説明

通気性積層物およびその製造方法

【課題】「通気性」フィルムの原材料は、従来使用されているポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンならびにそれらのコポリマーと比べると、比較的高価である。特殊化学薬品を必要とせず、むしろ、より経済的で広く利用可能な原材料を使用できる、通気性が高く、液体不透過性となる積層体を提供する。
【解決手段】通気性積層物が、さまざまな蒸気透過性を有する液体抵抗性裏打ちフィルム層を有し、裏打ちフィルム層は、通気性で薄い局所領域、および非通気性の、より厚い領域を含み、フィルム層は、液体および蒸気透過性の不織布に、同一の広がりを持って直接接合される。通気性積層物は、単方向の空気透過性を有することができる。本発明はまた、この通気性積層物を組み込んだ使い捨ての衣服および吸収製品、ならびに通気性積層物を作る方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、薄い通気性領域およびより厚い非通気性領域を含む、さまざまな蒸気透過性を有する液体抵抗性裏打ちフィルム層を含む通気性積層物に関し、フィルム層は、不織布と同一の広がりを持って直接接合接触している(co-extensive, directly-joined contact)。本発明は、通気性積層物を組み込んだ、使い捨ての衣服および吸収性製品、ならびに通気性積層物を製造する方法にも関する。
【0002】
〔発明の背景〕
使い捨ての個人用保護衣服および使い捨ての吸収性物品について、快適さ、例えば通気性および吸収性を犠牲にすることなく、液体、細菌、またはウイルスに対するバリアによる、より良い保護に対する必要性が増加している。
【0003】
蒸気または気体に対して透過性があるが、液体には実質的に不透過性である、蒸気または気体透過性で微小孔のある「通気性」材料が、過去に開発されてきた。フィルムポリマー製剤(film polymer formulation)において無機充填剤を用い、充填剤/ポリマー製剤を押し出してフィルムにし、その後、充填剤粒子の周りに空隙を作るよう十分にフィルムを機械的に伸ばしてフィルムを通気性にすることによって、これまで通気性がポリマーフィルムに与えられてきた。その後の別のプロセスで、このようにして無機充填剤で作られた通気性フィルムは、接着剤または点結合カレンダー(point-bonding calendar)を用いて不織ウェブと積層されて、軟質の織物様複合物を作り出すことができる。モノリシックな膜またはフィルムもこれまでに開発されており、ポリマー樹脂のモノリシックな膜またはフィルムは、樹脂自体の親水性の特徴により水蒸気を通過させるものである。これまでのこれらのモノリシックな膜/フィルムは、フィルムが液体に対するバリアとして作用するという意味では、「通気性」バリアであるが、重合プロセスで形成された分子レベルの断面サイズを備える通路を有している。これらの通路は、導管として役立ち、この導管により、水(または他の液体)の蒸気分子が、モノリシックな膜またはフィルムにわたる濃度勾配の結果としてフィルムを通過することができる。このプロセスは、活性拡散と呼ばれる。しかしながら、そのようなモノリシックな「通気性」フィルムの原材料は、従来使用されているポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンならびにそれらのコポリマーと比べると、比較的高価である。特殊化学薬品を必要とせず、むしろ、より経済的で広く利用可能な原材料を使用できる、フィルム中に通気性を与える解決策が、必要とされている。
【0004】
米国特許第6,087,551号は、不織布と、別個に予め形成された体液不透過性裏打ちシートとの間に位置付けられた吸収性コアを有する使い捨ての吸収性製品において身体側ライナーとして使用するのに適したマルチデニール不織布に関する。マルチデニール不織布は、高デニール繊維および低デニール繊維の均質なブレンドを含む、相互接続網織物熱可塑性ポリマー繊維要素から作られる。
【0005】
米国特許第6,087,551号に類似の米国特許第6,781,027号は、高デニール繊維および低デニール繊維の均質なブレンドで作られた混合デニールの不織布を含む複合構造体に部分的に関する。米国特許第6,087,551号に類似の米国特許第6,781,027号、ならびに米国特許第6,595,042号および同第6,946,585号は、介在吸収性コアを含む構造体において流体不透過性の裏打ちシートと組み合わせられた不織布を示す。これらの参考文献の不織布および裏打ちシートは、別個に予め形成された層として組み合わせられているようである。
【0006】
〔本発明の概要〕
本発明は、液体および蒸気透過性の不織布と同一の広がりを持って直接接合接触している、さまざまな蒸気透過性を有する液体抵抗性裏打ちフィルム層を含む通気性積層物に関する。通気性積層物の裏打ちフィルム層は、蒸気透過性で液体抵抗性である薄い局所領域と、蒸気不透過性で液体抵抗性である、より厚い領域と、を含む。裏打ちフィルム層は、熱可塑性樹脂含有組成物を含み、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1デシテックスの繊維と第2デシテックスの繊維とのブレンドを含む不織布に、同一の広がりを持つよう直接接合されている。第1デシテックスの繊維は、3.5〜15の範囲のデシテックスを有し、第2デシテックスの繊維は、0.5〜3.5の範囲のデシテックスを有する。第1デシテックスの繊維は、10重量%〜90重量%の量でブレンド中に存在し、第2デシテックスの繊維は、90重量%〜10重量%の量でブレンド中に存在する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、前記に示した混合デシテックスの繊維ブレンド不織布の表面上に押し出され、冷却されてポリマーフィルムをその上に形成する、通常非通気性のポリマー樹脂で構成された不織布およびフィルム複合物を含む、通気性積層物に関する。ポリマーフィルムの、より薄いフィルムエリア/ゾーンは、繊維ブレンドの第1デシテックスの繊維上に形成され、より厚いフィルムエリア/ゾーンは、不織布に含まれる繊維ブレンドの第2デシテックスの繊維上に形成される。単方向の空気透過性が、通気性積層複合構造体に形成され得る。
【0008】
別の実施形態では、通気性積層物は、使い捨て衣類、例えば使い捨ての医療用ガウンの一部を形成することができる。これらの特徴を含む通気性積層物はまた、例えば他の使い捨て製品、例えば医療用掛け布、おむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、アンダーパッド(underpads)、創傷ケア物品、拭き取り布、または、掛けることが可能な一体的シート様製品における吸収性、蒸気透過性および漏れバリア特性の組み合わせが有用である他の医療用、パーソナルケア用構造物もしくは産業製品、に使用されてもよい。
【0009】
別の実施形態では、フィルム形成ポリマー樹脂を不織布上に直接押し出し積層(コーティング)して、押し出しコーティングされた不織布を形成することにより、さまざまな蒸気透過性を備えた通気性積層物を製造する方法が提供され、不織布は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1および第2デシテックスの繊維を含む。押し出し積層は、押し出しコーティングされた不織布を形成するために、圧力ロールのニップ領域(nip region)で実行されることができる。押し出しコーティングされた不織布は、液体および蒸気に透過性の不織布に、同一の広がりを持つよう直接接合接触している、液体抵抗性でさまざまな蒸気透過性の裏打ちフィルム層を生成するために冷却される。不織布における混合デシテックスの繊維のブレンドは、押し出しポリマーフィルムと相互作用して、押し出し裏打ちフィルム層に蒸気透過性で液体抵抗性の薄い局所領域を形成することができ、この薄い局所領域は、押し出しポリマー樹脂を硬化させて、不織布に付着した、さまざまな蒸気透過性のフィルムにするのに十分なコーティング不織布を冷却した後とどまる。第1デシテックスの繊維はまた、フィルムに与えられるさまざまな通気性をさらに高めるために、第2デシテックスの繊維と化学組成が異なっていてもよい。
【0010】
前記の一般的な説明、および以下の詳細な説明の双方は、例示的で説明的なものであるにすぎず、主張する本発明のさらなる説明を与えることを目的としていることが、理解されるであろう。
【0011】
本出願に組み込まれ、かつその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態のうちいくつかを説明し、説明と共に、本発明の原理の説明に役立つものである。
【0012】
〔定義〕
本明細書で使用される用語「通気性積層物」は、フィルム層に付着した不織布を含む積層材料を指し、積層物は、ISO15106−3に従ったWVTR試験手順(水と直接接触した試験)を用いて、(不織布側から蒸気圧が加えられた状態で)少なくとも8グラム/m/24時間の水蒸気透過速度(「WVTR」)を有し、この試験手順については、本明細書の実施例の欄で説明する。水蒸気透過速度試験は、一般的に言えば、定められた一連の環境条件において所定の時間単位でフィルムの断面を横切って運ばれた蒸気の質量または容量を測定する。積層物のフィルム構成要素および不織布構成要素は、異なる通気性を有してよい。それにもかかわらず、積層物が通気性を呈する場合、積層物のフィルム構成要素および不織布構成要素それぞれが、少なくとも規定レベルまで通気性を有するという結果になる。積層物の不織布から層間剥離している押し出しフィルム単独の通気性を直接測定することに対する実際的な問題を考慮して、本明細書における目的での通気性は、フィルムを含め、積層物に基づいて測定される。
【0013】
本明細書で使用される「蒸気透過性の」は、通気性積層物またはフィルムを指す。示されたように、積層物が通気性を呈する場合、積層物のフィルム構成要素および不織布構成要素それぞれが、少なくとも規定レベルまで通気性を有するという結果になる。「蒸気不透過性の」積層物またはフィルムは、「蒸気透過性の」の規定された定義を満たすものではない。
【0014】
本明細書で使用される「液体抵抗性積層物」は、フィルム層に付着した不織布を含む積層物を指し、この積層物は、本明細書中実施例の欄に記載される静水頭(HSH)値試験手順(Hydrostatic Head (HSH) Value Test Procedure)を用いて10hPa(10mbar)/分(布側またはフィルム側から水圧が加えられる条件双方について)で測定すると、少なくとも5以上の静水頭値(hydrostatic head value)を有する。より高いHSH値は、より大きな液体バリア特性を示す。積層物が例えば身体ライナーとしての製品に使用される場合、布側から水圧が加えられた状態でのHSH測定は、不織布が吸い上げる液体の漏れに対する積層物の抵抗の尺度を与えることができる。フィルム側から水圧が加えられた状態でのHSH測定は、体液および液体化学製品などの液体がフィルム側から積層物内へ浸透することに対する積層物の抵抗の尺度を与えることができる。認識され得るように、使用される試験に伴う圧力条件は、通常の使用における材料には伴わない、いくらかの液体スループット(some liquid throughput)を誘導する場合がある。したがって、本明細書で言及する「液体抵抗性の」積層物は、示されたHSH試験プロトコルに基づいて、実質的に液体不透過性または完全に液体不透過性である。「液体透過性の」積層物は、「液体抵抗性の」の規定された定義を満たさない。
【0015】
本明細書で使用される「液体抵抗性のフィルム」または「液体抵抗性の裏打ちフィルム」は、不織布単独の場合と比べて、フィルム層に付着した不織布を含む積層物内に、フィルム側、布側またはその両方のうち少なくとも1つから液体が浸透するのを妨げるフィルムを指す。例えば、液体抵抗性のフィルムまたは液体抵抗性の裏打ちフィルムを含む積層物は、本明細書の実施例の欄で説明する静水頭(HSH)値試験手順を用いて、(フィルム側または布側から水圧が加えられた条件両方について)10hPa(10mbar)/分で測定すると、不織布単独に比べて少なくとも5%大きい静水頭値を有することができる。
【0016】
本明細書で使用される「薄い局所領域(“thinned thinned localized region” or “thinned localized regions”)」とは、蒸気透過性で液体抵抗性である、裏打ちフィルム層の1つまたは複数の領域を指す。薄い局所領域は、空隙の代わりに固体のフィルム組成物材料(例えば98容量%超)で本質的に全体が構成される。したがって、薄い局所領域は、本質的に固体のフィルム構造物であり、フィルム貫通孔、気道、または捕捉された気泡ではない。
【0017】
本明細書で使用される「より厚い領域(“thicker region” or “thicker regions”)」とは、蒸気不透過性で液体抵抗性である、裏打ちフィルム層の1つまたは複数の領域を指す。より厚い領域は、空隙の代わりに、固体のフィルム組成物材料(例えば99容量%超)で本質的に全体が構成される。本明細書の目的のため、フィルム層の厚さパラメータは、フィルムの、対向する主要面または側面に対して垂直に向けられる。より薄い領域およびより厚い領域は、実質的に、または完全に、互いに隣接していてよく、すなわち、これらの領域は、連続したフィルムの一部として直接結合し互いに接していてよい。
【0018】
本明細書で使用される「無孔の」とは、フィルムの対向側面(すなわち主要な表面)間に連続して延在する貫通孔および気道がないことを指す。本明細書で使用される「貫通孔」とは、通気性のためまたは他の理由で物理的加工により作られた穴で、フィルムの全体の厚さにわたって延びるものであり、フィルムの両側における開口部が、連続した気道により接続されている。
【0019】
本明細書で使用される「疎水性の」とは、水をはじく、官能基および/またはポリマー鎖構造体といった化学構造体を含むフィルムまたは他の材料を指す。
【0020】
用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、ホモポリマー、例えばブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマーおよび交互コポリマーなどのコポリマー、ターポリマーなど、ならびにそれらのブレンドおよび変形体を含むがこれらに限定されない。さらに、特に限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成は、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチックの対称性を含むがこれらに限定されない。
【0021】
本明細書で使用される用語「繊維」は、特に示さない限り、概して、連続したフィラメント、実質的に連続したフィラメント、およびステープルファイバー、ならびに直径より実質的に長い長さを有する他の繊維構造体を指すことができる。
【0022】
本明細書で使用される「デシテックス」は、10,000mの繊維当たりのグラム数として定義される。低いデシテックスは、より細かな繊維を示し、高いデシテックスは、より厚いまたは粗い繊維を示す。実際問題として、所定のタイプの繊維の梱(bale)または他の供給源は、いくつかの小さな変化が存在し得るので、正確には、全体にわたって単一のデシテックスではないかもしれない。本明細書で使用される場合、所定の第1の繊維(または、適用可能な場合、所定の第2の繊維)の少なくとも80%〜100%は、示されたデシテックス値の±7%以内の絶対デシテックス値を有する。例えば、15のデシテックスを有するべき、本明細書で述べる第1の繊維は、第1の繊維の80〜100%が14〜16の範囲のデシテックスを有することを意味する。
【0023】
円形断面を有する繊維について、デシテックスは、二乗し、グラム/mL(cc)単位の密度を乗じ、0.00786を乗じた、ミクロン単位の繊維直径などによって、その繊維の既知の繊維直径として、およその方法で計算されることができる。例えば、25ミクロン(μm)として与えられたポリプロピレン(PP)繊維の直径は、25を二乗し、その結果に0.89g/mL(cc)(PP繊維の密度)を乗じ、(1/100・π/4)または0.00785を乗じることによって、デシテックスに換算され得る。したがって、25ミクロンのポリプロピレン繊維は、約4.4(25x0.89x0.00785=4.4)のデシテックスを有する。米国では、測定単位は、より一般的にはデニールであり、これは、9000mの繊維当たりのグラム数として定義されている。デシテックスは、デニールx10/9としてデニール値から計算されることができる。
【0024】
本明細書で使用される「不織布」または「不織ウェブ」とは、織物を織るかまたは編むプロセスの助けなしで形成される繊維含有材料をさす。
【0025】
本明細書で使用される「層」は、X−Y平面に存在する類似の材料タイプまたは機能の、概ね認識可能な組み合わせとして定義される。
【0026】
本明細書で使用される「積層物」とは、互いに接合された2つまたは3つ以上の層を指し、これらは、共通のX−Y平面のかなりの部分を協調させる(interfacing)ものである。
【0027】
本明細書で使用される「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「有する(having)」または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、制限のないものであり(open-ended)、また、追加的な、列挙していない要素もしくは方法ステップを排除するものではないので、「含むが、それらに限定されない(including, but not limited to)」を意味すると解釈されるべきである。
【0028】
本明細書で使用される「のみからなる(consisting of)」は、特定されていないあらゆる要素、ステップまたは成分を排除するものである。
【0029】
本明細書で使用される「のみから本質的になる(consisting essentially of)」は、特定された材料またはステップ、および、本明細書でさらに説明するような、本発明の通気性積層物の基本的および新規な特性に物質的に影響を及ぼさないもの、を指す。
【0030】
〔本発明の詳細な説明〕
本発明は、同一の広がりを持つ構成で互いに直接付着した、不織布と、さまざまな蒸気透過性を有する液体抵抗性裏打ちフィルム層と、を有する、通気性積層物に関する。積層物の不織布構成要素は、異なる繊維サイズを有する繊維のブレンドを含有し、繊維ブレンドの、より粗い繊維は、積層物の製造中に、裏打ちフィルム層において、通気性のある薄い局所領域を与え得る。したがって、裏打ちフィルム層は、同じ繊維直径、同じ化学的性質、ポリマーフィルムに対する同じ接着特性、および同じ物理的特性、特に繊維弾性特性の繊維のみで形成された不織布表面上に押し出された場合に通常は通気性がないポリマー組成物から、形成されることができる。通気性積層物の裏打ちフィルム層に形成された通気性の薄い局所領域は、フィルム層の、より厚い非通気性フィルム領域によって少なくとも部分的に囲まれてよい。フィルム層の薄い局所領域およびより厚い領域は、液体に対する漏出バリアを形成するが、薄い局所領域(しかし、より厚い領域ではない)は、蒸気(例えば水蒸気)を裏打ちフィルム層に選択的に通すことができる。結果として得られた裏打ちフィルム層は、薄い通気性フィルム領域(点、線、および他の不連続領域など)と、隣接し取り囲んでいる、より厚い非通気性フィルム領域と、の組み合わせであってよい。例えば、不織布により吸収される体液などの液体は、裏打ちフィルム層のどの領域もほとんど通過できないが、蒸気は、薄い領域を通過できる(例えば水蒸気、アンモニアガスなど)。薄い局所領域を与えられた裏打ちフィルム層はまた、微生物(例えば細菌、ウイルス)が裏打ちフィルム層を通過することを排除するのにも有効であり得ると共に、水または気体蒸気をフィルム層に通す。
【0031】
本発明は、不織布とフィルムとの複合物を含む通気性積層物にも関し、これは、前述のような混合デシテックスの繊維ブレンドを有する不織布の表面上に押し出され、その上にポリマーフィルムを形成するよう冷却された、通常非通気性のポリマー樹脂を用いて構築されており、ポリマーフィルムの、より薄いフィルムエリア/ゾーンは、繊維ブレンドの、より粗い繊維(すなわち第1デシテックスの繊維)上に形成され、より厚いフィルムエリア/ゾーンは、繊維ブレンドの、より細かい繊維(すなわち第2デシテックスの繊維)上に形成される。単方向の空気透過性が、積層複合物構造体に形成されてよい。
【0032】
本発明の積層物の通気性フィルム構成要素は、液体移動および/または微生物移動に対するバリアを提供することができるが、蒸気、空気もしくはその両方の通過を許容するので、さまざまな適用があり、その多くが、皮膚と直接または間接に接触するものであり、これは、この性質の独自の組み合わせを活用できるものである。例えば、皮膚に非常に近接している場合、通気性積層物により、体を自然に冷却する、例えば余分な水分を蒸発させ、かつ/またはアンモニアなどの体液からの蒸気を放出させることができる。通気性積層物はまた、積層物の不織布構成要素に体液を制御可能に吸収する。不織布に吸収された液体は、液体抵抗性フィルムにより含有されて、衣類、寝具類、もしくはフィルムの布側の反対側のフィルムの外側に接触する他の表面上に積層物から液体が漏出することを防ぐかまたは低減することができる。また、通気性積層物は、1方向からのみ空気を通過させることができ、このことは、単方向の空気の流れがシート材料にわたり望ましい適用に有用となり得る。
【0033】
本発明の通気性積層物における裏打ちフィルム層の分離薄化(isolated thinning)は、一実施形態では、混合デシテックスの繊維ブレンドを含む不織布の表面上へ直接裏打ちフィルム層前駆体ポリマー材料を押し出し積層(コーティング)することにより、達成され得る。布の表面ならびに特性、例えば不織布繊維混合比、フィルムコーティング厚、および繊維サイズ、の制御により、不織布および裏打ちフィルム層は、裏打ちフィルム層の中に導入された薄い局所領域およびより厚い領域と共に接合されることができる。1サイズ(デシテックス)の繊維のみで形成された不織布に対して、同様の条件下で押し出し積層された場合に、別様に蒸気不透過性または非常に蒸気不透過性となるフィルムは、本発明の方法を用いて、さまざまな蒸気透過性のフィルムに変形され得る。本発明の実施形態のこのような方法により作られた積層物は、湿潤段階(wet stage)であっても、快適さ、例えば通気性および吸収性、ならびに液体および微生物の浸透に対するバリア特性を組み合わせている。さらに、広く使用され、より経済的な従来の熱可塑性物質は、親水性官能基(hydrophilic functionalities)を有する特殊ポリマーなどの比較的高価な原材料を使用する必要なく、本発明の通気性積層物のフィルム構成要素を形成するのに使用されてよい。また、通気性フィルム構成要素は、充填剤、または通気性をフィルムに与える伸長技術を使用する必要なく、積層物に設けられてもよい。
【0034】
これらの特徴を含む通気性積層物は、例えば、医療用ガウン、外科用掛け布、使い捨てのおむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、アンダーパッド、創傷ケア物品、拭き取り布、または他の医療用、衛生もしくはパーソナルケア製品などの、使い捨て製品に使用されることができる。示したように、使用中、身体側のライナーとして使用される場合の積層物の不織布は、積層物またはこの積層物を組み込む製品の使用者と接触するかまたは使用者に面する場合がある。通気性積層物はまた、建設業界、例えばハウスラップ(housewrap)、壁膜(wall membranes)、屋根膜(roofing membranes)、または他の建築もしくは建設用の膜もしくはシートなどに、使用されることもできる。
【0035】
本発明の通気性積層物は、ASTM E96−80(水と直接接触していない状態での試験、32℃、相対湿度50%)、ISO 15106−3(水と直接接触した状態での試験)、または、それら両方のWVTR試験手順を用いて、不織布側から蒸気圧を加えて測定した場合に、8g/m/24時間以上、または10g/m/24時間以上、または12g/m/24時間以上、または14g/m/24時間以上、または8〜150g/m/24時間、または10〜100g/m/24時間、または11〜75g/m/24時間、または12〜50g/m/24時間、または13〜40g/m/24時間、または13〜30g/m/24時間、または14〜25g/m/24時間、または15〜25g/m/24時間、または15〜40g/m/24時間、または20〜50g/m/24時間、または30〜100g/m/24時間、または50〜150g/m/24時間の水蒸気透過速度(WVTR)を有することができる。
【0036】
説明したように、示したWVTR値は、積層物全体の測定値を反映している。本発明の通気性積層物の裏打ちフィルム層は、フィルム表面にわたってさまざまな蒸気透過性を有する。通気性積層物は、複数の薄い局所領域およびより厚い領域を含んでよく、薄い局所領域は、蒸気透過性かつ液体抵抗性であり、より厚い領域は、蒸気不透過性かつ液体抵抗性である。したがって、蒸気透過性の変動は、積層物の隣接する混合デシテックスの不織布構成要素と関連して、フィルムの薄い局所領域およびより厚い領域により画定されたエリアに対する、制御または調節された変動性であってよい。裏打ちフィルム層は、例えば、1%〜30%の薄い局所領域と99%〜70%のより厚い領域、または2%〜25%の薄い局所領域(合計)と98%〜75%のより厚い領域、または4%〜20%の薄い局所領域と96%〜80%のより厚い領域、または6%〜17%の薄い局所領域と94%〜83%のより厚い領域、または他のパーセンテージから構成される、全表面積(二乗距離単位(square distance units)に基づくなど、例えばmm)を含むことができる。
【0037】
本発明の通気性積層物は、いくつかの実施形態では、本発明の積層物の不織布で使用される、より細かいデシテックスの繊維およびより粗いデシテックスの繊維の組み合わせと比べて、より細かいサイズのデシテックスの繊維のみを比較積層物の比較不織布が使用している点を除いて同様に作られた比較積層物と比べると、少なくとも5%以上、または少なくとも7%以上、または少なくとも10%以上、または少なくとも15%以上、または少なくとも20%以上、または少なくとも30%以上、または少なくとも40%以上、または少なくとも50%以上、または少なくとも60%以上の、前記のように測定された水蒸気透過速度(WVTR)を有することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の通気性積層物は、空気圧をフィルム側から加えて(または布側から吸引(suction drawn)して)本明細書の実施例の欄で示すように測定した場合など、少なくとも0.5L/m/s、または少なくとも1L/m/s、または少なくとも1.5L/m/s、または少なくとも2L/m/s、または少なくとも2.5L/m/s、または0.5L/m/s〜5L/m/s、または1L/m/s〜3L/m/s、または1.5L/m/s〜2.8L/m/sの、空気孔隙率(透過性)を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明の積層物は、前述のとおり測定して(すなわち、フィルム側ので圧力、もしくは布側での吸引の状態で)少なくとも0.5L/m/s、または前述した他の空気孔隙率範囲のうちの1つの空気孔隙率、および、0.1L/m/s(例えば0〜0.1L/m/sもしくは0〜0.01L/m/sもしくは0〜0.001L/m/s)未満の反対側の空気孔隙率(すなわち、布側の圧力もしくはフィルム側の吸引)を有することができる。
【0039】
本発明の通気性積層物は、いくつかの実施形態では、フィルム側から水圧を加えて測定すると、10hPa(10mbar)/分で3以上、または10mbar/分で5以上、または10mbar/分で10以上、または10mbar/分で20以上、または10mbar/分で30以上、または10mbar/分で35以上、または10mbar/分で5〜100、または10mbar/分で20〜50、の静水頭を有することができる。通気性積層物は、布側に水圧を加えて測定すると、10mbar/分で3以上、または10mbar/分で5以上、または10mbar/分で10以上、または10mbar/分で15以上、または10mbar/分で3〜50、または10mbar/分で5〜25、または10mbar/分で10〜20、の静水頭を有することができる。本発明のいくつかの実施形態による液体抵抗性フィルムを含む積層物は、本明細書の実施例の欄で説明する静水頭(HSH)値試験手順を用いて、10mbar/分(布側もしくはフィルム側から圧力が加えられている両条件について)で測定すると、混合デシテックスの繊維の記載したブレンドを含む非積層不織布に比べ、少なくとも10%以上、または少なくとも15%以上、または少なくとも20%以上、または少なくとも30%以上、または少なくとも40%以上、または少なくとも50%以上、または少なくとも60%以上、の静水頭値を有することができる。
【0040】
本発明の積層物に使用される裏打ちフィルム層は、可撓性ポリマーフィルム材料を含んでよく、この材料は、フィルムを通じた液体の移動に対する、少なくとも部分的または完全なバリアを形成するが、本発明の方法および構成によりフィルムに設けられる薄い局所エリア/領域を蒸気が通過することを可能にする。裏打ちフィルム層は、可撓性フィルムに形成され不織布表面に付けられることができる、押し出し可能なポリマー樹脂から形成されてよい。ポリマーフィルムを形成するよう押し出される、押し出し可能なポリマー樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、もしくはポリ塩化ビニリデン、またはそれらの任意のコポリマーもしくは物質的ブレンドであってよい。熱可塑性樹脂はさらに、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメタクリレート(EMA)、またはそれらの任意の共押出物(coextrusion)もしくはブレンドであってよい。均質なフィルム組成物を、一実施形態では使用することができる。
【0041】
ポリマーフィルムを作るため押し出されたポリマー樹脂は、混合デシテックスの不織布表面上に直接押し出される液体抵抗性裏打ちフィルムにおける蒸気透過性で薄い局所領域またはより厚い蒸気不透過性領域の前記の形成を損なわない範囲で、フィルム形成ポリマー溶融物に使用される従来の処理および性能添加剤(conventional processing and performance additives)と混ぜ合わせられるか、またはその添加剤を含有してよい。従来の押し出しフィルム添加剤には、例えば着色剤、UV防止剤、流動促進剤(flow promoters)など(液体またはペレット形態)が含まれる。使用される場合、添加剤は、押し出しホッパーに届けられる前に樹脂と混合されてよい。
【0042】
一実施形態では、本発明に従って不織布表面においてポリマー樹脂から押し出されたポリマーフィルムは、2容量%未満、または1.5容量%未満、または1容量%未満、または0.5容量%未満の、内部多孔度を有する。本明細書で使用される内部多孔度は、フィルムの外側主要面または側面間でフィルムの体積内に定められる全体的な内側空隙を指す。一実施形態では、裏打ちフィルム層の蒸気透過性で薄い局所領域は、少なくとも10%以上、または少なくとも15%以上、または少なくとも25%以上、または少なくとも50%以上だけ、そのような領域において、裏打ちフィルム層の、より厚い領域とは、フィルムの厚さが異なる、すなわち、より薄いフィルム厚さを有する。
【0043】
不織布に使用される異なるデシテックスの繊維は、0.5〜15のデシテックスを有してよく、使用する第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維は、少なくとも1デシテックスだけ異なるか、または少なくとも2デシテックスだけ異なるか、または少なくとも3デシテックスだけ異なるか、または少なくとも4デシテックスだけ異なっていてよい。また、第1デシテックスの繊維は、3.5〜15のデシテックスを有してよく、第2デシテックスの繊維は、0.5〜3.5のデシテックスを有してよい。あるいは、第1デシテックスの繊維は、4〜12のデシテックスを有してよく、第2デシテックスの繊維は、0.8〜3.5のデシテックスを有してよい。あるいは、第1デシテックスの繊維は、5〜8.5のデシテックスを有してよく、第2デシテックスの繊維は、1〜2.5のデシテックスを有してよい。あるいは、第1デシテックスの繊維は、5.5〜8のデシテックスを有してよく、第2デシテックスの繊維は、1.5〜2.25のデシテックスを有してよい。本明細書には、2つの異なるデシテックスの繊維を組み合わせるものとして例示しているが、不織布を作るのに使用される繊維ブレンドは、オプションとして、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維の双方と異なるデシテックスを有する、1つまたは複数の追加の繊維を含むことができる。
【0044】
不織布において異なるデシテックスの繊維それぞれに使用される繊維材料は、合成のものでも、天然のものでもよい。使用され得る合成繊維材料には、例えば、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、レーヨン(例えばビスコースレーヨン)、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリアクリレート、またはそれらの任意のコポリマーもしくは組み合わせなどの、合成ポリマー繊維が含まれる。不織布を形成するのに使用される、異なるデシテックスを有する繊維は、例えば、同じかまたは異なるタイプの繊維材料を含むことができる。フィルムポリマーが依然として溶融状態であるときに、フィルムを押し出し積層する間、異なるポリマーの流動を提供することなどによって、より細かい(より薄い)繊維より粗い(より厚い)、異なるポリマーで形成された繊維を使用することに、利益が関連していてよい。均質な繊維、マルチコンポーネント繊維(例えば、シース−コア繊維、バイコンポーネント繊維、コンジュゲート繊維)、またはそれらの任意の組み合わせを使用することができる。
【0045】
混合デシテックスの繊維を有する不織布は、目の粗い繊維(loose fibres)(例えば、形成されたメルトブローン繊維または刻まれた連続フィラメント)を組み込むことができる。概して、従来のメルトダウンプロセスでは、溶融ポリマーが、スピナレットまたはダイのオリフィスを通して圧力下で押し出される。溶融ポリマーフィラメントがダイを出るとき、高速の空気がそれらのフィラメントにぶつかりフィラメントを運ぶ(entrains)。この工程のエネルギーは、形成されたフィラメントの直径が大きく減少し、フィラメントが砕かれて、有限長の繊維を生じさせる(すなわちメルトダウン繊維)ようなものである。これは、ウェブに紡がれたひと続きのフィラメント(continuity of the filaments)が本質的に保存される、スパンボンドプロセスとは異なる。このようにして形成された第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維の梱は、空気混合チャンバで徹底的に混合され、その後、カーディングされてカードウェブを形成するか、または小孔形成構造体(foraminous forming structure)の上に無作為に置かれて、本明細書に説明したような方法で統合されさらに処理され得る不織ウェブを形成することができる。
【0046】
代わりに、不織布に使用される混合デシテックスの繊維は、連続フィラメント層である繊維を含んでよい。連続フィラメントは、従来の「スパンボンド」プロセスにより製造されることができる。スパンボンドプロセスは、溶融ポリマーを供給することを含み、溶融ポリマーはその後、スピナレットまたはダイとして知られるプレートの多数のオリフィスを通して、圧力下で押し出される。結果として得られる連続フィラメントは、スロットドローシステム(slot draw systems)、減衰器ガン(attenuator guns)、またはGodetロールなど、いくつかの方法のうち任意のものにより、急冷されて引き出される。連続フィラメントは、ワイヤメッシュコンベアベルトなど、移動小孔面上で、目の粗いウェブとして集められる。異なるデシテックスを有する連続フィラメントから形成された不織ウェブを提供するため、2つ以上のスピナレットを使用して、異なるサイズ(デシテックス)を有する異なるスピナレットから異なるフィラメントを同時に押し出すことができる。連続フィラメントが0.6m以上などの、比較的長いセグメントに切断されている場合は、実質的に連続したフィラメントも、使用することができる。
【0047】
単層または複層の不織布を形成するプロセスは、連続していてよい、すなわち、プロセスの工程は、第1の層を形成するフィラメントの押し出しから、統合された布またはウェブが裏打ちフィルム層で押し出しコーティングされ、結果として生じた複合積層物がロール状に巻かれるまで、不断であってよい。
【0048】
例示された一実施形態では、不織布を形成するのに使用される繊維ブレンドは、例えば、10重量%〜90重量%のポリエステル繊維および90重量%〜10重量%のビスコースレーヨン繊維、または20重量%〜80重量%のポリエステル繊維および80重量%〜20重量%のビスコースレーヨン繊維、または30重量%〜70重量%のポリエステル繊維および70重量%〜30重量%のビスコースレーヨン繊維、または35重量%〜65重量%のポリエステル繊維および65重量%〜35重量%のビスコースレーヨン繊維、または40重量%〜60重量%のポリエステル繊維および60重量%〜40重量%のビスコースレーヨン繊維、のブレンドを含むことができる。これらのブレンド比率のいずれかを含む不織布は、例えば、5〜8.5のデシテックスを有するポリエステル繊維、および1〜2.5のデシテックスを有するビスコースレーヨン繊維をさらに含むことができる。不織布の第1および第2の繊維の目が粗い(loose)場合(例えばステープルファイバー)、目の粗い繊維は独立して、例えば、1mm〜500mmの長さ、または5mm〜250mmの長さ、または10mm〜150mmの長さ、または15mm〜100mmの長さ、または20mm〜75mmの長さ、または25mm〜50mmの長さを有することができる。
【0049】
繊維のブレンドはまた、前述した、不織布表面上での押し出し積層により形成された裏打ち層フィルムの蒸気透過性で薄い局所領域の形成を損なわない程度に、従来の添加剤を含有してよい。例えば、繊維はオプションとして、繊維、および/または繊維上にコーティングされた表面の製造中、内側に導入される処理および性能添加剤を後処理(post-treatment)として含むことができる。内側の繊維添加剤には、例えば、着色剤(例えば無機顔料、有機顔料、染料)、充填剤、界面活性剤、湿潤剤、UV安定剤、酸化防止剤、またはそれらの組み合わせが含まれる。表面コーティングには、例えば、防火剤、界面活性剤、湿潤剤、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0050】
不織布はまた、第1および第2デシテックスの繊維のブレンドを含有する、裏打ちフィルム層に直接隣接した不織布層、ならびに、裏打ちフィルム層に対して、混合デシテックスの繊維を含む不織布の反対側に配列された1つまたは複数の追加の不織布層を含む、多層の繊維構造を有することができる。例えば、第1および第2デシテックスの繊維を含有する第1の不織布層によって裏打ちフィルム層から分離された第2の不織布層が含まれてよく、第1の不織布層は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維のブレンドであり、第2の不織布層は、デシテックスが同じかまたは異なっていてよい第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維の第2のブレンドである。例えば、第2の不織布層は、例えば、0.5〜15デシテックスの範囲の繊維のブレンドを含んでよく、その繊維は全て、0.25デシテックス未満だけ、デシテックスが異なる。
【0051】
本発明の不織布は、例えば、ハイドロエンタングル(hydroentanglement)、熱結合(thermobonding)、化学結合、機械結合(例えばカーディング)、またはそれらの任意の組み合わせによる統合を含む、従来のプロセスを用いて形成されることができる。これらの製造プロセスでは、最初のプロセス工程は、連続した目の粗い(例えばステープル)繊維について示されたものなど、目の粗い(すなわちステープル)第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のウェブの形成であってよい。概して、統合された不織布は、十分な構造的完全性を備えて、本明細書で説明したものなどの、押し出し積層処理に耐える。
【0052】
ハイドロエンタングルおよび/または化学結合を用いた統合プロセスとして、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維を有する不織布は、裏打ちフィルム層がその上に押し出し積層される前に、結合組成物でハイドロエンタングルおよび処理され得る。例えば、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のウェブが、前記のように形成され、繊維を水圧でもつれさせることができる、一連の水スプレーノズルを備えた、片側ベルトエンタングラー(single side belt entangler)などのハイドロエンタングルステーション、ハイドロエンタングル形成ドラム、またはその両方を通過することができる。もつれたウェブは、次に脱水され、結合剤印刷ステーションへと送られてよく、ここで、結合剤が不織布に添加される。結合剤を含む不織布は次に、オーブンで乾燥および硬化されることができる。結合剤は、例えば、アクリル、エチレン酢酸ビニル、アクリル酸ビニル(vinyl-acrylic)、およびスチレンブタジエンゴム系結合剤、またはそれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つから選択された、結合剤材料を含むことができる。結合剤は、例えば、アクリルもしくはエチレン酢酸ビニル(EVA)タイプの結合剤の水溶液を含むことができる。単一結合剤コーティング、または異なるタイプの結合剤の別個のコーティングは、例えば含浸、印刷、またはコーティングによって不織布に加えられてよい。不織布に加えられる結合剤の割合は、例えば、不織布の総重量に対して2.5重量%〜30重量%であってよい。従来の添加剤が、不織布に加えられる結合剤に含まれてよい。例えば、不織布に加えられる結合剤に、顔料がオプションとして含まれてもよい。
【0053】
不織布の統合に熱結合プロセスを用いる場合、熱点結合(thermal point bonding)が使用されてよく、この熱点結合では、結合されるべき第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のウェブが、平坦なアンビルロールと、加熱されたエンボス加工ロールまたはパターン化カレンダーロールとの間を通過でき、これらが、繊維を結合し、ウェブを不織布へと安定化させる。代替的な熱結合プロセスは、熱風をウェブに当てて、その可溶性の結合剤成分を溶かすことを含むことができ、このプロセスは、通気結合プロセス(through-air bonding process)としても一般的に知られている。繊維状ウェブは、真空下で低融点の粉末ポリマーをスプレーされ、その後、オーブンで通気結合されてよく、または、結合剤成分は、粉末ポリマーの代わりに繊維であってもよい。
【0054】
本発明に従って形成される通気性積層物は、12〜30g/mの坪量を有する裏打ちフィルム層、および25〜120g/mの坪量を有する不織布、または15〜25g/mのフィルム、および40〜100g/mの坪量を有する不織布、または18〜23g/mのフィルム、および50〜75g/mの坪量を有する不織布を含むことができる。前記のとおり、不織布は、多層構造を含んでよく、裏打ちフィルム層に隣接する、その少なくとも1つの層は、第1デシテックスおよび第2の繊維のブレンドを含有する。これらの不織布重量は、第1および第2デシテックスの繊維から排他的に形成された不織布、または、必ずしも第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のブレンドを含まない他の不織布層と組み合わせられた層に当てはまり得る。
【0055】
仕上げられた通気性積層物の裏打ちフィルム層は、例えば0.03〜0.3mmの厚さを有してよく、不織布は、例えば0.25〜1.25mmの全体的な厚さを有してよい。
【0056】
裏打ちフィルム層は、裏打ちフィルム層および不織布の向かい合う表面エリアの少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%など、不織布の主な表面エリアにわたって、不織布と、同一の広がりを持つよう(co-extensively)直接接触している。裏打ちフィルム層と不織布との間にもたらされる、同一の広がりを持つ直接接触は、それぞれの対面構成要素の幾何学上の中心領域を含み得る。例えば、裏打ちフィルム層および不織布が、シート形態の材料において、それぞれの長さおよび幅寸法を有する場合、裏打ちフィルム層および不織布構成要素は、2つの構成要素の幅および/または長さ寸法に対して、直接付着した中間領域を含む。
【0057】
多様な通気性を有する積層物を形成するための、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維を有する不織布に対する裏打ちフィルム層の直接付着は、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維を含有する不織布の表面上に押し出しコーティングされた際の裏打ちフィルム層の相互作用によって、排他的に達成され得る。例えば、これらの相互作用は、フィルムの特殊ポリマー、フィルム添加剤、および/または伸長プロセスを使用せずに、後にフィルム冷却機構(チルロールまたは他の冷却手段を使用するなど)が続く、一対の圧力ロールのニップ領域で生じてよい。
【0058】
通気性積層物を作る方法は、通気性積層物を提供するため、熱可塑性樹脂含有組成物を含むフィルムを、不織布上に直接押し出す工程を含んでよく、不織布は、0.5〜15デシテックスの範囲の第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維のブレンドを含み、第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維は、少なくとも1デシテックスだけ異なる。第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維は、それぞれの異なるデシテックス範囲値を有してよく、また、本明細書の別の箇所で示されたような割合でブレンド中に存在することができる。第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維を含有する不織布の表面上にフィルムが押し出された後、フィルム層および不織布が、例えばニップロールなどの圧力ロールを用いた熱結合によって、結合され、積層物は、冷却または冷蔵されて、本発明の通気性積層物を生成することができる。第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のブレンドは、その上に押し出された液体抵抗性裏打ちフィルム層と相互作用して、蒸気透過性で液体抵抗性の、薄い局所領域を裏打ちフィルム層に形成し、この領域は、フィルム層が押し出された不織布の冷却後、永続的に残る。
【0059】
代表的な直接押し出しフィルムプロセスは、以下のとおりである。ブレンドおよび投与貯蔵部は、熱可塑性ポリマー樹脂チップまたはペレットおよびオプションの任意の添加剤のために少なくとも1つのホッパーローダーを含んでよく、ホッパーは、チップまたはペレットを、可変速度オーガーの中に送る。可変速度オーガーは、所定量のポリマー樹脂チップまたはペレットおよび任意の添加剤を混合ホッパー内へ移すことができる。混合ホッパーは、混合プロペラを含んでよく、この混合プロペラは、作動されると、混合物の均質性をさらに高めることができる。混合されたポリマー樹脂チップまたはペレットおよび任意の添加剤は、マルチゾーン押出機の中に送られることができる。混合されマルチゾーン押出機から押し出されると、流動性ポリマー化合物が、スクリーンチェンジャーを通して加熱ポリマーパイプにより運ばれてよく、異なるスクリーンメッシュを有するブレーカープレートが用いられて、固体または半溶融ポリマー樹脂チップまたはペレットおよび肉眼で見える他の破片を保持する。混合されたポリマーは次に、溶解ポンプの中に入れられ、その後、押出ダイに直接送られるかまたはオプションの配合ブロックを経由することができる。配合ブロックは、使用される場合に、複数のフィルム層を押し出すことができ、フィルム層は、前記のとおり異なるシステムから送られる場合、同じ組成または異なる組成である。配合ブロックは、使用される場合に、押出ダイに接続される。押出ダイは、溶融フィルムが第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維を有する不織布の上面に堆積されるように、頭上式の向き(overhead orientation)に位置付けられ、不織布、およびその上に押し出されたフィルムは、結合のため、1組のニップまたは圧力ロールを通過できる。
【0060】
ダイにより押し出されるポリマー材料は、流動状態の熱可塑性樹脂含有組成物を含む。ポリマー材料を含有するフィルム層の、不織布に対する積層は、フィルム層が押し出される布を、圧力ロールのニップ領域に通して、強力な接着(すなわち良好な積層)を形成することにより、実行され得る。ポリマー樹脂が押し出される温度は、フィルム材料の組成に応じて変化してよい。例えば、低密度ポリエチレン(すなわちLDPE)熱可塑性樹脂含有組成物は、300℃超の温度で押し出されてよい。熱可塑性樹脂含有組成物は、連続した薄いフィルムを不織布表面上にコーティングするのに有効なダイ開口部を備えるスリットダイから押し出されてよい。ダイ開口部は、例えば0.5mm〜0.8mmであってよく、例えば300℃超の温度でLDPEを押し出すのに使用される。チルロールは、押し出しフィルムを制御された速度で冷却するのに使用されてよい。例えば、フィルム層が不織布に結合され得るニップ領域を形成する圧力ロールのうち1つは、例えば、樹脂フィルムでコーティングされた不織布が内部を通って運ばれ得るチルロールの反対側に位置付けられることもできる。チルロールは、フィルム層冷却プロセス中、例えば32℃未満、または25℃未満、または20℃未満の温度で保たれ得る。チルロールの表面デザインは、異なる空気透過特性をもたらすよう変えられてよく、例えば、チルロールは、マットクロムめっきの表面を有してよい。不織布における第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維のブレンドの組成、押し出しフィルムの組成、ダイ出口における押し出しフィルムの温度、ダイ開口部のサイズおよび構成、ならびに、押し出し速度などのパラメータは、薄い局所領域がいったん冷却された通気性積層物に永続的に形成されるように、制御されてよい。これらのパラメータの例示的組み合わせは、実施例に含まれるが、それらに限定されない。
【0061】
本明細書には裏打ちフィルム層および付随する単一の不織布として例示されるが、本発明の通気性積層物はまた、他の層も有してよい。例えば、フィルムは、同じかまたは異なる特性を有し、かつフィルム層の各側面に付着した、不織布層の中間に挟まれてよい。この構成により、片側または両側からの空気透過性および/または吸収性を達成することができる。また、別の構成では、フィルムは、不織布とフォーム層との中間に挟まれるように押し出されてよい。フォーム層および不織布は、液体を吸収でき、裏打ちフィルム層は、液体バリアを形成して、液体を含有すると共に、気体および蒸気が不織布またはフォーム層の側から通過または「呼吸」することを可能にできる。
【0062】
本発明は、本発明の単なる例示であることが意図される、以下の実施例によりさらに明確になる。
【0063】
〔実施例〕
実施例1:
以下でさらに詳細に説明する不織布サンプルAおよび1が、以下に説明するそれぞれの試験方法に従って、空気孔隙率性能、静水頭性能、破裂強度性能、バリア指数性能、引っ張り強度性能、吸収性能、層間剥離強度性能、および水蒸気透過速度(WVTR)について測定された。
【0064】
試験方法:
空気孔隙率(試験方法 ENISO 9237: 1995)
静水頭(試験方法 EN20811: 1992)
水蒸気透過速度(試験方法 ASTM E96−80; ISO 15106−3)
破裂強度(試験方法 EN 13938−1: 1999)
バリア指数(試験方法 ISO 22610: 2006)
引っ張り強度(試験方法 EN29073−3: 1992)
吸収(試験方法 EN29073 パート6(120mm金属フレーム上で支持された排水装置))
吸収(試験方法 EN29073 パート6(円筒形ワイヤバスケットを備えた排水装置))
【0065】
層間剥離強度:
積層不織布の層間剥離強度を決定するため、以下の材料および手順を用いる。
【0066】
1.器具:
切断ボードおよび切断ダイ;Instron 引っ張り試験装置、モデル1026;ジョーの隙間:10cm;ジョークランプの幅:5cm;ジョーの横断速度:100mm/分
【0067】
2.サンプリングおよび試験手順:
標準方法ERT130.2(1999)に従って、各方向について5片の積層サンプルを切り抜く(縦および横方向)。サンプルは、(50±0.5)mm幅、および最小250mm長さに、はっきりと切り抜かれなければならない。約12cmにわたり積層材料を層間剥離する。引っ張り機器のジョーの間に層間剥離端部を10cm離して置く。試験片は、プレストレスを加えずに、できるだけ真っ直ぐにしなければならない。100mmの距離にわたり100mm/分の一定速度の伸長力を加え、平均力を記録する(平均力を計算するためInstron からソフトウェアパッケージとして利用可能)。クランプにおいて破損が生じた試験片からの結果を捨てる。各方向について5回操作を実行する。各特性の平均、および結果の標準偏差を必要に応じて決定する。
【0068】
3.試験条件:
相対湿度:65%±2%、温度:20℃±2℃
【0069】
水蒸気透過速度(WVTR):
前記のとおり、WVTRは、ASTM E96−80およびISO 15106−3によって決定され得る。
ASTM E96−80:「材料の水蒸気透過についての標準試験方法」、水法(water method)、手順D(相対湿度50%、32℃)。これは、湿気のある条件下で、ただし発汗した汗(perspiration sweat)または水分と直接接触せずに、サンプル材料から構築されたガウン材料を使用する条件に、最良のシミュレーションをもたらす。
【0070】
ASTM E96−80の目的で、水蒸気透過は、どれだけの水蒸気が単位時間当たりに単位面積につき材料を通過するかの尺度である。試験は、乾燥剤または水分を含有する試験皿の開口に対して検体をシールし、その組立体を制御された雰囲気中に置くことによって行われる。試験ユニットは、定期的に重さを量られ、その重量は、時間の関数としてプロットされる。水蒸気透過が、皿開口部のエリアで分割された(線形領域における)曲線の傾きとみなされる。例えば、WVTデータについて試験時間(t)(横座標値)に対する重量増加(G)(縦座標値)をプロットする際、初期データは、非線形であってよく、その後に、Gとtデータとの間の線形関係を、増加する試験時間の関数として示すデータが続き、プロットデータの線形部分は、WVT計算に使用される。水蒸気透過速度(g/h.m)は、式:WVT=G/t/A=(G/t)/Aを用いて計算され、式中、Gは重量増加であり、tは試験時間であり、Aは試験エリアの面積(皿開口部の面積)である。
【0071】
ISO 15106−3:「水蒸気透過速度の標準試験方法、パート3」は、電解検出センサー法を使用し、電解原理は、高い感度で高い精度/精密さのデータを提供する。この電解検出センサー法も、水と直接接触した23℃の試験条件と共に選択される。この条件は、発汗した汗または水分と直接接触している場合の、サンプル材料から構築されたガウン材料を模倣したものである。
【0072】
ISO 15106−3のパート3(電解検出センサー法)に従った水蒸気透過速度の決定において、検体は、乾燥チャンバと、食塩水または規定の硫酸溶液もしくは水で飽和した、湿気のあるチャンバ(dry and humid chambers saturated saline or defined sulphuric acid solutions or water)との間でクランプされる。検体の2つの側面間での湿度の差異により、水蒸気は、高湿度チャンバから低湿度チャンバへ透過する。低湿度チャンバでは、水蒸気が、乾燥したキャリアガスによりセンサーに運ばれ、そうしているうちに、センサーは、電解信号を生成する。それらの信号を分析および計算することによって、グラム/m 24時間(g/m・24時間またはg/m・日またはg/m・d)での水蒸気透過速度を決定することができる。
【0073】
不織布1:
66グラム/m(g/m)坪量の不織布サンプル1が、カーディングされた異なる繊維ブレンドの2つの層をハイドロエンタングルし、結合剤印刷し、不織布を乾燥させることによって、生成された。不織布サンプル1を作るのに使用したプロセス100は、概して図1に示される。第1の不織布層(「層1」)は、65重量%のビスコースレーヨンステープルファイバーと、35重量%のポリエステルステープルファイバーとを含み、第2の不織布層(「層2」)は、65重量%のポリエステルステープルファイバーと、35重量%のビスコースレーヨンステープルファイバーとを含んだ。層1および2のビスコースレーヨン繊維は、LenzingビスコースレーヨンTD(デシテックス1.7、ステープル長40mm、直径:12.52μm、比重:1.38g/cm)の製品名でLenzingから入手した。層1のポリエステル繊維は、ドイツ国ハムのADVANSA GmbHからDACRONポリエチレンテレフタレートNSD 158(デシテックス1.7、ステープル長38mm、直径:12.52μm)の製品名で入手し、この繊維は、表1〜2で「PET−より細かい」として言及されている。層2のポリエステル繊維は、ドイツ国ハムのADVANSA GmbHからDACRONポリエチレンテレフタレート 54−NSD(デシテックス6.7、ステープル長38mm、直径:24.86μm、比重:1.38g/cm)という製品名で入手し、この繊維は、表1〜2で「PET−より粗い」として言及されている。層2は、混合デシテックスの繊維層であった。繊維径の計算に使用した式は以下のとおりであった:
φ=[(4x10−6・デシテックス)/πρ)]1/2
式中、ρは、g/cmで繊維材料の密度を表し、計算した直径はcm単位であり、これをμmに変換した(1cm=10,000μm)。
【0074】
2つの別々のタイプの繊維状ブレンドが、カーディングユニット101および102に送られた。最後のカーディングユニット102からの、カードステープルファイバーブレンドは、層2として従来の形成ベルト上に集められ、第1のカーディングユニット101に向けて進められた30g/mのウェブであり、第1のカーディングユニットからの30.5g/mのカードステープルファイバーブレンド、層1は、層2のカードステープルファイバーブレンド表面上に集められた。カード1からの層1は、カード2からの層2上に置かれる。層状のカードステープルファイバーブレンド110は、わずかに圧縮され、単側ベルトハイドロエンタングラーユニット103上に進められた。わずかに圧縮されたカードステープルファイバーブレンドは、4X4MPa(40bar)のジェット水圧シーケンス、すなわち、40bar、40bar、40bar、40barのシーケンスで、共にもつれさせられた。ハイドロエンタングルステーションの設定に対して、形成ワイヤ材料は、ポリエステルモノフィラメントであり、織りのパターン=平織り;φ 縦および横(Warp & Shute)=0.45mm;縦ワイヤの数=14.2/cm;横ワイヤ(Shute wire)の数=11.8/cm;ベルト厚0.75mm;開口面積=22.9%;空気透過性=3350cm/秒);ストリップの穿孔オリフィスのサイズおよび間隔、穴のサイズ=0.127mm(0.005インチ);25.4mm(1インチ)あたりの穴=50個であった。
【0075】
もつれた繊維状マットは、次に、湿潤ユニット(wet-out unit)104を通過し、軟質のエチレン酢酸ビニル(EVA)結合剤の水溶液を用いて、布のベルト側(層1の側)が印刷ユニット105で印刷され、ひと山の乾燥缶106上で乾燥させられた。印刷ユニット105からのEVA結合剤追加量は、2グラム/m(g/m)のドライオンドライ(dry on dry)であった。薄緑色の顔料を含む、硬質酢酸ビニル(VA)ポリマー結合剤の水溶液が、布の、ベルトでない側(層2の側)において印刷ユニット107から印刷された。VA結合剤追加量は、3.5グラム/m(g/m)のドライオンドライであった。結果として得られた布は、次に、ふた山の乾燥缶108上で乾燥および硬化され、乾燥し硬化した布111は、巻きステーション109で巻いてロールにする。このようにして、不織布サンプル1は、6.7デシテックス/38mmの65%の粗いポリエステル繊維、および1.7デシテックス/40mmの35%ビスコースレーヨンを有する、布表面(層2から)で製作された。不織布表面は、押し出し積層中に最低限の変形で、表面特徴部を維持するように、布の仕上げ剤としての硬質酢酸ビニルポリマー結合剤で修飾された。比較的少量のエチレン酢酸ビニル結合剤を使用して、不織布のもう一方の側の毛深さを制御し、その結合剤を布構造内にわずかに入り込ませ、布組成に対してさらなる安定性を与え、さらに柔軟さを保つ。不織布サンプル1の組成を、表1にまとめる。
【表1】

【0076】
不織布A:
不織布サンプルAを作るのに使用されるプロセス200を、概して図2に示す。55グラム/m(g/m)の、ビスコースレーヨンおよびポリエステル繊維のカードステープルファイバーブレンドが、58重量%のビスコースレーヨンおよび31重量%のポリエステル繊維のカードステープルファイバーブレンドをハイドロエンタングルし、結合剤印刷し、不織布を乾燥させることにより、形成された。ビスコースレーヨン繊維は、LenzingビスコースレーヨンTD(デシテックス1.7、ステープル長40mm、直径:12.52μm、比重:1.38g/cm)の製品名でLenzingから入手された。ポリエステル繊維は、ドイツ国ハムのADVANSA GmbHからDACRONポリエチレンテレフタレート NSD 158(デシテックス1.7、ステープル長38mm、直径:12.52μm、比重:1.38g/cm)の製品名で入手され、この繊維は、表2中で「PET−より細かい」として言及される。58重量%のビスコースレーヨンおよび31重量%のポリエステル繊維のカードステープルファイバーブレンドは、図2に示すように、オープナーからカード201および202に送られた。繊維状マットは、ベルトの上を進められて、単側ベルトエンタングラーであるハイドロエンタングルメントユニット203に送られ、4X4MPa(40バール)のジェット水圧シーケンスでもつれさせられた。布はその後、印刷ユニット204において、3g/mの、深緑色の顔料を含むアクリル性結合剤で、ベルトでない側を印刷された。別の3g/mの、深緑色の顔料を含む顔料アクリル性結合剤が、印刷ユニット205で、布の反対側のベルト側に印刷された。アクリル性結合剤は、ACRONAL LA 471 Sの製品名でBASFから入手した。結果として得られた布が次に、3つの山の乾燥缶206において乾燥および硬化され、その後、乾燥および硬化された布208は、巻きステーション207で巻かれてロールになる。不織布サンプルAの組成を表2に示す。
【表2】

【0077】
不織布サンプル1およびAは、押し出しプロセスを用いて、20グラム/m(g/m)の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムで、さらにオフラインでコーティングされた(coated off-line)。不織布サンプル1は、その層2の側(すなわち、より粗いPET繊維を有する側)をコーティングされた。使用した押し出し積層法は、概して、図3にプロセス300として示される。押し出し積層プロセス中、不織布301は、ほどきステーション(unwind station)302からほどかれて、押出ダイ306の下に位置付けられた一対の圧力ロール303および304により画定されるニップ310まで、95m/分の速度で不織ウェブ張力制御ガイドロールを通して進められた。熱可塑性樹脂ペレットが、送りねじ(feeding screw)307へ導入するため、切込み送りホッパー(in-feed hopper)308の中に送られた。樹脂ペレットは、送りねじ307において加熱および軟化されて、流動性の塊となり、押出ダイ306に導入された。押出ダイ306は、放出開口部311を有した。LDPE樹脂312の薄い均一コーティングが、連続したフィルムの形で、押出ダイ306から、不織布301上に直接押し出された。溶けた樹脂は、フィルムの形で不織布の上に直接押し出された。不織布上に押し出されたLDPE樹脂は、ExxonMobil(商標)からLDPE LD 259の製品名で入手した。LDPE樹脂は、103℃の融点、12g/10分のメルトインデックス、および0.915g/mL(cc)の密度を有していた。圧力ロール303および304を通過した後、押し出し積層不織布は、圧力ロール304とチルロール305(表面温度:30℃)との間をすぐに運ばれ、その後、冷却された積層製品309が、巻きステーション(不図示)に送られた。
【0078】
不織布1(すなわち「7121」または「7121F」)および不織布A(すなわち比較積層物「7327」または「7327F」)で形成された積層物に関して決定された特性のまとめを、表3〜5に示す。これらの表に示されるように、各タイプの不織布の複数のサンプルが、特性測定のうちいくつかについて試験された。フィルム(「フィルム」または「−」)および不織布(「NWF」または「###」)の構成を示す、表3の図における矢印は、は、空気孔隙率試験ではその構成を通過する気流の方向を示し、HSH試験および破裂強度試験では水流の方向を示し、水蒸気透過試験では、水が受容または接触される積層物の側を示す。表3〜5は、複数のサンプル試験の個々の値および平均値(例えばWVTR)、ならびに、フィルムおよび布の重量計算情報を示す。表3は、医療用ガウンまたは他の用途に関連し得るいくつかの機能特性に関するデータを示し、表4および5は、積層物について測定された他の特性に関するデータを示す。
【表3】

【表4】

【表5】

【0079】
表3〜5の結果は、標準的なISO 15106−3(水と接触)で測定すると、積層物に有用な物理的性質を犠牲にすることなく、混合デシテックスの繊維層を積層物に含む積層物7121Fが、積層物の不織部分についてのみ同じデシテックスの繊維層を有する比較サンプル7327Fより著しく高い水蒸気透過率を示した(すなわち16.5g/m・日:10.2g/m・日の平均値)ことを示す。ISO 15106−3により測定したWVTRについて表4中の最初に記載したサンプルの7121Fおよび7327Fについて決定された、測定時間にわたる水蒸気透過速度を示すグラフである、図4にさらに示すように、14+日間測定された7121Fサンプル(サンプル1)のWVTRは、約19グラム/m/24時間のピークWVTRを示し、このピークWVTRは、約4日目までに約10グラム/m/24時間へと徐々に減少し、その後、WVTRは、測定14日目まで、そして14日を越えても約10グラム/m/24時間で比較的一定のままとなった。約1日間測定された7327Fサンプル(サンプル2)のWVTRは、7121Fとは異なるプロファイルを示した。7327FサンプルのWVTRは、約10グラム/m/24時間で、7121Fサンプルよりさらにゆっくりと、7121Fサンプルより低いピーク値に達した。これらの結果は、7121F積層物が蒸気を通し(vapor breathable)、水と接触してから少なくとも4日まで、7327Fサンプルよりも蒸気を通すことを示している。この結果はまた、7121F積層物が、4日を越えても通気性があることを示し、このことは、積層物の通気性がさまざまな用途に適する期間の間維持され得ることを示す。
【0080】
表3〜5の結果はまた、7327積層物と比較した場合に、積層物7121Fの不織布の混合デシテックスの繊維ブレンド層からのさまざまな繊維厚さの、静水頭特性に対する著しい影響を示し、7121F積層物は、本明細書に示すものなどさまざまな積層物の用途に適切となり得る静水頭特性をもたらした。空気透過性結果は、試験した異なる積層物では、有意に差異がなかった。7121F積層物の不織布フィルム複合物は、第1デシテックスおよび第2デシテックスの繊維ブレンド不織布の表面上に押し出され、かつ異なる接着特性を有する、通常は通気性のないLDPEで始められる。特定の理論に縛り付けられることを望むものではないが、押し出し積層および冷却の際、チャネル(すなわち、ポリエステル繊維に沿った、より薄いフィルムエリア/ゾーン)がフィルムに作られると考えられ、それらのチャネルを通して、単方向(1方向)空気透過性が積層物に形成される。サンプル7121Fにより示されるような積層物も、EN 13795規準を満たす細菌透過のバリア特性を有する。この積層物はまた、片側で利用可能な吸収性特徴を有する。別の不織布の利用を通じることが望ましい場合は、両側まで伸ばすことが可能である。空気透過性はまた、両側から可能である。表3の結果によって示されるように、製造後カレンダープロセスを両方の積層物にさらに加えても、空気透過性および静水頭の機能は改善されず、これらの特性双方を悪化させたことが、観察された。積層強度は、7327F積層物で大きいことが観察され、これは、浮き上がった(profiled)/粗い布表面が7121F積層物より比較的少ないことに起因すると考えられる。吸収は、7327Fおよび7121F積層物の双方で概ね等しいことが観察された。
【0081】
押し出し積層後のフィルムの作用をさらに理解するため、7121F積層物(すなわちLDPEフィルムで積層された不織布サンプル1)および7327F積層物(すなわち、LDPEフィルムで積層された不織布サンプルA)から層間剥離したフィルムに対して、顕微鏡検査を行った。図5および図6は、7121F積層物のフィルムの非積層側(すなわち、不織布の反対側)および積層側(すなわち不織布に面する側)からフィルム表面の拡大部分を示している。これらの顕微鏡写真は、200X倍率のDigiMicro Scale顕微鏡を使用して撮られた。このDigiMicro Scale顕微鏡は、ドイツ国DietzenbachのDrahtlose Nachrichtentechnik Entwicklungs- und Vertriebs GmbHによって製造されている。図7および図8は、7327F積層物のフィルムの非積層側(不織布の反対側)および積層側(すなわち不織布に面する側)からフィルム表面の拡大部分を示している。図9および図10は、7327Fおよび7121F積層物それぞれのフィルム積層側からの拡大写真(scaled photographs)を示す。
【0082】
図11および図12は、7327Fおよび7121F積層物それぞれの、細線の印(thread markings)が示された、拡大写真を示す。これらの図は、不織布上のポリエステル繊維の場所に沿って一致する、フィルムエリア内の微小規模の「V」字型チャネルを示す。
【0083】
7121Fおよび7327F複合物のフィルムのフィルム表面エリアに基づいた「V」字型の薄い領域の長さを測定した。フィルムにおける繊維の長さは、最初に測定する際に細線(thread)で図11および図12に示すようにマークされ、細線の長さは、目盛りつきのグラフ紙(不図示)に転記された。全長およびスケールを知る計算を、以下のとおり実施した。
【0084】
7121Fの薄いフィルム領域(VA結合剤堆積物を除く)の全長=(259+285)=544ユニット。全14ユニット=0.2mm。よって、544ユニット=(544x0.2/14)mm=7.8mm。すなわち、(4x0.2mm)当たり7.8mm=7.8mm/0.64mm、のV字型の薄い長さを有する。7121Fの薄いフィルム領域(意図的にインプラントの厚いVA結合剤堆積物(purposely implant thick VA binder deposit)を含む)の全長=(259+285+32)ユニット=576ユニット。全14ユニット=0.2mm。よって、576ユニット=(576x0.2/14)mm=8.2mm。すなわち、(4x0.2mm)当たり8.2mm=8.2mm/0.64mm、のv字型の薄い長さを有する。7327Fの薄いフィルム領域(VA結合剤堆積物を除く)の全長=(257+308)=565ユニット。全14ユニット=0.2mm。よって、565ユニット=(565x0.2/14)mm=8.1mm。すなわち、(4x0.2mm)当たり8.1mm=8.1mm/0.64mm、のv字型の薄い長さを有する。
【0085】
図13は、より細かいビスコースレーヨン繊維を有する粗いポリエステル繊維(すなわち、6.7デシテックス対1.7デシテックス)の存在による不織布表面の粗さにより生じる、押し出しフィルムの厚さの影響(フィルム厚さの変形)を概略的に示す。領域「a」および「b」における図13に示すような断面図は、積層フィルム上の、より薄いエリアを示す。
【0086】
7121Fおよび7327F積層物のフィルムの空気透過性および静水頭について、フィルム表面エリアに基づいた「V」字型の薄い領域のエリアの割合を決定した。図13に示すように、1.7デシテックスの「b」領域<6.7デシテックスの「b」領域と仮定すると、空気透過性および静水頭について、フィルムの薄い領域の割合は、以下のとおり決定された:
【0087】
7327F積層物では、空気透過性について、潜在的な薄い領域が、(長さ=8.1mm)x(2b=0.667)x(1.7デシテックスのφ=0.0125mm)=(0.0675mm/0.64mm)%=10.55%であると推定される。静水頭について、潜在的な薄い領域が、(長さ=8.1mm)x((2b+a)=1)x(1.7デシテックスのφ=0.0125mm)=(0.1013mm/0.64mm)%=15.82%であると推定される。
【0088】
7121F積層物では、空気透過性について、潜在的な薄い領域が、(長さ=8.1mm)x(2b=0.5)x(6.7デシテックスのφ=0.02486mm)=(0.1007mm/0.64mm)%=15.73%と推定される。静水頭について、潜在的な薄い領域が、(長さ=7.8mm)x((2b+a)=1)x(6.7デシテックスのφ=0.02486mm)=(0.2014mm/0.64mm)%=31.46%と推定される。これらの計算から、7327F積層物の単一デシテックスの不織布に比べて、7121F積層物における混合デシテックスの不織布に関連した、有効な薄い領域の量が著しく増加していることが、示された。
【0089】
任意の論理に束縛されることを望むものではないが、フィルムにくっつく繊維がフィルムから少しも剥がれない場合、V字型領域(図13に示されるようなbエリア)のみが、空気の漏れの原因であると考えられる。このことは、繊維を有する積層物が吸引側に面している場合に空気吸引が作り出されたとき、空気が1方向にのみ進むか、または1方向にのみ測定される理由を説明するものである。フィルムが吸引側に面している場合、任意の薄い局所領域は、V字型領域に置かれた繊維により遮られる。ゼロの空気透過性が測定される。
【0090】
「V」字形状は、繊維状不織布マットが空気透過性測定処置中にフィルムから剥がれる傾向がある場合に空気の漏れの原因であると考えられる、ポリエステル繊維に沿った薄い領域を有する。約2.5L/m/sの空気孔隙率が、両不織布複合物について、TEXTEST FX3300空気透過性試験機(スイス国チューリッヒのTEXTEST AG)を用いて、196Pa/20cmの空気吸引下で、引き離された(detached)。不織布複合物の反対側で試験が行われた場合、空気透過性は測定されなかった。前述した論理は、7121Fが6.7デシテックスのPET繊維を含んでいるにもかかわらず、7121Fと7323Fとの間に(使用された試験条件下で)空気孔隙率の有意な明らかな差異が観察されなかった理由を説明するものと考えられる。b領域は、長さが双方の布で同じままである場合は、6.7デシテックスの繊維と同様に、1.7デシテックスのPET繊維でも同じままである。双方の布の同じ長さは、布表面を加工するのに使用するPET繊維の量によって制御される。
【0091】
静水頭は、バリア特性または耐水性の目安である。また、フィルム層の、同等の小孔サイズまたは同等の薄い局所領域の目安でもある。図13の点で描いた曲線は、粗いポリエステル、すなわち6.7デシテックス/38mmの「7121F」を示し、これは、特に水圧下で、「7327F」よりも潜在的にさらに薄い局所領域を有する。図示のとおり、「7121F」積層物は、実施した試験で、「7327F」積層物に比べて、より低いHSHを有することが観察された。「7121F」積層物はまた、ISO 15106−3、23℃で、水と接触して測定された場合に、「7327F」積層物と比べて、より高いWVTRを有する。
【0092】
ほかに指定のない限り、本明細書で使用する全ての量、割合、比率などは、重量によるものである。量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好適な範囲、または好適な上位値(upper preferable values)および好適な低位値(lower preferable values)のリストとして与えられる場合、これは、範囲が独立して開示されているかどうかに関わらず、任意の範囲上限もしくは好適な値と任意の範囲下限もしくは好適な値との任意の対から形成された全範囲を明確に開示しているものと理解されるべきである。数値範囲が本明細書で列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、その端点、ならびに全ての整数および端数をその範囲内に含むことを意図している。範囲を定める場合、本発明の範囲が、列挙した特定の値に限定されることは意図していない。
【0093】
本発明の他の実施形態は、本明細書を熟考し、本明細書に開示された本発明を実施することから、当業者には明らかとなるであろう。本明細書および実施例は、請求項およびその等価物により示される発明の適正な範囲および主旨を備えた例示的なものとしてみなされることを意図している。
【0094】
〔実施の態様〕
(1) 通気性積層物において、
液体および蒸気透過性の不織布に同一の広がりを持つよう直接接合して接触した、液体抵抗性で蒸気透過性の裏打ちフィルム層、
を含み、
前記通気性積層物の前記裏打ちフィルム層は、蒸気透過性で液体抵抗性である薄い局所領域、および、蒸気不透過性で液体抵抗性である、より厚い領域を含み、
前記裏打ちフィルム層は、熱可塑性樹脂含有組成物を含み、前記不織布は、少なくとも1デシテックスだけ異なる、第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維のブレンドを含み、
前記第1デシテックスの繊維は、3.5〜15の範囲のデシテックスを有し、前記第2デシテックスの繊維は、0.5〜3.5の範囲のデシテックスを有し、
前記第1デシテックスの繊維は、10重量%〜90重量%の量で前記ブレンド中に存在し、前記第2デシテックスの繊維は、90重量%〜10重量%の量で前記ブレンド中に存在する、通気性積層物。
(2) 実施態様1に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層の総表面積が、1%〜30%の前記薄い局所領域と、99%〜70%の前記より厚い領域と、で構成される、通気性積層物。
(3) 実施態様1または2に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層は、細菌、ウイルス、および固体粒子物質に対するバリアをさらに形成する、通気性積層物。
(4) 実施態様1〜3のいずれかに記載の通気性積層物において、
ISO 15106−3により測定して、8g/m/24時間以上の水蒸気透過速度(WVTR)を有する、通気性積層物。
(5) 実施態様1〜4のいずれかに記載の通気性積層物において、
ENISO 9237により測定すると、フィルム側を加圧するかまたは布側を吸引して測定したときに、少なくとも0.5L/m/sの空気孔隙率を有し、0.1L/m/s未満の反対側空気孔隙率を有する、通気性積層物。
【0095】
(6) 実施態様1〜5のいずれかに記載の通気性積層物において、
EN 20811により測定すると、前記積層物の前記フィルム側および布側それぞれから、10hPa(10mbar)/分で少なくとも5以上の静水頭を有する、通気性積層物。
(7) 実施態様1〜6のいずれかに記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層の前記熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメタクリレート(EMA)、またはこれらの共押出物もしくはブレンドである、通気性積層物。
(8) 実施態様1〜7のいずれかに記載の通気性積層物において、
前記第1デシテックスの繊維はポリエステル繊維であり、前記第2デシテックスの繊維はビスコースレーヨン繊維であり、
前記ブレンドは、55重量%〜75重量%のポリエステル繊維と、45重量%〜25重量%のビスコースレーヨン繊維と、を含む、通気性積層物。
(9) 実施態様1〜8のいずれかに記載の通気性積層物において、
前記第1デシテックスの繊維は、5〜8.5のデシテックスを有し、前記第2デシテックスの繊維は、1〜2.5のデシテックスを有する、通気性積層物。
(10) 実施態様1〜9のいずれかに記載の通気性積層物において、
アクリル、エチレン酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、およびこれらの混合物からなる群から選択される結合剤、
をさらに含む、通気性積層物。
【0096】
(11) 実施態様1〜10のいずれかに記載の通気性積層物において、
前記不織布は、前記裏打ちフィルム層に直接隣接した第1の不織布層、および前記第1の不織布層によって前記裏打ちフィルム層から分離された第2の不織布層を含む、多層の繊維状構造物を含み、
前記第1の不織布層は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維の前記ブレンドであり、
前記第2の不織布層は、0.5〜15デシテックスの範囲の繊維の第2のブレンドであり、
前記第2の不織布層の全ての繊維は、0.25デシテックス未満だけデシテックスが異なる、通気性積層物。
(12) 実施態様1〜11のいずれかに記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層は、12〜30g/mの坪量、0.03〜0.3mmの厚さを有し、前記不織布は、25〜120g/mの坪量、および0.25〜1.25mmの厚さを有する、通気性積層物。
(13) 使い捨て衣類において、
実施態様1〜12のいずれかに記載の通気性積層物、
を含む、使い捨て衣類。
(14) 医療用ガウン、医療用掛け布、使い捨ておむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、創傷ケア物品、拭き取り布、または建設用の膜において、
実施態様1〜13のいずれかに記載の通気性積層物、
を含む、医療用ガウン、医療用掛け布、使い捨ておむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、創傷ケア物品、拭き取り布、または建設用の膜。
(15) さまざまな蒸気透過性を有する、実施態様1〜14のいずれかに記載の通気性積層物を作る方法において、
フィルムコーティングされた不織布を提供するため、熱可塑性樹脂含有組成物を含むフィルムを、液体および蒸気透過性の不織布上に直接押し出す工程であって、前記不織布は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1および第2デシテックスの繊維のブレンドを含む、工程と、
液体および蒸気透過性の不織布と直接接触して、同一の広がりを持って接合された液体抵抗性でさまざまな蒸気透過性の裏打ちフィルム層を生成するために、前記フィルムコーティングされた不織布を冷却する工程であって、前記裏打ちフィルム層は、前記コーティングされた不織布の冷却後に残存する、蒸気透過性で液体抵抗性の、薄い局所領域、および蒸気不透過性で液体抵抗性の、より厚い領域を含む、工程と、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施形態による通気性積層物の不織布を作るための、設備配列の概略図である。
【図2】比較積層物(comparison laminate)の不織布を作るための、設備配列の概略図である。
【図3】本発明の実施形態による通気性積層物を作るための、押し出し積層設備配列の概略図である。
【図4】本発明の実施形態による通気性積層物、および比較積層物の、測定時間にわたる水蒸気透過速度を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態による通気性積層物のフィルムの非積層フィルム側からの顕微鏡写真(倍率200X)である。
【図6】本発明の実施形態による通気性積層物のフィルムの積層フィルム側からの顕微鏡写真(200X)である。
【図7】比較積層物のフィルムの非積層フィルム側からの顕微鏡写真(200X)である。
【図8】比較積層物のフィルムの積層フィルム側からの顕微鏡写真(200X)である。
【図9】比較積層物のフィルムの積層フィルム側からの、目盛り付きの顕微鏡写真(200X)である。
【図10】本発明の実施形態による通気性積層物のフィルムの積層フィルム側からの、目盛り付きの顕微鏡写真(200X)である。
【図11】比較積層物のフィルムの積層フィルム側からの、目盛りおよび細線の印(thread markings)付きの顕微鏡写真(200X)である。
【図12】本発明の実施形態による通気性積層物のフィルムの積層フィルム側からの、目盛りおよび細線の印付きの顕微鏡写真(200X)である。
【図13】本発明の実施形態による、不織布の第1デシテックスの(すなわち粗い)繊維および第2デシテックスの(すなわち細かい)繊維の、裏打ちフィルム層との相互作用の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性積層物において、
液体および蒸気透過性の不織布に同一の広がりを持つよう直接接合して接触した、液体抵抗性で蒸気透過性の裏打ちフィルム層、
を含み、
前記通気性積層物の前記裏打ちフィルム層は、蒸気透過性で液体抵抗性である薄い局所領域、および、蒸気不透過性で液体抵抗性である、より厚い領域を含み、
前記裏打ちフィルム層は、熱可塑性樹脂含有組成物を含み、前記不織布は、少なくとも1デシテックスだけ異なる、第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維のブレンドを含み、
前記第1デシテックスの繊維は、3.5〜15の範囲のデシテックスを有し、前記第2デシテックスの繊維は、0.5〜3.5の範囲のデシテックスを有し、
前記第1デシテックスの繊維は、10重量%〜90重量%の量で前記ブレンド中に存在し、前記第2デシテックスの繊維は、90重量%〜10重量%の量で前記ブレンド中に存在する、通気性積層物。
【請求項2】
請求項1に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層の総表面積が、1%〜30%の前記薄い局所領域と、99%〜70%の前記より厚い領域と、で構成される、通気性積層物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層は、細菌、ウイルス、および固体粒子物質に対するバリアをさらに形成する、通気性積層物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
ISO 15106−3により測定して、8g/m/24時間以上の水蒸気透過速度(WVTR)を有する、通気性積層物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
ENISO 9237により測定すると、フィルム側を加圧するかまたは布側を吸引して測定したときに、少なくとも0.5L/m/sの空気孔隙率を有し、0.1L/m/s未満の反対側空気孔隙率を有する、通気性積層物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
EN 20811により測定すると、前記積層物の前記フィルム側および布側それぞれから、10hPa(10mbar)/分で少なくとも5以上の静水頭を有する、通気性積層物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層の前記熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンメタクリレート(EMA)、またはこれらの共押出物もしくはブレンドである、通気性積層物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
前記第1デシテックスの繊維はポリエステル繊維であり、前記第2デシテックスの繊維はビスコースレーヨン繊維であり、
前記ブレンドは、55重量%〜75重量%のポリエステル繊維と、45重量%〜25重量%のビスコースレーヨン繊維と、を含む、通気性積層物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
前記第1デシテックスの繊維は、5〜8.5のデシテックスを有し、前記第2デシテックスの繊維は、1〜2.5のデシテックスを有する、通気性積層物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
アクリル、エチレン酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、およびこれらの混合物からなる群から選択される結合剤、
をさらに含む、通気性積層物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
前記不織布は、前記裏打ちフィルム層に直接隣接した第1の不織布層、および前記第1の不織布層によって前記裏打ちフィルム層から分離された第2の不織布層を含む、多層の繊維状構造物を含み、
前記第1の不織布層は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1デシテックスの繊維および第2デシテックスの繊維の前記ブレンドであり、
前記第2の不織布層は、0.5〜15デシテックスの範囲の繊維の第2のブレンドであり、
前記第2の不織布層の全ての繊維は、0.25デシテックス未満だけデシテックスが異なる、通気性積層物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の通気性積層物において、
前記裏打ちフィルム層は、12〜30g/mの坪量、0.03〜0.3mmの厚さを有し、前記不織布は、25〜120g/mの坪量、および0.25〜1.25mmの厚さを有する、通気性積層物。
【請求項13】
使い捨て衣類において、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の通気性積層物、
を含む、使い捨て衣類。
【請求項14】
医療用ガウン、医療用掛け布、使い捨ておむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、創傷ケア物品、拭き取り布、または建設用の膜において、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の通気性積層物、
を含む、医療用ガウン、医療用掛け布、使い捨ておむつ、サニタリーナプキン、パンティライナー、創傷ケア物品、拭き取り布、または建設用の膜。
【請求項15】
さまざまな蒸気透過性を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の通気性積層物を作る方法において、
フィルムコーティングされた不織布を提供するため、熱可塑性樹脂含有組成物を含むフィルムを、液体および蒸気透過性の不織布上に直接押し出す工程であって、前記不織布は、少なくとも1デシテックスだけ異なる第1および第2デシテックスの繊維のブレンドを含む、工程と、
液体および蒸気透過性の不織布と直接接触して、同一の広がりを持って接合された液体抵抗性でさまざまな蒸気透過性の裏打ちフィルム層を生成するために、前記フィルムコーティングされた不織布を冷却する工程であって、前記裏打ちフィルム層は、前記コーティングされた不織布の冷却後に残存する、蒸気透過性で液体抵抗性の、薄い局所領域、および蒸気不透過性で液体抵抗性の、より厚い領域を含む、工程と、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−35618(P2012−35618A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−107201(P2011−107201)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507215851)ポリマー・グループ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】