説明

通信装置

【課題】 通信セッションを適切に確立し得る技術を提供すること。
【解決手段】 FAX装置は、スタンバイ状態とスリープ状態とを含む複数個の状態のうちのいずれか1個の状態で動作する。FAX装置は、FAX装置がスタンバイ状態である間に、他のFAX装置からSIPサーバを介してINVITEを受信すると、通信セッションを確立するための200OKを上記の他のFAX装置に送信する。これにより、FAX装置は、通信セッションを利用して、上記の他のFAX装置からFAXデータを受信することができる。FAX装置は、FAX装置がスリープ状態である間に、他のFAX装置からSIPサーバを介してINVITEを受信すると、通信セッションの確立を拒否するための486BusyHereを上記の他のFAX装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、通信装置に関する。特に、外部装置から通信要求を受信して、当該外部装置との間で通信セッションを確立する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、データの送信側の装置(以下では「送信側装置」と呼ぶ)からデータを受信して、当該データに従って印刷を実行するファクシミリ装置が開示されている。ファクシミリ装置は、送信側装置との間で呼が成立した後に、印刷を実行不可能な状態である場合に、送信側装置がデータを送信しないように送信側装置を待機させるための所定のコマンドを、送信側装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−37049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の技術では、送信側装置がデータを送信しないように送信側装置を待機させるために、送信側装置とファクシミリ装置との間で呼が成立してから、ファクシミリ装置が送信側装置から全てのデータを受信するまでの時間が長くなってしまう。このように呼が成立している時間が長くなると、例えば、送信側装置のユーザに対する課金額が高くなってしまったり、ネットワークの負荷が高くなってしまったりする。
【0005】
本明細書では、特定の外部装置と通信装置との間で通信セッションを適切に確立し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、サーバに通信可能に接続される通信装置である。通信装置は、動作制御部と、要求受信部と、送信部と、通信実行部と、を備える。動作制御部は、比較的に消費電力が低い低消費電力状態と、比較的に消費電力が高い高消費電力状態と、を含む複数個の状態のうちのいずれか1個の状態で通信装置が動作するように、通信装置の動作を制御する。要求受信部は、特定の外部装置から、サーバを介して、通信要求を受信する。送信部は、通信装置が高消費電力状態である間に、通信要求が受信される第1の場合に、通信装置と特定の外部装置との間で通信セッションを確立するための第1の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信し、通信装置が低消費電力状態である間に、通信要求が受信される第2の場合に、通信セッションの確立を拒否するための第2の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信する。通信実行部は、通信セッションが確立される場合に、通信セッションを利用して、特定の外部装置との間で、通信対象の対象データの通信を実行する。
【0007】
通信装置は、低消費電力状態である間には、通常、迅速に処理を実行することができない。上記の構成によると、通信装置は、低消費電力状態である間に通信要求を受信する場合に、通信セッションの確立を拒否するための第2の信号を送信する。これにより、通信装置が迅速に処理を実行することができないにも関わらず、通信セッションが確立されてしまうことに起因して、通信セッションが確立されている時間(以下では「確立時間」と呼ぶ)が長くなってしまうことを抑制し得る。一方において、通信装置は、高消費電力状態である間には、通常、迅速に処理を実行することができる。上記の構成によると、通信装置は、高消費電力状態である間に通信要求を受信する場合に、通信セッションを確立するための第1の信号を送信する。この結果として通信セッションが確立されても、通信装置が迅速に処理を実行することができるために、確立時間が長くなってしまうことを抑制し得る。上記の構成によると、特定の外部装置と通信装置との間で通信セッションを適切に確立し得る。
【0008】
通信装置は、さらに、通信実行部が通信を実行することによって受信される対象データに従って、印刷を実行する印刷実行部を備えていてもよい。低消費電力状態は、印刷実行部への電力供給が動作制御部によって実行されない状態であってもよい。高消費電力状態は、印刷実行部への電力供給が動作制御部によって実行される状態であってもよい。この構成によると、通信装置が迅速に印刷処理を実行することができないにも関わらず、通信セッションが確立されてしまうことに起因して、確立時間が長くなってしまうことを抑制し得る。
【0009】
送信部は、第1の場合において、通信装置が、印刷実行部が印刷を実行不可能なエラー状態でない場合に、第1の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信し、第1の場合において、通信装置がエラー状態である場合に、第1の信号を送信せずに、通信セッションの確立を拒否するための第3の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信してもよい。通信装置は、高消費電力状態であっても、エラー状態である場合には、印刷処理を実行することができない。従って、上記の構成によると、通信装置は、高消費電力状態かつエラー状態である間に通信要求を受信する場合に、通信セッションの確立を拒否するための第3の信号を送信する。これにより、通信装置が迅速に印刷処理を実行することができないにも関わらず、通信セッションが確立されてしまうことに起因して、確立時間が長くなってしまうことを抑制し得る。
【0010】
第3の信号は、第2の信号とは異なる種類の信号であってもよい。この構成によると、通信装置は、通信装置自身の状態(低消費電力状態、又は、高消費電力状態かつエラー状態)に応じた適切な種類の信号を、特定の外部装置に送信し得る。
【0011】
送信部は、第2の場合において、通信装置が、印刷実行部が印刷を実行不可能なエラー状態でない場合に、第2の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信し、第2の場合において、通信装置がエラー状態である場合に、第2の信号を送信せずに、通信セッションの確立を拒否するための第4の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信してもよい。第4の信号は、第2の信号とは異なる種類の信号であってもよい。この構成によると、通信装置は、通信装置自身の状態(低消費電力状態かつ通常状態、又は、低消費電力状態かつエラー状態)に応じた適切な種類の信号を、特定の外部装置に送信し得る。
【0012】
送信部は、第1の場合において、対象データに従った印刷が終了した場合に、印刷が終了したことを示す第5の信号を、特定の外部装置に送信し、第5の信号が特定の外部装置に送信された後に、通信セッションを切断するための第6の信号を、特定の外部装置に送信してもよい。この構成によると、通信装置は、第5の信号を特定の外部装置に送信する。従って、特定の外部装置は、通信装置で印刷が終了したことを知ることができる。また、通信装置は、第6の信号を特定の外部装置に送信するために、通信セッションを適切に切断することができる。
【0013】
送信部は、第2の場合に、通信要求が受信されてから特定の期間が経過した後に、第1の信号を、サーバを介して、特定の外部装置にさらに送信し、第1の場合に、通信要求が受信されてから特定の期間が経過する前に、第1の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信する。この構成によると、通信装置は、低消費電力状態である場合に、通信セッションの確立を拒否するための第2の信号を送信し、その後、上記の特定の期間が経過すると、通信セッションを確立するための第1の信号を送信する。従って、通信装置は、確立時間が長くなってしまうことを抑制しつつ、通信セッションを適切に確立し得る。一方において、通信装置は、高消費電力状態である場合に、上記の特定の期間が経過する前に、通信セッションを確立するための第1の信号を送信する。従って、通信装置は、通信セッションを迅速に確立し得る。
【0014】
動作制御部は、第2の場合に、通信装置の状態を、低消費電力状態から高消費電力状態に移行させるための処理を開始してもよい。特定の期間は、通信要求が受信されてから、通信装置の状態が、低消費電力状態から高消費電力状態に移行するまでの期間を含んでいてもよい。この構成によると、通信装置は、低消費電力状態である間に通信要求を受信する場合に、高消費電力状態に移行した後に、通信セッションを確立するための第1の信号を送信する。従って、通信装置は、確立時間が長くなってしまうことを抑制しつつ、通信セッションを適切に確立し得る。
【0015】
通信装置は、さらに、外部装置の識別情報を記憶するためのメモリを備えていてもよい。要求受信部は、特定の外部装置の識別情報を含む通信要求を受信してもよい。送信部は、第2の場合において、特定の外部装置の識別情報がメモリに記憶されている場合に、第2の信号を、サーバを介して、特定の外部装置に送信し、第2の場合において、特定の外部装置の識別情報がメモリに記憶されていない場合に、第1の信号を、サーバを介して、特定の外部装置にさらに送信してもよい。この構成によると、通信装置は、特定の外部装置の識別情報がメモリに記憶されているのか否かに応じて、適切な信号を送信し得る。なお、識別情報は、SIPURIであってもよい。
【0016】
なお、上記の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】第1実施例のFAX受信処理のフローチャートを示す。
【図3】第1実施例の各状態でのタイムチャートを示す。
【図4】第2実施例のFAX受信処理のフローチャートを示す。
【図5】第2実施例の各状態でのタイムチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例)
(システムの構成)
図1に示されるように、通信システム2は、SIPサーバ8と、複数個のFAX装置10,50と、を備える。FAX装置10は、LAN4に接続されている。FAX装置10から見ると、SIPサーバ8及びFAX装置50は、LAN4の外部に存在する(即ち、インターネット6に接続されている)。各デバイス8,10,50は、LAN4及びインターネット6を介して、相互に通信可能である。
【0019】
(SIPサーバ8の構成)
SIPサーバ8は、SIP(Session Initiation Protocol)に従って、一対のデバイス(例えばFAX装置10,50)の間のSIP通信を仲介する。各FAX装置10,50には、異なるSIPURI(SIP Uniform Resource Identifier)が割り当てられている。SIPサーバ8には、各FAX装置10,50のSIPURIが予め登録されている。
【0020】
後で詳しく説明するが、FAX装置10,50は、SIPサーバ8を介して、SIPの通信セッション(例えば、RTP(Real-time Transport Protocol)通信セッション)を確立することができる。各FAX装置10,50は、通信セッションが確立されている状態では、FAXデータの通信(送信及び受信)を実行することができる。SIPサーバ8は、FAX装置10,50の間で通信セッションが確立されている時間(以下では「確立時間」と呼ぶ)を管理する。SIPサーバ8の管理者であるプロバイダは、SIPサーバ8から得られる確立時間に基づいて、通信セッションを確立するために後述のINVITEを送信した側のFAX装置(FAX装置10又は50)のユーザに対して、課金を実行することができる。
【0021】
(FAX装置10の構成)
FAX装置10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、ネットワークインターフェイス18と、制御部20と、を備える。上記の各部12〜20は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をFAX装置10に与えることができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部20からの指示に従って印刷を実行する。ネットワークインターフェイス18は、LAN4に接続されている。
【0022】
制御部20は、CPU22とメモリ24とを備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メモリ24は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ24は、CPU22によって実行される上記のプログラムを格納したり、CPU22が処理を実行する過程で取得又は生成されるデータを格納したりする。CPU22が上記のプログラムに従って処理を実行することによって、動作制御部30、要求受信部32、送信部34、及び、通信実行部36の各機能が実現される。
【0023】
メモリ24は、さらに、他のFAX装置(例えばFAX装置50)のSIPURIを記憶する。FAX装置10のユーザは、操作部12を操作して、他のFAX装置のSIPURIをメモリ24に記憶させることができる。なお、FAX装置50は、FAX装置10と同様の構成を備える。
【0024】
(FAX装置10の状態)
FAX装置10は、処理状態とスタンバイ状態とスリープ状態との3個の状態のうちのいずれか1個の状態で選択的に動作可能である。動作制御部30(図1参照)は、FAX装置10がいずれか1個の状態で選択的に動作するように、FAX装置10の動作を制御する。
【0025】
(処理状態)
具体的に言うと、処理状態は、FAX装置10が特定の処理を実行している状態である。特定の処理は、例えば、他のFAX装置から受信されるFAXデータに従った印刷処理、PC(図示省略)から受信される印刷データに従った印刷処理、図示省略のスキャン実行部でスキャンを実行するスキャン処理等を含む。処理状態では、動作制御部30は、印刷実行部16への電力供給を実行する。これにより、印刷実行部16を構成する様々な部材に電力が供給される。上記の様々な部材は、例えば、印刷に必要な部材を駆動するためのモータを含む。処理状態では、動作制御部30は、さらに、表示部14のバックライトをON状態にする。これにより、ユーザは、表示部14に表示されている情報を見ることができる。
【0026】
(スタンバイ状態)
FAX装置10は、上記の特定の処理を終了すると、処理状態からスタンバイ状態に移行する。FAX装置10は、処理状態からスタンバイ状態に移行してから所定期間が経過する前に、上記の特定の処理の実行を指示するコマンドが入力されると、スタンバイ状態から処理状態に再び移行する。スタンバイ状態は、上記の特定の処理が実行されていない点を除くと、処理状態と同様である。即ち、スタンバイ状態では、動作制御部30は、印刷実行部16への電力供給を実行し、表示部14のバックライトをON状態にする。
【0027】
(スリープ状態)
FAX装置10は、処理状態からスタンバイ状態に移行してから所定期間が経過するまでに、上記の特定の処理の実行を指示するコマンドが入力されないと、スタンバイ状態からスリープ状態に移行する。スリープ状態では、動作制御部30は、印刷実行部16への電力供給を実行せず(電力供給を停止し)、表示部14のバックライトをOFF状態にする。この結果、スリープ状態では、処理状態及びスタンバイ状態と比べて、FAX装置10の消費電力が低くなる。
【0028】
なお、動作制御部30は、FAX装置10がスリープ状態である間に、上記の特定の処理の実行を指示するコマンドが入力されると、スリープ状態を解除するための解除処理を実行する。具体的に言うと、動作制御部30は、印刷実行部16への電力供給を実行し、表示部14のバックライトをON状態にする。また、動作制御部30は、上記の特定の処理の実行に必要な情報をメモリ24に書き込む。即ち、動作制御部30は、スリープ状態を解除するための様々な処理を実行するために、スリープ状態を解除するのにある程度時間がかかる。
【0029】
なお、印刷実行部16への電力供給が開始されても、印刷実行部16は、すぐに印刷を開始することができない。例えば、レーザ方式の印刷実行部16は、定着器の温度が所定温度以上になるまで待機し得る。また、例えば、インクジェット方式の印刷実行部16は、ヘッドのクリーニングが終了するまで待機し得る。即ち、FAX装置10では、スリープ状態の解除処理が開始されてから、印刷実行部16を構成する部材(例えば、定着器、ヘッド等)が印刷可能な状態になるまでに、ある程度の時間が必要である。なお、以下では、スリープ状態の解除処理が実行された結果として、印刷実行部16を構成する部材が印刷可能な状態になることを、「復帰」と呼ぶことがある。
【0030】
(FAX受信処理)
続いて、図2を参照しながら、FAX装置10が実行するFAX受信処理について説明する。S10において、要求受信部32(図1参照)は、INVITEを受信することを監視している。
【0031】
例えば、FAX装置50のユーザは、FAX装置50の操作部を操作して、FAX装置10のSIPURIをFAXデータの送信先として指定することができる。この場合、FAX装置50は、INVITEをSIPサーバ8に送信する。なお、INVITEは、FAX装置10のSIPURIをFAXデータの送信先として含むと共に、FAX装置50のSIPURIをFAXデータの送信元として含む。
【0032】
SIPサーバ8は、INVITEに含まれるFAX装置10のSIPURIが、SIPサーバ8自身に登録されているのか否かを判断する。SIPサーバ8は、FAX装置10のSIPURIが登録されていると判断する場合に、INVITEをFAX装置10に転送する。これにより、要求受信部32は、FAX装置50からSIPサーバ8を介してINVITEを受信して、S10でYESと判断する。この場合、S12に進む。なお、SIPサーバ8は、FAX装置10のSIPURIが登録されていないと判断する場合に、INVITEをFAX装置10に転送しない。
【0033】
S12では、送信部34(図1参照)は、S10で受信されたINVITEに含まれる送信元のSIPURI(即ち、FAX装置50のSIPURI)を特定し、送信元のSIPURIがメモリ24に登録されているのか否かを判断する。送信元のSIPURIがメモリ24に登録されている場合(S12でYESの場合)には、S14に進み、送信元のSIPURIがメモリ24に登録されていない場合(S12でNOの場合)には、S20に進む。
【0034】
S14では、送信部34は、FAX装置10の現在の状態がスリープ状態であるのか否かを判断する。FAX装置10の現在の状態がスリープ状態である場合(S14でYESの場合)には、S16に進み、FAX装置10の現在の状態が処理状態又はスタンバイ状態である場合(S14でNOの場合)には、S20に進む。
【0035】
S16では、送信部34は、486BusyHere(以下では「486BH」と呼ぶ)をSIPサーバ8に送信する。SIPサーバ8は、486BHをFAX装置50に転送する。即ち、S16では、送信部34は、486BHを、SIPサーバ8を介して、FAX装置50に送信する。なお、SIPでは、486BHは、通信セッションの確立を拒否するための信号である。このために、FAX装置10及びFAX装置50の間で通信セッションが確立されない。
【0036】
次いで、S18では、動作制御部30は、スリープ状態の解除処理を実行する。上述したように、解除処理は、印刷実行部16への電力供給の実行を含む。この結果、印刷実行部16を構成する部材(例えば、レーザ方式の定着器、インクジェット方式のヘッド等)が、印刷可能な状態に復帰する。ただし、解除処理が開始されてから復帰するまでには、ある程度の時間が必要である。S18を終えると、S10に戻る。
【0037】
一方において、S20では、送信部34は、200OKをSIPサーバ8に送信する。SIPサーバ8は、200OKをFAX装置50に転送する。即ち、S20では、送信部34は、200OKを、SIPサーバ8を介して、FAX装置50に送信する。なお、SIPでは、200OKは、通信セッションを確立するための信号(即ち通信セッションの確立を許可するための信号)である。
【0038】
なお、フローチャートには示していないが、FAX装置50は、FAX装置10から200OKを受信すると、ACKをSIPサーバ8に送信する。SIPサーバ8は、ACKをFAX装置10に転送する。これにより、FAX装置10及びFAX装置50の間で、SIPの通信セッションが確立される。この結果、FAX装置10(即ち通信実行部36(図1参照))及びFAX装置50は、通信セッションを利用して、データの通信を実行することができる。なお、通信セッションが確立された後には、FAX装置10及びFAX装置50は、SIPサーバ8を介さずに、直接的にFAXデータの通信を実行する(即ち、ピアツーピアの通信を実行する)。
【0039】
次いで、S22では、通信実行部36は、FAX装置50からFAXデータを受信する。さらに、S24では、制御部20は、FAXデータに従った印刷を実行するように、印刷実行部16に指示する。この結果、印刷実行部16は、FAXデータに従った印刷を実行する。全てのFAXデータに従った印刷が終了すると、S26に進む。
【0040】
S26では、送信部34は、印刷が終了したことを示す印刷終了信号を、FAX装置50に送信する。これにより、FAX装置50は、印刷が終了したことを知ることができる。なお、送信部34は、SIPサーバ8を介してFAX装置50に印刷終了信号を送信してもよいし、SIPサーバ8を介さずにFAX装置50に印刷終了信号を直接的に送信してもよい。
【0041】
FAX装置50は、FAX装置10から印刷終了信号を受信すると、BYEをFAX装置10に送信する。なお、FAX装置50は、SIPサーバ8を介してFAX装置50にBYEを送信してもよいし、SIPサーバ8を介さずにFAX装置50にBYEを直接的に送信してもよい。S28では、制御部20は、FAX装置50からBYEを受信する。なお、SIPでは、BYEは、通信セッションを切断するための信号である。
【0042】
次いで、S30では、送信部34は、200OKをFAX装置50に送信する。なお、送信部34は、SIPサーバ8を介してFAX装置50に200OKを送信してもよいし、SIPサーバ8を介さずにFAX装置50に200OKを直接的に送信してもよい。この結果、FAX装置10及びFAX装置50の間の通信セッションを適切に切断することができる。S30で200OKが送信されることによって通信セッションが切断されるために、S30で送信される200OKも、通信セッションを切断するための信号である。
【0043】
なお、SIPサーバ8は、S20で通信セッションが確立されてから、S30で通信セッションが切断されるまでの確立時間を、SIPサーバ8の管理者であるプロバイダに通知する。これにより、プロバイダは、確立時間に基づいて、FAX装置50のユーザに対して、課金を実行することができる。S30を終えると、S10に進む。
【0044】
(第1実施例の具体例)
続いて、図3(A)及び(B)を参照して、第1実施例の具体例を説明する。なお、図3(A)及び(B)では、FAX装置50のSIPURIが、FAX装置10のメモリ24に登録されている(即ち図2のS12でYESと判断される)ケースを想定している。この点は、後述の第2実施例の図5(D)〜(G)でも同様である。
【0045】
(図3(A)のケース)
図3(A)のケースでは、FAX装置10がスタンバイ状態である間に、FAX装置50からFAX装置10にINVITEが送信される。FAX装置10は、FAX装置50からINVITEを受信すると、図2のS14でNOと判断して、200OKをFAX装置50に送信する(S20)。この結果、FAX装置10及びFAX装置50の間で通信セッションが確立される。FAX装置10は、通信セッションを利用してFAXデータを受信し(S22)、FAXデータに従って印刷処理を実行する(S24)。
【0046】
FAX装置10は、全てのFAXデータに従った印刷が終了すると、印刷終了信号をFAX装置50に送信する(S26)。これにより、FAX装置10は、FAX装置50からBYEを受信し(S28)、200OKをFAX装置50に送信する(S30)。この結果、FAX装置10及びFAX装置50の間で通信セッションが切断される。
【0047】
(図3(B)のケース)
図3(B)のケースでは、FAX装置10がスリープ状態である間に、FAX装置50からFAX装置10にINVITEが送信される。FAX装置10は、FAX装置50からINVITEを受信すると、図2のS14でYESと判断して、486BHをFAX装置50に送信する(S16)。次いで、FAX装置10は、スリープ状態を解除するための解除処理を開始し(S18)、その結果、印刷実行部16を構成する部材が復帰する。
【0048】
FAX装置50は、FAX装置10から486BHを受信すると、FAX装置50のユーザの指示がなくても、所定期間の経過後に、INVITEをFAX装置10に再送信する。この際に、FAX装置10は、スリープ状態からスタンバイ状態に移行済みであるために、図2のS14でNOと判断して、200OKをFAX装置50に送信する(S20)。その後の処理は、図3(A)のケースと同様である。
【0049】
上述したように、図3(B)のケースでは、FAX装置10は、FAX装置50から最初のINVITEが受信された際に、486BHをFAX装置50に送信し、その後、期間T1が経過すると(即ち、FAX装置50からINVITEが再び受信された際に)、200OKをFAX装置50に送信する。従って、確立時間が長くなってしまうことを抑制しつつ、FAX装置10及びFAX装置50の間の通信セッションを適切に確立することができる。なお、期間T1は、解除処理が開始されてから、印刷実行部16への電力供給が実行されるまで(即ち、スリープ状態からスタンバイ状態に移行するまで)の期間を含む。より具体的に言うと、期間T1は、解除処理が開始されてから、印刷実行部16を構成する部材が復帰するまでの期間を含む。
【0050】
なお、図3(A)及び(B)を比べると明らかなように、図3(A)のケースでは、FAX装置10は、期間T1が経過する前に、200OKをFAX装置50に送信する。従って、FAX装置10及びFAX装置50の間の通信セッションを迅速に確立することができる。
【0051】
(本実施例の効果)
図3(C)の比較例では、FAX装置は、スリープ状態である間にINVITEを受信すると、200OKを送信する。このために、通信セッションを迅速に確立することができる。しかしながら、上述したように、FAX装置がスリープ状態を解除するための解除処理を開始してから、印刷実行部16を構成する部材が復帰するまでには、ある程度の時間がかかる。即ち、比較例では、INVITEの受信側のFAX装置(即ち、FAXデータの受信側のFAX装置)が印刷を実行不可能であるにも関わらず、通信セッションが確立されている期間が存在する。即ち、INVITEの受信側のFAX装置が印刷を実行不可能であるにも関わらず、INVITEの送信側のFAX装置(即ち、FAXデータの送信側のFAX装置)のユーザに対して課金されてしまう期間が存在する。この結果、課金額が高くなり得る。特に、INVITEの送信側のFAX装置が、複数個のFAX装置に同じFAXデータを同時的に送信する状況では、複数個のFAX装置がスリープ状態である場合に、課金額がより高くなり得る。さらに、通信セッションが確立されている時間(即ち、確立時間)が長くなると、ネットワーク(LAN等)の負荷が高くなってしまう。
【0052】
これに対し、本実施例では、図3(B)に示されるように、FAX装置10は、スリープ状態である間にFAX装置50からINVITEを受信する場合に、通信セッションの確立を拒否するための486BHをFAX装置50に送信する。これにより、FAX装置10が印刷を実行不可能であるにも関わらず、通信セッションが確立されてしまうことに起因して、確立時間が長くなってしまうことを抑制することができる。この結果、FAX装置50のユーザに対する課金額が高くなってしまうことを抑制することができる。さらに、ネットワークの負荷が高くなってしまうことを抑制することができる。
【0053】
一方において、図3(A)に示されるように、FAX装置10は、スタンバイ状態である間にFAX装置50からINVITEを受信する場合に、通信セッションを確立するための200OKを送信する。この結果として通信セッションが確立されても、FAX装置10がすぐに印刷を実行可能であるために、確立時間が長くなってしまうことを抑制することができる。本実施例によると、FAX装置10及びFAX装置50の間で通信セッションを適切に確立することができる。
【0054】
なお、比較例において、INVITEの送信側のFAX装置が、全てのFAXデータを送信し終えると、印刷終了信号を受信しなくても、通信セッションを切断する構成(以下では「印刷終了確認を実行しない構成」と呼ぶ)を採用することが考えられる。そして、INVITEの受信側のFAX装置が、印刷を実行不可能である期間に全てのFAXデータを受信し、通信セッションが切断された後に、FAXデータに従って印刷を実行する状況を想定する。このような印刷終了確認を実行しない構成では、確立時間が比較的に短くなるために、課金額が高くなってしまうことを抑制し得る。しかしながら、本実施例のFAX装置10,50のように、印刷終了信号の通信が実行された後に、通信セッションが切断される構成(以下では「印刷終了確認を実行する構成」と呼ぶ)を採用しているFAX装置が存在する。本実施例の技術(即ち、スリープ状態では486BHを送信する技術)は、印刷終了確認を実行する構成を採用しているFAX装置、即ち、全てのFAXデータに従って印刷が終了するまで通信セッションの確立が継続するFAX装置において、効果的に機能する。
【0055】
本実施例では、FAX装置10のユーザは、FAX装置50が印刷終了確認を実行する構成を採用していることを知っている場合には、FAX装置50のSIPURIを、FAX装置10のメモリ24に予め登録することができる。この場合、FAX装置10は、スリープ状態である間にFAX装置50からINVITEを受信する場合に、図2のS12でYESと判断して(さらにS14でYESと判断して)、486BHをFAX装置50に送信する(S16)。この結果、FAX装置50のユーザに対する課金額が高くなるのを抑制することができる。
【0056】
一方において、FAX装置10のユーザは、FAX装置50が印刷終了確認を実行しない構成を採用していることを知っている場合には、FAX装置50のSIPURIを、FAX装置10のメモリ24に登録しない。この場合、FAX装置10は、スリープ状態である間にFAX装置50からINVITEを受信すると、図2のS12でNOと判断して、486BHを送信せずに(S16を実行せずに)、200OKをFAX装置50に送信する(S30)。この結果、通信セッションを迅速に確立することができる。本実施例によると、FAX装置10は、FAX装置50が印刷終了確認を実行する構成を採用しているのか否かを、FAX装置50のSIPURIがメモリ24に登録されているのか否かに基づいて、適切に判断することができ、この結果、適切な信号(486BH又は200OK)をFAX装置50に送信し得る。
【0057】
なお、印刷を開始する前に全てのFAXデータを受信するためには、非常に大きいメモリ容量が必要である。即ち、比較的に小さいメモリ容量を有するFAX装置は、印刷が終了したFAXデータを順次消去しなければ、全てのFAXデータを受信することができない。このようなFAX装置では、印刷終了信号の通信が実行されなくても、全てのFAXデータに従って印刷が終了するまで通信セッションの確立が継続し得る。従って、本実施例の技術は、印刷終了確認を実行する構成を採用しているFAX装置のみに適用可能であるわけではなく、印刷終了確認を実行しないが、比較的に小さいメモリ容量を有するFAX装置においても、効果的に機能する。
【0058】
(対応関係)
FAX装置10、FAX装置50が、それぞれ、「通信装置」、「特定の外部装置」の一例である。スリープ状態、スタンバイ状態(又は処理状態)が、「低消費電力状態」、「高消費電力状態」の一例である。図2のS10で受信されるINVITE、図2のS20で送信される200OK、図2のS16で送信される486BusyHereが、それぞれ、「通信要求」、「第1の信号」、「第2の信号」の一例である。また、図2のS26で送信される印刷終了信号、図2のS30で送信される200OKが、それぞれ、「第5の信号」、「第6の信号」の一例である。
【0059】
(第2実施例)
本実施例では、図2のFAX受信処理に代えて、図4のFAX受信処理が実行される。S110及びS112は、図2のS10及びS12と同様である。S112でYESの場合には、S113aにおいて、送信部34は、FAX装置10がエラー状態であるのか否かを判断する。エラー状態は、印刷実行部16への電力供給が実行されていても、印刷実行部16が印刷を実行不可能な状態であり、例えば、印刷に必要な色材(トナー、インク等)が切れている状態、印刷媒体が詰まっている状態(即ち紙ジャム状態)等である。FAX装置10は、エラー状態であるのか否かを検出するための図示省略のセンサを備えている。S113aでは、送信部34は、当該センサから得られる信号に基づいて、エラー状態であるのか否かを判断する。FAX装置10がエラー状態である場合(S113aでYESの場合)には、S113bに進み、FAX装置10がエラー状態でない場合(S113aでNOの場合;即ち、通常状態である場合)には、S114に進む。
【0060】
S113bでは、送信部34は、488NotAcceptableHere(以下では「488NAH」と呼ぶ)をSIPサーバ8に送信する。SIPサーバ8は、488NAHをFAX装置50に転送する。即ち、S113bでは、送信部34は、488NAHを、SIPサーバ8を介して、FAX装置50に送信する。なお、SIPでは、488NAHは、486BHとは異なる種類の信号であり、通信セッションの確立を拒否するための信号である。
【0061】
次いで、S113cにおいて、動作制御部30は、FAX装置10の現在の状態がスリープ状態であるのか否かを判断する。FAX装置10の現在の状態がスリープ状態である場合(S113cでYESの場合)には、S113dに進み、FAX装置10の現在の状態が処理状態又はスタンバイ状態である場合(S113cでNOの場合)には、S113dをスキップして、S110に戻る。
【0062】
S113dでは、動作制御部30は、スリープ状態の解除処理を実行する。この結果、印刷実行部16への電力供給が実行されるために、印刷実行部16を構成する部材(例えば、レーザプリンタの定着器、インクジェットプリンタのヘッド等)が復帰する。ただし、印刷実行部16がエラー状態である場合には、上記の部材が復帰しても、印刷実行部16は、印刷を実行不可能である。従って、FAX装置10のユーザは、エラー状態を解除するための作業(例えば、色材の補充、詰まっている印刷媒体の除去等)を実行する必要がある。なお、S114〜S130は、図2のS14〜S30と同様である。
【0063】
(第2実施例の具体例)
続いて、図5(D)〜(G)を参照して、第2実施例の具体例を説明する。
【0064】
(図5(D)のケース)
図5(D)のケースは、図3(A)のケースと同様である。図5(D)のケースでは、通信セッションを迅速に確立することができる。
【0065】
(図5(E)のケース)
図5(E)のケースでは、FAX装置10がスタンバイ状態かつエラー状態である間に、FAX装置50からFAX装置10にINVITEが送信される。FAX装置10は、FAX装置50からINVITEを受信すると、図4のS113aでYESと判断して、200OKを送信せずに(即ち、送信部34がS120を実行せずに)、488NAHをFAX装置50に送信する(S113b)。その後、ユーザは、FAX装置10のエラー状態を解除するための作業を実行する。
【0066】
FAX装置50は、FAX装置10から488NAHを受信すると、FAX装置50のユーザの指示がなくても、所定期間の経過後に、INVITEをFAX装置10に再送信する。この際に、FAX装置10のエラー状態が解除されているために、FAX装置10は、図4のS113aでNOと判断し、さらに、S114でNOと判断して、200OKをFAX装置50に送信する(S120)。その後の処理は、図5(D)と同様である。
【0067】
(図5(F)のケース)
図5(F)のケースは、図3(B)のケースと同様である。なお、FAX装置50では、上記の図5(E)のケースにおいて、FAX装置50が488NAHを受信してからINVITEを再送信するまでの期間T2は、図5(F)のケースにおいて、FAX装置50が486BHを受信してからINVITEを再送信するまでの期間T3よりも、長くなるように設定されている。エラー状態が解除されるには、比較的に長時間を要するからである。
【0068】
(図5(G)のケース)
図5(G)のケースでは、FAX装置10がスリープ状態かつエラー状態である間に、FAX装置50からFAX装置10にINVITEが送信される。FAX装置10は、FAX装置50からINVITEを受信すると、図4のS113aでYESと判断して、486BHを送信せずに(即ち、送信部34がS116を実行せずに)、488NAHをFAX装置50に送信する(S113b)。次いで、FAX装置10は、図4のS113cでYESと判断して、スリープ状態を解除するための解除処理を実行する(S113d)。図5(G)のケースでは、印刷実行部16を構成する部材が復帰し、その後、エラー状態が解除される。その後の処理は、図3(E)のケースと同様である。
【0069】
(本実施例の効果)
図5(E)に示されるように、FAX装置10は、スタンバイ状態であっても、エラー状態である場合には、FAXデータに従って印刷を実行することができない。従って、FAX装置10は、スタンバイ状態かつエラー状態である間に、FAX装置50からINVITEを受信する場合に、通信セッションの確立を拒否するための488NAHをFAX装置50に送信する。これにより、FAX装置10が迅速に印刷処理を実行することができないにも関わらず、通信セッションが確立されてしまうことに起因して、確立時間が長くなってしまうことを抑制し得る。
【0070】
また、図5(E)及び図5(F)を比べるとわかるように、FAX装置10は、FAX装置10の状態(即ち、スタンバイ状態かつエラー状態、又は、スリープ状態かつ通常状態)に応じて、通信セッションの確立を拒否するための信号の種類(即ち、488NAH又は486BH)を変える。また、図5(F)及び図5(G)を比べるとわかるように、FAX装置10は、FAX装置10の状態(即ち、スリープ状態かつ通常状態、又は、スリープ状態かつエラー状態)に応じて、通信セッションの確立を拒否するための信号の種類(即ち、486BH又は488NAH)を変える。FAX装置10は、FAX装置10自身の状態に応じた適切な種類の信号を、FAX装置50に送信することができる。
【0071】
即ち、FAX装置10は、印刷を実行不可能な状態が比較的に短くなる場合(即ち、スリープ状態である場合)には、486BHをFAX装置50に送信し、印刷を実行不可能な状態が比較的に長くなる場合(即ち、エラー状態である場合)には、488NAHをFAX装置50に送信する。このために、FAX装置50は、通信セッションの確立を拒否するための信号の種類に応じて、INVITEを再送信するタイミングを適切に決定し得る。即ち、FAX装置50は、486BHが受信される場合には、比較的に短いインターバルに従ってINVITEを再送信し、488NAHが受信される場合には、比較的に長いインターバルに従ってINVITEを再送信することができる。
【0072】
(対応関係)
本実施例では、488NotAcceptableHereが、「第3の信号」及び「第4の信号」の一例である。
【0073】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0074】
(変形例1)
「通信装置」及び「特定の外部装置」は、FAX装置に限られず、データを通信可能な他の機器(例えば、携帯電話、PDA、PC、サーバ、プリンタ、コピー機、スキャナ、多機能機等)であってもよい。従って、「対象データ」は、FAXデータに限られず、例えば、音声データ、インターネット等からダウンロードされるデータ、印刷データ、スキャンデータ等であってもよい。
【0075】
(変形例2)
通信実行部36は、上記の各実施例のように「対象データ」を受信しなくてもよく、「対象データ」を送信してもよい。一般的に言うと、通信実行部36は、「対象データ」の通信(即ち、送信又は受信)を実行すればよい。
【0076】
(変形例3)
上記の各実施例では、FAXデータを通信するためのプロトコルとして、SIPが利用されている。これに代えて、他のプロトコル(例えば、H323、MGCP(Media Gateway Control Protocol、H248等)が利用されてもよい。
【0077】
(変形例4)
「高消費電力状態」は、上記の各実施例の処理状態又はスタンバイ状態に限られず、「低消費電力状態」と比べて消費電力が高い状態であればよい。また、「低消費電力状態」は、上記の各実施例のスリープ状態に限られず、「高消費電力状態」と比べて消費電力が低い状態であればよい。
【0078】
(変形例5)
第1実施例の図2のS16において、送信部34は、486BHに代えて、488NAHを送信してもよい。一般的に言うと、「第2の信号」は、通信セッションの確立を拒否するための信号であればよい。
【0079】
(変形例6)
第2実施例の図4のS113bにおいて、送信部34は、488NAHに代えて、486BHを送信してもよい。また、図4のS116において、送信部34は、486BHに代えて、488NAHを送信してもよい。一般的に言うと、「第3の信号」は、「第2の信号」とは異なる種類の信号であってもよいし、「第2の信号」と同じ種類の信号であってもよい。
【0080】
(変形例7)
上記の各実施例では、FAX装置10は、FAX装置50のSIPURIがメモリ24に登録されているのか否かに基づいて、FAX装置50が印刷終了確認を実行する構成を採用しているのか否かを判断する(図2のS12、図4のS112)。これに代えて、以下の構成を採用してもよい。即ち、FAX装置50は、FAX装置50自身が印刷終了確認を実行する構成を採用している場合には、印刷終了確認を実行することを示す特定の情報を含むINVITEをFAX装置10に送信してもよい。この場合、FAX装置10の送信部34は、FAX装置50から受信されるINVITEに上記の特定の情報が含まれるのか否かに基づいて、FAX装置50が印刷終了確認を実行する構成を採用しているのか否かを判断してもよい。即ち、送信部34は、FAX装置10がスリープ状態である間に、FAX装置50からINVITEが受信されると、当該INVITEに上記の特定の情報が含まれる場合(即ち、FAX装置50が印刷終了確認を実行する場合)に、FAX装置50に486BHを送信し、当該INVITEに上記の特定の情報が含まれない場合(即ち、FAX装置50が印刷終了確認を実行しない場合)に、FAX装置50に200OKを送信してもよい。
【0081】
(変形例8)
上記の各実施例では、FAX装置50からFAX装置10にBYEが送信されることによって、FAX装置10及びFAX装置50の間の通信セッションが切断される。これに代えて、FAX装置10からFAX装置50にBYEが送信されてもよい。この場合、FAX装置10は、全てのFAXデータに従った印刷が終了した後に、印刷終了信号をFAX装置50に送信せずに、BYEをFAX装置50に送信してもよい。
【0082】
(変形例9)
上記の各実施例では、FAX装置10のCPU22がソフトウェアに従って処理を実行することによって、各部30〜36が実現される。これに代えて、各部30〜36のうちの少なくとも一部は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0083】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0084】
6:インターネット、8:SIPサーバ、10,50:FAX装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに通信可能に接続される通信装置であって、
比較的に消費電力が低い低消費電力状態と、比較的に消費電力が高い高消費電力状態と、を含む複数個の状態のうちのいずれか1個の状態で前記通信装置が動作するように、前記通信装置の動作を制御する動作制御部と、
特定の外部装置から、前記サーバを介して、通信要求を受信する要求受信部と、
前記通信装置が前記高消費電力状態である間に、前記通信要求が受信される第1の場合に、前記通信装置と前記特定の外部装置との間で通信セッションを確立するための第1の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信し、
前記通信装置が前記低消費電力状態である間に、前記通信要求が受信される第2の場合に、前記通信セッションの確立を拒否するための第2の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信する送信部と、
前記通信セッションが確立される場合に、前記通信セッションを利用して、前記特定の外部装置との間で、通信対象の対象データの通信を実行する通信実行部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、さらに、前記通信実行部が前記通信を実行することによって受信される前記対象データに従って、印刷を実行する印刷実行部を備え、
前記低消費電力状態は、前記印刷実行部への電力供給が前記動作制御部によって実行されない状態であり、
前記高消費電力状態は、前記印刷実行部への電力供給が前記動作制御部によって実行される状態である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記送信部は、
前記第1の場合において、前記通信装置が、前記印刷実行部が印刷を実行不可能なエラー状態でない場合に、前記第1の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信し、
前記第1の場合において、前記通信装置が前記エラー状態である場合に、前記第1の信号を送信せずに、前記通信セッションの確立を拒否するための第3の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第3の信号は、前記第2の信号とは異なる種類の信号である、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信部は、
前記第2の場合において、前記通信装置が、前記印刷実行部が印刷を実行不可能なエラー状態でない場合に、前記第2の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信し、
前記第2の場合において、前記通信装置が前記エラー状態である場合に、前記第2の信号を送信せずに、前記通信セッションの確立を拒否するための第4の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信し、
前記第4の信号は、前記第2の信号とは異なる種類の信号である、請求項2から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記送信部は、
前記第1の場合において、前記対象データに従った印刷が終了した場合に、印刷が終了したことを示す第5の信号を、前記特定の外部装置に送信し、
前記第5の信号が前記特定の外部装置に送信された後に、前記通信セッションを切断するための第6の信号を、前記特定の外部装置に送信する、請求項2から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信部は、
前記第2の場合に、前記通信要求が受信されてから特定の期間が経過した後に、前記第1の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置にさらに送信し、
前記第1の場合に、前記通信要求が受信されてから前記特定の期間が経過する前に、前記第1の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記動作制御部は、前記第2の場合に、前記通信装置の状態を、前記低消費電力状態から前記高消費電力状態に移行させるための処理を開始し、
前記特定の期間は、前記通信要求が受信されてから、前記通信装置の状態が、前記低消費電力状態から前記高消費電力状態に移行するまでの期間を含む、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置は、さらに、外部装置の識別情報を記憶するためのメモリを備え、
前記要求受信部は、前記特定の外部装置の識別情報を含む前記通信要求を受信し、
前記送信部は、
前記第2の場合において、前記特定の外部装置の前記識別情報が前記メモリに記憶されている場合に、前記第2の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信し、
前記第2の場合において、前記特定の外部装置の前記識別情報が前記メモリに記憶されていない場合に、前記第2の信号を送信せずに、前記第1の信号を、前記サーバを介して、前記特定の外部装置に送信する、請求項1から8のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記識別情報は、SIPURIである、請求項9に記載の通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−25596(P2013−25596A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160415(P2011−160415)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】