結ぶ直線上を、音波(プローブ信号)の発信源が移動したと仮定し、その移動時点で、自装置は静止していたと仮定して算出する。即ち、時刻Tkにおける受信周波数の理論値fTk理論については、次式で求
める。
【0095】
【数2】

【0096】
但し、Vsは音速であり、f0は、プローブ信号(音波)の送信周波数である。尚、本
実施例において、プローブ信号の送信周波数は、固定値に定められているものとする。
また、周波数特定処理のS2150で記録したデータから、最大のパワーに対応する周波数の時系列データ、つまり(f1T0,f1T1,・・・,f1Tm)を、プローブ信号の受信
周波数の実測値として読み出す(S2330)。尚、本実施例では、プローブ信号の出力時間が(n+1)・ΔT時間に定められているので、変数mは、基本的に値nを採るが、ノイズ等による影響で、必ずしもm=nになるわけではない。
【0097】
そして、各時刻Tkにおける受信周波数の理論値及び実測値の差をそれぞれ計算し、算
出された差を二乗した上で、全て足し合わせる(S2340)。計算結果をZ´として、式で表すと次のようになる。
【0098】
【数3】

【0099】
但し、変数qは、変数n及び変数mの内、小さい方の変数値を採る。そして、このZ´を、f0の二乗で割って無次元化すると共に、qで割ることでqに依存しない値に変換し
(S2350)、ズレ量算出処理を終える。因みに無次元化する理由は、パラメータとして取り扱いがしやすくなるからである。S2350の算出結果をZとして、式で表すと次のようになる。このZをズレ量と定義する。
【0100】
【数4】

【0101】
ズレ量算出処理を終えると、制御部25は、S230で算出したズレ量が、所定の閾値以下かを判断する(S240)。ズレ量が所定の閾値以下でないと判断すれば(S240:No)、第一受信処理を終える。一方、ズレ量が所定の閾値以下と判断すれば(S240:Yes)、ズレ量の算出に用いた加速度の時系列データと共に受信した当該時系列データのデータ番号と、自装置のアドレス(短距離無線通信でのノードアドレス)と、を格納したアドレス応答要求パケットに対する応答パケットを生成して、これを短距離無線通信部21を通じてブロードキャストする(S250)。
【0102】
また、上記応答パケットの送信後、所定時間内に、外部の携帯電話1から接続要求を短距離無線通信部21を通じて受信した場合には(S260:Yes)、接続要求に応答して、接続要求元の携帯電話1との接続を確立する(S270)。一方、応答パケットの送信後、所定時間内に、接続要求を受信することができなかった場合には(S260:No)、当該第一受信処理を終了する。
【0103】
また、接続要求元の携帯電話1との接続を確立すると、制御部25は、短距離無線通信部21を通じてS270で接続を確立した通信相手から、所定時間以内に、データを受信したか否かを判断する(S280)。そして、データを受信していなければ(S280:No)、第一受信処理を終える。一方、データを受信したのであれば(S280:Yes)、受信したデータをフラッシュメモリに格納して(S290)、第一受信処理を終える。
【0104】
以上に、本実施例の携帯電話1の構成について説明したが、上述した機能、即ち、ユーザが、携帯電話本体をスイングすると、そのスイング先の携帯電話との接続が確立されて、ユーザから指定された送信対象のデータが、当該接続先の携帯電話に送信される機能は、本実施例の携帯電話1が通信圏内に2つ以上存在する状態で、ある一つの携帯電話1をユーザが操作することにより、第一送信処理が制御部25によって実行され、その第一送信処理に対応して、他の携帯電話1が第一受信処理を実行することで実現される。
【0105】
尚、第一受信処理を実行する携帯電話1(以下、「受信端末」という。)は、第一送信処理を実行する携帯電話1(以下、「送信端末」という。)のS140にて送信されるプローブ信号に基づいて、S210で周波数特定処理を実行すると共に、送信端末のS150で送信されるアドレス応答要求パケットをS220で受信して、この加速度の時系列データに基づき、ズレ量算出処理(S230)を実行する。そして、受信端末は、ズレ量が閾値以下である場合に限って、アドレス応答要求パケットが、自装置宛の要求パケットであると判断して、S250で、応答パケットをブロードキャストする。
【0106】
送信端末は、この応答パケットを、S160にて受信すると、応答パケットに格納されたアドレスの情報から、接続要求すべきスイング先の受信端末を特定し、特定した受信端末に接続要求を送信して、当該受信端末との接続を確立する(S180)。そして、接続が確立した受信端末に送信対象のデータを送信して、ユーザからの送信開始操作に応える。本実施例では、以上のようにして、送信端末から受信端末へのデータ送信が実現される。
【0107】
ここで、携帯電話本体のスイングによるデータ送信先の携帯電話の特定方法について、図6を用いて詳述する。まず、以下では、データの送信をしようとしているユーザが使用する携帯電話1を送信端末、送信端末のユーザがデータの送信先として所望している携帯電話1を受信端末A、送信端末のユーザがデータの送信先として所望していない携帯電話1を受信端末B、と呼ぶことにする。図6(a)は、送信端末のユーザが、送信端末を受信端末Aに向けてスイングしている様子を表した図である。因みに、受信端末Bは紙面の奥に位置しているので、小さく描かれている。
【0108】
さらに、図6(b)を用いて、スイングを別の視点から説明する。図6(b)は、図6(a)を上から見た図である。図6(a)に示すユーザは、図6(b)において、省略されている。図6(b)に示すように、スイングは受信端末Aに向けてなされているので、受信端末Aにはドップラー効果が顕著に観察される音波が届き、受信端末Bにはドップラー効果がわずかにしか観察されない音波が届く。そして、この現象を定量化した値が、ズレ量算出処理で算出するズレ量である。
【0109】
そして、受信端末Aが算出するズレ量は、受信端末Bのそれよりも小さい。なぜなら、ズレ量とは、実測値と理論値とのズレを計算した値であり、理論値は、送信端末と受信端末とを結ぶ直線上を、送信端末が移動したことを仮定して算出されるからである。つまり、その直線上により近い経路に沿って送信端末が移動した方が、ズレ量は小さくなる。そしてこの場合は、当然、受信端末Aの移動経路の方が、Bのそれより直線に近い。従って、受信端末Aが算出するズレ量は、受信端末Bのそれよりも小さいということになる。
【0110】
従って、受信端末Aが実行する第一受信処理のS240ではYesと判断され、受信端末Bが実行する第一受信処理のS240ではNoと判断されるようなズレ量の閾値を定めることが可能である。また、そのようにすることで、送信端末は、ユーザが所望する受信端末にデータを送信することになり、目的を達成できる。
【0111】
尚、S2330では、周波数特定処理に含まれるS2150で記録したデータから、最大のパワーに対応する周波数の時系列データを、ドップラーシフトを受けたプローブ信号の受信周波数の実測値として読み出す。そして、ここで読み出した周波数が時間経過に伴って変化する原因は、ドップラー効果であるとみなして、その後の処理を行っている。
【0112】
ところが、ここで読み出したデータが、送信端末からプローブ信号として受信した同じ周波数成分の音波として出力されたものを追い続けているとは限らない。換言すると、最大のパワーに対応し、時々刻々変化する周波数を追いかけていくとき、変化した原因が、ドップラー効果によるものであって雑音によるものでないということが、必ずしも担保されていない。そこで、これを担保するために、本実施例では、次のような工夫をしている。
【0113】
即ち、本実施例では、プローブ信号の送信周波数を、超音波領域の周波数とし、S2130では、S2120で求めたパワースペクトルにおけるプローブ信号に対応した周波数帯域において、所定の閾値以上のパワーを持つピークを検索し、そのピーク周波数を特定している。このように、プローブ信号を、超音波とすれば、プローブ信号の出力音がヒト
に感知されることはないので、十分なS/N比を確保できる程度に高い出力でプローブ信号を送信端末から出力しても、ヒトに不快感を与えることがない。従って、本実施例によれば、高い出力でプローブ信号を出力することができて、雑音による誤判定を極力抑えることができる。
【実施例2】
【0114】
本実施例(第二実施例)は、携帯電話1間の位置関係に基づき、ユーザがデータ送信先として望んでいる携帯電話を特定して、ユーザが所有する携帯電話と、ユーザが望んでいるデータ送信先の携帯電話とを接続し、ユーザから指定された送信対象のデータを、特定した携帯電話に送信するものである。具体的に、本実施例では、送信端末が、自装置のユーザに対して、データ送信先として望んでいる携帯電話を近づけるように指示する。一方、受信端末は、自装置から送信端末までの距離が所定の閾値以下である送信端末を通信相手として特定する。
【0115】
以下には、この機能を実現するための制御部25が実行する第二送信処理及び第二受信処理について説明する。尚、上記機能は、データ送信元及びデータ受信先の各携帯電話が、以下に説明する本実施例の携帯電話1と同一の機能を有していることを前提として実現される。また、本実施例の携帯電話1のハードウェア構成は、第一実施例と同一であるので、ここでは、携帯電話1のハードウェア構成に係る説明を、省略する。
【0116】
図7(a)は、制御部25が実行する第二送信処理を表すフローチャートである。図7(a)に示す第二送信処理を開始すると、制御部25は、内蔵のフラッシュメモリに記憶されたユーザデータ(写真データや動画データ等)の中から、送信対象のデータをユーザに指定させるためのデータ選択画面を表示部15に表示して、送信対象のデータを問い合わせ、その回答を操作部11を通じてユーザから取得する(S310)。
【0117】
次に、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、問合せパケットをブロードキャストし、その応答パケットを受信することにより、通信圏内に位置する他の携帯電話1を発見する(S320)。具体的には、問合せパケットに対する応答パケットを送信してきた携帯電話1を、通信圏内に位置する他の携帯電話1として発見する。
【0118】
そして、データ送信先の携帯電話に対して自己の携帯電話1を近づけるように指示するメッセージを、表示部15に表示して、ユーザに対し、自己の携帯電話1をデータ送信先の携帯電話に近づけるように促す(S330)。
【0119】
次に、所定周波数に強いピークを持つ音波を、プローブ信号として所定時間、スピーカ17を通じて出力すると共に、この音波の出力期間中、アドレス応答要求パケットを、短距離無線通信部21を通じて、S320で発見された各携帯電話1に送信する(S340)。尚、この音波の周波数(プローブ信号の送信周波数)は、S340の処理実行の度、予め定められた周波数帯域の範囲内で、ランダムに変更される。但し、音波の出力時の信号強度(パワー)は、一定値に固定されているものとする。このように、パワーが固定値にされているのは、受信端末で、送信端末から送信されてきたアドレス応答要求パケットが自装置宛のパケットであるか否かを、同時期に受信した音波の信号強度から判断するためであり、特に、パワーの情報を、送信端末−受信端末間でやりとりしなくても、上記判断を実行できるようにするためである。
【0120】
そして、音波の送信を終えると、制御部25は、所定時間、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレスと、当該パケットを送信する原因となった音波のピーク周波数の情報とが格納されたパケットの受信を受け付ける。
【0121】
そして、所定時間内に、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレスと、当該パケットを送信する原因となった音波のピーク周波数の情報とが格納されたパケットを、短距離無線通信部21を通じて受信したか否かを判断する(S360)。そして、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間内に、応答パケットを受信することができなかった場合には、S360でNoと判断して、当該第二送信処理を終了する。
【0122】
一方、短距離無線通信部21を通じて上記応答パケットを受信したと判断すると(S360:Yes)、制御部25は、受信した各応答パケットについて、応答パケット内に記されたピーク周波数と、S340で送信した音波のピーク周波数との差が、所定の閾値以下か否かを判断する(S370)。そして、受信した全ての応答パケットについて、パケット内に記されたピーク周波数とS340で送信したピーク周波数との差が所定の閾値以下でなければ(S370:No)、第二送信処理を終える。
【0123】
これに対し、受信した応答パケットの内、いずれかの応答パケットについて、パケット内に記されたピーク周波数とS340で送信した音波のピークの周波数との差が、所定の閾値以下であれば(S370:Yes)、受信した応答パケットであって、パケット内に記されたピーク周波数とS340で送信した音波のピークの周波数との差が閾値以下の各応答パケット、が示すアドレス先(応答パケット送信元)の携帯電話を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S380)。そして、S310で指定された送信対象のデータを、接続が確立された上記携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて送信して(S390)、第二送信処理を終える。
【0124】
次には、図7(b)を用いて、制御部25が主体となって実行する第二受信処理について説明する。図7(b)は、制御部25が繰返し実行する第二受信処理を表すフローチャートである。この第二受信処理は、自装置に対して送信されてくるプローブ信号を解析し、そのプローブ信号を送信してきた携帯電話1が、自装置に対して、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットの送信を要求しているかを判断するものである。
【0125】
第二受信処理を開始すると、制御部25は、アドレス応答要求パケットを、短距離無線通信部21を通じて受信するまで待機する(S410)。そして、アドレス応答要求パケットを受信すると、マイク13を通じて受信した音波の受信信号を対象に、周波数特定処理を行う(S420)。周波数特定処理は、第一実施例で説明したものと同じであるので、ここでは説明しない。
【0126】
また、周波数特定処理を終えると、S420で取得した最大ピークの時系列データ{p1T0,p1T1,・・・,p1Tm}のなかで、パワーが所定の閾値以上のものが何個あるかを
数え、その数が、予め定められた個数以上であるかを判断する(S440)。そして、その数が、予め定められた個数以上でないと判断すると(S440:No)、第二受信処理を終える。
【0127】
一方、その数が予め定められた個数以上であると判断すると(S440:Yes)、S420で取得した最大ピークの時系列データ{f1T0,f1T1,・・・,f1Tm}が示す各
ピーク周波数の平均値及び標準偏差を計算する(S443)。そして、S443で計算した標準偏差が所定の閾値以下であるか否かを判断し(S447)、S443で計算した標準偏差が所定の閾値以下でないと判断すると(S447:No)、第二受信処理を終える。
【0128】
S447の処理についてその意義を説明すると、標準偏差が大きいということは、最大のパワーに対応する周波数が大きく変動したことを意味する。ところが、送信端末から送信されてくる音波のピーク周波数(送信周波数)は、一定である。つまり、周波数が大きく変動したということは、雑音などによって音波の受信が不調に終わった、或いは、もともと第二送信処理によって送信されてきた音波ではない可能性が高い。そこで、本実施例では、この場合、第二受信処理を終了する。
【0129】
一方、S443で計算した標準偏差が所定の閾値以下であると判断すれば(S447:Yes)、S443で計算した周波数の平均値を、パケットを送信する原因となったピーク周波数の情報として、自装置のアドレスと共に格納した、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットを生成して、これを短距離無線通信部21を通じてブロードキャストする(S450)。
【0130】
また、上記応答パケットの送信後、所定時間内に、外部の携帯電話1から接続要求を短距離無線通信部21を通じて受信すると(S460:Yes)、接続要求に応答して、接続要求元の携帯電話1との接続を確立する(S470)。一方、応答パケットの送信後、所定時間内に、接続要求を受信することができなかった場合には(S460:No)、当該第二受信処理を終了する。
【0131】
また、接続要求元の携帯電話1との接続を確立すると、制御部25は、短距離無線通信部21を通じてS470で接続を確立した通信相手から、所定時間以内に、データを受信したか否かを判断する(S480)。そして、データを受信していなければ(S480:No)、第二受信処理を終える。一方、データを受信したのであれば(S480:Yes)、受信したデータをフラッシュメモリに格納して(S490)、第二受信処理を終える。
【0132】
以上に、本実施例の携帯電話1の構成について説明したが、ユーザが、携帯電話本体を他の携帯電話に近づけると、その近づけられた他の携帯電話との接続が確立されて、ユーザから指定された送信対象のデータが、当該接続先の携帯電話に送信される機能は、本実施例の携帯電話1が通信圏内に2つ以上存在する状態で、ある一つの携帯電話1をユーザが操作することにより、第二送信処理が制御部25によって実行され、その第二送信処理に対応して、他の携帯電話1が第二受信処理を実行することで実現される。
【0133】
尚、受信端末は、送信端末のS340にて送信されるプローブ信号に基づいて、S420で周波数特定処理を実行し、この周波数特定処理で得られたプローブ信号の受信強度(パワー)の情報に基づき、送信端末が自装置を基準とした所定範囲内に存在するか否かを推定する。そして、プローブ信号の出力期間に、パワーが閾値を超えた回数が閾値以上であった場合に限って、送信端末が自装置を基準とした所定範囲内に存在すると推定して、アドレス応答要求パケットが自装置宛であると判断し、S450で、応答パケットをブロードキャストする。
【0134】
送信端末は、この応答パケットを、S360にて受信すると、応答パケットに格納されたアドレスの情報から、接続要求すべき携帯電話を特定し、特定した携帯電話に接続要求を送信して、当該受信端末との接続を確立する(S380)。そして、接続が確立した受信端末に送信対象のデータを送信して、ユーザからの送信開始操作に応える。本実施例では、以上のようにして、送信端末から受信端末へのデータ送信が実現される。
【0135】
本実施例の冒頭で述べたように、本実施例は、受信端末が自装置を基準とした所定範囲内に送信端末が存在するか否かを推定し、自装置を基準とした所定範囲内に位置する送信端末を通信相手として特定することを特徴としている。また、距離の推定は、パワーが距
離の二乗に比例して小さくなるという性質を利用して、S440で行われている。
【0136】
つまり、受信端末では、送信端末から第二送信処理のS340において送信される、予め定められたパワーのピークを持つ音波を受信して、取得した音波のパワーと、予め定められた送信時のパワーとに基づき、自装置から送信端末までのおおよその距離を推定する。本実施例の受信端末は、このような原理で、送信端末が所定距離内に存在するかしないかを判断している。
【0137】
従って、本実施例によれば、携帯電話1のユーザは、データを送信したいと思ったとき、自身が所持する携帯電話1を、データ送信先の携帯電話に近づける程度で、その携帯電話に、データを送信することができて、従来のように送信先をリストから選択することなく、簡単に、所望の携帯電話に対して、データを送信することができる。よって、本実施例によれば、データ交換に際しての操作性が向上する。
【実施例3】
【0138】
本実施例は、上述した第一実施例及び第二実施例とは異なり、赤外線通信を利用して通信相手を特定するものである。つまり、本実施例では、指向性の強い赤外線通信を用いて、ユーザがデータを送信しようとしている通信相手を特定し、その後、無指向性の短距離無線通信を用いて、特定した通信相手と通信することにより、リストから通信相手を選択しなくても、ユーザが特定の携帯電話1に宛ててデータを送信することができるようにすると共に、データ送信中、常に赤外線通信部を通信相手に向けなければいけない従来の赤外線通信の不便さを解消する。
【0139】
以下には、この機能を実現するために制御部25が実行する処理について説明する。尚、上記機能は、データ送信元及びデータ受信先の各携帯電話が、以下に説明する本実施例の携帯電話1と同一の機能を有していることを前提として実現される。また、本実施例の携帯電話1のハードウェア構成は、第一実施例と同一であるので、ここでは、携帯電話1のハードウェア構成に係る説明を、省略する。
【0140】
図8(a)は、制御部25が主体となって実行する第三送信処理を表すフローチャートである。この第三送信処理は、操作部11を通じて所定の送信開始操作がなされると、制御部25により開始される。
【0141】
図8(a)に示す第三送信処理を開始すると、制御部25は、内蔵のフラッシュメモリに記憶されたユーザデータ(写真データや動画データ等)の中から、送信対象のデータをユーザに指定させるためのデータ選択画面を表示部15に表示して、送信対象のデータを問い合わせ、その回答を操作部11を通じてユーザから取得する(S510)。
【0142】
次に、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、問合せパケットをブロードキャストし、その応答パケットを受信することにより、通信圏内に位置する他の携帯電話1を発見する(S520)。具体的には、問合せパケットに対する応答パケットを送信してきた携帯電話1を、通信圏内に位置する他の携帯電話1として発見する。
【0143】
そして、S520の終了後には、データ送信先の携帯電話に対し赤外線通信部23を向けて、赤外線の発信に対応した操作キーを操作するように指示するメッセージを表示画面に表示することで、データ送信先の携帯電話に対し赤外線通信部23を向けて、赤外線の発信を指示するようにユーザに促す(S530)。そして、所定時間以内に、赤外線の発信に対応した操作キーが操作されたかを判断する(S535)。ここで、所定時間以内に、赤外線の発信に対応した操作キーが操作されなかったと判断すると(S535:No)、第三送信処理を終える。
【0144】
一方、所定時間以内に、赤外線の発信に対応した操作キーを操作されたと判断すると(S535:Yes)、赤外線通信部23を通じて、アドレス応答要求信号を、赤外線の形態で発信する(S540)。その後、制御部25は、短距離無線通信部21を通じた通信に必要なアドレス(例えば、ブルートゥース(登録商標)アドレス)の情報を、赤外線通信部23を通じて、赤外線の形態で、所定時間以内に受信したか否かを判断する(S560)。そして、所定時間内に、アドレスの情報を受信することができなかった場合には、S560でNoと判断して、当該第三送信処理を終了する。
【0145】
一方、アドレスの情報を、赤外線通信部23を通じて、所定時間以内に受信したと判断すると(S560:Yes)、赤外線の形態で受信したアドレスが、S520で発見した携帯電話のアドレスの何れかに一致するかを判断する(S570)。そして、赤外線の形態で受信したアドレスが、S520で発見したアドレスの何れにも一致しないと判断すると(S570:No)、第三送信処理を終える。
【0146】
また、赤外線の形態で受信したアドレスが、S520で発見したアドレスの何れかに一致すると判断すると(S570:Yes)、制御部25は、受信したアドレス先の携帯電話を、通信相手に決定して、短距離無線通信部21を通じ、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S580)。そして、S510で指定された送信対象のデータを、接続が確立された上記携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて送信して(S590)、第三送信処理を終える。
【0147】
次は、図8(b)を用いて、制御部25が主体となって繰返し実行する第三受信処理を説明する。この第三受信処理は、自装置に対して送信されてくる赤外線の形態のアドレス応答要求信号に応答して、自装置の短距離無線通信用のアドレスを返信するものである。
【0148】
この第三受信処理を開始すると、制御部25は、赤外線通信部23を介して、アドレス応答要求信号を受信するまで待機する(S610)。そして、アドレス応答要求信号を受信すると、自装置の短距離無線通信用のアドレスを、赤外線通信部23を通じて、アドレス応答要求信号送信元の携帯電話1に赤外線の形態で発信する(S650)。
【0149】
そして、S650の処理から所定時間内に、外部の携帯電話1から接続要求を短距離無線通信部21を通じて受信すると(S660:Yes)、接続要求に応答して、接続要求元の携帯電話1との接続を短距離無線通信部21を通じて確立する(S670)。一方、S650の処理から所定時間内に、接続要求を受信することができなかった場合には(S660:No)、第三受信処理を終了する。
【0150】
また、接続要求元の携帯電話1との接続を確立すると、制御部25は、短距離無線通信部21を通じてS670で接続を確立した通信相手から、所定時間以内に、データを受信したか否かを判断する(S680)。そして、データを受信していなければ(S680:No)、第三受信処理を終える。一方、データを受信したのであれば(S680:Yes)、受信したデータをフラッシュメモリに格納して(S690)、第三受信処理を終える。
【0151】
以上に、本実施例の携帯電話1の構成について説明したが、ユーザが、携帯電話本体を他の携帯電話に向けて、赤外線を発信すると、それを受信した携帯電話との接続が短距離無線通信部21を通じて確立されて、ユーザから指定された送信対象のデータが、短距離無線通信部21を通じて当該接続先の携帯電話に送信される機能は、本実施例の携帯電話1が通信圏内に2つ以上存在する状態で、ある一つの携帯電話1をユーザが操作すること
により第三送信処理が制御部25によって実行され、その第三送信処理に対応して、他の携帯電話1が第三受信処理を実行することで実現される。
【0152】
尚、受信端末は、送信端末が実行するS540での処理により、送信端末から赤外線の形態で送信されるアドレス応答要求信号をS610で赤外線通信部23を通じて受信すると、S650で、自装置のアドレスを赤外線通信部23を通じて赤外線の形態で返信する。
【0153】
送信端末は、アドレス応答要求信号に対する応答信号として、短距離無線通信用のアドレスをS560で、赤外線通信により赤外線通信部23を通じて受信すると、受信したアドレスの情報から、接続要求すべき受信端末を特定し、特定した受信端末に短距離無線通信部21を通じて接続要求を送信して、当該受信端末との短距離無線通信部21による接続を確立する(S580)。そして、接続が確立した受信端末に、無指向性の短距離無線通信にて、送信対象のデータを送信して、ユーザからの送信開始操作に応える。
【0154】
本実施例では、以上のようにして、送信端末から受信端末へのデータ送信が実現される。
冒頭でも述べたように、本実施例は、指向性の強い赤外線通信を用いて、ユーザがデータを送信しようとしている通信相手を特定し、その後には、無指向性の短距離無線通信にて、特定した通信相手とデータ通信することに特徴がある。
【0155】
この点について詳述すると、指向性が強いということは、通信相手を特定するのには便利である。しかし、データの送受信中に、通信中の端末を、通信不可能な方向に向けてしまうと、送受信が失敗することになる。しかも、赤外線による送受信の通信速度は、一般的にブルートゥース(登録商標)のような無線電波を用いた短距離無線通信の速度より遅い。よって、赤外線通信によるデータ送受信では、ユーザは、送信端末と受信端末とを向け合いながら、送受信が終わるのを待たねばならず、不便さを感じることになる。
【0156】
一方、本実施例のように、赤外線通信は通信相手を特定するためだけに用いて、データの送受信は無指向性の短距離無線通信で行うようにすれば、データ送受信中に、端末を、通信相手に向けておく必要もないし、高速にデータ送受信できるので、上述した不便さを解消することができる。
【0157】
尚、S650の処理においては、第三送信処理を実行する送信端末に対して、赤外線を返信できることが担保されていないようにみえる。しかし、S610からS650までを短時間で処理すれば、送信端末と受信端末との赤外線通信部23同士による通信可能な状態は、S540で送信端末のユーザが保ち続けていると考えられる。従って、誤って他の通信端末に送信してしまう可能性は低い。
【実施例4】
【0158】
本実施例は、携帯電話1を、家庭用電気製品(以下、家電という)100を操作するためのリモートコントローラ(以下、リモコンという)として用い、ユーザが操作を所望する家電100との通信確立のきっかけを、スイングによって実現しようとするものである。操作対象の家電としては、例えばテレビジョン受像機やエアコンディショナなどを挙げることができる。
【0159】
ここで、図9を用いて、家電100の構成ならびに家電100及び携帯電話1が構成する通信システムを説明する。家電100は、マイク113、短距離無線通信部121及び制御部125を備える。マイク113は、携帯電話1から発せられるプローブ信号としての音波を取得可能に構成され、短距離無線通信部121は、携帯電話1が備える短距離無
線通信部21と、同じ短距離無線通信規格によって通信することが可能に構成されている。
【0160】
制御部125は、CPU、RAM、フラッシュメモリ等から構成され、CPUにて、フラッシュメモリに記憶された各種プログラムを実行することにより、装置内各部を統括制御する。
【0161】
続いて、本実施例の携帯電話1が実行する処理について説明する。図10(a)は、携帯電話1の制御部25が主体となって実行する第四送信処理を表すフローチャートである。尚、本実施例の携帯電話1は、上記第四送信処理とは別に、定期的に短距離無線通信部21を通じて通信可能な周囲の通信端末を検索し、S120と同様の手法で、通信圏内に存在する通信端末を発見するように構成されているものとする。
【0162】
即ち、第四送信処理は、当該携帯電話1が短距離無線通信圏内に存在する通信端末を発見した状態で、制御部25により実行される。具体的に、第四送信処理は、通信端末を発見した状態で、加速度センサ19により所定閾値以上の加速度が検出されると、制御部25により開始される。
【0163】
この処理を開始すると、制御部25は、第一実施例で説明したS140での処理と同様にして、予め定められた周波数に強いピークを持つ音波を、プローブ信号として、所定時間、スピーカ17を通じて出力すると共に、プローブ信号の出力開始時点から時間ΔTを遅れた時点から、加速度センサ19によって測定された加速度の情報を、合計(n+1)回(nは任意の自然数)、所定周期ΔTで周期的に加速度センサ19から取得して、加速度の時系列データ[aT0,aT1,・・・,aTn]を生成する(S720)。
【0164】
その後、S150での処理と同様に、S720で生成した加速度の時系列データと、当該時系列データに対応するデータ番号とを、格納したアドレス応答要求パケットを、短距離無線通信部21を通じて、予め発見した全ての携帯電話に送信する(S730)。
【0165】
このようにしてアドレス応答要求パケットの送信を終えると、制御部25は、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、当該応答パケットを送信する原因となった時系列データのデータ番号とパケット送信元のアドレスとが格納されたパケットを、短距離無線通信部21を通じて受信したか否かを判断する(S740)。そして、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間内に、応答パケットを受信することができなかった場合には、S740でNoと判断して、第四送信処理を終了する。
【0166】
一方、短距離無線通信部21を通じて応答パケットを受信したと判断すると(S740:Yes)、制御部25は、受信した応答パケットが示すデータ番号が、S730でアドレス応答要求パケットに格納したデータ番号と一致するか否かを判断する(S745)。そして、S740で受信したデータ番号とS730で送信したデータ番号とが一致しなければ(S745:No)、第四送信処理を終える。
【0167】
これに対し、S740で受信したデータ番号とS730で送信したデータ番号とが一致するのであれば(S745:Yes)、受信したアドレス先の家電100(即ち、応答パケット送信元の家電100)を通信相手に決定して、当該アドレス先の家電100に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の家電と、自装置との接続を確立する(S750)。そして、接続を確立した家電の操作画面を表示部15に表示する(S760)。
【0168】
また、操作画面の表示後には、操作の終了操作(換言すれば操作画面を閉じる操作)が、操作部11を通じてなされたか否かを判断する(S770)。そして、操作の終了操作
が、操作部11を通じてなされていない場合には(S770:No)、接続が確立している家電100に対する操作情報が、操作部11を介して入力されたか否かを判断する(S775)。
【0169】
ここで、家電100に対する操作情報が、操作部11を介して入力されたと判断すると(S775:Yes)、制御部25は、その操作情報を、短距離無線通信部21を介して、接続が確立している家電100に送信し(S780)、S770に戻る。また、家電100に対する操作情報が、操作部11を介して入力されていないと判断すると(S775:No)、S780の処理を実行することなくS770に戻る。
【0170】
そして、操作の終了操作が操作部11を通じてなされたのであれば(S770:Yes)、接続が確立している家電100に対し、短距離無線通信部21を通じて、接続解除要求を送信し、当該家電100との接続を解除する(S790)。その後、第四送信処理を終了する。
【0171】
次は、図10(b)を用いて、家電100の制御部125が主体となって実行する第四受信処理を説明する。第四受信処理は、自装置に対して送信されてくるプローブ信号を解析し、そのプローブ信号を送信してきた携帯電話1が、自装置に対して、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットの送信を要求しているか否かを判断するものである。
【0172】
この第四受信処理は、各家電100において、制御部125により、繰り返し実行される。当該第四受信処理を開始すると、制御部125は、マイク113を通じて入力される情報に基づいて、図3に示す周波数特定処理を行う(S810)。
【0173】
尚、図3に示す周波数特定処理の内容については、第一実施例で説明したが、S810では、周波数特定処理を実行する主体が家電100の制御部125であるので、それに合わせて、S810で実行する周波数特定処理は、上述した周波数特定処理(第一実施例)の説明において、マイク13を、マイク113に読み替え、制御部25に内蔵されたRAMを、制御部125に内蔵されたRAMに読み替えて、解釈される内容であるものとする。
【0174】
このようにして周波数特定処理を終えると、制御部125は、アドレス応答要求パケットの受信待機状態に遷移し、周波数特定処理を終えた直後から所定時間が経過するまでに、アドレス応答要求パケットを受信すると(S820:Yes)、アドレス応答要求パケットに含まれる加速度の時系列データに基づいて、図5に示すズレ量算出処理を実行する(S830)。ズレ量算出処理は第一実施例で説明したので、ここでは説明しない。
【0175】
一方、所定時間内に、アドレス応答要求パケットを受信することが出来なかった場合には(S820:No)、第四受信処理を終了する。但し、直前の周波数特定処理で所定時間以上連続的に閾値以上のピークを検出することができなかった場合、制御部25は、形式的に、S820でNoと判断して、当該第一受信処理を終了する。
【0176】
ズレ量算出処理を終えると、制御部125は、S830で算出したズレ量が、所定の閾値以下かを判断する(S840)。ズレ量が所定の閾値以下でないと判断すれば(S840:No)、第四受信処理を終える。一方、ズレ量が所定の閾値以下と判断すれば(S840:Yes)、自装置のアドレスと、ズレ量の算出に用いた加速度の時系列データと共に受信した当該時系列データのデータ番号と、格納したアドレス応答要求パケットに対する応答パケットを生成して、これを短距離無線通信部21を通じてブロードキャストする(S850)。
【0177】
また、上記応答パケットの送信後、所定時間内に、外部の携帯電話1から接続要求を短距離無線通信部21を通じて受信すると(S860:Yes)、接続要求に応答して、接続要求元の携帯電話1との接続を確立する(S870)。一方、応答パケットの送信後、所定時間内に、接続要求を受信することができなかった場合には(S860:No)、当該第四受信処理を終了する。
【0178】
また、接続要求元の携帯電話1との接続を確立すると、家電100の制御部125は、主機能をオンにする処理を実行して、自装置を、待機状態から作動状態に遷移させた後(S875)、S880に移行する。例えば、家電100がテレビジョン受像機である場合には、モニタの電源をオンする処理を実行することで、テレビジョン受像機としての主たる機能をオンにする。但し、このとき既に主機能がオンであったならば、S875では何ら処理を実行することなく、S880に移行するものとする。
【0179】
S880に移行すると、制御部125は、短距離無線通信部121を介して、接続解除要求を受信したかを判断する。ここで、接続解除要求を受信していないと判断すると(S880:No)、制御部125は、短距離無線通信部121を介して、自装置に対する操作情報を受信したかを判断する(S885)。そして、操作情報を受信した場合には(S885:Yes)、受信した操作情報に基づいて、携帯電話1にて操作画面を通じてユーザにより行われた操作に対応する処理を実行し(S890)、S880に戻る。一方、操作情報を受信していない場合には(S885:No)、S890を実行することなく、S880に戻る。
【0180】
また、接続解除要求を受信したと判断すると(S880:Yes)、接続解除要求送信元の携帯電話1と自装置との接続を解除して(S895)、第四受信処理を終了する。
以上に説明したように、本実施例の通信システムによれば、携帯電話1を家電100に向けてスイングする程度で、スイング先の家電100を、携帯電話1をリモコンとして用いて操作することができる。従って、複数の家電100が存在する室内においても、ユーザは、携帯電話1をキー操作して、操作対象の家電100を選択したり、操作対象の家電専用のリモコンを探して手にとらなくとも、手元にある携帯電話1を通じて、簡単に、所望の家電100を操作したりすることができ、本実施例の通信システムによれば、家電100に対する操作性が向上する。
【実施例5】
【0181】
本実施例は、第二実施例と類似しており、送信端末と受信端末との距離を推定して、所定距離以下であれば、通信相手とみなす処理を行うものである。第二実施例との相違点は、本実施例では、送信端末が距離の推定を行う点である。
【0182】
以下には、この機能を実現するための制御部25が実行する処理について説明する。尚、上記機能は、データ送信元及びデータ受信先の各携帯電話が、以下に説明する本実施例の携帯電話1と同一の機能を有していることを前提として実現される。
【0183】
図11(a)は、制御部25が主体となって実行する第五送信処理を表すフローチャートである。この第五送信処理は、操作部11を通じて所定の送信開始操作がなされると、制御部25により開始される。
【0184】
図11(a)に示す第五送信処理を開始すると、制御部25は、内蔵のフラッシュメモリに記憶されたユーザデータ(写真データや動画データ等)の中から、送信対象のデータをユーザに指定させるためのデータ選択画面を表示部15に表示して、送信対象のデータを問い合わせ、その回答を操作部11を通じてユーザから取得する(S910)。
【0185】
次に、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、問合せパケットをブロードキャストし、その応答パケットを受信することにより、通信圏内に位置する他の携帯電話1を発見する(S920)。具体的には、問合せパケットに対する応答パケットを送信してきた携帯電話1を、通信圏内に位置する他の携帯電話1として発見する。
【0186】
そして、一つも携帯電話を発見できなかった場合には(S923:No)、第五送信処理を終える。一方、一つでも携帯電話を発見したできた場合には(S923:Yes)、発見した各携帯電話1に接続要求を送信して、各携帯電話1との接続を確立する(S925)。
【0187】
また、S925での処理を終えると、制御部25は、S925で接続した各携帯電話1に対し、プローブ信号の送信周波数として、固有の周波数を割り当てる(S930)。そして、S925で接続した各携帯電話1に対して、S930で割り当てた周波数の情報を、短距離無線通信部21を通じて送信する(S935)。
【0188】
また、S935の終了後には、データ送信先の携帯電話1に対して、自己の携帯電話を近づけるように指示するメッセージを表示画面に表示して、ユーザに対し、自己の携帯電話をデータ送信先の携帯電話に近づけるように促す(S940)。そしてS940の直後から、周波数特定処理を行う(S945)。周波数特定処理は第一実施例で説明したものと同じであるので、ここでは説明しない。
【0189】
そして、直前のS945で取得したデータに基づき、所定回数以上、閾値以上のパワーが得られた周波数、が割り当てられた携帯電話1以外の携帯電話1との接続を解除する(S950)。そして、S925で接続を確立した携帯電話1の何れかと、まだ接続が継続されているかを判断する(S960)。そして、何れの携帯電話1とも接続が継続されていないのであれば(S960:No)、第五送信処理を終える。
【0190】
一方、何れかの携帯電話1と接続が継続されているのであれば(S960:Yes)、制御部25は、その接続継続中の携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて、S910で特定したデータを送信して(S990)、第五送信処理を終える。
【0191】
次は、図11(b)を用いて、制御部25が主体となって実行する第五受信処理を説明する。制御部25は、この第五受信処理を開始すると、短距離無線通信部21を介して、他の携帯電話1との接続が確立されるまで待機する(S1010)。そして、接続が確立されると、接続が確立された上記他の携帯電話1から短距離無線通信部21を介して、周波数の情報を受信したかを判断する(S1020)。そして、接続先から、短距離無線通信部21を介して、周波数の情報を受信していないと判断すると(S1020:No)、上記携帯電話1との接続が解除されたかを判断する(S1030)。そして、接続が解除されていない場合には(S1030:No)、S1020に戻る。つまり、S1020又はS1030のどちらかでYesと判断されるまで待機する。
【0192】
そして、接続が解除されたと判断すると(S1030:Yes)、第五受信処理を終える。一方、接続された他の携帯電話1から、短距離無線通信部21を介して、周波数の情報を受信したと判断すれば(S1020:Yes)、受信した周波数の情報を用いて、その周波数に強いピークを持つ音波を、プローブ信号として、マイク13を通じ発信する(S1040)。
【0193】
次に、接続が解除されたかを判断する(S1050)。そして、接続が解除されたと判断すれば(S1050:Yes)、第五受信処理を終える。
一方、接続が解除されていないと判断すると(S1050:No)、制御部25は、S
1010で接続が確立された通信相手から、短距離無線通信部21を通じて所定時間以内に、データを受信したか否かを判断する(S1060)。そして、データを受信していないと判断すると(S1060:No)、第五受信処理を終える。一方、データを受信したと判断すると(S1060:Yes)、受信したデータをフラッシュメモリに格納して(S1070)、第五受信処理を終える。
【0194】
本実施例では、以上のようにして、送信端末から受信端末へのデータ送信が実現される。
【実施例6】
【0195】
本実施例は、第二実施例及び第五実施例と類似しており、送信端末と受信端末との距離を推定して、所定距離以下であれば、通信相手とみなす処理を行うものである。第二実施例及び第五実施例との相違点は、本実施例では、短距離無線通信用の電波を用いて距離の推定を行う点である。
【0196】
以下には、この機能を実現するための制御部25が実行する処理について説明する。尚、上記機能は、データ送信元及びデータ受信先の各携帯電話が、以下に説明する本実施例の携帯電話1と同一の機能を有していることを前提として実現される。
【0197】
図12(a)に示す第六送信処理を開始すると、制御部25は、内蔵のフラッシュメモリに記憶されたユーザデータ(写真データや動画データ等)の中から、送信対象のデータをユーザに指定させるためのデータ選択画面を表示部15に表示して、送信対象のデータを問い合わせ、その回答を操作部11を通じてユーザから取得する(S1110)。
【0198】
次に、短距離無線通信部21を通じて、無線電波の形態で、問合せパケットをブロードキャストし、その応答パケットを受信することにより、通信圏内に位置する他の携帯電話1を発見する(S1120)。具体的には、問合せパケットに対する応答パケットを送信してきた携帯電話1を、通信圏内に位置する他の携帯電話1として発見する。そして、S1120の終了後に、データ送信先の携帯電話に対して、自己の携帯電話を近づけるように指示するメッセージを表示画面に表示して、ユーザに対し、自己の携帯電話をデータ送信先の携帯電話に近づけるように促す(S1130)。
【0199】
そして、短距離無線通信部21を通じて、電波強度の情報を格納したアドレス応答要求パケットを、無線電波として上記電波強度で周囲に送信する(S1140)。即ち、この電波強度の情報は、S1140で送信する無線電波の出力強度の情報である。詳述すると、電波を送信する前には、諸条件に基づいて電波強度を決定し、その決定した電波強度で送信を行うように、携帯電話1は構成されている。そして、その決定した電波強度の情報をアドレス応答要求パケットに格納して送信するのが、S1140の処理である。
【0200】
また、この処理を終えると、制御部25は、所定時間、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレスと電波強度の情報とが格納されたパケットの受信を受け付ける。
【0201】
そして、所定時間内に、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレスと電波強度の情報とが格納されたパケットを、短距離無線通信部21を通じて受信したか否かを判断する(S1150)。そして、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間内に、応答パケットを受信することができなかった場合には、S1150でNoと判断して、当該第六送信処理を終了する。
【0202】
一方、短距離無線通信部21を通じて上記応答パケットを受信したと判断すると(S1
150:Yes)、制御部25は、受信した各応答パケットについて、応答パケット内に記された電波強度とS1140で送信した際の電波強度との差が、所定の閾値以下か否かを判断する(S1160)。そして、受信した全ての応答パケットについて、パケット内に記された電波強度の情報と、S1140で送信した電波強度との差が所定の閾値以下でなければ(S1160:No)、第六送信処理を終える。
【0203】
これに対し、受信した応答パケットの内、いずれかの応答パケットについて、パケット内に記された電波強度と、S1140で送信した電波強度との差が、所定の閾値以下であれば(S1160:Yes)、受信した応答パケットであって、パケット内に記された電波強度とS1140で送信した電波強度との差が閾値以下の各応答パケット、が示すアドレス先の携帯電話を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S1170)。そして、S1110で指定された送信対象のデータを、接続が確立された上記携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて送信して(S1180)、第六送信処理を終える。
【0204】
次は、図12(b)を用いて、制御部25が主体となって実行する第六受信処理を説明する。第六受信処理は、自装置に対して送信されてくる無線電波の減衰量から、その無線電波を送信してきた携帯電話1が、自装置に対して、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットの送信(換言すれば、接続)を要求しているかを判断するものである。
【0205】
第六受信処理は、制御部25が、繰り返し実行する処理である。この第六受信処理を開始すると、制御部25は、電波強度の情報が格納されたアドレス応答要求パケットを、短距離無線通信部21を通じて受信するまで待機し(S1210)、当該アドレス応答要求パケットを受信すると、その際に短距離無線通信部21を通じて受信した電波の強度を測定する(S1220)。
【0206】
そして、S1220で測定した電波強度を、S1210で受信したパケットに格納されていた電波強度の情報が示す電波強度で除算することで、受信した無線電波の送信時からの強度比を求めて、当該強度比が所定の閾値以上であるかを判断する(S1225)。この処理を説明すると、電波強度は、短距離においては、距離の二乗に比例して減衰すると近似できる。よって、本実施例では、送信端末が発信した際の電波強度と、受信端末が受信した電波の強度とに基づいて、自装置から送信端末まで距離を大凡推定する。
【0207】
そして、S1225で計算した値が所定の閾値以上でないと判断すると(S1225:No)、送信端末が遠くに位置すると見做して、第六受信処理を終える。一方、S1225で計算した値が所定の閾値以上であると判断すると(S1225:Yes)、送信端末が近くに位置すると見做して、S1210で取得した電波強度の情報と自装置のアドレスとを格納した、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットを生成し、これを短距離無線通信部21を通じてブロードキャストする(S1230)。
【0208】
また、上記応答パケットの送信後、所定時間内に、外部の携帯電話1から接続要求を短距離無線通信部21を通じて受信すると(S1240:Yes)、接続要求に応答して、接続要求元の携帯電話1との接続を確立する(S1250)。一方、応答パケットの送信後、所定時間内に、接続要求を受信することができなかった場合には(S1240:No)、第六受信処理を終了する。
【0209】
また、接続要求元の携帯電話1との接続を確立すると、次に、制御部25は、短距離無線通信部21を通じてS1250で接続を確立した通信相手から、所定時間以内に、データを受信したか否かを判断する(S1260)。そして、データを受信していなければ(S1260:No)、第六受信処理を終える。一方、データを受信したのであれば(S1
260:Yes)、受信したデータをフラッシュメモリに格納して(S1270)、第六受信処理を終える。
【0210】
このように、無線電波を用いて距離の推定を行えば、音波を入出力するスピーカやマイクを備えていない通信機器にも本発明を適用することができ、用途の幅が拡大する。
尚、本発明の実施態様は、上に記載された実施例に限定されない。
【0211】
例えば、第四実施例に記載の通信システムにおいては、携帯電話1を、対応する機能を有する専用のリモコン機器として構成してもよく、この専用機器を用いて、家電100を遠隔操作可能な通信システムを構成してもよい。
【0212】
この他、第一〜第六実施例においては、携帯電話1に、本発明を適用した例を示したが、本発明の通信装置としての機能は、携帯型のパーソナルコンピュータやPDA等にも組み込むことができる。
【0213】
最後に、請求項と実施例の対応関係を説明する。請求項1〜請求項4、請求項11〜請求項14及び請求項21記載の発明に対応する実施例は、第一及び第四実施例、請求項5、請求項6、請求項9、請求項15、請求項16及び請求項19記載の発明に対応する実施例は、第二実施例、請求項10及び請求項20記載の発明に対応する実施例は、第三実施例、請求項22〜請求項24記載の発明に対応する実施例は、第五実施例、請求項5〜請求項8及び請求項15〜請求項18記載の発明に対応する実施例は、第六実施例である。
【0214】
また、請求項1〜請求項4、請求項11〜請求項14及び請求項21記載の判定手段はS210〜S240又はS810〜S840、処理実行手段は、S250又はS850の処理によって、実現されている。また、請求項1〜請求項4及び請求項21記載の要求手段は、S140又はS720の処理によって実現されている。
【0215】
また、請求項5、請求項6、請求項15、請求項16及び請求項19記載の判定手段は、S420及びS430、処理実行手段は、S443〜S450の処理によって、実現されている。また、請求項5及び請求項6及び請求項9記載の要求手段は、S340の処理によって実現されている。
【0216】
また、請求項10及び請求項20記載の接続要求手段は、S540、接続確立手段は、S580の処理によって、実現されている。また、請求項22〜請求項24記載の要求手段は、S930及びS935、判定手段は、S945〜S960、処理実行手段は、S990によって、実現されている。
【0217】
また、請求項5〜請求項8及び請求項15〜請求項18記載の判定手段は、S1220及びS1225、処理実行手段は、S1230によって、実現されている。また、請求項5〜請求項8記載の要求手段は、S1140によって実現されている。
【0218】
また、請求項3又は請求項4において、プローブ信号として電磁波を用いる例について、ここで説明する。これを実現するには、第一又は第四実施例において、プローブ信号として電磁波を用いればよい。因みに、この電磁波は可視光線がよい。そうすれば、プローブ信号を、通信を所望する受信端末を目がけて発信するのが容易になる。また、請求項9を実現するためには、第二実施例において、音波を電磁波に置き換えればよい。
【0219】
また、第一実施例の変形例として、携帯電話1は、次のように構成されてもよい。即ち、第一受信処理においては、S240の処理を実行せず、常にS250の処理を実行して
、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットをブロードキャストするようにし、更に、S250では、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、上記データ番号及び自装置のアドレスと共に、S230で算出したズレ量を格納した応答パケットを生成し、これを送信するようにする。
【0220】
一方、第一送信処理においては、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間、応答パケットの受信を受け付け、所定時間内に、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、パケット送信元携帯電話のアドレス及びデータ番号及びパケット送信元で算出されたズレ量が格納されたパケットを受信したか否かを判断する(S160)。
【0221】
そして、一以上の応答パケットを受信したと判断すると(S160でYes)、受信した各応答パケットについて、応答パケットに記されたデータ番号が、直前のS150でアドレス応答要求パケットに格納したデータ番号と一致するか否かを判断する(S170)。
【0222】
そして、受信した応答パケットの内、いずれかの応答パケットについて、応答パケットに記されたデータ番号とS150で送信したデータ番号とが一致するのであれば(S170:Yes)、受信した応答パケットであって上記データ番号が一致すると判断した応答パケットの中から、パケット内に記されたズレ量が最小の応答パケットを一つだけ選択し、選択した当該応答パケットが示すアドレス先の携帯電話(応答パケット送信元の携帯電話)を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S180)。
【0223】
このように携帯電話1を構成した場合でも、第一実施例と同様の効果を得ることができる。
また、第四実施例の携帯電話1及び家電100についても同様の構成にすることができる。即ち、第四受信処理においては、S840の処理を実行せず、常にS850の処理を実行するようにする。また、S850では、S250での処理と同様に、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットに、S830で算出したズレ量の情報を格納する。
【0224】
一方、第四送信処理においては、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間、応答パケットの受信を受け付け、所定時間内に、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットを受信したか否かを判断する(S740)。そして、応答パケットを一以上受信したと判断した場合には(S740でYes)、S745の処理を経てS750に移行する。
【0225】
そして、S750では、受信した応答パケットであって上記データ番号が一致すると判断した応答パケットの中から、パケット内に記されたズレ量が最小の応答パケットを一つだけ選択し、選択した当該応答パケットが示すアドレス先の家電100(応答パケット送信元の家電100)を、通信相手に決定して、当該アドレス先の家電100に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の家電100と、自装置との接続を確立する(S750)。
【0226】
このように携帯電話1及び家電100を構成した場合でも、第四実施例と同様の効果を得ることができる。
また、第二実施例の変形例として、携帯電話1は、次のように構成されてもよい。即ち、第二受信処理のS450で送信する応答パケットに格納するピーク周波数を算出する際に、S443で用いた各ピーク周波数のパワーの平均値を、この応答パケットに格納するようにする。
【0227】
そして、第二送信処理のS380では、受信した応答パケットであって、パケット内に
記されたピーク周波数とS340で送信した音波のピークの周波数との差が閾値以下の応答パケットの中から、パケット内に記されたパワーが最大の応答パケットを一つだけ選択し、選択した当該応答パケットが示すアドレス先の携帯電話(応答パケット送信元の携帯電話)を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する。
【0228】
このように携帯電話1を構成すれば、最も接近した携帯電話1間でデータ授受することができる。
この他、第五実施例の変形例として、携帯電話1は、次のように構成されてもよい。即ち、第五送信処理のS990では、近辺にいる他の携帯電話の内、自装置に最も近い位置に存在する携帯電話をデータ送信先とするために、S990において、接続が継続されている携帯電話1の内、自装置にて受信した音波のパワーが最大の携帯電話1をデータ送信先に選択して、選択した携帯電話1に短距離無線通信部21を通じて、S910で特定したデータを送信する。 このように携帯電話1を構成すれば、最も接近した携帯電話1間でデータ授受することができる。
【0229】
また、第六実施例の変形例として、携帯電話1は、次のように構成されてもよい。即ち、第六受信処理においては、S1225の処理を実行せず、常にS1230の処理を実行して、S1230では、アドレス応答要求パケットに対する応答パケットとして、S1210で取得した出力電波強度の情報及び自装置のアドレスの情報と共に、S1220で測定した受信電波強度の情報を格納した応答パケットを生成し、これを短距離無線通信部21を通じてブロードキャストする。
【0230】
一方、第六受信処理のS1150では、アドレス応答要求パケットの送信後、所定時間、応答パケットの受信を受け付け、S1170では、受信した応答パケットであって、パケット内に記された出力電波強度とS1140での出力電波強度との差が閾値以下の応答パケットの内、パケット内に記された受信電波強度が最大の応答パケットを一つだけ選択し、選択した当該応答パケットが示すアドレス先の携帯電話(応答パケット送信元の携帯電話)を、通信相手に決定して、当該アドレス先の携帯電話に対して接続要求を送信し、当該アドレス先の携帯電話と、自装置との接続を確立する(S1170)。
【0231】
このように携帯電話1を構成すれば、最も接近した携帯電話1間でデータ授受をすることができる。
【符号の説明】
【0232】
1…携帯電話、11…操作部、13,113…マイク、15…表示部、17…スピーカ、19…加速度センサ、21,121…短距離無線通信部、23…赤外線通信部、25,125…制御部、家電…100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、複数の受信装置とを備える通信システムであって、
前記送信装置は、
無線電波を自装置周囲に出力する無線出力手段と、
ユーザ操作可能な入力手段と、
前記入力手段から入力される指令に従って、前記指令に対応する要求信号を、前記無線出力手段に、無線電波の形態で自装置周囲に出力させる要求手段と、
を備え、
前記複数の受信装置の夫々は、
前記送信装置から出力される無線電波を受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段が前記送信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、前記要求信号の出力時における、自装置に対する前記送信装置の運動状態に基づき、判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、前記受信した要求信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記送信装置が前記要求信号出力時に自装置に向かって変位すると、当該要求信号が自装置宛の要求信号であると判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信装置は、所定周波数の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力するプローブ信号出力手段を備え、
前記受信装置は、前記プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段を備え、
前記判定手段は、前記プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号を周波数解析して、前記プローブ信号出力手段から出力されたプローブ信号のドップラーシフト量を算出し、前記算出したドップラーシフト量に基づき、前記要求信号出力時に前記送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信装置は、
前記要求信号出力時の自装置の加速度を計測する加速度計測手段を備え、
前記無線出力手段を通じて、前記加速度計測手段によって計測された加速度の情報を、無線電波の形態で自装置周囲に出力する構成にされ、
前記判定手段は、前記無線受信手段が受信した前記要求信号出力時の前記加速度の情報と、前記算出したドップラーシフト量の情報と、に基づき、前記要求信号出力時に前記送信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
送信装置と、複数の受信装置とを備える通信システムであって、
前記送信装置は、
無線電波を自装置周囲に出力する無線出力手段と、
ユーザ操作可能な入力手段と、
前記入力手段から入力される指令に従って、前記無線出力手段に、前記指令に対する要求信号を、無線電波の形態で自装置周囲に出力させる要求手段と、
を備え、
前記複数の受信装置の夫々は、
前記送信装置から出力される無線電波を受信可能な無線受信手段と、
前記無線受信手段が前記送信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の前記送信装置と自装置との位置関係に基づき、判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、前記受信した要求信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記判定手段は、要求信号出力時に自装置の現在位置を基準とした所定範囲内に前記送信装置が存在するか否かを推定し、要求信号出力時に前記送信装置が前記所定範囲内に存在すると推定される場合に限って、当該要求信号が自装置宛の要求信号であると判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記無線出力手段は、前記要求信号を無線電波の形態で出力する構成にされ、
前記受信装置は、前記無線受信手段により受信された無線電波の信号強度を計測する強度計測手段を備え、
前記判定手段は、前記強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報に基づき、要求信号送信元の前記送信装置が前記所定範囲内に存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記無線出力手段は、前記要求信号として出力する無線電波の当該出力時の信号強度の情報を、前記要求信号に含めて出力する構成にされ、
前記判定手段は、前記強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報と、前記無線受信手段が受信した前記無線電波に含まれる当該無線電波の出力時の信号強度の情報と、に基づき、自装置を基準とした前記所定範囲内に前記送信装置が存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記送信装置は、所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力するプローブ信号出力手段を備え、
前記受信装置は、
前記プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段と、
前記プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号の信号強度を計測する強度計測手段と、
を備える構成にされており、
前記判定手段は、前記強度計測手段が計測したプローブ信号の信号強度の情報に基づき、自装置を基準とした前記所定範囲内に前記送信装置が存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項10】
第一の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能な第一無線通信手段と、
第二の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能な第二無線通信手段と、
ユーザ操作可能な入力手段と、
前記入力手段から入力される指令に従い、前記第一無線通信手段に、外部通信装置に対する接続要求信号を送信させる接続要求手段と、
前記第一無線通信手段にて前記接続要求信号が受信されると、前記第二無線通信手段を
通じて、当該接続要求元の外部通信装置と自装置との接続を確立する接続確立手段と、
を備え、
前記第一無線通信手段は、特定方向に位置する外部通信装置とのみ無線通信可能な、電磁波による指向性の無線通信手段であり、
前記第二無線通信手段は、前記特定方向に限定されず周囲に位置する外部通信装置と無線通信可能な無指向性の無線通信手段である
ことを特徴とする通信装置。
【請求項11】
無線電波の形態で周囲に要求信号を出力する外部通信装置から出力される、当該無線電波を受信可能な無線受信手段と、
前記無線受信手段が前記外部通信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の自装置に対する前記外部通信装置の運動状態に基づき、判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、前記受信した要求信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記外部通信装置が前記要求信号出力時に自装置に向かって変位すると、当該要求信号が自装置宛の要求信号であると判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項11記載の通信装置。
【請求項13】
前記要求信号と共に、所定周波数の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力する構成にされた前記外部通信装置、と通信可能な請求項12に記載の通信装置であって、
前記外部通信装置が出力する前記プローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段を備え、
前記判定手段は、前記プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号を周波数解析して、前記外部通信装置から出力されたプローブ信号のドップラーシフト量を算出し、前記算出したドップラーシフト量に基づき、前記要求信号出力時に前記外部通信装置が自装置に向かって変位したか否かを判定する構成にされている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項14】
前記要求信号出力時における自装置の加速度を計測し、計測した加速度の情報を、無線電波の形態で自装置周囲に出力する前記外部通信装置、と通信可能な請求項13に記載の通信装置であって、
前記判定手段は、前記無線受信手段が前記要求信号送信元の外部通信装置から受信した当該要求信号出力時の前記加速度の情報と、当該外部通信装置から受信したプローブ信号に基づき前記算出したドップラーシフト量の情報と、に基づき、前記外部通信装置が前記要求信号出力時に、自装置に向かって変位したか否かを判定する構成にされている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項15】
無線電波の形態で周囲に要求信号を出力する外部通信装置から出力される、当該無線電波を受信可能な受信手段と、
前記無線受信手段が前記外部通信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の前記外部通信装置と自装置との位置関係に基づき、判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、前記受信した要求信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項16】
前記判定手段は、要求信号出力時に自装置の現在位置を基準とした所定範囲内に前記外部通信装置が存在するか否かを推定し、要求信号出力時に前記外部通信装置が前記所定範囲内に存在すると推定される場合に限って、当該要求信号が当該通信装置宛の要求信号であると判定する構成にされている
ことを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記要求信号出力時に前記要求信号として無線電波を出力する前記外部通信装置と、通信可能な請求項16に記載の通信装置であって、
前記判定手段は、
前記無線受信手段により受信された無線電波の信号強度を計測する強度計測手段を備え、
前記強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報に基づき、前記所定範囲内に前記外部通信装置が存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項18】
前記要求信号出力時に前記要求信号としての無線電波の出力時の信号強度の情報を前記要求信号に含めて出力する前記外部通信装置と、通信する請求項17に記載の通信装置であって、
前記判定手段は、前記強度計測手段が計測した無線電波の信号強度の情報と、前記無線受信手段が受信した前記無線電波に含まれる当該無線電波の出力時の信号強度の情報と、に基づき、前記外部通信装置が前記所定範囲内に存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項19】
前記要求信号と共に、所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力する構成にされた前記外部通信装置、と通信可能な請求項16に記載の通信装置であって、
前記外部通信装置が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段と、
前記プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号の信号強度を計測する強度計測手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記強度計測手段が計測したプローブ信号の信号強度の情報に基づき、前記外部通信装置が前記所定範囲内に存在するか否かを推定する構成にされている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項20】
第一の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能な第一無線通信手段と、
第二の通信方式にて外部通信装置と無線通信可能な第二無線通信手段と、
ユーザ操作可能な入力手段と、
を備え、
前記第一無線通信手段は、特定方向に位置する外部通信装置とのみ無線通信可能な、電磁波による指向性の無線通信手段であり、
前記第二無線通信手段は、前記特定方向に限定されず周囲に位置する外部通信装置と無線通信可能な無指向性の無線通信手段である
通信装置を構成するコンピュータに、
前記入力手段から入力される指令に従い、前記第一無線通信手段に、外部通信装置に対する接続要求信号を送信させる接続要求手段と、
前記第一無線通信手段にて前記接続要求信号が受信されると、前記第二無線通信手段を通じて、当該接続要求元の外部通信装置と自装置との接続を確立する接続確立手段
としての機能を実現させるためのプログラム。
【請求項21】
無線電波の形態で周囲に要求信号を出力する外部通信装置から出力される、当該無線電
波を受信可能な無線受信手段
を備える通信装置を構成するコンピュータに、
前記無線受信手段が前記外部通信装置から受信した要求信号が自装置宛の要求信号であるか否かを、要求信号出力時の自装置に対する前記外部通信装置の運動状態に基づき、判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信した要求信号が自装置宛の要求信号であると判定されると、前記受信した要求信号に対応した処理を実行する処理実行手段
としての機能を実現させるためのプログラム。
【請求項22】
送信装置と、複数の受信装置とを備える通信システムであって、
前記送信装置は、
無線電波を自装置周囲に出力する無線出力手段と、
ユーザ操作可能な入力手段と、
前記入力手段から入力される指令に従って、前記無線出力手段に、前記指令に対する要求信号を、無線電波の形態で自装置周囲に出力させる要求手段と、
を備え、
前記複数の受信装置の夫々は、
前記送信装置から出力される無線電波を受信可能な無線受信手段と、
前記無線受信手段によって前記送信装置から出力された要求信号を受信すると、その要求に応答する応答手段と、
を備え、
前記送信装置は、
前記応答手段による応答結果に基づいて、要求信号出力時における自装置と前記受信装置のそれぞれとの位置関係を、判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された、要求信号出力時における自装置と所定の位置関係にある前記受信装置に対して、所定の処理を実行する処理実行手段と、
を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項23】
前記処理実行手段は、前記判定手段によって要求信号出力時に自装置の現在位置を基準とした所定範囲内に存在すると判定された前記受信装置に対して、所定の処理を実行する
ことを特徴とする請求項22に記載の通信システム。
【請求項24】
前記要求手段は、前記受信装置のそれぞれに対して、固有なスペクトルを持つ所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力することを、前記要求信号によって要求し、
前記応答手段は、
前記要求信号によって要求された固有なスペクトルを持つ所定強度の音信号又は電磁波信号を、プローブ信号として出力可能なプローブ信号出力手段を備え、
前記受信した要求信号の要求内容に対する応答として、前記プローブ信号出力手段によって前記プローブ信号を出力し、
前記送信装置は、
前記プローブ信号出力手段が出力するプローブ信号を受信可能なプローブ信号受信手段と、
前記プローブ信号受信手段が受信したプローブ信号の信号強度および周波数を計測する計測手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記計測手段が計測したプローブ信号の信号強度の情報と周波数の情報とに基づき、要求信号出力時における自装置と前記受信装置のそれぞれとの位置関係を判定して、自装置を基準とした前記所定範囲内に存在する前記受信装置を検出する
ことを特徴とする請求項23に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−253809(P2012−253809A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178455(P2012−178455)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2007−332487(P2007−332487)の分割
【原出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】