説明

通報装置及び方法

【課題】 通報を受ける側の状況に応じて通報の抑止が可能な通報装置を提供する。
【解決手段】 通報定義情報記憶部12は、通報待ち許容時間を含む通報定義情報を記憶する。通報先状態情報記憶部13は、保守開始予定日時を含む通報先状態情報を記憶する。通報制御部11は、通報事象が発生すると、通報事象の発生時刻に通報待ち許容時間を加えた通報期限と、保守開始予定日時とを比較し、保守開始予定日時が通報期限よりも前であれば、通報事象の通報を抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置及び方法に関し、更に詳しくは、被監視システム側から監視システム側に障害の発生等を通知する通報装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して、被監視システムを監視する遠隔監視システムがある。このような遠隔監視システムでは、被監視システムは、障害の発生等を検出すると、あらかじめ指定された通知先(監視センタサーバ)に、障害が発生した旨の通知を行う。通知を受けた監視センタサーバでは、通知された障害を解析し、その内容に応じて、遠隔保守により、又は、保守員を現地に派遣して、障害事象の解析や解析用資料の採取を行い、或いは、故障部品の交換などを行う。
【0003】
ここで、被監視システムからの通報が頻繁に起こると、監視センタサーバ側の負担が増大するため、状況によっては、通報を抑止したい場合がある。例えば、キャッシュディスペンサの障害を検出するシステムにおいて、稼働開始時刻の直前に通信パスが設定されると、その時点で、電源断が通知されることがある。しかしながら、保守者が必要としているのは、キャッシュディスペンサが稼動すべき時間の中での障害に関する通報であり、このような稼働時間外の無駄な通報を抑止したいという要求がある。
【0004】
通報の抑止を行う技術としては、特許文献1に記載された技術がある。図6は、特許文献1に記載されたキャッシュディスペンサシステムを示している。複数のキャッシュディスペンサ50と、パケット交換機62とは、ネットワークの電話網61を介して接続されている。ネットワーク監視センタサーバ70は、ネットワーク60と接続されており、ネットワーク60内のパケット交換機62は、キャッシュディスペンサ50の障害を検出して、これをネットワーク監視センタサーバ70に通知する。
【0005】
キャッシュディスペンサ50には、稼動開始時刻と稼動終了時刻が設定されている。パケット交換機62は、現時刻が、キャッシュディスペンサの稼動開始時刻以後で稼動終了時刻以前であり、かつ、キャッシュディスペンサ50と電話網61との間の通信パスが設定されている場合に限り、キャッシュディスペンサ50の障害を、ネットワーク監視センタサーバ70に通知する。このようにすることで、通信パスの設定時に、キャッシュディスペンサ50の電源がまだオンにされていない場合でも、その時点が稼動開始時刻以前であれば、電源断の発生の通知を抑止できる。
【特許文献1】特開平07−056770号公報(図1、段落0010〜0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、障害発生の通報を受けて保守員が現地対応をする場合には、保守員が移動を開始してから、現地にて対象システムの保守を開始するまでには一定の時間を要する。従来の遠隔通報システムでは、保守員の移動中に、被監視システムにおいて新たな障害事象が発生した場合には、監視センタサーバには、その新たな障害事象が通知される。しかし、その障害事象が、保守員が現地に到着した後に処置をすれば済むような緊急性の低い事象であるときには、新たな障害事象の通知は、無駄な通報であるといえる。不必要な通報を行うことは、被監視システムにとっては、無用なデータ送信を行うことを意味し、また、監視システムにとっては、その通報を受信し、受信した通報に対応する監視、及び/又は、通報に対する対応を行う必要があることを意味している。
【0007】
特許文献1では、特定のネットワーク環境において、そのネットワーク状態に依存して通報要否を判断し、通報の抑止を行っている。このため、通信パスが設定されており、かつ、稼動時間内であるときには、障害事象が連続して発生すると、1回目の障害支障の通報により保守員が現地へ移動を開始したとしても、ネットワーク監視センタサーバには、障害事象が連続して通知されることになる。このように、特許文献1の技術では、保守を行う側の状況により、通報を抑止すべきか否かを判断することはできず、保守が予定されている場合でも、障害が発生すると、その障害の通報が必ず行われるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、通報を受ける側の状況に応じて通報の抑止が可能な通報装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の通報装置は、監視対象の情報システムで発生した通報事象を、通信回線を介して監視装置に通報する通報装置において、監視装置の状態を示す通報先状態情報を記憶する通報先状態情報記憶部と、通報事象が発生すると、前記通報先状態情報記憶部を参照して、発生した事象の通報を抑止するか否かを決定する通報制御手段と、前記通報制御手段によって、通報を抑止しないと決定された通報事象を、前記監視装置に通報する通報手段とを備え、前記通報先状態情報が、前記監視装置によって書き換え可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の通報方法は、コンピュータを用いて、監視対象の情報システムで発生した通報事象を監視サーバに通報する通報方法において、前記監視サーバが、該監視サーバの状態を示す通報先状態情報を記憶装置に記憶するステップと、前記コンピュータが、通報事象の発生を検知するステップと、前記コンピュータが、前記記憶装置を参照し、前記通報先状態情報に基づいて、発生した通報事象の通報を抑止するか否かを決定するステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の通報装置及び方法では、通報先の監視装置(サーバ)によって書き換え可能な通報先状態情報を参照して、発生した通報事象の通報を抑止するか否かを決定する。このため、例えば、保守を行う部門が、監視対象の情報システムの保守に向かっているような場合には、通報先は、自身の状態(事情)に応じて、監視装置から通報先状態情報に対する書き込みを行うことで、監視対象の情報システムからの不必要な通報を抑止させることができる。
【0012】
本発明の通報装置では、前記通報先状態情報が、前記監視対象の情報システムの監視を行うか否かを示す情報を含んでおり、前記通報制御手段は、前記通報先状態情報が監視を行わない旨を示すときには、発生した通報事象の通報を抑止すると決定する構成を採用できる。この場合、例えば契約終了により、通報を受け付ける必要がなくなった場合には、監視装置によって、通報先状態情報に、監視を行わない旨を示す情報を書き込むことにより、通報を抑止できる。
【0013】
本発明の通報装置では、前記通報先状態情報が、前記監視対象の情報システムの保守予定に関する情報を含んでおり、前記通報制御手段は、前記通報先状態情報に保守予定があるか否かに基づいて、発生した通報事象の通報を抑止するか否かを決定する構成を採用できる。この場合、保守が予定されており、通報を行う必要がないときには、その通報を抑止できる。
【0014】
本発明の通報装置では、前記保守予定に関する情報が保守開始予定日時を含む構成を採用できる。この場合、保守開始予定日時(時刻)を、通報を抑止するか否かの判断に用いることができる。
【0015】
本発明の通報装置は、通報事象の通報待ち許容時間を示す情報を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部を更に備え、前記通報制御手段は、前記通報先状態情報で示される保守開始予定日時と、通報事象発生時刻に通報待ち許容時間を加えた時刻を示す通報期限とを比較して、前記通報期限までに保守予定があるときには、発生した通報事象の通報を抑止すると決定する構成を採用できる。通報待ち許容時間は、例えば、緊急性を要する通報事象については短めに設定され、あまり緊急性を要しない通報事象については長めに設定される。この場合、緊急性が高い通報事象については、保守予定がある場合でも、その通報事象の発生を直ちに監視装置に通報することができる。
【0016】
本発明の通報装置は、通報事象を格納する通報待機事象データベースを更に備え、前記通報制御手段は、前記通報期限までに保守予定があるために、発生した通報事象の通報を抑止すると決定したときには、当該抑止する通報事象を前記通報待機事象データベースに格納する構成を採用できる。
【0017】
本発明の通報装置では、前記通報手段は、前記通報待機事象データベースに、通報期限が過ぎた通報事象があるときには、当該通報事象を前記監視装置に通報する構成を採用できる。このようにすることで、例えば保守開始が予定よりも遅れたような場合でも、発生した通報事象の通報が通報期限を切れても行われない事態を回避できる。
【0018】
本発明の別の視点の通報装置は、監視対象の情報システムで発生した通報事象を、通信回線を介して監視装置に通報する通報装置において、前記情報システムの保守開始予定日時を含む保守情報を記憶する保守情報記憶部と、通報事象の発生から通報を行うまでに許容される時間を示す通報待ち許容時間を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部と、通報事象が発生すると、前記保守情報記憶部及び前記通報定義情報記憶部を参照し、前記保守情報及び前記通報待ち許容時間に基づいて、通報事象の通報を抑止するか否かを判断する通報制御部とを備えることを特徴とする遠隔情報システム。
【0019】
本発明の別の視点の通報方法は、コンピュータを用いて、監視対象の情報システムで発生した通報事象を監視サーバに通報する通報方法において、前記コンピュータが、通報事象の発生を検知するステップと、前記コンピュータが、前記情報システムの保守開始予定日時を含む保守情報を記憶する保守情報記憶部、及び、通報事象の発生から通報を行うまでに許容される時間を示す通報待ち許容時間を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部を参照して、前記保守情報及び前記通報待ち許容時間に基づいて、通報事象の通報を抑止するか否かを決定するステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の別の視点の通報装置及び方法では、保守開始予定日時(時刻)と通報待ち許容時間とに基づいて、例えば、保守開始予定日時と、通報事象の発生時刻に通報待ち許容時間を加えた時刻(通報期限)とを比較して、通報を抑止するか否かを決定する。例えば、保守開始予定日時が通報期限よりも前であれば通報を抑止し、保守開始予定日時が通報期限よりも後であれば通報を抑止しない。通報待ち許容時間は、例えば、緊急性を要する通報事象については短めに設定し、あまり緊急性を要しない通報事象については長めに設定する。このようにすることで、保守予定がある場合には、あまり緊急性が要求されない通報事象を抑止させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の通報装置及び方法では、通報先の状態に応じて、通報の抑止を行うことができる。このため、通報先は、不必要な通報を抑止して、監視負担を軽減することができる。また、本発明の別の視点の通報装置及び方法では、あまり緊急性を要しない通報事象の通報待ち許容時間を長く設定することで、保守予定がある場合に、緊急性を要しない通報事象の通報を抑止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の通報装置を含む遠隔通報システムの構成を示している。遠隔通報システム100は、被監視システム10と、監視システム30とを備えている。被監視システム10と監視システム30とは、ネットワーク20により相互に接続されている。被監視システム10及び監視システム30は、それぞれプログラム動作により動作するコンピュータシステムとして構成される。被監視システム10は、故障の発生や空き資源不足の発生といった事象が発生すると、監視システム30に、発生した事象の通報を行う。監視システム30は、障害発生時には、遠隔保守により、或いは、保守員を派遣して現地保守を行うことにより、復旧作業を行う。
【0023】
被監視システム10は、通報制御部11と、通報定義情報記憶部12と、通報先状態情報記憶部13と、通報待機事象DB14とを備える。個別の通報事象には、通報識別子が与えられている。通報定義情報記憶部12は、各種事象の通報を定義する通報定義情報を記憶する。通報情報には、各障害事象についての、通報識別子と、通報先及び通報緊急度を示す情報を含む既存の定義情報とに加えて、通報待ち許容時間が含まれる。通報待ち時間は、部品交換を必要とするような事象に対応する通報事象については、0ないし数分といった短い時間が設定される。また、空き資源不足のような、対処までにある程度の時間を許容できる事象に対しては、数時間から数日といった比較的長い時間が設定される。通報先状態情報記憶部13は、通報先の状態を示す通常先状態情報を記憶する。通報先状態情報には、通報先の状態に応じて「監視対象」又は「非監視」を示す情報が格納され、保守予定がある場合には、保守開始予定日時(時刻)を示す情報が格納される。
【0024】
通報制御部11は、通報事象が発生すると、通報先状態情報記憶部13を参照して、通報を行うか否かを決定する。また、通報を行う場合には、通報定義情報記憶部12及び通報先状態情報記憶部13を参照して、直ちに通報を行うか、或いは、通報を抑止するかを決定する。通報制御部11は、直ちに通報を行うと決定したときには、発生した通報事象を、監視システム30に通報する。通報制御部11は、通報を抑止すると決定したときには、その通報事象の通報識別子、通報内容、通報事象が発生した日時、及び、通報事象発生時刻に通報待ち許容時間を加えた通報期限を、通報待機事象DB14に格納する。通報制御部11は、定期的に、通報期限が切れた通報待機事象が通報待機事象DB14登録されていないかを検査し、通報期限を過ぎた通報事象があるときには、その通報事象を、監視システム30に通報する。
【0025】
監視システム30は、監視センタサーバ31と保守センタサーバ32とを有する。監視センタサーバ31は、監視対象の被監視システム10の通報先状態情報記憶部13が記憶する通報先状態情報に、監視状態を示す情報として「監視対象」を書き込む。監視センタサーバ31は、被監視システム10からの通報を受信すると、その通報内容を解析し、保守が必要か否かを判断する。監視センタサーバ31は、保守が必要であると判断したときには、保守センタサーバ32に対して保守を行うように指示する。監視センタサーバ31は、障害通報の受信や定期保守の予定に応じて、通報先状態情報記憶部13が記憶する通常先状態情報に、保守開始予定日時を書き込む。保守センタサーバ32は、保守予定に従って、遠隔保守により、或いは、保守員を派遣することにより、被監視システム10の保守を行う。
【0026】
保守に当たっては、通報待機事象DB14に、通報待機事象が登録されているか否かを調査する。通報待機事象DB14に、通報待機事象が登録されているときには、障害通報に対応した保守、或いは、定期保守に加えて、その事象に対応した保守も併せて行う。通報待機事象に対応する保守が終了すると、通報待機事象DB14から、その通報待機事象が削除される。全ての保守が完了すると、通報待機事象DB14は何も登録されていない状態に初期化され、通報先状態情報記憶部13が記憶する通常先状態情報の保守開始予定日時は、保守開始予定日時が格納されていない状態に初期化され、或いは、次に定期保守の開始予定時刻が格納される。
【0027】
図2は、通報事象が発生した際の遠隔通報システムの動作手順をフローチャートで示している。被監視システム10において、通報事象が発生すると、通報制御部11は、通報先状態情報記憶部13を参照して、通報を行うか否かを決定する(ステップA1)。通報制御部11は、通報先状態情報記憶部13が記憶する通常先状態情報の「状態」が「非監視」であるときには、発生した通報事象の通報を行わずに処理を終了する。通報制御部11は、通報先状態情報記憶部13が記憶する通報先状態情報の「状態」が「監視対象」である場合には、通報先状態情報記憶部13を参照し、通報先状態情報の「保守開始予定日時」が登録されているか否かを判断して、直ちに通報を行うか否かを決定する(ステップA2)。通報制御部11は、通報先定義情報に保守開始予定日時が登録されていない場合には、既存の通報処理を実行して、通報先の監視システム30に対して、発生した通報事象に対応する通報を直ちに行う(ステップA3)。
【0028】
通報制御部11は、ステップA2で、保守開始予定日時が登録されていると判断したときには、通報定義情報記憶部12を参照して、その通報事象の通報待ち許容時間を取得し、通報事象の発生日時(時刻)に取得した通報待ち許容時間を加えた通報期限を算出する(ステップA4)。通報制御部11は、ステップA4で算出した通報期限と、保守開始予定日時とを比較し、保守開始予定日時よりも前に通報期限が切れるか否かを判断する(ステップA5)。通報制御部11は、保守開始予定日時よりも前に通報期限が切れると判断したときには、ステップA3に移行して、既存の通報処理を実行し、発生した通報事象に対応する通報を直ちに行う。通報制御部11は、保守開始予定日時よりも後に通報期限が切れると判断したときには、発生した通報事象を、通報待機事象として、通報待機事象DB14に登録する処理を行う(ステップA6)。
【0029】
図3は、通報待機事象DB14の検査処理の手順をフローチャートで示している。通報制御部11は、通報待機事象DB14に未検査の通報待機事象が登録されているか否かを調査し、登録されている場合には、通報待機事象DB14から通報待機事象を1つ読み込む(ステップB1)。通報制御部11は、読み込んだ通報待機事象の「通報期限」と現時刻とを比較し、通報期限が切れているか否かを判断する(ステップB2)。通報制御部11は、通報待機事象の「通報期限」が、現時刻よりも前の時刻であるときには、通報期限が切れていると判断して、ステップA3と同様にして、監視システム30に対する通報を行う(ステップB3)。その後、通報制御部11は、通報を行った通報待機事象を、通報待機事象DB14から削除する(ステップB4)。
【0030】
通報制御部11は、ステップB3で、通報待機事象の「通報期限」が現時刻よりも後の時刻であり、通報期限が切れていないと判断したときには、ステップB1に戻り、次の通報待機事象の検査を行う(ステップB5)。ステップB1で、通報待機事象DB14を調査した結果、登録された通報待機事象がない場合、又は、全ての通報待機事象について、通報期限が切れているか否かの検査が終了している場合には、処理を終了する。通報制御部11は、このような通報待機事象DB14の検査を定期的に実施して、通報期限が切れた通報待機事象についての通報を行う。
【0031】
本実施形態では、監視システム30は、保守開始予定日時を被監視システム10内に格納する。また、通報事象ごとに通報待ち許容時間を設定しており、通報事象が発生した際には、通報期限と保守予定開始日時とを比較して、保守開始予定日時が通穂期限よりも前であれば、その通報事象の通報を抑止する。このようにすることにより、通報期限となる前に保守が予定されている場合には、その通報事象の通報を抑止することができ、無駄な通報を抑止することで、監視負担を軽減できる。この場合でも、部品交換が必要な事象や緊急性の高い事象など、通報を抑止したくない事象については、通報待ち許容時間を短く設定することで、通報が抑止される事態を回避して、速やかに通報が行われるようにすることができる。
【0032】
本実施形態では、例えは、保守契約の終了により、被監視システム10が監視対象から外れた場合には、監視システム30が、通報先状態情報記憶部13が記憶する通報先状態情報の「状態」を「非監視」に書き換えることで、被監視システム10で通報事象が発生しても、監視システム30に対する通報を停止できる。このように、本実施形態では、通報を停止する際に、被監視システム10側で、個別の通報事象ごとに通報を抑止する情報を設定する必要がなく、監視システム30側から、簡易に、通報を停止させることができる。
【0033】
図4は、本発明の第2実施形態の遠隔通報システムの構成を示している。本実施形態の遠隔通報システム100aは、通報先状態情報が、被監視システム10外部の通報先状態格納サーバ40内の記憶装置に格納される点で、第1実施形態と相違する。通報先状態情報41は、図1の通報先状態情報記憶部13が記憶する通常先状態情報と同様な情報を有する。被監視システム10aは、通報事象が発生すると、通報先状態格納サーバ40にアクセスし、通報先状態情報41を参照して、図2に示す手順で、通報の実施又は抑止を決定する。
【0034】
監視システム30は、ネットワーク20を介して通報先状態格納サーバ40にアクセスし、「状態」、「保守開始予定日時」の情報を格納する。この場合、例えば通報先状態情報が格納されるサーバのサーバ名をDNS(Domain Name System)に格納しておき、直接的にサーバのアドレスを指定するのではなく、サーバ名を指定することで、監視システム30は、通報先状態情報が、図1に示すように被監視システム10内に格納されている場合、及び、図4に示すように通報先状態格納サーバ40に格納されている場合の何れについても、通報先状態情報を容易に書き換えることができる。
【0035】
被監視システム10は、セキュリティ確保のための処置として、外部のネットワークから情報を書き込むことができないような設定となっている場合がある。本実施形態では、そのような場合でも、通報先状態情報41が、被監視システム10の外部の通報先状態格納サーバ40に格納されているため、監視システム30が、通報先状態情報を書き換えることができ、無駄な通報を抑止することができる。
【0036】
図5は、本発明の第3実施形態の遠隔通報システムの構成を示している。本実施形態の遠隔通報システム100bは、監視システム30に、複数の被監視システム10a−1〜N(Nは2以上の整数)が接続される点で、第2実施形態と相違する。被監視システム10a−1〜Nは、それぞれ、第2実施形態の被監視システム10a(図4)と同様な構成を有する。被監視システム10a−1〜Nは、例えば同一組織或いは同一事業所に構築された複数のシステムの集合として構成される。各被監視システム10aは、通報先状態格納サーバ40に格納された通報先状態情報41を参照し、図2に示す手順で、通報の実施又は抑止を決定する。
【0037】
例えば、図1において、被監視システム10が複数あるときに、それら複数の被監視システム10からの保守を一括で行う場合には、監視システム30は、各被監視システム10に対して、個別に通報先状態情報41の保守開始予定日時を書き込む必要があった。本実施形態では、複数の被監視システム10a−1〜Nに対して、共通の通報先状態格納サーバ40を用いる。このため、監視システム30は、通報先状態格納サーバ40内の通報先状態情報41を書き換えることで、個別の被監視システムに対して、通報先状態情報を書き込まなくても、複数の被監視システム10a−1〜Nからの通報を一括で抑止することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、通報事象ごとに、通報待ち許容時間を設定したが、通報事象ごとに設定せずに、各通報事象の通報許容待ち時間を同じ時間に設定することもできる。また、通報待ち許容時間を設定せずに、通報事象の発生時刻と保守開始予定日時とを比較して、例えば通報事象の発生時刻が保守開始予定日時の12時間以内であれば通報を抑止して、その通報事象を通報待機事象DB14に格納するように構成してもよい。
【0039】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の通報装置及び方法は、上記実施形態例にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の通報装置を含む遠隔通報システムの構成を示すブロック図。
【図2】通報事象が発生した際の遠隔通報システムの動作手順を示すフローチャート。
【図3】通報待機事象DB14の検査処理の手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態の遠隔通報システムの構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第3実施形態の遠隔通報システムの構成を示すブロック図。
【図6】特許文献1に記載されたキャッシュディスペンサシステムを示すブロック図。
【符号の説明】
【0041】
100:遠隔通報システム
10:被監視システム
11:通報制御部
12:通報定義情報記憶部
13:通報先状態情報記憶部
14:通報待機事象DB
20:ネットワーク
30:監視システム
31:監視センタサーバ
32:保守センタサーバ
40:通報先状態格納サーバ
41:通報先状態情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の情報システムで発生した通報事象を、通信回線を介して監視装置に通報する通報装置において、
監視装置の状態を示す通報先状態情報を記憶する通報先状態情報記憶部と、
通報事象が発生すると、前記通報先状態情報記憶部を参照して、発生した事象の通報を抑止するか否かを決定する通報制御手段と、
前記通報制御手段によって、通報を抑止しないと決定された通報事象を、前記監視装置に通報する通報手段とを備え、
前記通報先状態情報が、前記監視装置によって書き換え可能であることを特徴とする通報装置。
【請求項2】
前記通報先状態情報が、前記監視対象の情報システムの監視を行うか否かを示す情報を含んでおり、前記通報制御手段は、前記通報先状態情報が監視を行わない旨を示すときには、発生した通報事象の通報を抑止すると決定する、請求項1に記載の通報装置。
【請求項3】
前記通報先状態情報が、前記監視対象の情報システムの保守予定に関する情報を含んでおり、前記通報制御手段は、前記通報先状態情報に保守予定があるか否かに基づいて、発生した通報事象の通報を抑止するか否かを決定する、請求項1又は2に記載の通報装置。
【請求項4】
前記保守予定に関する情報が保守開始予定日時を含む、請求項3に記載の通報装置。
【請求項5】
通報事象の通報待ち許容時間を示す情報を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部を更に備え、
前記通報制御手段は、前記通報先状態情報で示される保守開始予定日時と、通報事象発生時刻に通報待ち許容時間を加えた時刻を示す通報期限とを比較して、前記通報期限までに保守予定があるときには、発生した通報事象の通報を抑止すると決定する、請求項4に記載の通報装置。
【請求項6】
通報事象を格納する通報待機事象データベースを更に備え、
前記通報制御手段は、前記通報期限までに保守予定があるために、発生した通報事象の通報を抑止すると決定したときには、当該抑止する通報事象を前記通報待機事象データベースに格納する、請求項5に記載の通報装置。
【請求項7】
前記通報手段は、前記通報待機事象データベースに、通報期限が過ぎた通報事象があるときには、当該通報事象を前記監視装置に通報する、請求項6に記載の通報装置。
【請求項8】
監視対象の情報システムで発生した通報事象を、通信回線を介して監視装置に通報する通報装置において、
前記情報システムの保守開始予定日時を含む保守情報を記憶する保守情報記憶部と、
通報事象の発生から通報を行うまでに許容される時間を示す通報待ち許容時間を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部と、
通報事象が発生すると、前記保守情報記憶部及び前記通報定義情報記憶部を参照し、前記保守情報及び前記通報待ち許容時間に基づいて、通報事象の通報を抑止するか否かを判断する通報制御部とを備えることを特徴とする遠隔情報システム。
【請求項9】
コンピュータを用いて、監視対象の情報システムで発生した通報事象を監視サーバに通報する通報方法において、
前記監視サーバが、該監視サーバの状態を示す通報先状態情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記コンピュータが、通報事象の発生を検知するステップと、
前記コンピュータが、前記記憶装置を参照し、前記通報先状態情報に基づいて、発生した通報事象の通報を抑止するか否かを決定するステップとを備えることを特徴とする通報方法。
【請求項10】
コンピュータを用いて、監視対象の情報システムで発生した通報事象を監視サーバに通報する通報方法において、
前記コンピュータが、通報事象の発生を検知するステップと、
前記コンピュータが、前記情報システムの保守開始予定日時を含む保守情報を記憶する保守情報記憶部、及び、通報事象の発生から通報を行うまでに許容される時間を示す通報待ち許容時間を含む通報定義情報を記憶する通報定義情報記憶部を参照して、前記保守情報及び前記通報待ち許容時間に基づいて、通報事象の通報を抑止するか否かを決定するステップとを備えることを特徴とする通報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−185010(P2006−185010A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375572(P2004−375572)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】