説明

通信速度設定値決定方法

【課題】
デイジーチェーン接続方式の表示システムにおける各通信速度設定値を同じ値に決定するための労力を少なくすることができる通信速度設定値決定方法を提供する。
【解決手段】
画像表示装置100bが、画像表示装置100aへ速度確認用データを送信し、画像表示装置100bからデータが送信されると、画像表示装置100aが画像表示装置100bへ返答データを送信し、返答データを画像表示装置100bが認識すると、画像表示装置100bが、認識時の通信速度設定値を、画像表示装置100aと同じ値に決定し、画像表示装置100bが速度確認用データを送信した時点から所定時間内に画像表示装置100bが返答データを認識しなかった場合、画像表示装置100bが、通信速度設定値を変更し、画像表示装置100aへ速度確認用データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RS−232C規格などに準拠する通信ケーブルで接続されるデイジーチェーン接続方式の表示システムにおける通信速度設定値決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像供給装置と複数の画像表示装置とを備える表示システムが開示されている。この表示システムは、画像供給装置を一端として、複数の画像表示装置が数珠繋ぎに接続されている。そして、画像供給装置から送信される画像情報は、画像供給装置に接続される画像表示装置、すなわち最上流の画像表示装置によって受信され、該画像表示装置よりも下流側の画像表示装置に順次転送される。
【0003】
このような数珠繋ぎの接続方式は、デイジーチェーン接続方式と呼ばれる。特許文献1に記載されているデイジーチェーン接続方式の表示システムは、USB(Universal Serial Bus)規格またはイーサネット(登録商標)規格に準拠する通信ケーブルによって各装置が接続され、この通信ケーブルを介してデータ通信が行われる。
【0004】
一般的に、特許文献1に記載の表示システムのように、2つの装置間でのデータ通信を成立させるためには、該2つの装置における通信速度設定値(ボーレート)を同じ値に決定した上で、データ通信を行う必要がある。通信速度設定値が同じ値になっていなければ、送信側の装置が生成する送信データに対応する電気信号の周期と、受信側の装置が生成すべき受信データに対応する電気信号の周期とが異なってしまうからである。
【0005】
上記のように、特許文献1に記載の表示システムでは、USB規格またはイーサネット規格に準拠する通信ケーブルによって2つの装置が接続されている。したがって、2つの装置自体が、通信速度設定値を同じ値に決定した後に、データ通信を行う。すなわち、USB規格またはイーサネット規格に準拠する通信ケーブルによって2つの装置が接続されている場合、自動的に、通信速度設定値が同じ値に決定される。
【0006】
なお、表示システムとは異なる技術分野である通信システムの分野では、特許文献2に記載のように、2つの装置間の通信速度設定値を同じ値に揃えるだけではなく、該2つの装置間で揃えることができる最大の通信速度設定値に自動的に決定する技術が知られている。この特許文献2に記載の技術は、特許文献1に記載のような、USB規格またはイーサネット規格に準拠する通信ケーブルによって接続されるデイジーチェーン接続方式の表示システムに応用可能である。
【0007】
USB規格またはイーサネット規格以外の規格としては、RS−232C規格という規格が知られている。RS−232C規格に準拠する通信ケーブルによって2つの装置が接続されている場合であっても、上述したように、通信速度設定値を同じ値に決定した上でデータ通信を行わなければ、データ通信を成立させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−164626号公報
【特許文献2】特開昭60−109343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
RS−232C規格に準拠する通信ケーブルによって2つの装置が接続されている場合、USB規格やイーサネット規格の場合とは異なり、自動的に通信速度設定値を同じ値に決定するということはできない。したがって、RS−232C規格に準拠する通信ケーブルによって各装置が接続される表示システムの場合、各画像表示装置の通信速度設定値を手動で同じ値に決定する必要があり、ユーザの労力が必要であるという課題がある。
【0010】
本発明は、RS−232C規格のような通信速度設定値が自動的に決定されない規格における上記の課題を解決するためのものであり、デイジーチェーン接続方式の表示システムにおける各通信速度設定値を同じ値に決定するための労力を少なくすることができる通信速度設定値決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、デイジーチェーン接続方式の表示システムを構成する画像表示装置の通信速度設定値を決定する通信速度設定値決定方法において、
下流側の画像表示装置が、所定の通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置に対して速度確認用データを送信する下流側初期送信ステップと、
上流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置が、下流側の画像表示装置からデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、下流側の画像表示装置に対して返答データを送信する上流側送信ステップと、
下流側の画像表示装置が、上流側の画像表示装置から送信されてきた返答データを認識したときに、返答データを認識したときの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する速度決定ステップと、
下流側の画像表示装置が上流側の画像表示装置に速度確認用データを送信した時点から所定時間以内に下流側の画像表示装置によって返答データが認識されなかった場合に、下流側の画像表示装置が、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置に対して速度確認用データを送信する下流側再送信ステップとを含むことを特徴とする通信速度設定値決定方法である。
【0012】
また本発明は、前記速度決定ステップを行うまで、前記下流側再送信ステップを繰り返し行うことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記上流側送信ステップでは、上流側の画像表示装置が、下流側の画像表示装置から送信されてきた速度確認用データを認識したときのみ、下流側の画像表示装置に対して返答データを送信することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記下流側再送信ステップでは、大きな通信速度設定値から小さな通信速度設定値に変更することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置と、下流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置との間で、データの送受信を行って、上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致しているか否かを確認する速度一致確認ステップと、
速度一致確認ステップにおいて上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致していなかった場合に、下流側の画像表示装置が、決定済みの通信速度設定値を未決定の状態に戻す初期化ステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記デイジーチェーン接続方式の表示システムは、RS−232C規格に準拠する通信ケーブルで接続されるデイジーチェーン接続方式の表示システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下流側初期送信ステップにおいて、下流側の画像表示装置が、上流側の画像表示装置に対して、速度確認用データを送信する。上流側送信ステップでは、上流側の画像表示装置が、下流側の画像表示装置からデータが送信されてきたときに、該下流側の画像表示装置に対して返答データを送信する。そして、速度決定ステップでは、下流側の画像表示装置が、上流側の画像表示装置から送信されてきた返答データを認識したときに、該返答データを認識したときの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する。したがって、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側初期送信ステップのときの下流側の画像表示装置の通信速度設定値とが同じである場合、下流側の画像表示装置の通信速度設定値は、下流側初期送信ステップのときの通信速度設定値に決定される。よって、通信速度設定値の決定後は、決定済みの通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置と下流側の画像表示装置との間で、データ通信を行うことができる。
【0018】
また本発明では、下流側の画像表示装置が上流側の画像表示装置に速度確認用データを送信した時点から所定時間以内に該下流側の画像表示装置によって返答データが認識されなかった場合、下流側再送信ステップを行う。下流側再送信ステップでは、下流側の画像表示装置は、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置に対して速度確認用データを送信する。そして、上述したように、上流側送信ステップでは、上流側の画像表示装置が、下流側の画像表示装置からデータが送信されてきたときに、該下流側の画像表示装置に対して返答データを送信し、速度決定ステップでは、下流側の画像表示装置が、上流側の画像表示装置から送信されてきた返答データを認識したときに、該返答データを認識したときの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する。したがって、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側初期送信ステップのときの下流側の画像表示装置の通信速度設定値とが異なり、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側再送信ステップのときの下流側の画像表示装置の変更後の通信速度設定値とが同じである場合、下流側の画像表示装置の通信速度設定値は、下流側再送信ステップのときの変更後の通信速度設定値に決定される。通信速度設定値の決定後は、決定済みの通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置と下流側の画像表示装置との間で、データ通信を行うことができる。
【0019】
このように、本発明では、下流側初期送信ステップと下流側再送信ステップとによって、下流側の画像表示装置の通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ値に決定することができる。よって、デイジーチェーン接続方式の表示システムにおいて、各通信速度設定値を同じ値に決定するための労力を少なくすることができる。
【0020】
また本発明によれば、速度決定ステップを行うまで、下流側再送信ステップを繰り返し行う。したがって、より確実に、下流側の画像表示装置の通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ値に決定することができる。
【0021】
また本発明によれば、上流側送信ステップでは、上流側の画像表示装置が、下流側の画像表示装置から送信されてきた速度確認用データを認識したときのみ、該下流側の画像表示装置に対して返答データを送信する。上流側の画像表示装置が速度確認用データを認識できるのは、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側の画像表示装置の通信速度設定値とが同じ場合である。したがって、本発明では、速度決定ステップだけではなく、上流側送信ステップにおいても、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側の画像表示装置の通信速度設定値とが同じ値であることを確認することができる。よって、下流側の画像表示装置の通信速度設定値が上流側の画像表示装置の通信速度設定値とは異なる値に誤って決定されてしまうことを、防止することができる。
【0022】
また本発明によれば、下流側再送信ステップでは、大きな通信速度設定値から小さな通信速度設定値に変更する。したがって、大きな通信速度設定値に従って速度確認用データを送った後、小さな通信速度設定値に従って速度確認用データを送ることになる。通信速度設定値が大きい方が、速度確認用データの送信に掛かる時間は短くなる。よって、本発明では、下流側の画像表示装置の通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ値に決定するまでの時間についての、種々の表示システムにおける平均時間を短くすることができる。
【0023】
また本発明によれば、下流側の画像表示装置の通信速度設定値が決定済みである場合、速度一致確認ステップにおいて、上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致しているか否かを確認する。そして、上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致していなかった場合、初期化ステップにおいて、下流側の画像表示装置は、決定済みの通信速度設定値を未決定の状態に戻す。その後、上記下流側初期送信ステップおよび上記下流側再送信ステップを行い、下流側の画像表示装置の通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ値に決定する。したがって、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と下流側の画像表示装置の決定済みの通信速度設定値とが異なった場合に、下流側の画像表示装置の通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ値に決定することができる。
【0024】
また本発明によれば、RS−232C規格に準拠する通信ケーブルで接続されるデイジーチェーン接続方式の表示システムを構成する画像表示装置の通信速度設定値を決定する通信速度設定値決定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】表示システム1000の構成を示す模式図である。
【図2】画像表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】画像供給装置200の構成を示すブロック図である。
【図4A】通信速度設定値決定処理を示すフローチャートである。
【図4B】通信速度設定値決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明に係る通信速度設定値決定処理を実行するための表示システムである表示システム1000について説明する。図1は、表示システム1000の構成を示す模式図である。表示システム1000は、画像表示装置100a,100b,100cと、画像供給装置200とによって構成される。画像表示装置100a〜100cについて、特に区別しない場合は、画像表示装置100と表す。
【0027】
図2は、画像表示装置100の構成を示すブロック図である。画像表示装置100としては、有機EL(Electro Luminescence)画像表示装置、液晶画像表示装置、プラズマ画像表示装置、LED(Light Emitting Diode)画像表示装置などのフラットパネル画像表示装置や、CRT(Cathode Ray Tube)画像表示装置などを用いることができる。画像表示装置100は、表示部110、画像表示装置側通信部120、画像表示装置側記憶部130、および画像表示装置側制御部140を有する。
【0028】
表示部110は、画像データに基づく画像を表示するモジュールである。たとえば、画像表示装置100が液晶画像表示装置である場合、表示部110は、液晶パネルとバックライトユニットと偏光板と拡散板と保護ガラスとによって構成される。表示部110に表示される画像は、静止画像であってもよく、動画像であってもよい。
【0029】
画像表示装置側制御部140は、表示部110、画像表示装置側記憶部130、および画像表示装置側通信部120を制御するモジュールであり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などである。画像表示装置側制御部140は、複数のIC(Integrated Circuit)チップによって構成されてもよい。
【0030】
画像表示装置側通信部120は、画像供給装置200および他の画像表示装置100とのデータ通信を行うためのモジュールであり、RS−232C規格などの規格に準拠する通信ケーブルを接続するためのインターフェイス部を含んでいる。画像表示装置側通信部120は、出力用インターフェイス部121と入力用インターフェイス部122とを含み、1つの通信ケーブルは、一の画像表示装置100の出力用インターフェイス部121と、他の画像表示装置100の入力用インターフェイス部122とに接続される。
【0031】
画像表示装置100a、画像表示装置100b、および画像表示装置100cは、画像表示装置100aを最上流の画像表示装置100として、この順序で数珠繋ぎに接続される。このとき、通信ケーブルの一方端が上流側の画像表示装置100の出力用インターフェイス部121に接続され、他方端が下流側の画像表示装置100の入力用インターフェイス部122に接続される。なお、画像表示装置100と画像供給装置200との間においては、最上流の画像表示装置100である画像表示装置100aの入力用インターフェイス部122と、後述する画像供給装置200のインターフェイス部221とに、通信ケーブルが接続される。
【0032】
上記のように複数の装置が数珠繋ぎに接続される接続方式を、デイジーチェーン接続方式と称する。デイジーチェーン接続方式では、画像表示装置100は、該画像表示装置100よりも1つ上流側の装置および1つ下流側の装置との間においてのみ、直接的なデータの送受信を行う。
【0033】
出力用インターフェイス部121および入力用インターフェイス部122は、データ通信に係るデータを一時的に格納するレジスタをそれぞれ含んでいる。画像表示装置側制御部140は、入力用インターフェイス部122内のレジスタに格納されるデータを、上流側の装置との間のデータ通信に係るデータであると認識し、出力用インターフェイス部121内のレジスタに格納されるデータを、下流側の装置との間のデータ通信に係るデータであると認識する。したがって、たとえば画像表示装置100aは、通信ケーブルを介して入力用インターフェイス部122内のレジスタに格納されたデータを、画像供給装置200から送信されたデータであると認識し、通信ケーブルを介して出力用インターフェイス部121内のレジスタに格納されたデータを、画像表示装置100bから送信されたデータであると認識する。
【0034】
画像表示装置側記憶部130は、画像表示装置側制御部140によって実行される各種プログラムを表すプログラムデータおよび表示部110に表示される画像の基になる画像データなどを、不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリと、一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリとを含む。
【0035】
また、画像表示装置側記憶部130は、通信速度設定値および決定フラグデータを記憶する。画像表示装置側通信部120によるデータ通信は、通信速度設定値に従って、該通信速度設定値が示す通信速度で行われる。本実施形態では、通信速度設定値として、9600bps、19200bps、38400bps、および115200bpsの4種類のうちのいずれか1種類が設定される。画像表示装置100の出荷時では、通信速度設定値は、たとえば、38400bpsに設定されている。
【0036】
決定フラグデータは、他の装置との間のデータ通信に用いる通信速度設定値を決定済みの状態であるか、または未決定の状態であるかを示すデータである。ユーザが、リモートコントローラなどを用いて、画像表示装置100の通信速度設定値を、出荷時の状態から変更した場合や、後述する通信速度設定値決定処理における速度決定ステップが行われた場合に、決定フラグデータは、未決定の状態を示すデータから、決定済みの状態を示すデータに書き換えられる。また、後述する通信速度設定値決定処理における初期化ステップが行われた場合に、決定フラグデータは、決定済みの状態を示すデータから、未決定の状態を示すデータに書き換えられる。
【0037】
図3は、画像供給装置200の構成を示すブロック図である。画像供給装置200としては、PC(Personal Computer)などを用いることができる。画像供給装置200は、画像供給装置側記憶部210、画像供給装置側通信部220、および画像供給装置側制御部230を有する。
【0038】
画像供給装置側制御部230は、画像供給装置側記憶部210および画像供給装置側通信部220を制御するモジュールであり、たとえば、CPU、ICチップなどである。
【0039】
画像供給装置側通信部220は、画像表示装置100とのデータ通信を行うためのモジュールであり、RS−232C規格などの規格に準拠する通信ケーブルを接続するためのインターフェイス部221を含んでいる。
【0040】
画像供給装置側記憶部210は、画像供給装置側制御部230によって実行される各種プログラムを表すプログラムデータおよび画像データなどを、不揮発的に記憶するROMなどの不揮発性メモリと、一時的に格納するRAMなどの揮発性メモリとを含む。
【0041】
また、画像供給装置側記憶部210は、通信速度設定値を記憶している。画像供給装置側通信部220によるデータ通信は、通信速度設定値に従って、該通信速度設定値が示す通信速度で行われる。画像表示装置100との間のデータ通信に用いる通信速度設定値は、9600bps、19200bps、38400bps、および115200bpsのうち、たとえば、ユーザによって予め19200bpsに決定されている。
【0042】
このように構成される各画像表示装置100および画像供給装置200を含む表示システム1000では、画像供給装置側制御部230によって、画像供給装置側記憶部210に記憶される画像データが、画像供給装置側通信部220および画像表示装置側通信部120を介して、各画像表示装置100へ送信される。そして、画像供給装置200から送信されてきた画像データに基づいて、画像表示装置側制御部140によって表示部110が制御されることで、該表示部110に画像が表示される。
【0043】
次に、表示システム1000による通信速度設定値決定処理について説明する。通信速度設定値決定処理は、下流側の装置(たとえば画像表示装置100b)の通信速度設定値を、該下流側の装置の1つ上流側の装置(たとえば画像表示装置100a)の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する処理である。
【0044】
図4Aおよび図4Bは、通信速度設定値決定処理を示すフローチャートである。通信速度設定値決定処理は、ステップS1〜ステップS21の処理を含み、画像表示装置100bに電源が投入されることで、ステップS1の処理が開始する。
【0045】
ステップS1では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。通信速度設定値が決定済みの場合はステップS2へ処理が進み、通信速度設定値が未決定の場合はステップS5へ処理が進む。
【0046】
ステップS2は、通信速度設定値が決定済みの上流側の装置である画像表示装置100aと、通信速度設定値が決定済みの下流側の装置である画像表示装置100bとの間で、データの送受信を行って、画像表示装置100aにおける決定済みの通信速度設定値と画像表示装置100bにおける決定済みの通信速度設定値とが一致しているか否かを確認する速度一致確認ステップである。
【0047】
より詳細には、ステップS2では、まず、下流側の装置である画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、一致確認用データを生成して、該一致確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して、上流側の装置である画像表示装置100aへ送信する。一致確認用データは、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づいて生成される。
【0048】
一致確認用データは、たとえば、「CO9600」などの文字データである。「CO」は一致確認用データであることを示し、「9600」は画像表示装置100bの決定済みの通信速度設定値が9600bpsであることを示している。
【0049】
画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(9600bps)である場合、画像表示装置100aは、上記一致確認用データを受信すると、画像表示装置側制御部140によって、受信したデータが一致確認用データであることを認識する。そして、画像表示装置100aは、一致確認用データを認識すると、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、画像表示装置側制御部140によって、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。通信速度設定値が決定済みの場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、一致確認用データを認識してから所定時間(たとえば1秒程度)以内に、認識した一致確認用データと同じ一致確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して画像表示装置100bへ送信する。なお、画像表示装置100aの決定済みの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(9600bps)でない場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、一致確認用データを受信することはできても、受信したデータが一致確認用データであることは認識できない。
【0050】
画像表示装置100bは、一致確認用データを送信してから所定時間(たとえば5秒程度)以内に一致確認用データを受信し、かつ受信したデータが一致確認用データであることを、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140によって認識した場合、画像表示装置100aにおける決定済みの通信速度設定値と画像表示装置100bにおける決定済みの通信速度設定値とが一致していることを確認する。
【0051】
ステップS3では、ステップS2において通信速度設定値の一致が確認されなかった場合、ステップS4へ処理が進む。ステップS2において通信速度設定値の一致が確認された場合、下流側の装置である画像表示装置100bの通信速度設定値が、上流側の装置である画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定されていることになる。このとき、画像表示装置100aと画像表示装置100bとの間でのデータ通信は可能な状態になっているので、通信速度設定値決定処理が終了する。
【0052】
ステップS4は、ステップS2において通信速度設定値の一致が確認されなかった場合に、下流側の装置である画像表示装置100bが、決定済みの通信速度設定値を未決定の状態に戻す初期化ステップである。より詳細には、ステップS4では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータを、決定済みの状態を示すデータから、未決定の状態を示すデータに書き換える。ステップS4の処理が終了すると、ステップS5の処理へ進む。
【0053】
ステップS5は、下流側の装置である画像表示装置100bが、所定の通信速度設定値に従って、上流側の装置である画像表示装置100aに対して速度確認用データを送信する下流側初期送信ステップである。より詳細には、ステップS5では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、速度確認用データを生成し、該速度確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100aへ送信する。
【0054】
ステップS5における所定の通信速度設定値は、4種類の通信速度設定値のうちのいずれか1種類であり、本実施形態では、最も大きな通信速度設定値(115200bps)である。たとえば、出荷時の通信速度設定値が38400bpsである場合、画像表示装置側制御部140は、通信速度設定値を115200bpsに変更した後、変更した通信速度設定値に従って、速度確認用データを送信する。なお、本発明の他の実施形態としては、所定の通信速度設定値を、出荷時の通信速度設定値としてもよい。
【0055】
速度確認用データは、たとえば、「SPEED」などの文字データである。画像表示装置100bの通信速度設定値が9600bpsである場合は、「SPEED」という速度確認用データの送信に掛かる時間は、5ミリ秒程度である。
【0056】
さらに、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140は、ステップS5において、速度確認用データを送信した時点から、画像表示装置側通信部120の監視を開始する。このようなステップS5の処理が終了すると、ステップS6の処理へ進む。
【0057】
画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(115200bps)である場合、画像表示装置100aは、ステップS5において送信された速度確認用データを受信すると、画像表示装置側制御部140によって、受信したデータが速度確認用データであることを認識する(ステップS6)。すなわち、上流側の装置である画像表示装置100aは、「SPEED」という速度確認用データを認識する。画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(115200bps)でない場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、速度確認用データを受信しても、受信したデータが速度確認用データであることは認識できない。
【0058】
さらに、ステップS6では、画像表示装置100aは、速度確認用データを認識すると、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、画像表示装置側制御部140によって、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。速度確認用データを認識し、かつ、通信速度設定値が決定済みであると確認された場合のみ、ステップS7へ処理が進み、そうでない場合は、ステップS8へ処理が進む。
【0059】
ステップS7は、通信速度設定値が決定済みの上流側の装置である画像表示装置100aが、下流側の装置である画像表示装置100bからデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、該画像表示装置100bに対して返答データを送信する第1の上流側送信ステップである。より詳細には、ステップS7では、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140が、返答データを生成し、生成した返答データを、ステップS6において速度確認用データを認識してから所定時間(たとえば1秒程度)以内に、画像表示装置側通信部120を介して、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100bへ送信する。返答データは、たとえば、「OK」などの文字データである。ステップS7の処理が終了すると、ステップS8の処理へ進む。
【0060】
ステップS8では、ステップS5において画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が画像表示装置側通信部120の監視を開始した時点から所定の監視時間(たとえば5秒程度)以内に、該画像表示装置側制御部140によって返答データが認識された場合、ステップS21へ処理が進み、認識されなかった場合、ステップS9へ処理が進む。ステップS8において画像表示装置100bが返答データを認識するのは、ステップS7において画像表示装置100aから返答データが送信され、かつ、該画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じときである。ステップS8では、画像表示装置側制御部140は、返答データを認識した時点か、または、監視時間の経過時点で、画像表示装置側通信部120の監視を終了する。
【0061】
ステップS9は、画像表示装置100bが監視を開始した時点(ステップS5)から所定の監視時間以内に該画像表示装置100bによって返答データが認識されなかった場合に行われる第1の下流側再送信ステップであって、該画像表示装置100bが、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の装置である画像表示装置100aに対して速度確認用データを送信する第1の下流側再送信ステップである。より詳細には、ステップS9では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値を変更し、速度確認用データ(「SPEED」)を生成し、該速度確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して、変更後の通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100aへ送信する。
【0062】
ステップS9では、4種類の通信速度設定値のうち、ステップS5において速度確認用データを送信したときの通信速度設定値とは異なる通信速度設定値に変更される。本実施形態では、2番目に大きな通信速度設定値(38400bps)、すなわち、115200bpsよりも小さな値に変更される。
【0063】
画像表示装置100bは、さらに、ステップS9において、速度確認用データを送信した時点から、画像表示装置側通信部120の監視を開始する。このようなステップS9の処理が終了すると、ステップS10の処理へ進む。
【0064】
画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(38400bps)である場合、画像表示装置100aは、ステップS9において送信された速度確認用データを受信すると、画像表示装置側制御部140によって、受信したデータが速度確認用データであることを認識する(ステップS10)。すなわち、上流側の装置である画像表示装置100aは、「SPEED」という速度確認用データを認識する。画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(38400bps)でない場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、速度確認用データを受信しても、受信したデータが速度確認用データであることは認識できない。
【0065】
さらに、ステップS10では、画像表示装置100aは、速度確認用データを認識すると、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、画像表示装置側制御部140によって、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。速度確認用データを認識し、かつ、通信速度設定値が決定済みであると確認された場合のみ、ステップS11へ処理が進み、そうでない場合は、ステップS12へ処理が進む。
【0066】
ステップS11は、通信速度設定値が決定済みの上流側の装置である画像表示装置100aが、下流側の装置である画像表示装置100bからデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、該画像表示装置100bに対して返答データを送信する第2の上流側送信ステップである。より詳細には、ステップS11では、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140が、返答データ(「OK」)を生成し、生成した返答データを、ステップS10において速度確認用データを認識してから所定時間(たとえば1秒程度)以内に、画像表示装置側通信部120を介して、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100bへ送信する。ステップS11の処理が終了すると、ステップS12の処理へ進む。
【0067】
ステップS12では、ステップS9において画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が画像表示装置側通信部120の監視を開始した時点から所定の監視時間(たとえば5秒程度)以内に、該画像表示装置側制御部140によって返答データが認識された場合、ステップS21へ処理が進み、認識されなかった場合、ステップS13へ処理が進む。ステップS12において画像表示装置100bが返答データを認識するのは、ステップS11において画像表示装置100aから返答データが送信され、かつ、該画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じときである。ステップS12では、画像表示装置側制御部140は、返答データを認識した時点か、または、監視時間の経過時点で、画像表示装置側通信部120の監視を終了する。
【0068】
ステップS13は、画像表示装置100bが監視を開始した時点(ステップS9)から所定の監視時間以内に該画像表示装置100bによって返答データが認識されなかった場合に行われる第2の下流側再送信ステップであって、該画像表示装置100bが、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の装置である画像表示装置100aに対して速度確認用データを送信する第2の下流側再送信ステップである。より詳細には、ステップS13では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値を変更し、速度確認用データ(「SPEED」)を生成し、該速度確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して、変更後の通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100aへ送信する。
【0069】
ステップS13では、4種類の通信速度設定値のうち、ステップS5およびステップS9において速度確認用データを送信したときの通信速度設定値とは異なる通信速度設定値に変更される。本実施形態では、3番目に大きな通信速度設定値(19200bps)、すなわち、38400bpsよりも小さな値に変更される。
【0070】
画像表示装置100bは、さらに、ステップS13において、速度確認用データを送信した時点から、画像表示装置側通信部120の監視を開始する。このようなステップS13の処理が終了すると、ステップS14の処理へ進む。
【0071】
画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(19200bps)である場合、画像表示装置100aは、ステップS13において送信された速度確認用データを受信すると、画像表示装置側制御部140によって、受信したデータが速度確認用データであることを認識する(ステップS14)。すなわち、上流側の装置である画像表示装置100aは、「SPEED」という速度確認用データを認識する。画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(19200bps)でない場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、速度確認用データを受信しても、受信したデータが速度確認用データであることは認識できない。
【0072】
さらに、ステップS14では、画像表示装置100aは、速度確認用データを認識すると、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、画像表示装置側制御部140によって、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。速度確認用データを認識し、かつ、通信速度設定値が決定済みであると確認された場合のみ、ステップS15へ処理が進み、そうでない場合は、ステップS16へ処理が進む。
【0073】
ステップS15は、通信速度設定値が決定済みの上流側の装置である画像表示装置100aが、下流側の装置である画像表示装置100bからデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、該画像表示装置100bに対して返答データを送信する第3の上流側送信ステップである。より詳細には、ステップS15では、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140が、返答データ(「OK」)を生成し、生成した返答データを、ステップS14において速度確認用データを認識してから所定時間(たとえば1秒程度)以内に、画像表示装置側通信部120を介して、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100bへ送信する。ステップS15の処理が終了すると、ステップS16の処理へ進む。
【0074】
ステップS16では、ステップS13において画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が画像表示装置側通信部120の監視を開始した時点から所定の監視時間(たとえば5秒程度)以内に、該画像表示装置側制御部140によって返答データが認識された場合、ステップS21へ処理が進み、認識されなかった場合、ステップS17へ処理が進む。ステップS16において画像表示装置100bが返答データを認識するのは、ステップS15において画像表示装置100aから返答データが送信され、かつ、該画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じときである。ステップS16では、画像表示装置側制御部140は、返答データを認識した時点か、または、監視時間の経過時点で、画像表示装置側通信部120の監視を終了する。
【0075】
ステップS17は、画像表示装置100bが監視を開始した時点(ステップS13)から所定の監視時間以内に該画像表示装置100bによって返答データが認識されなかった場合に行われる第3の下流側再送信ステップであって、該画像表示装置100bが、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の装置である画像表示装置100aに対して速度確認用データを送信する第3の下流側再送信ステップである。より詳細には、ステップS17では、画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値を変更し、速度確認用データ(「SPEED」)を生成し、該速度確認用データを、画像表示装置側通信部120を介して、変更後の通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100aへ送信する。
【0076】
ステップS17では、4種類の通信速度設定値のうち、ステップS5、ステップS9、およびステップS13において速度確認用データを送信したときの通信速度設定値とは異なる通信速度設定値に変更される。本実施形態では、4番目に大きな通信速度設定値(9600bps)、すなわち、19200bpsよりも小さな値に変更される。
【0077】
画像表示装置100bは、さらに、ステップS17において、速度確認用データを送信した時点から、画像表示装置側通信部120の監視を開始する。このようなステップS17の処理が終了すると、ステップS18の処理へ進む。
【0078】
画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(9600bps)である場合、画像表示装置100aは、ステップS17において送信された速度確認用データを受信すると、画像表示装置側制御部140によって、受信したデータが速度確認用データであることを認識する(ステップS18)。すなわち、上流側の装置である画像表示装置100aは、「SPEED」という速度確認用データを認識する。画像表示装置100aの通信速度設定値が画像表示装置100bの通信速度設定値と同じ値(9600bps)でない場合、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140は、速度確認用データを受信しても、受信したデータが速度確認用データであることは認識できない。
【0079】
さらに、ステップS18では、画像表示装置100aは、速度確認用データを認識すると、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータに基づいて、画像表示装置側制御部140によって、通信速度設定値が決定済みか未決定かを確認する。速度確認用データを認識し、かつ、通信速度設定値が決定済みであると確認された場合のみ、ステップS19へ処理が進み、そうでない場合は、ステップS20へ処理が進む。
【0080】
ステップS19は、通信速度設定値が決定済みの上流側の装置である画像表示装置100aが、下流側の装置である画像表示装置100bからデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、該画像表示装置100bに対して返答データを送信する第4の上流側送信ステップである。より詳細には、ステップS19では、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140が、返答データ(「OK」)を生成し、生成した返答データを、ステップS18において速度確認用データを認識してから所定時間(たとえば1秒程度)以内に、画像表示装置側通信部120を介して、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値に基づく通信速度で、画像表示装置100bへ送信する。ステップS19の処理が終了すると、ステップS20の処理へ進む。
【0081】
ステップS20では、ステップS17において画像表示装置100bの画像表示装置側制御部140が画像表示装置側通信部120の監視を開始した時点から所定の監視時間(たとえば5秒程度)以内に、該画像表示装置側制御部140によって返答データが認識された場合、ステップS21へ処理が進み、認識されなかった場合、ステップS5へ処理が進む。ステップS20において画像表示装置100bが返答データを認識するのは、ステップS19において画像表示装置100aから返答データが送信され、かつ、該画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じときである。ステップS20では、画像表示装置側制御部140は、返答データを認識した時点か、または、監視時間の経過時点で、画像表示装置側通信部120の監視を終了する。
【0082】
ステップS21は、下流側の装置である画像表示装置100bが、上流側の装置である画像表示装置100aから送信されてきた返答データを認識したときに、該返答データを認識したときの通信速度設定値を、該画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する速度決定ステップである。より詳細には、ステップS21では、画像表示装置100aの画像表示装置側制御部140が、返答データ(「OK」)を認識したときに、画像表示装置側記憶部130に記憶されている決定フラグデータを、未決定の状態を示すデータから、決定済みの状態を示すデータに書き換える。
【0083】
ステップS8の処理の次にステップS21の処理が行われる場合は、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値は115200bpsであり、この状態で、決定フラグデータが決定済みの状態を示すデータに書き換えられる。ステップS12の処理の次にステップS21の処理が行われる場合は、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値は38400bpsであり、この状態で、決定フラグデータが決定済みの状態を示すデータに書き換えられる。ステップS16の処理の次にステップS21の処理が行われる場合は、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値は19200bpsであり、この状態で、決定フラグデータが決定済みの状態を示すデータに書き換えられる。ステップS20の処理の次にステップS21の処理が行われる場合は、画像表示装置側記憶部130に記憶されている通信速度設定値は9600bpsであり、この状態で、決定フラグデータが決定済みの状態を示すデータに書き換えられる。
【0084】
このように、ステップS21の処理によって、下流側の装置である画像表示装置100bの通信速度設定値が、上流側の装置である画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定される。その結果、画像表示装置100aと画像表示装置100bとの間でのデータ通信が可能になり、通信速度設定値決定処理が終了する。
【0085】
このような通信速度設定値決定処理によれば、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と下流側初期送信ステップ(ステップS5)のときの下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じである場合、速度決定ステップ(ステップS21)において、画像表示装置100bの通信速度設定値を、下流側初期送信ステップ(ステップS5)のときの通信速度設定値に決定することができる。そして、通信速度設定値の決定後は、決定済みの通信速度設定値に従って、画像表示装置100aと画像表示装置100bとの間で、データ通信を行うことができる。
【0086】
また、画像表示装置100aの通信速度設定値と下流側初期送信ステップ(ステップS5)のときの画像表示装置100bの通信速度設定値とが異なり、画像表示装置100aの通信速度設定値が、第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)のときの画像表示装置100bの変更後の通信速度設定値のうちのいずれか1つと同じである場合、速度決定ステップ(ステップS21)において、画像表示装置100bの通信速度設定値を、下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、またはステップS17)のときの変更後の通信速度設定値に決定することができる。そして、通信速度設定値の決定後は、決定済みの通信速度設定値に従って、画像表示装置100aと画像表示装置100bとの間で、データ通信を行うことができる。
【0087】
このように、本発明に係る通信速度設定値決定処理では、下流側初期送信ステップ(ステップS5)と第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)とによって、画像表示装置100bの通信速度設定値を、画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定することができる。よって、デイジーチェーン接続方式の表示システム1000において、各画像表示装置100の通信速度設定値を同じ値に決定するための労力を少なくすることができる。
【0088】
本実施形態では、表示システム1000は、速度決定ステップ(ステップS21)を行うまで、下流側初期送信ステップ(ステップS5)および第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)を繰り返し行っている。たとえば、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値が未決定である場合、下流側初期送信ステップ(ステップS5)および第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)が繰り返し行われる。このように同じ処理が繰り返されている間に、ユーザなどによって、画像表示装置100aの通信速度設定値が決定されると、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値も決定されることになる。したがって、本実施形態では、より確実に、画像表示装置100bの通信速度設定値を、画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定することができる。
【0089】
なお、本発明の他の実施形態としては、下流側初期送信ステップ(ステップS5)および第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)を、それぞれ1回ずつ行った場合において、速度決定ステップ(ステップS21)が行われなかったとき、通信速度設定値決定処理を終了するように、表示システム1000が構成されてもよい。
【0090】
また本実施形態では、第1〜第4の上流側送信ステップ(ステップS7、ステップS11、ステップS15、ステップS19)において、上流側の画像表示装置100aが、下流側の画像表示装置100bから送信されてきた速度確認用データを認識したときのみ、該画像表示装置100bに対して返答データを送信している。画像表示装置100aが速度確認用データを認識できるのは、画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じ場合である。したがって、本実施形態では、速度決定ステップ(ステップS21)だけではなく、第1〜第4の上流側送信ステップ(ステップS7、ステップS11、ステップS15、ステップS19)においても、画像表示装置100aの通信速度設定値と画像表示装置100bの通信速度設定値とが同じ値であることが確認されている。これによって、画像表示装置100bの通信速度設定値が画像表示装置100aの通信速度設定値とは異なる値に誤って決定されてしまうことを、防止することができる。
【0091】
なお、上流側の画像表示装置100aは、速度確認用データを認識できない場合であっても、受信することはできる。そこで、本発明の他の実施形態としては、速度確認用データであることを認識したか否かにかかわらず、下流側の画像表示装置100bからデータを受信したときに、画像表示装置100aが画像表示装置100bに対して返答データを送信してもよい。この場合は、画像表示装置100aによる速度確認用データの認識処理が省略されるので、画像表示装置100aは返答データを早く送信することができ、ひいては、画像表示装置100bの通信速度設定値が決定されるまでの時間を短縮することができる。
【0092】
また本実施形態では、第1〜第3の下流側再送信ステップ(ステップS9、ステップS13、ステップS17)において、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値は、大きな値から次第に小さな値に変更されている。すなわち、本実施形態の下流側の画像表示装置100bは、速度確認用データの送信について、通信速度設定値が大きな順に試行している。
【0093】
いずれの通信速度設定値が上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定されるかは、表示システム1000の構成によって異なるので、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値が上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定されるまでの所要時間を必ず最短にすることができるような通信速度設定値の試行順序は存在しない。しかしながら、通信速度設定値が大きい方が、速度確認用データの送信に掛かる時間は短いので、本実施形態のように通信速度設定値が大きな順に試行することで、通信速度設定値決定処理が開始されてから下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値が上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定されるまでの所要時間についての、構成が種々異なる表示システム1000間の平均所要時間を短くすることができる。なお、本発明の他の実施形態としては、下流側の画像表示装置100bが、速度確認用データの送信について、通信速度設定値が小さな順に試行するように構成されてもよい。
【0094】
また本実施形態では、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値が決定済みである場合、速度一致確認ステップ(ステップS2)において、上流側の画像表示装置100aにおける決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置100bにおける決定済みの通信速度設定値とが一致しているか否かを確認している。そして、上流側の画像表示装置100aにおける決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置100bにおける決定済みの通信速度設定値とが一致していなかった場合、初期化ステップ(ステップS4)において、下流側の画像表示装置100bは、決定済みの通信速度設定値を未決定の状態に戻している。その後、ステップS5〜ステップS21の処理を行い、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定している。
【0095】
このように、本実施形態では、速度一致確認ステップ(ステップS2)と初期化ステップ(ステップS4)とを行うことによって、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と下流側の画像表示装置100bの決定済みの通信速度設定値とが異なる場合であっても、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定することができる。
【0096】
なお、速度一致確認ステップおよび初期化ステップは、下流側初期送信ステップよりも先に行われる必要は無く、たとえば、速度決定ステップの後に、速度一致確認ステップおよび初期化ステップが行われてもよい。速度決定ステップの後に速度一致確認ステップを行い、決定済みの通信速度値が異なる場合には初期化ステップを行って、再度、ステップS5〜ステップS21の処理を行うことで、より確実に、下流側の画像表示装置100bの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ値に決定することができる。
【0097】
本発明の他の実施形態としては、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置100は通信速度設定値決定処理を行わないように構成されてもよい。この場合において、上流側の画像表示装置100aの決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置100bの決定済みの通信速度設定値とが異なるときは、ユーザによって通信速度設定値が同じ値に揃えられるまで、表示システム1000は待機状態になる。
【0098】
また、本発明の他の実施形態としては、画像表示装置100bが画像表示装置100aの通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定した処理と同様にして、最上流の装置である画像表示装置100aが画像供給装置200の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定するように、表示システム1000が構成されてもよい。この場合、画像供給装置200は、画像表示装置100aからデータが送信されてきたときに、通信速度設定値に従って、該画像表示装置100aに対して返答データ(「OK」)を送信するように構成される。また、画像表示装置100aは画像表示装置100bと同様の処理を行う。
【0099】
このように表示システム1000を構成することで、最上流の画像表示装置100aの通信速度設定値を手動で決定しなくても、すべての画像表示装置100の通信速度設定値を決定することができる。
【符号の説明】
【0100】
100,100a,100b,100c 画像表示装置
110 表示部
120 画像表示装置側通信部
130 画像表示装置側記憶部
140 画像表示装置側制御部
200 画像供給装置
210 画像供給装置側記憶部
220 画像供給装置側通信部
230 画像供給装置側制御部
1000 表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デイジーチェーン接続方式の表示システムを構成する画像表示装置の通信速度設定値を決定する通信速度設定値決定方法において、
下流側の画像表示装置が、所定の通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置に対して速度確認用データを送信する下流側初期送信ステップと、
上流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置が、下流側の画像表示装置からデータが送信されてきたときに、決定済みの通信速度設定値に従って、下流側の画像表示装置に対して返答データを送信する上流側送信ステップと、
下流側の画像表示装置が、上流側の画像表示装置から送信されてきた返答データを認識したときに、返答データを認識したときの通信速度設定値を、上流側の画像表示装置の通信速度設定値と同じ通信速度設定値に決定する速度決定ステップと、
下流側の画像表示装置が上流側の画像表示装置に速度確認用データを送信した時点から所定時間以内に下流側の画像表示装置によって返答データが認識されなかった場合に、下流側の画像表示装置が、通信速度設定値を変更し、変更後の通信速度設定値に従って、上流側の画像表示装置に対して速度確認用データを送信する下流側再送信ステップとを含むことを特徴とする通信速度設定値決定方法。
【請求項2】
前記速度決定ステップを行うまで、前記下流側再送信ステップを繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の通信速度設定値決定方法。
【請求項3】
前記上流側送信ステップでは、上流側の画像表示装置が、下流側の画像表示装置から送信されてきた速度確認用データを認識したときのみ、下流側の画像表示装置に対して返答データを送信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信速度設定値決定方法。
【請求項4】
前記下流側再送信ステップでは、大きな通信速度設定値から小さな通信速度設定値に変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の通信速度設定値決定方法。
【請求項5】
上流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置と、下流側の画像表示装置であって、通信速度設定値が決定済みの画像表示装置との間で、データの送受信を行って、上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致しているか否かを確認する速度一致確認ステップと、
速度一致確認ステップにおいて上流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値と下流側の画像表示装置における決定済みの通信速度設定値とが一致していなかった場合に、下流側の画像表示装置が、決定済みの通信速度設定値を未決定の状態に戻す初期化ステップとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の通信速度設定値決定方法。
【請求項6】
前記デイジーチェーン接続方式の表示システムは、RS−232C規格に準拠する通信ケーブルで接続されるデイジーチェーン接続方式の表示システムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の通信速度設定値決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−124618(P2012−124618A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272064(P2010−272064)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】